説明

プリント配線板、プリント回路基板、電子機器

【課題】従来のプリント配線板の構成を大きく変えることなく、DIP部品はもちろんのこと、表面実装部品にも対応したパッド又はランドの剥がれを防止できるプリント配線板を提供する。
【解決手段】
複数の絶縁層11,12,13,14,15と導体層L1,L2,L3,L4,L5,L6とからなる多層のプリント配線板100において、最外の導体層である第1層L1には、コネクタ部品200が有する所定の形態に配列された複数の信号端子200bと対向する位置に設けられて電気的接続がされる複数のパッド部、このパッド部の夫々をその長さ方向に延設した補強部、前記電気的接続を第2層L2に接続する為のランド部と含む信号パターン30が設けられている。更に、第1層L1には、補強部を覆いかつパッド部を露出する開口部を備えたソルダーレジスト21が被覆されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板に係り、特に電子部品を搭載するパッド部又はランド部を有したプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に内蔵されるプリント配線板には各種コネクタ等が実装されているが、例えばメモリコネクタ、外部との接続用コネクタ等が取り付けられた電子機器においては、これを使用する際、ユーザーが頻繁にコネクタへの挿抜を行なう。従ってこの挿抜によるコネクタへの外圧などの要因により、コネクタ破損、プリント配線板の破損が起こりうる。
【0003】
従来、DC−INコネクタ等の外部インタフェース用コネクタを印刷配線板に実装するコネクタ実装構造に於いては、コネクタの固定の為に、コネクタのリードを固定する半田付け用ランドが用いられており、こじりストレスに対して弱い実装構造であった。
【0004】
このような問題に対し、プリント配線板の固定用ランドに半田付けにより外部インタフェース用コネクタを実装するコネクタ実装構造に於いて、固定用金具等の別部品を用いることなく、安価かつ簡単な構造で、上記コネクタの端子へ加わるこじり力により上記固定用ランドが剥離する不具合を解消したコネクタの固定構造、印刷配線板、およびコネクタ固定方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−6538号公報(第6頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、プリント配線板の固定用パッドの端部複数箇所にスルーホールランドを設置することによって、こじりストレスによる剥離障害を防止している。従って、プリント配線板の設計制約の関係上、必ずしもあらゆるプリント配線板にスルーホールランドを設けることが出来るとは限らない。また、特許文献1の技術は、メモリコネクタ等の表面実装部品が適用されている部分のパッドには応用できず、実際のプリント配線板設計には必ずしも向いていなかった。
【0006】
そこで、本発明は上記問題を解決する為になされたもので、従来のプリント配線板の構成を大きく変えることなく、DIP部品はもちろんのこと、表面実装部品にも対応したパッド又はランドの剥がれを防止できるプリント配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明に係る第1のプリント配線板は、複数の絶縁層と導体層とからなる多層のプリント配線板において、前記導体層のうちの少なくとも一方の最外の導体層に設けられ、コネクタ部品が有する所定の形態に配列された複数の信号端子と対向する位置に設けられて電気的接続がされる複数のパッド部、このパッド部の夫々をその長さ方向に延設した補強部、前記電気的接続を他の導体層に接続する為のランド部と含む信号パターンと、前記最外の導体層の上に被覆され、前記補強部を覆いかつ前記パッド部を露出する開口部を備えたソルダーレジストと、を備えたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る第1のプリント回路基板は、複数の絶縁層及び導体層とからなる多層のプリント配線板と、このプリント配線板上に実装されるコネクタ部品とからなるプリント回路基板において、前記プリント配線板は、前記導体層のうちの少なくとも一方の最外の導体層に設けられ、前記コネクタ部品が有する所定の形態に配列された複数の信号端子と対向する位置に設けられて電気的接続がされる複数のパッド部、このパッド部の夫々をその長さ方向に延設した補強部、前記電気的接続を他の導体層に接続する為のランド部と含む信号パターンと、前記最外の導体層の上に被覆され、前記補強部を覆いかつ前記パッド部を露出する開口部を備えたソルダーレジストと、を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る第2のプリント配線板は、複数の絶縁層と導体層とからなる多層のプリント配線板において、実装されるDIP部品が有する複数の信号端子と対向する位置に夫々設けられ、前記プリント配線板を貫通し、内径を導電体で形成したスルーホールと、前記DIP部品が実装される側と反対側の最外の導体層に設けられ、前記スルーホールと電気的接続がされるランド部、このランド部の夫々を所定の方向に延設した補強部と含む信号パターンと、前記最外の導体層の上に被覆され、前記補強部を覆いかつ前記ランド部を露出する開口部を備えたソルダーレジストと、を備えたことを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る第2のプリント回路基板は、複数の絶縁層及び導体層とからなる多層のプリント配線板と、このプリント配線板上に実装されるDIP部品とからなるプリント回路基板において、前記プリント配線板は、実装されるDIP部品が有する複数の信号端子と対向する位置に夫々設けられ、前記プリント配線板を貫通し、内径を導電体で形成したスルーホールと、前記DIP部品が実装される側と反対側の最外の導体層に設けられ、前記スルーホールと電気的接続がされるランド部、このランド部の夫々を所定の方向に延設した補強部と含む信号パターンと、前記最外の導体層の上に被覆され、前記補強部を覆いかつ前記ランド部を露出する開口部を備えたソルダーレジストとを備えたことを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る第1の電子機器は、情報を入力する手段を有する筐体と、この筐体の内部に収容されたプリント回路基板と、を備えた電子機器であって、前記プリント回路基板は、所定の形態に配列された複数の信号端子を有するコネクタ部品と、複数の絶縁層と導体層とからなり、前記導体層のうちの少なくとも一方の最外の導体層に設けられ、前記コネクタ部品の前記複数の信号端子と対向する位置に設けられて電気的接続がされる複数のパッド部、このパッド部の夫々をその長さ方向に延設した補強部、前記電気的接続を他の導体層に接続する為のランド部と含む信号パターンと、前記最外の導体層の上に被覆され、前記補強部を覆いかつ前記パッド部を露出する開口部を備えたソルダーレジストとを有するプリント配線板とを備えたことを特徴としている。
【0012】
また、本発明に係る第2の電子機器は、情報を入力する手段を有する筐体と、この筐体の内部に収容されたプリント回路基板と、を備えた電子機器であって、前記プリント回路基板は、複数の信号端子を有するDIP部品と、複数の絶縁層及び導体層とからなり、実装される前記DIP部品の信号端子と対向する位置に夫々設けられ、前記プリント配線板を貫通し、内径を導電体で形成したスルーホールと、前記DIP部品が実装される側と反対側の最外の導体層に設けられ、前記スルーホールと電気的接続がされるランド部、このランド部の夫々を所定の方向に延設した補強部と含む信号パターンと、前記最外の導体層の上に被覆され、前記補強部を覆いかつ前記ランド部を露出する開口部を備えたソルダーレジストとを有するプリント配線板とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
プリント回路基板のパッド又はランドの剥がれを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下に本発明の第1の実施の形態に係るプリント回路基板の説明を図1〜図4を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るプリント回路基板の構造を示した図である。
【0016】
本実施の形態に係るプリント回路基板1は、プリント配線板100と、このプリント配線板上に実装される表面実装部品200とから構成される。
【0017】
ここで、プリント配線板100は導体と絶縁体とを交互に積層したn層構造の多層プリント配線板であり、図1では6層のプリント配線板を示している。
【0018】
即ち、絶縁体からなる5つの絶縁層11,12,13,14,15と、導体からなる6つの導体層により6(n=6)層構造とした積層例を示している。図1において、導体層部分を上から順に第1層(L1)、第2層(L2)、第3層(L3)、第4層(L4)、第5層(L5)、第6層(L6)と言うこととする。
【0019】
図1ではこの6層のうち、第3層(L3)および第4層(L4)にそれぞれ電源若しくはグランド層であるプレーン層を形成し、残る他の各層(第1層(L1)、第2層(L2)、第5層(L5)、第6層(L6))に信号層を形成している。
【0020】
第1層(L1)の信号層には、信号パターン30と信号パターン40が形成されており、信号パターン30は、後述するように少なくとも表面実装部品200の信号端子200bに対応した数だけ設けられている。
【0021】
上記各層の内、第1層(L1)と、第2層(L2)との間に形成された絶縁層11には、内層側の第2層から外層側の第1層に向けてドリル加工等の手法により穴開けされ、導体メッキが施されたビア11bが設けられている。このビア11bにより信号層である第1層(L1)と第2層(L2)との層間を接続する回路が形成されている。
【0022】
最外の信号層である第1層(L1)と第6層(L6)には信号パターンに応じた所定の部位にソルダーレジスト21,22が積層される。このソルダーレジストは、プリント配線板に半田付けを行う際に、半田付けに必要なランド以外部分(例えば信号パターンなど)に半田が付着しないようにする耐熱性のコーティング材である。このソルダーレジストにより部品間のショートを防止することが可能となるばかりでなく、絶縁性を有することから、導体を保護する役目を担う。尚、ソルダーレジスト21の積層の詳細については後述する。
【0023】
一方、表面実装部品200は、本体200aと、複数の信号端子200bとを有した部品であり、プリント配線板100の第1層(L1)の表面に半田付けにより実装された部品である。即ち、信号端子200bの一端(一部分)は後述する信号パターン30のパッド部33上に半田付け(不図示)により実装されることで、プリント配線板100と電気的に接続される。表面実装部品200は、例えばSIMM(Single In−Line Memory Module)ソケットやDIMM(Dual In−Line Memory Modules)ソケット、Mini−PCI(Peripheral Component Interconnect)コネクタと呼ばれるようなカード型モジュール挿入用コネクタ等である。
【0024】
次に、信号パターン30の構造について図1と図2を参照して説明する。図2は、図1におけるプリント配線板100の信号パターン30周辺をA方向から見た図である。尚、上述したように、信号パターン30は複数設けられているが、図2では簡単の為にその内の1つを示している。尚、図2では理解を容易にする為に、本来視認することが出来ないソルダーレジスト21が積層されている補強部34の領域も明示している(図4,図6,図8,図9,図11においても同様)。
【0025】
図2に示すように、信号パターン30は、ランド部31と、配線部32と、パッド部33と、補強部34とで構成されている。
【0026】
ここで、ランド部31は、ビア11bを経由して第2層(L2)に電気的接続を行う為の孔部310を有する円状の導体である。
【0027】
配線部32は、ランド部31とパッド部33とを電気的に接続する導体である。後述するようにこの配線部32は設計仕様によりその長さが異なる(図3等参照)。
【0028】
パッド部33は、上述したように、表面実装部品200の信号端子200bの一部と電気的接続を行なう導体である。従って、表面実装部品200の信号端子200bから送出された信号は、信号パターン30を介してビア11bを経由し、第2層(L2)に送出されることとなる。
【0029】
補強部34は、パッド部33を延設した導体であり、パッド部33の剥がれを防止する役目を担う。即ち、補強部34の少なくとも一部に上述したソルダーレジスト21が積層される。
【0030】
従って、ソルダーレジスト21は図2に示すように、ランド部31、配線部32、パッド部33、及び場合により補強部34の一部を露出した開口部を有することとなる。但し、表面実装部品200との電気的接続はパッド部33との間で行うものである為、少なくともパッド部33のみを露出するような開口部を有するような構成としても良い(後述する第1の実施の形態の変形例、及び第1の実施の形態の他の変形例においても同じ)。
【0031】
尚、図2で示した補強部34は、パッド部33の幅よりも狭い幅で構成されているが、本発明はこれに限らず、パッド部33の幅と同等の幅を有していても良いし、設計上可能であればパッド部33の幅よりも広い幅を有していても良い。
【0032】
このように、信号端子200bと電気的接続を行う領域であるパッド部33以外に更にこれを延設して補強部34を設け、その上にソルダーレジスト21を積層することでパッド部33の剥がれを防止できる。即ち、SIMMソケットやDIMMソケットのような表面実装部品200は、そのソケットにメモリを挿抜することが行なわれる。この場合、表面実装部品200に無理な応力がかかり、この応力が信号端子200bを介してプリント配線板100に伝わることとなる。
【0033】
ここで、プリント配線板100に加わる応力が曲げ応力の場合には、プリント配線板100の最外の層に最大の引張り(若しくは圧縮)応力がかかる。また、プリント配線板100に加わる応力が、垂直応力の場合には、信号パターン30を直接引っ張り上げる力が働くことにもなり得る。従って、表面実装部品200に加わる応力は、信号パターン30のパッド部33の剥がれに直接起因したものとなる。
【0034】
従って、上述したようにパッド部33を延設して補強部34を設け、この一部にソルダーレジスト21が積層する構成にすることで、プリント回路基板1に応力が加わった場合であっても、補強部34により剥がれの力を抑えることとなり、結局はパッド部33の剥がれが防止できることとなる。
【0035】
次に、実際のプリント配線板の設計に則した様に信号パターン30が複数個設けられた場合において説明する。図3は、信号パターン30の配列の一例を示した図である。上述したように表面実装部品200は、複数の信号端子200bを有しており、プリント配線板100には、少なくともこの信号端子200bの数に対応した数の信号パターン30が設けられている。
【0036】
図3では、11個の信号パターン30が設けられた場合として、信号パターン30−1〜信号パターン30−11を示している。
【0037】
これらの信号パターン30の配線部32は、図2に示した配線部32と略同じ長さの配線部32を有する信号パターン30も存在する(図2中、信号パターン30−1,30−3,30−5,30−7,30−9,30−11)。
【0038】
一方、プリント配線板100の設計上の制約等から、配線部の長さが長い信号パターン30(図2中、信号パターン30−2,30−6,30−10)や、配線部の長さを長くし、かつ途中よりその方向を略45度傾けた信号パターン30(図2中、信号パターン30−4,30−8)も存在する。
【0039】
図4は、信号パターン30−8におけるソルダーレジストの積層の様子を示した図である。
【0040】
図3に示した例では信号パターン30の各補強部34の長さは略同じであることから、信号パターン30−8におけるソルダーレジスト21の積層の状態は、図4を見て分かる通り、図2とほぼ同様となる。従って、図示しないが、信号パターン30−2,30−4,30−6,30−10の場合においても、図2や図4と同様にソルダーレジスト21が補強部34の上に積層される領域はほぼ同一となる。尚、図2や図4に示したようにランド部31、配線部32、パッド部33上にはソルダーレジスト21を積層させないようにするには、公知のマスキング等の手法を用いれば良い。
【0041】
このように、複数の信号パターン30が存在し、一群の配列となった状態において、各補強部34の長さを略同じにし、その上に積層されるソルダーレジスト21を略同じ面積に確保することでパッド部33の剥がれ防止の作用が各信号パターン30毎に均等に働くこととなる。
【0042】
従って、プリント回路基板1に応力が加わった際にパッド部33の剥がれを防止することが出来る。
【0043】
尚、図3においては、信号パターン30の配列は一列の場合を図示しているが、この配列の形態は、実装する部品に対応して設計上様々な形態に適用できることは言うまでも無い。例えば、複数の配列が並列に構成するような場合でも良いし、この配列がコの字状になった配列でも良い。また、これらのことは、後述する、第1の実施の形態の変形例、第1の実施の形態の他の変形例、第2の実施の形態、第3の実施の形態についても同様である。
【0044】
(第1の実施の形態の変形例)
図5は、第1の実施の形態の変形例に係る信号パターン30の配列の一例を示した図である。上述した補強部34は、設計上許される場合には、図5の信号パターン30−8’に示したようにその幅を広くしたり、その長さを長くするような構成にしても良い。
【0045】
即ち、信号パターン30−8’は、図3の信号パターン30−8において、補強部34−8の幅方向を広くし、かつ長さ方向を長くした補強部34aを有している。また、配線部32bの幅が広くなった配線部32cをも有している。
【0046】
ここで、信号パターン30−8’の配線部32cは、電源又はグランドの配線部のように極力インピーダンスを低く保つために結線を太くする必要がある配線部である。このような配線部の場合には、補強部もその幅を広くしたり、長さを長くするように構成することが可能となる。
【0047】
一方、表面実装部品200がメモリコネクタ等の高速な信号を要求する部品の場合、電源又はグランドではない信号配線を有する信号パターン30は、反射等の電気的影響が無視出来る範囲でその長さを調整することで対応することとなる。従って、信号パターン30−8’よりも補強部34の領域が狭いものとなる。
【0048】
図6は、信号パターン30−8’におけるソルダーレジストの積層の様子を示した図である。上述した構成にしても、補強部34上の一部にソルダーレジスト21が積層されていることにより、プリント回路基板1に応力が加わった際に、パッド部33の剥がれを防止することが出来る。特に、本変形例では、補強部34aを他の補強部より更には剥がれ難くすることが可能となる。
【0049】
従って、領域が広い補強部34を少なくとも1つ以上設けることで、プリント配線板100の表面実装部品200に対応するパッド部33は全体として、更に剥がれを防止することが可能となる。
【0050】
(第1の実施の形態の他の変形例)
図7は、第1の実施の形態の他の変形例に係る信号パターン30の配列の一例を示した図である。上述した補強部は、設計上許される場合には、図7の信号パターン30−2’に示したように複数の補強部34aを設けても良い。また、長手方向に延設するだけでなく、信号パターン30−11’の補強部34bのように幅方向に延設するようにしても良い。
【0051】
ここで設計上許される場合とは、例えば、Mini−PCIコネクタなど長尺コネクタの部品パッドは、必ずしも全ての部品のパッドに対して電気的接続を行わなくても良い場合がある。このような電気的接続を要求しない、いわゆるダミーパッドが存在する場合などが設計上許される場合に該当する。図7を例にすれば、信号パターン30−2’や信号パターン30−11’が電気的接続を必要としない信号パターンに該当する。
【0052】
特に信号パターン30−11’は、信号パターン30の配列の最外部に設けられているため、信号パターン30−2’と同様に長手方向の延設だけでなく、幅方向にも延設でき、補強部34bを設けることが可能となる。
【0053】
図8は、信号パターン30−2’におけるソルダーレジストの積層の様子を示した図であり、図9は、信号パターン30−11’におけるソルダーレジストの積層の様子を示した図である。
【0054】
上述した構成にしても、補強部34a(又は補強部34b)上の一部にソルダーレジスト21が積層されていることにより、プリント回路基板1に応力が加わった際に、パッド部33の剥がれを防止することが出来る。特に、本変形例では、補強部34aが両端に設けられている為、他の補強部より更に剥がれ難くすることが可能となる。
【0055】
また、図9の信号パターン30−11’の場合には、幅方向に更に補強部34bが設けられている為、信号パターン30−2’よりも更にパッド部33の剥がれを防止することが可能となる。
【0056】
(第2の実施の形態)
次に、図10を用いて本発明に係る第2の実施の形態を説明する。図10は本発明の第2の実施の形態に係るプリント回路基板の構造を示した図である。本図において、図1の第1の実施の形態に係るプリント回路基板と同一部分は同一記号で示し、その説明を省略する。
【0057】
図10におけるプリント回路基板が図1のプリント回路基板1と異なる点は、図1ではプリント配線板100上に表面実装部品200が実装されていたのに対し、本実施の形態では、DIP(Dual Inline Package)部品201が実装され、これに合わせてプリント配線板がプリント配線板101へと変更されている点である。
【0058】
ここで、DIP部品201とは、表面実装部品200よりもプリント配線板とより強固に結合を要求される部品であり、本体201aとプリント配線板101に貫通される複数の信号端子201bとで構成されている部品である。DIP部品201は、例えばLANコネクタ等の挿入型コネクタ部品である。
【0059】
プリント配線板101には、第1層(L1)から第6層(L6)までを貫通する孔であるスルーホール11cが設けられ、このスルーホール11cに端子201bが挿入され、はんだ付け(不図示)により固定されている。尚、スルーホール11cの内層には導体のメッキが施されて第1層(L1)と第6層(L6)との層間を接続する回路が形成されている。
【0060】
図10の第6層(L6)の信号層には、信号パターン50と信号パターン60が形成されており、信号パターン50は、後述するように少なくともDIP部品201の信号端子201bに対応した数だけ設けられている。
【0061】
次に、信号パターン50の構造について図10と図11を参照して説明する。図11は、図10におけるプリント配線板101の信号パターン50周辺をB方向から見た図であり、図11(a)は信号パターン50のみを表示した図であり、図11(b)は信号パターンの他にソルダーレジスト22を図示したものである。
【0062】
尚、上述したように、信号パターン50は複数設けられているが、図11では簡単の為にその内の1つを示している。
【0063】
図11に示すように、信号パターン50は、ランド部51と、補強部54と、配線部52とで構成されている。
【0064】
ここで、ランド部51は、スルーホール11c(図10参照)を経由して第1層(L1)と第6層(L6)とを電気的に接続させる為の孔部510を有する円状の導体である。
【0065】
補強部54は、ランド部51を延設した導体であり、ランド部51の剥がれを防止する役目を担う。即ち、補強部54の少なくとも一部に上述したソルダーレジスト22を積層する構成とする。
【0066】
従って、ソルダーレジスト22は図11に示すように、ランド部51、配線部52、及び場合により補強部54の一部を露出した開口部を有することとなる。但し、DIP部品201との電気的接続はランド部51との間で行うものである為、少なくともランド部51のみを露出するような開口部を有するような構成としても良い。
【0067】
尚、図11で示した補強部54は、ランド部51の幅をそのまま延設し、全体として略楕円形を有した形状となっているが、本発明はこれに限らず、ランド部51の幅よりも狭い幅で延設しても良いし、逆に広い幅で延設しても良い。また、設計上可能であればランド部51の一方向に延設するだけでなく、複数の方向に延設しても良い。従って、全体に延設する場合には、ランドの円形の形状を大きくするような形状にしても良い。
【0068】
このように信号端子201bと電気的接続をする領域であるランド部51以外に補強部54を設け、その上にソルダーレジスト22を積層することでランド部51の剥がれを防止できる。即ち、LANコネクタのようなDIP部品201は、そのLANケーブル等の挿抜が頻繁に行なわれる。この場合、DIP部品201に無理な応力がかかり、この応力が端子201bを介してプリント配線板101に伝わることとなる。
【0069】
ここで、プリント配線板101に加わる応力が曲げ応力の場合には、プリント配線板101の最外の層に最大の引張り(若しくは圧縮)応力がかかる。また、プリント配線板101に加わる応力が、垂直応力の場合には、信号パターン50を直接引っ張り上げる力が働くことにもなりうる。従って、DIP部品201に加わる応力は、信号パターン50のランド部51の剥がれに直接起因したものとなる。従って、上述したようにランド部51を延設して補強部54を設け、この一部にソルダーレジスト22が積層する構成とすることで、プリント回路基板1’に応力が加わった場合であっても、補強部54によりこの剥がれの力を抑えることとなり、結局はランド部51の剥がれが防止できることとなる。
【0070】
(第3の実施の形態)
以下、図12を用いて本発明の実施の形態である電子機器を説明する。図12は本発明の実施の形態に係る電子機器を示した図である。本実施の形態は、上述した第1の実施の形態であるプリント回路基板1や第2の実施の形態であるプリント回路基板1’を有した電子機器である。
【0071】
図12においては、上述したプリント回路基板1がブック型のパーソナルコンピュータ2に用いられた場合を示している。
【0072】
図12に示されたブック型のパーソナルコンピュータ2は、コンピュータ本体3と、このコンピュータ本体3に支持されたディスプレイユニット4とを備えている。コンピュータ本体3は、コンピュータ本体3の外郭を形成する筐体5と、この筐体5の上面に設けられかつ情報を入力する手段としてのキーボード6などを備えている。
【0073】
前記筐体5は、底壁7と、この底壁7の周縁から上向きに延びる側壁8と、この側壁8の上端に連なるとともに、前記底壁7と向かい合う上壁9と、を含む偏平な箱状をなしている。上壁9の前部は、平坦なパームレスト10となっており、このパームレスト10の後方に前記キーボード6が配置されている。
【0074】
ディスプレイユニット4は、液晶表示装置(図示せず)を収容したディスプレイハウジング17を備えており、このディスプレイハウジング17は、前記筐体5の後端部にヒンジ軸18を介して回動自在に支持されている。そのため、ディスプレイユニット4は、パームレスト10やキーボード6を覆うように倒される閉じ位置と、パームレスト10やキーボード6を露出させるように起立される開き位置とに亘って回動可能となっている。
【0075】
前記筐体5の内部には、CD−ROM駆動装置やハードディスク駆動装置のようなパック状機器(図示せず)と、これらのパック状機器に電気的に接続した上述のプリント回路基板1が収容されている。尚、言うまでも無いが、プリント回路基板1は、上述したプリント回路基板1’であっても良い。
【0076】
以上のような電子機器においても、補強部34(又は補強部54)上の一部にソルダーレジスト21(又はソルダーレジスト22)が積層されていることにより、プリント回路基板1(又はプリント回路基板1’)に応力が加わった際に、パッド部33(又はランド部51)の剥がれを防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプリント回路基板の構造を示した図。
【図2】図1におけるプリント配線板100の信号パターン30周辺をA方向から見た図。
【図3】信号パターン30の配列の一例を示した図。
【図4】信号パターン30−8におけるソルダーレジストの積層の様子を示した図。
【図5】第1の実施の形態の変形例に係る信号パターン30の配列の一例を示した図。
【図6】信号パターン30−8’におけるソルダーレジストの積層の様子を示した図。
【図7】第1の実施の形態の他の変形例に係る信号パターン30の配列の一例を示した図。
【図8】信号パターン30−2’におけるソルダーレジストの積層の様子を示した図。
【図9】信号パターン30−11’におけるソルダーレジストの積層の様子を示した図。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るプリント回路基板の構造を示した図。
【図11】図10におけるプリント配線板101の信号パターン50周辺をB方向から見た図。
【図12】本発明の実施の形態に係る電子機器を示した図。
【符号の説明】
【0078】
1,1’:プリント回路基板
2:パーソナルコンピュータ
3:コンピュータ本体
4:ディスプレイユニット
5:筐体
6:キーボード
7:底壁
8:側壁
9:上壁
10:パームレスト
11,12,13,14,15:絶縁層
11b:ビア
11c:スルーホール
17:ディスプレイハウジング
18:ヒンジ軸
21,22:ソルダーレジスト
30,40,50,60:信号パターン
31,51:ランド部
32,52:配線部
33,53:パッド部
34,54:補強部
100,101:プリント配線板
200:表面実装部品
200a,201a:本体
200b,201b:信号端子
201:DIP部品
310,510:孔部
L1,L2,L5,L6:信号層
L3,L4:プレーン層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁層と導体層とからなる多層のプリント配線板において、
前記導体層のうちの少なくとも一方の最外の導体層に設けられ、コネクタ部品が有する所定の形態に配列された複数の信号端子と対向する位置に設けられて電気的接続がされる複数のパッド部、このパッド部の夫々をその長さ方向に延設した補強部、前記電気的接続を他の導体層に接続する為のランド部と含む信号パターンと、
前記最外の導体層の上に被覆され、前記補強部を覆いかつ前記パッド部を露出する開口部を備えたソルダーレジストと、
を備えたことを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記補強部は、前記パッド部の幅よりも狭い幅を有することを特長とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記信号端子に対向して設けられたパッド部の配列は、少なくとも1列の直線になっていることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項4】
前記パッド部から延設している補強部の内、少なくとも1つの前記補強部が他の補強部よりもその幅が広いことを特徴とする請求項3に記載のプリント配線板。
【請求項5】
前記パッド部から延設している補強部の内、少なくとも1つの前記補強部が他の補強部よりもその長さが長いことを特徴とする請求項3に記載のプリント配線板。
【請求項6】
前記配列しているパッド部を含む信号パターンの内、前記コネクタ部品との電気的接続を要しない信号パターンにおいては、前記ランド部の代わりに前記補強部とは反対側に前記パッド部の長さ方向に延設した他の補強部を有し、
前記ソルダーレジストは、前記補強部と前記他の補強部を覆い、かつ前記パッド部を露出する開口部を有すること
を特長とする請求項3に記載のプリント配線板。
【請求項7】
複数の絶縁層及び導体層とからなる多層のプリント配線板と、このプリント配線板上に実装されるコネクタ部品とからなるプリント回路基板において、
前記プリント配線板は、
前記導体層のうちの少なくとも一方の最外の導体層に設けられ、前記コネクタ部品が有する所定の形態に配列された複数の信号端子と対向する位置に設けられて電気的接続がされる複数のパッド部、このパッド部の夫々をその長さ方向に延設した補強部、前記電気的接続を他の導体層に接続する為のランド部と含む信号パターンと、
前記最外の導体層の上に被覆され、前記補強部を覆いかつ前記パッド部を露出する開口部を備えたソルダーレジストと、
を備えたことを特徴とするプリント回路基板。
【請求項8】
複数の絶縁層と導体層とからなる多層のプリント配線板において、
実装されるDIP部品が有する複数の信号端子と対向する位置に夫々設けられ、前記プリント配線板を貫通し、内径を導電体で形成したスルーホールと、
前記DIP部品が実装される側と反対側の最外の導体層に設けられ、前記スルーホールと電気的接続がされるランド部、このランド部の夫々を所定の方向に延設した補強部と含む信号パターンと、
前記最外の導体層の上に被覆され、前記補強部を覆いかつ前記ランド部を露出する開口部を備えたソルダーレジストと、
を備えたことを特徴とするプリント配線板。
【請求項9】
複数の絶縁層及び導体層とからなる多層のプリント配線板と、このプリント配線板上に実装されるDIP部品とからなるプリント回路基板において、
前記プリント配線板は、
実装されるDIP部品が有する複数の信号端子と対向する位置に夫々設けられ、前記プリント配線板を貫通し、内径を導電体で形成したスルーホールと、
前記DIP部品が実装される側と反対側の最外の導体層に設けられ、前記スルーホールと電気的接続がされるランド部、このランド部の夫々を所定の方向に延設した補強部と含む信号パターンと、
前記最外の導体層の上に被覆され、前記補強部を覆いかつ前記ランド部を露出する開口部を備えたソルダーレジストと、
を備えたことを特徴とするプリント回路基板。
【請求項10】
情報を入力する手段を有する筐体と、この筐体の内部に収容されたプリント回路基板と、を備えた電子機器であって、
前記プリント回路基板は、
所定の形態に配列された複数の信号端子を有するコネクタ部品と、
複数の絶縁層と導体層とからなり、前記導体層のうちの少なくとも一方の最外の導体層に設けられ、前記コネクタ部品の前記複数の信号端子と対向する位置に設けられて電気的接続がされる複数のパッド部、このパッド部の夫々をその長さ方向に延設した補強部、前記電気的接続を他の導体層に接続する為のランド部と含む信号パターンと、前記最外の導体層の上に被覆され、前記補強部を覆いかつ前記パッド部を露出する開口部を備えたソルダーレジストとを有するプリント配線板と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
情報を入力する手段を有する筐体と、この筐体の内部に収容されたプリント回路基板と、を備えた電子機器であって、
前記プリント回路基板は、
複数の信号端子を有するDIP部品と、
複数の絶縁層及び導体層とからなり、実装される前記DIP部品の信号端子と対向する位置に夫々設けられ、前記プリント配線板を貫通し、内径を導電体で形成したスルーホールと、前記DIP部品が実装される側と反対側の最外の導体層に設けられ、前記スルーホールと電気的接続がされるランド部、このランド部の夫々を所定の方向に延設した補強部と含む信号パターンと、前記最外の導体層の上に被覆され、前記補強部を覆いかつ前記ランド部を露出する開口部を備えたソルダーレジストとを有するプリント配線板と、
を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−222386(P2006−222386A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36577(P2005−36577)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】