ハイブリッド車両用の走行計画作成装置、走行計画作成装置用のプログラム、運転アドバイス装置、および運転アドバイス装置用のプログラム
【課題】ハイブリッド車両において、各回の車速の平均値に代わる走行履歴に基づいて走行計画を作成することで、走行計画の燃費効率を向上させる。
【解決手段】走行計画作成装置は、複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を走行したときに、当該1つの道路区間の区間内総走行エネルギーおよび区間内総回生エネルギーを記録する(150)。さらに走行計画作成装置は、記録した複数の道路区間のそれぞれについての区間内総走行エネルギーと区間内総回生エネルギーの差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの内燃機関およびモータの使用の切り替えについて走行計画を作成する。
【解決手段】走行計画作成装置は、複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を走行したときに、当該1つの道路区間の区間内総走行エネルギーおよび区間内総回生エネルギーを記録する(150)。さらに走行計画作成装置は、記録した複数の道路区間のそれぞれについての区間内総走行エネルギーと区間内総回生エネルギーの差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの内燃機関およびモータの使用の切り替えについて走行計画を作成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用の走行計画作成装置、走行計画作成装置用のプログラム、運転アドバイス装置、および運転アドバイス装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド車両において、燃費を向上するために、ある経路を走行する前に、当該経路における内燃機関およびモータの使用の切り替えについての計画(以下、走行計画という)を作成する装置が知られている。例えば、特許文献1には、当該経路の過去の走行履歴に基づく平均車速等に基づいて走行計画を作成する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−248455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、過去の平均車速に基づいて走行計画を作成する場合、以下のような問題が発生する。ある区間を車両が複数回走行するとき、各回におけるその区間内の車両の速度変化の全体的な様子は互いに類似する。これは、信号機、一時停止表示、横断歩道、上り坂、下り坂等、車両の速度変化の起因となる固定的な環境が存在するからである。
【0004】
ただし、車速変化の全体的な様子が類似するといっても、具体的な加速位置、減速位置は、毎回完全に一致しているわけではなく、各回間でずれることが多い。加速位置、減速位置が互いにずれた各回の車速変化を平均化すると、車速変化が均されてしまい、その結果バッテリの消費に大きく関わる加速、減速の情報が失われてしまう。そして、加速、減速の情報が失われた走行履歴に基づいて走行計画を作成しても、燃費効率の良い走行計画を作成することができなくなってしまう。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、各回の車速の平均値に代わる走行履歴に基づいて走行計画を作成することで、走行計画の燃費効率を向上させることを第1の目的とする。
【0006】
また、従来、ドライバによる運転操作をアドバイスするための装置として、最適なアクセル開度と現状のアクセル開度とを比較して表示する装置がある。しかし、この装置は、ドライバの運転状況によらず常にアドバイスのための表示を行うので、ドライバはそれをお節介に感じてしまう可能性がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、ドライバによるハイブリッド車両の運転をアドバイスする技術において、ドライバにとってアドバイスが必要である道路区間とそうでない道路区間とを区別し、その区別に基づいたアドバイスの実行・非実行の切り替えを行うことを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第1の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の走行計画作成装置が、複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を走行したときに、当該1つの道路区間の走行において費やしたエネルギー(すなわち、当該1つの道路区間の走行時にハイブリッド車両が費やしたエネルギー:以下、走行エネルギーという)の総量および当該1つの道路区間の走行において回生充電によって取得したエネルギー(以下、回生エネルギー)の総量を記憶媒体に記録する。さらに走行計画作成装置は、記録した複数の道路区間のそれぞれについての走行エネルギーの総量と回生エネルギーの総量の差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの内燃機関およびモータの使用の切り替えについて走行計画を作成する。
【0009】
このように、走行計画作成装置は、各道路区間について走行エネルギーおよび回生エネルギーを記録し、当該走行エネルギーと回生エネルギーの差、すなわち、当該区間を走行するときの車両のエネルギー蓄積量の総減少分に基づいて走行計画を作成する。
【0010】
従来のように過去の平均車速に基づいて走行計画を作成する場合であっても、その過去の車速から消費エネルギーを算出した上で走行計画を作成するのが通常である。したがって、本発明のように、区間を走行するときの車両のエネルギー蓄積量の総減少分という、走行計画を作成する上で最も直接的なデータを記録して後に使用することで、走行計画の燃費効率を向上させることができる。
【0011】
また、複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を複数回走行した場合を考える。この場合、請求項2に記載のように、走行計画作成装置は、当該1つの道路区間の走行エネルギーの総量の当該複数回に渡る平均値、および当該1つの道路区間の回生エネルギーの総量の当該複数回に渡る平均値を、記憶媒体に記録して走行計画の作成に使用するようになっていてもよい。
【0012】
ある区間の走行エネルギーの総量および回生エネルギーの総量は、車速とは異なり、その区間の複数回の走行に渡る平均値として記録しても、当該区間中の減速位置、加速位置のずれの存在に関わらず、必要な情報が失われてしまう可能性が低い。これは、ある区間の車速変化の全体的な様子が、走行機会毎に大きく変わらないなら、減速位置、加速位置が多少ずれても、走行エネルギーの総量および回生エネルギーの総量に大きな変化はないという性質に起因するものである。
【0013】
また、請求項3に記載のように、走行計画作成装置は、複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を複数回走行したときに、当該1つの道路区間の走行エネルギーの総量の当該複数回に渡る平均値および最大値、ならびに、当該1つの道路区間の走行エネルギーの総量の当該複数回に渡る値のばらつき度を記憶媒体に記録するようになっていてもよい。
【0014】
この場合、走行計画作成装置は、複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間について記録されたばらつき度に基づいて、当該1つの道路区間における走行エネルギーの総量の複数回に渡るばらつきが所定の基準より大きい場合、当該1つの道路区間における走行エネルギーの総量の最大値を選択し、また、当該1つの道路区間における走行エネルギーの総量の複数回に渡るばらつきが当該基準値より小さい場合、当該1つの道路区間における走行エネルギーの総量の平均値を選択し、選択した方を走行計画の作成に使用するようになっていてもよい。
【0015】
走行エネルギーの総量の複数回に渡る平均値は、走行計画の作成において使用する値としては、最大値よりも正確性が高いものである。しかし、走行エネルギーの総量の複数回に渡るばらつきが大きい場合は、実際の走行時における走行エネルギーの総量が平均値を大きく上回ってしまう可能性が高い。そのような場合には、当該道路区間の走行計画に平均値を使用してしまうと、車両のエネルギーの蓄積量(バッテリ蓄電量、内燃機関の燃料の残量)が予想以上に低下してしまう危険性が高まってしまう。
【0016】
したがって、走行エネルギーの総量の複数回に渡るばらつきが所定の基準よりも大きい場合には、上記のように、平均値でなく最大値を使用することで、正確性を犠牲にして車両のエネルギー蓄積量の過度の低下のリスクを抑えることができる。
【0017】
なお、請求項4に記載のように、走行エネルギーの総量のみならず、回生エネルギーの総量についても、同じ観点から、回生エネルギーの総量の複数回に渡るばらつきが所定の基準よりも大きい場合には、平均値でなく最小値を使用することで、正確性を犠牲にして車両のエネルギー蓄積量の過度の低下のリスクを抑えることができる。
【0018】
また、請求項6に記載のように、走行計画作成装置は、上記のように回生エネルギーを記録しているときに、ハイブリッド車両のドライバに対し、ブレーキ操作によってハイブリッド車両から奪われた運動エネルギー(すなわち潜在回生エネルギー)と、ブレーキ操作によって現に回生充電可能なエネルギーとの比較の報知を行うようになっていてもよい。
【0019】
このように、走行計画作成装置によってブレーキ操作に関する報知が行われることで、ドライバは、潜在回生エネルギー(すなわち、ブレーキ操作によって本来回生エネルギーに回るべきエネルギー)が現に回生充電可能なエネルギー内に収まるよう、適切なブレーキ操作を行いながら走行する可能性が高くなる。すると、並行して記録されている回生エネルギーのばらつきが少なくなり、その結果、走行計画の精度が高まる。
【0020】
また、請求項7に記載のように、走行計画作成装置は、上記のように走行エネルギーを記録しているときに、ハイブリッド車両のドライバに対し、現実のアクセル開度と、車両の動力エネルギーの節約にとって最適なアクセル開度との比較の報知を行うようになっていてもよい。
【0021】
このように、走行計画作成装置によってアクセル操作に関する報知が行われることで、ドライバは、車両の動力エネルギーが節約させるよう、適切なアクセル操作を行いながら走行する可能性が高くなる。すると、並行して記録されている走行エネルギーのばらつきが少なくなり、その結果、走行計画の精度が高まる。
【0022】
また、上記第2の目的を達成するための請求項8に記載の発明は、ハイブリッド車両用の運転アドバイス装置が、道路区間毎に、ハイブリッド車両のブレーキ操作量と回生充電量との関係の情報を記録し、その記録内容に基づいて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であった道路区間を特定し、特定した道路区間のブレーキ操作について注意を喚起する報知を行う。
【0023】
このように、道路区間毎に記録された過去のブレーキ操作と回生充電量との関係の情報を用いて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であった道路区間を特定することで、ドライバにとってアドバイスが必要である道路区間とそうでない道路区間とを区別し、その区別に基づいたアドバイスの実行・非実行の切り替えを行うことができる。
【0024】
また、請求項9に記載のように、運転アドバイス装置は、ハイブリッド車両のブレーキ操作量と回生充電量との関係の情報として、ブレーキ操作によって前記ハイブリッド車両から奪われた運動エネルギー(すなわち、潜在回生エネルギー)が、前記ブレーキ操作によって現に回生充電可能であったエネルギーをどの程度超えたかを示す程度情報を記録するようになっていてもよい。
【0025】
この場合、運転アドバイス装置は、記録された程度情報の値の分布状況に基づいて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であったか否かの判定基準を変化させるようになっていてもよい。
【0026】
このように、程度情報の値の分布状況に基づいて判定基準を変化させることで、車両毎(すなわちドライバー毎)に判定基準が最適化される。このようにすることで、ドライバ毎に運転内容が異なっても、それぞれのドライバに対して、多すぎもせず少なすぎもしない適度な割合で、アドバイスを行う可能性が高くなる。その結果、ドライバは、お節介感覚を感じずに段階的に運転内容を改善していける可能性が高くなる。
【0027】
また、本発明の第2の目的を達成するための請求項11に記載の発明は、ハイブリッド車両用の運転アドバイス装置が、道路区間毎に、ハイブリッド車両の現実のアクセル操作量と、走行エネルギーの節約の観点から最適なアクセル操作量との関係の情報を記録し、その記録内容に基づいて、アクセル操作量が走行エネルギーの節約にとって不適切であった道路区間を特定し、特定した道路区間のアクセル操作について注意を喚起する報知を行う。
【0028】
このように、道路区間毎に記録された過去の現実のアクセル操作量と、最適なアクセル操作量との関係の情報を用いて、アクセル操作が走行エネルギーの節約にとって不適切であった道路区間を特定することで、ドライバにとってアドバイスが必要である道路区間とそうでない道路区間とを区別し、その区別に基づいたアドバイスの実行・非実行の切り替えを行うことができる。
【0029】
また、請求項12に記載のように、運転アドバイス装置は、ハイブリッド車両の現実のアクセル操作量と最適なアクセル操作量との関係の情報として、現実のアクセル操作量が最適なアクセル操作量をどの程度超えたかを示す程度情報を記録するようになっていてもよい。
【0030】
この場合、運転アドバイス装置は、記録された程度情報の値の分布状況に基づいて、アクセル操作が走行エネルギーの節約にとって不適切であるか否かの判定基準を変化させるようになっていてもよい。
【0031】
このように、程度情報の値の分布状況に基づいて判定基準を変化させることで、車両毎(すなわちドライバー毎)に判定基準が最適化される。このようにすることで、ドライバ毎に運転内容が異なっても、それぞれのドライバに対して、多すぎもせず少なすぎもしない適度な割合で、アドバイスを行う可能性が高くなる。その結果、ドライバは、お節介感覚を感じずに段階的に運転内容を改善していける可能性が高くなる。
【0032】
また、請求項5、10、13に記載のように、本発明の各特徴は、本発明の走行計画作成装置に用いるプログラムとしても捉えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態が適用されるハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。このハイブリッド車両には、エンジン1、発電機2、モータ3、差動装置4、タイヤ5a、タイヤ5b、インバータ6、DCリンク7、インバータ8、バッテリ9、HV制御部10、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14、加速度センサ15、エンジン回転数センサ16、アクセル開度センサ17、ディスプレイ18、スピーカ19、およびナビゲーションECU20が搭載されている。
【0034】
このハイブリッド車両は、エンジン1およびモータ3を動力源として走行する。エンジン1を動力源とする場合は、エンジン1の回転力が、図示しないクラッチ機構および差動装置4を介してタイヤ5a、5bに伝わる。また、モータ3を動力源とする場合は、バッテリ9の直流電力がDCリンク7およびインバータ8を介して交流電力に変換され、その交流電力によってモータ3が作動し、このモータ3の回転力が、差動装置4を介してタイヤ5a、5bに伝わる。
【0035】
また、エンジン1の回転力は発電機2にも伝えられ、その回転力によって発電機2が交流電力を生成し、生成された交流電力はインバータ6、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される場合がある。このようなバッテリ9への充電は、燃料を使用したエンジン1の作動による充電である。以下、この種の充電を、内燃充電という。
【0036】
また、図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ3に回転力として加わり、この回転力によってモータ3が交流電力を生成し、生成された交流電力がインバータ8、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される。以下、この種の充電を、回生充電という。
【0037】
また、バッテリ9は、ハイブリッド車両の外部の電源(例えば、家庭用コンセントを介して電力を共給する電源)に接続されることで、その外部電源から電力供給を受け、受けた電力を蓄積する。以下、この種の充電を、プラグイン充電という。
【0038】
HV制御部10は、ナビゲーションECU20からの指令等に応じて、発電機2、モータ3、インバータ6、インバータ8、バッテリ9の上述のような作動の実行・非実行等を制御する。HV制御部10は、例えばマイクロコンピュータを用いて実現してもよいし、下記のような機能を実現するための専用の回路構成を有するハードウェアであってもよい。
【0039】
より具体的には、HV制御部10は、現在SOC、基準SOC、下限SOCという3つの値を記憶しており、また、以下の(A)〜(E)の処理を行う。
(A)プラグイン充電開始時に、その開始の旨をナビゲーションECU20に通知する。
(B)ナビゲーションECU20からの指令に基づいて、ハイブリッド車両の走行モードをHVモード(第1モードの一例に相当する)とEVモード(第2モードの一例に相当する)の間で切り替える。
(C)定期的に現在SOCをナビゲーションECU20に通知する。
(D)ナビゲーションECU20からの要求があった場合、基準SOC、下限SOCをナビゲーションECU20に通知する。
(E)ナビゲーションECU20からの要求があった場合、基準SOCの値を変化させる。
【0040】
SOC(State of Charge)とは、バッテリの残量を表す指標であり、その値が高いほど残量が多い。現在SOCは、現在のバッテリ9のSOCを示す。HV制御部10は、この現在SOCの値を、逐次バッテリ9の状態を検出することで、繰り返し更新する。基準SOCは、HVモード時に用いる値(例えば60パーセント)である。この値は、ナビゲーションECU20からの制御によって変更可能である。下限SOCは、これ以上低下することが許されないSOCの値(例えば30パーセント)である。
【0041】
ここで、HVモードおよびEVモードについて説明する。HVモードにおいてHV制御部10は、ハイブリッド車両の走行中、現在SOCが基準SOCの値を維持するよう、エンジン1による車両の駆動、モータ3による車両の駆動、内燃充電、および回生充電のそれぞれについての実行・非実行を切り替える。例えば、現在SOCが基準SOCを下回った場合には、内燃充電を用いることで、燃料のエネルギーをバッテリの電力エネルギーに変換する。このように、必要に応じて内燃充電を実行するという点で、HVモードは、内燃充電を許容する走行モードである。このHVモードの制御の内容は周知であるので、ここではその詳細については説明しない。
【0042】
EVモードにおいてHV制御部10は、エンジン1とモータ3のうち、主としてモータ3を用いてハイブリッド車両を駆動する。例えば、ハイブリッド車両の加速度または速度が大きすぎて、モータ3だけでその加速度または速度を達成しようとするとモータ3が損傷を受ける可能性が高いような例外的な場合にのみ、エンジン1をモータ3と併用してハイブリッド車両を駆動し、他の場合は常にモータ3だけでハイブリッド車両を駆動するようになっていてもよい。また、HV制御部10は、EVモードにおいては、回生充電は許可しても、内燃充電は許可しない。これは、EVモードの目的の1つに、バッテリ9の現在SOCを低下させることがあるためである。
【0043】
GPSセンサ11、方位センサ12、および車速センサ13は、それぞれハイブリッド車両の位置、進行方向、走行速度を特定する周知のセンサである。地図DB記憶部14は、地図データを記憶する記憶媒体である。加速度センサ15は車両の加速度を特定する周知のセンサである。勾配(傾斜角)は車速センサと加速度センサを利用し算出する。エンジン回転数センサ16は、エンジン1の回転数を検出するセンサである。アクセル開度センサ17は、車両の図示しないアクセルの開度を検出するセンサである。
【0044】
ディスプレイ18は、ナビゲーションECU20の制御に基づいて画像等を表示させる装置である。スピーカ19は、ナビゲーションECU20の制御に基づいて音声を出力する装置である。
【0045】
地図データは、複数の交差点のそれぞれに対応するノードデータ、および、交差点と交差点を結ぶ道路区間すなわちリンクのそれぞれに対応するリンクデータを有している。1つのノードデータは、当該ノードの識別番号、所在位置情報、種別情報を含む。また、1つのリンクデータは、当該リンクの識別番号(以下、リンクIDという)、位置情報、種別情報等を含んでいる。
【0046】
ここで、リンクの位置情報には、当該リンクが含む形状補完点の所在位置データ、および、当該リンクの両端のノードおよび形状補完点のうち隣り合う2つを繋ぐセグメントのデータを含んでいる。各セグメントのデータは、当該セグメントのセグメントID、当該セグメントの勾配、向き、長さ等の情報を有している。
【0047】
図2に示す様に、ナビゲーションECU20は、RAM21、ROM22、データ書き込み可能な耐久記憶媒体23、および制御部24を有している。耐久記憶媒体とは、ナビゲーションECU20の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体をいう。耐久記憶媒体23としては、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、EEPROM等の不揮発性記憶媒体、および、バックアップRAMがある。
【0048】
制御部24は、ROM22または耐久記憶媒体23から読み出したプログラムを実行し、その実行の際にはRAM21、ROM22、および耐久記憶媒体23から情報を読み出し、RAM21および耐久記憶媒体23に対して情報の書き込みを行い、HV制御部10、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14、加速度センサ15、エンジン回転数センサ16、アクセル開度センサ17、ディスプレイ18、スピーカ19等と信号の授受を行う。
【0049】
具体的には、制御部24は、ナビゲーション処理40、充電位置記録処理50、学習制御処理100、経路算出処理200、SOC管理計画作成処理300、走行時処理400、運転アドバイス処理500等の処理を、所定のプログラムを実行することで実現する。
【0050】
ナビゲーション処理40において、制御部24は、経路算出処理200によって確定した目的地点までの経路(以下、予定経路という)に沿ってハイブリッド車両を走行させるためのガイド表示を、ドライバに対して行う。
【0051】
充電位置記録処理50において、制御部24は、HV制御部10からプラグイン充電開始の通知を受ける度に、その時点においてGPSセンサ11から受けている現在位置を、充電可能地点として、耐久記憶媒体23に記録する。あるいは、制御部24は、車両が停止する度に、その時点においてGPSセンサ11から受けている現在位置を、充電可能地点として、耐久記憶媒体23に記録するようになっていてもよい。またこのとき、充電可能地点を、その地点が属するセグメントに関連付けて、耐久記憶媒体23に記録するようになっていてもよい。なお、充電可能地点とセグメントとの対応付けは、GPSセンサ11からの現在位置の情報と地図DB記憶部14からの地図データの情報を照合することで実現することができる。このような処理が、プラグイン充電を行った複数の地点で実行されることで、複数の充電可能地点の情報が耐久記憶媒体23に記録されることになる。
【0052】
学習制御処理100において、制御部24は、ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時におけるバッテリ9の電力消費に影響する走行状況の履歴(具体的には、後述する総走行エネルギーおよび総回生エネルギー)を、セグメント毎に、耐久記憶媒体23に記録する。図3に、学習制御処理100のフローチャートを示す。なお、この処理においては、同じセグメントでも走行方向が違えば異なるセグメントであるとして扱ってもよい。
【0053】
制御部24は、この図に示す学習制御処理100を繰り返し実行し、その繰り返しの各回において、まずステップ110で、現在の走行状況の情報を取得し、続いてステップ130で、現在の走行区間が終了したか否かを判定する。走行区間とは、道路を区切る単位(例えば、リンク、セグメント)をいう。本実施形態においては、走行区間として、セグメントを採用する。
【0054】
現在の走行区間が終了しないうちは、再度ステップ110を実行し、現在の走行区間が終了すると、続いてステップ150を実行する。したがって、制御部24は、車両の走行する各区間において、その区間内で繰り返し(例えば1秒間隔で)走行状況の情報を取得する。以下、この繰り返しの時間間隔を、サンプル期間という。
【0055】
走行状況とは、走行時の外部環境、および、走行時の車両挙動のうちいずれかまたは両方の情報をいう。走行状況の情報として取得する情報は、例えば、現在走行中のリンクのリンクID、現在走行中のセグメントのセグメントID、現在の車両の向き、当該リンクの道路種別、車両の走行エネルギー、車両の回生エネルギーがある。
【0056】
ここで、リンクID、セグメントIDは、GPSセンサ11からの現在位置の情報と地図DB記憶部14からの地図データの情報を照合することで特定することができる。また、車両の向きは方位センサ12から取得できる。また、当該道路の道路種別は、地図データから取得する。
【0057】
なお、走行エネルギーとは、サンプル期間において車両が必要としたエネルギーの量をいう。また、回生エネルギーとは、サンプル期間において車両が回生充電によって取得したエネルギー(すなわち電力量)をいう。
【0058】
図4に、ステップ110において現在のサンプル期間における走行エネルギーおよび回生エネルギーを算出するための処理を示す。この処理において制御部24は、まずステップ111で、現在の車速vおよび道路勾配θを検出する。現在の車両の速度は車速センサ13から取得できる。また、当該勾配は、地図データ中の当該リンク中のセグメントの勾配の情報を用いて取得してもよいし、車速センサと加速度センサの出力を利用して算出してもよい。
【0059】
続いてステップ113で、車両にかかるころがり摩擦抵抗力frおよび空気抵抗力faを算出する。具体的には、ころがり摩擦抵抗力frについては、あらかじめ定められた自車両のころがり摩擦係数μ(例えば0.025)、あらかじめ定められた自車両の重量m、および重力加速度gを用いて、fr=μ×g×mという式によって算出する。また、空気抵抗力faについては、あらかじめ定められた空気密度ρ(例えば1.2キログラム/立方メートル)、あらかじめ定められた自車両の空気抵抗係数CD(例えば0.35)、あらかじめ定められた自車両の前方投影面積A、および検出した車速vを用いて、fa=0.5×ρ×CD×A×v2という式によって算出する。
【0060】
続いてステップ115で、サンプル期間当りの補機の消費電力量を取得する。補機とは、車両の走行に直接関係ないが、間接的に走行を補助するための装置の総称をいう。補機の例としては、オーディオ装置、ヘッドライド、ナビゲーション装置、空気調整装置等がある。補機の消費電力量は、あらかじめ定められている。例えば、昼(午前6時から午後6時まで)は400ワット秒、夜(午後6時から午前6時まで)は500ワット秒と決められていてもよい。
【0061】
続いてステップ117で、サンプル期間当りの回生エネルギーを検出する。この検出は、回生充電の実行時にモータ3、インバータ8からの電流、電圧を監視することで実現可能である。
【0062】
続いてステップ119で、サンプル期間における走行エネルギーErを取得する。具体的には、ステップ111、113で取得した車速v、ころがり摩擦抵抗力fr、空気抵抗力faに加え、位置エネルギー項fhおよび加減速エネルギー項fvを用いて、Er=v×T×(fr+fa+fh+fv)という等式によって算出する(「新エネルギー自動車の開発」、123〜124頁、2006年11月、CMC出版参照)。
【0063】
ここで、位置エネルギー項fhは、fh=m×g×sinθという等式によって算出する。なお、勾配θは−90°〜90°の範囲をとり、上り坂の場合には正の値となり、下り坂の場合には負の値となる。したがって、位置エネルギー項fhは、重力によって車両に発生する力に起因する項である。また、加減速エネルギー項fvは、fv=m×dv/dtという等式によって算出する。なお、dv/dtは、車速vの時間微分であり、Tはサンプル期間の長さ(例えば1秒)である。
【0064】
区間の走行を終了した後のステップ150では、当該区間についてステップ110で繰り返し取得した走行エネルギーおよび回生エネルギーの情報、および過去に当該区間を走行したことがあればそのときの走行状況の情報を用いて、当該区間のID(具体的にはセグメントID)と組み合わせて最適化する。最適化された走行状況データは、セグメントIDが含まれているので、道路と、その道路における走行状況の情報とが紐付けられたデータである。
【0065】
図5に、この最適化の処理を具体的に示す。制御部24は、当該区間についての走行エネルギーおよび回生エネルギーのそれぞれ毎に、図5の処理を実行する。以下、走行エネルギーについてのみ図5の処理を例示するが、回生エネルギーについてもその作動内容は同様である。
【0066】
この最適化の処理において、制御部24は、まずステップ151で、当該区間についての既存学習情報があるか否かを判定する。すなわち、今回よりも前に当該区間を走行したときの走行状況の情報が記録されているか否かを判定する。
【0067】
この判定が否定的ならば、すなわち、今回の走行状況の情報が当該区間にとって最初のものである場合、続いてステップ152で、今回の区間内総走行エネルギー(図中では算出値と記す)を、区間内総走行エネルギーの最大値、最小値、および平均値とする。
【0068】
ここで、今回の区間内総走行エネルギーは、今回の学習制御処理100の実行において、当該区間についてステップ110で算出された走行エネルギーの積算値(すなわち、区間内の全サンプル期間についての走行エネルギーの総和)である。すなわち、今回の区間内総走行エネルギーは、今回自車両が当該区間を走行したときに費やした走行エネルギーである。
【0069】
なお、区間内総回生エネルギーは、今回の学習制御処理100の実行において、当該区間についてステップ110で算出された回生エネルギーの積算値(すなわち、区間内の全サンプル期間についての回生エネルギーの総和)である。すなわち、今回の区間内総回生エネルギーは、今回自車両が当該区間を走行したときに回収した回生エネルギーである。
【0070】
ステップ151の判定が肯定的ならば、すなわち、今回の走行状況の情報が当該区間にとって最初のものでない場合、続いてステップ153で、今回の区間内総走行エネルギーと、耐久記憶媒体23に区間内総走行エネルギーの最大値として記録されている値とを比較する。そして、その比較の結果、今回の値の方が大きければ、続いてステップ154で、今回の区間内総走行エネルギーを当該最大値とする。
【0071】
また、ステップ153の比較の結果、今回の値の方が小さければ、続いてステップ155で、今回の区間内総走行エネルギーと、耐久記憶媒体23に区間内総走行エネルギーの最小値として記録されている値とを比較する。そして、その比較の結果、今回の値の方が小さければ、続いてステップ156で、今回の区間内総走行エネルギーを当該最小値とする。
【0072】
また、ステップ152、154、155の後、および、ステップ155の比較の結果今回の値の方が大きい場合は、続いてステップ157で、当該区間についての走行回数の記録値を1回分増加させる。なお、この走行回数の記録値は、ナビゲーションECU20の製造時等にゼロに初期化されている。
【0073】
続いてステップ158では、耐久記憶媒体23に記録されている区間内総走行エネルギーに、今回算出した区間内総走行エネルギーを反映させることで、新たな区間内総走行エネルギーを算出する。具体的には、[今回の区間内総走行エネルギー+(N−1)×区間内総走行エネルギーの平均値]/Nという式を用いて算出する。ステップ158の後、ステップ150の処理は終了する。
【0074】
続いてステップ160では、最適化されたデータ(すなわち、総走行エネルギーの最大値、最小値、平均値、総回生エネルギーの最大値、最小値、平均値)を、当該区間(セグメント)についての新たな走行状況の履歴、すなわち学習情報として、耐久記憶媒体23に記録する。ステップ160の後、学習制御処理100の1回分の実行が終了する。
【0075】
このような学習制御処理100を実行することで、充電可能地点周辺のセグメントのそれぞれについての走行状況の履歴が耐久記憶媒体23に記録されることになる。図6に、耐久記憶媒体23に記録される走行状況の履歴のテーブルの一例を、当該履歴に紐付けられた道路と併せて示す。
【0076】
この走行状況の履歴のテーブルにおいては、ノード21、補完形状点25、補完形状点26、ノード22の間に挟まれたセグメント31〜33について、当該セグメントを走行したときの総走行エネルギー、総回生エネルギーが記録されている。
【0077】
また、充電位置記録処理50によって記録された充電可能地点が存在するセグメント33については、当該セグメント33が充電可能地点を含む旨の情報も当該テーブルに記録されるようになっている。
【0078】
図7に、経路算出処理200のフローチャートを示す。制御部24は、経路算出処理200の処理を、目的地点が決定する度に実行する。ここで、目的地点の決定は、操作装置を用いたユーザの入力操作に基づいて制御部24が決定してもよいし、過去の走行履歴に基づいて制御部24が決定してもよい。
【0079】
この経路算出処理200の1回分の実行において、制御部24は、まずステップ210で、現在位置(出発地点の一例に相当する)から当該目的地点までの最適な予定経路を、地図データ等に基づいて確定する。
【0080】
続いてステップ220では、目的地点が充電可能地点であるか否かを、目的地点の位置と、耐久記憶媒体23に記録された充電可能地点の位置とを比較することで判定する。そして、目的地点が充電可能地点であれば、続いてステップ230を実行し、そうでなければ経路算出処理200の1回分の実行を終了する。ステップ230では、現在SOCの情報をHV制御部10に要求し、その要求に応じてHV制御部10から送信された現在SOCの情報を受信する。
【0081】
続いてステップ240では、予定経路上の目的地点周辺の部分、すなわち、目的地点から予定経路に沿って遡る連続した区間(以下、判定区間という)内のセグメントにおける走行状況の履歴、すなわち学習情報を、耐久記憶媒体23から読み出す。
【0082】
続いてステップ250では、ステップ230および240で取得した情報に基づいて、SOC管理計画作成処理300の実行を呼び出す。このようになっていることで、制御部24は、目的地点までの予定経路を確定すると、その目的地点が充電可能地点であれば、SOC管理計画作成処理300を実行する。
【0083】
図8に、このSOC管理計画作成処理300のフローチャートを示す。このSOC管理計画作成処理300の処理においては、HV走行時に維持されているSOC(例えば60パーセント)とSOCに許される値の下限値(例えば40パーセント、30パーセント)の間で利用可能な電気エネルギーを算出し、その電気エネルギーで目的地点まで走り切れる区間(以下、EVフィニッシュ区間という)を、判定区間内における学習情報に基づいて特定する。
【0084】
具体的には、まずステップ310で、判定区間の各セグメントにおいて、当該セグメントを走行した場合にどれだけの量の電力消費があるか、すなわち当該セグメントにおける予想電気消費量を、当該セグメントについての学習情報から読み出す。具体的には、当該セグメントについての区間内総走行エネルギーを読み出し、当該セグメントについての区間内総回生エネルギーを読み出し、読み出した区間内総走行エネルギーから区間内総回生エネルギーを減算した結果のエネルギーを、当該セグメントにおける予想電気消費量とする。なお、読み出す区間内総走行エネルギーは、最大値、最小値、平均値のいずれでもよく、また、読み出す区間内総回生エネルギーは、最大値、最小値、平均値のいずれでもよい。
【0085】
続いてステップ320では、HV制御部10から取得した現在SOCから下限SOCを減算した結果を、使用可能電気量として設定する。なお、下限SOCは、現在SOCの受信と同時にHV制御部10に要求することでHV制御部10から受信するようになっていてもよいし、他のタイミングでHV制御部10に要求することでHV制御部10から受信するようになっていてもよい。
【0086】
続いてステップ330〜360においては、目的地点から予想経路を遡る方向の順に(ステップ350)、セグメントをピックアップして当該セグメントにおける予想電気消費量を順次積算していく(ステップ330、360)。そして、その積算の結果が使用可能電気量と(所定の許容誤差内で)同じになったとき(ステップ340)、その時点で最後にピックアップしているセグメントのうち、目的地点から最も遠い位置を、EVフィニッシュ区間の開始地点とする(ステップ370)。
【0087】
続いて、当該EVフィニッシュ区間におけるSOC管理計画を作成する(ステップ380)。具体的には、当該開始地点でHVモードからEVモードに切り替わり、その後EVモードが目的地点まで続く場合の、EVフィニッシュ区間におけるSOCの推移の予想を、学習情報に基づいて特定する。図9にこのようなSOCの推移の予想の一例をグラフで示す。この予想されたSOCの推移の各点における値を、目標SOCという。ステップ380の後、SOC管理計画作成処理300の1回分の実行を終了する。
【0088】
以上のようなSOC管理計画作成処理300の実行によって、目的地点までの予想経路において、目的地までEVモードを継続する区間の開始地点を特定することができる。このように、本実施形態においては、学習情報は、当該EVフィニッシュ区間の決定、および当該EVフィニッシュ区間における管理計画の決定のためのみに用いられ、それ以外の予想経路上の区間のためには用いられない。そして、本実施形態においては、EVフィニッシュ区間以外の全区間において、走行モードはHVモードとなっている。
【0089】
図10に、走行時処理400のフローチャートを示す。制御部24は、目的地点および目的地点までの予想経路が決定しており、かつ、当該予想経路についてSOC管理計画作成処理300が実行されており、かつ、ナビゲーション処理40が当該予想経路のガイド表示を行っており、かつ、ハイブリッド車両が走行しているときに、この走行時処理400を実行する。
【0090】
この走行時処理400の実行において、制御部24は、まずステップ410で、エコ制御支援情報として、現在位置等をHV制御部10に送信する。続いてステップ420では、HV制御部10から逐次送信されている現在SOCを受信する。続いてステップ430では、受信した現在SOCに基づいてSOC管理計画(すなわち、EVフィニッシュ区間の開始地点およびEVフィニッシュ区間における電気消費量の推移)を補正するために、再度SOC管理計画作成処理300を実行する。続いてステップ440で、ハイブリッド車両がEVフィニッシュ区間の開始地点に到達したか否かを判定し、まだ到達していなければ再度ステップ410を実行し、到達していれば続いてステップ450を実行する。したがって、制御部24は、自車両が開始地点に到達するまでは、現在SOCに基づくSOC管理計画の微調整が繰り返される。
【0091】
HVモードにおいては、HV制御部10は、SOCが基準SOCと同じ値になるように、エンジン1による車両の駆動、モータ3による車両の駆動、回生充電、内燃充電を適宜行うが、現実の現在SOCの値は常に基準SOCに一致するわけではなく、時々刻々と変動する。現在SOCの値が高くなればEVフィニッシュ区間の距離も長くなり、現在SOCの値が低くなればEVフィニッシュ区間の距離も短くなる。したがって、現在SOCの変動に合わせてEVフィニッシュ区間の開始地点をくり返し再計算することで、EVフィニッシュ区間の開始地点における現在SOCと目標SOCとがより正確に一致し、ひいては、目的地点でより正確に現在SOCを下限SOCまで下げることができるようになる。
【0092】
ステップ450では、EV走行開始通知をHV制御部10に送信する。これによって、HV制御部10は、走行モードをHVモードからEVモードに切り替える。続いてステップ452では、エコ制御支援情報として、現在SOC、および、現在位置に対応する目標SOCを、HV制御部10に送信する。続いてステップ454では、HV制御部10から現在SOCを受信する。
【0093】
続いてステップ460では、ハイブリッド車両が目的地点に到達したか否かをGPSセンサ11からの信号に基づいて判定し、到達するまでこのステップ460を繰り返し、到達するとステップ470を実行する。ステップ470では、HV制御部10にEV走行停止通知を送信する。これによって、HV制御部10は走行モードをEVモードからHVモードに切り替える。
【0094】
以上のように、走行時処理400を実行することで、制御部24は、まずEVフィニッシュ区間の手前のHV走行区間において(ステップ440参照)、HV制御部10から逐次受けた現在SOCに基づいて(ステップ420参照)、SOC管理計画を補正する(ステップ430参照)。そして制御部24は、EVフィニッシュ区間の開始地点にハイブリッド車両が到達すると(ステップ440参照)、HV制御部10にEVモードを開始させる(ステップ450参照)、その後、ハイブリッド車両が目的地点に到着したときに(ステップ460参照)、HV制御部10のEVモードを終了させる(ステップ470参照)。したがって、EVフィニッシュ区間の開始位置において、走行モードがHVモードからEVモードに切り替わり、その後目的地点到着までEVモードが続く。
【0095】
制御部24は、充電位置記録処理50によって充電可能地点を記録し、学習制御処理100によって充電可能地点付近の走行状況の履歴を記録する。さらに制御部24は、予定系路上の目的地点が充電可能地点であった場合(経路算出処理200のステップ220参照)、SOC管理計画作成処理300によって当該充電可能地点手前のEV走行可能な連続区間を決定し、走行時処理400によってその決定に従ってHV走行とEV走行の切り替えを行うべくHV制御部10を制御する。
【0096】
以上のように、ナビゲーションECU20は、EVフィニッシュ区間の開始地点から目的地点までの区間のすべてをEVモードを用いる区間として決定し、その区間において実際にEVモードを用いてバッテリ電力の消費を行うようになっている。このような、HVモードの区間を1つにまとめてEVフィニッシュ区間の前に配置するという、比較的簡易な方法を採用することで、充電可能地点である目的地点に到達したときにバッテリの残量が下限値になるような制御を容易に実現できる。
【0097】
また、開始地点の決定は、予定経路上のある一点から目的地点までの予定経路に沿った連続区間における電力消費量を利用して実現する。そして、この電力消費量は、過去の当該区間を走行したときのバッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を用いた学習処理によって決定するようになっている。このようにすることで、算出する電力消費量が、より道路および当該ハイブリッド車両の実体に即したものとなり、ひいては、より正確に、目的地点でバッテリ残量を下限値に低下させることができる。
【0098】
また、ナビゲーションECU20は、予定経路のうち、EVフィニッシュ区間のみにおいて、学習情報を用いてバッテリの電力消費量を算出するようになっている。このようになっていることで、予想経路のすべてにおいて学習情報を用いる場合に比べて、ナビゲーションECU20の処理負荷が低減する。
【0099】
また、ナビゲーションECU20は、複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を走行したときに、当該1つの道路区間の区間内総走行エネルギーおよび区間内総回生エネルギーを耐久記憶媒体23に記録する(学習制御処理100参照)。さらにナビゲーションECU20は、記録した複数の道路区間のそれぞれについての区間内総走行エネルギーと区間内総回生エネルギーの差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの内燃機関およびモータの使用の切り替えについて走行計画を作成する(具体的には、EVフィニッシュ区間等を決定する。SOC管理計画作成処理300参照)。
【0100】
このように、ナビゲーションECU20は、各道路区間について走行エネルギーおよび回生エネルギーを記録し、それらの差、すなわち当該区間を走行するときの車両のエネルギー蓄積量の総減少分に基づいて走行計画を作成する。
【0101】
従来のように過去の車速に基づいて走行計画を作成する場合であっても、その過去の車速から消費エネルギーを算出した上で走行計画を作成するのが通常である。したがって、本発明のように、区間を走行するときの車両のエネルギー蓄積量の総減少分という、走行計画を作成する上で最も直接的なデータを記録して後に使用することで、走行計画の燃費効率を向上させることができる。
【0102】
また、ナビゲーションECU20は、ある道路区間を複数回走行した場合、当該1つの道路区間の区間内総走行エネルギーの当該複数回に渡る平均値、最小値、最大値、および当該1つの道路区間の区間内総回生エネルギーの当該複数回に渡る平均値、最小値、最大値を、記憶媒体に記録して走行計画の作成に使用するようになっている。
【0103】
ある区間の区間内総走行エネルギーおよび区間内総回生エネルギーは、車速とは異なり、その区間の複数回の走行に渡る平均値として記録しても、当該区間中の減速位置、加速位置のずれの存在に関わらず、必要な情報が失われてしまう可能性が低い。これは、ある区間の車速変化の全体的な様子が、走行機会毎に大きく変わらないなら、減速位置、加速位置が多少ずれても、走行エネルギーの総量および回生エネルギーの総量に大きな変化はないという性質に起因するものである。
【0104】
次に、運転アドバイス処理500について説明する。図17に、運転アドバイス処理500のフローチャートを示す。制御部24は、学習制御処理100の実行中に、この運転アドバイス処理500を、学習制御処理100と並列的に、繰り返し(例えば1秒周期で)実行する。
【0105】
図17に示すように、運転アドバイス処理500の実行において制御部24は、まずステップ510で、経路情報を取得することで、目的地までの予定経路、自車両が現在走行している道路区間、および、自車両が次に入る道路区間等を特定する。
【0106】
続いてステップ520では、現在の道路区間についてのブレーキ学習情報(具体的には、後述するブレーキレベル)が耐久記憶媒体23に記録されているか否かを判定し、記録されていれば続いてステップ525でブレーキ支援処理を実行し、記録されていなければ続いてステップ530を実行する。
【0107】
またステップ530では、現在の道路区間についてのアクセル学習情報(具体的には、後述するアクセルレベル)が耐久記憶媒体23に記録されているか否かを判定し、記録されていれば続いてステップ540でアクセル支援処理を実行し、記録されていなければ続いてステップ550のブレーキインジケータ表示を実行する。
【0108】
ステップ525、540、550のそれぞれに続いては、ステップ560で学習処理を行う。この学習処理において、現在の道路区間についてのアクセル学習情報およびブレーキ学習情報が耐久記憶媒体23に記録されるようになる。したがって、車両が走行中に運転アドバイス処理500を繰り返し実行することで、車両が走行した道路区間のそれぞれについて、必要に応じてアクセル学習情報およびブレーキ学習情報が耐久記憶媒体23に記録されていく。
【0109】
通常、1つの道路区間においてアクセル学習情報およびブレーキ学習情報の両方が記録されることはない。したがって、運転アドバイス処理500を1回実行することで、制御部24は、現在の道路区間についてブレーキ学習情報があればブレーキ支援処理を行い、現在の道路区間についてアクセル学習情報があればアクセル支援処理を行い、どちらもなければブレーキインジケータ表示を行う。両方が記録されていた場合は,ブレーキインジケータ表示を行う。そして、いずれの場合も学習処理は行う。
【0110】
ここで、ステップ560の学習処理についてまず説明する。図18に、学習処理の詳細をフローチャートで示す。この学習処理において制御部24は、まずステップ561で、今回の時間区間における潜在回生エネルギーを算出する。今回の時間区間とは、時間を運転アドバイス処理500の実行周期Tで分割した時間区間のうち、今回の運転アドバイス処理500の実行タイミングが属する区間をいう。
【0111】
また、潜在回生エネルギーとは、ブレーキ操作によってハイブリッド車両から奪われた運動エネルギーをいう。したがって、潜在回生エネルギーは、ブレーキ操作量が大きくなれば大きくなり、ブレーキ操作量が小さくなれば小さくなる値(すなわちブレーキ操作量に相当する量)である。
【0112】
例えば、車両か坂道を下っているとき、今回の時間区間の間に坂道を下ったことで得た位置エネルギー(ただし、空気抵抗等の要因によるエネルギー散逸は除く)は、ブレーキをかけなければ車両の運動エネルギーとなるはずである。もし車両が今回の時間区間の区間で坂道を下ったにもかかわらず車速が変化しなかったなら、当該位置エネルギー(ただし、空気抵抗等の要因によるエネルギー散逸は除く)が、ブレーキ操作によってハイブリッド車両から奪われた運動エネルギーとなる。
【0113】
また例えば、車両か平坦地で減速した場合、その減速によって減少した車両の運動エネルギー(ただし、空気抵抗等の要因によるエネルギー散逸は除く)は、ブレーキをかけなければ車両の運動エネルギーのままであったはずである。したがってこの場合、減速によって減少した車両の運動エネルギー(ただし、空気抵抗等の要因によるエネルギー散逸は除く)は、ブレーキ操作によってハイブリッド車両から奪われた運動エネルギーとなる。
【0114】
バッテリ9の電力回収能力に限界がなければ、潜在回生エネルギーはすべてバッテリ9に充電されるはずである。その意味で、潜在回生エネルギーは、理想的には本来得られるはずの回生エネルギーである。
【0115】
しかし、実際には、バッテリ9の電力回収能力には限界があるので、潜在回生エネルギーのすべてをバッテリ9に蓄積することができない場合がある。このような場合は、回生充電の効率の観点からは、ブレーキの踏み過ぎであると言える。
【0116】
例えば、車両が図19に示すような道路区間A、B、Cを走行する場合において、各道路区間の道路勾配が実線71のようになっており、車両の走行速度が実線72のように変化する場合を考える。
【0117】
道路区間Aにおいては、下り坂となっており、範囲73の手前においてはドライバはブレーキを操作せず、その結果、車両が加速し続けている。この場合は、潜在回生エネルギーはゼロとなっている。
【0118】
範囲73においては、ドライバは急ブレーキ操作を行うことで、車両の速度が急激に減少する。このとき、ブレーキ操作によってハイブリッド車両から奪われた運動エネルギーは、車両の減速に応じて失われた運動エネルギーと、車両が範囲73の坂を下ったことによって得た位置エネルギー(ただし、空気抵抗等の要因によるエネルギー散逸は除く)の総和61となる。このような急ブレーキを行った場合は、潜在回生エネルギー61がバッテリ9の回収限界62を超えてしまう場合が多い。
【0119】
同様に道路区間Bにおいても下り坂となっており、範囲74の手前においてはドライバはブレーキを操作せず、その結果、車両が加速し続けており、範囲74においては、ドライバが急ブレーキ操作を行うことで、車両の速度が急激に減少する。このとき、ブレーキ操作によってハイブリッド車両から奪われた運動エネルギーは、車両の減速に応じて失われた運動エネルギーと、車両が範囲74の坂を下ったことによって得た位置エネルギー(ただし、空気抵抗等の要因によるエネルギー散逸は除く)の総和63となり、潜在回生エネルギー63がバッテリ9の回収限界64を超えてしまう場合が多い。
【0120】
本実施形態においては、ブレーキ操作が行われると回生充電が実行される。したがって
潜在回生エネルギーE0の算出式としては、以下のようなものを用いる。
【0121】
E0=−v×T×α×(fh+fv)
ここで、位置エネルギー項fh、加減速エネルギー項fvの意味は、上述の通りである。また、時間Tは、運転アドバイス処理500の実行周期である。また、車速v、位置エネルギー項fh、加減速エネルギー項fvは、今回の時間区間における値である。また、値αは、空気抵抗等のエネルギー散逸を考慮した所定の変換効率(1以下の値、例えば0.8)である。
【0122】
続いてステップ563では、実回生エネルギーを算出する。実回生エネルギーとは、今回の時間区間において回生充電によって現実にバッテリ9に蓄積されたエネルギーをいう。この実回生エネルギーの算出は、回生充電の実行時にモータ3、インバータ8からの電流、電圧を監視し、その監視結果の値を利用することで算出可能である。
【0123】
続いてステップ565では、必要に応じてブレーキレベルを耐久記憶媒体23に記録する。具体的には、ステップ561で算出した潜在回生エネルギーが、ステップ563で算出した実回生エネルギー以上の基準値(例えば実回生エネルギーの1.2倍の値)より高いか低いかを判定し、高い場合は、現在走行中の道路区間のブレーキレベルを特定して耐久記憶媒体23に記録する。
【0124】
ブレーキレベルは、潜在回生エネルギーを実回生エネルギーで除算した除算値に基づいて、この除算値が大きいほどブレーキレベルが高くなるように特定する。例えば、除算値が1.2より大きく1.5以下である場合、ブレーキレベルを1とし、除算値が1.5より大きく2.0以下である場合、ブレーキレベルを2とし、除算値が2.0より大きい場合、ブレーキレベルを3とする。
【0125】
ただしステップ565では、現在の道路区間を走行し始めてから現在までに、今回の時間区間で特定したブレーキレベルよりも高いブレーキレベルを既に記録済みの場合には、今回の時間区間で特定したブレーキレベルは耐久記憶媒体23に記録しない。
【0126】
このようになっていることで、車両がある道路区間の走行を終えた時点では、その道路区間において特定した最も高いブレーキレベルが、当該道路区間のブレーキレベルとして、耐久記憶媒体23に記録されることになる。ただし、1度走行した時のブレーキレベルが高く、報知を行うことでドライバがブレーキングを修正した区間はブレーキレベルが低くても最新のブレーキレベルを記憶するようにする。
なおこの際、制御部24は、潜在回生エネルギーを実回生エネルギーで除算した結果の値を耐久記憶媒体23に記録するようになっていてもよい。
【0127】
このようになっていることで、車両が図19に示すような道路区間A、B、Cを走行する場合において道路区間A、Bに関しては、それぞれ範囲73、74の潜在回生エネルギーに応じたブレーキレベルが耐久記憶媒体23に記録され、道路区間Cに関しては、ブレーキレベルが記録されない。
【0128】
続いてステップ566では、エンジン回転数センサ16からの信号に基づいて現在のエンジン回転数を特定する。続いてステップ567では、加速度センサ15からの信号に基づいて現在の車両の加速度を特定する。
【0129】
続いてステップ569では、必要に応じてアクセルレベルを耐久記憶媒体23に記録する。具体的には、車両毎にあらかじめ設定された最適アクセル開度マップを利用して現在の最適アクセル開度を特定し、特定した最適アクセル開度以上の基準値(例えば最適アクセル開度の1.2倍の値)よりも現在のアクセル開度が大きいか否かを判定し、大きい場合は、現在走行中の道路区間のアクセルレベルを特定して耐久記憶媒体23に記録する。なお、現在のアクセル開度はアクセル開度センサ17からの信号に基づいて特定する。
【0130】
ここで、最適アクセル開度マップについて説明する。最適アクセル開度マップは、エンジン回転数と加速度の異なる組毎に異なる最適アクセル開度を割り当てるマップであり、耐久記憶媒体23にあらかじめ(例えば車両の出荷時)記録されている。ここでいう最適アクセル開度とは、車両の動力エネルギー(すなわち、ガソリン燃料および充電電力)の節約にとって最適なアクセル開度である。
【0131】
制御部24は、ステップ566で特定したエンジン回転数およびステップ567で特定した加速度を、この最適アクセル開度マップに適用することで、現在の最適アクセル開度を特定する。
【0132】
アクセルレベルは、現在の実際のアクセル開度を最適アクセル開度で除算した除算値に基づいて、この除算値が大きいほどアクセルレベルが高くなるように特定する。例えば、除算値が1.2より大きく1.5以下である場合、アクセルレベルを1とし、除算値が1.5より大きく2.0以下である場合、アクセルレベルを2とし、除算値が2.0より大きい場合、アクセルレベルを3とする。
【0133】
ただしステップ569では、現在の道路区間を走行し始めてから現在までに、今回の時間区間で特定したアクセルレベルよりも高いアクセルレベルを既に記録済みの場合には、今回の時間区間で特定したアクセルレベルは耐久記憶媒体23に記録しない。
【0134】
このようになっていることで、車両がある道路区間の走行を終えた時点では、その道路区間において特定した最も高いアクセルレベルが、当該道路区間のアクセルレベルとして、耐久記憶媒体23に記録されることになる。
【0135】
ただし、1度走行した時のアクセルレベルが高く、報知を行うことでドライバがアクセルワークを修正した区間はアクセルレベルが低くても最新のアクセルレベルを記憶するようにする。
【0136】
なおこの際、制御部24は、現実のアクセル開度を最適アクセル開度で除算した結果の値を耐久記憶媒体23に記録するようになっていてもよい。
【0137】
このようになっていることで、車両が図20に示すような道路区間D、E、Fを走行する場合において、車両の現実のアクセル開度が実線75のように変化し、最適アクセル開度が点線76となるような場合を考える。このような場合は、地点65および地点66において、現実のアクセル開度が最適アクセル開度を大きく超えるような急加速となっているので、道路区間D、Eに関しては、それぞれ地点65、66のアクセル開度に応じたアクセルレベルが耐久記憶媒体23に記録され、道路区間Fに関しては、アクセルレベルが記録されない。
【0138】
次に、図17のステップ525のブレーキ支援処理について説明する。図21に、このブレーキ支援処理の詳細のフローチャートを示す。制御部24は、ブレーキ支援処理において、まずステップ532で、対象の道路区間がブレーキ過多地点であるか否かを判定する。対象の道路区間は、現在自車両が走行中の道路区間でもよいし、予定経路によれば次に自車両が走行する道路区間でもよい。
【0139】
対象の道路区間がブレーキ過多地点であるか否かは、対象の道路区間について耐久記憶媒体23に記録されたブレーキレベルが、基準ブレーキレベル以上であるか否かで判定する。基準ブレーキレベルは、耐久記憶媒体23に記録されているすべてのブレーキレベルの値の個数分布状況に基づいて決定する。すなわち、ブレーキレベルが大きい方に分布が偏っている場合(例えば分布の中央値がより大きい場合)と、ブレーキレベルが小さい方に分布が偏っている場合(例えば分布の中央値がより小さい場合)とを比べた場合、前者の方が基準レベルが大きくなるようにする。
【0140】
より具体的には、レベルの高い方の所定の割合(例えば30パーセント)が少なくとも基準レベル以上となり、かつ、基準レベルが最も高くなるよう、基準レベルを決定する。なお、ここでいうパーセンテージは、耐久記憶媒体23に記録されたブレーキレベルの総個数に対する割合である。図22に、所定の割合が30パーセントである場合の、ブレーキレベルの分布と基準レベルとの関係を示す。
【0141】
上段の例においては、耐久記憶媒体23に記録された複数の道路区間についてのブレーキレベルの値の個数分布は、レベル1が40パーセント、レベル2が30パーセント、レベル3が30パーセントである。この場合、基準レベルはレベル3となる。中段の例においては、レベル1が10パーセント、レベル2が30パーセント、レベル3が60パーセントである。この場合、基準レベルはレベル2となる。下段の例においては、レベル1が10パーセント、レベル2が10パーセント、レベル3が80パーセントである。この場合、基準レベルはレベル1となる。
【0142】
対象の道路区間がブレーキ過多地点でないと判定した場合、ブレーキ支援処理を終了する。ブレーキ過多地点であると判定した場合、続いてステップ534で、対象の道路区間の走行がブレーキ過多である旨の報知を、ディスプレイ18またはスピーカ19を用いて行うことで、ブレーキ操作に対するドライバの注意を喚起する。
【0143】
なおこのとき、前回当該道路区間を走行した際における、潜在回生エネルギーを実回生エネルギーで除算した結果の値の記録値を耐久記憶媒体23から読み出してディスプレイ18に表示させるようになっていてもよい。このような表示を行うことで、よりドライバに具体的なブレーキワークの指標を与えることができる。
【0144】
続いてステップ536では、ブレーキインジケータをディスプレイ18に表示させる。図23に、ブレーキインジケータの表示例を示す。図23に示すように、ブレーキインジケータは、縦に等間隔に並んだ矩形部81a〜81fを複数有し、さらに、横棒82を有している。
【0145】
矩形部81a〜81fの表示個数、すなわち、矩形部総体の縦の長さは、現在の潜在回生エネルギーを回収限界で除算した結果の除算値であり、横棒82の縦方向の位置は、当該除算値が1となる位置に相当する。
【0146】
このような、潜在回生エネルギーと回収限界との比較を表示することにより、ドライバは、潜在回生エネルギーが回収限界に対してどの程度超過しているか、あるいは、潜在回生エネルギーが回収限界に到達するまでまだどれくらい余裕があるか等を、視覚的に容易に把握することができる。
【0147】
なお、潜在回生エネルギーの算出方法は、図18のステップ561と同じである。また、バッテリ9の時間区間T当りの充電可能量である回収限界(ブレーキ操作によって現に回生充電可能なエネルギーに相当する)は、固定値となっていてもよいし、バッテリ9の温度、バッテリ9に流れる電流値、バッテリ9の蓄電量に基づいて変化させるようになっていてもよい。
【0148】
なお、矩形部81a〜81fのうち、横棒82よりも上に配置される部分、すなわち、潜在回生エネルギーのうち回収限界を超える部分は、横棒82よりも下に配置される部分とは異なる色で表示させるようになっていてもよい。このようになっていることで、ドライバは、潜在回生エネルギーが回収限界を超えたか否かを容易に視認することができる。ステップ536の後、ブレーキ支援処理を終了する。
【0149】
次に、図17のステップ540のアクセル支援処理について説明する。図24に、このアクセル支援処理の詳細のフローチャートを示す。制御部24は、アクセル支援処理において、まずステップ542で、対象の道路区間が急加速地点であるか否かを判定する。対象の道路区間は、現在自車両が走行中の道路区間でもよいし、予定経路によれば次に自車両が走行する道路区間でもよい。
【0150】
対象の道路区間が急加速地点であるか否かは、対象の道路区間について耐久記憶媒体23に記録されたアクセルレベルが、基準アクセルレベル以上であるか否かで判定する。基準アクセルレベルは、耐久記憶媒体23に記録されているすべてのアクセルレベルの値の分布状況に基づいて決定する。すなわち、アクセルレベルが大きい方に分布が偏っている場合と、アクセルレベルが小さい方に分布が偏っている場合とを比べた場合、前者の方が基準レベルが大きくなるようにする。より具体的には、ブレーキレベルについての基準レベルと同じように特定する。
【0151】
対象の道路区間が急加速地点でないと判定した場合、アクセル支援処理を終了する。急加速地点であると判定した場合、続いてステップ544で、対象の道路区間の走行が急加速地点である旨の報知を、ディスプレイ18またはスピーカ19を用いて行うことで、アクセル操作に対するドライバの注意を喚起する。
【0152】
なおこのとき、前回当該道路区間を走行した際における、現実のアクセル開度を最適アクセル開度で除算した結果の値の記録値を耐久記憶媒体23から読み出してディスプレイ18に表示させるようになっていてもよい。このような表示を行うことで、よりドライバに具体的なアクセルワークの指標を与えることができる。
【0153】
続いてステップ546では、アクセルインジケータをディスプレイ18に表示させる。図25に、アクセルインジケータの表示例を示す。図25に示すように、アクセルインジケータは、斜め方向に等間隔に並んだ矩形部83a〜83fを複数有し、さらに、横棒84を有している。
【0154】
矩形部83a〜83fの表示個数、すなわち、矩形部総体の当該斜め方向の長さは、現在のアクセル開度を最適アクセル開度で除算した結果の除算値であり、横棒84の当該斜め方向の位置は、当該除算値が1となる位置に相当する。
【0155】
このような、現在のアクセル開度と最適アクセル開度との比較を表示することにより、ドライバは、現在のアクセル開度が最適アクセル開度に対してどの程度超過しているか、あるいは、現在のアクセル開度が最適アクセル開度に到達するまでまだどれくらい余裕があるか等を、視覚的に容易に把握することができる。
【0156】
なお、対象の道路区間の最適アクセル開度の特定方法は、図18のステップ569における方法と同じである。
【0157】
なお、矩形部83a〜83fのうち、横棒84よりも上に配置される部分、すなわち、現実のアクセル開度のうち最適アクセル開度を超える部分は、横棒84よりも下に配置される部分とは異なる色で表示させるようになっていてもよい。このようになっていることで、ドライバは、現実のアクセル開度が最適アクセル開度を超えたか否かを容易に視認することができる。ステップ546の後、アクセル支援処理を終了する。
【0158】
なお、制御部24は、図17のステップ550でも、図21のステップ536と同様のブレーキインジケータを表示させる。
【0159】
以上説明した通り、制御部24は、学習制御処理100を実行して回生エネルギー等を記録しているときに、ハイブリッド車両のドライバに対し、ブレーキ操作によってハイブリッド車両から奪われた運動エネルギー(すなわち潜在回生エネルギー)と、ブレーキ操作によって現に回生充電可能なエネルギーとの比較の報知を行う(図17のステップ525、550、図21、図23参照)。
【0160】
このように、制御部24によってブレーキ操作に関する報知が行われることで、ドライバは、潜在回生エネルギーが現に回生充電可能なエネルギーを上回らないよう、適切なブレーキ操作を行いながら走行する可能性が高くなる。すると、並行して記録されている回生エネルギーのばらつきが少なくなり、その結果、走行計画の精度が高まる。
【0161】
また、制御部24は、学習制御処理100を実行して走行エネルギー等を記録しているときに、ハイブリッド車両のドライバに対し、現実のアクセル開度と、車両の動力エネルギーの節約にとって最適なアクセル開度との比較の報知を行うようになっている(図17のステップ540、図24、図25参照)。
【0162】
このように、制御部24によってアクセル操作に関する報知が行われることで、ドライバは、現実のアクセル開度が最適アクセル開度を上回らないよう、適切なアクセル操作を行いながら走行する可能性が高くなる。すると、並行して記録されている走行エネルギーのばらつきが少なくなり、その結果、走行計画の精度が高まる。
【0163】
また、制御部24は、道路区間毎に、ハイブリッド車両のブレーキ操作量(具体的には、潜在回生エネルギー)と回生充電量との関係の情報を記録し、その記録内容に基づいて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であった道路区間を特定し(図21のステップ532参照)、特定した道路区間のブレーキ操作について注意を喚起する報知を行う(ステップ534、536参照)。
【0164】
このように、道路区間毎に記録された過去のブレーキ操作と回生充電量との関係の情報を用いて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であった道路区間を特定することで、ドライバにとってアドバイスが必要である道路区間とそうでない道路区間とを区別し、その区別に基づいたアドバイスの実行・非実行の切り替えを行うことができる。
【0165】
更に制御部24は、ハイブリッド車両のブレーキ操作量と回生充電量との関係の情報として、潜在回生エネルギーが、ブレーキ操作によって現に回生充電可能であったエネルギー(すなわち実回生エネルギー)をどの程度超えたかを示す程度情報(具体的には除算値)を記録する(図18のステップ561〜565参照)。そして制御部24は、記録された程度情報の値の分布状況に基づいて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であったか否かの判定基準(具体的には基準レベル)を変化させる。
【0166】
このように、程度情報の値の分布状況に基づいて判定基準を変化させることで、車両毎(すなわちドライバー毎)に判定基準が最適化される。このようにすることで、ドライバ毎に運転内容が異なっても、それぞれのドライバに対して、多すぎもせず少なすぎもしない適度な割合で、アドバイスを行う可能性が高くなる。その結果、ドライバは、お節介感覚を感じずに段階的に運転内容を改善していける可能性が高くなる。
【0167】
また制御部24は、道路区間毎に、ハイブリッド車両の現実のアクセル操作量と、走行エネルギーの節約の観点から最適なアクセル操作量との関係の情報を記録し、その記録内容に基づいて、アクセル操作量が走行エネルギーの節約にとって不適切であった道路区間を特定し(図24のステップ542参照)、特定した道路区間のアクセル操作について注意を喚起する報知を行う(ステップ544、546参照)。
【0168】
このように、道路区間毎に記録された過去の現実のアクセル操作量と、最適なアクセル操作量との関係の情報を用いて、アクセル操作が走行エネルギーの節約にとって不適切であった道路区間を特定することで、ドライバにとってアドバイスが必要である道路区間とそうでない道路区間とを区別し、その区別に基づいたアドバイスの実行・非実行の切り替えを行うことができる。
【0169】
また、制御部24は、ハイブリッド車両の現実のアクセル操作量と最適なアクセル操作量との関係の情報として、現実のアクセル操作量が最適なアクセル操作量をどの程度超えたかを示す程度情報(具体的には除算値)を記録するようになっている(図18のステップ566〜569参照)。
【0170】
この場合、制御部24は、記録された程度情報の値の分布状況に基づいて、アクセル操作が走行エネルギーの節約にとって不適切であるか否かの判定基準(具体的には基準レベル)を変化させる。
【0171】
このように、程度情報の値の分布状況に基づいて判定基準を変化させることで、車両毎(すなわちドライバー毎)に判定基準が最適化される。このようにすることで、ドライバ毎に運転内容が異なっても、それぞれのドライバに対して、多すぎもせず少なすぎもしない適度な割合で、アドバイスを行う可能性が高くなる。その結果、ドライバは、お節介感覚を感じずに段階的に運転内容を改善していける可能性が高くなる。
【0172】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態のナビゲーションECU20は、第1実施形態と同じ構成に加え、無線通信装置(図示せず)を有し、その無線通信装置を用いて情報センタと無線通信するようになっている。
【0173】
また、本実施形態のGPSセンサ11は、GPS衛星の分布状態を原因とした水平方向の精度の低下を表すHDOP(Horizonal Dilution Precis
ion)と呼ばれる精度情報をも制御部24に出力する。そして制御部24は、このGPSセンサ11から入力される精度情報から自車の現在位置の精度を表す位置自信度を特定する。なお、本実施形態における位置自信度は、現在位置の精度が高いほど大きく、現在位置の精度が低いほど小さくなる。
【0174】
図11は、情報センタ35とナビゲーションECU20との間の通信の手順を例示するシーケンス図である。情報センタ35は、多数のプローブ車36の走行に伴って収集された道路区画毎の交通流を表す交通流情報を格納するデータベースを有するサーバとして構成されている。
【0175】
情報センタ35は、図11に示すように、多数のプローブ車36の走行に伴って収集された走行情報を受信すると統計処理を行い(ステップ510)、データベースに格納する。なお、プローブ車36によって収集される走行情報には、交通流を示す交通流情報としてセグメント毎(またはリンク毎)の平均車速が含まれている。情報センタ35は、図12に示すように、多数のプローブ車36から平均車速を受信するとセグメント毎に一定時間(例えば、10分)毎の平均車速を算出してデータベースに格納する。
【0176】
次に、情報センタ35は、データベースに格納された交通流情報に対して分類処理を行う(ステップ520)。情報センタ35は、データベースに格納されたセグメント毎の交通流情報の特性に従って走行情報を時間帯別、曜日、祝祭日別に複数のグループに分類した分類情報を生成し、データベースの別領域に格納する。
【0177】
図13に、分類情報の構成例を示す。例えば、道路区間1(セグメント1)の7時〜9時までの平均車速が時速20キロメートル未満、それ以外(9時〜7時)の平均車速が時速20キロメートル以上となっている場合、図中の道路1に示すように、7時〜9時のグループとそれ以外(9時〜7時)のグループの2つに分類される。同様に、各道路区間(セグメントN)に対して平均車速の特性に従って複数のグループに分類される。更に、平日と祝日といったように、曜日および祝祭日別に分類される。
【0178】
本実施形態におけるナビゲーションECU20の制御部24は、ナビゲーションECU20が初めて起動されたとき、または、予め設定されたメンテナンス時期になると、図11に示したように、情報センタ35から分類情報を取得し、この分類情報に従って複数の時間帯別に分類した学習データベースを構築する学習データベース構築処理を行う(ステップ530)。
【0179】
図14に、学習データベースの構成を示す。この学習データベースは、第1実施形態における走行状況の履歴のテーブルに代わって学習情報として機能する。この学習データベースは、走行エネルギー用の学習データベースと、回生エネルギー用の学習データベースとに分かれるが、いずれの学習データベースも、図14のような構成となっている。
【0180】
各学習データベースは、道路種別毎に設定された基準値を格納するための基準値格納部B、この基準値Bからの乖離の度合い別に走行回数(初期値はゼロ)を格納するための複数の乖離度別回数格納部A、後述する統計自信度(ばらつき度の一例に相当する)を格納するための統計自信度格納部C、自車の走行によって収集された走行状況(区間内総走行エネルギーまたは区間内総回生エネルギー)の複数走行機会に渡る代表値(最大値、最小値、および平均値)を格納するための代表値格納部D、GPSセンサ11からの精度情報に基づく位置自信度を格納する位置自信度格納部Eが設けられている。なお、乖離度別回数格納部Bは、基準値を基準として所定量(例えば、走行エネルギー用の学習データベースの場合2.5キロワット秒)毎に分割されている。
【0181】
これらの各格納部は、情報センタ35により生成された分類情報の分類に従って、時間帯別、曜日、祝祭日別に分類されている。本実施形態では、自車両の走行に伴って収集した道路区間(本実施形態においてはセグメント)毎の走行状況を学習データベースの分類に従って記録する。
【0182】
また、本実施形態の制御部24は、図3に示した学習制御処理100のステップ150の処理として、図5に示した処理に代えて、図15に示す処理を実行する。なお、図15の処理は、走行エネルギー用の学習データベースおよび回生エネルギー用の学習データベースのそれぞれに対して別々にされる。以下では、図15の処理について、走行エネルギー用の学習データベースに対するものについてのみ説明するが、回生エネルギー用の学習データベースに対する処理の内容も、走行エネルギーと回生エネルギーの違いを除いて同じである。
【0183】
制御部24は、この図15の処理において、まず、学習データベースの基準値格納部Bに、対象セグメント(すなわち図3のステップ130で走行終了したと判定したセグメント)の道路種別に応じた基準値を記憶させる(ステップ600)。この基準値は、道路種別毎に(例えば地図DB記憶部において)割り当てられた、対象セグメントの標準車速、勾配、および全長に基づいて、対象セグメントを走行するときに必要な総走行エネルギーとして決定する。図16(a)には、走行エネルギーの基準値として、20キロワット秒が例示されている。
【0184】
次に、対象セグメントの道路識別情報であるセグメントID、および位置自信度を特定する(ステップ602)。次に、現在時刻を特定し、収集した走行状況の保存先を決定する(ステップ604)。例えば、月曜日の7時30分の場合、学習データベースの保存先を平日の7時〜9時に決定する。次に、学習データベースの当該保存先に過去の走行機会における走行状況が既に記録されているか否かを判定する(ステップ606)。
【0185】
記録されている場合、ステップ606の判定はNOとなり、次に、ステップ604にて決定された保存先に、図3のステップ110にて収集された走行状況を記録する(ステップ608)。例えば、対象セグメントが道路1で、ステップ110で繰り返し算出された走行エネルギーの対象セグメント内の積算値(すなわち区間内総走行エネルギー)が22キロワット秒である場合、図16(a)に示すように、ステップ604にて決定された保存先の代表値格納部Dに、走行状況として当該区間(本実施形態においてはセグメント)内総走行エネルギーの最大値、最小値、および平均値として、等しく22キロワット秒を記録する。
【0186】
次に、統計自信度を100として学習データベースの統計自信度格納部Cに記憶させる(ステップ610)。統計自信度は、同じ保存先の(すなわち、同種の時間帯、曜日、および区間の)複数の機会に渡って取得された走行状況の複数のサンプル(具体的には、走行エネルギーについての複数のサンプル)のばらつきの度合いを示す値である。具体的には、統計自信度は、0から100までの値を取り、上記サンプルの標準偏差が大きくなるほど(すなわちばらつきが大きくなるほど)小さくなる値である。
【0187】
次に、位置自信度を、学習データベースの保存先の位置自信度格納部Eに記録する(ステップ612)。次に、今回の走行機会における区間内総走行エネルギーに対応した乖離度別回数格納部A中の走行回数を1だけ増加させる(ステップ614)。例えば、今回算出した区間内総走行エネルギーが22キロワット秒である場合、20〜22.5キロワット秒の範囲をカバーする+2.5キロワット秒の乖離度別回数格納部Aの走行回数を0から1にし、本処理を終了する。
【0188】
このように、自車両が対象セグメントの終点(換言すれば次の対象セグメントの始点)に到達する度に、制御部24が上記処理を実施し、当該セグメントについての区間内総走行エネルギーが学習データベースに記憶される。
【0189】
そして、自車両が再度、学習データベースに走行状況を記憶した区間を走行した機会においては、ステップ606の判定はYESとなり、次に、今回の区間内総走行エネルギーに対応する乖離度別回数格納部A中の走行回数を1回分増加させる(ステップ615)。例えば、今回算出した区間内総走行エネルギーが24キロワット秒である場合、22.5〜25キロワット秒をカバーする+5キロワット秒の乖離度別回数格納部Aに走行回数1を加算する。
【0190】
次に、ステップ604にて決定された保存先の代表値格納部Dに、収集された走行状況と過去の走行状況を平均化して記録する処理を行う(ステップ616)。具体的には、今回算出した区間内総走行エネルギーと、既に記憶されている区間内総走行エネルギーの最大値、最小値、平均値とを用いて、第1実施形態の図5と同様の処理で、新たな区間内総走行エネルギーの最大値、最小値、平均値を決定し、その最大値、最小値、平均値を新たな走行状況として当該代表値格納部Dに記録する。このようにして、図16(b)の走行情報の格納部に区間内総走行エネルギーの代表値(例えば、最大値24キロワット秒、最小値22キロワット秒、平均値22.5キロワット秒)が格納される。
【0191】
次に、統計自信度を特定し、当該保存先の統計自信度格納部Cに記録する処理を行う(ステップ618)。ここで特定する統計自信度は、当該保存先乖離度別回数格納部Aのそれぞれに現在記録されている走行回数に基づいて算出する。具体的には、乖離度別回数格納部Aのそれぞれに割り当てられた数値範囲の代表値(例えば+5の乖離度別回数格納部Aの代表値は25キロワット秒)となっている区間内総走行エネルギーが、当該格納部Aに記録されている走行回数分だけあるとみなして、統計自信度を算出する。このようにして、図16(b)に例示するように、統計自信度格納部Bに例えば75が格納される。
【0192】
次に、位置自信度を記録する(ステップ620)。具体的には、新たに算出した位置自信度と、既に記憶されている位置自信度とを逐次平均して求めた値を新たな位置自信度として位置自信度格納部Eに格納する。このようにして、図16(b)の位置自信度の格納部に例えば77が格納される。
【0193】
このように、情報センタ35のデータベースに格納された交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した走行エネルギー用の学習データベースおよび回生エネルギー用の学習データベースを構築し、収集した区間内総走行エネルギーおよび区間内総回生エネルギーを用いて両学習データベースの分類に従った学習をするようになっている。
【0194】
また、制御部24は、図8のSOC管理計画作成処理300において、ステップ310では、第1実施形態に示した通り、当該セグメントについての区間内総走行エネルギーを読み出し、当該セグメントについての区間内総回生エネルギーを読み出し、読み出した区間内総走行エネルギーから区間内総回生エネルギーを減算した結果のエネルギーを、当該セグメントにおける予想電気消費量とする。
【0195】
ただし、読み出す対象の保存先は、現在日時および対象となるセグメントに対応する保存先である。また、読み出す区間内総走行エネルギーとして、最大値、最小値、平均値のうちいずれを採用するかは、当該走行エネルギー用の学習データの当該保存先に記録された統計自信度(または位置自信度)に基づいて決定する。また、読み出す区間内総回生エネルギーとして、最大値、最小値、平均値のうちいずれを採用するかは、当該回生エネルギー用の学習データの当該保存先に記録された統計自信度(または位置自信度)に基づいて決定する。
【0196】
具体的には、対象となる統計自信度(または位置自信度)が所定の第1基準値以上である場合は、読み出す区間内総走行エネルギーとして平均値を用い、当該第1基準値未満である場合は最大値を用いる。また、対象となる統計自信度(または位置自信度)が所定の第2基準値以上である場合は、読み出す区間内総回生エネルギーとして平均値を用い、当該第1基準値未満である場合は最小値を用いる。
【0197】
このように、制御部24は、複数の道路区間(および日時)の1つ1つについて、当該1つの道路区間について記録された自信度に基づいて、区間内総走行エネルギーの複数回に渡るばらつきが所定の基準より大きい場合、走行エネルギーの総量の最大値を選択し、また、区間内総走行エネルギーの複数回に渡るばらつきが当該基準値より小さい場合、平均値を選択し、選択した方を走行計画の作成に使用する。
【0198】
区間内総走行エネルギーの複数走行機会に渡る平均値は、走行計画の作成において使用する値としては、最大値よりも正確性が高いものである。しかし、区間内総走行エネルギーの複数回に渡るばらつきが大きい場合は、実際の走行時における区間内総走行エネルギーが平均値を大きく上回ってしまう可能性が高い。そのような場合には、当該道路区間の走行計画に平均値を使用してしまうと、車両のエネルギーの蓄積量(バッテリ蓄電量、内燃機関の燃料の残量)が予想以上に低下してしまう危険性が高まってしまう。
【0199】
したがって、区間内総走行エネルギーの複数回に渡るばらつきが所定の基準よりも大きい場合には、上記のように、平均値でなく最大値を使用することで、正確性を犠牲にして車両のエネルギー蓄積量の過度の低下のリスクを抑えることができる。
【0200】
なお、区間内総走行エネルギーのみならず、回生エネルギーの総量についても、同じ観点から、回生エネルギーの総量の複数回に渡るばらつきが所定の基準よりも大きい場合には、平均値でなく最小値を使用することで、正確性を犠牲にして車両のエネルギー蓄積量の過度の低下のリスクを抑えることができる。
【0201】
以上説明した通り、本実施形態のナビゲーションECU20は、総走行エネルギー(最大値、最小値、平均値)および総回生ネルギー(最大値、最小値、平均値)を記録して走行計画に使用することによる第1実施形態と同等の効果を発揮する。
【0202】
また、ナビゲーションECU20は、走行状況に統計自信度と位置自信度とが関連付けて記憶された学習データベースを利用して、統計自信度、位置自信度に基づいて、統計自信度(または位置自信度)が所定値より大きい場合には図7、図8の処理の実行を許可し、当該所定値より小さい場合には図7、図8の処理の実行を禁止する。このようにすることで、確度の高い走行情報を選択的に利用することが可能となり、HV走行、EV走行の制御の精度を向上することが可能である。
【0203】
上記した構成によれば、予め定められた基準値と収集された走行情報の乖離に応じて、収集された走行情報のばらつきの度合いを表す統計自信度が特定され、収集された走行情報に統計自信度を関連付けて記憶媒体に記録するので、収集した走行情報をより精度良く管理することができる。これにより、車載制御装置は統計自信度に基づいて走行情報のばらつきの度合いを認識することができ、精度良く制御を行うことが可能となる。
【0204】
また、自車両の現在位置の精度を表す位置自信度が特定され、記憶媒体に記憶された走行情報に位置自信度を関連付けて記憶媒体に記録するので、収集した走行情報をより精度良く管理することができる。これにより、車載制御装置は位置自信度に基づいて現在位置の精度を認識することができ、精度良く制御を行うことが可能となる。
【0205】
また、収集された走行情報の位置自信度と記憶媒体に記憶された過去の走行情報の位置自信度とから、学習回数に応じた位置自信度の平均値を求め、その平均値を新たな位置自信度として記憶媒体に記憶させることもできる。
【0206】
また、情報センタ35のデータベースに格納された交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した学習データベースを構築し、収集した走行情報を学習データベースの分類に従って学習させるので、より精度良く収集した走行情報を管理することができる。
【0207】
すなわち、例えば、収集した走行情報を1時間毎に分類して記憶媒体に記録する場合、前半の30分は交通流が悪く後半の30分は交通流が良好な場合であっても同じグループに分類されてしまうため、収集した走行情報を交通流の傾向に合わせて精度良く管理するのは難しいが、交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類して収集した走行情報を記憶媒体に記録するので、より精度良く収集した走行情報を管理することができる。なお、記憶媒体に記憶される走行情報は、運転者の運転特性が反映されたものとなる。
【0208】
なお、上記の各実施形態において、ナビゲーションECU20が走行計画作成装置の一例に相当し、ナビゲーションECU20が走行計画作成装置の一例に相当すると共に運転アドバイス装置の一例に相当し、制御部24がコンピュータの一例に相当する。制御部24が、学習制御処理100を実行することで記録手段の一例として機能し、SOC管理計画作成処理300を実行することで計画手段の一例として機能する。
【0209】
また、制御部24が、図17のステップ550、図21のステップ534、536を実行することで、ブレーキ支援手段の一例として機能し、図22のステップ544および546を実行することで、アクセル支援手段の一例として機能する。
【0210】
また、制御部24が、図18のステップ565を実行することでブレーキ記録手段の一例として機能し、ステップ569を実行することでアクセル報知手段の一例として機能し、図17のステップ530を実行することでブレーキ報知手段の一例として機能し、ステップ540を実行することでアクセル報知手段の一例として機能する。
【0211】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0212】
例えば、制御部24は、走行モードがHVモードとなっている区間においても、学習情報を用いてHVモードの範囲内の、エンジン1、モータ3、内燃充電の実行タイミングの計画を算出するようになっていてもよい。
【0213】
また、上記のステップ240、570においては、判定区間内のセグメントにおける走行状況の履歴、すなわち学習情報を、耐久記憶媒体23から読み出し、これをSOC管理計画作成処理300にて電力消費情報として用いるようになっている。しかし、上記のステップ240、570においては、判定区間内のセグメントにおける地図データを読み出し、読み出したデータを、SOC管理計画作成処理300にて、電力消費情報として用いるようになっていてもよい。
【0214】
また、上記の各実施形態においては、区間内総走行エネルギーおよび区間内総回生エネルギーの記録の単位、消費電気量の算出の単位、SOC管理計画の作成の単位、充電可能地点との関連付けの対象が、セグメントとなっているが、これらの対象はリンクであってもよい。すなわち、これらの対象は、道路区間であれば足りる。
【0215】
また、充電可能地点は、実際に充電した位置のみならず、あらかじめ記憶されている充電可能地点であってもよいし、ユーザが設定した充電可能地点であってもよい。
【0216】
また、HV制御部10は、プラグイン充電を行った直後は、現在SOCが基準SOCに落ちるまで、EVモードを使用するようになっていてもよい。このような作動を第1実施形態に適用すれば、制御部24があらかじめSOC管理計画作成処理300において終了地点92を決定しておかなくとも、図9に示したようなEVモード→HVモード→EVモードへの切り替えが実現する。
【0217】
また、制御部24は、目的地点の変更がないまま、SOC管理計画作成処理300の再実行が基準回数(例えば5回)以上繰り返された場合、それ以降は、目的地までHV走行を続けるようにHV制御部10を制御してもよい。このようにすることで、SOC管理計画作成処理が有効でない状況において、当該処理を無駄に続けてしまうことを防止することができる。
【0218】
また、第2実施形態において、ナビゲーションECU20は、情報センタ35と通信する機能を有しているが、情報センタ35と通信をする機能は必須ではない。情報センタ35と通信をしない場合、ナビゲーションECU20は、学習データベースを、日付、時間帯によって区分けしないデータベースとして作成してもよい。この場合学習データベースは、道路区間毎に1つの保存先(すなわち、乖離度別回数格納部A、基準値格納部B、統計自信度格納部C、代表値格納部D、および位置自信度格納部Eの組)を有することになる。
【0219】
また、上記実施形態においては、走行計画の作成の一例として、EVフィニッシュ区間の決定が示されているが、走行計画の作成の方法としては、EVフィニッシュ区間の決定以外のものでもよい。
【0220】
また、上記の実施形態において、制御部24がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【0221】
また、本発明は、区間内総走行エネルギーおよび区間内総回生エネルギーを記録して走行計画の作成に利用することを特徴としている。しかし、区間内の車速および区間内車速の複数走行機会に渡る最大値、最小値、平均値、およびばらつき度を記録して走行計画の作成に利用する走行計画作成装置があってもよい。この場合でも、当該ばらつき度が所定値以上の場合には最大値を用い、当該ばらつき度が所定の値未満の場合には平均値を用いるようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0222】
【図1】本発明の実施形態が適用されるハイブリッド車両の構成を概略的に示す図である。
【図2】ナビゲーションECU20の構成および外部との接続関係を示すブロック図である。
【図3】学習制御処理100のフローチャートである。
【図4】図3のステップ110で走行エネルギーおよび回生エネルギーを算出するための処理を示すフローチャートである。
【図5】図3のステップ150における最適化の処理を具体的に示すフローチャートである。
【図6】セグメント毎の走行状況の履歴の一例を示す図表である。
【図7】経路算出処理200のフローチャートである。
【図8】SOC管理計画作成処理300のフローチャートである。
【図9】SOC管理計画作成処理300によって予想された、EV走行時におけるSOCの変化の推移を示すグラフである。
【図10】走行時処理400のフローチャートである。
【図11】第2実施形態における情報センタ35とナビゲーションECU20との通信の手順を例示するシーケンス図である。
【図12】情報センタの統計処理について説明するための図である。
【図13】分類情報の構成を例示す図である。
【図14】学習データベースの構成を例示す図である。
【図15】図3の学習制御処理100のステップ150における処理を示すフローチャートである。
【図16】学習データベースのデータ格納手順について説明するための図である。
【図17】運転アドバイス処理500のフローチャートである。
【図18】図17のステップ560の学習処理の詳細を示すフローチャートである。
【図19】潜在回生エネルギーを説明するための図である。
【図20】アクセルレベルの記録の一例を示す図である。
【図21】図17のステップ530のブレーキ支援処理の詳細を示すフローチャートである。
【図22】ブレーキレベルの分布と基準レベルとの関係を示す図である。
【図23】ブレーキインジケータの表示例を示す図である。
【図24】図17のステップ540のアクセル支援処理の詳細を示すフローチャートである。
【図25】ブレーキインジケータの表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0223】
1…エンジン、2…オルタネータ、3…モータ、4…差動装置、5a、5b…タイヤ、
6…インバータ、7…DCリンク、8…インバータ、9…バッテリ、
10…HV制御部、11…GPSセンサ、12…方位センサ、13…車速センサ、
14…地図DB記憶部、15…加速度センサ、20…ナビゲーションECU、
16…エンジン回転数センサ、17…アクセル開度センサ、18…ディスプレイ、
19…スピーカ、21…RAM、22…ROM、23…耐久記憶媒体、24…制御部、
21、22…ノード、25、26…補完形状点、31〜33…セグメント、
35…情報センタ、36…プローブ車、40…ナビゲーション処理、
50…充電位置記録処理、100…学習制御処理、200…経路算出処理、
300…SOC管理計画作成処理、400…走行時処理、
500…運転アドバイス処理。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用の走行計画作成装置、走行計画作成装置用のプログラム、運転アドバイス装置、および運転アドバイス装置用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド車両において、燃費を向上するために、ある経路を走行する前に、当該経路における内燃機関およびモータの使用の切り替えについての計画(以下、走行計画という)を作成する装置が知られている。例えば、特許文献1には、当該経路の過去の走行履歴に基づく平均車速等に基づいて走行計画を作成する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−248455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、過去の平均車速に基づいて走行計画を作成する場合、以下のような問題が発生する。ある区間を車両が複数回走行するとき、各回におけるその区間内の車両の速度変化の全体的な様子は互いに類似する。これは、信号機、一時停止表示、横断歩道、上り坂、下り坂等、車両の速度変化の起因となる固定的な環境が存在するからである。
【0004】
ただし、車速変化の全体的な様子が類似するといっても、具体的な加速位置、減速位置は、毎回完全に一致しているわけではなく、各回間でずれることが多い。加速位置、減速位置が互いにずれた各回の車速変化を平均化すると、車速変化が均されてしまい、その結果バッテリの消費に大きく関わる加速、減速の情報が失われてしまう。そして、加速、減速の情報が失われた走行履歴に基づいて走行計画を作成しても、燃費効率の良い走行計画を作成することができなくなってしまう。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、各回の車速の平均値に代わる走行履歴に基づいて走行計画を作成することで、走行計画の燃費効率を向上させることを第1の目的とする。
【0006】
また、従来、ドライバによる運転操作をアドバイスするための装置として、最適なアクセル開度と現状のアクセル開度とを比較して表示する装置がある。しかし、この装置は、ドライバの運転状況によらず常にアドバイスのための表示を行うので、ドライバはそれをお節介に感じてしまう可能性がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、ドライバによるハイブリッド車両の運転をアドバイスする技術において、ドライバにとってアドバイスが必要である道路区間とそうでない道路区間とを区別し、その区別に基づいたアドバイスの実行・非実行の切り替えを行うことを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第1の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の走行計画作成装置が、複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を走行したときに、当該1つの道路区間の走行において費やしたエネルギー(すなわち、当該1つの道路区間の走行時にハイブリッド車両が費やしたエネルギー:以下、走行エネルギーという)の総量および当該1つの道路区間の走行において回生充電によって取得したエネルギー(以下、回生エネルギー)の総量を記憶媒体に記録する。さらに走行計画作成装置は、記録した複数の道路区間のそれぞれについての走行エネルギーの総量と回生エネルギーの総量の差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの内燃機関およびモータの使用の切り替えについて走行計画を作成する。
【0009】
このように、走行計画作成装置は、各道路区間について走行エネルギーおよび回生エネルギーを記録し、当該走行エネルギーと回生エネルギーの差、すなわち、当該区間を走行するときの車両のエネルギー蓄積量の総減少分に基づいて走行計画を作成する。
【0010】
従来のように過去の平均車速に基づいて走行計画を作成する場合であっても、その過去の車速から消費エネルギーを算出した上で走行計画を作成するのが通常である。したがって、本発明のように、区間を走行するときの車両のエネルギー蓄積量の総減少分という、走行計画を作成する上で最も直接的なデータを記録して後に使用することで、走行計画の燃費効率を向上させることができる。
【0011】
また、複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を複数回走行した場合を考える。この場合、請求項2に記載のように、走行計画作成装置は、当該1つの道路区間の走行エネルギーの総量の当該複数回に渡る平均値、および当該1つの道路区間の回生エネルギーの総量の当該複数回に渡る平均値を、記憶媒体に記録して走行計画の作成に使用するようになっていてもよい。
【0012】
ある区間の走行エネルギーの総量および回生エネルギーの総量は、車速とは異なり、その区間の複数回の走行に渡る平均値として記録しても、当該区間中の減速位置、加速位置のずれの存在に関わらず、必要な情報が失われてしまう可能性が低い。これは、ある区間の車速変化の全体的な様子が、走行機会毎に大きく変わらないなら、減速位置、加速位置が多少ずれても、走行エネルギーの総量および回生エネルギーの総量に大きな変化はないという性質に起因するものである。
【0013】
また、請求項3に記載のように、走行計画作成装置は、複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を複数回走行したときに、当該1つの道路区間の走行エネルギーの総量の当該複数回に渡る平均値および最大値、ならびに、当該1つの道路区間の走行エネルギーの総量の当該複数回に渡る値のばらつき度を記憶媒体に記録するようになっていてもよい。
【0014】
この場合、走行計画作成装置は、複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間について記録されたばらつき度に基づいて、当該1つの道路区間における走行エネルギーの総量の複数回に渡るばらつきが所定の基準より大きい場合、当該1つの道路区間における走行エネルギーの総量の最大値を選択し、また、当該1つの道路区間における走行エネルギーの総量の複数回に渡るばらつきが当該基準値より小さい場合、当該1つの道路区間における走行エネルギーの総量の平均値を選択し、選択した方を走行計画の作成に使用するようになっていてもよい。
【0015】
走行エネルギーの総量の複数回に渡る平均値は、走行計画の作成において使用する値としては、最大値よりも正確性が高いものである。しかし、走行エネルギーの総量の複数回に渡るばらつきが大きい場合は、実際の走行時における走行エネルギーの総量が平均値を大きく上回ってしまう可能性が高い。そのような場合には、当該道路区間の走行計画に平均値を使用してしまうと、車両のエネルギーの蓄積量(バッテリ蓄電量、内燃機関の燃料の残量)が予想以上に低下してしまう危険性が高まってしまう。
【0016】
したがって、走行エネルギーの総量の複数回に渡るばらつきが所定の基準よりも大きい場合には、上記のように、平均値でなく最大値を使用することで、正確性を犠牲にして車両のエネルギー蓄積量の過度の低下のリスクを抑えることができる。
【0017】
なお、請求項4に記載のように、走行エネルギーの総量のみならず、回生エネルギーの総量についても、同じ観点から、回生エネルギーの総量の複数回に渡るばらつきが所定の基準よりも大きい場合には、平均値でなく最小値を使用することで、正確性を犠牲にして車両のエネルギー蓄積量の過度の低下のリスクを抑えることができる。
【0018】
また、請求項6に記載のように、走行計画作成装置は、上記のように回生エネルギーを記録しているときに、ハイブリッド車両のドライバに対し、ブレーキ操作によってハイブリッド車両から奪われた運動エネルギー(すなわち潜在回生エネルギー)と、ブレーキ操作によって現に回生充電可能なエネルギーとの比較の報知を行うようになっていてもよい。
【0019】
このように、走行計画作成装置によってブレーキ操作に関する報知が行われることで、ドライバは、潜在回生エネルギー(すなわち、ブレーキ操作によって本来回生エネルギーに回るべきエネルギー)が現に回生充電可能なエネルギー内に収まるよう、適切なブレーキ操作を行いながら走行する可能性が高くなる。すると、並行して記録されている回生エネルギーのばらつきが少なくなり、その結果、走行計画の精度が高まる。
【0020】
また、請求項7に記載のように、走行計画作成装置は、上記のように走行エネルギーを記録しているときに、ハイブリッド車両のドライバに対し、現実のアクセル開度と、車両の動力エネルギーの節約にとって最適なアクセル開度との比較の報知を行うようになっていてもよい。
【0021】
このように、走行計画作成装置によってアクセル操作に関する報知が行われることで、ドライバは、車両の動力エネルギーが節約させるよう、適切なアクセル操作を行いながら走行する可能性が高くなる。すると、並行して記録されている走行エネルギーのばらつきが少なくなり、その結果、走行計画の精度が高まる。
【0022】
また、上記第2の目的を達成するための請求項8に記載の発明は、ハイブリッド車両用の運転アドバイス装置が、道路区間毎に、ハイブリッド車両のブレーキ操作量と回生充電量との関係の情報を記録し、その記録内容に基づいて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であった道路区間を特定し、特定した道路区間のブレーキ操作について注意を喚起する報知を行う。
【0023】
このように、道路区間毎に記録された過去のブレーキ操作と回生充電量との関係の情報を用いて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であった道路区間を特定することで、ドライバにとってアドバイスが必要である道路区間とそうでない道路区間とを区別し、その区別に基づいたアドバイスの実行・非実行の切り替えを行うことができる。
【0024】
また、請求項9に記載のように、運転アドバイス装置は、ハイブリッド車両のブレーキ操作量と回生充電量との関係の情報として、ブレーキ操作によって前記ハイブリッド車両から奪われた運動エネルギー(すなわち、潜在回生エネルギー)が、前記ブレーキ操作によって現に回生充電可能であったエネルギーをどの程度超えたかを示す程度情報を記録するようになっていてもよい。
【0025】
この場合、運転アドバイス装置は、記録された程度情報の値の分布状況に基づいて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であったか否かの判定基準を変化させるようになっていてもよい。
【0026】
このように、程度情報の値の分布状況に基づいて判定基準を変化させることで、車両毎(すなわちドライバー毎)に判定基準が最適化される。このようにすることで、ドライバ毎に運転内容が異なっても、それぞれのドライバに対して、多すぎもせず少なすぎもしない適度な割合で、アドバイスを行う可能性が高くなる。その結果、ドライバは、お節介感覚を感じずに段階的に運転内容を改善していける可能性が高くなる。
【0027】
また、本発明の第2の目的を達成するための請求項11に記載の発明は、ハイブリッド車両用の運転アドバイス装置が、道路区間毎に、ハイブリッド車両の現実のアクセル操作量と、走行エネルギーの節約の観点から最適なアクセル操作量との関係の情報を記録し、その記録内容に基づいて、アクセル操作量が走行エネルギーの節約にとって不適切であった道路区間を特定し、特定した道路区間のアクセル操作について注意を喚起する報知を行う。
【0028】
このように、道路区間毎に記録された過去の現実のアクセル操作量と、最適なアクセル操作量との関係の情報を用いて、アクセル操作が走行エネルギーの節約にとって不適切であった道路区間を特定することで、ドライバにとってアドバイスが必要である道路区間とそうでない道路区間とを区別し、その区別に基づいたアドバイスの実行・非実行の切り替えを行うことができる。
【0029】
また、請求項12に記載のように、運転アドバイス装置は、ハイブリッド車両の現実のアクセル操作量と最適なアクセル操作量との関係の情報として、現実のアクセル操作量が最適なアクセル操作量をどの程度超えたかを示す程度情報を記録するようになっていてもよい。
【0030】
この場合、運転アドバイス装置は、記録された程度情報の値の分布状況に基づいて、アクセル操作が走行エネルギーの節約にとって不適切であるか否かの判定基準を変化させるようになっていてもよい。
【0031】
このように、程度情報の値の分布状況に基づいて判定基準を変化させることで、車両毎(すなわちドライバー毎)に判定基準が最適化される。このようにすることで、ドライバ毎に運転内容が異なっても、それぞれのドライバに対して、多すぎもせず少なすぎもしない適度な割合で、アドバイスを行う可能性が高くなる。その結果、ドライバは、お節介感覚を感じずに段階的に運転内容を改善していける可能性が高くなる。
【0032】
また、請求項5、10、13に記載のように、本発明の各特徴は、本発明の走行計画作成装置に用いるプログラムとしても捉えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態が適用されるハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。このハイブリッド車両には、エンジン1、発電機2、モータ3、差動装置4、タイヤ5a、タイヤ5b、インバータ6、DCリンク7、インバータ8、バッテリ9、HV制御部10、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14、加速度センサ15、エンジン回転数センサ16、アクセル開度センサ17、ディスプレイ18、スピーカ19、およびナビゲーションECU20が搭載されている。
【0034】
このハイブリッド車両は、エンジン1およびモータ3を動力源として走行する。エンジン1を動力源とする場合は、エンジン1の回転力が、図示しないクラッチ機構および差動装置4を介してタイヤ5a、5bに伝わる。また、モータ3を動力源とする場合は、バッテリ9の直流電力がDCリンク7およびインバータ8を介して交流電力に変換され、その交流電力によってモータ3が作動し、このモータ3の回転力が、差動装置4を介してタイヤ5a、5bに伝わる。
【0035】
また、エンジン1の回転力は発電機2にも伝えられ、その回転力によって発電機2が交流電力を生成し、生成された交流電力はインバータ6、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される場合がある。このようなバッテリ9への充電は、燃料を使用したエンジン1の作動による充電である。以下、この種の充電を、内燃充電という。
【0036】
また、図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力がモータ3に回転力として加わり、この回転力によってモータ3が交流電力を生成し、生成された交流電力がインバータ8、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される。以下、この種の充電を、回生充電という。
【0037】
また、バッテリ9は、ハイブリッド車両の外部の電源(例えば、家庭用コンセントを介して電力を共給する電源)に接続されることで、その外部電源から電力供給を受け、受けた電力を蓄積する。以下、この種の充電を、プラグイン充電という。
【0038】
HV制御部10は、ナビゲーションECU20からの指令等に応じて、発電機2、モータ3、インバータ6、インバータ8、バッテリ9の上述のような作動の実行・非実行等を制御する。HV制御部10は、例えばマイクロコンピュータを用いて実現してもよいし、下記のような機能を実現するための専用の回路構成を有するハードウェアであってもよい。
【0039】
より具体的には、HV制御部10は、現在SOC、基準SOC、下限SOCという3つの値を記憶しており、また、以下の(A)〜(E)の処理を行う。
(A)プラグイン充電開始時に、その開始の旨をナビゲーションECU20に通知する。
(B)ナビゲーションECU20からの指令に基づいて、ハイブリッド車両の走行モードをHVモード(第1モードの一例に相当する)とEVモード(第2モードの一例に相当する)の間で切り替える。
(C)定期的に現在SOCをナビゲーションECU20に通知する。
(D)ナビゲーションECU20からの要求があった場合、基準SOC、下限SOCをナビゲーションECU20に通知する。
(E)ナビゲーションECU20からの要求があった場合、基準SOCの値を変化させる。
【0040】
SOC(State of Charge)とは、バッテリの残量を表す指標であり、その値が高いほど残量が多い。現在SOCは、現在のバッテリ9のSOCを示す。HV制御部10は、この現在SOCの値を、逐次バッテリ9の状態を検出することで、繰り返し更新する。基準SOCは、HVモード時に用いる値(例えば60パーセント)である。この値は、ナビゲーションECU20からの制御によって変更可能である。下限SOCは、これ以上低下することが許されないSOCの値(例えば30パーセント)である。
【0041】
ここで、HVモードおよびEVモードについて説明する。HVモードにおいてHV制御部10は、ハイブリッド車両の走行中、現在SOCが基準SOCの値を維持するよう、エンジン1による車両の駆動、モータ3による車両の駆動、内燃充電、および回生充電のそれぞれについての実行・非実行を切り替える。例えば、現在SOCが基準SOCを下回った場合には、内燃充電を用いることで、燃料のエネルギーをバッテリの電力エネルギーに変換する。このように、必要に応じて内燃充電を実行するという点で、HVモードは、内燃充電を許容する走行モードである。このHVモードの制御の内容は周知であるので、ここではその詳細については説明しない。
【0042】
EVモードにおいてHV制御部10は、エンジン1とモータ3のうち、主としてモータ3を用いてハイブリッド車両を駆動する。例えば、ハイブリッド車両の加速度または速度が大きすぎて、モータ3だけでその加速度または速度を達成しようとするとモータ3が損傷を受ける可能性が高いような例外的な場合にのみ、エンジン1をモータ3と併用してハイブリッド車両を駆動し、他の場合は常にモータ3だけでハイブリッド車両を駆動するようになっていてもよい。また、HV制御部10は、EVモードにおいては、回生充電は許可しても、内燃充電は許可しない。これは、EVモードの目的の1つに、バッテリ9の現在SOCを低下させることがあるためである。
【0043】
GPSセンサ11、方位センサ12、および車速センサ13は、それぞれハイブリッド車両の位置、進行方向、走行速度を特定する周知のセンサである。地図DB記憶部14は、地図データを記憶する記憶媒体である。加速度センサ15は車両の加速度を特定する周知のセンサである。勾配(傾斜角)は車速センサと加速度センサを利用し算出する。エンジン回転数センサ16は、エンジン1の回転数を検出するセンサである。アクセル開度センサ17は、車両の図示しないアクセルの開度を検出するセンサである。
【0044】
ディスプレイ18は、ナビゲーションECU20の制御に基づいて画像等を表示させる装置である。スピーカ19は、ナビゲーションECU20の制御に基づいて音声を出力する装置である。
【0045】
地図データは、複数の交差点のそれぞれに対応するノードデータ、および、交差点と交差点を結ぶ道路区間すなわちリンクのそれぞれに対応するリンクデータを有している。1つのノードデータは、当該ノードの識別番号、所在位置情報、種別情報を含む。また、1つのリンクデータは、当該リンクの識別番号(以下、リンクIDという)、位置情報、種別情報等を含んでいる。
【0046】
ここで、リンクの位置情報には、当該リンクが含む形状補完点の所在位置データ、および、当該リンクの両端のノードおよび形状補完点のうち隣り合う2つを繋ぐセグメントのデータを含んでいる。各セグメントのデータは、当該セグメントのセグメントID、当該セグメントの勾配、向き、長さ等の情報を有している。
【0047】
図2に示す様に、ナビゲーションECU20は、RAM21、ROM22、データ書き込み可能な耐久記憶媒体23、および制御部24を有している。耐久記憶媒体とは、ナビゲーションECU20の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体をいう。耐久記憶媒体23としては、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、EEPROM等の不揮発性記憶媒体、および、バックアップRAMがある。
【0048】
制御部24は、ROM22または耐久記憶媒体23から読み出したプログラムを実行し、その実行の際にはRAM21、ROM22、および耐久記憶媒体23から情報を読み出し、RAM21および耐久記憶媒体23に対して情報の書き込みを行い、HV制御部10、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14、加速度センサ15、エンジン回転数センサ16、アクセル開度センサ17、ディスプレイ18、スピーカ19等と信号の授受を行う。
【0049】
具体的には、制御部24は、ナビゲーション処理40、充電位置記録処理50、学習制御処理100、経路算出処理200、SOC管理計画作成処理300、走行時処理400、運転アドバイス処理500等の処理を、所定のプログラムを実行することで実現する。
【0050】
ナビゲーション処理40において、制御部24は、経路算出処理200によって確定した目的地点までの経路(以下、予定経路という)に沿ってハイブリッド車両を走行させるためのガイド表示を、ドライバに対して行う。
【0051】
充電位置記録処理50において、制御部24は、HV制御部10からプラグイン充電開始の通知を受ける度に、その時点においてGPSセンサ11から受けている現在位置を、充電可能地点として、耐久記憶媒体23に記録する。あるいは、制御部24は、車両が停止する度に、その時点においてGPSセンサ11から受けている現在位置を、充電可能地点として、耐久記憶媒体23に記録するようになっていてもよい。またこのとき、充電可能地点を、その地点が属するセグメントに関連付けて、耐久記憶媒体23に記録するようになっていてもよい。なお、充電可能地点とセグメントとの対応付けは、GPSセンサ11からの現在位置の情報と地図DB記憶部14からの地図データの情報を照合することで実現することができる。このような処理が、プラグイン充電を行った複数の地点で実行されることで、複数の充電可能地点の情報が耐久記憶媒体23に記録されることになる。
【0052】
学習制御処理100において、制御部24は、ハイブリッド車両が走行した道路と、当該道路の走行時におけるバッテリ9の電力消費に影響する走行状況の履歴(具体的には、後述する総走行エネルギーおよび総回生エネルギー)を、セグメント毎に、耐久記憶媒体23に記録する。図3に、学習制御処理100のフローチャートを示す。なお、この処理においては、同じセグメントでも走行方向が違えば異なるセグメントであるとして扱ってもよい。
【0053】
制御部24は、この図に示す学習制御処理100を繰り返し実行し、その繰り返しの各回において、まずステップ110で、現在の走行状況の情報を取得し、続いてステップ130で、現在の走行区間が終了したか否かを判定する。走行区間とは、道路を区切る単位(例えば、リンク、セグメント)をいう。本実施形態においては、走行区間として、セグメントを採用する。
【0054】
現在の走行区間が終了しないうちは、再度ステップ110を実行し、現在の走行区間が終了すると、続いてステップ150を実行する。したがって、制御部24は、車両の走行する各区間において、その区間内で繰り返し(例えば1秒間隔で)走行状況の情報を取得する。以下、この繰り返しの時間間隔を、サンプル期間という。
【0055】
走行状況とは、走行時の外部環境、および、走行時の車両挙動のうちいずれかまたは両方の情報をいう。走行状況の情報として取得する情報は、例えば、現在走行中のリンクのリンクID、現在走行中のセグメントのセグメントID、現在の車両の向き、当該リンクの道路種別、車両の走行エネルギー、車両の回生エネルギーがある。
【0056】
ここで、リンクID、セグメントIDは、GPSセンサ11からの現在位置の情報と地図DB記憶部14からの地図データの情報を照合することで特定することができる。また、車両の向きは方位センサ12から取得できる。また、当該道路の道路種別は、地図データから取得する。
【0057】
なお、走行エネルギーとは、サンプル期間において車両が必要としたエネルギーの量をいう。また、回生エネルギーとは、サンプル期間において車両が回生充電によって取得したエネルギー(すなわち電力量)をいう。
【0058】
図4に、ステップ110において現在のサンプル期間における走行エネルギーおよび回生エネルギーを算出するための処理を示す。この処理において制御部24は、まずステップ111で、現在の車速vおよび道路勾配θを検出する。現在の車両の速度は車速センサ13から取得できる。また、当該勾配は、地図データ中の当該リンク中のセグメントの勾配の情報を用いて取得してもよいし、車速センサと加速度センサの出力を利用して算出してもよい。
【0059】
続いてステップ113で、車両にかかるころがり摩擦抵抗力frおよび空気抵抗力faを算出する。具体的には、ころがり摩擦抵抗力frについては、あらかじめ定められた自車両のころがり摩擦係数μ(例えば0.025)、あらかじめ定められた自車両の重量m、および重力加速度gを用いて、fr=μ×g×mという式によって算出する。また、空気抵抗力faについては、あらかじめ定められた空気密度ρ(例えば1.2キログラム/立方メートル)、あらかじめ定められた自車両の空気抵抗係数CD(例えば0.35)、あらかじめ定められた自車両の前方投影面積A、および検出した車速vを用いて、fa=0.5×ρ×CD×A×v2という式によって算出する。
【0060】
続いてステップ115で、サンプル期間当りの補機の消費電力量を取得する。補機とは、車両の走行に直接関係ないが、間接的に走行を補助するための装置の総称をいう。補機の例としては、オーディオ装置、ヘッドライド、ナビゲーション装置、空気調整装置等がある。補機の消費電力量は、あらかじめ定められている。例えば、昼(午前6時から午後6時まで)は400ワット秒、夜(午後6時から午前6時まで)は500ワット秒と決められていてもよい。
【0061】
続いてステップ117で、サンプル期間当りの回生エネルギーを検出する。この検出は、回生充電の実行時にモータ3、インバータ8からの電流、電圧を監視することで実現可能である。
【0062】
続いてステップ119で、サンプル期間における走行エネルギーErを取得する。具体的には、ステップ111、113で取得した車速v、ころがり摩擦抵抗力fr、空気抵抗力faに加え、位置エネルギー項fhおよび加減速エネルギー項fvを用いて、Er=v×T×(fr+fa+fh+fv)という等式によって算出する(「新エネルギー自動車の開発」、123〜124頁、2006年11月、CMC出版参照)。
【0063】
ここで、位置エネルギー項fhは、fh=m×g×sinθという等式によって算出する。なお、勾配θは−90°〜90°の範囲をとり、上り坂の場合には正の値となり、下り坂の場合には負の値となる。したがって、位置エネルギー項fhは、重力によって車両に発生する力に起因する項である。また、加減速エネルギー項fvは、fv=m×dv/dtという等式によって算出する。なお、dv/dtは、車速vの時間微分であり、Tはサンプル期間の長さ(例えば1秒)である。
【0064】
区間の走行を終了した後のステップ150では、当該区間についてステップ110で繰り返し取得した走行エネルギーおよび回生エネルギーの情報、および過去に当該区間を走行したことがあればそのときの走行状況の情報を用いて、当該区間のID(具体的にはセグメントID)と組み合わせて最適化する。最適化された走行状況データは、セグメントIDが含まれているので、道路と、その道路における走行状況の情報とが紐付けられたデータである。
【0065】
図5に、この最適化の処理を具体的に示す。制御部24は、当該区間についての走行エネルギーおよび回生エネルギーのそれぞれ毎に、図5の処理を実行する。以下、走行エネルギーについてのみ図5の処理を例示するが、回生エネルギーについてもその作動内容は同様である。
【0066】
この最適化の処理において、制御部24は、まずステップ151で、当該区間についての既存学習情報があるか否かを判定する。すなわち、今回よりも前に当該区間を走行したときの走行状況の情報が記録されているか否かを判定する。
【0067】
この判定が否定的ならば、すなわち、今回の走行状況の情報が当該区間にとって最初のものである場合、続いてステップ152で、今回の区間内総走行エネルギー(図中では算出値と記す)を、区間内総走行エネルギーの最大値、最小値、および平均値とする。
【0068】
ここで、今回の区間内総走行エネルギーは、今回の学習制御処理100の実行において、当該区間についてステップ110で算出された走行エネルギーの積算値(すなわち、区間内の全サンプル期間についての走行エネルギーの総和)である。すなわち、今回の区間内総走行エネルギーは、今回自車両が当該区間を走行したときに費やした走行エネルギーである。
【0069】
なお、区間内総回生エネルギーは、今回の学習制御処理100の実行において、当該区間についてステップ110で算出された回生エネルギーの積算値(すなわち、区間内の全サンプル期間についての回生エネルギーの総和)である。すなわち、今回の区間内総回生エネルギーは、今回自車両が当該区間を走行したときに回収した回生エネルギーである。
【0070】
ステップ151の判定が肯定的ならば、すなわち、今回の走行状況の情報が当該区間にとって最初のものでない場合、続いてステップ153で、今回の区間内総走行エネルギーと、耐久記憶媒体23に区間内総走行エネルギーの最大値として記録されている値とを比較する。そして、その比較の結果、今回の値の方が大きければ、続いてステップ154で、今回の区間内総走行エネルギーを当該最大値とする。
【0071】
また、ステップ153の比較の結果、今回の値の方が小さければ、続いてステップ155で、今回の区間内総走行エネルギーと、耐久記憶媒体23に区間内総走行エネルギーの最小値として記録されている値とを比較する。そして、その比較の結果、今回の値の方が小さければ、続いてステップ156で、今回の区間内総走行エネルギーを当該最小値とする。
【0072】
また、ステップ152、154、155の後、および、ステップ155の比較の結果今回の値の方が大きい場合は、続いてステップ157で、当該区間についての走行回数の記録値を1回分増加させる。なお、この走行回数の記録値は、ナビゲーションECU20の製造時等にゼロに初期化されている。
【0073】
続いてステップ158では、耐久記憶媒体23に記録されている区間内総走行エネルギーに、今回算出した区間内総走行エネルギーを反映させることで、新たな区間内総走行エネルギーを算出する。具体的には、[今回の区間内総走行エネルギー+(N−1)×区間内総走行エネルギーの平均値]/Nという式を用いて算出する。ステップ158の後、ステップ150の処理は終了する。
【0074】
続いてステップ160では、最適化されたデータ(すなわち、総走行エネルギーの最大値、最小値、平均値、総回生エネルギーの最大値、最小値、平均値)を、当該区間(セグメント)についての新たな走行状況の履歴、すなわち学習情報として、耐久記憶媒体23に記録する。ステップ160の後、学習制御処理100の1回分の実行が終了する。
【0075】
このような学習制御処理100を実行することで、充電可能地点周辺のセグメントのそれぞれについての走行状況の履歴が耐久記憶媒体23に記録されることになる。図6に、耐久記憶媒体23に記録される走行状況の履歴のテーブルの一例を、当該履歴に紐付けられた道路と併せて示す。
【0076】
この走行状況の履歴のテーブルにおいては、ノード21、補完形状点25、補完形状点26、ノード22の間に挟まれたセグメント31〜33について、当該セグメントを走行したときの総走行エネルギー、総回生エネルギーが記録されている。
【0077】
また、充電位置記録処理50によって記録された充電可能地点が存在するセグメント33については、当該セグメント33が充電可能地点を含む旨の情報も当該テーブルに記録されるようになっている。
【0078】
図7に、経路算出処理200のフローチャートを示す。制御部24は、経路算出処理200の処理を、目的地点が決定する度に実行する。ここで、目的地点の決定は、操作装置を用いたユーザの入力操作に基づいて制御部24が決定してもよいし、過去の走行履歴に基づいて制御部24が決定してもよい。
【0079】
この経路算出処理200の1回分の実行において、制御部24は、まずステップ210で、現在位置(出発地点の一例に相当する)から当該目的地点までの最適な予定経路を、地図データ等に基づいて確定する。
【0080】
続いてステップ220では、目的地点が充電可能地点であるか否かを、目的地点の位置と、耐久記憶媒体23に記録された充電可能地点の位置とを比較することで判定する。そして、目的地点が充電可能地点であれば、続いてステップ230を実行し、そうでなければ経路算出処理200の1回分の実行を終了する。ステップ230では、現在SOCの情報をHV制御部10に要求し、その要求に応じてHV制御部10から送信された現在SOCの情報を受信する。
【0081】
続いてステップ240では、予定経路上の目的地点周辺の部分、すなわち、目的地点から予定経路に沿って遡る連続した区間(以下、判定区間という)内のセグメントにおける走行状況の履歴、すなわち学習情報を、耐久記憶媒体23から読み出す。
【0082】
続いてステップ250では、ステップ230および240で取得した情報に基づいて、SOC管理計画作成処理300の実行を呼び出す。このようになっていることで、制御部24は、目的地点までの予定経路を確定すると、その目的地点が充電可能地点であれば、SOC管理計画作成処理300を実行する。
【0083】
図8に、このSOC管理計画作成処理300のフローチャートを示す。このSOC管理計画作成処理300の処理においては、HV走行時に維持されているSOC(例えば60パーセント)とSOCに許される値の下限値(例えば40パーセント、30パーセント)の間で利用可能な電気エネルギーを算出し、その電気エネルギーで目的地点まで走り切れる区間(以下、EVフィニッシュ区間という)を、判定区間内における学習情報に基づいて特定する。
【0084】
具体的には、まずステップ310で、判定区間の各セグメントにおいて、当該セグメントを走行した場合にどれだけの量の電力消費があるか、すなわち当該セグメントにおける予想電気消費量を、当該セグメントについての学習情報から読み出す。具体的には、当該セグメントについての区間内総走行エネルギーを読み出し、当該セグメントについての区間内総回生エネルギーを読み出し、読み出した区間内総走行エネルギーから区間内総回生エネルギーを減算した結果のエネルギーを、当該セグメントにおける予想電気消費量とする。なお、読み出す区間内総走行エネルギーは、最大値、最小値、平均値のいずれでもよく、また、読み出す区間内総回生エネルギーは、最大値、最小値、平均値のいずれでもよい。
【0085】
続いてステップ320では、HV制御部10から取得した現在SOCから下限SOCを減算した結果を、使用可能電気量として設定する。なお、下限SOCは、現在SOCの受信と同時にHV制御部10に要求することでHV制御部10から受信するようになっていてもよいし、他のタイミングでHV制御部10に要求することでHV制御部10から受信するようになっていてもよい。
【0086】
続いてステップ330〜360においては、目的地点から予想経路を遡る方向の順に(ステップ350)、セグメントをピックアップして当該セグメントにおける予想電気消費量を順次積算していく(ステップ330、360)。そして、その積算の結果が使用可能電気量と(所定の許容誤差内で)同じになったとき(ステップ340)、その時点で最後にピックアップしているセグメントのうち、目的地点から最も遠い位置を、EVフィニッシュ区間の開始地点とする(ステップ370)。
【0087】
続いて、当該EVフィニッシュ区間におけるSOC管理計画を作成する(ステップ380)。具体的には、当該開始地点でHVモードからEVモードに切り替わり、その後EVモードが目的地点まで続く場合の、EVフィニッシュ区間におけるSOCの推移の予想を、学習情報に基づいて特定する。図9にこのようなSOCの推移の予想の一例をグラフで示す。この予想されたSOCの推移の各点における値を、目標SOCという。ステップ380の後、SOC管理計画作成処理300の1回分の実行を終了する。
【0088】
以上のようなSOC管理計画作成処理300の実行によって、目的地点までの予想経路において、目的地までEVモードを継続する区間の開始地点を特定することができる。このように、本実施形態においては、学習情報は、当該EVフィニッシュ区間の決定、および当該EVフィニッシュ区間における管理計画の決定のためのみに用いられ、それ以外の予想経路上の区間のためには用いられない。そして、本実施形態においては、EVフィニッシュ区間以外の全区間において、走行モードはHVモードとなっている。
【0089】
図10に、走行時処理400のフローチャートを示す。制御部24は、目的地点および目的地点までの予想経路が決定しており、かつ、当該予想経路についてSOC管理計画作成処理300が実行されており、かつ、ナビゲーション処理40が当該予想経路のガイド表示を行っており、かつ、ハイブリッド車両が走行しているときに、この走行時処理400を実行する。
【0090】
この走行時処理400の実行において、制御部24は、まずステップ410で、エコ制御支援情報として、現在位置等をHV制御部10に送信する。続いてステップ420では、HV制御部10から逐次送信されている現在SOCを受信する。続いてステップ430では、受信した現在SOCに基づいてSOC管理計画(すなわち、EVフィニッシュ区間の開始地点およびEVフィニッシュ区間における電気消費量の推移)を補正するために、再度SOC管理計画作成処理300を実行する。続いてステップ440で、ハイブリッド車両がEVフィニッシュ区間の開始地点に到達したか否かを判定し、まだ到達していなければ再度ステップ410を実行し、到達していれば続いてステップ450を実行する。したがって、制御部24は、自車両が開始地点に到達するまでは、現在SOCに基づくSOC管理計画の微調整が繰り返される。
【0091】
HVモードにおいては、HV制御部10は、SOCが基準SOCと同じ値になるように、エンジン1による車両の駆動、モータ3による車両の駆動、回生充電、内燃充電を適宜行うが、現実の現在SOCの値は常に基準SOCに一致するわけではなく、時々刻々と変動する。現在SOCの値が高くなればEVフィニッシュ区間の距離も長くなり、現在SOCの値が低くなればEVフィニッシュ区間の距離も短くなる。したがって、現在SOCの変動に合わせてEVフィニッシュ区間の開始地点をくり返し再計算することで、EVフィニッシュ区間の開始地点における現在SOCと目標SOCとがより正確に一致し、ひいては、目的地点でより正確に現在SOCを下限SOCまで下げることができるようになる。
【0092】
ステップ450では、EV走行開始通知をHV制御部10に送信する。これによって、HV制御部10は、走行モードをHVモードからEVモードに切り替える。続いてステップ452では、エコ制御支援情報として、現在SOC、および、現在位置に対応する目標SOCを、HV制御部10に送信する。続いてステップ454では、HV制御部10から現在SOCを受信する。
【0093】
続いてステップ460では、ハイブリッド車両が目的地点に到達したか否かをGPSセンサ11からの信号に基づいて判定し、到達するまでこのステップ460を繰り返し、到達するとステップ470を実行する。ステップ470では、HV制御部10にEV走行停止通知を送信する。これによって、HV制御部10は走行モードをEVモードからHVモードに切り替える。
【0094】
以上のように、走行時処理400を実行することで、制御部24は、まずEVフィニッシュ区間の手前のHV走行区間において(ステップ440参照)、HV制御部10から逐次受けた現在SOCに基づいて(ステップ420参照)、SOC管理計画を補正する(ステップ430参照)。そして制御部24は、EVフィニッシュ区間の開始地点にハイブリッド車両が到達すると(ステップ440参照)、HV制御部10にEVモードを開始させる(ステップ450参照)、その後、ハイブリッド車両が目的地点に到着したときに(ステップ460参照)、HV制御部10のEVモードを終了させる(ステップ470参照)。したがって、EVフィニッシュ区間の開始位置において、走行モードがHVモードからEVモードに切り替わり、その後目的地点到着までEVモードが続く。
【0095】
制御部24は、充電位置記録処理50によって充電可能地点を記録し、学習制御処理100によって充電可能地点付近の走行状況の履歴を記録する。さらに制御部24は、予定系路上の目的地点が充電可能地点であった場合(経路算出処理200のステップ220参照)、SOC管理計画作成処理300によって当該充電可能地点手前のEV走行可能な連続区間を決定し、走行時処理400によってその決定に従ってHV走行とEV走行の切り替えを行うべくHV制御部10を制御する。
【0096】
以上のように、ナビゲーションECU20は、EVフィニッシュ区間の開始地点から目的地点までの区間のすべてをEVモードを用いる区間として決定し、その区間において実際にEVモードを用いてバッテリ電力の消費を行うようになっている。このような、HVモードの区間を1つにまとめてEVフィニッシュ区間の前に配置するという、比較的簡易な方法を採用することで、充電可能地点である目的地点に到達したときにバッテリの残量が下限値になるような制御を容易に実現できる。
【0097】
また、開始地点の決定は、予定経路上のある一点から目的地点までの予定経路に沿った連続区間における電力消費量を利用して実現する。そして、この電力消費量は、過去の当該区間を走行したときのバッテリの電力消費に影響する走行状況の履歴を用いた学習処理によって決定するようになっている。このようにすることで、算出する電力消費量が、より道路および当該ハイブリッド車両の実体に即したものとなり、ひいては、より正確に、目的地点でバッテリ残量を下限値に低下させることができる。
【0098】
また、ナビゲーションECU20は、予定経路のうち、EVフィニッシュ区間のみにおいて、学習情報を用いてバッテリの電力消費量を算出するようになっている。このようになっていることで、予想経路のすべてにおいて学習情報を用いる場合に比べて、ナビゲーションECU20の処理負荷が低減する。
【0099】
また、ナビゲーションECU20は、複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を走行したときに、当該1つの道路区間の区間内総走行エネルギーおよび区間内総回生エネルギーを耐久記憶媒体23に記録する(学習制御処理100参照)。さらにナビゲーションECU20は、記録した複数の道路区間のそれぞれについての区間内総走行エネルギーと区間内総回生エネルギーの差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの内燃機関およびモータの使用の切り替えについて走行計画を作成する(具体的には、EVフィニッシュ区間等を決定する。SOC管理計画作成処理300参照)。
【0100】
このように、ナビゲーションECU20は、各道路区間について走行エネルギーおよび回生エネルギーを記録し、それらの差、すなわち当該区間を走行するときの車両のエネルギー蓄積量の総減少分に基づいて走行計画を作成する。
【0101】
従来のように過去の車速に基づいて走行計画を作成する場合であっても、その過去の車速から消費エネルギーを算出した上で走行計画を作成するのが通常である。したがって、本発明のように、区間を走行するときの車両のエネルギー蓄積量の総減少分という、走行計画を作成する上で最も直接的なデータを記録して後に使用することで、走行計画の燃費効率を向上させることができる。
【0102】
また、ナビゲーションECU20は、ある道路区間を複数回走行した場合、当該1つの道路区間の区間内総走行エネルギーの当該複数回に渡る平均値、最小値、最大値、および当該1つの道路区間の区間内総回生エネルギーの当該複数回に渡る平均値、最小値、最大値を、記憶媒体に記録して走行計画の作成に使用するようになっている。
【0103】
ある区間の区間内総走行エネルギーおよび区間内総回生エネルギーは、車速とは異なり、その区間の複数回の走行に渡る平均値として記録しても、当該区間中の減速位置、加速位置のずれの存在に関わらず、必要な情報が失われてしまう可能性が低い。これは、ある区間の車速変化の全体的な様子が、走行機会毎に大きく変わらないなら、減速位置、加速位置が多少ずれても、走行エネルギーの総量および回生エネルギーの総量に大きな変化はないという性質に起因するものである。
【0104】
次に、運転アドバイス処理500について説明する。図17に、運転アドバイス処理500のフローチャートを示す。制御部24は、学習制御処理100の実行中に、この運転アドバイス処理500を、学習制御処理100と並列的に、繰り返し(例えば1秒周期で)実行する。
【0105】
図17に示すように、運転アドバイス処理500の実行において制御部24は、まずステップ510で、経路情報を取得することで、目的地までの予定経路、自車両が現在走行している道路区間、および、自車両が次に入る道路区間等を特定する。
【0106】
続いてステップ520では、現在の道路区間についてのブレーキ学習情報(具体的には、後述するブレーキレベル)が耐久記憶媒体23に記録されているか否かを判定し、記録されていれば続いてステップ525でブレーキ支援処理を実行し、記録されていなければ続いてステップ530を実行する。
【0107】
またステップ530では、現在の道路区間についてのアクセル学習情報(具体的には、後述するアクセルレベル)が耐久記憶媒体23に記録されているか否かを判定し、記録されていれば続いてステップ540でアクセル支援処理を実行し、記録されていなければ続いてステップ550のブレーキインジケータ表示を実行する。
【0108】
ステップ525、540、550のそれぞれに続いては、ステップ560で学習処理を行う。この学習処理において、現在の道路区間についてのアクセル学習情報およびブレーキ学習情報が耐久記憶媒体23に記録されるようになる。したがって、車両が走行中に運転アドバイス処理500を繰り返し実行することで、車両が走行した道路区間のそれぞれについて、必要に応じてアクセル学習情報およびブレーキ学習情報が耐久記憶媒体23に記録されていく。
【0109】
通常、1つの道路区間においてアクセル学習情報およびブレーキ学習情報の両方が記録されることはない。したがって、運転アドバイス処理500を1回実行することで、制御部24は、現在の道路区間についてブレーキ学習情報があればブレーキ支援処理を行い、現在の道路区間についてアクセル学習情報があればアクセル支援処理を行い、どちらもなければブレーキインジケータ表示を行う。両方が記録されていた場合は,ブレーキインジケータ表示を行う。そして、いずれの場合も学習処理は行う。
【0110】
ここで、ステップ560の学習処理についてまず説明する。図18に、学習処理の詳細をフローチャートで示す。この学習処理において制御部24は、まずステップ561で、今回の時間区間における潜在回生エネルギーを算出する。今回の時間区間とは、時間を運転アドバイス処理500の実行周期Tで分割した時間区間のうち、今回の運転アドバイス処理500の実行タイミングが属する区間をいう。
【0111】
また、潜在回生エネルギーとは、ブレーキ操作によってハイブリッド車両から奪われた運動エネルギーをいう。したがって、潜在回生エネルギーは、ブレーキ操作量が大きくなれば大きくなり、ブレーキ操作量が小さくなれば小さくなる値(すなわちブレーキ操作量に相当する量)である。
【0112】
例えば、車両か坂道を下っているとき、今回の時間区間の間に坂道を下ったことで得た位置エネルギー(ただし、空気抵抗等の要因によるエネルギー散逸は除く)は、ブレーキをかけなければ車両の運動エネルギーとなるはずである。もし車両が今回の時間区間の区間で坂道を下ったにもかかわらず車速が変化しなかったなら、当該位置エネルギー(ただし、空気抵抗等の要因によるエネルギー散逸は除く)が、ブレーキ操作によってハイブリッド車両から奪われた運動エネルギーとなる。
【0113】
また例えば、車両か平坦地で減速した場合、その減速によって減少した車両の運動エネルギー(ただし、空気抵抗等の要因によるエネルギー散逸は除く)は、ブレーキをかけなければ車両の運動エネルギーのままであったはずである。したがってこの場合、減速によって減少した車両の運動エネルギー(ただし、空気抵抗等の要因によるエネルギー散逸は除く)は、ブレーキ操作によってハイブリッド車両から奪われた運動エネルギーとなる。
【0114】
バッテリ9の電力回収能力に限界がなければ、潜在回生エネルギーはすべてバッテリ9に充電されるはずである。その意味で、潜在回生エネルギーは、理想的には本来得られるはずの回生エネルギーである。
【0115】
しかし、実際には、バッテリ9の電力回収能力には限界があるので、潜在回生エネルギーのすべてをバッテリ9に蓄積することができない場合がある。このような場合は、回生充電の効率の観点からは、ブレーキの踏み過ぎであると言える。
【0116】
例えば、車両が図19に示すような道路区間A、B、Cを走行する場合において、各道路区間の道路勾配が実線71のようになっており、車両の走行速度が実線72のように変化する場合を考える。
【0117】
道路区間Aにおいては、下り坂となっており、範囲73の手前においてはドライバはブレーキを操作せず、その結果、車両が加速し続けている。この場合は、潜在回生エネルギーはゼロとなっている。
【0118】
範囲73においては、ドライバは急ブレーキ操作を行うことで、車両の速度が急激に減少する。このとき、ブレーキ操作によってハイブリッド車両から奪われた運動エネルギーは、車両の減速に応じて失われた運動エネルギーと、車両が範囲73の坂を下ったことによって得た位置エネルギー(ただし、空気抵抗等の要因によるエネルギー散逸は除く)の総和61となる。このような急ブレーキを行った場合は、潜在回生エネルギー61がバッテリ9の回収限界62を超えてしまう場合が多い。
【0119】
同様に道路区間Bにおいても下り坂となっており、範囲74の手前においてはドライバはブレーキを操作せず、その結果、車両が加速し続けており、範囲74においては、ドライバが急ブレーキ操作を行うことで、車両の速度が急激に減少する。このとき、ブレーキ操作によってハイブリッド車両から奪われた運動エネルギーは、車両の減速に応じて失われた運動エネルギーと、車両が範囲74の坂を下ったことによって得た位置エネルギー(ただし、空気抵抗等の要因によるエネルギー散逸は除く)の総和63となり、潜在回生エネルギー63がバッテリ9の回収限界64を超えてしまう場合が多い。
【0120】
本実施形態においては、ブレーキ操作が行われると回生充電が実行される。したがって
潜在回生エネルギーE0の算出式としては、以下のようなものを用いる。
【0121】
E0=−v×T×α×(fh+fv)
ここで、位置エネルギー項fh、加減速エネルギー項fvの意味は、上述の通りである。また、時間Tは、運転アドバイス処理500の実行周期である。また、車速v、位置エネルギー項fh、加減速エネルギー項fvは、今回の時間区間における値である。また、値αは、空気抵抗等のエネルギー散逸を考慮した所定の変換効率(1以下の値、例えば0.8)である。
【0122】
続いてステップ563では、実回生エネルギーを算出する。実回生エネルギーとは、今回の時間区間において回生充電によって現実にバッテリ9に蓄積されたエネルギーをいう。この実回生エネルギーの算出は、回生充電の実行時にモータ3、インバータ8からの電流、電圧を監視し、その監視結果の値を利用することで算出可能である。
【0123】
続いてステップ565では、必要に応じてブレーキレベルを耐久記憶媒体23に記録する。具体的には、ステップ561で算出した潜在回生エネルギーが、ステップ563で算出した実回生エネルギー以上の基準値(例えば実回生エネルギーの1.2倍の値)より高いか低いかを判定し、高い場合は、現在走行中の道路区間のブレーキレベルを特定して耐久記憶媒体23に記録する。
【0124】
ブレーキレベルは、潜在回生エネルギーを実回生エネルギーで除算した除算値に基づいて、この除算値が大きいほどブレーキレベルが高くなるように特定する。例えば、除算値が1.2より大きく1.5以下である場合、ブレーキレベルを1とし、除算値が1.5より大きく2.0以下である場合、ブレーキレベルを2とし、除算値が2.0より大きい場合、ブレーキレベルを3とする。
【0125】
ただしステップ565では、現在の道路区間を走行し始めてから現在までに、今回の時間区間で特定したブレーキレベルよりも高いブレーキレベルを既に記録済みの場合には、今回の時間区間で特定したブレーキレベルは耐久記憶媒体23に記録しない。
【0126】
このようになっていることで、車両がある道路区間の走行を終えた時点では、その道路区間において特定した最も高いブレーキレベルが、当該道路区間のブレーキレベルとして、耐久記憶媒体23に記録されることになる。ただし、1度走行した時のブレーキレベルが高く、報知を行うことでドライバがブレーキングを修正した区間はブレーキレベルが低くても最新のブレーキレベルを記憶するようにする。
なおこの際、制御部24は、潜在回生エネルギーを実回生エネルギーで除算した結果の値を耐久記憶媒体23に記録するようになっていてもよい。
【0127】
このようになっていることで、車両が図19に示すような道路区間A、B、Cを走行する場合において道路区間A、Bに関しては、それぞれ範囲73、74の潜在回生エネルギーに応じたブレーキレベルが耐久記憶媒体23に記録され、道路区間Cに関しては、ブレーキレベルが記録されない。
【0128】
続いてステップ566では、エンジン回転数センサ16からの信号に基づいて現在のエンジン回転数を特定する。続いてステップ567では、加速度センサ15からの信号に基づいて現在の車両の加速度を特定する。
【0129】
続いてステップ569では、必要に応じてアクセルレベルを耐久記憶媒体23に記録する。具体的には、車両毎にあらかじめ設定された最適アクセル開度マップを利用して現在の最適アクセル開度を特定し、特定した最適アクセル開度以上の基準値(例えば最適アクセル開度の1.2倍の値)よりも現在のアクセル開度が大きいか否かを判定し、大きい場合は、現在走行中の道路区間のアクセルレベルを特定して耐久記憶媒体23に記録する。なお、現在のアクセル開度はアクセル開度センサ17からの信号に基づいて特定する。
【0130】
ここで、最適アクセル開度マップについて説明する。最適アクセル開度マップは、エンジン回転数と加速度の異なる組毎に異なる最適アクセル開度を割り当てるマップであり、耐久記憶媒体23にあらかじめ(例えば車両の出荷時)記録されている。ここでいう最適アクセル開度とは、車両の動力エネルギー(すなわち、ガソリン燃料および充電電力)の節約にとって最適なアクセル開度である。
【0131】
制御部24は、ステップ566で特定したエンジン回転数およびステップ567で特定した加速度を、この最適アクセル開度マップに適用することで、現在の最適アクセル開度を特定する。
【0132】
アクセルレベルは、現在の実際のアクセル開度を最適アクセル開度で除算した除算値に基づいて、この除算値が大きいほどアクセルレベルが高くなるように特定する。例えば、除算値が1.2より大きく1.5以下である場合、アクセルレベルを1とし、除算値が1.5より大きく2.0以下である場合、アクセルレベルを2とし、除算値が2.0より大きい場合、アクセルレベルを3とする。
【0133】
ただしステップ569では、現在の道路区間を走行し始めてから現在までに、今回の時間区間で特定したアクセルレベルよりも高いアクセルレベルを既に記録済みの場合には、今回の時間区間で特定したアクセルレベルは耐久記憶媒体23に記録しない。
【0134】
このようになっていることで、車両がある道路区間の走行を終えた時点では、その道路区間において特定した最も高いアクセルレベルが、当該道路区間のアクセルレベルとして、耐久記憶媒体23に記録されることになる。
【0135】
ただし、1度走行した時のアクセルレベルが高く、報知を行うことでドライバがアクセルワークを修正した区間はアクセルレベルが低くても最新のアクセルレベルを記憶するようにする。
【0136】
なおこの際、制御部24は、現実のアクセル開度を最適アクセル開度で除算した結果の値を耐久記憶媒体23に記録するようになっていてもよい。
【0137】
このようになっていることで、車両が図20に示すような道路区間D、E、Fを走行する場合において、車両の現実のアクセル開度が実線75のように変化し、最適アクセル開度が点線76となるような場合を考える。このような場合は、地点65および地点66において、現実のアクセル開度が最適アクセル開度を大きく超えるような急加速となっているので、道路区間D、Eに関しては、それぞれ地点65、66のアクセル開度に応じたアクセルレベルが耐久記憶媒体23に記録され、道路区間Fに関しては、アクセルレベルが記録されない。
【0138】
次に、図17のステップ525のブレーキ支援処理について説明する。図21に、このブレーキ支援処理の詳細のフローチャートを示す。制御部24は、ブレーキ支援処理において、まずステップ532で、対象の道路区間がブレーキ過多地点であるか否かを判定する。対象の道路区間は、現在自車両が走行中の道路区間でもよいし、予定経路によれば次に自車両が走行する道路区間でもよい。
【0139】
対象の道路区間がブレーキ過多地点であるか否かは、対象の道路区間について耐久記憶媒体23に記録されたブレーキレベルが、基準ブレーキレベル以上であるか否かで判定する。基準ブレーキレベルは、耐久記憶媒体23に記録されているすべてのブレーキレベルの値の個数分布状況に基づいて決定する。すなわち、ブレーキレベルが大きい方に分布が偏っている場合(例えば分布の中央値がより大きい場合)と、ブレーキレベルが小さい方に分布が偏っている場合(例えば分布の中央値がより小さい場合)とを比べた場合、前者の方が基準レベルが大きくなるようにする。
【0140】
より具体的には、レベルの高い方の所定の割合(例えば30パーセント)が少なくとも基準レベル以上となり、かつ、基準レベルが最も高くなるよう、基準レベルを決定する。なお、ここでいうパーセンテージは、耐久記憶媒体23に記録されたブレーキレベルの総個数に対する割合である。図22に、所定の割合が30パーセントである場合の、ブレーキレベルの分布と基準レベルとの関係を示す。
【0141】
上段の例においては、耐久記憶媒体23に記録された複数の道路区間についてのブレーキレベルの値の個数分布は、レベル1が40パーセント、レベル2が30パーセント、レベル3が30パーセントである。この場合、基準レベルはレベル3となる。中段の例においては、レベル1が10パーセント、レベル2が30パーセント、レベル3が60パーセントである。この場合、基準レベルはレベル2となる。下段の例においては、レベル1が10パーセント、レベル2が10パーセント、レベル3が80パーセントである。この場合、基準レベルはレベル1となる。
【0142】
対象の道路区間がブレーキ過多地点でないと判定した場合、ブレーキ支援処理を終了する。ブレーキ過多地点であると判定した場合、続いてステップ534で、対象の道路区間の走行がブレーキ過多である旨の報知を、ディスプレイ18またはスピーカ19を用いて行うことで、ブレーキ操作に対するドライバの注意を喚起する。
【0143】
なおこのとき、前回当該道路区間を走行した際における、潜在回生エネルギーを実回生エネルギーで除算した結果の値の記録値を耐久記憶媒体23から読み出してディスプレイ18に表示させるようになっていてもよい。このような表示を行うことで、よりドライバに具体的なブレーキワークの指標を与えることができる。
【0144】
続いてステップ536では、ブレーキインジケータをディスプレイ18に表示させる。図23に、ブレーキインジケータの表示例を示す。図23に示すように、ブレーキインジケータは、縦に等間隔に並んだ矩形部81a〜81fを複数有し、さらに、横棒82を有している。
【0145】
矩形部81a〜81fの表示個数、すなわち、矩形部総体の縦の長さは、現在の潜在回生エネルギーを回収限界で除算した結果の除算値であり、横棒82の縦方向の位置は、当該除算値が1となる位置に相当する。
【0146】
このような、潜在回生エネルギーと回収限界との比較を表示することにより、ドライバは、潜在回生エネルギーが回収限界に対してどの程度超過しているか、あるいは、潜在回生エネルギーが回収限界に到達するまでまだどれくらい余裕があるか等を、視覚的に容易に把握することができる。
【0147】
なお、潜在回生エネルギーの算出方法は、図18のステップ561と同じである。また、バッテリ9の時間区間T当りの充電可能量である回収限界(ブレーキ操作によって現に回生充電可能なエネルギーに相当する)は、固定値となっていてもよいし、バッテリ9の温度、バッテリ9に流れる電流値、バッテリ9の蓄電量に基づいて変化させるようになっていてもよい。
【0148】
なお、矩形部81a〜81fのうち、横棒82よりも上に配置される部分、すなわち、潜在回生エネルギーのうち回収限界を超える部分は、横棒82よりも下に配置される部分とは異なる色で表示させるようになっていてもよい。このようになっていることで、ドライバは、潜在回生エネルギーが回収限界を超えたか否かを容易に視認することができる。ステップ536の後、ブレーキ支援処理を終了する。
【0149】
次に、図17のステップ540のアクセル支援処理について説明する。図24に、このアクセル支援処理の詳細のフローチャートを示す。制御部24は、アクセル支援処理において、まずステップ542で、対象の道路区間が急加速地点であるか否かを判定する。対象の道路区間は、現在自車両が走行中の道路区間でもよいし、予定経路によれば次に自車両が走行する道路区間でもよい。
【0150】
対象の道路区間が急加速地点であるか否かは、対象の道路区間について耐久記憶媒体23に記録されたアクセルレベルが、基準アクセルレベル以上であるか否かで判定する。基準アクセルレベルは、耐久記憶媒体23に記録されているすべてのアクセルレベルの値の分布状況に基づいて決定する。すなわち、アクセルレベルが大きい方に分布が偏っている場合と、アクセルレベルが小さい方に分布が偏っている場合とを比べた場合、前者の方が基準レベルが大きくなるようにする。より具体的には、ブレーキレベルについての基準レベルと同じように特定する。
【0151】
対象の道路区間が急加速地点でないと判定した場合、アクセル支援処理を終了する。急加速地点であると判定した場合、続いてステップ544で、対象の道路区間の走行が急加速地点である旨の報知を、ディスプレイ18またはスピーカ19を用いて行うことで、アクセル操作に対するドライバの注意を喚起する。
【0152】
なおこのとき、前回当該道路区間を走行した際における、現実のアクセル開度を最適アクセル開度で除算した結果の値の記録値を耐久記憶媒体23から読み出してディスプレイ18に表示させるようになっていてもよい。このような表示を行うことで、よりドライバに具体的なアクセルワークの指標を与えることができる。
【0153】
続いてステップ546では、アクセルインジケータをディスプレイ18に表示させる。図25に、アクセルインジケータの表示例を示す。図25に示すように、アクセルインジケータは、斜め方向に等間隔に並んだ矩形部83a〜83fを複数有し、さらに、横棒84を有している。
【0154】
矩形部83a〜83fの表示個数、すなわち、矩形部総体の当該斜め方向の長さは、現在のアクセル開度を最適アクセル開度で除算した結果の除算値であり、横棒84の当該斜め方向の位置は、当該除算値が1となる位置に相当する。
【0155】
このような、現在のアクセル開度と最適アクセル開度との比較を表示することにより、ドライバは、現在のアクセル開度が最適アクセル開度に対してどの程度超過しているか、あるいは、現在のアクセル開度が最適アクセル開度に到達するまでまだどれくらい余裕があるか等を、視覚的に容易に把握することができる。
【0156】
なお、対象の道路区間の最適アクセル開度の特定方法は、図18のステップ569における方法と同じである。
【0157】
なお、矩形部83a〜83fのうち、横棒84よりも上に配置される部分、すなわち、現実のアクセル開度のうち最適アクセル開度を超える部分は、横棒84よりも下に配置される部分とは異なる色で表示させるようになっていてもよい。このようになっていることで、ドライバは、現実のアクセル開度が最適アクセル開度を超えたか否かを容易に視認することができる。ステップ546の後、アクセル支援処理を終了する。
【0158】
なお、制御部24は、図17のステップ550でも、図21のステップ536と同様のブレーキインジケータを表示させる。
【0159】
以上説明した通り、制御部24は、学習制御処理100を実行して回生エネルギー等を記録しているときに、ハイブリッド車両のドライバに対し、ブレーキ操作によってハイブリッド車両から奪われた運動エネルギー(すなわち潜在回生エネルギー)と、ブレーキ操作によって現に回生充電可能なエネルギーとの比較の報知を行う(図17のステップ525、550、図21、図23参照)。
【0160】
このように、制御部24によってブレーキ操作に関する報知が行われることで、ドライバは、潜在回生エネルギーが現に回生充電可能なエネルギーを上回らないよう、適切なブレーキ操作を行いながら走行する可能性が高くなる。すると、並行して記録されている回生エネルギーのばらつきが少なくなり、その結果、走行計画の精度が高まる。
【0161】
また、制御部24は、学習制御処理100を実行して走行エネルギー等を記録しているときに、ハイブリッド車両のドライバに対し、現実のアクセル開度と、車両の動力エネルギーの節約にとって最適なアクセル開度との比較の報知を行うようになっている(図17のステップ540、図24、図25参照)。
【0162】
このように、制御部24によってアクセル操作に関する報知が行われることで、ドライバは、現実のアクセル開度が最適アクセル開度を上回らないよう、適切なアクセル操作を行いながら走行する可能性が高くなる。すると、並行して記録されている走行エネルギーのばらつきが少なくなり、その結果、走行計画の精度が高まる。
【0163】
また、制御部24は、道路区間毎に、ハイブリッド車両のブレーキ操作量(具体的には、潜在回生エネルギー)と回生充電量との関係の情報を記録し、その記録内容に基づいて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であった道路区間を特定し(図21のステップ532参照)、特定した道路区間のブレーキ操作について注意を喚起する報知を行う(ステップ534、536参照)。
【0164】
このように、道路区間毎に記録された過去のブレーキ操作と回生充電量との関係の情報を用いて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であった道路区間を特定することで、ドライバにとってアドバイスが必要である道路区間とそうでない道路区間とを区別し、その区別に基づいたアドバイスの実行・非実行の切り替えを行うことができる。
【0165】
更に制御部24は、ハイブリッド車両のブレーキ操作量と回生充電量との関係の情報として、潜在回生エネルギーが、ブレーキ操作によって現に回生充電可能であったエネルギー(すなわち実回生エネルギー)をどの程度超えたかを示す程度情報(具体的には除算値)を記録する(図18のステップ561〜565参照)。そして制御部24は、記録された程度情報の値の分布状況に基づいて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であったか否かの判定基準(具体的には基準レベル)を変化させる。
【0166】
このように、程度情報の値の分布状況に基づいて判定基準を変化させることで、車両毎(すなわちドライバー毎)に判定基準が最適化される。このようにすることで、ドライバ毎に運転内容が異なっても、それぞれのドライバに対して、多すぎもせず少なすぎもしない適度な割合で、アドバイスを行う可能性が高くなる。その結果、ドライバは、お節介感覚を感じずに段階的に運転内容を改善していける可能性が高くなる。
【0167】
また制御部24は、道路区間毎に、ハイブリッド車両の現実のアクセル操作量と、走行エネルギーの節約の観点から最適なアクセル操作量との関係の情報を記録し、その記録内容に基づいて、アクセル操作量が走行エネルギーの節約にとって不適切であった道路区間を特定し(図24のステップ542参照)、特定した道路区間のアクセル操作について注意を喚起する報知を行う(ステップ544、546参照)。
【0168】
このように、道路区間毎に記録された過去の現実のアクセル操作量と、最適なアクセル操作量との関係の情報を用いて、アクセル操作が走行エネルギーの節約にとって不適切であった道路区間を特定することで、ドライバにとってアドバイスが必要である道路区間とそうでない道路区間とを区別し、その区別に基づいたアドバイスの実行・非実行の切り替えを行うことができる。
【0169】
また、制御部24は、ハイブリッド車両の現実のアクセル操作量と最適なアクセル操作量との関係の情報として、現実のアクセル操作量が最適なアクセル操作量をどの程度超えたかを示す程度情報(具体的には除算値)を記録するようになっている(図18のステップ566〜569参照)。
【0170】
この場合、制御部24は、記録された程度情報の値の分布状況に基づいて、アクセル操作が走行エネルギーの節約にとって不適切であるか否かの判定基準(具体的には基準レベル)を変化させる。
【0171】
このように、程度情報の値の分布状況に基づいて判定基準を変化させることで、車両毎(すなわちドライバー毎)に判定基準が最適化される。このようにすることで、ドライバ毎に運転内容が異なっても、それぞれのドライバに対して、多すぎもせず少なすぎもしない適度な割合で、アドバイスを行う可能性が高くなる。その結果、ドライバは、お節介感覚を感じずに段階的に運転内容を改善していける可能性が高くなる。
【0172】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態のナビゲーションECU20は、第1実施形態と同じ構成に加え、無線通信装置(図示せず)を有し、その無線通信装置を用いて情報センタと無線通信するようになっている。
【0173】
また、本実施形態のGPSセンサ11は、GPS衛星の分布状態を原因とした水平方向の精度の低下を表すHDOP(Horizonal Dilution Precis
ion)と呼ばれる精度情報をも制御部24に出力する。そして制御部24は、このGPSセンサ11から入力される精度情報から自車の現在位置の精度を表す位置自信度を特定する。なお、本実施形態における位置自信度は、現在位置の精度が高いほど大きく、現在位置の精度が低いほど小さくなる。
【0174】
図11は、情報センタ35とナビゲーションECU20との間の通信の手順を例示するシーケンス図である。情報センタ35は、多数のプローブ車36の走行に伴って収集された道路区画毎の交通流を表す交通流情報を格納するデータベースを有するサーバとして構成されている。
【0175】
情報センタ35は、図11に示すように、多数のプローブ車36の走行に伴って収集された走行情報を受信すると統計処理を行い(ステップ510)、データベースに格納する。なお、プローブ車36によって収集される走行情報には、交通流を示す交通流情報としてセグメント毎(またはリンク毎)の平均車速が含まれている。情報センタ35は、図12に示すように、多数のプローブ車36から平均車速を受信するとセグメント毎に一定時間(例えば、10分)毎の平均車速を算出してデータベースに格納する。
【0176】
次に、情報センタ35は、データベースに格納された交通流情報に対して分類処理を行う(ステップ520)。情報センタ35は、データベースに格納されたセグメント毎の交通流情報の特性に従って走行情報を時間帯別、曜日、祝祭日別に複数のグループに分類した分類情報を生成し、データベースの別領域に格納する。
【0177】
図13に、分類情報の構成例を示す。例えば、道路区間1(セグメント1)の7時〜9時までの平均車速が時速20キロメートル未満、それ以外(9時〜7時)の平均車速が時速20キロメートル以上となっている場合、図中の道路1に示すように、7時〜9時のグループとそれ以外(9時〜7時)のグループの2つに分類される。同様に、各道路区間(セグメントN)に対して平均車速の特性に従って複数のグループに分類される。更に、平日と祝日といったように、曜日および祝祭日別に分類される。
【0178】
本実施形態におけるナビゲーションECU20の制御部24は、ナビゲーションECU20が初めて起動されたとき、または、予め設定されたメンテナンス時期になると、図11に示したように、情報センタ35から分類情報を取得し、この分類情報に従って複数の時間帯別に分類した学習データベースを構築する学習データベース構築処理を行う(ステップ530)。
【0179】
図14に、学習データベースの構成を示す。この学習データベースは、第1実施形態における走行状況の履歴のテーブルに代わって学習情報として機能する。この学習データベースは、走行エネルギー用の学習データベースと、回生エネルギー用の学習データベースとに分かれるが、いずれの学習データベースも、図14のような構成となっている。
【0180】
各学習データベースは、道路種別毎に設定された基準値を格納するための基準値格納部B、この基準値Bからの乖離の度合い別に走行回数(初期値はゼロ)を格納するための複数の乖離度別回数格納部A、後述する統計自信度(ばらつき度の一例に相当する)を格納するための統計自信度格納部C、自車の走行によって収集された走行状況(区間内総走行エネルギーまたは区間内総回生エネルギー)の複数走行機会に渡る代表値(最大値、最小値、および平均値)を格納するための代表値格納部D、GPSセンサ11からの精度情報に基づく位置自信度を格納する位置自信度格納部Eが設けられている。なお、乖離度別回数格納部Bは、基準値を基準として所定量(例えば、走行エネルギー用の学習データベースの場合2.5キロワット秒)毎に分割されている。
【0181】
これらの各格納部は、情報センタ35により生成された分類情報の分類に従って、時間帯別、曜日、祝祭日別に分類されている。本実施形態では、自車両の走行に伴って収集した道路区間(本実施形態においてはセグメント)毎の走行状況を学習データベースの分類に従って記録する。
【0182】
また、本実施形態の制御部24は、図3に示した学習制御処理100のステップ150の処理として、図5に示した処理に代えて、図15に示す処理を実行する。なお、図15の処理は、走行エネルギー用の学習データベースおよび回生エネルギー用の学習データベースのそれぞれに対して別々にされる。以下では、図15の処理について、走行エネルギー用の学習データベースに対するものについてのみ説明するが、回生エネルギー用の学習データベースに対する処理の内容も、走行エネルギーと回生エネルギーの違いを除いて同じである。
【0183】
制御部24は、この図15の処理において、まず、学習データベースの基準値格納部Bに、対象セグメント(すなわち図3のステップ130で走行終了したと判定したセグメント)の道路種別に応じた基準値を記憶させる(ステップ600)。この基準値は、道路種別毎に(例えば地図DB記憶部において)割り当てられた、対象セグメントの標準車速、勾配、および全長に基づいて、対象セグメントを走行するときに必要な総走行エネルギーとして決定する。図16(a)には、走行エネルギーの基準値として、20キロワット秒が例示されている。
【0184】
次に、対象セグメントの道路識別情報であるセグメントID、および位置自信度を特定する(ステップ602)。次に、現在時刻を特定し、収集した走行状況の保存先を決定する(ステップ604)。例えば、月曜日の7時30分の場合、学習データベースの保存先を平日の7時〜9時に決定する。次に、学習データベースの当該保存先に過去の走行機会における走行状況が既に記録されているか否かを判定する(ステップ606)。
【0185】
記録されている場合、ステップ606の判定はNOとなり、次に、ステップ604にて決定された保存先に、図3のステップ110にて収集された走行状況を記録する(ステップ608)。例えば、対象セグメントが道路1で、ステップ110で繰り返し算出された走行エネルギーの対象セグメント内の積算値(すなわち区間内総走行エネルギー)が22キロワット秒である場合、図16(a)に示すように、ステップ604にて決定された保存先の代表値格納部Dに、走行状況として当該区間(本実施形態においてはセグメント)内総走行エネルギーの最大値、最小値、および平均値として、等しく22キロワット秒を記録する。
【0186】
次に、統計自信度を100として学習データベースの統計自信度格納部Cに記憶させる(ステップ610)。統計自信度は、同じ保存先の(すなわち、同種の時間帯、曜日、および区間の)複数の機会に渡って取得された走行状況の複数のサンプル(具体的には、走行エネルギーについての複数のサンプル)のばらつきの度合いを示す値である。具体的には、統計自信度は、0から100までの値を取り、上記サンプルの標準偏差が大きくなるほど(すなわちばらつきが大きくなるほど)小さくなる値である。
【0187】
次に、位置自信度を、学習データベースの保存先の位置自信度格納部Eに記録する(ステップ612)。次に、今回の走行機会における区間内総走行エネルギーに対応した乖離度別回数格納部A中の走行回数を1だけ増加させる(ステップ614)。例えば、今回算出した区間内総走行エネルギーが22キロワット秒である場合、20〜22.5キロワット秒の範囲をカバーする+2.5キロワット秒の乖離度別回数格納部Aの走行回数を0から1にし、本処理を終了する。
【0188】
このように、自車両が対象セグメントの終点(換言すれば次の対象セグメントの始点)に到達する度に、制御部24が上記処理を実施し、当該セグメントについての区間内総走行エネルギーが学習データベースに記憶される。
【0189】
そして、自車両が再度、学習データベースに走行状況を記憶した区間を走行した機会においては、ステップ606の判定はYESとなり、次に、今回の区間内総走行エネルギーに対応する乖離度別回数格納部A中の走行回数を1回分増加させる(ステップ615)。例えば、今回算出した区間内総走行エネルギーが24キロワット秒である場合、22.5〜25キロワット秒をカバーする+5キロワット秒の乖離度別回数格納部Aに走行回数1を加算する。
【0190】
次に、ステップ604にて決定された保存先の代表値格納部Dに、収集された走行状況と過去の走行状況を平均化して記録する処理を行う(ステップ616)。具体的には、今回算出した区間内総走行エネルギーと、既に記憶されている区間内総走行エネルギーの最大値、最小値、平均値とを用いて、第1実施形態の図5と同様の処理で、新たな区間内総走行エネルギーの最大値、最小値、平均値を決定し、その最大値、最小値、平均値を新たな走行状況として当該代表値格納部Dに記録する。このようにして、図16(b)の走行情報の格納部に区間内総走行エネルギーの代表値(例えば、最大値24キロワット秒、最小値22キロワット秒、平均値22.5キロワット秒)が格納される。
【0191】
次に、統計自信度を特定し、当該保存先の統計自信度格納部Cに記録する処理を行う(ステップ618)。ここで特定する統計自信度は、当該保存先乖離度別回数格納部Aのそれぞれに現在記録されている走行回数に基づいて算出する。具体的には、乖離度別回数格納部Aのそれぞれに割り当てられた数値範囲の代表値(例えば+5の乖離度別回数格納部Aの代表値は25キロワット秒)となっている区間内総走行エネルギーが、当該格納部Aに記録されている走行回数分だけあるとみなして、統計自信度を算出する。このようにして、図16(b)に例示するように、統計自信度格納部Bに例えば75が格納される。
【0192】
次に、位置自信度を記録する(ステップ620)。具体的には、新たに算出した位置自信度と、既に記憶されている位置自信度とを逐次平均して求めた値を新たな位置自信度として位置自信度格納部Eに格納する。このようにして、図16(b)の位置自信度の格納部に例えば77が格納される。
【0193】
このように、情報センタ35のデータベースに格納された交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した走行エネルギー用の学習データベースおよび回生エネルギー用の学習データベースを構築し、収集した区間内総走行エネルギーおよび区間内総回生エネルギーを用いて両学習データベースの分類に従った学習をするようになっている。
【0194】
また、制御部24は、図8のSOC管理計画作成処理300において、ステップ310では、第1実施形態に示した通り、当該セグメントについての区間内総走行エネルギーを読み出し、当該セグメントについての区間内総回生エネルギーを読み出し、読み出した区間内総走行エネルギーから区間内総回生エネルギーを減算した結果のエネルギーを、当該セグメントにおける予想電気消費量とする。
【0195】
ただし、読み出す対象の保存先は、現在日時および対象となるセグメントに対応する保存先である。また、読み出す区間内総走行エネルギーとして、最大値、最小値、平均値のうちいずれを採用するかは、当該走行エネルギー用の学習データの当該保存先に記録された統計自信度(または位置自信度)に基づいて決定する。また、読み出す区間内総回生エネルギーとして、最大値、最小値、平均値のうちいずれを採用するかは、当該回生エネルギー用の学習データの当該保存先に記録された統計自信度(または位置自信度)に基づいて決定する。
【0196】
具体的には、対象となる統計自信度(または位置自信度)が所定の第1基準値以上である場合は、読み出す区間内総走行エネルギーとして平均値を用い、当該第1基準値未満である場合は最大値を用いる。また、対象となる統計自信度(または位置自信度)が所定の第2基準値以上である場合は、読み出す区間内総回生エネルギーとして平均値を用い、当該第1基準値未満である場合は最小値を用いる。
【0197】
このように、制御部24は、複数の道路区間(および日時)の1つ1つについて、当該1つの道路区間について記録された自信度に基づいて、区間内総走行エネルギーの複数回に渡るばらつきが所定の基準より大きい場合、走行エネルギーの総量の最大値を選択し、また、区間内総走行エネルギーの複数回に渡るばらつきが当該基準値より小さい場合、平均値を選択し、選択した方を走行計画の作成に使用する。
【0198】
区間内総走行エネルギーの複数走行機会に渡る平均値は、走行計画の作成において使用する値としては、最大値よりも正確性が高いものである。しかし、区間内総走行エネルギーの複数回に渡るばらつきが大きい場合は、実際の走行時における区間内総走行エネルギーが平均値を大きく上回ってしまう可能性が高い。そのような場合には、当該道路区間の走行計画に平均値を使用してしまうと、車両のエネルギーの蓄積量(バッテリ蓄電量、内燃機関の燃料の残量)が予想以上に低下してしまう危険性が高まってしまう。
【0199】
したがって、区間内総走行エネルギーの複数回に渡るばらつきが所定の基準よりも大きい場合には、上記のように、平均値でなく最大値を使用することで、正確性を犠牲にして車両のエネルギー蓄積量の過度の低下のリスクを抑えることができる。
【0200】
なお、区間内総走行エネルギーのみならず、回生エネルギーの総量についても、同じ観点から、回生エネルギーの総量の複数回に渡るばらつきが所定の基準よりも大きい場合には、平均値でなく最小値を使用することで、正確性を犠牲にして車両のエネルギー蓄積量の過度の低下のリスクを抑えることができる。
【0201】
以上説明した通り、本実施形態のナビゲーションECU20は、総走行エネルギー(最大値、最小値、平均値)および総回生ネルギー(最大値、最小値、平均値)を記録して走行計画に使用することによる第1実施形態と同等の効果を発揮する。
【0202】
また、ナビゲーションECU20は、走行状況に統計自信度と位置自信度とが関連付けて記憶された学習データベースを利用して、統計自信度、位置自信度に基づいて、統計自信度(または位置自信度)が所定値より大きい場合には図7、図8の処理の実行を許可し、当該所定値より小さい場合には図7、図8の処理の実行を禁止する。このようにすることで、確度の高い走行情報を選択的に利用することが可能となり、HV走行、EV走行の制御の精度を向上することが可能である。
【0203】
上記した構成によれば、予め定められた基準値と収集された走行情報の乖離に応じて、収集された走行情報のばらつきの度合いを表す統計自信度が特定され、収集された走行情報に統計自信度を関連付けて記憶媒体に記録するので、収集した走行情報をより精度良く管理することができる。これにより、車載制御装置は統計自信度に基づいて走行情報のばらつきの度合いを認識することができ、精度良く制御を行うことが可能となる。
【0204】
また、自車両の現在位置の精度を表す位置自信度が特定され、記憶媒体に記憶された走行情報に位置自信度を関連付けて記憶媒体に記録するので、収集した走行情報をより精度良く管理することができる。これにより、車載制御装置は位置自信度に基づいて現在位置の精度を認識することができ、精度良く制御を行うことが可能となる。
【0205】
また、収集された走行情報の位置自信度と記憶媒体に記憶された過去の走行情報の位置自信度とから、学習回数に応じた位置自信度の平均値を求め、その平均値を新たな位置自信度として記憶媒体に記憶させることもできる。
【0206】
また、情報センタ35のデータベースに格納された交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類した学習データベースを構築し、収集した走行情報を学習データベースの分類に従って学習させるので、より精度良く収集した走行情報を管理することができる。
【0207】
すなわち、例えば、収集した走行情報を1時間毎に分類して記憶媒体に記録する場合、前半の30分は交通流が悪く後半の30分は交通流が良好な場合であっても同じグループに分類されてしまうため、収集した走行情報を交通流の傾向に合わせて精度良く管理するのは難しいが、交通流情報の特性に従って複数の時間帯別に分類して収集した走行情報を記憶媒体に記録するので、より精度良く収集した走行情報を管理することができる。なお、記憶媒体に記憶される走行情報は、運転者の運転特性が反映されたものとなる。
【0208】
なお、上記の各実施形態において、ナビゲーションECU20が走行計画作成装置の一例に相当し、ナビゲーションECU20が走行計画作成装置の一例に相当すると共に運転アドバイス装置の一例に相当し、制御部24がコンピュータの一例に相当する。制御部24が、学習制御処理100を実行することで記録手段の一例として機能し、SOC管理計画作成処理300を実行することで計画手段の一例として機能する。
【0209】
また、制御部24が、図17のステップ550、図21のステップ534、536を実行することで、ブレーキ支援手段の一例として機能し、図22のステップ544および546を実行することで、アクセル支援手段の一例として機能する。
【0210】
また、制御部24が、図18のステップ565を実行することでブレーキ記録手段の一例として機能し、ステップ569を実行することでアクセル報知手段の一例として機能し、図17のステップ530を実行することでブレーキ報知手段の一例として機能し、ステップ540を実行することでアクセル報知手段の一例として機能する。
【0211】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0212】
例えば、制御部24は、走行モードがHVモードとなっている区間においても、学習情報を用いてHVモードの範囲内の、エンジン1、モータ3、内燃充電の実行タイミングの計画を算出するようになっていてもよい。
【0213】
また、上記のステップ240、570においては、判定区間内のセグメントにおける走行状況の履歴、すなわち学習情報を、耐久記憶媒体23から読み出し、これをSOC管理計画作成処理300にて電力消費情報として用いるようになっている。しかし、上記のステップ240、570においては、判定区間内のセグメントにおける地図データを読み出し、読み出したデータを、SOC管理計画作成処理300にて、電力消費情報として用いるようになっていてもよい。
【0214】
また、上記の各実施形態においては、区間内総走行エネルギーおよび区間内総回生エネルギーの記録の単位、消費電気量の算出の単位、SOC管理計画の作成の単位、充電可能地点との関連付けの対象が、セグメントとなっているが、これらの対象はリンクであってもよい。すなわち、これらの対象は、道路区間であれば足りる。
【0215】
また、充電可能地点は、実際に充電した位置のみならず、あらかじめ記憶されている充電可能地点であってもよいし、ユーザが設定した充電可能地点であってもよい。
【0216】
また、HV制御部10は、プラグイン充電を行った直後は、現在SOCが基準SOCに落ちるまで、EVモードを使用するようになっていてもよい。このような作動を第1実施形態に適用すれば、制御部24があらかじめSOC管理計画作成処理300において終了地点92を決定しておかなくとも、図9に示したようなEVモード→HVモード→EVモードへの切り替えが実現する。
【0217】
また、制御部24は、目的地点の変更がないまま、SOC管理計画作成処理300の再実行が基準回数(例えば5回)以上繰り返された場合、それ以降は、目的地までHV走行を続けるようにHV制御部10を制御してもよい。このようにすることで、SOC管理計画作成処理が有効でない状況において、当該処理を無駄に続けてしまうことを防止することができる。
【0218】
また、第2実施形態において、ナビゲーションECU20は、情報センタ35と通信する機能を有しているが、情報センタ35と通信をする機能は必須ではない。情報センタ35と通信をしない場合、ナビゲーションECU20は、学習データベースを、日付、時間帯によって区分けしないデータベースとして作成してもよい。この場合学習データベースは、道路区間毎に1つの保存先(すなわち、乖離度別回数格納部A、基準値格納部B、統計自信度格納部C、代表値格納部D、および位置自信度格納部Eの組)を有することになる。
【0219】
また、上記実施形態においては、走行計画の作成の一例として、EVフィニッシュ区間の決定が示されているが、走行計画の作成の方法としては、EVフィニッシュ区間の決定以外のものでもよい。
【0220】
また、上記の実施形態において、制御部24がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【0221】
また、本発明は、区間内総走行エネルギーおよび区間内総回生エネルギーを記録して走行計画の作成に利用することを特徴としている。しかし、区間内の車速および区間内車速の複数走行機会に渡る最大値、最小値、平均値、およびばらつき度を記録して走行計画の作成に利用する走行計画作成装置があってもよい。この場合でも、当該ばらつき度が所定値以上の場合には最大値を用い、当該ばらつき度が所定の値未満の場合には平均値を用いるようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0222】
【図1】本発明の実施形態が適用されるハイブリッド車両の構成を概略的に示す図である。
【図2】ナビゲーションECU20の構成および外部との接続関係を示すブロック図である。
【図3】学習制御処理100のフローチャートである。
【図4】図3のステップ110で走行エネルギーおよび回生エネルギーを算出するための処理を示すフローチャートである。
【図5】図3のステップ150における最適化の処理を具体的に示すフローチャートである。
【図6】セグメント毎の走行状況の履歴の一例を示す図表である。
【図7】経路算出処理200のフローチャートである。
【図8】SOC管理計画作成処理300のフローチャートである。
【図9】SOC管理計画作成処理300によって予想された、EV走行時におけるSOCの変化の推移を示すグラフである。
【図10】走行時処理400のフローチャートである。
【図11】第2実施形態における情報センタ35とナビゲーションECU20との通信の手順を例示するシーケンス図である。
【図12】情報センタの統計処理について説明するための図である。
【図13】分類情報の構成を例示す図である。
【図14】学習データベースの構成を例示す図である。
【図15】図3の学習制御処理100のステップ150における処理を示すフローチャートである。
【図16】学習データベースのデータ格納手順について説明するための図である。
【図17】運転アドバイス処理500のフローチャートである。
【図18】図17のステップ560の学習処理の詳細を示すフローチャートである。
【図19】潜在回生エネルギーを説明するための図である。
【図20】アクセルレベルの記録の一例を示す図である。
【図21】図17のステップ530のブレーキ支援処理の詳細を示すフローチャートである。
【図22】ブレーキレベルの分布と基準レベルとの関係を示す図である。
【図23】ブレーキインジケータの表示例を示す図である。
【図24】図17のステップ540のアクセル支援処理の詳細を示すフローチャートである。
【図25】ブレーキインジケータの表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0223】
1…エンジン、2…オルタネータ、3…モータ、4…差動装置、5a、5b…タイヤ、
6…インバータ、7…DCリンク、8…インバータ、9…バッテリ、
10…HV制御部、11…GPSセンサ、12…方位センサ、13…車速センサ、
14…地図DB記憶部、15…加速度センサ、20…ナビゲーションECU、
16…エンジン回転数センサ、17…アクセル開度センサ、18…ディスプレイ、
19…スピーカ、21…RAM、22…ROM、23…耐久記憶媒体、24…制御部、
21、22…ノード、25、26…補完形状点、31〜33…セグメント、
35…情報センタ、36…プローブ車、40…ナビゲーション処理、
50…充電位置記録処理、100…学習制御処理、200…経路算出処理、
300…SOC管理計画作成処理、400…走行時処理、
500…運転アドバイス処理。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の走行計画作成装置であって、
複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を走行したときに、当該1つの道路区間の走行において費やしたエネルギー(以下、走行エネルギーという)の総量および当該1つの道路区間の走行において回生充電によって取得したエネルギー(以下、回生エネルギーという)の総量を記憶媒体に記録する記録手段と、
前記複数の道路区間のそれぞれについて前記記録手段が記録した前記走行エネルギーの総量と前記回生エネルギーの総量の差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの前記内燃機関および前記モータの使用の切り替えについて計画を作成する計画手段と、を備えた走行計画作成装置。
【請求項2】
前記記録手段は、前記複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を複数回走行したときに、当該1つの道路区間の走行エネルギーの総量の前記複数回に渡る平均値、および当該1つの道路区間の回生エネルギーの総量の前記複数回に渡る平均値を、前記記憶媒体に記録し、
前記計画手段は、前記複数の道路区間のそれぞれについて前記記録手段が記録した前記走行エネルギーの総量の前記平均値と前記回生エネルギーの総量の前記平均値の差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの前記内燃機関および前記モータの使用の切り替えについて計画を作成することを特徴とする請求項1に記載の走行計画作成装置。
【請求項3】
前記記録手段は、前記複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を複数回走行したときに、当該1つの道路区間の走行エネルギーの総量の前記複数回に渡る平均値および最大値、ならびに、当該1つの道路区間の走行エネルギーの総量の前記複数回に渡る値のばらつき度を前記記憶媒体に記録し、
前記計画手段は、前記複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間の前記ばらつき度に基づいて、当該1つの道路区間における走行エネルギーの総量の前記複数回に渡るばらつきが所定の基準より大きい場合、当該1つの道路区間における前記走行エネルギーの総量の最大値を選択し、また、当該1つの道路区間における走行エネルギーの総量の前記複数回に渡るばらつきが前記基準値より小さい場合、当該1つの道路区間における前記走行エネルギーの総量の平均値を選択し、
前記計画手段は、前記複数の道路区間のそれぞれについて、前記走行エネルギーの総量の最大値および平均値のうち選択した方と、前記回生エネルギーの総量との差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの前記内燃機関および前記モータの使用の切り替えについて計画を作成することを特徴とする請求項1または2に記載の走行計画作成装置。
【請求項4】
前記記録手段は、前記複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を複数回走行したときに、当該1つの道路区間の回生エネルギーの総量の前記複数回に渡る平均値および最小値、ならびに、当該1つの道路区間の回生エネルギーの総量の前記複数回に渡る値のばらつき度を前記記憶媒体に記録し、
前記計画手段は、前記複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間の前記ばらつき度に基づいて、当該1つの道路区間における回生エネルギーの総量の前記複数回に渡るばらつきが所定の基準より大きい場合、当該1つの道路区間における前記回生エネルギーの総量の最小値を選択し、また、当該1つの道路区間における回生エネルギーの総量の前記複数回に渡るばらつきが前記基準値より小さい場合、当該1つの道路区間における前記回生エネルギーの総量の平均値を選択し、
前記計画手段は、前記複数の道路区間のそれぞれについて、前記回生エネルギーの総量の最小値および平均値のうち選択した方と、前記走行エネルギーの総量との差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの前記内燃機関および前記モータの使用の切り替えについて計画を作成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の走行計画作成装置。
【請求項5】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の走行計画作成装置に用いるプログラムであって、
複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を走行したときに、当該1つの道路区間の走行において費やしたエネルギー(以下、走行エネルギーという)の総量および当該1つの道路区間の走行において回生充電によって取得したエネルギー(以下、回生エネルギーという)の総量を記憶媒体に記録する記録手段、および
前記複数の道路区間のそれぞれについて前記記録手段が記録した前記走行エネルギーの総量と前記回生エネルギーの総量の差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの前記内燃機関および前記モータの使用の切り替えについて計画を作成する計画手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項6】
前記記録手段が前記回生エネルギーを記録しているときに、前記ハイブリッド車両のドライバに対し、ブレーキ操作によって前記ハイブリッド車両から奪われた運動エネルギーと、前記ブレーキ操作によって現に回生充電可能なエネルギーとの比較の報知を行うブレーキ支援手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の走行計画作成装置。
【請求項7】
前記記録手段が前記走行エネルギーを記録しているときに、前記ハイブリッド車両のドライバに対し、現実のアクセル開度と、車両の動力エネルギーの節約にとって最適なアクセル開度との比較の報知を行うアクセル操作支援手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の走行計画作成装置。
【請求項8】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の運転アドバイス装置であって、
道路区間毎に、前記ハイブリッド車両のブレーキ操作量と回生充電量との関係の情報を記録するブレーキ記録手段と、
前記ブレーキ記録手段の記録内容に基づいて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であった道路区間を特定し、特定した道路区間のブレーキ操作について注意を喚起する報知を行うブレーキ報知手段と、を備えた運転アドバイス装置。
【請求項9】
前記ブレーキ記録手段は、前記ハイブリッド車両のブレーキ操作量と回生充電量との関係の情報として、ブレーキ操作によって前記ハイブリッド車両から奪われた運動エネルギーが、前記ブレーキ操作によって現に回生充電可能であったエネルギーをどの程度超えたかを示す程度情報を記録し、
前記ブレーキ報知手段は、記録された前記程度情報の値の分布状況に基づいて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であったか否かの判定基準を変化させることを特徴とする請求項8に記載の運転アドバイス装置。
【請求項10】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の運転アドバイス装置に用いるプログラムであって、
道路区間毎に、前記ハイブリッド車両のブレーキ操作量と回生充電量との関係の情報を記録するブレーキ記録手段、および
前記ブレーキ記録手段の記録内容に基づいて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であった道路区間を特定し、特定した道路区間のブレーキ操作について注意を喚起する報知を行うブレーキ報知手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項11】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の運転アドバイス装置であって、
道路区間毎に、前記ハイブリッド車両の現実のアクセル操作量と、走行エネルギーの節約の観点から最適なアクセル操作量との関係の情報を記録するアクセル記録手段と、
前記アクセル記録手段の記録内容に基づいて、アクセル操作量が走行エネルギーの節約にとって不適切であった道路区間を特定し、特定した道路区間のアクセル操作について注意を喚起する報知を行うアクセル報知手段と、を備えた運転アドバイス装置。
【請求項12】
前記アクセル記録手段は、ハイブリッド車両の現実のアクセル操作量と最適なアクセル操作量との関係の情報として、現実のアクセル操作量が最適なアクセル操作量をどの程度超えたかを示す程度情報を記録し、
前記ブレーキ報知手段は、記録された前記程度情報の値の分布状況に基づいて、アクセル操作が走行エネルギーの節約にとって不適切であるか否かの判定基準を変化させることを特徴とする請求項11に記載の運転アドバイス装置。
【請求項13】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の運転アドバイス装置に用いるプログラムであって、
道路区間毎に、前記ハイブリッド車両の現実のアクセル操作量と最適なアクセル操作量との関係の情報を記録するアクセル記録手段、および
前記アクセル記録手段の記録内容に基づいて、アクセル操作が走行エネルギーの節約にとって不適切であった道路区間を特定し、特定した道路区間のアクセル操作について注意を喚起する報知を行うアクセル報知手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項1】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の走行計画作成装置であって、
複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を走行したときに、当該1つの道路区間の走行において費やしたエネルギー(以下、走行エネルギーという)の総量および当該1つの道路区間の走行において回生充電によって取得したエネルギー(以下、回生エネルギーという)の総量を記憶媒体に記録する記録手段と、
前記複数の道路区間のそれぞれについて前記記録手段が記録した前記走行エネルギーの総量と前記回生エネルギーの総量の差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの前記内燃機関および前記モータの使用の切り替えについて計画を作成する計画手段と、を備えた走行計画作成装置。
【請求項2】
前記記録手段は、前記複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を複数回走行したときに、当該1つの道路区間の走行エネルギーの総量の前記複数回に渡る平均値、および当該1つの道路区間の回生エネルギーの総量の前記複数回に渡る平均値を、前記記憶媒体に記録し、
前記計画手段は、前記複数の道路区間のそれぞれについて前記記録手段が記録した前記走行エネルギーの総量の前記平均値と前記回生エネルギーの総量の前記平均値の差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの前記内燃機関および前記モータの使用の切り替えについて計画を作成することを特徴とする請求項1に記載の走行計画作成装置。
【請求項3】
前記記録手段は、前記複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を複数回走行したときに、当該1つの道路区間の走行エネルギーの総量の前記複数回に渡る平均値および最大値、ならびに、当該1つの道路区間の走行エネルギーの総量の前記複数回に渡る値のばらつき度を前記記憶媒体に記録し、
前記計画手段は、前記複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間の前記ばらつき度に基づいて、当該1つの道路区間における走行エネルギーの総量の前記複数回に渡るばらつきが所定の基準より大きい場合、当該1つの道路区間における前記走行エネルギーの総量の最大値を選択し、また、当該1つの道路区間における走行エネルギーの総量の前記複数回に渡るばらつきが前記基準値より小さい場合、当該1つの道路区間における前記走行エネルギーの総量の平均値を選択し、
前記計画手段は、前記複数の道路区間のそれぞれについて、前記走行エネルギーの総量の最大値および平均値のうち選択した方と、前記回生エネルギーの総量との差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの前記内燃機関および前記モータの使用の切り替えについて計画を作成することを特徴とする請求項1または2に記載の走行計画作成装置。
【請求項4】
前記記録手段は、前記複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を複数回走行したときに、当該1つの道路区間の回生エネルギーの総量の前記複数回に渡る平均値および最小値、ならびに、当該1つの道路区間の回生エネルギーの総量の前記複数回に渡る値のばらつき度を前記記憶媒体に記録し、
前記計画手段は、前記複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間の前記ばらつき度に基づいて、当該1つの道路区間における回生エネルギーの総量の前記複数回に渡るばらつきが所定の基準より大きい場合、当該1つの道路区間における前記回生エネルギーの総量の最小値を選択し、また、当該1つの道路区間における回生エネルギーの総量の前記複数回に渡るばらつきが前記基準値より小さい場合、当該1つの道路区間における前記回生エネルギーの総量の平均値を選択し、
前記計画手段は、前記複数の道路区間のそれぞれについて、前記回生エネルギーの総量の最小値および平均値のうち選択した方と、前記走行エネルギーの総量との差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの前記内燃機関および前記モータの使用の切り替えについて計画を作成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の走行計画作成装置。
【請求項5】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の走行計画作成装置に用いるプログラムであって、
複数の道路区間の1つ1つについて、当該1つの道路区間を走行したときに、当該1つの道路区間の走行において費やしたエネルギー(以下、走行エネルギーという)の総量および当該1つの道路区間の走行において回生充電によって取得したエネルギー(以下、回生エネルギーという)の総量を記憶媒体に記録する記録手段、および
前記複数の道路区間のそれぞれについて前記記録手段が記録した前記走行エネルギーの総量と前記回生エネルギーの総量の差に基づいて、当該複数の道路区間を含む経路を走行するときの前記内燃機関および前記モータの使用の切り替えについて計画を作成する計画手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項6】
前記記録手段が前記回生エネルギーを記録しているときに、前記ハイブリッド車両のドライバに対し、ブレーキ操作によって前記ハイブリッド車両から奪われた運動エネルギーと、前記ブレーキ操作によって現に回生充電可能なエネルギーとの比較の報知を行うブレーキ支援手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の走行計画作成装置。
【請求項7】
前記記録手段が前記走行エネルギーを記録しているときに、前記ハイブリッド車両のドライバに対し、現実のアクセル開度と、車両の動力エネルギーの節約にとって最適なアクセル開度との比較の報知を行うアクセル操作支援手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の走行計画作成装置。
【請求項8】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の運転アドバイス装置であって、
道路区間毎に、前記ハイブリッド車両のブレーキ操作量と回生充電量との関係の情報を記録するブレーキ記録手段と、
前記ブレーキ記録手段の記録内容に基づいて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であった道路区間を特定し、特定した道路区間のブレーキ操作について注意を喚起する報知を行うブレーキ報知手段と、を備えた運転アドバイス装置。
【請求項9】
前記ブレーキ記録手段は、前記ハイブリッド車両のブレーキ操作量と回生充電量との関係の情報として、ブレーキ操作によって前記ハイブリッド車両から奪われた運動エネルギーが、前記ブレーキ操作によって現に回生充電可能であったエネルギーをどの程度超えたかを示す程度情報を記録し、
前記ブレーキ報知手段は、記録された前記程度情報の値の分布状況に基づいて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であったか否かの判定基準を変化させることを特徴とする請求項8に記載の運転アドバイス装置。
【請求項10】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の運転アドバイス装置に用いるプログラムであって、
道路区間毎に、前記ハイブリッド車両のブレーキ操作量と回生充電量との関係の情報を記録するブレーキ記録手段、および
前記ブレーキ記録手段の記録内容に基づいて、ブレーキ操作量が回生充電にとって過多であった道路区間を特定し、特定した道路区間のブレーキ操作について注意を喚起する報知を行うブレーキ報知手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項11】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の運転アドバイス装置であって、
道路区間毎に、前記ハイブリッド車両の現実のアクセル操作量と、走行エネルギーの節約の観点から最適なアクセル操作量との関係の情報を記録するアクセル記録手段と、
前記アクセル記録手段の記録内容に基づいて、アクセル操作量が走行エネルギーの節約にとって不適切であった道路区間を特定し、特定した道路区間のアクセル操作について注意を喚起する報知を行うアクセル報知手段と、を備えた運転アドバイス装置。
【請求項12】
前記アクセル記録手段は、ハイブリッド車両の現実のアクセル操作量と最適なアクセル操作量との関係の情報として、現実のアクセル操作量が最適なアクセル操作量をどの程度超えたかを示す程度情報を記録し、
前記ブレーキ報知手段は、記録された前記程度情報の値の分布状況に基づいて、アクセル操作が走行エネルギーの節約にとって不適切であるか否かの判定基準を変化させることを特徴とする請求項11に記載の運転アドバイス装置。
【請求項13】
燃料の燃焼によって駆動される内燃機関、およびバッテリによって駆動されるモータを、走行用の動力源として有するハイブリッド車両用の運転アドバイス装置に用いるプログラムであって、
道路区間毎に、前記ハイブリッド車両の現実のアクセル操作量と最適なアクセル操作量との関係の情報を記録するアクセル記録手段、および
前記アクセル記録手段の記録内容に基づいて、アクセル操作が走行エネルギーの節約にとって不適切であった道路区間を特定し、特定した道路区間のアクセル操作について注意を喚起する報知を行うアクセル報知手段として、コンピュータを機能させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2009−101983(P2009−101983A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−90364(P2008−90364)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]