説明

メガソニック洗浄方法及び洗浄装置

【課題】メガソニック洗浄方法及び洗浄装置を提供すること。
【解決手段】メガソニック洗浄方法として、洗浄対象体と区分される空間で、メガソニックによって洗浄液を起電させてマイクロ空洞を生成させる。生成されたマイクロ空洞のうち、安定な振動のマイクロ空洞のみを洗浄対象体がロードされた空間に移動させる。また、前記安定な振動のマイクロ空洞を利用して前記洗浄対象体の表面を洗浄する。前記方法によると、洗浄対象体内のパターンの損傷を防ぎ且つ洗浄対象体表面のパーティクルを効果的に除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メガソニック洗浄方法及び洗浄装置に関する。より詳しくは、半導体基板またはフォトマスクをメガソニック洗浄する方法及び洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メガソニック洗浄は、半導体製造作業で使用され、特に半導体基板、フォトマスクなどの洗浄に使用される。メガソニック洗浄は音響エネルギーが液体媒質に加えられるとき、溶解されたガスから形成される微細気泡の迅速な形成と崩壊を通じてパーティクルの接着力を無くすことによってパーティクルを除去する。また、RFパワーが圧電変換器に印加されるとき、流体を通じての音波によって誘導された流体運動を通じてパーティクルを除去する。しかし、パーティクルを除去する工程で半導体基板またはフォトマスク内のパターンにダメージを加えることになってパターンが損傷される問題が発生する。前記パターン損傷を抑制するためにパワーを減少させるか、または、周波数を増加させる場合、洗浄力が減少する問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国特許出願公開2005−0100405号明細書
【特許文献2】韓国特許出願公開2006−0058228号明細書
【特許文献3】韓国特許0551413号明細書
【特許文献4】特開2009−125645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、パターンの損傷が抑制されて、かつ優れた洗浄力を有するメガソニック洗浄方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、上述のメガソニック洗浄方法を行うのに適したメガソニック洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するための本発明の一実施形態によるメガソニック洗浄方法は、洗浄対象体と区分される空間で、メガソニックによって洗浄液を起電させてマイクロ空洞を生成させる。生成されたマイクロ空洞のうち、安定な振動のマイクロ空洞のみを洗浄対象体がロードされた空間に移動させる。また、前記安定な振動のマイクロ空洞を利用して前記洗浄対象体の表面を洗浄する。
【0007】
本発明の一実施形態において、前記安定な振動のマイクロ空洞のみを移動させる段階で、生成されたマイクロ空洞のうち、不安定なマイクロ空洞は前記洗浄対象体がロードされた空間に移動する途中、破裂されるかまたは除去されて前記洗浄対象体がロードされた空間まで到達できないように前記マイクロ空洞の移動経路を調節することができる。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記洗浄対象体がロードされた空間に移動したマイクロ空洞が安定な振動を維持するように、前記洗浄対象体がロードされた空間に高周波振動を提供する工程をさらに含むことができる。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記洗浄対象体と区分される位置では前記マイクロ空洞を生成させるための第1圧電変換器を使用し、前記洗浄対象体がロードされる空間では、マイクロ空洞の振動が維持されるようにする第2圧電変換器を使用することができる。
【0010】
前記第1圧電変換器に加えられる第1パワーは前記第2圧電変換器に加えられる第2パワーより高いパワーであってもよい。
【0011】
前記第2パワーは前記第1パワーの50%より低いパワーであってもよい。
【0012】
前記第1パワーは、安定した振動のマイクロ空洞及び不安定な振動のマイクロ空洞がともに生成されることのできるパワーであってもよい。
【0013】
上述の目的を達成するための本発明の一実施形態によるメガソニック洗浄装置は、メガソニックによって洗浄液を起電させてマイクロ空洞を生成させ、洗浄液の流入及び流出ラインが接続された容器を含む気泡発生部が備えられる。前記気泡発生部と区分される空間に設けられ、前記流出ラインから流出される洗浄液及び安定的な振動のマイクロ空洞を収集し、前記安定な振動のマイクロ空洞を利用して洗浄対象体を洗浄する洗浄部が備えられる。また、前記洗浄対象体が安定な振動のマイクロ空洞によって洗浄されるように前記洗浄対象体をロードするロード部が備えられる。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記気泡発生部には、前記マイクロ空洞を生成させるための第1圧電変換器を含み、前記洗浄部には安定されたマイクロ空洞を維持させるための第2圧電変換器を含むことができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記気泡発生部は、前記洗浄部の内部で別途の空間に具備されるかまたは前記洗浄部の外部に具備されることができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記気泡発生部は前記洗浄部の内部で別途の空間に具備され、前記洗浄部は洗浄液が担持されているタンク及び第2圧電変換器を含むことができる。前記ロード部は前記洗浄部内部に具備されることができる。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記気泡発生部は、前記洗浄部外部に具備され、前記洗浄部は、気泡発生部とロード部との間の離隔された空間であってもよい。前記洗浄部に含まれる第2圧電変換器は前記ロード部と対向している、前記気泡発生部の容器の外壁に具備されることができる。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記気泡発生部の容器の外壁に沿って前記洗浄部に洗浄液が満ちるようにガイドし、パーティクルを含む洗浄液を外部に排出するパーティクル排出ラインをさらに含むことができる。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記気泡発生部の前記洗浄液の流入ラインは、前記洗浄部外部から前記気泡発生部の容器の内部に延伸し、前記洗浄液の流出ラインは前記気泡発生部の容器内部から前記洗浄部に延伸されることができる。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記第1圧電変換器は気泡発生部の洗浄液流入ラインの延伸方向と平行するかまたは垂直となるように設置されることができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記第2圧電変換器は気泡発生部の洗浄液の流出ラインの延伸方向と平行するかまたは垂直となるように設置されることができる。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記ロード部は水平回転するか、または水平方向に直線運動することができる。
【発明の効果】
【0023】
説明のように、本発明のメガソニック洗浄を通じて洗浄対象体のパターンの損傷は、最少化しつつ、洗浄対象体に付着されたパーティクルを洗浄することができる。特に、フォトマスクのパターンを損傷することなく効果的にパーティクルを洗浄することによって、フォトマスクパターンにパーティクルが付着されることによって基板に形成されるパターンに続けて不良が発生することを防ぐことができる。これによって、半導体素子の製造の収率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】洗浄対象体をメガソニック洗浄する方法を示す。
【図2】本発明の第1実施形態によるメガソニック洗浄装置を示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態によるメガソニック洗浄を示す断面図である。
【図4】図3に示すメガソニック洗浄装置に適用することのできる多様な形態の気泡発生部を示す。
【図5】図3に示すメガソニック洗浄装置に適用することのできる多様な形態の気泡発生部を示す。
【図6】図3に示すメガソニック洗浄装置に適用することのできる多様な形態の気泡発生部を示す。
【図7】本発明の第3実施形態によるメガソニック洗浄装置を示す断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態によるメガソニック洗浄装置を示す断面図である。
【図9】音圧によるパーティクルの除去力を示すグラフである。
【図10】各サンプルのパーティクルの除去力を示すバーグラフである。
【図11】各洗浄方法に従ってフォトマスクサンプルに残留するパーティクルに対する蛍光イメージを示す。
【図12】各洗浄方法に従ってフォトマスクサンプルに残留するパーティクルに対する蛍光イメージを示す。
【図13】各洗浄方法に従ってフォトマスクサンプルに残留するパーティクルに対する蛍光イメージを示す。
【図14】各洗浄方法に従ってフォトマスクサンプルに残留するパーティクルに対する蛍光イメージを示す。
【図15】各洗浄方法に従ってフォトマスクサンプルに残留するパーティクルに対する蛍光イメージを示す。
【図16】各洗浄方法に従ってフォトマスクサンプルに残留するパーティクルに対する蛍光イメージを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付する図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。
【0026】
本発明には多様な変更を加えてもよく、様々な形態を有してもよいため、特定の実施形態を図面に例示し、本明細書において詳しく説明する。しかし、これは本発明を特定の開示された実施形態に限定するものではなく、本発明の趣旨及び技術範囲に含まれる全ての変更物、均等物、ないしは代替物を含むものと理解されるべきである。各図面の説明において類似する構成要素に対して類似する参照符号を使用した。添付の図面において、本発明の明確性を確保するために構造物のサイズを実際より拡大して示した。
【0027】
第1、第2などの用語が多様な構成要素を説明するために使用されるが、各構成要素は使用される用語によって限定されるものではない。各用語は1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で使用されるものであって、例えば、明細書中において、第1構成要素を第2構成要素に書き換えてもよく、同様に第2構成要素を第1構成要素に書き換えてもよい。単数表現は、文脈上明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。
【0028】
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを規定するものであって、1つまたはそれ以上の別の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解されるべきである。
【0029】
以下において、本発明の一実施形態によるメガソニック洗浄方法を説明する。
【0030】
メガソニック洗浄は、メガソニック発生器から発生するエネルギーを流体に伝達して洗浄する方式である。具体的には、メガソニック洗浄の主なメカニズムは、マイクロ空洞(Micro cavitation)、音響流(Acoustic streaming)、音響圧力勾配(Acoustic pressure gradient)、圧力増大化学効果(pressure enhanced chemical effects)などを挙げることができる。空洞化は、音響エネルギーが液体媒質に加わるとき、溶解されたガスから形成される微細気泡の速い形成と形成された気泡の破裂をいう。音響流は、RF電力が圧電器に印加されるとき、流体を通じた音波によって誘導された流体運動である。このうち、メガソニック洗浄及びダメージ発生の最も重要なメカニズムは、マイクロ空洞であることができる。
【0031】
マイクロ空洞の大きさが大きくなったり小さくなったりする反復運動、つまり、振動(Oscillation)をするとき、付近に存在するパーティクルは、ガス及び液体界面スイーピング(Gas/Liquid Interface Sweeping)による接着トルク(Detachment Torque)が作用して除去される。また、遠距離に存在するパーティクルは、振動空洞化(Oscillating Cavitation)によって振動する周辺液体(Surrounding Liquid)に起因する圧力勾配力(Pressure Gradient Force)によって除去される。
【0032】
一方、中間メガソニックパワー領域では、空洞の破裂(implosion)によってパターンが損傷され得る。つまり、中間メガソニックパワー領域で空洞周辺の圧力が対称性を失い変更が激しくなると、空洞が破裂し、気泡付近の強い流動が生成されることによってパターンが損傷される。また、高いメガソニックパワー領域においては、空洞のカオス振動によってパターンが損傷される。
【0033】
このように、空洞の安定で、周期的な振動によって、パーティクルが洗浄される。つまり、空洞の振動のみでも、パーティクルが洗浄される。一方、空洞の破裂または非線形運動などの不安定で、不規則的な挙動によってはパターンが損傷されることがわかる。従って、安定なマイクロ空洞を使用することによって、パターンの損傷無しで効果的にパーティクルを洗浄することができるということがわかる。
【0034】
従って、本実施形態においては、安定なマイクロ空洞と不安定なマイクロ空洞を分離させ、不安定なマイクロ空洞は除去し、安定なマイクロ空洞のみを使用してメガソニック洗浄を行う方法を説明する。
【0035】
図1は、洗浄対象体をメガソニック洗浄する方法を示す。
【0036】
洗浄対象体をロードする(S10)。前記洗浄対象体としては、半導体基板またはフォトマスクを挙げることができる。特に、フォトマスクの場合、パーティクルが付着されている場合には、前記フォトマスクを使用して製造される半導体基板上のチップは、全て不良が発生する。従って、フォトマスクに付着されたパーティクルを洗浄することは非常に重要である。
【0037】
洗浄対象体を、洗浄液が担持されているタンク内にロードすることもできる。これとは異なって、前記洗浄対象体を、洗浄液が担持されておらず、外気に露出されたロード部にロードすることもできる。
【0038】
洗浄対象体がロードされている位置と区分された位置の気泡発生部から洗浄液を起電させて、前記洗浄対象体を洗浄するためのマイクロ空洞を生成させる(S12)。つまり、前記気泡発生部には600KHz以上の高周波振動であるメガソニックを発生させる第1変換器が備えられる。前記第1変換器に第1パワーを印加することによってメガソニックを発生させて前記洗浄液を起電させることによって、マイクロ空洞を生成させる。第1変換器に印加されるパワーが高くなるほど高い音圧が加わり、多くのマイクロ空洞が生成される。洗浄効果を極大化するためには、前記気泡発生部から生成されるマイクロ空洞の数が多くなければならないため、第1変換器に加える第1パワーは非常に高く印加すべきである。しかし、変換器に加えるパワーが高くなるほど前記マイクロ空洞のうちには振動が非常に規則的かつ安定したマイクロ空洞のみでなく、振動が不規則かつ不安定なマイクロ空洞も多く存在するようになる。前記第1変換器は、前記気泡発生部から洗浄液が流入される方向と垂直または水平となるように配置することができる。
【0039】
本発明の場合、前記気泡発生部から生成される不安定なマイクロ空洞は、実質的に洗浄対象体を洗浄するのには寄与しない。従って、前記第1パワーは、通常的な気泡発生部から発生されたマイクロ空洞が直接洗浄対象体に加わったときに、パターン不良が発生される程度のパワーより高い場合がある。
【0040】
前記マイクロ空洞のうち、安定かつ周期的な振動のマイクロ空洞のみを前記洗浄対象体のある空間に移動させる(S14)。以下においては、前記洗浄対象体のある空間を洗浄部とする。前記第1変換器によって生成されたマイクロ空洞は、狭い流出ラインを通じて排出されて前記洗浄部まで移動することになる。
【0041】
つまり、前記気泡発生部から生成されるマイクロ空洞が前記洗浄部に移動中に、ライフタイムの短い不安定マイクロ空洞は、破裂されて大半が除去される。従って、不安定マイクロ空洞は、前記洗浄対象体のある部位まで到達できなくなる。しかし、相対的にライフタイムの長いマイクロ空洞は、前記洗浄対象体のある部位まで到達するようになる。従って、気泡発生部から生成されたマイクロ空洞のうち、安定なマイクロ空洞のみが分離されて洗浄部に移動するようになる。
【0042】
説明のように、前記不安定マイクロ空洞が除去されて前記安定なマイクロ空洞は大部分が破裂されず、洗浄対象体に到達することができるように、前記気泡発生部と洗浄対象体の距離が調節されるべきである。また、前記気泡発生部からマイクロ空洞が流出される流出ラインの幅、マイクロ空洞が流出される流速、気泡発生部から洗浄液の流入、流出方向、及び第1変換器の位置などもそれぞれ調節されることができる。
【0043】
前記洗浄部に移動した安定なマイクロ空洞の振動が続けて維持するために、前記洗浄部には前記マイクロ空洞の振動を安定に維持するための第2パワーを提供する(S16)。つまり、前記洗浄部には振動を安定に維持するためのパワーを提供する第2変換器が含まれる。前記第2変換器は前記気泡発生部から洗浄部に流入する前記マイクロ空洞の進行方向と垂直な方向に置かれるか、または、水平な方向に置かれることもある。
【0044】
前記第2パワーは、安定したマイクロ空洞を維持するためのパワーであるため、マイクロ空洞が生成される程度の高いパワーを有しなくてもよい。従って、前記第2パワーは、前記第1パワーに比べて低くなければならない。一例として、前記第2パワーは第1パワーの50%より低いパワーを印加することができる。
【0045】
また、前記提供されるパワーによって前記安定したマイクロ空洞が続けて維持されるようにするために、気泡発生部の流出ラインから前記洗浄対象体まで前記マイクロ空洞が移動する移動経路中には洗浄液が満ちていなければならない。つまり、前記安定したマイクロ空洞は洗浄液内で流動するようにしなければならない。このために、前記説明のように、前記洗浄対象体を、洗浄液が担持されているタンク内にロードすることもできる。これとは異なって、前記洗浄対象体を、洗浄液が担持されていないが、前記流出ラインから流出される洗浄液によって前記洗浄対象体とノズルの外部底面との間を前記エッチング液で完全に充填することによって、前記マイクロ空洞が洗浄液内を流動するようにすることができる。
【0046】
このように、前記洗浄部で安定に維持されるマイクロ空洞を利用して洗浄対象体を洗浄する(S18)。
【0047】
上述のような方法によると、安定で周期的な振動をする複数のマイクロ空洞を使用して洗浄対象体のパターンの損傷を抑制しつつ、パーティクルを除去することができる。
【0048】
前記説明した方法を行うのに適した多様な構造のメガソニック洗浄装置を具現することができる。以下において、本発明によるメガソニック洗浄装置に関して説明する。
【0049】
図2は、本発明の第1実施形態によるメガソニック洗浄装置を示す断面図である。
【0050】
図2を参照すると、メガソニック洗浄装置100は、気泡発生部102、及び洗浄部110を含む。
【0051】
前記気泡発生部102は、洗浄対象体30を洗浄するためのマイクロ空洞を生成するための部材である。前記気泡発生部102は、洗浄液で満たされ、洗浄液流入ライン104a及び流出ライン104bが連結されている容器104、及び第1変換器106を含む。前記気泡発生部102は洗浄対象体30が置かれるロード部116と区分される別途空間に位置する。
【0052】
前記気泡発生部102に含まれた容器104内には洗浄液が満たされる。前記流入ライン104aと流出ライン104bは互いに対向して配置されることもでき、互いに垂直に配置されることもできる。前記流入ライン104aと流出ライン104bの位置及び直径に応じて、前記流出ライン104bを通じて流れ出る洗浄液の量及び速度などを調節することもできる。
【0053】
前記洗浄液は、メガソニック洗浄に使用される適切な洗浄液であってよく、洗浄対象体30の表面上のパーティクルの再蒸着を防ぐためだけでなく、パーティクルを除去することを容易にする特性を有することができる。
【0054】
前記第1変換器106は、気泡発生部102の内部に具備され、マイクロ空洞を生成させるためのエネルギーを供給する。前記第1変換器は、前記流入ライン104aの延伸方向と平行するか、または、垂直な方向に設置されることができる。前記第1変換器106の位置を調節してより多くのマイクロ空洞が生成されるようにすることができる。
【0055】
前記気泡発生部102と区分される空間に洗浄部110が具備される。前記洗浄部110は、洗浄液で満たされた洗浄タンク111及び第2変換器112を含む。前記洗浄液は、前記気泡発生部102の洗浄液が流出ライン104bを通じて流出されて洗浄タンク111に満ちたものであってもよい。従って、洗浄タンク111内の洗浄液は、前記気泡発生部102に満ちている洗浄液と同一であってもよい。
【0056】
前記洗浄タンク111内には洗浄対象体30が置かれるため、洗浄タンク111の容積は、気泡発生部102の容積に比べて非常に大きくなることがある。また、洗浄タンク111には洗浄時に発生するパーティクルを外部に排出するためのパーティクル排出ライン114が具備される。
【0057】
前記第2変換器112は、洗浄液が満ちている洗浄タンク111内に具備される。前記第2変換器112は、第1変換器106によって生成されたマイクロ空洞の振動(oscillation)の維持のために提供される。つまり、前記第2変換器112は、第1変換器106によって生成されたマイクロ空洞のうち、安定したマイクロ空洞の振動が維持し続けるようにする役割を果たし、マイクロ空洞を生成させなくてもよい。従って、第2変換器112に印加されるパワーは、第1変換器106に印加されるパワーに比べて低い。第2変換器112は洗浄タンク111の内部表面に具備されることができる。また、第2変換器112は気泡発生部102からマイクロ空洞が流出される方向と垂直または水平に配置されることができる。
【0058】
前記気泡発生部102の流出ライン104bは、洗浄タンク111の内部まで延伸されている。従って、前記気泡発生部102から生成されたマイクロ空洞及び洗浄液は前記流出ライン104bを通じて気泡発生部102から前記洗浄タンク111の内部に移動することができる。
【0059】
前記流出ライン104bは、気泡発生部102から生成された空洞のうち、安定した状態のマイクロ空洞が洗浄タンク111の内部に到達するように設計される。つまり、安定した状態のマイクロ空洞のみが洗浄タンク111内に到達するように前記流出ライン104bの長さ、流出ライン104bの直径など最適化させることができる。また、安定したマイクロ空洞のみが洗浄タンク111内に到達し、洗浄タンク111内で破裂せずに安定したマイクロ空洞の振動が維持されるように、流入ライン104a及び流出ライン104bの位置、容器104内に洗浄液が流入される速度、第1変換器106及び第2変換器112の位置などを調節することができる。
【0060】
従って、気泡発生部102から生成されたマイクロ空洞のうち、空洞の破裂または非線形運動をせず、ライフタイムが長くて安定したマイクロ空洞が前記流出ライン104bを通じて洗浄タンク111に移動することになる。
【0061】
前記洗浄タンク111内には洗浄対象体30が置かれるロード部116が具備される。洗浄対象体30が安定されたマイクロ空洞によって洗浄されなければならないため、ロード部に置かれる洗浄対象体30は、流出ライン104bから洗浄液が流出される部位と対向するように配置されることが望ましい。前記ロード部116は、洗浄対象体が水平回転するように設計されることもできる。また、前記ロード部116は、洗浄対象体が水平方向に直線運動するように設計されることもできる。
【0062】
前記洗浄装置を使用する場合、気泡発生部102から十分に高いパワーを提供して複数のマイクロ空洞を生成させることができて、洗浄対象体30の表面洗浄効果を極大化することができる。また、前記気泡発生部102から生成されたマイクロ空洞のうち、安定した状態のマイクロ空洞のみを利用して洗浄対象体30を洗浄するので、洗浄対象体30に含まれているパターンの損傷を抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態の場合、気泡発生部102自体が洗浄タンク111内に位置しない。即ち、前記気泡発生部102自体は、液体、即ち、洗浄液内に入れられていなく、単に流出ライン104bのみが液体内に一部が入れられている。このように、気泡発生部102が外部に存在するので、気泡発生部102を容易に維持補修することができる。
【0064】
図3は、本発明の第2実施形態によるメガソニック洗浄を示す断面図である。
【0065】
図3を参照すると、メガソニック洗浄装置130は気泡発生部132、第2変換器138、及びロード部140を含む。
【0066】
前記気泡発生部132は、洗浄対象体40を洗浄するためのマイクロ空洞を生成するための部材である。前記気泡発生部132では安定したマイクロ空洞だけでなく、不安定なマイクロ空洞も共に生成される。
【0067】
前記気泡発生部132は、気泡生成のために洗浄液が満たされている容器、または、ノズルを含む。本実施形態での気泡発生部132は、気泡生成のための部位の容積が小さいため、以下においてはノズル134で表現する。また、前記気泡発生部132は、前記ノズル134と接続されている洗浄液流入ライン134a及び洗浄液流出ライン134bと、メガソニックによってマイクロ空洞を生成させる第1変換器136とを含む。
【0068】
前記洗浄液流入ライン134aはノズル134の一端部に備えられる。前記洗浄液流入ライン134aは前記ノズル134の直径より狭い直径または幅を有する。前記洗浄液流入ライン134aを通じて洗浄液がノズル134内部に流入される。
【0069】
前記第1変換器136は、前記ノズル134内の洗浄液からマイクロ空洞が発生できるように配置される。上記の通りに、狭い直径を有するノズル134内に備わった第1変換器136にパワーを加える場合、圧電電極の振動回数をより一層増加させることができて高い周波数のメガソニックを発生させることができる。
【0070】
図3では、前記第1変換器136は前記洗浄液流入ライン134aから洗浄液が流入する方向と垂直に配置される。しかし、これとは異なる実施形態で、前記第1変換器136の位置は前記ノズル134内で多様に変更することができる。
【0071】
前記洗浄液流出ライン134bはノズル134の他の端部に備えられる。前記洗浄液流出ライン134bによって洗浄液及び発生したマイクロ空洞が流出される。前記洗浄液流出ライン134bは前記ノズル134の直径より狭い直径を有する。前記洗浄液流出ライン134bを通じてライフタイムが長くて安定したマイクロ空洞が流出される。このために、前記洗浄液流出ライン134bの幅と長さなどを調節しなければならない。また、前記流出する洗浄液の流速などを調節しなければならない。
【0072】
図3では、前記洗浄液流入ライン134a及び流出ライン134bは互いに対向して平行に配置される。しかし、これとは他の実施形態で、前記気泡発生部132で、洗浄液流入ライン134a及び洗浄液流出ライン134bの位置は多様に変更することができる。
【0073】
前記第1変換器136、洗浄液流入ライン134a、及び洗浄液流出ライン134bの位置によって生成されるマイクロ空洞の数及び流出する洗浄液の圧力と量などが変わることができる。
【0074】
本実施形態に係る気泡発生部132は、洗浄液を担持している広い容積のバスまたは洗浄タンクを含まない。
【0075】
前記ノズル134の外部面と洗浄対象体40との間のギャップ部位で、前記流出ライン134bを通じて流出される安定したマイクロ空洞を利用して前記洗浄対象体40が洗浄される。
【0076】
このために、前記ノズル134の外部面で前記流出ライン134bと接する底面には第2変換器138が備えられる。即ち、前記第2変換器138は前記流出ライン134bの延長方向と垂直に配置されている。前記第2変換器138は、前記流出ライン134bから流出する安定したマイクロ空洞の振動が維持し続けられるようにする役割を果たす。
【0077】
前記第2変換器138を通じて前記安定したマイクロ空洞の振動が維持されながら洗浄対象体40が洗浄されなければならない。従って、前記洗浄対象体40と前記ノズル134外部の底面との間には洗浄液が満たされなければならない。
【0078】
従って、前記洗浄対象体40は前記流出ライン134bと接触せずに前記ノズル134外部の底面との離隔距離が非常に狭いことが望ましい。前記離隔距離が狭い場合には前記流出ライン134bから継続して流出する洗浄液によって別途の容器がなくても前記洗浄対象体40と前記ノズル134外部の底面との間のギャップが埋められることができる。
【0079】
前記流出ライン134bと対向するようにしながら前記洗浄対象体40をロードするロード部140が備えられる。前記流出ライン134bの直径が狭いため、前記流出ライン134bから流出される安定したマイクロ空洞が洗浄対象体40の全面に加えられない。従って、前記ロード部140は、前記洗浄対象体40が水平回転するように設計されることもできる。また、前記ロード部140は、洗浄対象体40が水平方向に直線運動、即ち、スキャンするように設計されることもできる。
【0080】
本実施形態の場合、高い周波数のメガソニックによって洗浄が行われるので、洗浄効果がより優れている。
【0081】
上記において説明したように、前記気泡発生部は、洗浄液流入ライン、洗浄液流出ライン、及び変換器の位置を変更することができる。
【0082】
図4〜図6は、図3に示すメガソニック洗浄装置に適用することのできる多様な形態の気泡発生部を示す。即ち、図4〜図6のような気泡発生部を採用することによって、変更された形態のメガソニック洗浄装置を製造することができる。
【0083】
図4に示された気泡発生部132aは、図3に示した気泡発生部132と同じく洗浄液流入ライン134a及び流出ライン134bが対向して平行に配置されることができる。しかし、前記第1変換器136aは前記洗浄液流入ライン134aから洗浄液が流入する方向と垂直に配置されることもできる。
【0084】
図5に示した気泡発生部132bは図3に示した気泡発生部132とは異なって、洗浄液流入ライン135a及び流出ライン135bが互いに垂直な方向に配置することができる。また、前記第1変換器136bは、前記洗浄液流入ライン135aから洗浄液が流入する方向と同じ方向に配置されることができる。
【0085】
図6を参照すると、気泡発生部132cは、図3に示した気泡発生部132とは異なって、洗浄液流入ライン135a及び流出ライン135bが互いに垂直な方向に配置されることができる。また、前記第1変換器136cは、前記洗浄液流入ライン135aから洗浄液が流入する方向と垂直に配置されることができる。
【0086】
図7は、本発明の第3の実施形態によるメガソニック洗浄装置を示す断面図である。
【0087】
第3の実施形態に係るメガソニック洗浄装置は、パーティクル除去ラインが含まれることを除いては第2の実施形態のメガソニック洗浄装置と同じ構成を有することができる。
【0088】
図7を参照すると、メガソニック洗浄装置141は気泡発生部142、第2変換器148、パーティクル排出ライン143、及びロード部145を含む。
【0089】
前記気泡発生部142は、洗浄対象体50を洗浄するためのマイクロ空洞を生成するための部材である。前記気泡発生部142は、図3に説明した構成と同じ構成を有することができる。即ち、前記気泡発生部142は、ノズル144、洗浄液流入ライン144a、洗浄液流出ライン144b、及び第1変換器146を含む。
【0090】
本実施形態のメガソニック洗浄装置は前記気泡発生部のノズル144の外部面と洗浄対象体50の間の安定したマイクロ空洞の振動によって洗浄対象体50が洗浄されなければならない。従って、洗浄中には前記ノズル144の外部底面と洗浄対象体の間に洗浄液50が満たされていなければならない。
【0091】
前記パーティクル排出ライン143は、ノズル144の外部側壁と接触する。前記パーティクル排出ライン143は、前記マイクロ空洞の振動によって洗浄対象体50が洗浄された後、パーティクルを含む洗浄液を外部へ排出するためのラインである。即ち、前記パーティクルを含む洗浄液は、上部へ排出されることができる。
【0092】
前記パーティクル排出ライン143は、前記気泡発生部142の流出ライン144bの端部よりさらに長く延びて前記ノズル144の外部の底面と洗浄対象体50の間に洗浄液が満たされ続けるようにガイドする役割をする。しかし、前記パーティクル排出ライン143が前記洗浄対象体50と接触しないように設計しなければならない。
【0093】
ノズル144の外部面で前記流出ライン144bと接する底面には第2変換器148が備えられる。前記第2変換器148は、前記流出ライン144bの延長方向と垂直に配置されることができる。前記第2変換器148は、前記流出ライン144bから流出する安定したマイクロ空洞の振動が維持し続けるようにする役割を果たす。
【0094】
これとは異なる実施形態で、図示はしていないが、前記パーティクル排出ライン143の外壁に第2変換器148が備えられることもできる。前記第2変換器148は前記流出ライン144bと向き合うように配置される。この場合、前記第2変換器148は前記流出ライン144bの延長方向と平行することになる。
【0095】
本実施形態の場合、前記パーティクル排出ライン143によって洗浄液がガイドするため、別途の容器が備えられなくても洗浄対象体50と前記ノズル144外部の底面との間に洗浄液が容易に満たされることができる。
【0096】
前記流出ライン144bと対向するようにしながら前記洗浄対象体50をロードするロード部145が備えられる。前記ロード部145は水平回転及び/またはスキャンするように設計することが望ましい。また、前記気泡発生部がスキャンするように設計されることもできる。
【0097】
図8は、本発明の第4の実施形態によるメガソニック洗浄装置を示す断面図である。
【0098】
図8を参照すると、メガソニック洗浄装置150は、洗浄タンク160、気泡発生部152、第2変換器162、及びロード部164を含む。
【0099】
洗浄タンク160の内部は、洗浄溶液で満たされている。洗浄溶液は、メガソニック洗浄に使われる任意の適切な洗浄溶液であることができ、洗浄対象体60の表面上のパーティクルの再蒸着を防止するだけでなくパーティクルを除去することを容易にする特性を有する。洗浄タンク160の内部に洗浄対象体60が置かれられることによって洗浄対象体60の表面がメガソニック洗浄される。前記タンク160の内部には気泡発生部152及びロード部164が備えられなければならないため、前記洗浄タンク160の容積はこれらを収容できるほど大きくなければならない。
【0100】
前記洗浄タンク160にはマイクロ空洞によって洗浄するとき、発生するパーティクルを外部に送りだすためのパーティクル排出ライン170が備えられる。パーティクル排出ライン170は、洗浄対象体60の表面と離隔される位置から洗浄タンク160の外部へ延長する形状を有する。
【0101】
気泡発生部152は、洗浄タンク160内部で洗浄対象体60を洗浄するためのマイクロ空洞を生成させる。前記気泡発生部152は、流入ライン154a、流出ライン154bが各々接続されている容器154と、前記容器154内に備えられる第1変換器156を含む。
【0102】
具体的に、前記容器154は、洗浄タンク150の内部に備えられる。前記容器154に接続されている流入ライン154aは、洗浄タンク160の外部まで延長されている。従って、前記流入ライン154aを通じて洗浄タンク160の外部から洗浄液が前記容器内に流入される。前記洗浄液流入ライン154aにはポンプと接続されて洗浄液が容器に流入される。前記容器には洗浄タンクの内部に洗浄液を流出させる流出ライン154bが接続されている。前記流入ライン154a及び流出ライン154bは、互いに向き合うように同じ方向に配置されることもでき、互いに垂直な方向に配置されることもできる。また、前記流入ライン154a及び流出ライン154bの直径などが調節されることができる。
【0103】
前記第1変換器156は、マイクロ空洞を生成させるためのエネルギーを供給する。前記第1変換器156は、前流入ライン154aの延長方向と平行または垂直に設置されることができる。
【0104】
即ち、前記流入ライン154aに供給される洗浄液からマイクロ空洞を生成させ、前記流出ライン154bを通じて前記洗浄タンク160の内部へ洗浄液及びマイクロ空洞の振動を流出させる。
【0105】
前記洗浄タンク160内には第2変換器162が備えられる。前記第2変換器162は、第1変換器156により生成されたマイクロ空洞の振動(oscillation)の維持のために提供される。即ち、前記第2変換器162は、第1変換器156により生成されたマイクロ空洞の中で安定したマイクロ空洞の振動が維持され続けるようにする役割を果たし、マイクロ空洞を生成させることはない。従って、第2変換器162に印加されるパワーは、第1変換器156に印加されるパワーに比べて低い。第2変換器162は、洗浄タンク160の内部に備えられることができる。また、第2変換器162は前記流出ライン154bの延長方向と垂直または水平に配置されることができる。一例として、図示のように、前記洗浄タンク160内部の底面に第2変換器162が備えられることができる。これとは異なる実施形態において、前記洗浄タンク160の内部の側壁に第2変換器162が備えられることもできる。
【0106】
前記洗浄タンク160内部には、洗浄対象体60が置かれるロード部164が備えられる。洗浄対象体60は、気泡発生部152で生成されたマイクロ空洞の中で安定したマイクロ空洞の振動によって洗浄されなければならない。従って、前記気泡発生部153の流出ライン154bと対向して前記洗浄対象体60が置かれるように前記ロード部164が配置されることが望ましい。
【0107】
以下においては、本発明による方法によって洗浄することと一般的な方法によって洗浄することを比較して本発明による方法の洗浄効果を説明する。
【0108】
[音圧によるパーティクル除去力実験]
既存方法の一つであるメガソニック変換器を使用してマイクロ空洞の振動を発生させてフォトマスクに付着されたパーティクルを除去した。また、メガソニック変換器に加えられるパワーを調節して各々音圧を異ならせることによって、音圧によるパーティクル除去力を測定した。メガソニック変換器に加えられるパワーが増加するほど音圧も増加することになる。前記洗浄は、洗浄液が流入されていないので流体の流れのない状態で進行した。
【0109】
図9は、音圧によるパーティクルの除去力を示すグラフである。
【0110】
図9に示したように、音圧が68kPaの条件では除去力が22%に止まったが、音圧を114kPaに上昇させると除去力は97%水準になった。
【0111】
前記結果によると、低音圧条件では除去力が落ち、高音圧条件では除去力が上昇することが分かった。しかし、高音圧条件では除去力が高まる代わりにパターンの損傷もさらに多くなることになって望ましくない。
【0112】
[除去力比較実験]
既存方法を通じてフォトマスクに付着したパーティクルを除去することと、本発明の方法を通じてフォトマスクに付着したパーティクルを除去することについて各々除去力を比較した。
【0113】
各洗浄実験は第4の実施形態によって図6に開示された設備を利用して行った。
【0114】
パーティクルが付着したフォトマスクのサンプルを製造した。各サンプルに対しては次の方法で洗浄した。
【0115】
【表1】

【0116】
説明したように、比較例1〜4は、一つの変換器だけを使ったり、または、変換器を使わずに洗浄した。反面、本発明の一実施形態の場合、第1及び第2変換器を利用して音圧を発生させて洗浄液が流れるようにして洗浄した。
【0117】
図10は、各サンプルのパーティクルの除去力を示す棒グラフである。各バーは、左側から、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4、及び第1実施形態による除去力を示す。
【0118】
図10を参照すると、本発明の方法で洗浄した場合には97%の除去力を現わした。本発明の方法によれば、洗浄を実質的に行う洗浄部では68kPaの低音圧を発生させても、高い除去力を現わした。また、洗浄を実質的に行う空間で高音圧が加えられないため、音圧によるパターン損傷を減少させることができる。
【0119】
これに反し、一つの変換器のみを使って洗浄する従来の方法を通じては、洗浄部で68kPaの低音圧を発生させたとき、十分な洗浄力を有することができなかった。
【0120】
[パターンダメージ実験]
パーティクルの接着力(adhesion force)に基づいたダメージに対する評価を行った。即ち、小さいパーティクルであるほど接着力(adhesion force)が増加するため、マイクロ空洞の振動のみによって除去されることは難しいパーティクルの大きさを理論的に換算した。そして、直径が約48nmの大きさを有するパーティクルを求めた。これをフォトマスク表面に付着させた。前記大きさを有するパーティクルは接着力が大きいので、これを除去する時にフォトマスクに形成されたパターンが損傷されることと見なした。
【0121】
520nmの直径を有するパーティクルの場合、計算された接着トルク(adhesion torque)値は、約7×10-16N.mであり、空洞化によって加えられることのできる計算された除去トルク(removal torque)値は、約4×10-15N.m程度である。従って、以下の実験で520nmの直径を有するパーティクルは除去対象であるパーティクルと見なし、48nmの直径を有するパーティクルはフォトマスクに形成されたパターンと見なす。
【0122】
各洗浄実験は第4の実施形態によって図6に開示された設備を利用して行った。各サンプルを製造してそれぞれの方法で洗浄した。
【0123】
サンプル1は、520nmの直径を有するパーティクルをフォトマスクに付着させて製造した。サンプル2はパターンと見なすことのできる48nmの直径のパーティクルをフォトマスクに付着させて製造した。
【0124】
【表2】

【0125】
図11〜図16は、各洗浄方法に従ってフォトマスクサンプルに残留するパーティクルに対する蛍光イメージを示す。図11〜図13は、サンプル1に対する実験結果である。
【0126】
図11は、洗浄する以前のサンプル1に付着した蛍光パーティクルを現わす。図12は、比較例5の方法で洗浄した後、残留する蛍光パーティクルを現わす。図13は、第2実施形態の方法で洗浄した後、サンプル1に残留する蛍光パーティクルを表す。
【0127】
図11〜図13を参照すると、比較例5の方法に比べて本発明の第2実施形態による方法でサンプル1を洗浄したとき、洗浄効果がより優れていることが分かった。
【0128】
また、図14〜図16は、サンプル2に対する実験結果である。図14は、洗浄する以前のサンプル2に付着した蛍光パーティクルを表す。図15は、比較例6の方法で洗浄した以後に残留する蛍光パーティクルを表す。図16は、第2実施形態の方法で洗浄した以後、サンプル2に残留する蛍光パーティクルを表す。
【0129】
図14〜図16を参照すると、本発明の第2実施形態による方法でサンプル2を洗浄したときにはパターンと見なすことのできる48nmの直径を有するパーティクルが大部分除去されずに残っていることが分かった。特に、比較例6の方法で洗浄した場合よりもさらに多い蛍光パーティクルが残っていることが分かった。このように、本発明の方法によるメガソニック洗浄を行えば、基板またはフォトマスクのような洗浄対象体に含まれているパターンの損傷が減少するということが分かった。
【0130】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、各種の変形例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと理解される。
【産業上の利用可能性】
【0131】
前記説明したように、本発明によると、パターンの損傷を減少させながら高いパーティクル洗浄力を有するように洗浄対象体をメガソニック洗浄することができる。本発明の方法及び装置は、半導体基板、フォトマスクのみならず、多様な電子製品及び微細加工品などの洗浄に多様に利用することができる。
【符号の説明】
【0132】
100 メガソニック洗浄装置
102 気泡洗浄部
104 容器
104a 洗浄液流入ライン
104b 洗浄液流出ライン
106 第1変換器
110 洗浄タンク
112 第2変換器
114 パーティクル排出ライン
116 ロード部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象体と区分される空間で、メガソニックエネルギーによって洗浄液を起電させてマイクロ空洞を生成させる段階と、
生成されたマイクロ空洞のうち、安定な振動のマイクロ空洞のみを洗浄対象体に移動させる段階と、
前記安定な振動のマイクロ空洞を利用して前記洗浄対象体の表面を洗浄する段階と、を含むことを特徴とするメガソニック洗浄方法。
【請求項2】
前記生成されたマイクロ空洞のうちで不安定なマイクロ空洞は前記洗浄対象体に移動する途中、破裂されるかまたは除去されることを特徴とする請求項1に記載のメガソニック洗浄方法。
【請求項3】
前記洗浄対象体が提供された空間に移動したマイクロ空洞が安定な振動を維持するように、前記洗浄対象体が提供された空間に高周波振動を提供する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のメガソニック洗浄方法。
【請求項4】
前記洗浄対象体と区分される位置では前記マイクロ空洞を生成させるための第1パワーを印加し、前記洗浄対象体が提供された空間では、マイクロ空洞の安定した振動が維持されるようにする第2パワーを印加することを特徴とする請求項3に記載のメガソニック洗浄方法。
【請求項5】
前記第1パワーは前記第2パワーより高いことを特徴とする請求項4に記載のメガソニック洗浄方法。
【請求項6】
前記第2パワーは前記第1パワーの50%より低いことを特徴とする請求項5に記載のメガソニック洗浄方法。
【請求項7】
前記第1パワーは、安定した振動のマイクロ空洞及び不安定な振動のマイクロ空洞がともに生成されることのできるパワーであることを特徴とする請求項5に記載のメガソニック洗浄方法。
【請求項8】
メガソニックによって洗浄液を起電させてマイクロ空洞を生成させ、洗浄液の流入及び流出ラインが接続された容器を含む気泡発生部と、
前記気泡発生部と区分される空間に設けられ、前記流出ラインから流出される洗浄液及び安定な振動のマイクロ空洞を収集し、前記安定な振動のマイクロ空洞を利用して洗浄対象体を洗浄する洗浄部と、
前記洗浄対象体が安定な振動のマイクロ空洞によって洗浄されるように前記洗浄対象体をロードするロード部と、を備えることを特徴とするメガソニック洗浄装置。
【請求項9】
前記気泡発生部には、前記マイクロ空洞を生成させるための第1圧電変換器を含み、前記洗浄部には安定したマイクロ空洞を維持させるための第2圧電変換器を含むことを特徴とする請求項8に記載のメガソニック洗浄装置。
【請求項10】
前記気泡発生部は、前記洗浄部の内部で別途の空間に具備されるかまたは前記洗浄部の外部に具備されることを特徴とする請求項8に記載のメガソニック洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−251280(P2011−251280A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233694(P2010−233694)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成22年4月18日 ELSEVIER B.V.発行の「Ultrasonics,Volume50,Issue8」に発表
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【出願人】(508298075)ソウル大学校産学協力団 (27)
【Fターム(参考)】