説明

作業車両のハイブリッド駆動システム

【課題】エンジンの動力に電動モータの動力を組み合わせ、車軸とPTO軸を駆動する、従来の作業車両のハイブリッド駆動システムでは、モータ駆動時には、発電機−電動モータ系が一種の無段変速装置として作動するが、エンジン駆動時には、エンジンから車軸・PTO軸までのトレーンにはギア式有段変速装置しか介装されておらず、モータ駆動とエンジン駆動間の切換前後で変速操作の操作感覚が大きく異なる、という問題があった。
【解決手段】エンジン3から後輪7・7まで動力を伝達する走行系トレーン52に無段変速装置である主変速装置14を介装すると共に、該走行系トレーン52と、前記エンジン3からPTO軸11まで動力を伝達するPTO系トレーン53との両トレーンにおける動力伝達経路最上流位置にモータジェネレータ4を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと、該エンジンによる発電電力で駆動される電動モータと、該電動モータと前記エンジンの駆動を制御するコントローラとを備え、前記エンジンの動力に電動モータの動力を組み合わせることにより、走行輪の車軸と作業機のPTO軸を駆動する、作業車両のハイブリッド駆動システムに関し、特に、操作性に優れた駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車ばかりでなく、建設機械や農業機械においても、エンジンを駆動源とする発電機と、この発電機で発電した電力により駆動する電動モータとを備えたハイブリッド駆動システムに関する技術(例えば、特許文献1参照)が公知となっている。該技術によると、エンジンからの動力のみで駆動するエンジン駆動と、電動モータからの動力のみで駆動するモータ駆動のいずれか一方の駆動形式を選択し、選択した駆動形式によって、前後輪と作業機のPTO軸とを駆動し、多様な走行形式・作業形式への対応を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−269072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記技術において、モータ駆動の場合は、発電機−電動モータ系が一種の無段変速装置として作動するが、エンジン駆動の場合は、エンジンから前後輪までの動力を伝達する走行系トレーンと、エンジンからPTO軸まで動力を伝達するPTO系トレーンの両トレーンには、変速装置としてはギア式の有段変速装置しか介装されていないため、無段階の変速操作が行えない。このため、モータ駆動とエンジン駆動間の駆動形式切換前後では、変速操作の操作感覚が大きく異なり、走行操作・作業操作のいずれにおいても、変速操作性に劣る、という問題があった。
更に、前記電動モータからのモータ動力は、走行系トレーンでは動力伝達経路の下流位置から入力され、PTO系トレーンでは動力伝達経路の途中位置から入力されるため、前輪、後輪、PTO軸毎に電動モータが必要となり、部品点数の増加による部品コストの増加、伝達装置の大型化を招く、という問題があった。
加えて、エンジンの動力に電動モータの動力を合成できないため、作業車両の発進・加速、作業機の高負荷作業等の際に、電動モータによるエンジンのトルクアシスト機能が発揮できず、ハイブリッド駆動システムであるにもかかわらず、大幅な省エネルギ化とエンジン負荷の平準化は望めない、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、エンジンと、該エンジンによる発電電力で駆動される電動モータと、該電動モータと前記エンジンの駆動を制御するコントローラとを備え、前記エンジンの動力に電動モータの動力を組み合わせることにより、走行輪とPTO軸を駆動する、作業車両のハイブリッド駆動システムにおいて、前記エンジンから走行輪まで動力を伝達する走行系トレーンに無段変速装置を介装すると共に、該走行系トレーンと、前記エンジンからPTO軸まで動力を伝達するPTO系トレーンとの両トレーンにおける動力伝達経路最上流位置にモータジェネレータを設けたものである。
請求項2においては、前記走行系トレーンの変速部に、駆動側部材と空転側部材間を係脱してクラッチ操作を行う変速クラッチを設け、前記空転側部材に、前記モータジェネレータの発電電力で駆動される第1電動モータを連動連結し、該第1電動モータの動作により、前記コントローラを介して、前記駆動側部材の駆動回転速度に対して空転側部材の空転回転速度を同期制御するものである。
請求項3においては、前記作業車両は、二輪駆動モードと四輪駆動モードとを切り換え可能な駆動構成とし、前記走行輪は、二輪・四輪駆動モードにかかわらず駆動する主駆動輪と、二輪駆動モード時は無駆動状態になる補助駆動輪とから成り、該補助駆動輪には、前記モータジェネレータの発電電力で駆動される第2電動モータを連動連結するものである。
請求項4においては、前記主駆動輪と補助駆動輪の周速の差を検知可能な回転センサを設け、前記二輪駆動モードにおいて前記周速の差が所定値以上になると前記第2電動モータが駆動し、前記補助駆動輪に動力を伝達して四輪駆動モードに移行するものである。
請求項5においては、前記第2電動モータと補助駆動輪との間に、動力の断接を行う補助クラッチを設け、該補助クラッチは、ワンウェイクラッチ、または相対回転の遮断方向を切り換え可能なツーウェイクラッチとするものである。
請求項6においては、前記補助駆動輪は、操舵輪であって、旋回角を検知可能な旋回角センサを設け、前記四輪駆動モードにおいて前記旋回角が所定値以上になると前記第2電動モータが増速し、前記補助駆動輪の周速が主駆動輪の周速よりも大きい補助駆動輪増速駆動状態に移行するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1により、モータジェネレータにおいて、無段変速可能な電動モータの動力をエンジンの動力に合成して無段階の合成動力とし、作業車両の発進・加速、作業機の高負荷作業等の際には、この合成動力を、モータジェネレータよりも動力伝達経路下流側にある走行輪とPTO軸に伝達し、少なくとも、各変速段においては無段階の変速操作を行うことができ、該変速操作の操作感覚が略共通となって、走行操作・作業操作のいずれにおいても、変速操作性が向上する。更に、この無段階の合成動力により、電動モータによるエンジンのトルクアシスト機能を発揮することができ、大幅な省エネルギ化とエンジン負荷の平準化が図れると共に、走行輪、PTO軸毎の電動モータが不要となり、部品点数の減少による部品コストの低減、部品配置空間縮小による伝達装置の小型化が図れる。加えて、作業車両の高速走行等のように、トルク特性の点からエンジンの動力のみを使用する際でも、走行系トレーンに介装した前記無段変速装置により、無段階の変速動力を走行輪に伝達し、少なくとも各変速段において無段階の変速操作を行うことができ、その間の変速操作の操作感覚が大きくは変化しない。
請求項2により、前記モータジェネレータの発電電力を利用して第1電動モータを駆動するだけで、空転側部材の空転回転速度を駆動側部材の駆動回転速度に同期させ、変速クラッチを円滑かつ静粛に接続することができ、シンクロメッシュ等のように複雑な同期機構が不要となり、例えば、変速クラッチとしてドグクラッチ等を使用することができ、部品コストの低減、メンテナンス性の向上を図ることができる。
請求項3により、前記モータジェネレータの発電電力を利用して第2電動モータを駆動するだけで、無段階の変速動力を補助駆動輪に伝達することができ、エンジンから補助駆動輪までの動力伝達経路が不要となり、変速操作の操作感覚は変化させることなく、部品点数の減少による部品コストの低減、部品配置空間縮小による伝達装置の小型化が図れる。
請求項4により、圃場間移動等の路上走行の際に二輪駆動モードを選択していても、補助駆動輪がスリップして主駆動輪との周速差が所定値以上になると、自動的に四輪駆動モードに移行してスリップ状態から脱することができ、軟弱地盤等における走行性能の向上を図ることができる。
請求項5により、補助クラッチがワンウェイクラッチの場合は、摩擦クラッチにおける引きずりトルクのような回転抵抗が生じないため、第2電動モータの回転を停止したときの連れ回りが防止され、電動モータの耐久性等が向上する。更に、補助クラッチがツーウェイクラッチの場合は、作業車両の前進時と後進時の両方で、第2電動モータを補助駆動輪の連れ回りから保護でき、第2電動モータの耐久性等が一層向上すると共に、ワンウェイクラッチのように変速クラッチを他方向進行用として別個に設ける必要がなく、部品点数の減少による部品コストの低減を図ることができる。
請求項6により、四輪駆動モード時に旋回角が所定値以上になると、自動的に補助駆動輪増速駆動状態に移行して補助駆動輪を高速で旋回させることができ、スリップや引きずりをなくすことができ、四輪駆動モードにおける旋回性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係わる作業車両の全体構成を示す平面模式図である。
【図2】作業車両の各駆動制御に関するブロック図である。
【図3】同期制御の手順を示すフローチャート図である。
【図4】スリップ制御、前進増速制御の手順を示すフローチャート図である。
【図5】昇降機構の側面図である。
【図6】別形態の作業車両1Aの平面模式図である。
【図7】別形態の作業車両1Bの平面模式図である。
【図8】PTO軸の駆動制御に関するブロック図である。
【図9】PTO軸の駆動制御の手順を示すフローチャート図である。
【図10】別形態の作業車両1Cの平面模式図である。
【図11】動力源の配置構成を示す作業車両1Dの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、図1の矢印Fで示す方向を作業車両1の前進方向とし、以下で述べる各部材の位置や方向等はこの前進方向を基準とするものである。
【0009】
まず、本発明に係わる作業車両1の全体構成について、図1により説明する。
該作業車両1は、後述するようにして四輪駆動可能なトラクタ等であって、機体前方には、エンジン3とモータジェネレータ4から成る動力ユニット5が搭載され、該動力ユニット5の後方には、主変速装置14・副変速装置15を備える後車軸駆動装置13が連動連結され、該後車軸駆動装置13に、左右一対の後輪7・7を支持する後車軸10・10が支承される。更に、該後車軸駆動装置13には、ロータリー装置等の作業機8に動力を出力するためのPTO軸11が後部に軸支され、該PTO軸11の前端は、PTO変速装置16を介して、前記動力ユニット5に連動連結されている。
【0010】
これにより、前記動力ユニット5からの動力は、後車軸駆動装置13に伝達されて、前記主変速装置14・副変速装置15で変速された後、前記後車軸10・10から後輪7・7に伝達され、該後輪7・7を駆動可能としている。同様に、前記動力ユニット5からの動力は、途中で分岐して、前記PTO変速装置16に伝達され、該PTO変速装置16で変速された後、前記PTO軸11から作業機8に伝達され、該作業機8を駆動可能としている。
【0011】
更に、前記後車軸駆動装置13の前方には、該後車軸駆動装置13とは別駆動の前車軸駆動装置12が配置されている。該前車軸駆動装置12には、左右一対の前輪6・6を支持する前車軸9・9が支承されると共に、該前車軸9・9を駆動する第2電動モータM2が内蔵されており、これにより、該第2電動モータM2からの動力が前車軸9・9から前輪6・6に伝達され、該前輪6・6を駆動可能としている。
【0012】
次に、前記動力ユニット5、後車軸駆動装置13、前車軸駆動装置12の詳細構造と、それらの動力伝達構成について、図1、図2により説明する。
このうちの動力ユニット5において、前記モータジェネレータ4は、エンジン3と動力出力軸19との間に介装され、エンジン3の駆動をアシストする無段変速可能な電動モータとして作動し、あるいは、エンジン3を駆動源に発電する発電機として作動する。更に、モータジェネレータ4には、昇圧コンバータ部17aとインバータ部17bを内蔵するハイブリッド用のインバータ17が接続され、該インバータ17には、バッテリ18とコントローラ100とが接続され、該コントローラ100には、前記エンジン3にかかる負荷を検知するエンジン負荷センサ43が接続されている。
【0013】
このような構成において、前後輪6・7や作業機8の作動に伴ってエンジン負荷が増加し、前記エンジン負荷センサ43により検知されたエンジン負荷の値が所定値以上となる場合は、コントローラ100からインバータ17にモータ駆動信号が送信される。すると、該モータ駆動信号に基づいて、前記バッテリ18に蓄えられた直流電力が、前記インバータ17内の昇圧コンバータ部17aによって昇圧され、該昇圧された直流電力は、前記インバータ部17bによって交流電力に変換された後、前記モータジェネレータ4に供給されて、該モータジェネレータ4は電動モータとして作動する。
【0014】
これにより、モータジェネレータ4の無段階の動力が、エンジン3のクランク軸と連結しているモータジェネレータ4の駆動軸を介して、エンジン3の動力に合成され、無段階の合成動力として動力ユニット5から出力され、エンジン負荷の一部を賄うトルクアシスト機能が発揮される。
【0015】
該トルクアシスト機能によると、モータジェネレータ4よりも動力伝達経路下流側にある変速装置に対して無段階の合成動力を伝達できる。このため、該変速装置が、たとえ前記副変速装置15・PTO変速装置16のような有段変速タイプであっても、各変速段においては、無段階の変速操作が可能となる。
【0016】
逆に、エンジン負荷が小さくて所定値未満の場合は、エンジン3からの出力の余裕分でモータジェネレータ4が発電機として作動し、発電された交流電力は、前記インバータ17内のインバータ部17bによって直流電力に変換され、該変換された直流電力は、前記昇圧コンバータ部17aによって昇圧された後、前記バッテリ18に蓄えられる。これにより、モータジェネレータ4による充電機能が発揮される。
【0017】
なお、このようなエンジン3の運動エネルギに加えて、作業時に各部で発生する位置エネルギ等も、後述のようにして、電気エネルギに変換して回生され、前記バッテリ18に蓄えられる。これにより、充電機能の適用範囲が拡大し、エンジン3の平均必要馬力を低くすることができ、必要なエンジン3の小型化も図れる。
【0018】
また、前記後車軸駆動装置13において、前記動力出力軸19は、メインクラッチ20を介して、前記主変速装置14への入力軸であるポンプ軸24に連結され、前記動力ユニット5からの動力が、前記主変速装置14に対して断接可能に伝達される。
【0019】
該主変速装置14は、油圧式の無段変速装置であって、可変容積型の油圧ポンプ21と固定容積型の油圧モータ22が一対のメイン油路23a・23bによって流体的に接続された閉回路で構成される。そして、該閉回路において、前記油圧ポンプ21の可動斜板21aの斜板角度を調整することにより、前記動力出力軸19からポンプ軸24を介して油圧ポンプ21に入力される動力の回転数と回転方向が自在に変更され、主変速動力として、前記油圧モータ22のモータ軸25から出力される。
【0020】
この際、前記可動斜板21aには、トラニオン軸等を介して電動シリンダ等の電動式アクチュエータ111が連動連結されており、該電動式アクチュエータ111は、前記インバータ17に接続されている。
【0021】
このような構成において、主変速レバー26を操作すると、該主変速レバー26からコントローラ100にレバー位置信号が送信され、該レバー位置信号に基づいて、コントローラ100から前記インバータ17に主変速指令信号が送信される。すると、該主変速指令信号に基づいて、前記バッテリ18の電力がインバータ17から電動式アクチュエータ111に供給され、該電動式アクチュエータ111が作動して前記可動斜板21aが傾動し、主変速が行われる。
【0022】
すなわち、前記主変速装置14は、電動式アクチュエータ111により変速操作し、該電動式アクチュエータ111は、前記モータジェネレータ4によって蓄えられた電力によって駆動するので、油圧式に比べて小型であり、更に、油圧配管等の設置空間が不要な電動式アクチュエータ111を用い、しかも、該電動式アクチュエータ111駆動のための電力源を別途に設けることなく、前記主変速装置14の変速操作を行うことができ、主変速装置14のコンパクト化と構造の簡素化を図ることができる。
【0023】
前記油圧モータ軸25は、主変速装置14から後方に突出して、副変速装置15の副変速入力軸27と連結され、前記主変速装置14からの主変速動力が副変速装置15に伝達される。
【0024】
該副変速装置15は、ギア式の有段変速装置であって、前記副変速入力軸27上には、前後に小径入側ギア28と大径入側ギア29が固設される。そして、前記副変速入力軸27と略平行に後輪駆動軸32が配置され、該後輪駆動軸32の前半部には、前後に大径出側ギア30と小径出側ギア31が相対回転可能に嵌設されており、このうちの大径出側ギア30が小径入側ギア28と噛合して低速ギア列28・30が形成され、小径出側ギア31が大径入側ギア29と噛合して高速ギア列29・31が形成される。
【0025】
更に、前記後輪駆動軸32上において、前記大径出側ギア30と小径出側ギア31との間には、スプラインハブ106が相対回転不能に係合され、該スプラインハブ106には、シフタ106aが軸芯方向摺動自在かつ相対回転不能に係合されている。一方、大径出側ギア30でスプラインハブ106側に向かう部分にはクラッチ歯部30aが形成され、同じく、小径出側ギア31でスプラインハブ106側に向かう部分にはクラッチ歯部31aが形成されており、これらスプラインハブ106、シフタ106a、クラッチ歯部30a・31a等からドグクラッチ式の副変速クラッチ34が形成されている。
【0026】
加えて、前記シフタ106aは、フォーク等のリンク機構を介して油圧シリンダ105のロッド105aに連結され、該油圧シリンダ105内の油室は、油路を介して電磁切替弁112と連通されている。
【0027】
このような構成において、副変速レバー33を操作すると、該副変速レバー33からコントローラ100にレバー位置信号が送信され、該レバー位置信号に基づいて、コントローラ100から前記電磁切替弁112に副変速指令信号が送信される。すると、該副変速指令信号に基づいて、電磁切替弁112のソレノイドが励磁されて所定の励磁位置に切り替わり、油圧シリンダ105に作動油が供給されてロッド105aが伸縮する。
【0028】
これにより、前記シフタ106aがクラッチ歯部30aと係合して前記低速ギア列28・30が選択される低速度段、前記シフタ106aがクラッチ歯部30a・31aのいずれとも係合しない中立状態、及び前記シフタ106aがクラッチ歯部31aと係合して高速ギア列29・31が選択される高速度段のうちのいずれかを選択可能な主変速が行われる。
【0029】
なお、後輪駆動軸32の前端には、後で詳述する同期制御のための第1電動モータM1のモータ軸が連動連結され、該第1電動モータM1は、前記インバータ17に接続されている。
【0030】
前記後輪駆動軸32は、副変速装置15から後方に突出し、その突出端にはベベルギア35が固設され、該ベベルギア35には、後輪差動装置37のリングギア36が噛合されており、該後輪差動装置37を介して、左右の後輪7・7を支承する後車軸10・10が差動連結される。
【0031】
以上のような構成により、前記動力ユニット5の動力は、動力出力軸19、主変速装置14、副変速入力軸27、副変速装置15、後輪駆動軸32、後輪差動装置37、及び後車軸10・10から成る動力伝達経路(以下、「走行系トレーン」とする)52を介して、左右の後輪7・7に伝達される。
【0032】
また、前記後車軸駆動装置13において、その動力出力軸19上で、前記メインクラッチ20と主変速装置14との間には、分岐駆動ギア39が固設される。そして、前記動力出力軸19と略平行にPTO伝動軸41が配置され、該PTO伝動軸41の前端には分岐従動ギア40が固設され、該分岐従動ギア40は前記分岐駆動ギア39と噛合されている。
【0033】
更に、前記PTO伝動軸41の前後途中部には、PTOクラッチ42が介設されると共に、PTO伝動軸41の後半部には、前後に小径入側44と大径入側45が固設される。そして、前記PTO伝動軸41と略平行にPTO軸11が配置され、該PTO軸11の前半部には、前後に大径出側ギア46と小径出側ギア47が相対回転可能に嵌設されており、このうちの大径出側ギア46が小径入側ギア44と噛合して低速ギア列44・46が形成され、小径出側ギア47が大径入側ギア45と噛合して高速ギア列45・47が形成される。
【0034】
そして、前記副変速クラッチ34と同様にして、シフタ49aを有するスプラインハブ49、クラッチ歯部46a・47a等からPTO変速クラッチ51が形成されると共に、該PTO変速クラッチ51は、電磁切替弁50で作動する油圧シリンダ48によって操作されるようにしている。
【0035】
これにより、前記低速ギア列44・46が選択される低速度段、いずれのギア列も選択されない中立状態、及び前記高速ギア列45・47が選択される高速度段のうちのいずれかを選択可能なPTO変速が行われる。なお、前記PTO軸11は、PTO変速クラッチ51から後方に突出し、その突出部は、作業機8の図示せぬ入力部分に連動連結されている。
【0036】
以上のような構成により、前記動力ユニット5の動力は、動力出力軸19、PTO伝動軸41、PTOクラッチ42、PTO変速装置16、PTO軸11から成る動力伝達経路(以下、「PTO系トレーン」とする)53を介して、作業機8に伝達される。
【0037】
該PTO系トレーン53と前記走行系トレーン52には、作業車両1の発進・加速、作業機8の高負荷作業等の際は、前記トルクアシスト機能が発揮されて、エンジン3の動力とモータジェネレータ4の動力との合成動力が伝達される。高速走行の際は、エンジン3の動力のみが伝達され、低速走行の際は、充電機能を発揮しつつ、モータジェネレータ4の動力のみが伝達される。
【0038】
ここで、前述の如く、動力伝達経路最上流位置にあるモータジェネレータ4の動力は無段階であると共に、走行系トレーン52の途中部に配置する主変速装置14は油圧式の無段変速装置であることから、走行系トレーン52・PTO系トレーン53を介して後輪7・7とPTO軸11に伝達される動力は、エンジン3の動力のみ、トルクアシスト時の合成動力、モータジェネレータ4の動力のみのいずれの場合であっても、常に無段階で変速可能である。
【0039】
従って、副変速装置15・PTO変速装置16において高低二段のいずれかの速度段に設定した後、設定した速度段にて無段階の変速操作を行うことができる。更には、合成動力を適正に制御することにより、副変速装置15・PTO変速装置16において高低二段間の変速操作の前後の速度を等しくし、実質的に無段階の変速操作を行うことも可能である。
【0040】
すなわち、エンジン3と、該エンジン3による発電電力で駆動される電動モータであるモータジェネレータ4と、該モータジェネレータ4と前記エンジン3の駆動を制御するコントローラ100とを備え、前記エンジン3の動力にモータジェネレータ4の動力を組み合わせることにより、走行輪である後輪7・7とPTO軸11を駆動する、作業車両1のハイブリッド駆動システムにおいて、前記エンジン3から後輪7・7まで動力を伝達する走行系トレーン52に無段変速装置である主変速装置14を介装すると共に、該走行系トレーン52と、前記エンジン3からPTO軸11まで動力を伝達するPTO系トレーン53との両トレーンにおける動力伝達経路最上流位置にモータジェネレータ4を設けたので、該モータジェネレータ4において、無段変速可能な電動モータとしての動力をエンジン3の動力に合成して無段階の合成動力とし、作業車両の発進・加速、作業機8の高負荷作業等の際には、この合成動力を、モータジェネレータ4よりも動力伝達経路下流側にある後輪7・7とPTO軸11に伝達し、少なくとも、各変速段においては無段階の変速操作を行うことができ、該変速操作の操作感覚が略共通となって、走行操作・作業操作のいずれにおいても、変速操作性が向上する。更に、この無段階の合成動力により、電動モータによるエンジン3のトルクアシスト機能を発揮することができ、大幅な省エネルギ化とエンジン負荷の平準化が図れると共に、後輪7・7、PTO軸11毎の電動モータが不要となり、部品点数の減少による部品コストの低減、部品配置空間縮小による伝達装置の小型化が図れる。加えて、作業車両1の高速走行等のように、トルク特性の点からエンジン3の動力のみを使用する際でも、走行系トレーン52に介装した前記主変速装置14により、無段階の変速動力を後輪7・7に伝達し、少なくとも各変速段において無段階の変速操作を行うことができ、その間の変速操作の操作感覚が大きくは変化しない。
【0041】
また、前記前車軸駆動装置12において、前記第2電動モータM2は、前記インバータ17に接続されると共に、第2電動モータM2のモータ軸は、前方に突出して前輪駆動軸54に連動連結され、該前輪駆動軸54の途中部に、前輪クラッチ55が介設される。該前輪駆動軸54の前端には、ベベルギア56が固設され、該ベベルギア56には、前輪差動装置38のリングギア57が噛合されており、該前輪差動装置38を介して、左右の前輪6・6を支承する前車軸9・9が差動連結されている。
【0042】
そして、前記前輪クラッチ55には、ワンウェイクラッチまたは、ツーウェイクラッチが用いられる。前輪クラッチ55がワンウェイクラッチの場合は、作業車両1の前進時に前輪クラッチ55が接続されるように構成されており、インバータ17から第2電動モータM2に電力が供給され、該第2電動モータM2が駆動されると、前輪クラッチ55を介して前輪6・6が駆動され、二輪駆動モードから四輪駆動モードに移行する。これにより、作業車両1の発進性、加速性、段差や窪地等の乗り越し性等が向上する。
【0043】
インバータ17から第2電動モータM2への電力が遮断され、前記第2電動モータM2が停止されると、前記動力ユニット5からの動力によって後輪7・7のみが駆動する二輪駆動モードに移行する。この時、前輪6・6の先行回転によって、ワンウェイクラッチである前輪クラッチ55の接続が解除されるため、前輪6・6の連れ回りが第2電動モータM2から遮断され、連れ回りによる第2電動モータの回転が防止される。
【0044】
前輪クラッチ55がツーウェイクラッチの場合は、該ツーウェイクラッチ前後での相対回転の遮断方向を切り換えることができる構成となっており、作業車両1が、前進時だけでなく後進時にも、前輪6・6の連れ回りが第2電動モータM2から遮断され、連れ回りによる第2電動モータM2の回転が防止される。
【0045】
すなわち、前記作業車両1は、二輪駆動モードと四輪駆動モードとを切り換え可能な駆動構成とし、前記走行輪は、二輪・四輪駆動モードにかかわらず駆動する主駆動輪である後輪7・7と、二輪駆動モード時は無駆動状態になる補助駆動輪である前輪6・6とから成り、該前輪6・6には、前記モータジェネレータ4の発電電力で駆動される第2電動モータM2を連動連結するので、前記モータジェネレータ4の発電電力を利用して第2電動モータM2を駆動するだけで、無段階の変速動力を前輪6・6に伝達することができ、エンジン3から前輪6・6までの動力伝達経路が不要となり、変速操作の操作感覚は変化させることなく、部品点数の減少による部品コストの低減、部品配置空間縮小による伝達装置の小型化が図れる。
【0046】
更に、前記第2電動モータM2と補助駆動輪である前輪6・6との間に、動力の断接を行う補助クラッチである前輪クラッチ55を設け、該前輪クラッチ55は、ワンウェイクラッチ、または相対回転の遮断方向を切り換え可能なツーウェイクラッチであるので、前輪クラッチ55がワンウェイクラッチの場合は、摩擦クラッチにおける引きずりトルクのような回転抵抗が生じないため、第2電動モータM2の回転を停止したときの連れ回りが防止され、第2電動モータM2の耐久性等が向上する。更に、前輪クラッチ55がツーウェイクラッチの場合は、作業車両1の前進時と後進時の両方で、第2電動モータM2を前輪6・6の連れ回りから保護でき、第2電動モータM2の耐久性等が一層向上すると共に、ワンウェイクラッチのように変速クラッチを他方向進行用として、本実施例では後方進行用として別個に設ける必要がなく、部品点数の減少による部品コストの低減を図ることができる。
【0047】
次に、以上のような動力伝達構成における各種駆動制御構成について、図1乃至図4により説明する。
図1乃至図3に示すように、前記副変速装置15には、前記副変速入力軸27の回転速度を検知する入力軸回転センサ101と、前記後輪駆動軸32の回転速度を検知する後輪駆動軸回転センサ102とが配置され、これら両回転センサ101・102は、いずれも前記コントローラ100に接続されている。
【0048】
このような構成において、前記副変速レバー33を操作して、前記低速ギア列28・30を選択する低速位置、中立状態を選択する中立位置、高速ギア列29・31を選択する高速位置いずれかに設定する(ステップS1)。
【0049】
副変速レバー33が、中立位置にはなく低速位置または高速位置に設定されていると(ステップS1:NO)、前記入力軸回転センサ101・後輪駆動軸回転センサ102から、それぞれ入力軸回転速度信号・後輪駆動軸回転速度信号がコントローラ100に読み込まれる(ステップS2)。
【0050】
続いて、該入力軸回転速度信号から求めた副変速入力軸27の回転速度と、低速ギア列28・30または高速ギア列29・31のギア比と基づいて、出側ギア30・31の回転速度V1を算出する(ステップS3)。そして、この算出した出側ギア30・31のうち回転中の出側ギアの回転速度V1が、前記後輪駆動軸回転速度信号から求めた後輪駆動軸32の回転速度V2に略等しいか否かを判断する(ステップS4)。
【0051】
両回転速度V1・V2が略等しければ(ステップS4:YES)、コントローラ100から前記電磁切替弁112に副変速指令信号を送信し、油圧シリンダ105を作動させて副変速クラッチ34を接続する(ステップS6)。
【0052】
両回転速度V1・V2が略等しくなければ(ステップS4:NO)、コントローラ100からインバータ17に同期駆動信号が送信され、該インバータ17から第1電動モータM1に電力が供給されて、該第1電動モータM1により、両回転速度V1・V2が略等しくなるまで、前記後輪駆動軸32が増減速される(ステップS5)。そして、この同期駆動が行われた後に、前記ステップS6が実行される。
【0053】
これにより、前記副変速レバー33が中立位置にあって、シフタ106aがクラッチ歯部30a・31aのいずれとも係合しておらず、後輪7・7の連れ回りで後輪駆動軸32が空転している場合に、前記インバータ17から電力が供給される第1電動モータM1を利用するだけで、このような同期制御が容易に可能となる。
【0054】
すなわち、前記走行系トレーン52の変速部である副変速装置15に、駆動側部材である出側ギア30・31と空転側部材である後輪駆動軸32間を係脱してクラッチ操作を行う変速クラッチである副変速クラッチ34を設け、前記後輪駆動軸32に、前記モータジェネレータ4の発電電力で駆動される第1電動モータM1を連動連結し、該第1電動モータM1の動作により、前記コントローラ100を介して、駆動回転速度である前記出側ギア30・31の回転速度V1に対して、空転回転速度である後輪駆動軸32の回転速度V2を同期制御するので、前記モータジェネレータ4の発電電力を利用して第1電動モータM1を駆動するだけで、後輪駆動軸32の回転速度V2を出側ギア30・31の回転速度V1に同期させ、副変速クラッチ34を円滑かつ静粛に接続することができ、シンクロメッシュ等のように複雑な同期機構が不要となり、例えば、副変速クラッチ34としてドグクラッチ等を使用することができ、部品コストの低減、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0055】
また、図1、図2,図4に示すように、前記前車軸駆動装置12には、前輪駆動軸54の回転速度を検知する前輪駆動軸回転センサ103が配置されると共に、操向ハンドル58のハンドル回転軸59近傍には、作業車両1の旋回角を検知する旋回角センサ104が配置されており、これら前輪駆動軸回転センサ103・旋回角センサ104は、いずれも前記コントローラ100に接続される。
【0056】
このような構成において、コントローラ100からインバータ17にモータ駆動信号が送信されているか否か、すなわち、該モータ駆動信号により、インバータ17から第2電動モータM2に電力が供給されて四輪駆動モードにあるか否かが判断される(ステップS11)。
【0057】
モータ駆動信号が送信されておらず、二輪駆動モードにあることが判明すると(ステップS11:NO)、前記前輪駆動軸回転センサ103・後輪駆動軸回転センサ102から、それぞれ前輪駆動軸回転速度信号・後輪駆動軸回転速度信号がコントローラ100に読み込まれる(ステップS12)。
【0058】
続いて、前記前輪駆動軸回転速度信号から求めた前輪駆動軸54の回転速度、前輪6・6の車輪径、後輪駆動軸回転速度信号から求めた後輪駆動軸32の回転速度、及び後輪7・7の車輪径に基づいて、前輪6・6と後輪7・7の各周速を算出する(ステップS13)。そして、この算出した前輪6・6の周速V3と後輪7・7の周速V4との差の絶対値が、所定値ΔV0よりも大きいか否かを判断する(ステップS14)。
【0059】
両周速V3・V4の差の絶対値が所定値ΔV0よりも大きければ(ステップS14:YES)、コントローラ100からインバータ17にモータ駆動信号が送信され、該モータ駆動信号により第2電動モータM2に電力が供給されて四輪駆動モードに移行する(ステップS15)。両周速V3・V4の差の絶対値が所定値ΔV0以下であれば(ステップS14:NO)、二輪駆動モードに保持されたまま、再びステップS12以降のプロセスを実行する。
【0060】
このようなスリップ制御により、二輪駆動モード中にスリップし、前輪6・6と後輪7・7の周速間に大きな差が生じた場合は、自動的にインバータ17から第2電動モータM2に電力が供給されて前輪6・6が駆動し、四輪駆動モードに移行してスリップ状態から迅速に脱することができる。
【0061】
一方、モータ駆動信号が送信されており、四輪輪駆動モードにあることが判明すると(ステップS11:YES)、前記旋回角センサ104から旋回角信号がコントローラ100に読み込まれる(ステップS16)。
【0062】
そして、この旋回角信号から求めた作業車両1の旋回角θが、所定の旋回角θ0よりも大きいか否かを判断する(ステップS17)。旋回角θが所定の旋回角θ0よりも大きければ(ステップS17:YES)、前輪増速駆動状態へ移行する(ステップS18)。
【0063】
ここで、本実施例の如く、前輪6・6が操舵輪の場合は、旋回角θが大きくなるに従い、前輪6・6の旋回半径が後輪7・7の旋回半径よりも大きくなり、前輪6・6と後輪7・7にスリップや引きずりが発生する。従って、前記前輪増速駆動状態に移行することにより、前輪6・6を後輪7・7よりも高速で旋回させることができ、前輪6・6と後輪7・7をすれることなく一緒に旋回させることができる。
【0064】
旋回角θが所定の旋回角θ0以下であれば(ステップS17:NO)、前後輪等速状態のまま、再びステップS16以降のプロセスを実行する。
【0065】
このような前進増速制御により、四輪駆動モード中に大きな角度で旋回すると、自動的にインバータ17から第2電動モータM2に大きな電力が供給され、前輪6・6が増速して前輪増速駆動状態に移行し、安定した旋回が可能となる。
【0066】
すなわち、前記主駆動輪である後輪7・7の周速V4と補助駆動輪である前輪6・6の周速V3の差を検知可能な回転センサである後輪駆動軸回転センサ102・前輪駆動軸回転センサ103を設け、前記二輪駆動モードにおいて前記周速の差が所定値ΔV0以上になると前記第2電動モータM2が駆動し、前記前輪6・6に動力を伝達して四輪駆動モードに移行するので、圃場間移動等の路上走行の際に二輪駆動モードを選択していても、前輪6・6がスリップして後輪7・7との周速差が所定値ΔV0以上になると、自動的に四輪駆動モードに移行してスリップ状態から脱することができ、軟弱地盤等における走行性能の向上を図ることができる。
【0067】
更に、前記補助駆動輪である前輪6・6は、操舵輪であって、旋回角θを検知可能な旋回角センサ104を設け、前記四輪駆動モードにおいて前記旋回角θが所定値θ0以上になると前記第2電動モータM2が増速し、前記前輪6・6の周速V3が後輪7・7の周速V4よりも大きい補助駆動輪増速駆動状態である前輪増速駆動状態に移行するので、四輪駆動モード時に旋回角θが所定値以上になると、自動的に前進増速駆動状態に移行して前輪6・6を高速で旋回させることができ、スリップや引きずりをなくすことができ、四輪駆動モードにおける旋回性能の向上を図ることができる。
【0068】
次に、前記作業車両1における作業機8の昇降機構61とその駆動制御等について、図1、図2、図5により説明する。
図1、図5に示すように、該昇降機構61において、車体フレーム63の後端上側に正面視門型のヒッチフレーム64が固設され、該ヒッチフレーム64の上下部には、それぞれトップリンク66とロワリンク67を介して、ヒッチ65の上下部が回動可能に連結され、該ヒッチ65の後部に前記作業機8が係止されるようにしている。
【0069】
そして、前記ロワリンク67の前から立設された基板69の上端と、前記ロワリンク67間に、リンクフレーム68が側面視三角形となるように連結され、該リンクフレーム68の前端と前記基板69の上端との連結部には、ピン74を介して、昇降シリンダ70の後ピストンロッド78の後端が連結されている。
【0070】
該昇降シリンダ70は、車体フレーム63内に配設された前後復動タイプであって、シリンダ75内にピストン76が前後摺動可能に内挿されており、該ピストン76の前後端面から、それぞれ前ピストンロッド77と前記後ピストンロッド78とが前後に突出されると共に、シリンダ75内には、ピストン76を挟んで前後に、それぞれ前油室79と後油室80とが形成されている。
【0071】
更に、前記車体フレーム63には、前記インバータ17に接続される発電機73・電動モータM5と、該電動モータM5のモータ出力軸にポンプ軸71aを連結した油圧ポンプ71とが配設されている。そして、このうちの発電機73は、前記前ピストンロッド77の前端に連結されると共に、前記油圧ポンプ71は、一対の油路81・81を介して、前記前油室79と後油室80とに連通されている。
【0072】
このような構成において、図2、図5に示すように、昇降レバー82が操作され、コントローラ100からインバータ17に上昇信号が送信されると、該インバータ17から前記電動モータM5に電力が供給されて駆動し、前記油圧ポンプ71から後油室80に向かって圧油が供給される。すると、後ピストンロッド78が前方に摺動して、リンクフレーム68が前方に牽引され、ヒッチ65に係止された作業機8が上昇する。
【0073】
逆に、昇降レバー82が操作され、コントローラ100からインバータ17に下降信号が送信されると、該インバータ17から前記電動モータM5には、モータ出力軸が逆向きに回転するように電力が供給される。すると、前記油圧ポンプ71から前油室79に向かって圧油が供給され、後ピストンロッド78が後方に摺動して、リンクフレーム68が後方に押し出され、ヒッチ65に係止された作業機8が下降する。
【0074】
更に、このような作業機8の昇降に応じて前ピストンロッド77が前後動すると、前記発電機73が作動し、その回生電力がインバータ17に送られて、前記モータジェネレータ4によるトルクアシスト機能・充電機能に用いられるようにしている。
【0075】
すなわち、作業機8を昇降する油圧式の昇降シリンダ70と、該昇降シリンダ70に圧油を給排する油圧ポンプ71と、該油圧ポンプ71を駆動する電動モータM5とを設け、該電動モータM5は、前記モータジェネレータ4の発電電力で駆動するので、エンジン3から油圧ポンプ71までの該油圧ポンプ71駆動用のギア式伝達装置等が不要となり、部品点数の減少による部品コストの低減、部品配置空間縮小による作業車両1の小型化が図れる。
【0076】
更に、前記油圧ポンプ71は、復動タイプに構成し、作業機8に連結するピストンロッドである後ピストンロッド78とは反対側のピストンロッドである前ピストンロッド77に発電機73を連動連結し、該発電機73による発電電力を前記モータジェネレータ4に供給可能とするので、作業機8の上昇運動・下降運動による運動エネルギを電気エネルギとして回生することができ、高いエネルギ効率が得られる。特に、作業機8の下降時には、第5電動モータM5は駆動せず、下降動作を作業機8の自重だけで行うようにしてもよく、この場合は、電力を全く消費することなく、エネルギ回生だけを行うことができ、エネルギ効率が更に向上する。なお、以下には作業車両1の各種別形態について説明するが、同じ部材については、前記作業車両1と同一の符号・部材名を使用するものである。
【0077】
次に、前記作業車両1の各種別形態について、図1、図2、図5乃至図11により説明する。
図6に示す作業車両1Aは、図1に示す作業車両1において、主変速装置14に替えて、ギア式の前後進切換装置83と、ベルト式無段変速装置84・遊星ギア機構85から成る無段変速機構99を、主変速装置86として配置して、油圧式の無段変速装置である前記主変速装置14よりも動力性能の向上を図ったものである。
【0078】
該主変速装置86においては、前記動力出力軸19は、前記メインクラッチ20、前後進切換装置83を介して、ベルト式無段変速装置84へのCVT入力軸88に連結されており、前記動力ユニット5からの動力が、前記前後進切換装置83で前進動力または後進動力(以下、「前後進動力」とする)に変換された後、CVT入力軸88からベルト式無段変速装置84に断接可能に伝達される。
【0079】
該ベルト式無段変速装置84は、第1可変プーリ90、第2可変プーリ91、及び両可変プーリ90・91間に巻回されるベルト92等から成る。そして、このうちの第1可変プーリ90は、前記CVT入力軸88の途中部に配設され、前記主変速レバー26に連結される図示せぬ油圧シリンダやモータ等のアクチュエータによって軸方向に往復移動可能に軸支される第1可変シーブ90aと、前記CVT入力軸88に固定された第1固定シーブ90bとにより構成される。
【0080】
更に、前記CVT入力軸88に略平行にCVT出力軸89が前後方向に配置され、該CVT入力軸88の前端に、前記第2可変プーリ91が配置される。該第2可変プーリ91は、図示しないバネ等の付勢手段により、軸方向に往復移動可能に軸支される第2可変シーブ91aと、前記CVT出力軸89に軸止された第2固定シーブ91bとにより構成される。
【0081】
このような構成において、図2に示す前記主変速レバー26を操作すると、前記アクチュエータによって第1可変シーブ90aが軸方向に移動し、第1可変プーリ90の溝幅が変化してベルト92との接触プーリ径が変化し、それに応じて、前記第2可変シーブ91aも軸方向に移動し、第2可変プーリ91の溝幅が変化してベルト92との接触プーリ径が変化する。
【0082】
このようにして、各可変プーリ90・91の溝幅を変化させることにより、ベルト式無段変速装置84の入力側および出力側のプーリ径を相対的に変化させ、変速比を無段階に変更することができ、前記前後進切換装置83からの前後進動力が、無段変速された後、CVT出力軸89から遊星ギア機構85に伝達される。
【0083】
該遊星ギア機構85は、中心のサンギア93と、該サンギア93の外周に配置・噛合されると共にキャリア96によって支持される複数のプラネタリギア94と、該プラネタリギア94の外周に噛合されたリング状のインターナルギア95とによって構成される。
【0084】
前記キャリア96は、前記CVT出力軸89上に相対回転可能に環設されると共に、キャリア96の外周にはギア96aが形成され、該ギア96aは逆転ギア98に噛合され、該逆転ギア98は、前記CVT入力軸88の後端に固設された出力ギア97と噛合されており、プラネタリギア94には、ベルト式無段変速装置84で変速される前の前後進動力が、そのまま入力されるようにしている。
【0085】
一方、前記CVT出力軸89の後端に前記サンギア93が固設されており、該サンギア93には、ベルト式無段変速装置84による変速動力が入力されるようにしている。そして、これらプラネタリギア94とサンギア93から入力された動力は合成され、無段の主変速動力として、前記インターナルギア95に固設された前記副変速入力軸27から出力される。
【0086】
以上のような構成において、前記ベルト式無段変速装置84の変速比を調整することにより、無段変速機構99から副変速入力軸27に出力される主変速動力の回転を、前進方向、回転ゼロのギアドニュートラル状態、後進方向の間で連続的に変化させることができる。
【0087】
更に、前記無段変速機構99よりも動力伝達経路上流側に、ギア式の前記前後進切換装置83を配置するので、該前後進切換装置83により、無段変速機構99に入力する前の動力の前後進を機械的に切り替え可能とし、その上で、無段変速機構99を、効率の良い又はトルクアップの大きな一方向側の回転で使用する制御構成とする。例えば、無段変速機構99からの動力が前進側に大きな変速比が得られるようであれば、後進時には、前後進切換装置83により、前進時の動力の回転方向を逆転させて無段変速機構99に入力するのである。このようにして、後進時の効率向上や速域の拡大を図り、前進・後進ともに同様な動力性能を発揮することができる。
【0088】
また、図7に示す作業車両1Bは、前記作業車両1において、前記PTO軸11の駆動を、前記動力ユニット5からの動力ではなく、第3電動モータM3からの動力により行うようにして、PTO出力形式の多様化、後車軸駆動装置13のコンパクト化を図ったものである。
【0089】
前記第3電動モータM3は、前記インバータ17に接続されると共に、第3電動モータM3のモータ軸は、後方に突出してPTO軸11に連動連結され、該PTO軸11の途中部に、前記PTOクラッチ42が介設されている。
【0090】
これにより、コントローラ100からインバータ17にモータ駆動信号が送信されると、該モータ駆動信号により、インバータ17から第3電動モータM3に電力が供給され、該第3電動モータM3が駆動して、PTO動力が、PTO軸11から作業機8に断接可能に伝達される。
【0091】
なお、この作業車両1Bにも、前記作業車両1と同様に、図5に示す昇降機構61が設けられており、作業機8の上昇運動・下降運動による運動エネルギを電気エネルギとして回生できるようにしている。
【0092】
そして、このような構成におけるPTO変速制御について説明する。
図7、図8に示すように、前記コントローラ100には、PTO軸11の回転速度を一定に保つ定回転制御、その回転速度が作業車両1の車速に比例する車速比例制御のいずれか一方の選択操作を行うPTO速度制御切換スイッチ108が接続されると共に、PTO軸11を一方向(以下、「正転方向」とする)に回転する正転制御、他方向(以下、「逆転方向」とする)にPTO軸11を回転する逆転制御のいずれか一方を選択する選択操作を行うためのPTO正逆切換レバー109が接続される。
【0093】
更に、前記コントローラ100には、PTO軸11の回転速度を検知するPTO軸回転センサ107と、前記作業機8の昇降動作を検知するリミットスイッチ110とが接続され、該リミットスイッチ110は、作業機8側と車体側、例えばヒッチフレーム64との間に介設されている。なお、前記前輪駆動軸回転センサ103・後輪駆動軸回転センサ102も設けられている。
【0094】
このような構成において、図9に示すように、前記PTO速度制御切換スイッチ108・PTO正逆切換レバー109・PTO軸回転センサ107・リミットスイッチ110・前輪駆動軸回転センサ103・後輪駆動軸回転センサ102からは、それぞれスイッチ位置信号・レバー位置信号・PTO軸回転速度信号・リミット信号・前輪駆動軸回転速度信号・後輪駆動軸回転速度信号がコントローラ100に読み込まれる(ステップS21)。
【0095】
その後、前記スイッチ位置信号により、PTO速度制御切換スイッチ108が定回転位置にあるか否かが判断される(ステップS22)。PTO速度制御切換スイッチ108が定回転位置にあることが判明すると(ステップS22:YES)、PTO軸11の回転速度が所定の一定速度となるように制御される(ステップS23)。一方、車速比例位置にあることが判明すると(ステップS22:NO)、PTO軸11の回転速度が、前輪駆動軸回転速度信号・後輪駆動軸回転速度信号に基づいて算出した車速に比例して増減速される(ステップS24)。
【0096】
続いて、前記レバー位置信号により、PTO正逆切換レバー109が正転位置にあるか否かが判断される(ステップS25)。PTO正逆切換レバー109が正転位置にあることが判明すると(ステップS25:YES)、PTO軸11が正転方向に回転するように制御される(ステップS26)。一方、逆転位置にあることが判明すると(ステップS25:NO)、PTO軸11が逆転方向に回転するように制御される(ステップS27)。
【0097】
そして、前記リミット信号により、リミットスイッチ110が作動中か否かが判断され(ステップS28)、その後、前記前輪駆動軸回転速度信号・後輪駆動軸回転速度信号により、作業車両1が後進中か否かが判断される(ステップS29)。作業機8が上昇中にあってリミットスイッチ110が作動している場合(ステップS28:YES)、あるいは作業車両1が後進中である場合は(ステップS29:YES)、インバータ17から第3電動モータM3への電力供給が止まり、PTO軸11の回転が停止される(ステップS30)。
【0098】
このような第3電動モータM3への電力供給の停止した上で、作業機8の上昇運動・下降運動により前記発電機73を駆動させて、運動エネルギを電気エネルギとして回生させる(ステップS31)。
【0099】
すなわち、以上のように、前記PTO軸11の駆動を第3電動モータM3からの動力により行うようにしたので、PTO軸の回転速度・回転方向・停止条件を細かく調整でき、様々な形式のPTO出力が可能となる。更に、前記動力出力軸19からPTO軸11までの動力伝達経路や前記PTO変速装置16を省略することができ、後車軸駆動装置13のコンパクト化を図ることができる。
【0100】
また、図10に示す作業車両1Cは、前記作業車両1Bにおいて、前記PTO軸11の駆動だけでなく、後輪7・7の駆動も第4電動モータM4からの動力により行うようにして、後車軸駆動装置13の更なるコンパクト化を図ったものである。
【0101】
前記第4電動モータM4には、前記インバータ17が接続され、該インバータ17には、前記バッテリ18とコントローラ100とが接続されると共に、第4電動モータM4の出力軸は、前記動力出力軸19に接続されている。
【0102】
これにより、コントローラ100からインバータ17にモータ駆動信号が送信されると、該モータ駆動信号に基づいて、前記バッテリ18に蓄えられた直流電力がインバータ17により交流電力に変換された後、前記第4電動モータM4に供給されて、該第4電動モータM4の動力が動力出力軸19に出力され、走行系トレーン52を通って、後輪7・7に伝達される。
【0103】
すなわち、作業機8を駆動するPTO軸11、前輪6・6を駆動する前輪駆動軸54、後輪7・7を駆動する後輪駆動軸32を、それぞれ別個の電動モータM3、M2、M4により駆動するので、トレーン・変速装置の省略に加え、エンジン3も省略して、後車軸駆動装置13の更なるコンパクト化を図ることができる。
【0104】
更に、該第4電動モータM4を前記動力ユニット5と容易に交換可能な着脱構成を設けてもよく、高速走行・高負荷作業のようにエンジン3の動力が必要な仕様にも、簡単な部品交換だけで容易に対応することができ、汎用性の向上を図ることができる。
【0105】
この際、図11に示すように、前記第4電動モータM4に替えた動力ユニット5を作業車両1D側に配置する一方、前記第3電動モータM3に替えてモータジェネレータ72を設け、該モータジェネレータ72を作業機8側に配置する。更には、該作業機8に伝達する動力の回転数や回転方向を制御する作業機操作手段である前記PTO速度制御切換スイッチ108・PTO正逆切換レバー109等については、前記作業車両1D側に配置するようにしてもよい。
【0106】
すなわち、前記動力ユニット5・モータジェネレータ72のような動力源を、該動力源によってそれぞれ駆動される作業車両1D・作業機8のような被駆動装置毎に設置するので、作業車両1D・作業機8間の動力伝達経路を省略することができ、設計自由度が向上する。
【0107】
更に、PTO速度制御切換スイッチ108・PTO正逆切換レバー109のような作業機操作手段を作業車両1D側に設けるので、作業車両1Dに乗車したままで作業機8を操作することができ、操作の度に作業車両1Dから一旦降りて作業機8まで行く必要がなく、作業効率の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、エンジンと、該エンジンによる発電電力で駆動される電動モータと、該電動モータと前記エンジンの駆動を制御するコントローラとを備え、前記エンジンの動力に電動モータの動力を組み合わせることにより、走行輪とPTO軸を駆動する、全ての作業車両のハイブリッド駆動システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 作業車両
3 エンジン
4 モータジェネレータ
6 前輪(走行輪・補助駆動輪・操舵輪)
7 後輪(走行輪・主駆動輪)
11 PTO軸
14 主変速装置(無段変速装置)
15 副変速装置(走行系トレーンの変速部)
30・31 出側ギア(駆動側部材)
32 後輪駆動軸(空転側部材)
34 副変速クラッチ(変速クラッチ)
52 走行系トレーン
53 PTO系トレーン
55 前輪クラッチ(補助クラッチ)
100 コントローラ
102 後輪駆動軸回転センサ(回転センサ)
103 前輪駆動軸回転センサ(回転センサ)
104 旋回角センサ
M1 第1電動モータ
M2 第2電動モータ
V1 出側ギアの回転速度(駆動回転速度)
V2 後輪駆動軸の回転速度(空転回転速度)
V3 前輪の周速(補助駆動輪の周速)
V4 後輪の周速(主駆動輪の周速)
ΔV0 周速の差の所定値
θ 旋回角
θ0 旋回角の所定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、該エンジンによる発電電力で駆動される電動モータと、該電動モータと前記エンジンの駆動を制御するコントローラとを備え、前記エンジンの動力に電動モータの動力を組み合わせることにより、走行輪とPTO軸を駆動する、作業車両のハイブリッド駆動システムにおいて、前記エンジンから走行輪まで動力を伝達する走行系トレーンに無段変速装置を介装すると共に、該走行系トレーンと、前記エンジンからPTO軸まで動力を伝達するPTO系トレーンとの両トレーンにおける動力伝達経路最上流位置にモータジェネレータを設けたことを特徴とする作業車両のハイブリッド駆動システム。
【請求項2】
前記走行系トレーンの変速部に、駆動側部材と空転側部材間を係脱してクラッチ操作を行う変速クラッチを設け、前記空転側部材に、前記モータジェネレータの発電電力で駆動される第1電動モータを連動連結し、該第1電動モータの動作により、前記コントローラを介して、前記駆動側部材の駆動回転速度に対して空転側部材の空転回転速度を同期制御することを特徴とする請求項1に記載の作業車両のハイブリッド駆動システム。
【請求項3】
前記作業車両は、二輪駆動モードと四輪駆動モードとを切り換え可能な駆動構成とし、前記走行輪は、二輪・四輪駆動モードにかかわらず駆動する主駆動輪と、二輪駆動モード時は無駆動状態になる補助駆動輪とから成り、該補助駆動輪には、前記モータジェネレータの発電電力で駆動される第2電動モータを連動連結することを特徴とする請求項1に記載の作業車両のハイブリッド駆動システム。
【請求項4】
前記主駆動輪と補助駆動輪の周速の差を検知可能な回転センサを設け、前記二輪駆動モードにおいて前記周速の差が所定値以上になると前記第2電動モータが駆動し、前記補助駆動輪に動力を伝達して四輪駆動モードに移行することを特徴とする請求項3に記載の作業車両のハイブリッド駆動システム。
【請求項5】
前記第2電動モータと補助駆動輪との間に、動力の断接を行う補助クラッチを設け、該補助クラッチは、ワンウェイクラッチ、または相対回転の遮断方向を切り換え可能なツーウェイクラッチであることを特徴とする請求項3に記載の作業車両のハイブリッド駆動システム。
【請求項6】
前記補助駆動輪は、操舵輪であって、旋回角を検知可能な旋回角センサを設け、前記四輪駆動モードにおいて前記旋回角が所定値以上になると前記第2電動モータが増速し、前記補助駆動輪の周速が主駆動輪の周速よりも大きい補助駆動輪増速駆動状態に移行することを特徴とする請求項3に記載の作業車両のハイブリッド駆動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−56629(P2013−56629A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196307(P2011−196307)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000125853)株式会社 神崎高級工機製作所 (210)
【Fターム(参考)】