説明

パンタグラフ監視装置

【課題】列車の屋根上を撮影した画像を解析して、パンタグラフの舟体又はこの舟体に設置されているすり板の折れの有無を検出することを可能としたパンタグラフ監視装置を提供する。
【解決手段】列車の屋根上を撮影する監視カメラと、監視カメラによって撮影された検査パンタグラフ画像を画像処理することによりパンタグラフの状態を監視する画像処理部とを備えたパンタグラフ監視装置において、画像処理部が、検査パンタグラフ画像中に撮影されているパンタグラフに対して直線を抽出する処理を行う直線抽出部5gと、抽出した直線の状態に基づいてパンタグラフの舟体もしくはすり板又はその両方の折れの有無を判断する折れ判断部5hとを備えるパンタグラフ舟体形状検査部5Cを有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車の屋根上を撮影した画像を解析してパンタグラフの状態を検査する装置に関し、特にパンタグラフの舟体又は舟体に設置されているすり板の折れの有無を画像処理により検出するパンタグラフ監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、列車の屋根上を撮影した画像を解析してパンタグラフの状態を検査する装置として、すり板の厚さを計測する装置が提案されている。例えば、特許文献1では、フラッシュランプを照射して斜め上方からパンタグラフを撮影した画像を用い、すり板上面とすり板と舟体との結合面ラインを撮影画像の輝度差から検出し、すり板上面のエッジと結合面ラインのエッジの間の距離としてすり板の厚さを求める装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2では、ストロボ照射して水平よりもやや斜め下方からパンタグラフを撮影した画像を用い、画像中から濃淡エッジを検出し、そのエッジを繋ぐことによってすり板上面座標値とすり板下面座標値を求め、これらの座標値の差分からすり板の厚さを求める装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−312832号公報
【特許文献2】特開2002−150271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載されている装置は、パンタグラフを撮影した画像を解析することにより、パンタグラフの舟体に設置されているすり板の厚さを計測する装置である。このため、パンタグラフの状態としてすり板の摩耗具合を検査することができる。すり板の摩耗は、電気列車への電力供給のため架線とすり板が走行中に常時接触することによりすり板が徐々に削れることで発生するものである。
【0006】
しかしながら、パンタグラフに発生する異常はすり板の摩耗だけではない。パンタグラフのより大きな異常としては、図6に示すようなパンタグラフ1aの舟体1bに発生する折れ、または図7に示すような舟体1b設置されているすり板1cに発生する折れがある。舟体1b又はすり板1cに折れが発生した状態で列車が走行を続けると、パンタグラフ1aと接触する架線及び架線を支える周辺構造物に大きな損傷を与える可能性がある。そのため、舟体1b又はすり板1cに折れが発生した場合には列車を止めて、架線及び周辺構造物の損傷を抑える必要がある。
【0007】
このようなことから本発明は、列車の屋根上を撮影した画像を解析して、パンタグラフの舟体又はこの舟体に設置されているすり板の折れの有無を検出することを可能としたパンタグラフ監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための第1の発明に係るパンタグラフ監視装置は、列車の屋根上を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によって撮影された入力画像を画像処理することによりパンタグラフの状態を監視する画像処理手段とを備えたパンタグラフ監視装置において、前記画像処理手段が、前記入力画像中の直線を抽出し、抽出した前記直線の状態に基づいて前記パンタグラフの舟体及び前記舟体に設置されているすり板の状態を監視するパンタグラフ舟体形状検査手段を備えることを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明に係るパンタグラフ監視装置は、第1の発明に係るパンタグラフ監視装置において、前記パンタグラフ舟体形状検査処理手段が、前記入力画像中に撮影されている前記パンタグラフの舟体の長手方向の輪郭を囲むように検査範囲を設定する検査範囲設定手段と、検査範囲に対応する部分の画像データに対して鮮鋭化処理を行い前記検査範囲内のエッジを抽出する鮮鋭化処理手段と、前記鮮鋭化処理手段により得られたエッジから直線を抽出する直線抽出手段と、前記直線抽出手段により抽出した直線の個数、長さ、及び角度に基づいて舟体およびすり板の折れの有無を判断し、前記舟体及びすり板の折れの有無と各検査範囲とを関連付けてなる折れ検査結果データを作成する折れ判断手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、第3の発明に係るパンタグラフ監視装置は、第2の発明に係るパンタグラフ監視装置において、前記パンタグラフ舟体形状検査手段が、前記折れ検査結果データを出力する結果データ出力手段を有することを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明に係るパンタグラフ監視装置は、第3の発明に係るパンタグラフ監視装置において、前記パンタグラフ舟体形状検査手段が、前記入力画像を取り込む画像データ入力手段と、パンタグラフ検出情報を取得するパンタグラフ検出情報入力手段と、前記すり板に対する検査範囲の大きさ及び前記直線を前記舟体又は前記すり板とみなすか否かを判断するために用いる最小長さを設定する設定手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述した第1の発明に係るパンタグラフ監視装置によれば、列車の屋根上を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によって撮影された入力画像を画像処理することによりパンタグラフの状態を監視する画像処理手段とを備えたパンタグラフ監視装置において、前記画像処理手段が、前記入力画像中の直線を抽出し、抽出した前記直線の状態に基づいて前記パンタグラフの舟体及び前記舟体に設置されているすり板の状態を監視するパンタグラフ舟体形状検査手段を備えるので、列車の屋根上を撮影した画像を解析して、パンタグラフの舟体およびすり板の折れの有無を検出することができ、架線および架線を支える周辺構造物の損傷を防止することができる。
【0013】
また、第2の発明に係るパンタグラフ監視装置によれば、前記パンタグラフ舟体形状検査処理手段が、前記入力画像中に撮影されている前記パンタグラフの舟体の長手方向の輪郭を囲むように検査範囲を設定する検査範囲設定手段と、検査範囲に対応する部分の画像データに対して鮮鋭化処理を行い前記検査範囲内のエッジを抽出する鮮鋭化処理手段と、前記鮮鋭化処理手段により得られたエッジから直線を抽出する直線抽出手段と、前記直線抽出手段により抽出した直線の個数、長さ、及び角度に基づいて舟体およびすり板の折れの有無を判断し、前記舟体及びすり板の折れの有無と各検査範囲とを関連付けてなる折れ検査結果データを作成する折れ判断手段とを有するので、舟体もしくはすり板又はその両方の折れを高精度に検出することができる。
【0014】
また、第3の発明に係るパンタグラフ監視装置によれば、前記パンタグラフ舟体形状検査手段が、前記折れ検査結果データを出力する結果データ出力手段を有するので、舟体およびすり板に発生した折れの有無および、パンタグラフ上の損傷の位置からなるパンタグラフの損傷情報を提示することができる。
【0015】
また、第4の発明に係るパンタグラフ監視装置によれば、前記パンタグラフ舟体形状検査手段が、前記入力画像を取り込む画像データ入力手段と、パンタグラフ検出情報を取得するパンタグラフ検出情報入力手段と、前記舟体に対する検査範囲の大きさ及び前記直線を前記舟体又は前記すり板とみなすか否かを判断するために用いる最小長さを設定する設定手段とを有するので、前記舟体又はすり板の折れを確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係るパンタグラフ監視装置の設置例を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例に係るパンタグラフ舟体形状検査処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例に係るパンタグラフ監視装置における検査範囲の設定例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例に係るパンタグラフ監視装置により抽出された直線の例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例に係るパンタグラフ舟体形状検査処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】舟体の折れの一例を示す説明図である。
【図7】すり板の折れの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るパンタグラフ監視装置の詳細を説明する。
【実施例】
【0018】
図1乃至図6に基づいて本発明に係るパンタグラフ舟体検査装置の実施例について説明する。図1は本実施例に係るパンタグラフ監視装置の設置例を示す説明図、図2は本実施例に係るパンタグラフホーン舟体形状検査処理部の概略構成を示すブロック図、図3は本実施例に係るパンタグラフ監視装置における検査範囲の設定例を示す説明図、図4は本実施例に係るパンタグラフ監視装置により抽出された直線の例を示す説明図、図5は本実施例に係るパンタグラフ舟体形状検査処理の流れを示すフローチャートである。
【0019】
図1に示すように、本実施例においてパンタグラフ監視装置は、列車1の接近を検知するためのセンサ2、列車1の屋根上を照らす照明装置3、列車1の屋根上の照明装置3によって照らされる領域を撮影する撮影手段としての監視カメラ4、及びこれらセンサ2、照明装置3及び監視カメラ4に接続された画像処理手段としての画像処理装置5から構成されている。
【0020】
センサ2は、例えばレール6の振動等を測定するものであり、レール6に取り付けられるとともに列車接近警報手段としての列車接近警報部(図示せず)に接続されている。列車接近警報部は、センサ2の出力に応じて列車1の接近の有無を検知するものであり、列車1が接近していると判断した場合には警報として列車接近信号を画像処理装置5の後述する撮影処理部5Aへ送信する。
【0021】
照明装置3は、センサ2に対して列車1の進行方向前方に設置され、撮影処理部5Aからの信号に基づいて点灯及び消灯を行うように構成されている。
【0022】
監視カメラ4は、照明装置3と概ね同位置に、列車1の屋根上の照明装置3によって照らされた領域を撮影するように設置され、撮影処理部5Aからの信号に基づいて撮影の開始、終了を行うように構成されている。この監視カメラ4によって撮影した画像は画像処理装置5の後述するパンタグラフ検索処理部5Bへ送信される。
【0023】
なお、照明装置3及び監視カメラ4が設置される位置は、センサ2から所定の距離だけ離間した位置、例えば、センサ2の出力に基づいて監視カメラ4を起動したときに、列車1がこの監視カメラ4の視野内に進入する直前にこの監視カメラ4による撮影を開始することができる位置とする。
【0024】
画像処理装置5は、パンタグラフ1aの撮影を制御する撮影処理部5Aと、監視カメラ4によって撮影された画像中からパンタグラフ1aを検出するパンタグラフ検索処理部5Bと、監視カメラ4によって撮影されたパンタグラフ1aの画像を解析してパンタグラフ1aの舟体もしくはすり板又はその両方の折れを検出するパンタグラフ舟体形状検査処理部5Cとから構成されている。
【0025】
撮影処理部5Aは、センサ2、照明装置3、及び監視カメラ4を制御して通過する列車1の屋根上を撮影する処理を行う部分である。
【0026】
パンタグラフ検出処理部5Bは、撮影処理部5Aにより撮影した列車1の屋根上の画像からパンタグラフ1aの画像を検出し、この画像上のパンタグラフ1aの位置等をパンタグラフ検出情報として画像のデータとともに出力する処理を行う部分である。
【0027】
パンタグラフ舟体形状検査処理部5Cは、パンタグラフ検索処理部5Bにより検出されたパンタグラフ1aが撮影されている画像のデータを解析して、パンタグラフ1aの舟体またはすり板の折れを検出する処理を行う部分である。
【0028】
ここで、撮影処理部5A及びパンタグラフ検索処理部5Bにおける処理は既知の手法(例えば、特願2009−014850等参照)を用いるものとし、詳細な説明は省略する。
【0029】
以下、パンタグラフ舟体形状検査処理部5Cについて詳細に説明する。パンタグラフ舟体形状検査処理部5Cは、図2に示すように、画像データ入力部5a、パンタグラフ検出情報入力部5b、設定部5c、記憶部5d、検査範囲設定部5e、鮮鋭化処理部5f、直線抽出部5g、折れ判断部5h、および結果データ出力部5iを備えている。
【0030】
画像データ入力部5aは、監視カメラ4から取得した図3に示すような検査パンタグラフ画像7を、パンタグラフ検索処理部5Bから入力する。検査パンタグラフ画像7は、画像データとして記憶部5dに保管される。ここで、検査パンタグラフ画像7は撮影処理部5Aにより制御され監視カメラ4で撮影した画像のうち、パンタグラフ検索処理部5Bにおいて検出された検査対象であるパンタグラフ1aが撮影された画像である。
【0031】
パンタグラフ検出情報入力部5bは、パンタグラフ検索処理部5Bから、検査パンタグラフ画像8上のパンタグラフ1aの位置等からなるパンタグラフ検出情報を入力する。入力されたパンタグラフ検出情報は記憶部5dに保管される。
【0032】
設定部5cは、検査範囲サイズW1,W2(図3参照)、直線最小長さを設定し、記憶部5dに出力する。ここで、図3に示すように、検査範囲サイズW1,W2は後述する検査範囲8の大きさを決定するパラメータ、直線最小長さは舟体1bもしくはすり板1c又はその両方(以下、「舟体1bやすり板1c」という)の折れを検出するために予め設定される最小の長さである。
【0033】
記憶部5dは、各処理部から出力されるデータを入力し保管するとともに、各処理部からの要求に応じて必要なデータを所望の処理部へ出力する。
【0034】
検査範囲設定部5eは、記憶部5dからパンタグラフ検出情報と検査範囲サイズを入力し、画像上において舟体1bの長手方向の輪郭を囲むように、一つのパンタグラフに対して二箇所ずつ検査範囲8を設定する(図3参照)。検査範囲8の情報は記憶部5dに保管される。ここで、検査範囲8は舟体1bやすり板1cの折れを検査するために設けられる領域である。
【0035】
鮮鋭化処理部5fは、記憶部5dから検査範囲8の情報と検査パンタグラフ画像7の画像データとを入力し、この検査パンタグラフ画像7上の検査範囲8に対してエッジ抽出処理を行い、抽出されたエッジをエッジデータとしてまとめる。エッジデータは記憶部5dに保管される。なお、鮮鋭化処理としては、ソーベルフィルタやLOG等の微分フィルタを使用して行うものとする。
【0036】
直線抽出部5gは、記憶部5dからエッジデータと直線最小長さの情報を入力し、エッジデータの中から直線最小長さ以上の長さの直線9(図4参照)を抽出して直線データとしてまとめる。直線データは記憶部5dに保管される。なお、直線9の抽出には、ハフ変換や直線の最小二乗近似等の解析手法を用いるものとする。
【0037】
折れ判断部5hは、記憶部5dから検査範囲8及び直線データを入力し、一つの検査範囲8における直線9の抽出状態を検査し、舟体1bやすり板1cの折れの有無を判断する。さらに各検査範囲8ごとの舟体1bやすり板1cの折れの有無に基づいて構成される折れ検査結果データをまとめ、これを記憶部5dへ保管する。
【0038】
結果データ出力部5kは、折れ検査結果データを記憶部5dから取り出し、これをパンタグラフ舟体形状検査結果として出力する。
【0039】
以下に、図5を用いて本実施例に係るパンタグラフ舟体形状検査処理について説明する。図5に示すように、本実施例に係るパンタグラフ舟体検査装置においては、画像データ入力部5a及びパンタグラフ検出情報入力部5bにより画像データ及びパンタグラフ検出情報を入力した後、設定部5c、検査範囲設定部5eにより検査範囲8の設定を行う(ステップP1)。詳しくは、設定部5cにおいて検査範囲8の大きさW1,W2(「検査範囲サイズ」と呼ぶ)を予め設定し、続いて、パンタグラフ検出情報を基に、図3に示すように検査パンタグラフ画像7に対して検査範囲8を設定する。
【0040】
続いて、鮮鋭化処理部5fにおいて検査範囲8に対する鮮鋭化処理を行い、舟体1bの輪郭部のエッジを抽出する処理を行う(ステップP2)。その後、直線抽出部5gにおいて、抽出されたエッジの情報に基づいて図4に示すように直線9を抽出する処理を行う(ステップP3)。直線抽出においては、エッジデータに含まれる直線のうち、予め設定部5cにより設定した直線最小長さよりも短い直線は除外する。これにより、検査パンタグラフ画像7からパンタグラフ舟体1bの長手方向に延びる直線9(図4では四本)のみを抽出することができる。
【0041】
その後、折れ判断部5hにおいて直線データに基づいて舟体1bやすり板1cの折れを判断する処理を行うとともに、検査範囲8と舟体1bやすり板1cの折れの有無とを関連付けて折れ検査結果データを作成する(ステップP4)。舟体1bやすり板1cの折れの有無は、抽出した直線9の個数・長さ・角度などを基に判断する。
【0042】
すなわち、舟体1bやすり板1cの折れが発生した場合、一つの検査範囲8において複数個の長い直線が異なる角度で発生する。直線抽出の結果、このような直線抽出状態になった場合に、その検査範囲8において舟体1bやすり板1cの折れが発生していると判断する。これらステップP1〜ステップP4の処理をパンタグラフ舟体形状検査が終了するまで繰り返す。
【0043】
このように構成される本実施例に係るパンタグラフ舟体形状装置によれば、列車の屋根上を撮影した画像を解析して、架線および架線を支える周辺構造物に大きな損傷を与える危険性が非常に高い舟体1bやすり板1cの折れの有無を検出することができる。また、舟体1bやすり板1cに発生した折れの有無、および、パンタグラフ1a上の損傷の位置からなるパンタグラフの損傷情報を提示することができる。
【0044】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。例えば、上述した実施例では、各処理部から出力されるデータを記憶部5dに保管するとともに、各処理部からの要求に応じて必要なデータを記憶部5dから所望の処理部へ出力する例を示したが、例えば、各処理部から出力されるデータは、直接所望の処理部へ入力してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、列車の屋根上を撮影した画像を解析してパンタグラフの状態を検査する装置に利用可能であり、特にパンタグラフの舟体又は舟体に設置されているすり板の折れの有無を画像処理により検出するパンタグラフ監視装置に適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0046】
1…列車、1a…パンタグラフ、1b…舟体、1c…すり板、2…センサ、3…照明装置、4…監視カメラ、5…画像処理装置、5A…撮影処理部、5B…パンタグラフ検索処理部、5C…パンタグラフ舟体形状検査処理部、5a…画像データ入力部、5b…パンタグラフ検出情報入力部、5c…設定部、5d…記憶部、5e…検査範囲設定部、5f…鮮鋭化処理部、5g…直線抽出部、5h…折れ判断部、5i…結果データ出力部、6…レール、7…検査パンタグラフ画像、8…検査範囲、9…抽出された直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の屋根上を撮影する撮影手段と、前記撮影手段によって撮影された入力画像を画像処理することによりパンタグラフの状態を監視する画像処理手段とを備えたパンタグラフ監視装置において、前記画像処理手段が、前記入力画像中の直線を抽出し、抽出した前記直線の状態に基づいて前記パンタグラフの舟体及び前記舟体に設置されているすり板の状態を監視するパンタグラフ舟体形状検査手段を備えることを特徴とするパンタグラフ監視装置。
【請求項2】
前記パンタグラフ舟体形状検査処理手段が、前記入力画像中に撮影されている前記パンタグラフの舟体の長手方向の輪郭を囲むように検査範囲を設定する検査範囲設定手段と、検査範囲に対応する部分の画像データに対して鮮鋭化処理を行い前記検査範囲内のエッジを抽出する鮮鋭化処理手段と、前記鮮鋭化処理手段により得られたエッジから直線を抽出する直線抽出手段と、前記直線抽出手段により抽出した直線の個数、長さ、及び角度に基づいて舟体およびすり板の折れの有無を判断し、前記舟体及びすり板の折れの有無と各検査範囲とを関連付けてなる折れ検査結果データを作成する折れ判断手段とを有することを特徴とする請求項1記載のパンタグラフ監視装置。
【請求項3】
前記パンタグラフ舟体形状検査手段が、前記折れ検査結果データを出力する結果データ出力手段を有することを特徴とする請求項2記載のパンタグラフ監視装置。
【請求項4】
前記パンタグラフ舟体形状検査手段が、前記入力画像を取り込む画像データ入力手段と、パンタグラフ検出情報を取得するパンタグラフ検出情報入力手段と、前記すり板に対する検査範囲の大きさ及び前記直線を前記舟体又は前記すり板とみなすか否かを判断するために用いる最小長さを設定する設定手段とを有することを特徴とする請求項3記載のパンタグラフ監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−180048(P2011−180048A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46048(P2010−46048)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】