説明

ポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜の形成方法

【課題】 本発明の目的は、現像工程において塗布膜の白濁がなく高解像度なパターンを形成することができるポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜の形成方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の目的は、アルカリ現像液の供給部を前記塗布膜の中心部に配置し、塗布膜を回転させると共に供給部を中心部から塗布膜の外周部側へと移動させながらアルカリ現像液の供給を行い、アルカリ現像液が塗布膜に拡がった段階で塗布膜の回転を停止し、静置する工程を実施する現像工程、および前記現像工程では、塗布膜を静置する時間の合計をTs1〔秒間〕とし、洗浄工程の直前の塗布膜の静置時間をTs2〔秒間〕としたとき、Ts2/Ts1が0.5以上とすることにより達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物の方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には、耐熱性に優れ、かつ卓越した電気特性、機械特性等を有するポリベンゾオキサゾール樹脂やポリイミド樹脂が用いられてきた。
ここでポリベンゾオキサゾール樹脂やポリイミド樹脂を用いた場合のプロセスを簡略化するために、感光材のジアゾキノン化合物をこれらの樹脂と組み合わせたポジ型感光性樹脂組成物も使用されている(例えば、特許文献1参照)。近年、半導体素子の小型化、高集積化による多層配線化、チップサイズパッケージ(CSP)、ウエハーレベルパッケージ(WLP)への移行等により、チップに対するダメージを低減するため、低応力性に優れたポリベンゾオキサゾール樹脂やポリイミド樹脂が必要とされている。これらポジ型感光性樹脂組成物を実際のプロセスに用いた場合、半導体の小型化に伴い微細パターンの形成が必要となるために高解像度であることが望まれている。
ところが、高解像度のパターン形成を従来の現像工程で実施すると、現像時にウェハー表面に付着物がつき、その付着物の影響でウェハー表面が白濁して見えるという問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開平1−46862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、支持体にポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を形成する際の現像工程において、塗布膜の白濁がなく高解像度でパターンを形成することができるポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記[1]〜[2]に記載の本発明により達成される。
[1]支持体にポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を形成する方法であって、支持体にポジ型感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜に化学線を選択的に照射して、前記塗布膜を露光する露光工程と、アルカリ現像液の供給部を前記塗布膜の中心部に配置し、前記塗布膜を回転させると共に前記供給部を中心部から前記塗布膜の外周部側へと移動させながら前記アルカリ現像液の供給を行い、前記アルカリ現像液が前記塗布膜に拡がった段階で前記塗布膜の回転を停止し、静置する現像 工程を1回または2回以上繰返し、前記現像工程後の前記塗布膜の中心部に洗浄液を供給し、前記塗布膜を回転させ前記塗布膜を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程後に塗布膜を加熱して、硬化膜を形成する硬化工程とを有し、前記現像工程では、前記塗布膜を静置する時間の合計をTs1〔秒間〕とし、前記洗浄工程の直前の前記塗布膜の静置時間をTs2〔秒間〕としたとき、Ts2/Ts1が0.5以上であることを特徴とする硬化膜の形成方法。
[2]前記供給部が前記塗布膜の中心部近傍に有る場合の前記塗布膜の回転数が、前記供給部が前記塗布膜の外周部近傍に有る場合の前記塗布膜の回転数よりも高いものである[1]記載の硬化膜の形成方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、支持体にポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を形成する際の現像工程に
おいて、塗布膜に白濁がなく高解像度でパターンを形成することができるポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を形成する方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の支持体にポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を成形する方法について詳細に説明する。
【0008】
本発明の支持体にポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を成形する方法は、支持体にポジ型感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成する塗布工程(以下、塗布工程とも記載する。)と、前記塗布膜に化学線を選択的に照射して、前記塗布膜を露光する露光工程(以下、露光工程とも記載する。)と、アルカリ現像液の供給部を前記塗布膜の中心部に配置し、前記塗布膜を回転させると共に前記供給部を中心部から前記塗布膜の外周部側へと移動させながら前記アルカリ現像液の供給を行い、前記アルカリ現像液が前記塗布膜に拡がった段階で前記塗布膜の回転を停止し、静置する現像工程を1回または2回以上繰返す工程(以下、現像工程とも記載する。)と、前記現像工程後の前記塗布膜の中心部に洗浄液を供給し、前記塗布膜を回転させ前記塗布膜を洗浄する洗浄工程(以下、洗浄工程とも記載する。)と、前記洗浄工程後に塗布膜を加熱して、硬化膜を形成する硬化工程(以下、硬化工程とも記載する。)とを有しており、前記現像工程では、前記塗布膜を静置する時間の合計をTs1〔秒間〕とし、前記洗浄工程の直前の前記塗布膜の静置時間をTs2〔秒間〕としたとき、Ts2/Ts1が0.5以上であることを特徴とするものである。
【0009】
さらに、現像工程において、前記供給部が前記塗布膜の中心部近傍に有る場合の前記塗布膜の回転数が、前記供給部が前記塗布膜の外周部近傍に有る場合の前記塗布膜の回転数よりも高いことを特徴とするものである。
【0010】
以下、本発明の支持体にポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を成形する方法について詳細に説明する。
【0011】
本発明に係る塗布工程は、ポジ型感光性樹脂組成物を適当な支持体(基板)、例えば、シリコンウェハー、セラミック基板、アルミ基板等に塗布し塗布膜を作製する工程である。塗布量は、半導体素子上に塗布する場合、硬化後の最終膜厚が0.1〜30μmになるよう塗布する。膜厚が下限値を下回ると、半導体素子の保護表面膜としての機能を十分に発揮することが困難となり、上限値を越えると、微細な加工パターンを得ることが困難となるばかりでなく、加工に時間がかかりスループットが低下する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。
【0012】
前記ポジ型感光性樹脂組成物を支持体に塗布中または塗布後に支持体の裏面、側面または外周部近傍に付着したポジ型感光性樹脂組成物を溶剤により溶解させ、装置の汚染を抑制することも可能である。前記溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられるが、これらに限ったものではない。また、単独でも混合して用いても良い。
【0013】
また、前記塗布工程後に、前記塗布膜をプリベークして溶剤を揮散させ、塗膜を乾燥させ
てもよい。前記プリベークの方法としては、ホットプレート、オーブン等の加熱処理装置を用い、加熱処理温度としては、60〜140℃が好ましく、より好ましくは100〜130℃である。加熱処理をする際、加熱処理装置内に窒素等の不活性ガスを流して、塗布膜の酸化を低減させることも可能である。
【0014】
ここで、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物について詳細に説明する。なお下記は例示であり、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は下記に限定されるものではない。
【0015】
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、特に限定されるものではないが、アルカリ可溶樹脂(A)と、感光性ジアゾキノン化合物(B)とを含むものを例示として挙げることができる。
【0016】
前記アルカリ可溶性樹脂(A)としては、例えばクレゾール型ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、メタクリル酸樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等のアクリル系樹脂、水酸基、カルボキシル基等を含む環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。これらの中でも耐熱性に優れ、機械特性が良いという点からポリアミド系樹脂が好ましく、具体的にはポリベンゾオキサゾール構造およびポリイミド構造の少なくとも一方を有し、かつ主鎖または側鎖に水酸基、カルボキシル基、エーテル基またはエステル基を有する樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造を有する樹脂、ポリイミド前駆体構造を有する樹脂、ポリアミド酸エステル構造を有する樹脂等が挙げられる。このようなポリアミド系樹脂としては、例えば下記式(1)で示されるポリアミド系樹脂を挙げることができる。
【0017】
【化1】

(式中、X、Yは有機基である。R1は水酸基、−O−R3、アルキル基、アシルオキシ基、シクロアルキル基であり、同一でも異なっても良い。R2は水酸基、カルボキシル基、
−O−R3、−COO−R3のいずれかであり、同一でも異なっても良い。mは0〜8の整数、nは0〜8の整数である。R3は炭素数1〜15の有機基である。ここで、R1が複数ある場合は、それぞれ異なっていても同じでもよい。R1として水酸基がない場合は、R2は少なくとも1つはカルボキシル基でなければならない。また、R2としてカルボキシル
基がない場合、R1は少なくとも1つは水酸基でなければならない。)
【0018】
前記一般式(1)で示されるポリアミド系樹脂において、Xの置換基としてのO−R3
Yの置換基としてのO−R3、COO−R3は、水酸基、カルボキシル基のアルカリ水溶液に対する溶解性を調節する目的で、炭素数1〜15の有機基であるR3で保護された基で
あり、必要により水酸基、カルボキシル基を保護しても良い。R3の例としては、ホルミ
ル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
【0019】
前記一般式(1)で示されるポリアミド系樹脂は、例えば、Xを含むジアミン或いはビス(アミノフェノール)、2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物と、Yを含むジカルボン酸或いはジカルボン酸ジクロライド、ジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物とを反応して得られるものである。なお、ジカルボン酸の場合には反応収率等を高める
ため、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
【0020】
前記一般式(1)のXとしては、例えばベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族化合物、ビスフェノール類、ピロール類、フラン類等の複素環式化合物、シロキサン化合物等が挙げられ、より具体的には下記式(2)で示されるものを好ましく挙げることができる。これらは、必要により1種類又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0021】
【化2】

(ここで*はNH基に結合することを示す。R6〜R9は有機基である。)
【0022】
一般式(1)で示すように、XにはR1が0〜8個結合される(式(1)において、R1
は省略)。
【0023】
式(2)中で特に好ましいものとしては、耐熱性、機械特性が特に優れる下記式(3)で表されるものが挙げられる。
【0024】
【化3】

(式中、*はNH基に結合することを示す。式中Dは、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH32−、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−NHCO−、−C(CF32−、又は単結合である。R10は、はアルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、シ
クロアルキル基のいずれかであり、同一でも異なっても良い。R11は、アルキル基、アル
キルエステル基、ハロゲン原子の内から選ばれた1つを表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。s=1〜3、t=0〜2の整数である。)
【0025】
【化4】

(式中、*はNH基に結合することを示す。)
【0026】
また、前記一般式(1)のYは有機基であり、前記Xと同様のものが挙げられ、例えばベンゼン環、ナフタレン環等の芳香族化合物、ビスフェノール類、ピロール類、ピリジン類、フラン類等の複素環式化合物等が挙げられ、より具体的には下記式(4)で示されるものを好ましく挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0027】
【化5】

(ここで*はC=O基に結合することを示す。R14〜R17は有機基である。)
【0028】
一般式(1)で示すように、Yには、R2が0〜8個結合される(式(4)において、R2は省略)。
【0029】
これらの中で特に好ましいものとしては、耐熱性、機械特性が特に優れる下記式(5)、式(6)で表されるものが挙げられる。
下記式(5)中のテトラカルボン酸二無水物由来の構造については、C=O基に結合する位置が両方メタ位であるもの、両方パラ位であるものを挙げているが、メタ位とパラ位をそれぞれ含む構造でもよい。
【0030】
【化6】

【0031】
【化7】

(式中、*はC=O基に結合することを示す。R18は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基、ハロゲン原子の内から選ばれた1つを表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。R19は、水素原子又は炭素数1〜15の有機基から選ばれた1つを示し、一部が置換されていてもよい。v=0〜2の整数である。)
【0032】
【化8】

(式中、*はC=O基に結合することを示す。)
【0033】
また、上述の一般式(1)で示されるポリアミド系樹脂は、該ポリアミド系樹脂の末端のアミノ基を、アルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基、または環式化合物基を含む酸無水物を用いてアミドとしてキャップすることが好ましい。これにより、ポジ型感光性樹脂組成物の保存性を向上することができる。
このような、アミノ基と反応した後のアルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含む酸無水物に起因する基としては、例えば式(7)、式(8)で示される基等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0034】
【化9】

【0035】
【化10】

【0036】
これらの中で特に好ましいものとしては、式(9)で選ばれる基が好ましい。これにより、ポジ型感光性樹脂組成物の保存性をより向上することができる。
【0037】
【化11】

【0038】
また前記方法に限定される事はなく、前記ポリアミド系樹脂中に含まれる末端の酸にア
ルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含むアミン誘導体を反応させアミドとしてキャップすることもできる。
【0039】
本発明に係る感光性ジアゾキノン化合物(B)は、例えばフェノール化合物と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸または1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とのエステルが挙げられる。具体的には、式(10)〜式(13)に示すエステル化合物を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いても良い。
【0040】
【化12】

【0041】
【化13】

【0042】
【化14】

【0043】
【化15】

【0044】
【化16】

式中Qは、水素原子、式(14)、式(15)のいずれかから選ばれるものである。ここで各化合物のQのうち、少なくとも1つは式(14)、式(15)である。
【0045】
本発明に係る感光性ジアゾキノン化合物(B)の添加量は、アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対して1〜50重量部が好ましい。より好ましくは10〜40重量部である。添加量が上記範囲内であるとすると、特に感度が優れる。
【0046】
さらに本発明では、高感度で更にスカム無くパターニングできるようにフェノール性水酸基を有する化合物を併用することができる。
【0047】
前記フェノール性水酸基を有する化合物としては、式(16)で表されるものが挙げられる。これらは1種類又は2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0048】
【化17】

【0049】
前記フェノール性水酸基を有する化合物の添加量は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対して、1〜30重量部が好ましく、より好ましくは1〜20重量部である。添加量が、上記範囲内であると現像時において更にスカムの発生が抑制され、また露光部の溶解性が促進されることにより感度が向上する。
【0050】
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、必要によりアクリル系、シリコーン系、フッ素系、ビニル系等のレベリング剤、あるいはシランカップリング剤等の添加剤等を含んでも良い。
【0051】
前記シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本発明においては、これらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用することが好ましい。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いても良い。
【0053】
本発明に係る露光工程は、塗布工程で作製した塗布膜に所望のパターン形状になるよう化学線を照射する工程である。前記化学線を照射した部分(露光部)は、塗布膜を構成する
ポジ型感光性樹脂組成物中の感光性ジアゾキノン化合物(B)が化学変化を起こし酸を発生するため、現像工程(後述する)で溶解除去される。化学線としては、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。具体的には、所望のパターン形状が得られるように、石英ガラス基板等の表面を例えばクロム等で遮蔽させたフォトマスク、レチクルと呼ばれるものを作製し、前記フォトマスク、レチクルを通して前記塗布膜に化学線を照射させる。露光装置の照射方法として、前記フォトマスク、レチクルとポジ型感光性樹脂組成物を塗布した支持体との位置関係または、前記フォトマスク、レチクルに描かれたパターンと所望のパターンとの縮小比の関係により、密着露光、近接露光、等倍投影露光、縮小投影露光、走査露光等を適宜選択することができる。
【0054】
本発明に係る現像工程は、前記塗布膜の前記露光工程で化学線を照射した部分をアルカリ現像液により溶解除去し、ポジ型感光性樹脂組成物からなるレリーフパターンを得る目的で行われる。現像方法としては、パドル方式等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0055】
前記パドル方式による現像方法では、露光された塗布膜上にアルカリ現像液が一様に濡れ拡がるように供給し、その後、アルカリ現像液の供給を停止し、塗布膜上にアルカリ現像液を盛った状態にしておき露光部の塗布膜を溶解除去する工程があり、この工程を静置工程と呼ぶ。この時、未露光部もアルカリ現像液と接しているため、塗布膜表層の一部が溶解(以下、膜減りとも記載)する。この現像のメカニズムは以下のように説明できる。露光部は、露光によりポジ型感光性樹脂組成物中の感光性ジアゾキノン化合物が化学変化を起こし酸を発生するため、アルカリ現像液に対する溶解性が向上する。一方、未露光部は、アルカリ現像液存在下でアルカリ可溶性樹脂と感光性ジアゾキノン化合物がアゾカップリング反応を生じ、塗布膜表層にアルカリ現像液に難溶である層を形成し、アルカリ現像液に対する溶解性が低下する。このように、露光部と未露光部とでアルカリ現像液に対する溶解性に差異があるため、現像することによりポジ型感光性樹脂組成物からなるレリーフパターンを作製することができる。
【0056】
前記アルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液、及びこれにメタノール、エタノールのごときアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。
【0057】
前記アルカリ現像液の静置工程は、1回でも可能であるが、現像時間を短縮する目的で複数回繰返し行ってもよい。ここで、現像時間とは、塗布膜上にアルカリ現像液を静置している合計の時間を指す。前記静置工程が1回の場合、塗布膜を構成するポジ型感光性樹脂組成物のアルカリ可溶性樹脂とアルカリ現像液中のアルカリが作用し、しだいにアルカリ現像液のアルカリ濃度が低下するため、現像速度が低下してくる。一方、前記静置工程を複数回繰返し行った場合、アルカリ現像液のアルカリ濃度を高い状態に保つことができるため、現像時間を短縮することが可能となる。
【0058】
一方、前記アルカリ現像液の静置工程を複数回繰返し行うことにより、現像時間を短縮することは可能となるが、アルカリ現像液のアルカリ濃度が高くなりすぎる場合があり、塗布膜開口部の形状・大きさにばらつきを生じる場合がある。また、前記アルカリ現像液の静置工程を複数回繰返し行うと、アルカリ現像液の消費量が増えるため、生産コストが高くなるという問題も発生する。
【0059】
前記アルカリ現像液の静置工程の繰返し回数は、1〜5回が好ましく、1〜4回が特に好ましい。上記範囲とすることで、塗布膜開口部の形状・大きさにばらつきの少ないものが得られ、さらに、生産コストを低減することが可能となる。
【0060】
また、従来のアルカリ現像液の静置工程(複数回)では、各静置工程でアルカリ現像液を静置する時間が同じである場合が普通であり、未露光部に白いしみ状模様の付着物が観察される場合があった。
【0061】
前記未露光部に白いしみ状模様の付着物が観察されるメカニズム(I)は、以下のように考えられる。
前述の通り、未露光部の塗布膜は、アルカリ現像液存在下でアルカリ可溶性樹脂と感光性ジアゾキノン化合物がアゾカップリング反応を起こすため、塗布膜表層にアルカリ現像液に対して難溶である層を形成する一方、アルカリ現像液により徐々にではあるが塗布膜は溶解していく。塗布膜が溶解するとアルカリ現像液中のアルカリ濃度は低下するが、洗浄工程直前のアルカリ現像液の静置時間が短い場合、アルカリ現像液のアルカリ濃度が高い状態で洗浄液が供給されるため、アルカリ現像液と洗浄液の濃度差が大きく、アルカリ現像液に溶解していたポジ型感光性樹脂組成物が析出し、白いしみ状模様の付着物が発生すると考えられる。
【0062】
本発明は、上述の白いしみ状模様の付着物が発生するメカニズム(I)に基づき鋭意検討を重ねた結果、現像工程で塗布膜を静置する時間の合計をTs1(秒)、洗浄工程直前にアルカリ現像液を静置する時間をTs2(秒)とした場合、Ts2/Ts1が0.5以上である場合、特に0.7以上である場合、白いしみ状の付着物の発生を抑制できることを見出した。Ts1/Ts2を上記範囲とすることで、洗浄工程において洗浄液を供給する際に、アルカリ現像液のアルカリ濃度が適度に下がっており、アルカリ現像液と洗浄液の濃度差を小さくすることができるため、白いしみ状模様の付着物の発生を抑制することができる。
【0063】
前記現像工程で塗布膜を静置する時間の合計Ts1は、特に限定されるものではないが、20〜180秒であり、30〜120秒が特に好ましい。上記範囲とすることで、現像工程のスループット低下を抑制することができる。
【0064】
前記洗浄工程直前にアルカリ現像液を静置する時間Ts2(秒)は、特に限定されるものではないが、10〜180秒であり、15〜120秒が特に好ましい。上記範囲とすることで、白いしみ状模様の付着物の発生の抑制と現像工程のスループット低下の抑制を両立することができる。
【0065】
また、前述の白いしみ状模様の付着物は、下記のメカニズム(II)でも発生することが考えられる。
アルカリ現像液の供給部を、塗布膜の外周部から中心部に移動させてアルカリ現像液の供給を行った場合、塗布膜中心部の方が塗布膜外周部よりもアルカリ現像液を静置する時間が短いため、
アルカリ現像液のアルカリ濃度が高い状態になっている。このような状態のところに、塗布膜の中心部に洗浄液を供給すると、アルカリ現像液と洗浄液の濃度差が大きく、アルカリ現像液に溶解しているポジ型感光性樹脂組成物が析出し、白いしみ状模様の付着物が発生すると考えられる。
【0066】
本発明は、上述の白いしみ状模様の付着物が発生するメカニズム(II)に基づき鋭意検討を重ねた結果、アルカリ現像液の供給部を塗布膜の中心部に配置し、塗布膜を回転さ
せると共に前記供給部を中心部から前記塗布膜の外周部側へと移動させながらアルカリ現像液の供給を行うことにより、白いしみ状模様の付着物の発生を抑制できることを見出した。前述の通り、アルカリ現像液の供給部を塗布膜の中心部から外周部へと移動させながらアルカリ現像液を供給することにより、塗布膜中心部のアルカリ現像液のアルカリ濃度が低くなった状態で洗浄液を供給することができるため、塗布膜中心部はアルカリ現像液と洗浄液の濃度差が小さくなり、アルカリ現像液に溶解しているポジ型感光性樹脂組成物の析出を抑制することが可能となる。また、塗布膜外周部は、アルカリ現像液を静置する時間が短いため、アルカリ現像液のアルカリ濃度は高い状態であるが、洗浄液である洗浄液を塗布膜中心部に供給し、塗布膜を回転させながら洗浄するため、洗浄液とアルカリ現像液の混合物で洗浄することが可能となる。従って、塗布膜外周部の洗浄液は、僅かにアルカリ性になっているため、アルカリ現像液との濃度差を小さくすることが可能となる。以上により、塗布膜中心部および外周部に白いしみ状模様の付着物の発生を抑制することが可能となる。
【0067】
ここで、アルカリ現像液の供給部を塗布膜の中心部に配置し、塗布膜を回転させると共に前記供給部を中心部から前記塗布膜の外周部側へと移動させながらアルカリ現像液の供給を行うとは、
特に限定されるものではないが、下記の例示が挙げられる。なお、下記に例示される塗布膜は円形をしているが、この形状に限定されるものではない。
図1−1は塗布膜にアルカリ現像液を供給する工程の上面図であり、回転している塗布膜1の中心部にアルカリ現像液の供給部2を配置し、矢印Aで示すようにアルカリ現像液の供給部2を塗布膜の外周部へ移動させながらアルカリ現像液を供給する。また、図1−2では、矢印Bで示すように現像液の供給部2を塗布膜中心部から外周部へ移動させながらアルカリ現像液を供給し、次いで、矢印Cで示すように、アルカリ現像液供給部2を塗布膜1の外周部から中心部に移動させながらアルカリ現像液を供給し、さらに矢印Dで示すように、アルカリ現像液供給部2を塗布膜1の中心部から外周部に移動させアルカリ現像液を供給することを示している。この矢印Bおよび矢印Cで示す現像液の供給部2の動作は、複数回繰り返し行ってもよい。図1-3では、矢印Eで示すように現像液の供給部2
を塗布膜中心部から中心部と外周部の間へ移動させながらアルカリ現像液を供給し、次いで、矢印Fで示すように、アルカリ現像液の供給部2を塗布膜1の中心部と外周部の間から中心部に移動させながらアルカリ現像液を供給し、さらに矢印Gで示すように、アルカリ現像液供給部2を塗布膜1の中心部から外周部に移動させアルカリ現像液を供給することを示している。この矢印Eおよび矢印Fで示す現像液の供給部2の動作は、複数回繰り返し行ってもよい。図1−4では、矢印Hで示すように現像液の供給部2を塗布膜中心部から外周部へ移動させながらアルカリ現像液を供給し、次いで、矢印Iで示すように、アルカリ現像液供給部2を塗布膜1の外周部から中心部を通過して反対側の外周部に移動させながらアルカリ現像液を供給することを示している。図1−5では、矢印Jで示すように現像液の供給部2を塗布膜中心部から中心部と外周部の間へ移動させながらアルカリ現像液を供給し、次いで、矢印Kで示すように、アルカリ現像液供給部2を塗布膜1の中心部と外周部の間から中心部を通過して反対側の外周部に移動させながらアルカリ現像液を供給することを示している。図1−1〜図1−5で示されるアルカリ現像液の供給部の動作は例示であり、特に限定されるものではない。また、図1−2〜図1−5で示されるそれぞれの動作を組み合わせることも可能である。
これらの中でも、塗布膜全面に均一に現像液を盛ることができる、図1−1に示す現像液を供給する工程が好ましい。さらに、塗布膜の回転数が低い場合でも、塗布膜全面に均一に現像液を盛ることができる図1−3で示される現像液を供給する工程も好ましい。
【0068】
前記アルカリ現像液の供給部は、1つ穴ノズルおよび複数穴ノズルがあり、ノズルから塗布膜上に直下に供給されるタイプ、ノズルの側面に複数穴があり、その穴より現像液が供給されるタイプ、ノズルに噴霧する装置が設置されているタイプ等あるが、これらに限
定されるものではない。また、アルカリ現像液の供給部自体も、1個のものだけではなく複数個あるものを使用してもよい。
【0069】
本発明に係る洗浄工程は、現像工程後に塗布膜に付着する現像液を除去するために行われるものであり、現像工程後の塗布膜の中心部に洗浄液を供給し、塗布膜を回転させ塗布膜を洗浄する工程である。塗布膜の中心部に洗浄液を供給し、塗布膜を回転させ塗布膜を洗浄する理由は、前述の現像工程で記載した理由によるものである。洗浄液の供給場所は、塗布膜の中心部のみだけではなく、塗布膜中心部と外周部間の任意の場所に複数設けてもよい。前記洗浄液としては、特に限定されるものではないが、例えば蒸留水を用いることができる。
【0070】
本発明に係る硬化工程は、前記洗浄工程を経た塗布膜を加熱処理し、オキサゾール環やイミド環を形成し、耐熱性に富む最終パターンを得る。加熱処理温度は、180℃〜380℃が好ましく、より好ましくは200℃〜350℃である。加熱処理をする際、加熱処理装置内に窒素等の不活性ガスを流して、塗布膜の酸化を低減させることも可能である。
【実施例】
【0071】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
≪実施例1≫
[アルカリ可溶性樹脂(A−1)の合成]
ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸0.900モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール1.800モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)443.21g(0.900モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.26g(1.000モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3200gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。
次にN−メチル−2−ピロリドン100gに溶解させた4−エチニルフタル酸無水物34.43g(0.200モル)を加え、更に12時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、目的のアルカリ可溶性樹脂(A−1)を得た。
【0072】
[感光性ジアゾキノン化合物の合成]
フェノール式(Q−1)15.82g(0.025モル)と、トリエチルアミン8.40g(0.083モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、テトラヒドロフラン135gを加えて溶解させた。この反応溶液を10℃以下に冷却した後に、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド22.30g(0.083モル)をテトラヒドロフラン100gと共に10℃以上にならないように徐々に滴下した。その後10℃以下で5分攪拌した後、室温で5時間攪拌して反応を終了させた。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(B−1)の構造で示される感光性ジアゾキノン化合物を得た。
【0073】
【化18】

【0074】
[ポジ型感光性樹脂組成物の作製]
合成したアルカリ可溶性樹脂(A−1)100g、式(B−1)の構造を有する感光性ジ
アゾキノン化合物15gを、γ―ブチロラクトン150gに溶解した後、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。
【0075】
[現像、洗浄後塗布膜表面状態の評価]
上記ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分プリベークし、膜厚約8.0μmの塗布膜を得た。この塗布膜にマスク(凸版印刷(株)製、テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、i線ステッパー((株)ニコン製・NSR−4425i)を用いて、100mJ/cm2から780mJ/cm2まで10mJ/cm2刻みで露光量を変化させて化学線を照射した。
次に、ポジ型感光性樹脂組成物が塗布・露光されたシリコンウェハーを700rpmで回転させて、シリコンウェハーの中心部に配置してある現像ノズルから2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド現像液を吐出させ、現像ノズルをシリコンウェハーの外周部へと移動させ、シリコンウェハーの外周部近傍にて現像ノズルの移動を停止させた。現像ノズルを移動させる際にシリコンウェハーの回転数を徐々に落としていき最終的には20rpmにし、現像ノズルを停止すると同時にシリコンウェハーの回転も停止して40秒(一回目のシリコンウェハー静置時間)静置した。次に、シリコンウェハーを700rpmで回転させシリコンウェハー上の現像液を振り切った。次に、シリコンウェハーを700rpmで回転させておきながら、シリコンウェハーの中心部に配置してある現像ノズルから2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド現像液を吐出させ、現像ノズルをシリコンウェハーの外周部近傍へと移動させ、シリコンウェハーの外周部近傍にて現像ノズルの移動を停止させた。現像ノズルを移動させる際にシリコンウェハーの回転数を徐々に落としていき最終的には20rpmにし、現像ノズルを停止すると同時に前記ウェハーの回転も停止して60秒(二回目のシリコンウェハー静置時間)静置した。次に、シリコンウェハーを1200rpmで回転させながら、洗浄液である純水をシリコンウェハーの中心部に供給し10秒間洗浄した。洗浄後の塗布膜全面に白濁は観察されなかった。
【0076】
≪実施例2≫
実施例1において、一回目のシリコンウェハー静置時間を20秒、二回目のシリコンウ
ェハーの静置時間を60秒とした以外は、実施例1と同様に現像、洗浄後塗布膜表面状態の評価を行った。洗浄後の塗布膜全面に白濁は観察されなかった。
【0077】
≪実施例3≫
現像ノズルを中心から外周部に移動させる際の回転数を中心で60rpm、ノズル移動終了時の回転数を60rpmとした以外は実施例1と同様に現像、洗浄後塗布膜表面状態の評価を行った。洗浄後の塗布膜表面には中心部にわずかに白濁が見られたが、実用上問題のない程度であった。
【0078】
≪比較例1≫
実施例1において、一回目のシリコンウェハー静置時間を70秒、二回目のシリコンウェハーの静置時間を30秒とした以外は、実施例1と同様に現像、洗浄後塗布膜表面状態の評価を行った。洗浄後の塗布膜に白濁が点在していた。
【0079】
≪比較例2≫
実施例1において、現像ノズルの移動方向をシリコンウェハーの外周部からシリコンウェハー中心部にした以外は、実施例1と同様に現像、洗浄後塗布膜表面状態の評価を行った。洗浄後の塗布膜に白濁が点在していた。
【0080】
≪比較例3≫
実施例1において、一回目のシリコンウェハー静置時間を70秒、二回目のシリコンウェハーの静置時間を30秒、現像ノズルの移動方向をシリコンウェハーの外周部からシリコンウェハー中心部にした以外は、実施例1と同様に現像、洗浄後塗布膜表面状態の評価を行った。洗浄後の塗布膜全面に白濁が観察された。
【0081】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物からなる硬化膜の形成方法により、支持体にポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を形成する際の現像工程において、塗布膜の白濁がなく、さらに高解像度なパターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施形態に係る、現像液供給部の動作を示す上面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 塗布膜
2 現像液の供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体にポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜を形成する方法であって、
支持体にポジ型感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
前記塗布膜に化学線を選択的に照射して、前記塗布膜を露光する露光工程と、
アルカリ現像液の供給部を前記塗布膜の中心部に配置し、前記塗布膜を回転させると共に前記供給部を中心部から前記塗布膜の外周部側へと移動させながら前記アルカリ現像液の供給を行い、前記アルカリ現像液が前記塗布膜に拡がった段階で前記塗布膜の回転を停止し、静置する現像 工程を1回または2回以上繰返し、
前記現像工程後の前記塗布膜の中心部に洗浄液を供給し、前記塗布膜を回転させ前記塗布膜を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程後に塗布膜を加熱して、硬化膜を形成する硬化工程とを有し、
前記現像工程では、前記塗布膜を静置する時間の合計をTs1〔秒間〕とし、前記洗浄工程の直前の前記塗布膜の静置時間をTs2〔秒間〕としたとき、Ts2/Ts1が0.5以上であることを特徴とする硬化膜の形成方法。
【請求項2】
前記供給部が前記塗布膜の中心部近傍に有る場合の前記塗布膜の回転数が、前記供給部が前記塗布膜の外周部近傍に有る場合の前記塗布膜の回転数よりも高いものである請求項1に記載の硬化膜の形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−75182(P2009−75182A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241774(P2007−241774)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】