ムラ検査用画像取得装置およびムラ検査装置並びに照射部の位置決定方法
【課題】照射部の発光ムラがムラ検査用画像に与える影響を抑制する。
【解決手段】ムラ検査用画像取得装置11は、基板9が載置されるステージ2、基板9の検査表面91に向けて照明光を照射する照射部3、検査表面91にて反射した照明光を受光する撮像部41を備える。撮像部41は、ラインセンサ411および撮像光学系412を備える。ラインセンサ411の各受光素子には、ムラ検査に必要な強度の光が入射する。撮像光学系412は、物体側において非テレセントリックであり、ラインセンサ411の位置と光学的に共役な合焦位置は、検査表面91から撮像部41側にずれて位置する。ムラ検査用画像取得装置11では、照射部3と検査表面91との間の光軸J1に沿う方向における距離が100mm以上である。これにより、照射部3の発光ムラがムラ検査用画像に与える影響を抑制することができる。
【解決手段】ムラ検査用画像取得装置11は、基板9が載置されるステージ2、基板9の検査表面91に向けて照明光を照射する照射部3、検査表面91にて反射した照明光を受光する撮像部41を備える。撮像部41は、ラインセンサ411および撮像光学系412を備える。ラインセンサ411の各受光素子には、ムラ検査に必要な強度の光が入射する。撮像光学系412は、物体側において非テレセントリックであり、ラインセンサ411の位置と光学的に共役な合焦位置は、検査表面91から撮像部41側にずれて位置する。ムラ検査用画像取得装置11では、照射部3と検査表面91との間の光軸J1に沿う方向における距離が100mm以上である。これにより、照射部3の発光ムラがムラ検査用画像に与える影響を抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物上に存在するムラを検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示装置用のガラス基板や半導体基板等(以下、単に「基板」という。)の主面上に形成された配線パターン間のピッチのムラ等の微細パターンのムラや、基板上に形成されたレジスト膜の膜厚ムラ等の検査が行われている。ムラ検査では、基板上に十分な強度の光を均一に照射する必要がある。
【0003】
特許文献1に開示されるライン照明装置は、光源、光ファイバ束を有するライン型ライトガイド、および、ライン型ライトガイドの光出射端に接続されるシート状光伝送体を備える。ライン型ライトガイドでは、光出射端において複数の光ファイバがライン状に整列される。シート状光伝送体は、コア部およびコア部を覆うクラッド層を備え、コア部は、光ファイバの配列方向に延びる。ライン照明装置では、光源から出射された光がライン型ライトガイドの光ファイバを介してシート状光伝送体内へと導かれる。シート状光伝送体では、光が内面反射を効率よく繰り返しつつ出光端面から出射される。これにより、明るくかつ照射光量の均一性が向上したライン照明光が得られる。
【0004】
特許文献2に開示されるムラ検査装置は、表示装置に用いられる基板上に形成されたパターン形成用のレジスト膜の膜厚ムラを検査する装置であり、基板を保持するステージ、基板上の膜に光を照射する光照射部、および、膜にて反射された干渉光を受光する撮像部を備える。ステージは、所定の移動方向に基板を保持した状態で移動する。光照射部は、移動方向に垂直な方向に伸びる。光照射部により基板上の膜に所定の入射角にて光が照射され、光照射部からの光のうち膜にて反射された特定波長の干渉光が撮像部にて受光され、膜を示す元画像が取得される。元画像は補正され、補正後の画像における所定の空間周波数帯域の振幅の度合いが膜厚ムラとして検出される。
【0005】
なお、このようなムラ検査装置では、光照射部が棒状であり、撮像位置における光照射部の像を長くするために、光照射部が近接して配置される。これにより、光照射部の移動方向に垂直な方向における長さを短くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−205951号公報
【特許文献2】特開2007−57521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に示されるライン照明装置では、構造が複雑であり、当該ライン照明装置を有するムラ検査装置の製造コストが増大してしまう。一方、ムラ検査装置では、照明光の不均一に起因する画像のムラを防止するために、ムラが存在しない場合に画像の各画素の値が均一となるように補正する、いわゆるシェーディング補正が行われる場合がある。しかし、シェーディング補正後に、照射部、撮像部および対象物の相対位置が僅かにずれたり、照射部等に埃が進入すると、撮像部に入射する照明光の強度分布が変化し、照明光の不均一を解消することができない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、照射部の発光ムラがムラ検査用画像に与える影響を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、対象物上に存在するムラを検査するための画像を取得するムラ検査用画像取得装置であって、対象物が載置されるステージと、前記ステージに平行なライン状の発光領域から前記対象物の検査表面に向けて照明光を照射する照射部と、前記検査表面にて反射した照明光を、前記ステージに平行かつ光軸に垂直な方向に受光素子が配列されたラインセンサにて受光する撮像部と、前記ステージを前記照射部および前記撮像部に対して、前記ステージに平行な方向に相対的に移動する移動機構とを備え、前記撮像部の撮像光学系において、前記ラインセンサの位置と光学的に共役な位置である合焦位置が、前記検査表面から前記撮像部側にずれて位置し、前記撮像光学系が物体側において非テレセントリックであり、前記撮像部から前記検査表面を経由して前記照射部へと至る前記光軸上において、前記照射部と前記検査表面との間の距離が、100mm以上であり、かつ、前記ラインセンサの各受光素子に、ムラ検査に必要な強度の光が入射する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のムラ検査用画像取得装置であって、設計上の距離だけ前記照射部と前記撮像部とを離して配置し、かつ、合焦位置を前記発光領域上に合わせた場合の前記ラインセンサの位置における前記発光領域の像のうち、ムラ検査に必要な強度を有する領域の幅である安定強度幅をW、前記ステージの移動の際の前記ステージの振れに起因する前記ラインセンサの位置での前記光軸および前記ラインセンサに垂直な縦方向の振れ量を(±L)として、前記合焦位置を設計上の位置に一致させ、前記発光領域の位置に点光源を配置した場合の前記受光素子の位置における点像の直径dが、d<(W−2L)を満たす。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のムラ検査用画像取得装置であって、前記照射部の取り付け精度に起因する前記縦方向における最大ずれ量を(±a)として、前記直径dが、d<(W−2L−2a)を満たす。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のムラ検査用画像取得装置であって、前記対象物が、表示装置に用いられるガラス基板である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、対象物上に存在するムラを検査するムラ検査装置であって、請求項1ないし4のいずれかに記載のムラ検査用画像取得装置と、前記ムラ検査用画像取得装置にて取得された画像に基づいてムラを検査する検査部とを備える。
【0014】
請求項6に記載の発明は、対象物上に存在するムラを検査するムラ検査装置における照射部の位置決定方法であって、前記ムラ検査装置が、対象物が載置されるステージと、前記ステージに平行なライン状の発光領域から前記対象物の検査表面に向けて照明光を照射する照射部と、前記検査表面にて反射した照明光を、前記ステージに平行かつ光軸に垂直な方向に受光素子が配列されたラインセンサにて受光する撮像部と、前記ステージを前記照射部および前記撮像部に対して、前記ステージに平行な方向に相対的に移動する移動機構とを備え、前記照射部の位置決定方法が、前記撮像部から前記検査表面を経由して前記照射部へと至る前記光軸上において、前記照射部と前記検査表面との間の距離が、100mm以上となるように前記照射部の位置を仮決定する工程と、設計上の距離だけ前記照射部と前記撮像部とを離して配置し、かつ、合焦位置を前記発光領域上に合わせた場合の前記ラインセンサの位置における前記発光領域の像のうち、ムラ検査に必要な強度を有する領域の幅である安定強度幅Wを取得する工程と、前記合焦位置を設計上の位置に一致させ、前記発光領域の位置に点光源を配置した場合の前記受光素子の位置における点像の直径dを取得する工程と、前記ステージの移動の際の前記ステージの振れに起因する前記ラインセンサの位置での前記光軸および前記ラインセンサに垂直な縦方向の振れ量(±L)を取得する工程と、前記直径dが、d<(W−2L)を満たすことを確認した上で前記仮決定した位置を確定する工程とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、照射部の発光ムラがムラ検査用画像に与える影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】基板処理システムの平面図である。
【図2】基板処理システムの正面図である。
【図3】第1の実施の形態に係るムラ検査装置を示す図である。
【図4】ムラ検査の流れを示す図である。
【図5】照射部の位置の決定の流れを示す図である。
【図6】照射部の位置の決定の流れを示す図である。
【図7】照射部および撮像部を示す図である。
【図8】発光領域の像を示す図である。
【図9】点像を示す図である。
【図10】シリンドリカルレンズの表面の像を示す図である。
【図11】発光領域の像を示す図である。
【図12】第2の実施の形態に係るムラ検査装置を示す図である。
【図13】波長帯切替機構を示す図である。
【図14】ムラ検査の流れを示す図である。
【図15】ムラ検査の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係るムラ検査装置104が配置された基板処理システム100の構成を示す概略平面図であり、図2は、基板処理システム100の概略正面図である。基板処理システム100は、液晶表示装置等に用いられるガラス基板9(以下、単に「基板9」という。)を搬出入する移載装置110を備え、移載装置110に隣接して、カセットステーション120を備える。カセットステーション120には、複数の基板9を収容するカセット121が載置される。移載装置110は、基板搬送装置111を備える。基板搬送装置111は、搬送アーム112を備え、搬送アーム112は、水平方向および上下方向に移動可能である。
【0018】
基板処理システム100は、移載装置110に隣接して、ムラ検査ユニット101をさらに備える。基板搬送装置111は、搬送アーム112を用いてカセット121から処理前の基板9を1枚ずつ取り出し、基板搬出入口102に搬送アーム112を挿入することによりムラ検査ユニット101に基板9を搬入する。ムラ検査ユニット101にて基板9の検査が終了すると、基板9は、搬送アーム112により搬出され、カセット121へと戻される。
【0019】
ムラ検査ユニット101は、基板搬出入口102側から受け渡し部103と、ムラ検査装置104とを備え、これらを収容するハウジング105をさらに備える。ハウジング105の外壁には、操作部106として、タッチパネル107とモニタ108とが設けられる。受け渡し部103は、複数の支持ピン131と、支持ピン131が上面に固定された保持板132と、保持板132を昇降する昇降機構133とを備える。ムラ検査装置104のステージ2は、受け渡し部103の上方へと移動可能であり、ステージ2には支持ピン131が挿脱可能な多数の孔が設けられる。
【0020】
ステージ2が受け渡し部103の上方に位置し、かつ、複数の支持ピン131がステージ2の上面から上方に突出している状態で、基板9が支持ピン131上に載置される。その後、支持ピン131が下降することにより、基板9がステージ2上に載置される。基板9がステージ2から取り上げられる場合は、逆の動作が行われる。また、ステージ2としては基板9を浮上させて水平に保持する浮上ステージを採用してもよい。
【0021】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るムラ検査装置104の概略構成を示す図である。ムラ検査装置104は、基板9の一方の主面91上に存在する配線パターン間のピッチのムラ等の微細パターンのムラを検査する。以下、基板9の主面91を「検査表面91」という。ムラ検査装置104は、検査表面91上に存在する微細パターンのムラを検査するための画像を取得するムラ検査用画像取得装置11、ムラ検査用画像取得装置11にて取得された画像に基づいて微細パターンのムラを検査する検査部12、並びに、ムラ検査用画像取得装置11および検査部12を制御する制御部8を備える。
【0022】
ムラ検査用画像取得装置11は、基板9が載置されるステージ2、基板9の検査表面91に向けて照明光を照射する照射部3、検査表面91にて反射した照明光(以下、「反射光」という。)を受光する撮像部41、および、移動機構21を備える。実際には、移動機構21は十分に長く、ステージ2は図1の受け渡し部103まで移動可能である。
【0023】
移動機構21は、モータ211およびガイド212を備え、モータ211にはボールねじ(図示省略)が接続される。移動機構21では、モータ211が回転することにより、照射部3および撮像部41に対してステージ2がガイド212に沿って図3中のX方向、すなわち、ステージ2に平行かつY方向に垂直な方向に移動する。なお、図3中のX方向、Y方向およびZ方向は互いに垂直であり、Z方向が上下方向に対応する。
【0024】
照射部3は、白色光(すなわち、可視領域の全ての波長帯の光を含む光)を出射する光源であるハロゲンランプ31、石英ロッド32、および、シリンドリカルレンズ33を備える。図3では図示を省略しているが、図2に概略を示すように、石英ロッド32およびシリンドリカルレンズ33は1つのホルダに保持される。石英ロッド32は、ステージ2に平行かつ光軸J1に垂直な方向であるY方向に伸びる円柱状である。図3では、撮像部41から検査表面91を経由して照射部3に至る光軸J1を一点鎖線にて示している。ハロゲンランプ31は、石英ロッド32の(±Y)両側の端部に取り付けられる。シリンドリカルレンズ33はY方向に伸びる。石英ロッド32のシリンドリカルレンズ33とは反対側の背面には、石英ロッド32の全長に亘って拡散部材321が塗布されている。ハロゲンランプ31から石英ロッド32に入射した光は、石英ロッド32中をY方向に伝播しつつ石英ロッド32の拡散部材321にて拡散され、シリンドリカルレンズ33に向かってY方向に伸びるおよそ線状の照明光(すなわち、光束断面がY方向に長い線状となる光)として出射される。照明光はシリンドリカルレンズ33を介して基板9の検査表面91へと導かれる。以下、拡散部材321が塗布された石英ロッド32の領域を「発光領域34」と呼ぶ。
【0025】
照射部3と検査表面91との間の光軸J1に沿う方向における距離は100mm以上250mm以下である。照射部3から基板9に入射する光の検査表面91に対する入射角(すなわち、光軸J1が検査表面91の法線方向となす角度)θ1は50°以上65°以下であり、本実施の形態では60°である。
【0026】
撮像部41は、複数の受光素子がY方向に直線状に配列されたラインセンサ411、および、撮像光学系412を備える。本実施の形態では、受光素子としてCCD(Charge Coupled Device)が利用される。撮像光学系412において、ラインセンサ411の受光面の位置である受光位置と光学的に共役な位置である合焦位置は、検査表面91から撮像部41側にずれて位置する。ラインセンサ411は、撮像光学系412を介して検査表面91からの反射光を受光し、受光した光の強度分布(すなわち、各受光素子からの出力値のY方向における分布)を取得する。撮像光学系412は、基板9からの反射光をラインセンサ411へと導くレンズ等を有し、照射部3側である物体側において非テレセントリックである。すなわち、光軸J1に沿って照射部3を基板9上の照射領域から遠ざけると、受光位置における照射部3の像が小さくなる。
【0027】
検査部12は、ラインセンサ411からの出力を受け付けて基板9の検査表面91の2次元画像を生成する画像生成部71、および、画像生成部71により生成された2次元画像の各画素の画素値から検査表面91上の微細パターンのムラを検出するムラ検出部72を備える。本実施の形態では、2次元画像の濃淡に基づいて基板9上に存在するムラが許容範囲内のものであるか否かが検査される。
【0028】
次に、ムラ検査装置104によるムラ検査の流れについて説明する。図4は、ムラ検査装置104による検査の流れを示す図である。ムラ検査装置104により基板9の検査表面91上の微細パターンのムラが検査される際には、まず、図3中に実線にて示す検査開始位置に位置するステージ2上に基板9が保持され、基板9およびステージ2の(+X)方向への移動が開始される(ステップS11)。続いて、照射部3から出射された照明光が、検査表面91上(以下、およそ直線状に照射される領域を「線状照射領域」という。)に照射され(ステップS12)、線状照射領域が基板9に対して相対的に移動する。
【0029】
照明光は基板9の検査表面91にて反射し、撮像部41に入射する。撮像部41では、検査表面91からの反射光がラインセンサ411により受光され、反射光の強度分布が取得される(ステップS13)。ラインセンサ411の各受光素子からの出力値は、検査部12の画像生成部71へと送られる。
【0030】
ムラ検査装置104では、制御部8により、基板9およびステージ2が図3中に二点鎖線にて示す検査終了位置まで移動したか否かが基板9の移動中に繰り返し確認されており(ステップS14)、検査終了位置まで移動していない場合には、ステップS13に戻って反射光の受光および強度分布の取得が繰り返される。ムラ検査装置104では、ステージ2が(+X)方向に移動している間、ステップS13,S14の動作が繰り返されて反射光の強度分布がステージ2の移動に同期して繰り返し取得されることにより、基板9の全体おける強度分布が取得される。
【0031】
基板9およびステージ2が検査終了位置まで移動すると、移動機構21による基板9およびステージ2の移動が停止され、照明光の照射も停止される(ステップS15)。検査部12の画像生成部71では、撮像部41により取得された反射光の強度分布に基づいて検査表面91の2次元画像が生成される(ステップS16)。以下、当該2次元画像を「ムラ検査用画像」という。
【0032】
生成されたムラ検査用画像は、必要に応じてディスプレイ等の表示装置に表示され、さらに、検査部12のムラ検出部72により、ムラ検査用画像に基づいて微細パターンのムラの検出が行われる(ステップS17)。
【0033】
既述のように、ムラ検査装置104では、撮像部41の撮像光学系412の合焦位置が検査表面91から撮像部41側にずれることから、検査表面91上に微小な突起等の欠陥が存在しても、ムラ検査用画像には、欠陥がぼけた状態にて写り、欠陥が微細パターンのムラの検出に影響を及ぼすことが防止される。
【0034】
また、図3に示す照射部3では、石英ロッド32やシリンドリカルレンズ33への埃の付着や、拡散部材321のY方向における塗布ムラにより、照射部3から出射される照明光の強度分布が図3におけるY方向において不均一となる虞がある。仮に、従来技術と同様に、照射部3を検査表面91に近接して配置した場合、ムラ検査用画像には、照射部3に起因する照明光のY方向におけるムラ(以下、「発光ムラ」という。)が生じ、検査表面91の許容範囲外の微細パターンのムラとして誤検出する虞がある。これに対し、ムラ検査装置104では、照射部3と検査表面91との間の光軸J1に沿う方向における距離が100mm以上であり、照射部3が、撮像部41の合焦位置から大きく離れている。その結果、発光ムラがムラ検査用画像に与える影響を抑制することができる。
【0035】
次に、ムラ検査用画像取得装置11における照射部3の位置の決定作業について図5および図6を参照しつつ説明する。まず、図3の検査表面91に対する撮像部41の位置が決定される。また、光軸J1に沿う方向において検査表面91との間の距離が100mm以上250mm以下の範囲において、照射部3の位置が仮決定される。以下、決定された撮像部41の位置を「撮像位置」といい、仮決定された照射部3の位置を「仮照射位置」という。
【0036】
次に、図7に示すように、撮像部41と照射部3とが一定の距離だけ離して配置される(ステップS21)。当該距離は、撮像部41を撮像位置に配置し、照射部3を仮照射位置に配置した場合に、撮像部41から検査表面91を経由して照射部3へと至る光軸J1上における設計上の距離に等しい。撮像部41では、合焦位置が、照射部3の発光領域34上に合わされる。
【0037】
照射部3から撮像部41に向けて照明光が出射されると、光軸J2およびラインセンサ411の受光素子の配列に垂直なZ方向において照射部3に対する撮像部41の位置を上下にずらしつつ発光領域34が撮像される。これにより、図8に示すように、ラインセンサ411の位置(受光位置)における発光領域34の2次元の像61が取得される(ステップS22)。さらに、像61を所定の閾値で2値化することにより、像61のうち、ムラ検査に必要な強度として予め定められた強度を有する領域の幅である安定強度幅Wが求められる(ステップS23)。図8では、像61の上下の端を破線にて示し、ムラ検査に必要な強度を有する領域の上下の端を実線にて示している。
【0038】
次に、図7の照射部3の手前に図示省略のピンホールを近接して配置する。撮像部41の合焦位置は、図3のムラ検査用画像取得装置11における設計上の合焦位置に対応する位置に一致される。Z方向において撮像部41の位置を上下にずらしつつピンホールからの光が受光素子に受光される(ステップS24)。照射部3と撮像部41とは十分に離れていることから、ピンホールからの光は、発光領域34の位置に点光源を配置した場合に点光源から出射される光に相当する。上記作業により、図9に示すように、ラインセンサ411の受光素子の位置における点像62が取得される。点像62の強度を予め定められた閾値にて2値化し、閾値を超えた範囲の直径が点像62の直径dとして取得される(ステップS25)。閾値は、実際の測定環境においてムラ検査が可能であると考えられる光の強度として予め決められる。本実施の形態では、点像62の最大強度に対して10%の強度が閾値とされる。なお、点像62の最大強度の50%の強度が閾値とされてもよい。
【0039】
次に、図3に示すように、撮像部41および照射部3がそれぞれ、ステージ2の上方の設計上の撮像位置および仮照射位置に配置される(ステップS26)。撮像部41の合焦位置は、照射部3のシリンドリカルレンズ33の表面上に合わされる。図10は、受光位置におけるシリンドリカルレンズ33の表面の像63(以下、「レンズ表面像63」という。)を示す図である。実際には、ラインセンサ411にて取得されるライン画像は、レンズ表面像63中にて左右に伸びる微小な1ライン分の画像である。以下の説明では、レンズ表面像63中のライン画像の位置を「取得位置」という。図10では、二点鎖線にて、レンズ表面の中心位置631を示している。
【0040】
図3のシリンドリカルレンズ33の表面には、予め、二等辺三角形の複数の目印が付されており、図10に示すように、レンズ表面像63中に目印の一部が存在する。以下の説明では、レンズ表面像64のうち、目印を示す部分を「目印632」という。
【0041】
撮像部41および照射部3がそれぞれ、撮像位置および仮照射位置に配置されると、ステージ2が(+X)方向に移動する。このとき、ステージ2にはZ方向における僅かな振れが発生する。ステージ2の振れに同期して発光領域34の像が、図10の上下方向に変動する。以下、図10の上下方向である、図3の光軸J1およびラインセンサ411に垂直な方向を、単に「縦方向」という。換言すれば、中心位置631に対するライン画像の取得位置の相対的な振れが生じる。
【0042】
図10では、取得位置の中心位置631よりも上側への振れが最大となる位置635a、および、下側への振れが最大となる位置635bを破線にて示している。既述のように、実際には、受光素子に対してレンズ表面像63が相対的に振れる。また、レンズ表面像63は、中心位置631に対して上下に同様に振れる訳ではないが、図10では、中心位置631を中心に上下に振れるものとして描いている(図11においても同様)。以下、位置635aを「上側最大振れ位置635a」といい、位置635bを「下側最大振れ位置635b」という。また、上側最大振れ位置635aにおける中心位置631からの変位量を(+L)、下側最大振れ位置635bにおける中心位置631からの変位量を(−L)として示している。変位量(±L)は、ステージ2が移動する際のステージ2の振れに起因するラインセンサ411の位置での縦方向における照射部3の像の振れ量である。
【0043】
この距離2Lは、上側最大振れ位置635aにて取得されたライン画像中の目印632の幅をH1、下側最大振れ位置635bにて取得されたライン画像中の目印632の幅をH2、目印632の底角をθ2として、幅H1と幅H2との差の絶対値の1/2にtanθ2を乗じたものとして算出される(ステップS27)。なお、θ2は、目印632の斜辺と水平方向とのなす角である。実際には、レンズ表面像63の傾きも求められ、振れ量(±L)は、レンズ表面像63の傾きを含めた最大振れ量として求められる。
【0044】
ムラ検査用画像取得装置11では、照射部3の設計上の取付精度が予め定められており、取付精度に起因してライン画像の本来の取得位置に対して発光領域34の像61のずれが生じる。以下の説明では、照射部3の取付精度に起因する取得位置の上下方向への相対的な最大ずれ量を(±a)と表現する。
【0045】
図11は、図8と同様の発光領域34の像61を示す図である。図11では、上側および下側最大振れ位置635a,635bの中心位置631からの振れ量(±L)、および、照射部3の取付精度に起因する最大ずれ量(±a)を振れ量(±L)に加えるように示している。また、図9の点像62も示している。
【0046】
発光領域34の像61は、実際の装置では、点像62と同様にぼけるため、ラインセンサ411の取得位置が存在可能な縦方向の範囲は、安定強度幅Wから点像62の直径dを減じたものとなる。正確には、発光領域34の像61に点像62をたたみ込むことにより、安定強度幅Wは、(W−d)へと減少するように点像62の直径dが予め定められている。一方、ラインセンサ411の取得位置は、(±(L+a))だけ変動する可能性があるため、(W−d)が(2L+2a)よりも大きくなければ、ラインセンサ411の取得位置をどのように調整しても、適正な強度の光を受光することができない可能性がある。
【0047】
そこで、照射部3の位置調整では、点像62の直径dが、d<(W−2L−2a)を満たすか否かが確認される(ステップS28)。直径dが上記条件を満たす場合、ムラ検査に必要な強度の光をラインセンサ411の各受光素子に容易に入射させることができる。そして、仮照射位置が、ムラ検査用画像取得装置11における照射部3の位置として確定され(ステップS29)、照射部3の位置の決定作業が終了する。
【0048】
一方、直径dが、d<(W−2L−2a)を満たさない場合、再度、ステップS21〜S28が行われる。なお、上側および下側最大振れ位置635a,635bの縦方向における距離2Lは、既に求められているものが再度用いられてもよい。そして、直径dが上記条件を満たすと、再設定した仮照射位置が、ムラ検査用画像取得装置11における照射部3の位置として確定する(ステップS29)。直径dが上記条件を満たさない場合は、上記条件が満たされるまでステップS21〜S28が繰り返される。
【0049】
ムラ検査装置104では、照射部3の位置が決定された後に、撮像部41にて取得される画像の各画素に対して光の強度が均一となるように補正する、いわゆるシェーディング補正の設定が行われる。これにより、取得された画像に対して、照射部3の発光ムラやラインセンサ411の各受光素子の感度の不均一による影響をより抑えることができる。
【0050】
以上、ムラ検査装置104の構造および動作並びに照射部3の位置の決定作業について説明したが、ムラ検査装置104では、照射部3と検査表面91との間の光軸J1に沿う方向における距離が、100mm以上となるように十分に大きくされることにより、照射部3の発光ムラがムラ検査用画像に与える影響を抑制することができる。ムラ検査装置104では、高い均一性を有する照射部を使用したり、他のレンズや拡散板等の光学素子を別途用いることなく、発光ムラの影響を抑えることができるため、ムラ検査装置104の製造コストを抑えることができる。
【0051】
照射部3の位置の決定作業では、安定強度幅Wの閾値にある程度の余裕が与えられているため、照射部3の設置に起因するずれ量(±a)が十分に小さい場合は、点像62の直径dが、d<(W−2L)を満たすことが確認されるのみでもよい。これにより、ムラ検査に必要な強度の光をラインセンサ411の各受光素子に入射させることができる。以下の第2の実施の形態においても同様である。また、ムラ検査装置104では、ラインセンサ411の受光素子にムラ検査に必要な強度の光が入射するのであれば、光軸J1における照射部3と検査表面91との間の距離を250mm以上としてもよい。以下の第2の実施の形態においても同様である。
【0052】
図12は、第2の実施の形態に係るムラ検査装置104の概略構成を示す図である。ムラ検査装置104は、基板9の検査表面91上に形成されたパターン形成用のレジスト膜92の膜厚ムラを検査する。以下、レジスト膜92を単に「膜92」という。基板9上の膜92は、検査表面91上にレジスト液を塗布することにより形成される。ムラ検査用画像取得装置11では、撮像部41に波長帯切替機構5が設けられる。波長帯切替機構5は、撮像部41が受光する光の波長帯を切り替える。以下、撮像部41および波長帯切替機構5をまとめて「受光部4」という。ムラ検査装置104の他の構造は、第1の実施の形態と同様である。また、照射部3の位置の決定作業は、第1の実施の形態と同様である。ただし、波長帯切替機構5により切り替えられる複数の波長帯において図5および図6のステップS22〜S27が行われ、ステップS28にてこれらの各波長帯にてd<(W−2L−2a)が満たされるか否かが確認される。以下、同様の構成には同符号を付して説明する。
【0053】
第1の実施の形態と同様に、照射部3と検査表面91との間の光軸J1に沿う方向における距離は100mm以上250mm以下である。照射部3から基板9に入射する光の検査表面91に対する入射角θ1は50°以上65°以下であり、本実施の形態では、60°である。
【0054】
照射部3から出射された光の一部は、基板9の検査表面91上の膜92の(+Z)側の面(以下、「膜上面」という。)にて反射される。膜92は照射部3からの光に対して光透過性を有しており、照射部3からの光のうち膜上面にて反射されなかった光は、膜92を透過して基板9の検査表面91(すなわち、膜92の下面)にて反射される。なお、ステージ2の基板9が載置される(+Z)側の表面は、好ましくは黒色艶消しとされる。ムラ検査装置104では、基板9における膜上面にて反射された光と基板9の検査表面91にて反射された光との干渉光(以下、単に「反射光」という。)が、波長帯切替機構5を経由して受光部4に入射する。
【0055】
波長帯切替機構5は、互いに異なる複数の狭い波長帯の光を選択的にそれぞれ透過する複数の光学フィルタ(例えば、半値幅10nmの干渉フィルター)51、複数の光学フィルタ51を保持する円板状のフィルタホイール52、および、フィルタホイール52の中心に取り付けられてフィルタホイール52を回転するフィルタ回転モータ53を備える。フィルタホイール52は、その法線方向が基板9から受光部4に至る光軸J1に平行になるように配置される。
【0056】
図13は、波長帯切替機構5を基板9側からフィルタホイール52に垂直な方向に沿って見た図である。図13に示すように、フィルタホイール52には、6つの円形の開口521が周方向に等間隔に形成されており、そのうちの5つの開口521には互いに透過波長帯が異なる5種類の光学フィルタ51が取り付けられている。
【0057】
図12に示す波長帯切替機構5では、制御部8に制御されるフィルタ回転モータ53によりフィルタホイール52が回転し、5つの光学フィルタ51のうち、検査対象となる膜92の膜厚や屈折率等に応じていずれか1つの光学フィルタ51(以下、他の光学フィルタ51と区別するために、「選択光学フィルタ51a」という。)が選択され、基板9から受光部4に至る光軸J1上に配置される。これにより、基板9からの反射光(すなわち、5つの光学フィルタ51に対応する5つの透過波長帯の光を含む白色光の反射光)のうち、光軸J1上に配置された選択光学フィルタ51aに対応する特定の波長帯(以下、「選択波長帯」という。)の光のみが、選択光学フィルタ51aを透過して受光部4へと導かれる。
【0058】
そして、フィルタ回転モータ53によりフィルタホイール52が回転すると、複数の光学フィルタ51のうち照射部3から受光部4に至る光軸J1上に配置された選択光学フィルタ51aが他の光学フィルタ51に切り替えられ、受光部4が受光する光の波長帯(すなわち、選択波長帯)が変更される。このように、フィルタ回転モータ53およびフィルタホイール52は光学フィルタ切替機構となっている。
【0059】
次に、ムラ検査装置104による膜厚ムラの検査の流れについて説明する。図14および図15は、ムラ検査装置104による検査の流れを示す図である。ムラ検査装置104により検査表面91上の膜92の膜厚ムラが検査される際には、まず、図12中に実線にて示す検査開始位置に位置するステージ2上に基板9が保持された後、基板9およびステージ2の(+X)方向への移動が開始される(ステップS31)。続いて、照射部3から出射された照明光が、検査表面91上の線状照射領域に照射され(ステップS32)、線状照射領域が基板9に対して相対的に移動する。
【0060】
照射部3からの光は検査表面91にて反射し、選択光学フィルタ51aを透過することにより特定の波長帯(例えば、中心波長が550nm、半値幅が10nm)の光のみが取り出された後、受光部4へと導かれる。受光部4では、反射後の選択波長帯の光がラインセンサ411により受光され、反射光の選択波長帯における強度分布が取得される(ステップS33)。ラインセンサ411の各受光素子からの出力値は、検査部12の画像生成部71へと送られる。
【0061】
ムラ検査装置104では、制御部8により、基板9およびステージ2が図12中に二点鎖線にて示す検査終了位置まで移動したか否かが基板9の移動中に繰り返し確認されており(ステップS34)、検査終了位置まで移動していない場合には、ステップS33に戻って選択波長帯の光の強度分布の取得が繰り返される。ムラ検査装置104では、ステージ2が(+X)方向に移動している間、ステップS33,S34の動作が繰り返されて反射光の強度分布がステージ2の移動に同期して繰り返し取得されることにより、基板9の全体における検査表面91からの反射光の選択波長帯における強度分布が取得される。
【0062】
そして、基板9およびステージ2が検査終了位置まで移動すると(ステップS34)、移動機構21による基板9およびステージ2の移動が停止され、照明光の照射も停止される(ステップS35)。検査部12の画像生成部71では、受光部4により取得された反射光の選択波長帯における強度分布に基づいてムラ検査用画像が生成される(ステップS36)。検査部12のムラ検出部72により、複数のムラ検査用画像に基づいて膜厚ムラの検出が行われる(ステップS37)。
【0063】
ところで、膜92の反射率は、膜厚の変動に対して周期性をもって変動する。膜92の反射率の極大点近傍および極小点近傍の領域では、膜厚の変動に対する反射率の変動の割合が非常に小さくなる。以下、当該領域を「低感度領域」という。低感度領域では、膜厚の変動が小さい場合、ムラ検査用画像において画素値がほとんど変動せず、ムラ検出部72による膜厚ムラの検出の精度が低下してしまう。
【0064】
そこで、ムラ検査装置104では、上述のように1回目の膜厚ムラの検出を行った後(ステップS38)、制御部8によりフィルタ回転モータ53が駆動されてフィルタホイール52が回転し、他の光学フィルタ51が基板9から受光部4に至る光軸J1上に配置されて波長帯切替機構5における選択波長帯が変更される(ステップS381)。選択波長帯が変更されることにより、膜厚の低感度領域が変化する。そして、移動機構21によりステージ2が検査開始位置に戻され、再びステージ2の移動が開始される。ムラ検査装置104では、ステージ2が検査終了位置に到達するまで、照射部3により検査表面91に照明光を照射しつつ、撮像部41にて1回目のムラ検出時とは異なる選択波長帯の反射光が受光され、反射光の強度分布がステージ2の移動に同期して繰り返し取得される(ステップS31〜S35)。
【0065】
画像生成部71では、検査表面91のムラ検査用画像が生成され(ステップS36)、ムラ検出部72により、検査表面91上の膜92の膜厚ムラが検出される(ステップS37)。2回目の膜厚ムラの検出が終了すると(ステップS38)、1回目および2回目の検出結果に基づき、膜92の膜厚ムラが最終的に検出されてムラ検査装置104による膜厚ムラの検出が終了する。選択波長帯を変更して膜厚ムラの検出を少なくとも2回行うことにより、1回目のムラ検出時に低感度領域に含まれていた部分についても、膜厚変動を精度良く検出することができる。
【0066】
第2の実施の形態においても、ムラ検査装置104の照射部3と検査表面91との間の光軸J1に沿う方向における距離が、100mm以上であることにより、照射部3が合焦位置から十分に離れ、照射部3の発光ムラがムラ検査用画像に与える影響を抑制することができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。照射部3の位置の決定作業では、点像の直径を様々な手法にて求めてよい。例えば、撮像部41の合焦位置をムラ検査装置104の設計上の位置に一致させた場合のこの合焦位置における点像の直径を計算により求め、撮像光学系412の倍率を上記点像の直径に掛けたものが、点光源を発光領域34の位置に配置した場合における受光素子の位置での点像の直径として求められてもよい。これにより、点像の直径を測定する作業が不要となり、照射部3の位置の決定作業を短縮することができる。
【0068】
検査部12では、点像62の直径d、安定強度幅W、ステージ2に起因する振れ量(±L)、および、照射部3の取付精度に起因する最大ずれ量(±a)に関して、d<(W−2L−2a)を満たすか否かが確認されるが、(W−d)が、(W−d)>(2L+2a)を満たすか否かが確認されてもよい。この場合、安定強度幅Wおよび直径dをそれぞれ個別に求めて(W−d)を算出する方法以外に、発光領域34の2次元の像61に点像62をたたみ込む、すなわち、像61の強度分布に点像62に対応するPSF(点広がり関数:Point Spread Function)をたたみ込んで2値化することにより(W−d)を算出することができる。さらに、撮像部41の合焦位置を設計上の位置に合わせて安定強度幅を求め、これを(W−d)とみなしてもよい。
【0069】
上記第1の実施の形態では、ステージ2を固定し、照射部3および撮像部41に移動機構を設けることにより、ステージ2を照射部3および撮像部41に対して相対的に移動させてもよい。第2の実施の形態においても同様である。
【0070】
第2の実施の形態では、波長帯切替機構5が、必ずしも基板9から受光部4に至る光軸J1上に配置される必要はなく、例えば、照射部3から基板9に至る光軸J1上に配置されてもよい。また、波長帯切替機構5による選択波長帯の切り替えは、複数の光学フィルタ51の切り替えには限定されず、互いに異なる複数の波長帯の光を出射する複数の光源が照射部3に設けられ、複数の光源が制御されることにより、照射部3から出射される光の波長帯が切り替えられてもよい。
【0071】
上記実施の形態に係るムラ検査装置104では、基板9上の微細パターンのムラや膜厚ムラの検査は、ディスプレイ等に表示されたムラ検査用画像を作業者が目視して参照用画像と比較することにより行われてもよい。ムラ検査装置104では、有機EL(Electro- Luminescence)表示装置やプラズマディスプレイ等の他のフラットパネルディスプレイ用のガラス基板や半導体基板等がムラ検査の対象物とされてもよい。第2の実施の形態では、ムラ検査装置104は、レジスト膜以外の他の膜、例えば、基板9上に形成された絶縁膜や導電膜のパターンムラや膜厚ムラの検出に利用されてよい。
【0072】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0073】
2 ステージ
3 照射部
9 基板
11 ムラ検査用画像取得装置
12 検査部
22 移動機構
34 発光領域
41 撮像部
61 (発光領域の)像
62 点像
91 検査表面
104 ムラ検査装置
411 ラインセンサ
412 撮像光学系
J1 光軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物上に存在するムラを検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示装置用のガラス基板や半導体基板等(以下、単に「基板」という。)の主面上に形成された配線パターン間のピッチのムラ等の微細パターンのムラや、基板上に形成されたレジスト膜の膜厚ムラ等の検査が行われている。ムラ検査では、基板上に十分な強度の光を均一に照射する必要がある。
【0003】
特許文献1に開示されるライン照明装置は、光源、光ファイバ束を有するライン型ライトガイド、および、ライン型ライトガイドの光出射端に接続されるシート状光伝送体を備える。ライン型ライトガイドでは、光出射端において複数の光ファイバがライン状に整列される。シート状光伝送体は、コア部およびコア部を覆うクラッド層を備え、コア部は、光ファイバの配列方向に延びる。ライン照明装置では、光源から出射された光がライン型ライトガイドの光ファイバを介してシート状光伝送体内へと導かれる。シート状光伝送体では、光が内面反射を効率よく繰り返しつつ出光端面から出射される。これにより、明るくかつ照射光量の均一性が向上したライン照明光が得られる。
【0004】
特許文献2に開示されるムラ検査装置は、表示装置に用いられる基板上に形成されたパターン形成用のレジスト膜の膜厚ムラを検査する装置であり、基板を保持するステージ、基板上の膜に光を照射する光照射部、および、膜にて反射された干渉光を受光する撮像部を備える。ステージは、所定の移動方向に基板を保持した状態で移動する。光照射部は、移動方向に垂直な方向に伸びる。光照射部により基板上の膜に所定の入射角にて光が照射され、光照射部からの光のうち膜にて反射された特定波長の干渉光が撮像部にて受光され、膜を示す元画像が取得される。元画像は補正され、補正後の画像における所定の空間周波数帯域の振幅の度合いが膜厚ムラとして検出される。
【0005】
なお、このようなムラ検査装置では、光照射部が棒状であり、撮像位置における光照射部の像を長くするために、光照射部が近接して配置される。これにより、光照射部の移動方向に垂直な方向における長さを短くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−205951号公報
【特許文献2】特開2007−57521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に示されるライン照明装置では、構造が複雑であり、当該ライン照明装置を有するムラ検査装置の製造コストが増大してしまう。一方、ムラ検査装置では、照明光の不均一に起因する画像のムラを防止するために、ムラが存在しない場合に画像の各画素の値が均一となるように補正する、いわゆるシェーディング補正が行われる場合がある。しかし、シェーディング補正後に、照射部、撮像部および対象物の相対位置が僅かにずれたり、照射部等に埃が進入すると、撮像部に入射する照明光の強度分布が変化し、照明光の不均一を解消することができない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、照射部の発光ムラがムラ検査用画像に与える影響を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、対象物上に存在するムラを検査するための画像を取得するムラ検査用画像取得装置であって、対象物が載置されるステージと、前記ステージに平行なライン状の発光領域から前記対象物の検査表面に向けて照明光を照射する照射部と、前記検査表面にて反射した照明光を、前記ステージに平行かつ光軸に垂直な方向に受光素子が配列されたラインセンサにて受光する撮像部と、前記ステージを前記照射部および前記撮像部に対して、前記ステージに平行な方向に相対的に移動する移動機構とを備え、前記撮像部の撮像光学系において、前記ラインセンサの位置と光学的に共役な位置である合焦位置が、前記検査表面から前記撮像部側にずれて位置し、前記撮像光学系が物体側において非テレセントリックであり、前記撮像部から前記検査表面を経由して前記照射部へと至る前記光軸上において、前記照射部と前記検査表面との間の距離が、100mm以上であり、かつ、前記ラインセンサの各受光素子に、ムラ検査に必要な強度の光が入射する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のムラ検査用画像取得装置であって、設計上の距離だけ前記照射部と前記撮像部とを離して配置し、かつ、合焦位置を前記発光領域上に合わせた場合の前記ラインセンサの位置における前記発光領域の像のうち、ムラ検査に必要な強度を有する領域の幅である安定強度幅をW、前記ステージの移動の際の前記ステージの振れに起因する前記ラインセンサの位置での前記光軸および前記ラインセンサに垂直な縦方向の振れ量を(±L)として、前記合焦位置を設計上の位置に一致させ、前記発光領域の位置に点光源を配置した場合の前記受光素子の位置における点像の直径dが、d<(W−2L)を満たす。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のムラ検査用画像取得装置であって、前記照射部の取り付け精度に起因する前記縦方向における最大ずれ量を(±a)として、前記直径dが、d<(W−2L−2a)を満たす。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のムラ検査用画像取得装置であって、前記対象物が、表示装置に用いられるガラス基板である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、対象物上に存在するムラを検査するムラ検査装置であって、請求項1ないし4のいずれかに記載のムラ検査用画像取得装置と、前記ムラ検査用画像取得装置にて取得された画像に基づいてムラを検査する検査部とを備える。
【0014】
請求項6に記載の発明は、対象物上に存在するムラを検査するムラ検査装置における照射部の位置決定方法であって、前記ムラ検査装置が、対象物が載置されるステージと、前記ステージに平行なライン状の発光領域から前記対象物の検査表面に向けて照明光を照射する照射部と、前記検査表面にて反射した照明光を、前記ステージに平行かつ光軸に垂直な方向に受光素子が配列されたラインセンサにて受光する撮像部と、前記ステージを前記照射部および前記撮像部に対して、前記ステージに平行な方向に相対的に移動する移動機構とを備え、前記照射部の位置決定方法が、前記撮像部から前記検査表面を経由して前記照射部へと至る前記光軸上において、前記照射部と前記検査表面との間の距離が、100mm以上となるように前記照射部の位置を仮決定する工程と、設計上の距離だけ前記照射部と前記撮像部とを離して配置し、かつ、合焦位置を前記発光領域上に合わせた場合の前記ラインセンサの位置における前記発光領域の像のうち、ムラ検査に必要な強度を有する領域の幅である安定強度幅Wを取得する工程と、前記合焦位置を設計上の位置に一致させ、前記発光領域の位置に点光源を配置した場合の前記受光素子の位置における点像の直径dを取得する工程と、前記ステージの移動の際の前記ステージの振れに起因する前記ラインセンサの位置での前記光軸および前記ラインセンサに垂直な縦方向の振れ量(±L)を取得する工程と、前記直径dが、d<(W−2L)を満たすことを確認した上で前記仮決定した位置を確定する工程とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、照射部の発光ムラがムラ検査用画像に与える影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】基板処理システムの平面図である。
【図2】基板処理システムの正面図である。
【図3】第1の実施の形態に係るムラ検査装置を示す図である。
【図4】ムラ検査の流れを示す図である。
【図5】照射部の位置の決定の流れを示す図である。
【図6】照射部の位置の決定の流れを示す図である。
【図7】照射部および撮像部を示す図である。
【図8】発光領域の像を示す図である。
【図9】点像を示す図である。
【図10】シリンドリカルレンズの表面の像を示す図である。
【図11】発光領域の像を示す図である。
【図12】第2の実施の形態に係るムラ検査装置を示す図である。
【図13】波長帯切替機構を示す図である。
【図14】ムラ検査の流れを示す図である。
【図15】ムラ検査の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係るムラ検査装置104が配置された基板処理システム100の構成を示す概略平面図であり、図2は、基板処理システム100の概略正面図である。基板処理システム100は、液晶表示装置等に用いられるガラス基板9(以下、単に「基板9」という。)を搬出入する移載装置110を備え、移載装置110に隣接して、カセットステーション120を備える。カセットステーション120には、複数の基板9を収容するカセット121が載置される。移載装置110は、基板搬送装置111を備える。基板搬送装置111は、搬送アーム112を備え、搬送アーム112は、水平方向および上下方向に移動可能である。
【0018】
基板処理システム100は、移載装置110に隣接して、ムラ検査ユニット101をさらに備える。基板搬送装置111は、搬送アーム112を用いてカセット121から処理前の基板9を1枚ずつ取り出し、基板搬出入口102に搬送アーム112を挿入することによりムラ検査ユニット101に基板9を搬入する。ムラ検査ユニット101にて基板9の検査が終了すると、基板9は、搬送アーム112により搬出され、カセット121へと戻される。
【0019】
ムラ検査ユニット101は、基板搬出入口102側から受け渡し部103と、ムラ検査装置104とを備え、これらを収容するハウジング105をさらに備える。ハウジング105の外壁には、操作部106として、タッチパネル107とモニタ108とが設けられる。受け渡し部103は、複数の支持ピン131と、支持ピン131が上面に固定された保持板132と、保持板132を昇降する昇降機構133とを備える。ムラ検査装置104のステージ2は、受け渡し部103の上方へと移動可能であり、ステージ2には支持ピン131が挿脱可能な多数の孔が設けられる。
【0020】
ステージ2が受け渡し部103の上方に位置し、かつ、複数の支持ピン131がステージ2の上面から上方に突出している状態で、基板9が支持ピン131上に載置される。その後、支持ピン131が下降することにより、基板9がステージ2上に載置される。基板9がステージ2から取り上げられる場合は、逆の動作が行われる。また、ステージ2としては基板9を浮上させて水平に保持する浮上ステージを採用してもよい。
【0021】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るムラ検査装置104の概略構成を示す図である。ムラ検査装置104は、基板9の一方の主面91上に存在する配線パターン間のピッチのムラ等の微細パターンのムラを検査する。以下、基板9の主面91を「検査表面91」という。ムラ検査装置104は、検査表面91上に存在する微細パターンのムラを検査するための画像を取得するムラ検査用画像取得装置11、ムラ検査用画像取得装置11にて取得された画像に基づいて微細パターンのムラを検査する検査部12、並びに、ムラ検査用画像取得装置11および検査部12を制御する制御部8を備える。
【0022】
ムラ検査用画像取得装置11は、基板9が載置されるステージ2、基板9の検査表面91に向けて照明光を照射する照射部3、検査表面91にて反射した照明光(以下、「反射光」という。)を受光する撮像部41、および、移動機構21を備える。実際には、移動機構21は十分に長く、ステージ2は図1の受け渡し部103まで移動可能である。
【0023】
移動機構21は、モータ211およびガイド212を備え、モータ211にはボールねじ(図示省略)が接続される。移動機構21では、モータ211が回転することにより、照射部3および撮像部41に対してステージ2がガイド212に沿って図3中のX方向、すなわち、ステージ2に平行かつY方向に垂直な方向に移動する。なお、図3中のX方向、Y方向およびZ方向は互いに垂直であり、Z方向が上下方向に対応する。
【0024】
照射部3は、白色光(すなわち、可視領域の全ての波長帯の光を含む光)を出射する光源であるハロゲンランプ31、石英ロッド32、および、シリンドリカルレンズ33を備える。図3では図示を省略しているが、図2に概略を示すように、石英ロッド32およびシリンドリカルレンズ33は1つのホルダに保持される。石英ロッド32は、ステージ2に平行かつ光軸J1に垂直な方向であるY方向に伸びる円柱状である。図3では、撮像部41から検査表面91を経由して照射部3に至る光軸J1を一点鎖線にて示している。ハロゲンランプ31は、石英ロッド32の(±Y)両側の端部に取り付けられる。シリンドリカルレンズ33はY方向に伸びる。石英ロッド32のシリンドリカルレンズ33とは反対側の背面には、石英ロッド32の全長に亘って拡散部材321が塗布されている。ハロゲンランプ31から石英ロッド32に入射した光は、石英ロッド32中をY方向に伝播しつつ石英ロッド32の拡散部材321にて拡散され、シリンドリカルレンズ33に向かってY方向に伸びるおよそ線状の照明光(すなわち、光束断面がY方向に長い線状となる光)として出射される。照明光はシリンドリカルレンズ33を介して基板9の検査表面91へと導かれる。以下、拡散部材321が塗布された石英ロッド32の領域を「発光領域34」と呼ぶ。
【0025】
照射部3と検査表面91との間の光軸J1に沿う方向における距離は100mm以上250mm以下である。照射部3から基板9に入射する光の検査表面91に対する入射角(すなわち、光軸J1が検査表面91の法線方向となす角度)θ1は50°以上65°以下であり、本実施の形態では60°である。
【0026】
撮像部41は、複数の受光素子がY方向に直線状に配列されたラインセンサ411、および、撮像光学系412を備える。本実施の形態では、受光素子としてCCD(Charge Coupled Device)が利用される。撮像光学系412において、ラインセンサ411の受光面の位置である受光位置と光学的に共役な位置である合焦位置は、検査表面91から撮像部41側にずれて位置する。ラインセンサ411は、撮像光学系412を介して検査表面91からの反射光を受光し、受光した光の強度分布(すなわち、各受光素子からの出力値のY方向における分布)を取得する。撮像光学系412は、基板9からの反射光をラインセンサ411へと導くレンズ等を有し、照射部3側である物体側において非テレセントリックである。すなわち、光軸J1に沿って照射部3を基板9上の照射領域から遠ざけると、受光位置における照射部3の像が小さくなる。
【0027】
検査部12は、ラインセンサ411からの出力を受け付けて基板9の検査表面91の2次元画像を生成する画像生成部71、および、画像生成部71により生成された2次元画像の各画素の画素値から検査表面91上の微細パターンのムラを検出するムラ検出部72を備える。本実施の形態では、2次元画像の濃淡に基づいて基板9上に存在するムラが許容範囲内のものであるか否かが検査される。
【0028】
次に、ムラ検査装置104によるムラ検査の流れについて説明する。図4は、ムラ検査装置104による検査の流れを示す図である。ムラ検査装置104により基板9の検査表面91上の微細パターンのムラが検査される際には、まず、図3中に実線にて示す検査開始位置に位置するステージ2上に基板9が保持され、基板9およびステージ2の(+X)方向への移動が開始される(ステップS11)。続いて、照射部3から出射された照明光が、検査表面91上(以下、およそ直線状に照射される領域を「線状照射領域」という。)に照射され(ステップS12)、線状照射領域が基板9に対して相対的に移動する。
【0029】
照明光は基板9の検査表面91にて反射し、撮像部41に入射する。撮像部41では、検査表面91からの反射光がラインセンサ411により受光され、反射光の強度分布が取得される(ステップS13)。ラインセンサ411の各受光素子からの出力値は、検査部12の画像生成部71へと送られる。
【0030】
ムラ検査装置104では、制御部8により、基板9およびステージ2が図3中に二点鎖線にて示す検査終了位置まで移動したか否かが基板9の移動中に繰り返し確認されており(ステップS14)、検査終了位置まで移動していない場合には、ステップS13に戻って反射光の受光および強度分布の取得が繰り返される。ムラ検査装置104では、ステージ2が(+X)方向に移動している間、ステップS13,S14の動作が繰り返されて反射光の強度分布がステージ2の移動に同期して繰り返し取得されることにより、基板9の全体おける強度分布が取得される。
【0031】
基板9およびステージ2が検査終了位置まで移動すると、移動機構21による基板9およびステージ2の移動が停止され、照明光の照射も停止される(ステップS15)。検査部12の画像生成部71では、撮像部41により取得された反射光の強度分布に基づいて検査表面91の2次元画像が生成される(ステップS16)。以下、当該2次元画像を「ムラ検査用画像」という。
【0032】
生成されたムラ検査用画像は、必要に応じてディスプレイ等の表示装置に表示され、さらに、検査部12のムラ検出部72により、ムラ検査用画像に基づいて微細パターンのムラの検出が行われる(ステップS17)。
【0033】
既述のように、ムラ検査装置104では、撮像部41の撮像光学系412の合焦位置が検査表面91から撮像部41側にずれることから、検査表面91上に微小な突起等の欠陥が存在しても、ムラ検査用画像には、欠陥がぼけた状態にて写り、欠陥が微細パターンのムラの検出に影響を及ぼすことが防止される。
【0034】
また、図3に示す照射部3では、石英ロッド32やシリンドリカルレンズ33への埃の付着や、拡散部材321のY方向における塗布ムラにより、照射部3から出射される照明光の強度分布が図3におけるY方向において不均一となる虞がある。仮に、従来技術と同様に、照射部3を検査表面91に近接して配置した場合、ムラ検査用画像には、照射部3に起因する照明光のY方向におけるムラ(以下、「発光ムラ」という。)が生じ、検査表面91の許容範囲外の微細パターンのムラとして誤検出する虞がある。これに対し、ムラ検査装置104では、照射部3と検査表面91との間の光軸J1に沿う方向における距離が100mm以上であり、照射部3が、撮像部41の合焦位置から大きく離れている。その結果、発光ムラがムラ検査用画像に与える影響を抑制することができる。
【0035】
次に、ムラ検査用画像取得装置11における照射部3の位置の決定作業について図5および図6を参照しつつ説明する。まず、図3の検査表面91に対する撮像部41の位置が決定される。また、光軸J1に沿う方向において検査表面91との間の距離が100mm以上250mm以下の範囲において、照射部3の位置が仮決定される。以下、決定された撮像部41の位置を「撮像位置」といい、仮決定された照射部3の位置を「仮照射位置」という。
【0036】
次に、図7に示すように、撮像部41と照射部3とが一定の距離だけ離して配置される(ステップS21)。当該距離は、撮像部41を撮像位置に配置し、照射部3を仮照射位置に配置した場合に、撮像部41から検査表面91を経由して照射部3へと至る光軸J1上における設計上の距離に等しい。撮像部41では、合焦位置が、照射部3の発光領域34上に合わされる。
【0037】
照射部3から撮像部41に向けて照明光が出射されると、光軸J2およびラインセンサ411の受光素子の配列に垂直なZ方向において照射部3に対する撮像部41の位置を上下にずらしつつ発光領域34が撮像される。これにより、図8に示すように、ラインセンサ411の位置(受光位置)における発光領域34の2次元の像61が取得される(ステップS22)。さらに、像61を所定の閾値で2値化することにより、像61のうち、ムラ検査に必要な強度として予め定められた強度を有する領域の幅である安定強度幅Wが求められる(ステップS23)。図8では、像61の上下の端を破線にて示し、ムラ検査に必要な強度を有する領域の上下の端を実線にて示している。
【0038】
次に、図7の照射部3の手前に図示省略のピンホールを近接して配置する。撮像部41の合焦位置は、図3のムラ検査用画像取得装置11における設計上の合焦位置に対応する位置に一致される。Z方向において撮像部41の位置を上下にずらしつつピンホールからの光が受光素子に受光される(ステップS24)。照射部3と撮像部41とは十分に離れていることから、ピンホールからの光は、発光領域34の位置に点光源を配置した場合に点光源から出射される光に相当する。上記作業により、図9に示すように、ラインセンサ411の受光素子の位置における点像62が取得される。点像62の強度を予め定められた閾値にて2値化し、閾値を超えた範囲の直径が点像62の直径dとして取得される(ステップS25)。閾値は、実際の測定環境においてムラ検査が可能であると考えられる光の強度として予め決められる。本実施の形態では、点像62の最大強度に対して10%の強度が閾値とされる。なお、点像62の最大強度の50%の強度が閾値とされてもよい。
【0039】
次に、図3に示すように、撮像部41および照射部3がそれぞれ、ステージ2の上方の設計上の撮像位置および仮照射位置に配置される(ステップS26)。撮像部41の合焦位置は、照射部3のシリンドリカルレンズ33の表面上に合わされる。図10は、受光位置におけるシリンドリカルレンズ33の表面の像63(以下、「レンズ表面像63」という。)を示す図である。実際には、ラインセンサ411にて取得されるライン画像は、レンズ表面像63中にて左右に伸びる微小な1ライン分の画像である。以下の説明では、レンズ表面像63中のライン画像の位置を「取得位置」という。図10では、二点鎖線にて、レンズ表面の中心位置631を示している。
【0040】
図3のシリンドリカルレンズ33の表面には、予め、二等辺三角形の複数の目印が付されており、図10に示すように、レンズ表面像63中に目印の一部が存在する。以下の説明では、レンズ表面像64のうち、目印を示す部分を「目印632」という。
【0041】
撮像部41および照射部3がそれぞれ、撮像位置および仮照射位置に配置されると、ステージ2が(+X)方向に移動する。このとき、ステージ2にはZ方向における僅かな振れが発生する。ステージ2の振れに同期して発光領域34の像が、図10の上下方向に変動する。以下、図10の上下方向である、図3の光軸J1およびラインセンサ411に垂直な方向を、単に「縦方向」という。換言すれば、中心位置631に対するライン画像の取得位置の相対的な振れが生じる。
【0042】
図10では、取得位置の中心位置631よりも上側への振れが最大となる位置635a、および、下側への振れが最大となる位置635bを破線にて示している。既述のように、実際には、受光素子に対してレンズ表面像63が相対的に振れる。また、レンズ表面像63は、中心位置631に対して上下に同様に振れる訳ではないが、図10では、中心位置631を中心に上下に振れるものとして描いている(図11においても同様)。以下、位置635aを「上側最大振れ位置635a」といい、位置635bを「下側最大振れ位置635b」という。また、上側最大振れ位置635aにおける中心位置631からの変位量を(+L)、下側最大振れ位置635bにおける中心位置631からの変位量を(−L)として示している。変位量(±L)は、ステージ2が移動する際のステージ2の振れに起因するラインセンサ411の位置での縦方向における照射部3の像の振れ量である。
【0043】
この距離2Lは、上側最大振れ位置635aにて取得されたライン画像中の目印632の幅をH1、下側最大振れ位置635bにて取得されたライン画像中の目印632の幅をH2、目印632の底角をθ2として、幅H1と幅H2との差の絶対値の1/2にtanθ2を乗じたものとして算出される(ステップS27)。なお、θ2は、目印632の斜辺と水平方向とのなす角である。実際には、レンズ表面像63の傾きも求められ、振れ量(±L)は、レンズ表面像63の傾きを含めた最大振れ量として求められる。
【0044】
ムラ検査用画像取得装置11では、照射部3の設計上の取付精度が予め定められており、取付精度に起因してライン画像の本来の取得位置に対して発光領域34の像61のずれが生じる。以下の説明では、照射部3の取付精度に起因する取得位置の上下方向への相対的な最大ずれ量を(±a)と表現する。
【0045】
図11は、図8と同様の発光領域34の像61を示す図である。図11では、上側および下側最大振れ位置635a,635bの中心位置631からの振れ量(±L)、および、照射部3の取付精度に起因する最大ずれ量(±a)を振れ量(±L)に加えるように示している。また、図9の点像62も示している。
【0046】
発光領域34の像61は、実際の装置では、点像62と同様にぼけるため、ラインセンサ411の取得位置が存在可能な縦方向の範囲は、安定強度幅Wから点像62の直径dを減じたものとなる。正確には、発光領域34の像61に点像62をたたみ込むことにより、安定強度幅Wは、(W−d)へと減少するように点像62の直径dが予め定められている。一方、ラインセンサ411の取得位置は、(±(L+a))だけ変動する可能性があるため、(W−d)が(2L+2a)よりも大きくなければ、ラインセンサ411の取得位置をどのように調整しても、適正な強度の光を受光することができない可能性がある。
【0047】
そこで、照射部3の位置調整では、点像62の直径dが、d<(W−2L−2a)を満たすか否かが確認される(ステップS28)。直径dが上記条件を満たす場合、ムラ検査に必要な強度の光をラインセンサ411の各受光素子に容易に入射させることができる。そして、仮照射位置が、ムラ検査用画像取得装置11における照射部3の位置として確定され(ステップS29)、照射部3の位置の決定作業が終了する。
【0048】
一方、直径dが、d<(W−2L−2a)を満たさない場合、再度、ステップS21〜S28が行われる。なお、上側および下側最大振れ位置635a,635bの縦方向における距離2Lは、既に求められているものが再度用いられてもよい。そして、直径dが上記条件を満たすと、再設定した仮照射位置が、ムラ検査用画像取得装置11における照射部3の位置として確定する(ステップS29)。直径dが上記条件を満たさない場合は、上記条件が満たされるまでステップS21〜S28が繰り返される。
【0049】
ムラ検査装置104では、照射部3の位置が決定された後に、撮像部41にて取得される画像の各画素に対して光の強度が均一となるように補正する、いわゆるシェーディング補正の設定が行われる。これにより、取得された画像に対して、照射部3の発光ムラやラインセンサ411の各受光素子の感度の不均一による影響をより抑えることができる。
【0050】
以上、ムラ検査装置104の構造および動作並びに照射部3の位置の決定作業について説明したが、ムラ検査装置104では、照射部3と検査表面91との間の光軸J1に沿う方向における距離が、100mm以上となるように十分に大きくされることにより、照射部3の発光ムラがムラ検査用画像に与える影響を抑制することができる。ムラ検査装置104では、高い均一性を有する照射部を使用したり、他のレンズや拡散板等の光学素子を別途用いることなく、発光ムラの影響を抑えることができるため、ムラ検査装置104の製造コストを抑えることができる。
【0051】
照射部3の位置の決定作業では、安定強度幅Wの閾値にある程度の余裕が与えられているため、照射部3の設置に起因するずれ量(±a)が十分に小さい場合は、点像62の直径dが、d<(W−2L)を満たすことが確認されるのみでもよい。これにより、ムラ検査に必要な強度の光をラインセンサ411の各受光素子に入射させることができる。以下の第2の実施の形態においても同様である。また、ムラ検査装置104では、ラインセンサ411の受光素子にムラ検査に必要な強度の光が入射するのであれば、光軸J1における照射部3と検査表面91との間の距離を250mm以上としてもよい。以下の第2の実施の形態においても同様である。
【0052】
図12は、第2の実施の形態に係るムラ検査装置104の概略構成を示す図である。ムラ検査装置104は、基板9の検査表面91上に形成されたパターン形成用のレジスト膜92の膜厚ムラを検査する。以下、レジスト膜92を単に「膜92」という。基板9上の膜92は、検査表面91上にレジスト液を塗布することにより形成される。ムラ検査用画像取得装置11では、撮像部41に波長帯切替機構5が設けられる。波長帯切替機構5は、撮像部41が受光する光の波長帯を切り替える。以下、撮像部41および波長帯切替機構5をまとめて「受光部4」という。ムラ検査装置104の他の構造は、第1の実施の形態と同様である。また、照射部3の位置の決定作業は、第1の実施の形態と同様である。ただし、波長帯切替機構5により切り替えられる複数の波長帯において図5および図6のステップS22〜S27が行われ、ステップS28にてこれらの各波長帯にてd<(W−2L−2a)が満たされるか否かが確認される。以下、同様の構成には同符号を付して説明する。
【0053】
第1の実施の形態と同様に、照射部3と検査表面91との間の光軸J1に沿う方向における距離は100mm以上250mm以下である。照射部3から基板9に入射する光の検査表面91に対する入射角θ1は50°以上65°以下であり、本実施の形態では、60°である。
【0054】
照射部3から出射された光の一部は、基板9の検査表面91上の膜92の(+Z)側の面(以下、「膜上面」という。)にて反射される。膜92は照射部3からの光に対して光透過性を有しており、照射部3からの光のうち膜上面にて反射されなかった光は、膜92を透過して基板9の検査表面91(すなわち、膜92の下面)にて反射される。なお、ステージ2の基板9が載置される(+Z)側の表面は、好ましくは黒色艶消しとされる。ムラ検査装置104では、基板9における膜上面にて反射された光と基板9の検査表面91にて反射された光との干渉光(以下、単に「反射光」という。)が、波長帯切替機構5を経由して受光部4に入射する。
【0055】
波長帯切替機構5は、互いに異なる複数の狭い波長帯の光を選択的にそれぞれ透過する複数の光学フィルタ(例えば、半値幅10nmの干渉フィルター)51、複数の光学フィルタ51を保持する円板状のフィルタホイール52、および、フィルタホイール52の中心に取り付けられてフィルタホイール52を回転するフィルタ回転モータ53を備える。フィルタホイール52は、その法線方向が基板9から受光部4に至る光軸J1に平行になるように配置される。
【0056】
図13は、波長帯切替機構5を基板9側からフィルタホイール52に垂直な方向に沿って見た図である。図13に示すように、フィルタホイール52には、6つの円形の開口521が周方向に等間隔に形成されており、そのうちの5つの開口521には互いに透過波長帯が異なる5種類の光学フィルタ51が取り付けられている。
【0057】
図12に示す波長帯切替機構5では、制御部8に制御されるフィルタ回転モータ53によりフィルタホイール52が回転し、5つの光学フィルタ51のうち、検査対象となる膜92の膜厚や屈折率等に応じていずれか1つの光学フィルタ51(以下、他の光学フィルタ51と区別するために、「選択光学フィルタ51a」という。)が選択され、基板9から受光部4に至る光軸J1上に配置される。これにより、基板9からの反射光(すなわち、5つの光学フィルタ51に対応する5つの透過波長帯の光を含む白色光の反射光)のうち、光軸J1上に配置された選択光学フィルタ51aに対応する特定の波長帯(以下、「選択波長帯」という。)の光のみが、選択光学フィルタ51aを透過して受光部4へと導かれる。
【0058】
そして、フィルタ回転モータ53によりフィルタホイール52が回転すると、複数の光学フィルタ51のうち照射部3から受光部4に至る光軸J1上に配置された選択光学フィルタ51aが他の光学フィルタ51に切り替えられ、受光部4が受光する光の波長帯(すなわち、選択波長帯)が変更される。このように、フィルタ回転モータ53およびフィルタホイール52は光学フィルタ切替機構となっている。
【0059】
次に、ムラ検査装置104による膜厚ムラの検査の流れについて説明する。図14および図15は、ムラ検査装置104による検査の流れを示す図である。ムラ検査装置104により検査表面91上の膜92の膜厚ムラが検査される際には、まず、図12中に実線にて示す検査開始位置に位置するステージ2上に基板9が保持された後、基板9およびステージ2の(+X)方向への移動が開始される(ステップS31)。続いて、照射部3から出射された照明光が、検査表面91上の線状照射領域に照射され(ステップS32)、線状照射領域が基板9に対して相対的に移動する。
【0060】
照射部3からの光は検査表面91にて反射し、選択光学フィルタ51aを透過することにより特定の波長帯(例えば、中心波長が550nm、半値幅が10nm)の光のみが取り出された後、受光部4へと導かれる。受光部4では、反射後の選択波長帯の光がラインセンサ411により受光され、反射光の選択波長帯における強度分布が取得される(ステップS33)。ラインセンサ411の各受光素子からの出力値は、検査部12の画像生成部71へと送られる。
【0061】
ムラ検査装置104では、制御部8により、基板9およびステージ2が図12中に二点鎖線にて示す検査終了位置まで移動したか否かが基板9の移動中に繰り返し確認されており(ステップS34)、検査終了位置まで移動していない場合には、ステップS33に戻って選択波長帯の光の強度分布の取得が繰り返される。ムラ検査装置104では、ステージ2が(+X)方向に移動している間、ステップS33,S34の動作が繰り返されて反射光の強度分布がステージ2の移動に同期して繰り返し取得されることにより、基板9の全体における検査表面91からの反射光の選択波長帯における強度分布が取得される。
【0062】
そして、基板9およびステージ2が検査終了位置まで移動すると(ステップS34)、移動機構21による基板9およびステージ2の移動が停止され、照明光の照射も停止される(ステップS35)。検査部12の画像生成部71では、受光部4により取得された反射光の選択波長帯における強度分布に基づいてムラ検査用画像が生成される(ステップS36)。検査部12のムラ検出部72により、複数のムラ検査用画像に基づいて膜厚ムラの検出が行われる(ステップS37)。
【0063】
ところで、膜92の反射率は、膜厚の変動に対して周期性をもって変動する。膜92の反射率の極大点近傍および極小点近傍の領域では、膜厚の変動に対する反射率の変動の割合が非常に小さくなる。以下、当該領域を「低感度領域」という。低感度領域では、膜厚の変動が小さい場合、ムラ検査用画像において画素値がほとんど変動せず、ムラ検出部72による膜厚ムラの検出の精度が低下してしまう。
【0064】
そこで、ムラ検査装置104では、上述のように1回目の膜厚ムラの検出を行った後(ステップS38)、制御部8によりフィルタ回転モータ53が駆動されてフィルタホイール52が回転し、他の光学フィルタ51が基板9から受光部4に至る光軸J1上に配置されて波長帯切替機構5における選択波長帯が変更される(ステップS381)。選択波長帯が変更されることにより、膜厚の低感度領域が変化する。そして、移動機構21によりステージ2が検査開始位置に戻され、再びステージ2の移動が開始される。ムラ検査装置104では、ステージ2が検査終了位置に到達するまで、照射部3により検査表面91に照明光を照射しつつ、撮像部41にて1回目のムラ検出時とは異なる選択波長帯の反射光が受光され、反射光の強度分布がステージ2の移動に同期して繰り返し取得される(ステップS31〜S35)。
【0065】
画像生成部71では、検査表面91のムラ検査用画像が生成され(ステップS36)、ムラ検出部72により、検査表面91上の膜92の膜厚ムラが検出される(ステップS37)。2回目の膜厚ムラの検出が終了すると(ステップS38)、1回目および2回目の検出結果に基づき、膜92の膜厚ムラが最終的に検出されてムラ検査装置104による膜厚ムラの検出が終了する。選択波長帯を変更して膜厚ムラの検出を少なくとも2回行うことにより、1回目のムラ検出時に低感度領域に含まれていた部分についても、膜厚変動を精度良く検出することができる。
【0066】
第2の実施の形態においても、ムラ検査装置104の照射部3と検査表面91との間の光軸J1に沿う方向における距離が、100mm以上であることにより、照射部3が合焦位置から十分に離れ、照射部3の発光ムラがムラ検査用画像に与える影響を抑制することができる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。照射部3の位置の決定作業では、点像の直径を様々な手法にて求めてよい。例えば、撮像部41の合焦位置をムラ検査装置104の設計上の位置に一致させた場合のこの合焦位置における点像の直径を計算により求め、撮像光学系412の倍率を上記点像の直径に掛けたものが、点光源を発光領域34の位置に配置した場合における受光素子の位置での点像の直径として求められてもよい。これにより、点像の直径を測定する作業が不要となり、照射部3の位置の決定作業を短縮することができる。
【0068】
検査部12では、点像62の直径d、安定強度幅W、ステージ2に起因する振れ量(±L)、および、照射部3の取付精度に起因する最大ずれ量(±a)に関して、d<(W−2L−2a)を満たすか否かが確認されるが、(W−d)が、(W−d)>(2L+2a)を満たすか否かが確認されてもよい。この場合、安定強度幅Wおよび直径dをそれぞれ個別に求めて(W−d)を算出する方法以外に、発光領域34の2次元の像61に点像62をたたみ込む、すなわち、像61の強度分布に点像62に対応するPSF(点広がり関数:Point Spread Function)をたたみ込んで2値化することにより(W−d)を算出することができる。さらに、撮像部41の合焦位置を設計上の位置に合わせて安定強度幅を求め、これを(W−d)とみなしてもよい。
【0069】
上記第1の実施の形態では、ステージ2を固定し、照射部3および撮像部41に移動機構を設けることにより、ステージ2を照射部3および撮像部41に対して相対的に移動させてもよい。第2の実施の形態においても同様である。
【0070】
第2の実施の形態では、波長帯切替機構5が、必ずしも基板9から受光部4に至る光軸J1上に配置される必要はなく、例えば、照射部3から基板9に至る光軸J1上に配置されてもよい。また、波長帯切替機構5による選択波長帯の切り替えは、複数の光学フィルタ51の切り替えには限定されず、互いに異なる複数の波長帯の光を出射する複数の光源が照射部3に設けられ、複数の光源が制御されることにより、照射部3から出射される光の波長帯が切り替えられてもよい。
【0071】
上記実施の形態に係るムラ検査装置104では、基板9上の微細パターンのムラや膜厚ムラの検査は、ディスプレイ等に表示されたムラ検査用画像を作業者が目視して参照用画像と比較することにより行われてもよい。ムラ検査装置104では、有機EL(Electro- Luminescence)表示装置やプラズマディスプレイ等の他のフラットパネルディスプレイ用のガラス基板や半導体基板等がムラ検査の対象物とされてもよい。第2の実施の形態では、ムラ検査装置104は、レジスト膜以外の他の膜、例えば、基板9上に形成された絶縁膜や導電膜のパターンムラや膜厚ムラの検出に利用されてよい。
【0072】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0073】
2 ステージ
3 照射部
9 基板
11 ムラ検査用画像取得装置
12 検査部
22 移動機構
34 発光領域
41 撮像部
61 (発光領域の)像
62 点像
91 検査表面
104 ムラ検査装置
411 ラインセンサ
412 撮像光学系
J1 光軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物上に存在するムラを検査するための画像を取得するムラ検査用画像取得装置であって、
対象物が載置されるステージと、
前記ステージに平行なライン状の発光領域から前記対象物の検査表面に向けて照明光を照射する照射部と、
前記検査表面にて反射した照明光を、前記ステージに平行かつ光軸に垂直な方向に受光素子が配列されたラインセンサにて受光する撮像部と、
前記ステージを前記照射部および前記撮像部に対して、前記ステージに平行な方向に相対的に移動する移動機構と、
を備え、
前記撮像部の撮像光学系において、前記ラインセンサの位置と光学的に共役な位置である合焦位置が、前記検査表面から前記撮像部側にずれて位置し、前記撮像光学系が物体側において非テレセントリックであり、
前記撮像部から前記検査表面を経由して前記照射部へと至る前記光軸上において、前記照射部と前記検査表面との間の距離が、100mm以上であり、かつ、前記ラインセンサの各受光素子に、ムラ検査に必要な強度の光が入射することを特徴とするムラ検査用画像取得装置。
【請求項2】
請求項1に記載のムラ検査用画像取得装置であって、
設計上の距離だけ前記照射部と前記撮像部とを離して配置し、かつ、合焦位置を前記発光領域上に合わせた場合の前記ラインセンサの位置における前記発光領域の像のうち、ムラ検査に必要な強度を有する領域の幅である安定強度幅をW、前記ステージの移動の際の前記ステージの振れに起因する前記ラインセンサの位置での前記光軸および前記ラインセンサに垂直な縦方向の振れ量を(±L)として、
前記合焦位置を設計上の位置に一致させ、前記発光領域の位置に点光源を配置した場合の前記受光素子の位置における点像の直径dが、d<(W−2L)を満たすことを特徴とするムラ検査用画像取得装置。
【請求項3】
請求項2に記載のムラ検査用画像取得装置であって、
前記照射部の取り付け精度に起因する前記縦方向における最大ずれ量を(±a)として、
前記直径dが、d<(W−2L−2a)を満たすことを特徴とするムラ検査用画像取得装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のムラ検査用画像取得装置であって、
前記対象物が、表示装置に用いられるガラス基板であることを特徴とするムラ検査用画像取得装置。
【請求項5】
対象物上に存在するムラを検査するムラ検査装置であって、
請求項1ないし4のいずれかに記載のムラ検査用画像取得装置と、
前記ムラ検査用画像取得装置にて取得された画像に基づいてムラを検査する検査部と、
を備えることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項6】
対象物上に存在するムラを検査するムラ検査装置における照射部の位置決定方法であって、
前記ムラ検査装置が、
対象物が載置されるステージと、
前記ステージに平行なライン状の発光領域から前記対象物の検査表面に向けて照明光を照射する照射部と、
前記検査表面にて反射した照明光を、前記ステージに平行かつ光軸に垂直な方向に受光素子が配列されたラインセンサにて受光する撮像部と、
前記ステージを前記照射部および前記撮像部に対して、前記ステージに平行な方向に相対的に移動する移動機構と、
を備え、
前記照射部の位置決定方法が、
前記撮像部から前記検査表面を経由して前記照射部へと至る前記光軸上において、前記照射部と前記検査表面との間の距離が、100mm以上となるように前記照射部の位置を仮決定する工程と、
設計上の距離だけ前記照射部と前記撮像部とを離して配置し、かつ、合焦位置を前記発光領域上に合わせた場合の前記ラインセンサの位置における前記発光領域の像のうち、ムラ検査に必要な強度を有する領域の幅である安定強度幅Wを取得する工程と、
前記合焦位置を設計上の位置に一致させ、前記発光領域の位置に点光源を配置した場合の前記受光素子の位置における点像の直径dを取得する工程と、
前記ステージの移動の際の前記ステージの振れに起因する前記ラインセンサの位置での前記光軸および前記ラインセンサに垂直な縦方向の振れ量(±L)を取得する工程と、
前記直径dが、d<(W−2L)を満たすことを確認した上で前記仮決定した位置を確定する工程と、
を備えることを特徴とする照射部の位置決定方法。
【請求項1】
対象物上に存在するムラを検査するための画像を取得するムラ検査用画像取得装置であって、
対象物が載置されるステージと、
前記ステージに平行なライン状の発光領域から前記対象物の検査表面に向けて照明光を照射する照射部と、
前記検査表面にて反射した照明光を、前記ステージに平行かつ光軸に垂直な方向に受光素子が配列されたラインセンサにて受光する撮像部と、
前記ステージを前記照射部および前記撮像部に対して、前記ステージに平行な方向に相対的に移動する移動機構と、
を備え、
前記撮像部の撮像光学系において、前記ラインセンサの位置と光学的に共役な位置である合焦位置が、前記検査表面から前記撮像部側にずれて位置し、前記撮像光学系が物体側において非テレセントリックであり、
前記撮像部から前記検査表面を経由して前記照射部へと至る前記光軸上において、前記照射部と前記検査表面との間の距離が、100mm以上であり、かつ、前記ラインセンサの各受光素子に、ムラ検査に必要な強度の光が入射することを特徴とするムラ検査用画像取得装置。
【請求項2】
請求項1に記載のムラ検査用画像取得装置であって、
設計上の距離だけ前記照射部と前記撮像部とを離して配置し、かつ、合焦位置を前記発光領域上に合わせた場合の前記ラインセンサの位置における前記発光領域の像のうち、ムラ検査に必要な強度を有する領域の幅である安定強度幅をW、前記ステージの移動の際の前記ステージの振れに起因する前記ラインセンサの位置での前記光軸および前記ラインセンサに垂直な縦方向の振れ量を(±L)として、
前記合焦位置を設計上の位置に一致させ、前記発光領域の位置に点光源を配置した場合の前記受光素子の位置における点像の直径dが、d<(W−2L)を満たすことを特徴とするムラ検査用画像取得装置。
【請求項3】
請求項2に記載のムラ検査用画像取得装置であって、
前記照射部の取り付け精度に起因する前記縦方向における最大ずれ量を(±a)として、
前記直径dが、d<(W−2L−2a)を満たすことを特徴とするムラ検査用画像取得装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のムラ検査用画像取得装置であって、
前記対象物が、表示装置に用いられるガラス基板であることを特徴とするムラ検査用画像取得装置。
【請求項5】
対象物上に存在するムラを検査するムラ検査装置であって、
請求項1ないし4のいずれかに記載のムラ検査用画像取得装置と、
前記ムラ検査用画像取得装置にて取得された画像に基づいてムラを検査する検査部と、
を備えることを特徴とするムラ検査装置。
【請求項6】
対象物上に存在するムラを検査するムラ検査装置における照射部の位置決定方法であって、
前記ムラ検査装置が、
対象物が載置されるステージと、
前記ステージに平行なライン状の発光領域から前記対象物の検査表面に向けて照明光を照射する照射部と、
前記検査表面にて反射した照明光を、前記ステージに平行かつ光軸に垂直な方向に受光素子が配列されたラインセンサにて受光する撮像部と、
前記ステージを前記照射部および前記撮像部に対して、前記ステージに平行な方向に相対的に移動する移動機構と、
を備え、
前記照射部の位置決定方法が、
前記撮像部から前記検査表面を経由して前記照射部へと至る前記光軸上において、前記照射部と前記検査表面との間の距離が、100mm以上となるように前記照射部の位置を仮決定する工程と、
設計上の距離だけ前記照射部と前記撮像部とを離して配置し、かつ、合焦位置を前記発光領域上に合わせた場合の前記ラインセンサの位置における前記発光領域の像のうち、ムラ検査に必要な強度を有する領域の幅である安定強度幅Wを取得する工程と、
前記合焦位置を設計上の位置に一致させ、前記発光領域の位置に点光源を配置した場合の前記受光素子の位置における点像の直径dを取得する工程と、
前記ステージの移動の際の前記ステージの振れに起因する前記ラインセンサの位置での前記光軸および前記ラインセンサに垂直な縦方向の振れ量(±L)を取得する工程と、
前記直径dが、d<(W−2L)を満たすことを確認した上で前記仮決定した位置を確定する工程と、
を備えることを特徴とする照射部の位置決定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−202839(P2012−202839A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68000(P2011−68000)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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