説明

ナビゲーション装置

【課題】特定の範囲にある施設の絞り込み処理における負荷を軽減すること。
【解決手段】名称検索により絞り込まれた候補施設から、指定された特定の絞込範囲にある施設を絞り込む。絞込範囲にある候補施設を抽出する処理では、まず、指定された絞込範囲にある行政区画のエリアコード及びメッシュ領域のメッシュコードを検索する。名称検索により絞り込まれた候補施設のデータレコードと検索されたエリアコードを照合することによって、絞込範囲にある行政区画に属する候補施設を抽出する。さらに、エリアコードに基づいて抽出された候補施設のデータレコードと検索されたメッシュコードを照合することによって、絞込範囲にあるメッシュ領域に属する候補施設を抽出する。そして、最終的に、絞込範囲にあるメッシュ領域に属する候補施設の位置座標と、絞込範囲とを比較することによって、絞込範囲にある施設を絞り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に係り、例えば、特定の範囲にある施設を絞り込む技術に関する。
【背景技術】
【0002】
設定された目的地点や立ち寄り地点までの経路を探索し運転者に提供するナビゲーション装置が広く普及している。
従来、ナビゲーション装置では、目的地や経由地点など特定の地点を入力する際に、名称の50音検索やジャンル検索に基づいて、データベースから施設の候補を絞り込む方法が用いられている。
また、名称やジャンルなどの絞込条件に合致する施設数が多く、目的地候補が十分に絞り込めない場合、エリアの絞込条件を付加してさらに候補施設を絞り込む技術が特許文献1に提案されている。
【特許文献1】特開2007−40791公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ナビゲーション装置では、位置座標・住所・電話番号などの詳細情報が施設IDごとに記憶されたデータベースとは別に、読み・ジャンルコード・エリアコードなど最小限の情報が施設IDごとに記憶されたデータテーブルを備えている。このデータテーブルを利用することにより、名称検索(50音検索)やジャンル検索、住所検索の高速化を図ることができる。
ところで、特許文献1に記載されているような、多数の候補施設から特定エリアに存在する施設を絞り込む処理を行う場合、絞込対象となる候補施設をデータテーブルを用いて検索した後、これら絞込対象となる全ての候補施設の座標をデータベースから読み出す。
そしてデータベースから読み出した候補施設の座標と特定エリアの範囲情報とを個々に照らし合わせる処理を行う必要があった。
【0004】
例えば、特定エリアとして、特定の基準地点から半径Rkmの範囲が指定された場合、
データベースから読み出した座標に基づいて、該特定の基準地点からの距離を個々に算出する処理を、絞込対象となる全ての候補施設に対して行う必要があった。
即ち、特定エリアに存在する施設を絞り込む処理を行う場合には、全ての候補施設の座標情報を、データテーブルからではなく、データベースに格納されている施設の詳細情報から読み出して処理を行う必要があった。
そのため、多数の候補施設から特定エリアに存在する施設を絞り込む際に、ナビゲーション装置に多くの負荷がかかり、処理の高速化を図ることが困難であった。
【0005】
そこで本発明は、特定の範囲に存在する施設の絞り込み処理における負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、施設の存在する領域情報を含む施設情報が格納された第1データテーブルから、絞込条件に従って順次候補施設を絞込んで表示するナビゲーション装置であって、絞込条件を受け付ける絞込条件受付手段と、前記受け付けた絞込条件が、特定位置範囲に存在する施設の絞込である場合、絞り込み済みの候補施設の中から、前記特定位置範囲を含む領域内の候補施設を各候補施設の領域情報を使用して抽出する抽出手段と、前記抽出した各候補施設に対する位置情報を、施設の位置情報が格納された第2データテーブルから読み出し、該位置情報から前記特定位置範囲に存在する候補施設を絞り込む範囲絞込手段と、を具備したことを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
(2)請求項2に記載の発明では、前記領域情報は、施設が存在する行政区画情報、又は所定範囲に分割された細分領域情報であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記領域情報は、施設が存在する行政区画情報と、該行政区画情報よりも細かな範囲に分割された細分領域情報からなり、前記抽出手段は、前記絞り込み済みの候補施設の中からの前記行政区画情報による抽出と、該抽出した候補施設の中からの前記細分領域情報による抽出を行う、ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記特定位置範囲は、特定の基準地点から所定の距離までの範囲であること特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、範囲絞込条件を受け付けた場合、特定の位置範囲が含まれる対象領域に存在する領域内施設の位置情報を読み出し、読み出した位置情報に基づいて、領域内施設から特定の位置範囲に存在する候補施設を絞り込む絞り込むことにより、特定の位置範囲に存在する施設の絞り込み処理における負荷を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のナビゲーション装置における好適な実施の形態について、図1から図7を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
ナビゲーション装置では、行き先や経由地点、立ち寄り地点などの特定の地点(目的地点)を設定する場合、この目的地点の候補地を種々の絞込条件に基づいて絞り込み、その絞込検索結果、即ち候補リストから設定する目的地点を決定する。
目的地の候補は、例えば、名称やジャンルなどに基づいて行うが、目的地候補が十分に絞り込めない場合、特定エリアに存在する候補施設を抽出するエリア絞り込みを行う。
本実施形態では、名称検索により絞り込まれた候補施設から、さらに、指定された特定の基準地点から半径Nkmの範囲(絞込範囲)に存在する施設を絞り込む。
【0009】
絞込範囲に存在する候補施設を抽出する処理では、まず、指定された絞込範囲に存在する行政区画のエリアコード及びメッシュ領域(細分区画領域)のメッシュコードを検索する。
次に、名称検索により絞り込まれた候補施設のデータレコードと、検索されたエリアコードとを照らし合わせることによって、絞込範囲に存在する行政区画に属する候補施設を抽出する。
さらに、エリアコードに基づいて抽出された候補施設のデータレコードと、検索されたメッシュコードとを照らし合わせることによって、絞込範囲に存在するメッシュ領域に属する候補施設を抽出する。
そして、最終的に、絞込範囲に存在するメッシュ領域に属する候補施設の位置座標と、絞込範囲とを比較することによって、絞込範囲に存在する施設を絞り込む。
【0010】
(2)実施形態の詳細
図1は、本実施形態におけるナビゲーション装置1の構成を示した図である。
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、CPU11、ROM12、RAM13、入力装置14、出力装置15、現在位置検出装置16、情報送受信装置17、情報記憶装置18、記憶装置19などを備えている。
CPU11は、ROM12、RAM13や情報記憶装置18などに格納されている各種プログラムやデータに従ってナビゲーション装置1を制御する中央演算処理装置である。
ROM12は、ナビゲーション装置1を機能させるための基本的なプログラムやパラメータなどが記憶された読み取り専用メモリである。
RAM13は、CPU11の作業領域として機能する記憶領域であり、処理中のデータ、例えば、入力された絞込条件データなどを一時的に記憶する。
【0011】
入力装置14は、利用者の意志によりナビゲーション処理をCPU11に指示する装置、例えば、目的地(住所や電話番号、地図上の座標など)、通過地点、立ち寄り地点、探索条件、絞込条件などの情報、経路案内のリクエスト要求などを入力する装置である。
本実施形態では、入力装置14は、表示画面(ディスプレイ)に、指で直接触れることでポインティングすることができるタッチパネル(タッチスクリーン)で構成されているが、ジョグダイアル等のリモートコントローラ等によって構成するようにしてもよい。
【0012】
出力装置15は、例えば、入力装置14からの入力情報、経路案内情報、目的地の設定画面、現在地周辺の地図画面、各種メニュー画面などCPU11の処理結果を出力する装置である。
本実施形態では、出力装置15は、入力装置14としての機能も有する、目的地の設定画面や現在地周辺の地図画面、絞込エリアの設定画面など各種メニュー画面を表示するタッチパネルによって構成されているが、経路案内を音声で出力するスピーカや、処理データを印字出力するプリンタを別途設けるようにしてもよい。
【0013】
現在位置検出装置16は、ナビゲーション装置1が搭載される車両の現在位置(緯度、経度からなる絶対座標値)を検出するためのものであり、人工衛星を利用して車両の位置を測定する衛星利用測位システム(GPS)から情報を取得するためのGPS受信装置を備えている。
なお、現在位置検出装置16は、GPS受信装置による現在位置検出を補足する装置として、地磁気を検出して車両の方位を求める地磁気センサ、ジャイロセンサ、車速センサ等を備えるようにしてもよい。
情報送受信装置17は、衛星利用測位システム(GPS)を利用して現在位置や日付、時間情報等を入手するGPS受信装置、FM多重放送、電波ビーコン、光ビーコン等を利用して交通情報等を入手するためのVICS情報受信装置、携帯電話、パソコン等を利用することにより、情報センター(例えばATIS)や他車両と情報を双方向に通信するためのデータ送受信装置等から構成される。
【0014】
情報記憶装置18は、ナビゲーション用のプログラム及びデータを記憶した外部記憶装置であり、例えばCD−ROMやDVD−ROM等からなり、例えば、目的地検索処理プログラム、経路探索プログラム、経路案内プログラムなどのデータ、また、各プログラムの処理で用いられるデータが格納されている。
情報記憶装置18に格納されるデータとして、例えば、経路探索に使用する探索データ(目的地データ、登録地点データ、道路データ、ジャンル別データ等)、それ以外の案内・表示用のデータ(経路案内をする際に使用する案内データ、地図を表示する際に使用する表示データ、現在位置を検出する際に使用するマップマッチングデータ等)などが記憶されている。
【0015】
また、情報記憶装置18には、本実施形態で用いられる検索用データレコード181、地点情報レコード182、エリアコードテーブル183、メッシュコードテーブル184が格納されている。
図2(a)は、検索用データレコード181の一例を示した図である。
検索用データレコード181は、名称検索(50音検索)やジャンル検索に基づいて候補施設の絞り込みを行う際に用いられるデータレコードである。
図2(a)に示すように、検索用データレコード181には、各施設のレコード(データ)が読み順に並べられた(ソートされた)状態で格納されている。
検索用データレコード181には、施設のレコードとして、読み、名称、種別コード、エリアコード、メッシュコード、パーマネントIDのデータが、施設ごとに格納されている。
なお、種別コードは、施設の属するジャンル(種別)の識別コード(識別子)を示し、エリアコードは、行政区画(市区町村)の識別コードを示し、メッシュコードは、細分区画されたメッシュ領域の識別コードを示し、パーマネントIDは、施設の識別コードを示す。
検索用データレコード181は、第1データテーブルとして機能する。
【0016】
図2(b)は、地点情報レコード182の一例を示した図である。
図2(b)に示すように、地点情報レコード182には、各施設の地点情報レコードがメッシュコード毎に分割された状態で格納されている。
地点情報レコード182には、施設の地点情報レコードとして、パーマネントID、名称、座標、表示縮尺、エリアコード、電話番号のデータが、施設ごとに格納されている。
なお、座標は、施設の存在位置を示す緯度・経度の座標を示し、表示縮尺は、該施設の表示が可能な地図の縮尺を示す。
地点情報レコード182は、第2データテーブルとして機能する。
【0017】
図3(a)は、エリアコードテーブル183の一例を示した図である。
エリアコードテーブル183は、図3(a)に示すように、行政区画とエリアコードとが紐付けされたデータテーブルである。
また、図示されていないが、エリアコードテーブル183には、各エリアコードと、行政区画の位置情報、例えば、行政区画の領域(隣接する行政区画との境界)をプロットした座標情報が紐付けられている。
【0018】
図3(b)は、メッシュコードテーブル184の一例を示した図である。
メッシュコードテーブル184は、図3(b)に示すように、各メッシュ領域とメッシュコードとが紐付けされたデータテーブルである。
図4は、メッシュ領域の一例を示した図である。
図4に示すように、メッシュ領域は、行政区画とは関係なく、地図データを網の目(メッシュ)状に細分区画した方形領域である。
各メッシュ領域は、行政区画の区分単位(区分領域)より十分に小さい領域からなり、本実施形態では、例えば、一辺が2.5kmの方形領域からなる。なお、メッシュ領域の大きさは、任意に変更することができる。
メッシュ領域は、隣接するメッシュ領域との境界線が、緯線、経線に平行となるように区画されている。そのため、各メッシュ領域(メッシュ範囲)は、方形の対向する一組の頂点、即ち、図4に示す始点と終点の座標(緯度・経度)によって特定することができる。
【0019】
図1の説明に戻り、記憶装置19には、本実施形態で用いられる、処理対象データレコード記憶領域191、表示用施設データ記憶領域192、メモリカウンタ193が設けられている。
処理対象データレコード記憶領域191には、エリア検索処理の対象となる施設のデータレコードが記憶される。
表示用施設データ記憶領域192には、エリア検索処理によって絞り込まれた施設の表示用データが記憶される。
メモリカウンタ193は、表示用施設データ記憶領域192に記憶された施設数を計数するカウンタである。
本実施形態では、メモリカウンタ193のメモリカウンタ値に基づいて、出力装置15(タッチパネル)の一画面にリスト表示可能な件数nごとに、絞り込まれた施設リストを表示するように構成されている。
なお、本実施形態では、一画面にリスト表示可能な件数nが5に設定されているが、nの値はこれに限定されるものではなく、表示画面サイズや表示文字サイズなどに応じて任意に変更することができる。
【0020】
次に、以上のように構成されたナビゲーション装置1における目的地の検索処理、詳しくは、設定(入力)する行き先や経由地点、立ち寄り地点など(以下、目的地とする)の目的地候補の絞込処理の方法について説明する。
図5は、エリア絞込条件に基づく目的地の検索処理の手順を示したフローチャートである。
はじめにCPU11は、名称検索による目的地候補の絞り込みを行う(ステップ10)。
【0021】
詳しくは、名称検索の絞込キーワードの入力画面において、利用者が、例えば、タッチパネルに表示された文字入力画面を操作することによって、目的地の検索文字列として“あい”を入力すると、CPU11は、入力された文字列“あい”を名称絞込検索のキーワードとして受け付ける。
CPU11は、情報記憶装置18に格納されている検索用データレコード181から、受け付けた名称絞込条件のキーワードの読みと一致する施設レコードを検索し、その絞込結果をタッチパネルに表示する。
図6(a)は、名称検索による目的地候補の絞込結果の表示の一例を示した図である。
図6(a)に示すように、名称検索による目的地候補の絞込結果として、該当施設情報として、名称及び所在地(市区町村)が表示される。なお、一画面内に表示しきれない施設情報は、タッチパネルに表示されたスクロールバーを操作することにより表示させることができるように構成されている。
【0022】
本実施形態に係るナビゲーション装置1では、上述した名称検索に基づく絞り込み処理によって、十分に目的地候補の絞り込みがなされない場合、さらに、エリア条件に基づく目的地候補の絞り込みを行うことができる。
利用者によって、図6(a)に示す名称絞込条件の検索結果の表示画面において、「エリアで絞る」キーが押下(タッチ)されると、CPU11は、さらにエリアに基づく絞り込み処理を実行する。
図6(b)は、エリア絞込条件「周辺」が選択された場合における、絞込対象エリアの選択画面を示した図である。
利用者によって、「エリアで絞る」キーが押下された後、タッチパネルに表示されている、エリア絞込条件「周辺」のタブが選択されると、CPU11は、図6(b)に示す絞込対象エリアの選択画面をタッチパネルに表示する。
【0023】
図6(b)に示すように、絞込対象エリアの選択画面には、絞込対象エリアの選択肢として、例えば、全エリア、現在地周辺、目的地周辺、先程の地図が設定されている。
全エリアは、絞込対象エリアの絞込設定(現在の画面)を解除するためのキーを示す。
現在地周辺は、現在地(基準位置)から半径Nkm(例えば10km)の範囲に存在する施設を絞り込むためのキーを示す。
目的地周辺は、予め走行経路が設定されており、経由地点や立ち寄り地点などを設定する場合にのみ表示されるキーであり、設定されている経路の終着地(目的地)から半径Nkm(例えば10km)の範囲に存在する施設を絞り込むためのキーを示す。
なお、絞り込む範囲を設定する半径Nの値は任意に設定することができる。
先程の地図は、前回タッチパネルに表示されていた地図の領域に存在する施設を絞り込むためのキーを示す。
【0024】
本実施形態では、エリア絞込の一例として、現在地周辺に存在する施設を絞り込む場合について説明する。
利用者によって、図6(b)に示す名称絞込条件の検索結果の表示画面において、「現在地周辺」キーが押下(タッチ)されると、CPU11は、現在位置検出装置16から現在地の情報を取得する。
図6(c)は、基準位置を設定するための地図画面の一例を示した図である。
CPU11は、取得した現在地の情報に基づいて、図6(c)に示す現在地周辺を示した地図画面をタッチパネルに表示する。
図6(c)に示す地図画面上の十字ポイントの中心位置が基準位置を示し、この基準位置は、タッチパネルを操作することによって、画面上の任意の位置に移動させることができる。
利用者によって画面上の「セット」キーが押下(タッチ)されると、CPU11は、該地図画面における十字ポイントの中心位置を基準位置として取得する(ステップ11)。
【0025】
次に、CPU11は、エリアコードテーブル183における行政区画の位置情報に基づいて、取得した基準位置を中心とする半径Nkmの範囲(以下、絞込範囲とする)が存在する行政区画のエリアコードを抽出する(ステップ12)。CPU11は、抽出したエリアコードをRAM13に格納する。
図7(a)は、絞込範囲と行政区画との関係の一例を示した図である。
例えば、図7(a)に示すように、絞込範囲が設定されている場合、CPU11は、A区、B区及びC区のエリアコードを抽出する。
【0026】
さらに、CPU11は、メッシュコードテーブル184におけるメッシュ領域(メッシュ範囲)情報に基づいて、取得した基準位置を中心とする半径Nkmの範囲内に存在するメッシュ領域のメッシュコードを抽出する(ステップ13)。CPU11は、抽出したメッシュコードをRAM13に格納する。
なお、CPU11による、ステップ12における絞込範囲が存在する行政区画のエリアコードの抽出処理、およびステップ13における絞込範囲が存在するメーッシュ領域のメッシュコードの抽出処理は、抽出手段として機能する。
図7(b)は、絞込範囲とメッシュ領域との関係の一例を示した図である。
例えば、図7(b)に示すように、絞込範囲が設定されている場合、CPU11は、斜線で示すメッシュ領域のメッシュコードを抽出する。
【0027】
続いて、CPU11は、絞込検索対象となる全ての施設のデータレコードを検索用データレコード181から取得する(ステップ14)。CPU11は、取得したデータレコードを処理対象データレコード記憶領域191に記憶する。
本実施形態では、この処理対象データレコード記憶領域191に記憶されている施設のデータレコードを1つずつ抽出しながら処理を行う。
絞込検索対象となる全ての施設とは、上述した名称検索によって絞り込まれた全ての施設を示す。即ち、ここで取得するデータレコードは、図6(a)に示した、名称検索による目的地候補の絞込結果に該当する施設のデータレコードであるため、先に取得したデータレコードをそのまま流用するようにしてもよい。
【0028】
CPU11は、処理対象データレコード記憶領域191に、未抽出のデータレコードが有るか否かを判断する(ステップ15)。
未抽出の施設のデータレコードが有る場合(ステップ15;Y)、CPU11は、処理対象データレコード記憶領域191からランダムに1つのデータレコードを抽出する(ステップ16)。
抽出したデータレコードには、抽出した旨を示す抽出済みフラグを付し、未抽出のデータレコードと識別可能にする。
また、データレコードの抽出方法は、これに限定されるものではなく、例えば、50音順に抽出するようにしてもよい。
CPU11は、抽出したデータレコードのエリアコードと、ステップ12の処理において抽出されたエリアコードとが一致するか否かを判断する(ステップ17)。
ここでは、例えば、図7(a)に示すa地点に存在する施設、即ち、絞込範囲に存在しない行政区画の範囲内に位置する施設がふるい落とされる。
【0029】
エリアコードが一致する場合(ステップ17;Y)、CPU11は、抽出したデータレコードのメッシュコードと、ステップ13の処理において抽出されたメッシュコードとが一致するか否かを判断する(ステップ18)。
ここでは、例えば、図7(a)に示すb地点に存在する施設、即ち、絞込範囲に存在しないメッシュ領域の範囲内に位置する施設がふるい落とされる。
メッシュコードが一致する場合(ステップ18;Y)、CPU11は、抽出したデータレコードのパーマネントIDを読み出し、このパーマネントIDが紐付けされている施設データの地点情報レコードを取得する(ステップ19)。CPU11は、取得した地点情報レコードをRAM13に格納する。
CPU11は、取得した地点情報レコードから該施設の座標データを読み出し、この座標データに基づいて、該施設の基準位置からの距離を算出する(ステップ20)。CPU11は、算出した該施設の基準位置からの距離をRAM13に格納する。
【0030】
そして、CPU11は、算出した該施設の基準位置からの距離(算出距離)がNkm(絞込範囲の特定距離)以下であるか否か、即ち、該施設が絞込範囲に存在するか否かを判断する(ステップ21)。
ここでは、例えば、図7(b)に示すc地点に存在する施設、即ち、絞込範囲に存在するメッシュ領域の範囲内に位置するが、絞込範囲に存在しない施設がふるい落とされる。
算出距離がNkm以下である場合(ステップ21;Y)、CPU11は、該施設のデータレコードを表示用施設データ記憶領域192に記憶する(ステップ22)。
そして、CPU11は、メモリカウンタ193のメモリカウンタ値に1を加算する(ステップ23)。
CPU11は、メモリカウンタ193のメモリカウンタ値が、タッチパネルの一画面にリスト表示可能な件数n(=5)に達したか否かを判断する(ステップ24)。
【0031】
メモリカウンタ値がリスト表示可能な件数n(=5)に達した場合(ステップ24;Y)、CPU11は、表示用施設データ記憶領域192に格納されている施設のデータレコードに基づいて、絞込範囲に存在する施設リストをタッチパネルに表示する(ステップ25)。
表示用施設データ記憶領域192における、施設リストに表示された施設のデータレコードには、表示を行った旨を示す表示済みフラグを付し、未表示のデータレコードと識別可能にする。
なお、CPU11による、絞込範囲に存在する施設リストの絞込処理は、範囲絞込手段として機能する。
図6(d)は、絞込範囲に存在する施設リストの表示の一例を示した図である。
図6(d)に示すように、本実施形態では、絞込範囲に存在する施設リストとして、該当施設の名称及び所在地(市区町村)が表示される。
利用者は、タッチパネルに表示された絞込範囲に存在する施設リストから希望の施設を選択(タッチ)することにより、目的地を設定することができる。
【0032】
なお、表示用施設データ記憶領域192に格納されたn件目までの施設のリストは、図6(d)に示すように、絞込範囲に存在する施設リストとして最初にタッチパネルに表示する。
そして、それ以降(n+1件目〜)の施設のリストは、この段階において表示されず、タッチパネルに表示されたスクロールバーが利用者によって操作された場合に表示する。
つまり、本実施形態では、それ以降(n+1件目〜)の施設のリストもタッチパネルに表示するように構成されているが、実際には、利用者の要求(スクロール操作)がなされるまで表示待機状態となる。
【0033】
CPU11は、メモリカウンタ193のメモリカウンタ値をリセット、即ち、0に戻し(ステップ26)、ステップ15からの処理を繰り返す。
なお、リアコードが一致しない場合(ステップ17;N)、メッシュコードが一致しない場合(ステップ18;N)、算出距離がNkm以下でない場合(ステップ21;N)、また、メモリカウンタ値がリスト表示可能な件数n(=5)に達していない場合(ステップ24;N)においても、CPU11は、ステップ15からの処理を繰り返す。
ステップ15の処理において、未抽出の施設のデータレコードがないと判断された場合(ステップ15;N)、即ち、処理対象データレコード記憶領域191に記憶されている全てのデータレコードに抽出済みフラグが付されている場合、CPU11は、表示用施設データ記憶領域192における表示済みフラグが付されていない施設のデータレコードに基づいて、残り(未表示)の絞込範囲に存在する施設リストをタッチパネルに表示する(ステップ27)。
CPU11は、メモリカウンタ193のメモリカウンタ値をリセット、即ち、0に戻し(ステップ28)、メインルーチンにリターンする。
【0034】
このように、本実施形態によれば、名称検索によって絞り込んだ目的地の候補施設をさらに、特定のエリア(絞込範囲)に基づいて絞り込む際に、施設の位置座標と絞込範囲とを比較する処理を、エリアコード及びメッシュコード基づいてふるい落とされた候補施設に対してのみ行うように構成されている。
即ち、従来は、全ての候補施設に対して行っていた処理を、候補施設の一部に対してのみ行うことで、絞込範囲内に存在する施設を絞り込むことができる。
これにより、候補施設のエリア絞込処理の速度の高速化を図ることができる。
【0035】
上述した実施形態では、施設の位置座標と絞込範囲とを比較する処理を、エリアコード及びメッシュコード基づいてふるい落とされた候補施設に対してのみ行うように構成されている。しかし、施設の位置座標と絞込範囲とを比較する処理の対象となる候補施設の抽出方法は、これに限定されるものではない。
例えば、施設の位置座標と絞込範囲とを比較する処理を、エリアコードにのみ基づいてふるい落とされた(抽出された)候補施設に対してのみ行うように構成しても、また、メッシュコードにのみ基づいてふるい落とされた(抽出された)候補施設に対してのみ行うように構成してもよい。
【0036】
具体的には、比較処理の対象となる候補施設をエリアコードにのみ基づいてふるい落とす(抽出する)場合、上述した目的地の検索処理のフローチャートにおけるステップ13及びステップ18の処理は行わない。つまり、ステップ17の処理において、抽出したデータレコードのエリアコードと、ステップ12の処理において抽出されたエリアコードとが一致した場合(ステップ17;Y)、そのままステップ19の処理に進むように構成する。
一方、比較処理の対象となる候補施設をメッシュコードにのみ基づいてふるい落とす(抽出する)場合、上述した目的地の検索処理のフローチャートにおけるステップ12及びステップ17の処理は行わない。つまり、ステップ16の処理において、データレコードが抽出された後、そのままステップ18の処理に進むように構成する。
このようにいずれか一方のコードに基づいてのみ候補施設を抽出する場合には、両方のデータテーブルを共に設ける必要がなくなる。
【0037】
本実施形態では、候補施設をエリアで絞り込む際の絞込範囲が、指定された特定の基準地点から半径Nkmの範囲の円形である場合について説明したが、絞込範囲の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、三角形、四角形などの多角形や、利用者の指定した範囲など、任意の形状であってもよい。
なお、絞込範囲が特定の基準地点を中心とする円形でない場合、絞込範囲に存在するメッシュ領域の範囲内に位置する施設に対して行われる、該施設が絞込範囲に存在するか否かを判断する処理では、直接、該施設の座標と絞込範囲とを比較することによって行う。
本実施形態では、名称検索により絞り込まれた候補施設を、特定の絞込範囲に存在する施設の抽出処理(絞込処理)の対象施設としているが、対象施設はこれに限定されるものではない。例えば、ジャンル検索や電話番号検索など、他の検索方法によって絞り込まれた候補施設を対象施設とするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態におけるナビゲーション装置の構成を示した図である。
【図2】(a)は検索用データレコードの一例を示した図であり、(b)は地点情報レコードの一例を示した図である。
【図3】(a)はエリアコードテーブルの一例を示した図であり、(b)はメッシュコードテーブルの一例を示した図である。
【図4】メッシュ領域の一例を示した図である。
【図5】エリア絞込条件に基づく目的地の検索処理の手順を示したフローチャートである。
【図6】(a)は名称検索による目的地候補の絞込結果の表示の一例を示した図であり、(b)はエリア絞込条件「周辺」が選択された場合における、絞込対象エリアの選択画面を示した図であり、(c)は基準位置を設定するための地図画面の一例を示した図であり、(d)は絞込範囲に存在する施設リストの表示の一例を示した図である。
【図7】(a)は絞込範囲と行政区画との関係の一例を示した図であり、(b)は絞込範囲とメッシュ領域との関係の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ナビゲーション装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 入力装置
15 出力装置
16 現在位置検出装置
17 情報送受信装置
18 情報記憶装置
19 記憶装置
181 検索用データレコード
182 地点情報レコード
183 エリアコードテーブル
184 メッシュコードテーブル
191 処理対象データレコード記憶領域
192 表示用施設データ記憶領域
193 メモリカウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の存在する領域情報を含む施設情報が格納された第1データテーブルから、絞込条件に従って順次候補施設を絞込んで表示するナビゲーション装置であって、
絞込条件を受け付ける絞込条件受付手段と、
前記受け付けた絞込条件が、特定位置範囲に存在する施設の絞込である場合、絞り込み済みの候補施設の中から、前記特定位置範囲を含む領域内の候補施設を各候補施設の領域情報を使用して抽出する抽出手段と、
前記抽出した各候補施設に対する位置情報を、施設の位置情報が格納された第2データテーブルから読み出し、該位置情報から前記特定位置範囲に存在する候補施設を絞り込む範囲絞込手段と、
を具備したことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記領域情報は、施設が存在する行政区画情報、又は所定範囲に分割された細分領域情報であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記領域情報は、施設が存在する行政区画情報と、該行政区画情報よりも細かな範囲に分割された細分領域情報からなり、
前記抽出手段は、前記絞り込み済みの候補施設の中からの前記行政区画情報による抽出と、該抽出した候補施設の中からの前記細分領域情報による抽出を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記特定位置範囲は、特定の基準地点から所定の距離までの範囲であること特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−249487(P2008−249487A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91229(P2007−91229)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】