説明

ローカル時間補正方法及びナビゲーション装置

【課題】簡易な構成および処理により時刻の自動補正が可能なローカル時間補正方法等を提供する。
【解決手段】ローカル時間補正システム1では、ナビゲーション装置2が、GPS衛星9の原子時計に基づく正確な時刻(協定世界時;UTC時刻)を分秒単位で計時する時計部を備えている。そして、移動通信網7に接続された基地局8との無線通信によって管轄地域(国,州,都市など)毎のローカル時情報を既に取得している携帯電話機3から、その携帯電話機3の内部時計部が示す時刻を時単位で示す時単位データを取得し、この取得した時単位データに基づいて、時計部24の計時時刻を時単位で補正する。このため、ナビゲーション装置2は、時計部24の計時時刻を時分秒単位で正確なローカル時間に補正することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時差やサマータイムの実施がある地域間を移動する際に用いられるローカル時間補正方法及びナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、海外旅行などで国境を越えて移動したり、アメリカやオーストラリア等のように一つの国の中で州や地方を移動したりすることによって、その移動先の地域(以下、移動先地域という)に時差がある場合に、計時装置の時刻を移動先地域の現地時間(以下、ローカル時間という)に自動補正するローカル時間補正方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このローカル時間補正方法では、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星から送られてくる電波(即ち、GPS信号)を受信し、その受信信号から得られる協定世界時(以下、UTC時刻という)を表すUTC時刻情報と位置情報とに基づいて、UTC時刻との時差(以下、時刻係数という)を地域毎に示す時刻計数テーブルを参照し、計時装置の現在位置に応じた時刻計数をUTC時刻に加算する補正処理を行っている。
【特許文献1】特開2000−187088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アメリカ本土では、西海岸と東海岸とでは3時間の時差があって4つの標準時間帯(以下、タイムゾーンという)に分かれており、これらのタイムゾーンの境界線が必ずしも州境と一致していないばかりでなく、さらにサマータイムにおいて、例えばインディアナ州のように同じ州内で実施する郡と実施しない郡とからなる州が存在している。
【0005】
このため、従来のローカル時間補正方法で、アメリカのように時差やサマータイムの境界線が複雑な国にも対応させようとすると、時刻計数テーブルにおいて、国や州毎ではなく緯度と経度とからなる位置座標毎に時刻計数を対応づけておく必要があると共に、サマータイムの実施に応じて時刻計数を更新しなければならないため、その作成作業に手間がかかるという問題があった。さらに言えば、そもそも既存の計時装置に時刻計数テーブルを追加導入すること自体が負担であったり、補正処理を煩雑にしたりしているという指摘があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するために、簡易な構成および処理により時刻の自動補正が可能なローカル時間補正方法、及び、既存の装置構成を用いた簡易な処理により時刻の自動補正が可能なナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載のローカル時間補正方法は、衛星から受信したGPS信号に含まれている時分秒情報に基づく時刻を計時する計時装置において、その計時装置の計時時刻を移動先地域の現地時間に補正する方法である。
【0008】
具体的には、移動先地域に送信される制御信号の受信によってその地域の現地時間(ローカル時間)を示すローカル時情報を既に取得している受信機から、その受信機の内部時計が示す時刻を時単位で示す時単位データを取得し、この取得した時単位データに基づいて、計時装置の計時時刻を時単位で補正する。
【0009】
つまり、このローカル時間補正方法は、計時装置がGPS衛星からの電波に基づく正確な時刻(協定世界時;UTC時刻)を分秒単位で計時し、受信機から移動先地域のローカル時間を時単位で示すデータを取得することによって、計時装置の計時時刻を時分秒単位で正確なローカル時間に自動補正を行う。
【0010】
したがって、本発明のローカル時間補正方法によれば、位置情報を取得するための構成や、位置情報に応じたUTC時刻との時差(時刻係数)を記憶するための構成が不要であり、さらに、位置情報に応じて時刻係数を計時装置の計時時刻に加算する補正処理を行う必要がないため、簡易な構成および処理により時刻の自動補正を行うことができる。
【0011】
また、ローカル時間補正方法は、請求項2に記載のように、受信機が携帯電話機であり、制御信号が、携帯電話機を収容する移動通信網に接続された基地局から送信されることが望ましい。
【0012】
このローカル時間補正方法によれば、既存の携帯電話システムを利用して簡易にローカル時間を取得することができる。
次に、第二の発明であるナビゲーション装置は、請求項3に記載のように、GPS受信手段が、衛星から送信されるGPS信号を受信し、時計手段が、GPS受信手段により受信したGPS信号に含まれている時分秒情報に基づく時刻を計時する。
【0013】
そして、時単位データ取得手段が、移動通信網に接続された基地局との無線通信によって移動先地域の現地時間を示すローカル時情報を既に取得している携帯電話機から、予め設定された取得タイミングで、その携帯電話機の内部時計が示す時刻を時単位で示す時単位データを取得し、補正制御手段が、時単位データ取得手段により取得した時単位データに基づいて、時計手段により計時される時刻を時単位で補正する。
【0014】
つまり、本発明のナビゲーション装置は、請求項2に記載のローカル時間補正方法を実現するものであり、その方法による効果と同様の効果を得ることができる。
また、時単位データ取得手段の取得タイミングは、請求項4に記載のように、ナビゲーション装置の電源投入時であってもよいし、請求項5に記載のように、ナビゲーション装置の現在位置が予め設定された管轄地域毎(国,州,都市など)の境界線を越えたときであってもよい。但し、ナビゲーション装置は、地図データ入力手段が、管轄地域毎に区分された地図データを入力し、位置情報取得手段が、GPS受信手段により受信したGPS信号と、地図データ入力手段により入力される地図データとに基づいて、当該ナビゲーション装置の現在位置を表す位置情報を取得する。
【0015】
このように構成されたナビゲーション装置によれば、前者の取得タイミングの場合、時差のある地域に移動した際に電源を再投入すればよく、後者の取得タイミングの場合、利用者による特段の操作を介することなく地域を移動する毎に正確なローカル時間に自動補正することができる。
【0016】
なお、補正制御手段は、請求項6に記載のように、時計手段により計時される時刻が、時単位で丁度の時刻を挟んで前後所定分以内である場合、携帯電話機の内部時計の誤差を吸収するために予め決められた誤差期間経過時を、取得タイミングに設定することが望ましい。
【0017】
このように構成されたナビゲーション装置によれば、例えば、ローカル時間が12時丁度で携帯電話機の時刻が11時59分59秒である場合や、逆に、ローカル時間が11時59分59秒で携帯電話機の時刻が12時丁度である場合などに、ナビゲーション装置の時刻補正が1時間ずれてしまうことを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
<ローカル時間補正システム1の全体構成>
図1は、本発明のローカル時間補正方法が適用されるシステム(以下、ローカル時間補正システムという)1の構成を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、ローカル時間補正システム1は、車両に搭載されるナビゲーション装置2と、ナビゲーション装置2を搭載している車両(以下、対象車両という)の運転者により所持されてナビゲーション装置2に接続される携帯電話機3と、国や州あるいは都市といったレベルの管轄地域毎の正確な現地時間を表すローカル時情報を配信する配信サーバ4とからなる。なお、ここで言う管轄地域とは、時差やサマータイムの実施を含むタイムゾーンを構成する最小単位の地域のことであり、例えば、日本やヨーロッパでは国、オーストラリアでは州、アメリカでは都市をそれぞれ指している。
【0020】
また、ローカル時間補正システム1では、配信サーバ4が、インターネット通信網5,ゲートウェイ交換局6,及び移動通信網7を経由して基地局8に接続されてその基地局8を介して携帯電話機3と無線通信を行うと共に、ナビゲーション装置2が、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星(以下、GPS衛星という)9からの電波(即ち、GPS信号)を受信するように構成されている。
【0021】
なお、ゲートウェイ交換局6は、インターネット通信網5と移動通信網7とを相互接続するために設置されており、異なる通信プロトコルを有するインターネット通信網5と移動通信網7との間でデータの授受を中継するように構成されている。
【0022】
一方、基地局8は、移動通信網7の通信サービスエリア内に多数設置されており、自局8がカバーする通信エリアに在圏している携帯電話機3と無線通信を行うと共に、基地局8毎に割り当てられた基地局IDが含まれる無線信号(以下、基地局識別信号という)を、自局8の通信エリアに常時ブロードキャストする。
【0023】
また、基地局8は、携帯電話機3から後述するエリア確認信号を受信すると、その受信信号を配信サーバ4に送信すると共に、配信サーバ4からローカル時情報を受信すると、その受信内容を含む制御信号を携帯電話機3に送信するように構成されている。
【0024】
なお、配信サーバ4は、基地局8からエリア確認信号を受信すると、その受信信号に含まれている識別情報に基づく携帯電話機3を送信先に指定し、その送信先を指示するための送信コードを付加したローカル時情報を基地局8に送信するように構成されている。
【0025】
<携帯電話機3の構成>
図2は、本実施形態における携帯電話機3の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、携帯電話機3は、アンテナ11aを有して前述した基地局8との間で無線通信を行うための第1通信部11と、Bluetooth(登録商標)等の短距離無線通信技術を用いてナビゲーション装置2との間で無線通信を行うための第2通信部12と、数字や文字、操作指示などを入力するための操作入力部13と、マイクロフォンやスピーカ、音声処理回路などを有して周知の通話処理を行う通話部14と、時刻を計時する内部時計部15と、各種画像を表示するための液晶表示部16と、各部11〜15からの入力に応じて各種処理を実行し、第1通信部11,第2通信部12,通話部14,内部時計部15,液晶表示部16を制御する制御部17とを備えている。
【0026】
但し、本実施形態の内部時計部15は、一般的な携帯電話機に用いられるものであり、計時時刻が1ヶ月あたり1分くらいの誤差が生じる程度の精度を有したものである。
第1通信部11は、送話音声に関するデータやパケット通信用のデータ等を搬送波に重畳して送信信号を生成し、この生成した送信信号を基地局8にアンテナ11aを介して送信すると共に、アンテナ11aを介して基地局8から送られてくる無線信号を受信し、この受信信号を復調して携帯電話機3宛の受話音声に関するデータやパケット通信用のデータ等を得る。
【0027】
制御部17は、CPU,ROM,RAM,I/O及びバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、このうち、ROMには、CPUにより実行される各種プログラムと共に、携帯電話機2用のオペレーティングシステムやWeb(World Wide Web)ブラウザのソフトウェア等が格納されている。一方、RAMは、CPUのワークエリアとして用いられると共に、各種のデータが一時的に格納される。
【0028】
また、制御部17(CPU)は、第1通信部11を介して基地局8から基地局識別信号を受信すると、その受信信号に含まれている基地局IDをRAMに記憶すると共に、その基地局IDが前回RAMに記憶したものと異なる場合、携帯電話機3の識別情報(電話番号など)を含むエリア確認信号を、第1通信部11を介して基地局8に送信する。
【0029】
さらに、制御部17(CPU)は、第1通信部11を介して基地局8から制御信号を受信すると、その受信信号に含まれているローカル時情報に基づき、内部時計部15の計時時刻を前述した管轄地域毎の正確な現地時間に補正する処理を行う。そして、第2通信部12を介してナビゲーション装置2から後述する要求信号を受信すると、内部時計部15が示している時刻を時単位で示す時単位データを、第2通信部12を介してナビゲーション装置2に送信するように構成されている。
【0030】
<ナビゲーション装置の構成>
図3は、本実施形態におけるナビゲーション装置2の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、ナビゲーション装置2は、Bluetooth(登録商標)等の短距離無線通信技術を用いてナビゲーション装置2との間で無線通信を行うための車内通信部21と、対象車両の現在位置等を検出する位置検出部22と、地図データを入力する地図データ入力部23と、前述したGPS衛星9の原子時計に基づく時刻を計時する時計部24と、各種画像を表示するための表示部25と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部26と、各部21〜24からの入力に応じて各種処理を実行し、車内通信部21,時計部24,表示部25,及び音声出力部26を制御する制御部27とを備えている。
【0031】
このうち、位置検出部22は、GPSアンテナ31aを介してGPS信号を受信してその受信信号を出力するGPS受信機31と、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ32と、車両の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ33と、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ34とを備えている。そして、これら各センサ31〜34は、車両の現在位置などを算出するための各検出信号を出力する。
【0032】
地図データ入力部23は、図示は省略するが、ハードディスクやDVD−RAM等の書き込み可能な地図記憶媒体に記憶されている地図データや案内用の音声データ等の各種データを入力するための装置である。なお、本実施形態の地図データには、前述した管轄地域の境界線を表す境界線データや、管轄地域を識別するための管轄IDが含まれている。
【0033】
また、表示部25は、カラー表示装置であり、周知の半透過型の液晶ディスプレイ,一般的な液晶ディスプレイ,有機ELディスプレイ,CRT,ヘッドアップディスプレイなどがあるが、そのいずれを用いてもよい。
【0034】
制御部27は、CPU,ROM,RAM,I/O及びバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、このうち、RAMには、対象車両の現在位置に対応する管轄IDを記憶(更新)するためのID記憶領域が設けられている。そして、CPUが、位置検出部22から入力される各検出信号に基づき、座標および進行方向の組として車両の現在位置を算出する位置算出処理や、現在位置から目的地までの最適な経路を自動的に求める経路計算を行い、この経路計算に基づいた経路案内を表示部24及び音声出力部25を介して行う経路案内処理を行う。なお、位置算出処理が実行される毎に算出された現在位置に応じた管轄IDが、前回RAMのID記憶領域に記憶したものと異なる場合にRAMのID記憶領域が更新される。
【0035】
また、制御部27(CPU)は、GPS受信機31から入力されるGPS信号に基づき、そのGPS信号に含まれているGPS時刻データ(時分秒情報に相当)に閏秒を挿入することで得られる世界協定時(以下、UTC時刻という)を用いて、時計部24の計時時刻を分秒単位で補正するGPS時刻補正処理を行うと共に、以下のローカル時間補正処理を実行するように構成されている。
【0036】
<ローカル時間補正処理>
ここで、ナビゲーション装置2の制御部27(CPU)が実行するローカル時間補正処理を、図4に示すフローチャートに沿って詳しく説明する。なお、本処理は、ナビゲーション装置2に電源が投入されると起動されてその後繰り返し実行され、電源が遮断されるまで位置算出処理や、経路案内処理、GPS時刻補正処理と並列実行される。また、本処理では、電源が遮断されるまで本処理が繰り返される毎にカウント値CNTが更新される処理カウンタが用いられる。
【0037】
まず、本処理が起動されると、S110では、処理カウンタのカウント値CNTが初期値である0に設定されているか(即ち、ナビゲーション装置2に電源が投入されて最初の処理であるか)否かを判断し、肯定判断した場合にはS130に進み、否定判断した場合にはS120に進む。
【0038】
S120では、位置算出処理によってRAMのID記憶領域に記憶された管轄IDが、前回RAMのID記憶領域に記憶されたものと異なるか(即ち、ID記憶領域が更新されたか)否かを判断し、肯定判断した場合(即ち、対象車両が管轄領域毎の境界線を越えた場合)にはS130に進み、否定判断した場合にはS110を再実行する。
【0039】
S130では、時計部24の計時時刻の分秒を表す部分(時刻)が、00分である時刻(例えば、12時00分)を挟んで前後所定分(例えば、2〜3分)以内であるか(即ち、時単位で丁度付近であるか)否かを判断し、肯定判断した場合にはS140に進み、否定判断した場合にはS150に進む。
【0040】
S140では、携帯電話機3の内部時計部15の誤差を吸収するために予め決められた誤差期間を経過したか否かを判断し、肯定判断した場合にはS150に進み、否定判断した場合には誤差期間が経過するまで待機する。なお、本実施形態の誤差期間は、携帯電話機3の内部時計部15の誤差が1ヶ月あたり1分くらい生じる程度であるため、その誤差にさらに余裕をもたせて10分程度に決められている。
【0041】
S150では、携帯電話機3から前述した時単位データを取得するための要求信号を、車内通信部21を介して携帯電話機3に送信する。
続くS160では、車内通信部21を介して携帯電話機3から時単位データを受信したか否かを判断し、肯定判断した場合にはS170に進み、否定判断した場合には時単位データを受信するまで待機する。なお、ここで所定期間経過しても受信できない場合には、携帯電話機3の電源が入っていない可能性があるため、直ちに本処理を終了するようにしてもよい。
【0042】
S170では、S160で受信した時単位データに基づいて、時計部24により計時される現在時刻を時単位で補正する。即ち、時計部24の時刻は、UTC時刻に基づく分秒単位で正確に計時されているため、携帯電話機3の内部時計部15が示す時刻に時単位の部分だけを合わせることにより、管轄地域内の現地時間に修正される。なお、時計部24の時刻と、携帯電話機3の内部時計部15が示す時刻とを比較し、両者の時刻が時単位で同じであれば、直ちに本処理を終了するようにしてもよい。
【0043】
なお、上記実施形態において、GPS受信機31がGPS受信手段、地図データ入力部23が地図データ入力手段、位置検出部22が位置情報取得手段、時計部24が時計手段、S110〜S150が時単位データ取得手段、S160及びS170が補正制御手段に相当する。
【0044】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のローカル時間補正システム1では、基地局8との無線通信によって管轄地域毎のローカル時情報を既に取得している携帯電話機3から、その携帯電話機3の内部時計部15が示す時刻を時単位で示す時単位データを取得し、この取得した時単位データに基づいて、時計部24の計時時刻を時単位で補正する。
【0045】
したがって、本実施形態のローカル時間補正システム1によれば、位置情報の取得やその位置情報に応じたUTC時刻との時差(時刻係数)の記憶に係る構成が不要であり、さらに、位置情報に応じて時刻係数を計時時刻に加算する補正処理を行う必要がないため、簡易な構成および処理により時刻の自動補正を行うことができる。
【0046】
また、本実施形態のナビゲーション装置2では、時計部24がGPS衛星9の原子時計に基づく正確な時刻(協定世界時;UTC時刻)を分秒単位で計時すると共に、携帯電話機3からローカル時間を時単位で示すデータ(即ち、時単位データ)を取得することによって、時計部24の計時時刻を時分秒単位で正確なローカル時間に自動補正を行う。
【0047】
したがって、本実施形態のナビゲーション装置2によれば、既存の装置および携帯電話システムの構成を利用して簡易に時刻の自動補正を行うことができる。
さらに、本実施形態のナビゲーション装置2は、車両に搭載される装置であって、ローカル時間補正処理によって、当該ナビゲーション装置2の電源が投入された場合、又は、RAMに記憶されている管轄IDが更新された場合に、計時時刻をローカル時間に自動補正を行うように構成されている。
【0048】
このため、前者の場合、例えば、カーフェリーやカートレインで時差のある地域を移動した際や、長期間車両を使用していない間にサマータイムが実施されていた際であっても、車両の使用時には確実に時刻の自動補正を行うことができる。また、後者の場合、例えば、ヨーロッパでは国境、オーストラリアでは州境、アメリカでは都市を跨いだときに限り補正処理を行うため、効率よく時刻の自動補正を行うことができる。
【0049】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態のローカル時間補正処理では、ナビゲーション装置2に電源が投入されると自動的に起動されるが、これに限定されるものではなく、起動用のスイッチを設けて運転者に選択させるようにしてもよい。この場合、例えば運転者がローカル時情報に基づく時刻に自動補正する機能をもたない携帯電話機を使用している場合、スイッチをOFFにしておくことで不要な制御を行わずに済ませることができる。
【0051】
なお、上記実施形態のローカル時間補正処理では、要求信号を送信することによって携帯電話機3から時単位データを取得しているが、これに限らず、携帯電話機3が前述したエリア確認信号を基地局8に送信した後(即ち、通信エリアが変更したとき)に、時単位データをナビゲーション装置2に送信することによって、ナビゲーション装置2が時単位データを取得するようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態のローカル時間補正処理では、携帯電話機3から時単位データを直接取得しているが、これに限るものではなく、例えば携帯電話機3の内部時計部15の時刻を時分秒単位で示す時刻情報を取得した後で、その取得した時刻情報から時単位データを抽出するようにしてもよい。
【0053】
さらに言えば、上記実施形態のローカル時間補正処理では、時計部24により計時される現在時刻を時単位データに基づく時単位で補正すると当該処理を終了しているが、これに限らずに、その補正した時計部24の計時時刻を携帯電話機3に送信することによって、携帯電話機3の内部時計部15を正確な時刻に補正するようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態の携帯電話機3は、ナビゲーション装置2から要求信号を受信すると、直ちに時単位データをナビゲーション装置2に送信するように構成されているが、これに限定されずに、通話やメッセージの送受信といった外部通信の最中であれば、その外部通信が終了した後に時単位データを送信するように構成されていてもよい。
【0055】
なお、上記実施形態のローカル時間補正システム1では、車両に搭載されるナビゲーション装置2と、ナビゲーション装置2に接続される携帯電話機3と、基地局8を介してローカル時情報を配信する配信サーバ4とからなるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
例えば、ナビゲーション装置2の代わりにGPS機能付の腕時計を適用してもよいし、配信サーバ4の代わりに基地局8が直接ローカル時情報を配信するように構成されていてもよい。また、携帯電話機3の代わりに制御信号を受信するための受信機であってもよく、基地局8の代わりに制御信号をFM多重放送などに重畳して送信する電波発信塔であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のローカル時間補正方法が適用されるシステム(ローカル時間補正システム)1の構成を示すブロック図
【図2】本実施形態における携帯電話機3の構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態におけるナビゲーション装置2の構成を示すブロック図。
【図4】ナビゲーション装置2の制御部27(CPU)が実行するローカル時間補正処理の詳細を示すフローチャートに沿って詳しく説明する。
【符号の説明】
【0058】
1…ローカル時間補正システム、2…ナビゲーション装置、3…携帯電話機、4…配信サーバ、5…インターネット通信網、6…ゲートウェイ交換局、7…移動通信網、8…基地局、9…GPS衛星、11…第1通信部、12…第2通信部、13…操作入力部、14…通話部、15…内部時計部、16…液晶表示部、17…制御部、21…車内通信部、22…位置検出部、23…地図データ入力部、24…時計部、25…表示部、26…音声出力部、27…制御部、31…GPS受信機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星から受信したGPS信号に含まれている時分秒情報に基づく時刻を計時する計時装置において、該計時装置の計時時刻を移動先地域の現地時間に補正するローカル時間補正方法であって、
前記移動先地域に送信される制御信号の受信によって前記現地時間を既に取得している受信機から、該受信機の内部時計が示す時刻を時単位で示す時単位データを取得し、該取得した時単位データに基づいて、前記計時装置の計時時刻を時単位で補正するローカル時間補正方法。
【請求項2】
前記受信機は、携帯電話機であり、
前記制御信号は、前記携帯電話機を収容する移動通信網に接続された基地局から送信されることを特徴とする請求項1に記載のローカル時間補正方法。
【請求項3】
衛星から送信されるGPS信号を受信するGPS受信手段と、
前記GPS受信手段により受信したGPS信号に含まれている時分秒情報に基づく時刻を計時する時計手段と、
移動通信網に接続された基地局との無線通信によって移動先地域の現地時間を既に取得している携帯電話機から、予め設定された取得タイミングで、該携帯電話機の内部時計が示す時刻を時単位で示す時単位データを取得する時単位データ取得手段と、
前記時単位データ取得手段により取得した時単位データに基づいて、前記時計手段により計時される時刻を時単位で補正する補正制御手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
前記取得タイミングは、当該ナビゲーション装置の電源投入時であることを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置
【請求項5】
予め設定された管轄地域毎に区分された地図データを入力する地図データ入力手段と、
前記GPS受信手段により受信したGPS信号と、前記地図データ入力手段により入力される地図データとに基づいて、当該ナビゲーション装置の現在位置を表す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
を備え、
前記取得タイミングは、前記現在位置が前記管轄地域毎の境界線を越えたときであることを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記補正制御手段は、前記時計手段により計時される時刻が、時単位で丁度の時刻を挟んで前後所定分以内である場合、前記携帯電話機の内部時計の誤差を吸収するために予め決められた誤差期間経過時を、前記取得タイミングに設定することを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−264951(P2009−264951A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115334(P2008−115334)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】