説明

モノ−又はジ−グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー及びその利用

【課題】様々な油剤との親和性、乳化特性、増粘特性、ゲル化特性、構造制御特性に優れており、更に、優れた触感(特にベルベット調の厚みのある滑らかさ)を与えると共に、乾き際のべとつき感の少ない優れた使用感をもたらす、新規なオルガノポリシロキサンエラストマー、及びそれらの製法を提供すること。
【解決手段】親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有せず、且つ、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.0〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基を有し、且つ、架橋部に炭素−ケイ素結合を含む架橋三次元網状構造を有する、グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋構造を有する特定のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー、及び、その利用に関する。本発明に係るグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しない。
【背景技術】
【0002】
ポリエーテル基を有するオルガノポリシロキサンエラストマーとして、シリコ−ン油に対し膨潤性であるシリコ−ン重合体及びこれを用いて製造した、水を安定にかつ均一に分散させることのできるペ−スト状シリコ−ン組成物が報告されている(例えば、特許文献1、2等)。しかしながら、これらのペースト状シリコーン組成物の乳化性能、特に非シリコーン油に対する乳化性能は十分満足できるものではなく、また、化粧品の感触改善効果も不十分であった。
【0003】
一方、非ポリエーテルタイプの親水性オルガノポリシロキサンエラストマーとしては、グリセリン誘導体を有するオルガノポリシロキサン重合物であって、自重と同重量以上の液状油を含んで膨潤することのできることを特徴とするオルガノポリシロキサン重合物、ならびにこれに液状油剤を含ませ膨潤させてなるペースト状組成物が提案されている(特許文献3)。また、ポリジメチルシロキシエチル基による分岐構造を特徴とし、更に親水性基を有するオルガノポリシロキサンエラストマーが特許文献4により提案されており、その中で親水性基としてグリセリン誘導体基を含有するオルガノポリシロキサンエラストマーも紹介されている。
【0004】
しかしながら、これらの文献の実施例で報告ないし検討されたグリセリン誘導体基を含有するオルガノポリシロキサンエラストマーは、ポリグリセリン変性シリコーンエラストマー又はトリグリセリン変性シリコーンエラストマーのみであり、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しないモノグリセリン誘導体変性シリコーンエラストマーに関する報告は無かった。更には、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しないジグリセリン誘導体変性シリコーンエラストマーに関する報告は無かった。
【0005】
また、これらの文献の実施例で報告ないし検討されたグリセリン誘導体基を含有するオルガノポリシロキサンエラストマーは、一般的なポリエーテル変性シリコーンエラストマーと対比した場合、油中水型エマルション用乳化剤として幅広い油剤に対して十分な乳化性能を有するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−272932号公報
【特許文献2】特開平5−104320号公報
【特許文献3】国際公開第2004/024798号
【特許文献4】特開2008−115358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、「PEG−FREE処方」への要請」が高まっている。例えば、ドイツでは、ポリエチレングリコール(PEG)を含有する商品に関して、消費者向けの情報提供雑誌社による検査によって安全性に否定的な認識が得られたことがきっかけとなり、ポリエーテル基を含有する原料を非ポリエーテル原料に置き換える需要が高まっている。また韓国では、PEGの酸化劣化によってホルマリンが生成し得ることから、これを含有する商品は皮膚刺激性を有する可能性があるとの懸念により、非ポリエーテル系のシリコーン界面活性剤への関心が高まっている。
【0008】
このような背景により、化粧品等の最終消費者向け商品の構成を全体としてPEG−FREE処方に改良するという世界的な潮流が想定され、それに呼応してシリコーン系界面活性剤の分野においても従来のポリエーテル変性シリコーン乃至ポリエーテル変性シリコーンエラストマーから、非ポリエーテル系親水性シリコーン乃至非ポリエーテル系親水性シリコーンエラストマーへと技術を進化させる市場ニーズが予想される。そして、グリセリン変性シリコーン乃至グリセリン変性シリコーンエラストマーは、ポリエーテル変性シリコーン乃至ポリエーテル変性シリコーンエラストマーに比べて酸化安定性に優れることから、そのような非ポリエーテル系親水性シリコーン乃至非ポリエーテル系親水性シリコーンエラストマーとして有望である。
【0009】
しかしながら、従来のグリセリン変性シリコーン乃至グリセリン変性シリコーンエラストマーは、コストが高く、また、これ以外にも、大きな問題点を有している。すなわち、これらを油中水型エマルション用乳化剤として使用する場合、単独では乳化能力が低いために、化粧料の実処方での使用に耐えない。このため、ポリエーテル変性シリコーンエラストマーに比して感触が優れており、かつポリオキシエチレン(PEG)構造を有しないために酸化劣化の問題も生じないという利点を有するグリセリン変性シリコーンエラストマーであっても、他のPEG構造を有する親水性シリコーン乳化剤等の非イオン性の界面活性剤と併用しなければ十分な安定性を有する油中水型エマルション化粧料を調製できず、処方全体としてその感触の改善効果を十分に発揮しつつ、化粧料を全体としてPEG−FREE処方に改めることは困難であった。
【0010】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、様々な油剤との親和性を有しており、また、構造化特性、ゲル化特性に優れており、更に、優れた触感、特にベルベット調の厚みのある滑らかさが持続し、しかも塗布初期から乾燥後まで全くべとつきを生じない優れた触感を与え、更に、しわ隠し効果(マスキング効果)等の優れた美容効果をもたらす、新規なグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー及びその製法を提供することを第1の目的とする。
【0011】
本発明は、上記の特性を全て備えながら、更に、優れた保湿効果及び乳化特性をも有し、シリコーン系界面活性剤にとって安定な乳化という点で対処の容易なシリコーン油(低極性油)やエステル油(中〜高極性油)だけでなく、特に従来の非ポリエーテル型シリコーン系界面活性剤では対応困難であった炭化水素油(非極性油)に対しても、安定なエマルションを形成できるため、化粧料や外用剤等の目的に応じて処方の幅を広げることを可能にする、新規なグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー及びその製法を提供することを第2の目的とする。
【0012】
本発明は、上記グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを含むゲル化剤、構造化剤、増粘剤、感触改良剤、保湿剤、マスキング剤、界面活性剤、乳化剤、皮膜剤、粉体の分散安定剤等の外用剤又は化粧料用の原料、並びに、当該グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを含む化粧料又は外用剤を提供することを第3の目的とする。
【0013】
本発明は、上記グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを含有する外用剤又は化粧料用の原料を利用することにより、化粧品等の最終消費者向け商品の構成を全体としてPEG−FREE処方に改良するという世界的な潮流に合致した、ポリオキシエチレン部位を含有する化合物を含まないことを特徴とする外用剤ないしは化粧料を提供することを第4の目的とする。
【0014】
本発明は、臭気が低減されたグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー、それらを含む外用剤又は化粧料用の原料、及び、それらを含む外用剤又は化粧料を提供することを第5の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の第1及び第2の目的は、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有せず、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.0〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基を有し、且つ、架橋部に炭素−ケイ素結合を含む架橋三次元網状構造を有するグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーによって達成することができる。
【0016】
前記グリセリン誘導体基は、二価の連結基を介してケイ素原子に結合し、かつ下記構造式(4―1)〜(4−3):
【化1】

(式中、Wは水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表す)
【化2】

(式中、Wは前記と同様の基を表す)
【化3】

で表されるグリセリン単位から選択される少なくとも1種以上のグリセリン単位を、その繰り返し数が平均して1.0〜2.4の範囲で含有してなるグリセリン誘導体基含有有機基(但し、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しない)を含むことが好ましい。
【0017】
前記グリセリン誘導体基は、下記一般式(5−1)
【化4】

(式中、R17はオキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しない二価有機基を表す)で表わされるジグリセリン誘導体基、下記一般式(5−2)
【化5】

(式中、R17は上記のとおりである)で表わされるジグリセリン誘導体基、及び、下記一般式(5−3)
【化6】

(式中、R17は上記のとおりである)で表わされるモノグリセリン誘導体基から選択されることが好ましい。
【0018】
また、本発明の第1及び第2の目的は、(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(B)反応性不飽和基を有するグリセリン誘導体基含有有機化合物、並びに
(C)(C1)1分子中に平均で1より大きい数の反応性不飽和基を有する有機化合物、及び、(C2)1分子中に1以上の反応性不飽和基及び1以上のエポキシ基を有する有機化合物からなる群から選択される1種類以上の有機化合物
を少なくとも反応させる工程を含む、グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの製造方法によっても達成することができる。
【0019】
本発明の第3及び/又は第4の目的は、上記グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを含有する外用剤原料若しくは化粧料用原料又は外用剤若しくは化粧料、並びに、上記グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーに加えて少なくとも1種の油剤を含む組成物、及び、当該組成物を含有する外用剤用原料若しくは化粧料用原料又は外用剤若しくは化粧料によって達成することができる。前記組成物はエマルション又はペーストの形態であってよい。
【0020】
特に、本発明の第4の目的は、上記グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを含有する外用剤若しくは化粧料、好ましくは、上記グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを含有する一方で、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有する化合物、特に、ポリオキシエチレン基又はポリオキシエチレン部を含有する化合物を含まない外用剤若しくは化粧料によって好適に達成することができる。
【0021】
本発明の第5の目的は、上記グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの製造方法において得られたオルガノポリシロキサンエラストマー、又は、上記グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーに加えて少なくとも1種の油剤を含む組成物に、1種類以上の酸性物質を加えて処理した後、加熱又は減圧によって揮発成分を除去してなる当該グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はその組成物、これらを含有する外用剤原料若しくは化粧料用原料又は外用剤若しくは化粧料によって達成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、様々な油剤との親和性を有しており、また、乳化特性、増粘特性、ゲル化特性、構造制御特性に優れており、更に、優れた触感、特にベルベット調の厚みのある滑らかさに特長づけられる優れた触感を与えると共に、乾き際のべとつき感の少ない優れた使用感をもたらす、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しない新規な有機変性オルガノポリシロキサンエラストマーを提供することができる。
【0023】
また、本発明の有機変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、しわ隠し効果、保湿効果等の優れた美容効果をもたらすことができる。
【0024】
そして、本発明の有機変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、優れた乳化特性を有しており、低極性のシリコーン油、中〜高極性のエステル油だけでなく、非極性の炭化水素油に対しても優れた乳化性能を発揮することが可能である。したがって、本発明の有機変性オルガノポリシロキサンエラストマーを外用剤又は化粧料に配合することにより、様々な処方の外用剤又は化粧料を設計することが可能である。なお、本発明の外用剤又は化粧料はポリオキシエチレン基又はポリオキシエチレン部位を有する化合物、例えば、ポリエーテル変性シリコーンを含む必要がなく、化粧品等の最終消費者向け商品の構成を全体としてPEG−FREE処方に改良するという世界的な潮流に合致した、ポリオキシエチレン部位を含有する化合物を含まないことを特徴とする外用剤乃至は化粧料とすることができる。本発明のオルガノポリシロキサンエラストマーは、他のPEG構造を有する親水性シリコーン乳化剤等の非イオン性の界面活性剤を併用しなくとも、十分な安定性を有する油中水型エマルション化粧料等を調製することができ、化粧料又は外用剤の処方を全体としてPEG−FREE処方(=ポリオキシエチレン(PEG)構造を有する化合物を含有しない処方)に改めることができる。すなわち、本発明のオルガノポリシロキサンエラストマーの使用により、化粧品業界は最終消費者向け商品の構成を全体としてPEG−FREE処方に改良するという世界的な潮流に合致した、環境適合性の高いビジネス戦略を実行することができる。
【0025】
また、本発明の有機変性オルガノポリシロキサンエラストマーを配合した組成物は、安定性を担保できる高粘度の性状でありながら、その触感は非常に柔らかいという、相反する特性を併せ持つことができる。この効果は有機変性オルガノポリシロキサンエラストマーが粒子の形態にある場合に顕著である。
【0026】
更に、本発明の有機変性オルガノポリシロキサンエラストマーは媒体中に分散された粉体の分散状態を保持する効果に優れており、粉体を含む組成物の保存安定性を特に向上することができる。
【0027】
本発明の有機変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、その機能のために、増粘剤、ゲル化剤、構造化剤、感触改良剤、保湿剤、マスキング剤、界面活性剤、乳化剤、皮膜剤、粉体の分散安定剤等の外用剤又は化粧料用の原料として好適に使用することができ、また、化粧料又は外用剤に適宜配合することができる。特に、ドラッグデリバリーシステムとして利用できる安定性に優れた非水系のエマルション組成物を提供することもできるし、同様に安定性に優れた油中水型又は水中油型エマルション組成物を提供することもできる。
【0028】
また、本発明の有機変性オルガノポリシロキサンエラストマーは幅広い種類の油剤と均一に混合可能なため、各種油剤との組成物として使用することができる。更に、油剤と共に本発明の有機変性オルガノポリシロキサンエラストマーを含む組成物は保存安定性にも優れている。
【0029】
本発明では有機変性オルガノポリシロキサンエラストマーの臭気を低減することができる。臭気が低減された本発明の有機変性オルガノポリシロキサンエラストマーは外用剤又は化粧料用の原料として、外用剤又は化粧料の成分として特に好適である。特に、本発明では、実質的に無臭であり、また、高温下若しくは経時での臭気発生が抑制された、有機変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含む組成物を酸処理という簡便な工程によって提供することができる。本発明の特長は工業規模での実施に有利であり、しかも、簡便に、且つ、低コストで低臭化された有機変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含む組成物を提供することができる点にある。
【0030】
また、臭気が低減された本発明の有機変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、外用剤又は化粧料に配合するにあたって、臭気をマスクする必要がなく、外用剤又は化粧料の処方の設計の自由度が高い。これは、臭気を含む官能性が重視される化粧料において特に有利である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー及びその製造方法)
本発明の第1の態様は、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有せず、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.0〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基を有し、且つ、架橋部に炭素−ケイ素結合を含む架橋三次元網状構造を有するグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーである。
【0032】
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは架橋密度が比較的高い弾性体であり、溶剤等には不溶のゲル状又はゴム状又はパウダー状固体である。当該オルガノポリシロキサンエラストマーは25℃で流動性を有しないこと(非液状)が好ましい。「25℃において流動性を有しない」とは、所定の容器内にオルガノポリシロキサンエラストマーを導入してその表面をこて等の器具を用いて水平とした後、当該容器を傾斜させ、24時間後に、当該表面が再度水平とならないことを意味する。ここで、「水平」とは、重力の作用方向に対して直角に交差する平面を形成することを意味する。
【0033】
また、本発明のオルガノポリシロキサンエラストマーは炭素−ケイ素結合を含む架橋部を備える架橋三次元網状構造を有する。前記架橋三次元網状構造はポリシロキサン鎖をも含む。但し、本発明のオルガノポリシロキサンエラストマーはポリシロキサン鎖が比較的密に三次元網目状に架橋した高架橋分子構造を有する。したがって、前記オルガノポリシロキサンは溶剤等には不溶のゲル状又はゴム状又はパウダー状固体である。
【0034】
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは自重(自らの質量)以上の量の油剤を含んで膨潤しうることが好ましい。油剤を包含した当該オルガノポリシロキサンエラストマーはペースト状で存在することができる。油剤の種類等は後述するとおりであるが、シリコーン油が好ましい。
【0035】
本発明に係るグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、その親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有せず、且つ、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.0〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基を有することを特徴とする。なお、親水性基又は親水性構造とは、オルガノポリシロキサン分子に親水性の特性を付与する官能基又は分子構造であり、一般的には親水性化合物から誘導される官能基又は構造である。
【0036】
特に、本発明においては、分子内のグリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.0〜2.4の範囲内にあるという条件に合致することが必要であり、グリセリン誘導体基がこの条件に該当しない場合には、乳化性能が低下する点で好ましくない。また本発明においては、親水基として、分子内のオキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を含有するオキシアルキレン誘導体基又はこれに類する構造が存在しないことが必要である。ここで、親水性基としてのオキシアルキレン構造は、オキシエチレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のポリオキシエチレン構造を含む分子内構造(−(OC2H4n−,式中、nは2以上の数)、または、水酸基(-OH)を有し、炭素原子数2以上のオキシアルキレン単位の繰り返し構造を有するオキシアルキレン誘導体基(例えば、−(OCmH2mn-OHで示される基;式中、m,nは各々独立に2以上の数である)である。特に、親水基としてポリオキシアルキレン構造を含有するポリオキシアルキレン変性基又はこれに類する構造が分子中に存在すると、ポリオキシエチレン(PEG)の酸化劣化に伴う問題を本質的に改善するという本発明の目的が達成できず、また、親水性基として、ポリオキシアルキレン変性基を含むと、これを配合した化粧料、特に油中水型エマルジョン化粧料の油性感やべたつき等が抑制できず、親水性基としてグリセリン誘導体基のみを含む場合に比べ、その感触が顕著に悪化する場合がある。一方、水酸基を有さず、炭素原子数3以上のオキシアルキレン単位の繰り返し構造のみからなるポリオキシアルキレン誘導体基や、Si間に形成された炭素原子数3以上のオキシアルキレン単位の繰り返し構造のみからなるポリオキシアルキレン構造は、親水性基としての性質を有さず、オキシエチレン単位を含む構造とは異なる(非PEG構造)ため、本発明に係るオルガノポリシロキサンエラストマーの分子中に含むことを妨げるものではない。
【0037】
本発明に係るグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、分子内に、親水性基として、グリセリン誘導体基を有することを第2の特徴とする。当該ジグリセリン誘導体基は、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.0〜2.4の範囲にあり、好適には繰り返し数の平均値が1.4〜2.3の範囲であり、より好適には、1.8〜2.2の範囲であり、最も好適には平均2である。グリセリン単位の繰り返し数の平均値が前記下限未満、或いは上限を超えると、グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの乳化分散性能や乳化物の安定性維持能力が悪化し、特に、有機油を含む油相への対応が困難となり、安定な油中水型エマルション組成物を得ることができない。
【0038】
グリセリン単位の繰り返し数は、平均値であってよく、グリセリン単位の繰り返し数が2であるジグリセリン誘導体基が、他のグリセリン誘導体基に対して、全体の30質量%を超える量であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。最も好ましいものは、ジグリセリン誘導体基の純度が98質量%を超える純品である。すなわち、本発明のグリセリン誘導体変性シリコーンは、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が上記範囲にあり、かつ、その繰り返し数が2であるものが主たる親水性基であってもよいし、高純度のジグリセリン部のみが主たる親水基であってもよい。
【0039】
かかるグリセリン誘導体基は、好適には、二価の連結基を介してケイ素原子に結合し、かつ下記構造式(4―1)〜(4−3)で表されるグリセリン単位から選択される少なくとも1種以上のグリセリン単位を、平均して1.0〜2.4の範囲で含有してなるグリセリン誘導体基含有有機基(但し、同官能基中にオキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しない)を含む。なお、各グリセリン単位の繰り返し数の好適範囲は、前記と同様である。
【化7】

(式中、Wは水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表す)
【化8】

(式中、Wは前記と同様の基を表す)
【化9】

【0040】
式(4−1)〜(4−3)中、Wは水素原子であることが好ましい。特に、Wが水素原子である場合、空気下で酸化され難く、保存中にホルムアルデヒド等のアルデヒド類、ギ酸エステル類等のアレルギー抗原性化合物を経時的に生成し難いので環境適合性が高いという利点がある。
【0041】
前記グリセリン誘導体基は、グリセリン単位の繰り返し数が平均して1.0〜2.4の範囲であり、より好適には平均して2であって、グリセリン単位の繰り返し構造が分岐を有しないことが好ましいが、その一部がポリグリセロール基又はポリグリシジルエーテル基のように、一部に分岐構造を有する構造であってもよい。
【0042】
前記二価の連結基は、前記グリセリン誘導体基に含まれる、ケイ素原子への結合部位であって、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を含有しない二価有機基である。具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基;エチレンフェニレン基、プロピレンフェニレン基等のアルキレンフェニレン基、エチレンベンジレン基等のアルキレンアラルキレン基;エチレノキシフェニレン基、プロピレノキシフェニレン基等のアルキレノキシフェニレン基;メチレノキシベンジレン基、エチレノキシベンジレン基、プロピレノキシベンジレン基等のアルキレノキシベンジレン基が例示される。好適には、下記一般式で示される2価の有機基から選択される基が例示できる。
【化10】

(式中、R24は、各々独立に、置換基を有していてもよい、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、アルケニレン基又は炭素数6〜22のアリーレン基である。)
【0043】
前記グリセリン誘導体基は、より好適には、下記構造式(5):

−R17−O−X−H (5)

(式中、R17はオキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を含有しない二価有機基であり、上記の二価の連結基と同様の基が例示される。Xは前記の構造式(4―1)〜(4−3)で表されるグリセリン単位から選択される少なくとも1種以上のグリセリン単位である。mはグリセリン単位の繰り返し数であり、平均して1.0〜2.4の範囲の数である。なお、各グリセリン単位の繰り返し数の好適範囲は、前記と同様である。)
で表わされる基である。
【0044】
最も好適には、ジグリセリン誘導体基は、下記一般式(5−1)
【化11】

(式中、R17はオキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しない二価有機基を表す)、又は、下記一般式(5−2)
【化12】

(式中、R17は上記のとおりである)で表わされるジグリセリン誘導体基、及び、下記一般式(5−3)
【化13】

(式中、R17は上記のとおりである)で表わされるモノグリセリン誘導体基から選択される。
【0045】
本発明に係るグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーにおいて、ジグリセリン誘導体基は、ジグリセリンモノアリルエーテル又はジグリセリルオイゲノールから誘導されてなる親水性基が好適である。また、モノグリセリン誘導体基は、モノグリセリンモノアリルエーテル,モノグリセリルオイゲノールから誘導されてなる親水性基が好適である。
【0046】
グリセリン誘導体基の結合位置は、主鎖であるポリシロキサンの側鎖又は末端のいずれであってもよく、グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー1分子中に2以上のグリセリン誘導体含有有機基を有する構造であってもよく、かつ好ましい。更に、これらの2以上のグリセリン誘導体含有有機基は、主鎖であるポリシロキサンの側鎖のみ、末端のみ又は側鎖及び末端に結合する構造であってよい。
【0047】
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、
(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(B)反応性不飽和基を有するグリセリン誘導体基含有有機化合物、並びに
(C)(C1)1分子中に平均で1より大きい数の反応性不飽和基を有する有機化合物、及び、(C2)1分子中に1以上の反応性不飽和基及び1以上のエポキシ基を有する有機化合物からなる群から選択される1種類以上の有機化合物
を反応させることにより製造することができる。
【0048】
(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子水素原子を有する限り、特に限定されるものではないが、1分子中に平均で1個より多くの、好ましくは1.01〜100、より好ましくは1.1〜50、更により好ましくは1.2〜25の、特に好ましくは1.3〜10のケイ素原子結合水素原子を有するものが好ましく、直鎖状、分岐状又は網状のオルガノポリシロキサンを使用することができる。オルガノハイドロジェンポリシロキサン上のケイ素原子結合水素原子の位置についても制限はなく、主鎖上、又は、末端のいずれに位置してもかまわない。(A)成分としては1種類のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用してもよく、2種類以上のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用してもよい。
【0049】
(A)成分としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とからなる共重合体が例示される。
【0050】
(A)成分は、平均組成式(1):

SiO(4−a−b)/2 (1)

(式中、Rは、互いに独立して、一価有機基を表し、1.0≦a≦3.0、及び、0.001≦b≦1.5である)で表されるものが好ましい。
【0051】
(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は限定されず、直鎖状、一部分岐状を有する直鎖状、分岐鎖状、環状、樹枝状が例示され、好ましくは直鎖状である。またその分子量は特に限定されず、低分子量体から高分子量体まで使用できる。具体的には、数平均分子量が100〜100万の範囲であることが好ましく、300〜50万の範囲がより好ましい。
【0052】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記構造式
(i)RSiO(RSiO)(RSiHO)SiR
(ii)HRSiO(RSiO)(RSiHO)SiR
(iii)HRSiO(RSiO)(RSiHO)SiR
(式中、Rは上記のとおりであり、vは0又は正の整数であり、wは正の整数であり、zは0又は正の整数である)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが例示される。これらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(i)側鎖のみ、(ii)側鎖又は分子鎖の片末端、(iii)側鎖又は分子鎖の両末端にケイ素原子結合水素原子を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
【0053】
一価有機基は、特に限定されるものではないが、以下の(D1)〜(D9)から選ばれる官能基であることが好ましい。、
(D1)炭素原子数1〜60の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、
(D2)−RO(AO)(式中、AOは炭素原子数3〜4のオキシアルキレン基を表し、Rは炭素原子数3〜5の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基を表し、Rは炭素原子数1〜24の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、又は、炭素原子数2〜24の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状のアシル基を表し、z=1〜100である)で表されるポリオキシアルキレン基、
(D3)炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基、
(D4)水酸基、
(D5)−R10−COOR11 (式中、R10は炭素原子数2〜20の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基を表し、R11は炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基を表す)で表されるエステル基、
(D6)−R12−OCOR13 (式中、R12は炭素原子数2〜20の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基を表し、R13は炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基を表す)で表されるエステル基
(D7)下記一般式(4)
【化14】

(式中、R14は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数1〜30の一価炭化水素基、水酸基又は水素原子であり、R14のうち少なくとも一つは前記一価炭化水素基である。tは2〜10の範囲の数であり、rは1〜100の範囲の数である)で表される、鎖状ポリシロキサン構造で置換されたアルキル基、
(D8)下記一般式(5)
【化15】

(式中、R15は、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数2〜20の二価炭化水素基を表す)で表される、エポキシ基、
(D9)下記一般式(6)
【化16】

(式中、R16は、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数2〜20の二価炭化水素基を表し、R及びRは前記の通りである)で表される、脂環式エポキシ基。
【0054】
(D1)、(D2)及び(D5)〜(D7)における、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等を含む有機基で置換された基が挙げられる。一価炭化水素基は、アルケニル基以外の基であることが好ましく、メチル基、エチル基、又は、フェニル基が特に好ましい。
【0055】
(D5)、(D6)、(D8)及び(D9)における、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基は既述のとおりである。
【0056】
(D3)における、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等低級アルコキシ基や、ラウリルアルコキシ基、ミリスチルアルコキシ基、パルミチルアルコキシ基、オレイルアルコキシ基、ステアリルアルコキシ基、ベへニルアルコキシ基等高級アルコキシ基等が例示される。
【0057】
(B)反応性不飽和基を有するグリセリン誘導体基含有有機化合物は、好適には、分子鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するモノ―又はジ−グリセリン誘導体である。これらは、例えば、アリルモノグリセロール(モノグリセリンモノアリルエーテル)、アリルジグリセロール(ジグリセリンモノアリルエーテル)等の分子鎖末端にアルケニル基等の反応性官能基を有するモノ―又はジ−グリセリン誘導体であり、公知の方法により合成することができる。
【0058】
本発明に係るグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーにおいて、油剤に対する親和性及び乳化特性、各種処理剤(界面活性剤又は表面処理剤)としての使用、特に粉体処理剤としての使用及び化粧料原料としての使用の観点から、(B)成分としては、具体的には、モノグリセリンモノアリルエーテル,モノグリセリルオイゲノール、ジグリセリンモノアリルエーテル,ジグリセリルオイゲノールであり、特に好適には、ジグリセリンモノアリルエーテル又はジグリセリルオイゲノールが好ましい。グリセリン誘導体基のグリセリン残基部分の好適な構造及び、好適な誘導体基を与える化合物の構造等は、前記の通りである。
【0059】
(C)成分としての(C1)1分子中に平均で1より大きい数の反応性不飽和基を有する有機化合物としては、1分子中に平均で1個より多くの、好ましくは1.01〜10、より好ましくは1.2〜8、更により好ましくは1.5〜6の、特に好ましくは2.0〜4.5の反応性不飽和基、好ましくは炭素−炭素二重結合、を有する限り構造上の制限はなく、直鎖状、分岐状又は網状の、有機化合物を使用することができる。また、(C1)に含まれる反応性不飽和基としては、アルケニル基等の一般的な不飽和脂肪族炭化水素基の他、メタクリル基等ヘテロ原子含有不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。有機化合物としては、オルガノポリシロキサン又は不飽和脂肪族炭化水素が好ましい。有機化合物、好ましくはオルガノポリシロキサン又は不飽和脂肪族炭化水素、上の反応性不飽和基の位置についても制限はなく、主鎖上、又は、末端のいずれに位置してもかまわない。但し、架橋密度コントロールの容易さの点からは、一分子中に2つの反応性不飽和基を有し、たとえばそれらが両末端に位置する高純度の化合物を用いることが好ましい。
【0060】
反応性不飽和基は不飽和脂肪族炭化水素基中に存在することが好ましい。不飽和脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数2〜30のものが好ましく、2〜20のものがより好ましい。炭素原子数2〜30の一価の不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル、2−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の直鎖又は分岐状のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;シクロペンテニルエチル基、シクロヘキセニルエチル基、シクロヘキセニルプロピル基等のシクロアルケニルアルキル基;及び、エチニル基、プロパルギル基等のアルキニル基が挙げられる。アルケニル基が好ましく、ビニル基及びヘキセニル基が特に好ましい。
【0061】
(C1)成分がオルガノポリシロキサンである場合は、反応性不飽和基を含む不飽和脂肪族炭化水素基、反応性不飽和基を含むヘテロ原子含有不飽和脂肪族炭化水素基等はケイ素原子に結合することが好ましい。また、(C1)成分がオルガノポリシロキサンである場合は、前記不飽和脂肪族炭化水素基等以外のケイ素原子に結合する基は、置換若しくは非置換の一価炭化水素基、又は、反応性官能基を有する一価有機基とすることができる。
【0062】
置換若しくは非置換の一価炭化水素基は、典型的には、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜4の一価の飽和炭化水素基、炭素原子数6〜30、より好ましくは炭素原子数6〜12の一価の芳香族炭化水素基である。なお、(C1)成分は、一価有機基として水酸基やメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素原子数1〜12のアルコキシ基等を有していてもよい。
【0063】
炭素原子数1〜30の一価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖又は分岐状のアルキル基、並びに、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0064】
炭素原子数6〜30の一価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等のアリール基が挙げられる。フェニル基が好ましい。なお、本明細書において芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素のみからなる基以外に、芳香族炭化水素と脂肪族飽和炭化水素が複合した基をも含む。芳香族炭化水素と飽和炭化水素が複合した基の例としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。
【0065】
上記の一価炭化水素基上の水素原子は、1以上の置換基によって置換されていてもよく、当該置換基は、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子)、水酸基、アミド基、エステル基、カルボキシル基、及び、イソシアネート基からなる群から選択される。上記置換基を少なくとも1つ有する一価飽和若しくは芳香族炭化水素基が好ましい。具体的には、3,3,3−トリフロロプロピル基、3―クロロプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピル基、3−カルボキシプロピル基、10−カルボキシデシル基、3−イソシアネートプロピル基等を挙げることができる。
【0066】
反応性官能基を有する一価有機基としては、例えば、水酸基、メルカプト基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、エステル基、カルボキシル基、及び、イソシアネート基からなる群から選択される反応性官能基を有する一価飽和若しくは芳香族炭化水素基が挙げられる。一価有機基に存在する反応性官能基は1つであっても、複数であってもよい。当該一価有機基として好ましいものは、上記の反応性官能性基を少なくとも1つ有する一価飽和若しくは芳香族炭化水素基である。反応性官能基としては、具体的には、3−ヒドロキシプロピル基、3−(2−ヒドロキシエトキシ)プロピル基、3−メルカプトプロピル基、2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、アミノプロピル基、N−メチルアミノプロピル基、N−ブチルアミノプロピル基、N,N−ジブチルアミノプロピル基、3−(2−アミノエトキシ)プロピル基、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル基、3−カルボキシプロピル基、10−カルボキシデシル基、3−イソシアネートプロピル基等を挙げることができる。
【0067】
(C1)成分としては、直鎖状若しくは分岐状のポリシロキサンが好ましい。直鎖状の(C1)成分としては、ジオルガノシロキサン単位及びトリオルガノシロキシ単位を含む重合体であることが好ましく、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、これらの重合体のメチル基の一部がエチル基、プロピル基等のメチル基以外のアルキル基や3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基で置換された重合体、及び、これらの重合体の2種以上の混合物が例示され、特に、分子鎖両末端のみに不飽和脂肪族炭化水素基、特にアルケニル基を有する直鎖状のジオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0068】
分枝鎖状の(C1)成分としては、特に、ジオルガノシロキサン単位、オルガノシルセスキオキサン単位、及びトリオルガノシロキシ単位を含む重合体であることが好ましい。これらの単位中のケイ素原子結合有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;メタクリル基等のヘテロ原子含有不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、トリル基等のアリール基;3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の置換ないしは非置換の一価炭化水素基が好ましく、極少量の水酸基、更にはメトキシ基等のアルコキシ基を有していてもよいが、この重合体中の平均で1より大きい数のケイ素原子結合有機基は、反応性不飽和基であることが必要であり、不飽和脂肪族炭化水素基、特にアルケニル基であることが好ましい。また、これらの単位の比率は限定されないが、この重合体において、ジオルガノシロキサン単位が80.00〜99.65モル%の範囲内の量であり、オルガノシルセスキオキサン単位が0.10〜10.00モル%の範囲内の量であり、及び残りのモル%がトリオルガノシロキシ単位であることが好ましい。
【0069】
(C1)成分としては、例えば、平均組成式(2−5):

pqSiO(4−p−q)/2 (2−5)

(式中、R2は、互いに独立してもよいがRとは異なる一価有機基を表し、
は、互いに独立して、炭素原子数2〜30の一価の不飽和脂肪族炭化水素基を表し、1.0≦p≦2.5、及び、0.001≦q≦1.5である)で表される(C1−5)反応性不飽和基含有シリコーン化合物が挙げられる。炭素原子数2〜30の一価の不飽和脂肪族炭化水素基は既述のとおりである。
【0070】
平均組成式(2−5)において、Rである一価有機基は特に限定されるものではないが、以下の(E1)〜(E6):
(E1)炭素原子数1〜60の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基(但し、脂肪族不飽和基を有する炭素原子数2〜20の一価炭化水素基を除く)
(E2)水酸基
(E3)−R10−COOR11 (式中、R10及びR11は上記の通りである)で表されるエステル基
(E4)−R12−OCOR13 (式中、R12及びR13は上記の通りである)で表されるエステル基
(E5)−R18−NR19COR20 (式中、R18は炭素原子数2〜20の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基を表し、R19は水素原子又は炭素原子数1〜20の置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基を表し、R20は炭素原子数1〜30の置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基を表す)で表されるアミド基
(E6)−R21−CONR2223 (式中、R21は炭素原子数2〜20の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基を表し、R22及びR23は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1〜20の置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基を表す)で表されるアミド基
から選ばれるものが好ましい。置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基又は二価炭化水素基の定義、種類等は既述のとおりである。
【0071】
一方、(C1)成分は、不飽和脂肪族炭化水素であってもよい。不飽和脂肪族炭化水素としては、例えば、各種の、ジエン、ジイン、エンイン等の2以上の不飽和結合を有するが挙げられる。架橋の点ではジエン、ジイン、及び エンインが好ましい。ジエン、ジイン、及び、エンインは、少なくとも2つの不飽和結合が分子内で1以上、好ましくは2以上、の単結合によって隔てられた構造を有する化合物群である。これらの不飽和脂肪族炭化水素基は分子鎖末端に存在してもよく、分子鎖途中にペンダント基として存在してもよい。
【0072】
(C1)成分としての不飽和脂肪族炭化水素としては、例えば、炭素原子数2〜30のα,ω−不飽和アルケン及びアルキンが挙げられる。(C1)成分としては、例えば、一般式(2−1):
CH=CH(CHCH=CH (2−1)
(式中、1≦x≦20である)で表される(C1−1)α,ω−ジエン、一般式(2−2):
CH≡C(CHC≡CH (2−2)
(式中、1≦x≦20である)で表されるα,ω−ジイン(C1−2)、一般式(2−3):
CH=CH(CHC≡CH (2−3)
(式中、1≦x≦20である)で表される(C1−3) α,ω−エン−イン、一般式(2−4):
2m−1O(C2nO)2m−1 (2−4)
(式中、2≦m≦20、3≦n≦4、yはオキシプロピレン単位、オキシブチレン単位の繰返し数の合計値であり、1≦y≦180である)で表される(C1−4)ビスアルケニルポリエーテル化合物が挙げられる。
【0073】
(C1)成分としての不飽和脂肪族炭化水素としては、具体的には、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、1,13−テトラデカジエン、1,19−エイコサジエン、1,3−ブタジエン、1,5−ヘキサジイン、1−ヘキセン−5−イン等が挙げられる。
【0074】
(C1)成分は単独で使用することもできるし、構造の異なる2種以上の成分を併用することも可能である。すなわち、(C1)成分は、1種類以上のオルガノポリシロキサン及び1種類以上の不飽和脂肪族炭化水素の混合物であってもよい。したがって、ここでの「平均で1より大きい数の反応性不飽和基を有する」とは、2種以上のオルガノポリシロキサン及び/又は不飽和脂肪族炭化水素を使用した場合には、平均して、1分子当たり1個より多くの反応性不飽和基を有するという意味である。
【0075】
(C)成分としての(C2)1分子中に1以上の反応性不飽和基及び1以上のエポキシ基を有する有機化合物としては、1分子中に合計で2以上の、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜7、更により好ましくは2〜5の、特に好ましくは2〜4の反応性不飽和基及びエポキシ基を有する限り構造上の制限はなく、直鎖状、分岐状又は網状の、有機化合物を使用することができる。また、(C2)に含まれる反応性不飽和基としては、アルケニル基等の一般的な不飽和脂肪族炭化水素基の他、メタクリル基等ヘテロ原子含有不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。有機化合物としては、オルガノポリシロキサン又は不飽和脂肪族エポキシドが好ましい。有機化合物、好ましくはオルガノポリシロキサン又は不飽和脂肪族エポキシド、上の反応性不飽和基の位置についても制限はなく、主鎖上、又は、末端のいずれに位置してもかまわない。但し、架橋密度コントロールの容易さの点からは、一分子中の反応性不飽和基とエポキシ基の合計が2である、高純度の化合物を用いることが好ましい。
【0076】
反応性不飽和基は不飽和脂肪族炭化水素基中に存在することが好ましい。不飽和脂肪族炭化水素基としては既述したものを挙げることができる。
【0077】
(C2)成分がオルガノポリシロキサンである場合は、反応性不飽和基を含む不飽和脂肪族炭化水素基及び/又はエポキシ基はケイ素原子に結合することが好ましい。また、(C2)成分がオルガノポリシロキサンである場合は、不飽和脂肪族炭化水素基等又はエポキシ基以外のケイ素原子に結合する基は、既述の、置換若しくは非置換の一価炭化水素基、又は、反応性官能基を有する一価有機基とすることができる。
【0078】
(C2)成分としては、少なくとも1つのエポキシ基を有する不飽和脂肪族エポキシドが好ましい。
【0079】
(C2)成分としては、例えば、一般式 (2−6):
【化17】

(式中、Rは、1つの反応性不飽和基を有しており、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数2〜20の一価炭化水素基を表す)で表される(C2−1)不飽和エポキシ化合物、
一般式(2−7):
【化18】

(式中、Rは、1つの反応性不飽和基を有しており、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数2〜20の一価炭化水素基を表し、
は、水素原子又はメチル基を表し、
は水素原子又はメチル基を表す)で表される、(C2−2)不飽和基含有脂環式エポキシ化合物が挙げられる。上記一般式における反応性不飽和基、及び、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基の定義、種類等は既述のとおりである。
【0080】
(C2)成分としての不飽和脂肪族エポキシドとしては、具体的には、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンオキシド、1,4−ジメチルシクロヘキセンオキシド、4−ビニルシクロヘキセンオキシド、ビニルノルボルネンモノオキシド、ジシクロペンタジエンモノオキシド、ブタジエンモノオキシド、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセン、2,6−ジメチル−2,3−エポキシ−7−オクテンが例示される。これらの中でも、4−ビニルシクロヘキセンオキシドが好ましい。
【0081】
(C2)成分は単独で使用することもできるし、構造の異なる2種以上の成分を併用することも可能である。
【0082】
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー、好ましくはモノグリセリン及び/又はジグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを製造するための反応は、反応溶媒の存在下又は不存在下、公知の方法に従って行うことができる。本発明における反応性不飽和基とSi-H基との反応はヒドロシリル化反応である。また、(C2)1分子中に1以上の反応性不飽和基及び1以上のエポキシ基を有する有機化合物エポキシドを利用して架橋を行う場合には、反応性不飽和基とSi-H基との反応による結合と、エポキシ基同士の自己開環重合(SiH基と白金触媒の存在下で生じるカチオン性の重合反応)によるエーテル結合生成の両方が起こり、架橋が形成される。この反応を促進するため、紫外線等高エネルギー線の照射や一般的なカチオン重合用触媒を更に追加することもできる。
【0083】
反応溶媒としては、非反応性であれば特に限定されるものではないが、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;ジオキサン、THF等のエーテル系溶剤;n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;四塩化炭素等の塩素化炭化水素系の有機溶剤を挙げることができる。後述する油剤を反応溶媒として使用してもよい。反応溶媒として油剤を用いた場合、架橋反応後に、当該オルガノポリシロキサンエラストマー及び油剤からなる組成物を直接得ることができ、また、これを機械力を用いて粉砕することにより、粒子状のモノグリセリン及び/又はジグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー及び油剤からなる組成物、好適にはペースト状組成物を容易に得ることができる。
【0084】
ヒドロシリル化反応は、触媒の不存在下で行ってもよいが、触媒の存在下に行うことにより低温で、短時間に反応が進行するので好ましい。ヒドロシリル化反応触媒としては、例えば、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム等の化合物を挙げることができ、その触媒活性が高いことから白金化合物が特に有効である。白金化合物の例としては、塩化白金酸;金属白金;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の坦体に金属白金を坦持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフイン錯体、白金−ホスファイト錯体、白金アルコラート触媒等の白金錯体を挙げることができる。触媒の使用量は、白金触媒を使用する場合、金属白金として0.5〜1000ppm程度である。
【0085】
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、通常30〜150℃であり、反応時間は、通常10分間〜24時間、好ましくは1〜10時間である。
【0086】
ヒドロシリル化反応又はエポキシ基のカチオン性重合反応により、(A)成分は(C)成分によって架橋され、(A)成分由来のポリシロキサン鎖が(C)成分由来の炭素−ケイ素結合を含む架橋部によって連結される。また、(A)成分は(B)成分由来のグリセリン誘導体基を備える。このようにして、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを得ることができる。
【0087】
なお、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、本質的に、(C)成分由来の炭素−ケイ素結合を含む架橋部により連結されてなる構造を有するものであるが、一部にSi-O-C結合による架橋部を有していてもよい。当該構造は、(A)〜(C)成分にシラノール基、アルコキシ基等の縮合ないし交換反応可能な官能基を有する場合に、ポリシロキサン鎖間に形成されうる他、架橋条件がシビアである場合に、(B)成分由来のグリセリン誘導体基中の水酸基が(A)のSi-H基と一部反応する等により、副次的に形成されうるためである。
【0088】
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの製造にあたっては、(A)成分と(B)成分の反応後に、(C)成分を(A)成分と更に反応させてもよいし、(A)成分と(C)成分の反応後に(B)成分を(A)成分と更に反応させてもよい。
【0089】
(A)成分と(B)成分の反応後に、(C)成分を(A)成分と更に反応させる場合、(C)成分の反応性不飽和基と反応する(A)成分の1分子当たりのケイ素原子結合水素原子数の平均値は1.5以上が好ましい。すなわち、架橋部を構成し、(C)成分中の反応性不飽和基と反応する、(A)成分中の1分子あたりのケイ素原子結合水素原子の数は、平均して、1.5以上であり、2.0〜5.0の範囲であることが好ましく、2.5〜3.5の範囲が特に好ましい。
【0090】
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの製造にあたっては、(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加えて、(Q)1分子中に1つの反応性不飽和基を有する有機化合物(但し、成分(C2)を除く)を更に反応させてもよい。1種類の(Q)成分を使用してもよく、2種類以上の(Q)成分を使用してもよい。前記反応は、好ましくはヒドロシリル化反応触媒の存在下に、逐次的に実施することができる。なお、(Q)成分における反応性不飽和基の定義、種類等は既述のとおりである。
【0091】
例えば、(A)成分と(B)成分との反応後に(C)成分を(A)成分と更に反応させる場合は、(A)成分と(B)成分との反応前に(Q)成分を(A)成分と反応させるか、(A)成分と(B)成分との反応後に(Q)成分を(A)成分と反応させるか、又は、(C)の反応後に更に(Q)成分を(A)成分と反応させてもよい。
【0092】
例えば、(A)成分と(C)成分との反応後に(B)成分を(A)成分と更に反応させる場合は、(A)成分と(C)成分との反応前に(Q)成分を(A)成分と反応させるか、(A)成分と(C)成分との反応後に(Q)成分を(A)成分と反応させるか、又は、(B)の反応後に更に(Q)成分を(A)成分と反応させてもよい。
【0093】
(Q)成分としては、例えば、反応性不飽和基を1分子中に1つ有する炭化水素化合物又は反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0094】
反応性不飽和基を1分子中に1つ有する炭化水素化合物としては、炭素原子数2〜60のモノ不飽和炭化水素が好ましく、1−アルケンがより好ましい。1−アルケンとしては、1-ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1-ヘキサデセン、1−オクタデセン等が例示される。反応性不飽和基を1分子中に1つ有する鎖状オルガノポリシロキサンとしては、片末端ビニル基封鎖ジメチルポリシロキサン、片末端ビニル基封鎖メチルフェニルポリシロキサン等が例示される。
【0095】
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの製造にあたっては、(A)成分、(B)成分、及び、(C)成分、並びに任意に(Q)成分、のヒドロシリル化反応によって得られた当該オルガノポリシロキサンエラストマーを少なくとも1種の酸性無機塩で処理する酸処理工程を更に実施することが好ましい。これにより、前記グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの低臭化を図ることができる。
【0096】
なお、低臭化処理に関しては、前記グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの形成前(架橋前)の段階で酸処理工程を実施する方法もあるが、酸と水、アルコール性水酸基が存在しているためにSi−H基が脱水素反応で消費されてしまい、低臭化は出来てもその後の架橋を設計通りに行うことが困難となる。従って、エラストマーを形成した後に酸処理を行うことがより好ましい。
【0097】
酸性無機塩は、水溶性のものが好ましく、特に、25℃で固体であり、かつ、50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液の25℃におけるpHが4以下、好ましくは3.5以下、より好ましくは2.0以下である水溶性の酸性無機塩が好ましい。酸性無機塩が室温(25℃)で固体である場合には、必要に応じて、ろ過により容易に除去することができる。また、酸性無機塩が水溶性の場合には、必要に応じて、水で容易に洗い流すことができる。なお、本発明におけるpHの値は、室温(25℃)下、試料水溶液を、ガラス電極を備えたpH計を用いて測定した値である。
【0098】
本発明では、酸性無機塩を用いることにより、炭素−酸素結合やケイ素−酸素結合の切断を生じることなく、オルガノポリシロキサンエラストマーを効果的に低臭化し、経時や配合系での臭気生成を抑制することができる。
【0099】
酸性無機塩として、例えば、二価以上の無機酸の少なくとも一価の水素原子が塩基により中和された酸性無機塩を用いることができる。二価以上の無機酸としては例えば、硫酸、亜硫酸等が挙げられる。塩基としては、アルカリ金属、アンモニア等が挙げられる。
【0100】
酸性無機塩は、より具体的には、硫酸水素イオン(HSO)又は亜硫酸水素イオン(HSO)及び1価の陽イオン(M)からなる1種以上の酸性無機塩であることが好適であり、1価の陽イオン(M)として、アルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンが例示される。特に好適には、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びアンモニウムイオンからなる群から選択される1種類以上の1価の陽イオンが好ましい。
【0101】
酸性無機塩としては、例えば、硫酸水素リチウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素ルビジウム、硫酸水素セシウム、硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、又は、これらの水和物、並びに、AlCl、FeCl、TiCl、BF・EtO等のルイス酸が具体的に例示される。幾つかの酸性無機塩50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液のpHは下表に例示する通りである。低臭化という技術的効果から、pHが2.0以下の水溶性の酸性無機塩として、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム及び硫酸水素アンモニウムからなる群から選択される1種以上の酸性無機塩の使用がもっとも好適である。
【表1】

【0102】
前記酸処理工程は、前記オルガノポリシロキサンエラストマーを前記酸性無機塩と任意の態様で接触させることによって実施することができる。
【0103】
具体的には、前記酸処理工程は、例えば、前記オルガノポリシロキサンエラストマーを含む反応系(例えば、フラスコ等の反応容器や混練粉砕容器、乳化機等でもよい)中に、少なくとも1種の前記酸性無機塩、並びに、任意に水、アルコール等の有機溶媒を添加して撹拌混合、混練、粉砕する等の操作又はこれらを繰り返すことによって実施することができる。或いは、前記オルガノポリシロキサンエラストマー又はこれと油剤とを含む組成物を予め粉砕処理した後に、少なくとも1種の前記酸性無機塩、並びに、任意に水、アルコール等の有機溶媒を添加して、加熱撹拌等の操作を行うことによって、より好適に実施することができる。
【0104】
特に、前記オルガノポリシロキサンエラストマーを含む反応系中に、少なくとも1種の前記酸性無機塩と水を添加して、加温しながら機械力を用いて撹拌乃至は混練粉砕処理することが好ましい。また、低級一価アルコール等の溶媒の共存化でこの処理を行うことが好ましい。酸処理工程は任意の温度、処理時間を選択して行うことができ、0〜200℃、より好ましくは50〜100℃の温度条件で、0.5〜24時間、より好ましくは1〜10時間程度の反応時間で行うことが可能である。酸性無機塩の使用量は、酸強度、処理装置及び処理時間、処理温度に応じて適宜選択することができるが、例えば硫酸水素ナトリウムや硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム等中程度の酸強度を持つ酸性無機塩の場合には、本発明に係るオルガノポリシロキサンエラストマーに対して100〜10000ppmの範囲が好ましい。
【0105】
本発明のオルガノポリシロキサンエラストマーの製造方法では、前記酸処理工程後に、加熱及び/又は減圧する工程(ストリッピング工程)を含むことが好ましい。前記加熱及び/又は減圧によって、臭気原因物質である低沸点成分を除去(ストリッピング)することができる。また、ストリッピング後に、再び酸処理工程を行うことでより多くの臭気原因物質を除去することができる。このとき、反応系に酸性無機塩が残存している場合には、新たに酸性無機塩を追加する必要はなく、水のみを添加すればよいという利点がある。すなわち、上記の酸処理工程及びストリッピング工程は、低臭化の程度を高める目的等でそれぞれ2回以上繰り返し行うことができる。
【0106】
ストリッピング工程によって留去される「低沸点成分」には、臭気原因物質と考えられるプロピオンアルデヒド等のカルボニル化合物の他、前記オルガノポリシロキサンエラストマーの合成等に使用した反応溶媒や水等の揮発成分が含まれる。
【0107】
なお、ストリッピング工程は、前記酸処理工程の前に実施してもよい。
【0108】
ストリッピング方法としては、公知の反応条件を採用することが可能であるが、常圧下又は減圧下でのストリッピングが好ましく、120℃以下で行うことが好ましい。効率よくストリッピングするためには、減圧下で行うか、例えば窒素ガスのような不活性ガス注入下又は水蒸気の注入下で行うことが好ましい。低沸点成分の留去操作の一例を具体的に示せば、低沸点成分が含まれているモノグリセリン及び/又はジグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー若しくはその組成物を、還流冷却管、窒素挿入口等を備えたフラスコに仕込み、窒素ガスを供給しながら内部を減圧して昇温し、圧力と温度を一定に保持することにより軽質物を留去させる。ここに減圧条件としては、0.1〜10.0KPaとされ、加熱温度としては50〜170℃とされ、処理時間としては10分間〜24時間とすることが一般的である。
【0109】
本発明では、前記酸性無機塩による処理工程後に、塩基性物質によって前記オルガノポリシロキサンエラストマーを中和処理してもよい。塩基性物質は1種類を単独で使用してもよく、また、2種類以上を使用してもよい。塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、アンモニア水、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基、リン酸3ナトリウム、リン酸3カリウム、クエン酸3ナトリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性緩衝剤、塩基性アミノ酸、アミン、ピリジン等の有機塩基等を挙げることができる。塩基性物質の量は当該オルガノポリシロキサンエラストマーを含む反応系を中和する量が好ましいが、必要に応じて、弱酸性又は弱アルカリ性となるよう添加量を加減することもできる。
【0110】
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは粒子状であることが好ましく、固体粒子の形態にあることがより好ましい。
【0111】
かかる粒子状グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、簡便には、硬化後の当該オルガノポリシロキサンエラストマーを、機械力を用いて粉砕することにより得ることができ、粉砕条件を公知の方法を用いて調整することにより、所望とする粒子径の当該オルガノポリシロキサンエラストマーの固体粒子を得ることができる。なお、粉砕は、一次粉砕前或いは一次粉砕後の当該オルガノポリシロキサンエラストマーを油剤と混合した後に、該油剤に分散或いは膨潤した状態の当該オルガノポリシロキサンエラストマーを、機械力を用いて一次粉砕或いは更に細かく二次粉砕してもよい。
【0112】
グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー乃至は組成物を粉砕する機械的手段は特に限定されるものではないが、せん断、混練、圧力下でオリフィスを通過させる手段、から選ばれる少なくとも1つの方法により粉砕されることが好ましい。
【0113】
一方、硬化前のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの原料組成物を水中に乳化分散し、しかる後に架橋反応させて当該オルガノポリシロキサンエラストマー粒子の水系ディスパージョンを得ること、及び該水系ディスパージョンから水を除去して、乾燥した当該オルガノポリシロキサンエラストマー粒子を得ることもできる。
【0114】
グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー粒子の粒子径は、用途・感触に応じて選択することができ、特に限定されるものではないが、後述する油剤との組成物の調製の見地から、顕微鏡観察或いは粒度分布測定装置を用いて測定される体積平均粒子径が20〜1000μmの範囲内であることが好ましく、25〜300μmの範囲内であることがより好ましい。
【0115】
(グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを含む組成物)
本発明は、上記グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを含む組成物にも関する。前記組成物中のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの配合量は特に限定されるものではないが、例えば、組成物の全重量(質量)を基準にして5〜80重量(質量)%、好ましくは10〜60重量(質量)%、より好ましくは15〜50重量(質量)%、更により好ましくは20〜40重量(質量)%、更により好ましくは25〜35重量(質量)%の範囲とすることができる。
【0116】
本発明の組成物は、前記オルガノポリシロキサンエラストマーに加えて少なくとも1種の油剤を含むことができる。油剤としては、特に限定されるものではなく、固体、半固体、液状のいずれのものも使用することができる。具体的には、シリコーンオイル、炭化水素油、エステル油、植物性油脂類、動物性油脂類、脂肪酸、高級アルコール、トリグリセライド、人工皮脂、フッ素系油剤から選択される1種類又は2種類以上が例示できる。これらの具体例は、特願2011−121097号に基づく優先権を主張する他の特許出願(糖アルコール変性シリコーンエラストマーに関するもの)に記載のとおりであり、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、これらのシリコーンオイル等を含む油相中に分散した各種粉体を安定に維持することができ、また水相をこれらのシリコーンオイル等を含む油相中に安定に乳化分散できる。 また、化粧料又は外用剤の構成を全体としてPEG−FREE処方に改良し環境適合性を高めるという観点からは、非POE(ポリオキシエチレン)構造の油剤を選択することが好ましい。
【0117】
本発明の組成物中の油剤の配合量は特に限定されるものではないが、例えば、組成物の全重量(質量)を基準にして20〜95重量(質量)%、好ましくは40〜90重量(質量)%、より好ましくは50〜85重量(質量)%、更により好ましくは60〜80重量(質量)%、更により好ましくは65〜75重量(質量)%の範囲とすることができる。
【0118】
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは疎水性のシリコーン鎖と親水性のグリセリン誘導体基を備えているために、界面活性剤又は乳化剤として機能する。したがって、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー、及び、少なくとも1種の油剤を含む組成物は、エマルションの形態であることができる。エマルション形態は特に限定されるものではないが、水中油型エマルション、油中水型エマルション等の水系−油系エマルション組成物;アルコール中油型エマルション、油中アルコール(例えばポリオール)型エマルション等の任意の形態でありうる。
【0119】
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーにより乳化されてなるエマルション粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法等を用いた公知の測定装置により測定することができる。本発明に係るエマルション組成物は、油中極性溶媒型エマルションであることが好ましいが、極性溶媒中型エマルションの形態であってもよい。また、測定される平均粒子径が0.1μm以下の透明なマイクロエマルジョンであってもよく、平均粒子径が10.0μmを超える大粒子径の白濁エマルジョンのいずれであってもよい。更に、エマルジョンの安定性や外観の透明性を改善する目的で、エマルジョン粒子を微細化することができる。特に、毛髪や皮膚への付着特性や使用感を改善する目的で、粒子径が0.5〜20μmのエマルジョンを選択することもできる。
【0120】
上記のエマルション等は、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含有してなる組成物を、ホモミキサー、パドルミキサー、ヘンシェルミキサー、ホモディスパー、コロイドミル、プロペラ攪拌機、ホモジナイザー、インライン式連続乳化機、超音波乳化機、真空式練合機等の装置により、機械力を用いて水と混合することにより製造してもよい。また、エマルション組成物の製造方法において、水の使用量・配合比は前記の通りであり、エマルションの形態及びその用途に応じて、エマルション組成物全体の1〜99重量(質量)%の範囲で適宜選択することが好ましい。
【0121】
前記オルガノポリシロキサンエラストマーに加えて少なくとも1種の油剤を含む本発明の組成物はペーストの形態であることができる。
【0122】
本発明の組成物に配合されるグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、粒子状であることが好ましい。油剤との混合比(重量(質量)比)は任意であるが、異物感の無い均質で細かい粒子からなるペースト状組成物を得る見地からは、5/95〜50/50の範囲が好ましく、10/90〜40/60であることが特に好ましく、15/85〜30/70が最も好適である。特に、前記オルガノポリシロキサンエラストマーが、自己の質量と同量以上の油剤により膨潤しうる場合は、自重以上の油剤を用いて膨潤させた好ましくはペースト状の組成物を容易に調製できる。
【0123】
粒子状の前記オルガノポリシロキサンエラストマーと油剤を含む組成物は、前記オルガノポリシロキサンエラストマーを、機械力を用いて粉砕した後に油剤と混合するか、前記オルガノポリシロキサンエラストマーと油剤の混合物を、機械力を用いて粉砕することにより得ることができる。
【0124】
本発明の組成物は水を含むことができる。本発明の組成物中の水の配合量は特に限定されるものではないが、例えば、組成物の全重量(質量)を基準にして1〜90重量(質量)%、好ましくは5〜80重量(質量)%、より好ましくは10〜70重量(質量)%、更により好ましくは20〜60重量(質量)%、更により好ましくは30〜50重量(質量)%の範囲とすることができる。
【0125】
本発明の組成物は、少なくとも1種のアルコールを含むことができる。アルコールとしては、水混和性のものが好ましく、低級アルコール、及び、多価アルコールがより好ましい。これらの具体例及び使用量は、特願2011−121097号に基づく優先権を主張する他の特許出願(糖アルコール変性シリコーンエラストマーに関するもの)に記載のとおりであり、化粧料又は外用剤の構成を全体としてPEG−FREE処方に改良し環境適合性を高めるという観点からは、非ポリエーテル構造の多価アルコール及び/又は低級一価アルコールを選択することが好ましい。
【0126】
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含む組成物は、空気中の酸素により酸化されて変質する傾向が本質的に少ない。従って、酸化劣化を防止するためフェノール類、ヒドロキノン類、ベンゾキノン類、芳香族アミン類、又はビタミン類等の酸化防止剤を入れ、酸化安定性を増加させる操作は必須ではない。しかしながら、このような酸化防止剤、例えば、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、ビタミンC、ビタミンE等を添加すると更に安定性が向上する。このとき、使用する酸化防止剤の添加量は、その重量(質量)において当該オルガノポリシロキサンエラストマーに対し10〜1000ppm、好ましくは50〜500ppmとなる範囲である。
【0127】
(外用剤用原料又は化粧料用原料)
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含む組成物は、人体に使用される外用剤用の原料及び化粧料用の原料として好適に利用することができる。特に、本発明に係る粒子状のオルガノポリシロキサンエラストマーと油剤とを含むペースト状の組成物は、このまま外用剤用の原料及び化粧料用の原料として用いることができる。
【0128】
外用剤用の原料及び化粧料用の原料中に占めるオルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含む組成物の割合は、原料の全重量(質量)を基準にして、10〜50重量(質量)%が好ましく、15〜40重量(質量)%がより好ましく、20〜30重量(質量)%が更により好ましい。外用剤又は化粧料に配合される原料の割合は特に限定されるものではないが、例えば、外用剤又は化粧料の全重量(質量)を基準にして、0.1〜90重量(質量)%、好ましくは1〜80重量(質量)%、より好ましくは2〜70重量(質量)%、更により好ましくは5〜50重量(質量)%の範囲で使用することができる。
【0129】
本発明の外用剤用の原料及び化粧料用の原料としては、例えば、油相のゲル化剤、油相の構造化剤、油相の増粘剤、感触改良剤、保湿剤、しわ隠し剤等のマスキング剤、界面活性剤、乳化剤又は粉体の分散安定剤が挙げられる。
【0130】
(外用剤・化粧料)
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー若しくはそれを含む組成物、又は、前記グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー若しくはそれを含む組成物を含む外用剤及び化粧料用の原料は、外用剤又は化粧料に好適に配合することができ、本発明の外用剤又は化粧料を構成することができる。そして、本発明の外用剤又は化粧料は熱可塑性物質から作成されている容器又は非熱可塑性物質から作成されている容器に収容されることが好ましい。また、その容器は少なくとも1の区画部を定めていることができ、該容器と本発明に係る化粧料又は外用剤とからなる化粧品用ユニットないしは外用剤用ユニットを構成することができる。そして、本発明の外用剤又は化粧料は、主として化粧(メイクアップ)又はケア(例えば、乾燥皮膚の手入れ)を行うための非治療的な美容方法として、皮膚や毛髪等のケラチン性物質に適用して使用することができる。
【0131】
外用剤は人体の皮膚、爪、毛髪等に適用されるものであり、例えば、医薬有効成分を配合して各種疾患の治療に使用することができる。化粧料も人体の皮膚、爪、毛髪等に適用されるものであるが、美容目的で使用されるものである。外用剤又は化粧料としては、例えば、皮膚外用剤若しくは皮膚化粧料、スキンケア化粧料、サンケア化粧料、制汗剤、ファンデーション、カラーコスメティックス又は、毛髪外用剤又は毛髪化粧料が好ましい。
【0132】
本発明に係る皮膚外用剤又は皮膚化粧料は、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー若しくはそれを含む組成物を含有しており、その形態は特に限定されないが、溶液状、クリーム状、固形状、半固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、スプレー状のいずれであってもよい。具体的には、本発明に係る皮膚外用剤又は皮膚化粧料として、化粧水、乳液、クリーム、日焼止め乳液、日焼け止めクリーム、ハンドクリーム、クレンジング、マッサージ料、洗浄剤、制汗剤、脱臭剤等の基礎化粧品;ファンデーション、メークアップ下地、頬紅、口紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、ネールエナメル等のメーキャップ化粧品等が例示される。
【0133】
同様に、本発明に係る毛髪外用剤又は毛髪化粧料は、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー若しくはそれを含む組成物を含有しており、様々な形態で使用できる。例えば、それらをアルコール類、炭化水素類、揮発性環状シリコーン類等に溶解又は分散させて用いてもよいし、更には乳化剤を用いて水に分散させてエマルションの形態で用いることもできる。また、プロパン、ブタン、トリクロルモノフルオロメタン、ジクロルジフルオロメタン、ジクロルテトラフルオロエタン、炭酸ガス、窒素ガス等の噴射剤を併用してスプレーとして用いることもできる。この他の形態としては、乳液状、クリーム状、固形状、半固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状等が例示される。これらの様々な形態で、シャンプー剤、リンス剤、コンディショニング剤、セットローション剤、ヘアスプレー剤、パーマネントウエーブ剤、ムース剤、染毛剤等として使用できる。
【0134】
本発明の外用剤又は化粧料は、本発明の効果を妨げない範囲で通常の外用剤又は化粧料に使用される成分、水、粉体又は着色剤、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、油剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、界面活性剤、樹脂、化粧品的に許容可能な媒体、脂肪相、皮膜形成ポリマー、繊維、UV線を遮蔽可能な光保護システム、 紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等、生理活性物質、医薬有効成分、香料を添加することができ、これらは特に限定されるものではない。これらの化粧料成分の具体例、使用方法、配合目的及び使用量は、特願2011−121097号に基づく優先権を主張する他の特許出願(糖アルコール変性シリコーンエラストマーに関するもの)に記載のとおりである。また、化粧料又は外用剤の構成を全体としてPEG−FREE処方に改良し環境適合性を高めるという観点からは、非ポリエーテル構造の水溶性高分子や界面活性剤、乳化剤、皮膜形成剤、保湿剤等の化粧料原料を選択する処方が好ましい。
【0135】
特に、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー若しくはそれを含む組成物は、有機系紫外線吸収剤と併用することが好ましい。有機系紫外線吸収剤は一般に高極性であり、難溶性であることから、従来は希望する配合量を油中水型(W/O)乳化化粧料に安定に高配合することは難しかった。しかし、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを乳化剤として使用し、かつエステル油等中極性油をつなぎ剤として併用すれば、油相がシリコーン油や炭化水素油等の低極性油を含んでいる場合であっても安定な、紫外線吸収剤配合W/O乳化化粧料を得ることができ、紫外線吸収剤を安定に処方中に微分散させることができるため、サンケア効果もより効率的で優れたものとなる。このとき、シロキサンデンドロン構造と長鎖アルキル基とを有するキシリトール変性シリコーン又はシロキサンデンドロン構造と長鎖アルキル基とを有するジグリセリン変性シリコーンを第2の乳化剤として、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー併用することも好ましい。この場合の配合量の目安としては、有機系紫外線吸収剤0.1〜10質量%、つなぎ剤を0.005〜5質量%とすることが好ましい。
【0136】
[その他のシリコーン系化粧料原料との組み合わせ]
本発明に係る外用剤又は化粧料には、更に、その剤形及び処方に応じて、固形状シリコーン樹脂、架橋性オルガノポリシロキサン(本発明のオルガノポリシロキサンエラストマーを除く) 、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー、シリコーン生ゴム(シリコーンガム)、ポリアミド変性シリコーン、アルキル変性シリコーンワックス、アルキル変性シリコーンレジンワックスを配合することができる。本発明のオルガノポリシロキサンエラストマーは、主鎖がポリシロキサン鎖等から構成され、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しないグリセリン誘導体基を有し、更に、長鎖アルキル基等を有してもよいため、 これらのシリコーン系の化合物との配合安定性に優れ、これらのシリコーン系化粧料原料の特徴的な感触を活かした化粧料を設計できる利点がある。
【0137】
これらのシリコーン系化粧料原料の具体例、使用方法、配合目的及び使用量は、特願2011−121097号に基づく優先権を主張する他の特許出願(糖アルコール変性シリコーンエラストマーに関するもの)に記載のとおりである。同様に、本発明のオルガノポリシロキサンエラストマーと、これらのシリコーン系化粧料原料を組み合わせた場合に得られる有利な効果も、特願2011−121097号に基づき優先権を主張する他の特許出願(糖アルコール変性シリコーンエラストマーに関するもの)に記載のとおりである。また、化粧料又は外用剤の構成を全体としてPEG−FREE処方に改良し環境適合性を高めるという観点からは、ポリエーテル構造を含まないシリコーン系化粧料原料との組み合わせを選択する処方が好ましい。
【0138】
また、本発明に係る外用剤又は化粧料が制汗剤である場合、或いは、その目的に応じて、制汗活性成分、デオドラント剤を配合することができる。デオドラント剤は、消臭剤、香料、汗による臭いを防止又は除去する物質を挙げることができる。このようなデオドラント剤は、抗菌剤(殺菌剤又は防かび剤)、静菌剤、臭い吸着物質、消臭剤、香料等であり、腋臭、汗臭、足臭のような体臭防止の目的で配合される。なお、これらのデオドラント剤は、制汗剤以外の化粧料や外用剤においても有用であり、本発明の外用剤又は化粧料に好適に配合しうることは言うまでもない。
【0139】
これらの制汗活性成分、デオドラント剤等の具体例、使用方法、配合目的及び使用量は、特願2011−121097号に基づく優先権を主張する他の特許出願(糖アルコール変性シリコーンエラストマーに関するもの)に記載のとおりである。
【0140】
(カルボニル価測定方法)
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー若しくはそれを含む組成物の臭気の程度は、オルガノポリシロキサンエラストマー若しくはそれを含む組成物及び、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(2,4−DNPH)を少なくとも1種の炭素原子数1〜4の一価低級アルコールを含む反応媒体中で反応させて得られる反応液の吸光度から測定されるカルボニル価によって決定することができる。なお、「カルボニル化合物」には、アルデヒド類やケトン類のようにカルボニル基を有する化合物のほか、アセタールやプロペニルエーテル等、カルボニル基を有していないが、ある条件で分解してカルボニル基を生じるような潜在的なカルボニル化合物も含まれる。
【0141】
したがって、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー若しくはそれを含む組成物の臭気の程度を定量するために、カルボニル化合物を含むオルガノポリシロキサンエラストマー又は該オルガノポリシロキサンエラストマーを含む組成物及び2,4−ジニトロフェニルヒドラジンを少なくとも1種の炭素原子数1〜4の一価低級アルコールを含む反応媒体中で反応させて得られる反応液の吸光度から該オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含む組成物のカルボニル価を測定することができる。その詳細かつ具体的な測定方法は、特願2011−121097号に基づく優先権を主張する他の特許出願(糖アルコール変性シリコーンエラストマーに関するもの)に記載のとおりである。なお、ここでいう「カルボニル価」とは、カルボニル含有量の指標値であって、2,4−DNPHを試料に反応させてなる反応液の吸光度(430nm又は460nmの吸光度)を試料1gあたりに換算することにより求められる値を意味する。なお、上記カルボニル価の測定は、カルボニル化合物を正確に、また、簡便に定量することができるので、外用剤又は化粧料の製品の臭気評価に好適に使用することができる利点がある。
【0142】
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含む組成物は、上記方法により測定されたカルボニル価が、2.5Abs/g以下であることが好ましく、1.6Abs/g以下であることがより好ましく、1.2Abs/g以下であることが更により好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含む組成物は外用剤用の原料又は化粧料用の原料として好適に使用することができる。特に、酸処理工程を経て製造された本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー、並びに、当該オルガノポリシロキサンエラストマーを含む本発明の組成物は臭気が低減されているので、外用剤又は化粧料に好適に配合することができる。
【実施例】
【0144】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。粘度(動粘度)は25℃における測定値である。
以下に、本発明に関して実施例を挙げて説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。なお、下記組成式において、MeSiO基(又は、MeSi基)を「M」、MeSiO基を「D」、MeHSiO基(又は、MeHSi基)を「M」、MeHSiO基を「D」と表記し、M及びD中のメチル基をいずれかの置換基によって変性した単位をM及びDと表記する。また、IPAはイソプロピルアルコールの略である。
【0145】
なお、以下の実施例、比較例においては「シリコーン化合物No.Xの製造」等と便宜的に記述しているが、得られた生成物は、主成分の他に少量の未反応原料や希釈剤等をも含有する混合物の形態となっている。
【0146】
[実施例1] <シリコーン化合物No.1の製造>
反応器に平均組成式:MD43.28.2Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 74.5g、ヘキサデセン(αオレフィン純度91.7%) 13.9g を仕込み、窒素流通下で攪拌しながら22℃で白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のヘキサメチルジシロキサン溶液(Pt濃度0.45wt%) 0.05mlを添加したところ、発熱して47℃まで昇温した。その後、50〜60℃に加温して2時間の反応を行なった。反応液を少量採取し、アルカリ分解ガス発生法(残存したSi−H基をKOHのエタノール/水溶液によって分解し、発生した水素ガスの体積から反応率を計算する)により反応率を計算したところ、MD43.2R*113.24.72OR0.28Mで表される変性シリコーン中間体が生成していることが分かった。次いで、反応混合物にジグリセリンモノアリルエーテル 8.64g、天然ビタミンE 0.03g、イソプロピルアルコール(IPA) 60g からなる溶液を添加し、更に上記白金触媒 0.10mlを添加し、50〜60℃で5.5時間反応を行った後、同様の方法で反応率を確認したところ、平均組成式 MD43.2R*113.2R*211.623.10OR0.28Mで表される変性シリコーン中間体が生成していることが分かった。ここで、R*11及びR*21は下記のとおりである。また、DORはD とアルコール性水酸基又は水分との脱水素反応により生成した構造単位であり、Si−O−C 結合又はSi−O−H結合を含むMe(OR)SiO基である。
*11= −C1633
*21= −CO−X (X=ジグリセリン部分)
【0147】
次いで、希釈剤兼架橋反応溶媒でもあるカプリリルメチコン 99gを投入して反応液と混合した後、減圧してIPAを溜去した。このときの反応混合物の温度は45〜55℃であった。
【0148】
復圧して一旦50℃以下まで冷却し、ここに 1,5−ヘキサジエン 2.91g、上記白金触媒 0.14mlを追加して、40〜50℃で加熱撹拌を行ったところ、触媒追加から2時間15分後にゲル化が起こった。なお、架橋反応のVi/Hモル比は1.20であった。
【0149】
更に、50〜60℃に加温して、更に2時間熟成反応を継続し、本発明に係るジグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの製造(本発明に係るジグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーとカプリリルメチコンとを含む組成物198g、エラストマー濃度=50%、の製造)を終了した。
【0150】
次いで、上記組成物を反応器から取り出してカプリリルメチコン352gと共にハイシェアミキサーに仕込み、せん断及び粉砕処理を30分間実施したところ、触って異物感の全くない均質なペースト状組成物が得られた。
【0151】
上記の均質なペースト状組成物550gを反応器に仕込み、これに硫酸水素ナトリウム一水和物を0.022g、精製水 1.7g、IPA 260gを添加して、70〜80℃で1時間の撹拌混合処理を行ったのち減圧して低沸分を溜去した(酸処理1回目)。再度、精製水 1.7gとIPA 40gを添加して同様の処理を行った後、減圧して低沸分を溜去した(酸処理2回目)。これと同じ操作をもう一度繰り返した(酸処理3回目)のち、0.44%重曹水を10g添加して混合し、中和を行った。引き続き、70〜100℃、減圧下で加熱して低沸分を溜去することによって、本発明に係るジグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー及び/又はこれを含むペースト状組成物の低臭化処理を終了した。
【0152】
上記組成物は、酸処理工程によって部分的に粒子凝集が生じていたため、反応器から取り出して再度ハイシェアミキサーに仕込み、せん断及び粉砕処理を30分間実施することにより、本発明に係るジグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを含有する、触って異物感の全くない滑らかで均質なペースト状組成物を得た。 (エラストマー濃度18%)。
【0153】
実施例1で得られたオルガノポリシロキサンエラストマーの平均的構造式(模式図)を以下に示す。簡単のため、DORに相当する構造はここでは省略した。
【化19】

(式中、Me=メチル基、R=−C1633、Y=−C12−、X=(CH、a=43.2、
b=1.6、 c+d=3.1、e=3.2 である)
【0154】
[実施例2] <シリコーン化合物No.2の製造>
反応器に平均組成式:MD43.47.4Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 78.8g、ジグリセリンモノアリルエーテル 21.5g、IPA 60g、天然ビタミンE 0.03g、5%酢酸ナトリウムのメタノール溶液0.20gを仕込み、窒素流通下で攪拌しながら40℃まで加温した。1wt%塩化白金酸のIPA溶液 0.20mlを添加し、60〜70℃に加温して4時間の反応を行なった。反応液を少量採取し、アルカリ分解ガス発生法により反応率を計算したところ、MD43.4R*214.662.74Mで表される変性シリコーン中間体が生成していることが分かった。ここで、R*21は下記のとおりである。
*21= −CO−X (X=ジグリセリン部分)
【0155】
次いで、希釈剤兼架橋反応溶媒でもあるカプリリルメチコン 99gを投入して反応液と混合した後、減圧してIPAを溜去した。このときの反応混合物の温度は50〜60℃であった。
【0156】
復圧して一旦50℃まで冷却し、ここに 1,5−ヘキサジエン 2.78g、上記白金触媒 0.15mlを追加して、40〜50℃で加熱撹拌を行ったところ、触媒追加から50分後にゲル化が起こった。なお、架橋反応のVi/Hモル比は1.22であった。
【0157】
更に、50〜60℃に加温して、更に2時間熟成反応を継続し、本発明に係るジグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの製造(本発明に係るジグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーとカプリリルメチコンとを含む組成物199g、エラストマー濃度=50%、の製造)を終了した。
【0158】
次いで、上記組成物を反応器から取り出してカプリリルメチコン200gと共にハイシェアミキサーに仕込み、せん断及び粉砕処理を30分間実施したところ、触って異物感のない組成物(油中ゲル粒子混合物)が得られた。
【0159】
上記の組成物390gを反応器に仕込み、これに硫酸水素ナトリウム一水和物を0.02g、精製水 1.5g、IPA 40gを添加して、70〜80℃で1時間の撹拌混合処理を行ったのち減圧して低沸分を溜去した(酸処理1回目)。再度、精製水 1.7gとIPA 40gを添加して同様の処理を行った後、減圧して低沸分を溜去した(酸処理2回目)。これと同じ操作をもう一度繰り返した(酸処理3回目)のち、0.26%重曹水を10g添加して混合し、中和を行った。引き続き、70〜100℃、減圧下で加熱して低沸分を溜去することによって、本発明に係るジグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー及び/又はこれを含む油中ゲル粒子組成物の低臭化処理を終了した。
【0160】
上記組成物は、酸処理工程によって部分的に粒子凝集が生じていたため、反応器から取り出して再度ハイシェアミキサーに仕込み、せん断及び粉砕処理を30分間実施することにより、本発明に係るジグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを含有する、触って異物感のない滑らかな組成物(油中ゲル粒子混合物)を得た。 (エラストマー濃度25%)。
【0161】
[実施例3] <シリコーン化合物No.3の製造>
反応器に平均組成式:MD42.99.8Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 74.3g、ヘキサデセン(αオレフィン純度91.7%) 12.8g を仕込み、窒素流通下で攪拌しながら24℃で白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のヘキサメチルジシロキサン溶液(Pt濃度0.45wt%) 0.05mlを添加したところ、発熱して44℃まで昇温した。その後、50〜60℃に加温して1.5時間の反応を行なった。反応液を少量採取し、アルカリ分解ガス発生法により反応率を計算したところ、MD42.9R*113.06.61OR0.19Mで表される変性シリコーン中間体が生成していることが分かった。次いで、反応混合物にグリセリンモノアリルエーテル 10.0g、天然ビタミンE 0.02g、イソプロピルアルコール(IPA) 30g からなる溶液を添加し、更に上記白金触媒 0.10mlを添加し、50〜60℃で2時間反応を行った後、同様の方法で反応率を確認したところ、平均組成式 MD42.9R*113.0R*223.63.01OR0.19Mで表される変性シリコーン中間体が生成していることが分かった。ここで、R*11及びR*22は下記のとおりである。また、DORはD とアルコール性水酸基又は水分との脱水素反応により生成した構造単位であり、Si−O−C 結合又はSi−O−H結合を含むMe(OR)SiO基である。
*11= −C1633
*22= ―COCHCH(OH)CHOH
【0162】
次いで、希釈剤兼架橋反応溶媒でもあるカプリリルメチコン 99gを投入して反応液と混合した後、減圧してIPAを溜去した。このときの反応混合物の温度は50〜60℃であった。
【0163】
復圧して一旦50℃まで冷却し、ここに 1,5−ヘキサジエン 2.79g、上記白金触媒 0.15mlを追加して、40〜50℃で加熱撹拌を行ったところ、触媒追加から2時間後にゲル化が起こった。なお、架橋反応のVi/Hモル比は1.20であった。
【0164】
更に、50〜60℃に加温して、更に2.5時間熟成反応を継続し、本発明に係るモノグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの製造(本発明に係るモノグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーとカプリリルメチコンとを含む組成物199g、エラストマー濃度=50%、の製造)を終了した。
【0165】
次いで、上記組成物を反応器から取り出してカプリリルメチコン200gと共にハイシェアミキサーに仕込み、せん断及び粉砕処理を30分間実施したところ、触って異物感の全くない均質なペースト状組成物が得られた。(エラストマー濃度25%)
【0166】
なお、上記実施例1〜3において使用したカプリリルメチコンとは、東レ・ダウコーニング株式会社製の商品名FZ-3196である。
【0167】
[比較例1] <シリコーン化合物No.RE−1の製造>
反応器に平均組成式:MD4015Mで表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン 125.3g、1−ドデセン 13.7g(1−ドデセンの総仕込み量の1/4相当)仕込み、窒素流通下で攪拌しながら50℃まで昇温し、塩化白金酸のエタノール溶液(Pt濃度3wt%) 0.10gを添加した。反応熱により85℃まで温度上昇が起こり、その後自然に温度が降下したのを確認後、2回目の1−ドデセン 13.7gを添加して反応させた。更に同様の方法で、3回目、4回目の1−ドデセンを添加して反応させた。この後、90〜100℃で1時間反応を行なった後、反応液を少量採取し、アルカリ分解ガス発生法により反応率が目標に達したことを確認した。次いで、減圧下で加熱して未反応のドデセン等低沸分を取り除いた。
【0168】
次いで、反応混合物に平均組成式:ViMDMで表されるビニルメチルポリシロキサン 28.9g、上記の白金触媒 0.10gを添加し、90−100℃で2時間反応を行った後、同様の方法で反応率が目標に達したことを確認した。反応率を計算した結果、平均組成式:MD40R*411.5R*12103.5Mで表される変性シリコーン中間体が生成していることが分かった。ここで、R*12及びR*41は前記と同様である。
【0169】
ここに、平均組成式:CH=CH−CHO−(CO−CH−CH=CHで表されるビスアリルトリグリセリン(又はトリグリセリンジアリルエーテル) 20.9g、天然ビタミンE 0.025g、トルエン 138g、上記の白金触媒 0.10gを添加して80℃で2時間反応を行ったところエラストマー化が起こり、反応混合物は半透明感のある柔らかい餅状乃至はジャム状に変化した。ここで、架橋時のVi/Hモル比は1.2であった。架橋を進めるため、この状態で更に2時間反応を継続した結果、硬度が増してドライ感ある崩壊性のグリース状となった。次いで、減圧下で加熱してトルエンを取り除いた。
【0170】
次いで、2%クエン酸水溶液 25.3gを添加して80℃で2時間の処理を行った後、2%重曹水を添加して1時間の中和処理を行なった。減圧下で加熱して低沸分を溜去することによって、トリグリセリン基/C12アルキル基/リニアポリシロキサン構造を有する基で変性されたオルガノポリシロキサンエラストマーを得た。この後、上記エラストマーをホバートミキサーに移し、3時間の混練粉砕処理を実施して、均質化された白色のグリース状組成物を得た。その後、希釈剤であるイソドデカン 680gを3時間かけてゆっくり投入しながら混練を行い、半透明〜白色の柔らかいペースト状組成物を得た(エラストマー濃度25%)。
【0171】
[実施例4〜13、比較例2〜5]
実施例1〜3、比較例1で得られた組成物を用いて、以下の手順により表1〜表3に示す組成の油中水型エマルション組成物を調製し、粘度の測定を行った。更に、以下の評価基準により静置安定性(外観と形態)、応力に対する安定性、乳化粒子径の細かさと安定性、官能性(感触・使用感)を評価した。結果を表2〜表4に併せて示す。なお、表中、部は重量(質量)部を示す。
【0172】
[油中水型エマルション組成物の調製方法]
1.200ml容器に、油剤及び界面活性剤(乳化剤)としてのペースト状組成物乃至は油中粉体混合物を仕込んだ。
2.撹拌を行い、当該組成物を油剤中に均一分散させた(油相乃至は油中粉体分散相A)。
3.別の容器に食塩とイオン交換水とを仕込み、スパチュラで混合して溶解させた。更に、1,3−ブチレングリコールを混合して溶解させた(水相B)。
4.ホモディスパーの鋸歯を油相Aに浸し、容器を固定したのち1000rpmで攪拌しながら、水相Bをほぼ定速で約45秒かけて油相A中に注ぎ込んだ。
5.ホモディスパーの回転数を3500rpmまで上げ、全体が均質になるよう攪拌を2分間継続した。
6.撹拌を止め、容器の内壁に付着した油分等をへらで掻き落とし、生成しているエマルションと混合した。
7.ホモディスパーの回転数3500rpmで全体が均質になるよう3分間の攪拌を行った。
【0173】
[エマルションの粘度及び性状]
1.上記の方法により得られた油中水型エマルション組成物の性状及び流動性を記録する。
2.25℃の条件下で、当該エマルション組成物の粘度測定をE型粘度計により行った。このとき、粘度計のコーンローターの回転数は0.5rpmとして測定を実施した。
【0174】
[エマルションの静置安定性:外観と形態]
各油中水型エマルション組成物を調製した当日、及びこのエマルション組成物(28gを35mlガラス瓶に秤取して密栓したもの)を50℃で1ヶ月静置後に、外観と形態を観察し、以下の基準により評価した。
◎: 経時後も全体が均一でマット感のあるクリーム〜ゲル状の形態を有している。
○: 経時後もほぼ大部分が均一で、マット感のあるクリーム〜ゲル状の形態を有している。僅かな析出物があるかもしれない。
△: 経時後は、乳化物から油相又は水相が若干分離している。
×: 初期から乳化自体ができておらず相分離が起こっている。
【0175】
[エマルションの応力に対する安定性]
◎: 指にとって手の甲に塗布したとき、クリームをやや強く皮膚に押し付けて指で伸ばしても、全く水滴が発生することがない。
△: クリームを指にとって手の甲に置いただけでは水滴は発生しないが、クリームを指で伸ばしているうちに少しずつ水滴が発生してくる。
×: クリームを指に取っただけでクリームが壊れて水滴が発生する。手の甲に塗ろうと、指でごく軽く伸ばしただけで、あっという間に大きな水滴が現れる(即座にエマルションが壊れてしまう)。
【0176】
[乳化粒子径の測定と安定性評価]
各油中水型エマルション組成物を調製した翌日、及びこのエマルション組成物(前述した、28gを35mlガラス瓶に秤取して密栓したもの)を50℃で1ヶ月静置した後に、光学顕微鏡で観察(1000倍)及び写真撮影を行い、粒子径の分布範囲を目視により求めた。これにより、初期と経時での乳化粒子径の安定性を評価した。なお、乳化粒子径が細かいほど、乳化の効率がよく、その観点での性能に優れると考えることができる。なお、粒子合一が認められた場合には、その旨を表中に記載した。
◎: 乳化粒子径が細かく、その変化も少ない。
○: 乳化粒子径はやや大きめではあるが、その変化は少ない。
△: 一部で粒子合一があったと考えられ、乳化粒子径が増大しているが、全体的に粒子サイズは大きいわけではなく、乳化系は保持されている。
×: 多くの粒子で合一が生じており、乳化が壊れつつある。又は、最初からひどい合一がある。
【0177】
[官能性評価(感触及び使用感)]
各油中水型エマルション組成物を化粧料として使用した場合の塗布初期〜塗布中、塗布後半の使用感触及び乾燥後の後肌感を評価した。但し、官能性評価は油剤として2cs、トリオクタノインを使用した処方でのみ実施し、油剤が共通のサンプル間での比較評価を行った。具体的には、
1.油中水型エマルション組成物を0.10g 指に取り、手の甲に載せて塗り広げた。
2.この時、塗布初期〜塗布中、塗布後半、乾燥後について、水の感触とエラストマー特有のベルベット調厚みある滑らかさやパウダリー感、並びに、保湿感、乾き際のべとつき感の少なさ等について、以下の基準により評価した。
【0178】
「触感: 塗布初期〜塗布中」
◎: 非常に水々しい感触と特有の厚みのある滑らかさを有し、しかもエラストマーを含む乳化物とは思えないほど軽く速やかに伸び広がる。
○: 水の感触が得られ、特有の厚みのある滑らかさとともに持続する。油分と水分のバランス及び保湿感が良好である。
△: 初期に非常に水々しい感触が得られるが、ヌルツキのあるすべり感である。又は、水の感触は少なくやや油性よりの感触であるが、特有の厚みのある滑らかさが持続する。
×: 滑らかさに厚みがあまり感じられず、油性感も強い。
【0179】
「触感: 塗布後半」
◎: 柔らかいパウダリーなすべり感、又はベルベット調の特有の厚みのある滑らかさに優れる。
○: 特有の厚みのある滑らかさが残っており、しっとりして落ち着いた高級感ある感触である。
△: 一般的なクリームの感触であり、若干のべとつき感がある。
×: 伸びや滑りが悪く抵抗感が大きい。また、べとつき感もやや大きい。
【0180】
「後肌感: 乾燥後」
◎: 柔らかいパウダリーなすべり感又はベルベット調の特有の厚みのある滑らかさが持続しており、しかもべとつき感が全くない。表面的な軽いすべり感にも非常に優れている。
○: 柔らかいパウダリーなすべり感又はベルベット調の特有の厚みのある滑らかさが持続しているが、僅かにべとつき感もある。
△: 若干、柔らかいパウダリーなすべり感又はベルベット調の特有の厚みのある滑らかさが残っているが、若干のべとつき感又は皮膜感がある。
×: べたつき感が強く、しかもすべり感がほとんどない。
【0181】
【表2】

【0182】
【表3】

【0183】
【表4】

【0184】
実施例2の組成物は、油中に粉砕されたゲル粒子乃至はゲル粉体が存在している不均質な性状であり、実施例1及び実施例3の組成物のような均質なペースト状ではなかった。従って、実施例12及び実施例13は、そうした形態の油中粉体混合物乃至はそうした性状の親水性シリコーンエラストマーが、油中水型の剤型において、さほど強い剪断力をかけない一般的な乳化条件下で比較的小粒径の乳化滴を与えることのできる有用な乳化剤として機能したことを示すものであり、従来、このような挙動を示す乳化性のエラストマー及びペーストは確認されておらず、本発明により見出された技術的効果の一つである。
【0185】
従来の知見によれば、乳化性のシリコーンエラストマーとは、外相となる油剤をシリコーンエラストマーの3次元ネットワークによって膨潤して油相の流動性を無くし乳化系の静置安定性を担保するため、乳化物の流動性は無くなるのが常であった。一方、実施例12及び実施例13の乳化物は、油相にエラストマーを含むにもかかわらず、容器に入れて傾けると容易に流動する特徴を有していた。更には、流動するという、安定性に対して不利な性状であるにもかかわらず、乳化物の応力に対する安定性は非常に優れており、特にその使用感触は際立って優れていた。
【0186】
実施例2の組成物は、今回試験した単純処方では50℃静置安定性の面で他の実施例に劣るものであったが、実際の化粧料・外用剤の処方組みにおいては、十分な実用性を有している。具体的には、一般的に流動性を有するW/O乳化物は粘度を25℃で15,000mPas以上となるように設計しておかないと熱安定性の面で問題が生じる場合が多いことが知られているため、その対策として水相/油相比の調節や、乳化物粘度を高くできる第2の乳化剤を併用する対応、或いは油相の増粘・ゲル化剤を適量併用する対応をとることができるからである。流動性を生かすという観点からは、一例として長鎖アルキル基を有するジグリセリン変性シリコーン等非エラストマー型のPEG−FREE親水性シリコーンを第2乳化剤として併用することにより、実施例2の組成物を用いた場合の乳化処方の熱安定性の改善をすることが好ましい。
【0187】
実施例1、実施例3の組成物は、評価した全ての項目で比較例1の組成物の性能を上回っており、特に実施例1の組成物の効果は申し分ない。
【0188】
以上より、本発明の、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有さないグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、ポリエーテル基を全く含有しないにもかかわらず、水を含む油中水型エマルションの剤型においてシリコーン油のみならず様々な有機油との親和性を発揮し、幅広い油剤種に対して安定性に優れた乳化物を与えることが明らかとなった。これは、従来技術によるポリグリセリン変性シリコーンエラストマー(比較例1の組成物)によっては全くなし得なかった達成であることは、比較例2〜5の結果を見れば明らかである。
【0189】
更に、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを含む油中水型エマルションは、皮膚に塗布したときに水の感触が生き保湿感にも優れ、同時に適度な油分をも保持する。従って、これを外用剤ないしは化粧料として用いれば、経表皮水分喪失の抑制や、それによる皮膚保護や皮膚への栄養付与の効果も期待できる。加えて、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを含む油中水型エマルションにおいては、なめらかで厚みのあるややパウダリーなエラストマー特有の初期使用感が、塗布初期のみならず驚くべきことに塗布後半まで、更には乾燥後までも持続することが確認された。この様な性能は、従来の親水性シリコーンエラストマーでは達成されたことのない本発明品のもう一つの特長であり、それは実施例4〜5と比較例2〜3を対比すれば明らかである。
【0190】
しかしながら、本発明の最大の、予想外の顕著な技術的効果は、親水性高分子であり界面活性剤であり乳化剤でもある本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーが、上記した全ての優れた効果を発揮しながらも、乳化物を塗布した後乾燥するまでの間及び乾燥後においてすら、ほとんどべとつき感を生じさせないという信じ難い性能を発揮した点である。従来、乳化性能等の改善は、感触面の悪化につながるものであり、一般にこうした特性間にはトレードオフの関係があることが、当業者の技術常識であり、一般的な認識である。しかしながら、本発明に係るグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、係るトレードオフの関係を一括して解消するものであり、当業者の予想を遥かに超えて良好な性能を発揮した。
【0191】
本発明による油中水型エマルション組成物が性状としては動きのないクリーム〜ゲル状であった場合ですら、柔らかい感触でありその実測粘度は同じ性状を呈している比較品により得られた油中水型エマルション組成物と比較して格段に低い数値を示したという事実が、本発明品の特長であるべとつきの少なさを反映しているものと考えられる。それに加えての本発明品によるエマルションとその乳化粒子の優れた安定性、これらは従来のポリグリセリン変性シリコーンエラストマーについての一般的な認識や技術的な常識を覆す顕著な効果であり、本発明品の利用により化粧料や外用剤の処方の自由度や処方設計時の利便性が劇的に増大するのみならず、化粧料や外用剤の実質的な性能・効果の向上を成し遂げることができる。よって、本発明の社会発展への貢献は極めて大であり、当業者の予想しえない有益かつ優れた技術的利益を提供することが確認された。
【0192】
以上述べた通り、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーはゲル化剤、構造化剤、増粘剤、粘度調整剤、感触改良剤、保湿剤、マスキング剤(しわ隠し剤)、界面活性剤、乳化剤、皮膜剤、又は、粉体分散安定剤等として極めて有用であり、その性能は従来技術を超越したものである。本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、その構造中にポリエーテル基を有さないにもかかわらず、油中水型エマルション用乳化剤として単独で立つことができ、しかもエラストマー特有の優れた性能や使用感を持続的にもたらすことのできる材料である。
【0193】
従って、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、他のPEG構造を有する親水性シリコーン乳化剤等の非イオン性の界面活性剤と併用する必要がなく、十分な安定性を有する油中水型エマルション化粧料等を調製できるため、化粧料又は外用剤の処方を全体としてPEG−FREE処方(=ポリオキシエチレン(PEG)構造を有する化合物を含有しない処方)に改めることができる。すなわち、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの使用により、化粧品業界は最終消費者向け商品の構成を全体としてPEG−FREE処方に改良するという世界的な潮流に合致した、環境適合性の高いビジネス戦略を遂に実行することができるのである。
【0194】
すなわち、本発明のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーは、比較例で用いた従来のポリグリセリン変性シリコーンエラストマーよりも遥かに多面的な利用が可能であるのみならず、外用剤又は化粧料全体の価値を大きく高めるものである。
【0195】
以下、本発明に係る化粧料及び外用剤についてその処方例を示して説明するが、本発明に係る化粧料及び外用剤はこれらの処方例に記載の種類、組成に限定されるものではないことは言うまでもない。なお、処方例中、品番を示した原料は、全て東レ・ダウコーニング株式会社から市販されている製品名である。
【0196】
更に、以下の処方例中でポリオキシエチレン基やポリオキシエチレン部を含有する化合物が使用されている処方においては、それらを非PEG構造の任意の代替材料に置き換えて得られる処方も、本発明に係る化粧料・外用剤の処方例として、好適に本発明の範囲に包含されるものである。例えば、当該処方例におけるポリエーテル変性シリコーン乃至はこれに類する原料は、シロキサンデンドロン構造を有するジグリセリン変性シリコーンやシロキサンデンドロン構造を有するキシリトール変性シリコーン、シロキサンデンドロン構造と長鎖アルキルを有するジグリセリン変性シリコーン、シロキサンデンドロン構造と長鎖アルキルを有するキシリトール変性シリコーン等によって、適宜置き換えることができ、それによって当該化粧料乃至は外用剤の使用感触や保湿効果等の向上、化粧効果の向上に更に貢献することができる。
【0197】
[処方例1] W/O クリームファンデーション
(成分)(Wt%)
1.実施例1のペースト状組成物 3.8
2.EL-8051 IN Silicone Organic Elastomer Blend*1) 7.2
3.ES−5612 Formulation Aid*2) 1.0
4.ジメチルポリシロキサン(6cst) 3.0
5.ジメチルポリシロキサン(2cst) 4.0
6.イソヘキサデカン 5.0
7.トリエチルヘキサノイン 5.0
8.ジオクタン酸ネオペンチルグリコール 2.0
9.9701 Cosmetic Powder*3) 1.5
10.シロキサンデンドロン基を有するポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン 2.0
11.シリコーン処理顔料 5.0
12.ペンチレングリコール 5.0
13.塩化ナトリウム 0.5
14.クエン酸ナトリウム 0.2
15.防腐剤 適量
16.香料 適量
17.精製水 54.8
注 *1) (ジメチコン/ビス−イソブチルPPG−20)クロスポリマーを、ネオペンタン酸イソデシルで希釈したもの(エラストマー成分12%)
注 *2) ポリエーテル変性シリコーン
注 *3) オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体(シリカ被覆タイプ)
【0198】
(製造方法)
A:成分1〜4、6〜9を混合して均一にする。
B:成分10、11、5を混合する。
C:成分12〜15、及び17を混合して溶解する。
D:CをAに加えて乳化する。
E:成分16、及びBをDに加えて混合し、均一化する。
【0199】
(効果)
べたつきがなく、厚みのある滑らかさでよく伸び広がり、しかも、顔料の分散性が良く、密着感に優れ、おさまりも良く、マット感のある仕上がりが得られる。
【0200】
[処方例2] W/O リキッドファンデーション
(成分)(Wt%)
1.実施例2の組成物 2.7
2.EL-8050 ID Silicone Organic Elastomer Blend *4) 5.8
3.シロキサンデンドロン基を有するポリエーテル・アルキル共変性シリコーン 2.0
4.ジメチルポリシロキサン(6cst) 6.5
5.デカメチルシクロペンタシロキサン 21.6
6.トリエチルヘキサノイン 5.0
7.有機変性ベントナイト 1.2
8.FA 4002 ID*5) 1.5
9.シリコーン処理顔料 5.0
10.ジプロピレングリコール 3.0
11.ソルビトール(70%水溶液) 2.0
12.クエン酸ナトリウム 0.2
13.防腐剤 適量
14.香料 適量
15.精製水 43.5
注 *4) (ジメチコン/ ビス−イソブチルPPG−20)クロスポリマーを、イソドデカンで希釈したもの(エラストマー成分15%)
注 *5) (アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの、イソドデカン溶液(有効成分40%)
【0201】
(製造方法)
A:成分1〜4、5の一部、6〜7を混合して均一にする。
B:成分10〜13、及び15を混合して溶解する。
C:成分8、9、及び5の残部を混合する。
D:BをAに加えて乳化する。
E:成分14及びCをDに加えて混合し、均一化する。
【0202】
(効果)
べたつきがなく、のび広がりも軽く、しかも、顔料の分散性が良く、密着感に優れ、おさまりも良く、マット感のある仕上がりが得られ、低粘度にもかかわらず、経時的にも非常に安定である。
【0203】
[処方例3] W/O 型コンパクトファンデーション
(成分)(Wt%)
1.セレシン 5.5
2.ステアリン酸イヌリン 2.0
3.ジオクタン酸ネオペンチルグリコール 8.0
4.トリエチルヘキサノイン 4.0
5.ジメチルポリシロキサン(6cst) 11.5
6.イソヘキサデカン 0.7
7.実施例3のペースト状組成物 3.3
8.シロキサンデンドロン基を有するポリエーテル・アルキル共変性シリコーン 1.5
9.9702 Powder*6) 1.5
10.シリコーン処理酸化チタン 10.0
11.シリコーン処理顔料 適量
12.レシチン 0.2
13.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 0.3
14.ジプロピレングリコール 8.0
15.クエン酸ナトリウム 0.2
16.精製水 43.3
注 *6) オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体(マイカとの複合パウダー)
【0204】
(製造方法)
A:成分1〜9を加熱混合して均一にする。
B:成分10〜14を混合して均一にする。
C:成分15、16を混合溶解したのち、Bを加えて均一にし、加温する。
D:CをAに加えて乳化し、コンパクト容器に流し込む。
【0205】
(効果)
油剤が多いにもかかわらず油っぽさ、べたつきがなく、のび広がりも軽く、さっぱりとした使用性を持ち、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く化粧もちに優れる。
【0206】
[処方例4] O/W/O 型リキッドファンデーション
(成分)(Wt%)
1.実施例1のペースト状組成物 5.0
2.デカン酸プロピレングリコール 5.0
3.ミリスチン酸イソプロピル 5.0
4.オクチルシラン処理顔料 10.0
5.卵黄由来水素添加リン脂質 1.0
6.グリセリン 2.0
7.1,3−ブチレングリコール 10.0
8.防腐剤 適量
9.精製水 52.0
10.9040 Silicone Elastomer Blend*7) 2.0
11.セチルアルコール 5.0
12.香料 適量
注 *7) 架橋型オルガノポリシロキサン(ジメチコンクロスポリマー)をデカメチルシクロペンタシロキサンで希釈したもの(エラストマー成分12%)
【0207】
(製造方法)
A:成分1〜3を混合して均一化する。
B:成分4〜9を加熱混合し、均一にする。
C:成分10〜11加熱混合する。
D:Bを攪拌しながらCを加えて乳化し、冷却する。
E:Aを攪拌しながらDを加えて乳化する。
【0208】
(効果)
のびが軽くさっぱりとして、べたつきや油感がなく、透明感があり化粧持ちが良く、温度や経時による変化も僅かであり、使用性も安定性も非常に優れている。
【0209】
[処方例5] W/O メークアップ下地
(成分)(Wt%)
1.実施例2の組成物 5.0
2.9045 Silicone Elastomer Blend *8) 0.9
3.ES−5612 Formulation Aid *2) 0.5
4.ジメチルポリシロキサン(6cst) 6.0
5.ジメチルポリシロキサン(20cst) 2.0
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
7.微粒子酸化チタン/デカメチルシクロペンタシロキサン/シロキサンデンドロン基を有するポリグリセリン変性シリコーンからなる油中粉体分散物*9) 10.0
8.疎水化シリカ 0.1
9.ジプロピレングリコール 5.0
10.クエン酸ナトリウム 0.2
11.塩化ナトリウム 0.5
12.メチルセルロース(2%水溶液) 2.5
13.エタノール 3.0
14.防腐剤 適量
15.香料 適量
16.精製水 61.3
注 *8)架橋型オルガノポリシロキサン(ジメチコンクロスポリマー)をデカメチルシクロペンタシロキサンで希釈したもの(エラストマー成分13%)
注 *2) ポリエーテル変性シリコーン
注 *9) D5と粉体と分散剤(変性シリコーン)の配合wt比は、50:40:8
【0210】
(製造方法)
A:成分1〜8を加熱混合する。
B:成分9 〜16を混合溶解し、A に加えて攪拌乳化する。
【0211】
(効果)
油っぽさ、べたつきがなく、のび広がりも軽く、みずみずしいさっぱりとした使用性を持ち、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く、マット感のある仕上がりが得られる。更に紫外線カット効果のある化粧持ちの良い優れたW/O 型メークアップ下地である。
【0212】
[処方例6] 口紅
(成分)(Wt%)
1.ポリエチレンワックス 12.0
2.マイクロクリスタリンワックス 4.0
3.ポリブテン 5.0
4.FA 4002 ID *5) 12.0
5.実施例3のペースト状組成物 7.0
6.2−エチルヘキサン酸セチル 20.0
7.ショ糖脂肪酸エステル 3.0
8.トリイソステアリン酸グリセリル 37.0
9.顔料 適量
10.防腐剤 適量
11.香料 適量
注 *5) (アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの、イソドデカン溶液(有効成分40%)
【0213】
(製造方法)
A:成分1〜8を加熱溶解し、成分9を加え均一に混合する。
B:成分10をAに加えて混合する。
C:Bに成分11を加えて容器に充填し、口紅を得る。
【0214】
(効果)
のびが軽くて油っぽさや粉っぽさがない上、さっぱりとした使用感を与えると共に、耐水性や撥水性が良好で持ちも良く、安定性にも優れている。
【0215】
[処方例7] パウダーファンデーション
(成分)(Wt%)
1.ワセリン 2.5
2.スクアラン 3.0
3.実施例3のペースト状組成物 0.5
4.トリオクタン酸グリセリル 2.0
5.シリコーン処理マイカ 40.0
6.シリコーン処理タルク 22.5
7.シリコーン処理酸化チタン 10.0
8.シリコーン処理微粒子酸化チタン 5.0
9.シリコーン処理硫酸バリウム 10.0
10.疎水化シリカ 0.1
11.顔料 適量
12.フッ素化合物処理粉体 2.0
13.トレフィルE−506S*10) 2.4
14.防腐剤 適量
15.香料 適量
注 *10) オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体{(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、エラストマー成分量100%}
【0216】
(製造方法)
A:成分4〜14を混合して、均一にする。
B:成分1〜3を均一に混合し、Aに加えて均一にする。
C:Bに成分15を添加し、金型にプレス成型してパウダーファンデーションを得る。
【0217】
(効果)
べたつきがなく、のび広がりも軽く、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く、つやのある仕上がりが得られる。
【0218】
[処方例8] W/O 型コンパクトファンデーション
(成分)(Wt%)
1.セレシン 5.5
2.マイクロクリスタリンワックス 1.0
3.流動パラフィン 3.0
4.実施例1のペースト状組成物 9.0
5.ジカプリン酸ポリプロピレングリコール 3.0
6.シロキサンデンドロン基を有するポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン 1.0
7.ジメチルポリシロキサン(6cst) 15.5
8.オイル処理酸化チタン 10.0
9.顔料 適量
10.レシチン 0.3
11.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 0.5
12.ジプロピレングリコール 6.0
13.マルトース 2.0
14.クエン酸ナトリウム 0.2
15.精製水 43.0
【0219】
(製造方法)
A:成分1〜7を加熱混合する。
B:成分8〜13を混合して均一にする。
C:成分14〜15を混合して溶解し、Bを加えて均一にし、加温する。
D:CをAに加えて乳化する。
【0220】
(効果)
油剤が多いにもかかわらず油っぽさ、べたつきがなく、のび広がりも軽く、さっぱりとした使用性を持ち、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く化粧もちにも優れる。
【0221】
[処方例9] アイシャドウ
(成分)(Wt%)
1.セリサイト 40.0
2.マイカ 10.0
3.タルク 19.0
4.酸化チタン 10.0
5.微粒子酸化チタン 5.0
6.ステアリン酸マグネシウム 3.0
7.顔料 適量
8.オクチルドデカノール 3.0
9.ジメチルポリシロキサン(6cst) 4.0
10.メチルトリメチコン 1.5
11.実施例1のペースト状組成物 4.5
12.防腐剤 適量
13.香料 適量
【0222】
(製造方法)
A:成分8〜12を混合して、均一にする。
B:成分1〜7をよく混合し、更にAを加えて均一に混合する。
C:成分13をBに添加する。
【0223】
(効果)
べたつきがなく、のび広がりも軽く、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く、つやのある仕上がりが得られ、化粧持ちが良い。
【0224】
[処方例10] W/O 型UVカットクリーム
(成分)(Wt%)
1.シリコーン処理微粒子酸化亜鉛 20.0
2.670 FLUID *11) 12.0
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 22.8
4.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3.0
5.実施例2の組成物 4.2
6.シロキサンデンドロン基を有するポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン 1.0
7.シロキサンデンドロン基を有するポリエーテル・アルキル共変性シリコーン 1.0
8.メトキシ桂皮酸オクチル 6.0
9.クエン酸ナトリウム 0.2
10.ジプロピレングリコール 3.0
11.防腐剤 適量
12.香料 適量
13.精製水 26.8
【0225】
注 *11) ポリプロピルシルセスキオキサンの、デカメチルシクロペンタシロキサン溶液(有効成分50%)
【0226】
(製造方法)
A: 成分3の一部、及び4〜8を加熱混合する。
B: 成分9〜11、13を混合して溶解させ、A に加えて攪拌乳化する。
C: 成分1、2及び3の残部を混合分散し、Bに添加して均一に混合する。
D: 成分12をCに加えて均一にする。
【0227】
(効果)
のびが軽くさっぱりとして、べたつきや油性感のない自然な塗布感が得られる。塗布後には透明感と化粧持ちに優れながら肌なじみのよい保護皮膜が得られ、UVカット効果も優秀である。製剤としては温度や経時による変化が少なく、使用性や安定性の面でも優れている。
【0228】
[処方例11] W/O 型UVカット乳液
(成分)(Wt%)
1.ジメチルポリシロキサン(6cst) 5.0
2.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
3.実施例2の組成物 6.0
4.ES−5612 Formulation Aid *2) 1.0
5.微粒子酸化チタン/デカメチルシクロペンタシロキサン/シロキサンデンドロン基を有するポリグリセリン・アルキル変性シリコーンからなる油中粉体分散物 *12) 30.0
6.微粒子酸化亜鉛/デカメチルシクロペンタシロキサン/シロキサンデンドロン基を有するポリグリセリン・アルキル変性シリコーンからなる油中粉体分散物 *13) 30.0
7.ジプロピレングリコール 3.0
8.クエン酸ナトリウム 0.2
9.防腐剤 適量
10.香料 適量
11.精製水 22.8
注 *2) ポリエーテル変性シリコーン
注 *12) D5と粉体と分散剤(変性シリコーン)の配合wt比は、50:40:10
注 *13) D5と粉体と分散剤(変性シリコーン)の配合wt比は、35:60:5
【0229】
(製造方法)
A:成分1〜4を加熱混合する。
B:成分7〜9、11を混合溶解し、Aに加えて攪拌乳化する。
C:成分5、6、10をBに加えて均一にする。
【0230】
(効果)
のびが軽くさっぱりとして、べたつきや油感がほとんどなく、透明感があり化粧持ちが良く、温度や経時による変化が僅かであり、使用性も安定性も非常に優れている。UVカット効果にも優れる。
【0231】
[処方例12] O/W 型UVカットクリーム
(成分)(Wt%)
1.9040 Silicone Elastomer Blend *7) 5.0
2.2−エチルヘキサン酸セチル 5.0
3.実施例3のペースト状組成物 1.0
4.微粒子酸化チタン/デカメチルシクロペンタシロキサン/シロキサンデンドロン基を有するポリグリセリン・アルキル変性シリコーンからなる油中粉体分散物*12) 15.0
5.BY 25−339 *14) 1.0
6.SS−2802 *15) 1.0
7.ポリアクリルアミド系乳化増粘剤*16) 2.0
8.プロピレングリコール 5.0
9.メチルセルロース(2%水溶液) 5.0
10.防腐剤 適量
11.香料 適量
12.精製水 60.0
注 *7) 架橋型オルガノポリシロキサン(ジメチコンクロスポリマー)をデカメチルシクロペンタシロキサンで希釈したもの(エラストマー成分12%)
注 *12) D5と粉体と分散剤(変性シリコーン)の配合wt比は、50:40:10
注 *14) ポリエーテル変性シリコーン
注 *15) ポリエーテル変性シリコーン
注 *16) SEPIC社製: SEPIGEL 305(商品名)
【0232】
(製造方法)
A:成分5〜8及び10、12を混合する。
B:成分1〜3を加熱混合し、A に加えて攪拌乳化する。
C:成分4をBに加え、更に成分9、10を加えて均一にする。
【0233】
(効果)
のびが軽くさっぱりとしたみずみずしい塗布感が得られる。塗布後は、肌が白くならず適度なソフトフォーカス効果とUVカット効果が得られ、効果の持続性も良好である。製剤としては、温度や経時による変化が僅かであり、使用性や安定性に非常に優れている。
【0234】
[処方例13] W/O/W 型クリーム
(成分)(Wt%)
1.2−エチルヘキサン酸セチル 5.0
2.実施例3のペースト状組成物 6.0
3.ジメチルポリシロキサン(2cst) 5.0
4.ジオレイン酸メチルグルコース 1.5
5.イソヘキサデカン 3.5
6.硫酸マグネシウム 0.5
7.プロピレングリコール 5.0
8.精製水 39.5
9.セチルアルコール 1.0
10.PEG−10大豆ステロール 2.0
11.防腐剤 適量
12.香料 適量
13.精製水 31.0
【0235】
(製造方法)
A:成分6〜8を混合する。
B:成分1〜5を混合し、Aに加えて攪拌乳化する。
C:成分9〜11及び13を混合し、Bを攪拌下、添加して乳化する。
D:Cに成分12を加えて均一にする。
【0236】
(効果)
のびが軽くさっぱりとして、べたつきや油感がなく、透明感があり化粧持ちが良く、温度や経時による変化が少なく、使用性と安定性も非常に優れたW/O/W 型クリームである。
【0237】
[処方例14] O/W/O 型乳液
(成分)(Wt%)
1.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 15.0
2.実施例1のペースト状組成物 8.0
3.ショ糖モノステアレート 3.0
4.グリセリン 5.0
5.1,3−ブチレングリコール 5.0
6.防腐剤 適量
7.精製水 60.0
8.マカデミアナッツ油 2.0
9.セチルアルコール 2.0
10.香料 適量
【0238】
(製造方法)
A:成分1〜2を均一に混合する。
B:成分3〜7を加熱混合し、均一にする。
C:成分8〜10を加熱混合する。
D:Bを攪拌しながらCを加えて乳化し、冷却する。
E:Aを攪拌しながらDを加えて乳化する。
【0239】
(効果)
塗布時には、のびが軽くさっぱりとして、べたつきや油感がほとんどない。塗布後は肌に保湿効果と透明感をもたらす。これら効果の持続性も良好である。製剤としては、温度や経時による変化が少なく、使用性と安定性にも非常に優れたO/W/O 型乳液である。
【0240】
[処方例15] スキンケア乳液
(成分)(Wt%)
1.ステアリン酸 1.0
2.自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 0.5
3.ポリオキシエチレン(10)セチルアルコール 0.5
4.流動パラフィン 5.0
5.ジメチルポリシロキサン(20cst) 1.0
6.コレステロール 0.5
7.実施例2の組成物 5.3
8.デカメチルシクロペンタシロキサン 1.7
9.セチル硫酸ナトリウム 0.5
10.グリセリン 2.0
11.カルボキシビニルポリマー 0.2
12.水酸化カリウム 0.1
13.パラベン 0.2
14.香料 0.1
15.精製水 81.4
【0241】
(製造方法)
A:成分1〜8を約80℃にて均一に混合する。
B:成分9〜13及び15を約80℃にて均一に溶解する。
C:Bをホモミキサーで撹拌しながら、Aを添加して乳化し、その冷却過程の70℃で成分14を添加した後、室温まで冷却し撹拌を停止する。
【0242】
(効果)
塗布時のみずみずしく滑らかな感触、塗布後のしっとりとした仕上がり、乳液のノリと塗布後の小じわの隠ぺい性、これら効果の持続性がいずれも極めて良好である。
【0243】
[処方例16] スキンケアクリーム
(成分)(Wt%)
1.ステアリン酸 3.0
2.親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
3.サラシミツロウ 1.0
4.ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル 1.0
5.ワセリン 1.0
6.ベヘニルアルコール 2.0
7.スクワラン 10.0
8.実施例1のペースト状組成物 5.3
9.イソヘキサデカン 1.7
10.N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.5
11.プロピレングリコール 3.0
12.マルトース 1.0
13.キサンタンガム 0.3
14.パラベン 0.2
15.香料 0.1
16.精製水 67.9
【0244】
(製造方法)
A:成分1〜9を約80℃にて均一に混合する。
B:成分10〜14及び16を約80℃にて均一に溶解する。
C:Bをホモミキサーで撹拌しながら、Aを添加して乳化し、その冷却過程の70℃で成分15を添加した後、室温まで冷却し撹拌を停止する。
【0245】
(効果)
塗布時の感触(なめらかさ)、塗布後の仕上がり(しっとり感)に代表される官能特性、クリームのノリ、塗布後の小じわの隠ぺい性、効果の持続性がいずれも極めて良好である。
【0246】
[処方例17] ファンデーション
(成分)(Wt%)
1.シリコーン処理板状硫酸バリウム 38.0
2.実施例3のペースト状組成物 10.6
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 3.4
4.ウレタンビーズ 5.0
5.シリコーン処理酸化チタン 10.0
6.シリコーン処理微粒子酸化チタン 2.0
7.酸化鉄 4.5
8.シリコーン処理微粒子酸化亜鉛 5.0
9.フッ素処理セリサイト 20.0
10.パーフロロポリエーテル変性シリコーン 1.3
11.防腐剤 0.2
【0247】
(製造方法)
A:各成分をミキサーに仕込んで混合後、アトマイザーにて粉砕する。
B:次いで、金型を用いて金皿に打型して製品を得る。
【0248】
(効果)
塗布時の感触が良好であり、化粧効果の持続性、塗布後の小じわの隠ぺい性も良好である。
【0249】
[処方例18] O/W 型サンスクリーン剤
(成分)(Wt%)
1.実施例1のペースト状組成物 5.0
2.SS−3408 *17) 10.0
3.ジメチルポリシロキサン(2cst) 5.0
4.オクチルメトキシシンナメート 7.5
5.オクトクリレン 10.0
6.防腐剤 適量
7.カルボマー(2%水溶液) 20.0
8.プロピレングリコール 3.0
9.精製水 39.3
10.トリエタノールアミン 0.2
注 *17) カプリリルメチコン
【0250】
(製造方法)
A:成分1〜6をよく混合して均一にする。
B:Aを撹拌しながら、成分7を添加してよく混合する。
C:成分8、9をBに添加して十分に混合する。
D:Cに成分10を添加して混合し、中和する。
【0251】
(効果)
塗布時にべたつきが少なく滑らかでみずみずしい塗布感が得られ、サンスクリーン効果の持続性にも優れる。
【0252】
[処方例19] パウダーアイシャドウ
(成分)(Wt%)
1.タルク 37.0
2.マイカ 30.0
3.ビスマスオキシクロライド 5.0
4.ステアリン酸亜鉛 3.0
5.窒化ホウ素 5.0
6.メチルパラベン 0.2
7.プロピルパラベン 0.1
8.酸化鉄(赤、黄色及び黒) 12.2
9.実施例2の組成物 0.9
10.デカメチルシクロペンタシロキサン 3.1
11.ジメチルポリシロキサン(5cst) 3.5
【0253】
(製造方法)
A:成分1〜8をよく混合して均質にする。
B:別の容器で成分9〜11をよく混合して均一にする。
C:BをAに添加してよく混合する。
D:Cを適当な容器入れ、プレスして成形する。
【0254】
(効果)
べたつきがなく、のび広がりも軽く、しかも、密着感に優れ、おさまりも良く、透明感のある仕上がりが得られ、化粧持ちが良い。
【0255】
[処方例20] 口紅
(成分)(Wt%)
1.ワセリン 34.3
2.鉱油 6.0
3.キャンデリラワックス 4.0
4.カルナバワックス 3.0
5.マイクロクリスタリンワックス 10.0
6.ミツロウ6.0
7.SH 556 FLUID*18) 3.0
8.イソドデカン 2.3
9.実施例1のペースト状組成物 0.7
10.ひまし油 15.7
11.D&C Red No.7カルシウムレーキ 6.0
12.マイカ 5.0
13.酸化鉄 4.0
注 *18) フェニルトリメチコン
【0256】
(製造方法)
A:成分1〜6を混合し、加熱して溶解する。
B:別に、成分7〜9をよく混合して均一にする。
C:BをAに添加して、よく混合する。
D:別に、成分10、11を混合してロールミルに通し、均質化する。
E:DをCに添加してよく混合する。
F:更に成分12、13をEに添加してよく混合したのち容器に充填する。
【0257】
(効果)
のびが軽くて油っぽさや粉っぽさがない上、さっぱりとした使用感を与えると共に、耐水性や撥水性が良好で持ちも良く、安定性にも優れている。
【0258】
[処方例21] マスカラ
(成分)(Wt%)
1.FA 4002 ID *5) 19.0
2.パルミチン酸/ エチルヘキサン酸デキストリン 8.0
3.ポリエチレンワックス 3.5
4.ミツロウ 6.5
5.レシチン 0.5
6.SS−3408*17) 21.0
7.C11−12流動イソパラフィン 19.0
8.実施例3のペースト状組成物 4.0
9.酸化鉄 5.0
10.アエロジルRY200*18) 3.5
11.タルク 10.0
注 *5) (アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーの、イソドデカン溶液(有効成分40%)
注 *17) カプリリルメチコン
注 *18) アエロジルRY200(日本アエロジル社製):疎水化シリカ
【0259】
(製造方法)
A:成分1〜8をよく混合し、40℃に加温して均一な分散物とする。
B:成分9〜11 をA に加えローラーにて分散する。
【0260】
(効果)
マスカラに適度な粘性があるため使用者にとって扱いやすく、のび広がりが軽くてべたつきや油っぽさがなく、耐水性、撥水性、耐汗性があり化粧持ちも良い。温度や経時的な変化が僅かであり安定性にも優れている。
【0261】
[処方例22] O/W クリーム
(成分)(Wt%)
1.実施例2の組成物 22.5
2.EL−8051 IN SILICONE ORGANIC ELASTOMER BLEND *25) 6.0
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
4.メチルトリメチコン 9.5
5.シロキサンデンドロン構造を有するポリグリセリン変性シリコーン 0.9
6.1,3−ブチレングリコール 3.0
7.(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa) コポリマー含有の乳化増粘剤*19) 0.6
8.アンモニウムアクリロイルジメチルタウリン/VPコポリマー(5%水溶液) 13.0
9.塩化ナトリウム(1%水溶液) 8.0
10.精製水 26.5
注 *19) SEPIC社製: SIMULGEL NS(商品名)
注 *25) (ジメチコン/ ビス−イソブチルPPG−20)クロスポリマーを、ネオペンタン酸イソデシルで希釈したもの(エラストマー成分15%)
【0262】
(製造方法)
A:成分1〜4を均一に混合する。
B:成分5〜10を混合する。
C:AをBに加えて乳化する。
【0263】
(効果)
キメが細かく、のび広がりが軽くてべたつきや油っぽさがない上しっとりとしてリッチ感があり、更にみずみずしく、さっぱりとした使用感を与えると共に化粧持ちも非常に良く、温度変化や経時による変化が少なく安定性に優れている。
【0264】
[処方例23] O/W クリーム
(成分)(Wt%)
1.実施例2の組成物 2.0
2.EL-9140 DM Slicone Elastomer Blend*20) 15.0
3.ジメチルポリシロキサン(2cst) 10.0
4.SS−3408*17) 8.0
5.ジメチルポリシロキサン(6cst) 10.0
6.SS−2804*21) 0.7
7.プロピレングリコール3.0
8.ポリアクリルアミド系乳化増粘剤*16) 0.8
9.キサンタンガム(2%水溶液)8.0
10.ポリソルベート20 0.5
11.防腐剤 適量
12.香料 適量
13.精製水 42.0
注 *20) 架橋型オルガノポリシロキサン(ジメチコンクロスポリマー)をジメチルポリシロキサン(1.5cst)で希釈したもの(エラストマー成分14%)
注 *17) カプリリルメチコン
注 *21) ポリエーテル変性シリコーン
注 *16) SEPIC社製: SEPIGEL 305(商品名)
【0265】
(製造方法)
A:成分1〜5を均一に混合する。
B:成分6〜13を混合する。
C:AをBに加えて乳化する。
【0266】
(効果)
のび広がりが軽くてべたつきや油っぽさがない上、しっとりとしてみずみずしく、さっぱりとした使用感を与えると共に化粧持ちも非常に良く、温度変化や経時による変化がなく安定性にも優れる。
【0267】
[処方例24] スティック状制汗剤
(成分)(Wt%)
1.実施例1のペースト状組成物 4.5
2.ジメチルポリシロキサン(2cst) 22.5
3.イソヘキサデカン 23.0
4.ステアリルアルコール 19.0
5.水素添加ひまし油 3.0
6.グリセリルステアレート 1.0
7.PEG−100ステアレート 1.0
8.タルク 4.0
9.アルミニウムジルコニウムクロロハイドレックス−グリシン 22.0
【0268】
(製造方法)
A:成分1〜3を十分に混合し、75℃に加熱する。
B:成分4〜7をAに添加する。
C:成分8、9をBに添加して混合する。
D:Cを55℃に冷却して型に注ぐ。
【0269】
(効果)
滑らかでべたつかず、サラッとした塗布感が得られる。制汗効果の持続性も良好である。
【0270】
[処方例25] 無水ロールオン型制汗剤
(成分)(Wt%)
1.実施例3のペースト状組成物 8.0
2.ジメチルポリシロキサン(2cst) 30.0
3.イソヘキサデカン 30.0
4.SH 556 FLUID*22) 5.0
5.エタノール 2.0
6.アルミニウムジルコニウムクロロハイドレックス−グリシン 25.0
注 *22) フェニルトリメチコン
【0271】
(製造方法)
A:成分1〜4をよく混合して均一にする。
B:成分5、6をAに添加してよく混合する。
【0272】
(効果)
サラッとしてべたつかない塗布感でありながら、皮膚表面に厚みのある滑らかさを付与できる。制汗効果の持続性も良好である。
【0273】
[処方例26] 非水制汗デオドラントスティック組成物
(成分)(Wt%)
1.ステアリルアルコール 25.0
2.ベヘニルアルコール 0.5
3.硬化ヒマシ油 4.0
4.ポリプロピレングリコール(平均分子量1000) 7.0
5.PPG−14ブチルエーテル 1.0
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 33.0
7.実施例1のペースト状組成物 4.5
8.アルミニウム・シ゛ルコニウム・テトラクロロハイト゛レート・ク゛リシン 25.0
【0274】
(製造方法)
A:成分1〜3及び成分6〜7を、80℃で加熱撹拌を行って均一な分散物とする。
B:65℃に保ち、撹拌を行いながら成分4〜5を加えて溶解させる。
C:65℃に保ち、成分8 を加え、よく撹拌して均一に分散させる。
D:容器に流し込み、室温で固化させる。
【0275】
(効果)
皮膚に塗布することにより厚みのある滑らかさが得られ、その皮膜はべたつかず適度な保湿感を有するため、快適で自然な使用感が得られる。乾燥後の白残りもほとんど見えないレベルである。制汗効果の持続性も良好である。
【0276】
[処方例27] W/O 固形制汗スティック組成物
(成分)(Wt%)
1.ジメチルポリシロキサン(2cst) 22.5
2.安息香酸C12−15アルキル 12.5
3.ポリデセン 11.3
4.実施例3のペースト状組成物 1.9
5.β−シトステロール 2.4
6.γ−オリザノール 2.4
7.アルミニウム・ジルコニウム・ペンタクロロハイドレート 18.8
8.精製水 18.8
9.グリセリン 9.4
【0277】
(製造方法)
A:成分1〜4を、80℃で加熱撹拌を行って均一な分散物にする。
B:80℃に保ち、撹拌を行いながら成分5〜6を順次加えて溶解させる。
C:別に、成分7〜9を混合し溶解させたのち、65℃に加熱する。
D:Bを65℃に保ち、撹拌しながらCを徐添して乳化する。
E:静置して脱気した後、容器に流し込み室温で固化させる。
【0278】
(効果)
半透明感のある上品な外観と適度なスティック硬度を有す。なめらかでみずみずしい塗布感に優れながら、制汗効果の持続性も良好である。皮膚を効果的に保護すると共に保湿効果の持続性にも優れ、塗布後の白残りも少ない。
【0279】
[処方例28] W/O エマルション型制汗クリーム組成物
(成分)(Wt%)
1.ミネラルオイル 2.5
2.セテアリルアルコール 2.7
3.ステアリン酸グリセリル 2.0
4.PEG−20ステアレート 1.2
5.実施例1のペースト状組成物 5.0
6.フェノキシエタノール 0.4
7.酸化チタン 0.2
8.グリセリン 6.0
9.アルミニウム-シ゛ルコニウムテトラクロルハイト゛レックスク゛リシン 15.0
10.精製水65.0
【0280】
(製造方法)
A:成分1〜6を、80℃で加熱撹拌を行って均一な分散物とする。
B:80℃に保ち、撹拌を行いながら成分7を加えて均一分散させる。
C:別に、成分8〜10を混合し溶解させたのち、65℃に加熱する。
D:Bを65℃に保ち、撹拌しながらCを徐添して乳化する。
【0281】
(効果)
なめらかで違和感のない自然な塗布感の得られるクリームであり、制汗及び保湿効果の即効性と持続性のバランスが良好である。皮膚に潤いを与え、弾力性を回復する。塗布後の白残りはほとんどない。
【0282】
[処方例29] 油中水型エマルジョン透明制汗剤組成物
(成分)(Wt%)
1.ジメチルポリシロキサン(2cst) 10.0
2.SS−3408 *17) 1.0
3.ジメチルポリシロキサン(20cst) 1.0
4.ジメチルポリシロキサン(50cst) 1.0
5.イソプロピルパルミテート 1.0
6.実施例1のペースト状組成物 10.0
7.プロピレングリコール 10.0
8.モノオレイン酸POE(20)ソルビタン 0.7
9.50%アルミニウムクロロハイドレート水溶液 40.0
10.70%ソルビトール水溶液 13.4
11.精製水 11.9
12.精製水(屈折率調製用) 適量
注 *17) カプリリルメチコン
【0283】
(製造方法)
A:成分1〜6をよく混合し均一にする。
B:別に、成分7〜11をよく混合して溶解させる。
C:A、B相の各々の2、3滴を取り、25℃における屈折率(RI)を測定する。
D:成分12は、B相の屈折率値を<0.0001単位内でA相の屈折率値に合致させるため、少しずつ分割して添加する。この工程を所望の屈折率値の合致に達するまで反復する。
E:A相を攪拌しながら、B相を徐添して乳化する。
【0284】
(効果)
半透明〜透明で見栄えがよく、外観上の変化が少ない。適度な粘度を有するため、指に取ろうとした時に、直ぐに流れ落ちることなく、容易に希望の量が取れる。塗布時には、滑らかで自然な使用感が得られ乾き際のべたつきも少なく、塗布後には白さが目立たない。
【0285】
[処方例30] 非水のスティック状制汗剤組成物
(成分)(Wt%)
1.ステアリルアルコール 25.0
2.水添ヒマシ油 4.0
3.ジメチルポリシロキサン(2cst) 31.0
4.PPG−20ブチルエーテル 7.0
5.セスキイソステアリン酸ソルビタン 2.0
6.実施例3のペースト状組成物 10.0
7.L−メントール 0.8
8.BHT 0.1
9.3−メチル−4−イソプロピルフェノール 0.1
10.焼ミョウバン 20.0
【0286】
(製造方法)
A:成分1〜6を混合し、約80℃で加熱と撹拌を行って均一な分散物とする。
B:系の凝固点より少し高い温度(約65℃)に保ち、撹拌下に成分7〜9を加えて溶解させる。
C:系の凝固点より少し高い温度に保ち、成分10を加え、よく撹拌して均一に分散させる。
D:容器に流し込み、室温で固化させる。
【0287】
(効果)
塗布時の使用感がなめらかであり、違和感なく自然で適度等ライ感が得られる。塗布後のべたつきもなく、乾燥後でも白さがほとんど目立たない。
【0288】
[処方例31] ヘアコンディショナー
(成分)(Wt%)
1.セタノール 5.6
2.ステアリルトリモニウムクロリド 1.5
3.ベヘントリモニウムクロリド 0.8
4.ミネラルオイル 1.0
5.デカメチルシクロペンタシロキサン 2.0
6.ジメチルポリシロキサン(5000cst) 0.5
7.SH 556 FLUID*22) 2.0
8.実施例2の組成物 1.5
9.メチルイソチアゾリノン 0.1
10.EDTA−2Na 0.1
11.グリセリン 2.0
12.精製水 82.9
注 *22) フェニルトリメチコン
【0289】
(製造方法)
A:成分1〜8をよく混合し、80℃で加熱撹拌して均一な分散物とする。
B:別に、成分10〜12を80℃で加熱して溶解する。
C:Aを撹拌下に、Bを徐添して乳化する。
D:Cを撹拌しながら冷却し、40℃以下で成分9を添加する。
【0290】
(効果)
毛髪への塗布時には滑らかに伸び広がり、流水による濯ぎ時には良好な滑らかさが持続する。タオルドライ時には、毛先を含めた毛髪全体にサラッとした軽い良好なすべり感を付与できる。更に、乾燥後のコンディショニング効果(サラッとした軽い指通り感やボリューム感、パサツキを抑えた自然なつやの付与)にも優れる。
【0291】
[処方例32] シャンプー
(成分)(Wt%)
1.POE(2)ラウリルエーテル硫酸Na (70%水溶液) 17.86
2.コカミドプロピルベタイン (30%水溶液) 8.33
3.セタノール 0.50
4.カチオン化セルロース(2%水溶液) 25.00
5.カチオン化グアーガム 0.05
6.シ゛メチルシ゛アリルアンモニウムハライト゛とアクリルアミト゛の共重合体型カチオン性ホ゜リマー(9%水溶液) 1.67
7.安息香酸Na 0.30
8.ジステアリン酸グリコール 1.00
9.実施例2の組成物/シ゛メチルホ゜リシロキサン(2cst)の1/9混合液を乳化したO/Wエマルション4.00
10.クエン酸 0.05
11.精製水 41.24
【0292】
(製造方法)
A:成分1〜3、成分7、8、11をよく混合し、70℃に保ちながら撹拌し完全に溶解する。
B:70℃に保ちながら、Aに成分4〜6を加え、完全に溶解する。
C:Bを撹拌しながら冷却し、55℃で成分9を加える。
D:更に室温まで冷却し、撹拌しながら成分10を加える。
【0293】
(効果)
起泡性が良く、クリーミーで細かく均一な泡質であり、洗髪時の感触が良好。濯ぎ後の濡れた状態でも、毛髪に適度で自然な滑らかさを与える。
【0294】
[処方例33] ヘアクリーム(セットタイプ)
(成分)(Wt%)
1.カラギーナン 1.0
2.POE(60)硬化ひまし油 1.0
3.カルボキシビニルポリマー 0.6
4.トリエタノールアミン 適量(pH = 7.5)
5.グリセリン 2.0
6.香料 適量
7.オクチルメトキシシンナメート 0.1
8.エタノール 25.0
9.精製水 58.3
10.N -メタクリロイルオキシシ゛エチル-N, N -シ゛メチルアミノエチル-α-N-メチルカルホ゛キシヘ゛タイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体 3.0
11.アクリル酸アルキルコホ゜リマーTEA (30% エタノール溶液) 1.0
12.実施例2の組成物/シ゛メチルホ゜リシロキサン(2cst)の1/9混合液を乳化したO/Wエマルション 8.0
【0295】
(製造方法)
A:成分9の半量、成分1〜3、成分5をよく混合し、均一に溶解させる。
B:別の容器に成分4、成分6〜8を仕込み、均一に溶解させる。
C:Bを撹拌しながら、成分9の残りを徐々に添加して、均一な分散液とする。
D:Cの分散液を撹拌しながら、成分10、11を徐々に添加して、均一な粘性液を得る。
E:Dを撹拌しながら、成分12を徐々に添加して、均一なクリームを得る。
【0296】
(効果)
塗布後、乾燥までの感触が滑らかでくし通りがよく、べたつきも少ない。乾燥後は、毛髪がゴワゴワすることなく自然な滑らかさを有し、セットの持続性にも優れている。
【0297】
[処方例34] シャンプー
(成分)(Wt%)
1.精製水 45.33
2.ポリクオタニウム−10 0.3
3.EDTA−2Na 0.1
4.グリセリン 1.5
5.ラウレス硫酸Na(27%水溶液) 30.0
6.ラウレス−6カルボン酸Na(24%水溶液) 10.0
7.コカミドプロピルベタイン、NaCl(30%水溶液) 10.0
8.ポリクオタニウム−7 0.27
9.防腐剤 適量
10.香料 適量
11.コカミドMEA 2.0
12.実施例2の組成物/シ゛メチルホ゜リシロキサン(2cst)の1/9混合液を乳化したO/W エマルション0.5
13. クエン酸 適量
【0298】
(製造方法)
A:成分1〜4を加温し、混合溶解する。
B:Aで得た組成物に成分5〜7を添加して均一にする。
C:Bで得た組成物を冷却し、成分8〜12を添加してよく混合し、均一にする。
D:必要に応じて成分13を添加し、pHを調製する。
【0299】
また、工程Cの後に、更に、ジメチルシリコーン、分子鎖両末端ジメチルシラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン(ジメチコノール)、フェニル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等の乳化物、シリコーンエラストマー粉体の水分散物等を配合することで、それぞれの相乗効果が期待できる。
【0300】
[処方例35] ヘアコンディショナー
(成分)(Wt%)
1.ステアリルトモニウムクロリド 1.44
2.セチルアルコール 2.4
3.オクチルドデカノール 0.5
4.エチルヘキサン酸セチル 0.6
5.スクワラン 0.2
6.精製水 89.86
7.グリセリン 2.0
8.防腐剤 適量
9.香料 適量
10.実施例2の組成物/シ゛メチルホ゜リシロキサン(2cst)の1/9混合液を乳化したO/W エマルション3.0
11.クエン酸 適量
【0301】
(製造方法)
A:成分1〜5を加温し、混合溶解する。
B:成分6〜7を加温し、混合溶解する。
C:Aで得た組成物にBで得た組成物を添加し、乳化する。
D:Cで得た組成物を冷却し、成分8〜10を添加してよく混合する。
E:必要に応じて、成分11を添加する。
【0302】
また、工程Cの後に、更に、ジメチルシリコーン、分子鎖両末端ジメチルシラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン(ジメチコノール)、フェニル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等の乳化物、シリコーンエラストマー粉体の水分散物等を配合することで、それぞれの相乗効果が期待できる。
【0303】
[処方例36] ヘアトリートメント リンスタイプ
(成分)(Wt%)
1.セチルアルコール 5.6
2.ミネラルオイル 1.0
3.ステアルトリモニウムクロリド 1.2
4.ベヘントリモニウムクロリド 0.64
5.デカメチルシクロペンタシロキサン 2.0
6.ジメチコン(2cSt) 1.0
7.ジメチコン(5,000cSt) 1.0
8.SH 556 FLUID *22) 2.0
9.実施例1のペースト状組成物 0.5
10.グリセリン 2.0
11.EDTA−2Na 0.1
12.精製水 82.76
13.パンテノール 0.1
14.トコフェロール 0.04
15.リシンHCl 0.02
16.グリシン 0.02
17.ヒスチジン 0.02
18.防腐剤 適量
19.香料 適量
注 *22) フェニルトリメチコン
【0304】
(製造方法)
A:成分1〜9を加温し、よく混合して溶解させ、均一な分散物とする。
B:成分10〜12を加温し、混合溶解する。
C:Aで得た組成物にBで得た組成物を添加し、乳化する。
D:Cで得た組成物を冷却し、成分13〜19を添加する。
【0305】
また、工程Aにおいて、成分1〜9に加えて、更に、分子鎖両末端ジメチルシラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン(ジメチコノール)、シリコーンワックス、アミノ変性シリコーン、長鎖アルキル・アミノ共変性シリコーン、ポリシリコーン−13等を配合することで、それぞれの相乗効果が期待できる。
【0306】
[処方例37] ヘアトリートメント リーブオンタイプ
(成分)(Wt%)
1.セチルアルコール 4.0
2.ミネラルオイル 1.0
3.ステアルトリモニウムクロリド 1.0
4.ベヘントリモニウムクロリド 0.2
5.デカメチルシクロペンタシロキサン 1.2
6.ジメチコン(2cSt) 0.6
7.ジメチコン(5,000cSt) 0.6
8.SH 556 FLUID *22) 1.2
9.実施例3のペースト状組成物 0.3
10.グリセリン 2.0
11.EDTA−2Na 0.1
12.精製水 87.6
13.パンテノール 0.1
14.トコフェロール 0.04
15.リシンHCl 0.02
16.グリシン 0.02
17.ヒスチジン 0.02
18.防腐剤 適量
19.香料 適量
注 *22) フェニルトリメチコン
【0307】
(製造方法)
A:成分1〜9を加温し、よく混合して溶解させ、均一な分散物とする。
B:成分10〜12を加温し、混合溶解する。
C:Aで得た組成物にBで得た組成物を添加し、乳化する。
D:Cで得た組成物を冷却し、成分13〜19を添加する。
【0308】
また、工程Aにおいて、成分1〜9に加え、更に、分子鎖両末端ジメチルシラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン(ジメチコノール)、シリコーンワックス、アミノ変性シリコーン、長鎖アルキル・アミノ共変性シリコーン、ポリシリコーン−13等を配合することで、それぞれの相乗効果が期待できる。
【0309】
[処方例38] ヘアミスト
(成分)(Wt%)
1.精製水 75.7
2.ソルビトール 0.6
3.クレアチン 0.2
4.尿素 1.0
5.1,3−ブチレングリコール 2.0
6.防腐剤 適量
7.エタノール 15.0
8.PCAイソステアリン酸グリセレス−25 0.5
9.香料 適量
10.BY 25−339 *14) 1.0
11.実施例2の組成物/シ゛メチルホ゜リシロキサン(2cst)の1/9混合液を乳化したO/W エマルション1.0
12.シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 2.0
13.塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン 1.0
注 *14) ポリエーテル変性シリコーン
【0310】
(製造方法)
A:成分1〜6を混合溶解する。
B:成分7〜10を混合溶解する。
C:Aで得た組成物にBで得た組成部を添加し、可溶化する。
D:Cで得た組成物に成分11〜13を添加し、よく混合して均一にする。
【0311】
[処方例39] ヘアフォーム
{原液}
(成分)(Wt%)
1.ポリビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体 5.0
2.ヒ゛ニルヒ゜ロリト゛ン・N,N−シ゛メチルアミノエチルメタクリル酸共重合体シ゛エチル硫酸塩 0.5
3.SH 556 FLUID *22) 2.0
4.実施例2の組成物/シ゛メチルホ゜リシロキサン(2cst)の1/9混合液を乳化したO/W エマルション 1.0
5.エタノール 12.0
6.防腐剤 適量
7.香料 適量
8.精製水 79.5
【0312】
{充填処方}
(成分)(Wt%)
9.原液 95.0
10.液化石油ガス(LPG) 5.0
注 *22) フェニルトリメチコン
【0313】
(製造方法)
A:成分1〜8をよく混合し、均一な分散物とする。
B:Aで得た組成物(原液)を容器(缶)に充填し、バルブ装着後、成分10を充填する。
【0314】
[処方例40] ヘアスプレー
{原液}
(成分)(Wt%)
1.エチルアルコール 92.4
2.アクリル樹脂アルカノールアミン液(有効成分50%) 7.0
3.セチルアルコール 0.1
4.実施例2の組成物/シ゛メチルホ゜リシロキサン(2cst)の1/9混合液を乳化したO/W エマルション 0.5
5.香料 適量
{充填処方}
6.原液 50.0
7.ジメチルエーテル 50.0
【0315】
(製造方法)
A:成分1に成分2〜5を添加し、よく混合して均一な分散物にする。
B:Aで得た組成物をろ過する。
C:Bで得た組成物(原液)を容器(缶)に充填し、バルブ装着後、成分7を充填する。
【0316】
[処方例41] ヘアワックス
(成分)(Wt%)
1.コハク酸ジエチルヘキシル 10.0
2.スクワラン 1.0
3.シア脂 1.0
4.実施例1のペースト状組成物 2.0
5.キャンデリラロウ 5.5
6.マイクロクリスタリンワックス 6.0
7.カルナバロウ 6.0
8.セテス−6 6.0
9.セテスー10 6.0
10.ステアリン酸グリセリル(SE)石鹸不純物 1.5
11.ヒドロキシステアリン酸 4.5
12.精製水 47.5
13.1,3−ブチレングリコール 3.0
14.水酸化Na 適量
15.PEG−90M 適量
16.防腐剤 適量
【0317】
(製造方法)
A:成分1〜11を加温溶解し、よく混合して均一な分散物にする。
B:成分12〜14を加温し、混合溶解する。
C:Aで得た組成物にBで得た組成物を添加し、乳化する。
D:Bで得た組成物に成分15〜16を、加温下に順次添加してよく混合し、均一にする。
E:Dを容器に充填し、放冷して固化させる。
【0318】
また、工程Aにおいて、成分1〜11に加え、更に、シリコーンワックス、アルキルシリコーンレジンワックス、ポリプロピルシルセスキオキサン、長鎖アルキル・アミノ共変性シリコーン、ポリシリコーン−13等を配合することで、それぞれの相乗効果が期待できる。
【0319】
[処方例42] ヘアクリーム
(成分)(Wt%)
1.ワセリン 4.0
2.エチルヘキサン酸セチル3.0
3.実施例1のペースト状組成物 2.0
4.ジメチコン(350cSt) 1.0
5.PEG−40水添ヒマシ油 1.0
6.ポリアクリルアミド 1.0
7.精製水 81.9
8.グリセリン 3.0
9.ヒドロキシエチルセルロース 0.1
10.エタノール 3.0
11.防腐剤 適量
【0320】
(製造方法)
A:成分1〜5を加温して溶解し、よく混合して均一な分散物にする。
B:成分6〜9を加温し、よく混合して溶解する。
C:Aで得た組成物を、Bで得た組成物に添加して乳化する。
D:Cで得た組成物に、成分10〜11を順次添加してよく混合し、均一化する。
【0321】
また、工程Aにおいて、成分1〜5に加え、更に、ジメチルシリコーン、分子鎖両末端ジメチルシラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン(ジメチコノール)、シリコーンワックス、フェニル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、長鎖アルキル・アミノ共変性シリコーン、ポリシリコーン−13等を配合することで、それぞれの相乗効果が期待できる。
【0322】
[処方例43] ヘアローション
(成分)(Wt%)
1.カルボマー 0.4
2.ヒドロキシエチルセルロース 0.1
3.PEG−6 1.5
4.精製水 88.2
5.エタノール 3.5
6.PEG−40水添ヒマシ油 0.5
7.トリラウレス−4リン酸 0.1
8.エチルヘキサン酸セチル 2.0
9.実施例2の組成物/シ゛メチルホ゜リシロキサン(2cst)の1/9混合液を乳化したO/Wエマルション 1.2
10.FZ−4150 *23) 2.5
11.防腐剤 適量
12.水酸化Na 適量
注 *23)ジメチコンをポリエーテル変性シリコーンにより乳化したО/Wエマルション(有効成分30%)
【0323】
(製造方法)
A: 成分1〜4を加温し、混合溶解する。
B: 成分5〜7を加温し、混合溶解する。
C: A で得た組成物にB で得た組成物を添加し、乳化する。
D: C で得た組成物に成分8〜12を添加してよく混合し、均一化する。
【0324】
また、工程Dにおいて、成分8〜12に加え、更に、ジメチルシリコーン、分子鎖両末端ジメチルシラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン(ジメチコノール)、フェニル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等の乳化物、シリコーンエラストマー粉体の水分散物等を配合することで、それぞれの相乗効果が期待できる。
【0325】
[処方例44] ヘアオイル
(成分)(Wt%)
1.BY11−003 *24) 67.0
2.実施例3のペースト状組成物 3.0
3.ジメチコン(350cSt) 2.0
4.デカメチルシクロペンタシロキサン 28.0
5.香料 適量
注 24)ジメチコンガムのデカメチルシクロペンタシロキサン溶液(ジメチコンガム成分10%)
【0326】
(製造方法)
A:成分1〜4を適宜加温し、よく混合して均一な分散物とする。
B:Aに成分5を添加し、よく混合して均一化する。
【0327】
また、工程Aにおいて、成分1〜4に加え、更に、分子鎖両末端ジメチルシラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン(ジメチコノール)、シリコーンワックス、フェニル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、長鎖アルキル・アミノ共変性シリコーン、ポリシリコーン−13等を配合することで、それぞれの相乗効果が期待できる。
【0328】
[処方例45] ヘアカラー 酸化タイプ
{第1剤}
(成分)(Wt%)
1.ステアレス−2 3.0
2.ステアレス−21 2.0
3.PPG−15 ステアリル 5.0
4.セトステアリルアルコール 4.0
5.ベヘニルアルコール 2.0
6.実施例2の組成物 2.0
7.塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム 0.8
8.精製水 69.4
9.EDTA−2Na 0.5
10.無水亜硫酸Na 0.5
11.アスコルビン酸Na 0.1
12.1,3−ブチレングリコール 3.0
13.パラフェニレンジアミン 0.25
14.パラアミノフェノール 0.1
15.メタアミノフェノール 0.05
16.ポリクオタニウム−39 0.3
17.炭酸水素アンモニウム 2.0
18.強アンモニア水 5.0
【0329】
(製造方法)
A:成分1〜7を加温して溶解し、よく混合して均一な分散物とする。
B:成分8〜15を加温して、混合溶解する。
C:Bで得た組成物にAで得た組成物を添加し、乳化する。
D:Cで得た組成物に成分16〜18を順次添加して混合し、均一にする。
【0330】
{第2剤}
(成分)(Wt%)
1.セトステアリルアルコール 4.5
2.ラウリル硫酸Na 0.5
3.防腐剤 適量
4.エチドロン酸 0.1
5.リン酸水素2Na 0.3
6.精製水 77.46
7.過酸化水素水(35%水溶液) 17.14
8.リン酸 適量
【0331】
(製造方法)
E:成分1を加温溶解する。
F:成分2〜6を加温し、混合溶解する。
G:Fで得た組成物にEで得た成分を添加し、乳化する。
H:Gで得た組成物を冷却し、成分7と必要に応じて成分8を添加し、よく混合して均一化する。
【0332】
[処方例46] ヘアマニキュア
(成分)(Wt%)
1.黒色401号 0.4
2.紫色401号 0.1
3.橙色205号 0.3
4.ベンジルアルコール 5.0
5.クエン酸 0.5
6.ヒドロキシエチルセルロース 2.0
7.塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.5
8.PEG−40水添ヒマシ油 0.5
9.実施例2の組成物/シ゛メチルホ゜リシロキサン(2cst)の1/9混合液を乳化したO/Wエマルション 1.0
10.エタノール 10.0
11.防腐剤 適量
12.香料 適量
13.精製水 79.7
14.クエン酸ナトリウム 適 量
【0333】
(製造方法)
A:成分1〜13をよく混合し、溶解する。
B:Aで得た組成物に成分14を加えて、pHを調整する。
【0334】
[処方例47] パーマ
{第1剤}
(成分)(Wt%)
1.EDTA−2Na 0.1
2.エチドロン酸 0.1
3.防腐剤 適量
4.精製水 81.2
5.PEG−40水添ヒマシ油 0.6
6.香料 0.3
7.チオグリコール酸アンモニウム(50%水溶液) 13.0
8.強アンモニア水 1.0
9.モノエタノールアミン 1.2
10.炭酸水素アンモニウム 2.0
11.実施例2の組成物/シ゛メチルホ゜リシロキサン(2cst)の1/9混合液を乳化したO/Wエマルション0.5
12. リン酸 適量
【0335】
(製造方法)
A:成分1〜4を適宜加温し、混合溶解する。
B:成分5〜6を加温し、混合溶解する。
C:Bで得た組成物に成分7〜11を順次添加し、よく混合して均一にする。
D:Cで得た組成物に、必要に応じて成分12を添加し、混合する。
【0336】
{第2剤}
(成分)(Wt%)
1.ポリクオタニウム−10 0.4
2.EDTA−2Na 0.1
3.防腐剤 適量
4.リン酸二水素Na 0.05
5.リン酸水素二Na 0.5
6.精製水 90.95
7.臭素酸Na 8.0
8.pH調整剤 適量
【0337】
(製造手順)
E:成分1〜6を適宜加温し、混合溶解する。
F:E で得た組成物に成分7を添加する。必要に応じて成分8を添加する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有せず、グリセリン単位の繰り返し数の平均値が1.0〜2.4の範囲内にあるグリセリン誘導体基を有し、且つ、架橋部に炭素−ケイ素結合を含む架橋三次元網状構造を有するグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー。
【請求項2】
前記グリセリン誘導体基が、二価の連結基を介してケイ素原子に結合し、かつ下記構造式(4―1)〜(4−3):
【化1】

(式中、Wは水素原子又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表す)
【化2】

(式中、Wは前記と同様の基を表す)
【化3】

で表されるグリセリン単位から選択される少なくとも1種以上のグリセリン単位を、その繰り返し数が平均して1.0〜2.4の範囲で含有してなるグリセリン誘導体基含有有機基(但し、親水性基として、オキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しない)を含む、請求項1に記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー。
【請求項3】
前記グリセリン誘導体基が、下記一般式(5−1)
【化4】

(式中、R17はオキシアルキレン単位の繰り返し数の平均値が2以上のオキシアルキレン構造を有しない二価有機基を表す)で表わされるジグリセリン誘導体基、
下記一般式(5−2)
【化5】

(式中、R17は上記のとおりである)で表わされるジグリセリン誘導体基、及び、
下記一般式(5−3)
【化6】

(式中、R17は上記のとおりである)で表わされるモノグリセリン誘導体基
から選択される、請求項1又は2記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー。
【請求項4】
(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(B)反応性不飽和基を有するグリセリン誘導体基含有有機化合物、並びに
(C)(C1)1分子中に平均で1より大きい数の反応性不飽和基を有する有機化合物、及び、(C2)1分子中に1以上の反応性不飽和基及び1以上のエポキシ基を有する有機化合物からなる群から選択される1種類以上の有機化合物
を反応させることにより得られる、請求項1乃至3のいずれかに記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー。
【請求項5】
前記架橋部を構成する前記(C)成分の反応性不飽和基と反応する(A)成分の1分子当たりのケイ素原子結合水素原子数の平均値が1.5以上である、請求項4記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー。
【請求項6】
前記(A)成分が、平均組成式(1):

SiO(4−a−b)/2 (1)

(式中、
は、互いに独立して、一価有機基を表し、1.0≦a≦3.0、及び、0.001≦b≦1.5である)で表される、請求項4又は5記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー。
【請求項7】
前記(C)成分が下記(C1−1)〜(C1−4)及び(C2−1)〜(C2〜2):
(C1−1) 一般式(2−1):

CH=CH(CHCH=CH (2−1)

(式中、1≦x≦20である)で表されるα,ω−ジエン、
(C1−2) 一般式(2−2):

CH≡C(CHC≡CH (2−2)

(式中、1≦x≦20である)で表されるα,ω−ジイン、
(C1−3) 一般式(2−3):

CH=CH(CHC≡CH (2−3)

(式中、1≦x≦20である)で表されるα,ω−エン−イン、
(C1−4) 一般式(2−4):

2m−1O(C2nO)2m−1 (2−4)

(式中、2≦m≦20、3≦n≦4、yはオキシプロピレン単位、オキシブチレン単位の繰返し数の合計値であり、1≦y≦180である)で表されるビスアルケニルポリエーテル化合物、
(C1−5) 平均組成式(2−5):

pqSiO(4−p−q)/2 (2−5)

(式中、R2は、互いに独立してもよいがRとは異なる一価有機基を表し、
は、互いに独立して、炭素原子数2〜30の一価の不飽和脂肪族炭化水素基を表し、1.0≦p≦2.5、及び、0.001≦q≦1.5である)で表される不飽和基含有シリコーン化合物、
(C2−1) 一般式 (2−6):
【化7】

(式中、Rは、1つの反応性不飽和基を有しており、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数2〜20の一価炭化水素基を表す)で表される不飽和エポキシ化合物、
(C2−2) 一般式(2−7):
【化8】

(式中、Rは、1つの反応性不飽和基を有しており、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数2〜20の一価炭化水素基を表し、
は、水素原子又はメチル基を表し、
は水素原子又はメチル基を表す)で表される、不飽和基含有脂環式エポキシ化合物
から選ばれる1種類以上の有機化合物である、請求項4乃至6のいずれかに記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー。
【請求項8】
平均組成式(1)において、Rである一価有機基が、以下の(D1)〜(D9):
(D1)炭素原子数1〜60の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、
(D2)−RO(AO)(式中、AOは炭素原子数3〜4のオキシアルキレン基を表し、Rは炭素原子数3〜5の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基を表し、Rは炭素原子数1〜24の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基、又は、炭素原子数2〜24の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状のアシル基を表し、z=1〜100である)で表されるポリオキシアルキレン基、
(D3)炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基、
(D4)水酸基、
(D5)−R10−COOR11 (式中、R10は炭素原子数2〜20の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基を表し、R11は炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基を表す)で表されるエステル基、
(D6)−R12−OCOR13 (式中、R12は炭素原子数2〜20の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の二価炭化水素基を表し、R13は炭素原子数1〜30の、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の一価炭化水素基を表す)で表されるエステル基
(D7)下記一般式(4)
【化9】

(式中、R14は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数1〜30の一価炭化水素基、水酸基又は水素原子であり、R14のうち少なくとも一つは前記一価炭化水素基である。tは2〜10の範囲の数であり、rは1〜100の範囲の数である)で表される、鎖状ポリシロキサン構造で置換されたアルキル基、
(D8)下記一般式(5)
【化10】

(式中、R15は、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数2〜20の二価炭化水素基を表す)で表される、エポキシ基、
(D9)下記一般式(6)
【化11】

(式中、R16は、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数2〜20の二価炭化水素基を表し、R及びRは前記の通りである)で表される、脂環式エポキシ基
から選ばれる、請求項6又は7記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー。
【請求項9】
粒子の形態である、請求項1乃至8のいずれかに記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー。
【請求項10】
体積平均粒子径が20〜1000μmの範囲内にある粒子の形態である、請求項9記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー。
【請求項11】
自重以上の量の油剤を含んで膨潤しうる、請求項1乃至10のいずれかに記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー、及び、少なくとも1種の油剤を含む組成物。
【請求項13】
ペーストの形態である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれかに記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーを機械力を用いて粉砕した後に少なくとも1種の油剤と混合するか、前記グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーと少なくとも1種の油剤の混合物を機械力を用いて粉砕することにより得られる、請求項12又は13記載の組成物。
【請求項15】
エマルション組成物である、請求項12乃至14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
請求項1乃至11のいずれかに記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又は請求項12乃至15のいずれかに記載の組成物を含有する外用剤用原料又は化粧料用原料。
【請求項17】
ゲル化剤、構造化剤、増粘剤、感触改良剤、保湿剤、マスキング剤、界面活性剤、乳化剤、皮膜剤、又は、粉体分散安定剤である、請求項16記載の外用剤又は化粧料用原料。
【請求項18】
請求項1乃至11のいずれかに記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又は請求項12乃至15のいずれかに記載の組成物を含有する外用剤又は化粧料。
【請求項19】
(A)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(B)反応性不飽和基を有するグリセリン誘導体基含有有機化合物、並びに
(C)(C1)1分子中に平均で1より大きい数の反応性不飽和基を有する有機化合物、及び、(C2)1分子中に1以上の反応性不飽和基及び1以上のエポキシ基を有する有機化合物からなる群から選択される1種類以上の有機化合物
を少なくとも反応させる工程を含む、請求項1乃至11のいずれかに記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの製造方法。
【請求項20】
前記(A)成分、前記(B)成分及び前記(C)成分を必須成分とする反応の一部又は全部が、以下の(P−1)〜(P−2)に示される群から選ばれる1以上の溶媒の存在下で行われることを特徴とする、請求項19記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの製造方法。
(P−1): 有機化合物
(P−2): ケイ素原子を含有する化合物
【請求項21】
前記(A)成分と前記(B)成分とを先に反応させ、しかる後に前記(C)成分を添加して架橋反応を行うことを特徴とすると共に、以下に示す任意成分(Q)を、前記(A)成分と前記(B)成分の反応前に前記(A)成分と反応させるか、前記(A)成分と前記(B)成分の反応後に更に反応させるか、又は前記(C)成分による架橋後に更に反応させてもよい、請求項19又は請求項20記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの製造方法。
(Q): 1分子中に1の反応性不飽和基を有する化合物(但し、前記(C2)であるものを除く)
【請求項22】
架橋部を導く前記(A)成分と前記(C)成分との反応を先に行い、しかる後に前記(B)成分を添加して反応させることを特徴とすると共に、以下に示す任意成分(Q)を、前記(A)成分と前記(C)成分の反応前に前記(A)成分と反応させるか、前記(A)成分と前記(C)成分の反応後に更に反応させるか、又は前記(B)成分の反応後に更に反応させてもよい、請求項19又は請求項20記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーの製造方法。
(Q): 1分子中に1の反応性不飽和基を有する化合物(但し、前記(C2)であるものを除く)
【請求項23】
請求項19乃至22のいずれかに記載の反応により得られたグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー、又はこれを含む組成物を、25℃で固体であり、水溶性であり、かつ、50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液の25℃におけるpHが4以下であることを特徴とする1種類以上の酸性無機塩で処理することを特徴とする、グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はその組成物の製造方法。
【請求項24】
前記酸性無機塩が、硫酸水素イオン(HSO)及び1価の陽イオン(M+)からなる1種以上の酸性無機塩である、請求項23記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含む組成物の製造方法。
【請求項25】
前記酸性無機塩が、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム及び硫酸水素アンモニウムからなる群から選択される1種以上の酸性無機塩である、請求項23又は24記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含む組成物の製造方法。
【請求項26】
前記酸性無機塩の使用量が、グリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマーに対して100ppm〜10000ppmの範囲であることを特徴とする、請求項23乃至25のいずれかに記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含む組成物の製造方法。
【請求項27】
前記酸性無機塩を用いた処理工程を、水及び/又は親水性媒体の存在下に行うことを特徴とする、請求項23乃至26のいずれかに記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含む組成物の製造方法。
【請求項28】
前記酸性無機塩を用いた処理工程後、加熱又は減圧することにより、低沸分を除去する工程を含む、請求項23乃至27のいずれかに記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含む組成物の製造方法。
【請求項29】
前記酸性無機塩を用いた処理工程後、1種類以上の塩基性物質を加えて中和することを特徴とする請求項23乃至28のいずれかに記載のグリセリン誘導体変性オルガノポリシロキサンエラストマー又はそれを含む組成物の製造方法。

【公開番号】特開2013−10935(P2013−10935A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−116562(P2012−116562)
【出願日】平成24年5月22日(2012.5.22)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】