説明

ナビゲーション装置

【課題】地図データに基づき経路案内を行うナビゲーション装置において、そのナビゲーション装置に記憶されている地図データが不十分である場合でも経路案内を行うことができるようにする。
【解決手段】地図データの情報量が少ない場合、例えば外部機器から衛星写真を取得してその衛星写真を表示画面に表示させる。使用者は、表示画面上の経路設定部品群30に表示された経路部品をその表示画面における衛星写真上に配置できるようになっており、これにより、衛星写真上に所望の経路を設定できると共に、その設定した経路の案内をナビゲーション装置に実行させることができるようになっている。このような構成によれば、地図データにおいて道路の情報が網羅されていない地域においても、ナビゲーション装置による経路案内を実現し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば地図データが記憶された記憶装置から読み出したその地図データと、GPS(Global Positioning System)により取得した車両の現在位置情報とに基づき、液晶ディスプレイ等の表示装置に、車両周辺の地図、車両の現在位置、目的地までの経路等を表示し、その目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特に特許文献1,2には、経路案内をより分かりやすく行うことのできるナビゲーション装置について記載されている。
例えば特許文献1には、衛星写真データを記憶しておき、読み出した衛星写真データ上に目的地までの経路を重ねて表示するナビゲーション装置について記載されている。つまり、運転手に衛星写真を地図として提供できるようになっており、これによれば運転手にとって分かりやすいものとなる。
【0004】
また、特許文献2には、地表を撮影した写真データを記憶しておき、読み出した写真データが表す画像を表示装置に表示するナビゲーション装置において、その写真データ中、所定領域のデータの属性を変更して、写真データが表す画像を運転手にとって分かりやすくなるように表示する技術について記載されている。尚、特許文献2のナビゲーション装置においても、写真データ上に目的地までの経路を重ねて表示するようになっている。
【特許文献1】特開2000−283784号公報
【特許文献2】特開2005−165045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなナビゲーション装置では、地図データがない地域については経路案内を行うことができないという問題が従来よりあった。
また、地図データがある地域についても、地図データに含まれるデータ(例えば道路データ)が不十分であれば、その地域における経路案内は不十分なものとなってしまう。例えば、実際には道路があるにもかかわらず地図データ中にその道路を表す道路データがなければ、その道路を利用した経路案内は行うことができない。
【0006】
上記特許文献1,2のナビゲーション装置では、衛星写真データ、或いは地表を撮影した写真データ(以下、両者を合わせて単に写真データと記載する)を表示することができるものの、単に写真データに経路を重ねて表示するだけのものであり、そもそも写真データ中に含まれる道路のデータをナビゲーション装置が有していなければ、経路案内を行うことはできない。
【0007】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、地図データが不十分である地域についても経路案内を行うことができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、地図データベースと、車両の現在位置を算出する現在位置算出手段と、現在位置算出手段により算出された車両の現在位置を含む地域の地図データ(以下、現在位置地図データと言う)を地図データベースから取得する地図データ取得手段と、地図データ取得手段により取得された現在位置地図データが表す地図を表示装置に表示させる表示制御手段と、表示装置に表示された地図に基づき目的地までの経路案内を行う経路案内手段と、を備え、車両に搭載されるナビゲーション装置において、表示装置に表示された地図上のうち道路の情報がない領域に、使用者が所望の経路を設定するための経路設定手段を備え、経路案内手段は、経路設定手段を介して使用者により経路が設定されると、その設定された経路の経路案内を行う設定経路案内手段を備えていることを特徴としている。
【0009】
このようなナビゲーション装置においては、例えば、地図データが不十分であることによって、実際には道路があるにもかかわらずその道路がナビゲーション装置における地図上に現れていないというような場合でも、使用者がその道路(経路)を地図上に設定することで、その道路を利用した経路案内を実現し得る。つまり、地図データが不十分な地域においても、ナビゲーション装置による経路案内を実現し得る。
【0010】
例えば、郊外の地理には詳しいが都市部の地理には詳しくない人が、その郊外から都市部における目的地に向かって走行する際に、ナビゲーション装置による経路案内を利用する、というようなケースを想定してみる。また、ナビゲーション装置においては、郊外の地図データが不十分であるとする。
【0011】
このような場合、郊外では経路案内されないことを承知でナビゲーション装置を動作させておく人もいれば、或いは運転中に都市部に進入した時点で改めて目的地を設定する人もいると思われる。
【0012】
しかし、本請求項1のナビゲーション装置によれば、その郊外の地理を知っていれば、郊外における道路を自らナビゲーション装置における地図上に設定することができ、地図データが不十分な郊外でもナビゲーション装置による経路案内が実行されるようにすることができるので、上記のように例えば経路案内できないナビゲーション装置を不要に動作させていた人や運転中に目的地を改めて設定していた人にとって便利である。
【0013】
次に、請求項1のナビゲーション装置では、請求項2のナビゲーション装置のように構成するとなお良い。
請求項2のナビゲーション装置は、請求項1のナビゲーション装置において、衛星写真データを記憶する外部機器と通信するための通信手段と、通信手段を介した通信により、外部機器から、車両の現在位置を含む地域の衛星写真データ(以下、現在位置衛星写真データと言う)を取得する衛星写真データ取得手段とを備え、表示制御手段は、衛星写真データ取得手段により現在位置衛星写真データが取得されると、現在位置地図データに代え、その現在位置衛星写真データが表す画像を表示装置に表示させるようになっている。また、経路設定手段を介して、表示装置に表示された現在位置衛星写真データが表す画像上に使用者が所望の経路を設定できるように構成されている。
【0014】
このような請求項2のナビゲーション装置においては、使用者は、衛星写真データが表す画像(以下、単に衛星写真とも言う)上で、衛星写真に現れた道路の画像を視認しながら、その道路に沿って所望の経路を設定できるようになる。つまり、使用者は、実際の道路の画像に基づき、簡単かつ正確に所望の経路を設定することができる。このため、実際には道路が存在しない箇所に経路が設定されてしまう、ということを防止することができる。
【0015】
次に、請求項2のナビゲーション装置では、特に、現在位置地図データの表す地図が不十分である場合(例えば全ての道路を網羅しているわけではない場合)に、衛星写真データが取得されるようにすると良い。
【0016】
そこで、請求項3のナビゲーション装置では、請求項2のナビゲーション装置において、地図データ取得手段により取得された現在位置地図データが所定の情報量を有しているか否かを判定する情報量判定手段を備え、衛星写真データ取得手段は、情報量判定手段により現在位置地図データが所定の情報量を有していないと判定されると、現在位置衛星写真データを取得するようになっていることを特徴としている。
【0017】
このような請求項3のナビゲーション装置によれば、現在位置地図データが所定の情報量を有しておらずその現在位置地図データの表す地図が不十分であるような場合に、衛星写真データが取得されるようになる。このため、地図データが不十分な地域では、ナビゲーション装置において衛星写真が表示されてその衛星写真上に使用者が所望の経路(道路)を設定できるようになって、ナビゲーション装置による経路案内がより確実に実行されるようにすることができる。
【0018】
尚、現在位置地図データが所定の情報量を有しており現在位置地図データの表す地図が十分であるような場合(例えば全ての道路を網羅しているような場合)には、その現在位置地図データをそのまま利用することができる。
【0019】
次に、請求項4のナビゲーション装置は、請求項2,3のナビゲーション装置において、現在位置衛星写真データが表す画像の縮尺を、現在位置地図データが表す地図の縮尺に補正する縮尺補正手段を備え、表示制御手段は、現在位置衛星写真データが表す画像であって、縮尺補正手段により縮尺が補正された後の画像を表示装置に表示させるようになっていることを特徴としている。
【0020】
このような請求項4のナビゲーション装置によれば、衛星写真データが表す画像の縮尺が現在位置地図データが表す地図の縮尺に補正されるため、使用者にとって使い勝手が良い。例えば、現在位置地図データの表す地図と同じ地域(広さ)の衛星写真が表示されることとなるため、使用者は衛星写真が表す地域を容易に認識できるようになる。このため、例えば運転手が現在位置を誤認してしまったり、現在位置が分からなくなってしまったりすることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態の車載用ナビゲーション装置1の全体構成を表すブロック図である。
【0022】
この車載用ナビゲーション装置1は図示しない車両に搭載され、道路地図を表示したり、目的地までの経路を探索して経路案内したりする装置であり、位置検出器12、操作スイッチ14、リモコンセンサ16、リモコン17、通信装置18、ブルートゥース通信装置(以下、BT通信装置と記載する)20、VICS装置22、地図データ入力器24、表示装置26、音声入出力装置28、車両情報データベース(以下、DBと記載する)30、インターフェース部32、及びそれらを統括制御する制御回路10を備える。
【0023】
位置検出器12は、当該車載用ナビゲーション装置1を搭載した車両(以下「自車」とも言う)の現在位置や方位(進行方向)を検出するためのセンサ群であり、GPS受信機12a、ジャイロスコープ12b、距離センサ12c、及び地磁気センサ12dを備える。
【0024】
ここで、GPS受信機12aは、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナ(図示省略)を介して受信し、車両の位置、方位(進行方向)、速度等を検出する。
【0025】
ジャイロスコープ12bは、車両の角速度(方位変化量)を検出するためのセンサであり、車両に加わる回転運動の角速度に応じた検出信号を出力する。
距離センサ12cは、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出する。
【0026】
地磁気センサ12dは、半導体を用いた方位センサであり、地球に生じている南北の地磁気を検出して、方位(進行方向)を検出する。
これらのセンサ群は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成される。
【0027】
操作スイッチ14は、表示装置26と一体に構成され、表示画面上に設定されるタッチパネル及び表示装置26の周囲に配置される機械的なボタン式スイッチ類を備える入力操作パネルである。タッチパネルと表示装置26とは積層構造により一体化されており、タッチパネルとしては、感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式、あるいはこれらを組み合わせた方式等各種の方式のものがある。
【0028】
リモコンセンサ16及びリモコン17は、赤外線や電波等の無線通信により、使用者が、離れた位置からこの車載用ナビゲーション装置1を操作するために用いる機器である。使用者はリモコン17をボタン操作することにより、操作スイッチ14に対する操作と同様の操作を行なうことができる。
【0029】
通信装置18、BT通信装置20、及びVICS装置22は、外部の機器と通信を行うためのものである。
特に、BT通信装置20は、無線(ブルートゥース)により周辺機器と通信を行うための装置である。
【0030】
また、VICS装置22は、VICSセンタ(図示省略)と通信を行なうための通信機器であり、道路近傍に配置されたVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System:道路交通情報システム)サービス用の固定局(図示省略)から、電波ビーコン信号及び光ビーコン信号を受信する。またVICS装置22からもVICSセンタへ車両情報、ユーザ情報等を発信する。通信装置18、BT通信装置20、及びVICS装置22が受信した各種情報は制御回路10で処理される。
【0031】
地図データ入力器24は、図示しない記録媒体に格納された地図データを入力するためのデータ入力用機器である。地図データとしては、道路を表すリンクデータ、交差点を表すノードデータ、位置を特定する精度を向上するためのいわゆるマップマッチング用のデータ、施設を示すマークデータ、表示用の画像データ、音声案内用の音声データ等がある。格納されている地図データとしては、道路と交差点とが各々リンクとノードとの組み合わせで構成されており、各リンクには既定値として重み(Weight)が数値で与えられている。現在位置から目的地までの探索では重みが軽いものから優先的に推奨される。これらデータの記録媒体としては、CD−ROM、DVD、ハードディスク、各種メモリカード等を用いることができる。
【0032】
表示装置26は、操作スイッチ14と一体となってタッチパネルとして機能する際のボタンの他、地図、探索した道路、テレビ、DVDの画像等を画面に表示する液晶カラーディスプレイである。
【0033】
音声入出力装置28は、図示しないマイクに対し使用者が発声した音声を電気信号に変換し、内部に格納された認識辞書中の語彙データ(比較対象パターン)と照合し、最も一致度の高いものを認識結果として制御回路10に送ったり、制御回路10から入力されるデータが表す音声(例えば経路案内の音声等)を、図示しないスピーカから出力させる装置である。
【0034】
車両情報DB30は、自車に関する情報(例えば、車両識別番号、車種、など)を記憶する。
インターフェース部32は、外部の機器と接続するためのインターフェースである。
【0035】
図2は、本実施形態の車載用ナビゲーション装置1における制御回路10が実行する処理を表すフローチャートである。
この処理は、車載用ナビゲーション装置1における経路案内中に定期的に実行され、まず、S110において、地図データ入力器24から入力された地図データが表す地図の情報が少ないか否か(地図の情報が十分か否か)を判定する。ここでは、具体的には、地図データが所定の情報量を有しているか否かにより判定し、地図データが所定の情報量を有していないと判断した場合には地図データが表す地図の情報が少ないと判定し、地図データが所定の情報量を有していると判断した場合には地図データが表す地図の情報が多いと判定する。
【0036】
S110において地図の情報が多いと判定した場合には(S110:NO)、再びS110の処理を繰り返す。
一方、S110で地図データが表す地図の情報が少ないと判定すると(S110:YES)、S120に移行する。
【0037】
S120では、通信装置18、BT通信装置20等を介した外部機器との通信により、外部機器から、自車の現在位置周辺の衛星写真を取得し、その取得した衛星写真の縮尺を予めナビゲーション装置において設定されている縮尺(例えば、表示装置26に表示されている地図の縮尺)に合致させ、表示装置26における表示画面に取り込む(表示させる)。このS120の処理については、図3においてさらに詳しく説明する。
【0038】
次に、S130に進み、衛星写真の取り込みが成功したか否か(言い換えると、表示装置26への衛星写真の表示が成功したか否か)を判定し、成功したと判定すると、S140に移行する。一方、衛星写真の取り込みが成功していない(つまり、失敗した)と判定すると、そのまま当該処理を終了する。
【0039】
S140では、表示装置26における表示画面に表示した衛星写真上において経路を設定するか否か(使用者に経路を設定させるか否か)を、使用者の入力に基づき判定する。ここで、使用者は、表示装置26に表示された衛星写真上に所望の経路を設定するか否かを、操作スイッチ14、或いはリモコンセンサ16を介して入力できるようになっている。
【0040】
S140で衛星写真上に経路を設定しないと判定すると(S140:NO)、そのまま当該処理を終了する。
一方、S140で衛星写真上に経路を設定すると判定すると(S140:YES)、S150に移行し、表示装置26における表示画面のモードを、経路を設定するための経路設定モードに移行させる。
【0041】
ここで、図4(a)は、経路設定モードの画面を表す。
経路設定モードでは、表示装置26の表示画面上に、経路設定部品群40、「BACK」コマンド41、「OK」コマンド42が配置される。
【0042】
経路設定部品群40は、経路を構成するための部品のイラストを表示するものであり、使用者は、操作スイッチ14或いはリモコンセンサ16を介して、経路設定部品群40に表示された部品から所望の部品を選択し、選択した部品を表示画面上に配置することによって、表示画面上に所望の経路を設定することができる。尚、図4(a)において、三角の部品は自車を表しており、表示画面上に自動的に配置される。
【0043】
ここで、経路設定部品群40に表示される部品(以下、経路部品とも記載する)について、図5を用いて説明する。
経路部品としては、「交差点」を表す部品(以下、「交差点」部品と記載し、その他の部品についても同様に記載する)、「ノード」を表す部品、「案内ポイント」を表す部品、「目的地」を表す部品、「経路リンク(直線)」を表す部品、「経路リンク(曲線)」を表す部品、などがある。
【0044】
また、経路部品とは別に、経路を設定(入力)する場合に用いられる「消しゴム」コマンド、「テキスト入力」コマンドなるものが経路設定部品群40に表示されるようになっており(図4(a)参照)、以下、これについても説明する。
【0045】
基本的には、「交差点」部品、「ノード」部品、「経路リンク(直線)」部品、及び「経路リンク(曲線)」部品が適宜配置されることによって、経路が形成されるようになっている。
【0046】
まず、「交差点」部品は、「経路リンク(直線)」部品や「経路リンク(曲線)」部品同士の接続点に配置される部品であり、特に、交差点に配置されるものである。ここで、交差点とは、「経路リンク(直線)」部品、「経路リンク(曲線)」部品、の端点が3つ以上集まる箇所である。また、「交差点」部品は、交差点についての経路案内をすべき旨の情報も含んでおり、「交差点」部品が配置された経路においては、その「交差点」部品が表す交差点に所定距離まで車両が接近した場合、交差点が存在する旨の経路案内(例えば、画面表示、音声通知など)がなされるようになる。
【0047】
ここで、「テキスト入力」コマンドを用いて、「交差点」部品に対し交差点の名称を関連付けすることで、その名称を用いた経路案内がなされるようになる。例えば、「テキスト入力」コマンドを用いて、「交差点」部品に対し「ABC」という名称を関連付けすれば、「ABC交差点まで約300mです。」というような音声通知がなされるようにすることができる。
【0048】
「ノード」部品は、「経路リンク(直線)」部品や「経路リンク(曲線)」部品同士の接続点に配置される部品であり、特に、交差点以外の箇所において配置されるものである。交差点以外の箇所とは、例えば、「経路リンク(直線)」部品、「経路リンク(曲線)」部品の端点が2つ集まる箇所である。
【0049】
次に、「案内ポイント」部品は、「交差点」部品、「ノード」部品、「経路リンク(直線)」部品、及び「経路リンク(曲線)」等から形成される経路における所望の箇所に配置可能な部品である。「案内ポイント」部品が配置されることによって、その配置箇所において、案内(画面表示、音声通知など)がなされるようになる。この場合、「テキスト入力」コマンドを用いて、「案内ポイント」部品に対しテキストを関連付けすれば、そのテキストに従った案内がなされるようになる。
【0050】
「目的地」部品は、運転手が目的地としたい所望の箇所に配置される部品である。尚、「目的地」部品は、複数箇所に配置することができる。例えば、地点Xを経由して地点Yに向かう経路を設定する、というような場合には、その地点Xに相当する箇所、及び地点Yに相当する箇所の双方に「目的地」部品を配置すれば良い。「目的地」部品が配置された箇所に車両が到達すると(車両が所定距離まで接近すると)、目的地に到着した旨の案内(画面表示、音声通知など)がなされるようになる。
【0051】
「経路リンク(直線)」部品は、直線道路を表す部品として用いられる。「経路リンク(直線)」部品の長さは自在に変更することが可能である。具体的に、使用者は、表示装置26における表示画面上において、図示しないポインタを介して「経路リンク(直線)」部品の一端をいわゆるドラッグ操作することによって、その「経路リンク(直線)」部品の長さを自由に変更することができる。また、「経路リンク(直線)」部品が配置された箇所では、直線の長さに応じた経路案内がされるようにすることもできる。例えば、「500m直進して下さい。」というような音声通知がなされるようにすることができる。
【0052】
「経路リンク(曲線)」部品は、曲線道路を表す部品として用いられる。「経路リンク(曲線)」部品の曲率は自在に変更することが可能である。「経路リンク(曲線)」部品が配置された箇所では、曲率に応じた経路案内がされるようにすることもできる。例えば、「急カーブです。注意して下さい。」というような音声通知がなされるようにすることができる。
【0053】
「消しゴム」コマンドは、配置した経路部品を削除する際に用いられ、使用者は、削除したい経路部品に「消しゴム」コマンドを関連付けすることによって、その経路部品を削除することができる。より具体的には、使用者は、「消しゴム」の絵(イラスト)をいわゆるドラッグ操作して、例えば鉛筆の文字を消しゴムを用いて消すのと同じような感覚で、経路部品(或いは経路の一部分)を削除することができる。
【0054】
「テキスト入力」コマンドは、先にも説明したように、テキスト(文字)を入力する(経路部品に関連付ける)ためのものである。「テキスト入力」コマンドを用いて、例えば、案内内容を入力したり、地名、交差点名を入力したりすることが考えられる。
【0055】
図4(a)に戻り、使用者は、経路の設定(経路部品の配置)を完了する場合には、「OK」コマンド42を選択する。また、経路を設定し直す(1つ前の設定画面に戻る)場合には、「BACK」コマンド41を選択する。
【0056】
「OK」コマンド42が選択された場合には、図4(b)に示すように、経路設定部品群40、「BACK」コマンド41、「OK」コマンド42の表示が消えると共に、設定された経路の色が変更され、経路設定が完了した旨が視覚的に分かるようになっている。尚、図4(b)は、経路案内を行う際の画面のモード(経路案内モード)を表しており、経路案内の際は、表示装置26における表示画面は、図4(b)のようになる。
【0057】
図2に戻り、S150の後はS160に進み、経路設定を終了するか否かを、使用者の入力に基づき判定する。具体的に、「OK」コマンド42(図4(a)参照)が選択されたか否かに基づき判定する。「OK」コマンド42が選択されていないと判断すると、経路設定を終了しないと判定して(S160:NO)、再びこのS160の処理を繰り返す。
【0058】
一方、S160で「OK」コマンド42が選択されたと判断すると、経路設定を終了すると判定して(S160:YES)、S170に移行する。
S170では、使用者により設定された経路を、車載用ナビゲーション装置1において認識できる形式に変換する。言い換えると、使用者により設定された経路を表すデータであって、車載用ナビゲーション装置1において認識可能なデータを作成する。
【0059】
次に、S180に移行し、S170の処理での変換においてエラーが無いか否かを判定する。例えば、現在位置から目的地までの経路が途中で途切れていないか、交差点が道路と接続することなく単独で存在していないか、等を判定する。
【0060】
S180でエラーがあると判定すると(S180:NO)、S200に移行し、表示装置26における表示画面にエラーの旨を表示させる。また、ここでは、表示装置26における表示画面のモードが経路設定モードとなり、使用者に経路の再設定が促されるようになっている。そしてその後、再びS160に戻る。
【0061】
一方、S180でエラーがないと判定すると(S180:YES)、S190に移行する。
S190では、表示装置26における表示画面を、経路案内を行うための経路案内モードに切り替え(図4(b)参照)、使用者に対して経路案内を行う。そしてその後、当該処理を終了する。
【0062】
次に、図3は、図2におけるS120の処理の内容を表すフローチャートである。
この処理では、まず、S210で、例えば通信装置18を介してインターネット網に接続し、衛星写真データがアップされているサイト(以下、衛星写真サイトと言う)にアクセスする。
【0063】
次に、S220に移行し、衛星写真サイトへのアクセスが成功したか否かを判定する。
S220で衛星写真サイトへのアクセスが成功していないと判定すると(S220:NO)、S260に移行し、衛星写真サイトへのアクセスを試みてから予め定められた時間が経過したか否か(タイムオーバーか否か)を判定する。
【0064】
S260で、衛星写真サイトへのアクセスを試みてから予め定められた時間が経過していないと判定すると(S260:NO)、再びS220に戻る。
一方、S260で、衛星写真サイトへのアクセスを試みてから予め定められた時間が経過したと判定すると(S260:YES)、S270に移行し、衛星写真データの取得に失敗した旨の情報(エラー)を表示装置26における表示画面に表示させる。そしてその後、当該処理を終了する。
【0065】
一方、S220で衛星写真サイトへのアクセスが成功したと判定すると(S220:YES)、S230に移行し、自車の現在位置周辺の衛星写真データを、その衛星写真サイトから取得する。具体的に、基準となる緯度・経度・領域を設定し、その設定した緯度・経度に相当する箇所を中心として、その設定した領域(範囲)の衛星写真データを取得する。ここでは、基準となる緯度・経度は、自車の現在位置の緯度・経度となる。また、基準となる領域は、自車において予め設定されている領域(表示装置26における表示画面に表示されている地図に合致する領域)となる。
【0066】
次に、S240に進み、表示装置26における表示画面に現在表示している地図の縮尺と、衛星写真サイトから取得した衛星写真の縮尺とを比較し、後者を前者に一致させる。より具体的には、両者を比較してその差分を求め、衛星写真の縮尺が、表示装置26における表示画面に現在表示している地図の縮尺に一致するように、取得する衛星写真の範囲を調節したり、取得した衛星写真の拡大/縮小を行う。
【0067】
次に、S250に進み、S240で取得した衛星写真において、自車の現在位置に相当する位置を算出し、その位置を基準として、表示装置26における表示画面に表示させる。そしてその後、当該処理を終了する。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の車載用ナビゲーション装置1によれば、例えば、地図データが不十分な地域(地図データにおいて道路が網羅されていない地域)では、衛星写真データが取得され、使用者は、衛星写真上で所望の経路を設定して、車載用ナビゲーション装置1にその設定した経路に従って経路案内をさせることができる。
【0069】
このため、車載用ナビゲーション装置1が道路の情報を有していない地域においても、使用者により経路が設定されることで、その車載用ナビゲーション装置1は経路案内を実行し得るようになる。
【0070】
また、衛星写真には道路の画像が現れるため、使用者は、その道路の画像に従って経路を設定することができる。つまり、実際の道路に沿って経路を設定することができる。このため、実際には道路のない箇所に経路が設定される、ということを防止することができる。
【0071】
また、使用者は、経路設定の際には、経路を構成する部品を衛星写真上に配置すれば良く、使用者にとって操作が簡単で使い勝手が良い。
尚、上記実施形態において、位置検出器12が現在位置算出手段に相当し、地図データ入力器24が地図データベース及び地図データ取得手段に相当し、制御回路10が表示制御手段に相当し、制御回路10、表示装置26、音声入出力装置28、S190の処理が経路案内手段及び設定経路案内手段に相当し、S150の処理が経路設定手段に相当し、通信装置18、BT通信装置20、及びVICS装置22が通信手段に相当し、S120の処理(図3の処理)が衛星写真データ取得手段に相当し、S110の処理が情報量判定手段に相当し、S240の処理が縮尺補正手段に相当している。
【0072】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術範囲内において種々の形態をとることができる。
例えば、上記実施形態において、地図データ入力器24から入力される地図データが表す地図上に、使用者が所望の経路を設定できるようにしても良い。
【0073】
また、上記実施形態において、衛星写真データを記憶媒体(例えば、CD−ROM、DVD、ハードディスク、各種メモリカード等)に記憶させておき、地図データ入力器24を介して衛星写真データが取得されるように構成しても良い。
【0074】
また、上記実施形態において、車両が実際に走行した経路を登録できるようにしても良い。これによれば、例えば地図データに含まれない道路であっても、車両が実際に走行することによって道路の存在が認識され得るようになる。この場合、例えば、走行中における自車位置の緯度・経度をサンプリングし、サンプリングした各地点を繋げることで、経路(道路)を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本実施形態の車載用ナビゲーション装置1の全体構成を表すブロック図である。
【図2】車載用ナビゲーション装置1における制御回路10が実行する処理を表すフローチャートである。
【図3】車載用ナビゲーション装置1における制御回路10が実行する処理(衛星写真データを取得する処理)を表すフローチャートである。
【図4】経路設定モードの画面、経路案内モードの画面を表す図である。
【図5】経路部品を表す図である。
【符号の説明】
【0076】
1…車載用ナビゲーション装置、10…制御回路、12…位置検出器、12a…GPS受信機、12b…ジャイロスコープ、12c…距離センサ、12d…地磁気センサ、14…操作スイッチ、16…リモコンセンサ、17…リモコン、18…通信装置、20…BT通信装置、22…VICS装置、24…地図データ入力器、26…表示装置、28…音声入出力装置、32…インターフェース部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データベースと、
車両の現在位置を算出する現在位置算出手段と、
前記現在位置算出手段により算出された車両の現在位置を含む地域の地図データ(以下、現在位置地図データと言う)を前記地図データベースから取得する地図データ取得手段と、
前記地図データ取得手段により取得された現在位置地図データが表す地図を表示装置に表示させる表示制御手段と、
前記表示装置に表示された地図に基づき目的地までの経路案内を行う経路案内手段と、
を備え、車両に搭載されるナビゲーション装置において、
前記表示装置に表示された地図上のうち道路の情報がない領域に、使用者が所望の経路を設定するための経路設定手段を備え、
前記経路案内手段は、前記経路設定手段を介して使用者により経路が設定されると、その設定された経路の経路案内を行う設定経路案内手段を備えていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
衛星写真データを記憶する外部機器と通信するための通信手段と、
前記通信手段を介した通信により、前記外部機器から、前記車両の現在位置を含む地域の衛星写真データ(以下、現在位置衛星写真データと言う)を取得する衛星写真データ取得手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記衛星写真データ取得手段により現在位置衛星写真データが取得されると、前記現在位置地図データに代え、その現在位置衛星写真データが表す画像を前記表示装置に表示させ、
前記経路設定手段を介して、前記表示装置に表示された現在位置衛星写真データが表す画像上に使用者が所望の経路を設定できるように構成されていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記地図データ取得手段により取得された前記現在位置地図データが所定の情報量を有しているか否かを判定する情報量判定手段を備え、
前記衛星写真データ取得手段は、前記情報量判定手段により前記現在位置地図データが所定の情報量を有していないと判定されると、前記現在位置衛星写真データを取得するようになっていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のナビゲーション装置において、
前記現在位置衛星写真データが表す画像の縮尺を、前記現在位置地図データが表す地図の縮尺に補正する縮尺補正手段を備え、
前記表示制御手段は、前記現在位置衛星写真データが表す画像であって、前記縮尺補正手段により縮尺が補正された後の画像を前記表示装置に表示させるようになっていることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−8073(P2010−8073A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164368(P2008−164368)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】