説明

レジスト用含フッ素重合体の製造方法

真空紫外領域における透明性に優れ、フォトレジスト用として、特にF2レジスト用として超微細パターンを形成することができる含フッ素重合体であって、炭素数2または3のエチレン性単量体であって少なくとも1個のフッ素原子を有する含フッ素エチレン性単量体(m1)に由来する繰り返し単位(M1)および/または重合体主鎖に脂肪族環構造を与え得るフッ素原子を含んでいてもよい単量体(m2)に由来する繰り返し単位(M2)を有し、かつ重合体中に酸で反応する酸反応性基Yまたは酸反応性基Yに変換可能な基Yを有する含フッ素重合体を得るに当たり、該含フッ素エチレン性単量体(m1)および/または該重合体主鎖に脂肪族環構造を与え得る単量体(m2)をフッ素原子を有する重合開始剤を用いてラジカル重合することを特徴とする真空紫外光の透明性に優れたレジスト用含フッ素重合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、真空紫外領域、特にF2レーザー(157nm)光において透明なレジスト用の含フッ素重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
大規模集積回路(LSI)の高集積化の必要性が高まるにつれて、フォトリソグラフィー技術において微細加工技術が求められている。この要求に対して、従来のg線(波長436nm)やi線(波長365nm)よりも短波長である遠紫外線、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)を露光光源として利用することが試みられており、実用化されつつある。
最近、さらなる超微細加工技術として真空紫外領域のF2レーザー光(波長157nm)を利用したプロセスが検討されつつあり、今後のテクノロジーノード0.07μmを目指した露光技術として有望視されている。
このような従来のフォトリソグラフィーに用いられるレジスト用樹脂の例としては、フェノール性樹脂の水酸基の一部または全部をアセタールやケタールなどの保護基で保護したもの(KrFレジスト)、メタクリル酸系樹脂のカルボキシル基に酸解離性のエステル基を導入したもの(ArFレジスト)などがあげられる。
しかしながら、これら従来のレジスト用重合体は、真空紫外の波長領域では強い吸収をもち、より超微細パターン化プロセスとして利用が検討されている波長157nmのF2レーザー光において透明性が低い(吸光係数が大きい)という根本的な問題がある。したがって、F2レーザーで露光するためにはレジストの膜厚を極端に薄くする必要があり、事実上、単層のF2レジストとしての使用は困難である。
そこで、F2レーザー光に対して透明性が高いフッ素重合体を用いたレジストの検討が行なわれている。
その中でも、テトラフルオロエチレンなどで代表される炭素数2または3のフルオロオレフィンを共重合したフッ素重合体および/または主鎖に環構造を有する含フッ素重合体が、透明性およびドライエッチング耐性の両面で好ましく、レジスト重合体として有用である。
これらのフッ素系レジストとして、酸で反応する官能基を有するレジスト用含フッ素重合体、それを利用したレジスト用組成物が提案されている(たとえば国際公開第00/17712号パンフレット、国際公開第00/67072号パンフレット、国際公開第01/74916号パンフレット参照)。
これら特許文献においては、テトラフルオロエチレンに代表されるフルオロオレフィンとノルボルネン(またはノルボルネン誘導体)に代表される脂環式単量体との共重合体が具体的に記載されており、その製造方法はフルオロオレフィンと脂環式単量体とを炭化水素系パーオキサイドなどの重合開始剤によりラジカル重合するものである。
しかしながら、これら記載の製造方法で得られる含フッ素重合体は真空紫外領域での透明性において不充分なものであった。
本発明者らは、これら問題点を鑑みて鋭意研究し、フルオロオレフィンや主鎖に環構造を形成する単量体をラジカル(共)重合して酸反応性基を有するレジスト用含フッ素重合体を得る際、特定のラジカル重合開始剤を用いてラジカル(共)重合することにより、レジスト用含フッ素重合体が効率的に得られ、しかも含フッ素重合体のF2レーザー光における透明性が飛躍的に向上することを見出した。
本発明の第1の目的は、フルオロオレフィンや主鎖に環構造を形成する単量体を特定のラジカル重合開始剤を用いてラジカル(共)重合することにより、F2レーザー光における透明性に優れたレジスト用含フッ素重合体を製造する方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、かかる製造方法で得られた真空紫外光における透明性に優れた含フッ素重合体を含むレジスト用、特にF2レジスト用組成物を提供することにある。
本発明の第3の目的は、透明性に優れた、重合体末端に高い比率でCF基を導入したテトラフルオロエチレンとノルボルネン誘導体からなる新規な重合体を提供することにある。
【発明の開示】
本発明の第1は、炭素数2または3のエチレン性単量体であって少なくとも1個のフッ素原子を有する含フッ素エチレン性単量体(m1)に由来する繰り返し単位(M1)および/または重合体主鎖に脂肪族環構造を与え得るフッ素原子を含んでいてもよい単量体(m2)に由来する繰り返し単位(M2)を有し、かつ重合体中に酸で反応する酸反応性基Yまたは酸反応性基Yに変換可能な基(以下、「酸反応性基変換基」という)Yを有する含フッ素重合体を得るに当たり、該含フッ素エチレン性単量体(m1)および/または該重合体主鎖に脂肪族環構造を与え得る単量体(m2)をフッ素原子を有する重合開始剤を用いてラジカル重合することを特徴とする真空紫外光の透明性に優れたレジスト用含フッ素重合体の製造方法に関する。
本発明の製造方法によれば、重合反応が速やかに進み高分子量化が可能なだけでなく、加えて、得られる含フッ素重合体が特に真空紫外領域の光線に対する透明性に優れている。
本発明の第2は、(A−1)OH基、酸でOH基に変換できる酸解離性官能基、COOH基、または酸で解離してCOOH基に変化させることができる酸解離性官能基の少なくとも1種の酸反応性基Yを有する含フッ素重合体、
(B)光酸発生剤、および
(C)溶剤
からなる組成物であって、該含フッ素重合体(A−1)が、本発明の第1に記載の製造方法で得られる重合体であるフォトレジスト組成物に関する。
かかるフォトレジスト組成物は、真空紫外光の透明性に優れたレジスト膜を与え、超微細加工プロセスで使用する場合に特に有用なフォトレジスト組成物である。
本発明の第3は、テトラフルオロエチレンに由来する繰り返し単位(M1A)およびフッ素原子を含んでいてもよいノルボルネン誘導体(m2a)に由来する繰り返し単位(M2A)を必須成分として含有する含フッ素重合体であって、当該重合体中において、重合体主鎖末端の少なくとも一方に−CF基を有する重合体分子を含み、かつ19F−NMR分析において検知される重合体主鎖末端の−CFシグナル強度をH(末端CF)、主鎖を形成する−CF−シグナル強度をH(−CF−)としたとき、数式(1):

の関係式を満たす含フッ素重合体に関する。
かかる含フッ素重合体は、より効果的に透明性の改善が可能であり、上記レジスト用として有用であり、またレジスト用途だけでなく他の光学用途としても有用な重合体である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の製造方法によって製造される含フッ素重合体は、含フッ素エチレン性単量体(m1)に由来する繰り返し単位(M1)および重合体主鎖に脂肪族環構造を与え得るフッ素原子を含んでいてもよい単量体(m2)に由来する繰り返し単位(M2)のいずれか一方または両方を含み、かつ重合体中に酸反応性基Yまたは酸反応性基変換基Y(以下、併せて「酸反応性官能基Y」ということもある)を有する含フッ素重合体である。また、任意の繰り返し単位(N)をさらに含んでいてもよい。
なお、本発明で得られる含フッ素重合体中のフッ素原子は、単量体(m1)または単量体(m2)に必ず由来するものとは限らず、他の任意の共単量体に由来するものであってもよい。
重合体中に酸反応性官能基Yを導入する方法としては、詳しくは後述するが、
(I)単量体(m1)および/または単量体(m2)として酸反応性官能基Yを有する単量体を共重合する方法、
(II)単量体(m1)および(m2)以外の単量体であって、酸反応性官能基Yを有する単量体(n1)を共重合する方法
などがあげられる。
以下、まず含フッ素ラジカル重合開始剤について説明し、ついでラジカル重合する各単量体について具体的に説明する。
本発明の製造方法は、上記酸反応性官能基Yを有する含フッ素重合体を得る際、フッ素原子を含む重合開始剤を用いてラジカル重合することを特徴とする。
かかる含フッ素重合開始剤を使用することにより、フッ素系単量体のラジカル重合反応性が向上し、しかも重合体末端の開始剤残基も含フッ素末端となり、真空紫外領域での透明性がさらに向上する。
フッ素原子を有する重合開始剤は、温度(熱など)や光によりラジカルを発生する化合物であれば利用できる。なかでも、含フッ素有機過酸化物であることが好ましい。
含フッ素有機過酸化物としては、含フッ素ジアシルパーオキサイド類、含フッ素パーオキシジカーボネート類、含フッ素パーオキシエステル類、含フッ素ジアルキルパーオキサイド類から選ばれる1種または2種以上が好ましい。
なかでも含フッ素ジアシルパーオキサイド類が、ラジカル重合反応性を促進でき、得られる重合体の真空紫外領域での透明性をより一層改善できる点で好ましい。
これら含フッ素有機過酸化物は、フッ素を含まないハイドロカーボン系過酸化物骨格中のアルキル基やアリール基などの炭化水素基の水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換したものである。たとえば含フッ素アルキル基や含フッ素アリール基、エーテル結合を有する含フッ素アルキル基、含フッ素アリール基で置換された含フッ素アルキル基(すなわち含フッ素アラルキル基)などを骨格中に有する過酸化物である。なかでも、透明性の改善効果がよい点から含フッ素アルキル基、エーテル結合を有する含フッ素アルキル基を有する有機過酸化物が好ましい。含フッ素アルキル基やエーテル結合を有する含フッ素アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状であってもよい。
また含フッ素アルキル基やエーテル結合を有する含フッ素アルキル基は、パーフルオロアルキル基またはフッ素原子の一部が水素原子や塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子で置換された置換パーフルオロアルキル基であることが透明性の改善効果に特に優れる点から好ましい。
含フッ素ジアシルパーオキサイド類としては、式:

(式中、RfおよびRfは同じかまたは異なり、エーテル結合を有していてもよい炭素数1〜40の含フッ素アルキル基、炭素数6〜40の含フッ素アリール基または炭素数7〜40の含フッ素アラルキル基)で示されるものが好ましく、なかでも、式:

(式中、mおよびnは同じか異なり1〜20の整数;XおよびX’は同じか異なり、F、ClまたはH)で表されるジ(フルオロアシル)パーオキサイドが好ましい。
具体的には、


などが好ましく例示される。
かかる含フッ素重合開始剤を使用してラジカル重合する各単量体について説明する。
含フッ素重合体に繰り返し単位(M1)を与える単量体(m1)は、重合性、特にラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を1つ有する炭素数2または3の含フッ素エチレン性単量体であって少なくとも1個のフッ素原子を有する単量体である。
かかる含フッ素エチレン性単量体(m1)は重合性の炭素−炭素二重結合を1つ有するモノエン化合物であって、重合によっても主鎖中に環構造を有する繰り返し単位は形成しない。
含フッ素エチレン性単量体(m1)は、その単量体中に酸反応性官能基Yを有していても有していなくてもよいが、通常、酸反応性官能基を有していない単量体を用いた方が、ラジカル重合反応性が良好な点で、また、より透明性を効果的に改善できる点で好ましい。
好ましい含フッ素エチレン性単量体(m1)としては、エチレンまたはプロピレンの水素原子の少なくとも1つがフッ素原子に置換したものがあげられる。他の水素原子はフッ素原子以外のハロゲン原子に置換されていてもよい。
なかでもフッ素原子が炭素−炭素二重結合を構成する炭素原子に少なくとも1個結合した単量体であることが好ましい。それによって、繰り返し単位(M1)に、つまり重合体主鎖中にフッ素原子を導入でき、真空紫外領域において特に優れた透明性を与える含フッ素重合体が効果的に得られる。
具体的には、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、CH=CFCFから選ばれる少なくとも1種の単量体が好ましくあげられる。
なかでもテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデンまたはヘキサフルオロプロピレンの少なくとも1種または2種以上の混合物であることが透明性の点で特に好ましく、とりわけテトラフルオロエチレンおよび/またはクロロトリフルオロエチレンが好ましい。
つぎに、重合体主鎖に脂肪族環構造の繰り返し単位(M2)を与え得るフッ素原子を含んでいてもよい単量体(m2)について説明する。
かかる単量体(m2)は、レジスト用途に用いた場合ドライエッチング耐性を向上させる脂肪族環構造の繰り返し単位(M2)を重合体主鎖中に導入することができる。この効果と上記の真空紫外領域の透明性の改善効果とが合さって、本発明の製法により得られる主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体は、F2レーザー用レジストに特に好ましいものである。
単量体(m2)は、ラジカル重合性の炭素−炭素不飽和結合を環構造中に有する不飽和環状化合物から選ばれるものであってもよいし、ジエン化合物の環化重合により主鎖に環構造を形成させることができる非共役ジエン化合物から選ばれるものであってもよい。
また単量体(m2)は、その単量体中に酸反応性官能基Yを有していてもよいし有していなくてもよい。
この単量体(m2)を(共)重合することによって、主鎖に単環構造または複環構造の脂肪族環構造単位を有する重合体を得ることができる。
単量体(m2)の好ましい第1は、ラジカル重合性の炭素−炭素不飽和結合を環構造中に有し、かつ酸反応性官能基Yを有しない単環状の単量体(m2−1)であり、環構造中にエーテル結合を含んでもよい3員環〜8員環構造の脂肪族不飽和炭化水素化合物であることが好ましい。
単量体(m2−1)は、具体的には、

などが好ましくあげられる。
さらに、これら単量体(m2−1)の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された単量体であってもよく、たとえば、

などが好ましくあげられる。
単量体(m2)の好ましい第2は、単環状の脂肪族不飽和炭化水素化合物に酸反応性官能基Yを有する単量体(m2−2)であり、環構造中にエーテル結合を含んでもよい3員環〜8員環構造の不飽和炭化水素化合物であることが好ましい。また前述と同様、単量体(m2−2)の水素原子の一部またはすべてがフッ素原子で置換された単量体であってもよい。
酸反応性官能基Yを有する単環状の単量体(m2−2)は、具体的には、

などの単量体があげられる。
単量体(m2)の好ましい第3は、重合体主鎖中に脂肪族複環構造を有する構造単位を与え、かつ酸反応性官能基Yを有しない脂肪族複環構造を有する単量体(m2−3)である。好ましい単量体(m2−3)はノルボルネン誘導体である。
酸反応性官能基Yを有していない脂肪族複環構造を有する単量体(m2−3)は、具体的には、

などがあげられる。
上記例示のノルボルネン類の環構造にフッ素原子を導入したものであってもよく、フッ素原子を導入することによりドライエッチング耐性を低下させずに透明性を向上できる。
具体的には、式:

(式中、A、B、DおよびD’は同じかまたは異なり、いずれもH、F、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10の含フッ素アルキル基;mは0〜3の整数。ただし、A、B、D、D’のいずれか1つはフッ素原子を含む)で示される含フッ素ノルボルネンであり、具体的には、

などで示される含フッ素ノルボルネンがあげられる。
そのほか、

などのノルボルネン誘導体もあげられる。
単量体(m2)の好ましい第4は、重合体主鎖中に脂肪族複環構造を有する構造単位を与え、かつ酸反応性官能基Yを有する脂肪族複環構造を含む単量体(m2−4)である。好ましい単量体(m2−4)はノルボルネン誘導体である。
酸反応性官能基Yを有している脂肪族複環構造を含む単量体(m2−4)は、具体的には、

などがあげられる。
さらに酸反応性官能基Yを有する脂肪族複環構造を含む単量体(m2−4)は、環構造に結合した水素原子の一部またはすべてをフッ素原子に置換したものであってもよく、このものは重合体にさらなる透明性を付与できる点で好ましい。
具体的には、

(式中、A、BおよびDは同じかまたは異なり、いずれもH、F、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のエーテル結合を有していてもよい含フッ素アルキル基;Rは炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;aは0〜5の整数;bは0または1。ただし、bが0またはRがフッ素原子を含まない場合はA、B、Dのいずれか1つはフッ素原子またはエーテル結合を有していてもよい含フッ素アルキル基である)で表わされる含フッ素ノルボルネン誘導体があげられる。
これらのなかでも、A、B、Dのいずれかがフッ素原子であることが好ましく、またはA、B、Dにフッ素原子が含まれない場合はRのフッ素含有率が60重量%以上であることが好ましく、さらにはパーフルオロアルキレン基であることが、重合体に透明性を付与できる点でさらに好ましい。
具体的には、

などで示されるノルボルネン誘導体があげられる。
さらに、

(式中、A、BおよびDは同じかまたは異なり、いずれもH、F、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のエーテル結合を有していてもよい含フッ素アルキル基;Rは炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;aは0〜5の整数;bは0または1)で表わされる含フッ素ノルボルネン誘導体があげられる。
具体的には、


などのノルボルネン誘導体が好ましくあげられる。
またさらに、酸反応性官能基Yを有する脂肪族複環構造を含む単量体(m2−4)の好ましいものとして、式:

(式中、Rf、Rfは同じかまたは異なり、炭素数1〜10の含フッ素アルキル基またはエーテル結合を有する含フッ素アルキル基;A、B、Dは同じかまたは異なり、いずれもH、F、Cl、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のエーテル結合を含んでいてもよい含フッ素アルキル基;RはHまたは炭素数1〜10のアルキル基;nは0〜5の整数)で示される含フッ素ノルボルネン誘導体があげられる。
具体的には、たとえば

などがあげられる。
より具体的には、

などが好ましくあげられる。
その他、式:

(式中、Rf、Rfは同じかまたは異なり、炭素数1〜10の含フッ素アルキル基またはエーテル結合を有する含フッ素アルキル基;B、Dは同じかまたは異なり、いずれもH、F、Cl、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のエーテル結合を含んでいてもよい含フッ素アルキル基;RはHまたは炭素数1〜10のアルキル基;nは0〜5の整数)で示されるノルボルネン誘導体もあげられる。
これら例示の脂肪族複環構造を含む単量体(m2−3)、(m2−4)は、重合体にドライエッチ耐性を付与できる点で、特にレジスト用重合体の原料として好ましい。また、本発明の製造方法により、効率的にラジカル重合法で重合体を製造でき、効果的に透明性を改善できる点でも好ましい。特にフッ素原子を複環構造に含むノルボルネン誘導体は、透明性の点で好ましくかつ本発明の製造方法により、効率的にラジカル重合法で重合体を製造でき、効果的に透明性を改善できる点でも好ましい。
また、酸反応性官能基Yを有するノルボルネン誘導体(m2−4)は重合体に効率的にレジスト用途に必要な官能基を導入でき、結果的に透明性、ドライエッチング耐性において有利となるため好ましい。
単量体(m2)の好ましい第5は、重合により脂肪族環構造を形成し得るフッ素原子を有していてもよい非共役のジエン化合物(m2−5)である。非共役ジエン化合物(m2−5)は、主鎖中に環構造の繰り返し単位を有する重合体を効率よく与えることができ、前述と同様、真空紫外領域の透明性も改善できるものである。
非共役ジエン化合物(m2−5)としては、たとえば環化重合し主鎖に単環構造を与える特定のジビニル化合物が好ましくあげられる。
具体例としては、たとえばフッ素原子や酸反応性官能基Yを有していてもよい式:



(式中、ZおよびZは同じか異なり、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5のエーテル結合を有していてもよい炭化水素基、炭素数1〜5のエーテル結合を有していてもよい含フッ素アルキル基)で示されるジアリル化合物があげられる。
このジアリル化合物をラジカル環化重合することにより、



(式中、Z、Zは前記と同じ)で示される主鎖中に単環状の構造単位を形成することができる。
これらの環化ラジカル重合においても、前記含フッ素重合開始剤を使用することによって効率よく環状構造を有する含フッ素重合体を得ることができ、前述と同様、真空紫外領域の透明性も改善できるものである。
ここで酸反応性官能基Yについて説明する。酸反応性官能基Yは前記のとおり、酸反応性基Yと酸反応性基Yに変換可能な酸反応性基変換基Yの総称である。
本発明において酸反応性基Yは、酸解離性または酸分解性の官能基および酸縮合性の官能基のことをいう。
▲1▼酸解離性または酸分解性の官能基:
酸解離性または酸分解性の官能基は、酸と反応する前はアルカリに不溶または難溶であるが酸の作用により、アルカリに可溶化させることができる官能基である。このアルカリへの溶解性の変化により、ポジ型のレジストのベース重合体として利用できるものになる。
具体的には、酸またはカチオンの作用により−OH基、−COOH基、−SOH基などに変化する能力をもち、その結果、含フッ素重合体自体がアルカリに可溶になるものである。
酸解離性または酸分解性の官能基は、具体的には、

(式中、R、R、R、R10、R11、R12、R14、R18、R19、R20、R21、R22、R24、R25、R26、R27、R28、R29は同じかまたは異なり、炭素数1〜10の炭化水素基;R13、R15、R16は同じかまたは異なり、Hまたは炭素数1〜10の炭化水素基;R17、R23は同じかまたは異なり、炭素数2〜10の2価の炭化水素基)
が好ましく利用でき、さらに具体的には

などが好ましく例示される。
▲2▼酸縮合反応性の官能基:
酸縮合反応性の官能基は、酸と反応する前はアルカリ現像液(またはその他の現像用溶剤)に可溶であるが酸の作用により、重合体自体をアルカリ現像液(またはその他の現像用溶剤)に不溶にすることができる官能基である。
具体的には酸またはカチオンの作用による自己縮合、重縮合あるいは架橋剤の存在下、酸の作用による架橋剤との縮合反応または重縮合反応を起こす官能基、または酸やカチオンによる転位反応(たとえばピナコール転位、カルビノール転位)などで、極性変化を起こす官能基であって、いずれにしてもその結果、重合体自体はアルカリ現像液(またはその他の現像用溶剤)に不溶となるものである。
かかる不溶化によって、ネガ型のレジストのベース重合体として利用できるものである。
酸縮合性の官能基としては、−OH、−COOH、−CN、−SOH、エポキシ基などから選ばれるものが好ましい具体例である。
使用する場合、架橋剤としては特に制限なく、従来ネガ型レジストの架橋剤として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。架橋剤としては、たとえばN−メチロール化メラミン、N−アルコキシメチル化メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などが好ましい具体例である。
以上の酸反応性基Yのなかでも、OH基、酸でOH基に変換できる酸解離性官能基、COOH基、酸で解離してCOOH基に変化させることができる酸解離性官能基の少なくとも1種が好ましい。
酸でOH基に変換できる酸解離性官能基としては、

(式中、R31、R32、R33およびR34は同じかまたは異なり、いずれも炭素数1〜5のアルキル基)で示される基が好ましくあげられる。
より具体的には、

が好ましく例示でき、なかでも酸反応性が良好な点で、

が好ましく、さらに透明性が良好な点で、−OC(CH、−OCHOCH、−OCHOCが好ましい。
酸で−COOH基に変換できる酸解離性官能基としては、

(式中、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R46、R47、R48は同じかまたは異なり、いずれも炭素数1〜10の炭化水素基;R43、R44は同じかまたは異なり、いずれもHまたは炭素数1〜10の炭化水素基;R45は炭素数2〜10の2価の炭化水素基)などがあげられ、より詳しくは

などが好ましくあげられる。
これらの酸反応性基Yは、通常、酸反応性基Yを有する単量体を本発明の製造法に従って重合することで重合体に導入することができる。
または酸反応性基Yに変換できる酸反応性基変換基Yを有する単量体を本発明の製造法に従って重合し、重合体に導入した後、高分子反応によって目的の酸反応性基Yに変換することでも得られる。
高分子反応によって目的の酸反応性基Yに変換して導入する方法としては、たとえば式:

(式中、X、XはHまたはF;XはH、CHまたはCF;Rは炭素数1〜5のアルキル基または含フッ素アルキル基)で示されるビニルエステル化合物(酸反応性基変換基(エステル基)Yを有する単量体)を本発明の製造法によりm1および/またはm2と共重合することで酸反応性基変換基Yを有する含フッ素重合体を製造し、得られた含フッ素重合体の酸反応性基変換基Yをアルカリ加水分解させることでOH基(酸反応性基Y)に変換する方法などがあげられる。
本発明はこれら高分子反応のプロセスを経由して酸反応性基Yを有する含フッ素重合体を製造する方法も含むものである。
いずれの場合においても、本発明の製造法によると酸反応性基Yを有する含フッ素重合体を効率よく得ることができ、真空紫外領域の透明性も改善できるものである。
酸反応性官能基Yを有する含フッ素重合体は、前記単量体(m1)のうち酸反応性官能基Yを有する単量体、脂肪族環構造を与え得る単量体のうち酸反応性官能基Yを有する単量体(m2−2)もしくは(m2−4)、酸反応性官能基Yを有する環化重合可能なジビニル化合物(m2−5)の少なくとも1種を含フッ素重合開始剤を用いてラジカル重合することで得られる。
または、単量体(m1)および(m2)として酸反応性官能基Yを有しない単量体を用いる場合、酸反応性官能基Yを有する単量体(n1)を単量体(m1)および(m2)に加えて共重合し、繰り返し単位(M1)および/または(M2)に加え、酸反応性官能基Yを有する第3の繰り返し単位(N1)を導入してもよい。
任意の構造単位(N1)に酸反応性官能基Yを導入できる単量体(n1)としては、共重合可能な酸反応性官能基Yを有するエチレン性単量体が好ましい。
具体的には、酸反応性官能基Yを有するアクリル系単量体、酸反応性官能基Yを有する含フッ素アクリル系単量体、酸反応性官能基Yを有するアリルエーテル系単量体、酸反応性官能基Yを有する含フッ素アリルエーテル系単量体、酸反応性官能基Yを有するビニルエーテル系単量体、酸反応性官能基Yを有する含フッ素ビニルエーテル系単量体などが好ましい。
より具体的には、
(メタ)アクリル酸、α−フルオロアクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、t−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル−α−フルオロアクリレート、t−ブチル−α−トリフルオロメチルアクリレート、

式:

(式中、XおよびXは同じかまたは異なり、いずれもHまたはF;XはH、F、CHまたはCF;XはH、FまたはCF;Rfは炭素数1〜40の含フッ素アルキレン基または炭素数2〜100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基;aは0または1〜3の整数;bは0または1)で示される含フッ素エチレン性単量体である。
なかでも式:
CH=CF−CFO−Rf−Y
(式中、Rfは前記と同じ)で示される含フッ素アリルエーテル化合物が好ましい。
より具体的には、

などの含フッ素アリルエーテル化合物が好ましくあげられる。
また、式:
CF=CF−O−Rf−Y
(式中、Rfは前記と同じ)で示される含フッ素ビニルエーテル化合物が好ましい。
より具体的には、

などの含フッ素ビニルエーテル化合物があげられる。
その他、酸反応性官能基Yを含有する含フッ素エチレン性単量体としては、

などの単量体があげられ、より具体的には、

などがあげられる。
本発明の製造法では、任意の単量体として、ラジカル重合性の単量体(n)を得られる含フッ素共重合体に別異の特性、たとえば機械的強度や塗工性などを改善する目的で共重合してもよい。
そうした任意の単量体(n)としては、他の構造単位を構成するための単量体と共重合できるものから選ばれる。
たとえば、
アクリル系単量体(ただしn1で記載の単量体は除く):

スチレン系単量体:

エチレン系単量体:
CH=CH、CH=CHCH、CH=CHClなど
マレイン酸系単量体:

アリル系単量体:

アリルエーテル系単量体:

その他の単量体:

より具体的には、

などがあげられる。
本発明においては、炭素数2または3のエチレン性単量体であって少なくとも1個のフッ素原子を有する単量体(m1)、または重合体主鎖中に脂肪族環構造を与え得る単量体(m2−1)〜(m2−5)、および必要に応じて、酸反応性官能基を有するエチレン性単量体(n1)を含む共単量体(n)を、前記フッ素原子を含むラジカル重合開始剤を用いて、種々の公知の方法で(共)重合する。
重合法としては、単量体を溶解させる有機溶媒中で行なう溶液重合法、水性媒体中で適当な有機溶剤の存在下または非存在下に行なう懸濁重合法、水性媒体に乳化剤を添加して行なう乳化重合法、無溶媒で行なうバルク重合法などを用いることができる。なかでも、有機溶剤を用いての溶液重合、懸濁重合が好ましい。
重合溶剤としては特に制限されないが、炭化水素系溶剤、フッ素系溶剤(フロン系)、塩素系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、酢酸エステル系溶剤、エーテル系溶剤などが好ましく用いられる。
なかでもフッ素系溶剤、塩素系溶剤が、単量体や開始剤の溶解性が良好な点、また重合反応を良好に進行させることもできる点で好ましい。具体的には、ハイドロフルオロカーボン類、ハイドロクロロカーボン類、フルオロクロロカーボン類、ハイドロクロロフルオロカーボン類から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
重合は、前記含フッ素ラジカル重合開始剤を単量体と接触させ、熱を加える(開始剤特有の温度で)か、光または電離放射線などの活性エネルギー線を照射することによって開始する。
生成する共重合体の組成は、仕込む単量体の組成によって制御可能である。
また分子量は、重合に用いる単量体の濃度や重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、温度によって制御することができる。
使用する単量体に対する含フッ素ラジカル重合開始剤の使用量は、単量体100重量部に対し0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜1重量部である。別の観点からみれば、使用する単量体のモル量に対して含フッ素ラジカル重合開始剤が0.01〜10モル%、好ましくは0.05〜5モル%、より好ましくは0.1〜2モル%である。
含フッ素ラジカル重合開始剤が少なすぎると、重合反応が充分に進行しにくく、未反応の単量体が残留したり、オリゴマー成分が生成し重合体の着色や透明性の低下が起き好ましくない。含フッ素ラジカル重合開始剤が多すぎると重合体の分子量低下を起こし、透明性を低下させたり、未反応の重合開始剤が残留するための重合体の着色や透明性低下を起こし、好ましくない。
含フッ素有機過酸化物をラジカル重合開始剤として用いた重合における反応温度は、使用する含フッ素有機過酸化物のそれぞれの10時間半減期温度に応じて、またさらに目標の反応時間に応じて適宜選択できるが、一般には0〜150℃、好ましくは5〜120℃、より好ましくは10〜100℃である。
共重合する場合の単量体の組成は、各単量体の重合反応性、共重合反応比のほか、得られる含フッ素重合体に付与する特性に合わせて選定すればよい。各単量体が含フッ素重合体に与え得る特性は前述のとおりである。より具体的には後述する。
本発明の製造法により得られる含フッ素重合体は波長200nm以下の真空紫外領域の光に対して透明性が高く、したがってArFエキシマレーザー(193nm)やF2レーザー(157nm)を用いたフォトリソグラフィープロセスに特に有用なレジスト用重合体である。
本発明は、さらに
(A−1)OH基、酸でOH基に変換できる酸解離性官能基、COOH基または酸で解離してCOOH基に変化させることができる酸解離性官能基の少なくとも1種の酸反応性基Yを有する含フッ素重合体、
(B)光酸発生剤、および
(C)溶剤
からなる組成物に関し、
該含フッ素重合体(A−1)が本発明の前述の製造方法で得られる重合体であるフォトレジスト組成物に関する。
本発明のフォトレジスト組成物では、酸反応性官能基YとしてOH基、酸でOH基に変換できる酸解離性官能基、COOH基または酸で解離してCOOH基に変化させることができる酸解離性官能基の少なくとも1種という特定の酸反応性基Yを有する含フッ素重合体(A−1)を使用する。
酸でOH基に変換できる酸解離性官能基および酸で−COOH基に変換できる酸解離性官能基としては、前述のものが採用できる。
特定の酸反応性基Yを有する含フッ素重合体(A−1)としては、つぎの重合体が好ましい。
(I)式:
−(M1)−(M2−2)−
(式中、M1は炭素数2または3のエチレン性単量体であって少なくとも1個のフッ素原子を有する単量体(m1)由来の構造単位;M2−2は単環状の脂肪族不飽和炭化水素化合物に酸反応性基Yを有するフッ素原子を有していてもよい単量体(m2−2a)に由来する構造単位)で示される含フッ素重合体。
構造単位(M1)と(M2−2)との組成割合は、通常、80/20〜20/80モル%比、好ましくは70/30〜30/70モル%比、特に好ましくは60/40〜40/60モル%比である。
単量体の具体例としては、前述の単量体(m1)の具体例、および単量体(m2−2)の具体例のうち酸反応性官能基Yが酸反応性基Yであるものが好ましく例示できる。
(II)式:
−(M1)−(M2−4)−
(式中、M1は前記と同じ;(M2−4)は前述の酸反応性基Yを有する脂肪族複環構造含有単量体(m2−4a)、特にノルボルネン誘導体由来の構造単位)で示される含フッ素重合体。
構造単位(M1)と(M2−4)との組成割合は、通常、80/20〜20/80モル%比、好ましくは70/30〜30/70モル%比、特に好ましくは60/40〜40/60モル%比である。
具体的な単量体としては、前述の単量体(m1)の具体例、および単量体(m2−4)の具体例のうち酸反応性官能基Yが酸反応性基Yであるものが好ましく例示できる。
これら(I)、(II)の含フッ素重合体はその重合体自体、透明性とドライエッチング耐性に優れており、また含フッ素重合開始剤を使用する本発明の製造法によりさらに真空紫外領域の透明性が改善できる。
(III)式:
−(M1)−(M2−1)−(N1)−
(式中、M1は前記と同じ;M2−1は重合性の炭素−炭素不飽和結合を環構造中に有し酸反応性官能基Yを有していない単環状の単量体(m2−1)由来の構造単位;N1は酸反応性基Yを有する共重合可能なエチレン性単量体(n1a)由来の構造単位)で示される含フッ素重合体。
構造単位(M1)と(M2−1)と(N1)との組成割合は、(M1)+(M2−1)+(N1)=100モル%とし、(M1)+(M2−1)/(N1)が通常、90/10〜20/80モル%比、好ましくは80/20〜30/70モル%比、特に好ましくは70/30〜40/60モル%比である。
具体的な単量体としては、前述の単量体(m1)および(m2−1)の具体例、および単量体(n1)の具体例のうち酸反応性官能基Yが酸反応性基Yであるものが好ましく例示できる。
(IV)式:
−(M1)−(M2−3)−(N1)−
(式中、M1、N1は前記と同じ;M2−3は酸反応性官能基Yを有していない脂肪族複環構造含有単量体(m2−3)、特にノルボルネン誘導体由来の構造単位)で示される含フッ素重合体。
構造単位(M1)と(M2−3)と(N1)との組成割合は、(M1)+(M2−1)+(N1)=100モル%とし、(M1)+(M2−1)/(N1)が通常、90/10〜20/80モル%比、好ましくは80/20〜30/70モル%比、特に好ましくは70/30〜40/60モル%比である。
具体的な単量体としては、前述の単量体(m1)および(m2−3)の具体例、および単量体(n1)の具体例のうち酸反応性官能基Yが酸反応性基Yであるものが好ましく例示できる。
(V)式:
−(M2−5)−(N1)−
(式中、N1は前記と同じ;M2−5は非共役のジビニル化合物を環化重合して得られる重合体主鎖に環構造を形成した構造単位)で示される含フッ素重合体。
構造単位(M2−5)と(N1)との組成割合は、通常、80/20〜20/80モル%比、好ましくは70/30〜30/70モル%比、特に好ましくは60/40〜40/60モル%比である。
具体的な単量体としては、前述の単量体(m2−5)の具体例、および単量体(n1)の具体例のうち酸反応性官能基Yが酸反応性基Yであるものが好ましく例示できる。
これら(III)、(IV)および(V)の含フッ素重合体は、その重合体自体、ドライエッチング耐性に優れており、また含フッ素重合開始剤を使用する本発明の製造法によりさらに真空紫外領域の透明性が改善できる。
また、(I)〜(V)の酸反応性基Y含有含フッ素重合体は、重合開始末端に含フッ素重合開始剤残渣を有する点で従来のレジスト用含フッ素重合体と異なっており、特に真空紫外領域の透明性に優れている。
本発明のフォトレジスト組成物において、酸反応性基Yを有する含フッ素重合体(A−1)は157nm波長での透明性に優れており、なかでも157nmでの吸光係数で2.0μm−1以下のもの、好ましくは1.5μm−1以下のもの、特に好ましくは1.0μm−1以下のもの、さらには0.5μm−1以下のものが好ましく、157nm波長での吸光係数が低くなればなるほどF2フォトレジスト組成物として用いて良好なレジストパターンを形成できる点で好ましい。
本発明のフォトレジスト組成物において、光酸発生剤(B)としては、国際公開公報第01/74916号パンフレットに記載の光酸発生剤(B)と同様のものが同様に好ましく例示でき、本発明でも有効に使用できる。
具体的には、光を照射することによって酸またはカチオンを発生する化合物であって、たとえば有機ハロゲン化合物、スルホン酸エステル、オニウム塩(特に中心元素がヨウ素、イオウ、セレン、テルル、窒素またはリンであるフルオロアルキルオニウム塩など)、ジアゾニウム塩、ジスルホン化合物、スルホンジアジド類など、またはこれらの混合物があげられる。
より好ましい具体例としては、つぎのものがあげられる。
(1)TPS系:

(式中、XはPF、SbF、CFSO、CSOなど;R1a、R1b、R1cは同じかまたは異なり、CHO、H、t−Bu、CH、OHなど)
(2)DPI系:

(式中、XはCFSO、CSO、CH−φ−SO、SbF

など;R2a、R2bは同じかまたは異なり、H、OH、CH、CHO、t−Buなど)
(3)ジアゾメタン系:

(式中、R3a、R3bは同じかまたは異なり、

など)
(4)スルホネート系:

(式中、R4a

など)
本発明のフォトレジスト組成物における光酸発生剤の含有量は、酸反応性基Yを有する含フッ素重合体(A−1)100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、さらには0.2〜20重量部が好ましく、最も好ましくは0.5〜10重量部である。
光酸発生剤の含有量が0.1重量部より少なくなると感度が低くなり、30重量部より多く使用すると光酸発生剤が光を吸収する量が多くなり、光が基板まで充分に届かなくなって解像度が低下しやすくなる。
また本発明のフォトレジスト組成物には、上記の光酸発生剤から生じた酸に対して塩基として作用できる有機塩基を添加してもよい。有機塩基は国際公開第01/74916号パンフレットに記載のものと同様のものが好ましく例示でき、本発明でも有効に使用できる。
具体的には、含窒素化合物から選ばれる有機アミン化合物であり、たとえばピリジン化合物類、ピリミジン化合物類、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基で置換されたアミン類、アミノフェノール類などがあげられ、特にヒドロキシル基含有アミン類が好ましい。
具体例としては、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリアミルアミン、ピリジンなどが好ましくあげられる。
本発明のフォトレジスト組成物における有機塩基の含有量は、光酸発生剤の含有量に対して0.1〜100モル%が好ましく、さらに好ましくは、1〜50モル%である。0.1モル%より少ない場合は解像性が低くなり、100モル%よりも多い場合は低感度になる傾向にある。
その他、本発明のフォトレジスト組成物に、必要に応じて国際公開第01/74916号パンフレットに記載の添加物、たとえば、溶解抑制剤、増感剤、染料、接着性改良剤、保水剤などこの分野で慣用されている各種の添加剤を含有させることもできる。
また、本発明のフォトレジスト組成物において溶剤(C)は、国際公開公報第01/74916号パンフレットに記載の溶剤(C)と同様のものが同様に好ましく例示でき、本発明でも有効に使用できる。
具体的には、セロソルブ系溶剤、エステル系溶剤、プロピレングリコール系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、またはこれらの混合溶剤が好ましくあげられる。さらに含フッ素重合体(A−1)の溶解性を高めるために、CHCClF(HCFC−141b)などの含フッ素炭化水素系溶剤やフッ素アルコール類などのフッ素系溶剤を併用してもよい。
これらの溶剤(C)の量は、溶解させる固形分の種類や塗布する基材、目標の膜厚、などによって選択されるが、塗布のし易さという観点から、フォトレジスト組成物の全固形分濃度が0.5〜70重量%、好ましくは1〜50重量%となるように使用するのが好ましい。
本発明のフォトレジスト組成物は、従来のフォトレジスト技術のレジストパターン形成方法において使用される。特にレジストパターン形成方法を好適に行なうには、まずシリコンウエーハのような支持体上にフォトレジスト組成物の溶液をスピンナーなどで塗布し、乾燥して感光層を形成させ、これに縮小投影露光装置などにより、紫外線、deep−UV、エキシマレーザー光、X線を所望のマスクパターンを介して照射するか、あるいは電子線により描画し、加熱する。ついでこれを現像液、たとえば1〜10重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液などを用いて現像処理する。この形成方法でマスクパターンに忠実な画像を得ることができる。
なかでも本発明のフォトレジスト組成物を用いることによって、真空紫外領域においても透明性の高いレジスト被膜(感光層)を形成できることが見出されている。それによって特に今後0.07μmのテクノロジーノードを目指して開発中のF2レーザー(157nm波長)を用いたフォトリソグラフィープロセスに好ましく利用できるものである。
本発明のフォトレジストを塗布した被膜は、前述のフォトレジスト組成物をスピンコートなどの塗装方法によってシリコンウエハーのような支持体上に塗布し、乾燥することによって形成され、被膜中には、酸反応性基を有する含フッ素重合体(A−1)、光酸発生剤(B)、その他の添加物などの固形成分が含まれている。
形成するレジスト被膜の膜厚は、通常1.0μm以下の薄層被膜であり、好ましくは0.01〜0.5μm、より好ましくは0.05〜0.5μmの薄膜である。
さらに本発明のフォトレジスト組成物を塗布した被膜は、真空紫外領域の透明性が高いものが好ましく、具体的には157nm波長の吸光係数が2.5μm−1以下のものであり、好ましくは2.0μm−1以下、特に好ましくは1.50μm−1以下、さらには1.0μm−1以下であることが好ましい。この被膜はF2レーザー(157nm)の光線を用いるリソグラフィープロセスに効果的に利用できる。
なお、レジスト被膜が施される基材は、従来レジストが適用される各種基材が同様に利用できる。たとえばシリコンウェハー、有機系または無機系反射防止膜が設けられたシリコンウェハー、ガラス基板などのいずれでもよい。特に有機系反射防止膜が設けられたシリコンウェハー上での感度、プロファイル形状が良好である。
さらに、本発明者らは、含フッ素重合体の主鎖末端の構造に着目して検討を行ったところ、テトラフルオロエチレンとノルボルネン誘導体を重合してなる特定の含フッ素重合体においてその重合体末端に特定値以上の高い比率でCF基を導入した重合体が、透明性、特に157nmで代表される真空紫外光での透明性においてより効果的に改善できることを見出した。
本発明の新規な重合体は具体的には、式(1):
−(M1A)−(M2A)−(N1A)−
(式中、M1Aはテトラフルオロエチレンに由来する構造単位;M2Aはフッ素原子を含んでいてもよいノルボルネン誘導体(m2a)に由来する構造単位;N1Aはテトラフルオロエチレンおよびノルボルネン誘導体(m2a)と共重合可能な単量体(n1a)由来の構造単位)で表され、構造単位M1Aを12〜70モル%、構造単位M2Aを12〜70モル%、構造単位N1Aを0〜60モル%含み、かつ(M1A)+(M2A)=100としたとき(M1A)/(M2A)が30/70〜70/30モル%比である数平均分子量1000〜50000の含フッ素重合体であって、当該重合体中において、重合体主鎖末端の少なくとも一方に−CF基を有する重合体分子を含み、かつ19F−NMR分析において検知される重合体主鎖末端の−CFシグナル強度をH(末端CF)、主鎖を形成する−CF−シグナル強度をH(−CF−)としたとき、数式(1):

の関係式を満たす含フッ素重合体である。
上記のような高い比率で重合体末端がCF化された含フッ素重合体は、特許、文献等に未記載の新規化合物である。
詳しくは本発明の含フッ素重合体は、
(i)両末端がCF化された重合体分子、
(ii)片末端がCF化された重合体分子、および
(iii)末端にCF基を有さない重合体分子
の3種類の重合体分子の混合物であってもよいが、重合体主鎖末端の少なくとも一方に−CF基を有する重合体分子(上記(i)および/または(ii)の重合体分子)を含むものであって、そのなかで、数式(1)の関係を満たすものが好ましい。
重合体末端の−CF基の分析、定量はIR分析、NMR分析など種々の機器分析で可能であるが、精度良く定量できる点でNMR分析を用いて行うことが好ましい。後述の実施例で示すように、重合体主鎖末端の−CF基のシグナルが−80〜−84ppm(トリクロロフルオロメタン標準)付近に他のF原子のシグナルに対して独立に分離可能な点で、19F−NMRが特に好ましい。
本発明の含フッ素重合体において、数式(1)中のH(末端CF)/H(−CF−)の値は、重合体主鎖中の−CF−(例えばテトラフルオロエチレンに由来するもの)に対する重合体主鎖末端CF基の比率を表すものであって、含フッ素重合体の分子量によって異なってくるが、上記数値範囲の中でも大きな数値であることが好ましい。
具体的に数式(1)は、数式(1−1):

であることが好ましく、
さらには、数式(1−2):

であることが好ましく、
特には、式(1−3):

であることが好ましい。
本発明の含フッ素重合体は、分子量によって異なってくるが、具体的には、重合体主鎖全末端の40%以上がCF基であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらには、70%以上、特には90%以上の末端にCF基が導入された重合体であることが好ましい。
それによってより効果的に透明性が改善できる。
本発明の式(1)で示される含フッ素重合体における構造単位M2Aを構成するノルボルネン誘導体(m2a)は前述の含フッ素重合体の製造方法で述べた単量体(m2)の例示の中からノルボルネン誘導体であるものが同様に好ましく選択される。
具体的には前述の酸反応性官能基Yを有しない単量体(m2−3)、酸反応性官能基Yを有する単量体(m2−4)で記載のものと同様のものが好ましく利用できる。
本発明の式(1)で示される含フッ素重合体における構造単位N1Aは任意成分であり、テトラフルオロエチレンとノルボルネン誘導体以外の共重合可能な単量体由来の構造単位であり、具体的には前述の含フッ素重合体の製造方法で述べた酸反応性官能基Yを導入できる単量体(n1)、任意の単量体(n)で記載のものと同様のものが好ましく使用できる。
本発明の式(1)で示される含フッ素重合体において、構造単位M1A、M2AおよびN1Aの存在比率はM1A+M2A=100としたとき、M1A/M2Aが80/20〜20/80モル%比、好ましくは70/30〜30/70モル%比、より好ましくは60/40〜40/60モル%比である。全構造単位に対して任意成分N1Aの存在比率は、60モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらには10モル%以下、最も好ましくは0モル%である。
したがって、構造単位M1A、M2AおよびN1Aの存在比率は具体的には、構造単位M1Aが12〜70モル%、M2Aが12〜70モル%、N1Aが0〜60モル%、好ましくは構造単位M1Aが21〜70モル%、M2Aが21〜70モル%、N1Aが0〜30モル%、より好ましくは構造単位M1Aが24〜70モル%、M2Aが24〜70モル%、N1Aが0〜20モル%、さらには構造単位M1Aが27〜70モル%、M2Aが27〜70モル%、N1Aが0〜10モル%、最も好ましくは構造単位M1Aが30〜70モル%、M2Aが30〜70モル%、N1Aが0モル%である。
本発明の式(1)で示される含フッ素重合体の分子量は数平均分子量で1000以上、好ましくは2000以上、より好ましくは2500以上で、50000以下、好ましくは30000以下、より好ましくは10000以下である。
本発明の式(1)で示される含フッ素重合体は低分子量体であっても末端のCF基の効果により優れた透明性を有するため好ましいものである。
本発明の重合体主鎖末端CF基を有する含フッ素重合体を得る方法は種々選択できるが、
(1)末端にCF基を導入可能な重合開始剤を用いて重合体を製造する方法、
(2)末端にCF基を導入可能な連鎖移動剤を用いて重合体を製造する方法、
(3)一旦製造された含フッ素重合体の末端を高分子反応によりCF基に変換する方法
等が利用でき、なかでも重合開始剤を用いて重合体を製造する方法(1)、連鎖移動剤を用いて重合体を製造する方法(2)が選択的に末端にCF基を導入できる点で好ましい。
重合開始剤を用いて重合体を製造する方法(1)としては、前記含フッ素重合体の製造方法のなかで例示したフッ素原子を含む重合開始剤の中からCF基を有する重合開始剤が選択され、例えば前述のジ(フルオロアシル)パーオキサイドの好ましい例示の中からCF基を有するパーオキサイドを選択するのが好ましい。
つぎに本発明を実施例などにより説明するが、本発明はこれらの実施例などに限定されるものではない。
実施例1(TFEとOH基含有含フッ素ノルボルネン(NB−1)との共重合体の合成)
バルブ、圧力ゲージ、攪拌器および温度計を備えた500mlのオートクレーブを窒素で数回置換した後に真空にして、−OH基含有含フッ素ノルボルネン(NB−1):

の49.0gとHCFC−141bの250mlを仕込んだ。ついでバルブよりTFE80.0gを仕込み、7H−ドデカフルオロヘプタノイルパーオキサイド(式):

の8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液26.0gを入れ、20℃にて4時間、攪拌して反応させた。
未反応モノマーを放出したのち、重合溶液を取り出し濃縮後ヘキサンで再沈殿させ、共重合体を分離した。恒量になるまで真空乾燥を行ない、共重合体3.5gを得た。
この共重合体の組成比は、H−NMRおよび19F−NMR分析の結果より、TFE/前記OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)が50/50モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は4100であった。
実施例2(TFEと−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(1))との共重合体の合成)
実施例1において、−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)に代えて、−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(1)):

を59.0gおよび7H−ドデカフルオロヘプタノイルパーオキサイドの8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を52.0g使用したほかは実施例1と同様にして反応を行なった。
未反応モノマーを放出したのち、重合溶液を取り出し濃縮後メタノール/水(1:1)で再沈殿させ、共重合体を分離した。恒量になるまで真空乾燥を行ない、共重合体2.5gを得た。
この共重合体の組成比は、H−NMRおよび19F−NMR分析の結果より、TFE/前記−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(1))が50/50モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は3800であった。
実施例3(TFEと−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)と−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(1))との共重合体の合成)
TFEの80.0gと実施例1で用いた−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)の39.0gと実施例2で用いた−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(1))の12.0gを使用したほかは実施例2と同様にして反応を行なった。
未反応モノマーを放出したのち、実施例1と同様にして分離精製し、共重合体5.2gを得た。
この共重合体の組成比は、H−NMRおよび19F−NMR分析の結果より、TFE/−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)/−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(1))が50/40/10モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は4300であった。
実施例4(TFEと−O(C=O)OC(CH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(2))との共重合体の合成)
実施例2において、−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(1))に代えて、−O(C=O)OC(CH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(2)):

を66.0g使用したほかは実施例2と同様にして反応を行ない、分離精製して共重合体2.0gを得た。
この共重合体の組成比は、H−NMRおよび19F−NMR分析の結果より、TFE/前記−O(C=O)OC(CH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(2))が50/50モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は3700であった。
実施例5(TFE/(NB−1)/(NB−1(2))の共重合体の合成)
TFEの80.0gと実施例1で用いた−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)の39.0gと実施例4で用いた−O(C=O)OC(CH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(2))の13.2gを使用したほかは実施例2と同様にして反応を行なった。
未反応モノマーを放出したのち、実施例1と同様にして分離精製し、共重合体5.2gを得た。
この共重合体の組成比は、H−NMRおよび19F−NMR分析の結果より、TFE/−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)/−O(C=O)OC(CH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(2))が50/41/9モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は4400であった。
実施例6(TFEとOH基含有含フッ素ノルボルネン(NB−2)との共重合体の合成)
実施例2において、−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(1))に代えて、−OH基含有含フッ素ノルボルネン(NB−2):

の55.0gを使用したほかは実施例2と同様にして反応を行なった。
未反応モノマーを放出したのち、実施例1と同様にして分離精製し、共重合体4.3gを得た。
この共重合体の組成比は、H−NMRおよび19F−NMR分析の結果より、TFE/前記OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2)が50/50モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は2200であった。
実施例7(TFEと−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2(1))との共重合体の合成)
バルブ、圧力ゲージ、攪拌器および温度計を備えた100mlのオートクレーブに−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2(1)):

を14.0g、HCFC−141bを50ml、7H−ドデカフルオロヘプタノイルパーオキサイドの8.0重量%パーフルオロヘキサン溶液を10.4g入れ、ドライアイス/メタノール液で冷却しながら系内を窒素ガスで充分置換した。ついでバルブよりTFE15.0gを仕込み、室温にて18時間、振とうして反応させた。反応の進行と共にゲージ圧は反応前の0.96MPaG(9.7kgf/cmG)から0.91MPaG(9.2kgf/cmG)まで低下した。ついで実施例2と同様にして分離精製し、共重合体1.0gを得た。
この共重合体の組成比は、H−NMRおよび19F−NMR分析の結果より、TFE/前記−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2(1))が50/50モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は2300であった。
実施例8(テトラフルオロエチレン/(NB−2)/(NB−2(1))の共重合体の合成)
TFEの80gと実施例6で用いた−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2)の18.3gと実施例7で用いた−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2(1))の14.8gを使用したほかは実施例2と同様にして反応を行なった。ついで実施例1と同様にして分離精製し、共重合体4.7gを得た。
この共重合体の組成比は、H−NMRおよび19F−NMR分析の結果より、TFE/−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2)/−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2(1))が50/39/11モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は2400であった。
実施例9(TFE/−OH基含有含フッ素ノルボルネン(NB−1)の共重合体の合成)
バルブ、圧力ゲージ、攪拌器および温度計を備えた500mlのオートクレーブを窒素で数回置換した後に真空にして、−OH基含有含フッ素ノルボルネン(NB−1)の39.0gとHCFC−141bの250mlの溶液を仕込んだ。ついでバルブよりTFE58.0gを仕込み、ペンタフルオロプロピオノイルパーオキサイド:(CFCFCOO)の10.0重量%パーフルオロヘキサン溶液10.5gを入れ、35℃にて3時間、攪拌して反応させた。
未反応モノマーを放出したのち、重合溶液を取り出し、濃縮後ヘキサンで再沈殿させ、共重合体を分離した。恒量になるまで真空乾燥を行ない、共重合体3.5gを得た。
この共重合体の組成比は、H−NMRおよび19F−NMR分析の結果より、TFE/前記−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)が50/50モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は3700であった。
実施例10(TFE/−OH基含有含フッ素ノルボルネン(NB−1)の共重合体の合成)
バルブ、圧力ゲージ、攪拌器および温度計を備えた500mlのオートクレーブを窒素で数回置換した後に真空にして、−OH基含有含フッ素ノルボルネン(NB−1)の39.0gとHCFC−141bの250mlの溶液を仕込んだ。ついでバルブよりTFE58.0gを仕込み、ヘプタフルオロプロピオノイルパーオキサイド:(CFCFCFCOO)の10.0重量%パーフルオロヘキサン溶液17.0gを入れ、35℃にて3時間、攪拌して反応させた。
未反応モノマーを放出したのち、重合溶液を取り出し、濃縮後ヘキサンで再沈殿させ、共重合体を分離した。恒量になるまで真空乾燥を行ない、共重合体3.4gを得た。
この共重合体の組成比は、H−NMRおよび19F−NMR分析の結果より、TFE/前記−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)が50/50モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は3800であった。
比較例1
実施例1において、7H−ドデカフルオロヘプタノイルパーオキサイドに代えてラジカル重合開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(TCP)の6.5gおよび−OH基含有含フッ素ノルボルネン(NB−1)の30.6gを用い、40℃にて反応させた以外は実施例1と同様の操作を行ない、TFEと前記−OH含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)の共重合体5.0gを得た。
共重合体の組成比は、H−NMRおよび19F−NMR分析の結果、TFE/前記−OH含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)が50/50モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は4700であった。
比較例2
実施例2において、7H−ドデカフルオロヘプタノイルパーオキサイドに代えてラジカル重合開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(TCP)の6.5gおよび−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン(NB−1(1))の37.0gを用い、40℃にて反応させた以外は、実施例2と同様の操作を行ない、TFEと前記−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(1))の共重合体6.0gを得た。
共重合体の組成比は、H−NMRおよび19F−NMR分析の結果、TFE/前記−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(1))が50/50モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は4600であった。
比較例3
実施例3において、7H−ドデカフルオロヘプタノイルパーオキサイドに代えてラジカル重合開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(TCP)の6.5gと実施例1で用いた−OH基含有含フッ素ノルボルネン(NB−1)の39.0gと実施例2で用いた−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン(NB−1(1))の12.0gを用い、40℃にて反応させた以外は、実施例3と同様の操作を行ない、TFEと前記−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)と前記−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(1))の3元共重合体5.2gを得た。
共重合体の組成比は、H−NMRおよび19F−NMR分析の結果、TFE/−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)/−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(1))が50/40/10モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は4000であった。
比較例4
実施例4において、7H−ドデカフルオロヘプタノイルパーオキサイドに代えてラジカル重合開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(TCP)の6.5gおよび−O(C=O)OC(CH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(2))の41.6gを用い、40℃にて反応させた以外は、実施例4と同様の操作を行ない、TFEと前記−O(C=O)OC(CH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(2))の共重合体6.0gを得た。
共重合体の組成比は、分析の結果、TFE/前記−O(C=O)OC(CH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(2))が50/50モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は3300であった。
比較例5
実施例5において、7H−ドデカフルオロヘプタノイルパーオキサイドに代えてラジカル重合開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(TCP)の6.5gと−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)の30.6gと−O(C=O)OC(CH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(2))の8.3gを用い、40℃にて反応させた以外は、実施例5と同様の操作を行ない、TFEと前記−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)と前記−O(C=O)OC(CH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(2))の3元共重合体6.8gを得た。
共重合体の組成比は、分析の結果、TFE/−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1)/−O(C=O)OC(CH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−1(2))が50/39/11モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は2900であった。
比較例6
実施例6において、7H−ドデカフルオロヘプタノイルパーオキサイドに代えてラジカル重合開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(TCP)の6.5gおよび−OH含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2)の34.6gを用い、40℃にて反応させた以外は、実施例6と同様の操作を行ない、TFEと前記−OH含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2)の共重合体4.5gを得た。
共重合体の組成比は、分析の結果、TFE/前記−OH含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2)が50/50モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は2100であった。
比較例7
実施例7において、7H−ドデカフルオロヘプタノイルパーオキサイドに代えてラジカル重合開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(TCP)の1.3gおよび−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2(1))の9.3gを用い、40℃にて反応させた以外は、実施例7と同様の操作を行ない、TFEと前記−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2(1))の共重合体1.0gを得た。
共重合体の組成比は、分析の結果、TFE/前記−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2(1))が50/50モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は2200であった。
比較例8
実施例8において、7H−ドデカフルオロヘプタノイルパーオキサイドに代えてラジカル重合開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(TCP)の6.5gと−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2)の27.7gと−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2(1))の8.2gを用い、40℃にて反応させた以外は、実施例8と同様の操作を行ない、TFEと前記−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2)と前記−OCHOC基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2(1))の3元共重合体5.2gを得た。
共重合体の組成比は、分析の結果、TFE/−OH基含有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2)/−OCHOC基合有含フッ素ノルボルネン誘導体(NB−2(1))が50/40/10モル%の共重合体であった。
GPC分析により数平均分子量は2300であった。
実施例11(157nmでの透明性の測定)
(測定装置)分光計器(株)製、VU−201型 真空紫外分光システム(含フッ素重合体被膜の作製)
実施例1〜10で得た含フッ素重合体のそれぞれをPGMEAに溶解させ10%の溶液を調整した。
スピンコーターを用いて、CaF基板上に上記溶液を塗布し、110℃にて乾燥させ、膜厚約90〜200nmの被膜を作製した。
(透明性の測定)
各含フッ素重合体の被膜を施したCaF基板を用い、上記分光光度計にて157nmでの吸光度を測定し、各被膜の膜厚より吸光係数を算出した。
結果を表1に示す。
比較例9(157nmでの透明性の測定)
実施例1〜10で得た含フッ素重合体に代えて、比較例1〜8で得た含フッ素重合体を用いた以外は実施例11と同様にして、被膜の作製、157nmでの透明性の測定を行なった。
結果を表1に示す。

実施例12(現像液に対する溶解性の測定)
実施例1または実施例6で得た含フッ素重合体を用いて、それぞれ以下のようにして水晶振動子法(QCM法)により溶解速度を測定した。
(1)試料の作製:金でコートされた直径1インチの水晶振動子板に実施例1(または実施例6)で得た含フッ素重合体をPGMEAに溶解させた溶液を塗布し約100nmの被膜を作製した。
(2)溶解速度の測定:膜圧は水晶振動子の振動数により換算、測定する。
上記、含フッ素重合体を塗布した水晶振動子板を2.38重量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)水溶液に浸し、浸せきさせた時点から時間に対する被膜の膜厚変化を、振動数の変化により測定し、単位時間あたりの溶解速度(nm/sec)を算出した。
結果を表2に示す。

【実施例13】
実施例3で得た含フッ素共重合体100重量部に光酸発生剤としてのトリフェニルスルホニウム・パーフルオロブチルスルホネートの5重量部を添加し、PGMEAに溶解させ感光性組成物を調製した。反射防止膜(SHIPLEY社製、AR19)を80nm塗布したシリコンウェハー上に前記感光性組成物をスピンコーターを用いて塗布し、110℃で90秒間乾燥して厚さ150nmのレジスト膜を形成した。
このレジスト膜に対しF2エキシマーレーザー光(波長157nm)を用い、1cm×1cm角(1cm)のスポットにフレーム露光を行なった。露光後、熱板上で110℃で90秒間の加熱を施し、2.38重量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)水溶液による現像処理を行なった。
以上のフレーム露光・加熱・現像処理をF2レーザー光の露光量を0.1mJ/cmから100mJ/cmに変化させて同様に行なったところ、2.5mJ/cm以上の露光量で1cmのスポットが完全に溶解した。このことから、実施例3で得られた含フッ素共重合体はポジ型レジストとして機能し得る感度を有していることが分かった。
F2レーザーを光源とする縮小投影露光装置(エキシテック社製157nmマイクロステッパ:Levenson Mask、NA/σ=0.85/0.30Conv.)を用いてパターニング評価を行なった。その結果、15mJ/cmの露光量で85nm、1:1L/Sの微細パターンを作製することができた。このことから、実施例3で得られたフッ素樹脂はポジ型レジストとして機能し得る解像性を有していることが分かった。
【実施例14】
実施例3で得た含フッ素共重合体に代えて、実施例5で得た含フッ素共重合体を用いたほかは実施例13と同様にして感光性組成物を調製し、レジスト膜を形成し、F2レーザー光によるフレーム露光・加熱・現像処理を行なった。
その結果、1.3mJ/cm以上の露光量で1cmのスポットが完全に溶解した。このことから、実施例5で得られた含フッ素共重合体はポジ型レジストとして機能し得る感度を有していることが分かった。
実施例13と同様、F2レーザーを光源とする縮小投影露光装置を用いてパターニング評価を行った。その結果、12mJ/cmの露光量で80nm、1:1L/Sの微細パターンを作製することができた。このことから、実施例5で得られたフッ素樹脂はポジ型レジストとして機能し得る解像性を有していることが分かった。
【実施例15】
実施例3で得た含フッ素共重合体に代えて、実施例8で得た含フッ素共重合体を用いたほかは実施例13と同様にして感光性組成物を調製し、レジスト膜を形成し、F2レーザー光によるフレーム露光・加熱・現像処理を行なった。
その結果、1.6mJ/cm以上の露光量で1cmのスポットが完全に溶解した。このことから、実施例8で得られた含フッ素共重合体はポジ型レジストとして機能し得る感度を有していることが分かった。
実施例13と同様、F2レーザーを光源とする縮小投影露光装置を用いてパターニング評価を行った。その結果、27mJ/cmの露光量で80nm、1:1L/Sの微細パターンを作製することができた。このことから、実施例8で得られたフッ素樹脂はポジ型レジストとして機能し得る解像性を有していることが分かった。
実施例16(含フッ素重合体の末端CF分析)
実施例1、9、10および比較例1でそれぞれ得られた含フッ素重合体について、以下のように末端CF含有量を測定した。
含フッ素重合体の粉末を重水素化アセトンに0.1〜10重量%に溶解させ、完全に溶解していることを確認した。
重合体溶液を用いて室温にてトリクロロフルオロメタンをケミカルシフトの標準(0ppm)としてNMR(装置:BRUKER社製 AC−300)分析を行ない、19F−NMRチャートを得た。
19F−NMRのデータチャートより、重合体の各部位のシグナルが表3に示すようなケミカルシフトの位置に分離検出された。
表3に示した重合体末端CFのシグナルの積分値(面積値)をH(末端CF)とした。また、重合体主鎖中CFのシグナルは表3で示すように広いケミカルシフトの範囲でブロードなピークとなり、そのブロードなピーク全体の積分値(面積値)の合計をH(−CF−)とした。
算出されたH(末端CF)、H(−CF−)より、H(末端CF)/H(−CF−)の値を表4に示す。


【産業上の利用可能性】
本発明の製造方法によれば、真空紫外領域における透明性に優れ、フォトレジスト用として、特にF2レジスト用として超微細パターンを形成することができる含フッ素重合体を製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数2または3のエチレン性単量体であって少なくとも1個のフッ素原子を有する含フッ素エチレン性単量体(m1)に由来する繰り返し単位(M1)および/または重合体主鎖に脂肪族環構造を与え得るフッ素原子を含んでいてもよい単量体(m2)に由来する繰り返し単位(M2)を有し、かつ重合体中に酸で反応する酸反応性基Yまたは酸反応性基Yに変換可能な基Yを有する含フッ素重合体を得るに当たり、該含フッ素エチレン性単量体(m1)および/または該重合体主鎖に脂肪族環構造を与え得る単量体(m2)をフッ素原子を有する重合開始剤を用いてラジカル重合することを特徴とする真空紫外光の透明性に優れたレジスト用含フッ素重合体の製造方法。
【請求項2】
前記含フッ素エチレン性単量体(m1)に由来する繰り返し単位(M1)が、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニルおよびヘキサフルオロプロピレンから選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位である請求の範囲第1項記載の製造方法。
【請求項3】
前記重合体主鎖に脂肪族環構造を与え得る単量体(m2)に由来する繰り返し単位(M2)が、フッ素原子を含んでいてもよいノルボルネン誘導体に由来する繰り返し単位である請求の範囲第1項または第2項記載の製造方法。
【請求項4】
前記含フッ素エチレン性単量体(m1)および/または重合体主鎖に脂肪族環構造を与え得る単量体(m2)が、酸反応性基Yを有しているかまたは酸反応性基Yに変換可能な基Yを有している請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
含フッ素重合体が前記繰り返し単位(M1)および(M2)以外の繰り返し単位であって、かつ酸反応性基Yを有しているかまたは酸反応性基Yに変換可能な基Yを有している単量体(n1)に由来する繰り返し単位(N1)を含み、さらに前記含フッ素エチレン性単量体(m1)および/または前記重合体主鎖に脂肪族環構造を与え得る単量体(m2)に加えて、該酸反応性基Yを有しているかまたは酸反応性基Yに変換可能な基Yを有している単量体(n1)をラジカル重合する請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
フッ素原子を有する重合開始剤によりラジカル重合して得られ、かつ酸反応性基Yに変換可能な基Yを有する含フッ素重合体を高分子反応法により酸反応性基Yに変換する請求の範囲第4項または第5項記載の製造方法。
【請求項7】
含フッ素重合体中の酸反応性基Yが、OH基、酸でOH基に変換できる酸解離性官能基、COOH基または酸で解離してCOOH基に変化させることができる酸解離性官能基の少なくとも1種である請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
フッ素原子を有するラジカル重合開始剤が、フッ素原子を含むジ(アシル)パーオキサイドである請求の範囲第1項〜第7項のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
ジ(アシル)パーオキサイドが、式:

(式中、mおよびnは同じか異なり1〜20の整数;XおよびX’は同じか異なり、F、ClまたはH)で示されるジ(フルオロアシル)パーオキサイドである請求の範囲第8項記載の製造方法。
【請求項10】
ジ(アシル)パーオキサイドが、式:
(CFCFCOO)
で表わされるペンタフルオロプロピオノイルパーオキサイドである請求の範囲第9項記載の製造方法。
【請求項11】
ジ(アシル)パーオキサイドが、式:
(CFCFCFCOO)
で表わされるヘプタフルオロブタノイルパーオキサイドである請求の範囲第9項記載の製造方法。
【請求項12】
(A−1)OH基、酸でOH基に変換できる酸解離性官能基、COOH基または酸で解離してCOOH基に変化させることができる酸解離性官能基の少なくとも1種の酸反応性基Yを有する含フッ素重合体、
(B)光酸発生剤、および
(C)溶剤
からなる組成物であって、該含フッ素重合体(A−1)が、請求の範囲第1項〜第11項のいずれかに記載の製造方法で得られる重合体である真空紫外光の透明性に優れたレジスト被膜を与えるフォトレジスト組成物。
【請求項13】
含フッ素重合体(A−1)が、157nm波長での吸光係数が1.0μm−1以下の重合体ある請求の範囲第12項記載のフォトレジスト組成物。
【請求項14】
式(1):
−(M1A)−(M2A)−(N1A)− (1)
(式中、M1Aはテトラフルオロエチレンに由来する構造単位;M2Aはフッ素原子を含んでいてもよいノルボルネン誘導体(m2a)に由来する構造単位;N1Aはテトラフルオロエチレンおよびノルボルネン誘導体(m2a)と共重合可能な単量体(n1a)由来の構造単位)で表され、構造単位M1Aを12〜70モル%、構造単位M2Aを12〜70モル%、構造単位N1Aを0〜60モル%含み、かつ(M1A)+(M2A)=100としたとき(M1A)/(M2A)が30/70〜70/30モル%比である数平均分子量1000〜50000の含フッ素重合体であって、当該重合体中において、重合体主鎖末端の少なくとも一方に−CF基を有する重合体分子を含み、かつ19F−NMR分析において検知される重合体主鎖末端の−CFシグナル強度をH(末端CF)、主鎖を形成する−CF−シグナル強度をH(−CF−)としたとき、数式(1):

の関係式を満たす含フッ素重合体。

【国際公開番号】WO2004/024787
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【発行日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−535941(P2004−535941)
【国際出願番号】PCT/JP2003/011605
【国際出願日】平成15年9月11日(2003.9.11)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【出願人】(597114926)株式会社半導体先端テクノロジーズ (10)
【Fターム(参考)】