説明

位置情報提供サーバ、位置情報提供システム、携帯端末およびプログラム

【課題】 携帯端末からGPS衛星受信信号を位置情報提供サーバに送り、位置情報提供サーバ側で高精度に携帯端末の位置を測位してマッチング処理した位置情報を携帯端末に提供する位置情報提供システムを提供する。
【解決手段】 携帯端末30はGPS受信機31と受信信号処理部32と測位要求部33とを有する。位置情報提供サーバ20は、GPS受信データ解析・位置算出部231とマッチング処理部232を有する。携帯端末は、GPS受信機31で受信したGPS衛星信号を受信信号処理部32で処理したGPS受信データを測位要求部33からの測位要求とともに位置情報提供サーバ20に送信し、位置情報提供サーバ20は、GPS受信データ解析・位置算出部231により携帯端末から送られたGPS受信データに基づいて携帯端末の位置を算出し、当該位置をマッチング処理部232によりマッチング処理したマッチング位置情報を生成して携帯端末に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS受信機を有する携帯端末と経路探索サーバからなる通信型のナビゲーションシステムなどに用いられる位置情報提供サーバ、位置情報提供システム、携帯端末およびプログラムに関するものであり、特に、携帯端末で受信したGPS衛星信号を位置情報提供サーバに送り、位置情報提供サーバ側で高精度に携帯端末の位置を測位し、測位した携帯端末の位置を、位置情報提供サーバが有する地図データ、道路データ、案内経路データなどにマッチング処理して携帯端末に提供するようにした位置情報提供サーバ、位置情報提供システム、携帯端末およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、PHS等の携帯通信端末機器の性能は飛躍的に向上し、また、多機能化が進んでいる。特に通話機能の他にデータ通信機能が強化され、ユーザに対してインターネットを介した種々のデータ通信サービスが提供されている。ナビゲーションサービスもその1つであり、自動車の運転者のみならず携帯電話ユーザに対して現在位置から目的地までの経路案内を提供する技術が開発されており、携帯電話をナビゲーション端末として経路探索サーバから案内経路の配信を受ける通信型のナビゲーションシステムが実現されている。
【0003】
特に、現在は一部の携帯電話にしか搭載されていない測位ユニット、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信して測位するGPS受信機などの搭載が、第三世代と称される携帯電話では全ての機種に搭載されるような趨勢にある。
【0004】
このような測位機能を有する携帯端末の利用技術としては、種々の分野の技術が提案されており、前述のように、自動車用のナビゲーション装置(カーナビ)を発展させ、携帯電話を端末として地図・経路情報を情報配信サーバ(経路探索サーバ)から配信する歩行者用の通信型ナビゲーションシステムが実現されている。また、携帯電話を端末として利用した決済システムや様々なインターネット取引システムなども提案されている。そして最近では、事件や事故の際の通報に携帯電話が使用されることも多くなってきており、通報場所を特定する技術の必要性が増大しつつある。また、外出中の老人の所在場所を携帯電話の測位システムを利用して特定しようという試みもなされており、その用途は今後も拡大を続けるものと思われる。
【0005】
通信型のナビゲーションシステムなどにおける測位機能としては、携帯端末側でGPS受信機を用いて自立的に測位する方式(MS−Based方式あるいは、オートノーマス方式)と、位置算出を支援する支援サーバと携帯端末が通信して位置情報を取得するAGPS方式(Assisted GPS方式)とが知られている。AGPS方式は携帯端末と支援サーバとの間で通信が必要であり、通信パケットが増大すること、通信コストが必要になることから、従来はAGPS方式よりはMS−Based方式、あるいは、オートノーマス方式が好ましいとされている。
【0006】
携帯端末に搭載する測位手段としては、前述したようにMS−Based方式、あるいは、オートノーマス方式が使用され、GPS受信機を搭載するのが一般的である。GPS受信機を利用した測位方式では、携帯端末は、地球の上空を周回するGPS衛星から発信される微弱電波(以下、GPS信号という)を捕捉して、GPS測位端末の地球上の位置を算出する。位置情報を算出するにあたって、最低3個のGPS衛星からの電波を受信できれば2次元(緯度・経度)の位置情報が得られ、4個以上の衛星からの電波を受信できれば3次元(緯度・経度・海抜)の位置情報が得られる。GPS測位機能を持った携帯端末において位置情報を算出した場合、通常は算出した位置(緯度、経度)に含まれる誤差を補正するため、測位位置を地図データの道路上などにマッチングする処理を行っている。
【0007】
また、一般的に携帯端末におけるGPS測位機能は、本来携帯端末が主目的とする機能、サービスを提供するための補助的機能である。例えば、携帯電話を端末とする場合、携帯電話の本来の目的である通話のための機能、あるいはデータ通信サービスを利用するための機能が優先され、GPS測位処理は補助的な機能として位置付けられる。従って、GPS測位処理のためには携帯端末に搭載されるマイクロプロセッサの処理能力の一部を割り当てて対処しているのが実情である。携帯端末に処理能力が十分に大きなマイクロプロセッサを搭載するには、装置の大きさによる制約、コスト面での制約があり、GPS測位機能を高精度化するには限界がある。
【0008】
このため、携帯端末におけるGPS測位処理においては、一般的に、GPS衛星信号を受信してその位置(緯度、経度)を算出して位置情報を得るまでのタイムラグが大きく、また、算出する位置の精度も低いといわれている。特に、携帯端末は移動しながらGPS信号を受信するため、必要な衛星信号を捕捉するまでに時間を要したり、高精度の演算処理ができず、誤差を含んだ位置情報になる。また、位置を算出できた時点では携帯端末自身が衛星信号を受信した地点から他の地点に移動してしまっていて現実の位置との間にずれを生じることがある。従って、携帯端末におけるGPS測位では誤差を含んだ概略の位置情報しか得られず、これを改善しようとする試みが種々なされている。
【0009】
その1つとして例えば、下記の特許文献1(特開2002−195837号公報)に開示されたGPS地図通信表示システムが知られている。図6は、特許文献1に開示されたGPS地図通信表示システムの概念を示す図であり、GPS測位機能を有する端末(GPS通信端末器)とサーバ(GPSアシスト地図サーバ)から構成されている。GPSアシスト地図サーバは、エフェメリスデータと地図データを蓄積したデータベースを有している。エフェメリスデータとは、GPS衛星から送られてくる衛星軌道情報である。
【0010】
GPSアシスト地図サーバは、GPS通信端末器から、その通信端末器の概略位置情報を含んだGPS測位支援要求を受けた際には、そのGPS通信端末器が追尾可能な周回衛星の軌道情報(エフェメリスデータ)とともに、そのGPS通信端末器の概略位置に応じた概略地図情報を返信しておき、次いで、GPS通信端末器からGPS測位を実行して算出された位置情報を含んだ詳細地図要求を受けたときには、その位置情報に応じた詳細地図情報を返信する。
【0011】
すなわち、上記特許文献1に開示されたGPS地図通信表示システムにおいては、GPS通信端末器では、GPSアシスト地図サーバからGPSアシスト情報(エフェメリスデータ)を受けるように構成し、衛星の捕捉、追尾が迅速に行え、GPS測位による位置情報の算出を迅速化したものである。また、測位指令があれば、GPS測位に先駆けて、GPSアシスト地図サーバから概略地図を送り、GPS測位によって位置情報が算出されるまでの間は、概略地図を表示するように構成し、見かけ上の表示遅れがなく、ユーザを苛立たせることがないようにしたものである。
【0012】
また、下記の特許文献2(特開2002−340579号公報)には、上記特許文献1に類似したナビゲーションシステムが開示されている。このシステムは、装置の大きさや電源容量に制限されることなく高性能のコンピュータを使用できるナビゲーションシステムとすることを目的としたものである。すなわち、この特許文献2に開示されたナビゲーションシステムは、携帯電話端末とネットワーク上の位置情報検出サーバとが無線通信網を介して接続されたナビゲーションシステムである。そして、携帯電話端末に、位置情報を生成するGPS受信部と、無線通信網を介して位置情報検出サーバに位置情報を送信し、位置情報検出サーバから受信した高精度位置情報をユーザに提示する携帯電話機能部とを設け、位置情報検出サーバに、携帯電話端末から受信した位置情報に基づいて高精度位置情報を生成し、無線通信網を介してクライアントシステムに生成した高精度位置情報を転送する高精度位置情報算出モジュールを設けて構成したものである。
【0013】
すなわち、上記特許文献2に開示されたGPS地図通信表示システムは、クライアントシステム(携帯電話端末)が生成した誤差を含む概略の位置情報をサーバシステム(位置情報検出サーバ)に送り、位置情報サーバに用意された高性能の演算処理ユニットを使用して高精度化位置情報を生成して携帯電話端末に提供することができるようにしたものである。
【0014】
【特許文献1】特開2002−195837号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2002−340579号公報(図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前述したように、携帯端末におけるGPS測位においては、位置情報を得るまでに時間を要し、また、算出した位置情報が誤差を含む概略の位置情報であるという問題点があり、上記の特許文献1では、GPSアシスト地図サーバからGPSアシスト情報(エフェメリスデータ)を通信端末器に提供し、衛星の捕捉、追尾が迅速に行う方法が開示され、前記文献2では、携帯電話端末が生成した概略の位置情報を位置情報検出サーバに送り、位置情報サーバに用意された高性能の演算処理ユニットを使用して高精度化位置情報を生成して携帯電話端末に提供するシステムが開示された。
【0016】
しかしながら、上記特許文献1、特許文献2に開示されたシステムにおいては、何れも携帯端末側のGPS測位機能を用いて概略の位置を算出した位置情報をサーバに送る構成をとったものである。すなわち、これらのシステムはAGPS方式に相当するものであり、通信量を増大させるという潜在的な問題があった。また、携帯端末側には従来と同様にGPS衛星信号を受信する受信機能と、受信した衛星信号を解析して位置を算出する位置算出機能が必要になり、携帯端末側の構成を簡略化し、あるいは、マイクロプロセッサの処理能力を他の処理に振り向けることができないという問題が残った。
【0017】
上記したように、特許文献1、特許文献2に開示された技術は、前述したAGPS方式(位置算出を支援する支援サーバと携帯端末が通信して位置情報を取得する方式:Assisted GPS方式)を採用したシステムである。現在、携帯電話の通信方式として高速な通信が可能ないわゆる第3世代の携帯電話が普及してきており、単位量あたりの通信コストが安くなり安価なパケット通信が可能になってきている。また、通信キャリアにおいて、データ通信のパケット定額制のサービスが実現されており、通信コストの負担増なしに各種サーバとのデータ通信が行える環境になってきている。
【0018】
このような背景からAGPS方式の測位システムが見直されつつある。従って、AGPS方式の測位システムを積極的に利用し、支援サーバ側の支援機能を拡大することによって、携帯端末側の付加を軽くすることで種々の利点をもたらすことができる。すなわち、携帯端末側ではGPS測位処理の付加が軽くなった分を他の機能に振り向けたり、安価なマイクロプロセッサチップセットに切り換えたりすることができる。また、支援サーバ側では、測位要求してくる携帯端末の位置情報を把握することで、位置提供のみならず、種々のサービスを提供するように機能拡大が可能である。特許文献1、特許文献2ではこのような配慮がなされていないという問題点があった。
【0019】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、携帯端末にはGPS衛星信号を受信して位置情報提供サーバに送信するのみで、衛星信号を解析して位置を算出する処理を位置情報提供サーバ側で行い、かつ、位置情報提供サーバ側でマッチング処理までを行い、その結果を携帯端末で受信する構成とすることによって上記の問題点を解消し得ることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
【0020】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、携帯端末で受信したGPS衛星信号を位置情報提供サーバに送り、位置情報提供サーバ側で高精度に携帯端末の位置を測位し、位置情報提供サーバが有する地図データ、道路データ、案内経路データなどに測位した携帯端末の位置をマッチング処理して携帯端末に提供するようにした位置情報提供サーバ、位置情報提供システム、携帯端末およびプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、GPS受信機と受信信号処理部と測位要求部とを有する携帯端末と、GPS受信データ解析・位置算出部とマッチング処理部とを有する位置情報提供サーバとからなる位置情報提供システムであって、
前記携帯端末は、GPS受信機で受信したGPS衛星信号を受信信号処理部で処理したGPS受信データを測位要求部からの測位要求とともに前記位置情報提供サーバに送信し、
前記位置情報提供サーバは、GPS受信データ解析・位置算出部により前記携帯端末から送られたGPS受信データに基づいて前記携帯端末の位置を算出し、当該位置をマッチング処理部によりマッチング処理したマッチング位置情報を生成し、前記携帯端末に配信することを特徴とする。
【0022】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、受信信号処理部は、受信したGPS衛星信号から位置算出に必要のないデータを削除し、各GPS衛星信号の受信時間差情報を付加してGPS受信データとする処理を行うことを特徴とする。
【0023】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、位置情報提供サーバは、少なくとも、地図データ、道路データを備え、前記マッチング処理手段は、前記GPS受信データ解析・位置算出部が算出した携帯端末の位置を前記地図データ、道路データ上にマップマッチングしてマッチング位置情報を生成することを特徴とする。
【0024】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項3にかかる発明において、前記位置情報提供サーバは、前記GPS受信データ解析・位置算出部を備えたロケーションサーバと、前記マッチング処理部を備えたマップサーバとから構成されることを特徴とする。
【0025】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項4にかかる発明において、ロケーションサーバは、徒歩用ロケーションサーバと自動車用ロケーションサーバの少なくとも2つの専用ロケーションサーバから構成したことを特徴とする。
【0026】
また、本願の請求項6にかかる発明は、GPS受信機で受信したGPS衛星信号を受信信号処理部で処理したGPS受信データを測位要求部からの測位要求とともに送信する携帯端末に位置情報を提供する位置情報提供サーバであって、
前記位置情報提供サーバは、GPS受信データ解析・位置算出部により前記携帯端末から送られたGPS受信データに基づいて前記携帯端末の位置を算出し、当該位置をマッチング処理部によりマッチング処理したマッチング位置情報を生成し、前記携帯端末に配信することを特徴とする。
【0027】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項6にかかる発明において、位置情報提供サーバは、少なくとも、地図データ、道路データを備え、前記マッチング処理手段は、前記GPS受信データ解析・位置算出部が算出した携帯端末の位置を前記地図データ、道路データ上にマップマッチングしてマッチング位置情報を生成することを特徴とする。
【0028】
また、本願の請求項8にかかる発明は、請求項7にかかる発明において、位置情報提供サーバは、前記GPS受信データ解析・位置算出部を備えたロケーションサーバと、前記マッチング処理部を備えたマップサーバとから構成されることを特徴とする。
【0029】
また、本願の請求項9にかかる発明は、請求項8にかかる発明において、ロケーションサーバは、徒歩用ロケーションサーバと自動車用ロケーションサーバの少なくとも2つの専用ロケーションサーバから構成したことを特徴とする。
【0030】
また、本願の請求項10にかかる発明は、GPS受信データ解析・位置算出部とマッチング処理部とを備え、
GPS受信データ解析・位置算出部により携帯端末から送られたGPS受信データに基づいて前記携帯端末の位置を算出し、当該位置をマッチング処理部によりマッチング処理したマッチング位置情報を生成し、前記携帯端末に配信する位置情報提供サーバに測位要求を送信する携帯端末であって、
前記携帯端末は、GPS受信機で受信したGPS衛星信号を受信信号処理部で処理したGPS受信データを測位要求部からの測位要求とともに前記位置情報提供サーバに送信することを特徴とする。
【0031】
また、本願の請求項11にかかる発明は、請求項10にかかる発明において、受信信号処理部は、受信したGPS衛星信号から位置算出に必要のないデータを削除し、各GPS衛星信号の受信時間差情報を付加してGPS受信データとする処理を行うことを特徴とする。
【0032】
また、本願の請求項12にかかる発明は、GPS受信機で受信したGPS衛星信号を受信信号処理部で処理したGPS受信データを測位要求部からの測位要求とともに送信する携帯端末に位置情報を提供する位置情報提供サーバであって、GPS受信データ解析・位置算出部とマッチング処理部とを有する位置情報提供サーバを構成するコンピュータに、
前記携帯端末から送られたGPS受信データに基づいて前記携帯端末の位置を算出するGPS受信データ解析・位置算出部としての処理と、
前記算出した位置をマッチング処理したマッチング位置情報を生成するマッチング処理部としての処理と、を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0033】
また、本願の請求項13にかかる発明は、GPS受信データ解析・位置算出部とマッチング処理部とを備え、
GPS受信データ解析・位置算出部により携帯端末から送られたGPS受信データに基づいて前記携帯端末の位置を算出し、当該位置をマッチング処理部によりマッチング処理したマッチング位置情報を生成し、前記携帯端末に配信する位置情報提供サーバに測位要求を送信する携帯端末を構成するコンピュータに、
GPS受信機で受信したGPS衛星信号を受信信号処理部で処理したGPS受信データを測位要求部からの測位要求とともに前記位置情報提供サーバに送信する処理を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0034】
また、本願の請求項14にかかる発明は、請求項13にかかる発明において、携帯端末を構成するコンピュータに、受信したGPS衛星信号から位置算出に必要のないデータを削除し、各GPS衛星信号の受信時間差情報を付加してGPS受信データとする受信信号処理部としての処理を実行させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0035】
請求項1にかかる発明においては、携帯端末は、GPS受信機で受信したGPS衛星信号を受信信号処理部で処理したGPS受信データを測位要求部からの測位要求とともに位置情報提供サーバに送信し、位置情報提供サーバは、GPS受信データ解析・位置算出部により携帯端末から送られたGPS受信データに基づいて携帯端末の位置を算出し、当該位置をマッチング処理部によりマッチング処理したマッチング位置情報を生成して携帯端末に配信する。従って、複雑なGPS受信データ解析および位置算出を行う機能を携帯端末に設けることなく、位置情報提供サーバにGPS受信信号を送って測位要求するだけでマッチング処理された正確な位置情報を得ることができるようになる。
【0036】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、携帯端末は、受信信号処理部において、受信したGPS衛星信号から位置算出に必要のないデータを削除し、各GPS衛星信号の受信時間差情報を付加してGPS受信データとする処理を行う。従って、携帯端末の構成を簡単にすることができるようになる。
【0037】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、位置情報提供サーバは、少なくとも、地図データ、道路データを備え、前記マッチング処理手段は、前記GPS受信データ解析・位置算出部が算出した携帯端末の位置を前記地図データ、道路データ上にマップマッチングしてマッチング位置情報を生成する。従って、携帯端末はマッチング処理された正確な現在位置情報を容易に取得することができる。
【0038】
請求項4にかかる発明においては、請求項3にかかる発明において、位置情報提供サーバは、前記GPS受信データ解析・位置算出部を備えたロケーションサーバと、前記マッチング処理部を備えたマップサーバとから構成される。従って、それぞれのサーバを専用サーバとして効率よく構成することができるようになる。
【0039】
請求項5にかかる発明においては、請求項4にかかる発明において、ロケーションサーバは、徒歩用ロケーションサーバと自動車用ロケーションサーバの少なくとも2つの専用ロケーションサーバから構成されている。このように構成することによって、携帯端末30の利用用途別に効率よく測位を行うことができるようになる。
【0040】
請求項6にかかる発明においては、位置情報提供サーバは、GPS受信データ解析・位置算出部により前記携帯端末から送られたGPS受信データに基づいて前記携帯端末の位置を算出し、当該位置をマッチング処理部によりマッチング処理したマッチング位置情報を生成し、前記携帯端末に配信する。従って、請求項1にかかる位置情報提供システムを構成する位置情報提供サーバを提供することができるようになる。
【0041】
請求項7にかかる発明においては、請求項3にかかる位置情報提供システムを構成する位置情報提供サーバを提供することができるようになる。また、請求項8にかかる発明においては、請求項4にかかる位置情報提供システムを構成する位置情報提供サーバを提供することができるようになる。また、請求項9にかかる発明においては、請求項5にかかる位置情報提供システムを構成する位置情報提供サーバを提供することができるようになる。
【0042】
請求項10にかかる発明においては、携帯端末は、GPS受信機で受信したGPS衛星信号を受信信号処理部で処理したGPS受信データを測位要求部からの測位要求とともに前記位置情報提供サーバに送信する。従って、請求項1にかかる位置情報提供システムを構成する携帯端末を提供することができるようになる。また、請求項11にかかる発明においては、請求項2にかかる位置情報提供システムを構成する携帯端末を提供することができるようになる。
【0043】
請求項12にかかる発明においては、請求項6にかかる位置情報提供サーバを実現するプログラムを提供することができるようになる。
【0044】
請求項13にかかる発明においては、請求項10にかかる携帯端末を実現するプログラムを提供することができるようになる。また、請求項14にかかる発明においては、請求項11にかかる携帯端末を実現するプログラムを提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の具体例を実施例および図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施例1にかかる位置情報提供システムの構成および位置情報取得シーケンスを説明するためのブロック図である。図2は、本発明の実施例1にかかる位置情報提供システムの構成および地図情報取得シーケンスを説明するためのブロック図である。図3は、図1における携帯端末およびロケーションサーバの構成を示すブロック図であり、図3(a)は携帯端末のブロック図、図3(b)は、位置情報提供サーバにおけるロケーションサーバのブロック図である。図4は、図1、図2の位置情報提供システムの処理シーケンスを示すシーケンス図である。図5は、本発明の実施例2にかかる位置情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【実施例1】
【0046】
本発明の実施例1にかかる位置情報提供システム10は、図1のブロック図に示すように、携帯端末30と、携帯端末30に位置情報等を提供する位置情報提供サーバ20とから構成される。携帯端末30は、例えば、携帯電話でよく、その場合携帯端末は携帯電話基地局と無線通信し、携帯電話基地局からインターネット等のネットワークを経由して位置情報提供サーバ20に接続されて必要な情報の送受信を行う。
【0047】
携帯端末30は、GPS衛星信号を受信するGPS受信機(図示せず)は備えているが、GPS受信機で受信したGPS衛星信号を解析して受信場所(携帯端末)の位置(緯度・経度)を算出する解析手段は備えていない。ただし、解析手段に代わってGPS受信機が受信したGPS受信信号から位置解析に不必要な信号を除き、複数のGPS衛星信号からの受信時間差のデータのみを付加して配信サーバ21に送信する受信信号処理部を有するものである。従って、携帯端末側で位置(緯度・経度)を求める複雑な演算処理をする必要がなく、マイクロプロセッサのチップセットとして安価な、比較的処理能力の小さいチップセットを使用することができる。
【0048】
すなわち、携帯端末30は、図3(a)に示すように、GPS受信機31、受信信号処理部32、測位要求部33、配信情報記憶部34、操作・表示部35を備えている。GPS受信機31は、GPS衛星信号を受信し、受信信号処理部32は前述したように、GPS受信信号から位置解析に不必要な信号を除き、複数のGPS衛星信号からの受信時間差のデータのみを付加する処理を行う。測位要求部33は、携帯端末30が位置情報提供サーバ20に測位要求する際に測位要求を生成し、受信信号処理部32で処理したGPS衛星信号を位置情報提供サーバ20に送信する。配信情報記憶部34は、位置情報提供サーバ20から配信される配信情報(要求した測位の結果である情報)を記憶する。操作・表示部35は、ディスプレイ、キーなどから構成されるものであり、携帯端末30の操作、所望情報の入力、所望情報の表示を行うためのものである。
【0049】
位置情報提供サーバ20は、携帯端末30から各種の要求を受信し、また、携帯端末30に提供すべき位置情報等の配信を行う配信サーバ21と、GPS受信信号を解析して位置(緯度・経度)を算出するロケーションサーバ23と、特定の位置(緯度・経度)を含む所定のエリア(メッシュ状に区切られた)地図データ、道路データ、案内経路データなどの地図情報を携帯端末30に提供するマップサーバ25とから構成されている。それぞれのサーバを専用サーバとして効率よく構成することができるようになる。これに対して
配信サーバ21、ロケーションサーバ23、マップサーバ25は、1台のサーバにおいて前記の各サーバ機能をマルチタスクで時分割、平行処理する構成であってもよい。
【0050】
ロケーションサーバ23は、図3(b)に示すように、GPS受信データ解析・位置算出部231、マッチング処理部232、マップサーバ参照部233、測位データ記憶部234を備えている。GPS受信データ解析・位置算出部231は、携帯端末30からの測位要求とともに送られてきたGPS受信信号を解析して位置(緯度・経度)を算出する。GPS受信データ解析・位置算出部231で算出された携帯端末30の位置(緯度・経度)情報は、この位置情報は、高精度な演算処理をおこなっても周知のように誤差を含んでいるため、マッチング処理手段232に送られマッチング処理が行われる。なお、マッチング処理部232はマップサーバ25に設けてもよく、その場合、マップサーバ参照部233はロケーションサーバ23に設ける必要はない。
【0051】
マッチング処理部232は、GPS受信データ解析・位置算出部231から位置情報(携帯端末30の位置)が送られると、マップサーバ参照部233によりマップサーバ25に蓄積されている地図データ、道路データあるいは案内経路データ等のデータを参照し、当該携帯端末30の位置を前記の地図データ、道路データあるいは案内経路データ等のデータ上にマッチング処理してマッチング位置データを生成する。そして、このマッチング位置データを携帯端末30の測位要求に対する測位データとして測位データ記憶部234に記憶する。これにより、位置情報提供サーバ20は、携帯端末30からの測位要求に対する測位データを蓄積することができる。もちろんこのマッチング位置データ(測位データ)は、配信サーバ21を経由して要求元の携帯端末30に配信される。これにより、携帯端末30は、位置情報提供サーバ20からマッチング処理済の高精度な測位情報を受信して利用することができるようになる。
【0052】
先ず、図1を参照して携帯端末30が測位要求を送信し、位置情報提供サーバ20が携帯端末の位置を算出するシーケンスについて説明する。携帯端末30において位置を測位する必要が生じると、携帯端末30は測位要求aを配信サーバ21に対して送信する。測位要求aは配信サーバ21からロケーションサーバ23に送られ、ロケーションサーバ23は、衛星情報bを配信サーバ21に送り、配信サーバ21はこの衛星情報を携帯端末30に配信する。ここで、衛星情報とはGPS衛星の軌道データ(エフェメリスデータ)であり、携帯端末30は位置情報提供サーバ20からGPS衛星の軌道情報を得ることによって、携帯端末30の現在位置において受信可能なGPS衛星を知ることができ、GPS衛星の捕捉を短時間で行えるようになる。
【0053】
衛星情報bの配信を受けた携帯端末30は、衛星情報bを参照して現在位置で受信可能なGPS衛星を知り、当該GPS衛星を捕捉してGPS衛星信号を受信する。携帯端末30は受信したGPS衛星信号から、位置算出に必要なデータのみを残し、受信時間差情報を付加したGPS衛星受信データcを配信サーバ21に送信する。配信サーバ21は携帯端末30から受信したGPS衛星受信データcをロケーションサーバ23に送り、ロケーションサーバ23は送られたGPS衛星受信データcを解析処理して携帯端末30の現在位置(緯度・経度)を算出する。
【0054】
ただし、携帯端末30が位置情報提供サーバ20に最初に測位要求をした際には位置情報提供サーバ20が携帯端末30の現在位置を把握していないため、携帯端末30の電波を受信した基地局の位置から受信可能な衛星情報を携帯端末30に配信することができる。一度位置情報提供サーバ20で携帯端末30の位置を把握すれば、以後、継続して一定の周期で携帯端末30が位置情報提供サーバ20に測位要求する場合には、位置情報提供サーバ20は携帯端末30の位置情報を蓄積管理して追跡して、携帯端末30が捕捉可能なGPS衛星の衛星情報を提供することができるようになる。
【0055】
その後、ロケーションサーバ23は、算出した現在位置をマップサーバ25に蓄積された地図データ、道路データ等を参照してマッチング処理して補正したマッチング位置データdを生成する。ロケーションサーバ23で生成したマッチング位置データdは、配信サーバ21を経由して携帯端末30に送られる。従って、携帯端末30は、マッチング処理済みのデータを位置情報提供サーバ20から受信して利用することができる。
【0056】
すなわち、携帯端末30は、前述の測位要求に続いて、位置情報提供サーバ20に地図要求を行い、マップサーバ25から携帯端末30の現在位置(ロケーションサーバ23で算出済みのマッチング位置データ)を含む一定範囲の地図データの配信を受け、先に受信したマッチング位置データに基づいて、地図データ上に現在位置を重ねることができる。従って、携帯端末30にはマッチング処理のための処理機能が不要であり、かつ、ロケーションサーバ23が測位した高精度な位置情報に基づいてマッチング処理を行っている(位置情報提供サーバ20側で行っている)ため、精度の高いマッチング位置データを携帯端末30に提供することができる。
【0057】
次に、上記のように、携帯端末30が位置情報提供サーバ20から地図情報の提供を受ける場合のシーケンスについて図2を参照して説明する。携帯端末30は、配信サーバ21に地図要求eを送信する。配信サーバ21は、携帯端末30から地図要求eを受信すると、当該携帯端末30に提供したマッチング位置データd(位置情報提供サーバ20は、携帯端末30の測位結果を全て把握している)とともに、地図要求をマップサーバ25に送る。マップサーバ25は、マッチング位置データdを含む一定範囲の地図データfを配信サーバ21経由で携帯端末30に送信する。
【0058】
図4は、以上説明した位置情報提供システム10の動作シーケンスを示すシーケンス図である。図4に示すように、携帯端末30は、先ず、測位要求aを位置情報提供サーバ20に送信し、衛星情報bを位置情報提供サーバ20から受信する。次いで、携帯端末30はGPS衛星から受信したGPS衛星受信データcを位置情報提供サーバ20に送信する。GPS衛星受信データcは位置情報提供サーバ20で携帯端末30の位置を算出するために不要なデータを除いた受信データに受信時間差情報を付加したものである。位置情報提供サーバ20はGPS受信データcに基づいて、携帯端末30の位置を算出し、この位置をマップサーバ25の地図データを参照して地図データにマッチング処理してマッチング位置データdを生成し、携帯端末30に送信する。
【0059】
次いで、位置情報提供サーバ20は携帯端末30から地図要求eを受信すると、携帯端末30に送信したマッチング位置データに基づいて、マッチング位置を含む一定範囲の地図データを携帯端末30に送信する。これにより携帯端末30は表示装置に地図とそれに重ねて携帯端末30の現在位置マーク(マッチング処理された位置)を表示することができるようになる。この一連のシーケンスを携帯端末30が移動する間、一定の周期で行えば、携帯端末30の表示画面上に表示された地図上を現在位置マークが移動して表示される。通常現在位置マークを表示画面の中央に設定し、地図がスクロール(移動)するようにして表示される。
【0060】
このような構成の位置情報提供システム10は、容易に携帯電話を携帯端末30とした通信型ナビゲーションシステムに適用することができる。すなわち、携帯端末30に目的地を入力して測位要求と経路探索要求を位置情報提供サーバ20に送信する機能を備え、位置情報提供サーバ20にダイクストラ法を用いた経路探索手段を備えるように構成すればよい。このように構成すれば、位置情報提供サーバ20が携帯端末30にマッチング位置データと該マッチング位置データを含む一定範囲の地図データ、道路データ、あるいは経路探索手段で探索した案内経路データを送ることによって、携帯端末30はマッチングされた現在位置と地図および道路あるいは案内経路を表示してナビゲーションを受けることができるようになる。
【実施例2】
【0061】
図5は、本発明の実施例2にかかる位置情報提供システムの構成を示す図である。理解を容易にするため、図5において図1と同一の構成要素には同一の参照符号を付してある。図5に示す位置情報提供システム10は、携帯端末30が歩行用に、または、自動車に設置されて自動車用に使用される場合の何れにも対応できるように構成したものである。このため、図1の位置情報提供サーバ20におけるロケーションサーバ23が、図5においては徒歩用のロケーションサーバ23aと、自動車用のロケーションサーバ23bとの2つのサーバで構成されている。また、携帯端末30および歩行者用のロケーションサーバ23a、自動車用のロケーションンサーバ23bの構成は図3(a)、図3(b)に示した携帯端末30とロケーションンサーバ20の構成と同一の構成である。このように構成することによって、携帯端末30の利用用途別に効率よく測位を行うことができるようになる。
【0062】
従って、携帯端末30から測位要求が徒歩用のロケーションサーバ23aに出された場合、ロケーションサーバ23aが参照するマップサーバ25の地図データは、歩行者用の経路ネットワークのデータであり、測位要求が自動車用のロケーションサーバ23bに出された場合、ロケーションサーバ23bが参照するマップサーバ25の地図データは自動者用の道路ネットワークのデータである。このため、マップサーバ25には、歩行者用の経路ネットワークデータと自動車用の道路ネットワークデータを蓄積しておく。携帯端末30と位置情報提供サーバ20との間の測位要求から位置情報(マッチング位置データ)の提供、および、地図データの配信要求から要求された地図データの配信の処理シーケンスは、図1の位置情報提供システム10と同様であり、以下に概略を説明するに止める。
【0063】
例えば、携帯端末30が徒歩用に使用される場合、携帯端末30において位置を測位する必要が生じると、携帯端末30は徒歩用のロケーションサーバ23aに対する測位要求aを配信サーバ21に送信する。測位要求aは配信サーバ21からロケーションサーバ23aに送られ、ロケーションサーバ23aは、衛星情報bを配信サーバ21に送り、配信サーバ21はこの衛星情報を携帯端末30に配信する。
【0064】
衛星情報bの配信を受けた携帯端末30は、衛星情報bを参照して現在位置で受信可能なGPS衛星を知り、当該GPS衛星を捕捉してGPS衛星信号を受信する。携帯端末30は受信したGPS衛星信号を処理して受信時間差情報を付加したGPS衛星受信データcを配信サーバ21に送信する。配信サーバ21は携帯端末30から受信したGPS衛星受信データcをロケーションサーバ23aに送り、ロケーションサーバ23aは送られたGPS衛星受信データcを解析処理して携帯端末30の現在位置(緯度・経度)を算出する。
【0065】
その後、ロケーションサーバ23aは、算出した現在位置をマップサーバ25に蓄積され徒歩用の地図データ、歩行者ネットワークデータを参照してマッチング処理して補正したマッチング位置データdを生成する。ロケーションサーバ23aで生成したマッチング位置データdは、配信サーバ21を経由して携帯端末30に送られる。その後、携帯端末30は、配信サーバ21に徒歩用の地図要求eを送信する。配信サーバ21は、携帯端末30から徒歩用の地図要求eを受信すると、当該携帯端末30に提供したマッチング位置データdとともに、徒歩用の地図要求をマップサーバ25に送る。マップサーバ25は、マッチング位置データdを含む一定範囲の地図データfを配信サーバ21経由で携帯端末30に送信する。
【0066】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかる位置情報提供システム10によれば、携帯端末30は、GPS衛星信号を受信してその受信データを位置情報提供サーバ20に送信し、携帯端末30の位置算出は位置情報提供サーバ20側で行い、かつ位置情報提供サーバ20で測位した携帯端末30の位置を地図データ、道路データ、案内経路データにマッチングするマッチング処理を行うように構成したため、携帯端末30側でGPS衛星信号を解析処理して位置を算出する複雑な演算処理を行う必要がなく、また、マッチング処理を行う必要もなくなるため、携帯端末を構成するCPUチップセットとして比較的安価なものを使用することができるようになる。
【0067】
一方、このような構成とすることによって、携帯端末30と位置情報提供サーバ20との間の通信量が増加するが、最近ではデータ通信のパケット料金の定額制が導入されており、通信コスト上の制約がなく、携帯端末30の利用者に負担増を強いることがなくなり、むしろ利用者には、携帯端末30の製品コストを抑制することができるメリットを提供することができる。
【0068】
本発明にかかる位置情報提供システムによれば、携帯端末30と位置情報提供サーバ20が、マッチング処理して求めたマッチング位置データを共有できる点が重要である。これにより携帯端末30がマッチング処理済の正確な位置情報を取得できるのはもちろんとして、位置情報提供サーバ20側で測位要求してきた携帯端末30の位置情報のログを取ることができる。これにより位置情報提供サーバ20がリアルタイムに携帯端末30の正確な位置を知ることができ、ナビゲーションの他にも応用範囲を拡大することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明にかかる位置情報提供システムによれば、これまでナビゲーションやマップマッチング、ルートマッチングなどのマッチング処理技術とは無縁であった携帯端末のアプリケーションにも、簡単に正確な現在位置を取得する手段を提供することができるようになる。例えば、デジタルカメラのアプリケーションで、デジタルカメラで撮影した画像に撮影位置情報を付加する機能が実現できる。また、老人や迷子の位置監視を行うシステムに適用することができる。これらの応用にあたって、携帯端末側にGPS受信機により受信したGPS衛星信号を受信解析して位置を算出する複雑な処理手段を設けることなく、GPS受信機と受信信号処理部(GPS衛星信号を多少加工を加えるのみ)を備えるだけでよく、装置を安価に構成できる。
【0070】
また、アプリケーション(コンテンツ)開発の側にとっては、GPS受信機等の基本的なハードウェア、処理プログラム等のソフトウェアは携帯端末に既に搭載済であり、多少の改変作業により所望のアプリケーションを開発できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施例1にかかる位置情報提供システムの構成および位置情報取得シーケンスを説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の実施例1にかかる位置情報提供システムの構成および地図情報取得シーケンスを説明するためのブロック図である。
【図3】図1における携帯端末およびロケーションサーバの構成を示すブロック図であり、図3(a)は携帯端末のブロック図、図3(b)は、位置情報提供サーバにおけるロケーションサーバのブロック図である。
【図4】図1、図2の位置情報提供システムの処理シーケンスを示すシーケンス図である。
【図5】本発明の実施例2にかかる位置情報提供システムの構成を示すブロック図である。
【図6】特許文献1に開示されたGPS地図通信表示システムの概念を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
10・・・・位置情報提供システム
20・・・・位置情報提供サーバ
21・・・・配信サーバ
23・・・・ロケーションサーバ
231・・・GPS受信データ解析・位置算出部
232・・・マッチング処理部
233・・・マップサーバ参照部
234・・・測位データ記憶部
25・・・・マップサーバ
30・・・・携帯端末
31・・・・GPS受信機
32・・・・受信信号処理部
33・・・・測位要求部
34・・・・配信情報記憶部
35・・・・操作・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS受信機と受信信号処理部と測位要求部とを有する携帯端末と、GPS受信データ解析・位置算出部とマッチング処理部とを有する位置情報提供サーバとからなる位置情報提供システムであって、
前記携帯端末は、GPS受信機で受信したGPS衛星信号を受信信号処理部で処理したGPS受信データを測位要求部からの測位要求とともに前記位置情報提供サーバに送信し、
前記位置情報提供サーバは、GPS受信データ解析・位置算出部により前記携帯端末から送られたGPS受信データに基づいて前記携帯端末の位置を算出し、当該位置をマッチング処理部によりマッチング処理したマッチング位置情報を生成し、前記携帯端末に配信することを特徴とする位置情報提供システム。
【請求項2】
前記受信信号処理部は、受信したGPS衛星信号から位置算出に必要のないデータを削除し、各GPS衛星信号の受信時間差情報を付加してGPS受信データとする処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の位置情報提供システム。
【請求項3】
前記位置情報提供サーバは、少なくとも、地図データ、道路データを備え、前記マッチング処理手段は、前記GPS受信データ解析・位置算出部が算出した携帯端末の位置を前記地図データ、道路データ上にマップマッチングしてマッチング位置情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の位置情報提供システム。
【請求項4】
前記位置情報提供サーバは、前記GPS受信データ解析・位置算出部を備えたロケーションサーバと、前記マッチング処理部を備えたマップサーバとから構成されることを特徴とする請求項3に記載の位置情報提供システム。
【請求項5】
前記ロケーションサーバは、徒歩用ロケーションサーバと自動車用ロケーションサーバの少なくとも2つの専用ロケーションサーバから構成したことを特徴とする請求項4に記載の位置情報提供システム。
【請求項6】
GPS受信機で受信したGPS衛星信号を受信信号処理部で処理したGPS受信データを測位要求部からの測位要求とともに送信する携帯端末に位置情報を提供する位置情報提供サーバであって、
前記位置情報提供サーバは、GPS受信データ解析・位置算出部により前記携帯端末から送られたGPS受信データに基づいて前記携帯端末の位置を算出し、当該位置をマッチング処理部によりマッチング処理したマッチング位置情報を生成し、前記携帯端末に配信することを特徴とする位置情報提供サーバ。
【請求項7】
前記位置情報提供サーバは、少なくとも、地図データ、道路データを備え、前記マッチング処理手段は、前記GPS受信データ解析・位置算出部が算出した携帯端末の位置を前記地図データ、道路データ上にマップマッチングしてマッチング位置情報を生成することを特徴とする請求項6に記載の位置情報提供サーバ。
【請求項8】
前記位置情報提供サーバは、前記GPS受信データ解析・位置算出部を備えたロケーションサーバと、前記マッチング処理部を備えたマップサーバとから構成されることを特徴とする請求項7に記載の位置情報提供サーバ。
【請求項9】
前記ロケーションサーバは、徒歩用ロケーションサーバと自動車用ロケーションサーバの少なくとも2つの専用ロケーションサーバから構成したことを特徴とする請求項8に記載の位置情報提供サーバ。
【請求項10】
GPS受信データ解析・位置算出部とマッチング処理部とを備え、
GPS受信データ解析・位置算出部により携帯端末から送られたGPS受信データに基づいて前記携帯端末の位置を算出し、当該位置をマッチング処理部によりマッチング処理したマッチング位置情報を生成し、前記携帯端末に配信する位置情報提供サーバに測位要求を送信する携帯端末であって、
前記携帯端末は、GPS受信機で受信したGPS衛星信号を受信信号処理部で処理したGPS受信データを測位要求部からの測位要求とともに前記位置情報提供サーバに送信することを特徴とする携帯端末。
【請求項11】
前記受信信号処理部は、受信したGPS衛星信号から位置算出に必要のないデータを削除し、各GPS衛星信号の受信時間差情報を付加してGPS受信データとする処理を行うことを特徴とする請求項10に記載の携帯端末。
【請求項12】
GPS受信機で受信したGPS衛星信号を受信信号処理部で処理したGPS受信データを測位要求部からの測位要求とともに送信する携帯端末に位置情報を提供する位置情報提供サーバであって、GPS受信データ解析・位置算出部とマッチング処理部とを有する位置情報提供サーバを構成するコンピュータに、
前記携帯端末から送られたGPS受信データに基づいて前記携帯端末の位置を算出するGPS受信データ解析・位置算出部としての処理と、
前記算出した位置をマッチング処理したマッチング位置情報を生成するマッチング処理部としての処理と、を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
GPS受信データ解析・位置算出部とマッチング処理部とを備え、
GPS受信データ解析・位置算出部により携帯端末から送られたGPS受信データに基づいて前記携帯端末の位置を算出し、当該位置をマッチング処理部によりマッチング処理したマッチング位置情報を生成し、前記携帯端末に配信する位置情報提供サーバに測位要求を送信する携帯端末を構成するコンピュータに、
GPS受信機で受信したGPS衛星信号を受信信号処理部で処理したGPS受信データを測位要求部からの測位要求とともに前記位置情報提供サーバに送信する処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
前記携帯端末を構成するコンピュータに、受信したGPS衛星信号から位置算出に必要のないデータを削除し、各GPS衛星信号の受信時間差情報を付加してGPS受信データとする受信信号処理部としての処理を実行させることを特徴とする請求項13に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−64460(P2006−64460A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245344(P2004−245344)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】