説明

化学的分離の装置及び方法

【課題】化学的分離のための装置及び方法を提供する。
【解決手段】処理化学物質又は他の流体が基板の上面又は他の表面上で使用され、脱イオン化水(DI)又は他の流体の洗浄がそれに続くシリコンウェーハのような基板を処理するための装置及び方法。使用された処理化学物質又は流体は、洗浄流体から2つの流体間の相互汚染が非常に僅かであるか又は全くなく分離される。装置は、環状回収チャンバ及びスピンチャックから成る。化学処理中に、流体は、回転するウェーハの上面又は他の表面上で実質的に水平に流れ、回収チャンバによってその周囲で回収される。化学処理が完了した状態で、回収チャンバは、図2に示すように閉鎖位置まで下方に移動する。次に、DI水又は他の流体が分注され、チャンバに回収された化学物質又は他の処理流体と混合することなくウェーハを洗浄することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、「35 U.S.C. §119 (e)」の下に、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている2005年12月16日出願の「化学分離の装置及び方法」という名称の米国特許仮出願出願番号第60/751、025号の優先権を請求するものである。
【0002】
本発明は、一般的に、化学的分離のための装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は、集積回路基板ウェーハの製造において使用される化学物質の分離、又はそのような化学物質をウェーハの更に別の処理に再生利用又は再使用するか又はそうでなければ処分することができるように化学物質の分離を維持するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的に平坦な丸い円板(他の形状が可能であるが)の形態であり、かつ多くの場合にシリコン、ガリウム、砒化物、又は他の材料から製造される集積回路ウェーハは、様々な化学物質を使用して処理することができる。このような処理に使用される段階の一部は、コーティング、成長、エッチング、剥離、金属リフトオフなどである。一般的に使用される方法は、薬浴中にウェーハを浸す段階(「バッチ処理」と呼ぶ)、又は例えば湿式化学エッチング処理におけるように回転しながらウェーハ上に流体を分注する段階(「単一ウェーハ処理」と呼ぶ)を含む。ウェーハサイズが増大すると、処理環境をより良好に制御することができる限り、単一ウェーハ処理を使用することによって大きな利益を達成することができる。
【0004】
ウェーハ上に処理流体を分注し、続いて脱イオン化(DI)水によって洗浄すると、流体が混合して流体を再生利用又は再使用に不適切なものにする。すなわち、再生利用又は再使用に向けて流体を分離する方法が採用されている。流体の分離に使用される方法は、流体を別々の排水管に分流する排水分流器及び様々なスプラッシュシールドを含む。しかし、このような方法は、処理流体内へのDI水のある程度の混入を依然として許し、処理流体を再使用に不適切なものにするか、又は流体を再循環させることができる回数を厳しく制限する。
【0005】
すなわち、集積回路又は他の基板ウェーハの製造に使用される流体を分離するか又は流体の分離を維持し、このような分離流体を将来の処理に再使用することができ、又はそうでなければ再生利用又は処分することができる装置及び方法に対する必要性が存在する。
【0006】
【特許文献1】米国特許仮出願出願番号第60/751、025号
【発明の開示】
【0007】
この問題は、集積回路ウェーハ又は地の基板処理に使用される化学物質を処理中に基板表面上に配置することを可能にする装置及び方法を使用し、かつ基板がDI水のような適切な洗浄流体で洗浄される時に余剰化学物質を分離することにより解決することができる。すなわち、本発明の処理においては、DI水は、化学流体のような使用処理流体と混合せず、又は他の方法でそれを汚染せず、このような処理流体の再使用又は再生利用を可能にする。
【0008】
本発明の一実施形態は、洗浄及び乾燥サイクル中に回収チャンバを実質的に密封しながら、化学サイクル中に処理流体の回収を可能にする。すなわち、処理流体は、DI水のような洗浄流体がないままであり、集積回路ウェーハのような付加的な基板を処理するために処理流体を再循環及び再使用することを可能にする。
【0009】
本発明の理解は、同じ番号が同じ部分を指す添付図面と共に本発明の実施形態の以下の詳細説明を考慮することにより容易になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の図面及び説明は、本発明の明快な理解に関連する要素を示し、同時に本発明に見出されるであろう多くの他の要素を明瞭さのために排除して簡素化されているは理解されるものとする。当業者は、他の要素が本発明を実行するために望ましく及び/又は必要であることを認識するであろう。しかし、そのような要素は当業技術で公知であり、かつそのような要素は本発明のより良い理解を容易にしないので、そのような要素の説明は、本明細書では割愛する。
【0011】
ここで図1を参照すると、本発明の装置10の一実施形態が示されている。装置10は、スピンチャック20と、垂直方向に可動の化学物質回収システム30とを含む。スピンチャック30は、プラットホーム40を含み、これは、水平面で回転させることができ、かつその上にウェーハ50を化学処理に向けて配置することができる。ウェーハ50は、それが回転するプラットホーム40に対して静止したままであるように、処理中にはプラットホーム40に固定される。所望される構成によっては、ウェーハ50は、プラットホーム40にそれ自体が固定された離隔体45に固定することができる。
【0012】
化学物質回収システム30は、環状の垂直方向位置決め可能な回収チャンバ60と、回収チャンバカバー70と、排水管80とを含む。回収チャンバ60により、ウェーハ50の処理中に導入された化学物質又は他の流体は、ウェーハ50が回転する時に回収することができる。ウェーハ50上に堆積した処理流体が回転するウェーハ50の上面上で水平方向に流れると、余剰流体が、ウェーハ50の回転によって発生した遠心力によってウェーハ50の表面から放出されるために、回収チャンバ60内での流体の回収は、化学処理中に達成される。
【0013】
図1に示すように、回収チャンバ60は、チャンバ60における処理流体の回収を可能にするために、ウェーハ50の化学処理中には開放位置に留まる。ウェーハ50の化学処理が完了し、かつ処理流体がチャンバ60に回収された状態で、チャンバ60は、図2に示すように閉鎖位置に移動させることができる。閉鎖位置では、流体がチャンバ60に入らないように、回収チャンバカバー70が回収チャンバ60を実質的に密封する。すなわち、閉鎖位置では、チャンバカバー70は、洗浄流体を化学物質回収システム30に回収された処理流体と混合させずに、例えばDI水のような洗浄流体によるウェーハ50の洗浄を可能にする。
【0014】
本発明の一実施形態では、回収チャンバカバー70は、回収チャンバ60を図2に示すように洗浄又は閉鎖位置内に移動させることができ、かつ回収チャンバカバー70が回収チャンバ60への開口部を覆うように、スピンチャック20又は他の静止物体に固定することができる。その結果、処理流体は、チャンバ60に入ることが実質的に防止される。処理流体が回収チャンバ60に回収されると、処理流体は、洗浄流体から実質的に隔離され、処理流体は、処理流体の更なる処置の必要なしに再使用、再生利用、又は他の処分のためにチャンバ排水管80を通して除去することができる。
【0015】
本明細書の開示は、開示した本発明の要素及び方法のある一定の特徴、並びに本明細書の開示に照らして当業者に明らかであると思われる他のものに関する。すなわち、本発明は、そのような修正が本明細書で与えられる特許請求の範囲及びその均等物に該当することを条件として、本発明の全てのそのような修正及び変形を含むように意図している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】回収チャンバが実質的に開放位置である本発明のスピンチャック及び回収チャンバの断面立面図である。
【図2】回収チャンバが実質的に閉鎖位置である図1のスピンチャック及び回収チャンバの断面立面図である。
【符号の説明】
【0017】
10 本発明の装置
20 スピンチャック
30 化学物質回収システム
40 プラットホーム
50 ウェーハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを湿式化学処理するための装置であって、
ウェーハを支持して回転させるウェーハチャックと、
化学流体及びDI水を前記ウェーハの表面に送出することができる流体分注ノズルと、
実質的に垂直方向に移動して、流体を回収するための開放位置又は流体を回収チャンバから離れるように分流させるための閉鎖した実質的に密封した位置をもたらし、かつ該回収された流体を集めるのに使用される排水管を有する環状回収チャンバと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
1つ又はそれよりも多くの処理流体で基板を処理し、かつ該基板を洗浄流体で洗浄するための装置であって、
基板を支持して回転させることができるチャックと、
回収された処理流体に実質的に洗浄流体がないように、処理流体を再生利用、再使用、又は他の処分のために回収することができる回収システムと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項3】
1つ又はそれよりも多くの処理流体で基板を処理し、かつ該基板を1つ又はそれよりも多くの洗浄流体で洗浄するための装置であって、
基板を支持して回転させることができるチャックと、
実質的に垂直方向に位置決め可能な回収チャンバ、及び
回収チャンバカバー、
を更に含む回収システムと、
を含み、
前記回収チャンバが第1の位置にある時に、該チャンバは、処理流体を受け取るために開いており、かつ該回収チャンバが第2の位置にある時に、該チャンバは、洗浄流体が該チャンバに入るのを実質的に防止するために閉じている、
ことを特徴とする装置。
【請求項4】
前記処理流体が、通過することができ、かつそこを通過して基板材料の将来の処理に再使用するために再生利用されるか、又は他の方法で使用されるか又は処分することができる、前記チャンバに流体連通した排水管、
を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
上面及び下面を有する基板の材料の処理に使用される処理流体及び洗浄流体の分離を実質的に維持する方法であって、
基板を回転チャックに固定する段階と、
処理流体が前記基板の上面に付加される時に前記チャックを回転させる段階と、
余剰処理流体を可変的に位置決め可能な回収チャンバに該回収チャンバが実質的に開放位置にある時に回収する段階と、
前記回収チャンバを実質的に閉鎖位置に位置決めする段階と、
前記回収チャンバが実質的に閉鎖位置にある間に洗浄流体を前記回転している基板に付加する段階と、
前記洗浄流体を、前記処理流体に該洗浄流体が実質的に存在せず、かつ該処理流体を将来の基板処理に再使用するか又はそうでなければ処分することができるように回収する段階と、
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−520362(P2009−520362A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545874(P2008−545874)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/048082
【国際公開番号】WO2007/070702
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508180563)ソリッド ステイト イクイップメント コーポレイション (1)
【出願人】(508180552)
【Fターム(参考)】