説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】半導体基板の貫通接続部において、表面側配線層の貫通孔底部での剥離および破断が防止され、接続不良等が改善された半導体装置と、そのような半導体装置を製造する方法を提供する。
【解決手段】貫通孔3を有する半導体基板2の表面に、該貫通孔3と同径の開口4aを有する第1の絶縁層4が被覆され、その上に第1の配線層5が開口4aを覆い形成されている。また、貫通孔3内および半導体基板2の裏面に第2の絶縁層6が被覆されている。第2の絶縁層6は、第1の配線層5と内接するように形成され、内接部に第1の絶縁層4の開口4aよりも小径の複数の開口6aを有している。さらに、貫通孔3内に第2の配線層7が充填・形成され、この第2の配線層7は第2の絶縁層6の複数の開口6aを介して第1の配線層5に内接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に係り、特に、半導体基板の表裏面の配線間を電気的に接続する貫通接続部を有する半導体装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路を用いたメモリデバイスにおいては、メモリ容量を高めるため、メモリチップ(半導体チップ)を多段に積重することが提案されている。半導体チップには表裏面を貫通する貫通孔が形成され、この貫通孔内に導電体層が形成されるとともに、導電体層と導通する金属バンプがチップ裏面に設けられている。上段の半導体チップの金属バンプは下段の半導体チップの表面に形成された金属パッドに接合され、こうして上段のメモリチップの集積回路部分と下段のメモリチップの集積回路部分とが電気的に接続されている。
【0003】
このような貫通接続部を有する半導体装置として、従来から、半導体基板の裏面からエッチングにより貫通孔を形成し、この貫通孔内に形成した導通部により、半導体基板の表面と裏面の配線層間を電気的に接続した構造の装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0004】
以下、従来の半導体装置について説明する。図8に示す従来の半導体装置100において、シリコンから成る半導体基板101は表裏面を貫通する貫通孔102を有し、この貫通孔102の内壁面から半導体基板101の裏面に亘って、絶縁膜103が形成されている。そして、貫通孔102内に貫通配線部104が形成されている。貫通配線部104は、半導体基板101の表面側に形成された配線層(表面側配線層)105と裏面側に形成された外部端子(半田ボール)106とを電気的に接続している。半導体基板101の表面には絶縁層(表面側絶縁層)107が形成され、この絶縁層107上に表面側配線層105が形成され、さらにその上に保護膜(表面側保護膜)108が形成されている。そして、半導体基板101の表面側には、集積回路によりイメージセンサ等の半導体デバイスが形成されている。さらに、半導体基板101の裏面には、貫通配線部104に接続された外部端子106と、絶縁膜(裏面側絶縁膜)103および裏面側保護膜109が設けられている。外部端子106は外側に突出するように形成されている。
【0005】
この半導体装置100において、貫通孔102と表面側絶縁層107の開口107aおよび裏面側絶縁膜103の開口は、同一形状で同一の径を有し、以下に示すようにして形成されている。すなわち、半導体基板101を、その裏面側から所定のマスクパターン(図示を省略。)を用いて表面側絶縁層107が露出するまでエッチングすることにより、貫通孔102が形成される。次いで、形成された貫通孔102をマスクに用いて、半導体基板101に比べて選択比の大きいエッチング方法で表面側絶縁層107をエッチングすることにより、表面側絶縁層107の開口107aが形成されている。さらに、貫通孔102の内壁面および半導体基板101の裏面に、貫通孔102の底面および内壁面に比べて半導体基板101の裏面側の膜厚が厚くなるように、裏面側絶縁膜103を形成した後、この裏面側絶縁膜103を、異方性エッチングを用いてエッチバックする。こうして、貫通孔102底面部の絶縁膜103が除去され、表面側配線層105が露出される。
【特許文献1】米国特許第5,229,647号公報
【特許文献2】特許3,186,941号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような方法で製造される従来の半導体装置100においては、露出された表面側配線層105と表面側保護膜108との密着性が十分ではない場合、表面側絶縁層107に開口107aを形成する際に、表面側配線層105と表面側保護膜108との間に剥離が生じ、機械的な信頼性が低下することがあった。また、裏面側絶縁膜103に開口を形成する際に、エッチング(プラズマエッチング等)時の差圧により表面側配線層105が撓みやすく、撓んだ表面側配線層105が破断して接続不良を招き、歩留まりが低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、半導体基板の貫通接続部において、表面側配線層の貫通孔底部での剥離および破断が防止され、接続不良等が改善された半導体装置と、そのような半導体装置を製造する方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の第1の面と第2の面を貫通して設けられた貫通孔と、前記半導体基板の第1の面に設けられた、前記貫通孔の第1の面側の開口部上に開口を有する第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に前記開口を覆うように設けられた第1の導電体層と、前記第1の絶縁層の開口を介して前記第1の導電体層に内接するように前記貫通孔の内壁面から前記半導体基板の第2の面上に設けられた、前記内接部に前記第1の絶縁層の開口よりも小径の複数の開口を有する第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の複数の開口を介して前記第1の導電体層に内接し、かつ前記貫通孔内および前記半導体基板の第2の面上の前記第2の絶縁層上に連接して設けられた第2の導電体層とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様に係る半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の第1の面と第2の面を貫通して設けられた貫通孔と、前記半導体基板の第1の面に設けられた、前記貫通孔の第1の面側の開口部上に該開口部よりも小径の複数の開口を有する第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に前記複数の開口を覆うように設けられた第1の導電体層と、前記第1の絶縁層の前記半導体基板側の面に内接するように前記貫通孔の内壁面から前記半導体基板の第2の面上に設けられた、前記内接部に前記第1の絶縁層の複数の開口に連通する同径の開口をそれぞれ有する第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層および前記第1の絶縁層の複数の開口を介して前記第1の導電体層に内接し、かつ前記貫通孔内および前記半導体基板の第2の面上の前記第2の絶縁層上に連接して設けられた第2の導電体層とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の態様に係る半導体装置は、第1の面と第2の面を有する半導体基板と、前記半導体基板の第2の面から該半導体基板の厚さよりも浅く設けられた凹孔と、前記凹孔の底部に前記半導体基板の第1の面側に貫通するように設けられた、該凹孔よりも小径の複数の小貫通孔と、前記半導体基板の第1の面に設けられた、前記各小貫通孔の第1の面側の開口部上に同径の開口をそれぞれ有する第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に前記開口を覆うように設けられた第1の導電体層と、前記各小貫通孔の第1の面側の開口部において第1の導電体層と内接するように、前記凹孔および前記小貫通孔の内壁面から前記半導体基板の第2の面上に連接して設けられた、前記内接部に前記第1の絶縁層の複数の開口とほぼ同径の複数の開口を有する第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層の複数の開口を介して前記第1の導電体層に内接し、かつ前記凹孔内と前記小貫通孔内および前記半導体基板の第2の面上の前記第2の絶縁層上に連接して設けられた第2の導電体層とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の態様に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の第1の面に第1の絶縁層を形成する工程と、前記第1の絶縁層上に第1の導電体層を形成する工程と、前記半導体基板の第2の面側から第1の面側へ貫通孔を形成し、該貫通孔の第1の面側の端部で前記第1の絶縁層を露出させる工程と、前記貫通孔の第1の面側の端部に露出された前記第1の絶縁層に開口を形成し、前記第1の導電体層を露出させる工程と、前記露出された第1の導電体層上および前記貫通孔の内壁面から前記半導体基板の第2の面上に、第2の絶縁層を形成する工程と、前記露出された第1の導電体層上に形成された前記第2の絶縁層に、前記第1の絶縁層の開口よりも小径の複数の開口を形成し、前記第1の導電体層を再び露出させる工程と、前記貫通孔内の前記第2の絶縁層上から前記半導体基板の第2の面の前記第2の絶縁層上に亘って、前記第2の絶縁層の複数の開口を介して前記第1の導電体層に内接するように第2の導電体層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の態様に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の第1の面に第1の絶縁層を形成する工程と、前記第1の絶縁層上に第1の導電体層を形成する工程と、前記半導体基板の第2の面側から第1の面側へ貫通孔を形成し、該貫通孔の第1の面側の端部で前記第1の絶縁層を露出させる工程と、前記露出された第1の絶縁層上および前記貫通孔の内壁面から前記半導体基板の第2の面上に、第2の絶縁層を形成する工程と、前記露出された第1の絶縁層上に形成された前記第2の絶縁層に前記貫通孔より小径の複数の開口を形成し、さらに下層の前記第1の絶縁層に前記第2の絶縁層の開口に連接して同径の開口を形成して、前記第1の導電体層を露出させる工程と、前記第2の絶縁層および第1の絶縁層の複数の開口を介して前記第1の導電体層に内接するように、前記貫通孔内の前記第2の絶縁層上から前記半導体基板の第2の面の前記第2の絶縁層上に亘って第2の導電体層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第6の態様に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の第1の面に第1の絶縁層を形成する工程と、前記第1の絶縁層上に第1の導電体層を形成する工程と、前記半導体基板の第2の面側から該半導体基板の厚さよりも浅い凹孔を形成する工程と、前記凹孔の第1の面側の端部において、前記半導体基板の第1の面側に貫通するように前記凹孔よりも小径の複数の小貫通孔を形成し、該小貫通孔の第1の面側の端部で前記第1の絶縁層を露出させる工程と、前記露出された第1の絶縁層に前記小貫通孔と同径の複数の開口を連接して形成し、前記第1の導電体層を露出させる工程と、前記凹孔と前記小貫通孔の内壁面および前記半導体基板の第2の面を覆い、かつ前記第1の絶縁層の複数の開口により露出した前記第1の導電体層に内接するように、第2の絶縁層を形成する工程と、前記第1の導電体層との内接部において、前記第2の絶縁層に前記第1の絶縁層の複数の開口とほぼ同径の複数の開口を形成し、前記第1の導電体層を露出させる工程と、前記第2の絶縁層の複数の開口を介して前記第1の導電体層に内接するように、前記小貫通孔内および前記凹孔内の前記第2の絶縁層上から前記半導体基板の第2の面の前記第2の絶縁層上に亘って第2の導電体層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の態様に係わる半導体装置および第4の態様に係る半導体装置の製造方法によれば、貫通孔の内壁面および第2の面に被覆・形成された第2の絶縁層が、貫通孔の第1の面側の開口部(底部)で第1の導電体層と内接するように形成されて、この内接部に第1の絶縁層の開口よりも小径の開口を複数有しており、かつ貫通孔内に充填された第2の導電体層が、この小径の複数の開口を介して第1の導電体層に内接されて電気的に接続されているので、貫通孔の底部において、第2の絶縁層が第1の導電体層の補強構造体として機能する。したがって、第1の導電体層に剥離や破断が生じることがなくなり、電気的接続性が向上する。そして、歩留まりが向上し、電気的・機械的信頼性が良好な半導体装置が得られる。
【0015】
本発明の第2の態様に係わる半導体装置および第5の態様に係る半導体装置の製造方法によれば、前記第1の態様および第4の態様と同様に、貫通孔の底部において、第2の絶縁層が第1の導電体層の補強構造体として機能するうえに、第2の絶縁層と同様に小径の開口を複数有する第1の絶縁層が、第1の導電体層に内接するように形成されているので、前記した第1の態様および第4の態様に比べて、第1の導電体層に対する補強効果がさらに向上し、電気的・機械的信頼性がさらに良好な半導体装置を得ることができる。
【0016】
本発明の第3の態様に係わる半導体装置および第6の態様に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体基板の第2の面側から該基板の厚さより浅く設けられた凹孔の第1の面側の端部(底部)において、この凹孔よりも小径の小貫通孔が複数形成され、これら凹孔および小貫通孔の内壁面に被覆・形成された第2の絶縁層が、第1の導電体層との内接部に小貫通孔および第1の絶縁層の開口と同径の複数の開口を有するように構成されているので、半導体基板の凹孔より第1の面側の部分(小貫通孔の深さに相当する厚さを有する)が、第1の絶縁層とともに第1の導電体層に対する補強構造体として機能する。そのため、前記した第2の態様および第5の態様よりさらに補強効果が向上し、電気的・機械的信頼性がよりいっそう良好な半導体装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下の記載では実施形態を図面に基づいて説明するが、それらの図面は図解のために提供されるものであり、本発明はそれらの図面に限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図であり、図2Aおよび図2Bは、第1の実施形態における第2の絶縁層の開口の形状を示す平面図である。また、図3A〜図3Hは、第1の実施形態の半導体装置を製造する方法における各工程を示す断面図である。
【0019】
図1に示すように、第1の実施形態の半導体装置1は、シリコン等から成る半導体基板2を有し、この半導体基板2には、その第1の面である表面(素子領域形成面)と第2の面である裏面とを貫通する貫通孔3が形成されている。また、半導体基板2の表面には、貫通孔3の上部(表面側端部)に該貫通孔3と同径の開口4aを有する第1の絶縁層4が被覆されており、この第1の絶縁層4の上には第1の導電体層である配線層5が形成されている。第1の配線層5は、第1の絶縁層4の開口4aを覆い閉塞するように形成されている。また、貫通孔3の内壁面および半導体基板2の裏面には、第2の絶縁層6が被覆されている。第2の絶縁層6は、第1の配線層5と内接するように形成され、この内接部に、第1の絶縁層4の開口4aよりも小径の複数の開口6aを有している。
【0020】
第2の絶縁層6の有する複数の開口6aの形状および配置の例を、図2Aおよび図2Bにそれぞれ示す。開口6aの形状は特に限定されず、円形、楕円形、四角形、五角形以上の多角形などでも良い。また、開口6aの個数および配置形態も特に限定されず、ランダムに配置しても良いが、一方向にあるいは縦横両方向(xy方向)に並べて配置するなど、所定の配列で配置することが好ましい。特に、図2Bに示すように、多数の開口6aをxy両方向の格子点をなすように配置した場合には、第1の配線層5に対する補強効果がxy両方向にバランスよく発揮され、補強効果が大きいという利点がある。
【0021】
また、貫通孔3内に第2の導電体層である配線層7が充填・形成されている。この第2の配線層7は、第2の絶縁層6の複数の開口6aを介して第1の配線層5に内接しており、かつ貫通孔3内から半導体基板2の裏面の第2の絶縁層6上に亘って形成されている。さらに、半導体基板2の裏面の第2の配線層7上には外部端子8が設けられ、半導体基板2の裏面において、外部端子8の配設部を除く第2の配線層7上と第2の絶縁層6上には、保護層(裏面側保護層)9が被覆されている。
【0022】
なお、半導体基板2の表面の第1の配線層5上には、図示を省略したが、表面側保護膜が形成されている。また、第1の配線層5と表面側保護膜との間には、さらに絶縁層や配線層が設けられた多層配線構造が形成されていてもよい。さらに、半導体装置1がイメージセンサパッケージの態様を有する場合には、半導体基板2の表面に接着層を介してガラスなどの光透過性保護基板が形成されているが、説明の簡略化のために図示を省略する。第2および第3の実施形態においても同様である。
【0023】
このように構成される第1の実施形態の半導体装置1は、以下に示すように製造される。すなわち、まず図3Aに示す第1の工程において、半導体基板2の表面(第1の面)に第1の絶縁層4を、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スピンコート法、スプレーコート法等により形成する。第1の絶縁層4は、例えば、シリコン酸化物(SiO)、シリコン窒化物(SiN)、SiOF(Fluorine−doped SiO)、ポーラスSiOC(Carbon−doped SiO)等により構成される。
【0024】
次いで、図3Bに示す第2の工程において、第1の絶縁層4の上に第1の配線層5を、スパッタ法、CVD法、蒸着法、めっき法等により形成する。第1の配線層5は、例えば、高抵抗金属材料(Ti、TiN、TiW、Ni、Cr、TaN、CoWP等)や低抵抗金属材料(Al、Al−Cu、Al−Si−Cu、Cu、Au、Ag等)から成る単一層であるか、もしくは前記材料から成る複数の層が積層された構造を有する。
【0025】
なお、図示を省略したが、第1の配線層5を形成した後、その上に表面側保護膜を形成する。表面側保護膜は、SiO膜、SiN膜、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂あるいはソルダーレジスト材から構成され、例えばCVD法やスピンコート法、スプレーコート法、印刷法等によって形成される。また、第1の配線層5と表面側保護膜との間に、さらに絶縁層や配線層が設けられた多層配線構造では、絶縁層や配線層はCVD法やスパッタ法、蒸着法、めっき法等により形成する。多層配線構造を形成する場合、図3Aおよび図3Bに示す工程を繰り返し行い、図示を省略するが、各配線層間は金属ビアにより電気接続する。またさらに、半導体装置1がイメージセンサパッケージの態様を有する場合には、半導体基板2の表面に、接着層(例えば、感光性または非感光性のエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂)を介して、ガラスなどの光透過性保護基板が接着される。
【0026】
次いで、図3Cに示す第3の工程において、半導体基板2の裏面側から所定のパターンのマスク(図示を省略。)を使用して、プラズマエッチング法により貫通孔3を形成し、貫通孔3の底面部で第1の絶縁層4を露出させる。なお、この貫通孔3は、断面が第1の絶縁層4に向かってテーパー状を呈するものであることが好ましい。貫通孔3の形成においては、第1の絶縁層4に比べて半導体基板2が相対的に大きくエッチングされるように、プラズマ中にエッチング用のガスを導入してプラズマエッチングを行う。エッチング用のガスとしては、例えば、半導体基板2がシリコン(Si)で第1の絶縁層4がSiO膜の場合には、SFとOとArの混合ガスを使用する。
【0027】
次いで、図3Dに示す第4の工程において、第1の絶縁層4の露出部をプラズマエッチングにより除去して、第1の絶縁層4に開口4aを形成し、第1の配線層5を露出させる。このとき、半導体基板2や第1の配線層5に比べて第1の絶縁層4が相対的に大きくエッチングされるように、プラズマ中にエッチング用のガス(例えば、第1の絶縁層4がSiO膜で半導体基板2がシリコン、第1の配線層5がTiN、Alで構成される場合は、CとOとArの混合ガス)を導入してプラズマエッチングを行う。
【0028】
なお、前記した第3の工程と第4の工程は、レーザエッチング法によりマスクを用いることなく一括して行うことができる。レーザ光源としては、例えば、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ、UV(固体紫外線)レーザ、エキシマレーザ、炭酸ガス(CO)レーザ等が使用される。YAGレーザの波長帯は355nm、UVレーザの波長帯は213nmおよび266nm(CLBO:セシウムリチウムトリボレート結晶)、355nm(CBO:セシウムトリボレート結晶、LBO:リチウムトリボレート結晶)、エキシマレーザの波長帯は、193nm(ArF)、248nm(KrF)、308nm(XeCl)、351nm(XeF)である。半導体基板2がシリコンで第1の絶縁層4がSiO膜である場合は、レーザ光源として波長355nmのYAGレーザの使用が好ましい。
【0029】
次いで、図3Eに示す第5の工程において、貫通孔3の底面(第1の配線層5の露出部)および内壁面から半導体基板2の裏面を覆うように、第2の絶縁層6をCVD法、スプレーコート法、スピンコート法、フィルムラミネート法等により形成する。第2の絶縁層6は、例えばシリコン酸化物、シリコン窒化物、ポリイミド樹脂、BCB(ベンゾシクロブテン)樹脂、エポキシ樹脂等により構成される。
【0030】
次いで、図3Fに示す第6の工程において、貫通孔3の底面部に第1の配線層5を覆うように形成された第2の絶縁層6に、所定のパターンのマスク(図示を省略。)を使用しプラズマエッチングにより、第1の絶縁層4の開口4aよりも小径の複数の小開口6aを形成し、これらの小開口6aを介して第1の配線層5を再び露出させる。小開口6aの形成では、第1の配線層5に比べて第2の絶縁層6が相対的に大きくエッチングされるように、プラズマ中にエッチング用のガス(例えば、第2の絶縁層6がSiO膜で第1の配線層5がTiN、Alで構成される場合は、CとOとArの混合ガス)を導入してプラズマエッチングを行う。
【0031】
また、第2の絶縁層6を除去し小開口6aを形成する工程を、レーザエッチング法を使用し、マスクを用いることなく行うことができる。レーザ光源としては、例えば、YAGレーザ、UVレーザ、エキシマレーザ、炭酸ガス(CO)レーザ等が使用される。第2の絶縁層6が樹脂膜であり、特に微細径の小開口6aを形成する場合は、波長266nmのUVレーザの使用が好ましい。
【0032】
次いで、図3Gに示す第7の工程において、貫通孔3内の第2の絶縁層6上から半導体基板2の裏面の第2の絶縁層6上に亘って、かつ第2の絶縁層6の複数の小開口6aを介して第1の配線層5に内接するように、第2の配線層7を形成する。この第2の配線層7は、例えば、高抵抗金属材料(Ti、TiN、TiW、Ni、Cr、TaN、CoWP等)や低抵抗金属材料(Al、Al−Cu、Al−Si−Cu、Cu、Au、Ag、半田材等)、あるいは導電性樹脂から成る単一層であるか、もしくは前記材料から成る複数の層が積層された構造を有する。そして、第2の配線層7の形成は、所定のパターンのマスク(図示を省略。)を用い、スパッタ法、CVD法、蒸着法、めっき法、印刷法等により行う。貫通孔3内を隙間なく充填するように第2の配線層7を形成することが望ましいが、完全に充填せず間隙があってもよい。
【0033】
その後、図3Hに示す第8の工程において、第2の配線層7上に外部端子8を形成し、この外部端子8の配設部を除く第2の配線層7上および第2の絶縁層6上に、裏面側保護層9を形成する。外部端子8は例えば半田材で形成され、裏面側保護層9は、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂あるいはソルダーレジスト材で形成される。次いで、半導体基板2をダイサーの切削ブレードにより切断する。こうして図1に示す半導体装置1の個片が得られる。
【0034】
このように製造される第1の実施形態の半導体装置1においては、貫通孔3の内壁面および裏面に被覆された第2の絶縁層6が第1の配線層5と内接するように形成され、この内接部に第1の絶縁層4の開口4aよりも小径の複数の開口6aを有しており、かつ貫通孔3内に充填された第2の配線層7が、この小径の複数の開口6aを介して第1の配線層5に内接されて電気的に接続されているので、貫通孔3の表面側の開口部において、第2の絶縁層6が第1の配線層5に対する補強構造体として機能する。したがって、第1の配線層5が表面側保護層(図示を省略。)から剥離したり破断したりすることがなくなり、歩留まりが向上し、電気的・機械的信頼性が良好な半導体装置が得られる。
【0035】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。図4は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図であり、図5A〜図5Gは、第2の実施形態の半導体装置を製造する方法の各工程を示す断面図である。なお、これらの図において、図1および図3A〜図3Hと同一部分には同一符号を付している。
【0036】
図4に示すように、第2の実施形態の半導体装置21は、シリコン等から成る半導体基板2を有し、この半導体基板2には表面と裏面とを貫通する貫通孔3が形成されている。また、半導体基板2の表面には、貫通孔3の上部(表面側端部)に該貫通孔3より小径の複数の開口4aを有する第1の絶縁層4が形成されており、第1の絶縁層4の上には第1の配線層5が形成されている。第1の配線層5は、第1の絶縁層4の複数の開口4aを覆い閉塞するように形成されている。また、貫通孔3の内壁面および半導体基板2の裏面には、第2の絶縁層6が被覆されている。第2の絶縁層6は、第1の絶縁層4と内接するように形成され、この内接部に第1の絶縁層4の開口4aと同径の開口6aを複数有している。第2の絶縁層6の複数の開口6aは、それぞれ第1の絶縁層4の複数の開口4aと同軸的に、すなわち半導体基板2の裏面側から見て同じ位置に重なるように形成されている。
【0037】
第2の絶縁層6の有する開口6aの形状と個数および配置は、特に限定されないが、前記した第1の実施形態と同様に、図2Bに示すように、円形の開口6aをxy方向の格子の交点(格子点)をなすように配置した形態を採ることが好ましい。
【0038】
また、貫通孔3内に第2の配線層7が充填・形成されている。この第2の配線層7は、第2の絶縁層6の複数の開口6aおよび第1の絶縁層4の複数の開口4aを介して第1の配線層5に内接しており、かつ貫通孔3内から半導体基板2の裏面の第2の絶縁層6上に亘って形成されている。さらに、半導体基板2の裏面の第2の配線層7上には外部端子8が設けられ、半導体基板2の裏面において、外部端子8の配設部を除く第2の配線層7上と第2の絶縁層6上には、保護層(裏面側保護層)9が被覆されている。
【0039】
このように構成される第2の実施形態の半導体装置21は、以下に示すように製造される。すなわち、まず図5Aに示す第1の工程において、半導体基板2の表面に、シリコン酸化物(SiO)、シリコン窒化物(SiN)、SiOF、ポーラスSiOC等から成る第1の絶縁層4を、CVD法、スピンコート法、スプレーコート法等により形成する。
【0040】
次いで、図5Bに示す第2の工程において、第1の絶縁層4の上に第1の配線層5を、スパッタ法、CVD法、蒸着法、めっき法等により形成する。第1の配線層5は、例えば、高抵抗金属材料(Ti、TiN、TiW、Ni、Cr、TaN、CoWP等)や低抵抗金属材料(Al、Al−Cu、Al−Si−Cu、Cu、Au、Ag等)から成る単一層であるか、もしくは前記材料から成る複数の層が積層された構造を有する。
【0041】
なお、図示を省略したが、第1の配線層5を形成した後、その上に表面側保護膜を形成する。表面側保護膜は、SiO膜、SiN膜、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂あるいはソルダーレジスト材から構成され、例えばCVD法やスピンコート法、スプレーコート法、印刷法等によって形成される。また、第1の配線層5と表面側保護膜との間に、さらに絶縁層や配線層が設けられた多層配線構造では、絶縁層や配線層はCVD法やスパッタ法、蒸着法、めっき法等により形成する。多層配線構造を形成する場合、図3Aおよび図3Bに示す工程を繰り返し行い、図示を省略するが、各配線層間は金属ビアにより電気接続する。またさらに、半導体装置1がイメージセンサパッケージの態様を有する場合には、半導体基板2の表面に、接着層(例えば、感光性または非感光性のエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂)を介して、ガラスなどの光透過性保護基板が接着される。
【0042】
次いで、図5Cに示す第3の工程において、半導体基板2の裏面側から所定のパターンのマスク(図示を省略。)を使用して、プラズマエッチング法により貫通孔3を形成し、貫通孔3の底面部で第1の絶縁層4を露出させる。なお、この貫通孔3は、断面が第1の絶縁層4に向かってテーパー状を呈するものであることが好ましい。貫通孔3の形成においては、第1の絶縁層4に比べて半導体基板2が大きくエッチングされるように、プラズマ中にエッチング用のガス(例えば、半導体基板2がシリコンで第1の絶縁層4がSiO膜の場合は、SFとOとArの混合ガス)を導入してプラズマエッチングを行う。
【0043】
次いで、図5Dに示す第4の工程において、貫通孔3の底面部(第1の絶縁層4の露出部)および内壁面から半導体基板2の裏面を覆うように、第2の絶縁層6をCVD法、スプレーコート法、スピンコート法、フィルムラミネート法等により形成する。第2の絶縁層6は、例えばシリコン酸化物、シリコン窒化物、ポリイミド樹脂、BCB(ベンゾシクロブテン)樹脂、エポキシ樹脂等により構成される。
【0044】
次いで、図5Eに示す第5の工程において、貫通孔3の底面部に第1の絶縁層4を覆うように形成された第2の絶縁層6に、所定のパターンのマスク(図示を省略。)を使用してプラズマエッチングにより、貫通孔3の表面側の開口よりも小径の小開口6aを複数形成し、これらの小開口6aから第1の絶縁層4を露出させる。その後、こうして露出された第1の絶縁層4をエッチングし、小開口6aと同じ位置に同径の小開口4aを形成する。第2の絶縁層6の小開口6aおよび第1の絶縁層4の小開口4aの形成においては、第1の配線層5に比べて第2の絶縁層6および第1の絶縁層4が大きくエッチングされるように、プラズマ中にエッチング用のガス(例えば、第2の絶縁層6および第1の絶縁層4がSiO膜であり、第1の配線層5がTiN、Alで構成される場合は、CとOとArの混合ガス)を導入してプラズマエッチングを行う。
【0045】
なお、前記した第5の工程は、レーザエッチング法を使用し、マスクを用いることなく行うことができる。レーザ光源としては、例えば、YAGレーザ、UVレーザ、エキシマレーザ、炭酸ガス(CO)レーザ等が使用される。第2の絶縁層6が樹脂膜であり、微細径の小開口6aを形成する場合は、波長266nmのUVレーザの使用が好ましい。
【0046】
次いで、図5Fに示す第6の工程において、貫通孔3内の第2の絶縁層6上から半導体基板2の裏面の第2の絶縁層6上に亘って、かつ第2の絶縁層6の小開口6aおよび第1の絶縁層4の小開口4aを介して第1の配線層5に内接するように、第2の配線層7を形成する。この第2の配線層7は、例えば、高抵抗金属材料(Ti、TiN、TiW、Ni、Cr、TaN、CoWP等)や低抵抗金属材料(Al、Al−Cu、Al−Si−Cu、Cu、Au、Ag、半田材等)、あるいは導電性樹脂から成る単一層であるか、もしくは前記材料から成る複数の層が積層された構造を有する。そして、第2の配線層7の形成は、所定のパターンのマスク(図示を省略。)を用い、スパッタ法、CVD法、蒸着法、めっき法、印刷法等により行う。貫通孔3内を隙間なく充填するように第2の配線層7を形成することが望ましいが、完全に充填せず間隙があってもよい。
【0047】
その後、図5Gに示す第7の工程において、第2の配線層7上に外部端子8を形成し、この外部端子8の配設部を除く第2の配線層7上および第2の絶縁層6上に、裏面側保護層9を形成する。外部端子8は例えば半田材で形成され、裏面側保護層9は、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂あるいはソルダーレジスト材で形成される。次いで、半導体基板2をダイサーの切削ブレードにより切断する。こうして図4に示す半導体装置21の個片が得られる。
【0048】
このように製造される第2の実施形態の半導体装置21においては、第1の実施形態と同様に第2の絶縁層6が第1の配線層5に対する補強効果を有するうえに、第2の絶縁層6の開口6aと同位置に同径の開口4aを複数有する第1の絶縁層4が、第1の配線層5に内接するように形成され、この第1の絶縁層4と第2の絶縁層6との積層部が第1の配線層5に対する補強構造体として機能する。したがって、第1の実施形態より第1の配線層5に対する補強効果がさらに向上し、電気的・機械的信頼性がさらに良好な半導体装置を得ることができる。
【0049】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図であり、図7A〜図7Iは、第3の実施形態の半導体装置を製造する方法の各工程を示す断面図である。なお、これらの図において、図1および図3A〜図3H(ならびに図4および図5A〜図5G)と同一部分には同一符号を付している。
【0050】
図6に示すように、第3の実施形態の半導体装置31は、シリコン等から成る半導体基板2を有し、この半導体基板2には、裏面側から半導体基板2の厚さよりも浅い凹孔32が形成されている。この凹孔32の底部(表面側端部)には、この凹孔32よりも小径の複数の小貫通孔33が半導体基板2の表面側に貫通するように形成されている。小貫通孔33の形状と個数および配置は、特に限定されないが、図2Bに示すように、円形の小貫通孔33をxy方向の格子点をなすように配置した形態を採ることが好ましい。
【0051】
また、半導体基板2の表面には、小貫通孔33と同径の開口4aを複数有する第1の絶縁層4が被覆されている。第1の絶縁層4の複数の開口4aは、小貫通孔33の上部(表面側開口部)に連接して形成されている。そして、第1の絶縁層4の上には、その複数の開口4aを覆い閉塞するように第1の配線層5が形成されている。
【0052】
さらに、凹孔32および複数の小貫通孔33の内壁面ならびに半導体基板2の裏面には、第2の絶縁層6が被覆されている。第2の絶縁層6は、複数の小貫通孔33の表面側端部において第1の配線層5と内接するように形成されており、この内接部に、第1の絶縁層4の複数の開口4aとほぼ同径の複数の開口6aが形成されている。
【0053】
さらに、凹孔32および凹孔32に連接して形成された小貫通孔33内に、第2の配線層7が充填・形成されている。この第2の配線層7は、第2の絶縁層6の開口6aを介して第1の配線層5に内接しており、かつ小貫通孔33内および凹孔32内から半導体基板2の裏面の第2の絶縁層6上に亘って形成されている。またさらに、半導体基板2の裏面の第2の配線層7上には外部端子8が設けられ、半導体基板2の裏面において、外部端子8の配設部を除く第2の配線層7上と第2の絶縁層6上には、保護層(裏面側保護層)9が被覆されている。
【0054】
このように構成される第3の実施形態の半導体装置31は、以下に示すように製造される。すなわち、まず図7Aに示す第1の工程において、半導体基板2の表面に、シリコン酸化物、シリコン窒化物、SiOF、ポーラスSiOC等から成る第1の絶縁層4を、CVD法、スピンコート法、スプレーコート法等により形成する。
【0055】
次いで、図7Bに示す第2の工程において、第1の絶縁層4の上に第1の配線層5を、スパッタ法、CVD法、蒸着法、めっき法等により形成する。第1の配線層5は、例えば、高抵抗金属材料(Ti、TiN、TiW、Ni、Cr、TaN、CoWP等)や低抵抗金属材料(Al、Al−Cu、Al−Si−Cu、Cu、Au、Ag等)から成る単一層であるか、もしくは前記材料から成る複数の層が積層された構造を有する。
【0056】
なお、図示を省略したが、第1の配線層5を形成した後、その上に表面側保護膜を形成する。表面側保護膜は、SiO膜、SiN膜、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂あるいはソルダーレジスト材から構成され、例えばCVD法やスピンコート法、スプレーコート法、印刷法等によって形成される。また、第1の配線層5と表面側保護膜との間に、さらに絶縁層や配線層が設けられた多層配線構造では、絶縁層や配線層はCVD法やスパッタ法、蒸着法、めっき法等により形成する。多層配線構造を形成する場合、図3Aおよび図3Bに示す工程を繰り返し行い、図示を省略するが、各配線層間は金属ビアにより電気接続する。またさらに、半導体装置1がイメージセンサパッケージの態様を有する場合には、半導体基板2の表面に、接着層(例えば、感光性または非感光性のエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂)を介して、ガラスなどの光透過性保護基板が接着される。
【0057】
次いで、図7Cに示す第3の工程において、半導体基板2の裏面側から所定のパターンのマスク(図示を省略。)を使用して、プラズマエッチング法により半導体基板2の厚さよりも浅く設定された凹孔第1の貫通孔32を形成する。なお、この凹孔第1の貫通孔32は、断面が第1の絶縁層4に向かってテーパー状を呈するものであることが好ましい。凹孔第1の貫通孔32の形成においては、プラズマ中にエッチング用のガスを導入してプラズマエッチングを行う。例えば半導体基板2がシリコンである場合、エッチング用のガスとしては、SFとOとArの混合ガスを使用する。
【0058】
次いで、図7Dに示す第4の工程において、半導体基板2の裏面側から所定のパターンのマスク(図示を省略。)を使用し、凹孔の底部にこの凹孔よりも小径の複数の小貫通孔33をプラズマエッチング法により形成する。そして、この小貫通孔33の底面部において第1の絶縁層4を露出させる。小貫通孔33の形成においては、第1の絶縁層4に比べて半導体基板2が大きくエッチングされるように、プラズマ中にエッチング用のガスを導入してプラズマエッチングを行う。エッチング用のガスとしては、例えば、半導体基板2がシリコンで第1の絶縁層4がSiO膜の場合には、SFとOとArの混合ガスを使用する。
【0059】
次いで、図7Eに示す第5の工程において、第1の絶縁層4の露出部をプラズマエッチングにより除去して、第1の絶縁層4に小開口4aを形成し、これらの小開口4aから第1の配線層5を露出させる。このとき、半導体基板2や第1の配線層5に比べて第1の絶縁層4が相対的に大きくエッチングされるように、プラズマ中にエッチング用のガス(例えば、第1の絶縁層4がSiO膜で半導体基板2がシリコン、第1の配線層5がTiN、Alで構成される場合は、CとOとArの混合ガス)を導入してプラズマエッチングを行う。
【0060】
なお、前記した第4の工程と第5の工程は、レーザエッチング法によりマスクを用いることなく一括して行うことができる。レーザ光源としては、例えば、YAGレーザ、UVレーザ、エキシマレーザ、炭酸ガス(CO)レーザ等が使用される。半導体基板2がシリコンで第1の絶縁層4がSiO膜である場合は、レーザ光源として波長355nmのYAGレーザの使用が好ましい。
【0061】
次いで、図7Fに示す第6の工程において、小貫通孔33の底面(第1の配線層5の露出部)および内壁面から凹孔32の内壁面を覆い、さらに半導体基板2の裏面を覆うように、第2の絶縁層6を、CVD法、スプレーコート法、スピンコート法、フィルムラミネート法等により形成する。第2の絶縁層6は、例えばシリコン酸化物、シリコン窒化物、ポリイミド樹脂、BCB(ベンゾシクロブテン)樹脂、エポキシ樹脂等により構成される。
【0062】
次いで、図7Gに示す第7の工程において、小貫通孔33の底面部で第1の配線層5を覆うように形成された第2の絶縁層6に、所定のパターンのマスク(図示を省略。)を使用しプラズマエッチングにより、小貫通孔33および第1の絶縁層4の小開口4aと同径の複数の小開口6aを形成し、第1の配線層5を再び露出させる。この小開口6aの形成では、第1の配線層5に比べて第2の絶縁層6が大きくエッチングされるように、プラズマ中にエッチング用のガス(例えば、第2の絶縁層6がSiO膜で第1の配線層5がTiN、Alで構成される場合は、CとOとArの混合ガス)を導入してプラズマエッチングを行う。
【0063】
また、第2の絶縁層6の除去および小開口6aの形成を、マスクを用いずに第2の絶縁層6を異方性エッチングによりエッチバックすることで行っても良い。この場合、小貫通孔33の底面および内壁面に比べて、凹部32の底面および内壁面と半導体基板2の裏面側の膜厚が厚くなるように、第2の絶縁層6を形成することが好ましい。
【0064】
次いで、図7Hに示す第8の工程において、複数の小貫通孔33内に形成された第2の絶縁層6上から半導体基板2の裏面の第2の絶縁層6上に亘って、かつ第2の絶縁層6の小開口6aを介して第1の配線層5に内接するように、第2の配線層7を形成する。第2の配線層7は、例えば、高抵抗金属材料(Ti、TiN、TiW、Ni、Cr、TaN、CoWP等)や低抵抗金属材料(Al、Al−Cu、Al−Si−Cu、Cu、Au、Ag、半田材等)、あるいは導電性樹脂から成る単一層であるか、もしくは前記材料から成る複数の層が積層された構造を有する。そして、第2の配線層7の形成は、所定のパターンのマスク(図示を省略。)を用い、スパッタ法、CVD法、蒸着法、めっき法、印刷法等により、凹孔32および小貫通孔33内を充填するように行う。貫通孔3内を隙間なく充填するように第2の配線層7を形成することが望ましいが、完全に充填せず間隙があってもよい。
【0065】
その後、図7Iに示す第9の工程において、第2の配線層7上に外部端子8を形成し、この外部端子8の配設部を除く第2の配線層7上および第2の絶縁層6上に、裏面側保護層9を形成する。外部端子8は例えば半田材で形成され、裏面側保護層9は、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂あるいはソルダーレジスト材で形成される。次いで、半導体基板2をダイサーの切削ブレードにより切断する。こうして図6に示す半導体装置31の個片が得られる。
【0066】
このように製造される第3の実施形態の半導体装置31においては、半導体基板2の裏面側から該基板の厚さより浅く設けられた凹孔32の底面部において、この凹孔32よりも小径の小貫通孔33が複数形成され、これら小貫通孔33の上部に第1の絶縁層4の複数の開口4aが連接して形成されるとともに、凹孔32および小貫通孔33の内壁面に被覆・形成された第2の絶縁層6が、第1の配線層5との内接部に小貫通孔33および第1の絶縁層の開口4aと同径の複数の開口6aを有するように構成されているので、半導体基板2の凹孔32の底面より上方の小貫通孔33の深さに相当する部分(小貫通孔33)が、第1の配線層5に内接する第1の絶縁層4を支持する。すなわち、凹孔32等の形成部において、第1の絶縁層4と半導体基板2の小貫通孔33形成部との積層部が、第2の絶縁層6とともに第1の配線層5に対する補強構造体として機能する。したがって、第2の実施形態よりさらに第1の配線層5に対する補強効果が向上し、電気的・機械的信頼性により優れた半導体装置を得ることができる。
【0067】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については、概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)については例示にすぎない。したがって、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り、さまざまな形態に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2A】本発明の第1の実施形態における第2の絶縁層の開口の一形状を示す平面図である。
【図2B】本発明の第1の実施形態における第2の絶縁層の開口の別の形状を示す平面図である。
【図3A】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3B】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3C】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3D】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3E】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3F】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3G】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3H】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図5A】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5B】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5C】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5D】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5E】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5F】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5G】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図7A】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7B】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7C】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7D】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7E】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7F】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7G】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7H】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7I】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】従来の半導体装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1,21,31…半導体装置、2…半導体基板、3…貫通孔、4…第1の絶縁層、4a…第1の絶縁層の開口、5…第1の配線層、6…第2の絶縁層、6a…第2の絶縁層の開口、7…第2の配線層、8…外部端子、9…裏面側保護層、32…凹孔、33…小貫通孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の第1の面と第2の面を貫通して設けられた貫通孔と、
前記半導体基板の第1の面に設けられた、前記貫通孔の第1の面側の開口部上に開口を有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に前記開口を覆うように設けられた第1の導電体層と、
前記第1の絶縁層の開口を介して前記第1の導電体層に内接するように前記貫通孔の内壁面から前記半導体基板の第2の面上に設けられた、前記内接部に前記第1の絶縁層の開口よりも小径の複数の開口を有する第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の複数の開口を介して前記第1の導電体層に内接し、かつ前記貫通孔内および前記半導体基板の第2の面上の前記第2の絶縁層上に連接して設けられた第2の導電体層と
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体基板と、
前記半導体基板の第1の面と第2の面を貫通して設けられた貫通孔と、
前記半導体基板の第1の面に設けられた、前記貫通孔の第1の面側の開口部上に該開口部よりも小径の複数の開口を有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に前記複数の開口を覆うように設けられた第1の導電体層と、
前記第1の絶縁層の前記半導体基板側の面に内接するように前記貫通孔の内壁面から前記半導体基板の第2の面上に設けられた、前記内接部に前記第1の絶縁層の複数の開口に連通する同径の開口をそれぞれ有する第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層および前記第1の絶縁層の複数の開口を介して前記第1の導電体層に内接し、かつ前記貫通孔内および前記半導体基板の第2の面上の前記第2の絶縁層上に連接して設けられた第2の導電体層と
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
第1の面と第2の面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の第2の面から該半導体基板の厚さよりも浅く設けられた凹孔と、
前記凹孔の底部に前記半導体基板の第1の面側に貫通するように設けられた、該凹孔よりも小径の複数の小貫通孔と、
前記半導体基板の第1の面に設けられた、前記各小貫通孔の第1の面側の開口部上に同径の開口をそれぞれ有する第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層上に前記開口を覆うように設けられた第1の導電体層と、
前記各小貫通孔の第1の面側の開口部において第1の導電体層と内接するように、前記凹孔および前記小貫通孔の内壁面から前記半導体基板の第2の面上に連接して設けられた、前記内接部に前記第1の絶縁層の複数の開口とほぼ同径の複数の開口を有する第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の複数の開口を介して前記第1の導電体層に内接し、かつ前記凹孔内と前記小貫通孔内および前記半導体基板の第2の面上の前記第2の絶縁層上に連接して設けられた第2の導電体層と
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
半導体基板の第1の面に第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上に第1の導電体層を形成する工程と、
前記半導体基板の第2の面側から第1の面側へ貫通孔を形成し、該貫通孔の第1の面側の端部で前記第1の絶縁層を露出させる工程と、
前記貫通孔の第1の面側の端部に露出された前記第1の絶縁層に開口を形成し、前記第1の導電体層を露出させる工程と、
前記露出された第1の導電体層上および前記貫通孔の内壁面から前記半導体基板の第2の面上に、第2の絶縁層を形成する工程と、
前記露出された第1の導電体層上に形成された前記第2の絶縁層に、前記第1の絶縁層の開口よりも小径の複数の開口を形成し、前記第1の導電体層を再び露出させる工程と、
前記貫通孔内の前記第2の絶縁層上から前記半導体基板の第2の面の前記第2の絶縁層上に亘って、前記第2の絶縁層の複数の開口を介して前記第1の導電体層に内接するように第2の導電体層を形成する工程と
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体基板の第1の面に第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上に第1の導電体層を形成する工程と、
前記半導体基板の第2の面側から第1の面側へ貫通孔を形成し、該貫通孔の第1の面側の端部で前記第1の絶縁層を露出させる工程と、
前記露出された第1の絶縁層上および前記貫通孔の内壁面から前記半導体基板の第2の面上に、第2の絶縁層を形成する工程と、
前記露出された第1の絶縁層上に形成された前記第2の絶縁層に前記貫通孔より小径の複数の開口を形成し、さらに下層の前記第1の絶縁層に前記第2の絶縁層の開口に連接して同径の開口を形成して、前記第1の導電体層を露出させる工程と、
前記第2の絶縁層および第1の絶縁層の複数の開口を介して前記第1の導電体層に内接するように、前記貫通孔内の前記第2の絶縁層上から前記半導体基板の第2の面の前記第2の絶縁層上に亘って第2の導電体層を形成する工程と
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
半導体基板の第1の面に第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上に第1の導電体層を形成する工程と、
前記半導体基板の第2の面側から該半導体基板の厚さよりも浅い凹孔を形成する工程と、
前記凹孔の第1の面側の端部において、前記半導体基板の第1の面側に貫通するように前記凹孔よりも小径の複数の小貫通孔を形成し、該小貫通孔の第1の面側の端部で前記第1の絶縁層を露出させる工程と、
前記露出された第1の絶縁層に前記小貫通孔と同径の複数の開口を連接して形成し、前記第1の導電体層を露出させる工程と、
前記凹孔と前記小貫通孔の内壁面および前記半導体基板の第2の面を覆い、かつ前記第1の絶縁層の複数の開口により露出した前記第1の導電体層に内接するように、第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の導電体層との内接部において、前記第2の絶縁層に前記第1の絶縁層の複数の開口とほぼ同径の複数の開口を形成し、前記第1の導電体層を露出させる工程と、
前記第2の絶縁層の複数の開口を介して前記第1の導電体層に内接するように、前記小貫通孔内および前記凹孔内の前記第2の絶縁層上から前記半導体基板の第2の面の前記第2の絶縁層上に亘って第2の導電体層を形成する工程と
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−64820(P2009−64820A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−229123(P2007−229123)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】