説明

半導体デバイスの製造方法

【課題】支持基板と半導体層とを分離するために照射される光について、支持基板と半導体層との間に形成される中間層の光熱変換層で吸収されない光が半導体層に透過するのを防止する半導体デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】本半導体デバイスの製造方法は、光熱変換層21と第1の透明層23とを含む中間層20を有する積層支持基板1の作製工程と、積層貼り合わせ基板2の作製工程と、エピ成長用積層支持基板3の作製工程と、デバイス用積層支持基板4の作製工程と、デバイス用積層支持基板4の光熱変換層21で吸収され第1の透明層23で全反射されるように光照射することによるデバイス用積層ウエハ5の作製工程と、透明半導体積層ウエハ6を含む半導体デバイス7の作製工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高品質の半導体デバイスを効率的に製造する半導体デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に少なくとも1層のIII族窒化物系半導体層が形成されたIII族窒化物系半導体デバイスは、青色発光デバイス、電子デバイスなどとして重要な半導体デバイスである。かかる半導体デバイスを製造するための基板としては、発光層となる良質のIII族窒化物系半導体層をエピタキシャル成長させる観点から、格子定数および熱膨張係数がIII族窒化物系半導体層に近似しているGaN基板が好適に用いられる。
【0003】
かかるGaN基板は非常に高価であるため、特開2006−210660号公報(以下、引用文献1という)において、シリコン(Si)基板などのGaN以外の支持基板上に膜厚の小さいGaN層を貼り合わせた基板をおよびその貼り合わせ基板を用いた製造方法が提案されている。
【0004】
また、上記の貼り合わせ基板のGaN層上にIII族窒化物系半導体層をエピタキシャル成長させた後にGaN層から支持基板を分離して上記の半導体デバイスを効率的に製造するのに有用な方法として、特表2001−501778号公報(以下、引用文献2という)において、III族窒化物材料からなる一方の材料層とIII族窒化物材料以外の材料からなる他方の材料層との界面またはその界面付近の領域に露光させた電磁放射線(たとえば光)を吸収させ、その吸収によりその界面でいずれかの材料層の一部を分解させて、一方の材料層と他方の材料層とを分離する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−210660号公報
【特許文献2】特表2001−501778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特開2006−210660号公報(引用文献1)で提案された上記貼り合わせ基板を用いても、GaN以外の支持基板とGaN層とは、熱膨張係数が異なるため、その貼り合わせ基板のGaN層上に良質のIII族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させることは困難であった。
【0007】
上記の特表2001−501778号公報(引用文献2)で提案された方法では、一方の材料層と他方の材料層は必ず異なる必要があり,熱膨張係数の違いによる上記の困難は解決されない。また、露光させた電磁放射線(光)が、後にデバイスとなる半導体層の界面を分解するため、デバイス性能の劣化を引き起こすおそれがある。
【0008】
そこで、下地基板と半導体層(GaN層およびその上にエピタキシャル成長されたIII族窒化物半導体層)との界面に中間層を導入し、中間層内部に支持基板および半導体層においては吸収されない波長の光を吸収しうる材料を配置した基板を考える。このとき、特に下地基板として半導体層と熱膨張係数の一致した基板(たとえばGaN基板)を用いることで、良質のIII族窒化物半導体層を成長させられる。また、中間層内部でのみ吸収され支持基板および半導体層には吸収されない波長の光を用いて、中間層に隣接する支持基板および半導体層のいずれかの少なくとも一部を分解することで、半導体層から支持基板を分離することができる。
【0009】
上記のような場合、照射した光が上記中間層内で完全に吸収されずに、支持基板と半導体層との界面以外の領域においても吸収されて不要な熱に変換され、デバイス性能に悪影響を与えるおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は、支持基板と半導体層とを分離するために照射される光について、支持基板と半導体層との間に形成される中間層の光熱変換層で吸収されずに中間層外に透過する率を低減する半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかる半導体デバイスの製造方法は、以下の工程を備える。すなわち、Ga含有透明支持基板上に光熱変換層と光熱変換層のGa含有透明支持基板と反対側に接触して配置されている第1の透明層とを含む中間層を形成して積層支持基板を作製する工程を備える。また、積層支持基板の中間層にGaN基板を貼り合わせて積層貼り合わせ基板を作製する工程を備える。また、積層貼り合わせ基板のGaN基板を、中間層との貼り合わせ面から所定の深さの面において分離することにより、積層支持基板の中間層上にGaN層が形成されたエピ成長用積層支持基板を作製する工程を備える。また、エピ成長用積層支持基板のGaN層上に少なくとも1層の透明半導体層をエピタキシャル成長させることにより、デバイス用積層支持基板を作製する工程を備える。また、デバイス用積層支持基板に、Ga含有透明支持基板およびGaN層および透明半導体層のバンドギャップエネルギーのなかで最も低いバンドギャップエネルギーに対応する波長よりも長い波長でかつ光熱変換層が吸収しうる波長の光を、第1の透明層で全反射するように照射して、Ga含有透明支持基板と中間層とを分離することにより、透明半導体層とGaN層と中間層とを含むデバイス用積層ウエハを作製する工程を備える。また、デバイス用積層ウエハから中間層を除去して透明半導体層とGaN層とを含む透明半導体層積層ウエハを含む半導体デバイスを作製する工程を備える。かかる方法によれば、デバイス用積層支持基板に照射される光について、支持基板と半導体層との間に形成される中間層の光熱変換層で吸収されない光を中間層の第1の透明層で全反射させることにより、中間層の光熱変換層で吸収されない光が半導体層などに透過するのを防止して、高品質の半導体層を有する高品質の半導体デバイスを製造することができる。
【0012】
本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、第1の透明層は、Ga含有透明支持基板よりも屈折率の低い材料で形成され、かつ、デバイス用積層支持基板に照射される光の真空中における波長λ0、第1の透明層の屈折率n1を用いて、第1の透明層の厚さd1が、d1>0.5×λ0/n1の関係を満たすことができる。これにより、デバイス用積層支持基板に照射される光において中間層の光熱変換層で吸収されない光は、中間層の第1の透明層で確実に全反射され、GaN層側に全反射光のエバネッセント成分が到達するのを防ぐことができる。
【0013】
また、本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、第1の透明層で全反射するように、デバイス用積層支持基板に光を照射するための手段として、光伝播角変換装置を用いることができる。これにより、中間層の第1の透明層よりも低い屈折率をもつ媒質(たとえば空気)から、デバイス用積層支持基板のような平板積層構造に光を入射しても,中間層の第1の透明層で全反射させられるように光を照射することができる。透明半導体層上などにはしばしば電極などの光吸収性をもつ層が形成されており、これらの層へ光が照射されることで不要な発熱を生じ,半導体層の品質が劣化してしまうことを防ぐことができる。
【0014】
また、本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、光伝播角変換装置は、第1の透明層よりも屈折率が高い材料で形成されているプリズムとすることができる。これにより、第1の透明層よりも高い屈折率を有するプリズムから自由な角度で光を入射させられるので,光学原理的に全反射可能な条件で光を照射できる。
【0015】
また、本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、デバイス用積層支持基板に照射される光のGa含有透明支持基板内における伝播角θSが、Ga含有透明支持基板の屈折率nS、第1の透明層の屈折率n1およびプリズムの屈折率nPを用いて、sin-1(n1/nS)<θS<sin-1(nP/nS)の関係を満たすことができる。かかる関係を満たすようにプリズムの形状を設計することにより、デバイス用積層支持基板に照射される光において中間層の光熱変換層で吸収されない光を中間層の第1の透明層で確実に全反射させることができる。
【0016】
また、本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、中間層は、中間層の光熱変換層とGa含有透明支持基板との間でかつ光熱変換層に接触して配置される第2の透明層をさらに含み、デバイス用積層支持基板に照射される光の真空中における波長λ0、第2の透明層の屈折率n2を用いて、第2の透明層の厚さd2が、d2<0.25λ0×n2の関係を満たすことができる。これにより、たとえ第2の透明層の屈折率n2がGa含有支持基板の屈折率nsより小さく、デバイス用積層支持基板に照射される光についての第2の透明層とGa含有支持基板との界面への入射が全反射条件を満たすとしても、光熱変換層へはデバイス用積層支持基板に照射される光のエバネッセント成分が十分な強度を保った状態で到達することができる。その結果、光熱変換層は光を吸収して基板分離に必要な熱を発することができる。
【0017】
また、本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、デバイス用積層支持基板を作製する工程の後、かつ、デバイス用積層ウエハを作製する工程の前に、デバイス用積層支持基板の透明半導体層側に電極を形成する工程をさらに備え、電極は、デバイス用積層支持基板に照射される光を吸収する材料で形成することができる。かかる方法によれば、デバイス用積層支持基板に照射される光について、支持基板と半導体層との間に形成される中間層の光熱変換層で吸収されない光は中間層の第1の透明層で全反射され、中間層の光熱変換層で吸収されない光が半導体層に透過するのが防止されるため、電極に吸収されて熱を発生することが防止されることにより、透明半導体層およびGaN層にダメージが発生するのが防止され、高品質の半導体層を有する高品質の半導体デバイスが得られる。
【0018】
また、本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、デバイス用積層支持基板を作製する工程の後、かつ、デバイス用積層ウエハを作製する工程の前に、デバイス用積層支持基板の透明半導体層側に接着剤および接着層のいずれかを形成する工程をさらに備え、接着剤および接着層のいずれかは、デバイス用積層支持基板に照射される光を吸収する材料で形成することができる。かかる方法によれば、デバイス用積層支持基板に照射される光について、支持基板と半導体層との間に形成される中間層の光熱変換層で吸収されない光は中間層の第1の透明層で全反射され、中間層の光熱変換層で吸収されない光が半導体層に透過するのが防止されるため、接着剤および接着層のいずれかに吸収されて熱を発生することが防止されることにより、透明半導体層およびGaN層にダメージが発生するのが防止され、高品質の半導体層を有する高品質の半導体デバイスが得られる。
【0019】
また、本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、デバイス用積層支持基板を作製する工程の後、かつ、デバイス用積層ウエハを作製する工程の前に、デバイス用積層支持基板の透明半導体層側に仮支持基板および透明半導体層積層ウエハ支持基板のいずれかを配置する工程をさらに備え、仮支持基板および透明半導体層積層ウエハ支持基板のいずれかは、デバイス用積層支持基板に照射される光を吸収する材料で形成することができる。かかる方法によれば、デバイス用積層支持基板に照射される光について、支持基板と半導体層との間に形成される中間層の光熱変換層で吸収されない光は中間層の第1の透明層で全反射され、中間層の光熱変換層で吸収されない光が半導体層に透過するのが防止されるため、仮支持基板および透明半導体層積層ウエハ支持基板のいずれかに吸収されて熱を発生することが防止されることにより、透明半導体層およびGaN層にダメージが発生するのが防止され、高品質の半導体層を有する高品質の半導体デバイスが得られる。
【0020】
また、本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、光を吸収するとは、デバイス用積層支持基板に照射される光の波長における光吸収係数が1×103cm-1以上であることを意味する。これにより、光熱変換層で光エネルギーを熱エネルギーに変換することにより、デバイス用支持基板をGa含有透明支持基板と中間層との間で分離することができる。
【0021】
また、本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、デバイス用積層支持基板に照射される光を、波長500nm以上600nm未満の光とすることができる。これにより、Ga含有透明支持基板、GaN層および透明半導体層にダメージを与えることなく、Ga含有透明支持基板と中間層とを分離できる。
【0022】
また、本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、デバイス用積層支持基板に光を照射してGa含有透明支持基板と中間層とを分離する際に、Ga含有透明支持基板からGa含有透明支持基板と中間層との界面に金属Gaが析出する。この析出した金属Ga層を利用することで、容易にGa含有透明支持基板と中間層とを分離することができる。
【0023】
また、本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、中間層の光熱変換層は、アモルファスシリコン層とすることができる。アモルファスシリコン層は、波長500nm以上600nm未満の光に対する光吸収係数が1×103cm-1以上でかつ融点が1200℃以上であるため、光熱変換層として好適である。
【0024】
また、本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、中間層の第1の透明層および第2の透明層は、それぞれ独立に酸化シリコン層もしくは窒化シリコン層とすることができる。酸化シリコン層および窒化シリコン層は、屈折率がそれぞれ約1.48、約2.0と低いため、低屈折率層として好適である。また、酸化シリコン層および窒化シリコン層は、いずれも波長500nm以上600nm未満の光に対する光吸収係数が1×103cm-1未満でかつ融点が1200℃以上であるため、第1および第2の透明層として好適である。
【0025】
また、本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、透明半導体層は、III族窒化物半導体層とすることができる。III族窒化物半導体層は波長500nm以上600nm未満の光に対する光吸収係数が1×103cm-1未満であるため、照射光によるダメージを受けることなく、高品質の半導体デバイスが得られる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、支持基板と半導体層とを分離するために照射される光について、支持基板と半導体層との間に形成される中間層の光熱変換層で吸収されない光を中間層で全反射することにより、中間層の光熱変換層で吸収されない光が半導体層に透過するのを防止する半導体デバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明にかかる半導体デバイスの製造方法の一例を示す概略断面図である。ここで、(A)は積層支持基板の作製工程を示し、(B)は積層貼り合わせ基板の作製工程を示し、(C)はエピ成長用積層支持基板の作製工程を示し、(D)はデバイス用積層支持基板の作製工程を示し、(E)および(F)はデバイス用積層ウエハの作製工程を示し、(G)およびは(H)は半導体デバイスの作製工程を示す。
【図2】本発明にかかる半導体デバイスの製造方法の他の例を示す概略断面図である。ここで、(A)は二電極付のデバイス用積層支持基板の作製工程を示し、(B)および(C)は二電極付のデバイス用積層ウエハの作製工程を示し、(D)は二電極付の透明半導体層積層ウエハの作製工程を示し、(E)および(F)は半導体デバイスの作製工程を示す。
【図3】本発明にかかる半導体デバイスの製造方法のさらに他の例を示す概略断面図である。ここで、(A)は一電極付のデバイス用積層支持基板の作製工程を示し、(B)は一電極付のデバイス用積層支持基板への透明半導体層積層ウエハ支持基板の貼り合わせ工程を示し、(C)および(D)は一電極かつ支持基板付のデバイス用積層ウエハの作製工程を示し、(E)は一電極かつ支持基板付の透明半導体層積層ウエハの作製工程を示し、(F)は半導体デバイスの作製工程を示す。
【図4】本発明にかかる半導体デバイスの製造方法のさらに他の例を示す概略断面図である。ここで、(A)はデバイス用積層支持基板への透明半導体層積層ウエハ支持基板の貼り合わせ工程を示し、(B)および(C)は支持基板付のデバイス用積層ウエハの作製工程を示し、(D)は支持基板付の透明半導体層積層ウエハの作製工程を示し、(E)は半導体デバイスの作製工程を示す。
【図5】本発明の参考とされる半導体デバイスの製造方法におけるデバイス用積層支持基板への光照射の一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明にかかる半導体デバイスの製造方法におけるデバイス用積層支持基板への光照射の一例を示す概略断面図である。
【図7】図6に示すデバイス用積層支持基板への光照射において、照射光のGa含有透明支持基板内における伝播角θSと、中間層における透過率T、反射率Rおよび吸収率Aとの関係を示すグラフである。
【図8】本発明にかかる半導体デバイスの製造方法において、デバイス用積層支持基板への光照射方法の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1〜図4を参照して、本発明のある実施形態である半導体デバイスの製造方法は、Ga含有透明支持基板10上に、光熱変換層21と光熱変換層21のGa含有透明支持基板10と反対側に接触して配置されている第1の透明層23aとを含む中間層20aを形成して、積層支持基板1を作製する工程を備える(図1(A))。また、積層支持基板1の中間層20aにGaN基板30を貼り合わせて、積層貼り合わせ基板2を作製する工程を備える(図1(B))。また、積層貼り合わせ基板2のGaN基板30を、中間層20との貼り合わせ面から所定の深さの面Pにおいて分離することにより、積層支持基板1の中間層20上にGaN層30aが形成されたエピ成長用積層支持基板3を作製する工程を備える(図1(C))。また、エピ成長用積層支持基板3のGaN層30a上に少なくとも1層の透明半導体層40をエピタキシャル成長させることにより、デバイス用積層支持基板4を作製する工程を備える(図1(D)、図2(A)、図3(A)および(B)、ならびに図4(A))。また、デバイス用積層支持基板4に、Ga含有透明支持基板10およびGaN層30aおよび透明半導体層40のバンドギャップエネルギーのなかで最も低いバンドギャップエネルギーに対応する波長よりも長い波長でかつ光熱変換層21が吸収しうる波長の光Lを、第1の透明層23で全反射するように照射して、Ga含有透明支持基板10と中間層20とを分離することにより、透明半導体層40とGaN層30aと中間層20とを含むデバイス用積層ウエハ5を作製する工程を備える(図1(E)および(F)、図2(B)および(C)、図3(C)および(D)、ならびに図4(B)および(C))。また、デバイス用積層ウエハ5から中間層20を除去して透明半導体層40とGaN層30aとを含む透明半導体層積層ウエハ6を含む半導体デバイス7を作製する工程を備える(図1(G)および(H)、図2(D)〜(F)、図3(E)および(F)、ならびに図4(D)および(E))。
【0029】
本実施形態の半導体デバイスの製造方法は、上記の工程を備えることにより、デバイス用積層支持基板4に照射される光について、Ga含有透明支持基板10とGaN層30aおよび透明半導体層40との間に形成される中間層20の光熱変換層21で吸収されない光を中間層20の第1の透明層23で全反射させることにより、中間層20の光熱変換層21で吸収されない光がGaN層30aおよび透明半導体層40に透過するのを防止して、高品質のGaN層30aおよび透明半導体層40を有する高品質の半導体デバイス7を製造することができる。
【0030】
(積層支持基板の作製工程)
図1(A)を参照して、積層支持基板1の作製工程は、Ga含有透明支持基板10上に、光熱変換層21と光熱変換層21のGa含有透明支持基板10と反対側に接触して配置されている第1の透明層23aとを含む中間層20aを形成することにより行われる。
【0031】
Ga含有透明支持基板10上に中間層20aを形成する方法は、特に制限はなく、プラズマCVD(化学気相堆積)法、スパッタ法、真空蒸着法などが用いられる。
【0032】
本工程により得られる積層支持基板1は、本基板に照射される光が光熱変換層21に吸収されることにより、光熱変換層21を含む中間層20aは熱が蓄えられて高温となり、この熱によりGa含有透明支持基板10の中間層20aに接する面が分解されて、中間層20aとGa含有透明支持基板10とに分離することができる。
【0033】
中間層20aは、上記光熱変換層21を含むため、上記のように高温となる。また、透明半導体層40をエピタキシャル成長させる際に、800℃以上、場合によっては1100℃付近の高温に曝される。これらの理由から、光熱変換層21を含む中間層20aは高い耐熱性を有することが好ましく、たとえば1200℃以上の融点を有することが好ましい。
【0034】
また、中間層20aは、上記の光熱変換層21に加えて、上記光熱変換層21のGa含有透明支持基板10と反対側に接触して配置されている第1の透明層23と含む。本実施形態の半導体デバイスの製造方法においては、本基板に照射される光を光熱変換層21に吸収させて光熱変換層21を含む中間層20aに熱を蓄えて高温とすることにより、Ga含有透明支持基板10の中間層20aに接する面を分解させて、中間層20aとGa含有透明支持基板10とに分離するとともに、本基板に照射される光のうち光熱変換層21に吸収されない光を中間層の第1の透明層で全反射させることを特徴とする。
【0035】
さらに、中間層は、上記の光熱変換層21および第1の透明層23aに加えて、第2の透明層25を含むことができる。
【0036】
たとえば、中間層20aは、Ga含有透明支持基板10側から順に、第2の透明層25、光熱変換層21、および第1の透明層23aを含む。なお、第1の透明層23aは、後工程(図1(B))においてGaN基板30と貼り合わされて、第1の透明層23としてGaN基板30と光熱変換層21との間にかつ光熱変換層21に接触して位置することになる。
【0037】
ここで、第1の透明層23a,23および第2の透明層25は、波長500nm以上600nm未満の光に対する光吸収係数が1×103cm-1以上未満であることが好ましく、たとえば、酸化シリコン層もしくは窒化シリコン層のいずれかであることが好ましい。光熱変換層21は、波長500nm以上600nm未満の光に対する光吸収係数が1×103cm-1以上であることが好ましく、たとえば、アモルファスシリコン層であることが好ましい。
【0038】
Ga含有透明支持基板10は、波長500nm以上600nm未満の光に対する光吸収係数が1×103cm-1以上未満であることが好ましく、たとえば、GaN支持基板であることが好ましい。
【0039】
(積層貼り合わせ基板の作製工程)
図1(B)を参照して、積層貼り合わせ基板2の作製工程は、積層支持基板1の中間層20aにGaN基板30を貼り合わせることにより行われる。ここで、積層支持基板1の中間層20aにGaN基板30を貼り合わせる方法には、特に制限はなく、貼り合わせる面の表面を洗浄して直接貼り合わせ、その後700℃〜1000℃に昇温して接合する直接接合法、金属膜を形成し、接触させつつ昇温することで金属膜の金属を合金化させることにより接合する合金接合法、プラズマやイオンなどで貼り合わせ面を活性化させ接合する表面活性化法、などが好ましく用いられる。
【0040】
また、GaN基板30の貼り合わせ面には、光Lの照射時に光熱変換層からGaN基板30に伝わる熱を低減するとともに接合強度を高める観点から、積層支持基板1の中間層20aの最外層と化学的に同じ材質の層が形成されていることが好ましい。たとえば、積層支持基板1の中間層20aの最外層が第1の透明層23aである場合には、かかる第1の透明層23aと化学的に同一の材質の層である第1の透明層23bがGaN基板30の貼り合わせ面に形成されていることが好ましい。GaN基板30の第1の透明層23bを、積層支持基板1の中間層20aの第1の透明層23aに貼り合わせることにより、光熱変換層21とGaN基板30との間にかつ光熱変換層21に接触して第1の透明層23が形成される。こうして、光熱変換層21と、光熱変換層21とGaN基板30との間にかつ光熱変換層21に接触して配置される第1の透明層23と、光熱変換層21とGa含有透明支持基板10との間にかつ光熱変換層21に接触して配置される第2の透明層25と、を含む中間層20が形成される。
【0041】
(エピ成長用積層支持基板の作製工程)
図1(C)を参照して、エピ成長用積層支持基板3の作製工程は、積層貼り合わせ基板2のGaN基板30を、中間層20との貼り合わせ面から所定の深さの面Pにおいて分離することにより行われる。かかる工程により、積層支持基板1の中間層20上にGaN層30aが形成されたエピ成長用積層支持基板3が得られる。
【0042】
GaN基板30を中間層20との貼り合わせ面から所定の深さの面Pにおいて分離する方法には、特に制限はなく、GaN基板30を上記の面Pにおいて切断する方法や、積層支持基板1に脆弱領域を形成させるため、積層支持基板1に貼り合わせる前に上記面Pにイオンを注入したGaN基板30を積層支持基板1に貼り合わせた後、熱および/または応力を加えることにより、イオン注入により脆化された面Pにおいて分離する方法、などが用いられる。かかる方法により、積層支持基板1の中間層20上に厚さ0.05μm〜100μmのGaN層30aを形成することができる。
【0043】
ここで、Ga含有透明支持基板10は、エピタキシャル成長やアニール処理時においてGaN層30aにクラックなどを発生させない観点から、その熱膨張係数がGaN層30aの熱膨張係数と同一または近似していることが好ましく、GaN層30aの主表面の面方位と同一の面方位の主表面を有するGaN支持基板であることが特に好ましい。
【0044】
(デバイス用積層支持基板の作製工程)
図1(D)を参照して、デバイス用積層支持基板4の作製工程は、エピ成長用積層支持基板3のGaN層30a上に少なくとも1層の透明半導体層40をエピタキシャル成長させることにより行われる。
【0045】
ここで、熱膨張係数がGaN層30aの熱膨張係数と同一または近似するGaN含有透明支持基板10を用いることにより、エピタキシャル成長やアニール処理時においてクラックなどを発生させることなく、高品質の少なくとも1層の透明半導体層40を形成することができる。かかる観点から、Ga含有透明支持基板10は、たとえばGaN層30aの主表面の面方位と同一の面方位の主表面を有するGaN支持基板であることが好ましい。
【0046】
エピ成長用積層支持基板3のGaN層30a上に少なくとも1層の透明半導体層40をエピタキシャル成長させる方法には、特に制限はないが、高品質の透明半導体層を成長させる観点から、MOCVD(有機金属化学気相堆積)法、MBE(分子線エピタキシ)法、HVPE(ハイドライド気相成長)法などの気相法などが好ましく用いられる。
【0047】
エピ成長用積層支持基板3上にエピタキシャル成長させる少なくとも1層の透明半導体層40は、クラックなどを発生させることなく高品質の透明半導体層40を成長させる観点から、GaN層30aと格子定数が同一または近似しており、また、GaN層30aおよびGa含有透明支持基板10と熱膨張係数が同一または近似していることが好ましい。また、透明半導体層40は、波長500nm以上600nm未満の光に対する光吸収係数が1×103cm-1未満であることが好ましい。また、中間層を透過した照射光を吸収しないという観点から、透明半導体層40は、デバイス用積層支持基板4に照射される光よりも短波長でかつ波長300nm以上550nm以下のピーク波長を有する光を放出する発光層45を含むことが好ましい。これらの観点から、透明半導体層40は、たとえば、III族窒化物半導体層であることが好ましい。
【0048】
(デバイス用積層ウエハの作製工程)
図1(E)および(F)、図2(B)および(C)、図3(C)および(D)、ならびに図4(B)および(C)を参照して、デバイス用積層ウエハ5の作製工程は、デバイス用積層支持基板4に、Ga含有透明支持基板10およびGaN層30aおよび透明半導体層40のバンドギャップエネルギーのなかで最も低いバンドギャップエネルギーに対応する波長よりも長い波長でかつ光熱変換層が吸収しうる波長の光Lを、第1の透明層23で全反射するように照射して、Ga含有透明支持基板10と中間層20とを分離することにより行われる。かかる工程により、透明半導体層40とGaN層30aと中間層20とを含むデバイス用積層ウエハ5が得られる。ここで、図1(E)、図2(B)、図3(C)、および図4(B)に示すように、光Lは、デバイス用積層支持基板4のGa含有透明支持基板10側から照射される。
【0049】
本工程において、デバイス用積層支持基板4に照射された光は、中間層20の光熱変換層21で吸収され熱に変換される。この熱により、Ga含有透明支持基板10の中間層20に接する面が分解されて、デバイス用積層支持基板4はGa含有透明支持基板10と中間層20との間で分離される。こうして、透明半導体層40とGaN層30aと中間層20とを含むデバイス用積層ウエハ5が得られる。
【0050】
ここで、図5を参照して、本工程において、Ga含有透明支持基板10、第2の透明層25、光熱変換層21および第1の透明層23を含む中間層20、ならびにGaN層30aがこの順に形成されたデバイス用積層支持基板4に、Ga含有透明支持基板10側から光Lを照射すると、光Lの大部分は光熱変換層21で吸収されるが、光熱変換層21で吸収されなかった光は、第1の透明層23で反射されない限り、透明半導体層40に透過する。このとき、透明半導体層40に電極(p−電極80)、接着剤51および接着層のいずれか、仮支持基板50および透明半導体層積層ウエハ支持基板のいずれかなどが形成され、これらが光Lを吸収する材料で形成されている場合には、電極(p−電極80)、接着剤51および接着層のいずれか、仮支持基板50および透明半導体層積層ウエハ支持基板のいずれかなどの光吸収により発生する熱により、透明半導体層40およびGaN層30aがダメージを受けて、半導体デバイス7の品質および特性が低下するおそれがある。
【0051】
これに対して、図6を参照して、本工程においては、上記波長の光を、Ga含有透明支持基板10側から中間層20の光熱変換層21を通過して第1の透明層23で全反射するように、すなわち、デバイス用積層支持基板4に照射された光Lのうち光熱変換層21に吸収されなかった光が第1の透明層23で全反射するように、デバイス用積層支持基板4に照射する。このため、中間層の光熱変換層で吸収されない光が透明半導体層40、電極(p−電極80)、接着剤51および接着層のいずれか、仮支持基板50および透明半導体層積層ウエハ支持基板のいずれかなどに透過するのを防止して、高品質の透明半導体層40およびGaN層30aを有する高品質で高特性の半導体デバイス7を製造することができる。
【0052】
ここで、第1の透明層23で全反射するように光を照射するための照射光のGa含有透明支持基板10内における伝播角θSは、中間層20の構造によって異なるが、たとえば、以下のようにして算出される。なお、照射光の各基板内または各層内における伝播角は、各層の主面の法線方向と各層における照射光の進行方向とのなす角と定義される。
【0053】
図6を参照して、Ga含有透明支持基板10である厚さ400μmのGaN支持基板に接して、中間層20としての厚さ10nmのSiO2層(第2の透明層25)、厚さ60nmのアモルファスシリコン層(光熱変換層21)および厚さ325nmのSiO2層(第1の透明層23)がこの順に配置され、さらにGaN層30aとしての厚さ200nmのGaN層、および透明半導体層40として厚さ3000nmのGaN層が配置されているデバイス用積層支持基板4を考える。
【0054】
上記デバイス用積層支持基板4において、上記のGa含有透明支持基板10、GaN層30aおよび透明半導体層40を形成するGaNの屈折率は2.5で消衰係数は0である。上記の第1の透明層23および第2の透明層25を形成するSiO2の屈折率は1.48であり消衰係数は0である。上記の光熱変換層21を形成するアモルファスシリコンの屈折率は4.0で消衰係数は0.25である。ここで、消衰係数κと光吸収係数αとの間には、その光の真空中における波長λ0を用いて以下の式(i)
α=4πκ/λ0 (i)
の関係がある。上記のデバイス用積層支持基板の層構造ならびに各層の材質、厚さ、屈折率および光吸収係数を表1にまとめる。
【0055】
【表1】

【0056】
図7に、上記デバイス用積層支持基板4のGaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)側から光Lを照射するときの照射光のGa含有透明支持基板内における伝播角θSと、照射光の中間層20における吸収率A(主に光熱変換層21における吸収率)、反射率R(主に第1の透明層23の反射率)および透過率Tとの関係を示す。ここで、吸収率A、反射率Rおよび透過率Tとの間には、以下の式(ii)
A+R+T=1 (ii)
の関係がある。
【0057】
図7を参照して、上記の構造を有するデバイス用積層支持基板4については、照射光のGa含有透明支持基板基板内における伝播角θSが40°以上になると、照射光の中間層における透過率Tが0であり、このT=0を上記の式(ii)に代入するとR=1−Aとなり、このことは、照射光のうち中間層20(特に光熱変換層21)で吸収されない光が全反射されていることを意味する。ここで、デバイス用積層支持基板4の中間層20とGa含有透明支持基板10とを効率的に分離する観点から、照射光の中間層20(特に光熱変換層21)における吸収率Aは大きいことが好ましい。したがって、上記の構造を有するデバイス用積層支持基板4においては、照射光のGa含有透明支持基板内における伝播角θSが40°または40°より大きな近傍の角であることが好ましい。
【0058】
さらに、本工程において、デバイス用積層支持基板4に照射された光Lのうち光熱変換層21に吸収されない光を第1の透明層23で確実に全反射させるために、以下の条件を満たすことが好ましい。
【0059】
(I)光伝播角変換装置の使用
図1(E)、図2(B)、図3(C)、図4(B)、および図6を参照して、照射光が中間層の第1の透明層で全反射するのに適した照射光のGa含有透明支持基板内における伝播角θSになるように、デバイス用積層支持基板のGa含有透明支持基板側に光Lを照射するために、光伝播角変換装置150を用いることが好ましい。かかる光伝播角変換装置150は、特に制限はないが、光伝播角を容易に変換する観点から、プリズム、グレーティングが好ましい。
【0060】
光伝播角変換装置150がプリズムである場合は、そのプリズムは、第1の透明層23より屈折率が高い材料で形成されていることが好ましい。ここで、プリズム(光伝播角変換装置150)の屈折率nP、照射光のプリズム内における伝播角θP、第1の透明層23の屈折率n1、照射光の第1の透明層23内における伝播角θ1とは、スネルの法則により、以下の式(iii)
PsinθP=n1sinθ1 (iii)
の関係がある。ここで、照射光は第1の透明層23で全反射することから、その臨界値はθ1=90°からsinθ1=1であり、これを上記の式(iii)に代入して、
PsinθP=n1 (iv)
さらに、0<sinθP<1を上記の式(iv)に代入すると、
P>n1 (v)
上記の式(v)は、プリズム(光伝播角変換装置150)の屈折率nPは第1の透明層の屈折率n1より高いことを示す。
【0061】
また、中間層に入射する光を第1の透明層で確実に全反射させる観点から、上記の照射光のGa含有透明支持基板10内における伝播角θSは、Ga含有透明支持基板の屈折率nS、第1の透明層の屈折率n1およびプリズムの屈折率nPを用いて、以下の式(vi)
sin-1(n1/nS)<θS<sin-1(nP/nS) (vi)
の関係を満たすことが好ましい。式(vi)の左辺の不等式は、中間層に入射した光が第1の透明層で全反射されるための条件である。式(vi)の右辺の不等式は、プリズム中を伝播した光がGa含有透明支持基板に入射する状態であれば自動的に満たされる条件である。
【0062】
したがって、上記の式(vi)によって、照射光のGa含有透明支持基板10内における伝播角θSが決まれば、照射光のプリズム(光伝播角変換装置150)内における伝播角θPは、Ga含有透明支持基板10の屈折率nSおよびプリズム(光伝播角変換装置150)の屈折率nPを用いて、スネルの法則である以下の式(vii)
θP=sin-1(nSsinθS/nP) (vii)
により算出できる。
【0063】
たとえば、Ga含有透明支持基板10をGaN支持基板(nS=2.5)とし、第1の透明層をSiO2層(n1=1.48)とし、プリズム(光伝播角変換装置150)をnP=2.0の高屈折率ガラスとすると、上記の式(vi)から、36.9°<θS<53.1°が得られる。ここで、上記の式(vii)において、θS=40.0°とすると、θP=53.5°と決定することができる。
【0064】
(II)第1の透明層の最適化
第1の透明層23は、Ga含有透明支持基板10よりも屈折率の低い材料で形成されていることが好ましい。ここで、Ga含有透明支持基板10の屈折率nS、照射光のGa含有透明支持基板10内における伝播角θS、第1の透明層23の屈折率n1、照射光の第1の透明層23内における伝播角θ1とは、スネルの法則により、以下の式(viii)
SsinθS=n1sinθ1 (viii)
の関係がある。ここで、照射光は第1の透明層23で全反射することから、その臨界値はθ1=90°からsinθ1=1であり、これを上記の式(viii)に代入して、
SsinθS=n1 (ix)
さらに、0<sinθS<1を上記の式(ix)に代入すると、
S>n1 (x)
上記の式(x)は、第1の透明層の屈折率n1はGa含有透明支持基板の屈折率nSより低いことを示す。
【0065】
また、照射光のエバネッセント波が中間層20を越えて透明半導体層40に結合しないようにする観点から、第1の透明層23の厚さd1は、照射光の真空中における波長λ0、第1の透明層の屈折率n1を用いて、以下の式(xi)
1>0.5×λ0/n1 (xi)
の関係を満たすことが好ましい。
【0066】
(III)第2の透明層の最適化
照射光が第2の透明層25を透過して光熱変換層21で十分吸収させる観点から、第2の透明層25の厚さd2は、照射光の真空中における波長λ0、第2の透明層の屈折率n2を用いて、以下の式(xii)
2<0.25×λ0/n2 (xii)
の関係を満たすことが好ましい。
【0067】
上記のように、本工程においては、中間層の光熱変換層で吸収されない光は第1の透明層23で全反射されて透明半導体層40に透過するのが防止される。しかし、仮に、中間層の光熱変換層で吸収されない光が透明半導体層40に透過しても、デバイス用積層支持基板4に照射される光の光子1個あたりのエネルギーは、Ga含有透明支持基板10、GaN層30aおよび透明半導体層40のバンドギャップエネルギーのなかで最も低いバンドギャップエネルギーよりも低いため、中間層の光熱変換層で吸収されない光が、Ga含有透明支持基板10、GaN層30aおよび透明半導体層40では光が吸収されずに透過する。これにより、Ga含有透明支持基板10、GaN層30aおよび透明半導体層40では不要な光吸収に伴い発生する熱を起因とするダメージを回避できる。
【0068】
デバイス用積層支持基板4に照射される光は、その波長がGa含有透明支持基板10、GaN層30aおよび透明半導体層40のバンドギャップエネルギーのなかで最も低いバンドギャップエネルギーに対応する波長よりも長ければ特に制限はないが、比較的低い投入エネルギーで効率よくGa含有透明支持基板10と中間層20とを分離するためには、波長500nm以上600nm未満の光であることが好ましく、たとえば波長808nmの半導体レーザで励起された波長1064nmのNd:YAGレーザ光(ここで、Nd:YAGとは、Nd(ネオジム)を添加したY(イットリウム)・A(アルミニウム)・G(ガーネット)により形成される結晶をいう)またはNd:YVO4レーザ光(ここで、Nd:YVO4とは、Nd(ネオジム)を添加したY(イットリウム)・V(バナジウム)・O4(オキサイド)またはY(イットリウム)・VO4(バナデート))により形成される結晶をいう)をLiB35のなどのいわゆるSHG(Second Harmonic Generation;第2高調波)結晶で変換した波長532nmのレーザ光が好ましく用いられる。この波長の光は、Ga含有透明支持基板10、GaN層30aおよび透明半導体層40を構成し得る、たとえば、GaN、InGaN、AlGaNなどのIII族窒化物や、第1の透明層23および第2の透明層25を構成し得るたとえば酸化シリコンまたは窒化シリコンには吸収されないが、光熱変換層21を構成し得るたとえばアモルファスシリコンには好適に吸収される。
【0069】
ここで、Ga含有透明支持基板10としてGaN支持基板を用いる場合は、上記光Lの照射により、GaN支持基板において中間層に接する面が金属Gaと窒素(N2)ガスに分解され、GaN支持基板と中間層との間に金属Gaが析出する。金属Gaは29.8℃で融解するため、この温度以上に加熱されることにより、GaN支持基板と中間層とが分離される。
【0070】
デバイス用積層支持基板4においては、GaN層30a上に高品質の透明半導体層40を形成させる観点から、Ga含有透明支持基板10はGaN支持基板であり、透明半導体層40はIII族窒化物半導体層であることが好ましい。かかる場合においては、GaN層30a、GaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)およびIII族窒化物半導体層(透明半導体層40)は、通常波長500nm以上600nm未満の光に対する光吸収係数が1×103cm-1未満である。したがって、GaN支持基板と中間層との分離のために、デバイス用積層支持基板4に照射される光は、GaN層30a、GaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)およびIII族窒化物半導体層(透明半導体層40)に与えるダメージを低減する観点から、波長500nm以上600nm未満の光であることが好ましい。
【0071】
中間層20は、Ga含有透明支持基板10と中間層20との間の分離に際して高温となる。また、透明半導体層40をエピタキシャル成長させる際に、800℃以上、場合によっては1100℃付近の高温に曝される。これらの理由から、中間層20は高い耐熱性を有することが好ましく、たとえば1200℃以上の融点を有することが好ましい。すなわち、光熱変換層21は、高い耐熱性を有していることが好ましく、たとえば1200℃以上の融点を有することが好ましい。また、デバイス用積層支持基板4に照射される光が波長500nm以上600nm未満のレーザ光である場合は、光熱変換層21は、その波長域の光を効率よく吸収することが好ましいため、波長500nm以上600nm未満の光に対する光吸収係数が1×103cm-1以上であることが好ましい。以上の要件を満たす材料からなる層として、光熱変換層21は、たとえばアモルファスシリコン層であることが好ましい。
【0072】
デバイス用積層支持基板4において、光熱変換層21を含む中間層20は、Ga含有透明支持基板10およびGaN層30aに接している。このため、上記の光Lの照射により、光熱変換層21が加熱されて高温になると、その熱がGa含有透明支持基板10だけでなく、GaN層30aおよびGaN層30aに接している透明半導体層40にも伝わり、GaN層30aおよび透明半導体層40にもダメージを与えるおそれがある。このようなGaN層30aおよび透明半導体層40に与えるダメージを低減し、また中間層20とGaN層30aとの接合は保持しつつ中間層20とGa含有透明支持基板10との間で確実に分離するため、中間層20は、中間層20の光熱変換層21とGaN層30aとの間に配置される第1の透明層23をさらに含むことが好ましい。また、第1の透明層23は、光熱変換層21中の原子(たとえばアモルファスシリコン層中のSi原子)のマイグレーションによるGaN層30aおよび透明半導体層40への原子拡散および、光照射時のGaN層30aおよび透明半導体層40へ与えられるダメージを低減するとともに中間層20とGaN層30aとの接合強度も高める。
【0073】
かかる第1の透明層23は、特に制限はないが、不要な光吸収に伴う発熱によるGaN層30aおよび透明半導体層40への熱ダメージおよび/または熱に伴う膨張による応力ダメージを生じさせないために、Ga含有透明支持基板10、GaN層30aおよび透明半導体層40と同様の透明性、すなわち波長500nm以上600nm以下の光に対する光吸収係数が1×103cm-1未満であることが好ましい。また、第1の透明層23は、上記のように高温となる光熱変換層21に接する。また、透明半導体層40をエピタキシャル成長させる際に、800℃以上、場合によっては1100℃付近の高温に曝される。これらの理由から、第1の透明層23は高い耐熱性を有することが好ましく、たとえば1200℃以上の融点を有することが好ましい。上記の要件を満たす材料として 、第1の透明層は、たとえば、酸化シリコン層および窒化シリコン層のいずれかであることが特に好ましい。
【0074】
また、光熱変換層21中の原子(たとえばアモルファスシリコン層中のSi原子)のマイグレーションによる原子拡散を抑制するとともに中間層20とGa含有透明支持基板10との接合強度を高める観点から、中間層20は、中間層20の光熱変換層21とGa含有透明支持基板10との間に配置される第2の透明層25をさらに含むことが好ましい。
【0075】
かかる第2の透明層25は、特に制限はないが、不要な光吸収に伴う発熱によるGaN層30aおよび透明半導体層40への熱ダメージおよび/または熱に伴う膨張による応力ダメージを生じさせないために、Ga含有透明支持基板10、GaN層30aおよび透明半導体層40と同様の透明性、すなわち波長500nm以上600nm以下の光に対する光吸収係数が1×103cm-1未満であることが好ましい。また、第2の透明層25は、上記のように高温となる光熱変換層21に接する。また、透明半導体層40をエピタキシャル成長させる際に、800℃以上、場合によっては1100℃付近の高温に曝される。これらの理由から、第2の透明層25は高い耐熱性を有することが好ましく、たとえば1200℃以上の融点を有することが好ましい。上記の要件を満たす材料として 、第2の透明層は、たとえば、酸化シリコン層および窒化シリコン層のいずれかであることが特に好ましい。
【0076】
第1の透明層23および第2の透明層25の両方が存在する場合、第1の透明層23の厚さは第2の透明層25の厚さに比べて大きいことが好ましい。これにより、中間層20とGa含有Ga含有透明支持基板10との貼り合わせ面の温度を、中間層20とGaN層30aとの貼り合わせ面の温度より高くできる。これを利用して、中間層20とGa含有透明支持基板10との貼り合わせ面の温度を金属Gaが形成可能な温度以上に、中間層20とGaN層30aとの貼り合わせ面の温度を金属Gaが形成可能な温度未満にすることで、中間層20とGaN層30aの貼り合わせ面には金属Gaを形成させずに、中間層20とGa含有透明支持基板10との貼り合わせ面にのみ金属Ga60を形成することができる。このようにして、デバイス用積層支持基板4の中間層20とGa含有透明支持基板10との貼り合わせ面を選択的に分離することにより、デバイス用積層ウエハ5を形成できる。
【0077】
こうして、透明半導体層40とGaN層30aとを含むデバイス用積層ウエハ5が得られる。ここで、デバイス用積層ウエハ5は、Ga含有透明支持基板10の分離の際に、Ga含有透明支持基板10と中間層20と界面に形成される金属Ga60を中間層20の表面に有する。
【0078】
ここで、本工程で得られるデバイス用積層ウエハ5および次工程で得られる透明半導体層積層ウエハ6(GaN層30aと透明半導体層40との積層ウエハをいう。以下同じ。)は機械強度が極めて低い。
【0079】
そこで、図1(E)、図2(B)、図3(B)および(C)、ならびに図4(A)および(B)を参照して、得られるデバイス用積層ウエハ5および透明半導体層積層ウエハ6の機械強度を補強するため、本工程の前に、仮支持基板50または透明半導体層積層ウエハ支持基板70をデバイス用積層支持基板4の透明半導体層40側に貼り合わせることが好ましい。このような仮支持基板50または透明半導体層積層ウエハ支持基板70の貼り合わせにおいては、接着剤51または導電性接着層85a,85b,85が用いられる。また、作製する半導体デバイスの構造によっては、デバイス用積層支持基板4からデバイス用積層ウエハ5を作製する工程の前に、デバイス用積層支持基板4の透明半導体層40上に電極(たとえばp−電極80など)が形成される。
【0080】
上記のように、上記光が照射される前のデバイス用積層支持基板4の透明半導体層40側に、電極(p−電極80など)、接着剤51および接着層(導電性接着層85a,85b,85)のいずれか、ならびに仮支持基板50および透明半導体層積層ウエハ支持基板70のいずれかのうち少なくともいずれかが配置される場合において、デバイス用積層支持基板4のGa含有透明支持基板10側から上記光を照射すると、照射された上記光のうち中間層20の光熱変換層21で吸収されなかった光は、もし第1の透明層23で全反射されないとき、透明半導体層40を透過して、電極(p−電極80など)、接着剤51および接着層(導電性接着層85a,85b,85)のいずれか、ならびに仮支持基板50および透明半導体層積層ウエハ支持基板70のいずれかに達する。
【0081】
このとき、透明半導体層40を透過して、電極(p−電極80など)、接着剤51および接着層(導電性接着層85a,85b,85)のいずれか、ならびに仮支持基板50および透明半導体層積層ウエハ支持基板70のいずれかの少なくともいずれかが上記光を吸収する材料で形成されていると、これらの光吸収によって発生した熱により、透明半導体層40の品質を低下させるおそれがある。
【0082】
たとえば、図2(A)においては上記光の照射前のデバイス用積層支持基板4の透明半導体層40に電極(p−電極80、n−電極90)が形成され、図3(A)においては、上記光の照射前のデバイス用積層支持基板4の透明半導体層40に電極(p−電極80)が形成される。ここで、電極を形成する材料が、たとえば、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、酸化スズ(SnO)および酸化亜鉛(ZnO)からなる群から選ばれる少なくともいずれかを含む場合は、基板に照射されて中間層に吸収されずに透過した光を電極が吸収して熱を発生するため、上記のおそれがある。
【0083】
すなわち、本実施形態の半導体デバイスの製造方法は、中間層20の光熱変換層21に吸収されかつ中間層20の第1の透明層23で全反射されるように光をデバイス用積層支持基板4に照射することにより、中間層20とGa含有透明支持基板10とを効率的に分離するとともに照射した光が中間層20を透過するのを防止することができるため、デバイス用積層支持基板4を作製する工程の後、かつ、デバイス用積層ウエハ5を作製する工程の前に、デバイス用積層支持基板4の透明半導体層40側に電極を形成する工程をさらに備え、電極がデバイス用積層支持基板4に照射される光を吸収する上記材料で形成される場合に、好適に用いられる。
【0084】
また、図1(E)においては上記光の照射前のデバイス用積層支持基板4の透明半導体層40に仮支持基板50を貼り合わせるための接着剤51が配置され、図2(B)においては上記光の照射前のデバイス用積層支持基板4の透明半導体層40およびその上に形成された電極(p−電極80、n−電極90)に仮支持基板50を貼り合わせるための接着剤51が配置され、図3(B)および(C)においては上記光の照射前のデバイス用積層支持基板4の透明半導体層40に形成された電極(p−電極80)に透明半導体層積層ウエハ支持基板70を貼り合わせるための接着層(導電性接着層85a,85b,85)が形成され、図4(A)および(B)においては上記光の照射前のデバイス用積層支持基板4の透明半導体層40に透明半導体層積層ウエハ支持基板70を貼り合わせるための接着層(導電性接着層85a,85b,85)が形成される。ここで、接着剤51および接着層(導電性接着層85a,85b,85)のいずれかが、チタン(Ti)、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、インジウム(In)およびゲルマニウム(Ge)からなる群から選ばれる少なくともいずれかを含む場合は、電極が基板に照射されて中間層に吸収されずに透過した光を吸収するため、上記のおそれがある。
【0085】
すなわち、本実施形態の半導体デバイスの製造方法は、中間層20の光熱変換層21に吸収されかつ中間層20の第1の透明層23で全反射されるように光をデバイス用積層支持基板4に照射することにより、中間層20とGa含有透明支持基板10とを効率的に分離するとともに照射した光が中間層20を透過するのを防止することができるため、デバイス用積層支持基板4を作製する工程の後、かつ、デバイス用積層ウエハ5を作製する工程の前に、デバイス用積層支持基板4の透明半導体層40側に接着剤51および接着層(導電性接着層85a,85b,85)のいずれかを形成する工程をさらに備え、接着剤51および接着層(導電性接着層85a,85b,85)のいずれかがデバイス用積層支持基板4に照射される光を吸収する上記材料で形成される場合に、好適に用いられる。
【0086】
また、図1(E)および図2(B)においては、上記光の照射前のデバイス用積層支持基板4の透明半導体層40側に接着剤51を介在させて仮支持基板50が配置され、図3(C)および図4(B)においては、上記光の照射前のデバイス用積層支持基板4の透明半導体層40側に接着層(導電性接着層85a,85b,85)を介在させて透明半導体層積層ウエハ支持基板70が配置される。ここで、仮支持基板50および透明半導体層積層ウエハ支持基板70のいずれかが、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、炭化シリコン(SiC)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、酸化ガリウム(Ga23)、セレン化亜鉛(ZnSe)、ダイヤモンドおよび窒化アルミニウム(AlN)からなる群から選ばれる少なくともいずれかを含む場合は、電極が基板に照射されて中間層に吸収されずに透過した光を吸収するため、上記のおそれがある。
【0087】
すなわち、本実施形態の半導体デバイスの製造方法は、中間層20の光熱変換層21に吸収されかつ中間層20の第1の透明層23で全反射されるように光をデバイス用積層支持基板4に照射することにより、中間層20とGa含有透明支持基板10とを効率的に分離するとともに照射した光が中間層20を透過するのを防止することができるため、デバイス用積層支持基板4を作製する工程の後、かつ、デバイス用積層ウエハ5を作製する工程の前に、デバイス用積層支持基板4の透明半導体層40側に仮支持基板50および透明半導体層積層ウエハ支持基板70のいずれかを配置する工程をさらに備え、仮支持基板50および透明半導体層積層ウエハ支持基板70のいずれかは、デバイス用積層支持基板に照射される光を吸収する上記材料で形成される場合に、好適に用いられる。
【0088】
上記の仮支持基板50は、後の工程において、デバイス用積層支持基板4からGa含有透明支持基板10が分離されてデバイス用積層ウエハ5が形成され(図1(E)および(F)ならびに図2(B)および(C))、次いでデバイス用積層ウエハ5から金属Ga60および中間層20が分離除去されて透明半導体層積層ウエハ6が形成され(図1(G)および図2(D))、次いで透明半導体層積層ウエハ6のGaN層30aに透明半導体層積層ウエハ支持基板70が貼り合わされて透明半導体層40が機械強度的に支持された後に、除去される(図1(H)ならびに図2(E)および(F))。
【0089】
また、図3(B)および図4(A)を参照して、本工程の前に、上記仮支持基板に替えて、透明半導体層積層ウエハ支持基板70をデバイス用積層支持基板4の透明半導体層40側に貼り合わせることができる。かかる場合には、後の工程において、透明半導体層積層ウエハ支持基板70が貼り合わされたデバイス用積層支持基板4からGa含有透明支持基板10が分離されて支持基板が貼り合わされたデバイス用積層ウエハ5が形成され(図3(C)および(D)ならびに図4(B)および(C))、次いで支持基板付が貼り合わされたデバイス用積層ウエハ5から金属Ga60および中間層20が分離除去されて支持基板が貼り合わされた透明半導体層積層ウエハ6が形成され(図3(E)および図4(D))、次いで支持基板が貼り合わされた透明半導体層積層ウエハ6に電極などが形成されて半導体デバイス7(図3(F)および図4(E))が得られる。すなわち、仮支持基板に替えて、透明半導体層積層ウエハ支持基板をデバイス用積層支持基板の透明半導体層に貼り合わせる場合は、仮支持基板を貼り合わせる工程およびそれを除去する工程を必要としない。
【0090】
(透明半導体層積層ウエハの作製工程)
図1(G)、図2(D)、図3(E)および図4(D)を参照して、透明半導体層積層ウエハ6の作製工程は、デバイス用積層ウエハ5から中間層20を除去することにより行われる。かかる工程により、透明半導体層40とGaN層30aとを含む透明半導体層積層ウエハ6が得られる。デバイス用積層ウエハ5から中間層20を除去する方法は、特に制限はなく、半導体プロセスで一般的に用いられるウェットエッチング、ドライエッチングなどの方法を利用できる。
【0091】
(半導体デバイスの作製工程)
図1(H)ならびに図2(E)および(F)を参照して、半導体デバイス7の作製工程は、透明半導体層積層ウエハ6に透明半導体層積層ウエハ支持基板70を貼り合わせることにより行われる。
【0092】
また、図3(F)および図4(E)を参照して、半導体デバイス7の作製工程は、透明半導体層積層ウエハ6に電極(n−電極90)を形成することにより行われる。
【0093】
透明半導体層積層ウエハ6に透明半導体層積層ウエハ支持基板70を貼り合わせる方法には、特に制限はなく、貼り合わせる面の表面を洗浄して直接貼り合わせ、その後700℃〜1000℃に昇温して接合することによる直接接合法、プラズマやイオンなどで貼り合わせ面を活性化させ接合することによる表面活性化法などが好ましく用いられる。
【0094】
ここで、図1(H)、図2(F)、図3(F)および図4(E)を参照して、本半導体デバイス7においては、透明半導体層40が波長300nm以上550nm以下のピーク波長を有する光を放出する発光層45を含む場合は、透明半導体層積層ウエハ支持基板70は、波長が300nm以上550nm以下の光に対する光吸収係数が1×104cm-1未満であることが好ましい。これにより内部吸収を低減し、光取り出し効率の高い半導体光デバイスを作製できる。かかる観点から、透明半導体層積層ウエハ支持基板70は、たとえば、サファイア、スピネル、石英、窒化アルミニウム、ダイヤモンドおよびガラスからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0095】
また、図1(H)、図3(F)および図4(E)を参照して、本半導体デバイス7においては、デバイスに積層方向の導電性を具備させる目的で、透明半導体層積層ウエハ支持基板70は、比抵抗が10Ωcm以下の導電性を有することが好ましい。デバイスに積層方向の導電性を具備させることができれば、半導体デバイス7はたとえば図3(F)および図4(E)に示すようにその両主面にそれぞれp−電極80とn−電極90を形成できる。これにより、両電極を一主面に形成しなければならない場合(たとえば、図2(F)参照)に比べて、透明半導体層40の一部を除去する必要がなくなるため、より広い面積をデバイスの動作(すなわち発光)に利用できるので、より輝度の高いデバイスが実現できる。透明半導体層積層ウエハ支持基板70を構成する材料としては、たとえば、シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)および第1の金属からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。ここで、第1の金属とは、比抵抗が10Ωcm以下の導電性を有するものであれば特に制限はなく、たとえば、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などが好ましく用いられる。
【0096】
また、図3(F)および図4(E)を参照して、本半導体デバイス7においては、デバイスの導電性を高くするとともに透明半導体層積層ウエハ支持基板70と電極(p−電極80)または透明半導体層40との間の接着性を高くする観点から、透明半導体層積層ウエハ支持基板70と透明半導体層40との間に配置され、第2の金属および導電性酸化物のいずれかを含む比抵抗が10Ωcm以下の導電性接着層85a,85b,85をさらに含むことが好ましい。ここで、第2の金属は、特に制限はないが、上記観点からたとえば、チタン(Ti)、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)およびこれらの合金からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。また、導電性酸化物は、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガリウム(Ga23)、酸化スズ(SnO、SnO2)、インジウム亜鉛酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)およびアンチモンスズ酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0097】
また、図3(F)および図4(E)を参照して、本半導体デバイス7においては、透明半導体層40が波長300nm以上550nm以下のピーク波長を有する光を放出する発光層45を含む場合は、透明半導体層積層ウエハ支持基板は、波長が300nm以上550nm以下の光に対する光吸収係数が1×104cm-1未満であることが好ましい。これにより内部吸収を低減し、光取り出し効率の高い半導体光デバイスを作製できる。また、デバイスに積層方向の導電性を具備させる目的で、透明半導体層積層ウエハ支持基板70は、比抵抗が10Ωcm以下の導電性を有することが好ましい。デバイスに積層方向の導電性を具備させることができれば、半導体デバイス7は、たとえば図3(F)および図4(E)に示すように、それらの両主面にそれぞれp−電極80とn−電極90を形成できる。これにより、両電極を一主面に形成しなければならない場合(たとえば、図2(F)参照)に比べて、透明半導体層40の一部を除去する必要がなくなるため、より広い面積をデバイスの動作(すなわち発光)に利用できるので、より輝度の高いデバイスが実現できる。透明半導体層積層ウエハ支持基板70を構成する材料としては、たとえば、酸化ガリウム(Ga23)、炭化シリコン(SiC)、セレン化亜鉛(ZnSe)、窒化アルミニウム(AlN)およびダイヤモンドからなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
【実施例】
【0098】
(実施例1)
1.積層支持基板の作製
図1(A)を参照して、Ga含有透明支持基板10として、HVPE法により形成した直径が2インチ(5.08cm)で厚さ500μmのGaN支持基板を準備した。かかるGaN支持基板は、一主表面が(0001)面であるGa原子表面であり、他主表面が(000−1)面であるN原子表面であり、両主表面が鏡面加工されていた。
【0099】
このGaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)のGa原子表面に、中間層20として、プラズマCVD法により、厚さ10nmのSiO2層(第2の透明層25)、厚さ60nmのアモルファスシリコン層(光熱変換層21)、および厚さ300nmのSiO2層(第1の透明層23a)を順に堆積させて、積層支持基板1を得た。プラズマCVDの条件は、第1および第2のSiO2層の堆積においては、RFが50W、Arガスにより8体積%に希釈されたSiH4ガスの流量が50sccm(1sccmは、標準状態に換算して1分間に1cm3のガスが流れる量をいう)、N2Oガス流量が460sccm、チャンバ圧力が80Pa、ステージ温度が250℃であり、アモルファスシリコン層の堆積においては、RFが50W、Arガスにより8体積%に希釈されたSiH4ガスの流量が200sccm、チャンバ圧力が80Pa、ステージ温度が250℃であった。
【0100】
また、GaN層30aを形成するためのGaN基板30として、HVPE法により形成した直径2インチ(5.08cm)で厚さが500μmのGaN基板を準備した。かかるGaN基板30は、一主表面が(0001)面であるGa原子表面であり、他主表面が(000−1)面であるN原子表面であり、両主表面が鏡面加工されていた。まず、GaN基板30のN原子表面に、プラズマCVD法により、厚さ100nmのSiO2層(第1の透明層23b)を堆積させた。この二酸化シリコン層の堆積におけるプラズマCVDの条件は、RFが50W、Arガスにより8体積%に希釈されたSiH4ガスの流量が50sccm、N2Oガス流量が460sccm、チャンバ圧力が80Pa、ステージ温度が250℃であった。次いで、GaN基板30のSiO2層(第1の透明層23b)側から、水素イオンを注入した。水素イオンの注入条件は、加速電圧が50keV、ドーズ量が7×1017cm-2であった。こうして、水素イオンが注入されたGaN基板30は、そのN原子表面から約200nmの深さの面Pにドーズ量のピークがあった。このドーズ量はリファレンスとして同一バッチでイオン注入したGaN基板のイオン注入側から、SIMS(二次イオン質量分析計)分析を深さ方向に対して実施することで測定した。
【0101】
上記で得られた積層支持基板1のGaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)とSiO2層(第2の透明層25)との密着性およびGaN基板30におけるGaN基板30とSiO2層(第1の透明層23b)との密着性を高めるために、窒素雰囲気中で700℃〜1000℃で10分間アニールした後、両基板のSiO2層の主表面を洗浄した。具体的には、それぞれの主表面が数十nmの深さまで研磨されて鏡面加工された両基板をドライエッチング装置に入れて、酸素(O2)ガスを原料としたプラズマに曝すことにより、SiO2層の主表面を清浄にした。このときのプラズマ条件は、RFが100W、O2ガス流量が50sccm、チャンバ圧力が6.7Paであった。
【0102】
2.積層貼り合わせ基板の作製工程
次に、図1(B)を参照して、上記の積層支持基板1の中間層20のSiO2層(第1の透明層23a)とGaN基板30に堆積させたSiO2層(第1の透明層23b)とを、積層支持基板1のGaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)の一主表面((0001)面)の結晶方位とGaN基板30の一主表面((0001)面)の結晶方位が一致するように重ね合わせて、プレス装置(ウエハボンダ)で7MPa(2インチ基板当たり1400kgf)の荷重で押しつけることで、SiO2層同士を接合させることにより、積層支持基板1とGaN基板30とを貼り合わせた。こうして得られた積層貼り合わせ基板2は、大気中で室温(25℃)から300℃まで3時間かけてゆっくりと昇温することにより、接合界面の接合強度が増した。ここで、積層貼り合わせ基板2において、中間層20のアモルファスシリコン層(光熱変換層21)とGaN基板との間に配置されるSiO2層(第1の透明層23)の厚さは325nmであった。
【0103】
3.エピ成長用積層支持基板の作製工程
次に、図1(C)を参照して、積層貼り合わせ基板2を500℃に加熱して基板の主表面に対して斜めに応力をかけた。積層貼り合わせ基板2のGaN基板30において水素イオンが多く注入され脆化したN原子表面からの深さが約200nmの面Pにおいて熱応力がかかり、GaN基板30は、上記の面Pにおいて、積層支持基板1の中間層20に接合している厚さ200nmのGaN層30aと残部GaN基板30bとに分離した。こうして、積層支持基板1の中間層20上に厚さ200nmのGaN層30aが形成されたエピ成長用積層支持基板3が得られた。ここで、GaN層30aから分離した残部GaN基板30bは、分離面の表面状態(平坦性など)を研磨などの手法で整えた後、何度も再利用できる。これにより最終的に半導体デバイス1枚あたりのコストを低減できる。
【0104】
4.デバイス用積層支持基板の作製工程
次に、図1(D)を参照して、エピ成長用積層支持基板3のGaN層30a上に、MOCVD法により、透明半導体層40として、厚さ2μmのGaNバッファ層41、厚さ0.5μmのn−GaN層43、厚さ70nmの発光層45である3対のInGaN層およびGaN層からなる多重量子井戸層、厚さ80nmのp−GaN層47をこの順に堆積させた。こうして、デバイス用積層支持基板4が得られた。
【0105】
ここで、上記のMOCVD法による透明半導体層40のエピタキシャル成長においては、エピ成長用積層支持基板3の温度が1000℃程度になった。また、エピ成長用積層支持基板3には、GaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)とGaN層30aとの間に、中間層20としてSiO2層(第1の透明層23と第2の透明層25)およびアモルファスシリコン層(光熱変換層21)が含まれ、かかるSiO2層およびアモルファスシリコン層は、GaN支持基板およびGaN層30aと熱膨張係数が異なった。しかし、本実施例における中間層20の総厚さは約400nmであり、エピタキシャル成長された透明半導体層40は、X線回折法により分析したところ、GaN層30aとほぼ同じ格子定数が得られており高い品質を有していると言える。中間層20の総厚さが1μm以下であれば、発生する応力が小さいため、エピタキシャル成長された透明半導体層40の品質は高く維持される。次いで、得られたデバイス用積層支持基板4を、CVD装置から取り出した後、全圧が1気圧で酸素が16体積%の窒素/酸素雰囲気中700℃でアニールした。
【0106】
5.二電極付のデバイス用積層支持基板の作製工程
次に、図2(A)を参照して、以下のようにして、デバイス用積層支持基板4に二電極を形成した。デバイス用積層支持基板4の透明半導体層40のp−GaN層47上に、フォトリソグラフィ法によりp−電極用レジストマスク(図示せず)を形成し、真空蒸着法により厚さ5nmのNi層および厚さ11nmのAu層をこの順に形成した後、p−電極用レジストマスクを除去することにより不要部分の電極材料を除去することにより、p−電極80を形成した。
【0107】
次いで、p−電極80およびその周辺領域にフォトリソグラフィ法によりp−電極保護用レジストマスク(図示せず)を形成し、塩素ガスを用いて透明半導体層40のp−GaN層47側の主表面から250nmの深さまでメサエッチングをして、主表面の一部領域において、p−GaN層47、発光層45およびn−GaN層43を除去し、GaNバッファ層41を露出させた。その後、上記のp−電極保護用レジストマスクを除去した。露出されたGaNバッファ層41上に、上記p−電極の形成と同様の方法により、厚さ20nmのTi層および厚さ300nmのAl層で構成されるn−電極90を形成した。p−電極およびn−電極と半導体層とのオーミック接合を取るために、得られた基板を全圧が1気圧で酸素が0.4体積%の窒素/酸素雰囲気中500℃でアニールした。こうして、二電極付のデバイス用積層支持基板4Aが得られた。この後、図示しないが、p−電極およびn−電極のそれぞれの上に、リフトオフ法により、厚さ20nmのTi層および厚さ300nmのAu層で構成されるパッド電極層を形成してもよい。
【0108】
また、GaNの基板は非常に高価であるため、最終製品としての半導体デバイスの単価を下げるためには、以下に説明するように、デバイス用積層支持基板からGaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)を分離する必要がある。以下に説明する方法により、分離されたGaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)は、その主表面の処理を行うことにより、再びGaN支持基板として利用できる。このように、1枚のGaN基板を繰り返し使用することにより、最終製品としての半導体デバイスの単価を下げることが可能になる。
【0109】
6.二電極付のデバイス用積層ウエハの作製工程
次に、図2(B)を参照して、二電極付のデバイス用積層支持基板4Aのp−電極80およびn−電極90の形成面に接着剤51をスピン塗布し、真空中で200℃に加熱された雰囲気下で、ウエハボンダを用いて、仮支持用サファイア板(仮支持基板50)を貼り付けた。かかる接着剤51には、後工程において、ウエハから仮支持用サファイア板を分離することを考慮して、200℃に加熱することで再度軟化させられるもの、たとえばBrewer Sciences社製WaferBond HT−10,10などを選んだ。
【0110】
次いで、上記の仮支持用サファイア板(仮支持基板50)が貼り付けられた二電極付のデバイス用積層支持基板4Aをレーザアニール装置にセットした。
【0111】
図8を参照して、上記のレーザアニール装置100は、Nd:YAGレーザとLiB35 SHG結晶を用いて波長532nmの緑色レーザパルス光を発生するYAG−SHGパルスレーザ110と、発生したレーザパルス光をy軸方向にスキャンできるガルバノミラー120と、スキャンされたレーザパルスによる加工点における焦点ズレを補正するためのf−θレンズ130と、焦点ズレが補正されたレーザパルス光をデバイス用積層支持基板4に照射する角度を変更するための固定ミラー140と、デバイス用積層支持基板4に照射されたレーザパルス光が中間層の第1の透明層で全反射するのに適したGa含有透明支持基板内における伝播角θSになるようにするための屈折率が2.0の高屈折率ガラスで形成されているプリズム(光伝播角変換装置150)と、デバイス用積層支持基板4を支持するとともにx軸方向にスキャンできるステージ160と、を備えていた。
【0112】
本レーザアニール装置100は、デバイス用積層支持基板4に照射されたレーザパルス光が中間層の第1の透明層で全反射するのに適したGa含有透明支持基板内における伝播角θSになるようにするためのプリズム(光伝播角変換装置150)と、このプリズムの光照射面にレーザパルス光を垂直に照射させるための固定ミラー140を備える部分Nにおいて、従来のレーザアニール装置にはない特徴を有していた。
【0113】
ここで、プリズム(光伝播角変換装置150)の位置は固定されており、ステージ160およびステージに支持されたデバイス用積層支持基板4が移動することにより、加工点(照射位置)の変更が可能である。必要に応じて、デバイス用積層支持基板4とプリズム(光伝播角変換装置150)の間にマッチングオイルなどを充填した。プリズム(光伝播角変換装置150)の光照射面とデバイス用積層支持基板4の主表面がなす角φPは53.5°とした。
【0114】
また、プリズムの光照射面に対して,レーザパルス光が垂直に照射するように固定ミラーを調整した。このとき、照射レーザパルス光のプリズム内における伝播角θPは、プリズム(光伝播角変換装置150)の光照射面とデバイス用積層支持基板4の主表面がなす角φPに等しく、53.5°であった。ここで、照射光のプリズム(光伝播角変換装置150)内における伝播角θP=53.5、プリズムを形成する高屈折率ガラスの屈折率nP=2.0、Ga含有透明支持基板10であるGaN支持基板の屈折率nS=2.5を、上記の式(vii)に代入すると、照射光のGaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)内における伝播角θSは40.0°となった。したがって、図7の結果を参照すると、光熱変換層21で吸収されなかったレーザパルス光は第1の透明層23で全反射されると考えられた。
【0115】
すなわち、照射されたレーザパルス光は中間層20の光熱変換層21で吸収されるか、光熱変換層で吸収されなかったレーザパルス光は中間層20の第1の透明層23で全反射されたため、照射光が透明半導体層40を透過して電極(p−電極80、n−電極90)、接着剤51、仮支持基板50などに吸収されることが抑制され、これらの光吸収によって発生する熱による透明半導体層40のダメージの発生が抑制された。
【0116】
また、レーザパルス光は、中間層20のアモルファスシリコン層(光熱変換層21)でのみ効率よく吸収された。これにより、アモルファスシリコン層(光熱変換層21)の温度は急激に上昇した。
【0117】
その結果、アモルファスシリコン層(光熱変換層21)の近距離に位置するGaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)における中間層20との貼り合わせ面は、その面の温度が900℃を超え、金属Gaと窒素(N2)ガスに熱分解された。一方、GaN層30aにおける中間層20との貼り合わせ面においては、熱分解温度には至らなかった。これは、GaN層30aとアモルファスシリコン層(光熱変換層21)との間には、GaN(熱伝導率が約100W・m-1・K-1)に比べて熱伝導率の低いSiO2(熱伝導率が約10W・m-1・K-1)で形成された厚さ325nmのSiO2層(第1の透明層23)が介在しているため、アモルファスシリコン層(光熱変換層21)で発生した熱量の大半がGaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)側に拡散するため、GaN層30aは熱分解温度には至らなかったものと考えられる。また、同様の理由から、接着剤51部分の温度は100℃以下に抑えられ、接着剤51の軟化ないし炭化などの変質は生じなかった。このようにして、GaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)における中間層20との貼り合わせ面にのみ金属Ga60を析出させることができた。
【0118】
次いで、図2(C)を参照して、上記の金属Ga60が析出した二電極付のデバイス用積層支持基板4Aを、60℃のホットプレート(図示せず)に置いて、金属Ga(融点が29.8℃)を融解させた状態でGaN支持基板を滑らせる(スライドオフする)ことにより、中間層20からGaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)を分離した。こうして、透明半導体層40、GaN層30aおよび中間層20を含む二電極付のデバイス用積層ウエハ5Aが得られた。なお、分離されたGaN支持基板は、主表面を研磨およびエッチングなどの処理をすることにより、再度利用できる。
【0119】
7.二電極付の透明半導体層積層ウエハの作製工程
次に、図2(D)を参照して、二電極付のデバイス用積層ウエハ5Aの中間層20上の金属Ga60を塩酸により洗浄し、中間層20(SiO2層および一部がポリシリコン化したアモルファスシリコン層)を、フッ酸硝酸混合溶液を用いたウェットエッチングにより、除去した。こうして、透明半導体層40およびGaN層30aを含む二電極付の透明半導体層積層ウエハ6Aが得られた。
【0120】
8.半導体デバイスの作製工程
次に、図2(E)を参照して、以下のようにして、二電極付の透明半導体層積層ウエハ6AのGaN層30aに、別途準備した透明半導体層積層ウエハ支持基板70を貼り合わせた。
【0121】
ここで、準備された透明半導体層積層ウエハ支持基板70としては、厚さ150μmのサファイア基板であった。貼り合わせは、二電極付の透明半導体層積層ウエハ6AのGaN層30aの主表面を洗浄した後に、プラズマエッチング装置にいれて、窒素プラズマ(プラズマ条件は、RFが100W、N2ガス流量が50sccm、チャンバ圧力13.3Paであった)に曝して主表面を清浄にした。サファイア基板(透明半導体層積層ウエハ支持基板70)も、その主表面を洗浄した後に、酸素プラズマ(プラズマ条件は、RFが100W、O2ガス流量が50sccm、チャンバ圧力が6.7Paであった)で主表面を清浄にした。二電極付の透明半導体層積層ウエハ6Aとサファイア基板(透明半導体層積層ウエハ支持基板70)とを貼り合わせた後に、大気中でウエハボンダを用いて7MPaの荷重で押しつけて、接合させて貼り合わせた。
【0122】
次いで、図2(F)を参照して、上記の貼り合わせ基板をホットプレートで接着剤の軟化温度である200℃まで加熱して、上記の貼り合わせ基板から仮支持用サファイア基板(仮支持基板50)をスライドオフさせて取り除いた。透明半導体層40上のp−電極80およびn−電極90側に残った接着剤は専用のリムーバで除去した。
【0123】
上記の工程により、LED(発光ダイオード)である半導体デバイス7が得られた。かかる半導体デバイスにおいて、以降は一般的な素子化工程(スクライブ、ブレーク、ダイボンド、ワイヤボンドなどの諸工程)が適用できる。
【0124】
(実施例2)
1.デバイス用積層支持基板までの作製工程
図1(A)〜(D)を参照して、実施例1と同様にして、デバイス用積層支持基板4を得た。
【0125】
2.一電極付のデバイス用積層支持基板の作製工程
次に、図3(A)を参照して、デバイス用積層支持基板4の透明半導体層40のp−GaN層47上の全面に、真空蒸着法により、p−電極80として、Ni/Au/Pt/Au電極(具体的には、p−GaN層47側から、厚さ5nmのNi層/厚さ11nmのAu層/厚さ100nmのPt層/厚さ300nmのAu層で構成される電極)を形成した。こうして、一電極付のデバイス用積層支持基板4Bが得られた。
【0126】
3.一電極付のデバイス用積層支持基板への透明半導体層積層ウエハ支持基板の貼り合わせ工程
次に、図3(B)を参照して、透明半導体層積層ウエハ支持基板70としてp型導電性Si基板((100)主表面における比抵抗が1Ω・cm未満)を準備した。このp型導電性Si基板(透明半導体層積層ウエハ支持基板70)の鏡面研磨された一方の主表面上に、真空蒸着法により、導電性接着層85として厚さ20nmのCr層/厚さ300nmのAu層/厚さ1.5μmのAuSn層(質量比でAu:Su=80:20)を形成した。
【0127】
次いで、図3(B)〜(C)を参照して、一電極付のデバイス用積層支持基板4Bのp−電極80の厚さ300nmのAu層側の主表面と、p型導電性Si基板(透明半導体層積層ウエハ支持基板70)に形成された導電性接着層85の厚さ1.5μmのAuSn層側の主表面と、を重ね合わせて、真空雰囲気中で、1MPa(2インチ基板当り約200kgf)の荷重で押しつけながら、300℃で10分間加熱接合することにより、貼り合わせた。こうして、一電極かつ支持基板付のデバイス用積層支持基板4BCが得られた。
【0128】
4.一電極かつ支持基板付のデバイス用積層ウエハの作製工程
次に、図3(C)〜(D)を参照して、レーザパルス光を、上記の一電極かつ支持基板付のデバイス用積層支持基板4BCのGaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)側から、中間層20の光熱変換層21で吸収され第1の透明層23で全反射されるように照射することにより、一電極かつ支持基板付のデバイス用積層支持基板4BCからGaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)を除去して、一電極かつ支持基板付のデバイス用積層ウエハ5BCが得られた。
【0129】
ここで、光熱変換層21で吸収されなかったレーザパルス光が第1の透明層23で全反射されたため、照射光が透明半導体層40を透過して電極(p−電極80)、接着層(導電性接着層85)、透明半導体層積層ウエハ支持基板70などに吸収されることが抑制され、これらの光吸収によって発生する熱による透明半導体層40のダメージの発生が抑制された。
【0130】
5.一電極かつ支持基板付の透明半導体層積層ウエハの作製工程
次に、図3(E)を参照して、実施例1と同様にして、一電極かつ支持基板付のデバイス用積層ウエハ5BCから金属Ga60および中間層20を除去した。こうして、一電極かつ支持基板付の透明半導体層積層ウエハ6BCが得られた。
【0131】
6.半導体デバイスの作製方法
次に、図3(F)を参照して、一電極かつ支持基板付の透明半導体層積層ウエハ6BCのGa層30aの主表面(N原子表面)に、フォトリソグラフィ法と真空蒸着法により、n−電極90としてパターン化されたTi/Al電極(具体的には、厚さ20nmのTi層および厚さ300nmのAl層で構成される電極)を形成した。次いで、Ti/Al電極(n−電極90)を、大気圧窒素雰囲気下において500℃でアニールして、オーミック電極とした。次いで、このTi/Al電極(n−電極90)の上に、再びフォトリソグラフィ法と真空蒸着法により、Ti/Au層(具体的には、厚さ20nmのTi層および厚さ300nmのAu層)で構成されるパターン化されたパッド電極層を形成した。
【0132】
上記の工程により、LED(発光ダイオード)である半導体デバイス7が得られた。かかる半導体デバイスにおいて、以降は一般的な素子化工程(スクライブ、ブレーク、ダイボンド、ワイヤボンドなどの諸工程)が適用できる。
【0133】
(実施例3)
1.デバイス用積層支持基板までの作製工程
図1(A)〜(D)を参照して、実施例1と同様にして、デバイス用積層支持基板4を得た。
【0134】
2.デバイス用積層支持基板への透明半導体層積層ウエハ支持基板の貼り合わせ工程
次に、図4(A)を参照して、デバイス用積層支持基板4の透明半導体層40のp−GaN層47上の全面に、スパッタ法により、導電性接着層85aとして、厚さ200nmのITO(インジウムスズ酸化物)層、厚さ50nmのAg層、厚さ100nmのPt層、および厚さ300nmのAu層をこの順に積層された貼り合わせ用ITO/Ag/Pt/Auパッド電極層を形成した。
【0135】
また、主表面に貼り合わせ用Cr/Au/Inパッド電極層(導電性接着層85b)を形成した透明半導体層積層ウエハ支持基板70を準備した。透明半導体層積層ウエハ支持基板70としては、導電性支持基板であるB(ホウ素)をドープした比抵抗が1Ω・cm未満のp型導電性Si基板を用いた。
【0136】
次いで、図4(A)〜(B)を参照して、デバイス用積層支持基板4に形成された貼り合わせ用パッド電極層(導電性接着層85a)のAu層と、透明半導体層積層ウエハ支持基板70に形成された貼り合わせ用パッド電極層(導電性接着層85b)のIn層と、を重ね合わせてウエハボンダを用いて200℃で1MPa(2インチウエハ当り約200kgf)の条件で加熱加圧して接合して貼り合わせた。こうして支持基板付のデバイス用積層支持基板4Cが得られた。
【0137】
3.支持基板付のデバイス用積層ウエハの作製工程
次に、図4(B)〜(C)を参照して、実施例1と同様にして、レーザパルス光を、支持基板付のデバイス用積層支持基板4CのGaN支持基板(Ga含有透明支持基板10)側から、中間層20の光熱変換層21で吸収され第1の透明層23で全反射されるように照射することにより、支持基板付のデバイス用積層支持基板4CからGa含有透明支持基板10を分離した。こうして、支持基板付のデバイス用積層ウエハ5Cが得られた。
【0138】
ここで、光熱変換層21で吸収されなかったレーザパルス光が第1の透明層23で全反射されたため、照射光が透明半導体層40を透過して接着層(導電性接着層85a,85b,85)、透明半導体層積層ウエハ支持基板70などに吸収されることが抑制され、これらの光吸収によって発生する熱による透明半導体層40のダメージの発生が抑制された。
【0139】
4.支持基板付の透明半導体層積層ウエハの作製工程
次に、図4(D)を参照して、支持基板付のデバイス用積層ウエハ5Cから、実施例1と同様にして、金属Ga60および中間層20が分離除去した。こうして、支持基板付の透明半導体層積層ウエハ6Cが得られた。
【0140】
5.半導体デバイスの作製工程
次に、図4(E)を参照して、支持基板付の透明半導体層積層ウエハ6Cのp型導電性Si基板(透明半導体層積層ウエハ支持基板)上に、真空蒸着法により、p−電極80としてTi/Au電極(具体的には、厚さ20nmのTi層および厚さ300nmのAu層で構成されるパッド電極)を形成した。また、支持基板付の透明半導体層積層ウエハ6のGaN層30a上に、真空蒸着法およびリフトオフ法により、n−電極90としてTi/Al電極(具体的には、厚さ20nmのTi層および厚さ300nmのAl層で構成される電極)を形成した。p−電極80およびp−電極90と半導体層とのオーミック接合を取るために、これらの電極が形成された支持基板付の透明半導体層積層ウエハ6Cを、窒素雰囲気中500℃でアニールした。こうして、LEDである半導体デバイス7が得られた。以降は一般的な素子化工程(スクライブ、ブレーク、ダイボンド、ワイヤボンドなどの諸工程)が適用できる。
【0141】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0142】
1 積層支持基板、2 積層貼り合わせ基板、3 エピ成長用積層支持基板、4,4A,4B,4BC,4C デバイス用積層支持基板、5,5A,5BC,5C デバイス用積層ウエハ、6,6A,6BC,6C 透明半導体層積層ウエハ、7 半導体デバイス、10 Ga含有透明支持基板、20,20a 中間層、21 光熱変換層、23,23a,23b 第1の透明層、25 第2の透明層、30 GaN基板、30a GaN層、30b 残部GaN基板、40 透明半導体層、41 GaNバッファ層、43 n−GaN層、45 発光層、47 p−GaN層、50 仮支持基板、51 接着剤、60 金属Ga、70 透明半導体層積層ウエハ支持基板、80 p−電極、85a,85b,85 導電性接着層、90 n−電極、100 レーザアニール装置、110 YAG−SHGパルスレーザ、120 ガルバノミラー、130 f−θレンズ、140 固定ミラー、150 光伝播角変換装置、160 ステージ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ga含有透明支持基板上に光熱変換層と前記光熱変換層の前記Ga含有透明支持基板と反対側に接触して配置されている第1の透明層とを含む中間層を形成して積層支持基板を作製する工程と、
前記積層支持基板の前記中間層にGaN基板を貼り合わせて積層貼り合わせ基板を作製する工程と、
前記積層貼り合わせ基板の前記GaN基板を、前記中間層との貼り合わせ面から所定の深さの面において分離することにより、前記積層支持基板の前記中間層上にGaN層が形成されたエピ成長用積層支持基板を作製する工程と、
前記エピ成長用積層支持基板の前記GaN層上に少なくとも1層の透明半導体層をエピタキシャル成長させることにより、デバイス用積層支持基板を作製する工程と、
前記デバイス用積層支持基板に、前記Ga含有透明支持基板および前記GaN層および前記透明半導体層のバンドギャップエネルギーのなかで最も低いバンドギャップエネルギーに対応する波長よりも長い波長でかつ前記光熱変換層が吸収しうる波長の光を、前記第1の透明層で全反射するように照射して、前記Ga含有透明支持基板と前記中間層とを分離することにより、前記透明半導体層と前記GaN層と前記中間層とを含むデバイス用積層ウエハを作製する工程と、
前記デバイス用積層ウエハから前記中間層を除去して前記透明半導体層と前記GaN層とを含む透明半導体層積層ウエハを含む半導体デバイスを作製する工程と、を備える半導体デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記第1の透明層は,前記Ga含有透明支持基板よりも屈折率の低い材料で形成され、かつ、前記デバイス用積層支持基板に照射される前記光の真空中における波長λ0、前記第1の透明層の屈折率n1を用いて、
前記第1の透明層の厚さd1が、d1>0.5×λ0/n1の関係を満たす請求項1に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記第1の透明層で全反射するように、前記デバイス用積層支持基板に前記光を照射するための手段として、光伝播角変換装置を用いる請求項1または請求項2に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記光伝播角変換装置は、前記第1の透明層よりも屈折率が高い材料で形成されているプリズムである請求項3に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記デバイス用積層支持基板に照射される前記光の前記Ga含有透明支持基板内における伝播角θSが、前記Ga含有透明支持基板の屈折率nS、前記第1の透明層の屈折率n1および前記プリズムの屈折率nPを用いて、
sin-1(n1/nS)<θS<sin-1(nP/nS
の関係を満たす請求項4に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記中間層は、前記中間層の前記光熱変換層と前記Ga含有透明支持基板との間でかつ前記光熱変換層に接触して配置される第2の透明層をさらに含み、
前記デバイス用積層支持基板に照射される前記光の真空中における波長λ0、前記第2の透明層の屈折率n2を用いて、
前記第2の透明層の厚さd2が、d2<0.25λ0×n2の関係を満たす請求項5に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記デバイス用積層支持基板を作製する工程の後、かつ、前記デバイス用積層ウエハを作製する工程の前に、前記デバイス用積層支持基板の前記透明半導体層側に電極を形成する工程をさらに備え、
前記電極は、前記デバイス用積層支持基板に照射される前記光を吸収する材料で形成される請求項1から請求項6のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記デバイス用積層支持基板を作製する工程の後、かつ、前記デバイス用積層ウエハを作製する工程の前に、前記デバイス用積層支持基板の前記透明半導体層側に接着剤および接着層のいずれかを形成する工程をさらに備え、
前記接着剤および前記接着層のいずれかは、前記デバイス用積層支持基板に照射される前記光を吸収する材料で形成される請求項1から請求項6のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記デバイス用積層支持基板を作製する工程の後、かつ、前記デバイス用積層ウエハを作製する工程の前に、前記デバイス用積層支持基板の前記透明半導体層側に仮支持基板および透明半導体層積層ウエハ支持基板のいずれかを配置する工程をさらに備え、
前記仮支持基板および前記透明半導体層積層ウエハ支持基板のいずれかは、前記デバイス用積層支持基板に照射される前記光を吸収する材料で形成される請求項1から請求項6のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記光を吸収するとは、前記デバイス用積層支持基板に照射される前記光の波長における光吸収係数が1×103cm-1以上であることを意味する請求項1から請求項9のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記デバイス用積層支持基板に照射される前記光は、波長500nm以上600nm未満の光である請求項1から請求項10のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項12】
前記デバイス用積層支持基板に前記光を照射して前記Ga含有透明支持基板と前記中間層とを分離する際に、前記Ga含有透明支持基板から前記Ga含有透明支持基板と前記中間層との界面に金属Gaが析出する請求項1から請求項11のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項13】
前記中間層の前記光熱変換層は、アモルファスシリコン層である請求項1から請求項12のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項14】
前記中間層の前記第1の透明層および前記第2の透明層は、それぞれ独立に酸化シリコン層もしくは窒化シリコン層である請求項6に記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項15】
前記透明半導体層は、III族窒化物半導体層である請求項1から請求項14のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−142385(P2012−142385A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293363(P2010−293363)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】