説明

制動制御装置

【課題】液圧制御性能を低下させることなく、比例電磁弁の駆動周波数で発生する作動音の低減を行うことが可能な制動制御装置を提供する。
【解決手段】設定された駆動周波数により駆動される比例電磁弁の開度に応じて液圧を調圧し、当該調圧した液圧に基づき制動力を制御する制動制御装置1は、要求される制動力に応じて液圧を調圧する際に要求される調圧精度に基づいて要求調圧精度指数を設定する要求調圧精度指数設定手段と、比例電磁弁を駆動する駆動周波数に起因する作動音の低減要求に基づいて要求作動音低減指数を設定する要求作動音低減指数設定手段と、設定された要求調圧精度指数及び要求作動音低減指数に基づいて比例電磁弁の駆動周波数を設定する駆動周波数設定手段14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定された駆動周波数により駆動される比例電磁弁の開度に応じて液圧を調圧し、当該調圧した液圧に基づき制動力を制御する制動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リニアソレノイドに励磁電流を通電して比例電磁弁を駆動制御し、当該比例電磁弁によって被制御対象を制御する制御装置が知られている。その用途の一つとして、車両の制動制御装置に比例電磁弁が配設された例がある。このような制動制御装置では、比例電磁弁のリニアソレノイドに制御装置から制御信号として所定の電流が供給されることにより比例電磁弁を作動させて油路を開閉し、油の流量や油圧の調整を行っている。この種の制動制御装置では、比例電磁弁の上流側(マスタシリンダ側)と下流側(ホイールシリンダ側)との間で油圧が大きく変動することにより異音が生じることがある。このため、このような異音の発生を抑制することが可能な車両の制動力保持装置(以下、制動力保持装置)がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の制動力保持装置は、電磁弁の下流側通路のブレーキ液圧が所定の圧力(3MPa)より大きい場合、即ち車両の移動を阻止するために保持していた制動力がまだかなり大きい値として残っている時は、電磁弁の開閉を制御するデューティ制御の制御周波数を低く設定する(20Hzに設定する)。また、電磁弁の下流側通路のブレーキ液圧が所定の圧力(3MPa)以下である場合、即ちある程度の制動力が残っている時は、電磁弁の開閉を制御するデューティ制御の制御周波数を少し高めに設定する(60Hzに設定する)。そして、電磁弁の下流側通路のブレーキ液圧が十分低減している(0.3MPa以下である)時は、電磁弁の開閉を制御するデューティ制御の制御周波数を著しく高くする(1kHzに設定する)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−203110号公報(段落番号0039等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の制動力保持装置は、上述のように、ブレーキホールド制御の車両発進時、即ちブレーキ液圧のリリース時において、制動力が大きい程、電磁弁の制御周波数を低くする。このため、比例電磁弁の上流側(マスタシリンダ側)と下流側(ホイールシリンダ側)との間で油圧が大きく変動することにより生じる異音の発生を抑制することは可能である。しかしながら、特許文献1に記載の制動力保持装置がデューティ制御により比例電磁弁を駆動する場合の周波数は20〜1kHzであり、この周波数域は人の可聴周波数(20〜20kHz)の範囲内である。このため、乗員の耳には耳障りな音として聞こえてしまう。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、液圧制御性能を低下させることなく、比例電磁弁の駆動周波数に起因して発生する作動音の低減を行うことが可能な制動制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る制動制御装置の特徴構成は、設定された駆動周波数により駆動される比例電磁弁の開度に応じて液圧を調圧し、当該調圧した液圧に基づき制動力を制御するために、要求される制動力に応じて液圧を調圧する際に要求される調圧精度に基づいて要求調圧精度指数を設定する要求調圧精度指数設定手段と、前記比例電磁弁を駆動する前記駆動周波数に起因する作動音の低減要求に基づいて要求作動音低減指数を設定する要求作動音低減指数設定手段と、前記設定された要求調圧精度指数及び要求作動音低減指数に基づいて前記比例電磁弁の駆動周波数を設定する駆動周波数設定手段と、を備える点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、制動力に応じた液圧の精度が要求される場合と、作動音の低減が要求される場合とにおいて、その優先度に応じて、比例電磁弁の駆動周波数を設定することができる。したがって、液圧制御性能を低下させることなく、比例電磁弁の駆動周波数に起因して発生する作動音の低減を行うことが可能となる。
【0009】
また、前記駆動周波数設定手段は、前記設定される要求調圧精度指数が低くなる程、或いは前記設定される要求作動音低減指数が高くなる程、前記比例電磁弁の駆動周波数を高く設定すると好適である。
【0010】
このような構成とすれば、制動力に応じた液圧の精度が要求されない場合や作動音の低減が要求される場合には、比例電磁弁の駆動周波数を高く設定することにより、比例電磁弁の駆動周波数に起因して発生する作動音を低減することができる。したがって、乗員に不快な作動音を聞こえなくすることができる。
【0011】
また、前記要求作動音低減指数設定手段は、自車両の車速が遅くなる程、前記要求作動音低減指数を高く設定すると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、自車両の車速が遅くなり走行ノイズが小さくなった場合であっても、比例電磁弁の駆動周波数が高く設定されるため、比例電磁弁の駆動周波数に起因して発生する作動音を乗員に聞こえなくすることができる。
【0013】
また、自車両が位置する路面の摩擦係数を取得する摩擦係数取得手段を備え、前記要求作動音低減指数設定手段は、前記取得された路面の摩擦係数が小さくなる程、前記要求作動音低減指数を高く設定すると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、路面の摩擦係数が小さくなり、乗員が慎重になって運転している場合には、比例電磁弁の駆動周波数が高く設定されるため、比例電磁弁の駆動周波数に起因して発生する作動音を乗員に聞こえなくすることができる。
【0015】
また、自車両の状態により前記制動力の制御モードを決定する制御モード決定手段を備え、前記要求調圧精度指数設定手段及び前記要求作動音低減指数設定手段は、前記決定された前記制動力の制御モードに基づいて前記要求調圧精度指数及び要求作動音低減指数を設定すると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、例えば車両の緊急時の制御モードのように、正確なブレーキ制御が求められる場合には、制動力に応じた液圧を精度良く設定することができる。したがって、決定された制御モードを適切に機能させることが可能となる。一方、乗員がリラックスして乗車している等、正確なブレーキ制御よりも静粛性が求められるような場合には、比例電磁弁の駆動周波数が高く設定され、比例電磁弁の駆動周波数に起因して発生する作動音を乗員に聞こえなくすることができる。
【0017】
また、上記目的を達成するための本発明に係る制動制御装置の他の特徴構成は、設定された駆動周波数により駆動される比例電磁弁の開度に応じて液圧を調圧し、当該調圧した液圧に基づき制動力を制御するために、自車両の状態により前記制動力の制御モードを決定する制御モード決定手段と、前記制御モード決定手段により決定された制御モードに基づいて前記比例電磁弁の駆動周波数を設定する駆動周波数設定手段と、を備える点にある。
【0018】
このような特徴構成とすれば、例えば乗員がリラックスして走行している際に制御される特定の制御モードにおいて、車速が速い場合には走行ノイズが大きくなるため比例電磁弁の作動音はあまり気にならない。よって、比例電磁弁の駆動周波数を低く設定することにより、制動力に応じた液圧を精度良く設定することができる。一方、車速が遅い場合には走行ノイズが小さくなるため比例電磁弁の駆動周波数を高く設定し、比例電磁弁の作動音を乗員に聞こえなくすることができる。
【0019】
また、上記目的を達成するための本発明に係る制動制御装置の他の特徴構成は、設定された駆動周波数により駆動される比例電磁弁の開度に応じて液圧を調圧し、当該調圧した液圧に基づき制動力を制御するために、自車両の車速を取得する車速取得手段と、前記取得された車速が遅くなる程、前記比例電磁弁の駆動周波数を高く設定する駆動周波数設定手段と、を備える点にある。
【0020】
このような特徴構成とすれば、車速が速い場合には走行ノイズが大きくなるため比例電磁弁の作動音はあまり気にならない。よって、比例電磁弁の駆動周波数を低く設定することにより、制動力に応じた液圧を精度良く設定することができる。一方、車速が遅い場合には走行ノイズが小さくなるため比例電磁弁の駆動周波数を高く設定し、比例電磁弁の作動音を乗員に聞こえなくすることができる。
【0021】
また、上記目的を達成するための本発明に係る制動制御装置の別の特徴構成は、設定された駆動周波数により駆動される比例電磁弁の開度に応じて液圧を調圧し、当該調圧した液圧に基づき制動力を制御するために、自車両が位置する路面の摩擦係数を取得する摩擦係数取得手段と、前記取得された路面の摩擦係数が小さくなる程、前記比例電磁弁の駆動周波数を高く設定する駆動周波数設定手段と、を備える点にある。
【0022】
このような特徴構成とすれば、路面の摩擦係数が小さくなり、乗員が慎重になって運転している場合には、比例電磁弁の駆動周波数が高く設定されるため、比例電磁弁の駆動周波数に起因して発生する作動音を乗員に聞こえなくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の制動制御装置1を備えたブレーキシステム100の制御ブロックを模式的に示した図である。本実施形態では、制動制御装置1は車両に備えられ、設定された駆動周波数により駆動される比例電磁弁49(図5参照)の開度に応じて液圧を調圧し、当該調圧した液圧に基づき制動力を制御する。
【0024】
ブレーキシステム100は、ブレーキペダル30の踏み込み操作力(踏力)をブースタ31で増大させてタンデム型のマスターシリンダ32に伝達し、当該マスターシリンダ32からのブレーキ液の圧力をブレーキ制御ユニット40からブレーキ装置BKに伝える制動系を備えている。
【0025】
マスターシリンダ32は、踏み込み操作に応じて一方の加圧室32aから前車輪が備えるブレーキ装置BKに対して液路33Fを介して加圧されたブレーキ液を送り出すと同時に、他方の加圧室32bから後車輪が備えるブレーキ装置BKに対して液路33Rを介して加圧されたブレーキ液を送り出す構造を有している。そして、この液路33F、33Rからのブレーキ液の圧力はブレーキ制御ユニット40を介してブレーキ装置BKに与えられる。
【0026】
ブースタ31は、ブレーキペダル30の踏み込み操作時に、内部のダイヤフラム(図示せず)にエンジン(図示せず)の吸気圧を作用させることで踏力を増大させてマスターシリンダ32に作用させる機能を有している。マスターシリンダ32は水平姿勢に配置され、内部に2つのピストン(図示せず)を同軸芯上にタンデムに配置しており、夫々のピストンに対応した前記加圧室32a、32bからブレーキ液に圧力を作用させる。また、マスターシリンダ32の上部にはマスターシリンダ32にブレーキ液を補給するリザーバタンク34が備えられる。
【0027】
また、当該車両には、車両の状態を検出する車輪速センサ21、ステアリングセンサ22、距離センサ23、ヨーレートセンサ24、Gセンサ25が配設されている。
【0028】
車輪速センサ21は車輪のロック状態を監視すると共に、車両の速度の検出を行うものである。このため、自車両の車速を取得する車速取得手段に相当する。このような機能を有する車輪速センサ21は、車両が備える左フロント、右フロント、左リア、右リア(以下、夫々FL、FR、RL、RR)の各ホイールに配設される。そして、ステアリングセンサ22は、ステアリングの中立位置に対して回転した際の舵角の検出を行う。また、距離センサ23は、直前位置の前方車両までの距離を計測する。この距離センサ23は、超音波の発信機と受信機とを有し、超音波の発信のタイミングから反射波を検出するまでの時間から距離を計測する。この距離は、車両が走行状態であれば、自車両と当該自車両の前方を走行する車両との間の車間距離に相当する。また、もちろん超音波に拘らず、マイクロ波等の電波を用いるものや、赤外線レーザ等を用いて光学的に距離を計測するものであっても良い。ヨーレートセンサ24は車両がカーブを走行する際の車両速度(角速度)の検出を行い、Gセンサ25は車両が受ける加速度の検出を行う。この加速度の検出は、水平方向の加速度はもちろん、垂直方向の加速度の検出も可能である。これらの車輪速センサ21やステアリングセンサ22や距離センサ23やヨーレートセンサ24やGセンサ25によって取得された検出結果は、夫々のセンサ出力として制動制御装置1に伝達される。
【0029】
制動制御装置1は、制御モード決定部11、目標油圧演算部12、電流値演算部13、駆動周波数設定部14、通電制御部15の各機能部を備えて構成される。
【0030】
制御モード決定部11は、自車両の状態により制動力の制御モードを決定する制御モード決定手段として機能する。自車両の状態は、上述のセンサ出力に応じて特定可能である。制御モードとは、自車両の走行状態において車両の安全を維持するのに適切なブレーキ制御の種類に相当する。本実施形態では、制御モードとは、ABSモード、TCSモード、ESCモード、ACCモード、PCSモード、REGモードがある。
【0031】
ABSモードは、急ブレーキあるいは低摩擦路でのブレーキ操作においてタイヤがロックして滑るのを防止する制御モードである。TCSモードは、車両の発進時や加速時においてタイヤが空転するのを防止する制御モードである。ESCモードは、急なハンドル操作時や滑りやすい路面を走行中に車両の横滑りを感知した場合に、横滑りを抑制して自動的に車両の進行方向を維持させる制御モードである。ACCモードは、自車両と前方車両との車間距離を自動で調節する制御モードである。PCSモードは、障害物までの距離や位置に基づき衝突の可能性が高いと判定された場合に、乗員に危険が迫っていることを音や表示で警告すると共に、ブレーキの油圧を高めて乗員がブレーキペダル30を少し踏んだだけでブレーキが利くようにする制御モードである。また、このPCSモードでは、ブレーキの油圧を高め、警告したにもかかわらず衝突が避けられない場合には、強制的に自動ブレーキをかける。REGモードは、自車両がハイブリッド車両の場合に、減速や制動時に駆動力源となる回転電機を発電機として作動させて車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに回収する回生ブレーキと、通常の油圧ブレーキとを協調制御し、ブレーキペダル30の踏力に応じた制動力を得る制御モードである。
【0032】
制御モード決定部11は、上記列挙したセンサから伝達されるセンサ出力に基づき、自車両の状態に応じて上述の制御モードのうち、最適な制御モードを決定する。したがって、自車両の安全を維持して乗員に快適な乗り心地を提供すると共に、乗員の安全を確保することが可能となる。
【0033】
目標油圧演算部12は、車両を減速或いは停止させるためにブレーキ装置BKに必要な目標油圧の演算を行う。具体的には、例えば車両がカーブを走行中に遠心力によりカーブの外に飛び出してしまう場合、ステアリングの切り具合と速度とから決定されたヨーレートより、実際のヨーレートは小さく検出される。このような場合には、エンジンの出力を抑えてブレーキをかけ、コースからのズレを低減するように制御を行う。また、車両がスピンしてしまうような場合においては、遠心力と速度とから決定されるヨーレートより大きいヨーレートが検出される。このような場合は、外側前輪に強めのブレーキをかけることでスピンを抑制することが可能となる。このような安定性の確保は、上記のようなカーブ走行時に限らず、障害物を回避するために急激なステアリング操作を行った場合や、滑りやすい路面のカーブに進入したとき等に発生する横滑りを抑制する場合にも利用される。
【0034】
ここで、詳細は後述するが、ブレーキ制御ユニット40は、マスターシリンダ32から送出されるブレーキ液の圧力に加え、ポンプPにより送出されたブレーキ液を調圧して、各車輪に備えられたブレーキ装置BKに与えることが可能なように、比例電磁弁49が備えられている。当該比例電磁弁49は、ブレーキ液を流通させる流路を連通・遮断するために開弁状態から閉弁状態となるように制御するノーマルオープン型であり、当該比例電磁弁49が備えるリニアソレノイド49a(図4参照)に励磁電流を通電することにより、当該比例電磁弁49の弁体(図示せず)の開閉制御が行われる。リニアソレノイド49aに通電される励磁電流は、制御モード決定部11により決定された制動制御における制御モードに応じて、電流値演算部13により決定される。
【0035】
ここで、比例電磁弁49は、全開・全閉のみならず、細かな開度調整が可能である。したがって、上述の電流値演算部13により演算されるリニアソレノイド49aに通電する励磁電流も、前記開度に応じて細かく演算される。この励磁電流は、DUTY制御により制御される。即ち、ON−DUTYとOFF−DUTYとにより、励磁電流が決定される。例えば、ON−DUTYが100%の場合に励磁電流が10Aであるとすると、ON−DUTYが30%で制御した場合には励磁電流は3Aとなる。また、ON−DUTYが45%で制御した場合には励磁電流は4.5Aとなる。このように、ON−DUTYを制御することにより、所望の励磁電流を通電することが可能となる。このON−DUTYの制御は、後述の通電制御部15により制御される。
【0036】
駆動周波数設定部14は、上述のDUTY制御に係るDUTY波形の周波数を設定する。ここで、この周波数は、DUTY波形に応じてスイッチングするFETのゲート端子に入力されることで当該FETを駆動することから駆動周波数と称される。この駆動周波数は、一般的に1k〜10kHzが用いられる。一方、可聴周波数は20〜20kHzといわれている。したがって、上述のFETを駆動する駆動周波数は、乗員にとって耳障りな音となって聞こえてしまう場合がある。このような駆動周波数と耳障りな音を示す音圧との関係を図2に示す。図2に示されるように、駆動周波数が低い程、音圧が高く、駆動周波数が高くなる程、音圧が低くなる。したがって、音圧を低くする(耳障りな音を小さくする)には、駆動周波数を高くする方が好適である。なお、図2は、実際に得られた特性をフィルタリングしてノイズを除去した波形を示している。
【0037】
図3は、比例電磁弁49の差圧特性の一例を示す図である。相対的に駆動周波数が低い低周波数帯(例えば3kHz未満)と駆動周波数が中くらいの中周波数帯(例えば3kHz以上7kHz未満)と駆動周波数が高い高周波数帯(例えば7kHz以上)との3パターンの励磁電流と差圧との関係を示している。なお、低周波数帯は実線で示し、中周波数帯は破線で示し、高周波数帯は二点鎖線で示している。比例電磁弁49の差圧特性としては、図3に示されるように、全ての周波数帯に対してヒステリシス特性を有する。即ち、励磁電流を大きくする場合の特性と小さくする場合の特性とでは異なる差圧となる。このようなヒステリシスは、駆動周波数が高くなるにつれて大きくなる傾向がある(即ち、ヒステリシスの幅が広くなる傾向がある)。更に、駆動周波数が高い場合には、ディザ効果(固体摩擦のある箇所に微小な高周波振動を与えることにより、見かけの摩擦が少なくなる効果)が少なくなるため弁体が動きにくくなる。このため、駆動周波数が低い場合の特性のように滑らかな特性とならず、階段状の特性となってしまう。このようなヒステリシスや階段状の特性では、ブレーキ装置BKの油圧が目標油圧となるように比例電磁弁49を適切に制御することは容易ではない。したがって、差圧特性においては、駆動周波数は低い方が好適である。このように、音圧の低減と比例電磁弁49の制御性とは、駆動周波数に対してトレードオフの関係となる。
【0038】
図1に戻り、このため、駆動周波数設定部14は、音圧の低減化と比例電磁弁49の制御性とを考慮して駆動周波数を設定する。即ち、調圧精度が要求される状況においては作動音よりもブレーキ性能を重視するために駆動周波数を低めに設定し、調圧精度があまり要求されず乗員が作動音を気にしやすくなる状況においては駆動周波数を高めに設定する(詳細は後述する)。
【0039】
通電制御部15は、上述の電流値演算部13により演算された電流値と駆動周波数設定部14により設定された駆動周波数とに基づき、リニアソレノイド49aに励磁電流を通電する。図4は、通電制御部15の概略構成を示す図である。通電制御部15は、スイッチング制御部15aとFET15bとを備えて構成される。スイッチング制御部15aは、駆動周波数設定部14により設定された駆動周波数で、電流値演算部13により演算された電流値になるようにDUTY制御を行う。このスイッチング制御部15aから出力されるDUTY波形は、FET15bのゲート端子に入力される。
【0040】
FET15bのドレーン端子には、リニアソレノイド49aに励磁電流を供給する電源Bが接続される。この電源Bは、車両が備えるバッテリーとすることが可能である。また、FET15bのソース端子には、リニアソレノイド49aの一方の端子に接続される。リニアソレノイド49aの他方の端子は接地される。スイッチング制御部15aから出力されるDUTY波形がHigh状態となった場合にFET15bがONし、バッテリーBからリニアソレノイド49aに電流が流れる。一方、DUTY波形がLow状態となった場合にはFET15bはOFFし、リニアソレノイド49aには電流が流れなくなる。このようにして、通電制御部15は、リニアソレノイド49aに励磁電流を通電する。
【0041】
図5は、ブレーキ制御ユニット40の内部構成を示した図である。ブレーキ制御ユニット40は、液路33Fを介して供給されるブレーキ液の圧力を制御して、左フロントFLのブレーキ装置BK及び右フロントFRのブレーキ装置BKに与える液圧制御部40Fと、液路33Rを介して供給されるブレーキ液の圧力を制御して左リアRLのブレーキ装置BK及び右リアRRのブレーキ装置BKに与える液圧制御部40Rとを備えている。
【0042】
この左フロントFLのブレーキ装置BK及び右フロントFRのブレーキ装置BKに対応した液圧制御部40Fと、左リアRLのブレーキ装置BK及び右リアRRのブレーキ装置BKに対応した液圧制御部40Rとは略等しい構成を具備しており、作動形態も等しい。このため、以下の説明では、左フロントFLのブレーキ装置BK及び右フロントFRのブレーキ装置BKに対応した液圧制御部40Fの構成と作動形態とを説明する。
【0043】
液圧制御部40Fは、液路33Fと連通する主液路41からの液圧を左フロントFL及び右フロントFRのブレーキ装置BKに作用させるノーマルオープン型の比例電磁弁49が備えられる。また、これと並列に液路33Fの液圧がブレーキ装置BK側の圧力より大きくなった場合に液路33Fからブレーキ装置BK側に液圧を逃がすチェック弁50を備える。
【0044】
比例電磁弁49のブレーキ装置BK側には、液路51が備えられる。液路51は、第1分流液路51aと第2分流液路51bとが形成されている。第1分流液路51aと第2分流液路51bとにノーマルオープン型のインレット弁42を介装し、これと並列する液路にブレーキ装置BKから液圧を液路51の方向へ逃がすチェック弁43が備えられる。
【0045】
また、第1分流液路51aと第2分流液路51bとにおいて、インレット弁42よりブレーキ装置BK側の部位から分岐する分岐液路51cが形成され、この分岐液路51cにノーマルクローズ型のアウトレット弁44が介装される。
【0046】
インレット弁42は、非通電時には連通状態、通電時には遮断状態となる電磁操作型の2位置切換弁により構成される。また、アウトレット弁44は、非通電時には遮断状態、通電時に連通状態となる電磁操作型の2位置切換弁により構成される。
【0047】
また、2つのアウトレット弁44からの分岐液路51cの合流部分にブレーキ液を一時的に貯留するリザーバ45を備え、このリザーバ45からのブレーキ液を主液路41に戻すリターン液路46を備えている。
【0048】
更に、2つのアウトレット弁44からブレーキ液が送り出される分岐液路51cの合流部分からブレーキ液を吸引して主液路41に戻すように電動モータMで駆動されるポンプPと、ポンプPから吐出されるブレーキ液の音を低減するダンパー室47と、液路51に流通させるブレーキ液の流量を制限するオリフィス48とが介装された供給液路52を備えている。
【0049】
上述のように、駆動周波数設定部14は、制動制御の制御モードに応じて通電制御部15が備えるFET15bの駆動周波数を設定する。即ち、この駆動周波数は比例電磁弁49の駆動周波数と一致する。駆動周波数設定部14は、要求される制動力に応じて液圧を調圧する際に要求される調圧精度に基づいて設定される要求調圧精度指数と、比例電磁弁49を駆動する駆動周波数に起因する作動音の低減要求に基づいて設定される要求作動音低減指数とに基づいて、比例電磁弁49の駆動周波数を設定する。要求調圧精度指数とは、要求される制動力に応じた液圧の精度の度合いを示す指数であり、液圧の精度が要求される制御モードでは、要求調圧精度指数は高く設定される。この要求調圧精度指数は、要求調圧精度指数設定手段として機能する要求調圧精度指数設定部(図示せず)により設定される。また、調圧精度が要求される制御モードとしては、ABSモードやTCSモードやACCモードやREGモード等が相当する。
【0050】
また、要求作動音低減指数とは、比例電磁弁49を駆動する駆動周波数に起因する作動音の低減要求度合いを示す指数であり、作動音の低減が要求される制御モードでは、要求作動音低減指数は高く設定される。この要求作動音低減指数は、要求作動音低減指数設定手段として機能する要求作動音低減指数設定部(図示せず)により設定される。また、作動音の低減が要求される制御モードとしては、ACCモードやREGモードが相当し、低速制御状態や停車保持状態も相当する。
【0051】
このような要求調圧精度指数と要求作動音低減指数とは、図6に示されるような相互の関係として予め規定される。図6においては、縦軸が要求調圧精度指数であり、横軸が要求作動音低減指数としている。図6に示されるように、駆動周波数設定部14は、設定される要求調圧精度指数が低くなる程、或いは設定される要求作動音低減指数が高くなる程、比例電磁弁49の駆動周波数を高く設定する。即ち、要求調圧精度が低く、要求作動音低減指数が高い停車保持状態では、一般的に乗員はリラックスしている状況が多い。このため、このような制御モードでは、乗員が駆動周波数に起因する作動音を聞こえにくく制御する方が好ましい。したがって、駆動周波数は高く設定される。
【0052】
また、要求調圧精度が高く、要求作動音低減指数が低いABSモードやESCモードやPCSモードやTCSモードは、一般的に、緊急時に用いられるため、乗員がリラックスしているか否かに拘らず、その車両の状況に応じた制動力を発生させる方が重要である。このため、このような制御モードでは、乗員が駆動周波数に起因する作動音を聞こえても調圧精度の良い制御する方が好ましい。したがって、駆動周波数は低く設定される。
【0053】
更に、要求調圧精度が高く、要求作動音低減指数も高いACCモードやREGモードや超低速制御では、乗員がリラックスしている状況が多い。一方、調圧精度の良い制御も要求される。このため、このような制御モードや制御では、調圧精度と作動音低減化とをある程度両立できる中程度の駆動周波数に設定される。
【0054】
ここで、要求作動音低減指数設定部は、自車両の車速が遅くなる程、要求作動音低減指数を高く設定する。したがって、駆動周波数設定部14は、自車両の車速が遅くなる程、比例電磁弁49の駆動周波数を高く設定する。即ち、例えば、図6に示されるACCモードの場合、車速が速い状態でのACCモードよりも車速が遅い場合のACCモードの方が、要求作動音低減指数は高く設定される。車速が速い状態では、車速の遅い状態に比べて走行ノイズ(タイヤと道路との摩擦音やエンジン音等)が大きくなる傾向があり、車速が遅くなると、比例電磁弁49の作動音が聞こえ易くなるからである。このため、駆動周波数設定部14は、車速が遅くなった場合には、同一の制御モードにおいても駆動周波数を高く設定する。
【0055】
また、要求作動音低減指数設定部は、自車両が位置する路面の摩擦係数が小さくなる程、要求作動音低減指数を高く設定する。したがって、駆動周波数設定部14は、自車両が位置する路面の摩擦係数が小さい程、比例電磁弁49の駆動周波数を高く設定する。この摩擦係数は、Gセンサ25から伝達されるセンサ出力により演算される。したがって、Gセンサ25は、自車両が位置する路面の摩擦係数を取得する摩擦係数取得手段に相当する。例えば図6に示されるABSモードにおいて、摩擦係数が小さい程、要求作動音低減指数は高く設定され、摩擦係数が大きい程、要求作動音低減指数は低く設定される。
【0056】
なお、具体的な駆動周波数の一例として、自車両の車速が遅い場合には駆動周波数は7kHzで設定し、車速が速い場合には駆動周波数は3kHzで設定すると好適である。また、自車両が位置する路面の摩擦係数が小さい場合には駆動周波数は7kHzで設定し、自車両が位置する路面の摩擦係数が大きい場合には駆動周波数は3kHzで設定すると好適である。更に、例えば車速が遅く、自車両が位置する路面の摩擦係数が大きい場合には、例えば、車速に係る駆動周波数と摩擦係数に係る駆動周波数との平均により演算された駆動周波数に設定すると好適である。
【0057】
このように、要求調圧精度指数設定部及び要求作動音低減指数設定部は、自車両の状態により決定された制動力の制御モードに基づいて要求調圧精度指数及び要求作動音低減指数を設定する。そして、駆動周波数設定部14は、制御モード決定部11により決定された制御モードに基づいて比例電磁弁49の駆動周波数を設定する。
【0058】
次に、本制動制御装置1が、ブレーキ制御ユニット40を制御する処理に関して図7のフローチャートを使用して説明する。まず、ブレーキシステム100を初期化する(ステップ#01)。この初期化は、制動制御装置1の各機能部の初期化や各弁の状態の初期化が行われる。
【0059】
次に、制動制御装置1は、車輪速センサ21、ステアリングセンサ22、距離センサ23、ヨーレートセンサ24、及びGセンサ25からセンサ出力を取得する(ステップ#02)。制動制御装置1が、いずれかの制御モードで制御していれば(ステップ#03:Yes)、電流値演算部13が比例電磁弁49に通電する励磁電流を演算する(ステップ#04)。なお、ステップ#03では、実際に制御をしている状態のみでなく、センサ出力に基づいて、いずれかの制御モードを行うことが必要であると判定された時点以降であれば、制御モードで制御中であると判定される。
【0060】
現在、行われている制御モードがPCSモード或いはESCモードであれば(ステップ#05:Yes)、駆動周波数設定部14は駆動周波数をfminに設定する(ステップ#06)。一方、現在、行われている制御モードがPCSモード或いはESCモードでなく(ステップ#05:No)、ABSモード或いはTCSモードで制御されている場合には(ステップ#07:Yes)、摩擦係数に応じた駆動周波数が演算される(ステップ#08)。更に、車速に応じた駆動周波数も演算される(ステップ#09)。そして、駆動周波数設定部14は、摩擦係数に応じた駆動周波数と車速に応じた駆動周波数とから実際にFET15aを駆動する駆動周波数を設定する(ステップ#10)。
【0061】
また、現在、行われている制御モードがABSモード或いはTCSモードでなく(ステップ#07:No)、ACCモード或いはREGモードで制御されている場合には(ステップ#11:Yes)、車両が停車中であるか否かの確認が行われる。車両が停車中であれば(ステップ#12:Yes)、駆動周波数設定部14は、駆動周波数をfmaxに設定する(ステップ#13)。一方、ステップ#12において、車両が停車中で無ければ(ステップ#12:No)、駆動周波数設定部14は、駆動周波数を車速に応じた駆動周波数に設定する(ステップ#14)。また、ステップ#11において、現在行われている制御モードが、ACCモード或いはREGモードでないと判定された場合には、駆動周波数は設定されることなく処理が継続される。
【0062】
上述のように、ステップ#06、ステップ#10、ステップ#13、ステップ#14において、駆動周波数設定部14により駆動周波数が決定された場合、又はステップ#11において、駆動周波数が設定されない場合には(ステップ#11:No)、制動制御装置1は、インレット弁42及びアウトレット弁44の開閉状態を設定する(ステップ#15)。
【0063】
そして、電動モータMを制御して(ステップ#16)、ポンプPを駆動させ、制御モードに係るフェールセーフ処理を実行する(ステップ#17)。そして、ステップ#02に戻り、処理を継続する。ステップ#03において、制御モードによる制御中でない場合には(ステップ#03:No)、必要に応じてフェールセーフ処理が行われる(ステップ#17)。このようして制動制御装置1は、液圧制御性能を低下させることなく、比例電磁弁49の駆動周波数で発生する作動音の低減を行いながらブレーキシステム100を制御する。
【0064】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、本制動制御装置1が制御するブレーキ制御ユニット40の内部構造として、1つの電動モータMで2つのポンプPを動作させる1モータ2ポンプ−タイプの例を図5に図示した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。例えば、2つの電動モータMで4つのポンプPを動作させる2モータ4ポンプ−タイプのブレーキ制御ユニットであっても、本制動制御装置1によれば、自車両の状態により決定される制動力の制御モードに応じて比例電磁弁49の駆動周波数を設定することで、比例電磁弁49の作動音低減化と制御性とを両立することが可能となる。
【0065】
上記実施形態では、本制動制御装置1は、比例電磁弁49の開度に応じて定まる液圧に基づき制動力を制御するために、要求される制動力に応じて液圧を調圧する際に要求される調圧精度に基づいて設定された要求調圧精度指数と、比例電磁弁を駆動する駆動周波数に起因する作動音の低減要求に基づいて設定された要求作動音低減指数とに基づいて、駆動周波数設定部14が比例電磁弁49の駆動周波数を設定するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。制御モード決定部11が、自車両の状態により制動力の制御モードを決定し、当該制御モード決定部11により決定された制御モードに基づいて、駆動周波数設定部14が、車速取得手段としての車輪速センサ21により取得された自車両の車速が遅くなる程、比例電磁弁49の駆動周波数を高く設定するように構成することも当然に可能である。すなわち、制御モード(例えばABSモード)を制御する際に、自車両の車速が速い場合には比例電磁弁49の駆動周波数を低く設定し、自車両の車速が遅い場合には比例電磁弁49の駆動周波数を高く設定するように構成することも可能である。このような構成とすれば、車速が遅くなって走行ノイズが小さくなった場合でも、比例電磁弁49の駆動周波数に起因して発生する作動音を目立たなくすることができる。
【0066】
また、駆動周波数設定部14が、摩擦係数取得手段としてのGセンサ25により取得された自車両が位置する路面の摩擦係数が小さくなる程、比例電磁弁49の駆動周波数を高く設定するように構成することも可能である。このような構成とすれば、路面の摩擦係数が小さくなり、乗員が慎重になって運転している場合には、比例電磁弁の駆動周波数が高く設定されるため、比例電磁弁の駆動周波数に起因して発生する作動音が、乗員に聞こえなくすることができる。
【0067】
上記実施形態では、要求調圧精度指数と要求作動音低減指数とは、図6に示されるような相互の関係として予め規定されるとして説明した。この要求調圧精度指数及び要求作動音低減指数は、本制動制御装置1が搭載される車種に応じて、補正するような構成としても良い。このような構成とすることにより、要求調圧精度指数及び要求作動音低減指数の補正に応じて、様々な車種に、本制動制御装置1を利用することが可能となる。
【0068】
上記実施形態では、要求調圧精度指数と要求作動音低減指数とに基づいて、比例電磁弁49の駆動周波数が設定されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。例えば、比例電磁弁49の共振周波数を加味して、駆動周波数を補正するような構成とすることも当然に可能である。このような構成とすれば、比例電磁弁49の構成に応じて、更に効果的に作動音を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】制動制御装置を備えたブレーキシステムの制御ブロックを模式的に示す図
【図2】比例電磁弁の駆動周波数と音圧との関係を示す図
【図3】比例電磁弁の差圧特性の一例を示す図
【図4】通電制御部の概略構成を示す図
【図5】ブレーキ制御ユニットの内部構成を示す図
【図6】要求調圧精度指数と要求作動音低減指数とに基づき設定される駆動周波数を示す図
【図7】制動制御装置がブレーキ制御ユニットを制御する処理に関するフローチャート
【符号の説明】
【0070】
1:制動制御装置
11:制御モード決定部(制御モード決定手段)
12:目標油圧演算部
13:電流値演算部
14:駆動周波数設定部(駆動周波数設定手段)
15:通電制御部
21:車輪速センサ(車速取得手段)
22:ステアリングセンサ
23:距離センサ
24:ヨーレートセンサ
25:Gセンサ(摩擦係数取得手段)
30:ブレーキペダル
31:ブースタ
32:マスターシリンダ
32a:加圧室
32b:加圧室
33F:液路
33R:液路
34:リザーバタンク
40:ブレーキ制御ユニット
100:ブレーキシステム
BK:ブレーキ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された駆動周波数により駆動される比例電磁弁の開度に応じて液圧を調圧し、当該調圧した液圧に基づき制動力を制御する制動制御装置において、
要求される制動力に応じて液圧を調圧する際に要求される調圧精度に基づいて要求調圧精度指数を設定する要求調圧精度指数設定手段と、
前記比例電磁弁を駆動する前記駆動周波数に起因する作動音の低減要求に基づいて要求作動音低減指数を設定する要求作動音低減指数設定手段と、
前記設定された要求調圧精度指数及び要求作動音低減指数に基づいて前記比例電磁弁の駆動周波数を設定する駆動周波数設定手段と、
を備える制動制御装置。
【請求項2】
前記駆動周波数設定手段は、前記設定される要求調圧精度指数が低くなる程、或いは前記設定される要求作動音低減指数が高くなる程、前記比例電磁弁の駆動周波数を高く設定する請求項1に記載の制動制御装置。
【請求項3】
前記要求作動音低減指数設定手段は、自車両の車速が遅くなる程、前記要求作動音低減指数を高く設定する請求項1又は2に記載の制動制御装置。
【請求項4】
自車両が位置する路面の摩擦係数を取得する摩擦係数取得手段を備え、
前記要求作動音低減指数設定手段は、前記取得された路面の摩擦係数が小さくなる程、前記要求作動音低減指数を高く設定する請求項1から3のいずれか一項に記載の制動制御装置。
【請求項5】
自車両の状態により前記制動力の制御モードを決定する制御モード決定手段を備え、
前記要求調圧精度指数設定手段及び前記要求作動音低減指数設定手段は、前記決定された前記制動力の制御モードに基づいて前記要求調圧精度指数及び要求作動音低減指数を設定する請求項1から4のいずれか一項に記載の制動制御装置。
【請求項6】
設定された駆動周波数により駆動される比例電磁弁の開度に応じて液圧を調圧し、当該調圧した液圧に基づき制動力を制御する制動制御装置において、
自車両の状態により前記制動力の制御モードを決定する制御モード決定手段と、
前記制御モード決定手段により決定された制御モードに基づいて前記比例電磁弁の駆動周波数を設定する駆動周波数設定手段と、
を備える制動制御装置。
【請求項7】
設定された駆動周波数により駆動される比例電磁弁の開度に応じて液圧を調圧し、当該調圧した液圧に基づき制動力を制御する制動制御装置において、
自車両の車速を取得する車速取得手段と、
前記取得された車速が遅くなる程、前記比例電磁弁の駆動周波数を高く設定する駆動周波数設定手段と、
を備える制動制御装置。
【請求項8】
設定された駆動周波数により駆動される比例電磁弁の開度に応じて液圧を調圧し、当該調圧した液圧に基づき制動力を制御する制動制御装置において、
自車両が位置する路面の摩擦係数を取得する摩擦係数取得手段と、
前記取得された路面の摩擦係数が小さくなる程、前記比例電磁弁の駆動周波数を高く設定する駆動周波数設定手段と、
を備える制動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−64678(P2010−64678A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234620(P2008−234620)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】