説明

半導体装置の作製方法

【課題】酸化物半導体を用いた半導体装置に安定した電気的特性を付与し、高信頼性化する。
【解決手段】酸化物半導体膜を不活性ガス雰囲気化で加熱し、その後、酸化物半導体膜を酸素雰囲気化で加熱する。本工程によって、水素、水分、水酸基又は水素化物などの不純物を酸化物半導体膜より意図的に排除し、酸化物半導体膜を高純度化することができる。不純物を排除する際、酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素が欠損する場合があるが、酸素雰囲気化で加熱することによって、酸素を供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体装置及び半導体装置の作製方法に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いてトランジスタ(薄膜トランジス
タ(TFT)ともいう)を構成する技術が注目されている。該トランジスタは集積回路(
IC)や画像表示装置(表示装置)のような電子デバイスに広く応用されている。トラン
ジスタに適用可能な半導体薄膜としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、その
他の材料として酸化物半導体が注目されている。
【0004】
例えば、トランジスタの活性層として、電子キャリア濃度が1018/cm未満である
インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む非晶質酸化物を用いた
トランジスタが開示されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−165528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、酸化物半導体は薄膜形成工程において、酸素の過不足などによる化学量論的組成
からのずれや、電子供与体を形成する水素や水分の混入などが生じると、その電気伝導度
が変化してしまう。このような現象は、酸化物半導体を用いたトランジスタにとって電気
的特性の変動要因となる。
【0007】
このような問題に鑑み、酸化物半導体を用いた半導体装置に安定した電気的特性を付与し
、高信頼性化することを目的の一とする。
【0008】
また、酸化物半導体膜のバックチャネル側の寄生チャネルの発生を防止することを目的の
一とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
酸化物半導体膜を用いるトランジスタの電気的特性変動を抑止するため、変動要因となる
水素、水分、水酸基又は水素化物(水素化合物ともいう)などの不純物を酸化物半導体膜
より意図的に排除し、かつ不純物の排除工程によって同時に減少してしまう酸化物半導体
を構成する主成分材料である酸素を供給することによって、酸化物半導体膜を高純度化及
び電気的にI型(真性)化する。
【0010】
I型(真性)の酸化物半導体とは、n型不純物である水素を酸化物半導体から除去し、酸
化物半導体の主成分以外の不純物が極力含まれないように高純度化することによりI型(
真性)の酸化物半導体、又はI型(真性)に限りなく近い酸化物半導体としたものである
。すなわち、不純物を添加してI型化するのでなく、水素や水等の不純物を極力除去した
ことにより、高純度化されたI型(真性半導体)又はそれに近づけることを特徴としてい
る。そうすることにより、フェルミ準位(Ef)を真性フェルミ準位(Ei)と同じレベ
ルにまですることができる。
【0011】
酸化物半導体膜を含むトランジスタにおいて、酸化物半導体膜上に接して酸化物半導体膜
のバックチャネル側への帯電を防止するための酸化物層を形成し、酸化物層を通過して酸
素を導入(添加)し、酸化物層上に絶縁層を形成し、加熱処理を行う。この加熱処理は酸
化物層上に絶縁層を形成する前に行ってもよい。
【0012】
帯電を防止するための酸化物層は、酸化物半導体膜、好ましくは高純度化された酸化物半
導体膜のバックチャネル側(ゲート絶縁膜と反対側)に設けられ、酸化物半導体よりも誘
電率が小さいことが好ましい。例えば、誘電率が8以上20以下の酸化物層を用いる。
【0013】
該酸化物層は、酸化物半導体膜の厚さよりも厚いものとする。例えば、酸化物半導体膜の
膜厚3nm以上30nm以下として、該酸化物層は、10nmを超える膜厚、且つ、酸化
物半導体膜の膜厚以上とすることが好ましい。
【0014】
上記酸化物層として、金属酸化物を用いることができる。金属酸化物として、例えば、酸
化ガリウム、またはこれにインジウムや、亜鉛を0.01〜5原子%添加した酸化ガリウ
ムを用いることができる。
【0015】
上述の酸素導入及び加熱工程によって、水素、水分、水酸基又は水素化物(水素化合物と
もいう)などの不純物を酸化物半導体膜より意図的に排除し、酸化物半導体膜を高純度化
する。酸素の導入により、酸化物半導体を構成している金属と水素の間の結合、或いは該
金属と水酸基の間の結合を切断するとともに、これら水素、または水酸基が、酸素と反応
することで水が生成されるため、後に行われる加熱処理により、不純物である水素、また
は水酸基を、水として、脱離させやすくすることができる。
【0016】
酸化物半導体膜への酸素の導入を、積層された金属酸化膜を通過して行うため、酸素の導
入深さ(導入領域)を制御することができ、酸化物半導体膜中への酸素を効率よく導入す
ることができる。
【0017】
また、酸素を含む金属酸化膜と酸化物半導体膜とを接した状態で加熱処理を行うため、不
純物の排除工程によって同時に減少してしまう酸化物半導体を構成する主成分材料の一つ
である酸素を、酸素を含む金属酸化膜より酸化物半導体膜へ供給することができる。よっ
て、酸化物半導体膜はより高純度化し、電気的にI型(真性)化する。
【0018】
また、加熱処理後において、水分や水素などの不純物が酸化物半導体膜に再混入しないよ
うに、これらが外部から侵入することをブロックする保護絶縁層を絶縁層上にさらに形成
してもよい。
【0019】
高純度化された酸化物半導体膜を有するトランジスタは、しきい値電圧やオン電流などの
電気的特性に温度依存性がほとんど見られない。また、光劣化によるトランジスタ特性の
変動も少ない。
【0020】
このように、高純度化し、電気的にI型(真性)化した酸化物半導体膜を有するトランジ
スタは、電気的特性変動が抑制されており、電気的に安定である。よって安定した電気的
特性を有する酸化物半導体を用いた信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0021】
加熱処理の温度は、250℃以上650℃以下、または450℃以上600℃以下、また
は基板の歪み点未満とする。加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20p
pm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス
(アルゴン、ヘリウムなど)の雰囲気下で行えばよい。
【0022】
本明細書で開示する発明の構成の一形態は、基板上に、ゲート電極を形成し、ゲート電極
を覆うゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜を介してゲート電極と重畳する領域に酸化物
半導体膜を形成し、酸化物半導体膜上に、ソース電極及びドレイン電極を形成し、酸化物
半導体膜と接し、ソース電極及びドレイン電極を覆う金属酸化膜を形成し、酸化物半導体
膜、金属酸化膜、または、酸化物半導体膜と金属酸化膜との界面の少なくとも一へ、酸素
を導入し、金属酸化膜を覆う絶縁膜を形成し、加熱処理を行う半導体装置の作製方法であ
る。
【0023】
また、本明細書で開示する発明の構成の別の一形態は、基板上に、ゲート電極を形成し、
ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜を介してゲート電極と重畳する領
域に酸化物半導体膜を形成し、酸化物半導体膜上に、ソース電極及びドレイン電極を形成
し、酸化物半導体膜と接し、ソース電極及びドレイン電極を覆う金属酸化膜を形成し、金
属酸化膜を覆う絶縁膜を形成し、酸化物半導体膜、金属酸化膜、または、酸化物半導体膜
と金属酸化膜との界面の少なくとも一へ、酸素を導入し、加熱処理を行う半導体装置の作
製方法である。
【0024】
また、本明細書で開示する発明の構成の別の一形態は、基板上に、ゲート電極を形成し、
ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜を介してゲート電極と重畳する領
域に酸化物半導体膜を形成し、酸化物半導体膜に対して、不活性雰囲気下での加熱と酸素
雰囲気下での冷却を含む第1の加熱処理を行い、酸化物半導体膜上に、ソース電極及びド
レイン電極を形成し、酸化物半導体膜と接し、ソース電極及びドレイン電極を覆う金属酸
化膜を形成し、酸化物半導体膜、金属酸化膜、または、酸化物半導体膜と金属酸化膜との
界面の少なくとも一へ、酸素を導入し、金属酸化膜を覆う絶縁膜を形成し、第2の加熱処
理を行う半導体装置の作製方法である。
【0025】
また、本明細書で開示する発明の構成の別の一形態は、基板上に、ゲート電極を形成し、
ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜を介してゲート電極と重畳する領
域に酸化物半導体膜を形成し、酸化物半導体膜に対して、不活性雰囲気下での加熱と酸素
雰囲気下での冷却を含む第1の加熱処理を行い、酸化物半導体膜上に、ソース電極及びド
レイン電極を形成し、酸化物半導体膜と接し、ソース電極及びドレイン電極を覆う金属酸
化膜を形成し、金属酸化膜を覆う絶縁膜を形成し、酸化物半導体膜、金属酸化膜、または
、酸化物半導体膜と金属酸化膜との界面の少なくとも一へ、酸素を導入し、第2の加熱処
理を行う半導体装置の作製方法である。
【0026】
また、上記の半導体装置の作製方法において、金属酸化膜として、酸化ガリウムを含む膜
を形成するのが好ましい。
【0027】
または、上記の半導体装置の作製方法において、金属酸化膜として、インジウムまたは亜
鉛を0.01乃至5原子%含む酸化ガリウム膜を形成してもよい。
【0028】
また、上記の半導体装置の作製方法において、加熱処理の温度を450℃乃至600℃と
するのが好ましい。
【0029】
また、上記半導体装置の作製方法において、酸化物半導体膜として、インジウムおよびガ
リウムを含む膜を形成するのが好ましい。
【0030】
上記構成において、金属酸化膜として酸化ガリウム膜を用いることが好ましい。酸化ガリ
ウム膜はスパッタ法、CVD法、蒸着法などによって得ることができる。酸化ガリウム膜
は、酸素とガリウムの組成比にもよるが、およそ4.9eVのエネルギーギャップを有し
、可視光域において透光性を有している。
【0031】
本明細書では、酸化ガリウムをGaOx(x>0)と表記する場合がある。例えば、Ga
Oxが結晶構造を有する場合、x=1.5であるGaが知られている。
【0032】
上記構成において、酸化物半導体膜上に金属酸化膜を形成する前に、酸化物半導体膜に加
熱処理を行ってもよい。また、酸素の導入は、イオン注入法またはイオンドーピング法を
用いて行うことができる。
【発明の効果】
【0033】
酸化物半導体膜上に接して金属酸化膜を形成し、金属酸化膜を通過して酸素を導入し、加
熱処理を行う。この酸素導入及び加熱工程によって、水素、水分、水酸基又は水素化物な
どの不純物を酸化物半導体膜より意図的に排除し、酸化物半導体膜を高純度化することが
できる。高純度化し、電気的にI型(真性)化した酸化物半導体膜を有するトランジスタ
は、電気的特性変動が抑制されており、電気的に安定である。
【0034】
よって、本発明の一形態は、安定した電気特性を有するトランジスタを作製することがで
きる。
【0035】
また、本発明の一形態は、電気特性が良好で信頼性の高いトランジスタを有する半導体装
置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】半導体装置及び半導体装置の作製方法の一形態を説明する図。
【図2】半導体装置の一形態を説明する図。
【図3】半導体装置の一形態を説明する図。
【図4】半導体装置の一形態を説明する図。
【図5】半導体装置の一形態を説明する図。
【図6】半導体装置の一形態を説明する図。
【図7】電子機器を示す図。
【図8】電子機器を示す図。
【図9】(A)誘電体の積層構造を示すモデル図。(B)等価回路図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれ
ば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。
【0038】
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順又は積層順を
示すものではない。また、本明細書において発明を特定するための事項として固有の名称
を示すものではない。
【0039】
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体装置及び半導体装置の作製方法の一形態を、図1を用いて説明
する。本実施の形態では、半導体装置の一例として酸化物半導体膜を有するトランジスタ
を示す。
【0040】
図1(E)に示すように、トランジスタ410は、絶縁表面を有する基板400上に、ゲ
ート電極401、ゲート絶縁膜402、酸化物半導体膜403、ソース電極405a、ド
レイン電極405bを含む。酸化物半導体膜403上には、酸化物半導体膜403のバッ
クチャネル側への帯電を防止するための金属酸化膜407、及び絶縁膜409が順に積層
されている。
【0041】
図1(A)乃至(E)にトランジスタ410の作製方法の一例を示す。
【0042】
まず、絶縁表面を有する基板400上に導電膜を形成した後、第1のフォトリソグラフィ
工程によりゲート電極401を形成する。なお、レジストマスクをインクジェット法で形
成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しな
いため、製造コストを低減できる。
【0043】
絶縁表面を有する基板400に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なく
とも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、ガ
ラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板など基板を用いることができる。
また、絶縁表面を有していれば、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結
晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI基板などを適用す
ることも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられていてもよい。
【0044】
また、基板400として、可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板を用いる場合、可撓性
基板上に酸化物半導体膜403を含むトランジスタ410を直接作製してもよいし、他の
作製基板に酸化物半導体膜403を含むトランジスタ410を作製し、その後可撓性基板
に剥離、転置してもよい。なお、作製基板から可撓性基板に剥離、転置するために、作製
基板と酸化物半導体膜を含むトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。
【0045】
下地膜となる絶縁膜を基板400とゲート電極401との間に設けてもよい。下地膜は、
基板400からの不純物元素の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリコ
ン膜、窒化酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜から選ばれた一又は複数の膜による
積層構造により形成することができる。
【0046】
また、ゲート電極401は、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウ
ム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合金材料を用い
て、単層で又は積層して形成することができる。
【0047】
次いで、ゲート電極401上にゲート絶縁膜402を形成する。ゲート絶縁膜402は、
プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン層、窒化シリコン層、
酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、窒化アルミニウム層、
酸化窒化アルミニウム層、窒化酸化アルミニウム層、又は酸化ハフニウム層を単層で又は
積層して形成することができる。
【0048】
また、本実施の形態の酸化物半導体膜403には、不純物を除去され、酸化物半導体の主
成分以外のキャリア供与体となる不純物が極力含まれないように高純度化することにより
真性(I型)化又は実質的に真性(I型)化された酸化物半導体を用いる。
【0049】
このような高純度化された酸化物半導体は界面準位または界面電荷に対して極めて敏感で
あるため、酸化物半導体膜とゲート絶縁膜との界面は重要である。そのため高純度化され
た酸化物半導体に接するゲート絶縁膜には、高い品質が要求される。
【0050】
例えば、μ波(例えば周波数2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVDは、緻密で
絶縁耐圧の高い高品質な絶縁層を形成できるのでゲート絶縁膜の作製方法として好ましい
。高純度化された酸化物半導体と高品質ゲート絶縁膜とが密接することにより、界面準位
を低減して界面特性を良好なものとすることができるからである。
【0051】
もちろん、ゲート絶縁膜として良質な絶縁層を形成できるものであれば、スパッタリング
法やプラズマCVD法など他の成膜方法を適用することができる。また、成膜後の熱処理
によってゲート絶縁膜の膜質、酸化物半導体との界面特性が改質される絶縁層であっても
良い。いずれにしても、ゲート絶縁膜としての膜質が良好であることは勿論のこと、酸化
物半導体との界面準位密度を低減し、良好な界面を形成できるものであれば良い。
【0052】
また、ゲート絶縁膜402、酸化物半導体膜に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれな
いようにするために、酸化物半導体膜の成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備
加熱室でゲート電極401が形成された基板400、又はゲート絶縁膜402までが形成
された基板400を予備加熱し、基板400に吸着した水素、水分などの不純物を脱離し
排気することが好ましい。なお、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好まし
い。なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。またこの予備加熱は、後の工程
で、ソース電極405a及びドレイン電極405bまで形成した基板400(金属酸化膜
407の成膜前)にも同様に行ってもよい。
【0053】
次いで、ゲート絶縁膜402上に、膜厚3nm以上30nm以下の酸化物半導体膜をスパ
ッタリング法で形成する。酸化物半導体膜の膜厚を大きくしすぎると(例えば、膜厚を5
0nm以上とすると)、トランジスタがノーマリーオンとなってしまうおそれがあるため
、上述の膜厚とするのが好ましい。
【0054】
なお、酸化物半導体膜をスパッタリング法により成膜する前に、アルゴンガスを導入して
プラズマを発生させる逆スパッタを行い、ゲート絶縁膜402の表面に付着している粉状
物質(パーティクル、ごみともいう)を除去することが好ましい。逆スパッタとは、ター
ゲット側に電圧を印加せずに、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加
して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に
代えて窒素、ヘリウム、酸素などを用いてもよい。
【0055】
酸化物半導体膜に用いる酸化物半導体としては、四元系金属酸化物であるIn−Sn−G
a−Zn−O系酸化物半導体や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系酸化物
半導体、In−Sn−Zn−O系酸化物半導体、In−Al−Zn−O系酸化物半導体、
Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Al−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Sn−A
l−Zn−O系酸化物半導体や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系酸化物半導体
、Sn−Zn−O系酸化物半導体、Al−Zn−O系酸化物半導体、Zn−Mg−O系酸
化物半導体、Sn−Mg−O系酸化物半導体、In−Mg−O系酸化物半導体、In−G
a−O系酸化物半導体や、In−O系酸化物半導体、Sn−O系酸化物半導体、Zn−O
系酸化物半導体などを用いることができる。また、上記酸化物半導体にSiOを含んで
もよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体とは、インジウム(In
)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を有する酸化物膜、という意味であり、その組成比
はとくに問わない。また、InとGaとZn以外の元素を含んでもよい。
【0056】
また、酸化物半導体膜は、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を
用いることができる。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または
複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、またはG
a及びCoなどがある。
【0057】
酸化物半導体としてIn−Ga−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲットとし
ては、例えば、組成比として、In:Ga:ZnO=1:1:1[mol数
比]の酸化物ターゲットを用いることができる。また、このターゲットの材料及び組成に
限定されず、例えば、In:Ga:ZnO=1:1:2[mol数比]の酸
化物ターゲットを用いてもよい。
【0058】
また、酸化物半導体としてIn−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲットの組
成比は、原子数比で、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn
:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に
換算するとIn:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=1
5:1〜1.5:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=15:2〜3:4)と
する。例えば、In−Zn−O系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比が
In:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0059】
また、ターゲットの充填率は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%
以下である。充填率の高いターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜は緻
密な膜とすることができる。
【0060】
本実施の形態では、酸化物半導体膜としてIn−Ga−Zn−O系酸化物ターゲットを用
いてスパッタリング法により成膜する。また、酸化物半導体膜は、希ガス(代表的にはア
ルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガスと酸素の混合雰囲気下においてスパッタリ
ング法により形成することができる。
【0061】
酸化物半導体膜を、成膜する際に用いるスパッタガスとしては、水素、水、水酸基又は水
素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0062】
酸化物半導体膜の成膜は、減圧状態に保持された成膜室内に基板400を保持し、基板温
度を100℃以上600℃以下好ましくは200℃以上400℃以下として行う。基板4
00を加熱しながら成膜することにより、成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度
を低減することができる。また、スパッタリングによる損傷が軽減される。そして、成膜
室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ター
ゲットを用いて基板400上に酸化物半導体膜を成膜する。成膜室内の残留水分を除去す
るためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブ
リメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段は、ターボポンプにコール
ドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例
えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含
む化合物も)等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純
物の濃度を低減できる。
【0063】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa
、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用さ
れる。なお、パルス直流電源を用いると、成膜時に発生する粉状物質(パーティクル、ご
みともいう)が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。
【0064】
次いで、酸化物半導体膜を第2のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体膜4
41に加工する(図1(A)参照。)。また、島状の酸化物半導体膜441を形成するた
めのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェ
ット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0065】
なお、ここでの酸化物半導体膜のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチン
グでもよく、両方を用いてもよい。例えば、酸化物半導体膜のウェットエッチングに用い
るエッチング液としては、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液などを用いることができる。ま
た、ITO07N(関東化学社製)を用いてもよい。
【0066】
次いで、ゲート絶縁膜402及び酸化物半導体膜441上に、ソース電極及びドレイン電
極(これと同じ層で形成される配線を含む)を形成するための導電膜を形成する。ソース
電極及びドレイン電極に用いる導電膜としては、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti
、Mo、Wから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物
膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。
また、Al、Cuなどの金属膜の下側又は上側の一方または双方にTi、Mo、Wなどの
高融点金属膜またはそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タン
グステン膜)を積層させた構成としても良い。また、ソース電極及びドレイン電極に用い
る導電膜は、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化イ
ンジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム
酸化スズ合金(In―SnO、ITOと略記する)、酸化インジウム酸化亜鉛合
金(In―ZnO)またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたもの
を用いることができる。
【0067】
なお、ソース電極及びドレイン電極の材料は、用いる酸化物半導体の電子親和力と金属酸
化膜の電子親和力を考慮して決定することが好ましい。すなわち、ソース電極及びドレイ
ン電極の材料の仕事関数をW[eV]、酸化物半導体の電子親和力をφ[eV]、金属
酸化膜の電子親和力をφ[eV]としたとき、φ+0.4<W<(φ+0.5)、
好ましくは、(φ+0.9)<W<(φ+0.4)、という関係を満たすことが好ま
しい。例えば、酸化物半導体と金属酸化膜として、電子親和力が、それぞれ、4.5eV
、3.5eVの材料を用いるのであれば、ソース電極及びドレイン電極の材料は、その仕
事関数が3.9eVより大きく5.0eV未満、好ましくは、4.4eVより大きく4.
9eV未満である金属あるいは金属化合物を用いることが好ましい。かくするとトランジ
スタ410においてソース電極405a及びドレイン電極405bから金属酸化膜407
への電子の注入を防止し、リーク電流を抑制することができ、また、酸化物半導体膜とソ
ース電極及びドレイン電極との接合において良好な電気特性を得ることができる。このよ
うな仕事関数を有する材料としては、例えば、窒化モリブデンや窒化タングステン等が挙
げられる。なお、これらの材料は、耐熱性の面でも優れているため好ましい。なお、上記
の関係式から、φ<(φ+0.1)、好ましくはφ<(φ−0.5)という関係
式が導かれるが、より好ましくは、φ<(φ−0.9)という関係を満たすとよい。
【0068】
第3のフォトリソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成し、選択的にエッ
チングを行ってソース電極405a、ドレイン電極405bを形成した後、レジストマス
クを除去する(図1(B)参照。)。
【0069】
第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光には、紫外線やKrFレ
ーザ光やArFレーザ光を用いるとよい。酸化物半導体膜441上で隣り合うソース電極
の下端部とドレイン電極の下端部との間隔幅によって後に形成されるトランジスタのチャ
ネル長Lが決定される。なお、チャネル長L=25nm未満の露光を行う場合には、数n
m〜数10nmと極めて波長が短い超紫外線(Extreme Ultraviolet
)を用いて第3のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光を行うとよい
。超紫外線による露光は、解像度が高く焦点深度も大きい。従って、後に形成されるトラ
ンジスタのチャネル長Lを10nm以上1000nm以下とすることも可能であり、回路
の動作速度を高速化できる。
【0070】
また、フォトリソグラフィ工程で用いるフォトマスク数及び工程数を削減するため、透過
した光が複数の強度となる露光マスクである多階調マスクによって形成されたレジストマ
スクを用いてエッチング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成したレジストマ
スクは複数の膜厚を有する形状となり、エッチングを行うことでさらに形状を変形するこ
とができるため、異なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができる
。よって、一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応
するレジストマスクを形成することができる。よって露光マスク数を削減することができ
、対応するフォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0071】
なお、導電膜のエッチングの際に、酸化物半導体膜441がエッチングされ、分断するこ
とのないようエッチング条件を最適化することが望まれる。しかしながら、導電膜のみを
エッチングし、酸化物半導体膜441を全くエッチングしないという条件を得ることは難
しく、導電膜のエッチングの際に酸化物半導体膜441は一部のみがエッチングされ、溝
部(凹部)を有する酸化物半導体膜となることもある。
【0072】
本実施の形態では、導電膜としてTi膜を用い、酸化物半導体膜441にはIn−Ga−
Zn−O系酸化物半導体を用いたので、エッチャントとしてアンモニア過水(アンモニア
、水、過酸化水素水の混合液)を用いる。
【0073】
次いで、NO、N、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理を行い、露出してい
る酸化物半導体膜の表面に付着した吸着水などを除去してもよい。プラズマ処理を行った
場合、当該プラズマ処理に続けて大気に触れることなく、酸化物半導体膜441の一部に
接する金属酸化膜407を形成することが望ましい。
【0074】
次いで、ソース電極405a、及びドレイン電極405bを覆い、且つ酸化物半導体膜4
41の一部と接する金属酸化膜407を形成する。なお、金属酸化膜407の膜厚は、酸
化物半導体膜441よりも厚くする。金属酸化膜407は、酸化物半導体膜441のバッ
クチャネル側、即ち、ソース電極405aとドレイン電極405bの間の酸化物半導体膜
441と接し、その界面に蓄積する電荷を除去する膜である。
【0075】
ソース電極405aまたはドレイン電極405bにたまった電位(電荷)により、ソース
電極405aまたはドレイン電極405bから酸化物半導体膜にプラスの電荷が移動し、
酸化物半導体膜のバックチャネル側の界面に帯電する恐れがある。特に、酸化物半導体膜
の電気伝導度と、酸化物半導体膜のバックチャネル側と接する材料層の電気伝導度とが異
なると、電荷が酸化物半導体膜に流れ、電荷が界面に捕獲され、酸化物半導体膜中の水素
と結合して界面のドナーセンターになる。これにより、トランジスタの特性が変動すると
いう問題が生じてしまう。従って、酸化物半導体膜中の水素の低減と帯電防止の両方が重
要である。
【0076】
酸化物半導体膜と金属酸化膜との物性値の差は小さいことが好ましい。ここでいう物性値
とは、例えば、仕事関数、電子親和力、誘電率、バンドギャップなどである。具体的には
、酸化物半導体膜のバンドギャップと金属酸化膜のバンドギャップとの差は、3eV未満
が好ましい。例えば、酸化物半導体膜としてIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体を用い
、金属酸化膜として、酸化シリコンや酸化アルミニウムを用いた場合、In−Ga−Zn
−O系酸化物半導体のバンドギャップは3.15eV、酸化シリコン及び酸化アルミニウ
ムのバンドギャップは8eVとなるため、上述の問題が生じるおそれがある。また、窒化
物を含む膜(例えば、窒化シリコン膜)を金属酸化膜の代わりに用いると、窒化物を含む
膜と酸化物半導体膜とが接することにより、酸化物半導体膜の電気伝導度が変動するおそ
れがある。
【0077】
金属酸化膜407は、バックチャネル側にプラスの電荷が帯電したとしても速やかに除去
する性質を有する膜である。ただし、金属酸化膜407に用いる材料は、水素の含有量が
酸化物半導体膜と同等またはそれ以下であり、酸化物半導体膜より多い場合であっても一
桁以上は多くない材料であって、そのエネルギーギャップが、酸化物半導体膜の材料と等
しいか、またはそれ以上を有する材料であることが好ましい。
【0078】
このように、帯電を防止するための金属酸化膜407を用いることにより、酸化物半導体
膜403のバックチャネル側と接する材料層から、酸化物半導体膜403へ電荷が流れる
ことを抑制することができる。また、金属酸化膜407を酸化物半導体膜の上面に設ける
ことにより、酸化物半導体膜403のバックチャネル側にプラスの電荷が帯電したとして
も速やかに除去することができる。また、金属酸化膜407を用いることにより、酸化物
半導体膜403のバックチャネル側の寄生チャネルの発生を防止することができる。これ
により、酸化物半導体膜403の電気伝導度やしきい値電圧など電気的特性の変動を抑制
することができるため、トランジスタ410の信頼性を向上させることができる。
【0079】
本実施の形態は、金属酸化膜407として、パルス直流(DC)電源を用いるスパッタ法
により得られる酸化ガリウム膜を用いる。なお、スパッタ法に用いるターゲットとしては
、酸化ガリウムターゲットを用いることが好ましい。また、用いる酸化物半導体膜の電気
伝導度に合わせて金属酸化膜407に適宜、InやZnを添加して電気伝導度を調整して
もよい。例えば、酸化ガリウムにインジウム、又は亜鉛を添加したターゲットを用いて、
スパッタリング法によりインジウム、又は亜鉛を0.01乃至5原子%含む膜を形成する
。インジウム又は亜鉛を添加することによって、金属酸化膜407の電気伝導度を向上さ
せ酸化物半導体膜403の電気伝導度と近づけることで、電荷の蓄積をより低減すること
ができる。
【0080】
酸化ガリウムのバンドギャップは3.0eV〜5.2eV(例えば、4.9eV)、誘電
率は10〜12、電子親和力は3.5eVであり、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体
の、バンドギャップは3.15eV、誘電率は15、電子親和力は3.5eVであるため
、それぞれの差が小さく、好ましい。また、酸化ガリウムは、およそ4.9eVのワイド
バンドギャップを有するため、可視光領域で透光性を有している。また、酸化ガリウムを
金属酸化膜として用いることにより、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体膜と酸化ガ
リウムの膜との接触抵抗を低減することができるため、好ましい。金属酸化膜として酸化
ガリウムを用いる場合、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体の他、酸化物半導体材料と
してIn−Ga−O系酸化物半導体、Ga−Zn−O系酸化物半導体を用いるとよい。
【0081】
特に、酸化物半導体膜としてIn−Ga−Zn−O膜を用いる場合には、金属酸化膜40
7として用いるGaOxに共通のガリウム元素を含んでいるため、材料の相性がよい。
【0082】
金属酸化膜407は、水、水素等の不純物を混入させない方法を用いて成膜することが好
ましい。金属酸化膜407に水素が含まれると、その水素の酸化物半導体膜への侵入、又
は水素による酸化物半導体膜中の酸素の引き抜き、が生じ酸化物半導体膜のバックチャネ
ルが低抵抗化(N型化)してしまい、寄生チャネルが形成されるおそれがある。よって、
金属酸化膜407はできるだけ水素を含まない膜になるように、成膜方法に水素を用いな
いことが重要である。
【0083】
本実施の形態では、金属酸化膜407として10nmを超える膜厚、且つ、酸化物半導体
膜441の膜厚以上の酸化ガリウム膜を、スパッタリング法を用いて成膜する。このよう
に金属酸化膜407の膜厚を厚くすることで、金属酸化膜407は効率よく電荷の放出を
行うことができるためである。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよい
。酸化ガリウム膜のスパッタ法による成膜は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、
酸素雰囲気下、または希ガスと酸素の混合雰囲気下において行うことができる。
【0084】
酸化物半導体膜の成膜時と同様に、金属酸化膜407の成膜室内の残留水分を除去するた
めには、吸着型の真空ポンプ(クライオポンプなど)を用いることが好ましい。クライオ
ポンプを用いて排気した成膜室で成膜した金属酸化膜407に含まれる不純物の濃度を低
減できる。また、金属酸化膜407の成膜室内の残留水分を除去するための排気手段とし
ては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。
【0085】
金属酸化膜407を、成膜する際に用いるスパッタガスとしては、水素、水、水酸基又は
水素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0086】
また、金属酸化膜407は少なくとも酸化物半導体膜のチャネル形成領域、ソース電極4
05a、及びドレイン電極405bを覆えばよく、必要があれば、金属酸化膜407を選
択的に除去してもよい。なお、本実施の形態で用いる酸化ガリウム膜のエッチングには、
公知のウェットエッチングまたは公知のドライエッチングを用いることができる。例えば
、フッ酸溶液または硝酸を用いてウェットエッチングを行う。
【0087】
次に、酸化物半導体膜441、金属酸化膜407または、酸化物半導体膜441と金属酸
化膜407との界面の少なくとも一に、金属酸化膜407を通過させて酸素421を導入
する(図1(C)参照。)。
【0088】
酸素421の導入方法としては、イオン注入法またはイオンドーピング法などを用いるこ
とができる。イオン注入法は、ソースガスをプラズマ化し、このプラズマに含まれるイオ
ン種を引き出し、質量分離して、所定の質量を有するイオン種を加速して、イオンビーム
として、被処理物に注入する方法である。また、イオンドーピング法は、ソースガスをプ
ラズマ化し、所定の電界の作用によりプラズマからイオン種を引き出し、引き出したイオ
ン種を質量分離せずに加速して、イオンビームとして被処理物に注入する方法である。質
量分離を伴うイオン注入法を用いて酸素の導入を行うことで、金属元素等の不純物が酸素
と共に酸化物半導体膜に添加されてしまうのを防ぐことができる。また、イオンドーピン
グ法はイオン注入法に比べてイオンビームの照射される面積を大きくすることができるの
で、イオンドーピング法を用いて酸素の添加を行うことで、タクトタイムを短縮すること
ができる。
【0089】
酸化物半導体膜441への酸素の導入を、積層された金属酸化膜407を通過して行うた
め、酸素の導入深さ(導入領域)を制御することができ、酸化物半導体膜441中へ酸素
を効率よく導入することができる。酸素の導入深さは、加速電圧、ドーズ量などの導入条
件、また通過させる金属酸化膜407の膜厚を適宜設定して制御すればよい。
【0090】
次に、金属酸化膜407上に絶縁膜409を形成する(図1(D)参照。)。絶縁膜40
9としては、無機絶縁膜を用い、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウ
ム膜、酸化窒化アルミニウム膜などの酸化絶縁膜、又は窒化シリコン膜、窒化酸化シリコ
ン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜などの窒化絶縁膜の単層、或いは積
層を用いればよい。例えば、金属酸化膜407側から順にスパッタリング法を用いて、酸
化シリコン膜及び窒化シリコン膜の積層を形成する。
【0091】
なお、上述の酸素導入処理は、金属酸化膜407上に絶縁膜409を形成した後に行って
も良い。
【0092】
次に酸素を導入した酸化物半導体膜441に、金属酸化膜407と一部(チャネル形成領
域)が接した状態で加熱処理を行う(図1(E)参照。)。
【0093】
加熱処理の温度は、250℃以上650℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下、
または基板の歪み点未満とする。例えば、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入
し、酸化物半導体膜に対して窒素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行う。
【0094】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱
輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いてもよい。例えば、GRTA(Gas R
apid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid T
hermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anne
al)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドラ
ンプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀
ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置であ
る。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。高温のガスには、
アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不
活性気体が用いられる。なお、加熱処理装置としてGRTA装置を用いる場合には、その
熱処理時間が短いため、650℃〜700℃の高温に加熱した不活性ガス中で基板を加熱
してもよい。
【0095】
加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1pp
m以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)
の雰囲気下で行えばよいが、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガス等の雰囲気に水
、水素などが含まれないことが好ましい。また、加熱処理装置に導入する窒素、酸素、ま
たは希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.9999
9%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすること
が好ましい。
【0096】
このように、酸化物半導体膜441、金属酸化膜407または酸化物半導体膜441と金
属酸化膜407との界面の少なくとも一に、酸素を添加し、その後、加熱処理を行うこと
により、酸化物半導体膜441中、金属酸化膜407中、または酸化物半導体膜441と
金属酸化膜407との界面に存在する不対結合手を酸素で終端することが可能である。酸
化物半導体膜441中、金属酸化膜407中、または酸化物半導体膜441と金属酸化膜
407との界面に不対結合手が存在すると、水素が拡散してボンドが形成される恐れがあ
るが、不対結合手を酸素で終端することにより、ボンドの形成を防止することができるの
である。
【0097】
また、酸素の導入により、酸化物半導体を構成している金属と水素の間の結合、或いは該
金属と水酸基の間の結合を切断するとともに、これら水素、または水酸基が、酸素と反応
することで水が生成される。よって、加熱処理により、不純物である水素、または水酸基
を、水として、脱離させやすくすることができる。
【0098】
このように、酸素の導入及び加熱処理によって、ボンドの形成を防止すると共に、酸化物
半導体膜の脱水化または脱水素化を行うことができ、酸化物半導体膜から水素、水分、水
酸基又は水素化物などの不純物を排除することができる。
【0099】
また、酸化物半導体膜と酸素を含む金属酸化膜407とを接した状態で加熱処理を行うた
め、不純物の排除工程によって同時に減少してしまう酸化物半導体を構成する主成分材料
の一つである酸素を、酸素を含む金属酸化膜407より酸化物半導体膜へ供給することが
できる。これによって、酸化物半導体膜中の電荷捕獲中心を低減することができる。以上
の工程で高純度化し、電気的にI型(真性)化された酸化物半導体膜403を得る。また
、この加熱処理によって、金属酸化膜407も同時に不純物が除去され、高純度化されう
る。
【0100】
高純度化された酸化物半導体膜403中ではドナーに由来するキャリアが極めて少なく(
ゼロに近い)、キャリア濃度は1×1014/cm未満、好ましくは1×1012/c
未満、さらに好ましくは1×1011/cm未満である。
【0101】
また、金属酸化膜407を通過させて酸素を添加することによって、酸化物半導体膜44
1と金属酸化膜407との界面近傍の原子の配列に歪みが生じ、その後の加熱処理により
、酸化物半導体膜403と金属酸化膜407との界面近傍の原子の再配列が行われる。こ
のとき、酸化物半導体膜403と金属酸化膜407との間で互いの原子の結合が生じるの
で、酸化物半導体膜403と金属酸化膜407との電気伝導度などの物性値の差を低減し
、酸化物半導体膜のバックチャネル側の界面における帯電を抑制することができる。これ
により、酸化物半導体膜のしきい値電圧など電気的特性の変動を抑制することができるた
め、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
【0102】
以上の工程でトランジスタ410が形成される(図1(E)参照。)。トランジスタ41
0は、水素、水分、水酸基又は水素化物(水素化合物ともいう)などの不純物を酸化物半
導体膜より意図的に排除し、高純度化された酸化物半導体膜403を含むトランジスタで
ある。よって、トランジスタ410は、電気的特性変動が抑制されており、電気的に安定
である。
【0103】
なお、酸素を導入後の加熱処理は、絶縁膜409の形成前に行ってもよい。この場合、加
熱処理後に金属酸化膜407上に絶縁膜409を形成する。
【0104】
また、上記加熱処理に加えて、他の加熱処理を行っても良い。例えば、酸化物半導体膜4
41を形成した後に、加熱処理(第1の加熱処理)を行い、金属酸化膜407を形成した
後に、さらに加熱処理(第2の加熱処理)を行っても良い。この場合、第1の加熱処理は
、例えば、不活性ガス雰囲気下で加熱を行い、酸素雰囲気下(少なくとも酸素を含む雰囲
気下)で冷却を行う処理とすることができる。このような第1の加熱処理を適用すること
で、酸化物半導体膜の脱水化と加酸化を好適に行うことができる。
【0105】
また、図1(E)の工程の後に、さらに加熱処理を行ってもよい。例えば、大気中、10
0℃以上200℃以下、1時間以上30時間以下での加熱処理を行ってもよい。この加熱
処理は一定の加熱温度を保持して加熱してもよいし、室温から、100℃以上200℃以
下の加熱温度への昇温と、加熱温度から室温までの降温を複数回くりかえして行ってもよ
い。
【0106】
また、酸化物半導体膜403を用いたトランジスタ410は、比較的高い電界効果移動度
が得られるため、高速駆動が可能である。よって、画素部に上記トランジスタを用いるこ
とで、高画質な画像を提供することができる。また、高純度化された酸化物半導体膜を含
むトランジスタを有する駆動回路部と画素部を同一基板上に形成できるため、半導体装置
の部品点数を削減することができる。
【0107】
また、金属酸化膜407を有するトランジスタ410では、酸化物半導体膜403のバッ
クチャネル側の寄生チャネルの発生を防止することができる。さらに、トランジスタ41
0において酸化物半導体膜403のバックチャネル側の寄生チャネルの発生を防止するこ
とで、しきい値電圧の変動を抑制することができるため、信頼性の向上したトランジスタ
とすることができる。
【0108】
ところで、図1(E)に示すトランジスタ410においては、酸化物半導体膜403と、
金属酸化膜407との2層の誘電体が接して設けられている。異なる2層の誘電体が積層
された場合、1層目(トランジスタ410においては酸化物半導体膜403)の誘電率を
ε、電気伝導度をσ、厚さをdとし、2層目(トランジスタ410においては金属
酸化膜407)の誘電率をε、電気伝導度をσ、厚さをdとしたとき、2層の積層
は図9(A)のモデル図で表すことができる。なお、図9(A)において、Sは面積を表
す。また、図9(A)のモデル図は、図9(B)の等価回路に置き換えることができる。
図中のCは1層目の容量値を、Gは1層目の抵抗値を、Cは2層目の容量値を、G
は2層目の抵抗値をそれぞれ表す。ここで、2層に電圧Vを印加した場合、t秒後に2
層の界面には以下の式(1)で表される電荷Qが蓄積するとされる。
【0109】
【数1】

【0110】
図1(E)に示すトランジスタ410において、上述の電荷Qが蓄積される界面は、酸化
物半導体膜403のバックチャネル側に相当し、金属酸化膜407の誘電率または電気伝
導度、あるいは金属酸化膜407の膜厚を適宜設定することで、バックチャネル側の界面
に蓄積する電荷Qを小さくすることができる。
【0111】
ここで、式(1)を変形すると、下記式(2)及び式(3)で表される。
【0112】
【数2】

【0113】
式(2)及び式(3)より、電荷Qを小さくするためには、以下(A)乃至(D)の4条
件を想定することができる。
条件(A)τを非常に大きくする。
条件(B)Vをゼロに近づける、すなわち、GをGより非常に大きくする。
条件(C)Cをゼロに近づける。
条件(D)τをτに近づける。
【0114】
条件(A)で、τを非常に大きくするには、τ=(C+C)/(G+G)で
あるから、(C+C)を(G+G)より非常に大きくすればよい。C、G
酸化物半導体膜403のパラメータであるから、金属酸化膜407によって電荷Qを小さ
くするためには、Cを大きくする必要がある。しかしながら、C=εS/dより
εにてCを大きくすると、式(2)よりQが大きくなり、矛盾を生じる。つまりτ
にて電荷Qを調整することは出来ない。
【0115】
条件(B)で、Vをゼロに近づけるためには、式(3)より、G>>Gを満たせば
よい。Gは酸化物半導体膜403のパラメータであるため、金属酸化膜407によって
電荷Qを小さくするためには、Gを大きくする必要がある。具体的には、G=σ
/dであるため、dを小さくするか、σを大きい材料を選択することとなる。しか
し、dの縮小は、C=εS/dよりCが大きくなり、条件(A)と同様にQが
大きくなるため採用することができない。また、σが大きいとは、金属酸化膜407が
酸化物半導体膜403より電気伝導度が高いことを意味しており、リーク電流の発生やシ
ョートの危険性が高いため採用することができない。
【0116】
条件(C)で、Cを非常に小さくするためには、C=εS/dより、dを大き
くするか、εの小さい材料を選択することとなる。
【0117】
また、条件(D)で、τをτに近づけるためには、τ=ε/σ、τ=ε
σであるから、ε/σ≒ε/σとなる膜を選べばよい。これはC/G≒C
/Gと等価である。
【0118】
したがって、電荷Qの蓄積を効果的に防止するためには、金属酸化膜407の膜厚(d
)を大きくする、または金属酸化膜407の材料として誘電率(ε)の小さい材料、好
ましくは酸化物半導体膜403より小さい材料(例えば、誘電率εが8以上20以下であ
る材料)を選択するのが好ましい。あるいはε/σ≒ε/σ(εは酸化物半導
体の誘電率、σは酸化物半導体の伝導率)となるよう、酸化物半導体膜との物性値が近
い材料を金属酸化膜として選択するのが好ましい。
【0119】
以上のように、安定した電気的特性を有する酸化物半導体を用いた半導体装置を提供する
ことができる。よって、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0120】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適
宜組み合わせて用いることができる。
【0121】
(実施の形態2)
本実施の形態では、半導体装置の作製方法の他の一形態を説明する。上記実施の形態と同
一部分又は同様な機能を有する部分、及び工程は、上記実施の形態と同様に行うことがで
き、繰り返しの説明は省略する。また同じ箇所の詳細な説明は省略する。
【0122】
本実施の形態では、実施の形態1で示したトランジスタ410の作製方法において、酸化
物半導体膜と接する金属酸化膜407を形成する前に酸化物半導体膜に加熱処理を行う例
を示す。
【0123】
この加熱処理は、酸化物半導体膜が形成された後、金属酸化膜407が形成される前であ
れば、島状の酸化物半導体膜に加工前の酸化物半導体膜に適用してもよく、ソース電極4
05a及びドレイン電極405bの形成前または形成後のいずれに適用してもよい。
【0124】
加熱処理の温度は、250℃以上650℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下と
する。例えば、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体膜に対し
て窒素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行う。加熱処理後は、大気に触れる
ことなく金属酸化膜を形成し、酸化物半導体膜への水や水素の再混入を防ぐことが好まし
い。
【0125】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱
輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いてもよい。例えば、GRTA装置、LRT
A装置等のRTA装置を用いることができる。なお、加熱処理装置としてGRTA装置を
用いる場合には、その熱処理時間が短いため、650℃〜700℃の高温に加熱した不活
性ガス中で基板を加熱してもよい。
【0126】
加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1pp
m以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)
の雰囲気下で行えばよいが、上記窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガス等の雰囲気に水
、水素などが含まれないことが好ましい。また、加熱処理装置に導入する窒素、酸素、ま
たは希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上好ましくは7N(99.99999
%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが
好ましい。
【0127】
この加熱処理により、酸化物半導体膜中の水分または水素などの不純物を低減させておく
ことができる。
【0128】
さらに、酸化物半導体膜上に金属酸化膜を形成し、酸化絶縁層である金属酸化膜を通過さ
せて、酸化物半導体膜に酸素を導入することで、酸化物半導体を構成している金属と水素
の間の結合、或いは該金属と水酸基の間の結合を切断するとともに、これら水素または水
酸基を酸素と反応させて、水を生成する。そして、酸素の導入後、絶縁層を形成し、さら
に加熱処理を行うことで、強固に残存していた水素または水酸基などの不純物を、水とし
て、脱離させやすくすることができる。
【0129】
酸化物半導体膜と酸素を含む金属酸化膜とを接した状態で加熱処理を行うため、不純物の
排除工程によって同時に減少してしまう酸化物半導体を構成する主成分材料の一つである
酸素を、酸素を含む金属酸化膜より酸化物半導体膜へ供給することができる。
【0130】
従って、酸化物半導体膜に対して、金属酸化膜の形成前の加熱処理、及び金属酸化膜を形
成し酸素を導入した後の加熱処理を行えば、さらに水分、水素などの不純物が脱離した、
I型(真性半導体)又はI型に限りなく近い酸化物半導体膜を得ることができる。
【0131】
従って、高純度化された酸化物半導体膜を含むトランジスタは、電気的特性変動が抑制さ
れており、電気的に安定である。
【0132】
また、帯電を防止するための金属酸化膜を有するトランジスタは、酸化物半導体膜のバッ
クチャネル側の寄生チャネルの発生を防止することができる。さらに、トランジスタにお
いて酸化物半導体膜のバックチャネル側の寄生チャネルの発生を防止することで、しきい
値電圧の変動を抑制することができる。
【0133】
以上のように、安定した電気的特性を有する酸化物半導体を用いた半導体装置を提供する
ことができる。よって、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0134】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適
宜組み合わせて用いることができる。
【0135】
(実施の形態3)
実施の形態1または2のいずれかで一例を示したトランジスタを用いて表示機能を有する
半導体装置(表示装置ともいう)を作製することができる。また、トランジスタを含む駆
動回路の一部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形
成することができる。
【0136】
図2(A)において、第1の基板4001上に設けられた画素部4002を囲むようにし
て、シール材4005が設けられ、第2の基板4006によって封止されている。図2(
A)においては、第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域と
は異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成され
た走査線駆動回路4004、信号線駆動回路4003が実装されている。また別途形成さ
れた信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004または画素部4002に与えら
れる各種信号及び電位は、FPC(Flexible printed circuit
)4018a、4018bから供給されている。
【0137】
図2(B)(C)において、第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査
線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また画素
部4002と、走査線駆動回路4004の上に第2の基板4006が設けられている。よ
って画素部4002と、走査線駆動回路4004とは、第1の基板4001とシール材4
005と第2の基板4006とによって、表示素子と共に封止されている。図2(B)(
C)においては、第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域と
は異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成され
た信号線駆動回路4003が実装されている。図2(B)(C)においては、別途形成さ
れた信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004または画素部4002に与えら
れる各種信号及び電位は、FPC4018から供給されている。
【0138】
また図2(B)(C)においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1の基板4
001に実装している例を示しているが、この構成に限定されない。走査線駆動回路を別
途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを
別途形成して実装しても良い。
【0139】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(Ch
ip On Glass)方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB(Tape A
utomated Bonding)方法などを用いることができる。図2(A)は、C
OG方法により信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004を実装する例であり、
図2(B)は、COG方法により信号線駆動回路4003を実装する例であり、図2(C
)は、TAB方法により信号線駆動回路4003を実装する例である。
【0140】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラ
を含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。
【0141】
なお、本明細書中における表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光
源(照明装置を含む)を指す。また、コネクター、例えばFPCもしくはTABテープも
しくはTCPが取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板
が設けられたモジュール、または表示素子にCOG方式によりIC(集積回路)が直接実
装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0142】
また第1の基板上に設けられた画素部及び走査線駆動回路は、トランジスタを複数有して
おり、実施の形態1または2のいずれかで一例を示したトランジスタを適用することがで
きる。
【0143】
表示装置に設けられる表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)、発光素子(
発光表示素子ともいう)、を用いることができる。発光素子は、電流または電圧によって
輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro
Luminescence)、有機EL等が含まれる。また、電子インクなど、電気的作
用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。
【0144】
半導体装置の一形態について、図3乃至図5を用いて説明する。図3乃至図5は、図2(
B)のM−Nにおける断面図に相当する。
【0145】
図3乃至図5で示すように、半導体装置は接続端子電極4015及び端子電極4016を
有しており、接続端子電極4015及び端子電極4016はFPC4018が有する端子
と異方性導電膜4019を介して、電気的に接続されている。
【0146】
接続端子電極4015は、第1の電極層4030と同じ導電膜から形成され、端子電極4
016は、トランジスタ4010、4011のソース電極及びドレイン電極と同じ導電膜
で形成されている。
【0147】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004は、
トランジスタを複数有しており、図3乃至図5では、画素部4002に含まれるトランジ
スタ4010と、走査線駆動回路4004に含まれるトランジスタ4011とを例示して
いる。図3では、トランジスタ4010、4011上には帯電を防止するための金属酸化
膜4020、絶縁膜4024が設けられ、図4及び図5ではさらに、絶縁層4021が設
けられている。なお、絶縁膜4023は下地膜として機能する絶縁膜である。
【0148】
本実施の形態では、トランジスタ4010、トランジスタ4011として、実施の形態1
または2のいずれかで示したトランジスタを適用することができる。
【0149】
トランジスタ4010及びトランジスタ4011において、酸化物半導体膜は、上に積層
される金属酸化膜4020を通過して酸素を導入し、金属酸化膜4020上に絶縁膜40
24を形成した後、加熱処理を行うことによって、水素、水分、水酸基又は水素化物(水
素化合物ともいう)などの不純物を酸化物半導体膜より意図的に排除し、高純度化された
酸化物半導体膜である。酸素の導入により、酸化物半導体を構成している金属と水素の間
の結合、或いは該金属と水酸基の間の結合を切断するとともに、これら水素、または水酸
基が、酸素と反応することで水を生成するため、後に行われる加熱処理により、不純物で
ある水素、または水酸基を、水として、脱離させやすくすることができる。
【0150】
酸化物半導体膜への酸素の導入を、積層された金属酸化膜4020を通過して行うため、
酸素の導入深さ(導入領域)を制御することができ、酸化物半導体膜中への酸素を効率よ
く導入することができる。
【0151】
また、酸化物半導体膜と酸素を含む金属酸化膜4020とを接した状態で加熱処理を行う
ため、不純物の排除工程によって同時に減少してしまう酸化物半導体を構成する主成分材
料の一つである酸素を、酸素を含む金属酸化膜4020より酸化物半導体膜へ供給するこ
とができる。よって、酸化物半導体膜はより高純度化し、電気的にI型(真性)化する。
【0152】
従って、高純度化された酸化物半導体膜を含むトランジスタ4010及びトランジスタ4
011は、電気的特性変動が抑制されており、電気的に安定である。よって、図3乃至図
5で示す本実施の形態の半導体装置として信頼性の高い半導体装置を提供することができ
る。
【0153】
また、帯電を防止するための金属酸化膜を有するトランジスタは、酸化物半導体膜のバッ
クチャネル側の寄生チャネルの発生を防止することができる。さらに、トランジスタにお
いて酸化物半導体膜のバックチャネル側の寄生チャネルの発生を防止することで、しきい
値電圧の変動を抑制することができる。
【0154】
また、本実施の形態では、絶縁膜4024上において駆動回路用のトランジスタ4011
の酸化物半導体膜のチャネル形成領域と重なる位置には導電層が設けられている。導電層
を酸化物半導体膜のチャネル形成領域と重なる位置に設けることによって、BT試験前後
におけるトランジスタ4011のしきい値電圧の変化量をさらに低減することができる。
また、導電層は、電位がトランジスタ4011のゲート電極と同じでもよいし、異なって
いても良く、第2のゲート電極として機能させることもできる。また、導電層の電位がG
ND、0V、或いはフローティング状態であってもよい。
【0155】
また、該導電層は外部の電場を遮蔽する、すなわち外部の電場が内部(薄膜トランジスタ
を含む回路部)に作用しないようにする機能(特に静電気に対する静電遮蔽機能)も有す
る。導電層の遮蔽機能により、静電気などの外部の電場の影響によりトランジスタの電気
的な特性が変動することを防止することができる。
【0156】
画素部4002に設けられたトランジスタ4010は表示素子と電気的に接続し、表示パ
ネルを構成する。表示素子は表示を行うことができれば特に限定されず、様々な表示素子
を用いることができる。
【0157】
図3に表示素子として液晶素子を用いた液晶表示装置の例を示す。図3において、表示素
子である液晶素子4013は、第1の電極層4030、第2の電極層4031、及び液晶
層4008を含む。なお、液晶層4008を挟持するように配向膜として機能する絶縁膜
4032、4033が設けられている。第2の電極層4031は第2の基板4006側に
設けられ、第1の電極層4030と第2の電極層4031とは液晶層4008を介して積
層する構成となっている。
【0158】
また4035は絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、
液晶層4008の膜厚(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお球状のス
ペーサを用いていても良い。
【0159】
表示素子として、液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液
晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これら
の液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイ
ラルネマチック相、等方相等を示す。
【0160】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つで
あり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直
前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善
するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶層に用いる。
ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が1msec以下と短
く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。また配向膜
を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こ
される静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減す
ることができる。よって液晶表示装置の生産性を向上させることが可能となる。酸化物半
導体膜を用いるトランジスタは、静電気の影響によりトランジスタの電気的な特性が著し
く変動して設計範囲を逸脱する恐れがある。よって酸化物半導体膜を用いるトランジスタ
を有する液晶表示装置にブルー相の液晶材料を用いることはより効果的である。
【0161】
また、液晶材料の固有抵抗率は、1×10Ω・cm以上であり、好ましくは1×10
Ω・cm以上であり、さらに好ましくは1×1012Ω・cm以上である。なお、本明
細書における固有抵抗率の値は、20℃で測定した値とする。
【0162】
液晶表示装置に設けられる保持容量の大きさは、画素部に配置されるトランジスタのリー
ク電流等を考慮して、所定の期間の間電荷を保持できるように設定される。高純度の酸化
物半導体膜を有するトランジスタを用いることにより、各画素における液晶容量に対して
1/3以下、好ましくは1/5以下の容量の大きさを有する保持容量を設ければ充分であ
る。
【0163】
本実施の形態で用いる高純度化された酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、オフ状態
における電流値(オフ電流値)を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号
の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よ
って、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果
を奏する。
【0164】
また、本実施の形態で用いる高純度化された酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、比
較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。よって、液晶表示装置
の画素部に上記トランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。ま
た、上記トランジスタを有する駆動回路部と画素部を同一基板上に形成することができる
ため、液晶表示装置の部品点数を削減することができる。
【0165】
液晶表示装置には、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−P
lane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Swit
ching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned
Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated B
irefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liqui
d Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liq
uid Crystal)モードなどを用いることができる。
【0166】
また、ノーマリーブラック型の液晶表示装置、例えば垂直配向(VA)モードを採用した
透過型の液晶表示装置としてもよい。ここで、垂直配向モードとは、液晶表示パネルの液
晶分子の配列を制御する方式の一種であり、電圧が印加されていないときにパネル面に対
して液晶分子が垂直方向を向く方式である。垂直配向モードとしては、いくつか挙げられ
るが、例えば、MVA(Multi−Domain Vertical Alignme
nt)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)
モード、ASVモードなどを用いることができる。また、画素(ピクセル)をいくつかの
領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に分子を倒すよう工夫されているマルチ
ドメイン化あるいはマルチドメイン設計といわれる方法を用いることができる。
【0167】
また、表示装置において、ブラックマトリクス(遮光層)、偏光部材、位相差部材、反射
防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設ける。例えば、偏光基板及び位相差基
板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用
いてもよい。
【0168】
また、バックライトとして複数の発光ダイオード(LED)を用いて、時間分割表示方式
(フィールドシーケンシャル駆動方式)を行うことも可能である。フィールドシーケンシ
ャル駆動方式を適用することで、カラーフィルタを用いることなく、カラー表示を行うこ
とができる。
【0169】
また、画素部における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いる
ことができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは
赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、RGBW(Wは白を表す)
、又はRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加したものがある。なお、
色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、本実施の形態
はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用する
こともできる。
【0170】
また、表示装置に含まれる表示素子として、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素
子を適用することができる。エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料
が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機E
L素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0171】
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔
がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャ
リア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成
し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このよう
な発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0172】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分
類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有
するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−ア
クセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、
さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利
用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明す
る。
【0173】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも一対の電極の一方が透明であればよい。そし
て、基板上にトランジスタ及び発光素子を形成し、基板とは逆側の面から発光を取り出す
上面射出や、基板側の面から発光を取り出す下面射出や、基板側及び基板とは反対側の面
から発光を取り出す両面射出構造の発光素子があり、どの射出構造の発光素子も適用する
ことができる。
【0174】
図4に表示素子として発光素子を用いた発光装置の例を示す。表示素子である発光素子4
513は、画素部4002に設けられたトランジスタ4010と電気的に接続している。
なお発光素子4513の構成は、第1の電極層4030、電界発光層4511、第2の電
極層4031の積層構造であるが、示した構成に限定されない。発光素子4513から取
り出す光の方向などに合わせて、発光素子4513の構成は適宜変えることができる。
【0175】
隔壁4510は、有機絶縁材料、又は無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂
材料を用い、第1の電極層4030上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲
率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0176】
電界発光層4511は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成
されていてもどちらでも良い。
【0177】
発光素子4513に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極層
4031及び隔壁4510上に保護膜を形成してもよい。保護膜としては、窒化シリコン
膜、窒化酸化シリコン膜、DLC膜等を形成することができる。また、第1の基板400
1、第2の基板4006、及びシール材4005によって封止された空間には充填材45
14が設けられ密封されている。このように外気に曝されないように気密性が高く、脱ガ
スの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材
でパッケージング(封入)することが好ましい。
【0178】
充填材4514としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂また
は熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、ポリイ
ミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エ
チレンビニルアセテート)を用いることができる。例えば充填材として窒素を用いればよ
い。
【0179】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、
位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよ
い。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により
反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0180】
また、表示装置として、電子インクを駆動させる電子ペーパーを提供することも可能であ
る。電子ペーパーは、電気泳動表示装置(電気泳動ディスプレイ)とも呼ばれており、紙
と同じ読みやすさ、他の表示装置に比べ低消費電力、薄くて軽い形状とすることが可能と
いう利点を有している。
【0181】
電気泳動表示装置は、様々な形態が考えられ得るが、プラスの電荷を有する第1の粒子と
、マイナスの電荷を有する第2の粒子とを含むマイクロカプセルが溶媒または溶質に複数
分散されたものであり、マイクロカプセルに電界を印加することによって、マイクロカプ
セル中の粒子を互いに反対方向に移動させて一方側に集合した粒子の色のみを表示するも
のである。なお、第1の粒子または第2の粒子は染料を含み、電界がない場合において移
動しないものである。また、第1の粒子の色と第2の粒子の色は異なるもの(無色を含む
)とする。
【0182】
このように、電気泳動表示装置は、誘電定数の高い物質が高い電界領域に移動する、いわ
ゆる誘電泳動的効果を利用したディスプレイである。
【0183】
上記マイクロカプセルを溶媒中に分散させたものが電子インクと呼ばれるものであり、こ
の電子インクはガラス、プラスチック、布、紙などの表面に印刷することができる。また
、カラーフィルタや色素を有する粒子を用いることによってカラー表示も可能である。
【0184】
なお、マイクロカプセル中の第1の粒子および第2の粒子は、導電体材料、絶縁体材料、
半導体材料、磁性材料、液晶材料、強誘電性材料、エレクトロルミネセント材料、エレク
トロクロミック材料、磁気泳動材料から選ばれた一種の材料、またはこれらの複合材料を
用いればよい。
【0185】
また、電子ペーパーとして、ツイストボール表示方式を用いる表示装置も適用することが
できる。ツイストボール表示方式とは、白と黒に塗り分けられた球形粒子を表示素子に用
いる電極層である第1の電極層及び第2の電極層の間に配置し、第1の電極層及び第2の
電極層に電位差を生じさせて球形粒子の向きを制御することにより、表示を行う方法であ
る。
【0186】
図5に、半導体装置の一形態としてアクティブマトリクス型の電子ペーパーを示す。図5
の電子ペーパーは、ツイストボール表示方式を用いた表示装置の例である。
【0187】
トランジスタ4010と接続する第1の電極層4030と、第2の基板4006に設けら
れた第2の電極層4031との間には黒色領域4615a及び白色領域4615bを有し
、周りに液体で満たされているキャビティ4612を含む球形粒子4613が設けられて
おり、球形粒子4613の周囲は樹脂等の充填材4614で充填されている。第2の電極
層4031が共通電極(対向電極)に相当する。第2の電極層4031は、共通電位線と
電気的に接続される。
【0188】
なお、図3乃至図5において、第1の基板4001、第2の基板4006としては、ガラ
ス基板の他、可撓性を有する基板も用いることができ、例えば透光性を有するプラスチッ
ク基板などを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiberglas
s−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)
フィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。ま
た、アルミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシート
を用いることもできる。
【0189】
絶縁膜4024は、トランジスタの保護膜として機能する。
【0190】
また、金属酸化膜4020は、酸化物半導体膜のバックチャネル側の寄生チャネルの発生
を防止するのみでなく、水素、水分、水酸基又は水素化物などの不純物の排除工程によっ
て同時に酸化物半導体膜から減少してしまう酸素を、酸化物半導体膜へ供給する機能も有
する。
【0191】
金属酸化膜4020としては、スパッタリング法により形成された酸化ガリウム膜を用い
ればよい。また酸化ガリウムにインジウム、又は亜鉛を添加した膜でもよく、例えば、イ
ンジウム又は亜鉛を0.01乃至5原子%含む酸化ガリウム膜を用いることができる。イ
ンジウム又は亜鉛を添加することによって、金属酸化膜4020の電気伝導度を向上させ
、電荷の蓄積をより低減することができる。
【0192】
なお、絶縁膜4024は、スパッタ法を用いて、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、
酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アル
ミニウム膜の単層、又は積層で形成すればよい。
【0193】
また、絶縁層4021は、無機絶縁材料又は有機絶縁材料を用いて形成することができる
。なお、アクリル樹脂、ポリイミド、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアミド、エポキシ樹
脂等の、耐熱性を有する有機絶縁材料を用いると、平坦化絶縁膜として好適である。また
上記有機絶縁材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG
(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これら
の材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁層を形成してもよい。
【0194】
絶縁層4021の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタリング法、ス
ピンコート法、ディッピング法、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリ
ーン印刷、オフセット印刷等)、ロールコーティング、カーテンコーティング、ナイフコ
ーティング等を用いることができる。
【0195】
表示装置は光源又は表示素子からの光を透過させて表示を行う。よって光が透過する画素
部に設けられる基板、絶縁膜、導電膜などの薄膜はすべて可視光の波長領域の光に対して
透光性とする。
【0196】
表示素子に電圧を印加する第1の電極層4030及び第2の電極層4031(画素電極層
、共通電極層、対向電極層などともいう)においては、取り出す光の方向、電極層が設け
られる場所、及び電極層のパターン構造によって透光性、反射性を選択すればよい。
【0197】
第1の電極層4030、第2の電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸
化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化
物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、ITO、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素
を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
【0198】
また、第1の電極層4030、第2の電極層4031はタングステン(W)、モリブデン
(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(N
b)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタ
ン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、
又はその合金、若しくはその窒化物から一つ、又は複数種を用いて形成することができる

【0199】
また、第1の電極層4030、第2の電極層4031として、導電性高分子(導電性ポリ
マーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性高分子として
は、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリンま
たはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、若
しくはアニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体若しくはその誘
導体などがあげられる。
【0200】
また、トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、駆動回路保護用の保護回路
を設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。
【0201】
以上のように実施の形態1または2で示したトランジスタを適用することで、様々な機能
を有する半導体装置を提供することができる。
【0202】
(実施の形態4)
実施の形態1または2のいずれかで一例を示したトランジスタを用いて、対象物の情報を
読み取るイメージセンサ機能を有する半導体装置を作製することができる。
【0203】
図6(A)に、イメージセンサ機能を有する半導体装置の一例を示す。図6(A)はフォ
トセンサの等価回路であり、図6(B)はフォトセンサの一部を示す断面図である。
【0204】
フォトダイオード602は、一方の電極がフォトダイオードリセット信号線658に、他
方の電極がトランジスタ640のゲートに電気的に接続されている。トランジスタ640
は、ソース又はドレインの一方がフォトセンサ基準信号線672に、ソース又はドレイン
の他方がトランジスタ656のソース又はドレインの一方に電気的に接続されている。ト
ランジスタ656は、ゲートがゲート信号線659に、ソース又はドレインの他方がフォ
トセンサ出力信号線671に電気的に接続されている。
【0205】
なお、本明細書における回路図において、酸化物半導体膜を用いるトランジスタと明確に
判明できるように、酸化物半導体膜を用いるトランジスタの記号には「OS」と記載して
いる。図6(A)において、トランジスタ640、トランジスタ656は酸化物半導体膜
を用いるトランジスタである。
【0206】
図6(B)は、フォトセンサにおけるフォトダイオード602及びトランジスタ640を
示す断面図であり、絶縁表面を有する基板601(TFT基板)上に、センサとして機能
するフォトダイオード602及びトランジスタ640が設けられている。フォトダイオー
ド602、トランジスタ640の上には接着層608を用いて基板613が設けられてい
る。
【0207】
トランジスタ640上には帯電を防止するための金属酸化膜631、絶縁膜632、層間
絶縁層633、層間絶縁層634が設けられている。フォトダイオード602は、層間絶
縁層633上に設けられ、層間絶縁層633上に形成した電極層641と、層間絶縁層6
34上に設けられた電極層642との間に、層間絶縁層633側から順に第1半導体層6
06a、第2半導体層606b、及び第3半導体層606cを積層した構造を有している

【0208】
トランジスタ640において、酸化物半導体膜は、上に積層される金属酸化膜631を通
過して酸素を導入し、金属酸化膜631上に絶縁膜632を形成した後、加熱処理を行う
ことによって、水素、水分、水酸基又は水素化物(水素化合物ともいう)などの不純物を
酸化物半導体膜より意図的に排除し、高純度化された酸化物半導体膜である。酸素の導入
により、酸化物半導体を構成している金属と水素の間の結合、或いは該金属と水酸基の間
の結合を切断するとともに、これら水素、または水酸基が、酸素と反応することで水を生
成するため、後に行われる加熱処理により、不純物である水素、または水酸基を、水とし
て、脱離させやすくすることができる。
【0209】
酸化物半導体膜への酸素の導入を、積層された金属酸化膜631を通過して行うため、酸
素の導入深さ(導入領域)を制御することができ、酸化物半導体膜中への酸素を効率よく
導入することができる。
【0210】
また、酸化物半導体膜と酸素を含む金属酸化膜631とを接した状態で加熱処理を行うた
め、不純物の排除工程によって同時に減少してしまう酸化物半導体を構成する主成分材料
の一つである酸素を、酸素を含む金属酸化膜631より酸化物半導体膜へ供給することが
できる。よって、酸化物半導体膜はより高純度化し、電気的にI型(真性)化する。
【0211】
従って、高純度化された酸化物半導体膜を含むトランジスタ640は、電気的特性変動が
抑制されており、電気的に安定である。よって、本実施の形態の半導体装置として信頼性
の高い半導体装置を提供することができる。
【0212】
電極層641は、層間絶縁層634に形成された導電層643と電気的に接続し、電極層
642は電極層644を介してゲート電極645と電気的に接続している。ゲート電極6
45は、トランジスタ640のゲート電極と電気的に接続しており、フォトダイオード6
02はトランジスタ640と電気的に接続している。
【0213】
ここでは、第1半導体層606aとしてp型の導電型を有する半導体層と、第2半導体層
606bとして高抵抗な半導体層(I型半導体層)、第3半導体層606cとしてn型の
導電型を有する半導体層を積層するpin型のフォトダイオードを例示している。
【0214】
第1半導体層606aはp型半導体層であり、p型を付与する不純物元素を含むアモルフ
ァスシリコン膜により形成することができる。第1半導体層606aの形成には13族の
不純物元素(例えばボロン(B))を含む半導体材料ガスを用いて、プラズマCVD法に
より形成する。半導体材料ガスとしてはシラン(SiH)を用いればよい。または、S
、SiHCl、SiHCl、SiCl、SiF等を用いてもよい。ま
た、不純物元素を含まないアモルファスシリコン膜を形成した後に、拡散法やイオン注入
法を用いて該アモルファスシリコン膜に不純物元素を導入してもよい。イオン注入法等に
より不純物元素を導入した後に加熱等を行うことで、不純物元素を拡散させるとよい。こ
の場合にアモルファスシリコン膜を形成する方法としては、LPCVD法、気相成長法、
又はスパッタリング法等を用いればよい。第1半導体層606aの膜厚は10nm以上5
0nm以下となるよう形成することが好ましい。
【0215】
第2半導体層606bは、I型半導体層(真性半導体層)であり、アモルファスシリコン
膜により形成する。第2半導体層606bの形成には、半導体材料ガスを用いて、アモル
ファスシリコン膜をプラズマCVD法により形成する。半導体材料ガスとしては、シラン
(SiH)を用いればよい。または、Si、SiHCl、SiHCl、S
iCl、SiF等を用いてもよい。第2半導体層606bの形成は、LPCVD法、
気相成長法、スパッタリング法等により行っても良い。第2半導体層606bの膜厚は2
00nm以上1000nm以下となるように形成することが好ましい。
【0216】
第3半導体層606cは、n型半導体層であり、n型を付与する不純物元素を含むアモル
ファスシリコン膜により形成する。第3半導体層606cの形成には、15族の不純物元
素(例えばリン(P))を含む半導体材料ガスを用いて、プラズマCVD法により形成す
る。半導体材料ガスとしてはシラン(SiH)を用いればよい。または、Si
SiHCl、SiHCl、SiCl、SiF等を用いてもよい。また、不純物
元素を含まないアモルファスシリコン膜を形成した後に、拡散法やイオン注入法を用いて
該アモルファスシリコン膜に不純物元素を導入してもよい。イオン注入法等により不純物
元素を導入した後に加熱等を行うことで、不純物元素を拡散させるとよい。この場合にア
モルファスシリコン膜を形成する方法としては、LPCVD法、気相成長法、又はスパッ
タリング法等を用いればよい。第3半導体層606cの膜厚は20nm以上200nm以
下となるよう形成することが好ましい。
【0217】
また、第1半導体層606a、第2半導体層606b、及び第3半導体層606cは、ア
モルファス半導体ではなく、多結晶半導体を用いて形成してもよいし、微結晶(セミアモ
ルファス(Semi Amorphous Semiconductor:SAS))半
導体を用いて形成してもよい。
【0218】
微結晶半導体は、ギブスの自由エネルギーを考慮すれば非晶質と単結晶の中間的な準安定
状態に属するものである。すなわち、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導
体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する。柱状または針状結晶が基板表面に対し
て法線方向に成長している。微結晶半導体の代表例である微結晶シリコンは、そのラマン
スペクトルが単結晶シリコンを示す520cm−1よりも低波数側に、シフトしている。
即ち、単結晶シリコンを示す520cm−1とアモルファスシリコンを示す480cm
の間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。また、ダングリングボンド
を終端するため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。
さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪み
をさらに助長させることで、安定性が増し良好な微結晶半導体膜が得られる。
【0219】
この微結晶半導体膜は、周波数が数十MHz〜数百MHzの高周波プラズマCVD法、ま
たは周波数が1GHz以上のマイクロ波プラズマCVD装置により形成することができる
。代表的には、SiH、Si、SiHCl、SiHCl、SiCl、S
iFなどの珪素含有気体を水素で希釈して形成することができる。また、珪素含有気体
及び水素に加え、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数
種の希ガス元素で希釈して微結晶半導体膜を形成することができる。これらのときの珪素
含有気体に対して水素の流量比を5倍以上200倍以下、好ましくは50倍以上150倍
以下、更に好ましくは100倍とする。さらには、シリコンを含む気体中に、CH、C
等の炭化物気体、GeH、GeF等のゲルマニウム含有気体、F等を混入さ
せてもよい。
【0220】
また、光電効果で発生した正孔の移動度は電子の移動度に比べて小さいため、pin型の
フォトダイオードはp型の半導体層側を受光面とする方がよい特性を示す。ここでは、p
in型のフォトダイオードが形成されている基板601の面からフォトダイオード602
が受ける光622を電気信号に変換する例を示す。また、受光面とした半導体層側とは逆
の導電型を有する半導体層側からの光は外乱光となるため、受光面とした半導体層側とは
逆の導電型を有する半導体層側の電極層は遮光性を有する導電膜を用いるとよい。また、
n型の半導体層側を受光面として用いることもできる。
【0221】
金属酸化膜631としては、スパッタリング法により形成された酸化ガリウム膜を用いれ
ばよい。また酸化ガリウムにインジウム、又は亜鉛を添加した膜でもよく、例えば、イン
ジウム又は亜鉛を0.01乃至5原子%含む酸化ガリウム膜を用いることができる。イン
ジウム又は亜鉛を添加することによって、金属酸化膜631の電気伝導度を向上させ、電
荷の蓄積をより低減することができる。
【0222】
絶縁膜632としては、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、酸化アルミニウム層、又
は酸化窒化アルミニウム層などの酸化物絶縁層、窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、
窒化アルミニウム層、又は窒化酸化アルミニウム層などの窒化物絶縁層の単層、又は積層
を用いることができる。
【0223】
層間絶縁層633、634としては、表面凹凸を低減するため平坦化絶縁膜として機能す
る絶縁層が好ましい。層間絶縁層633、634としては、例えばポリイミド、アクリル
樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等の有機絶縁材料を用いるこ
とができる。また上記有機絶縁材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサ
ン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等の単層、又は積層を
用いることができる。
【0224】
絶縁膜632、層間絶縁層633、層間絶縁層634としては、絶縁性材料を用いて、そ
の材料に応じて、スパッタリング法、スピンコート法、ディッピング法、スプレー塗布、
液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ロールコーティ
ング、カーテンコーティング、ナイフコーティング等を用いて形成することができる。
【0225】
フォトダイオード602に入射する光622を検出することによって、被検出物の情報を
読み取ることができる。なお、被検出物の情報を読み取る際にバックライトなどの光源を
用いることができる。
【0226】
トランジスタ640として、実施の形態1または2で一例を示したトランジスタを用いる
ことができる。水素、水分、水酸基又は水素化物(水素化合物ともいう)などの不純物を
酸化物半導体膜より意図的に排除し、高純度化された酸化物半導体膜を含むトランジスタ
は、トランジスタの電気的特性変動が抑制されており、電気的に安定である。また、帯電
を防止するための金属酸化膜を有するトランジスタは、酸化物半導体膜のバックチャネル
側の寄生チャネルの発生を防止することができる。さらに、トランジスタにおいて酸化物
半導体膜のバックチャネル側の寄生チャネルの発生を防止することで、しきい値電圧の変
動を抑制することができる。よって、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0227】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【0228】
(実施の形態5)
本明細書に開示する液晶表示装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用するこ
とができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョ
ン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカ
メラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともい
う)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機な
どが挙げられる。上記実施の形態で説明した液晶表示装置を具備する電子機器の例につい
て説明する。
【0229】
図7(A)は電子書籍(E−bookともいう)であり、筐体9630、表示部9631
、操作キー9632、太陽電池9633、充放電制御回路9634を有することができる
。図7(A)に示した電子書籍は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表
示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した
情報を操作又は編集する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御す
る機能等を有することができる。なお、図7(A)では充放電制御回路9634の一例と
してバッテリー9635、DCDCコンバータ(以下、コンバータと略記)9636を有
する構成について示している。実施の形態1乃至4のいずれかで示した半導体装置を表示
部9631に適用することにより、信頼性の高い電子書籍とすることができる。
【0230】
図7(A)に示す構成とすることにより、表示部9631として半透過型、又は反射型の
液晶表示装置を用いる場合、比較的明るい状況下での使用も予想され、太陽電池9633
による発電、及びバッテリー9635での充電を効率よく行うことができ、好適である。
なお太陽電池9633は、筐体9630の空きスペース(表面や裏面)に適宜設けること
ができるため、効率的なバッテリー9635の充電を行う構成とすることができるため好
適である。なおバッテリー9635としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を
図れる等の利点がある。
【0231】
また図7(A)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について図7(B)にブ
ロック図を示し説明する。図7(B)には、太陽電池9633、バッテリー9635、コ
ンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631に
ついて示しており、バッテリー9635、コンバータ9636、コンバータ9637、ス
イッチSW1乃至SW3が充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
【0232】
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。
太陽電池9633で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるよ
うコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太
陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9
637で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部
9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー
9635の充電を行う構成とすればよい。
【0233】
次いで外光により太陽電池9633により発電がされない場合の動作の例について説明す
る。バッテリー9635に蓄電された電力は、スイッチSW3をオンにすることでコンバ
ータ9637により昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作にバッテ
リー9635からの電力が用いられることとなる。
【0234】
なお太陽電池9633については、充電手段の一例として示したが、他の手段によるバッ
テリー9635の充電を行う構成であってもよい。また他の充電手段を組み合わせて行う
構成としてもよい。
【0235】
図8(A)は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、本体3001、筐体3002
、表示部3003、キーボード3004などによって構成されている。実施の形態1乃至
4のいずれかで示した半導体装置を表示部3003に適用することにより、信頼性の高い
ノート型のパーソナルコンピュータとすることができる。
【0236】
図8(B)は、携帯情報端末(PDA)であり、本体3021には表示部3023と、外
部インターフェイス3025と、操作ボタン3024等が設けられている。また操作用の
付属品としてスタイラス3022がある。実施の形態1乃至4のいずれかで示した半導体
装置を表示部3023に適用することにより、より信頼性の高い携帯情報端末(PDA)
とすることができる。
【0237】
図8(C)は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍2700は、筐体270
1および筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701および筐体2703
は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として開閉動作を行うこ
とができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。
【0238】
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み
込まれている。表示部2705および表示部2707は、続き画面を表示する構成として
もよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とするこ
とで、例えば右側の表示部(図8(C)では表示部2705)に文章を表示し、左側の表
示部(図8(C)では表示部2707)に画像を表示することができる。実施の形態1乃
至4のいずれかで示した半導体装置を表示部2705、表示部2707に適用することに
より、信頼性の高い電子書籍とすることができる。
【0239】
また、図8(C)では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐
体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカー2725などを備え
ている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面
にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏
面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを
備える構成としてもよい。さらに、電子書籍2700は、電子辞書としての機能を持たせ
た構成としてもよい。
【0240】
また、電子書籍2700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、
電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすること
も可能である。
【0241】
図8(D)は、携帯電話であり、筐体2800及び筐体2801の二つの筐体で構成され
ている。筐体2801には、表示パネル2802、スピーカー2803、マイクロフォン
2804、ポインティングデバイス2806、カメラ用レンズ2807、外部接続端子2
808などを備えている。また、筐体2800には、携帯電話の充電を行う太陽電池セル
2810、外部メモリスロット2811などを備えている。また、アンテナは筐体280
1内部に内蔵されている。実施の形態1乃至4のいずれかで示した半導体装置を表示パネ
ル2802に適用することにより、信頼性の高い携帯電話とすることができる。
【0242】
また、表示パネル2802はタッチパネルを備えており、図8(D)には映像表示されて
いる複数の操作キー2805を点線で示している。なお、太陽電池セル2810で出力さ
れる電圧を各回路に必要な電圧に昇圧するための昇圧回路も実装している。
【0243】
表示パネル2802は、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネル
2802と同一面上にカメラ用レンズ2807を備えているため、テレビ電話が可能であ
る。スピーカー2803及びマイクロフォン2804は音声通話に限らず、テレビ電話、
録音、再生などが可能である。さらに、筐体2800と筐体2801は、スライドし、図
8(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適し
た小型化が可能である。
【0244】
外部接続端子2808はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能
であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部
メモリスロット2811に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応でき
る。
【0245】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであっても
よい。
【0246】
図8(E)は、デジタルビデオカメラであり、本体3051、表示部(A)3057、接
眼部3053、操作スイッチ3054、表示部(B)3055、バッテリー3056など
によって構成されている。実施の形態1乃至4のいずれかで示した半導体装置を表示部(
A)3057、表示部(B)3055に適用することにより、信頼性の高いデジタルビデ
オカメラとすることができる。
【0247】
図8(F)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置9600は、筐
体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示す
ることが可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601を支持した
構成を示している。実施の形態1乃至4のいずれかで示した半導体装置を表示部9603
に適用することにより、信頼性の高いテレビジョン装置とすることができる。
【0248】
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモ
コン操作機により行うことができる。また、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から
出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
【0249】
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機に
より一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線に
よる通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向
(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0250】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能
である。
【符号の説明】
【0251】
400 基板
401 ゲート電極
402 ゲート絶縁膜
403 酸化物半導体膜
405a ソース電極
405b ドレイン電極
407 金属酸化膜
409 絶縁膜
410 トランジスタ
421 酸素
441 酸化物半導体膜
601 基板
602 フォトダイオード
606a 半導体層
606b 半導体層
606c 半導体層
608 接着層
613 基板
631 金属酸化膜
632 絶縁膜
633 層間絶縁層
634 層間絶縁層
640 トランジスタ
641 電極層
642 電極層
643 導電層
645 ゲート電極
656 トランジスタ
658 フォトダイオードリセット信号線
659 ゲート信号線
671 フォトセンサ出力信号線
672 フォトセンサ基準信号線
2700 電子書籍
2701 筐体
2703 筐体
2705 表示部
2707 表示部
2711 軸部
2721 電源
2723 操作キー
2725 スピーカー
2800 筐体
2801 筐体
2802 表示パネル
2803 スピーカー
2804 マイクロフォン
2805 操作キー
2806 ポインティングデバイス
2807 カメラ用レンズ
2808 外部接続端子
2810 太陽電池セル
2811 外部メモリスロット
3001 本体
3002 筐体
3003 表示部
3004 キーボード
3021 本体
3022 スタイラス
3023 表示部
3024 操作ボタン
3025 外部インターフェイス
3051 本体
3053 接眼部
3054 操作スイッチ
3055 表示部(B)
3056 バッテリー
3057 表示部(A)
4001 基板
4002 画素部
4003 信号線駆動回路
4004 走査線駆動回路
4005 シール材
4006 基板
4008 液晶層
4010 トランジスタ
4011 トランジスタ
4013 液晶素子
4015 接続端子電極
4016 端子電極
4018 FPC
4019 異方性導電膜
4020 金属酸化膜
4021 絶縁層
4023 絶縁膜
4024 絶縁膜
4030 電極層
4031 電極層
4032 絶縁膜
4033 絶縁膜
4510 隔壁
4511 電界発光層
4513 発光素子
4514 充填材
4612 キャビティ
4613 球形粒子
4614 充填材
4615a 黒色領域
4615b 白色領域
9600 テレビジョン装置
9601 筐体
9603 表示部
9605 スタンド
9630 筐体
9631 表示部
9632 操作キー
9633 太陽電池
9634 充放電制御回路
9635 バッテリー
9636 コンバータ
9637 コンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、ゲート電極を形成し、
前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜を介して前記ゲート電極と重畳する領域に酸化物半導体膜を形成し、
前記酸化物半導体膜上に、ソース電極及びドレイン電極を形成する半導体装置の作製方法であって、
前記酸化物半導体膜を不活性ガス雰囲気化で加熱し、その後、前記酸化物半導体膜を酸素雰囲気化で加熱することを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−16862(P2013−16862A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−222838(P2012−222838)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2011−65222(P2011−65222)の分割
【原出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】