説明

マスクブランクス用ガラス基板の製造方法、マスクブランクスの製造方法、反射型マスクブランクスの製造方法、露光用マスクの製造方法、反射型マスクの製造方法、及び、半導体装置の製造方法

【課題】局所表面加工後の研磨工程において、ガラス基板表面の平坦度を維持又は向上させつつ、ガラス基板表面の面荒れを改善することができ、高平坦度と高平滑性を実現する方法を提供する。
【解決手段】マスクブランクス用のガラス基板1の被測定面および裏面の凹凸形状と板厚ばらつきを測定する凹凸形状測定工程と、前記測定結果にもとづいて、表面加工を施すことにより、前記被測定面および裏面の平坦度と板厚ばらつきを所定の基準値以下に制御する平坦度制御工程と、表面加工の施された前記ガラス基板1の表面を基板押圧手段67により研磨布61に押圧しつつ、回転させて研磨する際、前記ガラス基板1の表面における押圧力分布が均一となるように、前記ガラス基板1を研磨布61に押し当て、かつ、研磨布押圧手段67が、前記ガラス基板1の外周部近傍の前記研磨布61を押圧しながら、前記ガラス基板1を研磨する研磨工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクブランクス用ガラス基板の製造方法、マスクブランクスの製造方法、反射型マスクブランクスの製造方法、露光用マスクの製造方法、反射型マスクの製造方法、及び、半導体装置の製造方法に関し、特に、半導体デザインルールで65nmや45nmで使用される露光光源であるArFエキシマレーザー(露光波長:193nm),F2エキシマレーザー(露光波長:157nm),EUV(Extreme
Ultra Violet)光(露光波長:13nm)などの超短波長域の光を露光光源として用いるマスクブランクス用ガラス基板の製造方法、マスクブランクスの製造方法、反射型マスクブランクスの製造方法、露光用マスクの製造方法、反射型マスクの製造方法、及び、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、超LSIデバイスの高密度化や高精度化にともない、マスクブランクス用ガラス基板(適宜、ガラス基板と略称する。)に要求される基板表面の微細化傾向は年々厳しくなる状況にある。特に、露光光源の波長が短くなるにしたがって、基板表面の形状精度(平坦度)に対する要求が厳しくなっており、高平坦度のマスクブランクス用ガラス基板が求められている。
たとえば、露光光源がF2エキシマレーザーの場合は、要求されるガラス基板の平坦度は250nm以下であり、露光光源がEUV光の場合は、50nm以下となっている。すなわち、縦142mm×横142mmの矩形領域において、P−V値(基準面に対する最大高さと最小高さの差)で、50nm以下の平坦度が必要とされている。その理由は、ガラス基板の平坦度が悪いと露光転写後のパターンの寸法精度が悪くなるからである。
【0003】
従来、マスクブランクス用ガラス基板の製造方法に関し、表面粗さを低減するため様々な精密研磨方法が提案されている。
たとえば、特許文献1には、基板表面を、酸化セリウムを主材とする研磨剤を用いて研磨した後、コロイダルシリカを用いて仕上げ研磨する精密研磨方法の技術が開示されている。このような研磨方法でガラス基板を研磨する場合、通常、複数のガラス基板をセットし、その両面を同時に研磨するバッチ式の両面研磨機が使用されている。
【0004】
上記の精密研磨方法によれば、理論上、研磨砥粒の平均粒径を小さくすることにより、要求平滑度を達成することが可能である。しかし、ガラス基板を保持するキャリア,ガラス基板を挟む定盤,キャリアを動かす遊星歯車機構などの機械的な精度に影響を受けるため、安定して得られるガラス基板の平坦度は500nm程度が限界であった。
【0005】
近年、上記限界を打ち破るべく、プラズマエッチング,ガスクラスターイオンビーム,又は磁性流体を利用して局所加工を行うガラス基板の平坦化方法が提案されている。
たとえば、特許文献2,3,4には、ガラス基板表面の凹凸形状を測定するとともに、凸部位の凸度に応じた加工条件で凸部位を含む領域を、表面加工することにより、ガラス基板表面を平坦化する平坦化方法の技術が開示されている。
また、プラズマエッチング、ガスクラスターイオンビームや、磁性流体を利用した局所加工でガラス基板表面の平坦度を調整した場合、一般にこれらの局所加工後、ガラス基板表面に面荒れが生じるため、局所加工後に、面荒れの改善を目的として、ガラス基板表面を研磨(仕上げ研磨)する必要がある。
【0006】
上記仕上げ研磨に関する技術として、たとえば、特許文献5には、研磨時にガイドリング全体に、被研磨基板とは別に押圧荷重をかけることで、基板の平坦性を向上させ、さらに、平坦基板を安定的に得ることを可能にした角型基板の研磨方法の技術が提案されている。
この技術によれば、ガイドリングの材質を基板と同一材料とすることでスクラッチの発生を抑制することができ、また、ガイドリングを分割型にし、基板形状に応じて、ガイドリングの任意箇所を研磨布に押圧することで、研磨前の被研磨基板の形状にかかわらず、平坦性の高い角形基板を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭64−040267号公報
【特許文献2】特開2002−316835号公報
【特許文献3】特開平08−293483号公報
【特許文献4】US2002/0081943A号公報
【特許文献5】特開2003−048148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した角型基板の研磨方法の技術は、特許文献5に記載されているように、約230nmの平坦度を実現することはできるものの、本発明者等が目標としている、平坦度50nm以下のマスクブランクス用ガラス基板に対応できないといった問題があった。
すなわち、局所加工後の平坦度50nm以下のマスクブランクス用ガラス基板は、面荒れの改善を目的として研磨(仕上げ研磨)する必要があるが、たとえば、研磨時の加工圧力を低減したり、研磨時間を極短時間としたりしても、ガラス基板の表面荒れは改善されるものの、折角、局所加工で調整した平坦度を悪化させてしまうという問題があった。
また、上記問題により、最終目的である超LSIデバイスのさらなる高密度化や高精度化を実現できないといった問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、局所表面加工が施されたガラス基板表面を、局所表面加工による面荒れの改善を目的として研磨するにあたり、研磨工程において、ガラス基板表面の平坦度を維持又は向上させつつ、ガラス基板表面の面荒れを改善することができ、高平坦度と高平滑性を有するマスクブランクス用ガラス基板の製造方法、マスクブランクスの製造方法、反射型マスクブランクスの製造方法、露光用マスクの製造方法、反射型マスクの製造方法、及び、半導体装置の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明におけるマスクブランクス用基板の製造方法は、マスクブランクス用のガラス基板の被測定面および裏面の凹凸形状と板厚ばらつきを測定する凹凸形状測定工程と、前記凹凸形状測定工程で得られた測定結果にもとづいて、前記凹凸形状を含む領域に対して表面加工を施すことにより、前記被測定面および裏面の平坦度を所定の基準値以下に制御し、かつ板厚ばらつきを所定の基準値以下に制御する平坦度制御工程と、表面加工の施された前記ガラス基板表面を基板押圧手段により研磨布に押圧しつつ、前記ガラス基板を回転させて研磨する際、前記ガラス基板表面における押圧力分布が均一となるように、前記ガラス基板を研磨布に押し当て、かつ、研磨布押圧手段が、前記ガラス基板の外周部近傍の前記研磨布を押圧しながら、前記ガラス基板を研磨する研磨工程と、
を有する製造方法としてある。
このようにすると、ガラス基板表面の平坦度を維持又は向上させつつ、ガラス基板表面の面荒れを改善することができ、高平坦度と高平滑性を実現することができる。
【0011】
また、本発明のマスクブランクス用基板の製造方法は、前記凹凸形状測定工程において、前記ガラス基板の被測定面に波長変調レーザーを照射し、前記波長変調レーザーの波長を微小に変動させ、前記ガラス基板の被測定面及び裏面からそれぞれ反射した反射光と前方基準面との干渉縞の変動する周波数の違いを検出し、前記ガラス基板の裏面からの反射光による干渉を排除して、前記ガラス基板の被測定面から反射した反射光を用いて前記ガラス基板における被測定面の凹凸形状を測定し、前記ガラス基板の裏面側に設定した後方基準面を用いて、前記ガラス基板における裏面の凹凸形状を測定し、さらに前記ガラス基板の板厚ばらつきを測定するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明のマスクブランクス用基板の製造方法は、前記研磨布押圧手段を、前記ガラス基板の外周部近傍における分割された複数の外周部領域ごとに、独立して前記各外周部領域を押圧するようにすることもできる。
このようにすると、たとえば、矩形状のガラス基板における辺の中央部と角部近傍における研磨布の復元力の悪影響を、より精度よく低減することができるので、ガラス基板の高平坦度をさらに確実に実現することができる。
【0013】
また、本発明のマスクブランクス用基板の製造方法は、前記平坦度制御工程において、MRF加工法、プラズマエッチングによる方法、またはイオンビームによる方法のいずれかの方法で、前記ガラス基板に対して表面加工を施すこともできる。
【0014】
また、本発明のマスクブランクス用基板の製造方法は、前記研磨工程後のガラス基板に対して、アルカリ水溶液を用いた洗浄を行うようにすることもできる。
【0015】
また、本発明におけるマスクブランクスの製造方法は、上記マスクブランクス用基板の製造方法で製造したマスクブランクス用のガラス基板上に、マスクパターンとなる薄膜を形成する方法としてある。
このようにすると、平坦度及び平滑性に優れ、露光転写後のパターンの寸法精度を向上させることの可能な高品質なマスクブランクスを製造することができる。
【0016】
また、本発明における反射型マスクブランクスの製造方法は、上記マスクブランクス用基板の製造方法で製造したマスクブランクス用のガラス基板上に、多層反射膜を形成し、前記多層反射膜上にマスクパターンとなる光吸収体膜を形成する方法としてある。
【0017】
また、本発明における露光用マスクの製造方法は、上記マスクブランクスの製造方法で製造したマスクブランクの薄膜をパターニングし、前記ガラス基板上に薄膜パターンを形成する方法としてある。
このようにすると、平坦度及び平滑性に優れ、露光転写後のパターンの寸法精度を向上させることの可能な高品質な露光用マスクを製造することができる。
【0018】
また、本発明における反射型マスクの製造方法は、上記反射型マスクブランクスの製造方法で製造した反射型マスクブランクの光吸収体膜をパターニングし、前記ガラス基板上に光吸収体膜パターンを形成する方法としてある。
【0019】
また、本発明における半導体装置の製造方法は、上記露光用マスクの製造方法によって露光用マスクを製造し、この露光用マスクを使用して、リソグラフィー法により該露光用マスクの薄膜パターンを半導体基板上にパターン転写する方法としてある。
このようにすると、現状レベルよりさらなる高密度化や高精度化を実現できる超LSIデバイス等の半導体装置を製造することができる。
【0020】
また、本発明における半導体装置の製造方法は、上記反射型マスクの製造方法によって反射型マスクを製造し、この反射型マスクを使用して、リソグラフィー法により該反射型マスクの光吸収体膜パターンを半導体基板上にパターン転写する方法としてある。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、局所表面加工が施されたガラス基板表面を、局所表面加工による面荒れの改善を目的として研磨するにあたり、研磨工程において、ガラス基板表面の平坦度を維持又は向上させつつ、ガラス基板表面の面荒れを改善することができ、高平坦度と高平滑性を有するマスクブランクス用ガラス基板,マスクブランクス,露光用マスク及び半導体装置を製造することができる。また、露光転写後のパターンの寸法精度を大幅に向上させることができ、最終目的である超LSIデバイスのさらなる高密度化や高精度化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態にかかるマスクブランクス用ガラス基板の製造方法を説明するための概略フローチャート図を示している。
【図2】本発明の実施形態にかかるマスクブランクス用ガラス基板の製造方法の、凹凸形状測定工程における測定状態を説明するための概略図を示している。
【図3】本実施形態の平坦度制御工程におけるMRF加工法による加工状態を説明する概略図であり、(a)は正面方向断面図を、(b)は側面方向断面図を示している。
【図4】本実施形態の研磨工程における研磨状態を説明する概略図であり、(a)は縦断面図を、(b)はE−E断面図を示している。
【図5】本発明の実施例1におけるガラス基板の加工面内圧力分布を説明するための概略図を示している。
【図6】本発明の実施例及び比較例にかかる反射型マスクの製造方法を説明する概略図であり、(a)は反射型マスクブランクスの拡大断面図を、(b)は反射型マスクの拡大断面図を示している。
【図7】本発明の実施例及び比較例にかかる反射型マスクによるパターン転写方法を説明する概略図を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[マスクブランクス用ガラス基板の製造方法]
図1は、本発明の実施形態にかかるマスクブランクス用ガラス基板の製造方法を説明するための概略フローチャート図を示している。
同図において、本発明のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法は、ガラス基板を準備する準備工程(P1)と、ガラス基板表面の凹凸形状を測定する凹凸形状測定工程(P2)と、局所加工によってガラス基板表面の平坦度を制御する平坦度制御工程(P3)と、ガラス基板表面を仕上げ研磨する研磨工程(P4)とを有する。
【0024】
<準備工程>
準備工程は、片面又は両面を精密研磨し、ガラス基板の表面粗さを、所望の表面粗さにしたガラス基板を準備する工程である。その表面粗さは、自乗平均平方根粗さRMSで0.4nm以下とすることが、後の凹凸形状測定工程の測定精度や、平坦度制御工程での加工効率の点から好ましい。
一般的に、準備工程(P1)は、ガラス基板の両面を粗研磨する粗研磨工程と、粗研磨されたガラス基板の片面又は両面を精密研磨する精密研磨工程とを有し、段階的な研磨が行なわれる。この際、粗研磨工程では、比較的研磨砥粒の大きい酸化セリウムを分散させた研磨剤が使用され、精密研磨工程では、比較的研磨砥粒の小さいコロイダルシリカを分散させた研磨剤が使用される。
【0025】
ガラス基板は、マスクブランクスとして用いられるものであれば、特に限定されない。たとえば、合成石英ガラス,ソーダライムガラス,アルミノシリケートガラス,ボロシリケートガラス,無アルカリガラスなどが挙げられる。
ただし、F2エキシマレーザー露光用マスクブランクス用ガラス基板の場合は、露光光源の吸収を可及的に抑えるために、弗素をドープした合成石英ガラスなどが用いられる。
また、EUVマスクブランクス用ガラス基板の場合は、露光時の熱による被転写パターンの歪みを抑えるために、約0±1.0×10−7/℃の範囲内、より好ましくは約0±0.3×10−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するガラス材料が使用される。
さらに、EUV用マスクブランクスは、ガラス基板上に多数の膜が形成されるため、膜応力による変形を抑制できる剛性の高いガラス材料が使用される。特に、65GPa以上の高いヤング率を有するガラス材料が好ましい。たとえば、SiO−TiO系ガラス、合成石英ガラスなどのアモルファスガラスや、β−石英固溶体を析出した結晶化ガラスが用いられる。
【0026】
ここで、好ましくは、上述の精密研磨をした後であって、かつ、ガラス基板における被測定面の凹凸形状を測定する前に、被測定面(基板の表(おもて)面)と反対側の基板の裏面に、ガラス基板に対し侵食性のある酸又はアルカリを含む溶媒で表面処理を行うとよい。このようにすると、ガラス基板の被測定面及び裏面に存在する細かな傷等を除去することができるので、より精度よく凹凸形状を測定することができる。また、上記表面処理によって、基板面を洗浄する効果も得られ、汚れに起因する測定誤差を排除でき精度よく測定することができる。
【0027】
<凹凸形状測定工程>
凹凸形状測定工程は、準備工程で準備されたガラス基板の被測定面の凹凸形状(平坦度)を測定する工程である。
ガラス基板の被測定面における凹凸形状の測定には、通常、光学干渉計が使用される。一般的な光学干渉計は、コヒーレントな光をガラス基板の被測定面に照射して反射させ、測定機基準面(前方基準面)との干渉により、被測定面の高さの差を干渉縞(光強度)から位相差として算出し、測定するものである。
【0028】
これに対し、本発明の特徴について、図面を参照して説明する。
図2は、本発明の実施形態にかかるマスクブランクス用ガラス基板の製造方法の、凹凸形状測定工程における測定状態を説明するための概略図を示している。
同図において、表面形状測定処理装置2は、波長変調レーザー光源21,CCDカメラ22,前方基準面A及び後方基準面D(適宜、面A,面Dと略称する。)を備えた表面形状測定手段20と、データ解析手段23,加工量計算手段24及び加工条件決定手段25を備えた測定データ処理装置26とからなっている。
【0029】
また、表面形状測定処理装置2は、面Aと面Dの間に、被測定面B及び裏面C(適宜、面B,面Cと略称する。)を有するマスクブランクス用のガラス基板1がセットされる。この際、各干渉縞を識別するために、面A,B間の距離をL1とし、ガラス基板1の板厚(面B,C間の距離)をTとし、面C,D間の距離をL2とし、さらに、面A,D間の距離をL3としたとき、各距離が異なるように、すなわち、L1≠T≠L2≠L3となるようにガラス基板1がセットされる。
【0030】
表面形状測定手段20は、光源として波長変調レーザー光源2を用いており、マスクブランクス用のガラス基板1に波長変調レーザーを照射し、波長変調レーザーの波長を微小に変動させる。波長変調レーザーが照射されると、面(A+B)の干渉縞群(面Aからの反射光と面Bからの反射光が干渉することによって発生する干渉縞群),面(A+C)の干渉縞群,面(A+D)の干渉縞群,面(B+C)の干渉縞群,面(B+D)の干渉縞群,面(C+D)の干渉縞群が発生し、これらの干渉縞群は、CCDカメラ22によって読み込まれる。
【0031】
データ解析手段23は、CCDカメラ22から各干渉縞群の画像データを入力し、フーリエ変換技術により、各干渉縞群の周波数の違いを検出し、各干渉縞群を分離する。すなわち、複数の干渉縞群から面(A+B)の干渉縞群及び面(C+D)の干渉縞群をそれぞれ分離する機能を有している。
【0032】
データ解析手段23は、面(A+B)の干渉縞群の位相差から、被測定面Bの高さの差を算出し、被測定面Bの凹凸形状を測定することができる。また、本実施形態では、後方基準面Dを設けているので、データ解析手段23は、面(C+D)の干渉縞群を分離して、面(C+D)の干渉縞群の位相差から、裏面Cの高さの差を算出し、裏面Cの凹凸形状を測定することができる。これらの測定結果には、たとえば、ガラス基板1の裏面Cからの反射光による測定誤差や、ガラス基板1内部の脈理による測定誤差が含まれていないので、次工程の平坦度制御工程の加工条件を正確に決定することができ、その結果、極めて高精度に平坦度を制御でき、高平坦度を有するマスクブランクス用ガラス基板を製造することができる。
なお、被測定面Bの凹凸形状測定データから被測定面平坦度を算出でき、裏面Cの凹凸形状測定データから裏面平坦度を算出することができる。
【0033】
データ解析手段23は、ガラス基板1を取り外した状態の面(A+D)の干渉縞群を分離して、面(A+D)の干渉縞群の位相差から、L3を算出することができ、また、面(A+B)の干渉縞群及び面(C+D)の干渉縞群からそれぞれL1及びL2を算出することができる。ここで、上記距離L1,L2,L3は極めて精度よく測定されるので、任意の測定位置におけるガラス基板1の板厚T(=L3−L1−L2)を容易かつ精度よく算出することができ、また、各測定位置における板厚Tから板厚のばらつき(適宜、板厚ばらつき(TTV)と略称する。)をも算出することができる。なお、ガラス基板1の被測定面B及び裏面Cの凹凸形状や板厚ばらつきは、ほぼ同時に求めることができる。
【0034】
上記ガラス基板1の凹凸形状や板厚ばらつきの測定結果は、コンピュータなどの記録媒体(図示せず)に保存され、続いて、加工量計算手段24が、測定結果と予め設定された所定の基準値(要求される平坦度、板厚ばらつき)と比較され、その差分が、ガラス基板1の被測定面Bの所定領域(たとえば、縦5mm×横5mmの領域)ごとに算出される。すなわち、ガラス基板1の被測定面B及び裏面Cの凸部分の高さに応じて加工取り代が設定される。この差分(加工取り代)が、局所的な表面加工における各所定領域の必要加工量となる。
【0035】
加工条件決定手段25は、局所加工機27にて上記必要加工量を効率よく除去できるように、加工条件を決定する。すなわち、必要加工量を、局所加工機27のスポットによる単位時間あたりの加工量で割り算することにより、スポット滞留時間を算出し、続いて、各位置におけるスポット滞留時間を加工する全面について算出し、効率よくワーク送りスケジュールを決定する。
このように、表面形状測定処理装置2によれば、ガラス基板1の被測定面Bと裏面Cの凹凸形状及びガラス基板1の板厚のばらつきに関する測定結果にもとづいて、ガラス基板1の被測定面B及び裏面Cを効率よく表面加工することができ、両面が高平坦度を有し、かつ、高いレベルの平行度(たとえば、50nmPV以下)を有するマスクブランクス用ガラス基板を製造することができる。
なお、上記の演算処理は、凹凸形状測定工程又は平坦度制御工程のいずれで行ってもよい。
【0036】
<平坦度制御工程>
平坦度制御工程は、凹凸形状測定工程で得られた測定結果にもとづいて、凹凸形状を含む領域に対して表面加工を施すことにより、ガラス基板における被測定面の平坦度を所定の基準値以下に制御する工程である。
上記表面加工は、ガラス基板の被測定面における所定領域毎に設定された加工条件にしたがって行われる。この加工条件は、上述したように、光学干渉計によって測定されたガラス基板の被測定面の凹凸形状と、予め設定される平坦度基準値との差分(局所的な表面加工の必要加工量)にもとづいて設定される。
【0037】
加工条件のパラメータは、局所加工機27によって異なるが、凸部位の凸度が大きいほど除去量が多くなるように設定する。たとえば、局所的表面加工の加工方式が、イオンビームやプラズマエッチングである場合は、凸部位の凸度が大きいほど、イオンビームやプラズマ発生筐体の移動速度が遅くなるようにしたり、又は、イオンビームやプラズマの強度を大きくするように制御する。
【0038】
また、局所的表面加工の加工方式として、MRF(Magneto Rheological Finishing)もある。MRFは、磁性流体中に含有させた研磨砥粒を、磁場援用により、被加工物(ガラス基板)に接触させ、接触部分の滞留時間を制御することにより、局所的に研磨加工を行う方法である。この研磨加工では、凸部位の凸度が大きいほど、研磨砥粒による接触部分の滞留時間を長くする。また、凸部位の凸度が小さいほど、研磨砥粒による接触部分の滞留時間を短くして制御する。
【0039】
図3は、本実施形態の平坦度制御工程におけるMRF加工法による加工状態を説明する概略図であり、(a)は正面方向断面図を、(b)は側面方向断面図を示している。
同図において、MRF加工法によれば、鉄(図示せず)を含む磁性流体41中に含有させた研磨砥粒(図示せず)を、磁場援用により、被加工物であるマスクブランクス用のガラス基板1に高速で接触させるとともに、接触部分の滞留時間を制御することにより、局所的に研磨加工している。すなわち、回転自在に支持された円盤状の電磁石3に、磁性流体41と研磨スラリー42の混合液(磁性研磨スラリー4)を投入して、その先端を局所加工の研磨スポット5とし、除去すべき凸部分13を研磨スポット5に接触させている。このようにすると、円盤上の磁場に沿って磁性研磨スラリー4が、ガラス基板1側に研磨スラリー42が多く分布し、磁石3側に磁性流体41が多く分布する、ほぼ二層状態をなして流れる。この状態の一部分を局所的に研磨加工する研磨スポット5とし、ガラス基板1の表面と接触させることにより、凸部分13を局所的に研磨し数十nmの平坦度に制御する。
【0040】
このMRF加工法は、従来の研磨方法と異なり、常に研磨スポット5が流動しているため、加工工具の磨耗や形状変化による加工精度の劣化がなく、さらに、ガラス基板1を高荷重で押圧する必要がないので、表面変位層における潜傷やキズが少ないといったメリットがある。
また、MRF加工法は、研磨スポット5を接触させながらガラス基板1を移動させる際、所定領域ごとに設定された加工取り代(必要加工量)に応じてガラス基板1の移動速度を制御することにより、容易に除去量を調節することができる。
【0041】
磁性流体41に混合する研磨スラリー42は、微細な研磨粒子を液体に分散させたものが用いられる。研磨粒子は、たとえば、炭化珪素,酸化アルミニウム,ダイヤモンド,酸化セリウム,酸化ジルコニウム,酸化マンガン,コロイダルシリカなどであり、被加工物の材質や加工表面粗さなどに応じて適宜選択される。これらの研磨粒子は、水,酸性溶液,アルカリ性溶液などの液体中に分散されて研磨スラリー42となり、磁性流体41に混合される。
【0042】
プラズマエッチングによる局所加工方法は、除去すべき表面部位の上方にプラズマ発生筐体を位置させ、エッチングガスを流すことにより、除去部位をエッチングする局所加工方法である。すなわち、エッチングガスを流すと、プラズマ中で発生した中性ラジカル種がガラス基板の被測定面に等方的に衝突し、この部分がエッチングされる。一方、プラズマ発生筐体が位置していない部分には、プラズマが生じていないので、エッチングガスが接触してもエッチングされることは無い。
プラズマ発生筐体をガラス基板上で動かす際、ガラス基板の被測定面の必要加工量に応じて、プラズマ発生筐体の移動速度やプラズマ強度を制御することにより、除去量が調整される。
【0043】
プラズマ発生筐体は、電極対でガラス基板を挟む構造とし、高周波によって基板と電極の間にプラズマを発生させ、ここにエッチングガスを通すことでラジカル種を発生させる方式や、エッチングガスを導波管に通し、マイクロ波の発振によりプラズマを生じさせ、発生したラジカル種の流れをガラス基板の被測定面に衝突させる方式などがある。
【0044】
また、エッチングガスは、ガラス基板の材質に応じて適宜選択される。たとえば、ハロゲン化合物のガス、又はハロゲン化合物を含む混合ガスなどが使用される。具体的には、四弗化メタン,三弗化メタン,六弗化エタン,八弗化プロパン,十弗化ブタン,弗化水素,六弗化硫黄,三弗化窒素,四塩化炭素,四弗化珪素,三弗化塩化メタン,三塩化硼素などが挙られる。
【0045】
イオンビーム(ガスクラスターイオンビーム照射)による局所加工方法は、常温及び常圧で気体状の物質、たとえば、酸化物,窒化物,炭化物,希ガス物質,又はこれらの混合気体(上記の物質を適度な割合で混合した混合気体状の物質)などを用い,これら物質のガスクラスターを形成し、これに電子照射してイオン化したガスクラスターイオンビームを、必要に応じて照射領域を制御しながら、固体表面(ガラス基板表面)に照射する局所加工方法である。
クラスターは、通常、数百個の原子又は分子集団によって構成されており、たとえ加速電圧が10kVでも、それぞれの原子又は分子は、数十eV以下の超低速イオンビームとして照射されるため、きわめて低損傷でガラス基板表面を処理することができる。
【0046】
このガスクラスターイオンビームをガラス基板の被測定面に照射すると、クラスターイオンを構成する分子又は原子や、被測定面の原子が多段階に衝突し、横方向の運動成分を持った反射分子又は原子を生じさせる。これにより、ガラス基板の被測定面の凸部位に選択的なスパッタリングが生じ、被測定面の平坦化を行うことが可能になる。また、この平坦化現象は、ガラス基板の被測定面に集中的に与えられるエネルギーにより、結合力の弱い表面や粒に存在する原子を優先的にスパッタリングする効果からも得られる。
なお、ガスクラスターそのものの生成については、既に公知のように、加圧状態の気体を、膨張型ノズルを介して、真空装置内に噴出させることで生成可能である。このようにして生成したガスクラスターは、電子を照射してイオン化することができる。
また、気体状の物質としては、たとえば、CO2,CO,N2O,NOx,CxHyOzなどの酸化物,O2,N2や,Ar,Heなどの希ガスが挙げられる。
【0047】
マスクブランクス用のガラス基板に要求される平坦度は、マスクブランクスにおいて使用される露光光源の波長に応じて決められており、この要求平坦度に応じて、平坦度制御工程における平坦度制御の基準値が決定される。
たとえば、F2エキシマレーザー露光用マスクブランクスガラス基板の場合は、平坦度制御の基準値を250nm以下とし、EUVマスクブランクス用ガラス基板の場合は、平坦度制御の基準値を50nm以下として局所加工が行われる。
【0048】
<研磨工程>
研磨工程は、上述の凹凸制御工程において、ガラス基板表面に生じた面荒れの改善を目的として、ガラス基板表面を研磨する工程である。したがって、局所表面加工で作り上げられた平坦度を維持又は向上させつつ、表面粗さが改善される研磨方法で行うことが好ましい。
【0049】
図4は、本実施形態の研磨工程における研磨状態を説明する概略図であり、(a)は縦断面図を、(b)はE−E断面図を示している。
同図において、研磨装置6は、研磨布61が敷設され、回転自在に軸支された研磨定盤62と、複数の押圧体63および押圧制御手段64がマトリックス状に複数配設され、弾性体65および研磨布押圧体66を備え、回転自在に軸支された基板押圧手段67とからなっている。また、研磨布押圧体66は、ガラス基板1の外形に応じた様々な形状の押圧体からなり、ガラス基板1の周囲に複数個配設され、図示してないが、それぞれ押圧力が制御される。
【0050】
本発明の特徴は、凹凸制御工程の後の研磨工程が、表面加工の施されたガラス基板1表面を基板押圧手段67により研磨布61に押圧しつつ、ガラス基板1を回転させて研磨する際、ガラス基板1表面の所定の各点における研磨量が一定となるように、各点ごとに押圧力を設定し、設定された押圧力にてガラス基板1を各点ごとに研磨布61に押し当てて、ガラス基板1を研磨することである。
たとえば、本実施形態では、矩形環状に配設された押圧体63aの押圧力を高くし、ガラス基板1に対する押圧力分布が、ガラス基板1の中央部に環状の高押圧力帯を有するようにする方法としてある。このようにすると、数十nmの平坦度を有するガラス基板1に対し、平坦度を維持又は向上させつつ研磨加工を施すことができる。
また、研磨工程において、押圧体63が、分割されたガラス基板1の複数の領域ごとに、独立して各領域を押圧するので、研磨作業を効率よく行うことができる。
【0051】
基板押圧手段67は、研磨布押圧体66が、ガラス基板1の外周部近傍の研磨布61を押圧するので、ガラス基板1の外周部近傍における研磨布61の復元力の悪影響を低減することができ、ガラス基板1の高平坦度を確実に実現することができる。
ここで、好ましくは、研磨布押圧体66が、分割されたガラス基板1の外周部近傍における複数の外周部領域ごとに、独立して各外周部領域を押圧するとよい。このようにすると、たとえば、矩形状のガラス基板1における辺の中央部と角部近傍における研磨布61の復元力の悪影響を、より精度よく低減することができるので、ガラス基板1の高平坦度をさらに確実に実現することができる。
【0052】
また、さらに好ましくは、研磨布61に対するガラス基板1の押圧力を、平坦度制御された凹凸形状に合わせて分割した各領域で制御できるように、押圧体63及び/又は研磨布押圧体66を分割された複数領域に対して、各々独立して加圧するとよい。このようにすると、平坦度制御工程で得られた平坦度をさらに向上させることができる。
【0053】
なお、研磨工程で使用する研磨装置6として、たとえば、ガラス基板1の裏面より、分割した領域で押圧力を制御する機能を備えた加工装置などが用いられる。
また、押圧力分布の設定においては、ガラス基板1の凹凸形状に合わせて設定し、具体的には、凸部分には大きな押圧力を設定し、凹部分には小さな押圧力を設定する。また、平坦形状を崩さないような特殊な押圧力分布を設定してもよい。
さらに、本実施形態では、平坦度制御工程でガラス基板1を極力平坦化し、その平坦形状を崩さないように、研磨加工を行う方法としてあるが、発想を転換し、研磨装置6の研磨特性に応じて、平坦度制御工程でガラス基板1の平坦形状をあえて制御し、研磨装置6にて研磨した段階で優れた平坦度を実現する方法としてもよい。
【0054】
このように、本実施形態にかかるマスクブランクス用ガラス基板の製造方法によれば、局所表面加工が施されたガラス基板表面を、局所表面加工による面荒れの改善を目的として研磨するにあたり、研磨工程において、ガラス基板表面の平坦度を維持又は向上させつつ、ガラス基板表面の面荒れを改善することができ、高平坦度と高平滑性を実現することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、たとえば、研磨工程において、基板押圧手段67が、ガラス基板1における押圧力分布が均一となるように、ガラス基板1を研磨布61に押し当て、かつ、研磨布押圧手段66が、ガラス基板1の外周部近傍の研磨布61を押圧しながら、ガラス基板1を研磨してもよい。このようにしても、ガラス基板1の平坦度を維持又は向上させつつ、ガラス基板1の面荒れを改善することができる。
【0055】
[マスクブランクスの製造方法]
次に、本発明にかかるマスクブランクスの製造方法の一実施形態について説明する。
このマスクブランクスの製造方法は、上述したマスクブランクス用ガラス基板の製造方法にてガラス基板1を製造する工程と、製造したガラス基板1の主表面上に、マスクパターン(被転写パターン)となる薄膜を形成する工程とを有する方法としてある。
ところで、マスクブランクスは、透過型マスクブランクスと反射型マスクブランクスとに分類される。本実施形態のマスクブランクスは、いずれのマスクブランクスにも適用でき、ガラス基板1上に、被転写パターンとなる薄膜が精度よく形成される。なお、薄膜上にはレジスト膜が形成されてもよい。
【0056】
マスクブランクスは、透過型マスクブランクスと反射型マスクブランクスとに分類される。いずれのマスクブランクスでも、ガラス基板1上に、被転写パターンとなる薄膜が形成される。薄膜上にはレジスト膜が形成されてもよい。
また、透過型マスクブランクスに形成される薄膜は、被転写体に転写するときに使用される露光光(露光光源から発せられる光)に対し、光学的変化をもたらす薄膜であり、例えば、露光光を遮断する遮光膜や、露光光の位相差を変化させる位相シフト膜などが挙げられる。
【0057】
遮光膜としては、一般に、Cr膜、Crに酸素,窒素,炭素,弗素を選択的に含むCr合金膜、これらの積層膜、MoSi膜、MoSiに酸素,窒素,炭素を選択的に含むMoSi合金膜、これらの積層膜などが挙げられる。
位相シフト膜としては、位相シフト機能のみを有するSiO2膜のほかに、位相シフト機能及び遮光機能を有する金属シリサイド酸化物膜,金属シリサイド窒化物膜,金属シリサイド酸化窒化物膜,金属シリサイド酸化炭化物膜,金属シリサイド酸化窒化炭化物膜(金属:Mo,Ti,W,Taなどの遷移金属),CrO膜,CrF膜,SiON膜などのハーフトーン膜が挙げられる。
【0058】
また、反射型マスクブランクスは、ガラス基板1上に、反射多層膜(多層反射膜)と、被転写パターンとなる光吸収体膜(吸収体層)とを含む積層膜が形成される。
光反射多層膜としては、Ru/Si周期多層膜,Mo/Be周期多層膜,Mo化合物/Si化合物周期多層膜,Si/Nb周期多層膜,Si/Mo/Ru周期多層膜,Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜,Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などの材料が使用される。
【0059】
光吸収体膜としては、TaやTa合金(例えば、TaとBを含む材料、TaとBとNを含む材料)、CrやCr合金(例えば、Crに窒素,酸素,炭素,弗素の少なくとも1つの元素が添加された材料)が使用される。
透過型マスクブランクスは、露光光源として、g線(波長:436nm),i線(波長:365nm),KrF(波長:246nm),ArF(波長:193nm),F2(波長:157nm)が使用され、反射型マスクブランクスは、露光光源として、EUV(例えば、波長:13nm)が使用される。
なお、上述の薄膜は、例えば、DCスパッタ,RFスパッタ,イオンビームスパッタなどのスパッタリング法で形成することができる。
【0060】
このように、本実施形態にかかるマスクブランクスの製造方法によれば、平坦度及び平滑性に優れ、露光転写後のパターンの寸法精度を向上させることができる。
【0061】
[露光用マスク・反射型マスクの製造方法]
次に、本発明にかかる転写マスクの製造方法の一実施形態について説明する。
この転写マスクの製造方法は、上述したマスクブランクスの製造方法にてレジスト膜付きマスクブランクスを製造する工程と、レジスト膜に描画・現像処理等を経て所望のレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、レジストパターンをマスクして、薄膜をエッチング除去してマスクブランクス用ガラス基板上に薄膜パターンを形成する薄膜パターン形成工程とを有する方法としてある。
【0062】
透過型の転写マスクであるフォトマスクにおいては、マスクブランクス用ガラス基板上に遮光膜、レジスト膜が形成されたフォトマスクブランクスの前記レジスト膜に描画・現像処理等を経て所望のレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして遮光膜をエッチング除去し、最後にレジスト膜を除去することで、マスクブランクス用ガラス基板上に遮光膜パターンが形成されたフォトマスクを得る。
【0063】
また、透過型の転写マスクであるハーフトーン型位相シフトマスクにおいては、マスクブランクス用ガラス基板上にハーフトーン膜、遮光膜、レジスト膜が形成されたハーフトーン型位相シフトマスクブランクスの前記レジスト膜に描画・現像処理等を経て所望のレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして遮光膜をエッチング除去し、遮光膜パターンを形成し、この遮光膜パターンをマスクにしてハーフトーン膜をエッチング除去し、最後にレジスト膜、遮光膜を除去することで、マスクブランクス用ガラス基板上にハーフトーン膜パターンが形成されたハーフトーン型位相シフトマスクを得る。
【0064】
また、反射型の転写マスクである反射型マスクにおいては、マスクブランクス用ガラス基板上に光反射多層膜、光吸収体膜、レジスト膜が形成された反射型マスクブランクスの前記レジスト膜に描画・現像処理等を経て所望のレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクにして光吸収体膜をエッチング除去し、最後にレジスト膜を除去することで、光反射多層膜上に光吸収体膜パターンが形成された反射型マスクを得る。
【0065】
このように、本実施形態にかかる露光用マスクの製造方法によれば、平坦度及び平滑性に優れ、露光転写後のパターンの寸法精度を向上させることができる。
【0066】
[半導体装置の製造方法]
次に、本発明にかかる半導体装置の製造方法の一実施形態について説明する。
この半導体製造装置の製造方法は、上述した露光用マスクの製造方法によって露光用マスクを製造し、この露光用マスクを使用して、リソグラフィー法により露光用マスクの薄膜パターンを半導体基板上にパターン転写する方法としてある。この際、半導体基板上には回路パターンとなる導電膜とレジスト膜とを有しており、転写マスクを1/4や1/5倍程度に縮小露光することで、所望の回路パターンをレジスト膜に転写し、レジスト膜をマスクにして導電膜をパターニングすることで、半導体基板上に所望の回路パターンが形成された半導体装置を得ることができる。
このようにすると、現状レベルよりさらなる高密度化や高精度化を実現できる超LSIデバイス等の半導体装置を製造することができる。
【0067】
[実施例及び比較例]
以下、EUVマスクブランクス用ガラス基板(以下、ガラス基板と称す。)、EUV反射型マスクブランクス,及びEUV反射型マスクの製造方法を例として本発明の実施の形態を説明するが、以下の実施例に限定されない。
【0068】
(実施例1)
両面研磨装置を用い、酸化セリウム砥粒やコロイダルシリカ砥粒により段階的に研磨し、低濃度のケイフッ酸で基板表面を表面処理したSiO−TiO系のガラス基板(大きさが約152.4mm×約152.4mm、厚さが約6.35mm)を準備した。得られたガラス基板の表面粗さは、自乗平均平方根粗さ(RMS)で約0.15nmであった(原子間力顕微鏡にて測定した。)。
【0069】
このガラス基板の表裏面(被測定面及び裏面)の凹凸形状(表面形態、平坦度)、TTV(板厚ばらつき)を、波長変調レーザーを用いた波長シフト干渉計で測定した(測定領域約148mm×約148mm)。
この波長シフト干渉計は、上述したように、ガラス基板の被測定面及び裏面からそれぞれ反射した反射光と測定機基準面(前方基準面)との干渉縞から、被測定面の高さの差を位相差として算出し、各干渉縞の周波数の違いを検出し、ガラス基板の被測定面及び裏面からそれぞれ反射した反射光による測定機基準面(前方基準面)との干渉縞を分離し,被測定面の凹凸形状を測定するものである。また、本実施例では、ガラス基板の裏面側にさらに測定機基準面(後方基準面)を設置し、ガラス基板の裏面の凹凸形状,及び,ガラス基板の板厚ばらつきをも測定した。
【0070】
その結果、ガラス基板の被測定面及び裏面の平坦度は約290nm(凸形状)であった。なお、平坦度とは、被測定面を基準として最小自乗法により基準平面を定義して算出したもののPV値(最大値と最小値の差)をいう。
波長シフト干渉計によるガラス基板の被測定面の凹凸形状(表面形態、平坦度)の測定結果は、測定点毎に上記基準平面に対する高さの情報としてコンピュータに保存するとともに、EUVマスクブランクス用ガラス基板に必要な被測定面平坦度の基準値50nm(凸形状)、裏面平坦度の基準値50nm(凸形状)、TTV(板厚ばらつき)の基準値50nmと比較し、その差分(必要加工量)をコンピュータで計算した。
【0071】
次にガラス基板面内を加工スポット形状領域ごとに、必要加工量に応じた局所表面加工の加工条件を設定した。
事前にダミー基板を用いて、実際の加工と同じようにダミー基板を、一定時間基板を移動させずにスポットで加工し、その形状を上記被測定面及び裏面の凹凸形状を測定する装置と同じ測定機にて測定し、時間単位当たりにおけるスポットの加工体積を算出した。そして、スポットの情報とガラス基板の凹凸形状の情報より得られた必要加工量にしたがい、ガラス基板をラスタ走査する際の走査スピードを決定した。たとえば、走査スピードが遅い部分は加工量が多くなり、また、走査スピードが速い部分は加工量が少なくなる。
【0072】
設定した加工条件にしたがい、QED社製磁気流体による基板仕上げ装置を用いてMRF(磁気流動学的流体)加工法により、ガラス基板の被測定面平坦度,裏面平坦度,及びTTV(板厚ばらつき)が上記の基準値以下となるように局所的表面加工処理して表面形状を調整した。
【0073】
MRFによる局所表面加工による形状調整を行った後のガラス基板の被測定面及び裏面の凹凸形状(表面形態、平坦度)を測定したところ、被測定面及び裏面の平坦度は、約40〜50nm、TTV(板厚ばらつき)も50nm以下となっており良好であった。また、ガラス基板の被測定面及び裏面の表面粗さを測定したところ、自乗平均平方根粗さRMSで、約0.37nmとなっており、MRFによる局所表面加工前の表面粗さより荒れた状態となった。
【0074】
次に、ガラス基板1の表裏面について、図5に示す意図的に設定した押圧力分布(8×8マトリックス)をコントロールできる片面枚葉研磨機にガラス基板1をセットし、片面ずつ研磨加工を行った。
【0075】
研磨条件は以下の条件で行った。
加工液:アルカリ水溶液(NaOH)+研磨剤(濃度:2wt%)、
pH:11
研磨剤:コロイダルシリカ、平均粒径:約70nm
研磨定盤回転数:1〜50rpm
ポリッシングプレート回転数:1〜50rpm
リテーナーリング荷重:500〜5000gf
加工面内圧力:0〜0.5kgf/mm
領域E(図5参照):0.3〜0.5kgf/mm
領域F:0.15〜0.30kgf/mm
領域G:0.05〜0.15kgf/mm
領域H:0〜0.05kgf/mm
研磨時間:1〜10分
その後、ガラス基板をアルカリ水溶液(NaOH)で洗浄し、EUVマスクブランクス用ガラス基板を得た。
【0076】
なお、上述の加工面内圧力は、ガラス基板の表面の凹凸形状(凸部位)に対して、回転による運動性の加工性能を加味して、各点において加工量が一定となるように局所的に圧力を加えて研磨する条件で、MRFで形状調整された凹凸形状(表面形状)を維持、又はより平坦にさせる研磨条件である。
その後、ガラス基板をアルカリ水溶液(NaOH)で洗浄し、EUVマスクブランクス用ガラス基板を得た。
【0077】
得られたガラス基板の表裏面の平坦度、TTV(板厚ばらつき)、表面粗さを上述の測定装置で測定したところ、表面平坦度は約30nm、裏面平坦度は約30nm、TTV(板厚ばらつき)は約50nm以下となり、研磨工程前の表面形状よりもさらに改善されており良好であった。また、表裏面の表面粗さは自乗平均平方根粗さRMSで約0.13nmとなり、研磨工程前のガラス基板表面の荒れ状態を改善することができた。
【0078】
(実施例2)
次に、上述の実施例1における局所表面加工後の研磨工程の研磨条件を、研磨布押圧体66の荷重調整のみで行って、基板面内における押圧力分布を均一にした以外は実施例1と同様にEUVマスクブランクス用ガラス基板を作製した。なお、研磨工程に投入前(局所表面加工後)のガラス基板における表面、裏面の平坦度、TTV(板厚ばらつき)については、実施例1と同じになるように局所表面加工の条件を調整した。
MRF加工後のガラス基板の表裏面平坦度は約50nm、TTV(板厚ばらつき)は約50nm以下であった。
【0079】
研磨条件は以下の条件で行った。
加工液:アルカリ水溶液(NaOH)+研磨剤(濃度:2wt%)、
pH:11
研磨剤:コロイダルシリカ、平均粒径:約70nm
研磨定盤回転数:1〜50rpm
ポリッシングプレート回転数:1〜50rpm
リテーナーリング荷重:500〜5000gf
加工面内圧力:0.01kgf/mm
研磨時間:1〜10分
その後、ガラス基板をアルカリ水溶液(NaOH)で洗浄し、EUVマスクブランクス用ガラス基板を得た。
【0080】
得られたガラス基板の表裏面の平坦度、TTV(板厚ばらつき)、表面粗さを上述の測定装置によって測定したところ、表裏面平坦度は約50nm、TTV(板厚ばらつき)は約50nm以下となり、研磨工程前の表面形状の状態を維持しており良好であった。また、表裏面の表面粗さは自乗平均平方根粗さRMSで約0.13nmであり、研磨工程前のガラス基板表面の荒れ状態を改善することができた。
【0081】
(比較例)
上述の実施例1において、研磨工程をリテーナーリングの片面枚葉式研磨で行った以外は実施例1と同様にしてEUVマスクブランクス用ガラス基板を作製した。なお、片面枚葉研磨の研磨条件は以下のようにして行った。
加工液:アルカリ水溶液(NaOH)+研磨剤(濃度:2wt%)、
pH:11
研磨剤:コロイダルシリカ、平均粒径:約70nm
研磨定盤回転数:1〜50rpm
ポリッシングプレート回転数:1〜50rpm
加工圧力:0.1〜10kPa
研磨時間:1〜10分
その後、ガラス基板をアルカリ水溶液(NaOH)で洗浄し、EUVマスクブランクス用ガラス基板を得た。
【0082】
得られたガラス基板の表裏面の平坦度、TTV(板厚ばらつき)、表面粗さを上述の測定装置によって測定したところ、表面粗さは自乗平均平方根粗さRMSで、約0.15nmと良好であったが、表裏面の平坦度は約250nm〜500nmと、片面枚葉式研磨前の状態、さらには局所表面加工による形状調整する前よりも悪化してしまった。また、TTV(板厚ばらつき)は約2〜3μmとなっていた。
その結果、EUVマスクブランクス用ガラス基板で求められるスペックを満足するガラス基板を得ることができなかった。
【0083】
次に、図6に示すように、上述の実施例1,2及び比較例によって得られたガラス基板201上に、DCマグネトロンスパッタリング法により、Si膜(膜厚:約4.2nm)とMo膜(膜厚:約28nm)を一周期として、約40周期積層した後、Si膜(膜厚:約11nm)形成して多層反射膜202を形成した。次に、同様のDCマグネトロンスパッタリング法により、多層反射膜202上にバッファ層203として窒化クロム(CrN)膜(膜厚:約30nm)、吸収体層204としてTaBN膜(膜厚:約60nm)を形成してEUV反射型マスクブランクス200を得た。
【0084】
得られたEUV反射型マスクブランクスについて、平坦度,表面粗さ,板厚ばらつき(TTV)を測定したところ、それぞれ、実施例1では約30nm,約0.13〜0.17nm,約50nmとなり、実施例2では約50nm,約0.13〜0.17nm,約50nmとなり、比較例では約100〜150nm,約0.13nm,約200nmであった。
【0085】
次に、このEUV反射型マスクブランクス200を用いて、デザインルールが0.0μmの16Gbit−DRAM用のパターンを有するEUV反射型マスク200aを作製した。
まず、EUV反射型マスクブランクス200上に電子線照射用レジスト(図示せず)を塗布・形成し、電子線により描画して現像を行い、レジストパターン(図示せず)を形成した。
このレジストパターンをマスクとし、吸収体層204を塩素でドライエッチングし、バッファ層203上に吸収体層パターン204aを形成した。
【0086】
さらに、吸収体層パターン204a上に残ったレジストパターンを熱硫酸で除去した。
その後、バッファ層203を塩素と酸素の混合ガスにより、吸収体層パターン204aに従ってドライエッチングし、多層反射膜202上にバッファ層パターン203aを形成した。これにより、バッファ層パターン203a/吸収体層204aを多層反射膜202上に形成してEUV反射型マスク200aを得た。
【0087】
次に、上記EUV反射型マスク200aを用いて、レジスト付き半導体基板にEUV光によってパターンを転写する方法を説明する。
図7は、本発明の実施例及び比較例にかかる反射型マスクによるパターン転写方法を説明する概略図を示している。
同図において、パターン転写装置100は、レーザープラズマX線源101,EUV反射型マスク101,縮小光学系102などから構成される。縮小光学系102は、X線反射ミラー103を用いて構成され、EUV反射型マスク200aで反射されたパターンは1/4程度に縮小される。なお、露光波長として13〜14nmの波長帯を使用するので、光路が真空中になるように予め設定した。
【0088】
このような状態で、レーザープラズマX線源101から得られたEUV光をEUV反射型マスク200aに入射し、ここで反射された光を、縮小光学系102を介して、レジスト付き半導体基板上に転写した。
つまり、EUV反射型マスク200aに入射した光は、吸収体層パターンのある部分では、吸収体層に吸収されて反射されず、一方、吸収体層のパターンのない部分に入射した光は、多層反射膜により反射される。このようにして、EUV反射型マスク200aからの反射光で形成されるパターンが、縮小光学系102を介して、半導体基板110上のレジスト層に転写される。
【0089】
実施例1,2及び比較例で得たガラス基板からなるEUV反射型マスク200aを使用し、上記のパターン転写方法によって半導体基板110にパターン転写を行ったところ、実施例1,2に係るEUV反射型マスク200aの精度は0.07μmデザインルールの要求精度である16nm以下であることが確認できた。一方、比較例に係るEUV反射型マスク200aの精度は、0.07μmデザインルールの要求精度である16nm以下を満足することができなかった。
【0090】
以上、本発明のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法、マスクブランクスの製造方法、反射型マスクブランクスの製造方法、露光用マスクの製造方法、反射型マスクの製造方法、及び、半導体装置の製造方法について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るマスクブランクス用ガラス基板の製造方法、マスクブランクスの製造方法、反射型マスクブランクスの製造方法、露光用マスクの製造方法、反射型マスクの製造方法、及び、半導体装置の製造方法は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
たとえば、上述した基板押圧手段67の代わりに、各領域に応じた押圧力が発生するように凹凸が形成された押圧型(図示せず)で、ガラス基板1を研磨布61に押し当てる構造のものでもよい。
また、研磨布押圧体も、分割されたガラス基板の外周部近傍における複数の外周部領域ごとに圧力を制御しない構造のものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上説明したように、本発明のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法、マスクブランクスの製造方法、反射型マスクブランクスの製造方法、露光用マスクの製造方法、反射型マスクの製造方法、及び、半導体装置の製造方法は、製造対象をマスクブランクス用ガラス基板、マスクブランクス、反射型マスクブランクス、露光用マスク、反射型マスク及び半導体装置としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、極めて優れた平坦度及び平滑性を必要とする板材にも好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 マスクブランクス用のガラス基板
2 表面形状測定処理装置
3 電磁石
4 磁性研磨スラリー
5 研磨スポット
6 研磨装置
13 凸部
20 表面形状測定手段
21 波長変調レーザー光源
22 CCDカメラ
23 データ解析手段
24 加工量計算手段
25 加工条件決定手段
26 測定データ処理装置
41 磁性流体
42 研磨スラリー
61 研磨布
62 研磨定盤
63,63a 押圧体
64 押圧制御手段
65 弾性体
66 研磨布押圧体
67 基板押圧手段
100 パターン転写装置
101 レーザープラズマX線源
102 縮小光学系
103 X線反射ミラー
110 半導体基板
200 EUV反射型マスクブランクス
200a EUV反射型マスク
201 ガラス基板
202 多層反射膜
203 バッファ層
203a バッファ層パターン
204 吸収体層
204a 吸収体層パターン
A 前方基準面
B 被測定面
C 裏面
D 後方基準面
E 領域
F 領域
G 領域
H 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクブランクス用のガラス基板の被測定面および裏面の凹凸形状と板厚ばらつきを測定する凹凸形状測定工程と、
前記凹凸形状測定工程で得られた測定結果にもとづいて、前記凹凸形状を含む領域に対して表面加工を施すことにより、前記被測定面および裏面の平坦度を所定の基準値以下に制御し、かつ板厚ばらつきを所定の基準値以下に制御する平坦度制御工程と、
表面加工の施された前記ガラス基板表面を基板押圧手段により研磨布に押圧しつつ、前記ガラス基板を回転させて研磨する際、前記ガラス基板表面における押圧力分布が均一となるように、前記ガラス基板を研磨布に押し当て、かつ、研磨布押圧手段が、前記ガラス基板の外周部近傍の前記研磨布を押圧しながら、前記ガラス基板を研磨する研磨工程と、
を有するマスクブランクス用ガラス基板の製造方法。
【請求項2】
前記凹凸形状測定工程は、
前記ガラス基板の被測定面に波長変調レーザーを照射し、前記波長変調レーザーの波長を微小に変動させ、前記ガラス基板の被測定面および裏面からそれぞれ反射した反射光と前方基準面との干渉縞の変動する周波数の違いを検出し、前記ガラス基板の裏面からの反射光による干渉を排除して、前記ガラス基板の被測定面から反射した反射光を用いて前記ガラス基板における被測定面の凹凸形状を測定し、
前記ガラス基板の裏面側に設定した後方基準面を用いて、前記ガラス基板における裏面の凹凸形状を測定し、さらに前記ガラス基板の板厚ばらつきを測定することを特徴とする請求項1記載のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法。
【請求項3】
前記研磨布押圧手段は、前記ガラス基板の外周部近傍における分割された複数の外周部領域ごとに、独立して前記各外周部領域を押圧することを特徴とする請求項1又は2記載のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法。
【請求項4】
前記平坦度制御工程は、MRF加工法、プラズマエッチングによる方法、またはイオンビームによる方法のいずれかの方法で、前記ガラス基板に対して表面加工を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法。
【請求項5】
前記研磨工程後のガラス基板に対して、アルカリ水溶液を用いた洗浄を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法で製造したマスクブランクス用のガラス基板上に、マスクパターンとなる薄膜を形成することを特徴とするマスクブランクスの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のマスクブランクス用ガラス基板の製造方法で製造したマスクブランクス用のガラス基板上に、多層反射膜を形成し、前記多層反射膜上にマスクパターンとなる光吸収体膜を形成することを特徴とする反射型マスクブランクスの製造方法。
【請求項8】
請求項6記載のマスクブランクスの製造方法で製造したマスクブランクスの薄膜をパターニングし、前記ガラス基板上に薄膜パターンを形成することを特徴とする露光用マスクの製造方法。
【請求項9】
請求項7記載の反射型マスクブランクスの製造方法で製造した反射型マスクブランクスの光吸収体膜をパターニングし、前記ガラス基板上に光吸収体膜パターンを形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
【請求項10】
請求項8記載の露光用マスクの製造方法によって露光用マスクを製造し、この露光用マスクを使用して、リソグラフィー法により該露光用マスクの薄膜パターンを半導体基板上にパターン転写することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項9記載の反射型マスクの製造方法によって反射型マスクを製造し、この反射型マスクを使用して、リソグラフィー法により該反射型マスクの光吸収体膜パターンを半導体基板上にパターン転写することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−207757(P2011−207757A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96893(P2011−96893)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【分割の表示】特願2004−368248(P2004−368248)の分割
【原出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】