説明

内燃機関の制御装置

【課題】減速時の運転性の悪化を防止する。
【解決手段】所定条件下で車両が減速している場合に、当初のスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度よりも遅い速度に制御してEGR弁の閉弁にともない吸入空気量に占める新気量が増加しないようにすると共に、その後にスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度に制御してスロットル弁6を目標スロットル弁開度まで閉じる。これによって、EGR弁11の閉弁にともない吸入空気量に占める新気量が増加しないため、減速時に新気量の増加によるトルクの増加を防止することができ、運転性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、減速要求によりスロットル弁を閉じる際に、EGR弁を閉じることでスロットル弁よりも下流の吸気通路に排気ガスが還流するのを停止させてから、スロットル弁を閉弁することにより、減速要求後に筒内のEGR率が急上昇して失火してしまうことを回避するようにした技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−194143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この特許文献1のように、減速要求があった場合にEGR弁を閉じてからスロットル弁を閉じるようにすると、EGR弁を閉じる際にスロットル弁の弁開度は減速要求が検知された時点の開度に維持されているので、吸気通路に還流する排気ガスが減少する分、吸入空気量に占める新気量の割合が増加することになり、減速要求があるにも関わらずトルクが増加してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は、所定条件下で車両が減速している場合に、当初のスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度よりも遅い速度に制御してEGR弁の閉弁にともない吸入空気量に占める新気量が増加しないようにすると共に、その後にスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度に制御してスロットル弁を目標スロットル弁開度まで閉じることを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、EGR弁の閉弁にともない吸入空気量に占める新気量が増加しないため、減速時に新気量が増加してトルクが増加してしまうことを防止することができ、運転性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明が適用された直列4気筒の内燃機関1の全体構成を模式的に示した説明図である。
【0007】
図1に示すように、この実施形態の内燃機関1は、例えば直列4気筒機関であり、吸気通路2は、各気筒の吸気ポート(図示せず)が接続されたブランチ通路部3と、各ブランチ通路部3が接続された適宜な容積を持つコレクタ部4と、を有している。コレクタ部4には、コレクタ部4内の圧力であるコレクタ圧(吸入負圧)を検知する圧力検知手段としての圧力センサ5が配置されている。
【0008】
また、吸気通路2は、コレクタ部4よりも上流側(入口側)の位置に、吸気流量を制御する電子制御式のスロットル弁6及びこのスロットル弁6の開度を検知するスロットル弁開度センサ7を有している。このスロットル弁6は、アクセルペダル操作とは独立した動作が可能となっている。さらに、この吸気通路2には、スロットル弁6よりも上流側(入口側)の位置に、この位置での吸気の流量を計測するエアフローメータ8が設けられている。そして、各気筒の排気ポート(図示せず)には、排気通路9が接続されている。
【0009】
吸気通路2と排気通路9との間には、EGR通路10が設けられている。EGR通路10は、その一端がスロットル弁6よりも下流側で吸気通路2に接続され、その他端が排気通路9に接続されている。そして、このEGR通路10には、吸気通路2に還流する排気ガスの流量を制御するEGR弁11と、このEGR弁の弁開度を検知するEGR弁開度センサ12と、が設けられている。
【0010】
EGR弁11及びスロットル弁6は、ECU(エンジンコントロールユニット)13からの制御信号によって制御されている。尚、EGR弁11の最大閉弁速度は、スロットル弁6の最大閉弁速度よりも遅くなっている。また、EGR弁11の所期の閉弁速度は最大閉弁速度であり、EGR弁11は常にこの所期の閉弁速度で閉弁するよう制御される。一方、スロットル弁6の閉弁速度は、通常は、アクセルペダル(図示せず)の戻し速度が速いほど、速くなるよう制御される。つまり、スロットル弁6の所期の閉弁速度は、アクセルペダルの戻し速度に応じて決定される。
【0011】
尚、アクセルペダルの戻し速度は、後述するアクセル開度センサ16からの信号から検知される。
【0012】
ECU13には、圧力センサ5、エアフローメータ8、スロットル弁開度センサ7、EGR弁開度センサ12、車速を検知する車速センサ14、内燃機関1の回転数を検知する機関回転数センサ15、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量(アクセル開度APO)を検知するアクセル開度センサ16等のセンサ類で検知された信号が入力されている。
【0013】
ここで、車両減速時には、スロットル弁6を閉じ、かつEGR弁11が開いている場合にはEGR弁11も閉じることになるが、スロットル弁6を閉じると、スロットル弁6の弁開度が小さくなるほど、負圧が発達してコレクタ圧が増加する(吸入負圧が大きくなる)ことになる。
【0014】
図2中に実線で示すように、車両が減速する際に、スロットル弁6及びEGR弁11を、それぞれ所期の閉弁速度で同時に閉弁を開始すると、スロットル弁6の所期の閉弁速度がEGR弁11の所期の閉弁速度よりも速いため、スロットル弁開度の減少に伴うコレクタ圧の増加に対して、EGR弁11の閉弁速度が追従せずにEGR量がオーバーシュートする。
【0015】
また、図2中に破線で示すように、車両が減速する際に、EGR弁11が全閉となるまでスロットル弁6の開度を車両が減速する直前の開度に維持し、EGR弁11が全閉となってからスロットル弁6を全閉にすると、EGR量のオーバーシュートは発生しないものの、吸気通路2に還流する排気ガスが減少する分、吸入空気量に占める新気量の割合が増加することになり、減速要求があるにも関わらずトルクが増加してしまう。
【0016】
図3は、スロットル弁6とEGR弁11とを定常状態から全閉させる際のコレクタ圧とEGR量の相関関係を示す説明図である。換言すれば、図3は、減速によりスロットル弁6とEGR弁11と全閉させる際のコレクタ圧とEGR量の相関関係を示す説明図である。
【0017】
定常状態(図3中の特性線a)では、コレクタ圧に関わらずEGR量は一定となるよう制御されている。一方、スロットル弁6及びEGR弁11を定常状態におけるスロットル弁開度及び定常状態におけるEGR弁開度からそれぞれ全閉状態まで閉弁させる場合、スロットル弁6の所期の閉弁速度がEGR弁11の所期の閉弁速度よりも速いため、図3中の特性線bに示すように、スロットル弁開度の減少に伴うコレクタ圧の増加に対して、EGR弁11の閉弁速度が追従せずにEGR量がオーバーシュートする。
【0018】
図3中の特性線bに示すように、車両が減速する際に、コレクタ圧が大きい状態では、スロットル弁6及びEGR弁11の開度が両者とも小さいため、EGR量のオーバーシュートも小さく、失火限界値を超えることはないが、コレクタ圧が小さい状態では、スロットル弁6及びEGR弁11の開度が両者とも大きいため、EGR量のオーバーシュートも大きくなり、コレクタ圧が小さいほど失火限界値を大きく超えることになる。
【0019】
図4は、EGR弁11を定常状態から全閉させる際に、EGR量がオーバシュートしても失火限界値以下となるようなコレクタ圧の変化代、すなわちEGR量がオーバシュートしても失火限界値以下となるようなスロットル弁6の弁開度の変化代を模式的に示した説明図である。図4中の特性線cは減速前のコレクタ圧を表し、図4中の特性線dは減速前のコレクタ圧に対する失火限界許容値となる許容コレクタ圧(許容吸入負圧)を表している。
【0020】
減速前のコレクタ圧が大きいほどEGR量のオーバーシュートは小さいため、減速時にコレクタ圧が発達する方向のコレクタ圧の変化代が大きくなっても、EGR量がこの失火限界許容値を超えることはない。つまり、図4に示すように、減速前のコレクタ圧が大きいほど、減速前のコレクタ圧とこの減速前のコレクタ圧に対応する失火限界許容値としての許容コレクタ圧との差圧Pは大きくなる。換言すれば、減速前のコレクタ圧が大きくなるほど、スロットル弁6の閉弁方向への弁開度の変化代を大きくしても、コレクタ圧が失火限界許容値となることはない。
【0021】
そこで、本実施形態では、ECU13にて、車両の減速時には、EGR量のオーバーシュートによる失火が発生しないようにしつつ、吸入空気量に占める新気量の増加によるトルクの増加を防止するように、スロットル弁6及びEGR弁11を制御する。
【0022】
図5は、本発明の第1実施形態における車両の減速時の制御の流れを示すフローチャートである。尚、この制御は、ECU13により実行されるものである。
【0023】
ステップ(以下、Sと記す)1では、車両の車速、内燃機関1の回転数及びアクセルペダルの戻し速度を読み込んで、車両が所定の減速状態であるか否かを判定する減速判定を実施する。具体的には、内燃機関1の回転数が所定回転数以上で、車速が所定車速以上であり、かつアクセルペダルの戻し速度が所定値以上の場合に、減速状態であると判定しS2へ進み、そうでない場合は、今回のルーチンを終了する。換言すると、S1では、内燃機関1の回転数が所定回転数以上で、車速が所定車速以上であり、かつスロットル弁6の閉弁速度がEGR弁11の所期の閉弁速度よりも速くなるようなアクセルペダルの戻し速度の場合に減速状態であると判定する。尚、アクセルペダルの戻し速度は、アクセル開度センサ16からの信号を用いて、ECU13内で演算されるものである。
【0024】
S2では、EGR弁11の開度が「0」よりも大きいか、すなわちEGR弁11が開弁している状態であるか否かを判定し、EGR弁11が開弁しているのであればS3へ進み、EGR弁11が開弁していない、つまりEGR弁11が既に全閉状態であれば今回のルーチンを終了する。
【0025】
S3では、減速状態であると判定された際のアクセル開度APO(now)と、減速状態と判定された際のコレクタ圧を読み込み、S4へ進む。
【0026】
S4では、S3で読み込まれたアクセル開度APO(now)を用い、図6に示す特性マップを参照して目標吸入負圧としての目標コレクタ圧を算出してS5へ進む。目標コレクタ圧は、アクセル開度が大きいほど大きい値、つまり大きな負圧となる。
【0027】
S5では、S3で読み込まれたコレクタ圧を用い、図7に示す特性マップを参照して許容吸入負圧としての許容コレクタ圧を算出してS6へ進む。尚、図7を用いて算出される許容コレクタ圧は、上述した図4の許容コレクタ圧である。
【0028】
S6では、許容コレクタ圧が目標コレクタ圧よりも大きいか否かを判定し、許容コレクタ圧が目標コレクタ圧よりも大きい場合にはS7へ進み、許容コレクタ圧が目標コレクタ圧以下の場合にはS15へ進む。換言すれば、S6では、許容コレクタ圧が目標コレクタ圧に対して予め設定された所定値以上乖離しているか否かを判定し、所定値以上乖離している場合にはS7へ進み、そうでない場合にはS15へ進む。
【0029】
S15では、EGR弁11とスロットル弁6を同時に所期の閉弁速度で閉弁させ今回のルーチンを終了する。つまり、S15では、スロットル弁6の閉弁速度を、所期の閉弁速度で閉弁させる減速時スロットル弁通常制御を実施する。
【0030】
S7では、減速状態と判定された際の吸入空気量Qa、スロットル弁開度TVO(now)、EGR弁開度、及び機関回転数Neを読み込み、S8へ進む。尚、吸入吸気量Qaは、エアフローメータ8で検知されるものである。
【0031】
S8では、S7で読み込んだQa及びNeを用いて、EGRが無い場合の目標スロットル弁開度である第2目標スロットル弁開度としてのTVO(egr−less)を算出し、S9へ進む。
【0032】
S9では、許容コレクタ圧相当のスロットル弁6の開口面積であるS(許容)を次式(1)を用いて算出し、S10へ進む。
【0033】
[数1] S(許容)=S(egr−less)*√((コレクタ圧)/許容コレクタ圧)) …(1)
この式(1)において、S(egr−less)は、S8で算出されたTVO(egr−less)に対応するスロットル弁6の開口面積である。
【0034】
S10では、S9で算出した許容コレクタ圧相当のスロットル弁6の開口面積であるS(許容)を用い、図8に示す特性マップを参照して、許容コレクタ圧に相当するスロットル弁開度であるTVO(許容)を算出し、S11へ進む。
【0035】
S11では、EGR弁11が、全閉となるまでの時間t(egr)を次式(2)を用いて算出し、S12へ進む。つまり、S11では、減速状態であると判定された際の開度状態から全閉となるまでに要するEGR弁11の閉弁時間である応答時間t(egr)を算出する。
【0036】
[数2] t(egr)=EGR弁開度/EGR弁閉弁速度 …(2)
この式(2)において、EGR弁閉弁速度は、EGR弁11の所期の閉弁速度、すなわちEGR弁11の最大閉弁速度であり、一定値である。
【0037】
S12では、減速状態であると判定された際のスロットル弁6の目標開度までの応答時間であるt(th/c)を次式(3)を用いて算出し、S13へ進む。
【0038】
[数3] t(th/c)=(APO(減速判定前)−APO(目標))/ΔAPO …(3)
この式(3)において、APO(減速判定前)は減速状態であると判定される直前に計測されたアクセル開度である。また、APO(目標)は減速状態における目標アクセル開度、つまり減速状態における最終的なアクセル開度である。そして、ΔAPOは、減速状態であると判定された際のアクセル開度の変化速度である。
【0039】
尚、これらAPO(目標)及びΔAPOは、アクセル開度センサ16からの信号に基づいてECU13内で算出されるものある。
【0040】
S13では、減速状態であると判定された際のスロットル弁6の目標開度までの応答時間t(th/c)が減速状態であると判定された際のEGR弁11の全閉となるまでの応答時間t(egr)よりも大きいか(長いか)否かを判定し、長い場合にはS14へ進み、そうでない場合はS15へ進む。換言すれば、S13では、減速状態であると判定された際に、EGR弁11が所期の閉弁速度で全閉状態になるまでのEGR弁応答時間t(egr)と、スロットル弁6が所期の閉弁速度で目標スロットル弁開度となるまでのスロットル弁応答時間t(th/c)とを算出し、EGR弁応答時間t(egr)とスロットル弁応答時間t(th/c)との間に予め設定された所定値よりも大きな乖離がない場合にはS15へ進み、そうでない場合はS14へ進む。
【0041】
尚、この第1実施形態においては、S13で用いる判定式の右辺が「0」となっているが、安全のマージンをとるならば「0」以上となる正の値の閾値を「0」に替えてこの右辺に代入することも可能である。また、目標スロットル弁開度は、アクセル開度センサ16からの信号を用いて、ECU13内で演算されるものである。
【0042】
S14では、図9に示すように、EGR弁11を所期の閉弁速度で全閉となるまで閉じ、さらにスロットル弁6を所期のスロットル弁閉弁速度よりも遅い速度に制御してEGR弁11の閉弁にともない吸入空気量に占める新気量が増加しないようにすると共に、その後にスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度に制御してスロットル弁6を目標スロットル弁開度まで閉じる。換言すれば、S14においては、EGR弁11が閉弁状態となるときのスロットル弁6の弁開度が、この減速時の状態での許容吸入負圧となるスロットル弁開度となるように制御し、その後のスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度に制御する減速時スロットル弁協調制御を実施している。
【0043】
さらに言えば、このS14では、減速状態であると判定された直後(t=ta)からEGR弁11が全閉となるまで(t=tb)の期間は、スロットル弁6を、EGR弁11が全閉となるタイミングでTVO(許容)となるような一定の閉弁速度で制御する。そして、EGR弁11が全閉となってからは(t>tb)、スロットル弁6を目標スロットル開度まで所期の閉弁速度で制御する。
【0044】
尚、この第1実施形態においては、S14にて減速時スロットル弁協調制御が実施され、S15にて減速時スロットル弁通常制御が実施されている。つまり、減速時スロットル弁協調制御が実施される減速時の所定条件は、上述した第1実施形態においては、図5のS2、S6、S13が相当する。すなわち、この第1実施形態において減速時スロットル弁協調制御の実施が許可される減速時の所定条件とは、EGR弁開度が「0」より大きく、許容コレクタ圧が目標コレクタ圧よりも大きく、かつスロットル弁応答時間t(th/c)がEGR弁応答時間t(egr)よりも大きい場合である。
【0045】
また、EGR弁11の制御、スロットル弁6の制御、目標スロットル弁開度の算出、EGRが無い場合の第2目標スロットル弁開度の算出、許容コレクタ圧の算出、目標コレクタ圧の算出、は上述したフローチャートで示す制御の流れの中で実施されている。つまり。EGR弁制御手段、スロットル弁制御手段、減速判定手段、目標スロットル弁開度算出手段、第2目標スロットル弁開度算出手段、許容吸入負圧算出手段、目標吸入負圧算出手段、はECU13に含まれるものである。
【0046】
このような第1実施形態においては、図9に示すよう、EGR弁11の閉弁に際して、吸入空気量に占める新気量が増加しないため、減速時に新気量が増加してトルクが増加してしまうことを防止することができ、運転性を向上させることができる。特に、EGR弁11が全閉となるタイミングで、許容コレクタ圧に相当するスロットル弁開度であるTVO(許容)となるようスロットル弁を制御することで、EGR量がオーバーシュートしない範囲で最大限スロットル弁6を閉弁することができ、EGR弁11の閉弁に伴いEGR量がオーバーシュートしない範囲で最大限コレクタ圧が大きく(負圧を発達)させて、新気空気量を減少させているので、減速感の増加に伴う運転性の向上を実現することができる。
【0047】
また、EGR弁応答時間t(egr)とスロットル弁応答時間t(th/c)とに大きな差が無い場合、つまりスロットル弁6の応答速度t(th/c)とEGR弁11の応答速度t(egr)に大差が無い場合には、減速時に吸入空気量に占めるEGRガス量が急激に増加することはない。
【0048】
そのため、EGR弁応答時間t(egr)とスロットル弁応答時間t(th/c)とに大きな差が無い場合には、スロットル弁6の閉弁速度を終始所期の閉弁速度に制御することで、スロットル弁開度を目標弁開度とするまでの時間の相対的に短くすることができ、運転性を向上させることができる。
【0049】
さらに、許容コレクタ圧と目標コレクタ圧とに大きな差が無い場合には、減速時に吸入空気量に占めるEGRガス量が急激に増加することはない。
【0050】
そのため、許容コレクタ圧と目標コレクタ圧とに大きな差が無い場合には、スロットル弁6の閉弁速度を終始所期の閉弁速度に制御することで、スロットル弁開度を目標弁開度とするまでの時間の相対的に短くすることができ、運転性を向上させることができる。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、上述した第1実施形態に対して、減速時スロットル弁協調制御を実施するための条件の一部を変更し、かつ減速時スロットル弁協調制御の内容を一部変更したものである。
【0052】
詳述すると、この第2実施形態においては、許容コレクタ圧が目標コレクタ圧よりも大きいことが減速時スロットル弁協調制御を実施する条件の一つではなく、減速状態と判定される直前のコレクタ圧と目標コレクタ圧との間に予め設定された所定値よりも大きいな乖離があることが減速時スロットル弁協調制御を実施する条件の一つとなっている。
【0053】
そして、この第2実施形態における減速時スロットル弁協調制御は、図10に示すように、EGR弁11が閉弁状態となるときのスロットル弁6の弁開度が、この減速時の状態で吸気通路に還流するEGRガス量が無い場合のスロットル弁開度となるように制御し、その後のスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度に制御している。
【0054】
図11は、この第2実施形態における車両の減速時の制御の流れを示すフローチャートである。
【0055】
ステップ31では、車両の車速、内燃機関1の回転数及び、アクセルペダルの戻し速度を読み込んで、車両が所定の減速状態であるか否かを判定する減速判定を実施する。具体的には、内燃機関1の回転数が所定回転数以上で、車速が所定車速以上であり、かつアクセルペダルの戻し速度が所定値以上の場合に、減速状態であると判定しS32へ進み、そうでない場合は、今回のルーチンを終了する。換言すると、S31では、内燃機関1の回転数が所定回転数以上で、車速が所定車速以上であり、かつスロットル弁6の閉弁速度がEGR弁11の所期の閉弁速度よりも速くなるようなアクセルペダルの戻し速度の場合に減速状態であると判定する。尚、アクセルペダルの戻し速度は、アクセル開度センサ16からの信号を用いて、ECU13内で演算されるものである。
【0056】
S32では、EGR弁11の開度が「0」よりも大きいか、すなわちEGR弁11が開弁している状態であるか否かを判定し、EGR弁11が開弁しているのであればS33へ進み、EGR弁11が開弁していない、つまりEGR弁11が既に全閉状態であれば今回のルーチンを終了する。
【0057】
S33では、減速状態であると判定された際のアクセル開度APO(now)と、減速状態と判定された際のコレクタ圧を読み込み、S34へ進む。
【0058】
S34では、S33で読み込まれたアクセル開度APO(now)を用い、図6に示す特性マップを参照して目標吸入負圧としての目標コレクタ圧を算出してS35へ進む。目標コレクタ圧は、アクセル開度が大きいほど大きい値、つまり大きな負圧となる。
【0059】
S35では、コレクタ圧が目標コレクタ圧よりも大きいか否かを判定し、コレクタ圧が目標コレクタ圧よりも大きい場合にはS36へ進み、コレクタ圧が目標コレクタ圧以下の場合にはS42へ進む。換言すれば、S35では、コレクタ圧が目標コレクタ圧に対して予め設定された所定値以上乖離しているか否かを判定し、所定値以上乖離している場合にはS36へ進み、そうでない場合にはS42へ進む。
【0060】
S42では、EGR弁11とスロットル弁6を同時に所期の閉弁速度で閉弁させ今回のルーチンを終了する。つまり、S42では、スロットル弁6の閉弁速度を、所期の閉弁速度で閉弁させる減速時スロットル弁通常制御を実施する。
【0061】
S36では、減速状態と判定された際の吸入空気量Qa、スロットル弁開度TVO(now)、EGR弁開度、及び機関回転数Neを読み込み、S37へ進む。尚、吸入吸気量Qaは、エアフローメータ8で検知されるものである。
【0062】
S37では、S36で読み込んだQa及びNeを用いて、EGRが無い場合の目標スロットル弁開度である第2目標スロットル弁開度としてのTVO(egr−less)を算出し、S38へ進む。
【0063】
S38では、EGR弁11が、全閉となるまでの時間t(egr)を次式(4)を用いて算出し、S39へ進む。つまり、S38では、減速状態であると判定された際の開度状態から全閉となるまでに要するEGR弁11の閉弁時間である応答時間t(egr)を算出する。
【0064】
[数4] t(egr)=EGR弁開度/EGR弁閉弁速度 …(4)
この式(4)において、EGR弁閉弁速度は、EGR弁11の所期の閉弁速度、すなわちEGR弁11の最大閉弁速度であり、一定値である。
【0065】
S39では、減速状態であると判定された際のスロットル弁6の目標開度までの応答時間であるt(th/c)を次式(5)を用いて算出し、S40へ進む。
【0066】
[数5] t(th/c)=(APO(減速前判定値)−APO(目標))/ΔAPO …(5)
この式(5)において、APO(減速前判定値)は減速状態であると判定される直前に計測されたアクセル開度である。また、APO(目標)は減速状態における目標アクセル開度、つまり減速状態における最終的なアクセル開度である。そして、ΔAPOは、減速状態であると判定された際のアクセル開度の変化速度である。
【0067】
尚、これらAPO(目標)及びΔAPOは、アクセル開度センサ16からの信号に基づいてECU13内で算出されるものある。
【0068】
S40では、減速状態であると判定された際のスロットル弁6の目標開度までの応答時間t(th/c)が減速状態であると判定された際のEGR弁11の全閉となるまでの応答時間t(egr)よりも大きいか(長いか)否かを判定し、長い場合にはS41へ進み、そうでない場合はS42へ進む。換言すれば、S40では、減速状態であると判定された際に、EGR弁11が所期の閉弁速度で全閉状態になるまでのEGR弁応答時間t(egr)と、スロットル弁6が所期の閉弁速度で目標スロットル弁開度となるまでのスロットル弁応答時間t(th/c)とを算出し、EGR弁応答時間t(egr)とスロットル弁応答時間t(th/c)との間に予め設定された所定値よりも大きな乖離がない場合にはS42へ進み、そうでない場合はS41へ進む。
【0069】
尚、この第2実施形態においては、S40で用いる判定式の右辺が「0」となっているが、安全のマージンをとるならば「0」以上となる正の値の閾値を「0」に替えてこの右辺に代入することも可能である。また、目標スロットル弁開度は、アクセル開度センサ16からの信号を用いて、ECU13内で演算されるものである。
【0070】
S41では、図10に示すように、EGR弁11を所期の閉弁速度で全閉となるまで閉じ、さらにスロットル弁6を所期のスロットル弁閉弁速度よりも遅い速度に制御してEGR弁11の閉弁にともない吸入空気量に占める新気量が増加しないようにすると共に、その後にスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度に制御してスロットル弁6を目標スロットル弁開度まで閉じる。換言すれば、S41においては、EGR弁11が閉弁状態となるときのスロットル弁6の弁開度が、S37で算出したEGRが無い場合の目標スロットル弁開度であるTVO(egr−less)となるように制御し、その後のスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度に制御する減速時スロットル弁通常制御を実施している。
【0071】
さらに言えば、このS41では、減速状態であると判定された直後(t=ta)からEGR弁11が全閉となるまで(t=tb)の期間は、スロットル弁6を、EGR弁11が全閉となるタイミングでTVO(許容)となるような一定の閉弁速度で制御する。そして、EGR弁11が全閉となってからは(t>tb)、スロットル弁6を目標スロットル開度まで所期の閉弁速度で制御する。
【0072】
尚、この第2実施形態においては、S41にて減速時スロットル弁協調制御が実施され、S42にて減速時スロットル弁通常制御が実施されている。つまり、減速時スロットル弁協調制御が実施される減速時の所定条件は、上述した第2実施形態においては、図11のS32、S35、S40が相当する。すなわち、この第2実施形態において減速時スロットル弁協調制御の実施が許可される減速時の所定条件とは、EGR弁開度が「0」より大きく、コレクタ圧が目標コレクタ圧よりも大きく、かつスロットル弁応答時間t(th/c)がEGR弁応答時間t(egr)よりも大きい場合である。
【0073】
このような第2実施形態においても、図10に示すよう、EGR弁11の閉弁に際して、吸入空気量に占める新気量が増加しないため、減速時に新気量が増加してトルクが増加してしまうことを防止することができ、運転性を向上させることができる。
【0074】
また、EGR弁応答時間t(egr)とスロットル弁応答時間t(th/c)とに大きな差が無い場合には、スロットル弁6の閉弁速度を終始所期の閉弁速度に制御することで、スロットル弁開度を目標弁開度とするまでの時間の相対的に短くすることができ、運転性を向上させることができる。
【0075】
そして、コレクタ圧と目標コレクタ圧とに大きな差が無い場合には、スロットル弁6の閉弁速度を終始所期の閉弁速度に制御することで、スロットル弁開度を目標弁開度とするまでの時間の相対的に短くすることができ、運転性を向上させることができる。
【0076】
尚、本発明は、上述した2つの実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した第1実施形態においては、「許容コレクタ圧が目標コレクタ圧よりも大きいこと」が減速時スロットル弁協調制御の実施が許可される減速時の所定条件の1つとなっているが、これに替えて「コレクタ圧が目標コレクタ圧よりも大きいこと」を減速時の所定条件の1つとすることも可能である。つまり、図5のS6を、図11のS35に置き換えることも可能である。また、上述した第2実施形態においては、「コレクタ圧が目標コレクタ圧よりも大きいこと」が減速時スロットル弁協調制御の実施が許可される減速時の所定条件の1つとなっているが、これに替えて「許容コレクタ圧が目標コレクタ圧よりも大きいこと」を減速時の所定条件の1つとすることも可能である。つまり、図11のS35を、図5のS6に置き換えることも可能である。
【0077】
そして、上述した第1実施形態における減速時スロットル弁協調制御では、EGR弁11が閉弁状態となるときのスロットル弁6の弁開度が、この減速時の状態での許容吸入負圧となるスロットル弁開度となっているが、これに替えて減速時スロットル弁協調制御により、EGR弁11が閉弁状態となるときのスロットル弁6の弁開度が、EGRが無い場合の目標スロットル弁開度であるTVO(egr−less)となるようにしてもよい。また、上述した第2実施形態における減速時スロットル弁協調制御では、EGR弁11が閉弁状態となるときのスロットル弁6の弁開度が、EGRが無い場合の目標スロットル弁開度であるTVO(egr−less)となっているが、これに替えて減速時スロットル弁協調制御により、EGR弁11が閉弁状態となるときのスロットル弁6の弁開度が、この減速時の状態での許容吸入負圧となるスロットル弁開度となるようにしてもよい。
【0078】
上述した実施形態から把握し得る本発明の技術的思想について、その効果とともに列記する。
【0079】
(1) 内燃機関の制御装置は、吸気通路に配置されたスロットル弁と、前記スロットル弁よりも下流側で前記吸気通路に一端が接続され、他端が排気通路に接続されたEGR通路と、前記EGR通路に配置され前記吸気通路に還流するEGRガスの流量を制御するEGR弁と、前記EGR弁を制御するEGR弁制御手段と、前記スロットル弁を制御するスロットル弁制御手段と、車両が減速しているか否かを判定する減速判定手段と、前記スロットル弁の減速時の目標スロットル弁開度を算出する目標スロットル弁開度算出手段と、を有し、前記EGR弁制御手段は、車両が減速する場合には前記吸気通路へのEGRガスの還流を停止すべく前記EGR弁を閉弁し、前記スロットル弁制御手段は、所定条件下で車両が減速している場合には、減速時スロットル弁協調制御を実施し、前記減速時スロットル弁協調制御は、当初のスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度よりも遅い速度に制御して前記EGR弁の閉弁にともない吸入空気量に占める新気量が増加しないようにすると共に、その後にスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度に制御して前記スロットル弁を目標スロットル弁開度まで閉じる。これによって、EGR弁の閉弁にともない吸入空気量に占める新気量が増加しないため、減速時に新気量が増加してトルクが増加してしまうことを防止することができ、運転性を向上させることができる。
【0080】
(2) 前記(1)の記載の内燃機関の制御装置において、前記スロットル弁の弁開度を検知する手段と、前記EGR弁の弁開度を検知する手段と、を有し、前記スロットル弁制御手段は、車両が減速する際に、前記EGR弁が所期の閉弁速度で全閉状態になるまでのEGR弁応答時間と、前記スロットル弁が所期の閉弁速度で目標スロットル弁開度となるまでのスロットル弁応答時間とを算出し、前記EGR弁応答時間と前記スロットル弁応答時間との間に予め設定された所定値よりも大きな乖離がない場合には、前記スロットル弁の閉弁速度を所期の閉弁速度で閉弁させる減速時スロットル弁通常制御を実施する。前記EGR弁応答時間と前記スロットル弁応答時間とに大きな差が無い場合、つまりスロットル弁の応答速度とEGR弁の応答速度に大差が無い場合には、減速時に吸入空気量に占めるEGRガス量が急激に増加することはない。これによって、前記EGR弁応答時間と前記スロットル弁応答時間とに大きな差が無い場合には、スロットル弁の閉弁速度を終始所期の閉弁速度に制御することで、スロットル弁開度を目標弁開度とするまでの時間の相対的に短くすることができ、運転性を向上させることができる。
【0081】
(3) 前記(1)または(2)の記載の内燃機関の制御装置において、前記吸気通路に還流するEGRガス量が無い場合の目標スロットル弁開度を算出する第2目標スロットル弁開度算出手段を有し、減速時スロットル弁協調制御は、具体的には、前記EGR弁が閉弁状態となるときの前記スロットル弁の弁開度が、この減速時の状態で吸気通路に還流するEGRガス量が無い場合のスロットル弁開度となるように制御し、その後のスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度に制御して目標スロットル弁開度まで前記スロットル弁を閉弁方向に動作させる。
【0082】
(4) 前記(1)または(2)の記載の内燃機関の制御装置において、減速時において内燃機関を運転可能な許容吸入負圧を算出する許容吸入負圧算出手段を有し、減速時スロットル弁協調制御は、前記EGR弁が閉弁状態となるときの前記スロットル弁の弁開度が、この減速時の状態での許容吸入負圧となるスロットル弁開度となるように制御し、その後のスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度に制御して目標スロットル弁開度まで前記スロットル弁を閉弁方向に動作させる。これによって、EGR弁が閉弁状態となるときに、EGR量がオーバーシュートしない範囲で最大限スロットル弁を閉弁することができ、EGR弁11の閉弁に伴いEGR量がオーバーシュートしない範囲で最大限コレクタ圧が大きく(負圧を発達)させて、新気空気量を減少させているので、減速感の増加に伴う運転性の向上を実現することができる。
【0083】
(5) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、アクセルペダルの踏み込み量を検知するアクセル開度検知手段と、前記スロットル弁の下流側で吸気通路内の吸入負圧を検知する圧力検知手段と、前記アクセルペダルの踏み込み量から目標吸入負圧を算出する目標吸入負圧算出手段と、減速時において内燃機関を運転可能な許容吸入負圧を算出する許容吸入負圧算出手段と、を有し、減速時に、前記許容吸入負圧が前記目標吸入負圧に対して予め設定された所定値以上乖離している場合には、前記減速時スロットル弁協調制御を実施する。前記許容吸入負圧と前記目標吸入負圧とに大きな差が無い場合には、減速時に吸入空気量に占めるEGRガス量が急激に増加することはない。これによって、前記許容吸入負圧と前記目標吸入負圧とに大きな差が無い場合には、スロットル弁の閉弁速度を終始所期の閉弁速度に制御することで、スロットル弁開度を目標弁開度とするまでの時間の相対的に短くすることができ、運転性を向上させることができる。
【0084】
(6) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、アクセルペダルの踏み込み量を検知するアクセル開度検知手段と、前記スロットル弁の下流側で吸気通路内の吸入負圧を検知する圧力検知手段と、前記アクセルペダルの踏み込み量から目標吸入負圧を算出する目標吸入負圧算出手段と、を有し、減速時に、圧力検知手段で検知された吸入負圧が、前記目標吸入負圧に対して予め設定された所定値以上乖離している場合には、前記減速時スロットル弁協調制御を実施する。前記吸入負圧と前記目標吸入負圧とに大きな差が無い場合には、減速時に吸入空気量に占めるEGRガス量が急激に増加することはない。これによって、前記吸入負圧と前記目標吸入負圧とに大きな差が無い場合には、スロットル弁の閉弁速度を終始所期の閉弁速度に制御することで、スロットル弁開度を目標弁開度とするまでの時間の相対的に短くすることができ、運転性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明が適用された直列4気筒の内燃機関の全体構成を模式的に示した説明図。
【図2】参考例における各種パラメータの変化を示すタイミングチャート。
【図3】スロットル弁とEGR弁とを定常状態から全閉させる際のコレクタ圧とEGR量の相関関係を示す説明図。
【図4】EGR量がオーバシュートしても失火限界値以下となるようなスロットル弁の弁開度の変化代を模式的に示した説明図。
【図5】本発明の第2実施形態における車両の減速時の制御の流れを示すフローチャート。
【図6】目標コレクタ圧を算出するために用いる特性マップ。
【図7】許容コレクタ圧を算出するために用いる特性マップ。
【図8】TVO(許容)を算出するために用いる特性マップ。
【図9】第1実施形態における各種パラメータの変化を示すタイミングチャート。
【図10】第2実施形態における各種パラメータの変化を示すタイミングチャート。
【図11】本発明の第2実施形態における車両の減速時の制御の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0086】
1…内燃機関
2…吸気通路
3…ブランチ通路部
4…コレクタ部
5…圧力センサ
6…スロットル弁
7…スロットル弁開度センサ
8…エアフローメータ
9…排気通路
10…EGR通路
11…EGR弁
12…EGR弁開度センサ
13…ECU
14…車速センサ
15…機関回転数センサ
16…アクセル開度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気通路に配置されたスロットル弁と、
前記スロットル弁よりも下流側で前記吸気通路に一端が接続され、他端が排気通路に接続されたEGR通路と、
前記EGR通路に配置され前記吸気通路に還流するEGRガスの流量を制御するEGR弁と、
前記EGR弁を制御するEGR弁制御手段と、
前記スロットル弁を制御するスロットル弁制御手段と、
車両が減速しているか否かを判定する減速判定手段と、
前記スロットル弁の減速時の目標スロットル弁開度を算出する目標スロットル弁開度算出手段と、を有し、
前記EGR弁制御手段は、車両が減速する場合には前記吸気通路へのEGRガスの還流を停止すべく前記EGR弁を閉弁し、
前記スロットル弁制御手段は、所定条件下で車両が減速している場合には、減速時スロットル弁協調制御を実施し、
前記減速時スロットル弁協調制御は、当初のスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度よりも遅い速度に制御して前記EGR弁の閉弁にともない吸入空気量に占める新気量が増加しないようにすると共に、その後にスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度に制御して前記スロットル弁を目標スロットル弁開度まで閉じることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記スロットル弁の弁開度を検知する手段と、前記EGR弁の弁開度を検知する手段と、を有し、
前記スロットル弁制御手段は、車両が減速する際に、前記EGR弁が所期の閉弁速度で全閉状態になるまでのEGR弁応答時間と、前記スロットル弁が所期の閉弁速度で目標スロットル弁開度となるまでのスロットル弁応答時間とを算出し、前記EGR弁応答時間と前記スロットル弁応答時間との間に予め設定された所定値よりも大きな乖離がない場合には、前記スロットル弁の閉弁速度を所期の閉弁速度で閉弁させる減速時スロットル弁通常制御を実施することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記吸気通路に還流するEGRガス量が無い場合の目標スロットル弁開度を算出する第2目標スロットル弁開度算出手段を有し、
減速時スロットル弁協調制御は、前記EGR弁が閉弁状態となるときの前記スロットル弁の弁開度が、この減速時の状態で吸気通路に還流するEGRガス量が無い場合のスロットル弁開度となるように制御し、その後のスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度に制御して目標スロットル弁開度まで前記スロットル弁を閉弁方向に動作させることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
減速時において内燃機関を運転可能な許容吸入負圧を算出する許容吸入負圧算出手段を有し、
減速時スロットル弁協調制御は、前記EGR弁が閉弁状態となるときの前記スロットル弁の弁開度が、この減速時の状態での許容吸入負圧となるスロットル弁開度となるように制御し、その後のスロットル弁閉弁速度を所期のスロットル弁閉弁速度に制御して目標スロットル弁開度まで前記スロットル弁を閉弁方向に動作させることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
アクセルペダルの踏み込み量を検知するアクセル開度検知手段と、
前記スロットル弁の下流側で吸気通路内の吸入負圧を検知する圧力検知手段と、
前記アクセルペダルの踏み込み量から目標吸入負圧を算出する目標吸入負圧算出手段と、
減速時において内燃機関を運転可能な許容吸入負圧を算出する許容吸入負圧算出手段と、を有し、
減速時に、前記許容吸入負圧が前記目標吸入負圧に対して予め設定された所定値以上乖離している場合には、前記減速時スロットル弁協調制御を実施することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
アクセルペダルの踏み込み量を検知するアクセル開度検知手段と、
前記スロットル弁の下流側で吸気通路内の吸入負圧を検知する圧力検知手段と、
前記アクセルペダルの踏み込み量から目標吸入負圧を算出する目標吸入負圧算出手段と、を有し、
減速時に、圧力検知手段で検知された吸入負圧が、前記目標吸入負圧に対して予め設定された所定値以上乖離している場合には、前記減速時スロットル弁協調制御を実施することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−138734(P2010−138734A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313807(P2008−313807)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】