説明

動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御装置,動力出力装置の制御方法

【課題】 遊星歯車機構にエンジンとモータMG1と駆動軸とを接続すると共に駆動軸に変速機を介してモータMG2を接続し、エンジンにより駆動され変速機に油圧を供給する機械式ポンプと電動モータにより駆動され変速機に油圧を供給する電動ポンプとを備える自動車において、モータMG2からの動力を駆動軸により伝達する。
【解決手段】 要求パワーPe*が閾値Pref以下のときでもモータMG2のトルク指令Tm2*が油温θoilが高いほど小さくなる傾向に設定される許容トルクTlimより大きいときには(S120,S200)、エンジンを継続して運転する(S210)。これにより、機械式ポンプから圧送されるオイルと電動ポンプから圧送されるオイルとの油圧を用いて変速機を作動させることができ、エンジンを運転停止しているものに比して変速機によりモータMG2から駆動軸に動力をより伝達することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御装置,動力出力装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の動力出力装置としては、エンジンと、エンジンからの動力を変速して駆動軸に出力する自動変速機と、エンジンにより駆動され自動変速機に作動油圧を供給する油圧ポンプと、モータにより駆動され自動変速機に作動油圧を供給する補助ポンプとを備えるものが提案されている(特許文献1参照)。この装置では、補助ポンプを駆動するモータの温度が所定温度以上であるときには、エンジンの運転停止を禁止して油圧ポンプからの作動油圧を自動変速機に供給することにより、モータを高温で使用することによるモータの劣化や故障などの不都合を回避している。
【特許文献1】特開平2003−232238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、駆動軸に動力を出力可能なエンジンと、電動機と、電動機からの動力を変速して駆動軸に伝達する変速機などの動力伝達部と、動力伝達部に油圧を供給する上述の油圧ポンプおよび補助ポンプとを備える動力出力装置では、動力伝達部により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができない場合がある。油圧ポンプと補助ポンプとを併用して動力伝達部に油圧を供給する動力出力装置では、通常、補助ポンプについては必要最低限の性能のものを用いることにより効率の向上や省スペース化を図っている。このため、動力伝達部に圧送されるオイルの温度が高いときには、エンジンを停止していると、オイルの粘度が低く動力伝達部の隙間からオイルが漏れることなどによって補助ポンプからのオイルの油圧だけでは動力伝達部の作動に必要な油圧を確保することができず、電動機からの動力を駆動軸に伝達できない場合が生じる。ところで、こうした動力出力装置では、エネルギ効率の向上も課題の一つとなっている。
【0004】
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御装置,動力出力装置の制御方法は、電動機からの動力を駆動軸により伝達することを目的の一つとする。また、本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御装置,動力出力装置の制御方法は、エネルギ効率の向上を図ることを目的の一つとする。さらに、本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御装置,動力出力装置の制御方法は、要求駆動力に対応することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の動力出力装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置の制御方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
前記駆動軸に動力の出力が可能な内燃機関と、
動力の入出力が可能な電動機と、
該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
内燃機関からの動力を用いて第1の圧送性能をもって作動流体を圧送する機械式圧送手段と、
電力を用いて前記第1の圧送性能より低い第2の圧送性能をもって作動流体を圧送する電気式圧送手段と、
前記圧送された作動流体の圧力を用いて前記電動機の回転軸の動力の前記駆動軸への伝達または伝達の解除が可能な伝達解除手段と、
前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記電動機の状態と前記作動流体の状態とに基づいて前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができるときには前記内燃機関の間欠運転を伴って前記要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力されるよう該内燃機関と該電動機と該伝達解除手段とを制御し、前記電動機の状態と前記作動流体の状態とに基づいて前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができないときには前記内燃機関の運転の継続を伴って前記要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力されるよう該内燃機関と該電動機と該伝達解除手段とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の動力出力装置では、電動機の状態と内燃機関からの動力を用いて第1の圧送性能をもって作動流体を圧送する機械式圧送手段と電力を用いて前記第1の圧送性能より低い第2の圧送性能をもって作動流体を圧送する電気式圧送手段とから圧送された作動流体の状態とに基づいて伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができる通常状態のときには内燃機関の間欠運転を伴って要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と電動機と伝達解除手段とを制御し、電動機の状態と作動流体の状態とに基づいて伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができない非通常状態のときには内燃機関の運転の継続を伴って要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と電動機と伝達解除手段とを制御する。したがって、伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができないときには、内燃機関を継続して運転することによって機械式圧送手段と電気式圧送手段とから圧送された作動流体を伝達解除手段に供給することができるから、内燃機関の間欠運転により内燃機関を停止しているものに比して伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸により伝達することができる。一方、伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができるときには、内燃機関を間欠運転することによってエネルギ効率の向上を図ることができる。もとより、駆動軸に出力すべき要求駆動力に対応することができる。
【0008】
こうした本発明の動力出力装置において、前記伝達解除手段に圧送される作動流体の温度を検出する温度検出手段を備え、前記制御手段は、前記温度検出手段により検出される作動流体の温度と前記電動機から出力する駆動力とに基づいて前記機械式圧送手段から圧送される作動流体の圧力を用いずに前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができるか否かを判定すると共に該判定結果に基づいて制御する手段であるものとすることもできる。この場合、前記制御手段は、前記検出された作動流体の温度に基づいて前記機械式圧送手段から圧送される作動流体の圧力を用いずに前記伝達解除手段により前記電動機から前記駆動軸に伝達可能な駆動力としての許容駆動力を設定すると共に前記設定された要求駆動力に基づいて前記電動機から出力すべき電動機駆動力を設定し、該設定した許容駆動力と該設定した電動機駆動力とを比較することにより前記機械式圧送手段から圧送される作動流体の圧力を用いずに前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができるか否かを判定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、機械式圧送手段から圧送される作動流体の圧力を用いずに伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができるか否かをより適正に判定することができる。この場合、前記制御手段は、前記検出された作動流体の温度が高くなるほど小さくなる傾向に前記許容駆動力を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より適正に許容駆動力を設定することができる。
【0009】
また、本発明の動力出力装置において、前記伝達解除手段は前記電動機の回転軸と前記駆動軸と間で変速比の変更を伴って動力の伝達が可能な手段であるものとすることもできる。
【0010】
さらに、本発明の動力出力装置において、前記内燃機関と前記駆動軸とに接続され電力と動力の入出力を伴って前記内燃機関からの動力の少なくとも一部に前記駆動軸に出力可能な電力動力入出力手段を備え、前記制御手段は前記要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する手段であるものとすることもできる。この場合、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の軸との3軸に接続され該3軸のうちいずれか2軸に入出力した動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力する発電機とを備える手段であるものとすることもできるし、前記内燃機関の出力軸に接続された第1の回転子と前記駆動軸に接続された第2の回転子とを有し、該第1の回転子と該第2の回転子との相対的な回転により回転する対回転子電動機であるものとすることもできる。
【0011】
本発明の自動車は、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置、即ち、基本的には、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、前記駆動軸に動力の出力が可能な内燃機関と、動力の入出力が可能な電動機と、該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、内燃機関からの動力を用いて第1の圧送性能をもって作動流体を圧送する機械式圧送手段と、電力を用いて前記第1の圧送性能より低い第2の圧送性能をもって作動流体を圧送する電気式圧送手段と、前記圧送された作動流体の圧力を用いて前記電動機の回転軸の動力の前記駆動軸への伝達または伝達の解除が可能な伝達解除手段と、前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、前記電動機の状態と前記作動流体の状態とに基づいて前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができるときには前記内燃機関の間欠運転を伴って前記要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力されるよう該内燃機関と該電動機と該伝達解除手段とを制御し、前記電動機の状態と前記作動流体の状態とに基づいて前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができないときには前記内燃機関の運転の継続を伴って前記要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力されるよう該内燃機関と該電動機と該伝達解除手段とを制御する制御手段と、を備える動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなることを要旨とする。
【0012】
こうした本発明の自動車では、上述のいずれかの態様の動力出力装置を搭載するから、本発明の動力出力装置が奏する効果、例えば、伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができないときに内燃機関の間欠運転により内燃機関を停止しているものに比して伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸により伝達することができる効果や伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができるときにエネルギ効率の向上を図ることができる効果などと同様の効果を奏することができる。
【0013】
本発明の動力出力装置の制御装置は、
駆動軸に動力の出力が可能な内燃機関と、動力の入出力が可能な電動機と、該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、内燃機関からの動力を用いて第1の圧送性能をもって作動流体を圧送する機械式圧送手段と、電力を用いて前記第1の圧送性能より低い第2の圧送性能をもって作動流体を圧送する電気式圧送手段と、前記圧送された作動流体の圧力を用いて前記電動機の回転軸の動力の前記駆動軸への伝達または伝達の解除が可能な伝達解除手段と、を備える動力出力装置の制御装置であって、
前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記電動機の状態と前記作動流体の状態とに基づいて前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができるときには前記内燃機関の間欠運転を伴って前記要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力されるよう該内燃機関と該電動機と該伝達解除手段とを制御し、前記電動機の状態と前記作動流体の状態とに基づいて前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができないときには前記内燃機関の運転の継続を伴って前記要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力されるよう該内燃機関と該電動機と該伝達解除手段とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0014】
この本発明の動力出力装置の制御装置では、電動機の状態と内燃機関からの動力を用いて第1の圧送性能をもって作動流体を圧送する機械式圧送手段と電力を用いて前記第1の圧送性能より低い第2の圧送性能をもって作動流体を圧送する電気式圧送手段とから圧送された作動流体の状態とに基づいて伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができる通常状態のときには内燃機関の間欠運転を伴って要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と電動機と伝達解除手段とを制御し、電動機の状態と作動流体の状態とに基づいて伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができない非通常状態のときには内燃機関の運転の継続を伴って要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と電動機と伝達解除手段とを制御する。したがって、伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができないときには、内燃機関を継続して運転することによって機械式圧送手段と電気式圧送手段とから圧送された作動流体を伝達解除手段に供給することができるから、内燃機関の間欠運転により内燃機関を停止しているものに比して伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸により伝達することができる。一方、伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができるときには、内燃機関を間欠運転することによってエネルギ効率の向上を図ることができる。もとより、駆動軸に出力すべき要求駆動力に対応することができる。
【0015】
本発明の動力出力装置の制御方法は、
駆動軸に動力の出力が可能な内燃機関と、動力の入出力が可能な電動機と、該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、内燃機関からの動力を用いて第1の圧送性能をもって作動流体を圧送する機械式圧送手段と、電力を用いて前記第1の圧送性能より低い第2の圧送性能をもって作動流体を圧送する電気式圧送手段と、前記圧送された作動流体の圧力を用いて前記電動機の回転軸の動力の前記駆動軸への伝達または伝達の解除が可能な伝達解除手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定し、
(b)前記電動機の状態と前記作動流体の状態とに基づいて前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができるときには前記内燃機関の間欠運転を伴って前記要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力されるよう該内燃機関と該電動機と該伝達解除手段とを制御し、前記電動機の状態と前記作動流体の状態とに基づいて前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができないときには前記内燃機関の運転の継続を伴って前記要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力されるよう該内燃機関と該電動機と該伝達解除手段とを制御する
ことを要旨とする。
【0016】
この本発明の動力出力装置の制御方法によれば、電動機の状態と内燃機関からの動力を用いて第1の圧送性能をもって作動流体を圧送する機械式圧送手段と電力を用いて前記第1の圧送性能より低い第2の圧送性能をもって作動流体を圧送する電気式圧送手段とから圧送された作動流体の状態とに基づいて伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができる通常状態のときには内燃機関の間欠運転を伴って要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と電動機と伝達解除手段とを制御し、電動機の状態と作動流体の状態とに基づいて伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができない非通常状態のときには内燃機関の運転の継続を伴って要求駆動力に基づく駆動力が駆動軸に出力されるよう内燃機関と電動機と伝達解除手段とを制御する。したがって、伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができないときには、内燃機関を継続して運転することによって機械式圧送手段と電気式圧送手段とから圧送された作動流体を伝達解除手段に供給することができるから、内燃機関の間欠運転により内燃機関を停止しているものに比して伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸により伝達することができる。一方、伝達解除手段により電動機からの動力を駆動軸に伝達することができるときには、内燃機関を間欠運転することによってエネルギ効率の向上を図ることができる。もとより、駆動軸に出力すべき要求駆動力に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の一実施例としての動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、変速機60を介して動力分配統合機構30に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0019】
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0020】
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して変速機60がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構37,デファレンシャルギヤ38を介して駆動輪39a,39bに出力される。
【0021】
モータMG1およびモータMG2は、共に発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2の一方で発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2から生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1とモータMG2とにより電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、共にモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44から入力した信号に基づいて図示しない回転数算出ルーチンによりモータMG1,MG2の回転子の回転数Nm1,Nm2を計算している。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0022】
変速機60は、モータMG2の回転軸48とリングギヤ軸32aとの接続および接続の解除を行なうと共に両軸の接続をモータMG2の回転軸48の回転数を2段に減速してリングギヤ軸32aに伝達できるよう構成されている。変速機60の構成の一例を図2に示す。この図2に示す変速機60は、ダブルピニオンの遊星歯車機構60aとシングルピニオンの遊星歯車機構60bと二つのブレーキB1,B2とにより構成されている。ダブルピニオンの遊星歯車機構60aは、外歯歯車のサンギヤ61と、このサンギヤ61と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ62と、サンギヤ61に噛合する複数の第1ピニオンギヤ63aと、この第1ピニオンギヤ63aに噛合すると共にリングギヤ62に噛合する複数の第2ピニオンギヤ63bと、複数の第1ピニオンギヤ63aおよび複数の第2ピニオンギヤ63bを連結して自転かつ公転自在に保持するキャリア64とを備えており、サンギヤ61はブレーキB1のオンオフによりその回転を自由にまたは停止できるようになっている。シングルピニオンの遊星歯車機構60bは、外歯歯車のサンギヤ65と、このサンギヤ65と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ66と、サンギヤ65に噛合すると共にリングギヤ66に噛合する複数のピニオンギヤ67と、複数のピニオンギヤ67を自転かつ公転自在に保持するキャリア68とを備えており、サンギヤ65はモータMG2の回転軸48に、キャリア68はリングギヤ軸32aにそれぞれ連結されていると共にリングギヤ66はブレーキB2のオンオフによりその回転が自由にまたは停止できるようになっている。ダブルピニオンの遊星歯車機構60aとシングルピニオンの遊星歯車機構60bとは、リングギヤ62とリングギヤ66、キャリア64とキャリア68とによりそれぞれ連結されている。変速機60は、ブレーキB1,B2を共にオフとすることによりモータMG2の回転軸48をリングギヤ軸32aから切り離すことができ、ブレーキB1をオフとすると共にブレーキB2をオンとしてモータMG2の回転軸48の回転を比較的大きな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達し(以下、この状態をLoギヤの状態という)、ブレーキB1をオンとすると共にブレーキB2をオフとしてモータMG2の回転軸48の回転を比較的小さな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達する(以下、この状態をHiギヤの状態という)。ブレーキB1,B2を共にオンとする状態は回転軸48やリングギヤ軸32aの回転を禁止するものとなる。
【0023】
ブレーキB1,B2は、図3に例示する油圧回路100からの油圧によりオンオフされるようになっている。油圧回路100は、図示するように、エンジン22の回転により駆動されブレーキB1,B2を作動するのに十分な圧送性能をもってオイルを圧送する機械式ポンプ102と、内蔵される図示しない電動モータにより駆動されブレーキB1,B2を作動するのに必要最低限の圧送性能をもってオイルを圧送する電動ポンプ104と、機械式ポンプ102または電動ポンプ104から圧送されたオイルのライン油圧PLを調整する3ウェイソレノイド106およびプレッシャーコントロールバルブ108と、ライン油圧PLを用いてブレーキB1,B2の係合力を調整するリニアソレノイド110,111やコントロールバルブ112,113,アキュムレータ114,115とから構成されている。油圧回路100では、ライン油圧PLは、3ウェイソレノイド106を駆動してプレッシャーコントロールバルブ108の開閉を制御することにより調整することができ、ブレーキB1,B2の係合力は、リニアソレノイド110,111に印加する電流を制御することによりライン油圧PLをブレーキB1,B2に伝達させるコントロールバルブ112,113の開閉を制御することにより調節することができる。
【0024】
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
【0025】
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量に対応したアクセル開度Accを検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,ブレーキB1,B2の作動に用いられるオイルの温度を検出する温度センサ116からの油温θoilなどが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、電動ポンプ104を駆動する電動モータへの駆動信号や3ウェイソレノイド106への駆動信号,リニアソレノイド110,111への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0026】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
【0027】
次に、こうして構成されたハイブリッド自動車20の動作について説明する。図4は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に実行される。
【0028】
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50が充放電すべき充放電要求パワーPb*,バッテリ50の出力制限Wout,油温センサ116からの油温θoilなどのデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、充放電要求パワーPb*は、バッテリ50の残容量(SOC)などに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。さらに、出力制限Woutは、バッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
【0029】
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*とエンジン22に要求される要求パワーPe*とを設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図5に要求トルク設定用マップの一例を示す。要求パワーPe*は、要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものとバッテリ50が充放電すべき充放電要求パワーPb*とロスLossとの和により設定するものとした。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、モータMG2の回転数Nm2を変速機60の現在のギヤ比Grで除することにより求めたり、車速Vに換算係数kを乗じることにより求めることができる。
【0030】
続いて、要求パワーPe*を閾値Prefと比較する(ステップS120)。ここで、閾値Prefは、エンジン22の運転を停止するか否かを判定するために用いられるものであり、エンジン22から効率よく出力できるパワーの下限値やその近傍の値として設定される。要求パワーPe*が閾値Prefより大きいときには、要求パワーPe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS130)。この設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと要求パワーPe*とに基づいて目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定することにより行なわれる。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図6に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。
【0031】
目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定すると、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(=Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS220)。ここで、式(1)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図7に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はリングギヤ32(リングギヤ軸32a)の回転数Nrを示す。モータMG1の目標回転数Nm1*は、この共線図における回転数の関係を用いることにより容易に導くことができる。したがって、モータMG1が目標回転数Nm1*で回転するようトルク指令Tm1*を設定してモータMG1を駆動制御することによりエンジン22を目標回転数Ne*で回転させることができる。式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。なお、図7におけるR軸上の上向きの2つの太線矢印は、エンジン22を目標回転数Ne*および目標トルクTe*の運転ポイントで運転したときにエンジン22から出力されるトルクTe*がリングギヤ軸32aに直接伝達されるトルク(以下、このトルクを直達トルクTerという)と、モータMG2から出力されるトルクTm2*が変速機60を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。
【0032】
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ−Nm2/(Gr・ρ) …(1)
Tm1*=前回Tm1*+k1(Nm1*−Nm1)+k2∫(Nm1*−Nm1)dt …(2)
【0033】
モータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とを計算すると、バッテリ50の出力制限Woutと計算したモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上限としてのトルク制限Tmaxを次式(3)により計算すると共に(ステップS230)、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρと変速機60の現在のギヤ比Grとを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを式(4)により計算し(ステップS240)、計算した仮モータトルクTm2tmpをトルク制限Tmaxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS250)。このようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力する要求トルクTr*を、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で制限したトルクとして設定することができる。なお、式(4)は、前述した図7の共線図から容易に導き出すことができる。
【0034】
Tmax=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(3)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr …(4)
【0035】
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とについてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS260)、駆動制御ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が運転されているときにはその状態(運転状態)で、また、エンジン22が運転停止されているときにはエンジン22を始動して、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。このときには、機械式ポンプ102から圧送されたオイルと電動ポンプ104から圧送されたオイルとの油圧を用いて変速機60のブレーキB1,B2を作動させることにより、モータMG2から出力されるトルクTm2*を変速機60によって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに伝達することができる。
【0036】
一方、ステップS120で要求パワーPe*が閾値Pref以下のときには、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに値0を設定すると共に(ステップS140)、モータMG1のトルク指令tm1*に値0を設定し(ステップS150)、バッテリ50の出力制限WoutをモータMG2の回転数Nm2で除することによりトルク制限Tmaxを計算すると共に(ステップS160)、要求トルクTr*を変速機60の現在のギヤ比Grで除することによりモータMG2の仮モータトルクTm2tmpを計算し(ステップ170)、計算した仮モータトルクTm2tmpをトルク制限Tmaxで制限してモータMG2のトルク指令Tm2*を設定する(ステップS180)。そして、油圧回路100の油温θoilに基づいて機械式ポンプ102から圧送されるオイルを用いずに、即ち電動ポンプ104から圧送されたオイルだけの油圧を用いて変速機60によりモータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに伝達可能なトルクの上限としての許容トルクTlimを設定する(ステップS190)。ここで、許容トルクTlimは、実施例では、油温θoilと許容トルクTlimとの関係を予め定めて許容トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、油温θが与えられると記憶したマップから対応する許容トルクTlimを導出して設定するものとした。許容トルク設定用マップの一例を図8に示す。許容トルクTlimは、図示するように、油温θoilが所定温度θrefを超えるとその値が大きいほど小さくなる傾向に設定される。これは、油温θoilが高いほどオイルの粘度が低下することによって油圧回路100の隙間から漏れるオイルの量が多くなり、ブレーキB1,B2の正常な作動に必要な油圧を電動ポンプ104から圧送されたオイルだけの油圧で賄うことが困難になるためである。なお、許容トルクTlimは、油温θoilが所定温度θref以下のときには、モータMG2から出力可能な最大トルクなどが設定される。
【0037】
こうして許容トルクTlimを設定すると、ステップS180で設定したモータMG2のトルク指令Tm2*と許容トルクTlimとを比較する(ステップS200)。モータMG2のトルク指令Tm2*が許容トルクTlim以下のときには、電動ポンプ104から圧送されたオイルだけの油圧を用いてモータMG2から出力されるトルクTm2*を変速機60によって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに伝達することができると判断し、ステップS140〜S180で設定したエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を対応する各ECUに送信して(ステップS190)、駆動制御ルーチンを終了する。値0の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が運転されているときにはエンジン22の運転を停止し、また、エンジン22が運転停止されているときにはその状態(運転停止状態)を保持する。このように、要求パワーPe*が閾値Pref以下であり且つモータMG2のトルク指令Tm2*が許容トルクTlim以下のときには、エンジン22の運転を停止することによりエネルギ効率の向上を図ることができる。このときには、電動ポンプ104から圧送されたオイルの油圧を用いてブレーキB1,B2を作動させることにより、モータMG2から出力されるトルクTm2*を変速機60によって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに伝達することができる。
【0038】
一方、モータMG2のトルク指令Tm2*が許容トルクTlimより大きいときには、電動ポンプ104から圧送されたオイルだけの油圧ではモータMG2から出力されるトルクTm2*を変速機60によって駆動軸としてのリングギヤ軸32aに伝達することができないと判断し、要求パワーPe*に基づいてエンジン22が効率よく運転されるようエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを再設定すると共に(ステップS210)、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を再設定し(ステップS220〜S250)、再設定したエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を対応する各ECUに送信して(ステップS260)、駆動制御ルーチンを終了する。このように、モータMG2のトルク指令Tm2*が許容トルクTlimより大きいときには、要求パワーPe*が閾値Pref以下であるにも拘わらずエンジン22を継続して運転するから、機械式ポンプ102から圧送されたオイルと電動ポンプ104から圧送されたオイルとの油圧を用いて変速機60のブレーキB1,B2を作動させることができ、エンジン22を運転停止しているものに比してモータMG2から出力されるトルクTm2*を変速機60によって駆動軸としてのリングギヤ軸32aにより伝達することがきる。しかも、このときには、エンジン22からの直達トルクTerがリングギヤ軸32aに出力されることによってモータMG2から出力されるトルクTm2*はエンジン22を運転停止しているときに比して小さくなるから、変速機60によるモータMG2からリングギヤ軸32aへの動力の伝達をより容易とすることができる。
【0039】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、要求パワーPe*が閾値Pref以下のときでもモータMG2のトルク指令Tm2*が油温θオイルが高いほど小さくなる傾向に設定された許容トルクTlimより大きいときには、エンジン22を継続して運転する。これにより、ブレーキB1,B2を作動させるのに十分な性能の機械式ポンプ102から圧送されたオイルとブレーキB1,B2を作動させるのに必要最低限の性能の電動ポンプ104から圧送されたオイルとの油圧を用いて変速機60のブレーキB1,B2を作動させることができ、エンジン22の間欠運転によりエンジン22を運転停止しているものに比して変速機60によりモータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに動力をより伝達することができる。しかも、このときには、エンジン22からの直達トルクTerによってモータMG2から出力されるトルクTm2*をエンジン22を運転停止しているものに比して小さくすることができるから、変速機60によるモータMG2からリングギヤ軸32aへの動力の伝達をより容易とすることができる。一方、要求パワーPe*が閾値Pref以下であり且つモータMG2のトルク指令Tm2*が許容トルクTlim以下のときには、エンジン22を運転停止するから、エネルギ効率の向上を図ることができる。もとより、いずれの場合も要求トルクTr*に対応することができる。
【0040】
実施例のハイブリッド自動車20では、図8に示したように、油温θoilが高いほど直線的に小さくなる傾向に許容トルクTlimを設定するものとしたが、段階的または曲線的に小さくなる傾向に許容トルクTlimを設定するものとしてもよい。
【0041】
実施例のハイブリッド自動車20では、要求パワーPe*が閾値Pref以下のときには、モータMG2のトルク指令Tm2*と油温θoilが高いほど小さくなる傾向に設定された許容駆動力Tlimとを比較することにより機械式ポンプ102から圧送されたオイルを用いずに変速機60によりモータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに動力を伝達することができるか否かを判定するものとしたが、許容駆動力Tlimを設定することなく、モータMG2のトルク指令Tm2*と油温θoilとを用いて機械式ポンプ102から圧送されたオイルを用いずに変速機60によりモータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに動力を伝達することができるか否かを判定するものとしてもよい。
【0042】
実施例のハイブリッド自動車20では、要求パワーPe*が閾値Pref以下のときには、モータMG2のトルク指令Tm2*を設定してこれと許容トルクTlimとを比較することにより機械式ポンプ102から圧送されたオイルを用いずに変速機60によりモータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに動力を伝達することができるか否かを判定するものとしたが、前回のモータMG2のトルク指令(前回Tm2*)と許容トルクTlimとを比較することにより判定するものとしてもよい。この場合の駆動制御ルーチンの一例を図9に示す。この駆動制御ルーチンでは、要求トルクPe*が閾値Pref以下のときには(ステップ120)、油温θoilに基づいて許容トルクTlimを設定し(ステップS190)、前回この駆動制御ルーチンが実行されたときに設定されたモータMG2のトルク指令(前回Tm2*)と許容トルクTlimとを比較し(ステップS200)、前回のモータMG2のトルク指令(前回Tm2*)が許容トルクTlim以下のときには、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに値0を設定すると共にモータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定し(ステップS300,S310)、ステップS230以降の処理を実行し、前回のモータMG2のトルク指令(前回Tm2*)が許容トルクTlimより大きいときには、ステップS210以降の処理を実行する。こうした制御により、実施例と同様の効果を奏することができる。
【0043】
実施例のハイブリッド自動車20では、Hi,Loの2段の変速段をもって変速可能な変速機60を用いるものとしたが、変速機60の変速段は2段に限られず、3段以上の変速段をもって変速可能な変速機を用いるものとしてもよい。また、実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2からの動力を変速して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに伝達する変速機を備えるものとしたが、変速機に限られず、機械式ポンプ102または電動ポンプ104から圧送されたオイルを用いて作動しモータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに動力を伝達する動力伝達部を備えるものであればよい。
【0044】
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を変速機60により変速して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図10の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力を変速機60により変速してリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図10における車輪39c,39dに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
【0045】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図11の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪39a,39bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
【0046】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例としての動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】変速機60の構成の概略を示す構成図である。
【図3】油圧回路100の構成の概略を示す構成図である。
【図4】ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図5】要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図6】エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を示す説明図である。
【図7】動力分配統合機構30の回転要素の回転数とトルクとを力学的に説明するための説明図である。
【図8】許容トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
【図9】変形例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図10】変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
【図11】変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
【0048】
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、37 ギヤ機構、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b,39c,39d 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、48 回転軸、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60,330 変速機、60a ダブルピニオンの遊星歯車機構、60b シングルピニオンの遊星歯車機構、61,65 サンギヤ、62,66 リングギヤ、63a 第1ピニオンギヤ、63b 第2ピニオンギヤ、64,68 キャリア、67 ピニオンギヤ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、100 油圧回路、102 機械式ポンプ、104 電動ポンプ、106 3ウェイソレノイド、108 プレッシャーコントロールバルブ、110,111 リニアソレノイド、112,113 コントロールバルブ、114,115 アキュムレータ、116 温度センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ、B1,B2 ブレーキ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
前記駆動軸に動力の出力が可能な内燃機関と、
動力の入出力が可能な電動機と、
該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
内燃機関からの動力を用いて第1の圧送性能をもって作動流体を圧送する機械式圧送手段と、
電力を用いて前記第1の圧送性能より低い第2の圧送性能をもって作動流体を圧送する電気式圧送手段と、
前記圧送された作動流体の圧力を用いて前記電動機の回転軸の動力の前記駆動軸への伝達または伝達の解除が可能な伝達解除手段と、
前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記電動機の状態と前記作動流体の状態とに基づいて前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができるときには前記内燃機関の間欠運転を伴って前記要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力されるよう該内燃機関と該電動機と該伝達解除手段とを制御し、前記電動機の状態と前記作動流体の状態とに基づいて前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができないときには前記内燃機関の運転の継続を伴って前記要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力されるよう該内燃機関と該電動機と該伝達解除手段とを制御する制御手段と、
を備える動力出力装置。
【請求項2】
請求項1記載の動力出力装置であって、
前記伝達解除手段に圧送される作動流体の温度を検出する温度検出手段を備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段により検出される作動流体の温度と前記電動機から出力する駆動力とに基づいて前記機械式圧送手段から圧送される作動流体の圧力を用いずに前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができるか否かを判定すると共に該判定結果に基づいて制御する手段である
動力出力装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検出された作動流体の温度に基づいて前記機械式圧送手段から圧送される作動流体の圧力を用いずに前記伝達解除手段により前記電動機から前記駆動軸に伝達可能な駆動力としての許容駆動力を設定すると共に前記設定された要求駆動力に基づいて前記電動機から出力すべき電動機駆動力を設定し、該設定した許容駆動力と該設定した電動機駆動力とを比較することにより前記機械式圧送手段から圧送される作動流体の圧力を用いずに前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができるか否かを判定する手段である請求項2記載の動力出力装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検出された作動流体の温度が高くなるほど小さくなる傾向に前記許容駆動力を設定する手段である請求項3記載の動力出力装置。
【請求項5】
前記伝達解除手段は、前記電動機の回転軸と前記駆動軸と間で変速比の変更を伴って動力の伝達が可能な手段である請求項1ないし4いずれか記載の動力出力装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか記載の動力出力装置であって、
前記内燃機関と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力を伴って前記内燃機関からの動力の少なくとも一部に前記駆動軸に出力可能な電力動力入出力手段を備え、
前記制御手段は、前記要求駆動力に基づく駆動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する手段である
動力出力装置。
【請求項7】
前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と第3の軸との3軸に接続され該3軸のうちいずれか2軸に入出力した動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力する発電機とを備える手段である請求項6記載の動力出力装置。
【請求項8】
前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸に接続された第1の回転子と前記駆動軸に接続された第2の回転子とを有し、該第1の回転子と該第2の回転子との相対的な回転により回転する対回転子電動機である請求項6記載の動力出力装置。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれか記載の動力出力装置を搭載し、車軸が前記駆動軸に連結されてなる自動車。
【請求項10】
駆動軸に動力の出力が可能な内燃機関と、動力の入出力が可能な電動機と、該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、内燃機関からの動力を用いて第1の圧送性能をもって作動流体を圧送する機械式圧送手段と、電力を用いて前記第1の圧送性能より低い第2の圧送性能をもって作動流体を圧送する電気式圧送手段と、前記圧送された作動流体の圧力を用いて前記電動機の回転軸の動力の前記駆動軸への伝達または伝達の解除が可能な伝達解除手段と、を備える動力出力装置の制御装置であって、
前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記電動機の状態と前記作動流体の状態とに基づいて前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができるときには前記内燃機関の間欠運転を伴って前記要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力されるよう該内燃機関と該電動機と該伝達解除手段とを制御し、前記電動機の状態と前記作動流体の状態とに基づいて前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができないときには前記内燃機関の運転の継続を伴って前記要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力されるよう該内燃機関と該電動機と該伝達解除手段とを制御する制御手段と、
を備える動力出力装置の制御装置。
【請求項11】
駆動軸に動力の出力が可能な内燃機関と、動力の入出力が可能な電動機と、該電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、内燃機関からの動力を用いて第1の圧送性能をもって作動流体を圧送する機械式圧送手段と、電力を用いて前記第1の圧送性能より低い第2の圧送性能をもって作動流体を圧送する電気式圧送手段と、前記圧送された作動流体の圧力を用いて前記電動機の回転軸の動力の前記駆動軸への伝達または伝達の解除が可能な伝達解除手段と、を備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記駆動軸に出力すべき要求駆動力を設定し、
(b)前記電動機の状態と前記作動流体の状態とに基づいて前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができるときには前記内燃機関の間欠運転を伴って前記要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力されるよう該内燃機関と該電動機と該伝達解除手段とを制御し、前記電動機の状態と前記作動流体の状態とに基づいて前記伝達解除手段により前記電動機からの動力を前記駆動軸に伝達することができないときには前記内燃機関の運転の継続を伴って前記要求駆動力に基づく駆動力が該駆動軸に出力されるよう該内燃機関と該電動機と該伝達解除手段とを制御する
動力出力装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−183817(P2006−183817A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379552(P2004−379552)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】