説明

半導体装置、およびその製造方法

【課題】配線間絶縁膜からビア間絶縁膜への水分の移動を抑制し、配線間の実効誘電率に与える影響の少ない絶縁膜を有する半導体装置、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の実施の形態による半導体装置1は、表面に半導体素子を有する半導体基板と、前記半導体基板上に形成された配線2bと、前記配線2bと同じ層に形成された配線間絶縁膜4bと、前記配線2bの下面に接続された第1のビア7aと、前記第1のビア7aと同じ層に形成された第1のビア間絶縁膜8aと、前記配線2bの上面に接続された第2のビア7bと、前記第2のビア7bと同じ層に形成された第2のビア間絶縁膜8bと、前記配線間絶縁膜4bと前記第1のビア間絶縁膜8aとの間、および前記配線間絶縁膜4bと前記第2のビア間絶縁膜8bとの間の少なくともいずれか一方に形成されたCuSiN膜9と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層配線構造を有する半導体装置、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の多層配線構造を有する半導体装置の高性能化に伴い、配線間絶縁膜やビア間絶縁膜に低誘電絶縁材料が用いられる傾向にある。一般に、低誘電材料は空孔率が高く、水分を含みやすいという性質を持つ。配線間絶縁膜やビア間絶縁膜に水分が多く含まれると、その水分により配線やビアを覆うバリアメタルが酸化するおそれがある。バリアメタルの酸化が進行すると、ビア底面におけるバリアメタルやバリアメタルで覆われた配線自体までもが酸化されて電気伝導が妨げられ、電気的特性の劣化等が生じる可能性がある。特に、ビアにおいては、表面積の体積に対する比率が配線と比較して大きいため、バリアメタルの酸化による影響が大きい。
【0003】
従来の半導体装置として、配線間絶縁膜とビア間絶縁膜との間にプラズマシリコン酸化膜を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。この半導体装置によれば、プラズマシリコン酸化膜に対して配線間絶縁膜やビア間絶縁膜のエッチング選択比を大きくとることができるため、例えば膜厚数十nm程度のプラズマシリコン酸化膜をエッチングストッパとして用いることができる。
【0004】
しかし、特許文献1に記載された半導体装置によると、プラズマシリコン酸化膜は水分を遮断する機能を有しないため、配線間絶縁膜中の水分がビア間絶縁膜中に移動し、ビア間絶縁膜中の水分のみならず配線間絶縁膜中の水分までがビアを覆うバリアメタルの酸化を促すおそれがある。また、プラズマシリコン酸化膜は誘電率が大きく、この場合は配線間の実効誘電率の上昇を招くことが懸念される。
【特許文献1】特開2000−294634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、配線間絶縁膜からビア間絶縁膜への水分の移動を抑制し、配線間の実効誘電率に与える影響の少ない絶縁膜を有する半導体装置、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、表面に半導体素子を有する半導体基板と、前記半導体基板上に形成された配線と、前記配線と同じ層に形成された配線間絶縁膜と、前記配線の下面に接続された第1のビアと、前記第1のビアと同じ層に形成された第1のビア間絶縁膜と、前記配線の上面に接続された第2のビアと、前記第2のビアと同じ層に形成された第2のビア間絶縁膜と、前記配線間絶縁膜と前記第1のビア間絶縁膜との間、および前記配線間絶縁膜と前記第2のビア間絶縁膜との間の少なくともいずれか一方に形成されたCuSiN膜と、を有することを特徴とする半導体装置を提供する。
【0007】
また、本発明の他の態様は、表面に半導体素子が形成された半導体基板上にビア間絶縁膜を形成する工程と、前記ビア間絶縁膜上にCu膜を形成し、前記Cu膜をSi含有ガスに曝してCu−Si化合物膜を形成し、前記Cu−Si化合物膜に窒化処理を行うことによりCuSiN膜を形成する工程と、前記CuSiN膜上に配線間絶縁膜を形成する工程と、前記ビア間絶縁膜、前記CuSiN膜、および前記配線間絶縁膜を加工して、前記ビア間絶縁膜にビア溝、前記配線間絶縁膜中に配線溝、前記CuSiN膜中にビア溝および配線溝の少なくともいずれか一方、を形成する工程と、前記ビア溝中にビア、前記配線溝中に配線を形成する工程と、を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、配線間絶縁膜からビア間絶縁膜への水分の移動を抑制し、配線間の実効誘電率に与える影響の少ない絶縁膜を有する半導体装置、およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
〔第1の実施の形態〕
(半導体装置の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【0010】
半導体装置1は、表面に半導体素子を有する半導体基板(図示しない)と、半導体基板上に積層された多層配線構造を有する。図1は、この多層配線構造の一部を示す断面図である。
【0011】
半導体装置1は、配線2a、2bと、配線2a、2bと同じ層に形成され、配線2a、2bと周辺の配線(図示しない)との間に形成された配線間絶縁膜4a、4bと、配線2aと配線2bを電気的に接続するビア7aと、配線2bと上層の配線(図示しない)とを電気的に接続するビア7bと、ビア7a、7bと同じ層に形成され、ビア7a、7bと周囲のビア(図示しない)との間に形成されたビア間絶縁膜8a、8bとを有する。なお、配線2a、2b、ビア7a、7b等の配置は図1に示したものに限られない。
【0012】
また、配線間絶縁膜4a、4b上にはキャップ層5a、5bが形成され、配線2a、2bおよびキャップ層5a、5b上にはエッチングストッパ6a、6bが形成されている。また、配線2aの表面にはバリアメタル3aが、配線2bおよびビア7aの表面にはバリアメタル3bが、ビア7bの表面にはバリアメタル3cが形成されている。
【0013】
また、配線間絶縁膜4bならびに配線2bとビア間絶縁膜8aとの間に、CuSiN膜9が形成されている。
【0014】
配線2a、2bおよびビア7a、7bは、例えば、Cuからなる。
【0015】
バリアメタル3a、3b、3cは、例えば、Ta、Ti、W、Ru、Co等の金属材料あるいはこれらの金属材料の化合物からなる。また、バリアメタル3a、3b、3cは、配線2a、2bおよびビア7a、7b内の金属が配線間絶縁膜4a、4b、ビア間絶縁膜8a、8b等の隣接する部材へ拡散することを防ぐ機能を有する。
【0016】
ビア間絶縁膜8a、8bは、SiOC、SiO、SiOCH、SiOF等の絶縁材料からなる。また、ビア間絶縁膜8a、8bは、例えば、150nm程度の厚さを有する。
【0017】
配線間絶縁膜4a、4bは、ビア間絶縁膜8a、8bと同様の材料を用いることができる。また、ポリアリーレン、ベンゾオキサゾール等の有機絶縁材料を用いてもよい。また、配線間絶縁膜4a、4bは、例えば、150nm程度の厚さを有する。
【0018】
キャップ層5a、5bは、SiO、SiC、SiOCH、SiOC等の絶縁材料からなり、配線2a、2bを形成する際のCMP(Chemical Mechanical Polishing)による平坦化処理のためのストッパ等として用いられる。また、キャップ層5a、5bは、例えば、100nm程度の厚さを有する。なお、CMP等を行う際における配線間絶縁膜4a、4bのダメージがさほど問題とならない場合は、キャップ層5a、5bの形成を省略してもよい。
【0019】
エッチングストッパ6a、6bは、SiC、SiN、SiCN等のビア間絶縁膜8a、8bとの間で高いエッチング選択比を有する絶縁材料からなり、配線2a、2bの上層の部材をエッチングする際のストッパとして働く。また、配線2a、2b内の金属の上層の部材への拡散を防ぐ。なお、エッチングストッパ6a、6bは、配線2a、2bの上面にのみ形成されるものであってもよい。また、エッチングストッパ6a、6bは、例えば、50nm程度の厚さを有する。
【0020】
CuSiN膜9は、水分をほとんど通さないという性質を有するため、配線間絶縁膜4bとビア間絶縁膜8aの間の水分の移動を遮断することができる。また、CuSiN膜9は、1〜10nmの厚さを有する。これは、1nmより薄い場合は水分を遮断する効果が薄くなるおそれがあり、10nmよりも厚い場合は、周囲の配線間の実効誘電率を大きく上昇させるおそれがあるためである。
【0021】
(半導体装置の製造方法)
図2(a)〜(d)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0022】
まず、図2(a)に示すように、図示しない半導体基板上にバリアメタル3aにより表面を覆われた配線2a、配線間絶縁膜4a、およびキャップ層5aを形成する。下層の配線2aは、例えば、配線溝が形成された配線間絶縁膜4a、およびキャップ層5a上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法もしくはPVD(Physical Vapor Deposition)法によりバリアメタル3a、およびめっき法により配線2aとなるCuを堆積した後、CMPにより配線溝外のバリアメタル3aおよびCuを除去することで、配線構内に埋め込み形成される。
【0023】
次に、図2(b)に示すように、配線2a、およびキャップ層5a上に、エッチングストッパ6a、ビア間絶縁膜8a、CuSiN膜9、配線間絶縁膜4b、およびキャップ層5bを積層する。
【0024】
ここで、CuSiN膜9は以下に示す工程により形成する。まず、CVD法もしくはPVD法によりビア間絶縁膜8a上にCu膜を1〜10nm程度の厚さに形成した後、モノシラン(SiH)ガス等のSi含有ガスに曝すことにより、Cu−Si化合物膜を形成する。その後、NHプラズマ照射等によりCu−Si化合物膜に窒化処理を行い、CuSiN膜9を形成する。なお、CuSiN膜9の膜厚は上記各工程の条件を変動させることにより制御することができる。また、各工程の実施時間、温度は、例えば、各工程毎1〜30秒、250〜450℃の範囲で調節する。
【0025】
次に、図2(c)に示すように、例えばフォトリソグラフィ法とRIE(Reactive Ion Etching)法により、エッチングストッパ6a、ビア間絶縁膜8a、CuSiN膜9、配線間絶縁膜4b、およびキャップ層5bを加工し、エッチングストッパ6a、ビア間絶縁膜8a、およびCuSiN膜9中にビア溝11、配線間絶縁膜4b、およびキャップ層5b中に配線溝10を形成する。本実施の形態においては、ビア間絶縁膜8aの上面にCuSiN膜9が残るため、ビア間絶縁膜8aの上面をエッチングによるダメージから守ることができる。
【0026】
なお、配線溝10およびビア溝11を形成した後、配線溝10およびビア溝11の内面に生じたエッチングによるダメージの補修を行ってもよい。補修は、例えば配線間絶縁膜4b、ビア間絶縁膜8aがメチルシロキサン等のシロキサン結合を主骨格とする材料からなる場合、シラノール基を有する有機系ガスや有機系薬液からなる修復剤を用いて、エッチングによりメチル基が欠損した箇所にメチル基等の炭化水素基を再結合させることにより行う。
【0027】
次に、図2(d)に示すように、下層配線の場合と同様の方法で、バリアメタル3bにより表面を覆われた配線2bおよびビア7aを配線溝10およびビア溝11内に形成する。
【0028】
この後、エッチングストッパ6b、バリアメタル3cにより表面を覆われたビア7c、ビア間絶縁膜8b等を上層に形成することにより、図1に示した半導体装置1を形成する。
【0029】
(第1の実施の形態の効果)
本発明の第1の実施の形態によれば、CuSiN膜9が形成されているために配線間絶縁膜4b中の水分がビア間絶縁膜8aに移動しない。そのため、配線間絶縁膜4b中の水分によりビア7aの表面のバリアメタル3bの酸化が促進されることがない。
【0030】
また、CuSiN膜9は、膜厚の制御が比較的容易であり、超薄膜として形成することができる。膜厚が薄いと言うことは、CuSiN膜9自体の誘電率が配線間の実効誘電率にほとんど影響を及ぼさないということである。なお、シミュレーションによれば、例えば、32nmノードの多層配線構造においてビア間絶縁膜上に2nmのCuSiN膜を形成した場合の配線間の実効誘電率の上昇率は1%以下であり、CuSiN膜の配線間の実効誘電率への影響は無視できる程に小さい。
【0031】
また、CuSiN膜9は、配線間絶縁膜4bやビア間絶縁膜8aとの間のエッチング選択比を大きくとることができ、配線溝10およびビア溝11の形成時に除去されるおそれが少ない。そのため、CuSiN膜9が配線2bの下にも形成され、ビア間絶縁膜8a中の水分による配線2bの下面のバリアメタル3bの酸化を抑制することができる。
【0032】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態は、CuSiN膜の形成される位置において第1の実施の形態と異なる。他の部材の構成等、第1の実施の形態と同様の点については説明を省略する。
【0033】
(半導体装置の構成)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【0034】
半導体装置1は、表面に半導体素子を有する半導体基板(図示しない)と、半導体基板上に積層された多層配線構造を有する。図3は、この多層配線構造の一部を示す断面図である。
【0035】
本実施の形態においては、CuSiN膜9bが配線間絶縁膜4bとビア間絶縁膜8aとの間に形成され、配線2bの下には形成されない。また、配線間絶縁膜4aと下層のビア間絶縁膜(図示しない)との間にCuSiN膜9aが形成されている。
【0036】
(半導体装置の製造方法)
図4(a)〜(d)は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0037】
まず、図4(a)に示すように、図示しない半導体基板上にバリアメタル3aにより表面を覆われた配線2a、配線間絶縁膜9a、4a、およびキャップ層5aを形成する。
【0038】
次に、図4(b)に示すように、配線2a、およびキャップ層5a上に、エッチングストッパ6a、ビア間絶縁膜8a、CuSiN膜9b、配線間絶縁膜4b、およびキャップ層5bを積層する。
【0039】
次に、図4(c)に示すように、例えばフォトリソグラフィ法とRIE(Reactive Ion Etching)法により、エッチングストッパ6a、ビア間絶縁膜8a、CuSiN膜9b、配線間絶縁膜4b、およびキャップ層5bを加工し、配線溝10およびビア溝11を形成する。本実施の形態においては、配線2bが形成される位置に対応する部分のCuSiN膜9bは除去される。このため、配線溝10およびビア溝11の形成後に熱処理を施し、CuSiN膜9bの形成されていないビア間絶縁膜8aの上面からビア間絶縁膜8a内の水分を蒸発させ、ビア間絶縁膜8aの水分含有量を減少させることができる。この熱処理は、例えば300℃で60s行われる。本実施の形態において、CuSiN膜9a、9bは、前述した第1の実施の形態のCuSiN膜9と同様の工程により形成することができる。
【0040】
なお、配線溝10およびビア溝11を形成した後、配線溝10およびビア溝11の内面に生じたエッチングによるダメージの補修を行ってもよい。補修は、例えば配線間絶縁膜4b、ビア間絶縁膜8aがメチルシロキサン等のシロキサン結合を主骨格とする材料からなる場合、シラノール基を有する有機系ガスや有機系薬液からなる修復剤を用いて、エッチングによりメチル基が欠損した箇所にメチル基等の炭化水素基を再結合させることにより行う。
【0041】
次に、図4(d)に示すように、バリアメタル3bにより表面を覆われた配線2bおよびビア7aを配線溝10およびビア溝11内に形成する。
【0042】
この後、エッチングストッパ6b、バリアメタル3cにより表面を覆われたビア7c、ビア間絶縁膜8b等を上層に形成することにより、図3に示した半導体装置1を形成する。
【0043】
(第2の実施の形態の効果)
本発明の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、CuSiN膜9bにより配線間絶縁膜4b中の水分がビア間絶縁膜8aに移動することを防ぐことができる。そのため、配線間絶縁膜4b中の水分によりビア7aの表面のバリアメタル3bの酸化が促進されることがない。
【0044】
また、熱処理工程を行い、CuSiN膜9bの形成されていないビア間絶縁膜8aの上面からビア間絶縁膜8a内の水分を蒸発させ、ビア間絶縁膜8aの水分含有量を減少させることができる。これにより、ビア7aの表面のバリアメタル3bの酸化が抑制される。
【0045】
〔第3の実施の形態〕
本発明の第3の実施の形態は、CuSiN膜の形成される位置において第1の実施の形態と異なる。他の部材の構成等、第1の実施の形態と同様の点については説明を省略する。
【0046】
(半導体装置の構成)
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【0047】
半導体装置1は、表面に半導体素子を有する半導体基板(図示しない)と、半導体基板上に積層された多層配線構造を有する。図5は、この多層配線構造の一部を示す断面図である。
【0048】
本実施の形態においては、CuSiN膜9が配線間絶縁膜4bならびに配線2bとビア間絶縁膜8aとの間に形成される。また、CuSiN膜12a、12bがエッチングストッパ6a、6bとキャップ層5a、5bならびに配線2a、2bとの間に形成される。CuSiN膜12a、12bは、CuSiN膜9と同様の工程により形成される。
【0049】
なお、CuSiN膜9は、第2の実施の形態におけるCuSiN膜9bと同様に、配線2b下の部分が除去された形状であってもよい。また、CuSiN膜12a、12bは、配線2a、2b上には形成されずに、キャップ層5a、5b上にのみ形成される構成であってもよい。また、CuSiN膜9が形成されずに、CuSiN膜12a、12bのみが形成された構成であってもよい。
【0050】
(第3の実施の形態の効果)
本発明の第3の実施の形態によれば、ビア間絶縁膜8aとその上下の配線間絶縁膜4a、4bとの間にCuSiN膜12a、9を形成することにより、上下の配線間絶縁膜4a、4b中の水分がビア間絶縁膜8aに移動することを防ぐことができる。そのため、ビア7aの表面のバリアメタル3bの酸化をより効果的に抑制することができる。また、ビア7bの表面のバリアメタル3cの酸化も同様に抑制することができる。
【0051】
〔第4の実施の形態〕
本発明の第4の実施の形態は、配線間絶縁膜中にエアギャップが形成される点において第1の実施の形態と異なる。他の部材の構成等、第1の実施の形態と同様の点については説明を省略する。
【0052】
(半導体装置の構成)
図6は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【0053】
半導体装置1は、表面に半導体素子を有する半導体基板(図示しない)と、半導体基板上に積層された多層配線構造を有する。図6は、この多層配線構造の一部を示す断面図である。
【0054】
本実施の形態においては、エアギャップ13が配線間絶縁膜4b、CuSiN膜9、キャップ層5b、エッチングストッパ6b中に形成される。なお、エアギャップ13の配置は、図6に示したものに限られない。また、エアギャップ13は、配線間絶縁膜4a中に形成されてもよい。
【0055】
また、CuSiN膜9は、第2の実施の形態におけるCuSiN膜9bと同様に、配線2b下の部分が除去された形状であってもよい。また、第3の実施の形態と同様に、エッチングストッパ6a、6bとキャップ層5a、5bならびに配線2a、2bとの間、またはエッチングストッパ6a、6bとキャップ層5a、5bとの間にCuSiN膜12a、12bが形成されてもよい。
【0056】
(半導体装置の製造方法)
図7(a)〜(c)は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0057】
まず、図7(a)に示すように、第1の実施の形態における図2(d)に示した配線2bを形成するまでの工程を行う。
【0058】
次に、図7(b)に示すように、エッチングストッパ6bを形成した後、例えばフォトリソグラフィ法とRIE(Reactive Ion Etching)法により、エッチングストッパ6b、キャップ層5b、配線間絶縁膜4b、CuSiN膜9を加工してエアギャップ13を形成する。なお、エアギャップ13の形成後に熱処理を施し、エアギャップ13を通してビア間絶縁膜8a内の水分を蒸発させ、ビア間絶縁膜8aの水分含有量を減少させることができる。
【0059】
次に、図7(c)に示すように、エッチングストッパ6b上にビア間絶縁膜8bを形成する。
【0060】
この後、ビア間絶縁膜8b中にバリアメタル3cにより表面を覆われたビア7cを形成することにより、図6に示した半導体装置1を形成する。
【0061】
(第4の実施の形態の効果)
第1の実施の形態において示した半導体装置1の製造方法によれば、CuSiN膜9を形成する際に、CuSiN膜9だけでなく、Cu膜等の導電性の物質が同時に形成されてしまうおそれがある。このような導電性の物質がCuSiN膜9の表面や内部に形成されると、配線間のリークを引き起こすおそれがある。そこで、本発明の第4の実施の形態によれば、エアギャップ13を形成してCuSiN膜9を部分的に分断することにより、水分の移動を抑制する効果は薄れるものの、導電性の物質の存在による配線間のリークを防ぐことができる。
【0062】
また、エアギャップ13により、配線2bとその周辺の配線(図示しない)との配線間容量を下げることができる。
【0063】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
【0064】
また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記各実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図7】(a)〜(c)は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 半導体装置
2a、2b 配線
4a、4b 配線間絶縁膜
7a、7b ビア
8a、8b ビア間絶縁膜
9、9a、9b、12a、12b CuSiN膜
11 ビア溝
13 エアギャップ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に半導体素子を有する半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された配線と、
前記配線と同じ層に形成された配線間絶縁膜と、
前記配線の下面に接続された第1のビアと、
前記第1のビアと同じ層に形成された第1のビア間絶縁膜と、
前記配線の上面に接続された第2のビアと、
前記第2のビアと同じ層に形成された第2のビア間絶縁膜と、
前記配線間絶縁膜と前記第1のビア間絶縁膜との間、および前記配線間絶縁膜と前記第2のビア間絶縁膜との間の少なくともいずれか一方に形成されたCuSiN膜と、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記CuSiN膜は、前記配線間絶縁膜ならびに前記配線と前記第1のビア間絶縁膜との間、および前記配線間絶縁膜ならびに前記配線と前記第2のビア間絶縁膜との間の少なくともいずれか一方に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記配線間絶縁膜およびCuSiN膜は、エアギャップを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記CuSiN膜は、1〜10nmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
表面に半導体素子が形成された半導体基板上にビア間絶縁膜を形成する工程と、
前記ビア間絶縁膜上にCu膜を形成し、前記Cu膜をSi含有ガスに曝してCu−Si化合物膜を形成し、前記Cu−Si化合物膜に窒化処理を行うことによりCuSiN膜を形成する工程と、
前記CuSiN膜上に配線間絶縁膜を形成する工程と、
前記ビア間絶縁膜、前記CuSiN膜、および前記配線間絶縁膜を加工して、前記ビア間絶縁膜にビア溝、前記配線間絶縁膜中に配線溝、前記CuSiN膜中にビア溝および配線溝の少なくともいずれか一方、を形成する工程と、
前記ビア溝中にビア、前記配線溝中に配線を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−258431(P2008−258431A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−99533(P2007−99533)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】