内視鏡装置、計測方法、およびプログラム
【課題】計測精度の低下を抑制することができる内視鏡装置、計測方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】操作検出部42は、ユーザからの指示に基づいて、映像信号に基づく画像において照準を表示する表示位置を設定する。表示信号生成部49は、画像および照準を表示するための表示信号を生成する。輝度検出部45は、表示位置を基準とする画像内の部分領域の輝度を検出する。光量制御部46は、輝度に基づいてLED29の光量を制御する。計測処理部44は、映像信号に基づいて計測処理を実行する。
【解決手段】操作検出部42は、ユーザからの指示に基づいて、映像信号に基づく画像において照準を表示する表示位置を設定する。表示信号生成部49は、画像および照準を表示するための表示信号を生成する。輝度検出部45は、表示位置を基準とする画像内の部分領域の輝度を検出する。光量制御部46は、輝度に基づいてLED29の光量を制御する。計測処理部44は、映像信号に基づいて計測処理を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡により被写体を撮像して得られた映像信号に基づいて計測処理を実行する内視鏡装置および計測方法に関する。また、本発明は、本内視鏡装置の動作を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置は、ボイラー、タービン、エンジン、パイプ等の内部の傷や腐食等の観察や検査に使用されている。また、内視鏡装置において、内視鏡で撮像された画像上で指定された計測点をもとに、三角測量の原理で長さや面積などの計測を行う機能を備えた計測用内視鏡装置がある。特許文献1,2には、内視鏡の先端から観察対象の被写体(観察対象物)までの距離(物体距離)をリアルタイムに表示することによって、内視鏡の先端が計測に適した距離まで観察対象物に近づいているかどうかをユーザに知らせることができる計測用内視鏡装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−136706号公報
【特許文献2】特開2006−325741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、計測対象領域に照射される照明光が強すぎて計測対象領域の画像の明るさが飽和している場合には、計測精度が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、計測精度の低下を抑制することができる内視鏡装置、計測方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、被写体を撮像し、画像データを生成する撮像部と、前記画像データに基づく画像および照準を表示する表示部と、前記被写体を照明する照明部と、前記照準を表示する表示位置を設定する設定部と、前記表示位置を基準とする前記画像データの部分領域の輝度を検出する検出部と、前記検出部によって検出された輝度に基づいて、前記照明部を制御する制御部と、前記制御部が前記照明部を制御することによって輝度が調整された前記画像データに基づいて前記被写体を計測する計測部と、を備えたことを特徴とする内視鏡装置である。
【0007】
また、本発明の内視鏡装置において、前記制御部は、前記表示位置が所定の条件を満たした場合に前記照明部を制御することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の内視鏡装置において、前記制御部は、前記照準を移動させる指示が検出された場合に前記照明部を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の内視鏡装置において、前記制御部は、前記照準を移動させる指示が検出されなかった場合に前記照明部を制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の内視鏡装置において、前記計測部は、前記表示位置を基準とする計測位置において前記被写体を計測することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の内視鏡装置において、前記照準は第1の照準および第2の照準を有し、前記検出部は、前記第1の照準の表示位置を基準として前記画像データの前記部分領域の輝度を検出し、前記計測部は、前記第2の照準の表示位置を前記計測位置として前記被写体を計測することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の内視鏡装置において、前記第1の照準の表示位置と前記第2の照準の表示位置とが同一であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の内視鏡装置において、前記第2の照準の表示位置は、前記画像データの前記部分領域に含まれることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、被写体を撮像し、画像データを生成するステップと、前記画像データに基づく画像および照準を表示するステップと、前記照準を表示する表示位置を設定するステップと、前記表示位置を基準とする前記画像データの部分領域の輝度を検出するステップと、前記輝度に基づいて、前記被写体を照明する照明部を制御するステップと、前記照明部を制御することによって輝度が調整された前記画像データに基づいて前記被写体を計測するステップと、を実行することを特徴とする計測方法である。
【0015】
また、本発明は、被写体を撮像し、画像データを生成するステップと、前記画像データに基づく画像および照準を表示するステップと、前記照準を表示する表示位置を設定するステップと、前記表示位置を基準とする前記画像データの部分領域の輝度を検出するステップと、前記輝度に基づいて、前記被写体を照明する照明部を制御するステップと、前記照明部を制御することによって輝度が調整された前記画像データに基づいて前記被写体を計測するステップと、を内視鏡装置に実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、照準の表示位置を基準とする画像内の部分領域の輝度に基づいて照明の光量を制御することによって、計測対象領域の明るさが適切に調節された画像で計測を行うことが可能となるので、計測精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による内視鏡装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による内視鏡装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による内視鏡装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態による内視鏡装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による内視鏡装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態による内視鏡装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態による内視鏡装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態による内視鏡装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態における画面を示す参考図である。
【図10】本発明の一実施形態による内視鏡装置の内部構成を示すブロック図である。
【図11】ステレオ計測による計測点の3次元座標の求め方を説明するための参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態による内視鏡装置の構成を示している。図1に示すように、内視鏡装置1は、内視鏡2と、この内視鏡2に接続された装置本体3とを備えている。内視鏡2は、細長な挿入部20と、装置全体の各種動作制御を実行する際に必要な操作を行うための操作部6とを備えている。装置本体3は、内視鏡2で撮像された被写体の画像や操作制御内容(例えば処理メニュー)等の表示を行う表示装置であるモニタ4(液晶モニタ)と、内部に制御ユニット10(図2参照)を有する筐体5とを備えている。
【0019】
挿入部20は、硬質な先端部21と、例えば上下左右に湾曲可能な湾曲部22と、柔軟性を有する可撓管部23とを先端側から順に連設して構成されている。先端部21には、観察視野を2つ有するステレオ光学アダプタや観察視野が1つの通常観察光学アダプタ等、各種光学アダプタが着脱自在になっている。
【0020】
図2に示すように筐体5内には、内視鏡ユニット8、CCU9(カメラコントロールユニット)、および制御ユニット10が設けられており、挿入部20の基端部は内視鏡ユニット8に接続されている。内視鏡ユニット8は、先端部21に内蔵されている光源(LED29)を駆動する光源駆動装置と、挿入部20を構成する湾曲部22を湾曲させる湾曲装置とを備えて構成されている。
【0021】
先端部21には撮像素子28とLED29が内蔵されている。撮像素子28は、光学アダプタを介して結像された被写体像を光電変換し、撮像信号を生成する。CCU9には、撮像素子28から出力された撮像信号が入力される。この撮像信号は、CCU9内で例えばNTSC信号等の映像信号(画像データ)に変換されて、制御ユニット10へ供給される。LED29は、被写体に照射する照明光を発生する。
【0022】
制御ユニット10内には、映像信号が入力される映像信号処理回路12、ROM13、RAM14、カードI/F15(カードインターフェイス)、USB I/F16(USBインターフェイス)、およびRS−232C I/F17(RS−232Cインターフェイス)と、これら各種機能を主要プログラムに基づいて実行し動作制御を行うCPU18とが設けられている。
【0023】
RS−232C I/F17には、CCU9および内視鏡ユニット8が接続されると共に、これらCCU9や内視鏡ユニット8等の制御および動作指示を行う操作部6が接続されている。ユーザが操作部6を操作すると、その操作内容に基づいて、CCU9および内視鏡ユニット8を動作制御する際に必要な通信が行われる。
【0024】
USB I/F16は、制御ユニット10とパーソナルコンピュータ31とを電気的に接続するためのインターフェイスである。このUSB I/F16を介して制御ユニット10とパーソナルコンピュータ31とを接続することによって、パーソナルコンピュータ31側で内視鏡画像の表示指示や、計測時における画像処理等の各種の指示制御を行うことが可能になると共に、制御ユニット10とパーソナルコンピュータ31との間での各種の処理に必要な制御情報やデータ等の入出力を行うことが可能になる。
【0025】
また、カードI/F15には、メモリカード32を自由に着脱することができるようになっている。メモリカード32をカードI/F15に装着することにより、CPU18による制御に従って、このメモリカード32に記憶されている制御処理情報や画像情報等のデータの制御ユニット10への取り込み、あるいは制御処理情報や画像情報等のデータのメモリカード32への記録を行うことが可能になる。
【0026】
映像信号処理回路12は、CCU9から供給された映像信号に基づく内視鏡画像と、グラフィックによる操作メニューとを合成した合成画像を表示するため、CPU18の制御により生成される、操作メニューに基づくグラフィック画像信号とCCU9からの映像信号を合成する処理や、モニタ4の画面上に表示するのに必要な処理等を行い、表示信号をモニタ4に供給する。また、この映像信号処理回路12は、単に内視鏡画像、あるいは操作メニュー等の画像を単独で表示するための処理を行うことも可能である。したがって、モニタ4の画面上には、内視鏡画像、操作メニュー画像、内視鏡画像と操作メニュー画像との合成画像等が表示される。
【0027】
CPU18は、ROM13に格納されているプログラムを実行することによって、目的に応じた処理を行うように各種回路部等を制御して、内視鏡装置1全体の動作制御を行う。RAM14は、CPU18によって、データの一時格納用の作業領域として使用される。
【0028】
図3は、内視鏡装置1のうち、本実施形態の説明の中心となる部分の機能構成を示している。映像信号生成部41はCCU9の機能に対応する。この映像信号生成部41は、撮像素子28から出力された撮像信号に基づいて映像信号を生成する。
【0029】
操作検出部42、グラフィック画像生成部43、計測処理部44、輝度検出部45、光量制御部46、制御部47はCPU18の機能に対応する。操作検出部42は、ユーザによる操作部6の操作を検出し、操作内容に応じて、モニタ4の画面上に表示する照準の表示位置を設定する。照準には、物体距離の計測を行う位置を指定するためのスポットと、計測点を設定する位置を指定するためのカーソルとが含まれる。物体距離は先端部21から被写体までの距離であって、例えば撮像素子28又は観察光学系から被写体までの距離である。ユーザは、操作部6に設けられているポインティングデバイス(方向レバー)を操作することにより、画面内で照準を移動させることができる。方向レバーは、マウス、トラックボール、トラックパッド、タッチパネル等の他の種類のポインティングデバイスであってもよい。
【0030】
グラフィック画像生成部43は、モニタ4の画面上に表示する操作メニューや照準に対応するグラフィック画像信号を生成する。上記のように、画面内における照準の表示位置は、操作検出部42によって設定される。計測処理部44は、映像信号生成部41によって生成された映像信号に基づいて、測距処理および計測処理を実行する。測距処理は、物体距離を算出する処理である。また、計測処理は、内視鏡画像上に設定される計測点で指定される長さや面積を算出する処理である。本実施形態の説明では測距処理と計測処理を分けているが、測距処理は広義の計測処理に含まれるものとしてもよい。
【0031】
輝度検出部45は、映像信号生成部41によって生成された映像信号に基づく画像において、操作検出部42によって設定されたスポットの表示位置を基準とする部分領域の輝度を検出する。光量制御部46は、操作検出部42によって検出された輝度に基づいて、LED29の光量を制御(調光)するための制御信号を出力する。制御部47は、操作検出部42、グラフィック画像生成部43、計測処理部44、輝度検出部45、光量制御部46のそれぞれへの処理の割り当てを制御すると共に、内視鏡装置1全体の動作を制御する。
【0032】
LED駆動部48は内視鏡ユニット8の機能に対応する。このLED駆動部48は、光量制御部46から出力された制御信号に基づいて、LED29を駆動するための駆動信号を出力する。LED29は、LED駆動部48から出力された駆動信号に基づいて発光する。表示信号生成部49は映像信号処理回路12の機能に対応する。この表示信号生成部49は、映像信号生成部41によって生成された映像信号と、グラフィック画像生成部43によって生成されたグラフィック画像信号とを合成し、表示信号を生成する。モニタ4は、表示信号生成部49によって生成された表示信号に基づいて画像を表示する。
【0033】
次に、本実施形態による内視鏡装置1の動作を説明する。内視鏡装置1は、電源が投入されると、撮像と画像表示を繰り返し行うライブ状態となる。図4に示すように、ライブ状態では、撮像素子28は被写体を撮像し、撮像信号を生成する(ステップS100)。映像信号生成部41は撮像信号を映像信号に変換する(ステップS105)。
【0034】
表示信号生成部49は、映像信号と、グラフィック画像生成部43からのグラフィック画像信号とを合成して表示信号を生成し、モニタ4へ出力する。モニタ4は、表示信号に基づいて画像を表示する(ステップS110)。続いて、処理はステップS100に戻る。ステップS100〜S110の間、制御部47は、常に操作部6からの信号を監視し、ユーザが測距起動操作を行ったか否かを判定する。測距起動操作とは、物体距離を計測する指示を入力する操作である。ユーザが測距起動操作を行った場合、内視鏡装置1は測距開始状態となる。
【0035】
測距開始状態では、図5および図6に示すように、映像信号に基づく画像の一部の領域の輝度が所定範囲内となるようにLED29の光量が調節され、物体距離の計測が行われる。また、測距開始状態では、図4のステップS100〜S110の処理が並行して継続される。測距開始状態では、まずRAM14内に各種変数用の領域が確保され、変数が初期化される。このとき、モニタ4の画面上に表示するスポットの表示座標(以下、スポット座標と記載する)を格納する領域として、最新のスポット座標を格納する領域(以下、第1の領域と記載する)と、一つ前に算出されたスポット座標を格納する領域(以下、第2の領域と記載する)とが確保される(ステップS200)。続いて、操作検出部42は、ユーザによる操作部6の操作内容に応じてスポット座標を算出し、RAM14に格納する。このとき、第1の領域に格納されていたスポット座標は第2の領域に格納され、新たに算出されたスポット座標が第1の領域に格納される(ステップS205)。
【0036】
続いて、制御部47は、RAM14の第1の領域からスポット座標を読み出し、スポット座標が計測可能範囲内であるか否かを判定する(ステップS210)。スポット座標が計測可能範囲内でなかった場合、処理はステップS205に戻る。また、スポット座標が計測可能範囲内であった場合、輝度検出部45は、スポット座標を中心とする例えば21×21画素のスポット領域の映像信号を取り込む(ステップS215)。続いて、輝度検出部45は、ステップS215で取り込んだ映像信号に基づいて、スポット領域の平均輝度(以下、スポット平均輝度と記載する)を算出する(ステップS220)。
【0037】
続いて、制御部47は、スポット平均輝度が150以上であるか否かを判定する(ステップS225)。スポット平均輝度が150未満であった場合、処理は図6のステップS245に進む。また、スポット平均輝度が150以上であった場合、操作検出部42は、ユーザによる操作部6の操作内容に応じてスポット座標を算出し、RAM14に格納する。このとき、第1の領域に格納されていたスポット座標は第2の領域に格納され、新たに算出されたスポット座標が第1の領域に格納される(ステップS230)。
【0038】
続いて、制御部47は、RAM14の第1の領域と第2の領域からスポット座標を読み出し、両者が異なるか否か、すなわちスポット座標が変化したか否かを判定する(ステップS235)。スポット座標が変化した場合、処理はステップS210に戻る。また、スポット座標が変化していない場合、光量制御部46は、LED29の光量を10%減少させるための制御信号を出力する(ステップS240)。LED駆動部48は、この制御信号に基づいて、LED29を駆動するための駆動信号を出力し、LED29は、この駆動信号に基づいて発光する。続いて、処理はステップS215に戻る。
【0039】
処理が図6のステップS245に進んだ場合、制御部47は、スポット平均輝度が110以下であるか否かを判定する(ステップS245)。スポット平均輝度が110を超えている場合、ステップS255に進む。また、スポット平均輝度が110以下であった場合、制御部47は、光量制御部46が設定しているLED29の光量が最大であるか否かを判定する(ステップS250)。光量が最大であった場合、処理はステップS255に進み、光量が最大ではない場合、処理はステップS280に進む。
【0040】
処理がステップS255に進んだ場合、操作検出部42は、ユーザによる操作部6の操作内容に応じてスポット座標を算出し、RAM14に格納する。このとき、第1の領域に格納されていたスポット座標は第2の領域に格納され、新たに算出されたスポット座標が第1の領域に格納される(ステップS255)。続いて、制御部47は、RAM14の第1の領域と第2の領域からスポット座標を読み出し、両者が異なるか否か、すなわちスポット座標が変化したか否かを判定する(ステップS260)。スポット座標が変化した場合、処理はステップS210に戻る。また、スポット座標が変化していない場合、処理はステップS265に進む。
【0041】
処理がステップS280に進んだ場合、ステップS255と同様にスポット座標が算出され(ステップS280)、続いてステップS260と同様に、スポット座標が変化したか否かが判定される(ステップS285)。スポット座標が変化した場合、処理はステップS210に戻る。また、スポット座標が変化していない場合、光量制御部46は、LED29の光量を10%増加させるための制御信号を出力する(ステップS290)。LED駆動部48は、この制御信号に基づいて、LED29を駆動するための駆動信号を出力し、LED29は、この駆動信号に基づいて発光する。続いて、処理はステップS215に戻る。
【0042】
処理がステップS265に進んだ場合、計測処理部44は、映像信号に基づいて、物体距離を計測する測距処理を実行する(ステップS265)。この測距処理では、三角測量の原理を利用したステレオ計測により、スポット座標に位置する計測点の3次元座標が算出され、物体距離が算出される。以下、図10を参照しながら、ステレオ計測による計測点の3次元座標の求め方を説明する。左側および右側の光学系で撮像された画像に対して、三角測量の方法により、計測点60の3次元座標(X,Y,Z)が以下の(1)式〜(3)式で計算される。ただし、歪み補正が施された左右の画像上の計測点61,62の座標をそれぞれ(XL,YL)、(XR,YR)とし、左側と右側の光学中心63,64の距離をDとし、焦点距離をFとし、t=D/(XL−XR)とする。
X=t×XR+D/2 ・・・(1)
Y=t×YR ・・・(2)
Z=t×F ・・・(3)
【0043】
上記のように元画像上の計測点61,62の座標が決定されると、パラメータDおよびFを用いて計測点60の3次元座標が求まる。いくつかの点の3次元座標を求めることによって、2点間の距離、2点を結ぶ線と1点の距離、面積、深さ、表面形状等の様々な計測が可能である。また、左側の光学中心63、または右側の光学中心64から被写体までの距離(物体距離)を求めることも可能となる。上記のステレオ計測を行うためには、内視鏡先端部21とステレオ光学アダプタを含む光学系の特性を示す光学データが必要である。なお、光学データの詳細は、例えば特開2004−49638号公報に記載されているので、その説明を省略する。
【0044】
測距処理が終了すると、制御部47は、操作部6からの信号を検出し(ステップS270)、ユーザが終了操作を行ったか否かを判定する(ステップS275)。終了操作とは、フリーズ操作または測距終了操作である。フリーズ操作とは、静止画像を表示する指示を入力する操作である。ユーザが終了操作を行っていない場合、処理はステップS215に戻る。また、ユーザが終了操作を行った場合、制御部47は、終了操作がフリーズ操作と測距終了操作のどちらであるのかを判定する(ステップS295)。終了操作がフリーズ操作であった場合、内視鏡装置1はフリーズ開始状態となる。また、終了操作が測距終了操作であった場合、内視鏡装置1はライブ状態となる。
【0045】
図5および図6に示した処理によれば、スポット領域の輝度が計測に適した輝度となるようにLED29の光量が調節される。また、図示していないが、図5および図6に示す処理と並行して、図4のステップS100〜S110と同様の処理が繰り返し実行される。これによって、モニタ4の画面が定期的に更新され、ユーザによる操作部6の操作内容に応じてスポットの表示位置が変化する。
【0046】
図9(a)は、ライブ状態におけるモニタ4の画面を示している。同一被写体に関する2つの被写体像を結像可能なステレオ光学アダプタを通して撮像された左右一対の画像である左画像900と右画像901が表示される。図9(b)は、測距起動操作が行われた直後のモニタ4の画面を示している。左画像900の中心に第1の照準としてスポット910が表示される。図9(c)は、ユーザが操作部6を操作してスポット910を移動させている間のモニタ4の画面を示している。この間、スポット910を基準とするスポット領域のスポット平均輝度が所定範囲内となるように、LED29の光量が調節される。
【0047】
図9(d)は、ユーザがスポット910の移動を停止した直後のモニタ4の画面を示している。このとき、スポット910を基準とするスポット領域のスポット平均輝度が所定範囲内であれば、測距処理が実行され、物体距離が算出される。図9(e)は、物体距離が算出された直後のモニタ4の画面を示している。物体距離の値920が表示されると共に、物体距離を視覚的に表すインジケータ930が表示される。
【0048】
図7に示すように、フリーズ開始状態では、表示信号生成部49は、モニタ4にフリーズ画像(静止画像)を表示するため、映像信号を処理してフレーム画像信号を生成し、グラフィック画像生成部43からのグラフィック画像信号と合成した表示信号を生成する(ステップS300)。モニタ4は、表示信号に基づいて、操作メニュー等と共にフレーム画像を表示する(ステップS305)。
【0049】
続いて、制御部47は、操作部6からの信号を検出し(ステップS310)、ユーザが計測起動操作を行ったか否かを判定する(ステップS315)。計測起動操作とは、計測機能を起動する指示を入力する操作である。ユーザが計測起動操作を行っていない場合、処理はステップS310に戻る。また、ユーザが計測起動操作を行った場合、内視鏡装置1は計測状態となる。
【0050】
図8に示すように、計測状態では、まずRAM14内に各種変数用の領域が確保され、変数が初期化される(ステップS400)。続いて、操作検出部42は、ユーザによる操作部6の操作内容に応じてスポット座標を算出し(ステップS405)、スポット座標に応じたカーソル座標をRAM14に格納する(ステップS410)。このとき、スポット座標と同一のカーソル座標が設定される。
【0051】
続いて、グラフィック画像生成部43は、RAM14からカーソル座標を読み出し、そのカーソル座標の位置にカーソルを表示するためのグラフィック画像信号を生成する(ステップS415)。さらに、グラフィック画像生成部43は、計測に必要なメニュー等を含む計測画面を表示するためのグラフィック画像信号を生成する(ステップS420)。これによって、計測機能の起動が完了する。ステップS415,S420で生成されたグラフィック画像信号は表示信号生成部49へ出力され、表示信号生成部49によって表示信号が生成される。モニタ4は、この表示信号に基づいて画像を表示する。
【0052】
図9(f)は、計測機能の起動が完了した直後のモニタ4の画面を示している。第2の照準としてのカーソル940と共に、メニュー等のアイコン950、操作内容を指示するメッセージ960が表示される。図9(f)は、図9(e)の状態で計測機能が起動された状態を示しており、カーソル940は、スポット910を基準とするスポット領域が位置していた位置に表示される。本実施形態では、カーソル940はスポット910と同一の位置に表示されている。
【0053】
計測機能の起動が完了すると、計測処理部44は、ステップS300で生成されたフレーム画像信号を取得し、このフレーム画像信号に基づいて計測処理を実行する(ステップS425)。この計測処理には、ユーザによる操作部6の操作内容に基づいて内視鏡画像上に計測点を設定する処理や、計測点で指定される長さや面積を算出する処理等が含まれる。内視鏡画像において計測点を設定する位置は、調光が行われた位置であることが望ましい。つまり、計測点を設定する位置は、計測機能が起動される直前のスポット座標、すなわち最後に調光が行われたときのスポット座標の周辺であることが望ましい。特に、計測点を設定する位置は、計測機能が起動される直前のスポット座標と同一の位置であることが望ましい。
【0054】
上記の説明では、スポット領域が1つであるが、スポット領域が複数であってもよい。例えば、特開2006−136706号公報に記載されている、3つの照準を用いた測距方法に対して、本実施形態を変形して適用してもよい。例えば、内視鏡画像上の3つの照準のそれぞれに3つのスポット領域を設定し、スポット領域毎にスポット平均輝度を算出し、3つのスポット平均輝度の最大値を図5および図6の「スポット平均輝度」の代わりに用いて本実施形態と同様の処理を行えばよい。
【0055】
本実施形態では、LED29が先端部21に内蔵されているが、LED29を筐体5内に配置し、LED29が発生した照明光を光ファイバで先端部21に導くようにしてもよい。図10は、LED29を筐体5内に配置した場合の構成を示している。照明部19は、LED29から出射される光を絞る絞り25と、この絞り25を駆動するアクチュエータ26と、絞られた光を挿入部20の先端部21まで伝達するファイバ27とが設けられている。光量制御部46は、輝度検出部45によって検出された輝度に基づいて、アクチュエータ26を駆動し、絞り25によって出射光を調節する。また、本実施形態では、照明としてLEDを用いているが、LED以外の照明を用いてもよい。
【0056】
上述したように、本実施形態によれば、スポットの表示位置であるスポット座標を基準とするスポット領域の輝度に基づいてLED29の光量を制御することによって、計測対象領域の明るさが適切に調節された画像で計測を行うことが可能となる。したがって、計測精度の低下を抑制することができる。
【0057】
また、図5および図6に示したように、スポット座標の変化量が所定の条件を満たした場合(本実施形態ではスポット座標が変化しなかった場合)にLED29の光量を制御することによって、ユーザはスポットの動きによって調光のタイミングを決定することができる。特に、異なる時点で検出されたスポット座標が同一の場合、すなわちスポット座標が変化しなかった場合(あるいはスポットの移動指示が検出されなかった場合)にLED29の光量を制御することによって、スポットが停止したときに調光を行うことができる。さらに、スポットが停止したときにLED29の光量を制御することによって、スポットが停止した位置と同一または近傍の位置に計測点が設定される場合の計測精度が向上する。
【0058】
また、本実施形態では、スポット座標が変化しなかった場合にLED29の光量を制御しているが、スポット座標の移動速度が所定量以下の場合等にLED29の光量を制御するようにしてもよいし、スポット座標の移動に常に連動してLED29の光量を制御してもよい。スポット座標の移動に常に連動してLED29の光量を制御する場合、スポット座標が変化したこと、あるいはスポットの移動指示が入力されたことを検出してLED29の光量を制御すればよい。これによって、画像を、計測に適した明るさに常に調節することができ、計測精度が向上する。
【0059】
また、スポット座標を基準とする位置に計測点を設定して計測処理を実行することによって、計測に適した明るさに調節された画像で計測を行うことができ、計測精度が向上する。本実施形態では、計測機能が起動される直前のスポットの位置と、計測機能の起動が完了した直後のカーソルの位置とが同一であるため、この位置の周辺(例えば、スポット領域の内部)に計測点を設定して計測処理を実行すれば、計測精度が向上する。さらに、スポット座標に計測点を設定して物体距離を計測することによって、測距に適した明るさに調節された画像で物体距離を計測することができ、測距精度が向上する。
【0060】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1・・・内視鏡装置、2・・・内視鏡、3・・・装置本体、4・・・モニタ(表示部)、5・・・筐体、6・・・操作部、8・・・内視鏡ユニット、9・・・CCU(撮像部)、10・・・制御ユニット、12・・・映像信号処理回路、18・・・CPU、19・・・照明部、28・・・撮像素子(撮像部)、29・・・LED(照明部)、41・・・映像信号生成部、42・・・操作検出部(設定部)、44・・・計測処理部(計測部)、45・・・輝度検出部(検出部)、46・・・光量制御部(制御部)、49・・・表示信号生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡により被写体を撮像して得られた映像信号に基づいて計測処理を実行する内視鏡装置および計測方法に関する。また、本発明は、本内視鏡装置の動作を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置は、ボイラー、タービン、エンジン、パイプ等の内部の傷や腐食等の観察や検査に使用されている。また、内視鏡装置において、内視鏡で撮像された画像上で指定された計測点をもとに、三角測量の原理で長さや面積などの計測を行う機能を備えた計測用内視鏡装置がある。特許文献1,2には、内視鏡の先端から観察対象の被写体(観察対象物)までの距離(物体距離)をリアルタイムに表示することによって、内視鏡の先端が計測に適した距離まで観察対象物に近づいているかどうかをユーザに知らせることができる計測用内視鏡装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−136706号公報
【特許文献2】特開2006−325741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、計測対象領域に照射される照明光が強すぎて計測対象領域の画像の明るさが飽和している場合には、計測精度が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、計測精度の低下を抑制することができる内視鏡装置、計測方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、被写体を撮像し、画像データを生成する撮像部と、前記画像データに基づく画像および照準を表示する表示部と、前記被写体を照明する照明部と、前記照準を表示する表示位置を設定する設定部と、前記表示位置を基準とする前記画像データの部分領域の輝度を検出する検出部と、前記検出部によって検出された輝度に基づいて、前記照明部を制御する制御部と、前記制御部が前記照明部を制御することによって輝度が調整された前記画像データに基づいて前記被写体を計測する計測部と、を備えたことを特徴とする内視鏡装置である。
【0007】
また、本発明の内視鏡装置において、前記制御部は、前記表示位置が所定の条件を満たした場合に前記照明部を制御することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の内視鏡装置において、前記制御部は、前記照準を移動させる指示が検出された場合に前記照明部を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の内視鏡装置において、前記制御部は、前記照準を移動させる指示が検出されなかった場合に前記照明部を制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の内視鏡装置において、前記計測部は、前記表示位置を基準とする計測位置において前記被写体を計測することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の内視鏡装置において、前記照準は第1の照準および第2の照準を有し、前記検出部は、前記第1の照準の表示位置を基準として前記画像データの前記部分領域の輝度を検出し、前記計測部は、前記第2の照準の表示位置を前記計測位置として前記被写体を計測することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の内視鏡装置において、前記第1の照準の表示位置と前記第2の照準の表示位置とが同一であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の内視鏡装置において、前記第2の照準の表示位置は、前記画像データの前記部分領域に含まれることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、被写体を撮像し、画像データを生成するステップと、前記画像データに基づく画像および照準を表示するステップと、前記照準を表示する表示位置を設定するステップと、前記表示位置を基準とする前記画像データの部分領域の輝度を検出するステップと、前記輝度に基づいて、前記被写体を照明する照明部を制御するステップと、前記照明部を制御することによって輝度が調整された前記画像データに基づいて前記被写体を計測するステップと、を実行することを特徴とする計測方法である。
【0015】
また、本発明は、被写体を撮像し、画像データを生成するステップと、前記画像データに基づく画像および照準を表示するステップと、前記照準を表示する表示位置を設定するステップと、前記表示位置を基準とする前記画像データの部分領域の輝度を検出するステップと、前記輝度に基づいて、前記被写体を照明する照明部を制御するステップと、前記照明部を制御することによって輝度が調整された前記画像データに基づいて前記被写体を計測するステップと、を内視鏡装置に実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、照準の表示位置を基準とする画像内の部分領域の輝度に基づいて照明の光量を制御することによって、計測対象領域の明るさが適切に調節された画像で計測を行うことが可能となるので、計測精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態による内視鏡装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による内視鏡装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による内視鏡装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態による内視鏡装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態による内視鏡装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態による内視鏡装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態による内視鏡装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態による内視鏡装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態における画面を示す参考図である。
【図10】本発明の一実施形態による内視鏡装置の内部構成を示すブロック図である。
【図11】ステレオ計測による計測点の3次元座標の求め方を説明するための参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態による内視鏡装置の構成を示している。図1に示すように、内視鏡装置1は、内視鏡2と、この内視鏡2に接続された装置本体3とを備えている。内視鏡2は、細長な挿入部20と、装置全体の各種動作制御を実行する際に必要な操作を行うための操作部6とを備えている。装置本体3は、内視鏡2で撮像された被写体の画像や操作制御内容(例えば処理メニュー)等の表示を行う表示装置であるモニタ4(液晶モニタ)と、内部に制御ユニット10(図2参照)を有する筐体5とを備えている。
【0019】
挿入部20は、硬質な先端部21と、例えば上下左右に湾曲可能な湾曲部22と、柔軟性を有する可撓管部23とを先端側から順に連設して構成されている。先端部21には、観察視野を2つ有するステレオ光学アダプタや観察視野が1つの通常観察光学アダプタ等、各種光学アダプタが着脱自在になっている。
【0020】
図2に示すように筐体5内には、内視鏡ユニット8、CCU9(カメラコントロールユニット)、および制御ユニット10が設けられており、挿入部20の基端部は内視鏡ユニット8に接続されている。内視鏡ユニット8は、先端部21に内蔵されている光源(LED29)を駆動する光源駆動装置と、挿入部20を構成する湾曲部22を湾曲させる湾曲装置とを備えて構成されている。
【0021】
先端部21には撮像素子28とLED29が内蔵されている。撮像素子28は、光学アダプタを介して結像された被写体像を光電変換し、撮像信号を生成する。CCU9には、撮像素子28から出力された撮像信号が入力される。この撮像信号は、CCU9内で例えばNTSC信号等の映像信号(画像データ)に変換されて、制御ユニット10へ供給される。LED29は、被写体に照射する照明光を発生する。
【0022】
制御ユニット10内には、映像信号が入力される映像信号処理回路12、ROM13、RAM14、カードI/F15(カードインターフェイス)、USB I/F16(USBインターフェイス)、およびRS−232C I/F17(RS−232Cインターフェイス)と、これら各種機能を主要プログラムに基づいて実行し動作制御を行うCPU18とが設けられている。
【0023】
RS−232C I/F17には、CCU9および内視鏡ユニット8が接続されると共に、これらCCU9や内視鏡ユニット8等の制御および動作指示を行う操作部6が接続されている。ユーザが操作部6を操作すると、その操作内容に基づいて、CCU9および内視鏡ユニット8を動作制御する際に必要な通信が行われる。
【0024】
USB I/F16は、制御ユニット10とパーソナルコンピュータ31とを電気的に接続するためのインターフェイスである。このUSB I/F16を介して制御ユニット10とパーソナルコンピュータ31とを接続することによって、パーソナルコンピュータ31側で内視鏡画像の表示指示や、計測時における画像処理等の各種の指示制御を行うことが可能になると共に、制御ユニット10とパーソナルコンピュータ31との間での各種の処理に必要な制御情報やデータ等の入出力を行うことが可能になる。
【0025】
また、カードI/F15には、メモリカード32を自由に着脱することができるようになっている。メモリカード32をカードI/F15に装着することにより、CPU18による制御に従って、このメモリカード32に記憶されている制御処理情報や画像情報等のデータの制御ユニット10への取り込み、あるいは制御処理情報や画像情報等のデータのメモリカード32への記録を行うことが可能になる。
【0026】
映像信号処理回路12は、CCU9から供給された映像信号に基づく内視鏡画像と、グラフィックによる操作メニューとを合成した合成画像を表示するため、CPU18の制御により生成される、操作メニューに基づくグラフィック画像信号とCCU9からの映像信号を合成する処理や、モニタ4の画面上に表示するのに必要な処理等を行い、表示信号をモニタ4に供給する。また、この映像信号処理回路12は、単に内視鏡画像、あるいは操作メニュー等の画像を単独で表示するための処理を行うことも可能である。したがって、モニタ4の画面上には、内視鏡画像、操作メニュー画像、内視鏡画像と操作メニュー画像との合成画像等が表示される。
【0027】
CPU18は、ROM13に格納されているプログラムを実行することによって、目的に応じた処理を行うように各種回路部等を制御して、内視鏡装置1全体の動作制御を行う。RAM14は、CPU18によって、データの一時格納用の作業領域として使用される。
【0028】
図3は、内視鏡装置1のうち、本実施形態の説明の中心となる部分の機能構成を示している。映像信号生成部41はCCU9の機能に対応する。この映像信号生成部41は、撮像素子28から出力された撮像信号に基づいて映像信号を生成する。
【0029】
操作検出部42、グラフィック画像生成部43、計測処理部44、輝度検出部45、光量制御部46、制御部47はCPU18の機能に対応する。操作検出部42は、ユーザによる操作部6の操作を検出し、操作内容に応じて、モニタ4の画面上に表示する照準の表示位置を設定する。照準には、物体距離の計測を行う位置を指定するためのスポットと、計測点を設定する位置を指定するためのカーソルとが含まれる。物体距離は先端部21から被写体までの距離であって、例えば撮像素子28又は観察光学系から被写体までの距離である。ユーザは、操作部6に設けられているポインティングデバイス(方向レバー)を操作することにより、画面内で照準を移動させることができる。方向レバーは、マウス、トラックボール、トラックパッド、タッチパネル等の他の種類のポインティングデバイスであってもよい。
【0030】
グラフィック画像生成部43は、モニタ4の画面上に表示する操作メニューや照準に対応するグラフィック画像信号を生成する。上記のように、画面内における照準の表示位置は、操作検出部42によって設定される。計測処理部44は、映像信号生成部41によって生成された映像信号に基づいて、測距処理および計測処理を実行する。測距処理は、物体距離を算出する処理である。また、計測処理は、内視鏡画像上に設定される計測点で指定される長さや面積を算出する処理である。本実施形態の説明では測距処理と計測処理を分けているが、測距処理は広義の計測処理に含まれるものとしてもよい。
【0031】
輝度検出部45は、映像信号生成部41によって生成された映像信号に基づく画像において、操作検出部42によって設定されたスポットの表示位置を基準とする部分領域の輝度を検出する。光量制御部46は、操作検出部42によって検出された輝度に基づいて、LED29の光量を制御(調光)するための制御信号を出力する。制御部47は、操作検出部42、グラフィック画像生成部43、計測処理部44、輝度検出部45、光量制御部46のそれぞれへの処理の割り当てを制御すると共に、内視鏡装置1全体の動作を制御する。
【0032】
LED駆動部48は内視鏡ユニット8の機能に対応する。このLED駆動部48は、光量制御部46から出力された制御信号に基づいて、LED29を駆動するための駆動信号を出力する。LED29は、LED駆動部48から出力された駆動信号に基づいて発光する。表示信号生成部49は映像信号処理回路12の機能に対応する。この表示信号生成部49は、映像信号生成部41によって生成された映像信号と、グラフィック画像生成部43によって生成されたグラフィック画像信号とを合成し、表示信号を生成する。モニタ4は、表示信号生成部49によって生成された表示信号に基づいて画像を表示する。
【0033】
次に、本実施形態による内視鏡装置1の動作を説明する。内視鏡装置1は、電源が投入されると、撮像と画像表示を繰り返し行うライブ状態となる。図4に示すように、ライブ状態では、撮像素子28は被写体を撮像し、撮像信号を生成する(ステップS100)。映像信号生成部41は撮像信号を映像信号に変換する(ステップS105)。
【0034】
表示信号生成部49は、映像信号と、グラフィック画像生成部43からのグラフィック画像信号とを合成して表示信号を生成し、モニタ4へ出力する。モニタ4は、表示信号に基づいて画像を表示する(ステップS110)。続いて、処理はステップS100に戻る。ステップS100〜S110の間、制御部47は、常に操作部6からの信号を監視し、ユーザが測距起動操作を行ったか否かを判定する。測距起動操作とは、物体距離を計測する指示を入力する操作である。ユーザが測距起動操作を行った場合、内視鏡装置1は測距開始状態となる。
【0035】
測距開始状態では、図5および図6に示すように、映像信号に基づく画像の一部の領域の輝度が所定範囲内となるようにLED29の光量が調節され、物体距離の計測が行われる。また、測距開始状態では、図4のステップS100〜S110の処理が並行して継続される。測距開始状態では、まずRAM14内に各種変数用の領域が確保され、変数が初期化される。このとき、モニタ4の画面上に表示するスポットの表示座標(以下、スポット座標と記載する)を格納する領域として、最新のスポット座標を格納する領域(以下、第1の領域と記載する)と、一つ前に算出されたスポット座標を格納する領域(以下、第2の領域と記載する)とが確保される(ステップS200)。続いて、操作検出部42は、ユーザによる操作部6の操作内容に応じてスポット座標を算出し、RAM14に格納する。このとき、第1の領域に格納されていたスポット座標は第2の領域に格納され、新たに算出されたスポット座標が第1の領域に格納される(ステップS205)。
【0036】
続いて、制御部47は、RAM14の第1の領域からスポット座標を読み出し、スポット座標が計測可能範囲内であるか否かを判定する(ステップS210)。スポット座標が計測可能範囲内でなかった場合、処理はステップS205に戻る。また、スポット座標が計測可能範囲内であった場合、輝度検出部45は、スポット座標を中心とする例えば21×21画素のスポット領域の映像信号を取り込む(ステップS215)。続いて、輝度検出部45は、ステップS215で取り込んだ映像信号に基づいて、スポット領域の平均輝度(以下、スポット平均輝度と記載する)を算出する(ステップS220)。
【0037】
続いて、制御部47は、スポット平均輝度が150以上であるか否かを判定する(ステップS225)。スポット平均輝度が150未満であった場合、処理は図6のステップS245に進む。また、スポット平均輝度が150以上であった場合、操作検出部42は、ユーザによる操作部6の操作内容に応じてスポット座標を算出し、RAM14に格納する。このとき、第1の領域に格納されていたスポット座標は第2の領域に格納され、新たに算出されたスポット座標が第1の領域に格納される(ステップS230)。
【0038】
続いて、制御部47は、RAM14の第1の領域と第2の領域からスポット座標を読み出し、両者が異なるか否か、すなわちスポット座標が変化したか否かを判定する(ステップS235)。スポット座標が変化した場合、処理はステップS210に戻る。また、スポット座標が変化していない場合、光量制御部46は、LED29の光量を10%減少させるための制御信号を出力する(ステップS240)。LED駆動部48は、この制御信号に基づいて、LED29を駆動するための駆動信号を出力し、LED29は、この駆動信号に基づいて発光する。続いて、処理はステップS215に戻る。
【0039】
処理が図6のステップS245に進んだ場合、制御部47は、スポット平均輝度が110以下であるか否かを判定する(ステップS245)。スポット平均輝度が110を超えている場合、ステップS255に進む。また、スポット平均輝度が110以下であった場合、制御部47は、光量制御部46が設定しているLED29の光量が最大であるか否かを判定する(ステップS250)。光量が最大であった場合、処理はステップS255に進み、光量が最大ではない場合、処理はステップS280に進む。
【0040】
処理がステップS255に進んだ場合、操作検出部42は、ユーザによる操作部6の操作内容に応じてスポット座標を算出し、RAM14に格納する。このとき、第1の領域に格納されていたスポット座標は第2の領域に格納され、新たに算出されたスポット座標が第1の領域に格納される(ステップS255)。続いて、制御部47は、RAM14の第1の領域と第2の領域からスポット座標を読み出し、両者が異なるか否か、すなわちスポット座標が変化したか否かを判定する(ステップS260)。スポット座標が変化した場合、処理はステップS210に戻る。また、スポット座標が変化していない場合、処理はステップS265に進む。
【0041】
処理がステップS280に進んだ場合、ステップS255と同様にスポット座標が算出され(ステップS280)、続いてステップS260と同様に、スポット座標が変化したか否かが判定される(ステップS285)。スポット座標が変化した場合、処理はステップS210に戻る。また、スポット座標が変化していない場合、光量制御部46は、LED29の光量を10%増加させるための制御信号を出力する(ステップS290)。LED駆動部48は、この制御信号に基づいて、LED29を駆動するための駆動信号を出力し、LED29は、この駆動信号に基づいて発光する。続いて、処理はステップS215に戻る。
【0042】
処理がステップS265に進んだ場合、計測処理部44は、映像信号に基づいて、物体距離を計測する測距処理を実行する(ステップS265)。この測距処理では、三角測量の原理を利用したステレオ計測により、スポット座標に位置する計測点の3次元座標が算出され、物体距離が算出される。以下、図10を参照しながら、ステレオ計測による計測点の3次元座標の求め方を説明する。左側および右側の光学系で撮像された画像に対して、三角測量の方法により、計測点60の3次元座標(X,Y,Z)が以下の(1)式〜(3)式で計算される。ただし、歪み補正が施された左右の画像上の計測点61,62の座標をそれぞれ(XL,YL)、(XR,YR)とし、左側と右側の光学中心63,64の距離をDとし、焦点距離をFとし、t=D/(XL−XR)とする。
X=t×XR+D/2 ・・・(1)
Y=t×YR ・・・(2)
Z=t×F ・・・(3)
【0043】
上記のように元画像上の計測点61,62の座標が決定されると、パラメータDおよびFを用いて計測点60の3次元座標が求まる。いくつかの点の3次元座標を求めることによって、2点間の距離、2点を結ぶ線と1点の距離、面積、深さ、表面形状等の様々な計測が可能である。また、左側の光学中心63、または右側の光学中心64から被写体までの距離(物体距離)を求めることも可能となる。上記のステレオ計測を行うためには、内視鏡先端部21とステレオ光学アダプタを含む光学系の特性を示す光学データが必要である。なお、光学データの詳細は、例えば特開2004−49638号公報に記載されているので、その説明を省略する。
【0044】
測距処理が終了すると、制御部47は、操作部6からの信号を検出し(ステップS270)、ユーザが終了操作を行ったか否かを判定する(ステップS275)。終了操作とは、フリーズ操作または測距終了操作である。フリーズ操作とは、静止画像を表示する指示を入力する操作である。ユーザが終了操作を行っていない場合、処理はステップS215に戻る。また、ユーザが終了操作を行った場合、制御部47は、終了操作がフリーズ操作と測距終了操作のどちらであるのかを判定する(ステップS295)。終了操作がフリーズ操作であった場合、内視鏡装置1はフリーズ開始状態となる。また、終了操作が測距終了操作であった場合、内視鏡装置1はライブ状態となる。
【0045】
図5および図6に示した処理によれば、スポット領域の輝度が計測に適した輝度となるようにLED29の光量が調節される。また、図示していないが、図5および図6に示す処理と並行して、図4のステップS100〜S110と同様の処理が繰り返し実行される。これによって、モニタ4の画面が定期的に更新され、ユーザによる操作部6の操作内容に応じてスポットの表示位置が変化する。
【0046】
図9(a)は、ライブ状態におけるモニタ4の画面を示している。同一被写体に関する2つの被写体像を結像可能なステレオ光学アダプタを通して撮像された左右一対の画像である左画像900と右画像901が表示される。図9(b)は、測距起動操作が行われた直後のモニタ4の画面を示している。左画像900の中心に第1の照準としてスポット910が表示される。図9(c)は、ユーザが操作部6を操作してスポット910を移動させている間のモニタ4の画面を示している。この間、スポット910を基準とするスポット領域のスポット平均輝度が所定範囲内となるように、LED29の光量が調節される。
【0047】
図9(d)は、ユーザがスポット910の移動を停止した直後のモニタ4の画面を示している。このとき、スポット910を基準とするスポット領域のスポット平均輝度が所定範囲内であれば、測距処理が実行され、物体距離が算出される。図9(e)は、物体距離が算出された直後のモニタ4の画面を示している。物体距離の値920が表示されると共に、物体距離を視覚的に表すインジケータ930が表示される。
【0048】
図7に示すように、フリーズ開始状態では、表示信号生成部49は、モニタ4にフリーズ画像(静止画像)を表示するため、映像信号を処理してフレーム画像信号を生成し、グラフィック画像生成部43からのグラフィック画像信号と合成した表示信号を生成する(ステップS300)。モニタ4は、表示信号に基づいて、操作メニュー等と共にフレーム画像を表示する(ステップS305)。
【0049】
続いて、制御部47は、操作部6からの信号を検出し(ステップS310)、ユーザが計測起動操作を行ったか否かを判定する(ステップS315)。計測起動操作とは、計測機能を起動する指示を入力する操作である。ユーザが計測起動操作を行っていない場合、処理はステップS310に戻る。また、ユーザが計測起動操作を行った場合、内視鏡装置1は計測状態となる。
【0050】
図8に示すように、計測状態では、まずRAM14内に各種変数用の領域が確保され、変数が初期化される(ステップS400)。続いて、操作検出部42は、ユーザによる操作部6の操作内容に応じてスポット座標を算出し(ステップS405)、スポット座標に応じたカーソル座標をRAM14に格納する(ステップS410)。このとき、スポット座標と同一のカーソル座標が設定される。
【0051】
続いて、グラフィック画像生成部43は、RAM14からカーソル座標を読み出し、そのカーソル座標の位置にカーソルを表示するためのグラフィック画像信号を生成する(ステップS415)。さらに、グラフィック画像生成部43は、計測に必要なメニュー等を含む計測画面を表示するためのグラフィック画像信号を生成する(ステップS420)。これによって、計測機能の起動が完了する。ステップS415,S420で生成されたグラフィック画像信号は表示信号生成部49へ出力され、表示信号生成部49によって表示信号が生成される。モニタ4は、この表示信号に基づいて画像を表示する。
【0052】
図9(f)は、計測機能の起動が完了した直後のモニタ4の画面を示している。第2の照準としてのカーソル940と共に、メニュー等のアイコン950、操作内容を指示するメッセージ960が表示される。図9(f)は、図9(e)の状態で計測機能が起動された状態を示しており、カーソル940は、スポット910を基準とするスポット領域が位置していた位置に表示される。本実施形態では、カーソル940はスポット910と同一の位置に表示されている。
【0053】
計測機能の起動が完了すると、計測処理部44は、ステップS300で生成されたフレーム画像信号を取得し、このフレーム画像信号に基づいて計測処理を実行する(ステップS425)。この計測処理には、ユーザによる操作部6の操作内容に基づいて内視鏡画像上に計測点を設定する処理や、計測点で指定される長さや面積を算出する処理等が含まれる。内視鏡画像において計測点を設定する位置は、調光が行われた位置であることが望ましい。つまり、計測点を設定する位置は、計測機能が起動される直前のスポット座標、すなわち最後に調光が行われたときのスポット座標の周辺であることが望ましい。特に、計測点を設定する位置は、計測機能が起動される直前のスポット座標と同一の位置であることが望ましい。
【0054】
上記の説明では、スポット領域が1つであるが、スポット領域が複数であってもよい。例えば、特開2006−136706号公報に記載されている、3つの照準を用いた測距方法に対して、本実施形態を変形して適用してもよい。例えば、内視鏡画像上の3つの照準のそれぞれに3つのスポット領域を設定し、スポット領域毎にスポット平均輝度を算出し、3つのスポット平均輝度の最大値を図5および図6の「スポット平均輝度」の代わりに用いて本実施形態と同様の処理を行えばよい。
【0055】
本実施形態では、LED29が先端部21に内蔵されているが、LED29を筐体5内に配置し、LED29が発生した照明光を光ファイバで先端部21に導くようにしてもよい。図10は、LED29を筐体5内に配置した場合の構成を示している。照明部19は、LED29から出射される光を絞る絞り25と、この絞り25を駆動するアクチュエータ26と、絞られた光を挿入部20の先端部21まで伝達するファイバ27とが設けられている。光量制御部46は、輝度検出部45によって検出された輝度に基づいて、アクチュエータ26を駆動し、絞り25によって出射光を調節する。また、本実施形態では、照明としてLEDを用いているが、LED以外の照明を用いてもよい。
【0056】
上述したように、本実施形態によれば、スポットの表示位置であるスポット座標を基準とするスポット領域の輝度に基づいてLED29の光量を制御することによって、計測対象領域の明るさが適切に調節された画像で計測を行うことが可能となる。したがって、計測精度の低下を抑制することができる。
【0057】
また、図5および図6に示したように、スポット座標の変化量が所定の条件を満たした場合(本実施形態ではスポット座標が変化しなかった場合)にLED29の光量を制御することによって、ユーザはスポットの動きによって調光のタイミングを決定することができる。特に、異なる時点で検出されたスポット座標が同一の場合、すなわちスポット座標が変化しなかった場合(あるいはスポットの移動指示が検出されなかった場合)にLED29の光量を制御することによって、スポットが停止したときに調光を行うことができる。さらに、スポットが停止したときにLED29の光量を制御することによって、スポットが停止した位置と同一または近傍の位置に計測点が設定される場合の計測精度が向上する。
【0058】
また、本実施形態では、スポット座標が変化しなかった場合にLED29の光量を制御しているが、スポット座標の移動速度が所定量以下の場合等にLED29の光量を制御するようにしてもよいし、スポット座標の移動に常に連動してLED29の光量を制御してもよい。スポット座標の移動に常に連動してLED29の光量を制御する場合、スポット座標が変化したこと、あるいはスポットの移動指示が入力されたことを検出してLED29の光量を制御すればよい。これによって、画像を、計測に適した明るさに常に調節することができ、計測精度が向上する。
【0059】
また、スポット座標を基準とする位置に計測点を設定して計測処理を実行することによって、計測に適した明るさに調節された画像で計測を行うことができ、計測精度が向上する。本実施形態では、計測機能が起動される直前のスポットの位置と、計測機能の起動が完了した直後のカーソルの位置とが同一であるため、この位置の周辺(例えば、スポット領域の内部)に計測点を設定して計測処理を実行すれば、計測精度が向上する。さらに、スポット座標に計測点を設定して物体距離を計測することによって、測距に適した明るさに調節された画像で物体距離を計測することができ、測距精度が向上する。
【0060】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1・・・内視鏡装置、2・・・内視鏡、3・・・装置本体、4・・・モニタ(表示部)、5・・・筐体、6・・・操作部、8・・・内視鏡ユニット、9・・・CCU(撮像部)、10・・・制御ユニット、12・・・映像信号処理回路、18・・・CPU、19・・・照明部、28・・・撮像素子(撮像部)、29・・・LED(照明部)、41・・・映像信号生成部、42・・・操作検出部(設定部)、44・・・計測処理部(計測部)、45・・・輝度検出部(検出部)、46・・・光量制御部(制御部)、49・・・表示信号生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像し、画像データを生成する撮像部と、
前記画像データに基づく画像および照準を表示する表示部と、
前記被写体を照明する照明部と、
前記照準を表示する表示位置を設定する設定部と、
前記表示位置を基準とする前記画像データの部分領域の輝度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された輝度に基づいて、前記照明部を制御する制御部と、
前記制御部が前記照明部を制御することによって輝度が調整された前記画像データに基づいて前記被写体を計測する計測部と、
を備えたことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示位置が所定の条件を満たした場合に前記照明部を制御することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記照準を移動させる指示が検出された場合に前記照明部を制御することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記照準を移動させる指示が検出されなかった場合に前記照明部を制御することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記計測部は、前記表示位置を基準とする計測位置において前記被写体を計測することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記照準は第1の照準および第2の照準を有し、
前記検出部は、前記第1の照準の表示位置を基準として前記画像データの前記部分領域の輝度を検出し、
前記計測部は、前記第2の照準の表示位置を前記計測位置として前記被写体を計測することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記第1の照準の表示位置と前記第2の照準の表示位置とが同一であることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記第2の照準の表示位置は、前記画像データの前記部分領域に含まれることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
被写体を撮像し、画像データを生成するステップと、
前記画像データに基づく画像および照準を表示するステップと、
前記照準を表示する表示位置を設定するステップと、
前記表示位置を基準とする前記画像データの部分領域の輝度を検出するステップと、
前記輝度に基づいて、前記被写体を照明する照明部を制御するステップと、
前記照明部を制御することによって輝度が調整された前記画像データに基づいて前記被写体を計測するステップと、
を実行することを特徴とする計測方法。
【請求項10】
被写体を撮像し、画像データを生成するステップと、
前記画像データに基づく画像および照準を表示するステップと、
前記照準を表示する表示位置を設定するステップと、
前記表示位置を基準とする前記画像データの部分領域の輝度を検出するステップと、
前記輝度に基づいて、前記被写体を照明する照明部を制御するステップと、
前記照明部を制御することによって輝度が調整された前記画像データに基づいて前記被写体を計測するステップと、
を内視鏡装置に実行させるためのプログラム。
【請求項1】
被写体を撮像し、画像データを生成する撮像部と、
前記画像データに基づく画像および照準を表示する表示部と、
前記被写体を照明する照明部と、
前記照準を表示する表示位置を設定する設定部と、
前記表示位置を基準とする前記画像データの部分領域の輝度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された輝度に基づいて、前記照明部を制御する制御部と、
前記制御部が前記照明部を制御することによって輝度が調整された前記画像データに基づいて前記被写体を計測する計測部と、
を備えたことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示位置が所定の条件を満たした場合に前記照明部を制御することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記照準を移動させる指示が検出された場合に前記照明部を制御することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記照準を移動させる指示が検出されなかった場合に前記照明部を制御することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記計測部は、前記表示位置を基準とする計測位置において前記被写体を計測することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記照準は第1の照準および第2の照準を有し、
前記検出部は、前記第1の照準の表示位置を基準として前記画像データの前記部分領域の輝度を検出し、
前記計測部は、前記第2の照準の表示位置を前記計測位置として前記被写体を計測することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記第1の照準の表示位置と前記第2の照準の表示位置とが同一であることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記第2の照準の表示位置は、前記画像データの前記部分領域に含まれることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
被写体を撮像し、画像データを生成するステップと、
前記画像データに基づく画像および照準を表示するステップと、
前記照準を表示する表示位置を設定するステップと、
前記表示位置を基準とする前記画像データの部分領域の輝度を検出するステップと、
前記輝度に基づいて、前記被写体を照明する照明部を制御するステップと、
前記照明部を制御することによって輝度が調整された前記画像データに基づいて前記被写体を計測するステップと、
を実行することを特徴とする計測方法。
【請求項10】
被写体を撮像し、画像データを生成するステップと、
前記画像データに基づく画像および照準を表示するステップと、
前記照準を表示する表示位置を設定するステップと、
前記表示位置を基準とする前記画像データの部分領域の輝度を検出するステップと、
前記輝度に基づいて、前記被写体を照明する照明部を制御するステップと、
前記照明部を制御することによって輝度が調整された前記画像データに基づいて前記被写体を計測するステップと、
を内視鏡装置に実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−27997(P2011−27997A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173536(P2009−173536)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]