説明

マスクブランク用ガラス基板の製造方法、マスクブランクの製造方法及びマスクの製造方法、並びにインプリントモールドの製造方法

【課題】極めて平坦度が高く、かつ、微小欠陥(凹状欠陥、凸状欠陥)を低減したマスクブランク用ガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】研磨パッド21,11が貼り付けられ上下に対向して設けられた上定盤20と下定盤10との間に、複数のガラス基板を挟持し、ガラス基板に上定盤側20より研磨液を供給しながら、ガラス基板の両主表面を両面研磨する。ガラス基板の形状は四角形で、そのコーナー部においてノッチマークを少なとも1以上有する。ガラス基板の上記両面研磨は、ノッチマークが形成されていない一方の主表面を上定盤20側にセットして行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置製造等に使用されるマスクの原版となるマスクブランク用ガラス基板の製造方法、該基板を用いたマスクブランクの製造方法、及びマスクの製造方法、並びにインプリントモールドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年における超LSIデバイスの高密度化、高精度化により、マスクブランクス用ガラス基板などの電子デバイス用ガラス基板の平坦度や表面欠陥に対する要求は年々厳しくなる状況にある。従来のマスクブランク用ガラス基板の平坦度や表面粗さを低減するための精密研磨方法としては、例えば、特開平1−40267号公報に記載されているものがある。この精密研磨方法は、酸化セリウムを主材とする研磨材を用いて研磨した後、コロイダルシリカ(コロイド状のシリカ)を用いて仕上げ研磨するものである。
【0003】
ところで、転写パターンのよりいっそうの微細化を達成するために、露光光源の波長が短くなる傾向にあり、例えばArFエキシマレーザー(波長193nm)、F2エキシマレーザー(波長157nm)などが使用されるようになってきており、さらにはEUV光(Extreme Ultra Violet、極紫外光:波長約13nm)の利用も提案されている。このような露光光源の短波長化に伴い、特に基板表面の形状精度(平坦度)や品質(欠陥サイズ)に対する要求が厳しくなってきており、極めて平坦度が高く、かつ、微小欠陥のないマスクブランク用ガラス基板が求められている。その理由は、基板の平坦度が悪いと、露光転写後のパターンの寸法精度が悪くなるからであり、また欠陥サイズ(高さや深さ、大きさ)が大きいと位相欠陥となり、露光転写後のパターンのパターン欠陥が発生するからである。なお、量産が進められているArFエキシマレーザー露光では、500nm以下の平坦度、100nm以下の欠陥サイズが要求されている。
【0004】
また、平坦度の要求値は、パターンの微細化とともに厳しくなり、次世代の露光技術とされる上記EUV露光においては、縦142mm×横142mmの領域において、P−V値(基準面に対する最大高さと最小高さの差)で、50nm以下の平坦度が必要とされている。また、微小欠陥については、欠陥サイズを50nm以下とすることが要求されている。
【0005】
また、近年、高記録密度化に対応し得るハードディスクドライブ(HDD)用の磁気メディアとして、データトラックを磁気的に分離して形成するパターンドメディアが提案されている。従来の磁気ヘッド幅を極小化して高密度化を図るという手法では高密度化に限界がきており、隣接トラック間の磁気的影響や熱揺らぎ現象が無視できなくなってきている。パターンドメディアとしては、磁気ディスクのデータトラックを磁気的に分離して形成するディスクリートトラック型メディア(Discrete Track Recording Media;以下「DTRメディア」と呼ぶ。)や、このDTRメディアをさらに高密度化して発展させるべく信号をビットパターン(ドットパターン)として記録するビットパターンドメディア(Bit Patterned Media;以下「BPM」と呼ぶ。)が知られている。
【0006】
このようなDTRメディアやBPMといったパターンドメディアは、記録に不要な部分の磁性材料を除去(微細な幅の溝加工)して信号品質を改善しようとするものであり、この微細な幅の溝加工を行うためのパターン転写方法として、インプリント技術(または「ナノインプリント技術」ともいう。)を用いることが一般的である。インプリント技術では、マスターモールド(「原盤」ともいう。)、または、このマスターモールドを元型モールドとして一回若しくは複数回転写して複製したワーキングモールド(「コピーモールド」ともいう。)を用いて、そのマスターモールドまたはワーキングモールド(これらマスターモールドとワーキングモールドを以下「インプリントモールド」と呼ぶ。)が有する微細なパターンを被転写体に転写することにより、パターンドメディア(例えばBPM)を作製する。
【0007】
また、上記パターンドメディアの作製だけでなく、例えば表面にナノパターンを形成した構造型フィルターや、高輝度LED、偏光子、フォトニック結晶レーザ、GaN製膜基板などの、微細パターンにより光学的機能を付加した光学部品や、半導体装置の製造にもインプリント技術が用いられる。
【0008】
これらパターンドメディアや、光学部品、半導体装置などにおいてもパターンの高密度化、高精度化が求められており、そのためにはこれらパターンドメディア等の製造に用いるインプリントモールドにも微細で精度の高いパターンが要求される。特に、インプリント技術では等倍でのパターン転写となるため、インプリントモールドの精度はより高いものが要求される。
【0009】
このようなインプリント技術で用いるマスターモールドなどのインプリントモールドは、基板(一般にガラス基板)上にハードマスク層およびレジスト層が順に形成されてなるモールドブランクを用いて製造される。具体的には、モールドブランクのレジスト層に対して所定のパターン露光および現像を行うことでレジストパターンを形成し、さらにこのレジストパターンをマスクとしてモールドブランクにおけるハードマスク層および基板をエッチングして、最終的に基板に所定の凹凸パターンを形成することで、例えばマスターモールドが製造される。従って、高精度の微細パターンを有するインプリントモールドを得るには、上記モールドブランク用のガラス基板においても、平坦度が高く、かつ、微小欠陥のないガラス基板が求められる。
【0010】
以上のような背景に鑑み、特許文献1(特開2009−6457号号公報)には、極めて平坦で平滑な表面性状を有する基板を得るため、製品用の基板とは別に試験用基板を試験研磨する試験工程を含み、試験工程において、研磨パッドが不採用の場合、採用となるまで研磨パッドを修正又は交換した後に、再度試験工程を繰り返し、研磨工程で使用する研磨装置がどのような研磨傾向を有するかを把握し、試験工程において採用された研磨パッドを用い、および選択された基板セット方向に従って製品用基板を研磨する基板の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−6457号号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているような基板の製造方法を採用する場合、試験工程の作業負担が極めて大きく、製造コストが高くなる。また、半導体デザインルール32nmノード以降の世代で使用されるArFエキシマレーザー露光用マスクブランクや、EUV露光用反射型マスクブランクでは、0.1μmサイズの微小欠陥(凹欠陥、凸欠陥)も問題視され、厳しい欠陥品質が要求されるが、上記特許文献1に開示されている基板の製造方法では、微小欠陥(凹欠陥、凸欠陥)の発生を十分に抑えることができなかった。
【0013】
本発明は、上述の従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、極めて平坦度が高く、かつ、微小欠陥(凹状欠陥、凸状欠陥)を低減したマスクブランク用ガラス基板の製造方法、該基板を用いて得られるマスクブランクの製造方法、及び該マスクブランクを用いて得られるマスクの製造方法、並びにインプリントモールドの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、以下の構成を有する発明によって上記課題を解決できることを見い出した。
(構成1)
研磨パッドが貼り付けられ上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、複数のガラス基板を挟持し、該ガラス基板に前記上定盤側より研磨液を供給しながら、該ガラス基板の両主表面を両面研磨するマスクブランク用ガラス基板の製造方法であって、前記ガラス基板の形状は四角形であり、かつ、該四角形のコーナー部において、一方の主表面と前記コーナー部を形成する2つの端面との3面を斜断面状に切り落としてなるノッチマークを少なとも1以上有するものであって、前記ガラス基板の両面研磨は、前記ノッチマークが形成されていない一方の主表面を前記上定盤側にセットして行うことを特徴とするマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
【0015】
構成1によれば、ノッチマークが形成されていない一方のガラス基板主表面を上定盤側にセットして、ガラス基板の両面研磨を行う。研磨時に、研磨液の浸み込みによる目詰まりや材質劣化などの影響を受け、研磨パッドの物性が大きく経時変化しやすい下定盤側に比べて上定盤側はそのような不具合が少なく、上定盤側の研磨パッドとの接触により研磨されるガラス基板のノッチマークが形成されていない一方の主表面は、極めて平坦度が高く、かつ、微小欠陥(凹状欠陥、凸状欠陥)を低減でき、良好な表面の形状精度や品質に仕上がる。通常、ガラス基板のノッチマークが形成されていない一方の主表面上に転写パターンとなる薄膜が形成されるので、本発明によって良好な表面の形状精度や品質に仕上がった主表面上に上記薄膜を形成することができる。
【0016】
(構成2)
研磨パッドが貼り付けられ上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、複数のガラス基板を挟持し、該ガラス基板に前記上定盤側より研磨液を供給しながら、該ガラス基板の両主表面を両面研磨するマスクブランク用ガラス基板の製造方法であって、前記両主表面は転写パターンが形成される第1の面と、該第1の面に対向して設けられた第2の面とを有し、前記ガラス基板の両面研磨は、前記第1の面を前記上定盤側にセットして行うことを特徴とするマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
【0017】
構成2によれば、ガラス基板の転写パターンが形成される第1の面を上定盤側にセットして、ガラス基板の両面研磨を行う。研磨時に、研磨液の浸み込みによる目詰まりや材質劣化などの影響を受け、研磨パッドの物性が大きく経時変化しやすい下定盤側に比べて上定盤側はそのような不具合が少なく、上定盤側の研磨パッドとの接触により研磨されるガラス基板の上記第1の面は、極めて平坦度が高く、かつ、微小欠陥(凹状欠陥、凸状欠陥)を低減でき、良好な表面の形状精度や品質に仕上がる。従って、本発明によって良好な表面の形状精度や品質に仕上がった主表面上に上記薄膜を形成することができる。
【0018】
(構成3)
前記両面研磨は、研磨液が異なる複数段階の研磨工程で行われることを特徴とする構成1又は2に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
構成3にあるように、研磨液が異なる複数段階の研磨工程でガラス基板の両面研磨を行うことにより、性状の異なる研磨液を用いて、段階的に(徐々に)ガラス基板主表面を所望する表面形状精度や品質に作り込むことができる。
【0019】
(構成4)
前記複数段階の研磨工程は、前記両面研磨するガラス基板の枚数を同じにすることを特徴とする構成3に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
複数段階の研磨工程でガラス基板の両面研磨を行う場合、構成4にあるように、各段階で両面研磨するガラス基板の枚数を同じにすることが、基板間の表面形状精度や品質の仕上がりのばらつきを抑制でき好適である。
【0020】
(構成5)
前記複数段階の研磨工程において、前記両面研磨するガラス基板の枚数の不足が発生した場合、別に用意したダミーガラス基板を投入して次の研磨工程を行うことを特徴とする構成4に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
構成5にあるように、複数段階の研磨工程において、途中の抜き取り検査等によって両面研磨するガラス基板の枚数の不足が発生した場合、別に用意したダミーガラス基板を投入して次の研磨工程を行うことが、基板間の表面形状精度や品質の仕上がりのばらつきを抑制でき好適である。
【0021】
(構成6)
前記ダミーガラス基板の板厚は、他のガラス基板の平均板厚と同じか又は小さいことを特徴とする構成5に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
複数段階の研磨工程において、両面研磨するガラス基板の枚数の不足が発生し、別に用意したダミーガラス基板を投入して次の研磨工程を行う場合(構成5)、構成6のように、上記ダミーガラス基板の板厚は、他のガラス基板の平均板厚と同じか又は小さいものとすることが、基板間の表面形状精度や品質の仕上がりのばらつきを抑制でき好適である。
【0022】
(構成7)
構成1乃至6のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法により製造された前記ガラス基板の前記主表面上に転写パターンとなる薄膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
本発明によって極めて平坦度が高く、かつ、微小欠陥を低減し、良好な表面の形状精度や品質に仕上がったマスクブランク用ガラス基板を用いてマスクブランクを製造することにより、高平坦で且つ欠陥の少ないマスクブランクが得られる。
【0023】
(構成8)
構成7に記載のマスクブランクの製造方法により製造されたマスクブランクの前記薄膜をパターニングすることを特徴とするマスクの製造方法。
本発明のマスクブランクを使用してマスクを作製することにより、露光転写後のパターンの寸法精度が極めて良好であり、しかも露光転写後のパターンのパターン欠陥の発生が少ないマスクが得られる。
【0024】
(構成9)
構成1乃至6のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法により製造された前記ガラス基板の前記主表面上に転写パターンとなる薄膜を形成してインプリントモールドブランクを製造する工程と、製造された前記インプリントモールドブランクの前記薄膜をパターニングして前記薄膜のパターンを形成する工程と、前記薄膜パターンをマスクとして、前記ガラス基板をエッチング処理によりエッチング加工して前記ガラス基板に掘り込みパターンを形成する工程とを有することを特徴とするインプリントモールドの製造方法。
本発明による極めて平坦度が高く、かつ、微小欠陥を低減し、良好な表面の形状精度や品質に仕上がったガラス基板を用いてインプリントモールドブランクを製造し、さらにこのインプリントモールドブランクを使用してインプリントモールドを製造することにより、ガラス基板に形成されるパターンの寸法精度が極めて良好であり、パターン欠陥の発生も少ないインプリントモールドが得られる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、極めて平坦度の高い、しかもガラス基板表面の微小な凹状または凸状の表面欠陥の発生を低減できるマスクブランク用ガラス基板を得ることができる。
また、本発明により得られる上記マスクブランク用ガラス基板を使用してマスクブランクを作製し、さらにこのマスクブランクを使用してマスクを作製することにより、露光転写後のパターンの寸法精度が極めて良好であり、しかも露光転写後のパターンのパターン欠陥の発生が少ないマスクを得ることができる。
また、本発明により得られる上記ガラス基板を使用してインプリントモールドブランクを製造し、さらにこのインプリントモールドブランクを使用してインプリントモールドを製造することにより、ガラス基板に形成されるパターンの寸法精度が極めて良好であり、パターン欠陥の発生も少ないインプリントモールドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ノッチマークを有する四角形のガラス基板の斜視図である。
【図2】研磨工程で使用する遊星歯車方式の両面研磨装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】太陽歯車、内歯歯車及びキャリアの歯合関係を示す斜視図である。
【図4】インプリントモールドの製造工程を説明するための概略断面図である。
【図5】マスターモールドと、該マスターモールドを用いて作製されるワーキングモールドの関係を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[マスクブランク用ガラス基板]
まず、本発明に係るマスクブランク用ガラス基板の製造方法について説明する。
本発明は、上記のとおり、研磨パッドが貼り付けられ上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、複数のガラス基板を挟持し、該ガラス基板に前記上定盤側より研磨液を供給しながら、該ガラス基板の両主表面を両面研磨するマスクブランク用ガラス基板の製造方法であって、前記ガラス基板の形状は四角形であり、かつ、該四角形のコーナー部において、一方の主表面と前記コーナー部を形成する2つの端面との3面を斜断面状に切り落としてなるノッチマークを少なとも1以上有するものであって、前記ガラス基板の両面研磨は、前記ノッチマークが形成されていない一方の主表面を前記上定盤側にセットして行うことを特徴とするものである。
【0028】
本発明においては、研磨パッドが貼り付けられ上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、複数のガラス基板を挟持し、該ガラス基板に上記上定盤側より研磨液を供給しながら、該ガラス基板の両主表面を両面研磨する。このように両面研磨するガラス基板は、マスクブランク用ガラス基板であって、ガラス基板の外形は四角形であり、かつ、該四角形のコーナー部において、一方の主表面とコーナー部を形成する2つの端面との3面を斜断面状に切り落としてなるノッチマークを少なとも1以上有する。
【0029】
図1は、上記ノッチマークを有する四角形のガラス基板の斜視図である。上記ノッチマークは、通常、ガラス基板の硝種や表裏を区別するためのものであって、図1に示すガラス基板1は、その一方の主表面1Bのコーナー部の1箇所にノッチマーク2を有しているが、これは一例であって、ノッチマークの数、複数の場合はその形成箇所によって、複数種類のガラス、例えばソーダライムガラス、合成石英ガラス、低膨張ガラスなどを区別することができる。
上記ガラス基板1は、バイナリマスクブランクまたは位相シフト型マスクブランクに使用する場合、使用する露光波長に対して透明性を有するものであれば特に制限されず、合成石英基板、その他各種のガラス基板(例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス等)が用いられるが、この中でも合成石英基板は、ArFエキシマレーザー又はそれよりも短波長の領域で透明性が高いので、特に好ましく用いられる。
【0030】
また、EUV露光用の場合、上記ガラス基板1としては、露光時の熱によるパターンの歪みを防止するため、0±1.0×10−7/℃の範囲内、より好ましくは0±0.3×10−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましく用いられ、この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、例えば、SiO−TiO系ガラス、多成分系ガラスセラミックス等を用いることが出来る。
また、マスクブランク用ガラス基板の形状は、正方形、長方形等の四角形状のものを使用し、上述のArFエキシマレーザー露光用、EUV露光用のマスクブランク用ガラス基板の場合、6025基板(約152mm×約152mm、厚さ約6.35mm)を使用する。
【0031】
本発明においては、上記ノッチマークが形成されていない一方のガラス基板主表面を研磨装置の上定盤側にセットして、ガラス基板の両面研磨を行う。図1に示すガラス基板1の場合には、ノッチマーク2が形成されていない一方の主表面1Aが上定盤側に来るように、研磨装置にセットする。通常、ガラス基板のノッチマークが形成されていない一方の主表面は、その上に転写パターンとなる薄膜が形成される。
なお、上記ガラス基板は、両面研磨工程の前に、端面を所定の面取加工、及び研削加工を行う。
【0032】
上記ガラス基板の両面研磨は、実際には両面研磨装置を用いて行うのが好適である。
図2は、両面研磨工程で使用する遊星歯車方式の両面研磨装置の概略構成を示す断面図であり、図3は、図2の両面研磨装置における太陽歯車、内歯歯車及びキャリアの歯合関係を示す斜視図である。
後述の実施例の研磨工程でも使用する遊星歯車方式の両面研磨装置について図2及び図3を用いて説明する。
【0033】
遊星歯車方式の両面研磨装置は、太陽歯車30とその外方に同心円状に配置される内歯歯車40と、太陽歯車30及び内歯歯車40に噛み合い、太陽歯車30や内歯歯車40の回転に応じて公転及び自転するキャリア50と、このキャリア50に複数枚保持された被研磨加工物W(例えば上記ガラス基板1である)を研磨パッド21、11が夫々貼着された挟持可能な上定盤20及び下定盤10と、上定盤20と下定盤10との間に研磨液を供給する研磨液供給部60とを備えている。太陽歯車40の回転駆動(Aは回転軸)は、太陽歯車回転駆動部31によって制御される。上部支持部材22に固定支持されている上定盤20の昇降及び回転駆動は、上定盤昇降駆動部24及び上定盤回転駆動部23によって制御される。また、下部支持部材12に固定支持されている下定盤10の回転駆動は、下定盤回転駆動部13によって制御される。研磨液供給部60は、研磨液を貯留する研磨液貯留部61と、この研磨液貯留部61に貯留された研磨液を、上定盤20と下定盤10との間の研磨領域に供給する研磨液供給路となる複数のチューブ62とで構成されており、研磨液貯留部61には、被研磨加工物Wに供給する研磨液の温度が一定となるように、温度制御装置が備えられている。研磨液貯留部61は、水平面上に環状に形成されており、複数の支柱部材63を介して、上部支持部材22の上方位置に設けられている。上部支持部材22、上定盤20及び研磨パッド21には、互いに連通する貫通孔22a、20a、21aが複数形成されており、ここに各チューブ62の下端部が接続される。これにより、研磨液貯留部61に貯留された研磨液が、チューブ62及び貫通孔を介して、上定盤側から供給され、上定盤20と下定盤10との間の研磨領域に供給される。なお、図示は省略するが、研磨領域に供給された研磨液は、所定の回収路を経由して、タンクに回収された後、ポンプ及びフィルタが介在する還元路を経由して、再び研磨液貯留部61に送られる。
【0034】
また、研磨加工中、上定盤20と下定盤10の温度上昇による定盤の反りや、スラリーの温度上昇を抑制するために、各上定盤20、下定盤10の内部には冷媒が流れる冷媒供給路が設けられており、研磨加工中、一定温度となるように制御されている。
【0035】
研磨加工時には、キャリア50に保持された被研磨加工物Wを上定盤20及び下定盤10とで挟持するとともに、上下定盤20,10の研磨パッド21,11と被研磨加工物Wとの間に研磨液を供給しながら、太陽歯車30や内歯歯車40の回転に応じて、キャリア50が公転及び自転しながら、被研磨加工物Wの上下両面が同時に鏡面研磨加工される。
【0036】
本発明では、上記のとおり、ノッチマークが形成されていない一方のガラス基板主表面を上定盤側にセットして、ガラス基板の両面研磨を行う。本発明によって、上定盤側にセットされたノッチマークが形成されていない一方の主表面は、平坦度が高く且つ微小欠陥の少ない、良好な表面形状精度や品質に仕上がる理由は、本発明者の検討によれば次のように推測される。
【0037】
上述の図2に示すような両面研磨装置を用いた両面研磨加工においては、下定盤側の研磨パッドは、滞留した研磨液によって浸み込み量が多く、そのことによる目詰まりや材質劣化などの影響を受け、研磨パッドの物性が大きく経時変化しやすく、研磨加工に伴う平坦度変化も大きい。この下定盤側に比べて上定盤側の研磨パッドはそのような不具合が少なく、物性の経時変化が小さく安定しているので、上定盤側の研磨パッドとの接触により研磨されるガラス基板のノッチマークが形成されていない一方の主表面は、極めて平坦度が高く、かつ、微小欠陥(凹欠陥、凸欠陥)を低減でき、良好な表面の形状精度や品質に仕上がる。通常、ガラス基板のノッチマークが形成されていない一方の主表面上に転写パターンとなる薄膜が形成されるので、本発明によって良好な表面の形状精度や品質に仕上がった主表面上に上記薄膜を形成することができる。
【0038】
以上は、上記ノッチマークが形成されていない一方のガラス基板主表面を研磨装置の上定盤側にセットして、ガラス基板の両面研磨を行う場合について説明したが、本発明はこれに限らない。すなわち、本発明の他の実施態様としては、研磨パッドが貼り付けられ上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、複数のガラス基板を挟持し、該ガラス基板に前記上定盤側より研磨液を供給しながら、該ガラス基板の両主表面を両面研磨するマスクブランク用ガラス基板の製造方法であって、前記両主表面は転写パターンが形成される第1の面と、該第1の面に対向して設けられた第2の面とを有し、前記ガラス基板の両面研磨は、前記第1の面を前記上定盤側にセットして行うことを特徴とするマスクブランク用ガラス基板の製造方法である。
【0039】
図1を参照して説明すると、ガラス基板1の両主表面は、転写パターンが形成される第1の面1Aと、該第1の面に対向して設けられた第2の面1B(ノッチマークを有する面でもある)とを有する。ガラス基板の転写パターンが形成される第1の面を上定盤側にセットして、ガラス基板の両面研磨を行うことにより、上定盤側の研磨パッドとの接触により研磨されるガラス基板の上記第1の面は、極めて平坦度が高く、かつ、微小欠陥(凹状欠陥、凸状欠陥)を低減でき、良好な表面の形状精度や品質に仕上がる。従って、本発明によって良好な表面の形状精度や品質に仕上がった上記第1の面上に上記転写パターンとなる薄膜を形成することができる。
【0040】
本発明においては、上記両面研磨は、研磨液が異なる複数段階の研磨工程で行われることが好ましい。ここで、研磨液が異なるとは、例えば研磨液に含有される研磨砥粒の材質や粒径などが異なることを意味する。このような研磨砥粒の材質や粒径の違いによって研磨液の性状は異なり、研磨レートや仕上がり面の品質等に影響する。本発明のように高平坦度で且つ欠陥を低減させたガラス基板表面に仕上げる場合には、研磨液が異なる複数段階の研磨工程でガラス基板の両面研磨を行うことにより、性状の異なる研磨液を用いて、段階的に(徐々に)ガラス基板主表面を所望する表面形状精度や品質に作り込むことが好適である。
【0041】
例えば、上記両面研磨を、第1研磨(粗研磨)工程、第2研磨(精密研磨)工程、第3研磨(超精密研磨)工程のような3段階の研磨工程で行うことができる。この場合、第1研磨(粗研磨)工程では研磨砥粒として例えば酸化セリウム、酸化ジルコニウム等を用いることができ、第2研磨(精密研磨)工程では研磨砥粒として酸化セリウム、酸化ジルコニウムあるいはシリカ(コロイダルシリカを含む)等を用いることができる。また、第3研磨(超精密研磨)工程では研磨砥粒として酸化セリウム、シリカ(コロイダルシリカを含む)等を用いることができるが、特に平均粒径が小さく、化学的機械的研磨が可能なシリカ(コロイダルシリカを含む)を用いることが好ましい。
【0042】
本発明に使用されるシリカは、ゾルゲル法により生成されたコロイダルシリカであることが好ましい。例えば、金属不純物が除去された高純度アルコキシシランを原料にゾルゲル法で合成することによって、高純度なコロイダルシリカが得られる。こうして得られたシリカは不純物が比較的少ないため、シリカの凝集体の生成を低減することができる。
【0043】
研磨液に含有されるコロイダルシリカは、平均粒径が20〜500nm程度のものを使用するのが研磨効率の点からは好ましい。
研磨液の溶媒としては、コロイダルシリカがアルカリ雰囲気では単一分散で安定的であるため、例えばNaOH,KOH等の無機アルカリや、アミン等の有機アルカリなどを添加してアルカリ性に調整されていることが一般的には良いとされているが、酸性に調整されていてもよい。
【0044】
また、研磨液中のシリカの含有量は、微小な突起の発生率や研磨速度を考慮して決定され、50wt%以下が好ましく、さらに好ましくは、10〜40wt%が望ましい。
また、ガラス基板に供給する研磨液の温度は、25℃以下とすることが好ましい。研磨液の温度調整は、研磨機に研磨液を供給する間にチラーを介して研磨液の供給温度を制御したり、研磨機の定盤に冷却機構を設けて研磨液の供給温度を制御しても構わない。研磨液の温度は、好ましくは5℃以上20℃以下、さらに好ましくは、5℃以上15℃以下が望ましい。
【0045】
上述の複数段階の研磨工程でガラス基板の両面研磨を行う場合、各段階で両面研磨するガラス基板の枚数を同じにすることが、基板間の表面形状精度や品質の仕上がりのばらつきを抑制でき好適である。
また、このような複数段階の研磨工程において、途中の抜き取り検査等によって両面研磨するガラス基板の枚数の不足が発生した場合、別に用意したダミーガラス基板を投入して次の研磨工程を行うことが、基板間の表面形状精度や品質の仕上がりのばらつきを抑制でき好適である。
また、上記のように両面研磨するガラス基板の枚数の不足が発生し、別に用意したダミーガラス基板を投入して次の研磨工程を行う場合、上記ダミーガラス基板の板厚は、他のガラス基板の平均板厚と同じか又は小さいものとすることが、基板間の表面形状精度や品質の仕上がりのばらつきを抑制でき好適である。
【0046】
上記両面研磨によって、上記ガラス基板の転写パターンが形成される側の主表面は、少なくともパターン転写精度、位置精度を得る観点から高平坦度となるように表面加工される。例えば、KrFエキシマレーザー露光用、あるいはArFエキシマレーザー露光用の場合、ガラス基板の転写パターンが形成される側の主表面142mm×142mmの領域において、平坦度が0.3μm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.1μm以下である。また、EUV露光用の場合、ガラス基板の転写パターンが形成される側の主表面142mm×142mmの領域において、平坦度が0.1μm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.05μm以下である。また、転写パターンが形成される側と反対側の主表面は、露光装置にセットする時に静電チャックされる面であって、142mm×142mmの領域において、平坦度が1μm以下、好ましくは0.5μm以下である。
【0047】
また、マスクブランク用ガラス基板として要求される表面平滑度は、ガラス基板の転写パターンが形成される側の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(RMS:root mean square、Rq)で0.3nm以下であることが好ましい。ここで、表面粗さRMSとは、日本工業規格(JIS)B0601(2001)に定めるものである。なお、本発明において、上記表面粗さRMSの下限値を特に制限する必要はなく、ガラス基板の表面が平滑であればあるほど本発明の作用効果が一層顕著に発揮される。
【0048】
上記のとおり、EUV露光用マスクブランク用ガラス基板では、特に高い平坦度が要求されるため、上記両面研磨を終えたガラス基板に対して、さらに局所加工工程、及びタッチ研磨(仕上げ研磨)工程を行ってもよい。局所加工工程では、まず、両面研磨を終えたガラス基板表面の凹凸形状(平坦度)を測定する。ガラス基板表面の凹凸形状の測定には、通常、光学干渉計が使用される。光学干渉計には、たとえばフリンジ観察干渉計や位相シフト干渉計などがある。上記光学干渉計によって測定された凹凸形状の測定結果は、コンピュータなどの記録媒体に保存される。次に、コンピュータなどの演算処理手段によって、凹凸形状の測定結果と予め設定された所定の基準値(所望の平坦度)とが比較され、その差分がガラス基板表面の所定領域(例えば縦5mm×横5mmの領域)ごとに算出される。すなわち、ガラス基板表面の凸部分の高さに応じて加工取り代が設定される。この差分(加工取り代)が、局所的な表面加工における各所定領域の必要除去量とされる。
【0049】
次に、上記演算処理によって設定された加工取り代に応じた加工条件で、所定領域毎に凸部分を局所加工し、ガラス基板表面の平坦度を所定の基準値以下に制御する。局所的な表面加工法としては、鉄を含む磁性流体中に研磨砥粒を含有させた磁性研磨スラリーを用いて、ガラス基板表面に局所的に接触させるMRF(Magneto Rheological Finishing)加工法を用いることができる。MRF加工法以外にも、GCIB(ガスクラクターイオンビーム)やプラズマエッチングによる局所加工法を用いてもよい。
【0050】
上記タッチ研磨は、上述の局所加工工程において、ガラス基板表面に面荒れや加工変質層が生じた場合、これらの除去を目的として行うものであり、ガラス基板表面に除去が必要な面荒れや加工変質層が生じていない場合には、タッチ研磨は特に行わなくてもよい。このタッチ研磨の方法としては、局所加工工程で得られた表面形状(平坦度)を維持しつつ、表面粗さが改善される研磨方法であればよいが、本発明においては、上記両面研磨と同様な方法で行うことが好適である。すなわち、両面研磨装置を用いて、ノッチマークが形成されていない側のガラス基板主表面を上定盤側にセットして上記タッチ研磨を行うことが好適である。
【0051】
[マスクブランク]
本発明は、上記構成のマスクブランク用ガラス基板の前記主表面上に、転写パターンとなる薄膜を形成するマスクブランクの製造方法についても提供する。本発明によって極めて平坦度が高く、かつ、微小欠陥を低減し、良好な表面の形状精度や品質に仕上がったマスクブランク用ガラス基板を用いてマスクブランクを製造することにより、高平坦で且つ欠陥の少ないマスクブランクが得られる。
【0052】
本発明により得られるマスクブランク用ガラス基板の主表面上に、遮光膜を形成することによりバイナリマスクブランクが得られる。また、上記マスクブランク用ガラス基板の主表面上に、位相シフト膜、あるいは位相シフト膜及び遮光膜を形成することにより、位相シフト型マスクブランクが得られる。この場合の主表面とは、上述のガラス基板の両面研磨において、上定盤側にセットされた主表面であり、例えば前述の図1で説明すると、ノッチマーク2が形成されていない側の主表面1Aである。
上記遮光膜は、単層でも複数層(例えば遮光層と反射防止層との積層構造)としてもよい。また、遮光膜を遮光層と反射防止層との積層構造とする場合、この遮光層を複数層からなる構造としてもよい。また、上記位相シフト膜についても、単層でも複数層としてもよい。
【0053】
このようなマスクブランクとしては、例えば、クロム(Cr)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリマスクブランク、遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリマスクブランク、タンタル(Ta)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリ型マスクブランク、ケイ素(Si)を含有する材料、あるいは遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料により形成されている位相シフト膜を備える位相シフト型マスクブランクなどが挙げられる。
【0054】
上記クロム(Cr)を含有する材料としては、クロム単体、クロム系材料(CrO,CrN,CrC,CrON,CrCN,CrOC,CrOCN等)が挙げられる。
上記タンタル(Ta)を含有する材料としては、タンタル単体のほかに、タンタルと他の金属元素(例えば、Hf、Zr等)との化合物、タンタルにさらに窒素、酸素、炭素及びホウ素のうち少なくとも1つの元素を含む材料、具体的には、TaN、TaO,TaC,TaB,TaON,TaCN,TaBN,TaCO,TaBO,TaBC,TaCON,TaBON,TaBCN,TaBCONを含む材料などが挙げられる。
【0055】
上記ケイ素(Si)を含有する材料としては、ケイ素に、さらに窒素、酸素及び炭素のうち少なくとも1つの元素を含む材料、具体的には、ケイ素の窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物(酸化窒化物)、炭酸化物(炭化酸化物)、あるいは炭酸窒化物(炭化酸化窒化物)を含む材料が好適である。
【0056】
また、上記遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料としては、遷移金属とケイ素を含有する材料のほかに、遷移金属及びケイ素に、さらに窒素、酸素及び炭素のうち少なくとも1つの元素を含む材料が挙げられる。具体的には、遷移金属シリサイド、または遷移金属シリサイドの窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物、炭酸化物、あるいは炭酸窒化物を含む材料が好適である。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、クロム、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ルテニウム、ロジウム、ニオブ等が適用可能である。この中でも特にモリブデンが好適である。
【0057】
また、上記マスクブランク用ガラス基板の主表面上に、EUV光等の露光光を反射する多層反射膜と、露光光を吸収するパターン形成用の吸収体膜とを順に形成することにより、反射型マスクブランクが得られる。
上記多層反射膜は、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層させた多層膜であり、一般的には、重元素又はその化合物の薄膜と、軽元素又はその化合物の薄膜とが交互に40〜60周期程度積層された多層膜が用いられる。例えば、波長13〜14nmのEUV光に対する多層反射膜としては、Mo膜とSi膜を交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜が好ましく用いられる。その他に、EUV光の領域で使用される多層反射膜として、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などがある。露光波長により、材質を適宜選択すればよい。
【0058】
上記吸収体膜は、露光光である例えばEUV光を吸収する機能を有するもので、例えばタンタル(Ta)単体又はTaを主成分とする材料が好ましく用いられる。Taを主成分とする材料としては、TaとBを含む材料、TaとNを含む材料、TaとBを含み、更にOとNの少なくとも何れかを含む材料、TaとSiを含む材料、TaとSiとNを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料、等が用いられる。
【0059】
また、通常、上記吸収体膜のパターニング或いはパターン修正の際に多層反射膜を保護する目的で、多層反射膜と吸収体膜との間に保護膜やバッファ膜を設けることができる。保護膜の材料としては、ケイ素のほか、ルテニウムや、ルテニウムにニオブ、ジルコニウム、ロジウムのうち1以上の元素を含有するルテニウム化合物が用いられ、バッファ膜の材料としては、主に前記のクロム系材料が用いられる。
なお、上記遮光膜等の薄膜を形成するための成膜方法は特に制約されない。例えばスパッタリング法、イオンビームデボジション(IBD)法、CVD法などが好ましく挙げられる。
【0060】
[マスク]
本発明は、上記構成のマスクブランクにおける前記薄膜をパターニングすることを特徴とするマスクの製造方法についても提供する。
本発明のマスクブランクを使用してマスクを作製することにより、露光転写後のパターンの寸法精度が極めて良好であり、しかも露光転写後のパターンのパターン欠陥の発生が少ないマスクが得られる。
【0061】
例えば、上述のバイナリマスクブランクにおける遮光膜をパターニングすることにより、遮光膜パターンを備えるバイナリマスクが得られる。また、上述のマスクブランク用ガラス基板の主表面に、位相シフト膜、あるいは位相シフト膜及び遮光膜を備える構造の位相シフト型マスクブランクにおいても、転写パターンとなる薄膜をパターニングすることにより、位相シフト型マスクが得られる。
また、上述の反射型マスクブランクにおける吸収体膜をパターニングすることにより、吸収体膜パターンを備える反射型マスクが得られる。
なお、マスクブランクにおける転写パターンとなる薄膜をパターニングする方法としては、精度の高いフォトリソグラフィ法が最も好適である。
【0062】
[インプリントモールド]
本発明は、本発明により得られる上記ガラス基板を使用してインプリントモールドブランクを製造し、さらにこのインプリントモールドブランクを使用して製造するインプリントモールドの製造方法についても提供する。
ガラス基板の転写パターンが形成される第1の面が、ガラス基板の両面研磨において上定盤側にセットされ、本発明による極めて平坦度が高く、かつ、微小欠陥を低減し、良好な表面の形状精度や品質に仕上がったガラス基板を用いたインプリントモールドブランクを使用してインプリントモールドを製造することにより、ガラス基板に形成されるパターンの寸法精度が極めて良好であり、パターン欠陥の発生も少ないインプリントモールドが得られる。
【0063】
図4は、インプリントモールドの製造工程を説明するための概略断面図であり、図5は、マスターモールドと、該マスターモールドを用いて作製されるワーキングモールドの関係を説明するための概略断面図である。
図4(e)または図5(a)に示すように、本発明により得られるインプリントモールドである例えばマスターモールドの一実施の形態110は、ガラス基板101の一方の主表面に掘り込みパターン(凹凸パターン)101aが形成されている。マスターモールド110においては、前述の転写パターンが形成される第1の面が、上記掘り込みパターン101aの形成面である。
【0064】
このようなインプリントモールドであるマスターモールド110は、図4(a)に例示されるようなインプリントモールドブランク(以下、単に「モールドブランク」と呼ぶ。)100を用いて作製される。
上記モールドブランク100は、ガラス基板101の一方の主表面上に、ハードマスク層102を形成してなる構造のものである。このハードマスク層102は、ガラス基板101をエッチング処理により掘り込む際のマスクとなる層である。モールドブランク100においては、前述の転写パターンとなる薄膜が、上記ハードマスク層102である。なお、図4(a)に示すように、モールドブランクは、ハードマスク層102の上にレジスト層103を有する構造のものも含まれる。
【0065】
このモールドブランク100のガラス基板101には、前述の本発明により得られるガラス基板が用いられる。従って、上記ガラス基板101のハードマスク層102が形成された側の主表面が、前述の転写パターンが形成される第1の面であり、前述のガラス基板の両面研磨において上定盤側にセットされた主表面である。また、上記ガラス基板101のハードマスク層102が形成されていない側の主表面は、第1の面に対向して設けられた第2の面である。
モールドブランク100用のガラス基板101としては、平坦度及び平滑度に優れている点で、合成石英基板等のガラス基板が好ましく用いられる。ガラス基板101の形状は、正方形、長方形等の四角形状のものや円形状のものなど特に制約されないが、通常、パターンドメディア製造用には円形状基板が、光学部品や半導体装置製造用には四角形状基板が用いられる。
【0066】
上記ハードマスク層102は、ガラス基板101をエッチング処理により掘り込む際のマスクとなる層であるため、ガラス基板のエッチング(通常はフッ素系ガスによるドライエッチング)に対する耐性を有する材質が用いられる。また、特にマスターモールドを作製する場合、レジスト層に対して電子線によるパターン描画を行うため、チャージアップ防止の観点から導電性を有する材質が好適である。
【0067】
上記ハードマスク層102の材質としては、例えばクロム、窒素及び酸素を含む材料が好ましく挙げられる。この場合、ガラス基板101の側ほど窒素の含有率が高く、ガラス基板とは反対の表面側ほど酸素の含有率が高くなるような組成傾斜とすることが好ましい。上記窒素は、層内の酸化を抑制する機能を有しており、上記酸素は、ハードマスク層の表面にレジスト層を形成する際の密着性を向上させる機能を有している。なお、上記クロムに限定される必要はなく、ガラス基板のエッチングに対する耐性及び導電性を有するものであれば、例えばAl、Ta、Si、W、Mo、Hf、Ti等の金属を含む材料を用いてもよい。また、上記ハードマスク層102は、単層でも複数層(積層)としてもよい。
上記ハードマスク層102の薄膜を形成するための成膜方法は特に制約されない。例えばスパッタリング法、イオンビームデボジション(IBD)法、CVD法などが好ましく挙げられる。上記ハードマスク層102の膜厚については特に制約されないが、微細パターンの形成の観点からは、5nm以下とすることが望ましい。
【0068】
次に、以上のようなモールドブランク100を用いて、マスターモールドまたはワーキングモールドを製造する方法について説明する。
マスターモールドを作製する場合は、電子線描画機を用いて、モールドブランク100上のレジスト層103に微細パターンを描画する。そして、描画後、レジスト層103を現像して、レジストパターン103aを形成する(図4(b)参照)。
【0069】
次に、形成した上記レジストパターン103aをマスクとしてハードマスク層102に対するエッチングを行う。具体的には、上記レジストパターン103aが形成された後のモールドブランク100をドライエッチング装置に導入して、例えばCrNからなるハードマスク層に対しては塩素ガスまたは塩素ガスを含む混合ガスによるドライエッチングを行い、ハードマスク層102をパターニングして、ハードマスク層パターン102aを形成する(図4(c)参照)。なお、このときのエッチング終点は、反射光学式の終点検出器を用いることで判別すればよい。
【0070】
続いて、上述したエッチングで用いられたガスを真空排気した後、同じドライエッチング装置内で、上記ハードマスク層パターン102aをマスクとして、例えばフッ素系ガスを用いたドライエッチングをガラス基板101に対して行う。このとき、ガラス基板101には、掘り込みパターン101aが形成される(図4(d)参照)。掘り込みパターン101aの掘り込み深さはエッチング時間によって調節する。
残存するレジストパターン103aは、過水硫酸などの酸溶液を用いて除去する(図4(d)参照)。なお、ガラス基板101のエッチング加工前にレジストパターンを除去してもよい。
【0071】
その後は、残存するハードマスク層パターン102aを除去する。具体的には、残存ハードマスク層パターン除去前のモールド(図4(d)の状態のモールド)をウェットエッチング装置に導入する。そして、硝酸第二セリウムアンモニウム溶液によりウェットエッチングを行って、残存しているハードマスク層パターン102aを除去する。残存するハードマスク層パターン102aを除去した後は、必要に応じてガラス基板101の洗浄等を行う。このようにして、図4(e)に示すようなマスターモールド110が出来上がる。
【0072】
なお、上述のハードマスク層102及びガラス基板101のエッチングについては、ドライエッチングの代わりにウェットエッチングを採用してもよい。具体的には、ハードマスク層102のエッチングにおいては、残存ハードマスク層の除去エッチングと同様に、硝酸第二セリウムアンモニウム溶液と過塩素酸との混合液を用いてもよい。また、ガラス基板101のエッチングにおいては、基板が石英の場合、フッ酸を用いたウェットエッチングを行ってもよい。
【0073】
次に、ワーキングモールドの製造について説明する。ワーキングモールドについても、マスターモールドの場合と同様に、モールドブランクを用いて製造される。ただし、ワーキングモールドの場合は、モールドブランクのレジスト層に対してマスターモールドの凹凸パターン(掘り込みパターン)を転写することでレジストパターンを形成する点で、マスターモールドの場合とは異なる。
すなわち、電子線描画ではなく、マスターモールド(元型モールド)からのパターン転写によりレジストパターンを形成する場合を説明する。
【0074】
ワーキングモールド製造用のモールドブランクとして、ガラス基板の外周側の所定領域を例えばフォトリソグラフィ工程を用いて除去し、所定の台座構造を形成したプリメサ基板120(図5(b)参照)を準備する。なお、ワーキングモールドの用途によっては、このような台座構造は不要の場合もある。また、モールドパターン形成後に台座構造を形成してもよい。
次に、上記プリメサ基板120の表面に、前述のマスターモールド製造用のモールドブランクの場合と同様なハードマスク層及びレジスト層を順に形成する。
【0075】
次いで、このワーキングモールド製造用のモールドブランクのレジスト層の上に、元型モールドであるマスターモールド110(図5(a)参照)を配置する。このとき、レジスト層が液状であれば、マスターモールド110を載置するだけでよい。また、レジスト層が固体形状であれば、マスターモールド110をレジスト層に対して押圧して、マスターモールド110の掘り込みパターンをレジスト層に転写すればよい。
その後は、例えば光インプリントであれば、紫外線照射装置を用いて光硬化性樹脂を硬化させ、転写パターン形状をレジストに固定する。このとき、紫外線の照射は、マスターモールド側から行っても、ガラス基板側から行ってもよい。
なお、パターン転写にあたっては、マスターモールドとモールドブランクとの間の位置ずれによる転写不良を防止するため、例えばアライメントマーク用の溝を基板上に設けてもよい。
【0076】
パターン転写後は、マスターモールド110をワーキングモールド製造用のモールドブランクから取り外す。なお、このときマスターモールドが容易に取り外せるようにするため、予めマスターモールドの表面に離型層を形成しておいてもよい。また、転写されたレジストパターンには、ハードマスク層をエッチングするのに不要な残膜が存在している場合があるが、酸素、オゾン等のガスのプラズマを用いたアッシングにより除去する。
【0077】
これにより、前述の図4(b)に示すものと同様なレジストパターンが形成される。この後は、マスターモールド製造の場合と同様に、ハードマスク層のエッチング、ガラス基板のエッチングを順に行うことによって、図5(c)に示すようなワーキングモールド200が出来上がる。
以上説明したワーキングモールドの製造においても、本発明による極めて平坦度が高く、かつ、微小欠陥を低減し、良好な表面の形状精度や品質に仕上がったガラス基板を用いたモールドブランクを使用してワーキングモールドを製造することにより、ガラス基板に形成されるパターンの寸法精度が極めて良好であり、パターン欠陥の発生も少ないワーキングモールドが得られる。
【実施例】
【0078】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例は、マスクブランクス用ガラス基板の製造方法の具体例である。本実施例は以下の工程からなる。なお、以下の実施例及び比較例、参考例の研磨工程では、前述の図2に示す両面研磨装置を使用した。
【0079】
(1)第1研磨(粗研磨)工程
合成石英ガラス基板(152mm×152mm)の端面を面取加工、及び研削加工を終えたガラス基板を両面研磨装置に、ノッチマークが形成されていないガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)を上定盤側になるように20枚セット(1キャリア4枚、5キャリア)し、以下の研磨条件で粗研磨を行った。20枚セットを連続10回(10バッチ)行い合計200枚のガラス基板の粗研磨を行った。なお、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨液:酸化セリウム(平均粒径2〜3μm)を含有する水溶液
研磨パッド:硬質ポリシャ(ウレタンパッド)
上記研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するため、ガラス基板を洗浄槽(純水)に浸漬(超音波印加)し、洗浄を行った。
【0080】
(2)第2研磨(精密研磨)工程
第1研磨を終えたガラス基板を両面研磨装置に、ノッチマークが形成されていないガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)を上定盤側になるように20枚セット(1キャリア4枚、5キャリア)し、以下の研磨条件で精密研磨を行った。20枚セットを連続10回(10バッチ)行い合計200枚のガラス基板の精密研磨を行った。なお、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。
研磨液:酸化セリウム(平均粒径1μm)を含有する水溶液
研磨パッド:基材(例えば、ポリエチレンテレフタレート)上に緩衝層(研磨パッド全体の圧縮変形量を制御するための層)と、表面に開孔を有する発泡した樹脂からなるナップ層が形成された軟質ポリシャ(例えば、研磨パッドの圧縮変形量が40μm以上であり、ナップ層を形成する樹脂の100%モジュラスが14.5MPa以上である研磨パッド)
上記研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するため、ガラス基板を洗浄槽(純水)に浸漬(超音波印加)し、洗浄を行った。
【0081】
(3)第3研磨(超精密研磨)工程
第2研磨を終えたガラス基板を再び両面研磨装置に、ノッチマークが形成されていないガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)を上定盤側になるように20枚セット(1キャリア4枚、5キャリア)し、以下の研磨条件で超精密研磨を行った。20枚セットを連続10回(10バッチ)行い合計200枚のガラス基板の超精密研磨を行った。なお、加工荷重、研磨時間はArFエキシマレーザー露光用バイナリマスクブランクに使用するガラス基板として必要な表面粗さ(RMS(二乗平均平方根粗さ)で0.2nm以下)が得られるように適宜調整して行った。
研磨液:コロイダルシリカを含有するアルカリ性水溶液(pH10.2)
(コロイダルシリカ含有量50wt%)平均粒径:約100nm
研磨パッド:超軟質ポリシャ(スウェードタイプ)
上記研磨工程後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するため、ガラス基板をアルカリ水溶液が入った洗浄槽に浸漬(超音波印加)し、洗浄を行い、ArFエキシマレーザー露光用マスクブランク用ガラス基板を得た。
【0082】
この得られたガラス基板の主表面の表面粗さは、全てRMSで0.2nm以下と良好であった。
また、この得られたガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)の平坦度を平坦度測定器(Corning Tropel社製 UltraFlat200M)で測定した。なお、平坦度の測定領域は、142mm×142mmとした。
その結果、平坦度0.3μm以下のガラス基板は、全体の97.5%、平坦度0.2μm以下のガラス基板は、全体の82.5%と非常に良好な結果が得られた。これは、ノッチマークが形成されてないガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)を上定盤側にセットしたことにより、スラリー浸み込みなどによる研磨パッドの物性変動を下定盤側よりも受けにくい為、平坦度が安定したと考えられる。
【0083】
また、ガラス基板主表面の微小欠陥(凹欠陥、凸欠陥)を欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS6640)で測定した。その結果、0.1μmサイズの凹欠陥発生率は4%、0.1μmサイズの凸欠陥発生率は5%と非常に良好な結果が得られた。これは、ノッチマークが形成されてないガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)を上定盤側にセットしたことにより、研磨装置、キャリアなどから発塵、研磨パッドのウレタン屑および研磨パッド内部の汚染物の影響を受けにくくしたと考えられる。
【0084】
(比較例1)
上述の実施例1において、第1研磨(粗研磨)工程、第2研磨(精密研磨)工程、第3研磨(超精密研磨)工程におけるガラス基板のセットを、ノッチマークが形成されていないガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)を下定盤側になるようにセットした以外は実施例1と同様にしてArFエキシマレーザー露光用マスクブランク用ガラス基板を得た。
【0085】
実施例1と同様に、転写パターンが形成される側のガラス基板主表面の平坦度、及び欠陥を測定した。その結果、平坦度0.3μm以下のガラス基板は、全体の77%、平坦度0.2μ以下のガラス基板は、全体の56%であった。また、欠陥については、0.1μmサイズの凹欠陥発生率は12% 、0.1μmサイズの凸欠陥発生率は15%であった。これは、ノッチマークが形成されていないガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)を下定盤側にセットしたことにより、スラリー浸み込みによる研磨パッドの物性変動が大きく、平坦度不安定になったと考えられ、欠陥発生率悪化の要因としては、研磨装置、キャリアによる発塵や研磨パッドのウレタン屑および研磨パッド内部の汚染物の影響を受けたと考えられる。
【0086】
(実施例2、参考例1)
上述の実施例1において、ガラス基板生産安定性の監視目的(平坦度監視)のため、第1研磨(粗研磨)工程、第2研磨(精密研磨)工程を終えたガラス基板を1枚ずつ抜き取り、抜き取りにより枚数が不足した分については別に用意したダミーガラス基板(他のガラス基板と同じ材料である合成石英ガラス基板であって、板厚が他のガラス基板の平均板厚と同じか又は小さいガラス基板)を投入して両面研磨を行った以外は実施例1と同様にしてArFエキシマレーザー露光用マスクブランク用ガラス基板を得た。なお、両面研磨は20枚セットを連続5回(5バッチ)行い、合計90枚(ダミー基板を含まない)のガラス基板を作製した。 また、この実施例2の参考のため、抜き取りにより枚数が不足した分について、ダミーガラス基板を投入せずに両面研磨を行った以外は実施例2と同様にしてArFエキシマレーザー露光用マスクブランク用ガラス基板を得た。
【0087】
その結果、実施例2は、平坦度0.3μm以下のガラス基板は、全体の97.8%、平坦度0.2μm以下のガラス基板は、全体の84.4%と実施例1と変わらず良好な結果が得られた。一方、参考例1は、平坦度0.3μm以下のガラス基板は、全体の78.9%、平坦度0.2μm以下のガラス基板は、全体の45.6%と、実施例2と比較して低下した。これは、ダミーガラス基板を投入せず研磨を行った為、バッチ内の研磨量がバラツキ、平坦度が悪化したと考えられる。また、欠陥については、実施例2の0.1μmサイズの凹欠陥発生率は4.4%、0.1μmサイズの凸欠陥発生率は5.6%と、実施例1と変わらず良好であった。一方、参考例1の0.1μmサイズの凹欠陥発生率は13.3%、0.1μmサイズの凸欠陥発生率は17.8%と実施例2と比べて悪化した。これは、ダミーガラス基板を投入せず研磨を行った為、研磨量のバラツキより十分な研磨量が確保できず、欠陥発生率が悪化したと考えられる。
【0088】
(実施例3)
以下、EUV露光用マスクブランク用ガラス基板の製造方法の実施例である。 上述の実施例1において、合成石英ガラス基板の代わりに、TiO−SiOからなる低熱膨張ガラス基板にした以外は実施例1と同様にして、第1研磨(粗研磨)工程、第2研磨(精密研磨)工程、第3研磨(超精密研磨)工程を行った。なお、上述の両面研磨は20セットを連続3回(3バッチ)行い、合計60枚のガラス基板を作製した。
【0089】
(4)局所加工工程
第3研磨を終えたガラス基板の表裏面の表面形状(表面形態)を平坦度測定器(Corning Tropel社製 UltraFlat200M)で測定した。なお、表面形状(表面形態)の測定領域は、148mm×148mmとした。このガラス基板表面の表面形状の測定結果を、測定点毎にある基準面に対する高さ情報としてコンピュータに保存するとともに、EUV露光用マスクブランクス用ガラス基板に必要な表面平坦度の仕様50nmと比較し、その差分(必要除去量)をコンピュータで計算した。
【0090】
次に、ガラス基板面内を加工スポット形状領域毎に、必要除去量に応じた局所加工条件を設定した。事前にダミー基板を用いて、実際の加工と同じようにダミー基板を、一定時間基板を移動させずにスポット加工し、その形状を上記表裏面の表面形状を測定する装置と同じ測定機にて測定し、単に時間当たりにおけるスポット加工体積を算出する。そして、スポットの情報とガラス基板の表面形状の情報より得られた必要除去量に従い、ガラス基板をラスタ走査する際の走査スピードを決定した。
【0091】
設定した加工条件に従い、磁気流体による基板仕上げ装置を用いてMRF(磁気流動的流体)加工法により、ガラス基板の表裏面平坦度が上記の基準値以下となるように局所加工して表面形状を調整した。なお、研磨液は、酸化セリウムと鉄粉等を、水等の液体に混ぜたものを使用した。その後、ガラス基板を濃度約10%の塩酸水溶液が入った洗浄槽に浸漬(超音波印加)し、洗浄を行った。
【0092】
(5)タッチ研磨工程
局所加工を終えたガラス基板について、ガラス基板主表面の表面形状を維持しつつ、表面粗さを改善する条件で両面研磨装置を用いて両面タッチ研磨を行った。この両面タッチ研磨は、ノッチマークが形成されていないガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)を上定盤側になるように5枚セット(1キャリア1枚、5キャリア)し、以下の研磨条件でタッチ研磨を行った。5枚セットを連続12回(12バッチ)行い合計60枚のガラス基板のタッチ研磨を行った。なお、加工荷重、研磨時間は適宜調整して行った。研磨液:コロイダルシリカを含有するアルカリ性水溶液(pH10.2)(コロイダルシリカ含有量50wt%)平均粒径:約70nm研磨パッド:超軟質ポリシャ(スウェートダイプ)上記タッチ研磨後、ガラス基板に付着した研磨砥粒を除去するため、ガラス基板をアルカリ水溶液が入った洗浄槽に浸漬(超音波印加)し、洗浄を行い、EUV露光用マスクブランク用ガラス基板を得た。
【0093】
この得られたガラス基板の主表面の表面粗さは、全てRmsで0.1nm以下と良好であった。また、この得られたガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)の平坦度を平坦度測定器(Corning Tropel社製 UltraFlat200M)で測定した。なお、平坦度の測定領域は、142mm×142mmとした。
【0094】
その結果、平坦度は全て50nm以下で非常に良好な結果が得られた。また、ガラス基板主表面の欠陥(凹、凸)を欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS6640)で測定した。その結果、0.1μmサイズの凹欠陥発生率は、1.6%、0.1μmサイズの凸欠陥発生率は3.3%と非常に良好な結果が得られた。これは、第1研磨工程〜第3研磨工程、及びタッチ研磨工程の全ての両面研磨工程において、ノッチマークが形成されてないガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)を上定盤側にセットしたことにより、研磨装置、キャリアによる発塵や研磨パッドのウレタン屑および研磨パッド内部の汚染物の影響を受けにくくしたと考えられる。
【0095】
(実施例4)
本実施例は、バイナリマスクブランク及びバイナリマスクの製造方法の具体例である。実施例1で得られた合成石英ガラス基板上に、以下のようにしてTaN膜とTaO膜の積層からなる遮光膜を形成した。
ターゲットにタンタル(Ta)ターゲットを用い、キセノン(Xe)と窒素(N)の混合ガス雰囲気(ガス圧0.076Pa、ガス流量比 Xe:N=11sccm:15sccm)で、DC電源の電力を1.5kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、TaN膜を膜厚44.9nmで成膜し、引き続いて、Taターゲットを用い、アルゴン(Ar)と酸素(O)の混合ガス雰囲気(ガス圧0.3Pa、ガス流量比 Ar:O=58sccm:32.5sccm)で、DC電源の電力を0.7kWとし、TaO膜を膜厚13nmで成膜することにより、TaN膜とTaO膜の積層からなるArFエキシマレーザー(波長193nm)用遮光膜を形成して、バイナリマスクブランクを作製した。なお、ArFエキシマレーザーに対する遮光膜の光学濃度は3.0、表面反射率は19.5%であった。
【0096】
得られたバイナリマスクブランクについて、ブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)で欠陥検査を行った。その結果、0.1μmサイズの凹欠陥発生率は4%、0.1μmサイズの凸欠陥発生率は5%と非常に良好な結果が得られた。
【0097】
次に、このバイナリマスクブランクを用いて、バイナリマスクを作製した。
まず、バイナリマスクブランク上に電子線描画用レジストをスピンコーティング法により塗布、ベーキングしてレジスト膜を形成した。
次に、上述のレジスト膜に対して電子線によりマスクパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。
【0098】
このレジストパターンをマスクとし、フッ素系ガス(CFガス)によりTaO膜を、塩素系ガス(Clガス)によりTaN膜をエッチング除去して、遮光膜パターンを形成した。
さらに、遮光膜パターン上に残ったレジストパターンを熱硫酸で除去し、バイナリマスクを得た。
【0099】
(実施例5)
本実施例は、EUV露光用マスクブランク及びEUV露光用マスクの製造方法の具体例である。前述の実施例3で得られたEUV露光用マスクブランク用ガラス基板上に、イオンビームスパッタリング装置を用いて、Si膜(膜厚:4.2nm)とMo膜(膜厚:2.8nm)を一周期として、40周期積層して多層反射膜を形成し、多層反射膜付き基板を得た。
次に、多層反射膜表面をブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)で欠陥検査を行った。その結果、0.1μmサイズの凹欠陥発生率は0%、0.1μmサイズの凸欠陥発生率は5%と非常に良好な結果が得られた。
【0100】
次に、DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、上記多層反射膜上にRuNbからなるキャッピング層(膜厚:2.5nm)と、TaBN膜(膜厚:56nm)とTaBO膜(膜厚:14nm)の積層膜からなる吸収体層を形成し、また、裏面にCrN導電膜(膜厚:20nm)を形成してEUV反射型マスクブランクを得た。
得られたEUV反射型マスクブランクについて、ブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICSM1350)で欠陥検査を行った。その結果、0.1μmサイズの凹欠陥発生率は0%、0.1μmサイズの凸欠陥発生率は8.3%と非常に良好な結果が得られた。
【0101】
次に、このEUV反射型マスクブランクを用いて、EUV反射型マスクを作製した。
まず、EUV反射型マスクブランク上に電子線描画用レジストをスピンコーティング法により塗布、ベーキングしてレジスト膜を形成した。
次に、上述のレジスト膜に対して電子線によりマスクパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。
【0102】
このレジストパターンをマスクとし、吸収体層をフッ素系ガス(CFガス)によりTaBO膜を、塩素系ガス(Clガス)によりTaBN膜をエッチング除去して、キャッピング層上に吸収体層パターンを形成した。
さらに、吸収体層パターン上に残ったレジストパターンを熱硫酸で除去し、EUV反射型マスクを得た。
【0103】
(実施例6)
本実施例は、半導体装置製造用インプリントモールド(マスターモールド)の製造方法の具体例である。
合成石英ガラス基板(サイズ152mm×152mm)を用いて、実施例1と同様にして両面研磨を行い、合計200枚のガラス基板を得た。なお、ガラス基板の表裏面はノッチマークで管理し、ノッチマークが形成されていないガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)を両面研磨装置の上定盤側になるようにセットして研磨を行った。
【0104】
この得られたガラス基板の主表面の表面粗さは、全てRMSで0.2nm以下と良好であった。
また、この得られたガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)の平坦度を平坦度測定器(Corning Tropel社製 UltraFlat200M)で測定した。なお、平坦度の測定領域は、142mm×142mmとした。
その結果、平坦度0.3μm以下のガラス基板は、全体の96.5%、平坦度0.2μm以下のガラス基板は、全体の79.5%と非常に良好な結果が得られた。
また、ガラス基板主表面の微小欠陥(凹欠陥、凸欠陥)を欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS6640)で測定した。その結果、0.1μmサイズの凹欠陥発生率は3.5%、0.1μmサイズの凸欠陥発生率は4.5%と非常に良好な結果が得られた。
【0105】
次に、上記のようにして得られた合成石英ガラス基板をスパッタリング装置に導入した。
そして、大気暴露は行わず、クロムターゲットをアルゴンと窒素の混合ガス(Ar:N流量比=70:30)でスパッタリングし、CrN層を2.3nmの厚みで成膜した。その後、形成したCrN層に対して大気中200℃、15分間のベーク処理を行って、CrN層の表面側を酸化させてハードマスク層を形成した。こうして、本実施例のモールドブランクを製造した。
【0106】
次いで、このモールドブランクのCrNからなるハードマスク層上に、電子線描画用レジスト(日本ゼオン社製ZEP520A)をスピンコートにより45nmの厚みに塗布し、ベーク処理を行って、レジスト層を形成した。
次に、電子線描画機を用いて、ハードマスク層12上に形成したレジスト層に対して、所望のモールドパターンを描画した後、レジスト層を現像して、所定のレジストパターンを形成した。
【0107】
次いで、上記レジストパターンが形成されたモールドブランクをドライエッチング装置に導入し、ClとOの混合ガスを用いたドライエッチングを行った。これにより、上記レジストパターンをマスクとして、ハードマスク層をパターニングして、ハードマスク層にパターンを形成した。そして、濃硫酸と過酸化水素水からなる硫酸過水(濃硫酸:過酸化水素水=2:1(体積比))を用いて残存するレジストパターンを除去した。
【0108】
さらに、ハードマスク層に対するドライエッチングで用いられたガスを真空排気した後、同じエッチング装置内で、ハードマスク層に形成したパターンをマスクとして、フッ素系ガスを用いたドライエッチング(CHF:Ar=1:9(体積比))によって、ガラス基板のエッチングによる掘り込みを行った。こうして、ガラス基板をエッチング加工して、所定の掘り込みパターンを形成した。
【0109】
最後に、ガラス基板上に残存するハードマスク層のパターンを、硝酸第二アンモニウムセリウムを用いたウェットエッチングにより除去した。
以上の工程を経て、適宜洗浄処理や乾燥処理等を行い、本実施例の半導体装置製造用インプリントモールド(マスターモールド)を製造した。
【0110】
(実施例7)
本実施例は、BPM製造用インプリントモールド(マスターモールド)の製造方法の具体例である。
本実施例では、基板として、外径150mm、厚み0.7mmの円盤状合成石英ガラス基板を用いた。実施例1と同様にして両面研磨を行い、合計200枚のガラス基板を得た。なお、ガラス基板の表裏面は、転写パターンが形成される第1の面(表面)と反対側の面(裏面)に凹状のマークを形成して管理し、この凹状マークが形成されていないガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)を両面研磨装置の上定盤側になるようにセットして研磨を行った。また、本実施例では円盤状基板を用いたため、研磨工程で使用する両面研磨装置におけるキャリアは、基板形状、厚みに応じて適宜調整した。
【0111】
この得られたガラス基板の主表面の表面粗さは、全てRMSで0.2nm以下と良好であった。
また、この得られたガラス基板主表面(転写パターンが形成される側のガラス基板主表面)の平坦度を平坦度測定器(Corning Tropel社製 UltraFlat200M)で測定した。なお、平坦度の測定領域は、142mm×142mmとした。
その結果、平坦度0.3μm以下のガラス基板は、全体の90.5%、平坦度0.2μm以下のガラス基板は、全体の78.0%と非常に良好な結果が得られた。
また、ガラス基板主表面の微小欠陥(凹欠陥、凸欠陥)を欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS6640)で測定した。その結果、0.1μmサイズの凹欠陥発生率は4.5%、0.1μmサイズの凸欠陥発生率は7.0%と非常に良好な結果が得られた。
【0112】
次に、上記のようにして得られた円盤状合成石英ガラス基板をスパッタリング装置に導入し、実施例6と同様にして、ガラス基板上にCrNからなるハードマスク層を形成した。こうして、本実施例のモールドブランクを製造した。
このモールドブランクを用いて、実施例6と同様の工程を経て、上記ガラス基板に所定の掘り込みパターンを形成し、本実施例のBPM製造用インプリントモールド(マスターモールド)を製造した。
【符号の説明】
【0113】
1 ガラス基板
2 ノッチマーク
10 下定盤
11 研磨パッド
20 上定盤
21 研磨パッド
30 太陽歯車
40 内歯歯車
50 キャリア
60 研磨液供給部
5 上定盤
6 下定盤
7 研磨パッド
100 インプリントモールドブランク
101 ガラス基板
102 ハードマスク層(薄膜)
110 マスターモールド
120 プリメサ基板
200 ワーキングモールド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドが貼り付けられ上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、複数のガラス基板を挟持し、該ガラス基板に前記上定盤側より研磨液を供給しながら、該ガラス基板の両主表面を両面研磨するマスクブランク用ガラス基板の製造方法であって、
前記ガラス基板の形状は四角形であり、かつ、該四角形のコーナー部において、一方の主表面と前記コーナー部を形成する2つの端面との3面を斜断面状に切り落としてなるノッチマークを少なとも1以上有するものであって、
前記ガラス基板の両面研磨は、前記ノッチマークが形成されていない一方の主表面を前記上定盤側にセットして行うことを特徴とするマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
【請求項2】
研磨パッドが貼り付けられ上下に対向して設けられた上定盤と下定盤との間に、複数のガラス基板を挟持し、該ガラス基板に前記上定盤側より研磨液を供給しながら、該ガラス基板の両主表面を両面研磨するマスクブランク用ガラス基板の製造方法であって、
前記両主表面は転写パターンが形成される第1の面と、該第1の面に対向して設けられた第2の面とを有し、
前記ガラス基板の両面研磨は、前記第1の面を前記上定盤側にセットして行うことを特徴とするマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
【請求項3】
前記両面研磨は、研磨液が異なる複数段階の研磨工程で行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
【請求項4】
前記複数段階の研磨工程は、前記両面研磨するガラス基板の枚数を同じにすることを特徴とする請求項3に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
【請求項5】
前記複数段階の研磨工程において、前記両面研磨するガラス基板の枚数の不足が発生した場合、別に用意したダミーガラス基板を投入して次の研磨工程を行うことを特徴とする請求項4に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
【請求項6】
前記ダミーガラス基板の板厚は、他のガラス基板の平均板厚と同じか又は小さいことを特徴とする請求項5に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法により製造された前記ガラス基板の前記主表面上に転写パターンとなる薄膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載のマスクブランクの製造方法により製造されたマスクブランクの前記薄膜をパターニングすることを特徴とするマスクの製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法により製造された前記ガラス基板の前記主表面上に転写パターンとなる薄膜を形成してインプリントモールドブランクを製造する工程と、
製造された前記インプリントモールドブランクの前記薄膜をパターニングして前記薄膜のパターンを形成する工程と、
前記薄膜パターンをマスクとして、前記ガラス基板をエッチング処理によりエッチング加工して前記ガラス基板に掘り込みパターンを形成する工程と
を有することを特徴とするインプリントモールドの製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−82612(P2013−82612A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−218563(P2012−218563)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】