ハイブリッド車両の制御装置
【課題】エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積された場合、壁面付着燃料を掃気により低下させ、エンジン始動性を向上させることができるハイブリッド車両の制御装置を提供すること。
【解決手段】駆動系に、エンジンEngと、第1クラッチCL1と、モータ/ジェネレータMGと、左右後輪RL,RRを有し、エンジン始動要求があるとき、第1クラッチCL1を締結またはスリップ締結し、モータ/ジェネレータMGをエンジン始動モータとしてエンジン始動制御を行う。このFRハイブリッド車両において、エンジンEngの内壁面に付着する燃料量である壁面付着量を推定する壁面付着量推定手段を設け、エンジン始動制御手段(図5,図6)は、エンジン始動要求があるとき、推定された壁面付着量が壁面付着量始動限界以上である間、アクセル踏み込み操作があっても燃料噴射量の増大制御を行なわず、クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を継続する。
【解決手段】駆動系に、エンジンEngと、第1クラッチCL1と、モータ/ジェネレータMGと、左右後輪RL,RRを有し、エンジン始動要求があるとき、第1クラッチCL1を締結またはスリップ締結し、モータ/ジェネレータMGをエンジン始動モータとしてエンジン始動制御を行う。このFRハイブリッド車両において、エンジンEngの内壁面に付着する燃料量である壁面付着量を推定する壁面付着量推定手段を設け、エンジン始動制御手段(図5,図6)は、エンジン始動要求があるとき、推定された壁面付着量が壁面付着量始動限界以上である間、アクセル踏み込み操作があっても燃料噴射量の増大制御を行なわず、クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を継続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン始動要求があったとき、駆動系に有するモータをエンジン始動モータとしてエンジン始動制御を行うハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド車両のエンジン始動制御装置としては、エンジン、エンジンの始動を行うモータ/ジェネレータ、モータ/ジェネレータを制御するインバータ、および、インバータを介してモータ/ジェネレータに電力を供給するバッテリを少なくとも備え、低温時のエンジン始動性を向上させるため、バッテリ状態に基づいて、バッテリの出力可能電力を算出すると共に、エンジンを始動するための必要電力を算出し、出力可能電力が必要電力以上となるように、モータ/ジェネレータの目標回転数を設定する。そして、モータコントローラは、設定された目標回転数に基づいて、インバータを制御することにより、モータ/ジェネレータの回転駆動を制御するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008-62745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置にあっては、エンジン始動中、モータ/ジェネレータを回転数制御し、エンジンへの空気量・燃料噴射量を一定としている。このため、エンジン始動とエンジン停止を比較的短時間で繰り返すと、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されていき、エンジン始動が困難な状況になってくる。このときアクセルペダルを踏まれた場合、アクセル踏み込み量に応じてエンジンへの燃料噴射量/空気量を増加させると、エンジン燃焼室の内部壁面に付着した燃料が更に増加し、エンジンの着火が更に困難になる。この状況でエンジン着火をしないままで、モータ/ジェネレータによるトルクアシストを継続すると、バッテリ充電量が低下し、モータ/ジェネレータが回転できない状況に陥るおそれがある、という問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積された場合、壁面付着燃料を掃気により低下させ、エンジン始動性を向上させることができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド車両の制御装置では、駆動系に、エンジンと、モータと、前記エンジンと前記モータの間に介装したクラッチと、駆動輪を有し、エンジン始動要求があるとき、前記クラッチを締結またはスリップ締結し、前記モータをエンジン始動モータとし、クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を行うエンジン始動制御手段を備える。
このハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジンの内壁面に付着する燃料量である壁面付着量を推定する壁面付着量推定手段を設ける。そして、前記エンジン始動制御手段は、エンジン始動要求があるとき、推定された壁面付着量が壁面付着量始動限界以上である間、アクセル踏み込み操作があっても燃料噴射量の増大制御を行なわず、前記クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を継続する。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明のハイブリッド車両の制御装置にあっては、エンジン始動要求があるとき、エンジン始動制御手段において、推定された壁面付着量が壁面付着量始動限界以上である間、アクセル踏み込み操作があっても燃料噴射量の増大制御を行なわず、クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御が継続される。
すなわち、エンジン始動とエンジン停止を比較的短時間で繰り返し、エンジン内の壁面付着量が大きく、エンジンが始動できない可能性が高いときは、例えアクセルが踏み込まれてもクランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を継続する。このエンジン始動制御を継続することにより、シリンダー内でピストンが下死点から上死点に向かってストロークする行程で、シリンダー壁面に付着している燃料を掃気孔から排出するという掃気作用を示し、この掃気作用により壁面付着量を低下させ、エンジン始動に適した容易に着火する状態に近づける。
この結果、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積された場合、壁面付着燃料を掃気により低下させ、エンジン始動性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図である。
【0009】
実施例1におけるFRハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、エンジンEngと、フライホイールFWと、第1クラッチCL1(クラッチ)と、モータ/ジェネレータMG(モータ)と、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
【0010】
前記エンジンEngは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、エンジンコントローラ1からのエンジン制御指令に基づいて、エンジン始動制御やエンジン停止制御やスロットルバルブのバルブ開度制御が行われる。なお、エンジン出力軸には、フライホイールFWが設けられている。
【0011】
前記第1クラッチCL1は、前記エンジンEngとモータ/ジェネレータMGの間に介装されたクラッチであり、第1クラッチコントローラ5からの第1クラッチ制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された第1クラッチ制御油圧により、半クラッチ状態を含み締結・開放が制御される。この第1クラッチCL1としては、例えば、ピストン14aを有する油圧アクチュエータ14により締結・開放が制御される乾式単板クラッチが用いられる。
【0012】
前記モータ/ジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータ/ジェネレータであり、モータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータ/ジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この動作状態を「力行」と呼ぶ)、ロータがエンジンEngや駆動輪から回転エネルギーを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、バッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータ/ジェネレータMGのロータは、ダンパーを介して自動変速機ATの変速機入力軸に連結されている。
【0013】
前記第2クラッチCL2は、前記モータ/ジェネレータMGと左右後輪RL,RRの間に介装されたクラッチであり、ATコントローラ7からの第2クラッチ制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ開放を含み締結・開放が制御される。この第2クラッチCL2としては、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチや湿式多板ブレーキが用いられる。なお、第1クラッチ油圧ユニット6と第2クラッチ油圧ユニット8は、自動変速機ATに付設されるAT油圧コントロールバルブユニットCVUに内蔵している。
【0014】
前記自動変速機ATは、例えば、前進7速/後退1速等の有段階の変速段を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える有段変速機であり、前記第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、トルク伝達経路に配置される最適なクラッチやブレーキを選択している。そして、前記自動変速機ATの出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。
【0015】
実施例1のハイブリッド駆動系は、電気自動車走行モード(以下、「EVモード」という。)と、ハイブリッド車走行モード(以下、「HEVモード」という。)と、CL2スリップ締結走行モード(以下、「WSCモード」という。)等の走行モードを有する。
【0016】
前記「EVモード」は、第1クラッチCL1を開放状態とし、モータ/ジェネレータMGの動力のみで走行するモードである。前記「HEVモード」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、エンジン走行モード・モータアシスト走行モード・走行発電モードの何れかにより走行するモードである。前記「WSCモード」は、例えば、「EVモード」からの発進時、または、「HEVモード」からの発進時、または、「HEVモード」での登坂路走行時等の車両停止を含む低車速域にて、第2クラッチCL2をスリップ締結状態とし、第2クラッチCL2を経過するクラッチ伝達トルクが、車両状態やドライバー操作に応じて決まる要求駆動トルクとなるようにクラッチトルク容量をコントロールしながら発進・走行するモードである。なお、「WSC」とは「Wet Start Clutch」の略である。
【0017】
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、情報交換が互いに可能なCAN通信線11を介して接続されている。
【0018】
前記エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報と、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令と、他の必要情報を入力する。そして、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、エンジンEngのスロットルバルブアクチュエータ等へ出力する。
【0019】
前記モータコントローラ2は、モータ/ジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報と、統合コントローラ10からの目標MGトルク指令および目標MG回転数指令と、他の必要情報を入力する。そして、モータ/ジェネレータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2では、バッテリ4の充電容量をあらわすバッテリSOCを監視していて、このバッテリSOC情報は、モータ/ジェネレータMGの制御情報に用いられると共に、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
【0020】
前記第1クラッチコントローラ5は、油圧アクチュエータ14のピストン14aのストローク位置を検出する第1クラッチストロークセンサ15からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの目標CL1トルク指令と、他の必要情報を入力する。そして、第1クラッチCL1の締結・開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVU内の第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。
【0021】
前記ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と、車速センサ17と、他のセンサ類18(変速機入力回転数センサ、インヒビタースイッチ等)からの情報を入力する。そして、Dレンジを選択しての走行時、アクセル開度APOと車速VSPにより決まる運転点がシフトマップ上で存在する位置により最適な変速段を検索し、検索された変速段を得る制御指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVUに出力する。なお、シフトマップとは、アクセル開度と車速に応じてアップシフト線とダウンシフト線を書き込んだマップをいう。上記自動変速制御に加えて、統合コントローラ10から目標CL2トルク指令を入力した場合、第2クラッチCL2の締結・開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVU内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する第2クラッチ制御を行う。
【0022】
前記ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19と、ブレーキストロークセンサ20からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの回生協調制御指令と、他の必要情報を入力する。そして、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ制動力)で補うように、回生協調ブレーキ制御を行う。
【0023】
前記統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギーを管理し、最高効率でハイブリッド車両を走らせるための機能を担うもので、モータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ21、他のセンサ・スイッチ類22、エンジン冷却水の温度を検出するエンジン水温センサ23、エンジンEngからの排気中の酸素濃度を検出する排気O2濃度センサ24(排気酸素濃度検出手段)等のからの必要情報およびCAN通信線11を介して情報を入力する。そして、エンジンコントローラ1へ目標エンジントルク指令、モータコントローラ2へ目標MGトルク指令および目標MG回転数指令、第1クラッチコントローラ5へ目標CL1トルク指令、ATコントローラ7へ目標CL2トルク指令、ブレーキコントローラ9へ回生協調制御指令を出力する。
【0024】
図2は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される演算処理を示す制御ブロック図である。図3は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でのモード選択処理を行う際に用いられるEV-HEV選択マップを示す図である。図4は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でバッテリ充電制御を行う際に用いられる目標充放電量マップを示す図である。以下、図2〜図4に基づき、実施例1の統合コントローラ10にて実行される演算処理を説明する。
【0025】
前記統合コントローラ10は、図2に示すように、目標駆動力演算部100と、モード選択部200と、目標充放電演算部300と、動作点指令部400とを有する。
【0026】
前記目標駆動力演算部100では、目標駆動力マップを用いて、アクセル開度APOと車速VSPとから、目標駆動力tFoOを演算する。
【0027】
前記モード選択部200では、図3に示すEV-HEV選択マップを用いて、アクセル開度APOと車速VSPとから、「EVモード」または「HEVモード」を目標走行モードとして選択する。但し、バッテリSOCが所定値以下であれば、強制的に「HEVモード」を目標走行モードとする。また、「EVモード」または「HEVモード」からの発進時等であって、車速VSPが、ゼロから第1設定車速VSP1までの低車速域において、「WSCモード」を目標走行モードとして選択する。
【0028】
前記目標充放電演算部300では、図4に示す目標充放電量マップを用いて、バッテリSOCから目標充放電電力tPを演算する。
【0029】
前記動作点指令部400では、アクセル開度APOと、目標駆動力tFoOと、目標走行モードと、車速VSPと、目標充放電電力tP等の入力情報に基づき、動作点到達目標として、目標エンジントルクと目標MGトルクと目標MG回転数と目標CL1トルクと目標CL2トルクを演算する。そして、目標エンジントルク指令と目標MGトルク指令と目標MG回転数指令と目標CL1トルク指令と目標CL2トルク指令を、CAN通信線11を介して各コントローラ1,2,5,7に出力する。
【0030】
図5は、実施例1の統合コントローラ10にて実行されるスタートスイッチ操作によりエンジン始動要求が出される場合のエンジン始動制御処理の流れを示すフローチャートである(エンジン始動制御手段)。なお、このフローチャートは、システム停止状態で開始される。以下、図5のフローチャートの各ステップについて説明する。
【0031】
ステップS1では、エンジン始動を開始するスタートスイッチ(=イグニッションスイッチ)がONであるか否かを判断し、YES(スタートスイッチON)の場合はステップS2へ進み、NO(スタートスイッチOFF)の場合はステップS1の判断を繰り返す。
すなわち、スタートスイッチ0FF→ONにより、一時的にスタート信号が出力され、エンジン始動要求がなされていることを、統合コントローラ10が認識する。
【0032】
ステップS2では、ステップS1でのスタートスイッチONとの判断に続き、エンジン水温センサ23から取得したエンジン水温が、エンジン始動水温閾値未満か否かを判断し、YES(エンジン水温<エンジン始動水温閾値)の場合にステップS4へ進み、NO(エンジン水温≧エンジン始動水温閾値)の場合にステップS3へ進む。
【0033】
ステップS3では、ステップS2でのエンジン水温≧エンジン始動水温閾値であるとの判断に続き、エンジンEngを始動することなく、第1クラッチCL1を開放して「EVモード」を選択し、ステップS1へ戻る。
【0034】
ステップS4では、ステップS2でのエンジン水温<エンジン始動水温閾値であるとの判断に続き、エンジン始動要求フラグST1をセットし、ステップS5へ進む。
【0035】
ステップS5では、ステップS4でのエンジン始動要求フラグST1のセットに続き、始動状態タイマTM1を、初期状態のTM1=0(クリア)とし、ステップS6へ進む。
なお、「始動状態タイマTM1」は、エンジン始動制御状態が継続した時間を計測する。
【0036】
ステップS6では、ステップS5でのTM1=0の設定に続き、壁面付着量OK状態タイマTM2を、初期状態のTM2=0(クリア)とし、ステップS7へ進む。
なお、「壁面付着量OK状態タイマTM2」は、予め壁面付着量が小(エンジン始動に適した状態)である場合、始動状態タイマTM1が規定値以上となった時点から、実エンジン始動するまでの時間を計測する。また、壁面付着量が大(エンジン始動に適さない状態)である場合、始動状態タイマTM1が規定値以上となり、壁面付着量が低下してエンジン始動に適した状態になった時点から、実エンジン始動するまでの時間を計測する。
【0037】
ステップS7では、ステップS6でのTM2=0の設定、あるいは、ステップS9でのTM1<TM1setであるとの判断に続き、エンジン始動条件の継続時間をカウントする始動状態タイマTM1をインクリメントし(TM1=TM1+1)、ステップS8へ進む。
【0038】
ステップS8では、ステップS7でのTM1のインクリメント、あるいは、ステップS10でのNOの判断、あるいは、ステップS12でのNOの判断、あるいは、ステップS14でのNOの判断に続き、エンジンEngのクランキング回転数を立ち上げた後、一定の回転数を保つクランキング動作とするMG回転数制御を行うと共に、吸入される空気量を一定に保つスロットルバルブ制御と、一定の燃料噴射量を保つ燃料噴射制御と、着火制御によるエンジン始動制御を行う。そして、ステップS9へ進む。
【0039】
ステップS9では、ステップS8でのエンジン始動制御に続き、始動状態タイマTM1が規定値TM1set以上であるか否かを判断し、YES(TM1≧TM1set)の場合はステップS10へ進み、NO(TM1<TM1set)の場合はステップS7へ戻る。
【0040】
ステップS10では、ステップS9でのTM1≧TM1setとの判断に続き、壁面付着量パラメータWが、壁面付着量始動限界Wset未満であるか否かを判断し、YES(W<Wset)の場合はステップS11へ進み、NO(W≧Wset)の場合はステップS8へ戻る。
ここで、壁面付着量パラメータWは、エンジン水温、燃料噴射量、空気量、エンジン回転数、A/F等の入力情報から実験式で推定算出する既知の壁面付着量推定方法により生成される(壁面付着量推定手段)。
【0041】
ステップS11では、ステップS10でのW<Wsetであるとの判断に続き、壁面付着量がエンジン始動に適した状態になった時間をカウントする壁面付着量OK状態タイマTM2をインクリメントし(TM2=TM2+1)、ステップS12へ進む。
【0042】
ステップS12では、ステップS11でのTM2のインクリメントに続き、壁面付着量OK状態タイマTM2の値が、規定値TM2set以上であるか否かを判断し、YES(TM2≧TM2set)の場合はステップS13へ進み、NO(TM2<TM2set)の場合はステップS8へ戻る。
ここで、「規定値TM2set」は、壁面付着量がエンジン始動に適した状態になり、実エンジン始動するまで十分な時間を経過したことを示す閾値として設定されている。
【0043】
ステップS13では、ステップS12でのTM2≧TM2setであるとの判断に続き、エンジン冷間状態(=冷機状態)であるか否かを判断し、YES(冷機状態)の場合はステップS14へ進み、NO(暖機状態)の場合はステップS15へ進む。
【0044】
ステップS14では、ステップS13でのエンジン冷間状態であるとの判断に続き、エンジンEngからの排気中の酸素濃度を検出する排気O2濃度センサ24からの排気O2濃度EMO2sが燃焼時相当EMO2set未満か否かを判断し、YESの場合はステップS15へ進み、NOの場合はステップS8へ戻る。
【0045】
ステップS15では、ステップS13での暖機状態判断、あるいは、ステップS14でのEMO2s<EMO2setとの判断、あるいは、ステップS16でのアイドル発電に続き、アクセル開度が0を超えているか否か、つまり、アクセル踏み込み操作がなされているかを判断し、YES(アクセル開度>0)の場合はステップS17へ進み、NO(アクセル開度=0)の場合はステップS16へ進む。
【0046】
ステップS16では、ステップS15でのアクセル開度=0であるとの判断に続き、アイドル運転状態のエンジンEngによりモータ/ジェネレータMGを回して発電するアイドル発電を行い、ステップS15に戻る。
【0047】
ステップS17では、ステップS15でのアクセル開度>0であるとの判断に続き、「HEVモード」による走行制御に移行する。
この「HEVモード」による走行制御では、アクセル踏み込み操作量に応じて目標駆動力が決められ、エンジントルクとモータトルクの合計により目標駆動力を達成するように、エンジンEngの燃料噴射量増大制御が行われる。
【0048】
図6は、実施例1の統合コントローラ10にて実行される「EVモード」での走行中にアクセル踏み込み操作によりエンジン始動要求が出される場合のエンジン始動制御処理の流れを示すフローチャートである(エンジン始動制御手段)。なお、このフローチャートは、走行モードとして「EVモード」が選択された時点から開始される。以下、図6のフローチャートの各ステップについて説明する。但し、図6のステップS27〜ステップS34の各ステップは、図5のステップS7〜ステップS14の各ステップに対応するので、ステップS27〜ステップS34の説明は省略する。
【0049】
ステップS22では、走行モードが「EVモード」へモード移行すると、始動状態タイマTM1を、初期状態のTM1=0(クリア)とし、ステップS23へ進む。
【0050】
ステップS23では、ステップS22でのTM1=0の設定に続き、壁面付着量OK状態タイマTM2を、初期状態のTM2=0(クリア)とし、ステップS24へ進む。
【0051】
ステップS24では、ステップS23でのTM2=0の設定に続き、アクセル開度が始動アクセル開度閾値を超えているか否かを判断し、YES(アクセル開度>始動アクセル開度閾値)の場合はステップS26へ進み、NO(アクセル開度≦始動アクセル開度閾値)の場合はステップS25へ進む。
ここで、「始動アクセル開度閾値」は、図3に示すマップにおいて、例えば、アクセル踏み込み操作により、マップ上の運転点がEV-HEV切替線を横切るときの車速VSPに応じたアクセル開度APOに設定される。
【0052】
ステップS25では、ステップS24でのアクセル開度≦始動アクセル開度閾値であるとの判断に続き、「EVモード」を選択してのEV走行を維持し、ステップS24へ戻る。
【0053】
ステップS26では、ステップS24でのアクセル開度>始動アクセル開度閾値であるとの判断に続き、目標駆動力によるエンジン始動要求フラグST2をセットし、ステップS27へ進む。
【0054】
ステップS35では、ステップS33での暖機状態判断、あるいは、ステップS34でのEMO2s<EMO2setとの判断に続き、「HEVモード」による走行制御に移行する。
この「HEVモード」による走行制御では、アクセル踏み込み操作量に応じて目標駆動力が決められ、エンジントルクとモータトルクの合計により目標駆動力を達成するように、エンジンEngの燃料噴射量増大制御が行われる。
【0055】
次に、作用を説明する。
実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置における作用を、「スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りのエンジン始動制御作用」、「スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しのエンジン始動制御作用」、「アクセルオン始動要求時のエンジン始動制御作用」に分けて説明する。
【0056】
[スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りのエンジン始動制御作用]
図7は、比較例のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りの状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。図8は、実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りの暖気状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。図9は、実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りの冷機状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。以下、図5と図7〜図9に基づいて、スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りのエンジン始動制御作用を説明する。
【0057】
比較例のエンジン始動制御は、制御中、モータ/ジェネレータを回転数制御し、エンジンへの空気量・燃料噴射量を一定としているが、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されて壁面付着量が大であっても対応しない制御である。このため、図7に示すように、エンジン始動(t1,t3,t5)とエンジン停止(t2,t4)を比較的短時間で繰り返すと、図7の壁面付着量パラメータ特性に示すように、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されていき、壁面付着量始動限界を超えてエンジン始動が困難な状況になってくる。この時刻t6にてアクセルペダルを踏まれた場合、壁面付着量大であることにより実エンジンは始動していないが、エンジン始動制御は規定時間継続されたので解除され、アクセル踏み込み量に応じてエンジンへの燃料噴射量/空気量を増加させる制御が行われる。この場合、エンジン燃焼室の内部壁面に付着した燃料が更に増加し、エンジンの着火が更に困難になり、時刻t7において、エンジンストールに至ると共に、モータ/ジェネレータによるトルクアシストを継続することでバッテリ放電が増大する、言い換えると、バッテリ充電量が低下する。
【0058】
これに対し、実施例1のエンジン始動制御は、制御中、モータ/ジェネレータを回転数制御し、エンジンへの空気量・燃料噴射量を一定としているが、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されて壁面付着量が大である場合にはエンジン始動制御の継続時間を延長する対応制御を採用している。
【0059】
すなわち、エンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時には、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS9へと進み、ステップS9にてTM1<TM1setである限りは、ステップS7→ステップS8→ステップS9へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御が継続される。そして、ステップS9にてTM1≧TM1setとなり、ステップS10へ進んだが、ステップS10にてW≧Wsetであるである限りは、ステップS8→ステップS9→ステップS10へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御の継続が延長される。そして、ステップS10にてW<Wsetとなり、ステップS11→ステップS12へ進んだが、ステップS12にてTM2<TM2setであるである限りは、ステップS8→ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS12へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御の継続がさらに延長される。
【0060】
そして、ステップS12にてTM2≧TM2setになったときに暖機状態であり、かつ、アクセル踏み込み状態であると、ステップS12からステップS13→ステップS15→ステップS17へと進み、ステップS17では、「HEVモード」による走行制御に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じてエンジンEngの燃料噴射量を増大する制御が行われる。
【0061】
一方、ステップS12にてTM2≧TM2setになったときに冷機状態であり、かつ、アクセル踏み込み状態であると、ステップS12からステップS13→ステップS14へと進み、ステップS14にてEM2s≧EMO2setである限りは、ステップS8→ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御の継続がさらに延長される。そして、ステップS14にてEM2s<EMO2setになると、ステップS14からステップS15→ステップS17へと進み、ステップS17では、「HEVモード」による走行制御に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じてエンジンEngの燃料噴射量を増大する制御が行われる。
【0062】
上記のように、実施例1のエンジン始動制御においては、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されて壁面付着量が大である場合、図8及び図9のタイムチャートに示すように、W≧Wsetと判断された時間から、壁面付着量パラメータWが壁面付着量始動限界Wset未満となるまでの時間(時刻t6〜時刻t7)、エンジン始動制御の継続時間を延長するようにしている。
このため、クランキング動作によりシリンダー内でピストンが下死点から上死点に向かってストロークする行程で、シリンダー壁面に付着している燃料を掃気孔から排出するという掃気作用を示し、この掃気作用により壁面付着量を低下させ、エンジン始動に適した容易に着火する状態に近づけることができる。
【0063】
さらに、実施例1のエンジン始動制御においては、壁面付着量パラメータWが壁面付着量始動限界Wset未満となっても、図8及び図9のタイムチャートに示すように、W<Wsetとなった時間から、壁面付着量OK状態タイマTM2が規定値TM2set以上となるまでの時間(時刻t7〜時刻t8)、エンジン始動制御の継続時間を延長するようにしている。
このため、通常の始動(暖機状態)では、確実に着火させて、モータアシストを要さず燃焼による自立回転のエンジン始動状態とすることができる。
【0064】
また、実施例1のエンジン始動制御においては、TM2≧TM2setになったときにエンジンEngが暖機状態であり、かつ、アクセル踏み込み状態であると、直ちに「HEVモード」による走行制御に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じてエンジンEngの燃料噴射量を増大する制御を行うようにしている。
このため、エンジンEngが暖機状態である場合、図8のタイムチャートに示すように、時刻t6にてアクセル踏み込み操作が行われると、時刻t8にてエンジン回転数が高められ、「HEVモード」による応答性の良い発進性能が確保される。
【0065】
また、実施例1のエンジン始動制御においては、TM2≧TM2setになったときにエンジンEngが冷機状態である場合、排気O2濃度EM2sが燃焼時相当EMO2set以上である間、エンジン始動制御の継続がさらに延長するようにしている。
このため、エンジンEngが冷機状態である場合、図9のタイムチャートに示すように、時刻t6にてアクセル踏み込み操作が行われると、時刻t9にてエンジン回転数が高められ、確実にエンジンEngが燃焼していることを確認して、次の「HEVモード」へ移行することができる。
すなわち、エンジンEngが低温状態では燃料が気化しくいため、同じ壁面付着燃料のパラメータでも、より燃焼しにくい状態にあると考えられる。このため、燃焼ガスの酸素濃度をモニターし、より確実に燃焼していることを確認し、エンジントルク増大指令を行う。但し、燃焼ガスの酸素濃度は、エンジン燃焼の後流のためレスポンスが遅いため、通常の始動(暖機状態)では参照しない。
【0066】
[スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しのエンジン始動制御作用]
図10は、比較例のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。図11は、実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの暖気状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。図12は、実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの冷機状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。以下、図5と図10〜図12に基づいて、スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しのエンジン始動制御作用を説明する。
【0067】
比較例のエンジン始動制御は、制御中、モータ/ジェネレータを回転数制御し、エンジンへの空気量・燃料噴射量を一定としているが、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されて壁面付着量が大であっても対応しない制御である。このため、図10に示すように、エンジン始動(t1,t3,t5)とエンジン停止(t2,t4)を比較的短時間で繰り返すと、図10の壁面付着量パラメータ特性に示すように、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されていき、壁面付着量始動限界を超えてエンジン始動が困難な状況になってくる。この時刻t6にてアクセル足離しの状態のままである場合、壁面付着量大であることにより実エンジンは始動していないが、モータ/ジェネレータの回転数制御を含むエンジン始動制御は規定時間継続されたので解除される。この場合、エンジン始動制御の解除によりモータ/ジェネレータがゼロ回転速度まで低下するのに伴い、MGトルクがマイナストルクとなり、始動していないエンジンは、モータ/ジェネレータから受ける負荷抵抗により停止してしまう。
【0068】
これに対し、実施例1のスタートスイッチ始動要求時のエンジン始動制御では、図5のフローチャートにおいて、ステップS1〜ステップS12までは、アクセル踏み込みの有無を問わず同じ制御とする。そして、スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの暖機状況では、ステップS12からステップS13→ステップS15→ステップS16へと進み、ステップS15にてアクセル開度=0である限りは、ステップS15→ステップS16へと進む流れが繰り返され、アイドル発電が行われる。
【0069】
一方、スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの冷機状況では、ステップS12からステップS13→ステップS14へと進み、ステップS14にてEM2s≧EMO2setである限りは、ステップS8→ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御の継続がさらに延長される。そして、ステップS14にてEM2s<EMO2setになると、ステップS14からステップS15→ステップS16へと進み、ステップS15にてアクセル開度=0である限りは、ステップS15→ステップS16へと進む流れが繰り返され、アイドル発電が行われる。
【0070】
上記のように、実施例1のエンジン始動制御においては、TM2≧TM2setになったときに暖機状態であり、かつ、アクセル足離し状態であると、エンジンEngの回転速度を、エンジン始動制御での回転速度のまま維持しながら、燃焼しているエンジンEngによりモータ/ジェネレータMGを回してのアイドル発電を行うようにしている。
このため、図11のタイムチャートに示すように、時刻t8以降においてエンジン回転速度が維持され、エンジンストールを防止できると共に、バッテリ充電量を確保することができる。
【0071】
また、実施例1のエンジン始動制御においては、TM2≧TM2setになったときに冷機状態であり、かつ、EM2s<EMO2setになった時点でアクセル足離し状態であると、エンジンEngの回転速度を、エンジン始動制御での回転速度のまま維持しながら、燃焼しているエンジンEngによりモータ/ジェネレータMGを回してのアイドル発電を行うようにしている。
このため、図12のタイムチャートに示すように、時刻t9以降においてエンジン回転速度が維持され、エンジンストールを防止できると共に、バッテリ充電量を確保することができる。
【0072】
[アクセルオン始動要求時のエンジン始動制御作用]
図13は、比較例のエンジン始動制御においてアクセルオン始動要求時におけるアクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。図14は、実施例1のエンジン始動制御においてアクセルオン始動要求時で暖気状況におけるアクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。図15は、実施例1のエンジン始動制御においてアクセルオン始動要求時で冷機状況におけるアクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。以下、図6と図13〜図15に基づいて、アクセルオン始動要求時のエンジン始動制御作用を説明する。
【0073】
前記エンジン始動制御手段は、前記クラッチを開放しての電気自動車走行モードでの走行中、アクセル踏み込み操作によりアクセル開度が始動アクセル開度閾値を上回ることでエンジン始動要求があったとき、エンジン始動要求に応じて開始されたエンジン始動制御の終了条件が成立すると、ハイブリッド車走行モードに移行
比較例のエンジン始動制御は、制御中、モータ/ジェネレータを回転数制御し、エンジンへの空気量・燃料噴射量を一定としているが、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されて壁面付着量が大であっても対応しない制御である。このため、図13に示すように、エンジン始動(t1,t3,t5)とエンジン停止(t2,t4)を比較的短時間で繰り返すと、図13の壁面付着量パラメータ特性に示すように、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されていき、壁面付着量始動限界を超えてエンジン始動が困難な状況になってくる。この時刻t6にてアクセルペダルを踏まれた場合、壁面付着量大であることにより実エンジンは始動していないが、エンジン始動制御は規定時間継続されたので解除され、アクセル踏み込み量に応じてエンジンへの燃料噴射量/空気量を増加させる制御が行われる。この場合、エンジン燃焼室の内部壁面に付着した燃料が更に増加し、エンジンの着火が更に困難になり、時刻t7において、エンジンストールに至ると共に、モータ/ジェネレータによるトルクアシストを継続することでバッテリ放電が増大する、言い換えると、バッテリ充電量が低下する。
【0074】
これに対し、実施例1のエンジン始動制御は、制御中、モータ/ジェネレータを回転数制御し、エンジンへの空気量・燃料噴射量を一定としているが、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されて壁面付着量が大である場合にはエンジン始動制御の継続時間を延長する対応制御を採用している。
【0075】
すなわち、エンジン始動制御においてアクセルオン始動要求時には、図6のフローチャートにおいて、ステップS22→ステップS23→ステップS24→ステップS26→ステップS27→ステップS28→ステップS29へと進み、ステップS29にてTM1<TM1setである限りは、ステップS27→ステップS28→ステップS29へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御が継続される。そして、ステップS29にてTM1≧TM1setとなり、ステップS30へ進んだが、ステップS30にてW≧Wsetであるである限りは、ステップS28→ステップS29→ステップS30へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御の継続が延長される。そして、ステップS30にてW<Wsetとなり、ステップS31→ステップS32へ進んだが、ステップS32にてTM2<TM2setであるである限りは、ステップS28→ステップS29→ステップS30→ステップS31→ステップS32へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御の継続がさらに延長される。
【0076】
そして、ステップS32にてTM2≧TM2setになったときに暖機状態であると、ステップS32からステップS33→ステップS35へと進み、ステップS35では、「HEVモード」による走行制御に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じてエンジンEngの燃料噴射量を増大する制御が行われる。
【0077】
一方、ステップS32にてTM2≧TM2setになったときに冷機状態であると、ステップS32からステップS33→ステップS34へと進み、ステップS34にてEM2s≧EMO2setである限りは、ステップS28→ステップS29→ステップS30→ステップS31→ステップS32→ステップS33→ステップS34へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御の継続がさらに延長される。そして、ステップS34にてEM2s<EMO2setになると、ステップS34からステップS35へと進み、ステップS35では、「HEVモード」による走行制御に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じてエンジンEngの燃料噴射量を増大する制御が行われる。
【0078】
上記のように、実施例1のエンジン始動制御においては、アクセルオン始動要求時であって、TM2≧TM2setになったときに暖機状態であると、直ちに「HEVモード」による走行制御に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じてエンジンEngの燃料噴射量を増大する制御を行うようにしている。
このため、図14のタイムチャートに示すように、時刻t6でのアクセル踏み増し操作に応じ、時刻t8以降においてエンジン回転速度とMGトルクが上昇することで、加速のための駆動力増大要求に応えることができる。
【0079】
また、実施例1のエンジン始動制御においては、アクセルオン始動要求時であって、TM2≧TM2setになったときに冷機状態であると、排気O2濃度EM2sが燃焼時相当EMO2set未満となるまでエンジン始動制御の継続を延長した後、「HEVモード」による走行制御に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じてエンジンEngの燃料噴射量を増大する制御を行うようにしている。
このため、図15のタイムチャートに示すように、時刻t6でのアクセル踏み増し操作に応じ、時刻t9以降においてエンジン回転速度とMGトルクが上昇することで、加速のための駆動力増大要求に応えることができる。
【0080】
次に、効果を説明する。
実施例1のFRハイブリッドハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0081】
(1) 駆動系に、エンジンEngと、モータ(モータ/ジェネレータMG)と、前記エンジンEngと前記モータの間に介装したクラッチ(第1クラッチCL1)と、駆動輪(左右後輪RL,RR)を有し、エンジン始動要求があるとき、前記クラッチを締結またはスリップ締結し、前記モータをエンジン始動モータとし、クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を行うエンジン始動制御手段を備えたハイブリッド車両(FRハイブリッド車両)の制御装置において、前記エンジンEngの内壁面に付着する燃料量である壁面付着量を推定する壁面付着量推定手段を設け、前記エンジン始動制御手段(図5,図6)は、エンジン始動要求があるとき、推定された壁面付着量が壁面付着量始動限界以上である間、アクセル踏み込み操作があっても燃料噴射量の増大制御を行なわず、前記クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を継続する。このため、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積された場合、壁面付着燃料を掃気により低下させ、エンジン始動性を向上させることができる。
【0082】
(2) 前記エンジン始動制御手段(図5,図6)は、前記クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を継続することで、壁面付着量が壁面付着量限界値未満まで低下した場合、壁面付着量の低下時点から、前記エンジンEngが実際に着火して自立回転するために要するディレー時間を経過するまでは、前記エンジン始動制御を延長して継続する。このため、エンジン始動制御の継続により壁面付着量が壁面付着量限界値未満まで低下した場合、さらにエンジン始動制御の継続を延長することで、高い確実性によりエンジン燃焼状態へ移行することができる。
【0083】
(3) 前記エンジンEngからの排気中の酸素濃度を検出する排気酸素濃度検出手段(排気O2濃度センサ24)を設け、前記エンジン始動制御手段(図5,図6)は、ディレー時間の経過後、エンジン冷間状態であるとき、排気中の酸素濃度が大気より濃い場合、排気中の酸素濃度が大気より薄くなるまでは、前記エンジン始動制御を延長して継続する。このため、エンジン始動制御の継続により壁面付着量が壁面付着量限界値未満まで低下したが、エンジン冷間状態である場合、さらに加えてエンジン始動制御の継続を延長し、エンジン燃焼状態へ移行したことを確認した後、次のモードに移行することができる。
【0084】
(4) 前記エンジン始動制御手段(図5,図6)は、エンジン始動を開始するスタート信号によりエンジン始動要求があったとき、エンジン始動要求に応じて開始されたエンジン始動制御の終了条件が成立した時点でアクセル踏み込み操作の有無を判断し、アクセル踏み込み操作有りと判断された場合、ハイブリッド車走行モード(「HEVモード」)に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じた燃料噴射量の増大制御を行う。このため、アクセル踏み込み操作にあらわれるドライバーの加速意図を反映し、エンジン始動制御が終了すると応答良くハイブリッド車走行モードへ移行することができる。
【0085】
(5) 前記エンジン始動制御手段(図5,図6)は、エンジン始動制御の終了条件が成立した時点でアクセル踏み込み操作無しと判断された場合、アクセル踏み込み操作が開始されるまで、アイドル運転状態を維持している前記エンジンEngにより前記モータ(モータ/ジェネレータMG)を回して発電するアイドル発電を行う。このため、ドライバーに発進意図がない間において、エンジン始動制御の終了後にエンジンストールになるのを防止できると共に、バッテリ充電を確保することができる。
【0086】
(6) 前記エンジン始動制御手段(図5,図6)は、前記クラッチを開放しての電気自動車走行モード(「EVモード」)での走行中、アクセル踏み込み操作によりアクセル開度が始動アクセル開度閾値を上回ることでエンジン始動要求があったとき、エンジン始動要求に応じて開始されたエンジン始動制御の終了条件が成立すると、ハイブリッド車走行モード(「HEVモード」)に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じた燃料噴射量の増大制御を行う。このため、アクセル踏み込み操作による電気自動車走行モードからハイブリッド車走行モードへのモード遷移時、アクセル踏み込み操作にあらわれるドライバーの加速意図を反映し、エンジン始動制御が終了すると応答良くハイブリッド車走行モードへ移行することができる。
【0087】
以上、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0088】
実施例1では、FRハイブリッド車両の構成として、エンジンEng、第1クラッチCL1、モータ/ジェネレータMG、第2クラッチCL2(自動変速機ATに内蔵)を備えた構成を示した。しかし、図1に示す構成に限定されるものではなく、自動変速機ATの代わりに無段変速機を用いてもよい。また、第2クラッチCL2として変速機の入力軸と出力軸のいずれかに新たなクラッチを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
実施例1では、エンジンとモータ/ジェネレータの間に第1クラッチを介装し、モータ/ジェネレータと駆動輪の間に第2クラッチを介装したFRハイブリッド車両への適用例を示した。しかし、駆動源にエンジンとモータとクラッチを備えた他の様々なタイプのハイブリッド車両にも適用することができる。要するに、駆動系に、エンジンと、モータと、エンジンとモータの間に介装したクラッチと、駆動輪を有するハイブリッド車両であれば適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施例1のハイブリッド車両の制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(車両の一例)を示す全体システム図である。
【図2】実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される演算処理を示す制御ブロック図である。
【図3】実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でモード選択処理を行う際に用いられるEV-HEV選択マップを示す図である。
【図4】実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でバッテリ充放電処理を行う際に用いられる目標充放電量マップを示す図である。
【図5】実施例1の統合コントローラ10にて実行されるスタートスイッチ操作によりエンジン始動要求が出される場合のエンジン始動制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施例1の統合コントローラ10にて実行される「EVモード」での走行中にアクセル踏み込み操作によりエンジン始動要求が出される場合のエンジン始動制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】比較例のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りの状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図8】実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りの暖気状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図9】実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りの冷機状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図10】比較例のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図11】実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの暖気状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図12】実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの冷機状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図13】比較例のエンジン始動制御においてアクセルオン始動要求時におけるアクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図14】実施例1のエンジン始動制御においてアクセルオン始動要求時で暖気状況におけるアクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図15】実施例1のエンジン始動制御においてアクセルオン始動要求時で冷機状況におけるアクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0091】
Eng エンジン(駆動源)
MG モータ/ジェネレータ(駆動源)
CL1 第1クラッチ
CL2 第2クラッチ(摩擦クラッチ)
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ
16 アクセル開度センサ
17 車速センサ
23 エンジン水温センサ
24 排気O2濃度センサ(排気酸素濃度検出手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン始動要求があったとき、駆動系に有するモータをエンジン始動モータとしてエンジン始動制御を行うハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド車両のエンジン始動制御装置としては、エンジン、エンジンの始動を行うモータ/ジェネレータ、モータ/ジェネレータを制御するインバータ、および、インバータを介してモータ/ジェネレータに電力を供給するバッテリを少なくとも備え、低温時のエンジン始動性を向上させるため、バッテリ状態に基づいて、バッテリの出力可能電力を算出すると共に、エンジンを始動するための必要電力を算出し、出力可能電力が必要電力以上となるように、モータ/ジェネレータの目標回転数を設定する。そして、モータコントローラは、設定された目標回転数に基づいて、インバータを制御することにより、モータ/ジェネレータの回転駆動を制御するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008-62745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置にあっては、エンジン始動中、モータ/ジェネレータを回転数制御し、エンジンへの空気量・燃料噴射量を一定としている。このため、エンジン始動とエンジン停止を比較的短時間で繰り返すと、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されていき、エンジン始動が困難な状況になってくる。このときアクセルペダルを踏まれた場合、アクセル踏み込み量に応じてエンジンへの燃料噴射量/空気量を増加させると、エンジン燃焼室の内部壁面に付着した燃料が更に増加し、エンジンの着火が更に困難になる。この状況でエンジン着火をしないままで、モータ/ジェネレータによるトルクアシストを継続すると、バッテリ充電量が低下し、モータ/ジェネレータが回転できない状況に陥るおそれがある、という問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積された場合、壁面付着燃料を掃気により低下させ、エンジン始動性を向上させることができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド車両の制御装置では、駆動系に、エンジンと、モータと、前記エンジンと前記モータの間に介装したクラッチと、駆動輪を有し、エンジン始動要求があるとき、前記クラッチを締結またはスリップ締結し、前記モータをエンジン始動モータとし、クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を行うエンジン始動制御手段を備える。
このハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジンの内壁面に付着する燃料量である壁面付着量を推定する壁面付着量推定手段を設ける。そして、前記エンジン始動制御手段は、エンジン始動要求があるとき、推定された壁面付着量が壁面付着量始動限界以上である間、アクセル踏み込み操作があっても燃料噴射量の増大制御を行なわず、前記クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を継続する。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明のハイブリッド車両の制御装置にあっては、エンジン始動要求があるとき、エンジン始動制御手段において、推定された壁面付着量が壁面付着量始動限界以上である間、アクセル踏み込み操作があっても燃料噴射量の増大制御を行なわず、クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御が継続される。
すなわち、エンジン始動とエンジン停止を比較的短時間で繰り返し、エンジン内の壁面付着量が大きく、エンジンが始動できない可能性が高いときは、例えアクセルが踏み込まれてもクランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を継続する。このエンジン始動制御を継続することにより、シリンダー内でピストンが下死点から上死点に向かってストロークする行程で、シリンダー壁面に付着している燃料を掃気孔から排出するという掃気作用を示し、この掃気作用により壁面付着量を低下させ、エンジン始動に適した容易に着火する状態に近づける。
この結果、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積された場合、壁面付着燃料を掃気により低下させ、エンジン始動性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図である。
【0009】
実施例1におけるFRハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、エンジンEngと、フライホイールFWと、第1クラッチCL1(クラッチ)と、モータ/ジェネレータMG(モータ)と、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
【0010】
前記エンジンEngは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、エンジンコントローラ1からのエンジン制御指令に基づいて、エンジン始動制御やエンジン停止制御やスロットルバルブのバルブ開度制御が行われる。なお、エンジン出力軸には、フライホイールFWが設けられている。
【0011】
前記第1クラッチCL1は、前記エンジンEngとモータ/ジェネレータMGの間に介装されたクラッチであり、第1クラッチコントローラ5からの第1クラッチ制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された第1クラッチ制御油圧により、半クラッチ状態を含み締結・開放が制御される。この第1クラッチCL1としては、例えば、ピストン14aを有する油圧アクチュエータ14により締結・開放が制御される乾式単板クラッチが用いられる。
【0012】
前記モータ/ジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータ/ジェネレータであり、モータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータ/ジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この動作状態を「力行」と呼ぶ)、ロータがエンジンEngや駆動輪から回転エネルギーを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、バッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータ/ジェネレータMGのロータは、ダンパーを介して自動変速機ATの変速機入力軸に連結されている。
【0013】
前記第2クラッチCL2は、前記モータ/ジェネレータMGと左右後輪RL,RRの間に介装されたクラッチであり、ATコントローラ7からの第2クラッチ制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ開放を含み締結・開放が制御される。この第2クラッチCL2としては、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチや湿式多板ブレーキが用いられる。なお、第1クラッチ油圧ユニット6と第2クラッチ油圧ユニット8は、自動変速機ATに付設されるAT油圧コントロールバルブユニットCVUに内蔵している。
【0014】
前記自動変速機ATは、例えば、前進7速/後退1速等の有段階の変速段を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える有段変速機であり、前記第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、トルク伝達経路に配置される最適なクラッチやブレーキを選択している。そして、前記自動変速機ATの出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。
【0015】
実施例1のハイブリッド駆動系は、電気自動車走行モード(以下、「EVモード」という。)と、ハイブリッド車走行モード(以下、「HEVモード」という。)と、CL2スリップ締結走行モード(以下、「WSCモード」という。)等の走行モードを有する。
【0016】
前記「EVモード」は、第1クラッチCL1を開放状態とし、モータ/ジェネレータMGの動力のみで走行するモードである。前記「HEVモード」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、エンジン走行モード・モータアシスト走行モード・走行発電モードの何れかにより走行するモードである。前記「WSCモード」は、例えば、「EVモード」からの発進時、または、「HEVモード」からの発進時、または、「HEVモード」での登坂路走行時等の車両停止を含む低車速域にて、第2クラッチCL2をスリップ締結状態とし、第2クラッチCL2を経過するクラッチ伝達トルクが、車両状態やドライバー操作に応じて決まる要求駆動トルクとなるようにクラッチトルク容量をコントロールしながら発進・走行するモードである。なお、「WSC」とは「Wet Start Clutch」の略である。
【0017】
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、情報交換が互いに可能なCAN通信線11を介して接続されている。
【0018】
前記エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報と、統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令と、他の必要情報を入力する。そして、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、エンジンEngのスロットルバルブアクチュエータ等へ出力する。
【0019】
前記モータコントローラ2は、モータ/ジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報と、統合コントローラ10からの目標MGトルク指令および目標MG回転数指令と、他の必要情報を入力する。そして、モータ/ジェネレータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2では、バッテリ4の充電容量をあらわすバッテリSOCを監視していて、このバッテリSOC情報は、モータ/ジェネレータMGの制御情報に用いられると共に、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
【0020】
前記第1クラッチコントローラ5は、油圧アクチュエータ14のピストン14aのストローク位置を検出する第1クラッチストロークセンサ15からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの目標CL1トルク指令と、他の必要情報を入力する。そして、第1クラッチCL1の締結・開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVU内の第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。
【0021】
前記ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と、車速センサ17と、他のセンサ類18(変速機入力回転数センサ、インヒビタースイッチ等)からの情報を入力する。そして、Dレンジを選択しての走行時、アクセル開度APOと車速VSPにより決まる運転点がシフトマップ上で存在する位置により最適な変速段を検索し、検索された変速段を得る制御指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVUに出力する。なお、シフトマップとは、アクセル開度と車速に応じてアップシフト線とダウンシフト線を書き込んだマップをいう。上記自動変速制御に加えて、統合コントローラ10から目標CL2トルク指令を入力した場合、第2クラッチCL2の締結・開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVU内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する第2クラッチ制御を行う。
【0022】
前記ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19と、ブレーキストロークセンサ20からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの回生協調制御指令と、他の必要情報を入力する。そして、例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ制動力)で補うように、回生協調ブレーキ制御を行う。
【0023】
前記統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギーを管理し、最高効率でハイブリッド車両を走らせるための機能を担うもので、モータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ21、他のセンサ・スイッチ類22、エンジン冷却水の温度を検出するエンジン水温センサ23、エンジンEngからの排気中の酸素濃度を検出する排気O2濃度センサ24(排気酸素濃度検出手段)等のからの必要情報およびCAN通信線11を介して情報を入力する。そして、エンジンコントローラ1へ目標エンジントルク指令、モータコントローラ2へ目標MGトルク指令および目標MG回転数指令、第1クラッチコントローラ5へ目標CL1トルク指令、ATコントローラ7へ目標CL2トルク指令、ブレーキコントローラ9へ回生協調制御指令を出力する。
【0024】
図2は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される演算処理を示す制御ブロック図である。図3は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でのモード選択処理を行う際に用いられるEV-HEV選択マップを示す図である。図4は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でバッテリ充電制御を行う際に用いられる目標充放電量マップを示す図である。以下、図2〜図4に基づき、実施例1の統合コントローラ10にて実行される演算処理を説明する。
【0025】
前記統合コントローラ10は、図2に示すように、目標駆動力演算部100と、モード選択部200と、目標充放電演算部300と、動作点指令部400とを有する。
【0026】
前記目標駆動力演算部100では、目標駆動力マップを用いて、アクセル開度APOと車速VSPとから、目標駆動力tFoOを演算する。
【0027】
前記モード選択部200では、図3に示すEV-HEV選択マップを用いて、アクセル開度APOと車速VSPとから、「EVモード」または「HEVモード」を目標走行モードとして選択する。但し、バッテリSOCが所定値以下であれば、強制的に「HEVモード」を目標走行モードとする。また、「EVモード」または「HEVモード」からの発進時等であって、車速VSPが、ゼロから第1設定車速VSP1までの低車速域において、「WSCモード」を目標走行モードとして選択する。
【0028】
前記目標充放電演算部300では、図4に示す目標充放電量マップを用いて、バッテリSOCから目標充放電電力tPを演算する。
【0029】
前記動作点指令部400では、アクセル開度APOと、目標駆動力tFoOと、目標走行モードと、車速VSPと、目標充放電電力tP等の入力情報に基づき、動作点到達目標として、目標エンジントルクと目標MGトルクと目標MG回転数と目標CL1トルクと目標CL2トルクを演算する。そして、目標エンジントルク指令と目標MGトルク指令と目標MG回転数指令と目標CL1トルク指令と目標CL2トルク指令を、CAN通信線11を介して各コントローラ1,2,5,7に出力する。
【0030】
図5は、実施例1の統合コントローラ10にて実行されるスタートスイッチ操作によりエンジン始動要求が出される場合のエンジン始動制御処理の流れを示すフローチャートである(エンジン始動制御手段)。なお、このフローチャートは、システム停止状態で開始される。以下、図5のフローチャートの各ステップについて説明する。
【0031】
ステップS1では、エンジン始動を開始するスタートスイッチ(=イグニッションスイッチ)がONであるか否かを判断し、YES(スタートスイッチON)の場合はステップS2へ進み、NO(スタートスイッチOFF)の場合はステップS1の判断を繰り返す。
すなわち、スタートスイッチ0FF→ONにより、一時的にスタート信号が出力され、エンジン始動要求がなされていることを、統合コントローラ10が認識する。
【0032】
ステップS2では、ステップS1でのスタートスイッチONとの判断に続き、エンジン水温センサ23から取得したエンジン水温が、エンジン始動水温閾値未満か否かを判断し、YES(エンジン水温<エンジン始動水温閾値)の場合にステップS4へ進み、NO(エンジン水温≧エンジン始動水温閾値)の場合にステップS3へ進む。
【0033】
ステップS3では、ステップS2でのエンジン水温≧エンジン始動水温閾値であるとの判断に続き、エンジンEngを始動することなく、第1クラッチCL1を開放して「EVモード」を選択し、ステップS1へ戻る。
【0034】
ステップS4では、ステップS2でのエンジン水温<エンジン始動水温閾値であるとの判断に続き、エンジン始動要求フラグST1をセットし、ステップS5へ進む。
【0035】
ステップS5では、ステップS4でのエンジン始動要求フラグST1のセットに続き、始動状態タイマTM1を、初期状態のTM1=0(クリア)とし、ステップS6へ進む。
なお、「始動状態タイマTM1」は、エンジン始動制御状態が継続した時間を計測する。
【0036】
ステップS6では、ステップS5でのTM1=0の設定に続き、壁面付着量OK状態タイマTM2を、初期状態のTM2=0(クリア)とし、ステップS7へ進む。
なお、「壁面付着量OK状態タイマTM2」は、予め壁面付着量が小(エンジン始動に適した状態)である場合、始動状態タイマTM1が規定値以上となった時点から、実エンジン始動するまでの時間を計測する。また、壁面付着量が大(エンジン始動に適さない状態)である場合、始動状態タイマTM1が規定値以上となり、壁面付着量が低下してエンジン始動に適した状態になった時点から、実エンジン始動するまでの時間を計測する。
【0037】
ステップS7では、ステップS6でのTM2=0の設定、あるいは、ステップS9でのTM1<TM1setであるとの判断に続き、エンジン始動条件の継続時間をカウントする始動状態タイマTM1をインクリメントし(TM1=TM1+1)、ステップS8へ進む。
【0038】
ステップS8では、ステップS7でのTM1のインクリメント、あるいは、ステップS10でのNOの判断、あるいは、ステップS12でのNOの判断、あるいは、ステップS14でのNOの判断に続き、エンジンEngのクランキング回転数を立ち上げた後、一定の回転数を保つクランキング動作とするMG回転数制御を行うと共に、吸入される空気量を一定に保つスロットルバルブ制御と、一定の燃料噴射量を保つ燃料噴射制御と、着火制御によるエンジン始動制御を行う。そして、ステップS9へ進む。
【0039】
ステップS9では、ステップS8でのエンジン始動制御に続き、始動状態タイマTM1が規定値TM1set以上であるか否かを判断し、YES(TM1≧TM1set)の場合はステップS10へ進み、NO(TM1<TM1set)の場合はステップS7へ戻る。
【0040】
ステップS10では、ステップS9でのTM1≧TM1setとの判断に続き、壁面付着量パラメータWが、壁面付着量始動限界Wset未満であるか否かを判断し、YES(W<Wset)の場合はステップS11へ進み、NO(W≧Wset)の場合はステップS8へ戻る。
ここで、壁面付着量パラメータWは、エンジン水温、燃料噴射量、空気量、エンジン回転数、A/F等の入力情報から実験式で推定算出する既知の壁面付着量推定方法により生成される(壁面付着量推定手段)。
【0041】
ステップS11では、ステップS10でのW<Wsetであるとの判断に続き、壁面付着量がエンジン始動に適した状態になった時間をカウントする壁面付着量OK状態タイマTM2をインクリメントし(TM2=TM2+1)、ステップS12へ進む。
【0042】
ステップS12では、ステップS11でのTM2のインクリメントに続き、壁面付着量OK状態タイマTM2の値が、規定値TM2set以上であるか否かを判断し、YES(TM2≧TM2set)の場合はステップS13へ進み、NO(TM2<TM2set)の場合はステップS8へ戻る。
ここで、「規定値TM2set」は、壁面付着量がエンジン始動に適した状態になり、実エンジン始動するまで十分な時間を経過したことを示す閾値として設定されている。
【0043】
ステップS13では、ステップS12でのTM2≧TM2setであるとの判断に続き、エンジン冷間状態(=冷機状態)であるか否かを判断し、YES(冷機状態)の場合はステップS14へ進み、NO(暖機状態)の場合はステップS15へ進む。
【0044】
ステップS14では、ステップS13でのエンジン冷間状態であるとの判断に続き、エンジンEngからの排気中の酸素濃度を検出する排気O2濃度センサ24からの排気O2濃度EMO2sが燃焼時相当EMO2set未満か否かを判断し、YESの場合はステップS15へ進み、NOの場合はステップS8へ戻る。
【0045】
ステップS15では、ステップS13での暖機状態判断、あるいは、ステップS14でのEMO2s<EMO2setとの判断、あるいは、ステップS16でのアイドル発電に続き、アクセル開度が0を超えているか否か、つまり、アクセル踏み込み操作がなされているかを判断し、YES(アクセル開度>0)の場合はステップS17へ進み、NO(アクセル開度=0)の場合はステップS16へ進む。
【0046】
ステップS16では、ステップS15でのアクセル開度=0であるとの判断に続き、アイドル運転状態のエンジンEngによりモータ/ジェネレータMGを回して発電するアイドル発電を行い、ステップS15に戻る。
【0047】
ステップS17では、ステップS15でのアクセル開度>0であるとの判断に続き、「HEVモード」による走行制御に移行する。
この「HEVモード」による走行制御では、アクセル踏み込み操作量に応じて目標駆動力が決められ、エンジントルクとモータトルクの合計により目標駆動力を達成するように、エンジンEngの燃料噴射量増大制御が行われる。
【0048】
図6は、実施例1の統合コントローラ10にて実行される「EVモード」での走行中にアクセル踏み込み操作によりエンジン始動要求が出される場合のエンジン始動制御処理の流れを示すフローチャートである(エンジン始動制御手段)。なお、このフローチャートは、走行モードとして「EVモード」が選択された時点から開始される。以下、図6のフローチャートの各ステップについて説明する。但し、図6のステップS27〜ステップS34の各ステップは、図5のステップS7〜ステップS14の各ステップに対応するので、ステップS27〜ステップS34の説明は省略する。
【0049】
ステップS22では、走行モードが「EVモード」へモード移行すると、始動状態タイマTM1を、初期状態のTM1=0(クリア)とし、ステップS23へ進む。
【0050】
ステップS23では、ステップS22でのTM1=0の設定に続き、壁面付着量OK状態タイマTM2を、初期状態のTM2=0(クリア)とし、ステップS24へ進む。
【0051】
ステップS24では、ステップS23でのTM2=0の設定に続き、アクセル開度が始動アクセル開度閾値を超えているか否かを判断し、YES(アクセル開度>始動アクセル開度閾値)の場合はステップS26へ進み、NO(アクセル開度≦始動アクセル開度閾値)の場合はステップS25へ進む。
ここで、「始動アクセル開度閾値」は、図3に示すマップにおいて、例えば、アクセル踏み込み操作により、マップ上の運転点がEV-HEV切替線を横切るときの車速VSPに応じたアクセル開度APOに設定される。
【0052】
ステップS25では、ステップS24でのアクセル開度≦始動アクセル開度閾値であるとの判断に続き、「EVモード」を選択してのEV走行を維持し、ステップS24へ戻る。
【0053】
ステップS26では、ステップS24でのアクセル開度>始動アクセル開度閾値であるとの判断に続き、目標駆動力によるエンジン始動要求フラグST2をセットし、ステップS27へ進む。
【0054】
ステップS35では、ステップS33での暖機状態判断、あるいは、ステップS34でのEMO2s<EMO2setとの判断に続き、「HEVモード」による走行制御に移行する。
この「HEVモード」による走行制御では、アクセル踏み込み操作量に応じて目標駆動力が決められ、エンジントルクとモータトルクの合計により目標駆動力を達成するように、エンジンEngの燃料噴射量増大制御が行われる。
【0055】
次に、作用を説明する。
実施例1のFRハイブリッド車両の制御装置における作用を、「スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りのエンジン始動制御作用」、「スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しのエンジン始動制御作用」、「アクセルオン始動要求時のエンジン始動制御作用」に分けて説明する。
【0056】
[スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りのエンジン始動制御作用]
図7は、比較例のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りの状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。図8は、実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りの暖気状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。図9は、実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りの冷機状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。以下、図5と図7〜図9に基づいて、スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りのエンジン始動制御作用を説明する。
【0057】
比較例のエンジン始動制御は、制御中、モータ/ジェネレータを回転数制御し、エンジンへの空気量・燃料噴射量を一定としているが、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されて壁面付着量が大であっても対応しない制御である。このため、図7に示すように、エンジン始動(t1,t3,t5)とエンジン停止(t2,t4)を比較的短時間で繰り返すと、図7の壁面付着量パラメータ特性に示すように、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されていき、壁面付着量始動限界を超えてエンジン始動が困難な状況になってくる。この時刻t6にてアクセルペダルを踏まれた場合、壁面付着量大であることにより実エンジンは始動していないが、エンジン始動制御は規定時間継続されたので解除され、アクセル踏み込み量に応じてエンジンへの燃料噴射量/空気量を増加させる制御が行われる。この場合、エンジン燃焼室の内部壁面に付着した燃料が更に増加し、エンジンの着火が更に困難になり、時刻t7において、エンジンストールに至ると共に、モータ/ジェネレータによるトルクアシストを継続することでバッテリ放電が増大する、言い換えると、バッテリ充電量が低下する。
【0058】
これに対し、実施例1のエンジン始動制御は、制御中、モータ/ジェネレータを回転数制御し、エンジンへの空気量・燃料噴射量を一定としているが、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されて壁面付着量が大である場合にはエンジン始動制御の継続時間を延長する対応制御を採用している。
【0059】
すなわち、エンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時には、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS9へと進み、ステップS9にてTM1<TM1setである限りは、ステップS7→ステップS8→ステップS9へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御が継続される。そして、ステップS9にてTM1≧TM1setとなり、ステップS10へ進んだが、ステップS10にてW≧Wsetであるである限りは、ステップS8→ステップS9→ステップS10へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御の継続が延長される。そして、ステップS10にてW<Wsetとなり、ステップS11→ステップS12へ進んだが、ステップS12にてTM2<TM2setであるである限りは、ステップS8→ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS12へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御の継続がさらに延長される。
【0060】
そして、ステップS12にてTM2≧TM2setになったときに暖機状態であり、かつ、アクセル踏み込み状態であると、ステップS12からステップS13→ステップS15→ステップS17へと進み、ステップS17では、「HEVモード」による走行制御に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じてエンジンEngの燃料噴射量を増大する制御が行われる。
【0061】
一方、ステップS12にてTM2≧TM2setになったときに冷機状態であり、かつ、アクセル踏み込み状態であると、ステップS12からステップS13→ステップS14へと進み、ステップS14にてEM2s≧EMO2setである限りは、ステップS8→ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御の継続がさらに延長される。そして、ステップS14にてEM2s<EMO2setになると、ステップS14からステップS15→ステップS17へと進み、ステップS17では、「HEVモード」による走行制御に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じてエンジンEngの燃料噴射量を増大する制御が行われる。
【0062】
上記のように、実施例1のエンジン始動制御においては、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されて壁面付着量が大である場合、図8及び図9のタイムチャートに示すように、W≧Wsetと判断された時間から、壁面付着量パラメータWが壁面付着量始動限界Wset未満となるまでの時間(時刻t6〜時刻t7)、エンジン始動制御の継続時間を延長するようにしている。
このため、クランキング動作によりシリンダー内でピストンが下死点から上死点に向かってストロークする行程で、シリンダー壁面に付着している燃料を掃気孔から排出するという掃気作用を示し、この掃気作用により壁面付着量を低下させ、エンジン始動に適した容易に着火する状態に近づけることができる。
【0063】
さらに、実施例1のエンジン始動制御においては、壁面付着量パラメータWが壁面付着量始動限界Wset未満となっても、図8及び図9のタイムチャートに示すように、W<Wsetとなった時間から、壁面付着量OK状態タイマTM2が規定値TM2set以上となるまでの時間(時刻t7〜時刻t8)、エンジン始動制御の継続時間を延長するようにしている。
このため、通常の始動(暖機状態)では、確実に着火させて、モータアシストを要さず燃焼による自立回転のエンジン始動状態とすることができる。
【0064】
また、実施例1のエンジン始動制御においては、TM2≧TM2setになったときにエンジンEngが暖機状態であり、かつ、アクセル踏み込み状態であると、直ちに「HEVモード」による走行制御に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じてエンジンEngの燃料噴射量を増大する制御を行うようにしている。
このため、エンジンEngが暖機状態である場合、図8のタイムチャートに示すように、時刻t6にてアクセル踏み込み操作が行われると、時刻t8にてエンジン回転数が高められ、「HEVモード」による応答性の良い発進性能が確保される。
【0065】
また、実施例1のエンジン始動制御においては、TM2≧TM2setになったときにエンジンEngが冷機状態である場合、排気O2濃度EM2sが燃焼時相当EMO2set以上である間、エンジン始動制御の継続がさらに延長するようにしている。
このため、エンジンEngが冷機状態である場合、図9のタイムチャートに示すように、時刻t6にてアクセル踏み込み操作が行われると、時刻t9にてエンジン回転数が高められ、確実にエンジンEngが燃焼していることを確認して、次の「HEVモード」へ移行することができる。
すなわち、エンジンEngが低温状態では燃料が気化しくいため、同じ壁面付着燃料のパラメータでも、より燃焼しにくい状態にあると考えられる。このため、燃焼ガスの酸素濃度をモニターし、より確実に燃焼していることを確認し、エンジントルク増大指令を行う。但し、燃焼ガスの酸素濃度は、エンジン燃焼の後流のためレスポンスが遅いため、通常の始動(暖機状態)では参照しない。
【0066】
[スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しのエンジン始動制御作用]
図10は、比較例のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。図11は、実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの暖気状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。図12は、実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの冷機状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。以下、図5と図10〜図12に基づいて、スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しのエンジン始動制御作用を説明する。
【0067】
比較例のエンジン始動制御は、制御中、モータ/ジェネレータを回転数制御し、エンジンへの空気量・燃料噴射量を一定としているが、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されて壁面付着量が大であっても対応しない制御である。このため、図10に示すように、エンジン始動(t1,t3,t5)とエンジン停止(t2,t4)を比較的短時間で繰り返すと、図10の壁面付着量パラメータ特性に示すように、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されていき、壁面付着量始動限界を超えてエンジン始動が困難な状況になってくる。この時刻t6にてアクセル足離しの状態のままである場合、壁面付着量大であることにより実エンジンは始動していないが、モータ/ジェネレータの回転数制御を含むエンジン始動制御は規定時間継続されたので解除される。この場合、エンジン始動制御の解除によりモータ/ジェネレータがゼロ回転速度まで低下するのに伴い、MGトルクがマイナストルクとなり、始動していないエンジンは、モータ/ジェネレータから受ける負荷抵抗により停止してしまう。
【0068】
これに対し、実施例1のスタートスイッチ始動要求時のエンジン始動制御では、図5のフローチャートにおいて、ステップS1〜ステップS12までは、アクセル踏み込みの有無を問わず同じ制御とする。そして、スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの暖機状況では、ステップS12からステップS13→ステップS15→ステップS16へと進み、ステップS15にてアクセル開度=0である限りは、ステップS15→ステップS16へと進む流れが繰り返され、アイドル発電が行われる。
【0069】
一方、スタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの冷機状況では、ステップS12からステップS13→ステップS14へと進み、ステップS14にてEM2s≧EMO2setである限りは、ステップS8→ステップS9→ステップS10→ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御の継続がさらに延長される。そして、ステップS14にてEM2s<EMO2setになると、ステップS14からステップS15→ステップS16へと進み、ステップS15にてアクセル開度=0である限りは、ステップS15→ステップS16へと進む流れが繰り返され、アイドル発電が行われる。
【0070】
上記のように、実施例1のエンジン始動制御においては、TM2≧TM2setになったときに暖機状態であり、かつ、アクセル足離し状態であると、エンジンEngの回転速度を、エンジン始動制御での回転速度のまま維持しながら、燃焼しているエンジンEngによりモータ/ジェネレータMGを回してのアイドル発電を行うようにしている。
このため、図11のタイムチャートに示すように、時刻t8以降においてエンジン回転速度が維持され、エンジンストールを防止できると共に、バッテリ充電量を確保することができる。
【0071】
また、実施例1のエンジン始動制御においては、TM2≧TM2setになったときに冷機状態であり、かつ、EM2s<EMO2setになった時点でアクセル足離し状態であると、エンジンEngの回転速度を、エンジン始動制御での回転速度のまま維持しながら、燃焼しているエンジンEngによりモータ/ジェネレータMGを回してのアイドル発電を行うようにしている。
このため、図12のタイムチャートに示すように、時刻t9以降においてエンジン回転速度が維持され、エンジンストールを防止できると共に、バッテリ充電量を確保することができる。
【0072】
[アクセルオン始動要求時のエンジン始動制御作用]
図13は、比較例のエンジン始動制御においてアクセルオン始動要求時におけるアクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。図14は、実施例1のエンジン始動制御においてアクセルオン始動要求時で暖気状況におけるアクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。図15は、実施例1のエンジン始動制御においてアクセルオン始動要求時で冷機状況におけるアクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。以下、図6と図13〜図15に基づいて、アクセルオン始動要求時のエンジン始動制御作用を説明する。
【0073】
前記エンジン始動制御手段は、前記クラッチを開放しての電気自動車走行モードでの走行中、アクセル踏み込み操作によりアクセル開度が始動アクセル開度閾値を上回ることでエンジン始動要求があったとき、エンジン始動要求に応じて開始されたエンジン始動制御の終了条件が成立すると、ハイブリッド車走行モードに移行
比較例のエンジン始動制御は、制御中、モータ/ジェネレータを回転数制御し、エンジンへの空気量・燃料噴射量を一定としているが、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されて壁面付着量が大であっても対応しない制御である。このため、図13に示すように、エンジン始動(t1,t3,t5)とエンジン停止(t2,t4)を比較的短時間で繰り返すと、図13の壁面付着量パラメータ特性に示すように、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されていき、壁面付着量始動限界を超えてエンジン始動が困難な状況になってくる。この時刻t6にてアクセルペダルを踏まれた場合、壁面付着量大であることにより実エンジンは始動していないが、エンジン始動制御は規定時間継続されたので解除され、アクセル踏み込み量に応じてエンジンへの燃料噴射量/空気量を増加させる制御が行われる。この場合、エンジン燃焼室の内部壁面に付着した燃料が更に増加し、エンジンの着火が更に困難になり、時刻t7において、エンジンストールに至ると共に、モータ/ジェネレータによるトルクアシストを継続することでバッテリ放電が増大する、言い換えると、バッテリ充電量が低下する。
【0074】
これに対し、実施例1のエンジン始動制御は、制御中、モータ/ジェネレータを回転数制御し、エンジンへの空気量・燃料噴射量を一定としているが、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積されて壁面付着量が大である場合にはエンジン始動制御の継続時間を延長する対応制御を採用している。
【0075】
すなわち、エンジン始動制御においてアクセルオン始動要求時には、図6のフローチャートにおいて、ステップS22→ステップS23→ステップS24→ステップS26→ステップS27→ステップS28→ステップS29へと進み、ステップS29にてTM1<TM1setである限りは、ステップS27→ステップS28→ステップS29へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御が継続される。そして、ステップS29にてTM1≧TM1setとなり、ステップS30へ進んだが、ステップS30にてW≧Wsetであるである限りは、ステップS28→ステップS29→ステップS30へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御の継続が延長される。そして、ステップS30にてW<Wsetとなり、ステップS31→ステップS32へ進んだが、ステップS32にてTM2<TM2setであるである限りは、ステップS28→ステップS29→ステップS30→ステップS31→ステップS32へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御の継続がさらに延長される。
【0076】
そして、ステップS32にてTM2≧TM2setになったときに暖機状態であると、ステップS32からステップS33→ステップS35へと進み、ステップS35では、「HEVモード」による走行制御に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じてエンジンEngの燃料噴射量を増大する制御が行われる。
【0077】
一方、ステップS32にてTM2≧TM2setになったときに冷機状態であると、ステップS32からステップS33→ステップS34へと進み、ステップS34にてEM2s≧EMO2setである限りは、ステップS28→ステップS29→ステップS30→ステップS31→ステップS32→ステップS33→ステップS34へと進む流れが繰り返され、エンジン始動制御の継続がさらに延長される。そして、ステップS34にてEM2s<EMO2setになると、ステップS34からステップS35へと進み、ステップS35では、「HEVモード」による走行制御に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じてエンジンEngの燃料噴射量を増大する制御が行われる。
【0078】
上記のように、実施例1のエンジン始動制御においては、アクセルオン始動要求時であって、TM2≧TM2setになったときに暖機状態であると、直ちに「HEVモード」による走行制御に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じてエンジンEngの燃料噴射量を増大する制御を行うようにしている。
このため、図14のタイムチャートに示すように、時刻t6でのアクセル踏み増し操作に応じ、時刻t8以降においてエンジン回転速度とMGトルクが上昇することで、加速のための駆動力増大要求に応えることができる。
【0079】
また、実施例1のエンジン始動制御においては、アクセルオン始動要求時であって、TM2≧TM2setになったときに冷機状態であると、排気O2濃度EM2sが燃焼時相当EMO2set未満となるまでエンジン始動制御の継続を延長した後、「HEVモード」による走行制御に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じてエンジンEngの燃料噴射量を増大する制御を行うようにしている。
このため、図15のタイムチャートに示すように、時刻t6でのアクセル踏み増し操作に応じ、時刻t9以降においてエンジン回転速度とMGトルクが上昇することで、加速のための駆動力増大要求に応えることができる。
【0080】
次に、効果を説明する。
実施例1のFRハイブリッドハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0081】
(1) 駆動系に、エンジンEngと、モータ(モータ/ジェネレータMG)と、前記エンジンEngと前記モータの間に介装したクラッチ(第1クラッチCL1)と、駆動輪(左右後輪RL,RR)を有し、エンジン始動要求があるとき、前記クラッチを締結またはスリップ締結し、前記モータをエンジン始動モータとし、クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を行うエンジン始動制御手段を備えたハイブリッド車両(FRハイブリッド車両)の制御装置において、前記エンジンEngの内壁面に付着する燃料量である壁面付着量を推定する壁面付着量推定手段を設け、前記エンジン始動制御手段(図5,図6)は、エンジン始動要求があるとき、推定された壁面付着量が壁面付着量始動限界以上である間、アクセル踏み込み操作があっても燃料噴射量の増大制御を行なわず、前記クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を継続する。このため、エンジン燃焼室の内部壁面に付着燃料が累積された場合、壁面付着燃料を掃気により低下させ、エンジン始動性を向上させることができる。
【0082】
(2) 前記エンジン始動制御手段(図5,図6)は、前記クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を継続することで、壁面付着量が壁面付着量限界値未満まで低下した場合、壁面付着量の低下時点から、前記エンジンEngが実際に着火して自立回転するために要するディレー時間を経過するまでは、前記エンジン始動制御を延長して継続する。このため、エンジン始動制御の継続により壁面付着量が壁面付着量限界値未満まで低下した場合、さらにエンジン始動制御の継続を延長することで、高い確実性によりエンジン燃焼状態へ移行することができる。
【0083】
(3) 前記エンジンEngからの排気中の酸素濃度を検出する排気酸素濃度検出手段(排気O2濃度センサ24)を設け、前記エンジン始動制御手段(図5,図6)は、ディレー時間の経過後、エンジン冷間状態であるとき、排気中の酸素濃度が大気より濃い場合、排気中の酸素濃度が大気より薄くなるまでは、前記エンジン始動制御を延長して継続する。このため、エンジン始動制御の継続により壁面付着量が壁面付着量限界値未満まで低下したが、エンジン冷間状態である場合、さらに加えてエンジン始動制御の継続を延長し、エンジン燃焼状態へ移行したことを確認した後、次のモードに移行することができる。
【0084】
(4) 前記エンジン始動制御手段(図5,図6)は、エンジン始動を開始するスタート信号によりエンジン始動要求があったとき、エンジン始動要求に応じて開始されたエンジン始動制御の終了条件が成立した時点でアクセル踏み込み操作の有無を判断し、アクセル踏み込み操作有りと判断された場合、ハイブリッド車走行モード(「HEVモード」)に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じた燃料噴射量の増大制御を行う。このため、アクセル踏み込み操作にあらわれるドライバーの加速意図を反映し、エンジン始動制御が終了すると応答良くハイブリッド車走行モードへ移行することができる。
【0085】
(5) 前記エンジン始動制御手段(図5,図6)は、エンジン始動制御の終了条件が成立した時点でアクセル踏み込み操作無しと判断された場合、アクセル踏み込み操作が開始されるまで、アイドル運転状態を維持している前記エンジンEngにより前記モータ(モータ/ジェネレータMG)を回して発電するアイドル発電を行う。このため、ドライバーに発進意図がない間において、エンジン始動制御の終了後にエンジンストールになるのを防止できると共に、バッテリ充電を確保することができる。
【0086】
(6) 前記エンジン始動制御手段(図5,図6)は、前記クラッチを開放しての電気自動車走行モード(「EVモード」)での走行中、アクセル踏み込み操作によりアクセル開度が始動アクセル開度閾値を上回ることでエンジン始動要求があったとき、エンジン始動要求に応じて開始されたエンジン始動制御の終了条件が成立すると、ハイブリッド車走行モード(「HEVモード」)に移行し、アクセル踏み込み操作量に応じた燃料噴射量の増大制御を行う。このため、アクセル踏み込み操作による電気自動車走行モードからハイブリッド車走行モードへのモード遷移時、アクセル踏み込み操作にあらわれるドライバーの加速意図を反映し、エンジン始動制御が終了すると応答良くハイブリッド車走行モードへ移行することができる。
【0087】
以上、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0088】
実施例1では、FRハイブリッド車両の構成として、エンジンEng、第1クラッチCL1、モータ/ジェネレータMG、第2クラッチCL2(自動変速機ATに内蔵)を備えた構成を示した。しかし、図1に示す構成に限定されるものではなく、自動変速機ATの代わりに無段変速機を用いてもよい。また、第2クラッチCL2として変速機の入力軸と出力軸のいずれかに新たなクラッチを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
実施例1では、エンジンとモータ/ジェネレータの間に第1クラッチを介装し、モータ/ジェネレータと駆動輪の間に第2クラッチを介装したFRハイブリッド車両への適用例を示した。しかし、駆動源にエンジンとモータとクラッチを備えた他の様々なタイプのハイブリッド車両にも適用することができる。要するに、駆動系に、エンジンと、モータと、エンジンとモータの間に介装したクラッチと、駆動輪を有するハイブリッド車両であれば適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施例1のハイブリッド車両の制御装置が適用された後輪駆動によるFRハイブリッド車両(車両の一例)を示す全体システム図である。
【図2】実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される演算処理を示す制御ブロック図である。
【図3】実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でモード選択処理を行う際に用いられるEV-HEV選択マップを示す図である。
【図4】実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でバッテリ充放電処理を行う際に用いられる目標充放電量マップを示す図である。
【図5】実施例1の統合コントローラ10にて実行されるスタートスイッチ操作によりエンジン始動要求が出される場合のエンジン始動制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施例1の統合コントローラ10にて実行される「EVモード」での走行中にアクセル踏み込み操作によりエンジン始動要求が出される場合のエンジン始動制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】比較例のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りの状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図8】実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りの暖気状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図9】実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み有りの冷機状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図10】比較例のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図11】実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの暖気状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図12】実施例1のエンジン始動制御においてスタートスイッチ始動要求時でアクセル踏み込み無しの冷機状況におけるイグニッション信号・スタート信号・アクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図13】比較例のエンジン始動制御においてアクセルオン始動要求時におけるアクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図14】実施例1のエンジン始動制御においてアクセルオン始動要求時で暖気状況におけるアクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【図15】実施例1のエンジン始動制御においてアクセルオン始動要求時で冷機状況におけるアクセル開度・MG回転速度(=エンジン回転速度)・MGトルク・壁面付着量パラメータ・酸素濃度の各特性を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0091】
Eng エンジン(駆動源)
MG モータ/ジェネレータ(駆動源)
CL1 第1クラッチ
CL2 第2クラッチ(摩擦クラッチ)
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ
16 アクセル開度センサ
17 車速センサ
23 エンジン水温センサ
24 排気O2濃度センサ(排気酸素濃度検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動系に、エンジンと、モータと、前記エンジンと前記モータの間に介装したクラッチと、駆動輪を有し、エンジン始動要求があるとき、前記クラッチを締結またはスリップ締結し、前記モータをエンジン始動モータとし、クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を行うエンジン始動制御手段を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジンの内壁面に付着する燃料量である壁面付着量を推定する壁面付着量推定手段を設け、
前記エンジン始動制御手段は、エンジン始動要求があるとき、推定された壁面付着量が壁面付着量始動限界以上である間、アクセル踏み込み操作があっても燃料噴射量の増大制御を行なわず、前記クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を継続することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジン始動制御手段は、前記クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を継続することで、壁面付着量が壁面付着量限界値未満まで低下した場合、壁面付着量の低下時点から、前記エンジンが実際に着火して自立回転するために要するディレー時間を経過するまでは、前記エンジン始動制御を延長して継続することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジンからの排気中の酸素濃度を検出する排気酸素濃度検出手段を設け、
前記エンジン始動制御手段は、ディレー時間の経過後、エンジン冷間状態であるとき、排気中の酸素濃度が大気より濃い場合、排気中の酸素濃度が大気より薄くなるまでは、前記エンジン始動制御を延長して継続することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか1項に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジン始動制御手段は、エンジン始動を開始するスタート信号によりエンジン始動要求があったとき、エンジン始動要求に応じて開始されたエンジン始動制御の終了条件が成立した時点でアクセル踏み込み操作の有無を判断し、アクセル踏み込み操作有りと判断された場合、ハイブリッド車走行モードに移行し、アクセル踏み込み操作量に応じた燃料噴射量の増大制御を行うことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジン始動制御手段は、エンジン始動制御の終了条件が成立した時点でアクセル踏み込み操作無しと判断された場合、アクセル踏み込み操作が開始されるまで、アイドル運転状態を維持している前記エンジンにより前記モータを回して発電するアイドル発電を行うことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか1項に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジン始動制御手段は、前記クラッチを開放しての電気自動車走行モードでの走行中、アクセル踏み込み操作によりアクセル開度が始動アクセル開度閾値を上回ることでエンジン始動要求があったとき、エンジン始動要求に応じて開始されたエンジン始動制御の終了条件が成立すると、ハイブリッド車走行モードに移行し、アクセル踏み込み操作量に応じた燃料噴射量の増大制御を行うことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項1】
駆動系に、エンジンと、モータと、前記エンジンと前記モータの間に介装したクラッチと、駆動輪を有し、エンジン始動要求があるとき、前記クラッチを締結またはスリップ締結し、前記モータをエンジン始動モータとし、クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を行うエンジン始動制御手段を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジンの内壁面に付着する燃料量である壁面付着量を推定する壁面付着量推定手段を設け、
前記エンジン始動制御手段は、エンジン始動要求があるとき、推定された壁面付着量が壁面付着量始動限界以上である間、アクセル踏み込み操作があっても燃料噴射量の増大制御を行なわず、前記クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を継続することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジン始動制御手段は、前記クランキング動作と一定の空気量・燃料噴射量によるエンジン始動制御を継続することで、壁面付着量が壁面付着量限界値未満まで低下した場合、壁面付着量の低下時点から、前記エンジンが実際に着火して自立回転するために要するディレー時間を経過するまでは、前記エンジン始動制御を延長して継続することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジンからの排気中の酸素濃度を検出する排気酸素濃度検出手段を設け、
前記エンジン始動制御手段は、ディレー時間の経過後、エンジン冷間状態であるとき、排気中の酸素濃度が大気より濃い場合、排気中の酸素濃度が大気より薄くなるまでは、前記エンジン始動制御を延長して継続することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか1項に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジン始動制御手段は、エンジン始動を開始するスタート信号によりエンジン始動要求があったとき、エンジン始動要求に応じて開始されたエンジン始動制御の終了条件が成立した時点でアクセル踏み込み操作の有無を判断し、アクセル踏み込み操作有りと判断された場合、ハイブリッド車走行モードに移行し、アクセル踏み込み操作量に応じた燃料噴射量の増大制御を行うことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジン始動制御手段は、エンジン始動制御の終了条件が成立した時点でアクセル踏み込み操作無しと判断された場合、アクセル踏み込み操作が開始されるまで、アイドル運転状態を維持している前記エンジンにより前記モータを回して発電するアイドル発電を行うことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか1項に記載されたハイブリッド車両の制御装置において、
前記エンジン始動制御手段は、前記クラッチを開放しての電気自動車走行モードでの走行中、アクセル踏み込み操作によりアクセル開度が始動アクセル開度閾値を上回ることでエンジン始動要求があったとき、エンジン始動要求に応じて開始されたエンジン始動制御の終了条件が成立すると、ハイブリッド車走行モードに移行し、アクセル踏み込み操作量に応じた燃料噴射量の増大制御を行うことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−149533(P2010−149533A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326656(P2008−326656)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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