説明

医薬組成物およびこれらの調製方法

医薬組成物の製造方法が記載される。本発明による医薬組成物の製造方法は、(a)一般式:−[O−−R1−−C(O)]n−(式中、「R1」は、線状、分岐、または環状有機基であり、「n」は、少なくとも3である)の生体適合性ポリマーを提供する工程;(b)前記生体適合性ポリマーをアシル化して、アシル化された生体適合性ポリマーおよび混合無水物を提供する工程;(c)前記混合無水物と求核剤とを反応させて、水の不存在下で酸へ化学的に転化されうる末端カルボン酸誘導体を有するアシル化された生体適合性ポリマーを提供する工程;(d)この末端カルボン酸誘導体を、末端カルボン酸を有するアシル化された生体適合性ポリマーへ転化する工程;および(e)このアシル化された生体適合性ポリマーと薬物とを組み合わせて、医薬組成物を提供する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入による肺への医薬配合物(例えばキャリヤー中に懸濁または溶解された薬物)の送達は、例えば気管支喘息および慢性閉塞性肺疾患などの通常の症状を包含する多様な症状の重要な治療手段である。ステロイド、β−2アゴニスト、および抗コリン作動薬は、かかる目的のために肺へ投与される薬物に含まれる。かかる薬物は通常、エアゾール形態で投与される。確かに微粒子が呼吸できるサイズ(例えば直径約5〜10ミクロン)を有するように、これらの微粒子はまず、適切なサイズで調製し、その後、推進薬との使用に適した懸濁液中に組み込み、これによってエアゾール配合物を提供することができる。あるいはまた配合物は、この配合物における適切な粒度についての心配を避けるために、溶液形態で調製することもできる。それにもかかわらず溶液配合物は、呼吸できるサイズの微粒子または小滴を生成するように調剤(dispense)されなければならない。エアゾール配合物は、ひとたび調製されたら、計量用量バルブを備えた適切なエアゾール缶の中に入れられる。患者の手において、この配合物はついで、バルブから患者へ、薬剤の予め決定された投薬量を方向付ける作動装置を活性化することによって、計量用量吸入器(「MDI」)を介して分取する(dispense)ことができる。
【0003】
エアゾール配合物は望ましくは、これらの容器または缶から、再現可能な予め決定された投薬量として分取される。投薬量の再現可能性は、例えば急速なクリーム状化、沈降、またはフロキュレーションを包含する、懸濁配合物中に発生しうる多様な事象のいずれかによって問題になることがある。機械的な問題も発生し、投薬量再現性に関する問題を生じうる。典型的な機械的な問題は、バルブ破損を包含し、これは、バルブの完全な動作不能性から、「粘着性」バルブを使用する試みをともなう一部または散発的な動作可能性に及ぶことがある。エアゾール配合物に関連した問題を克服するために、かかる配合物は多くの場合、懸濁液の安定化を補助するための界面活性剤を含み、これによって、より再現性の高い投薬を容易にする。さらには、いくつかの界面活性剤はまた、計量用量バルブの円滑な作動を補助するための潤滑化手段を備えることによって、潤滑剤として機能し、機械的な問題を制御し、潜在的にこれを除去しうる。多様な材料のうちのどれも、エアゾール配合物中の分散助剤として使用しうる。しかしながら、いずれかの特定の材料の望ましさは、特定の医薬配合物中に用いられている特定の薬物および推進薬(または推進薬の種類)の素性(identity)によることが多い。
【0004】
医薬懸濁液などの配合物において認識されている問題点の1つは、様々なヒドロフルオロアルカン(HFA)推進薬、例えばHFA−134aおよびHFA−227中への十分な量の界面活性剤の溶解の難しさであった。この問題に対処し、克服するための1つの方法として、助溶媒が医薬配合物に添加されてきた。もう1つの方法は、助溶媒の使用を回避し、この方法は、HFA推進薬中に可溶であり、かつエアゾール配合物中の効果的な界面活性剤または分散助剤である特定の材料の使用によって、医薬配合物中に十分な量の界面活性剤を提供する。かかる材料には、あるいくつかのフッ素化界面活性剤、およびあるいくつかのポリエトキシ界面活性剤が含まれる。
【0005】
肺に送達される医薬エアゾール配合物中に用いられる材料は、好ましくは非毒性(例えば「生体適合性」)であり、容易に代謝されるか、または経時的に体内から除去される(例えば「生体分解性」)。生体適合性および生体分解性ポリマーは一般に、肺、ならびに体のほかの区域への薬物の送達に有用な材料の一種を含む。例えば、選択されたヒドロキシカルボン酸またはこれらの誘導体(例えば乳酸、グリコール酸、p−ジオキサノンなど)のポリマーエステルは、人体において生体適合性および生体分解性の両方である。これらのポリマーエステルは、経時的にこれらの構成ヒドロキシカルボン酸に分解し、これらはついで代謝され、体内から自然に除去される。生体適合性ポリマーは、可溶化および/または安定化助剤として、ならびに薬物の送達、および徐放性もしくは制御された放出のためのビヒクルとして用いられてきた。かかる生体適合性ポリマーは、MDIによって肺の中に必要量だけ取り出して入れられたあるいくつかの薬物の配合物中に用いられてきた。これらの使用は有利であったが、生体適合性ポリマーの製造は、問題がないわけではなかった。例えばあるいくつかのアシル化されたポリマーヒドロキシカルボン酸は、MDIを通して分取された配合物において有用であることが証明されている。しかしながらかかるアシル化されたポリヒドロキシカルボン酸の製造方法はまた、このポリマーを不安定にすることがある副生物も発生させる。
【0006】
アシル化されたポリマーヒドロキシカルボン酸の製造は、ポリヒドロキシカルボン酸と適切な無水物との間の反応を介して達成される。しかしながらこの反応はまた、混合無水物(例えばポリマーヒドロキシカルボン酸の末端酸ともう1つのカルボン酸基との間に形成された無水物)も発生させる。過去において、この混合無水物は、添加水で加水分解されていた。しかしながらこの加水分解反応は、制御が難しいことがあり、ポリマー鎖の長さに沿ってエステル結合の加水分解を引起こし、その結果として、バイオポリマーを不安定化させる傾向があるそれ自体の酸ヒドロキシル基を含む追加の非アシル化ポリヒドロキシ酸の発生を生じることが知られている。これらの反応性ヒドロキシル基の存在は、さらに望ましくない副生物を生じることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
医薬組成物、例えば安定生体適合性ポリマー配合物を含む組成物を提供することが望ましい。かかる医薬組成物の製造方法であって、望ましくない反応生成物の作製の可能性をさらに最小限にする方法を提供することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、医薬組成物の製造方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、医薬組成物の製造方法であって、
(a)以下の式:
−[O−−R1−−C(O)]n
(式中、
「R1」は、線状、分岐、または環状有機基であり、
「n」は、少なくとも3である)
の生体適合性ポリマーを提供する工程;
(b)前記生体適合性ポリマーをアシル化して、アシル化された生体適合性ポリマーおよび混合無水物を提供する工程;
(c)前記混合無水物と求核剤とを反応させて、水の不存在下で酸へ化学的に転化されうる末端カルボン酸誘導体を有するアシル化された生体適合性ポリマーを提供する工程;
(d)前記末端カルボン酸誘導体を、末端カルボン酸を有するアシル化された生体適合性ポリマーへ転化する工程;および
(e)前記アシル化された生体適合性ポリマーと薬物とを組み合わせて、医薬組成物を提供する工程
を含む方法を提供する。
【0009】
ほかの実施形態において、本発明は、医薬組成物の製造方法であって、
(a)オリゴ乳酸を含む生体適合性ポリマーを提供する工程;
(b)前記生体適合性ポリマーをアシル化して、アシルオリゴ乳酸および混合無水物を提供する工程;
(c)前記混合無水物と3級アルコールとを水の不存在下で反応させて、アシルオリゴ乳酸を含むアシル化された酸へ化学的に転化されうるエステルを提供し、前記アルコールが、アルファ位に少なくとも1つの水素を有する工程;
(d)前記エステルをアシルオリゴ乳酸へ転化する工程;および
(e)前記アシルオリゴ乳酸と薬物とを組み合わせて、医薬組成物を提供する工程
を含む方法を提供する。
【0010】
さらにほかの実施形態において、本発明は、医薬組成物の製造方法であって、
(a)オリゴ乳酸を含む生体適合性ポリマーを提供する工程;
(b)前記生体適合性ポリマーをアセチル化して、アセチルオリゴ乳酸、およびアセチルオリゴ乳酸と酢酸との混合無水物を提供する工程;
(c)前記混合無水物と3級アルコールとを反応させて、水の不存在下で、アセチルオリゴ乳酸を含む酸へ化学的に転化されうるエステルを提供する工程;
(d)前記エステルをアセチルオリゴ乳酸へ転化する工程;および
(e)前記アセチルオリゴ乳酸と薬物とを組み合わせて、医薬組成物を提供する工程
を含む方法を提供する。
【0011】
本発明の実施形態の記載に用いられているあるいくつかの用語は、次の意味を有すると理解されるものとする。
【0012】
「ポリマー」および「ポリマーの(polymeric)」という用語は、ほかに示されていなければ、広義にはホモポリマー、および重合反応(例えば縮合または開環重合)によって形成された少なくとも3つ以上のモノマー構造単位の鎖を有するブロック/ランダムコポリマーを包含することが意図されている。「オリゴマー」および「オリゴマーの(oligomeric)」という用語は、より低い分子量のポリマーの部分集合について指すために用いられている。
【0013】
「生体適合性ポリマー」とは一般に、有意な有害反応(例えば毒性または抗原性応答)を引起こすことなく、体内に入れられた時に許容されるポリマーのことを指す。
【0014】
「生体分解性ポリマー」とは、生物学的条件下に分解するポリマーのことを指す。
【0015】
「生物学的半減期」とは、材料質量の半分が、生体内でもとの部位から消滅するのに必要とされる時間のことを指す。
【0016】
「混合無水物」とは、本明細書に記載された型のアシル化された生体適合性ポリマーとカルボン酸との間の反応によって形成された無水物のことを指す。
【0017】
「多分散性」とは、特定のポリマーについての重量平均分子量対数平均分子量の比のことを指す。
【0018】
当業者なら、様々な図面、実施例および添付の特許請求の範囲を包含する好ましい実施形態の詳細な説明を包含する開示の残りの部分を考察した時に、本発明の様々な特徴をより十分に理解するであろう。
【0019】
本発明の好ましい実施形態の説明が、図面を参照して行なわれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、化合物(または分散助剤)および1つ以上の薬物を含む組成物の製造方法を提供する。本発明への使用のための化合物は、線状、分岐、または環状であってもよい少なくとも1つのポリマーまたはオリゴマー鎖を含む。これらの化合物は場合により、イオン基;水素結合が可能な1つ以上の水素原子を含有する基;または水素結合が可能な水素原子を含有しない基のうちの1つ以上を含んでいてもよい。
【0021】
このポリマー鎖は、ヒドロキシ酸、アミノ酸、またはメルカプト酸のいずれかに由来する単位を含む。これらの鎖は、ホモポリマー鎖(すなわち、単一のかかる酸に由来する鎖)またはコポリマー鎖(例えばランダム分布された単位を含有する鎖、またはいずれか2つ以上のかかる酸に由来する単位のブロック)であってもよい。本明細書においてこの用語法が用いられているように、鎖は、この鎖が特定の先駆物質から得られた可能性があるものと一貫性がある化学構造を有する場合、必ずしもその先駆物質から調製されることもなく、特定の先駆物質「に由来する」ということができる。
【0022】
先駆物質のヒドロキシ酸は、あらゆるヒドロキシ酸、例えばヒドロキシカルボン酸、またはあるとすれば対応ラクトンまたは環状炭酸塩であってもよい。このヒドロキシ酸は、人体にとって内生的であることが好ましい。適切なヒドロキシカルボン酸は、直鎖(例えばC2−C6)ヒドロキシアルキルカルボン酸、例えばヒドロキシ酢酸、ヒドロキシプロピオン酸(例えば2−または3−ヒドロキシプロピオン酸)、ヒドロキシ酪酸(例えば2−、3−、または4−ヒドロキシ酪酸)、ヒドロキシ吉草酸(例えば2−、3−、4−、または5−ヒドロキシ吉草酸)、ヒドロキシカプロン酸(例えば2−、3−、4−、5−、または6−ヒドロキシカプロン酸)、分岐鎖C3−C6ヒドロキシアルキルカルボン酸(例えば2−ヒドロキシジメチル酢酸)、リンゴ酸モノエステルなどを包含する。適切なラクトンは、ラクチド、1,4−ジオキサノン、バレロラクトン、およびカプロラクトンを包含する。適切な環状炭酸塩は、トリメチレンカーボネートを包含する。ヒドロキシカルボン酸に由来する単位は、式:
−(−O−R1−C(O)−)−
(式中、R1は、ヘテロ原子末端(この場合は−O−)をカルボニル末端:
(−−C(O)−−)
に連結する機能を果たす有機部分を示す)
によって示すことができる。
【0023】
1は、好ましくは1〜約6個の炭素原子を含有する、好ましくは直鎖、分岐鎖、または環状アルキレンまたはアルケニレンである。R1がアルキレンまたはアルケニレンである時、これはまた、ヘテロ原子官能基、例えばカルボニル、オキシ、チオ、または懸垂型(catenary)窒素、好ましくは完全に置換された懸垂型窒素であって、この置換基が水素−ドナー水素結合官能基を含まないものを含有しうる。R1は好ましくは、1〜約4個の懸垂型原子を含有する。R1はまた、アリーレン(例えば1,4−フェニレン)であってもよく、または水素結合しうる水素原子を含有しない官能基、例えば低級アルキルまたは低級アルコキシによって置換されたアリーレンであってもよい。「低級」という用語は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニレン、またはアルキレン基に関連して用いられる時、1〜約4個の炭素原子を有するかかる基のことを指す。R1はまた、かかるアリーレン、アルケニレン、およびアルキレン基の組合せ、例えば1,4−キシリレンであってもよい。
【0024】
先駆物質のアミノ酸は、アミノ基、好ましくは2級アミノ基、酸基、例えばカルボン酸基から除去された少なくとも1つの炭素原子を有するあらゆる化合物であってもよい。アミノ酸の例は、2級アミノ酸(「イミノ酸」と呼ばれることもある)、例えばサルコシンおよびプロリンを包含する。上で考察されたヒドロキシ酸の場合のように、このアミノカルボン酸は、人体にとって内生的であることが好ましい。
【0025】
アミノ酸に由来する単位は、式:
【化1】

(式中、R1は、上に規定されたものと同じであり、R’は、水素、または水素以外の基、好ましくは水素−ドナー水素結合官能基を含まない基である)によって示すことができる。イミノ窒素へ結合することができる適切な基の例は、アルキル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、フェニルアルキル、アルケニル、ハロアルケニル、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ハロフェニル、および当業者によって容易に選択されるほかの基を包含する。あるいくつかの実施形態において、これらの官能基におけるアルキル、アルコキシ、またはアルケニル部分は、1〜約18個、ほかの実施形態においては、1〜約6個の炭素原子を含有しうる。最も典型的には、これらは低級アルキル、アルコキシ、またはアルケニル基である。
【0026】
先駆物質のメルカプト酸は、チオール基および酸基、例えばカルボン酸基を含むあらゆる化合物であってもよい。メルカプト酸の例は、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、およびメルカプト酢酸を包含する。メルカプトカルボン酸に由来する単位は、式:
【化2】

(式中、R1は、上に規定されたものと同じである)
によって示すことができる。
【0027】
上記分散助剤の化合物の鎖の中に含めるための単位を選択することは、代謝の容易さ、溶解性、結晶性、構造均質性、分子量、分岐度、この鎖の極性および非極性部分の相対量、分散助剤に関連して用いられることになる特定の推進薬、およびこの配合物中に含まれることになる特定の薬物を包含する、分散補助機能または吸入適性に影響を与える要因へ正当な考察を行なうことによって、当業者の技術の範囲内にある。例えばあるいくつかのホモポリマー鎖、または過剰な芳香族含量を有する鎖は、過剰に結晶性であり、HFA推進薬との使用には不適切であることがある。「コモノマー」の少量(例えば10〜40モルパーセント)の使用、またはキラルモノマーの鏡像異性体の使用は、材料をより非晶質にするのに役立ちうる。同様に、過剰な水素結合は、分散助剤機能を妨げることがあるが、適切な鎖成分を選択することによって容易に回避される。
【0028】
本明細書において用いられている「鎖長」という用語は、鎖中のモノマー単位の平均数を表わす。一般に鎖は、複数の上記単位を含有する。鎖長は一般に、100未満であり、約3〜約70である実施形態もあり、約3〜約40である実施形態もあり、さらには約3〜約14である実施形態もある。特定の鎖長は、上記要因のいくつかによるであろう。相対的に短い鎖長(例えば6〜12単位)が、いくつかの用途に望まれることがあるが、その理由は、これらがより大きい鎖長を有する材料よりも容易に代謝されると予想されうるからである。乳酸ベースの分散助剤は例えば、約4以上、特にHFA−227とともに用いられるならば、約4以上の鎖長を含んでいてもよく、一方、約6以上の鎖長は、HFA−134aとの使用の場合、より典型的である。
【0029】
ポリマーは鎖長の一分布を含有するが、あるいくつかの鎖長成分は、この分布から除去されうる。例えば3未満の鎖長を有する成分である。短い鎖長の成分の除去は、ある一定の分散助剤組成物の平均鎖長「n」を引き上げるであろう。さらには過剰な結晶性は、いくつかの分散助剤において問題になりうるし、より高い分子量のフラクションの除去から利益を得ることがある。
【0030】
この化合物は、上記のような少なくとも1つの鎖を含有する。あるいくつかの実施形態において、この化合物は、例えば二価および多価のキャッピング基に関連して下に記載されているように配列された、2つ以上のかかる鎖を含有する。鎖は、水素結合が可能な水素原子を含有しない一価、二価、または多価の有機部分(キャッピング基の各原子価は、独立して鎖に結合される)によって一端で、または両端でキャップされうる。かかる基は周知であり、当業者は容易に選択することができ、かかる基の特定の構造は、(分散助剤の調製に関連して以下で考察されているような)合成の都合、例えば1つの鎖のカルボニル末端またはヘテロ原子末端が、特定の基によってキャップされるかどうかに関連する要因によって決定されうる。1つの鎖のヘテロ原子末端をキャップするための一価の有機部分の例は、オルガノカルボニル基、例えば式:
2−C(O)−
(式中、R2は、場合によりヘテロ原子基、例えばカルボニル、オキシ、チオ、または懸垂型窒素を含有し、おそらくは1〜約18個の炭素原子を含有し、典型的には1〜約6個の炭素原子、フェニル、または1つ以上の低級アルキル、低級アルコキシ、またはハロゲン原子によって置換されたフェニルを含有する、直鎖、分岐鎖、または環状アルキルである)で表されるものを包含する。式−R2の基も適切である。特に1つの鎖のカルボニル末端をキャップするためのほかの適切な一価の有機部分は、式:−OR2、−SR2、または−N(R22(式中、R2は、上に規定されているものと同じである)で表されるものを包含する。
【0031】
2つ以上の鎖を含む実施形態において、これらの鎖にキャップする基(キャッピング基)は、互いに同一または異なっていてもよい。さらにはかかる実施形態において、これらのキャッピング基は、化合物の末端にある必要はないが、2つ以上の鎖に架橋する二価または多価基であってもよい。架橋基の例(これらはキャッピング基の亜属である)は、場合によりヘテロ原子官能基、例えばカルボニル、オキシ、チオ、または懸垂型窒素を含有する直鎖、分岐鎖、または環状アルキレン基を包含する。二価アルコールに由来する基、例えばポリエチレングリコール[すなわち、式:−(−OCH2CH2−)n−Oまたは−(−OCH2CH2−)n−(式中、nは1超の整数である)の基]、ポリプロピレングリコール[すなわち、式:−(OCH(CH3)CH2−)n−Oまたは−(OCH(CH3)CH2−)n−(式中、nは1超の整数である)の基]が適切である。同様に適切なものは、多価アルコールに由来する基、例えば1,2,3−トリオキシプロパン(グリセロールに由来する)および多価基、例えば式:
−−CH2CHCH2
で表されるものなどである。ヘテロ原子末端間に架橋するための架橋基は、式:
[−−C(O)−−R”−−C(O)−−]
(式中、R”は、場合によりヘテロ原子官能基、例えばカルボニル、懸垂型窒素、オキシ、またはチオを含有し、かつ好ましくは1〜約18個の炭素原子を含有する、直鎖、分岐鎖、または環状アルキレンもしくはアルケニレン、フェニレン、または1つ以上の低級アルキル、低級アルコキシ、またはハロゲン基によって置換されたフェニレンである)で表されるものを包含する。
【0032】
この鎖はまた、イオン基を含有する部分、または水素結合が可能な水素原子を含有する基へ、一端または両端において結合されうる。適切なイオン基は、例えば4級アンモニウム基、スルホネート塩、カルボキシレート塩などを包含する。水素は、鎖のヘテロ原子末端へ結合された時、水素結合が可能である。水素結合が可能な水素原子を含有するほかの適切な基は、酸官能基、アミド、カルバメート、および例えばアミノ、ヒドロキシル、チオール、アミノアルキル、アルキルアミノ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルアミノ、糖残基などの基を包含する。特定の鎖に関連した使用のためのいずれかの特定の基の適切さは、各々の基および鎖の構造によるであろう。例えばポリヒドロキシカルボン酸由来鎖において、1級または2級アミノ基は典型的には、アミノ基による鎖内での求核置換を避けるためにプロトン化される。
【0033】
適切な酸官能基はカルボン酸を包含する。酸官能基を含有するほかの適切な部分は、α−アミノ酸残基またはこれらのエステルを包含する。1つのかかる実施形態において、α−アミノ酸のアミノ基は、この鎖のカルボニル末端へ結合される。かかる実施形態において、好ましいα−アミノ酸残基は、式:
【化3】

(式中、R3は水素であり、R4は、1つの懸垂型炭素原子、および全部で1〜約12個の炭素原子を含有し、場合により低級アルコキシ、低級アルキルチオ、カルボキシ、メルカプト、ヒドロキシ、フェニル、ヒドロキシフェニル、インドリル、グアニジニル、カルバミド(すなわち、−NHC(O)NH2)、イミダゾリル、またはアシルアミノ(すなわち−C(O)NH2)のうちの1つ以上によって置換されている、直鎖、分岐鎖、または環状アルキレンであるか、またはR3およびR4はともに、場合によりヒドロキシによって置換された直鎖ブタン−1,1,4−トリル基を形成する)で表されるものを包含する。アミノ酸残基が求核基、例えばヒドロキシまたはメルカプトを含有する実施形態において、アミノ基は、例えばアセチル基によってブロックされてもよく、1つの鎖のカルボニル末端は、アミノ酸の求核−S−または−O−原子を介して、アミノ酸残基へ結合されてもよい。
【0034】
もう1つの実施形態において、α−アミノ酸残基は、この鎖のヘテロ原子末端へ(例えば−O−、−S−、または−NR’−基へ)結合され、これは式:
【化4】

(式中、R4は、上に規定されているものと同じであり、R5は、水素またはブロッキング基、例えば上に規定されているようなオルガノカルボニル(例えばアセチル)である)を有する。
【0035】
本発明に含めるのに適したアミノ酸残基は、内生アミノ酸またはこれらのエステルに由来するものであり、例えばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、アルギニン、シトルリン、ヒスチジン、プロリン、およびヒドロキシプロリンである。タウリン、α,β−アミノスルホン酸も適切である。
【0036】
上記キャッピング基の場合のように、イオン基または水素結合基を含有する部分は、この化合物の末端にある必要はない。むしろこれは、これらの鎖に架橋する二価または多価基であってもよい。この型の基の例は、アルキレンジイミノ基およびポリオキシアルキレンジイミノ基を包含する。
【0037】
この分散助剤は、ヒドロフルオロカーボン、例えばHFA−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)またはHFA−227(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)を、懸濁液エアゾール配合物を安定化するのに有効な量で含む推進薬組成物中に可溶であってもよい。このような有効量を構成する量は、あるいくつかの要因、例えば特定の分散助剤(例えばこの鎖が由来するヒドロキシ酸、鎖長、末端基およびキャッピング基の存在または不存在)、特定の推進薬、配合物中の特定の薬物、およびこの薬品の物理的形態(例えば薬物の粒度)によってもよい。かかる有効量は、上で考察された要因の正当な考察をもって、当業者が容易に決定しうる。
【0038】
分散助剤のいくつかの実施形態は、乳酸、グリコール酸、トリメチレンカーボネート、ポリヒドロキシブチレート、またはp−ジオキサノンに由来する単位を含むポリマー鎖を包含しうる。乳酸単位がこの鎖の唯一の成分である実施形態において、この鎖は、少なくとも約3単位、典型的には約3単位〜約40単位を含んでいてもよい。より低い鎖長(例えば6〜12)は、これらの鎖が、より長い鎖長の物質よりも容易に代謝されると予想されうるので、より典型的である。同様にかかる実施形態において、この鎖は、上記のように一端において、例えばオルガノカルボニル基によって、典型的にはアセチル基によってキャップされてもよい。
【0039】
もう1つの実施形態は、グリコール酸(すなわち式−OCH2C(O)−の単位)に由来する単位、および乳酸に由来する単位を含む。かかる実施形態において、この鎖は、全部で3〜約40単位を含有してもよい。同様にかかる実施形態において、この鎖は、上記のように一端において、例えばオルガノカルボニル基またはアセチル基によってキャップされてもよい。
【0040】
本発明の医薬エアゾール配合物は、上記のような分散助剤を含んでいてもよい。単一の分散助剤、例えば実質的に単分散の材料が用いられてもよい。同様に、1つ以上の分散助剤の組合せが、例えば同じ成分モノマーを含むが、異なる鎖長を有する2つの分散助剤を組み合わせるか、または異なる成分モノマーまたはキャッピング基を含有する2つ以上の分散助剤を組み合わせることによって用いることができる。単一の分散助剤はまた、同じ成分モノマーを含む異なる鎖長の分布を有していてもよい。すなわち、単一の分散助剤は、多分散であってもよい。
【0041】
エアゾール配合物は典型的には、本明細書に記載されているように、分散助剤を含有しない同一配合物と比較して、配合物を安定させるのに有効な量で分散助剤を含む。このようにしてこの配合物は、この薬物の再現可能な投薬を妨げるほど迅速に攪拌した後、薬物が沈降し、クリーム状になり、フロキュレーションしないように安定化される。再現可能な投薬は、この配合物が、攪拌後約2または3秒間、実質的に均一な薬物濃度を保持するならば達成することができる。
【0042】
有効量を構成する分散助剤の特定量は、特定の分散助剤、特定の推進薬、およびこの配合物中に用いられている特定の薬物による。そしてかかる量は、必要以上の実験をともなわずに、当業者が容易に決定しうる。一般にこの分散助剤は、推進薬の100重量部を基準にして、約0.001〜約1重量部、いくつかの実施形態においては約0.01〜約0.25重量部の量で、医薬配合物中に存在しうる。
【0043】
本発明の配合物は、薬物がエアゾールとして(例えば局所的に、または経口または鼻腔吸入によって)投与されうるように、治療的有効量で薬物を含有し、1用量またはそれ以下で所望の治療効果を与えるが、おそらくはいくつかの用量を必要とする。本発明のエアゾール配合物は、従来のバルブ、例えば計量用量バルブを用いて分取することができる。治療的有効量を構成する薬物の量は、この薬物の性質、その有効性、この配合物の投与経路、およびこの配合物を投与するために用いられる機械的装置によるであろう。特定の薬物の治療的有効量は、かかる要因の正当な考察をもって、当業者が選択しうる。一般に、薬物の治療的有効量は、推進薬の100重量部を基準にして、約0.02重量部〜約2重量部であろう。
【0044】
この薬物は、特に肺への吸入が意図されている本発明の配合物において、微粉にされてもよい。微粉化配合物において、これらの微粒子の治療的に有効なフラクション(例えば約90%以上)は、典型的には約10ミクロン未満の直径を有するであろう。これらの微粒子の小さいサイズは、これらの微粒子が気道および/または肺へ確実に吸入されうることが望まれる。本発明の医薬配合物における使用に適した薬物は、吸入による投与に適したあらゆる薬物を包含する。治療カテゴリーは、抗アレルギー剤、鎮痛剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、狭心症製剤、抗生物質、抗炎症剤、ぺプチド、タンパク質、およびステロイドを包含する。特定の薬物は、アルブテロール、アトロピン、ベクロメタゾン、ブデソニド、クロモリン、エピネフリン、エフェドリン、フェンタニル、フルニソリド、フォルモテロール、イプラトロピウムブロミド、イソプロテレノール、ピルブテロール(例えば酢酸ピルブテロール)、プレドニゾロン、サルメテロール、並びにこれらの医薬として許容しうる塩および溶媒和物を包含する。
【0045】
本発明のエアゾール配合物中に含めるのに適した推進薬は、従来のクロロフルオロカーボン(CFC)推進薬、例えば推進薬11、12、および114の混合物を包含する。非CFC推進薬、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタン(プロペラント(Propellant)134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(プロペラント227)、またはこれらの混合物も適切である。推進薬は典型的には、エアゾール缶から薬物の複数の用量を推進させるのに十分な量で存在する。さらなる成分、例えば従来の潤滑剤または界面活性剤、助溶媒(例えばエタノール)などもまた、本発明のエアゾール配合物中に、当業者が容易に決定しうる量で存在しうる。
【0046】
本発明の医薬配合物への使用のための分散助剤は、以下に記載された反応スキームに示されているように調製することができる。この反応スキームは、ヒドロキシ酸由来化合物を示している。ほかの化合物、例えばアミノ酸由来化合物およびメルカプト酸由来化合物は、官能基保護の周知方法および例証された反応の変数における操作を用いて、当業者が調製することができる。さらには、この反応スキームに示されたもの以外の多くの酸由来化合物を、当業者は調製するか、あるいはまた得ることができる。
【0047】
工程(i)は典型的には、ヒドロキシ酸(例えばヒドロキシカルボン酸)を縮合して、生体適合性ポリヒドロキシ酸を提供する工程を含む。縮合は、従来の反応条件下、例えば場合により非プロトン性溶媒中で、典型的には生体適合性ポリヒドロキシ酸を生成するための反応によって生成された水を、蒸留によって除去するのに十分な温度でヒドロキシ酸を加熱することによって実施することができる。ポリマー鎖長は、反応時間および温度を制御することによって、公知方法で制御することができる。
【0048】
工程(ii)において、工程(i)にしたがって製造された生体適合性ポリヒドロキシ酸は典型的には、活性化アシル基、例えば酸無水物、例えば無水酢酸を含有する化合物と反応させることによってオキシ末端のところでキャップされ、生体適合性アシルポリヒドロキシ酸を提供する。生体適合性アシルポリヒドロキシ酸は、医薬組成物の配合物中において有用なあるいくつかの推進薬と適合性があり、かつ多くの場合これの中に可溶である。このアシルポリヒドロキシ酸は、それ以上の仕上げ(elaboration)をともなわずに、分散助剤として用いることができる。しかしながら混合無水物は多くの場合、工程(ii)の間に、アシル化の望ましくない副生物として生成される。この混合無水物は、水の存在下に加水分解することができるが、水の使用は、未反応ヒドロキシ末端基(例えばポリヒドロキシ酸)を含む追加の非アシル化化合物を発生させることがあり、これらのヒドロキシ基の存在は、生体適合性アシルポリヒドロキシ酸、ならびにこのアシルポリヒドロキシ酸を組み込んでいる医薬配合物を不安定化させることがある。本発明は、この混合無水物を加水分解させるための水の添加を避けることによって、望ましくないヒドロキシ官能基の生成およびこれに関連した問題を回避する。
【0049】
したがって工程(iii)は、この混合無水物と、非加水分解方法によって遊離カルボン酸へ転化しうる、保護されたカルボン酸を提供する化合物との反応を包含する。いくつかの実施形態において、適切な保護基は例えば、アルファ位に少なくとも1つの水素を有する3級アルコールを含んでいてもよい。この工程において、1つ以上の適切なアルコールが、アシル化されたポリヒドロキシ酸/混合無水物の混合物へ添加され、アシル化されたポリヒドロキシ酸のエステルを形成する。このエステルは、これが水の不存在下で酸へ化学的に転化されうることを特徴としてもよい。前記エステルの形成への使用に適したアルコールは、アルファ位に少なくとも1つの水素を有する多様な3級アルコールのいずれかを含む。かかるアルコールの特定例は、非限定的に、t−ブタノール、t−ブタノールの誘導体、および前記のものの2つ以上の組合せを包含する。その結果として生じた3級エステルは、イソブチレンまたはイソブチレン誘導体の酸触媒された除去か、または熱分解除去によって、アシルポリヒドロキシ酸へ転化することができる。ほかの求核アルコールは、ベンジルアルコールおよびその誘導体(例えばp−ニトロベンジルアルコール)を包含し、これらは結果として、水素添加、2,2,2−トリクロロエタノールもしくはその誘導体によって、アシルポリヒドロキシ酸へ転化することができるエステルを生じ、これらは結果として、亜鉛との反応もしくは電解、およびアリルアルコールまたはその誘導体によって、アシルポリヒドロキシ酸へ転化することができるエステルを生じ、その結果として、パラジウム触媒されたアリル転移(transfer)によってアシルポリヒドロキシ酸へ転化しうるエステルを生じる。
【0050】
工程(iv)は、求核アルコールとアシル化されたポリヒドロキシ酸との反応からエステル基の切断を与える。エステルを切断して、水の不存在下でこのエステルを酸へ化学的に転化し、これによって相対的に純粋なアシル化されたポリヒドロキシ酸を提供するために、この工程(iv)において、いくつかの反応のいずれを用いてもよい。このエステルの転化に適した方法は、エステルの化学的性質によっており、これらは、水素ガスを用いた接触水素添加、酸触媒作用、適切な時間このエステルの還流温度への加熱、または上記のようなほかの非加水分解方法を包含する。添加された水の不存在下におけるアシル化されたポリヒドロキシ酸を提供することによって、ポリマーの望ましくない加水分解の可能性が最小限にされ、加水分解されたポリマーに沿った望ましくないヒドロキシル基の形成が回避される。このようにして、アシルポリヒドロキシ酸の安定形態が容易に得られ、ポリマーがその中に分散されるか、または溶解される医薬配合物も、向上した安定性を有するであろう。
【0051】
前記方法の例は、生体適合性ポリヒドロキシ酸としてのオリゴ乳酸(OLA)、アシル官能性を与えるための無水酢酸、および工程(iii)の達成に用いられる3級アルコールとしてのt−ブタノールの使用を包含する。工程(i)は、OLAを提供するための乳酸との縮合反応である。したがって工程(ii)は、アセチルOLA、およびアセチルOLAと酢酸との混合無水物を提供するための、OLAと無水酢酸との反応を含む。これは、添加溶媒(例えば酢酸エチル)の存在下に達成されてもよく、またはこの反応は好都合には、「ストレートで」実施されてもよい。工程(iii)においてこの混合無水物は、t−ブタノールと反応させて、アセチルOLAのt−ブチルエステルを提供する。このエステルは、酸触媒作用によって、または加熱(例えば真空下6〜16時間150℃への加熱)のどちらかによって、工程(iv)においてカルボン酸へ(イソブチレンの除去によって)転化される。その結果として生じた反応混合物は、アセチルOLAおよびイソブチレン(これは、この方法の間気化によって除去される)を、残留3級ブタノールおよび3級ブチルアセテート(これはその後の精製の間、蒸発方法によって除去することができる)に加えて含む。上記の反応順序は、以下のように表わすことができる。
【化5】

【0052】
多様な理由、例えばこの方法をより効率的にしたいという希望、成分コストの削減などのいずれによっても、反応スキームへの変更を行なうことができると理解されるであろう。前記方法の1つの変形例において、様々な工程段階において用いられた反応体成分のいくつかに変更が行なわれてもよく、これはさらに、反応条件などの変更も必要とすることがある。例えば、ベンジルアルコールがt−ブタノールの代わりに用いられる時、工程(iv)におけるエステルを、多様な公知の水素添加触媒のいずれかを用いて、水素との反応によってカルボン酸へ転化することが望ましいことがある。同様に、上記反応スキームは、記載されている条件とは異なる条件下、または本明細書に記載された特定の成分とは異なる成分を用いて実施されてもよい。異なるアルコール、異なるポリ酸、および記載された成分の単一または複合誘導体は、当業者によって反応スキーム中で容易に置換され、本発明は、かかる変形例を包含すると考えることができる。
【0053】
アミノ酸残基を、本明細書に記載された生体適合性ポリマー中に組み込むことが望ましいことがある。そうするためには、なおもカルボン酸基を有する工程(iv)のアシルキャップされた生成物は、カルボン酸を活性化し、かつアミノ酸と反応させることによって、転化させることができる。このカルボン酸は、当業者に公知の方法によって、例えばカルボキシ活性化試薬(例えばエチルクロロホルメート、塩化オキサリル、POCl3、SOl2など)との反応によって活性化される(例えば対応酸ハライドへ転化される)。ついでこの酸ハライドを、アミノ酸と反応させ、これによってアミノ酸をポリマー中に組み込むことができる。ほかのカルボキシレート活性化基も用いることができる(例えば、カルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、および当業者に公知のほかのもの)。
【0054】
生体適合性ポリマーの分子量分布は、当業者に公知の方法を用いて調節し、最適化することができる。一般にこの分散助剤は、所望の分布を提供するために、蒸留または沈殿によって分別することができる。例えば低分子量種は、分子蒸留によって容易に除去することができる。乳酸ベースの分散助剤の場合、低分子量種(例えばn=1、2、または3)は、本明細書に記載された反応スキームの工程(ii)に先立って、水での抽出によって除去することができる。
【0055】
本発明の医薬配合物は、(i)複数の治療的有効用量を提供するのに十分な量の薬物;(ii)生体適合性ポリマーまたは分散助剤;(iii)エアゾール缶から複数の用量を推進するのに十分な量の推進薬;および(iv)あらゆるさらなる任意成分を組み合わせる工程;およびこれらの成分を分散する工程によって調製することができる。これらの成分は、従来のミキサーまたはホモジナイザーを用いて、または振とうによって、または超音波エネルギーなどによって分散させることができる。バルク配合物は、バルブからバルブへの移動方法を用いることによって、または従来の冷充填(cold−fill)方法によって、より小さい個々のエアゾールガラス瓶に移し替えることができる。懸濁液エアゾール配合物に用いられた分散助剤が、推進薬中に可溶であることは要求されない。十分に可溶でないものは、適量で薬物微粒子上にコーティングすることができ、これらのコーティングされた微粒子はついで、上記のような配合物中に組み込むことができる。
【0056】
従来のバルブ、好ましくは計量用量バルブを備えたエアゾール缶は、本発明の配合物を送達するために用いることができる。しかしながらエアゾール配合物との使用のために適切なバルブアセンブリーの選択は、特定の分散助剤および用いられるほかのアジュバント(もしあるとすれば)、推進薬、および用いられている特定の薬物による。従来のCFC配合物を送達するために計量用量バルブに用いられている従来のネオプレンおよびブナバルブゴムは、HFA−134aまたはHFA−227を含有する配合物とともに用いられた時、最適なバルブ送達特徴および操作の容易さに達しないことが多い。したがって本発明のあるいくつかの配合物は好ましくは、ダイアフラムがニトリルゴム、例えばDB−218(イリノイ州シラー・パークのアメリカン・ガスケット・アンド・ラバー(American Gasket and Rubber,Shiller Park))またはEPDMゴム、例えばKwonの本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,836,299号明細書に開示されているものからできているバルブアセンブリーを介して、分取される。同様に、熱可塑性エラストマー材料からの押出し、射出成形、または圧縮成形によって製造されたダイアフラム、例えばMareckiの米国特許第5,290,539号明細書に開示されているものも適切である。
【0057】
従来のエアゾール缶、例えばアルミニウム、ガラス、ステンレス鋼、またはポリエチレンテレフタレートの缶を、本発明の医薬配合物を入れるために用いることができる。
【0058】
本発明の医薬配合物は、気管支拡張を提供するため、または吸入による治療を受けやすい症状、例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患を治療するために、経口吸入により気道および/または肺へ送達することができる。本発明の配合物はまた、例えばアレルギー性鼻炎、鼻炎、または糖尿病の治療のために鼻腔吸入によって送達することもできる。またはこれらは、例えば狭心症または局部感染の治療のために、局所(例えば口腔)投与を介して送達することができる。
【実施例】
【0059】
次の非限定的な実施例は、本発明の実施形態を例証するために提供される。すべての部およびパーセンテージは、ほかに示されていなければ重量である。
【0060】
実施例1
オリゴ乳酸を、NMRによって測定された場合所望のオリゴマー化度に達するまで、真空下150℃でD,L−乳酸を加熱することによって調製した。このオリゴ乳酸を、100℃に冷却し、無水酢酸の約1重量当量を添加した。この溶液を100℃で16時間加熱した。過剰な無水酢酸および酢酸を、アセチル化されたオリゴ乳酸からこれらを蒸留することによって除去した。アセチル化オリゴ乳酸(NMRによりn=10.4、76グラム)を、約150mlの酢酸エチル中に溶解し、3つの等アリコートに分割した。各アリコートを窒素でパージし、還流に至るまで加熱した。サンプルを採取し、酢酸エチルを減圧下に除去し、サンプルを、高真空下、約30秒間さらに乾燥した。残渣をCDCl3中に溶解し、NMRによって分析した。いくつかのアセチルピークの存在は明白であり、これを、対照スペクトルまたは標準と比較して同定した。
【0061】
アルコール(t−ブタノール)を、これら3つのアリコートの各々へ、OLAの1.1、5、および10モル当量に等しい量で添加した。還流下の加熱を続行し、サンプルを様々な間隔で採取した。これらのサンプルを上記のように濃縮し、NMRによって分析した。NMRピークを積分(integrate)し、δ=2−7〜2.9間のピーク対2.13におけるピークの面積の比を計算して、(末端−OH基の完全アセチル化と仮定して)混合無水物のモルフラクションの尺度をもたらした。時間に対するこの比のプロットを図1に示す。
【0062】
22時間後、この混合無水物は、t−ブタノールの5および10当量が用いられた時、NMRにより検出可能でなかった。OLAのt−ブチルエステルの形成が、NMRによって観察された。
【0063】
実施例2
アセチルオリゴ乳酸を、実施例1に記載されているように調製した。アセチルオリゴ乳酸(NMRによって測定された場合n=7.9)を、約150mlの酢酸エチル中に溶解し、3つの等しいアリコートに分割した。各アリコートを、窒素でパージし、還流に至るまで加熱した。サンプルを各アリコートから採取し、酢酸エチル溶媒を、減圧下に除去し、サンプルを、高真空下に約30秒間さらに乾燥した。残渣を、CDCl3中に溶解し、実施例1に記載されているようにNMRによって分析した。ベンジルアルコールを、これら3つのアリコートに、OLAの1.1、2、および5モル当量に等しい量で添加した。還流下の加熱を続行し、サンプルを様々な時点で採取し、実施例1に記載されているように濃縮し、NMRによって分析した。これらのピークを積分し、δ=2−7〜2.9間のピーク対2.13におけるピークの面積の比を計算した。この比を、(末端−OH基の完全アセチル化と仮定して)混合無水物のモルフラクションの尺度とみなした。時間に対するこの比のプロットを図2に示す。
【0064】
4時間後、この混合無水物は、ベンジルアルコールの5当量を用いて、NMRにより検出可能でなかった。OLAのベンジルエステルの形成が、NMRで観察された。
【0065】
実施例3
2O中の80%D,L−乳酸(2.0kg、カンザス州レネクサ、ウイルケ・インターナショナル(Wilke International.Lenexa))を、所望のオリゴマー化レベルに達するまで(NMRによって測定された場合n=20.6)、丸底フラスコにおいて150℃で真空下(10〜50mmHg)加熱することによってオリゴマー化した。反応を80℃に冷却し、0.8kgの無水酢酸(ウイスコンシン州ミルウオーキー、アルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company))を添加した。アセチル化反応を、周囲圧力で不活性環境下、4時間続行した。過剰な無水酢酸を、蒸留が停止するまで、真空下90℃で除去した。ついで第三ブタノール(0.5kg、ウイスコンシン州ミルウオーキー、アルドリッチ・ケミカル・カンパニー)を添加し、溶液を90℃で4時間加熱した。過剰なt−ブタノールを、真空下120℃で除去した。生成物を真空下(5〜8mmHg)に維持し、150℃で4時間加熱した。第三ブチルエステルの熱破壊が、生成物のNMR分析によって確認された。
【0066】
本発明は、権限付与的(enabling)説明が有効な実施形態として記載されてはいるが、現在のところ当業者により予測可能でない、本発明の実質的でない修正が、それでもなお本発明の同等物を表わしうると理解されるであろう。かかる予測可能でない修正のすべては、本発明の範囲内にあると考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1に記載されているように、経時的なサンプル中のあるいくつかの成分のモル分率の尺度としての、nmrピークの積分面積の比のプロット。
【図2】実施例2に記載されているように、経時的なサンプル中のあるいくつかの成分のモル分率の尺度としての、nmrピークの積分面積の比のプロット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物の製造方法であって、以下の:
(a)以下の式:
−[O−−R1−−C(O)]n
(式中、
「R1」は、線状、分岐、または環状有機基であり、
「n」は、少なくとも3である)
の生体適合性ポリマーを提供する工程;
(b)前記生体適合性ポリマーをアシル化して、アシル化された生体適合性ポリマーおよび混合無水物を提供する工程;
(c)前記混合無水物と求核剤とを反応させて、水の不存在下で酸へ化学的に転化されうる末端カルボン酸誘導体を有するアシル化された生体適合性ポリマーを提供する工程;
(d)前記末端カルボン酸誘導体を、末端カルボン酸を有するアシル化された生体適合性ポリマーへ転化する工程;および
(e)前記アシル化された生体適合性ポリマーと薬物とを組み合わせて、医薬組成物を提供する工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
1が、1〜約6個の炭素原子の鎖を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1が、ヘテロ原子官能基を含むアルキレンまたはアルケニレンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ヘテロ原子官能基が、カルボニル、オキシ、チオ、懸垂型窒素、および前記のものの2つ以上の組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
1がカルボニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1が、低級アルキルまたは低級アルコキシである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
1が、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニレン、アルキレン、および前記のものの2つ以上の組合せからなる群から選択され、R1が、約1〜約4個の炭素原子を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記生体適合性ポリマーの提供工程が、酸を縮合して生体適合性ポリマーを形成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸が乳酸であり、前記生体適合性ポリマーがオリゴ乳酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記生体適合性ポリマーのアシル化工程が、前記オリゴ乳酸と無水酢酸とを反応させて、アセチルオリゴ乳酸を提供する工程を含み、前記混合無水物と求核剤とを反応させる工程が、前記混合無水物と、ベンジルアルコール、t−ブタノール、ベンジルアルコール誘導体、t−ブタノール誘導体、および前記のものの2つ以上の組合せからなる群から選択される求核剤とを反応させる工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記求核剤が、ベンジルアルコール、t−ブタノール、ベンジルアルコール誘導体、t−ブタノール誘導体、および前記のものの2つ以上の組合せからなる群から選択されるアルコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記薬物が、抗アレルギー剤、鎮痛剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、抗ウイルス剤、鎮咳剤、狭心症製剤、抗生物質、抗炎症剤、免疫調節剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエンアンタゴニスト、ホスホリパーゼA2阻害剤、ホスホジエステラーゼIV阻害剤、ぺプチド、タンパク質、ステロイド、ワクチン製剤、および前記のもののいずれか2つ以上の組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記薬物が、アドレナリン、アルブテロール、アトロピン、ベクロメタゾンジプロピオネート、ブデソニド、ブチキソコートプロピオネート、クレマスチン、クロモリン、エピネフリン、エフェドリン、フェンタニル、フルニソリド、フルチカゾン、フォルモテロール、イプラトロピウムブロミド、イソプロテレノール、リドカイン、モルヒネ、ネドクロミル、ペンタミジンイソエチオネート、ピルブテロール、プレドニゾロン、サルメテロール、テルブタリン、テトラサイクリン、4−アミノ−α,α,2−トリメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、2,5−ジエチル−10−オキソ−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミド[5,4−b][1,4]チアジン、1−(1−エチルプロピル)−1−ヒドロキシ−3−フェニルウレア、並びにこれらの医薬として許容しうる塩および溶媒和物、そして前記のもののいずれか2つ以上の組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記薬物が、ベクロメタゾンジプロピオネート、ブチキソコートプロピオネート、ピルブテロール、4−アミノ−α,α,2−トリメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、2,5−ジエチル−10−オキソ−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミド[5,4−b][1,4]チアジン、1−(1−エチルプロピル)−1−ヒドロキシ−3−フェニルウレア、並びにこれらの医薬として許容しうる塩および溶媒和物、そして前記のもののいずれか2つ以上の組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記薬物が溶液中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記薬物が懸濁液中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記薬物が、約10マイクロメートル未満の直径を有する微粒子を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記医薬組成物が、エアゾールとして投与することができる形態にある、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
医薬組成物の製造方法であって、以下の:
(a)オリゴ乳酸を含む生体適合性ポリマーを提供する工程;
(b)前記生体適合性ポリマーをアシル化して、アシルオリゴ乳酸および混合無水物を提供する工程;
(c)前記混合無水物と3級アルコールとを水の不存在下で反応させて、アシルオリゴ乳酸を含むアシル化された酸へ化学的に転化されうるエステルを提供し、前記アルコールが、アルファ位に少なくとも1つの水素を有する工程;
(d)前記エステルをアシルオリゴ乳酸へ転化する工程;および
(e)前記アシルオリゴ乳酸と薬物とを組み合わせて、医薬組成物を提供する工程
を含む、前記方法。
【請求項20】
前記生体適合性ポリマーをアシル化する工程が、前記オリゴ乳酸と無水酢酸とを反応させて、アセチルオリゴ乳酸を含む前記アシルオリゴ乳酸、およびアセチルオリゴ乳酸と酢酸との混合無水物を含む前記混合無水物を提供する工程を含み、前記混合無水物と求核剤とを反応させる工程が、前記混合無水物と、ベンジルアルコール、t−ブタノール、ベンジルアルコール誘導体、t−ブタノール誘導体、および前記のものの2つ以上の組合せからなる群から選択される求核剤とを反応させる工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記薬物が、抗アレルギー剤、鎮痛剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、抗ウイルス剤、鎮咳剤、狭心症製剤、抗生物質、抗炎症剤、免疫調節剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエンアンタゴニスト、ホスホリパーゼA2阻害剤、ホスホジエステラーゼIV阻害剤、ぺプチド、タンパク質、ステロイド、ワクチン製剤、および前記のもののいずれか2つ以上の組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記薬物が、アドレナリン、アルブテロール、アトロピン、ベクロメタゾンジプロピオネート、ブデソニド、ブチキソコートプロピオネート、クレマスチン、クロモリン、エピネフリン、エフェドリン、フェンタニル、フルニソリド、フルチカゾン、フォルモテロール、イプラトロピウムブロミド、イソプロテレノール、リドカイン、モルヒネ、ネドクロミル、ペンタミジンイソエチオネート、ピルブテロール、プレドニゾロン、サルメテロール、テルブタリン、テトラサイクリン、4−アミノ−α,α,2−トリメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、2,5−ジエチル−10−オキソ−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミド[5,4−b][1,4]チアジン、1−(1−エチルプロピル)−1−ヒドロキシ−3−フェニルウレア、並びにこれらの医薬として許容しうる塩および溶媒和物、そして前記のもののいずれか2つ以上の組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記薬物が、ベクロメタゾンジプロピオネート、ブチキソコートプロピオネート、ピルブテロール、4−アミノ−α,α,2−トリメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、2,5−ジエチル−10−オキソ−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミド[5,4−b][1,4]チアジン、1−(1−エチルプロピル)−1−ヒドロキシ−3−フェニルウレア、並びにこれらの医薬として許容しうる塩および溶媒和物、そして前記のもののいずれか2つ以上の組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記薬物が溶液中にある、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記薬物が懸濁液中にある、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記薬物が、約10マイクロメートル未満の直径を有する微粒子を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記医薬組成物が、エアゾールとして投与することができる形態にある、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
医薬組成物の製造方法であって、以下の:
(a)オリゴ乳酸を含む生体適合性ポリマーを提供する工程;
(b)前記生体適合性ポリマーをアセチル化して、アセチルオリゴ乳酸、およびアセチルオリゴ乳酸と酢酸との混合無水物を提供する工程;
(c)前記混合無水物と3級アルコールとを反応させて、水の不存在下で、アセチルオリゴ乳酸を含む酸へ化学的に転化されうるエステルを提供する工程;
(d)前記エステルをアセチルオリゴ乳酸へ転化する工程;および
(e)前記アセチルオリゴ乳酸と薬物とを組み合わせて、医薬組成物を提供する工程
を含む、前記方法。
【請求項29】
前記混合無水物と3級アルコールとを反応させる工程が、前記混合無水物と、ベンジルアルコール、t−ブタノール、ベンジルアルコール誘導体、t−ブタノール誘導体、および前記のものの2つ以上の組合せからなる群から選択されるアルコールとを反応させる工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記薬物が、抗アレルギー剤、鎮痛剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、抗ウイルス剤、鎮咳剤、狭心症製剤、抗生物質、抗炎症剤、免疫調節剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエンアンタゴニスト、ホスホリパーゼA2阻害剤、ホスホジエステラーゼIV阻害剤、ぺプチド、タンパク質、ステロイド、ワクチン製剤、および前記のもののいずれか2つ以上の組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記薬物が、アドレナリン、アルブテロール、アトロピン、ベクロメタソンジプロピオネート、ブデソニド、ブチキソコートプロピオネート、クレマスチン、クロモリン、エピネフリン、エフェドリン、フェンタニル、フルニソリド、フルチカゾン、フォルモテロール、イプラトロピウムブロミド、イソプロテレノール、リドカイン、モルヒネ、ネドクロミル、ペンタミジンイソエチオネート、ピルブテロール、プレドニゾロン、サルメテロール、テルブタリン、テトラサイクリン、4−アミノ−α,α,2−トリメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、2,5−ジエチル−10−オキソ−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミド[5,4−b][1,4]チアジン、1−(1−エチルプロピル)−1−ヒドロキシ−3−フェニルウレア、並びにこれらの医薬として許容しうる塩および溶媒和物、そして前記のもののいずれか2つ以上の組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記薬物が、ベクロメタゾンジプロピオネート、ブチキソコートプロピオネート、ピルブテロール、4−アミノ−α,α,2−トリメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、2,5−ジエチル−10−オキソ−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミド[5,4−b][1,4]チアジン、1−(1−エチルプロピル)−1−ヒドロキシ−3−フェニルウレア、並びにこれらの医薬として許容しうる塩および溶媒和物、そして前記のもののいずれか2つ以上の組合せからなる群から選択される物質を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記薬物が溶液中にある、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記薬物が懸濁液中にある、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記薬物が、約10マイクロメートル未満の直径を有する微粒子を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記医薬組成物が、エアゾールとして投与することができる形態にある、請求項28に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2007−517032(P2007−517032A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547067(P2006−547067)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/041194
【国際公開番号】WO2005/066238
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】