説明

ピリジン、ピリミジン、キノリン、キナゾリンおよびナフタレン系のウロテンシン−II受容体拮抗薬

本発明は、ウロテンシンII受容体拮抗薬、それを含む医薬組成物およびそれらの使用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウロテンシンII受容体拮抗薬、それを含む医薬組成物およびそれの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
心血管ホメオスタシスの統合的な制御は、直接の神経制御と全身の神経ホルモン活性化の両方の組合せによって行われる。通常は、結果的に生じる収縮因子と弛緩因子の両方の放出が厳格な調整下にあるが、その状態に異常があると、心臓の血行動態に機能不全が生じて、病気に至る可能性がある。
【0003】
この神経ホルモン軸を含む主要な哺乳動物血管活性因子は、アンギオテンシン−II、エンドテリン−1およびノルエピネフリンであり、それらはいずれも特異的なGタンパク質結合受容体(GPCR)との相互作用を介して機能する。ウロテンシン−IIは、その神経ホルモン軸の重要な構成員を代表するものである。
【0004】
魚では、そのペプチドは多様な末端臓器系および組織で下記の重要な血行動態作用および内分泌作用を有する。
【0005】
・消化管および尿生殖器管からの平滑筋製造を含む血管性および非血管性(平滑筋収縮)の両方。昇圧活性および降圧活性の両方が、外因性ペプチドの全身投与に関して報告されている。
【0006】
・経上皮イオン(Na、Cl)輸送の調節を含む浸透圧調節効果。
【0007】
利尿効果については報告されているが、そのような効果は、直接腎血管効果(GFR上昇)に続いて起こると推定されている。ウロテンシン−IIは、プロラクチン分泌に影響を与え、魚において脂肪分解効果を示す(トリアシルグリセロールリパーゼの活性化により、非エステル化遊離脂肪酸の動員を生じる)(Person, et al. Proc. Natl. Acad. Sci. (U. S. A.) 1980, 77, 5021; Conlon et al., J. Exp. Zool. 1996, 275, 226)。ヒトウロテンシン−IIは、極めて強力かつ効力の高い血管収縮剤であることが認められており;ウォッシュアウトに極めて耐久性の高い持続的収縮活性を示し;心臓性能(心筋収縮性)に対する有害効果を有していた。ヒトウロテンシン−IIを、ラットの摘出大動脈での収縮活性について評価したところ、非常に強力な収縮作働薬であることが明らかになった。ヒトウロテンシン−IIのin vitroでの薬理学およびin vivoでの血行動態プロファイルに基づくと、それは過剰または異常な血管収縮および心筋機能障害を特徴とする心血管疾患において病理学的な役割を果たす(Ames et al. Nature 1990, 401, 282)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ウロテンシン−II受容体に拮抗する化合物は、いずれも異常な血管収縮および/または心血管機能障害を特徴とする鬱血性心不全、卒中、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、心不整脈、高血圧(本態性および肺性)、COPD、線維症(例:肺線維症)、再狭窄、アテローム性動脈硬化、異脂肪血症、喘息、神経性炎症および代謝性血管障害の治療において有用であり得る。ウロテンシン拮抗薬は、血圧降下に加えて、過敏集団において末端臓器保護を提供することができる。
【0009】
ウロテンシン−IIおよびGPR14はいずれも哺乳動物CNS内で発現されることから(Ames et al. Nature 1999, 401, 282)、それらは依存症、精神分裂症、認識障害/アルツハイマー病、衝動性、不安、ストレス、抑鬱、疼痛、片頭痛、神経筋肉機能、パーキンソン病、運動障害、睡眠−覚醒サイクルおよび誘因動機付けの治療においても有用である可能性がある。
【0010】
機能性ウロテンシン−II受容体は、横紋筋肉腫細胞系で発現されることから、腫瘍学的示唆を有する可能性がある。ウロテンシンは、糖尿病などの各種代謝疾患および消化管障害、骨、軟骨および関節の障害(例:関節炎および骨粗鬆症);ならびに泌尿生殖器障害においても示唆される可能性がある。従ってこれらの化合物は、胃の逆流、胃運動性および潰瘍、関節炎、骨粗鬆症および尿失禁の予防(治療)にも有用である可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1態様において本発明は、化合物およびそれを含む医薬組成物を提供する。
【0012】
第2の態様において本発明は、ウロテンシンIIの拮抗薬として、そしてウロテンシンIIの阻害薬としてのそれら化合物の使用を提供する。
【0013】
別の態様において本発明は、ウロテンシンII均衡障害に関連する状態を治療する上でのそれら化合物の使用を提供する。
【0014】
さらに別の態様において本発明は、鬱血性心不全、卒中、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、心不整脈、高血圧(本態性および肺性)、末梢血管疾患(男性勃起不全、糖尿病性網膜症、間欠性跛行/虚血性四肢疾患)および虚血性/出血性卒中を伴う腎疾患(急性および慢性腎不全/末期腎疾患)、COPD、再狭窄、喘息、神経性炎症、片頭痛、代謝性血管障害、骨/軟骨/関節疾患、関節炎および他の炎症疾患、線維症(例:肺線維症)、敗血症、アテローム性動脈硬化、異脂肪血症、依存症、精神分裂症、認識障害/アルツハイマー病、衝動性、不安、ストレス、抑鬱、パーキンソン病、運動障害、睡眠−覚醒サイクル、誘因動機付け、疼痛、神経筋機能、糖尿病、胃逆流、胃運動性障害、潰瘍および泌尿生殖器疾患の治療におけるこれら化合物の使用を提供する。 ウロテンシン拮抗薬は、単独であるいは1以上の他の治療薬との併用で投与することができ、その薬剤はエンドテリン受容体拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、A−II受容体拮抗薬、血管ペプチダーゼ阻害薬、利尿薬、ジゴキシンおよび二重非選択的β−アドレナリン受容体および1−アドレナリン受容体拮抗薬からなる群から選択される。
【0015】
本発明の他の態様および利点について、それの好ましい実施形態についての下記の詳細な説明にさらに説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、下記式(I)の化合物およびそれの製薬上許容される塩を提供する。
【0017】
【化4】

【0018】
式中、
Arは、アリール、ヘテロアリール、ベンゾヘテロアリール、ピリドン、ピリダジノンおよびピリミドンからなる群から選択され;
nは1〜6であり;
およびRは独立に、H、アルキルまたはアラルキルであるか;あるいはRとRがNと一体となって、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ベンゾピロリジン、ベンゾピペリジンまたはベンゾピペラジン環を形成していても良く;あるいはRとLまたはRと(CHの1個の炭素とが5、6または7員環を形成していても良く;
がH、アルキルまたはアラルキルであり;
XおよびYが独立に、CまたはNであり;
、RおよびRが独立に、H、アルキル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、ベンゾヘテロアリール、ヒドロキシル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、アミノカルボニルおよびアミノスルホニルからなる群から選択され;あるいはRとRが一体となって5〜6員芳香族環または5〜7員脂肪族環を形成していても良く;
は、単結合、O、NR、CO、SO、NRCO、NRSO、NR10CONR11、NR12SONR13、アレン、ヘテロアレン、ピリジン、ピリミドンおよびピリダジノンからなる群から選択され;
およびLは独立に、単結合、CH、NR14、COおよびSOからなる群から選択され;
〜R14は独立に、H、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され;あるいはRとCOおよびArがピリドン、ピリダジノンおよびピリミドンを形成していても良い。
【0019】
式IIの好ましい構造は、下記式の化合物およびそれの製薬上許容される塩である。
【0020】
【化5】

【0021】
式中、
各R15は独立に、H、アルキル、アラルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ベンゾヘテロアリール、アルコキシ、アミノカルボニルまたはアミノスルホニルであり;それらのうちの2個が5〜6員芳香族環または5〜7員脂肪族環を形成していても良く;
mは0〜3であり;
、R、R、R、R、n、XおよびYは上記で定義の通りである。
【0022】
式Iの好ましい構造は下記式の化合物およびそれの製薬上許容される塩である。
【0023】
【化6】

【0024】
式中、R、R、R、R、R、m、nおよびXは上記で定義の通りである。
【0025】
本発明の現在好ましい化合物は、
{4−クロロ−3−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(4−ベンジル−ピペリジン−1−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{4−クロロ−3−[2−(4−フェニルピペリジン−1−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(ベンジルメチルアミノ)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エトキシ]−5−トリフルオロメチルフェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)プロポキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(1−メチル−1−フェニルエチルアミノ)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
[3−(2−ベンジルアミノエトキシ)フェニル]−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
1−(1−{2−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)フェノキシ]エチル}−4−フェニルピペリジン−4−イル)エタノン;
[3−(3−ベンジルアミノプロポキシ)フェニル]−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(2−ベンジルイミダゾール−1−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
(1−{2−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)フェノキシ]エチル}ピペリジン−4−イル)ジフェニルメタノール;
4−ベンジル−1−{2−[3−(2−tert−ブチルキノリン−4−イルアミノ)フェノキシ]エチル}ピペリジン−4−オール;
4−ベンジル−1−{2−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−5−トリフルオロメチルフェノキシ]エチル}ピペリジン−4−オール;
{3−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エトキシ]フェニル}−(2,6−ジメチルピリミジン−4−イル)アミン;
{3−[2−(5−ベンジル−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エトキシ]−5−トリフルオロメチルフェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
(2−メチルキノリン−4−イル)−{3−[2−(4−フェニルピペリジン−1−イル)エトキシ]−5−トリフルオロメチルフェニル}アミン;
{3−[3−(1−メチル−1−フェニルエチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(5−ベンジル−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)エトキシ]−5−トリフルオロメチルフェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
N−(2−{1−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル}エチル)−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−[2−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−[2−(1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)エチル]−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−2−メチル−5−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−2−ヒドロキシ−5−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−3−(2−トリフルオロメチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−2,4,6−トリメチル−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
2−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−4−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−N−[2−(1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−2−イル)エチル]ベンズアミド;
N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−2,5−ビス(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−N−[2−(オクタヒドロ−シス−イソキノリン−2−イル)エチル]ベンズアミド;
N−(2−アゼパン−1−イルエチル)−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−(2−ベンジルアミノエチル)−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
4−({2−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−ベンゾイルアミノ]エチルアミノ}メチル)安息香酸;
N−[2−(2,2−ジメチルプロピルアミノ)エチル]−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エチル]−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンゼンスルホンアミド;
{3−[5−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)イソオキサゾール−3−イル]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[3−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)プロピル]−4−メチルフェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−N−(2−メチルキノリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,7−ジアミン;
[3′−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)ビフェニル−4−イル]−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エタンスルホニル]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
N−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エチル]−N′−(2−メチルキノリン−4−イル)ピリミジン−4,6−ジアミン;
3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)−1−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)フェニル]プロパン−1−オンオキシムである。
【0026】
単独または組合せで本明細書において用いられる「アルキル」という用語は、そのアルキルという用語の前にC〜Cの指定がある以外は、1個の水素原子の脱離によって飽和炭化水素から誘導されるC〜Cの直鎖または分岐で、置換または未置換の飽和鎖基を指す。アルキル基の代表的な例には、特にはメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチルおよびtert−ブチルなどがある。
【0027】
単独または組合せにて本明細書で使用される「アリール」、「アレン」または「芳香族」という用語は、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、フルオレニルおよびアントラセニルなどの約6〜12個の炭素原子を有する置換または未置換の炭素環系芳香族基;あるいはフリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、2−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、1,3,5−トリチアニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、ベンゾ[b]フラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[b]チオフェニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキザリニル、1,8−ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキシアジニル、ピラゾロ[1,5−c]トリアジニルなどの少なくとも1個の環内N、OまたはS原子を有する芳香環である複素環系芳香族基を指す。「アラルキル」および「アルキルアリール」は、上記で定義の「アルキル」という用語を用いている。環は複数箇所で置換されていても良い。
【0028】
単独または組合せにて本明細書で使用される「アラルキル」という用語は、アリール置換アルキル基を指し、その場合の「アルキル」および「アリール」という用語は上記で定義の通りである。好適なアラルキル基の例には、フェニルメチル、フェネチル、フェニルヘキシル、ジフェニルメチル、ピリジルメチル、テトラゾリルメチル、フリルメチル、イミダゾリルメチル、インドリルメチル、チエニルプロピルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
単独または組合せにて本明細書で使用される「ヘテロアリール」または「ヘテロアレン」という用語は、少なくとも1個の環内N、OまたはS原子を有する3〜10員環を指す。その複素環は、アリール縮合していても良い。前記複素環はまた、独立に特には水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボキシアルキル、オキソ、アリールスルホニルおよびアラルキルアミノカルボニルからなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されていても良い。
【0030】
本明細書で使用される「光学異性体」という用語は、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびラセミ体などの少なくとも1個の原子の立体化学においてのみ異なる化合物を指す。
【0031】
上記用語の使用は、置換および未置換の部分を包含するものである。置換は、アルコール類、エーテル類、エステル類、アミド類、スルホン類、スルフィド類、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アミン類、ヘテロ原子、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、アルコキシアルコキシ、アシロキシ、ハロゲン、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボキシアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、複素環、アルキル複素環、複素環アルキル、オキソ、アリールスルホニルおよびアラルキルアミノカルボニルあるいは前述の段落のいずれかの置換基または直接結合しているか好適な連結基によって結合している前記置換基のいずれかなどの1以上の基によるものであることができる。連結基は代表的には、−C−、−C(O)−、−N−H−、−S−、−S(O)−、−O−、−C(O)O−または−S(O)O−のいずれかの組合せを含む1〜3個の原子の短い鎖である。環は、複数回置換されていても良い。
【0032】
「電子吸引性」または「電子供与性」という用語は、水素が分子の同じ位置を占有している場合には、水素の電子に関して電子を吸引または供与する置換基の能力を指す。それらの用語は当業者には十分に理解されるものであり、文献(Advanced Organic Chemistry, J. March, 1985, pp.16-18;参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。電子吸引基には、特にはハロ、ニトロ、カルボキシル、低級アルケニル、低級アルキニル、カルボキシアルデヒド、カルボキシアミド、アリール、4級アンモニウム、トリフルオロメチル、スルホニルおよびアリール低級アルカノイルなどがある。電子供与基には、特にはヒドロキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、アリールオキシ、メルカプト、低級アルキルチオ、低級アルキルメルカプおよびジスルフィドのような基などがある。当業者であれば、前記置換基が異なる化学的条件下では電子供与性または電子吸引性を有し得ることは明らかであろう。さらに本発明は、上記の基から選択される置換基のいずれかの組合せを意図するものである。
【0033】
最も好ましい電子供与性または電子吸引性置換基は、ハロ、ニトロ、アルカノイル、カルボキシアルデヒド、アリールアルカノイル、アリールオキシ、カルボキシル、カルボキシアミド、シアノ、スルファニル、スルホキシド、複素環、グアニジン、4級アンモニウム、低級アルケニル、低級アルキニル、スルホニウム塩類、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキル、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ(低級アルキル)アミノ、アミン低級アルキルメルカプト、メルカプトアルキル、アルキルチオ、カルボキシ低級アルキル、アリールアルコキシ、アルカノイルアミノ、アルカノイル(低級アルキル)アミノ、低級アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニル(低級アルキル)アミノ、アリルスルホニル(低級アルキル)アミノ、低級アルキルカルボサアミド、ジ(低級アルキル)カルボキサミド、スルホンアミド、低級アルキルスルホンアミド、ジ(低級アルキルスルホンアミド、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニルおよびアルキルジチオである。
【0034】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、特定の成分を特定の量で含む製造物、ならびに特定の成分の特定の量での組合せから直接または間接に得られる製造物を包含するものである。
【0035】
本明細書で使用される場合、「哺乳動物」という用語には、ヒトおよび他の動物が含まれる。
【0036】
本発明の化合物は、無機または有機酸から誘導される製薬上許容される塩の形態で用いることができる。「製薬上許容される塩」という表現は、妥当な医学的判断の範囲内で、不適当な毒性、刺激、アレルギー応答などを起こすことなくヒトおよびそれより下等な動物の組織と接触しての使用に好適であり、妥当な利益/リスク比を有する塩を意味する。製薬上許容される塩は当業界で公知である。例えば、バージら(S. M. Berge et al)は、報告(J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66: 1 et seq)において製薬上許容される塩について詳細に記載している。その塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製時にin situで、あるいは好適な有機酸と遊離塩基官能基との反応によって別個に製造することができる。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグリコール酸塩(dighiconate)、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩(palmitoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩などがあるが、これらに限定されるものではない。さらに、塩基性窒素含有基は、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチルなどの低級アルキルハライド;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルなどの硫酸ジアルキル;塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルなどの長鎖ハライド;臭化ベンジルおよびフェネチルなどのアリールアルキルハライド等の薬剤で4級化することができる。そうして、水またはオイル可溶性または分散性の製造品が得られる。製薬上許容される酸付加塩を形成するのに用いられる酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸ならびにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸などの有機酸などがある。
【0037】
塩基付加塩は、製薬上許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩などの好適な塩基と、またはアンモニアと、または有機1級、2級もしくは3級アミンとカルボン酸含有部分を反応させることで、本発明の化合物の最終的な単離および精製時にin situで製造することができる。製薬上許容される塩には、特にはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩などのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属に基づくカチオンならびに無毒性4級アンモニアおよびアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウムおよびエチルアンモニウムなどのアミンカチオンなどがあるが、これらに限定されるものではない。塩基付加塩の形成で有用な他の代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペリジンなどがある。
【0038】
本発明の化合物の局所投与用の製剤には、粉剤、噴霧剤、軟膏および吸入剤などがある。活性化合物は、無菌条件下で、製薬上許容される担体および必要な保存剤、緩衝剤または必要な場合がある推進剤と混合される。眼科製剤、眼球軟膏、粉剤および液剤も、本発明の範囲に包含されるものと考えられる。
【0039】
本発明の医薬組成物中の有効成分の実際の用量レベルを変動させて、特定の患者、組成物および投与形態について所望の治療応答を得るのに有効な活性化合物の量を得ることができる。選択される用量レベルは、特定の化合物の活性、投与経路、処置される状態の重度ならびに治療を受ける患者の状態および以前の病歴によって決まる。しかしながら、所望の治療効果を得るのに必要な量より低いレベルで化合物の用量を開始し、所望の効果が得られるまでその用量を徐々に増やすことは、当業界の技術の範囲内である。
【0040】
上記または他の治療において用いる場合、治療上有効量のいずれかの本発明の化合物を、純粋な形態で、あるいは存在する場合には製薬上許容される塩、エステルまたはプロドラッグの形態で用いることができる。別法として前記化合物は、1以上の製薬上許容される賦形剤と組み合わせて対象化合物を含む医薬組成物として投与することができる。本発明の化合物の「治療上有効量」という表現は、医学的処置に適用可能な妥当な利益/リスク比で障害を治療するのに十分な化合物量を意味する。しかしながら、本発明の化合物および組成物の総1日使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で担当医が決定するものであることは明らかであろう。特定の患者における具体的な治療上有効な用量レベルは、治療対象の障害およびその障害の重度;用いられる具体的な化合物の活性;用いられる具体的な組成物;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別および食事;用いられる具体的な化合物の投与時刻、投与経路および排泄速度;治療期間;用いられる具体的化合物と併用または同時使用される薬剤;ならびに医学業界で公知の同様の要素などの多様な要素によって決まる。例えば、所望の治療効果を得るのに必要な量より低いレベルで化合物の用量を開始し、所望の効果が得られるまでその用量を徐々に増やすことは、当業界の技術の範囲内である。
【0041】
本発明は、1以上の無毒性の製薬上許容される担体とともに製剤された本発明の化合物を含む医薬組成物も提供する。その医薬組成物は、固体または液体での経口投与用に、非経口注射用に、あるいは直腸投与用に特別に製剤することができる。
【0042】
本発明の医薬組成物は、経口投与、直腸投与、非経口投与、大槽内投与、膣内投与、腹腔内投与、局所投与(粉剤、軟膏または滴剤により)、口腔投与で、あるいは経口もしくは経鼻噴霧剤として、ヒトおよび他の哺乳動物に投与することができる。本明細書で用いられる場合の「非経口的に」という用語は、静脈、筋肉、腹腔内、胸骨内、皮下および動脈注射および注入などの投与形態を指す。
【0043】
別の態様において本発明は、本発明の成分および生理的に耐容される希釈剤を含む医薬組成物を提供する。本発明は、特に非経口注射用、鼻腔内投与用、固体もしくは液体での経口投与用、直腸もしくは局所投与用に、1以上の無毒性の生理的に耐容または許容される希釈剤、担体、補助剤もしくは媒体(本明細書では、総称して希釈剤と称される)とともに組成物に製剤される上記の1以上の化合物を含む。
【0044】
前記組成物は、冠状動脈内ステント(細いワイヤメッシュからなる管状機器)を介して、または生体分解性ポリマーを介して、標的部位での局所投与用にカテーテルから投与することもできる。前記化合物は、標的送達を行うために、抗体などのリガンドに複合体化することもできる。
【0045】
非経口注射に好適な組成物は、生理的に許容される無菌の水系もしくは非水系液剤、分散液、懸濁液または乳濁液ならびに再生して無菌の注射液剤または分散液とするための無菌粉剤を含むことができる。好適な水系および非水系の担体、希釈剤、溶媒または媒体の例には、水、エタノール、多価アルコール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなど)、植物油(オリーブ油など)、オレイン酸エチルなどの注射用有機エステルならびにそれらの好適な混合物などがある。
【0046】
それらの組成物は、保存剤、湿展剤、乳化剤および分散剤などの補助剤を含むこともできる。微生物の活動の防止は、例えばパラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの各種抗菌剤および抗真菌剤によって行うことができる。例えば糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を含有することも望ましい場合がある。注射用医薬製剤の長期吸収は、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を用いることで行うことができる。
【0047】
懸濁液は、活性化合物以外に、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール類、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル類、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカントあるいはこれら物質の混合物のような懸濁剤を含むことができる。
【0048】
場合により、薬剤の効果を延長するため、皮下注射または筋肉注射からの薬剤の吸収を遅らせることが望ましい。それは、水溶解度が低い結晶材料または非晶質材料の懸濁液を用いることで行うことができる。そして、薬剤の吸収速度は、それの溶解速度によって決まり、その溶解速度は結晶の大きさおよび結晶型によって決まり得るものである。あるいは、非経口投与される医薬の遅延吸収は、その薬剤をオイル媒体に溶解または懸濁させることで行われる。
【0049】
注射用デポー剤は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生体分解性ポリマー中で薬剤のマイクロカプセル基材を形成することで得られる。薬剤/ポリマー比および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬剤放出の速度を制御することができる。他の生体分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)などがある。デポー注射製剤は、身体組織と適合性であるリポソームまたは微細乳濁液中に薬剤を捕捉させることによっても製造される。
【0050】
注射製剤は、例えば細菌保持フィルターによる濾過によって、あるいは無菌水その他の無菌注射用媒体中に使用直前に溶解または分散させることができる無菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。
【0051】
経口投与用の固体製剤には、カプセル、錠剤、丸薬、粉剤および粒剤などがある。そのような固体製剤では、活性化合物を少なくとも1種類のクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの不活性で製薬上許容される賦形剤または担体および/またはa)デンプン類、乳糖、ショ糖、グルコース、マニトールおよびケイ酸などの充填剤または増量剤;b)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖およびアカシアなどの結合剤;c)グリセリンなどの湿潤剤;d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;e)パラフィンなどの溶解遅延剤;f)4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;g)セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセリンなどの湿展剤;h)カオリンおよびベントナイトクレーなどの吸収剤およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物などの潤滑剤と混合することができる。カプセル、錠剤および丸薬の場合、製剤は緩衝剤を含むこともできる。
【0052】
同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤ならびに高分子量ポリエチレングリコール類等を用いる軟および硬充填ゼラチンカプセル中の充填剤として用いることもできる。
【0053】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬および粒剤という固体製剤は、製薬業界で公知の腸溶コーディングおよび他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて製造することができる。それは、不透明化剤を含んでいても良く、有効成分を専らあるいは適宜に遅延的に腸管のある一定の部分で優先的に放出するような組成物のものであることもできる。使用可能な包埋組成物には、ポリマー物質およびロウ類などがある。
【0054】
活性化合物は、適切であれば1以上の上記賦形剤を用いてマイクロカプセルの形態とすることもできる。
【0055】
経口投与用の液体製剤には、製薬上許容される乳濁液、液剤、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤などがある。活性化合物以外に、液体製剤は、例えば水その他の溶媒などの当業界で通常使用される不活性希釈剤;エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル類(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセリン、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール類およびソルビンタンの脂肪酸エステル類ならびにそれらの混合物などの可溶化剤および乳化剤を含むことができる。
【0056】
不活性希釈剤以外に、経口組成物は、湿展剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤および芳香剤などの補助剤を含むこともできる。
【0057】
直腸または膣投与用の組成物は好ましくは、室温では固体であるが体温では液体であることから、直腸または膣腔で融解して活性化合物を放出するカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ロウなどの好適な非刺激性の賦形剤または担体と本発明の化合物を混合することで製造することが可能な坐剤である。
【0058】
本発明の化合物は、リポソームの形態で投与することもできる。当業界では明らかなように、リポソームは通常、リン脂質または他の脂質物質から誘導されるものである。リポソームは、水系媒体中に分散される単ラメラもしくは多ラメラの水和液晶によって形成される。リポソームを形成することができる無毒性で生理的に許容される代謝可能な脂質を用いることができる。リポソームの形態での本発明の組成物は、本発明の化合物以外に、安定剤、保存剤、賦形剤などを含むことができる。好ましい脂質は、別個または一緒に使用される天然および合成のリン脂質およびホスファチジルコリン類(レシチン類)である。
【0059】
リポソームの形成方法は当業界では公知である(例えば、Prescott. Ed., Methods in Cell Biology, Volume XIV, Academic Press, New York, N. Y. (1976), p. 33 et seq参照)。
【0060】
本明細書で使用される「製薬上許容されるプロドラッグ」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、不適当な毒性、刺激、アレルギー応答などを起こすことなくヒトおよびそれより下等な動物の組織と接触しての使用に好適であり、妥当な利益/リスク比を有し、所期の用途において有効である本発明の化合物のプロドラッグ、ならびに可能である場合は本発明の化合物の両性イオン型を表す。本発明のプロドラッグは、例えば血液中での加水分解によって上記式の親化合物にin vivoで急速に変換され得る。ヒグチらの報告(T. Higuchi and V. Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, V. 14 of the A. C. S. Symposium Series)およびロッシェの編著(Edward B. Roche, ed., Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press (1987))(これらは参照によって本明細書に組み込まれる)に詳細な議論がある。
【0061】
哺乳動物に投与された異なる化合物のin vivoでの変換によって形成される本発明の化合物は、本発明の範囲に包含されるものである。
【0062】
本発明の化合物は、不斉中心またはキラル中心が存在する立体異性体として存在することができる。それらの立体異性体は、キラル炭素原子周囲の置換基の配置に応じて「R」または「S」である。本発明は、各種立体異性体およびそれらの混合物を想到するものである。立体異性体には、エナンチオマーおよびジアステレオマー、そしてエナンチオマーもしくはジアステレオマーの混合物などがある。本発明の化合物の個々の立体異性体は、不斉中心またはキラル中心を有する市販の原料から合成によって、あるいはラセミ混合物を製造してから当業者には公知の分割を行うことで製造することができる。その分割方法の例としては、(1)エナンチオマー混合物のキラル補助剤への結合、得られたジアステレオマー混合物の再結晶もしくはクロマトグラフィーによる分離および補助剤からの光学的に純粋な生成物の遊離、あるいは(2)キラルクロマトグラフィーカラムでの光学エナンチオマー混合物の直接分離が挙げられる。
【0063】
本発明の化合物は、溶媒和型ならびに半水和物などの水和型等の溶媒和型で存在することができる。一般に、特に水およびエタノールなどの製薬上許容される溶媒との溶媒和型は、本発明に関して未溶媒和型と等価である。
【0064】
好ましくは前記組成物は、錠剤、カプセルまたは計量エアロゾル用量などの単位製剤のものであることで、患者が単一用量を自己投与することができるものである。
【0065】
経口投与用の各用量単位は、好適には0.0001mg〜500mg/kg、好ましくは1mg〜100mg/kgの遊離酸として計算される式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩を含み、非経口投与用の各投与単位は、好適にはそれを0.1mg〜100mg含む。経鼻投与用の各用量単位は、好適には1〜400mg、好ましくは10〜200mg/人を含む。局所製剤は好適には、0.01〜1.0%の式(I)の化合物を含む。
【0066】
経口投与用の1日用量は、好適には約0.01mg/kg〜40mg/kgの遊離酸として計算される式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩である。非経口投与用の1日用量は、好適には約0.01mg/kg〜40mg/kgの遊離酸として計算される式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩である。経鼻投与または経口吸入溶の1日用量は、好適には約10〜500mg/人である。有効成分は、所望の活性を示すのに十分なように1日1〜6回投与することができる。
【0067】
これらの化合物は、鬱血性心不全、卒中、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、心不整脈、高血圧(本態性および肺性)、末梢血管疾患(男性勃起不全、糖尿病性網膜症、間欠性跛行/虚血性四肢疾患)および虚血性/出血性卒中を伴う腎疾患(急性および慢性腎不全/末期腎疾患)、COPD、再狭窄、喘息、神経性炎症、片頭痛、代謝性血管障害、骨/軟骨/関節疾患、関節炎および他の炎症疾患、線維症(例:肺線維症)、敗血症、アテローム性動脈硬化、異脂肪血症、依存症、精神分裂症、認識障害/アルツハイマー病、衝動性、不安、ストレス、抑鬱、疼痛、神経筋機能、糖尿病、胃逆流、胃運動性障害、潰瘍および泌尿生殖器疾患の治療に用いることができる。
【0068】
ウロテンシン拮抗薬は、単独であるいは1以上の他の治療薬との併用で投与することができ、その薬剤はエンドテリン受容体拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、A−II受容体拮抗薬、血管ペプチダーゼ阻害薬、利尿薬、ジゴキシンおよび二重非選択的β−アドレナリン受容体および1−アドレナリン受容体拮抗薬からなる群から選択される。
【0069】
式(I)の化合物の生理活性は、下記の試験によって示される。
【0070】
1)ウロテンシン−II受容体へのヒト[125I]−ウロテンシン−IIの結合の阻害
均質シンチレーション近接アッセイ(SPA)で組換えUTRを安定に発現するTE−671横紋筋肉腫細胞またはCHO細胞からの細胞膜を用いて、ウロテンシン−II受容体(UTR)へのヒト[125I]−ウロテンシン−IIの結合を行った。UTR細胞膜を、膜5〜25μg/ビーズ0.5mg/アッセイの比率でWGA−PVTビーズ(アマシャム(Amersham)RPNQ0001)に4℃にて終夜で前結合させた。総容量100μLの20mM HEPES、5mM MgCl、pH7.4中にて結合したビーズと0.1nM[125IU−II(2200Ci/mmol、NEN NEX379)を混合することで、アッセイを96ウェルの微量定量オプティプレート(Optiplate)(パッカード(Packard)6005290)で行った。被験化合物をDMSOで希釈し、最終濃度1%DMSOでアッセイに供した。37℃で3時間インキュベーションした後、トップカウント(TopCount)シンチレーションマイクロプレート読取装置で読み取りを行った。100nM未標識ヒトU−II(フェニックス・ファーマシューティカルズ(Phoenix Pharmaceuticals)、071−05)をアッセイ混合物に加えることで、非特異的結合を測定した。アッセイの解析を、非線形最小二乗適合を用いて行った。
【0071】
1)UTR細胞でのヒトウロテンシン−II−誘発Ca2+動員の阻害
ウロテンシン−IIの機能を、フレックスステーション(FlexStation)走査型蛍光光度計(Molecular Devices)での細胞内Ca2+のリガンド誘発動員を測定することで求めた。UTR細胞を96ウェル黒色/透明平板(Costar brand, Fisher 07-200-588)にて細胞50000個/ウェルで終夜平板培養した。ハンクス液(HBSS)、20mM HEPES、25mMプロベンシド、pH7.4中にてフルオ(fluo)−4AM色素(Molecular Probes、F−14201)で細胞を標識し、緩衝液で洗浄した。アッセイ中、細胞をフレックスステーションで連続的にモニタリングし、最終濃度0.1%DMSOで被験化合物に曝露してから、1nMヒトU−IIを加えた。2秒ごとに2分間にわたり、蛍光を読み取った。使用した励起波長および発光波長は、485nmおよび525nmであった。ウロテンシン−II誘発シグナルの阻害を、非線形最小二乗適合プログラムを用いて計算した。本発明の化合物はこれらのアッセイにおいて活性であり、IC50が<10μMである(実施例7のIC50=6.5μM)。
【0072】
以下の実施例は本発明を説明するものであって、限定するものではない。
【0073】
実施例1:N−(2−ジメチルアミノ−エチル)−3−(2−メチル−キノリン−4−イルアミノ)−ベンゼンスルホンアミド
【0074】
【化7】

【0075】
段階1:N−(2−ジメチルアミノ−エチル)−3−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド(3)
3−ニトロベンゼンスルホニルクロライド(1、1.0g、4.51mmol)の脱水CHCl(9.0mL)溶液に、N,N−ジメチル−エチレンジアミン(2、0.5mL、4.55mmol)を滴下した。得られた溶液を室温で終夜攪拌してから、それをEtOAc(80mL)で希釈した。有機混合物を飽和NaHCO(90mL)、ブライン(90mL)で洗浄し、MgSOで脱水した。固体を濾過し、濾液をロータリーエバポレータで濃縮して、3を泡状物として得た(0.8g)。それをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。
【0076】
段階2:3−アミノ−N−(2−ジメチルアミノ−エチル)−ベンゼンスルホンアミド(4)
3(0.8g)のエタノール(10mL)溶液について、終夜にわたり接触水素化を行った(10%Pd/C、デグッサ(Degussa)、0.8g、AcOH 3滴、1気圧)。後処理のため、固体を濾過し、濾液を真空乾燥して、4を固体として得た(0.71g)。それをそれ以上精製せずに次の段階で用いた。
【0077】
段階3:N−(2−ジメチルアミノ−エチル)−3−(2−メチル−キノリン−4−イルアミノ)−ベンゼンスルホンアミド
4(0.3g、1.23mmol)および4−クロロキナルジン(5、0.26mL、1.29mmol)のエタノール(10mL)溶液に、濃HClを2滴加えた。得られた混合物を終夜還流加熱してから、エタノールを減圧下に除去した。残留物を飽和NaHCO(水溶液20mL)で塩基性とし、得られた塩基性溶液をEtOAcで抽出した(20mLで2回)。合わせた有機層をMgSOで脱水し、固体を濾過し、濾液をロータリーエバポレータで濃縮した。残留物をフロリジル(Florisil)で精製して、標題化合物を橙赤色固体として得た(15mg)。
【0078】
実施例2:N−(2−ジメチルアミノ−エチル)−3−(2−メチル−キノリン−4−イル−アミノ)−ベンズアミド
【0079】
【化8】

【0080】
段階1で1に代えて3−ニトロベンゾイルクロライドを用いた以外は、実施例1と同様にして標題化合物を合成した。それは淡黄色固体として得られた。
【0081】
実施例3:(3−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−4−メチル−フェニル)−(2−メチル−キノリン−4−イル)−アミン
【0082】
【化9】

【0083】
段階1:tert−ブチル(3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニル)−カーバメート(7)
5−アミノ−2−メチルフェノール(6、1.0g、8.12mmol)およびジ−tert−ブチルジカーボネート(1.95g、8.93mmol)のTHF(25mL)溶液を還流下に終夜加熱した。冷却して室温とした後、溶液をEtOAc(75mL)で希釈し、得られた混合物を水(70mL)、1N HCl(70mLで2回)およびブライン(70mL)で洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、固体を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。所望の生成物7を油状物として得て(2.16g)、それ以上精製せずに次の段階で用いた。
【0084】
段階2:tert−ブチル(3−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−4−メチル−フェニル)−カーバメート(8)
7(2.16g、9.68mmol)、2−(ジメチルアミノ)−エチルクロライド・塩酸塩(1.53g、10.6mmol)およびKCO(5.35g、3.87mmol)のDME(28mL)/HO(7mL)中混合物を、還流下に終夜加熱した。冷却して室温とした後、溶液をEtOAc(100mL)で希釈し、得られた溶液をHO(100mLで2回)およびブライン(100mL)で洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、固体を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルで精製して、8を油状物として得た(1.15g)。それは放置していると固体となった。
【0085】
段階3:3−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−4−メチルアニリン(9)
8(1.15g)の6N HCl(10mL)溶液を、60℃で4時間加熱した。冷却して室温とした後、溶液を6N NaOH溶液で中和した。水系混合物をEtOAcで抽出し(30mLで2回)、合わせた有機層をブラインで洗浄し(50mLで1回)、MgSOで脱水した。固体を濾過し、濾液を減圧下に濃縮して、所望の生成物を油状物として得た(0.68g)。
【0086】
段階4:(3−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−4−メチル−フェニル)−(2−メチル−キノリン−4−イル)−アミン
9(0.25g、1.29mmol)および5(0.29mL、1.44mmol)のEtOH(8mL)溶液に、濃HCl 2滴を加えた。混合物を還流下に終夜加熱した。冷却して室温とした後、EtOHを減圧下に除去した。残留物を飽和NaHCO(水溶液)とEtOAc(各100mL)との間で分配し、水層をEtOAcで抽出した(50mLで2回)。合わせた有機層をMgSOで脱水し、固体を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。残留物をフロリジル(50%EtOAc/ヘキサンから15%MeOH/EtOAc)で精製して、標題化合物を明黄色固体として得た(0.25g)。
【0087】
実施例4〜11の化合物を、実施例3と同様にして合成した。
【0088】
実施例12:(3−ジメチルアミノメチル−フェニル)−(2−メチル−キノリン−4−イル)−アミン
【0089】
【化10】

【0090】
段階1:ジメチル−(3−ニトロベンジル)−アミン(11)
3−ニトロベンジルブロマイド(10、1.67g、7.73mmol)およびN,N−ジメチルアミン(4.25mL、2M THF溶液)の脱水THF(30mL)溶液を、40℃で終夜加熱した。反応混合物を1N HCl(30mL、水溶液)で希釈し、水層を分離し、EtOAc(30mL)で抽出した。水層のpHを飽和NaCO(水溶液)を用いて調節して9とし、水層をEtOAc(50mL)で抽出した。有機層を水(40mL)、ブライン(40mL)で洗浄し、NaSOで脱水した。固体を濾過し、濾液をロータリーエバポレータで濃縮して11を得た(1.2g)。
【0091】
段階2:3−ジメチルアミノメチルアニリン(12)
11(1.2g、6.67mmol)のメタノール(100mL)溶液に、濃HCl(10mL)およびSnCl(5g、26.67mmol)をその順に加えた。反応混合物を室温で終夜攪拌してから、それを水とEtOAc(各200mL)との間で分配した。有機層を分離し、水(150mL)、ブライン(150mL)で洗浄し、NaSOで脱水した。固体を濾過し、濾液をロータリーエバポレータで濃縮して、12(500mg)を得た。
【0092】
段階3:(3−ジメチルアミノメチル−フェニル)−(2−メチル−キノリン−4−イル)−アミン
実施例1段階3に示した方法と同様にして標題化合物を合成し、それを黄色様固体として得た(230mg)。
【0093】
実施例13:(4−クロロ−3−(2−(1−(2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル)−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−エトキシ)−フェニル)−(2−メチル−キノリン−4−イル)−アミン
【0094】
【化11】

【0095】
段階1:2−(2−ブロモ−エトキシ)−1−クロロ−4−ニトロベンゼン(15)
2−クロロ−5−ニトロ−フェノール(13、0.87g、5mmol)のアセトン(10mL)溶液に、1,2−ジブロモエタン(14、0.85mL、10mmol)およびKCO(1.45g、10.5mmol)をその順に加えた。混合物を還流下に終夜加熱した。後処理のために、固体を濾過し、濾液を濃縮した。残留物を最初にヘキサン、次にEtOAcを溶離液とするクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製して、15(600mg)を得た。
【0096】
段階2:2−(2−(2−クロロ−5−ニトロ−フェノキシ)−エチル)−1−(2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン(17)
15(315mg、1.13mmol)の脱水THF(3mL)溶液に、1−(2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン(16、Morimoto et al、Heterocycles, 1996, 43: 2557; Brossi et al., Helv. Chim. Acta 1960, 43: 1459; Meyers et al., Tetrahedron Lett 1981, 22: 5115; Meyers et al., J. Am. Chem. Soc., 1983, 105: 117)(404mg、1.13mmol)およびピリジン(0.3mL)をその順に加えた。反応混合物を還流下に2日間加熱してから、それをEtOAcと水(各20mL)との間で分配した。有機層を分離し、水(15mL)、ブライン(15mL)で洗浄し、NaSOで脱水した。固体を濾過し、濾液を、ヘキサン:EtOAc(1:1)を溶離液とするクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製して、17(205mg)を得た。
【0097】
段階3:4−クロロ−3−(1−(2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル)−6,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−2−イル)−エトキシ)アニリン(18)
17(205mg、0.369mmol)のメタノール(10mL)溶液に、濃HCl(0.5mL)およびSnCl(280mg、1.48mmol)をその順に加えた。混合物を室温で8時間攪拌してから、それを水(100mL)で希釈し、2N NaOHを用いてpHを10に調節した。混合物をEtOAc(150mL)で抽出し、有機層を水およびブラインで洗浄し(各100mL)、NaSOで脱水した。固体を濾過し、濾液をロータリーエバポレータで濃縮して、18(170mg)を得た。
【0098】
段階4:(4−クロロ−3−(2−(1−(2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル)−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−
5および18を用い、実施例1/段階3に示した方法と同様にして、標題化合物を合成した。それを黄色固体として得た(79mg)。
【0099】
実施例14:1−(4−クロロ−3−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−フェニル)−3−(2−メチル−キノリン−4−イル)−尿素
4−アミノキナルジン(74mg、0.46mmol)の脱水THF(5.0mL)溶液に、トリエチルアミン(0.2mL、1.4mmol)を加えた。溶液を冷却して0℃としてから、トリホスゲン(45.0mg、0.18mmol)を加えた。反応混合物を0℃で10分間攪拌してから、4−クロロ−3−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)アニリン(100.0mg、0.46mmol、これの合成については実施例1における段階1〜3を参照する)のTHF(2mL)溶液を加えた。氷浴を外し、混合物を65℃で2時間加熱してから、それをCHCl/MeOHの混合物(20mL、7:1比)に投入した。得られた混合物を10%重炭酸ナトリウム(水溶液15.0mL)で洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、濃縮した。油状残留物をシリカゲルでクロマトグラフィー精製して(溶離液:20%MeOH/EtOAc)、所望の生成物をオフホワイト固体として得た(82.0mg、収率45%)。
【0100】
実施例15および16の化合物を、実施例2の場合と同様にして合成した。
【0101】
【表1】



【0102】
実施例17〜76の化合物についての構造、化学名、物理性状およびM+Hデータを表2に示した。
【0103】
実施例17の化合物は、標準的な方法(NaH/DMF/MeI)を用いて実施例3の化合物をメチル化することで合成した。
【0104】
実施例18および19の化合物は、実施例3の化合物と同様にして合成した。
【0105】
実施例20〜32の化合物は、実施例13の化合物と同様にして合成した。
【0106】
実施例33の化合物は、13に代えて3−ニトロ−5−トリフルオロメチルフェノールを用いた以外は実施例13の化合物と同様にして合成した。3−ニトロ−5−トリフルオロメチルフェノールは、標準的な方法を用いて(BBr/CHCl)3−ニトロ−5−トリフルオロメチルアニソールを脱メチル化することで合成した。
【0107】
実施例34の化合物は、標準的な方法(NaOH/MeOH/THF)を用いて実施例32の化合物を加水分解することで合成した。
【0108】
実施例35〜44の化合物は、実施例13の化合物と同様にして合成した。
【0109】
実施例45の化合物の製造は示す。実施例46〜54の化合物は、実施例13の化合物と同様にして合成した。
【0110】
実施例55の化合物の合成を示す。
【0111】
実施例56および57の化合物は、実施例13の化合物と同様にして合成した。
【0112】
実施例58の化合物は、4−クロロ−2−メチルキノリンに代えて4−クロロ−2−tert−ブチルキノリン(C Wolf, R Lerebours: J Org Chem 2003, 68: 7077-7084)を用いた以外は実施例13の化合物と同様にして合成した。
【0113】
実施例59の化合物は、実施例13の化合物と同様にして合成した。
【0114】
実施例60の化合物は、標準的な方法(NaH/DMF/AcCl)を用いて実施例21の化合物をアシル化することで合成した。
【0115】
実施例61の化合物は、実施例13の化合物と同様にして合成した。
【0116】
実施例62の化合物は、実施例33の化合物と同様にして合成した。実施例63〜65の化合物は、実施例13の化合物と同様にして合成した。
【0117】
実施例66の化合物は、実施例13の化合物と同様にして合成し、それは所期の(1−{2−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)フェノキシ]エチル}ピペリジン−4−イル)ジフェニルメタノールの脱水生成物として得られた。
【0118】
実施例67の化合物は、実施例33の化合物と同様にして合成した。
【0119】
実施例68の化合物は、実施例65の化合物の加水分解(NaOH/MeOH/THF/65℃/2日)によって合成した。
【0120】
実施例69の化合物は、実施例36の化合物の加水分解(NaOH/MeOH/THF)によって合成した。
【0121】
実施例70および71の化合物は、実施例33の化合物と同様にして合成した。
【0122】
実施例72および73の化合物は、実施例13の化合物と同様にして合成した。
【0123】
実施例74の化合物は、実施例33の化合物と同様にして合成した。
【0124】
実施例75および76の化合物は、実施例13の化合物と同様にして合成した。
【0125】
実施例45:{3−[2−(4−ベンゼンスルホニルピペリジン−1−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
【0126】
【化12】

【0127】
段階1:3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)フェノール(20)
20は、実施例1段階3の手順によって製造される。
【0128】
段階2:[3−(2−クロロエトキシ)フェニル]−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン(21)
20(2.16g、6.90mmol)のアセトン(22mL)中不均一混合物に、1−ブロモ−2−クロロエタン(7.2mL、86.50mmol)および炭酸カリウム(3.00g、21.71mmol)をその順に加えた。反応液を攪拌し、70℃で17時間加熱してから、放冷して室温とし、濾過した。固体を塩化メチレン/メタノールの3:1混合物で洗浄し(25mLで3回)、濾液を単離し、溶媒留去して、粗生成物を得た。シリカでのカラムクロマトグラフィー(塩化メチレンから20/1から15/1から5/1塩化メチレン/メタノール)によって、21を淡黄色固体として得た(0.96g、35.5%)。
【0129】
段階3:1−ベンゼンスルホニルピペリジン(22)
ベンゼンスルホニルクロライド(1g、5.66mmol)のTHF(20mL)溶液に、トリエチルアミン(1.97mL、14.15mmol)およびピペリジン(2.92g、33.9mmol)をその順に加えた。反応液を室温で1時間攪拌してから、それを酢酸エチルで抽出し、水およびブラインで洗浄した。酢酸エチル抽出液を無水硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した。残留物をシリカゲルでクロマトグラフィー精製して(1:1ヘキサン/酢酸エチルから10/1塩化メチレン/メタノール)、22を黄色油状物として得た。
【0130】
段階4:{3−[2−(4−ベンゼンスルホニルピペリジン−1−イルエトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
21(250mg、0.67mmol)のDMF(5mL)溶液に、炭酸ナトリウム(149mg、1.41mmol)および22(183mg、0.808mmol)をその順に加えた。反応液をN雰囲気下に置き、90℃で16時間加熱した。冷却して室温とした後、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、水およびブラインで洗浄した。酢酸エチル抽出液を無水硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒留去した。残留物を逆相HPLCによって精製して、標題化合物を淡黄色固体として得た(20mg、6%)。
【0131】
実施例55:{3−[2−(2−ベンジルイミダゾール−1−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
【0132】
【化13】

【0133】
段階1:2−ベンジル−1H−イミダゾール(24)
23(0.78g、4.8mmol)および10%Pd/C(0.78g)のトルエン(25mL)中混合物を120℃で48時間加熱した。それを放冷して室温とし、固体を濾去した。濾液を減圧下に濃縮し、残留物をシリカゲルカラムで精製して、24を得た(0.16g、21%)。
【0134】
段階2:2−ベンジル−1−[2−(3−ニトロフェノキシ)エチル]−1H−イミダゾール(26)
26は、実施例45段階4の手順によって24および25から製造される。
【0135】
段階3:3−[2−(2−ベンジルイミダゾール−1−イル)エトキシ]フェニルアミン(27)
27は、実施例110段階4の手順によって26から製造される。
【0136】
段階4:{3−[2−(2−ベンジルイミダゾール−1−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
標題化合物は、実施例1段階3の手順によって製造される。
【0137】
実施例67:4−ベンジル−1−{2−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−5−トリフルオロメチルフェノキシ]エチル}ピペリジン−4−カルボン酸メチル
【0138】
【化14】

【0139】
段階1:1−tert−ブチル4−メチルピペリジン−1,4−ジカルボキシレート(29)
イソニペコチン酸メチル(28)(2.84g、19.84mmol)およびDMAP(触媒量)の脱水CHCl(25mL)溶液に0℃で、ジ−tert−ブトキシカーボネート(5.20g、23.82mmol)を加えた。混合物を還流下に5時間加熱してから、それを放冷して室温とし、塩化メチレン(100mL)で希釈した。1N HCl(100mLで2回)および水(100mL)で洗浄した後、有機層をNaSOで脱水し、濃縮して、29(4.64g、97%)を得た。
【0140】
段階2:1−tert−ブチル4−メチル4−ベンジルピペリジン−1,4−ジカルボキシレート(30)
29(4.64g、19.08mmol)の脱水THF(20mL)溶液に−78℃で、NaHMDS(1.0M THF溶液、22.90mL、22.90mmol)をゆっくり加えた。それを−78℃で30分間攪拌してから、臭化ベンジル(3.91g、22.87mmol)を加えた。冷却浴を外し、反応液を昇温させて室温とし、終夜攪拌した。混合物をEtOAc(150mL)で希釈し、水(100mLで2回)およびブライン(100mL)で洗浄した。有機層を脱水し(NaSO)、減圧下に濃縮し、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、30(4.5g、71%)を得た。
【0141】
段階3:4−ベンジルピペリジン−4−カルボン酸メチル
30(4.5g、13.5mmol)のTFA(25mL)およびCHCl(25mL)溶液を、室温で40分間攪拌した。混合物を濃縮し、残留物をEtOAc(100mL)で希釈した。1N NaOH(100mLで2回)および水(100mL)の順で洗浄してから、有機溶液を脱水し(NaSO)、濃縮乾固させて、所望の生成物を黄色固体として得た(2.9g、92%)。
【0142】
段階4:4−ベンジル−1−[2−(3−ニトロ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピペリジン−4−カルボン酸メチル(32)
32は、実施例45段階4の手順によって30および31から製造される。
【0143】
段階5:1−[2−(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]−4−ベンジルピペリジン−4−カルボン酸メチル(33)
33は、実施例110段階4の手順によって製造される。
【0144】
段階6:4−ベンジル−1−{2−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−5−トリフルオロメチルフェノキシ]エチル}ピペリジン−4−カルボン酸メチル
標題化合物は、実施例1段階3の手順によって33から製造される。
【0145】
【表2】









【0146】
実施例77の化合物は、標準的な方法を用いて(NaH/BnBr/DMF)実施例2の化合物をベンジル化することによって合成した。実施例2の合成は、3−ニトロベンゼンスルホニルクロライドに代えて3−ニトロベンゾイルクロライドを用いた以外は、実施例1と同様である。
【0147】
実施例78〜101の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0148】
実施例102の化合物は、標準的な方法を用いて(BBr/CHCl)実施例99の化合物を脱メチル化することによって合成した。
【0149】
実施例103の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0150】
実施例104の化合物は、最終段階を2,4−ジメトキシベンゼンスルホニルクロライドとの標準的なカップリングとした以外は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0151】
実施例105の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0152】
実施例77〜173の化合物の構造、化学名および物理的性状を表3に示した。
【0153】
実施例106の化合物は、標準的な方法を用いて(BBr/CHCl)実施例103の化合物を脱メチル化することによって合成した。
【0154】
実施例107の化合物を、3−ニトロベンゾイルクロライドに代えて2,4,6−トリメチル−3−ニトロベンゾイルクロライドを用いて実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0155】
2,4,6−トリメチル−3−ニトロベンゾイルクロライドは、2,4,6−トリメチル−3−ニトロ安息香酸(C Wu et al: J Med Chem 1999, 42: 4485-4499)をPOClで処理することによって合成した。
【0156】
実施例108および109の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0157】
実施例110の化合物の製造を示す。
【0158】
実施例111の化合物は、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリンに代えて2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[c]アゼピン(A I Meyers, R H Hutchings: Tetrahedron 1993, 49: 1807-1820)を用いた以外は、実施例79の化合物と同様にして合成した。
【0159】
実施例112の化合物を示す。
【0160】
実施例113の化合物は、実施例110の化合物と同様にして合成した。
【0161】
実施例114の製造を示す。
【0162】
実施例115の化合物は、36と2−アミノ−5−ニトロ安息香酸とのカップリング(EDCI/HOBT/DIPEA/DMF)、次に実施例45の段階4および5という3段階手順で合成した。
【0163】
実施例116〜118の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0164】
実施例119の化合物は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンに代えて7−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを用いた以外は実施例79の化合物と同様にして合成した。7−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンは、フェニルボロン酸と7−ブロモ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(G E Stokker: Tetrahedron Lett 1996: 5453-5456)との間の標準的なスズキカップリングによって合成した。
【0165】
実施例120の化合物は、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンに代えて7−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(G E Stokker: Tetrahedron Lett 1996: 5453-5456)を用いた以外は実施例79の化合物と同様にして合成した。
【0166】
実施例121〜122の化合物は、実施例120の化合物と同様にして合成した。
【0167】
実施例123の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0168】
実施例124の化合物は、実施例120の化合物と同様にして合成した。
【0169】
実施例125の化合物は、最終段階が、5との酸触媒カップリングに代えて5−ブロモ−m−キシレンとのブーフヴァルトカップリング(Buchwald et al: Tetrahedron Lett 1995, 36: 3609)であった以外は実施例79の化合物と同様にして合成した。
【0170】
実施例126の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0171】
実施例127および128の化合物は、実施例120の化合物と同様にして合成した。
【0172】
実施例129および130の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0173】
実施例131の化合物は、実施例120の化合物と同様にして合成した。
【0174】
実施例132〜135の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0175】
実施例136の化合物は、実施例120の化合物と同様にして合成した。
【0176】
実施例137〜140の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0177】
実施例141の化合物は、3−ブロモ−N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル)ベンズアミドと4−アミノ−2−ジメチルアミノピリジン(Hnschberger A et al., Tetrahedron 2000, 56: 1361-1367)との間のブーフヴァルトカップリング(Buchwald et al: Tetrahedron Lett 1995, 36: 3609)によって合成した。
【0178】
実施例142の化合物は、実施例125の化合物と同様にして合成した。
【0179】
実施例143の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0180】
実施例144の製造を示す。
【0181】
実施例145および146の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0182】
実施例147の化合物は、実施例144の化合物と同様にして合成した。
【0183】
実施例148の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0184】
実施例149の化合物は、実施例141の化合物と同様にして合成した。
【0185】
実施例150の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0186】
実施例151の化合物は、実施例144の化合物と同様にして合成した。
【0187】
実施例152の化合物は、実施例144と同様にして合成した4−({2−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンゾイルアミノ]エチルアミノ}−メチル)安息香酸メチルの加水分解(1当量のNaOH/THF/MeOH/HO)によって合成した。
【0188】
実施例153の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0189】
実施例154の化合物は、実施例151の化合物の加水分解(1当量のNaOH/THF/MeOH/HO)によって合成した。
【0190】
実施例155の化合物は、実施例141の化合物と同様にして合成した。
【0191】
実施例156の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0192】
実施例157の化合物は、実施例151の化合物と同様にして合成し、還元的アミノ化段階の際にラクタム環が形成された。
【0193】
実施例158の化合物は、3−ニトロベンジルブロマイドおよびジメチルアミンに代えて、それぞれ2−ブロモ−2−メチル−N−(3−ニトロベンジル)プロピオンアミドおよび40を用いた以外は、実施例12の化合物と同様にして合成した。2−ブロモ−2−メチル−N−(3−ニトロベンジル)プロピオンアミドは、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸および3−ニトロアニリンの標準的なカップリング(HOBt/EDCI/DIPEA/DMF)によって合成した。
【0194】
実施例159〜161の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0195】
実施例162〜168の化合物は、実施例144の化合物と同様にして合成した。
【0196】
実施例169の化合物の製造は示してある。
【0197】
実施例170〜173の化合物は、実施例144の化合物と同様にして合成した。
【0198】
実施例110:2−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−4−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン
【0199】
【化15】

【0200】
段階1:2−メチル−3−ニトロ安息香酸エチル
2−メチル−3−ニトロ安息香酸(34)(3.4g、18.8mmol)のEtOH(60mL)溶液に、濃HSO(1mL)を滴下した。得られた溶液を75℃で72時間加熱してから、溶媒を留去した。残留物を飽和NaHCO水溶液で塩基性とし、EtOAcで抽出し、水、ブラインで洗浄した。有機層をMgSOで脱水し、濃縮して、所望のエチルエステルを得た(3.9g、ほぼ定量的)。
【0201】
段階2:2−ブロモメチル−3−ニトロ安息香酸エチル(35)
2−メチル−3−ニトロ安息香酸エチル(3.9g、18.6mmol)のCCl(56mL)溶液に、AIBN(0.61g、20%mol)およびNBS(3.5g、19.5mmol)をその順に加えた。混合物を80℃で72時間加熱してから、それを放冷して室温とした。得られた沈殿をシリカゲル層で濾過し、塩化メチレンで洗浄し、濾液を濃縮して、35(3.1g、58%)および原料の1:1混合物を得た。
【0202】
段階3:2−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−4−ニトロ−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン(37)
2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチルアミン(36)(0.36g、2.0mmol)の塩化メチレン(4mL)溶液に、ブロマイド35(0.75g、2.6mmol)の塩化メチレン(5mL)溶液を0℃で加えた。混合物を昇温させて室温とし、16時間攪拌してから、それを飽和NaHCO(水溶液、50mL)に投入し、塩化メチレンで抽出した(50mLで2回)。合わせた有機層を水(70mL)、ブライン(70mL)で洗浄し、MgSOで脱水し、ロータリーエバポレータで濃縮した。残留物を、3:1から1:1ヘキサン/EtOAcを溶離液とするシリカゲルでクロマトグラフィー精製して、37(0.39g、57%)を得た。
【0203】
段階4:4−アミノ−2−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン(38)
37(0.38g、1.1mmol)のメタノール(6mL)溶液に、塩化アンモニウム(0.13g、2.42mmol)の水(1.5mL)溶液を加えた。亜鉛粉末(0.49g、7.4mmol)を少量ずつ加え、得られた混合物を2時間攪拌した。固体を濾過し、メタノールで洗浄し、濾液を飽和重炭酸ナトリウム(水溶液)で塩基性とし、得られた混合物をEtOAcで抽出した。有機層をMgSOで脱水し、濃縮して、38(0.31g、88%)を得た。
【0204】
段階5:2−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−4−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン
標題化合物を、実施例1段階3の手順によって38から製造した。
【0205】
実施例112:N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−1,1−ジメチルエチル]−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド
【0206】
【化16】

【0207】
段階1:tert−ブチル[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]カーバメート(41)
39(0.28g、1.38mmol)、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(40)(0.18g、1.38mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.50g、3.85mmol)の脱水DMF(5mL)溶液に、HBTU(0.72g、1.90mmol)を加えた。混合物を65℃で終夜加熱してから、それを放冷して室温とし、EtOAc(100mL)で希釈した。得られた溶液をで洗浄し1N HCl(100mLで2回)、1N NaOH(100mLで2回)およびブライン(100mL)の順で洗浄した。脱水(NaSO)および有機層濃縮後の残留物をシリカゲルカラムで精製して、41(0.36g、82%)を得た。
【0208】
段階2:2−アミノ−1−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オン(42)
41(0.36g、1.1mmol)のTFA(5mL)およびCHCl(5mL)溶液を室温で40分間攪拌した。混合物を減圧下に濃縮し、残留物をEtOAc(50mL)に溶かした。1N NaOH(50mLで2回)およびブライン(50mL)の順で洗浄してから、有機溶液を脱水し(NaSO)、濃縮して、42を得た(0.20g、77%)。
【0209】
段階3:2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−1,1−ジメチルエチルアミン(43)
42(0.20g、0.91mmol)の脱水THF(4mL)溶液に0℃で、LiAlH(1.0M THF溶液、3.0mL、3.0mmol)を加えた。得られた混合物を還流下に終夜加熱してから、それを放冷して室温とした。NaSO・10HOを0℃で、ガス発生が停止するまでゆっくり加えることで、過剰のLiAlHを分解した。固体を濾去し、濾液を濃縮して43(0.14g、79%)を得た。
【0210】
段階4:N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−1,1−ジメチルエチル]−3−ニトロベンズアミド(44)
3−ニトロベンゾイルクロライド(0.14g、0.75mmol)および43(0.15g、0.76mmol)の脱水CHCl(7mL)溶液にDMAP(10mg)を加えた。反応液を室温で終夜攪拌してから、それをEtOAc(100mL)で希釈した。1N NaOH(100mLで2回)、水(200mL)の順に洗浄してから、有機混合物を脱水し(NaSO)、減圧下に濃縮して、44(0.31g、約100%)を粘稠暗色油状物として得た。
【0211】
段階5:3−アミノ−N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−1,1−ジメチルエチル]ベンズアミド(45)
45を、実施例110段階4の手順によって44から製造した。
【0212】
段階6:N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−1,1−ジメチルエチル]−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド
標題化合物を、実施例1段階3の手順によって45から製造した。
【0213】
実施例114:N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−2−メチルプロピル]−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド
【0214】
【化17】

【0215】
段階1:(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)アセトニトリル(46)
46を、実施例13段階2の手順によって40から製造した。
【0216】
段階2:2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−2−メチルプロピオニトリル(47)
46(1.27g、7.38mmol)の脱水THF(20mL)溶液に、LDA(2.0M THF溶液、8.1mL、16.2mmol)を−78℃でゆっくり加えた。得られた混合物を−78℃で30分間攪拌してから、ヨウ化メチル(4.20g、29.6mmol)を加えた。冷却浴を外し、反応液を昇温させて室温とし、終夜攪拌した。後色のため、混合物をEtOAc(150mL)で希釈し、得られた溶液を1N NaOH(100mLで2回)およびブライン(100mL)で洗浄した。有機層を脱水し(NaSO)、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムで精製して、47(0.38g、26%)を得た。
【0217】
段階3:2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−2−メチルプロピルアミン(48)
48を、実施例112段階3の手順によって47から製造した。
【0218】
段階4:N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−2−メチルプロピル]−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド
リプトンらの報告(Lipton, MF; Basha, A; Weinreb, M: Organic Syntheses, 1988, 6, 492-495)の手順によって、48および49をAlMeおよびClCHCHClの存在下に80℃で反応させた。
【0219】
実施例144:N−(2−ベンジルアミノエチル)−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド
【0220】
【化18】

【0221】
段階1:N−(2−アミノエチル)−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド(50)
メチルエステル49(2.0g、6.8mmol)およびエチレンジアミン(30mL)の混合物を110℃で2時間加熱してから、それを氷水(300mL)に投入した。沈殿を濾過し、高真空下に乾燥させて、50(2.0g、91%)をオフホワイト固体として得た。それをそれ以上精製せずに用いた。
【0222】
段階2:N−(2−ベンジルアミノエチル)−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド
アミン50(0.22g、0.68mmol)およびベンズアルデヒド(0.07mL、0.08mmol)のEtOH(3.0mL)溶液を終夜還流加熱してから、それを放冷して室温とした。水素化ホウ素ナトリウム(0.04g、0.80mmol)を加え、反応液を室温で1時間攪拌した。混合物を2N NaOH(3.0mL)およびブライン(2.0mL)と混合し、7:3CHCl/MeOHで抽出した(5.0mLで3回)。合わせた有機層を脱水し(KCO)、減圧下に濃縮した。残留物を、フラッシュクロマトグラフィー(SiO、勾配溶離、3:1ヘキサン/EtOAcから7:3CHCl/MeOH)によって精製して、所望の生成物(0.15g、62%)を淡黄色固体として得た。
【0223】
実施例169:3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−N−[2−(4−フェニル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]ベンズアミド
【0224】
【化19】

【0225】
段階1:ジフェニルアセトアルデヒドオキシム(52)
ジフェニルアセトアルデヒド(51)(4.0g、20.3mmol)のEtOH(50mL)溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(1.41g、20.3mmol)および2N NaOH(水溶液、5mL)をその順に加えた。反応液を室温で終夜攪拌してから、EtOHを減圧下に除去した。残留物を水(50mL)で洗浄し、EtOAcで抽出した(50mLで3回)。合わせた有機層を脱水し(MgSO)、減圧下に濃縮して、52を得た(4.0g、93%)。
【0226】
段階2:2,2−ジフェニルエチルアミン(53)
オキシム52(4.0g、18.9mmol)のTHF(50mL)溶液に、LiAlH(1.0M THF溶液、28.3mL、28.3mmol)を0℃で加え、混合物を室温で4時間攪拌した。硫酸ナトリウム10水和物を加え、反応液をさらに1時間攪拌した。固体を濾過し、濾液を減圧下に濃縮して、53(3.14g、84%)を黄色油状物として得た。
【0227】
段階3:N−(2,2−ジフェニルエチル)−2,2,2−トリフルオロアセトアミド(54)
無希釈のTFAA(14.9g、63.6mmol)に−5℃で、アミン53(3.14g、15.9mmol)を10分間かけて滴下し、得られた混合物を2時間攪拌した。粗混合物を氷水に投入し、酢酸エチルで抽出した(60mLで3回)。合わせた有機層を脱水し(MgSO)、減圧下に濃縮した。再結晶による精製(ヘキサン/酢酸エチル)によって、54(1.5g、32%)を黄色固体として得た。
【0228】
段階4:4−フェニル−1−トリフルオロアセチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン(55)
化合物54(1.5g、5.11mmol)およびパラホルムアルデヒド(1.2g、7.67mmol)を、HSO(4mL)のHOAc(16mL)溶液に同時に少量ずつ加えた。反応混合物を12時間攪拌し、氷水に投入した。得られた水系混合物を酢酸エチルで抽出し(50mLで3回)、合わせた有機層を脱水し(MgSO)、減圧下に濃縮して、55(1.0g、66%)を黄色固体として得た。
【0229】
段階5:4−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(56)
55(0.9g、2.94mmol)のMeOH(10mL)溶液に、水(2mL)、KOH(0.33g、5.89mmol)を加え、反応液を室温で12時間攪拌した。混合物を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、7:3CHCl/MeOH(10mLで3回)で抽出した。合わせた有機層を脱水し(KCO)、減圧下に濃縮して、56(0.70g、約100%)を黄色油状物として得た。
【0230】
段階6:(4−フェニル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)アセトニトリル(57)
57を、実施例13段階2の手順によって56から製造した。
【0231】
段階7:2−(4−フェニル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチルアミン(58)
58を、実施例112段階3の手順によって57から製造した。
【0232】
段階8:3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−N−[2−(4−フェニル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]ベンズアミド
リプトンらの報告(Lipton, MF; Basha, A; Weinreb, M: Organic Syntheses, 1988, 6, 492-495)の手順によって、58を49と反応させることで、標題化合物を製造した。
【0233】
【表3】













【0234】
実施例174の化合物を、実施例1の化合物と同様にして合成した。
【0235】
実施例175の化合物を、実施例177の化合物と同様にして合成した。
【0236】
実施例176および177の化合物の製造を示してある。
【0237】
実施例178の化合物は、実施例1の化合物と同様にして合成した。
【0238】
実施例179の化合物の製造を示してある。
【0239】
実施例180の化合物は、実施例179の化合物と同様にして合成した。
【0240】
実施例181の化合物の製造を示してある。
【0241】
実施例182の化合物は、N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−3−ニトロベンゼンスルホンアミドを標準的な方法を用いて(NaH/MeI/DMF)メチル化してから、次の段階を行った以外は、実施例178の化合物と同様にして合成した。
【0242】
実施例183および184の化合物の製造を示してある。
【0243】
実施例185の化合物は、実施例184の化合物と同様にして合成した。
【0244】
実施例186の化合物の製造を示してある。
【0245】
実施例187および188の化合物は、実施例184の化合物と同様にして合成した。
【0246】
実施例189〜191の化合物の製造を示してある。
【0247】
実施例192〜194の化合物は、実施例186の化合物と同様にして合成した。
【0248】
実施例195の化合物は、実施例190の化合物と同様にして合成した。
【0249】
実施例196の化合物は、実施例186の化合物と同様にして合成した。
【0250】
実施例197の化合物は、実施例191の化合物と同様にして合成した。
【0251】
実施例198の化合物の製造を示してある。
【0252】
実施例199の化合物は、実施例198の化合物と同様にして合成した。
【0253】
実施例200の化合物は、実施例191の化合物と同様にして合成した。
【0254】
実施例201の化合物は、実施例134の化合物の還元(実施例112段階3参照)を介して合成した。
【0255】
実施例202および203の化合物の製造は示してある。
【0256】
実施例204の化合物は、実施例198の化合物と同様にして合成した。
【0257】
実施例205および206の化合物は、実施例2の化合物と同様にして合成した。
【0258】
実施例207の化合物は、実施例144の化合物の還元(実施例112段階3参照)を介して合成した。
【0259】
実施例208〜210の化合物の製造を示してある。
【0260】
実施例211の化合物は、実施例210の化合物と同様にして合成した。
【0261】
実施例174〜211の化合物についての構造、化学名、物理的性状およびM+Hデータを表4に示した。
【0262】
実施例176:N−(2−ジメチルアミノエチル)−N′−(2−メチルキノリン−4−イル)フェニレン−1,3−ジアミン
【0263】
【化20】

【0264】
段階1:2−ジメチルアミノ−N−(3−ニトロフェニル)アセトアミド(62)
61(186mg、1.18mmol)の塩化メチレン(6mL)中不均一混合物に、イミダゾール(281mg、4.13mmol)および60(214mg、1.55mmol)の塩化メチレン(6mL)溶液をその順に加えた。反応液を室温で16時間攪拌してから、それを酢酸エチルで抽出し(40mL、30mL)、水(30mL)で洗浄した。酢酸エチル抽出液を無水硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した。残留物をシリカゲルでクロマトグラフィー精製して(1:1ヘキサン/酢酸エチルから10:1塩化メチレン/メタノール)、62を黄色油状物として得た。
【0265】
段階2:N,N−ジメチル−N′−(3−ニトロフェニル)エタン−1,2−ジアミン(63)
62(482mg、2.05mmol)のTHF(2.8mL)溶液にN雰囲気下にて、BH・THF(1.0M THF溶液、2.8mL、2.80mmol)を加えた。反応液を70℃で1.5時間加熱してから、それを放冷して室温とした。混合物を2N HCl(水溶液、3mL)で処理し(中等度の発泡)、溶媒を留去した。得られた水系残留物をクロロホルムで抽出し(40mLで2回)、飽和NaHCO(水溶液)、水およびブライン(それぞれ20mL)で洗浄した。クロロホルム抽出液を無水硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した。残留物をフロリジル(Florisil)Aでクロマトグラフィー精製して(1:1ヘキサン/酢酸エチルから10:1塩化メチレン/メタノール)、63を黄色油状物として得た(124mg、28.9%)。
【0266】
段階3:N−(2−ジメチルアミノエチル)ベンゼン−1,3−ジアミン(64)
64は、実施例1段階2の手順によって63から製造される。
【0267】
段階4:N−(2−ジメチルアミノエチル)−N′−(2−メチルキノリン−4−イル)フェニレン−1,3−ジアミン
標題化合物は、実施例1段階3の手順によって64から製造される。
【0268】
実施例177:[3−(3−ジメチルアミノプロピル)フェニル]−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
【0269】
【化21】

【0270】
段階1:N,N−ジメチル−3−(3−ニトロフェニル)プロピオンアミド(67)
65(2.04g、10.45mmol)の脱水塩化メチレン(15mL)懸濁液に窒素下にて、脱水ピリジン(2滴)およびオキサリルクロライド(2M CHCl溶液、11.5mL、23mmol)をその順に滴下した。得られた混合物を50℃で1.5時間加熱してから、それを濃縮した。残留物を脱水THF(20mL)に窒素下で溶かし、次にトリエチルアミン(1.16mL、11.55mmol)およびジメチルアミン(2M THF溶液、7.87mL、15.68mmol)をその順で加えた。反応液を室温で終夜攪拌してから、それをEtOAc(150mL)で希釈し、水(150mL)およびブライン(150mL)で洗浄した。有機層をNaSOで脱水し、減圧下に溶媒留去して、67を黄色様油状物として得た(977mg、43%)。
【0271】
段階2:3−(3−アミノフェニル)−N,N−ジメチルプロピオンアミド(68)
68を、実施例1段階2の手順によって67から製造した。
【0272】
段階3:3−(3−ジメチルアミノプロピル)フェニルアミン(69)
69を、実施例112段階3の手順によって68から製造した。
【0273】
段階4:[3−(3−ジメチルアミノプロピル)フェニル]−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
標題化合物は、実施例1段階3の手順によって69から製造される。
【0274】
実施例179:[3′−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)ビフェニル−3−イル]−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
【0275】
【化22】

【0276】
段階1:(3−ブロモフェニル)−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン(71)
71は、実施例1段階3の手順によって70から製造される。
【0277】
段階2:3′−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ビフェニル−3−カルボアルデヒド(73)
71(294mg、0.94mmol)のトルエン(9.6mL)懸濁液にN下で、飽和NaHCO(水溶液、3.8mL)、72(199mg、1.33mmol)のEtOH(6.7mL)溶液およびPdCl(PhP)(32mg、0.046mmol)をその順に加えた。反応液を80℃で21時間加熱してから、それを放冷して室温とした。反応混合物を酢酸エチル(40mL)で抽出し、水(15mL)、ブライン(15mL)で洗浄した。酢酸エチル抽出液を無水硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した。残留物をシリカゲルでクロマトグラフィー精製して(塩化メチレンから20:1塩化メチレン/メタノール)、73を黄色固体として得た(219mg、68.9%)。
【0278】
段階3:3′−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)ビフェニル−3−イル]−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
73(102mg、0.301mmol)のジクロロエタン(3.0mL)溶液にN下で、40(0.04mL、0.315mmol)を加えた。反応を24分間攪拌してから、NaBH(OAc)(94mg、0.444mmol)およびAcOH(0.02mL、0.349mmol)をその順序で加えた。反応液を19時間攪拌し、酢酸エチルで抽出した(30mLで2回)。酢酸エチル抽出液を2N NaOH(水溶液、15mL)、ブライン(15mL)で洗浄し、脱水し(MgSO)、濃縮した。残留物をシリカゲルでクロマトグラフィー精製して(塩化メチレンから30:1から20:1塩化メチレン/メタノール)、所望の生成物を黄色固体として得た(75mg、55%)。
【0279】
実施例181:3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)安息香酸2−ジメチルアミノエチル
【0280】
【化23】

【0281】
段階1:3−ニトロ安息香酸2−ジメチルアミノエチル(76)
74(835mg、4.50mmol)の塩化メチレン(50mL)溶液に、トリエチルアミン(0.63mL、6.75mmol)、75(800mg、8.97mmol)の塩化メチレン(10mL)溶液および触媒量のDMAPをその順に加えた。反応液を16時間攪拌してから、それを塩化メチレンで抽出した。塩化メチレン抽出液を水およびブラインで洗浄し、脱水し(MgSO)、濃縮して、粗生成物76を得た。
【0282】
段階2:3−アミノ安息香酸2−ジメチルアミノエチル(77)
77を、実施例110段階4の手順によって76から製造した。
【0283】
段階3:3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)安息香酸2−ジメチルアミノエチル
標題化合物を、実施例1段階3の手順によって77から製造した。
【0284】
実施例183:{3−[5−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)イソオキサゾール−3−イル]フェニル}−(2−メチル−キノリン−4−イル)アミン
【0285】
【化24】

【0286】
段階1:3−ニトロベンズアルデヒドオキシム(79)
78(6.04g、40mmol)のエタノール(135mL)溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(2.92g、42mmol)およびトリエチルアミン(4.6g、54mmol)をその順に加えた。混合物を終夜加熱還流し、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル(100mL)と混合し、水(100mLで3回)、ブライン(100mL)で洗浄した。その酢酸エチル溶液を脱水し(MgSO)、減圧下に濃縮して、79(5.67g、約100%)を得た。
【0287】
段階2:3−ニトロベンゾニトリルオキサイド塩酸塩(80)
79(1.66g、10mmol)のクロロホルム(50mL)溶液に、塩素ガスを−5℃で15分間かけて導入した。反応混合物の色が、無色から明青色、緑色、最終的に黄色に変化した。さらに15分後、反応混合物を減圧下に濃縮して、80(2.0g、100%)を黄色油状物として得た。
【0288】
段階3:2−プロパルギル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(81)
実施例13段階2を参照する。
【0289】
段階4:2−[3−(3−ニトロフェニル)イソオキサゾール−5−イルメチル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(82)
80(0.2g、1.0mmol)および81(0.2g、1.17mmol)のトルエン(5mL)溶液を、4時間加熱還流した。反応液を冷却し、0.5N NaOH(5mL)と混合し、酢酸エチルで抽出した(10mLで2回)。有機材料を合わせ、脱水し(KCO)、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、勾配溶離、ヘキサンから3:1ヘキサン/酢酸エチル)によって精製して、82(228mg、68%)を黄色油状物として得た。
【0290】
段階5:3−[5−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)イソオキサゾール−3−イル]フェニルアミン(83)
83を、実施例12段階2の手順によって82から製造した。
【0291】
段階6:{3−[5−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)イソオキサゾール−3−イル]フェニル}−(2−メチル−キノリン−4−イル)アミン
標題化合物を、実施例1段階3の手順によって83から製造した。
【0292】
実施例184:{3−[3−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)プロピル]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
【0293】
【化25】

【0294】
段階1:2−アリル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(84)
84を、実施例13段階2の手順によって40から製造した。
【0295】
段階2:2−[3−(3−ニトロフェニル)プロピル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(85)
84(488mg、2.82mmol)の脱水THF(3mL)溶液に、9−BBN(0.5M THF溶液、5.64mL、2.82mmol)をN下にて加えた。混合物を室温で3時間攪拌して、混合物Iを得た。
【0296】
1−ブロモ−3−ニトロベンゼン(518mg、2.56mmol)の脱水THF(8mL)溶液に、PdCl(dppf)(63mg、0.0077mmol)およびナトリウムメトキシド(416mg、7.68mmol)をその順に加えて混合物IIを得た。
【0297】
混合物IIにN下にて混合物Iを滴下し、得られた混合物を75℃で17時間加熱した。冷却して室温として、反応混合物を濾過し、濾液をEtOAc(150mL)で希釈した。有機溶液を水(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで脱水し、減圧下に濃縮した。残留物を8:1ヘキサン/EtOAcを溶離液とするカラムフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製して、85を橙赤色油状物として得た(226mg、27%)。
【0298】
段階3:3−[3−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)プロピル]フェニルアミン(86)
86を、実施例110段階4の手順によって85から製造した。
【0299】
段階4:{3−[3−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)プロピル]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
標題化合物を、実施例1段階3の手順によって86から製造した。
【0300】
実施例186:1−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−3−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)フェニル]尿素
【0301】
【化26】

【0302】
段階1:1−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−3−(3−ニトロフェニル)尿素(88)
36(0.35g、2.0mmol)の塩化メチレン(10mL)溶液に、3−ニトロフェニルイソシアネート(87)(0.35g、2.0mmol)を加えた。混合物を室温で終夜攪拌してから、それを水(100mL)と塩化メチレン(100mL)との間で分配した。有機層を88で洗浄した。(0.56g、82%)
段階2:1−(3−アミノフェニル)−3−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]尿素(89)
89は、実施例110段階4の手順によって88から製造される。
【0303】
段階3:1−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−3−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)フェニル]尿素
標題化合物は、実施例1段階3の手順によって89から製造される。
【0304】
実施例189:{3−[5−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
【0305】
【化27】

【0306】
段階1:(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)酢酸エチル(90)
40(1.33g、10.0mmol)のアセトニトリル(50mL)溶液に、炭酸カリウム(5.53g、40.0mmol)およびブロモ酢酸エチル(1.67g、10.0mmol)をその順に加えた。反応混合物を室温で終夜攪拌し、EtOAc(200mL)と水(150mL)との間で分配した。有機層を脱水し(MgSO)、減圧下に濃縮して90を得た(2.1g、99%)。
【0307】
段階2:(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)酢酸ヒドラジド(91)
90(2.0g、9.12mmol)およびヒドラジン(5.1g、91mmol)のエタノール(30mL)溶液を、終夜加熱還流した。混合物を減圧下に濃縮して、91を得た(1.87g、約100%)。それをそれ以上精製せずに用いた。
【0308】
段階3:3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−N′−(2−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル−アセチル)安息香酸ヒドラジド(92)
91(205mg、1.0mmol)のキシレン(5mL)溶液に、トリメチルアルミニウム(2Mヘキサン溶液、0.75mL、1.5mmol)を加えた。混合物を窒素下に10分間攪拌してから、3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)安息香酸メチル(49)(150mg、0.5mmol)を加えた。反応液を終夜加熱還流し、水(2mL)で反応停止し、pH9の塩基性とし(2N NaOH)、7:3CHCl/MeOHで抽出した。有機層を脱水し(KCO)、減圧下に濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、勾配溶離)によって精製して、92を淡黄色油状物として得た(147mg、63%)。
【0309】
段階4:{3−[5−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
92(195mg、0.42mmol)のオキシ塩化リン(0.5mL)中混合物を終夜加熱してから、氷水(2mL)と注意深く混合した。混合物を7:3CHCl/MeOHで抽出し、有機層を脱水し(MgSO)、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、勾配溶離)によって精製して、所望の生成物を淡黄色固体として得た(69mg、37%)。
【0310】
実施例190:{3−[3−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)プロプ−1−インイル]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
【0311】
【化28】

【0312】
段階1:2−[3−(3−ニトロフェニル)プロプ−2−インイル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン(93)
81(2.06g、10.2mmol)の脱水トリエチルアミン(30mL)溶液に、1−ブロモ−3−ニトロベンゼン(1.83g、10.67mmol)、CuI(0.39g、2.05mmol)およびPd(PPh(1.17g、1.0mmol)をその順に加えた。混合物を90℃で1時間加熱してから、それをセライト(登録商標)で濾過し、濾液をEtOAc(150mL)で希釈した。得られた溶液を水(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーを介して精製して、93を得た(1.97g、66%)。
【0313】
段階2:3−[3−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)プロプ−1−インイル]フェニルアミン(94)
94を、実施例110段階4の手順によって93から製造した。
【0314】
段階3:{3−[3−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)プロプ−1−インイル]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
標題化合物を、実施例1段階3の手順によって94から製造した。
【0315】
実施例191:N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−N−(2−メチルキノリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,7−ジアミン
【0316】
【化29】

【0317】
段階1:[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−(7−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−イリデン)アミン(96)
36(964mg、5.48mmol)および7−ニトロ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン(95)(1.05g、5.48mmol)のトルエン(30mL)溶液に、触媒量のTFAを加えた。反応液を130℃で終夜加熱してから、それを放冷して室温とし、EtOAc(100mL)で希釈した。有機溶液を飽和NaHCO(水溶液、100mL)、ブライン(100mL)の順で洗浄し、NaSOで脱水し、濃縮して、96を褐色油状物として得た(1.8g、94%)。
【0318】
段階2:[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−(7−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)アミン(97)
96(1.42g、4.07mmol)の脱水ジクロロエタン(10mL)溶液に、酢酸(267mg、4.48mmol)およびNaBH(OAc)(1.12g、5.29mmol)をN下にてその順に加えた。反応液を室温で2時間攪拌してから、水(100mL)をゆっくり加えることで反応停止した。混合物を塩化メチレン(100mL)で抽出し、有機層を、水(100mL)、飽和NaHCO水溶液(100mL)および水(100mL)の順で洗浄した。脱水(NaSO)および有機層濃縮からの残留物を、シリカゲルでクロマトグラフィー精製して(EtOAcから5:1EtOAc/CHOH)、97を褐色油状物として得た(755mg、53%)。
【0319】
段階3:N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,7−ジアミン(98)
98を、実施例110段階4の手順によって97から製造した。
【0320】
段階4:N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−N−(2−メチルキノリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,7−ジアミン
標題化合物を、実施例1段階3の手順によって98から製造した。
【0321】
実施例198:[2′−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)ビフェニル−3−イル]−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
【0322】
【化30】

【0323】
段階1:3′−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ビフェニル−2−カルボアルデヒド(100)
71(411mg、1.31mmol)のトルエン(12.8mL)懸濁液をN下で攪拌しながら、それに飽和NaHCO(水溶液、0.5mL)、99(303mg、2.02mmol)のEtOH(8.9mL)溶液およびPdCl(PhP)(52mg、0.07mmol)をその順に加えた。反応液を80℃で41時間加熱してから、それを放冷して室温とし、酢酸エチル(50mL)で抽出した。酢酸エチル抽出液を水(30mL)、ブライン(30mL)で洗浄し、脱水し(MgSO)、濃縮した。残留物をシリカゲルでクロマトグラフィー精製して(塩化メチレンから20:1塩化メチレン/メタノール)、100を黄色固体として得た(166mg、37.4%)。
【0324】
段階2:[2′−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)ビフェニル−3−イル]−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
100(166mg、0.49mmol)および40(0.06mL、0.473mmol)のジクロロエタン(4.9mL)溶液に、NaBH(OAc)(155mg、0.73mmol)およびHOAc(0.03mL、0.52mmol)をその順に加えた。反応液を48時間攪拌し、塩化メチレンで抽出した(30mLで2回)。塩化メチレン抽出液を2N NaOH(水溶液、15mL)、ブライン(15mL)で洗浄し、脱水し(MgSO)、濃縮した。残留物をシリカゲルでクロマトグラフィー精製して(酢酸エチル)、所望の生成物を黄色固体として得た(51mg、23.7%)。
【0325】
実施例202:{3−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エタンスルホニル]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
【0326】
【化31】

【0327】
段階1:メタンスルホン酸2−(3−ニトロ−ベンゼンスルホニル)エチル(102)
2−(3−ニトロベンゼンスルホニル)エタノール(101)(5.0g、21.6mmol)の塩化メチレン(31.5mL)およびピリジン(7mL)溶液に、メタンスルホニルクロライド(4.9g、43mmol)を加えた。混合物を室温で終夜攪拌してから、それを塩化メチレン(200mL)と0.5N HCl(200mL)との間で分配した。有機層をMgSOで脱水し、ロータリーエバポレータで濃縮して、102を得た(4.78g、71%)。
【0328】
段階2:4−ベンジル−1−[2−(3−ニトロベンゼンスルホニル)エチル]ピペリジン(104)
102(1.0g、3.2mmol)、4−ベンジルピペリジン(103)(0.62g、3.5mmol)および炭酸カリウム(1.1g、8.0mmol)のアセトニトリル(10mL)中混合物を、70℃で終夜加熱した。それを放冷して室温とし、EtOAc(150mL)と水(150mL)との間で分配した。有機層を水(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSOで脱水し、濃縮した。残留物をシリカゲルでクロマトグラフィー精製して(8:1から4:1から2:1ヘキサン/EtOAc)、104を得た(0.26g、21%)。
【0329】
段階3:3−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エタンスルホニル]フェニルアミン(105)
実施例110段階4を参照する。
【0330】
段階4:{3−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エタンスルホニル]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
標題化合物を、実施例1段階3の手順によって105から製造した。
【0331】
実施例203:(3−{[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エチルアミノ]メチル}フェニル)−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン
【0332】
【化32】

【0333】
実施例134(0.62g、1.30mmol)のTHF(20mL)溶液に、LiAlH(1M THF溶液、4.0mL、3.90mmol)を0℃で加えた。混合物を昇温させて室温とし、80℃で16時間加熱した。反応液を放冷して室温とし、NaSO・10HOで反応停止した。得られたスラリーを濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濾液を濃縮した。残留物をシリカゲルでクロマトグラフィー精製して(塩化メチレンから10:1から5:1塩化メチレン/メタノール)、所望の生成物を黄色固体として得た(170mg、28.3%)。
【0334】
実施例208:N−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エチル]−N′−(2−メチルキノリン−4−イル)ピリミジン−4,6−ジアミン
【0335】
【化33】

【0336】
段階1:(6−クロロピリミジン−4−イル)−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン(108)
4−アミノ−2−メチルキノリン(107)(1.0g、6.7mmol)の脱水DMF(60mL)溶液に、NaH(鉱油中60%品、0.32g、8.0mmol)を加えた。混合物を1時間攪拌してから、4,6−ジクロロピリミジン(106)(1.0g、6.7mmol)を加えた。反応液を90℃で終夜加熱してから、それを氷水(100mL)に投入した。混合物をエーテルで抽出し(100mLで3回)、合わせた有機層を脱水し(MgSO)、減圧下に濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、勾配溶離、ヘキサンから3:1ヘキサン/酢酸エチルから7:3CHCl/MeOH)によって精製して、108(80mg、5%)を白色固体として得た。
【0337】
段階2:N−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エチル]−N′−(2−メチルキノリン−4−イル)ピリミジン−4,6−ジアミン
ジアミン36(0.05g、0.21mmol)のn−BuOH(2mL)溶液に、108(0.05g、0.18mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(37mg、0.27mmol)をその順に加えた。混合物を100℃で終夜加熱してから、揮発分を減圧下に除去した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、勾配溶離、3:1ヘキサン/酢酸エチルから7:3CHCl/MeOH)によって精製して、所望の生成物(20mg、25%)を黄色油状物として得た。
【0338】
実施例209:3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)−1−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)フェニル]プロパン−1−オン
【0339】
【化34】

【0340】
段階1:3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)−1−(3−ニトロフェニル)プロパン−1−オン(110)
3−ニトロアセトフェノン(109)(0.60g、3.63mmol)および4−ベンジルピペリジン(103)(0.64g、3.63mmol)の純粋エタノール(5mL)溶液に、濃塩酸(0.30mL、3.60mmol)を加えた。混合物を還流下に加熱し、パラホルムアルデヒド(0.32g、10.96mmol)を40分間かけて4回に分けて加えた。得られた混合物を還流下に終夜加熱してから、それを放冷して室温とし、EtOAc(100mL)で希釈した。1N NaOH(100mLで2回)、水(100mL)およびブライン(100mL)の順で洗浄した後、有機溶液を脱水し(NaSO)、濃縮した。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、110(0.26g、20%)を暗色シロップとして得た。
【0341】
段階2:1−(3−アミノ−フェニル)−3−(4−ベンジル−ピペリジン−1−イル)−プロパン−1−オン(111)
111を、実施例110段階4の手順によって110から製造した。
【0342】
段階3:3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)−1−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)フェニル]プロパン−1−オン
標題化合物を、実施例1段階3の手順によって111から製造した。
【0343】
実施例210:3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)−1−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)フェニル]プロパン−1−オンO−メチルオキシム
【0344】
【化35】

【0345】
実施例209(0.40g、0.86mmol)、エトキシアミン塩酸塩(0.22g、2.63mmol)およびピリジン(0.19g、2.47mmol)の脱水エタノール(3.0mL)中混合物を、還流下に終夜加熱した。反応液を放冷して室温とし、EtOAc(100mL)で希釈した。1N NaOH(100mLで2回)およびブライン(100mL)の順で洗浄してから、有機溶液をNaSOで脱水し、溶媒留去して乾固させた。得られた残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物(100mg、24%)を白色泡状物として得た。
【0346】
【表4】






【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物および該化合物の製薬上許容される塩。
【化1】

[式中、
Arは、アリール、ヘテロアリール、ベンゾヘテロアリール、ピリドン、ピリダジノンおよびピリミドンからなる群から選択され;
nは1〜6であり;
およびRは独立に、H、アルキルまたはアラルキルであるか;あるいはRとRがNと一体となって、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ベンゾピロリジン、ベンゾピペリジンまたはベンゾピペラジン環を形成していても良く;あるいはRとLまたはRと(CHの1個の炭素とが5、6または7員環を形成していても良く;
がH、アルキルまたはアラルキルであり;
XおよびYが独立に、CまたはNであり;
、RおよびRが独立に、H、アルキル、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、ベンゾヘテロアリール、ヒドロキシル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ、アミノカルボニルおよびアミノスルホニルからなる群から選択され;あるいはRとRが一体となって5〜6員芳香族環または5〜7員脂肪族環を形成していても良く;
は、単結合、O、NR、CO、SO、NRCO、NRSO、NR10CONR11、NR12SONR13、アレン、ヘテロアレン、ピリドン、ピリミドンおよびピリダジノンからなる群から選択され;
およびLは独立に、単結合、CH、NR14、COおよびSOからなる群から選択され;
〜R14は独立に、H、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群から選択され;あるいはRとCOおよびArがピリドン、ピリダジノンおよびピリミドンを形成していても良い。]
【請求項2】
下記式の請求項1に記載の化合物および該化合物の製薬上許容される塩。
【化2】

[式中、
各R15は独立に、H、アルキル、アラルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ベンゾヘテロアリール、アルコキシ、アミノカルボニルまたはアミノスルホニルであり;R15のうちの2個が5〜6員芳香族環または5〜7員脂肪族環を形成していても良く;
mは0〜3であり;
、R、R、R、R、n、XおよびYは請求項1で定義の通りである。]
【請求項3】
下記式の請求項1に記載の化合物および該化合物の製薬上許容される塩。
【化3】

[式中、
各R15は独立に、H、アルキル、アラルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ベンゾヘテロアリール、アルコキシ、アミノカルボニルまたはアミノスルホニルであり;R15のうちの2個が5〜6員芳香族環または5〜7員脂肪族環を形成していても良く;
Mは0〜3であり;
、R、R、R、R、nおよびXは請求項1で定義の通りである。]
【請求項4】
{4−クロロ−3−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(4−ベンジル−ピペリジン−1−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{4−クロロ−3−[2−(4−フェニルピペリジン−1−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(ベンジルメチルアミノ)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エトキシ]−5−トリフルオロメチルフェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)プロポキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(1−メチル−1−フェニルエチルアミノ)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
[3−(2−ベンジルアミノエトキシ)フェニル]−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
1−(1−{2−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)フェノキシ]エチル}−4−フェニルピペリジン−4−イル)エタノン;
[3−(3−ベンジルアミノプロポキシ)フェニル]−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(2−ベンジルイミダゾール−1−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
(1−{2−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)フェノキシ]エチル}ピペリジン−4−イル)ジフェニルメタノール;
4−ベンジル−1−{2−[3−(2−tert−ブチルキノリン−4−イルアミノ)フェノキシ]エチル}ピペリジン−4−オール;
4−ベンジル−1−{2−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−5−トリフルオロメチルフェノキシ]エチル}ピペリジン−4−オール;
{3−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エトキシ]フェニル}−(2,6−ジメチルピリミジン−4−イル)アミン;
{3−[2−(5−ベンジル−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)エトキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エトキシ]−5−トリフルオロメチルフェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
(2−メチルキノリン−4−イル)−{3−[2−(4−フェニルピペリジン−1−イル)エトキシ]−5−トリフルオロメチルフェニル}アミン;
{3−[3−(1−メチル−1−フェニルエチルアミノ)プロポキシ]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(5−ベンジル−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)エトキシ]−5−トリフルオロメチルフェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
N−(2−{1−[2−(3−フルオロフェニル)エチル]−6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル}エチル)−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−[2−(6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−[2−(1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)エチル]−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−2−メチル−5−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−2−ヒドロキシ−5−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−3−(2−トリフルオロメチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−2,4,6−トリメチル−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
2−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−4−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−N−[2−(1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−2−イル)エチル]ベンズアミド;
N−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−2,5−ビス(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−N−[2−(オクタヒドロ−シス−イソキノリン−2−イル)エチル]ベンズアミド;
N−(2−アゼパン−1−イルエチル)−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−(2−ベンジルアミノエチル)−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
4−({2−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)−ベンゾイルアミノ]エチルアミノ}メチル)安息香酸;
N−[2−(2,2−ジメチルプロピルアミノ)エチル]−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド;
N−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エチル]−3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)ベンゼンスルホンアミド;
{3−[5−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)イソオキサゾール−3−イル]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[3−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)プロピル]−4−メチルフェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
−[2−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)エチル]−N−(2−メチルキノリン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,7−ジアミン;
[3′−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)ビフェニル−4−イル]−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
{3−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エタンスルホニル]フェニル}−(2−メチルキノリン−4−イル)アミン;
N−[2−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)エチル]−N′−(2−メチルキノリン−4−イル)ピリミジン−4,6−ジアミン;
3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)−1−[3−(2−メチルキノリン−4−イルアミノ)フェニル]プロパン−1−オンオキシム
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物および製薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項6】
ウロテンシン−II受容体に拮抗させることによるウロテンシン−II均衡障害に関連する状態の治療方法において、処置を必要とする患者に対して請求項1に記載の化合物を投与する段階を有する方法。
【請求項7】
前記状態が、鬱血性心不全、卒中、虚血性心疾患、狭心症、心筋梗塞、心不整脈、本態性および肺性高血圧、腎疾患、急性および慢性腎不全、末期腎疾患、末梢血管疾患、男性勃起不全、糖尿病性網膜症、間欠性跛行/虚血性四肢疾患、虚血性/出血性卒中、COPD、再狭窄、喘息、神経性炎症、片頭痛、代謝性血管障害、骨/軟骨/関節疾患、関節炎および他の炎症疾患、線維症、肺線維症、敗血症、アテローム性動脈硬化、異脂肪血症、依存症、精神分裂症、認識障害、アルツハイマー病、衝動性、不安、ストレス、抑鬱、パーキンソン病、運動障害、睡眠−覚醒サイクル、誘因動機付け、疼痛、神経筋機能、糖尿病、胃逆流、胃運動性障害、潰瘍および泌尿生殖器疾患からなる群から選択される請求項6に記載の方法。

【公表番号】特表2006−519258(P2006−519258A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508787(P2006−508787)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/005150
【国際公開番号】WO2004/078114
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(501178651)エンサイシブ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】ENCYSIVE PHARMACEUTICALS INC.
【Fターム(参考)】