説明

半導体装置の製造方法及び基板処理装置

【課題】基板処理装置の処理室のドライクリーニングを行った場合の、サセプタの変形に伴う成膜膜厚の均一性の変動を抑制し、成膜膜厚の均一性、再現性を向上させる方法を提供する。
【解決手段】処理室46と、サセプタ56と、成膜ガス供給ライン58と、フッ素系ガスを供給するフッ素系ガス供給ライン102,103と、フッ素系ガスをプラズマにより活性化する活性化機構101と、該活性化機構でプラズマにより活性化したフッ素系ガスを前記処理室内に供給する活性化ガス供給ライン58と、前記基板に成膜ガスを供給して成膜する処理を少なくとも1回以上行った後、前記処理室内にダミー基板を搬入し、前記サセプタ上に載置して前記処理室内にプラズマで活性化したフッ素系ガスを供給する処理を複数回繰返し、再び前記処理室内に前記基板を搬入し成膜する処理を少なくとも1回以上行う様制御する制御部41とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ等の基板に薄膜の生成等の処理を実行して半導体装置を製造する半導体装置の製造方法及び基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造する工程の1つとして基板の表面に薄膜を成膜する成膜工程があり、又薄膜は例えばCVD法(Chemical Vapor Deposition)等により成膜処理される。
【0003】
CVD法により処理ガスを用いて成膜処理する基板処理装置では、基板を収納する処理室を有し、該処理室に処理ガスを供給し、処理ガスにより成膜処理がなされる。処理室内では基板は載置台であるサセプタに載置され、該サセプタに内蔵されたヒータによって成膜処理に必要な温度に加熱される。
【0004】
成膜処理を行った場合、基板表面だけでなく、処理室に臨接する面、例えば処理室の内壁面、サセプタの露出面等にも反応生成物が付着堆積する。堆積した反応生成物は剥離浮遊した場合、パーティクルとなって基板を汚染するので、処理室は定期的に、或は所要稼働時間毎に洗浄し、反応生成物を除去する必要がある。
【0005】
処理室の洗浄方法の1つに一般的に用いられているドライクリーニングがある。ドライクリーニングには、サーマルエッチングによるドライクリーニングとプラズマエッチングによるドライクリーニングがある。
【0006】
プラズマエッチングによるドライクリーニングは、腐食性ガスをプラズマにより活性化させ、プラズマを主エネルギ源として反応生成物をエッチング除去して、排気ガスと共に処理室外に排出するものである。
【0007】
又、ドライクリーニングを行う場合、クリーニングガスとしては例えばNF3 が用いられ、NF3 ガスによるエッチングで除去量が生成物の堆積量に適切となる様にクリーニング時間等が管理されているが、堆積した生成物を充分に除去する為には、反応室壁面、サセプタ自体も又エッチングされることは避けられない。
【0008】
特に、サセプタがエッチングされた場合、サセプタの外形形状が変形し、サセプタ形状の変化に起因した成膜膜厚の均一性に変動を生じさせるという問題があった。
【0009】
図6(A)〜(C)は、成膜時でのサセプタに対する成膜、クリーニング時のエッチングの状態を示している。
【0010】
図6中、aはサセプタ、bはウェーハ、cは成膜ガスの流れ、dは堆積した反応生成物、eはダミーウェーハ、fはクリーニングガスの流れを示している。
【0011】
図6(A)に示される様に、成膜処理時にはウェーハb以外の場所、サセプタaの露出部分に反応生成物dが堆積する。又、成膜ガスcはウェーハb周辺部の裏面にも回込み、サセプタaのウェーハb周辺部に対向する部分にも反応生成物が堆積する。
【0012】
図6(B)はドライクリーニング時を示しており、サセプタaにはダミーウェーハeが載置された状態でドライクリーニングが実施される。クリーニングガスfの流れは成膜ガスcの流れと同様であり、反応生成物dはエッチングされて除去され、排気ガスと共に排出される。ところが、ダミーウェーハe周辺部の裏面に回込むクリーニングガスfの流れは少ないので、周辺部に堆積した反応生成物dがエッチングされないで反応物残渣gとして残ってしまう傾向にある。
【0013】
反応物残渣g迄除去しようとすると、サセプタa自体をエッチングする状態となり、図6(C)に示す様にサセプタaのダミーウェーハe周辺部にオーバエッチング部hを生じてしまいサセプタaの外形形状が変化する。上述した様に、サセプタaの形状変化は、成膜膜厚の均一性に変動を生じさせる。
【0014】
尚、ドライクリーニングが実施される半導体製造方法としては、特許文献1に示されるものがある。
【0015】
【特許文献1】特開2004−158811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は斯かる実情に鑑み、基板処理装置の処理室のドライクリーニングを行った場合の、サセプタの変形に伴う成膜膜厚の均一性の変動を抑制し、成膜膜厚の均一性、再現性を向上させる半導体装置の製造方法及び基板処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、処理室内に製品基板を搬入し、サセプタ上に載置して前記製品基板に対して成膜する工程を少なくとも1回以上行う工程と、成膜後の前記処理室内をクリーニングする工程と、該クリーニング工程後に再び前記処理室内に製品基板を搬入し前記サセプタ上に載置して前記製品基板に対し成膜する工程を少なくとも1回以上行う工程とを有する半導体装置の製造方法であって、前記クリーニング工程では、前記処理室内にダミー基板を搬入して前記サセプタ上に載置して前記処理室内にプラズマで活性化したフッ素系ガスを供給する工程を複数回繰返すことで、前記クリーニング工程後の成膜に於ける基板面内膜厚均一性が前記クリーニング工程前の成膜に於ける基板面内膜厚均一性と同等となる様にする半導体装置の製造方法に係るものである。
【0018】
又本発明は、基板を処理する処理室と、該処理室内で基板を支持するサセプタと、前記処理室内に成膜ガスを供給する成膜ガス供給ラインと、前記処理室内にフッ素系ガスを供給するフッ素系ガス供給ラインと、フッ素系ガスをプラズマにより活性化する活性化機構と、該活性化機構でプラズマにより活性化したフッ素系ガスを前記処理室内に供給する活性化ガス供給ラインと、前記処理室内に製品基板を搬入し前記サセプタ上に載置して前記製品基板に対し成膜ガスを供給して成膜する処理を少なくとも1回以上行った後、前記処理室内にダミー基板を搬入し、前記サセプタ上に載置して前記処理室内にプラズマで活性化したフッ素系ガスを供給する処理を複数回繰返し、その後、再び前記処理室内に前記製品基板を搬入し前記サセプタ上に載置して前記製品基板に対し成膜する処理を少なくとも1回以上行う様制御する制御部とを具備する基板処理装置に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、処理室内に製品基板を搬入し、サセプタ上に載置して前記製品基板に対して成膜する工程を少なくとも1回以上行う工程と、成膜後の前記処理室内をクリーニングする工程と、該クリーニング工程後に再び前記処理室内に製品基板を搬入し前記サセプタ上に載置して前記製品基板に対し成膜する工程を少なくとも1回以上行う工程とを有する半導体装置の製造方法であって、前記クリーニング工程では、前記処理室内にダミー基板を搬入して前記サセプタ上に載置して前記処理室内にプラズマで活性化したフッ素系ガスを供給する工程を複数回繰返すことで、前記クリーニング工程後の成膜に於ける基板面内膜厚均一性が前記クリーニング工程前の成膜に於ける基板面内膜厚均一性と同等となる様にするので、クリーニング工程を含む基板処理に於ける成膜品質の向上が図れる。
【0020】
又本発明によれば、基板を処理する処理室と、該処理室内で基板を支持するサセプタと、前記処理室内に成膜ガスを供給する成膜ガス供給ラインと、前記処理室内にフッ素系ガスを供給するフッ素系ガス供給ラインと、フッ素系ガスをプラズマにより活性化する活性化機構と、該活性化機構でプラズマにより活性化したフッ素系ガスを前記処理室内に供給する活性化ガス供給ラインと、前記処理室内に製品基板を搬入し前記サセプタ上に載置して前記製品基板に対し成膜ガスを供給して成膜する処理を少なくとも1回以上行った後、前記処理室内にダミー基板を搬入し、前記サセプタ上に載置して前記処理室内にプラズマで活性化したフッ素系ガスを供給する処理を複数回繰返し、その後、再び前記処理室内に前記製品基板を搬入し前記サセプタ上に載置して前記製品基板に対し成膜する処理を少なくとも1回以上行う様制御する制御部とを具備するので、クリーニング工程を含む基板処理に於ける成膜品質の向上が図れるという優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0022】
先ず、図1、図2により本発明が実施される基板処理装置について説明する。
【0023】
尚、本発明が適用される基板処理装置に於いては、ウェーハ等の基板を搬送するキャリヤとして、FOUP(front opening unified pod)(以下、ポッドと称す)が使用されている。又、以下の説明に於いて、前後左右は図1を基準とし、図1中で、前は紙面の下、後ろは紙面の上、左右は紙面の左右とする。
【0024】
図1及び図2に示されている様に、基板処理装置は真空状態等の大気圧未満の圧力(負圧)に耐え得るロードロックチャンバ構造に構成された第1搬送室1を備えており、該第1搬送室1の筐体2は平面視が6角形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。前記第1搬送室1には負圧下でウェーハ3を移載する第1ウェーハ移載機4が設置されている。該第1ウェーハ移載機4は、エレベータ5によって、前記第1搬送室1の気密性を維持しつつ昇降できる様に構成されている。
【0025】
前記筐体2の6枚の側壁の内前側に位置する2枚の側壁には、搬入用の予備室6と搬出用の予備室7とがそれぞれゲートバルブ8,9を介して連結されており、それぞれ負圧に耐え得るロードロックチャンバ構造に構成されている。更に、前記予備室6には搬入室用の基板置き台11が設置され、前記予備室7には搬出室用の基板置き台12が設置されている。
【0026】
前記予備室6及び前記予備室7の前側には、略大気圧下で用いられる第2搬送室13がゲートバルブ14,15を介して連結されている。前記第2搬送室13にはウェーハ3を移載する第2ウェーハ移載機17が設置されている。該第2ウェーハ移載機17は前記第2搬送室13に設置されたエレベータ18によって昇降される様に構成されていると共に、リニアアクチュエータ19によって左右方向に往復移動される様に構成されている。
【0027】
前記第2搬送室13の内部左側にはノッチ又はオリフラ合せによりウェーハの姿勢を整える姿勢合せ装置21が設置されている。又、図2に示されている様に、前記第2搬送室13の上部にはクリーンエアを供給するクリーンユニット22が設置されている。
【0028】
前記第2搬送室13の筐体23の前側には、ウェーハ3を前記第2搬送室13に対して搬入搬出する為のウェーハ搬入搬出口24が設けられ、該ウェーハ搬入搬出口24に臨接してポッドオープナ25が設置されている。
【0029】
前記ウェーハ搬入搬出口24を挾んで前記ポッドオープナ25と反対側、即ち前記筐体23の外側にはIOステージ26が設置されている。前記ポッドオープナ25は、ポッド27のキャップ28を開閉すると共に前記ウェーハ搬入搬出口24を閉塞可能なクロージャ29と、該クロージャ29を駆動する駆動機構31とを備えており、前記IOステージ26に載置された前記ポッド27の前記キャップ28を開閉することにより、前記ポッド27に対するウェーハ3の出入れを可能にする。又、前記ポッド27は図示しない工程内搬送装置(RGV)によって、前記IOステージ26に対して、供給及び排出される様になっている。
【0030】
前記筐体2の6枚の側壁の内後側(背面側)に位置する2枚の側壁には、ウェーハ3に所望の処理を行う第1処理炉32と、第2処理炉33とがゲートバルブ34,35を介してそれぞれ隣接して連結されている。前記第1処理炉32及び前記第2処理炉33はいずれもコールドウォール式の処理炉によって構成されている。
【0031】
前記筐体2に於ける6枚の側壁の内残りの互いに対向する2枚の側壁には、第1クーリングユニット36と、第2クーリングユニット37とがそれぞれ連結されており、前記第1クーリングユニット36及び前記第2クーリングユニット37はいずれも処理済みのウェーハ3を冷却する様に構成されている。
【0032】
以下、上記構成の基板処理装置による処理工程を説明する。
【0033】
未処理のウェーハ3は25枚がポッド27に収納された状態で、処理工程を実施する基板処理装置へ工程内搬送装置によって搬送される。搬送されたポッド27は前記IOステージ26の上に工程内搬送装置から受渡されて載置される。前記ポッド27のキャップ28が前記ポッドオープナ25によって取外され、ポッド27のウェーハ出入れ口が開放される。
【0034】
ポッド27が前記ポッドオープナ25により開放されると、前記第2ウェーハ移載機17は、前記ポッド27からウェーハ3をピックアップして前記予備室6に搬入し、ウェーハ3を前記基板置き台11に移載する。この移載作業中には、前記予備室6の前記ゲートバルブ8は閉じられており、前記第1搬送室1内の負圧は維持されている。ポッド27に収納された所定枚数、例えば25枚のウェーハ3の前記基板置き台11への移載が完了すると、前記ゲートバルブ14が閉じられ、前記予備室6内が排気装置(図示せず)によって負圧に排気される。
【0035】
前記予備室6内が予め設定された圧力値となると、前記ゲートバルブ8が開かれ、前記予備室6と前記第1搬送室1とが連通される。続いて、前記第1ウェーハ移載機4は前記基板置き台11からウェーハ3をピックアップして前記第1搬送室1に搬入する。
【0036】
前記ゲートバルブ8が閉じられた後、前記ゲートバルブ34が開かれ、前記第1搬送室1と前記第1処理炉32とが連通される。続いて前記第1ウェーハ移載機4は、ウェーハ3を前記第1搬送室1から前記第1処理炉32に搬入して、該第1処理炉32内の支持具に移載する。前記ゲートバルブ34が閉じられた後、前記第1処理炉32内に処理ガスが供給され、ウェーハ3に所望の処理が施される。
【0037】
前記第1処理炉32でウェーハ3に対する処理が完了すると、前記ゲートバルブ34が開かれ、処理済みのウェーハ3は前記第1ウェーハ移載機4によって前記第1搬送室1に搬出される。搬出後、前記ゲートバルブ34は閉じられる。
【0038】
前記第1ウェーハ移載機4は前記第1処理炉32から搬出したウェーハ3を前記第1クーリングユニット36へ搬送し、処理済みのウェーハ3が冷却される。
【0039】
前記第1クーリングユニット36に処理済みウェーハ3を搬送すると、前記第1ウェーハ移載機4は前記基板置き台11に予め準備されたウェーハ3を前述した作動と同様に、前記第1処理炉32に搬送し、前記第1処理炉32内でウェーハ3に所望の処理が施される。
【0040】
前記第1クーリングユニット36に於いて予め設定された冷却時間が経過すると、冷却済みのウェーハ3は前記第1ウェーハ移載機4によって前記第1クーリングユニット36から前記第1搬送室1に搬出される。
【0041】
冷却済みのウェーハ3が前記第1クーリングユニット36から前記第1搬送室1に搬出された後、前記ゲートバルブ9が開かれる。前記第1ウェーハ移載機4は前記第1クーリングユニット36から搬出したウェーハ3を前記予備室7へ搬送し、前記基板置き台12に移載した後、前記予備室7はゲートバルブ9によって閉じられる。
【0042】
以上の作動が繰返されることにより、前記予備室6内に搬入された所定枚数、例えば25枚のウェーハ3が順次処理されていく。
【0043】
前記予備室6内に搬入された全てのウェーハ3に対する処理が終了し、全ての処理済みウェーハ3が前記予備室7に収納され、該予備室7が前記ゲートバルブ9によって閉じられると、前記予備室7内が不活性ガスにより略大気圧に戻される。前記予備室7内が略大気圧に戻されると、前記ゲートバルブ15が開かれ、前記IOステージ26に載置された空のポッド27のキャップ28が前記ポッドオープナ25によって開かれる。
【0044】
続いて、前記第2ウェーハ移載機17は前記基板置き台12からウェーハ3をピックアップして前記第2搬送室13に搬出し、前記ウェーハ搬入搬出口24を通してポッド27に収納していく。25枚の処理済みウェーハ3のポッド27への収納が完了すると、ポッド27のキャップ28が前記ポッドオープナ25によって閉じられる。閉じられたポッド27は前記IOステージ26の上から次の工程へ工程内搬送装置によって搬送されていく。
【0045】
以上の作動は前記第1処理炉32及び前記第1クーリングユニット36が使用される場合を例にして説明したが、前記第2処理炉33及び前記第2クーリングユニット37が使用される場合についても同様の作動が実施される。又、上述の基板処理装置では、予備室6を搬入用、予備室7を搬出用としたが、予備室7を搬入用、予備室6を搬出用としてもよい。
【0046】
又、前記第1処理炉32と前記第2処理炉33は、それぞれ同じ処理を行ってもよいし、別の処理を行ってもよい。第1処理炉32と第2処理炉33で別の処理を行う場合、例えば第1処理炉32でウェーハ3にある処理を行った後、続けて第2処理炉33で別の処理を行わせてもよい。又、第1処理炉32でウェーハ3にある処理を行った後、第2処理炉33で別の処理を行わせる場合、第1クーリングユニット36又は第2クーリングユニット37を経由する様にしてもよい。
【0047】
次に、前記第1処理炉32、前記第2処理炉33及び該処理炉32,33に於ける成膜処理等の処理作用について説明する。尚、前記第1処理炉32と前記第2処理炉33とは同一構造であるので、以下は前記第1処理炉32と第2処理炉33を総称して処理炉40として図3を参照して説明する。
【0048】
前記基板処理装置は主制御部41を備え、該主制御部41により前記処理炉40及び該処理炉40を構成する各部の動作等が制御される。
【0049】
又、前記主制御部41は、該主制御部41に支配されるガス制御部42、駆動制御部43、加熱制御部44、温度検出部45等を具備している。
【0050】
前記処理炉40は、枚葉式CVD炉(コールドウォール方式)として構成されており、被処理基板としてのウェーハ(半導体ウェーハ)3を処理する処理室46を形成するチャンバ47を備えている。該チャンバ47はチャンバ蓋48とチャンバ本体49とチャンバ底51とが組合されて、上下の端面がいずれも気密に閉塞した円筒形状に形成されている。
【0051】
前記チャンバ本体49の円筒壁の中間部には前記ゲートバルブ34によって開閉されるウェーハ搬入搬出口52が水平方向に横長に穿設されており、前記第1ウェーハ移載機4により前記ウェーハ搬入搬出口52を通して被処理基板であるウェーハ3を前記処理室46に搬入搬出し得る様になっている。即ち、ウェーハ3は前記第1ウェーハ移載機4によって下から機械的に支持された状態で、前記ウェーハ搬入搬出口52より前記処理室46に対して搬入搬出される様になっている。
【0052】
前記ウェーハ搬入搬出口52と対向する壁面の上部には、真空ポンプ等からなる排気装置(図示せず)に接続された排気口53が前記処理室46に連通する様に穿設されており、該処理室46内は排気装置によって排気される様になっている。
【0053】
又、前記チャンバ本体49の上部には前記排気口53に連通する排気バッファ空間54が円環状に形成され、カバープレート55と共にウェーハ3の略全面に対し、均一に排気が行われる様に作用している。
【0054】
尚、前記カバープレート55は、ウェーハ3のエッジ部を非接触で覆う様にサセプタ(基板保持手段)56の上方周辺部に設けられ、ウェーハ3のエッジ部に成膜されるCVD膜を制御する為に用いられる。尚、前記サセプタ56の材質としては、カーボン、グラファイト、カーボンの表面、内部にガラス状炭素を被覆、含浸させたガラス状炭素被覆黒鉛材料(GCコート)、カーボンの表面、内部にガラス状炭素を高度に被覆、含浸させたGC高含浸黒鉛材料(VGI)等が用いられる。
【0055】
前記チャンバ蓋48には処理ガスを供給するシャワーヘッド57が一体的に組込まれ、該シャワーヘッド57には成膜ガス供給ラインが接続される。即ち、前記チャンバ蓋48の天井にはガス供給管58が挿入されており、該ガス供給管58には例えば原料ガスやパージガス等の処理ガスを導入する為の開閉バルブ59、流量制御装置としてのMFC(マスフローコントローラ)61から成るガス供給装置が接続されている。
【0056】
前記チャンバ蓋48の下面には円板形状に形成されたシャワープレート62が前記ガス供給管58から間隔をおいて水平に固定されており、前記チャンバ蓋48の内側面と前記シャワープレート62の上面との間にバッファ室63が画成される。前記シャワープレート62には複数個のガス吹出口64が全面に亘って均一に穿設され、該ガス吹出口64は前記バッファ室63と前記処理室46とを連通する。
【0057】
前記ガス供給管58より処理ガス65が前記バッファ室63に導入され、導入された処理ガス65は前記ガス吹出口64により前記処理室46に全体的に均等に拡散され、前記ガス吹出口64から均等にシャワー状に吹出させる様になっている。
【0058】
又、前記ガス供給管58にはガスをプラズマにより活性化する活性化機構であるリモートプラズマユニット101が接続され、該リモートプラズマユニット101の上流側には開閉バルブ102、MFC103を介してフッ素系のクリーニングガス、例えばNF3 、ClF3 、或はプラズマ発生用のガス、例えばArを供給するクリーニングガス供給源(図示せず)が接続されている。前記ガス供給管58、前記リモートプラズマユニット101、前記開閉バルブ102、前記MFC103等は活性化ガス供給ラインを構成する。
【0059】
前記リモートプラズマユニット101は、プラズマによりクリーニングガスを活性化させ前記シャワーヘッド57を介して前記処理室46に供給し、クリーニング工程では堆積した反応生成物をエッチング除去する。
【0060】
又、前記チャンバ本体49の側壁内面に開口する不活性ガス導入管104が接続され、該不活性ガス導入管104は開閉バルブ105、MFC106を介して不活性ガス、例えば窒素ガスを供給する不活性ガス供給源(図示せず)に接続されている。尚、不活性ガスとして、上記したパージガスの一部が導入される様にしてもよい。
【0061】
前記不活性ガス導入管104が開口する位置は、後述する回転体78が上昇した位置、即ち基板処理状態の位置で該回転体78の周面に対峙した位置であり、又前記不活性ガス導入管104は円周に沿って複数箇所開口することが好ましい。
【0062】
前記チャンバ底51の中心には挿通孔66が円形に穿設され、該挿通孔66には中空な支持軸67が下方から挿通されている。該支持軸67はエアシリンダ装置等が使用された昇降機構(昇降手段)68によって昇降される様になっている。
【0063】
前記支持軸67の上端には加熱装置(加熱手段)としての加熱ユニット69が同心に配されて水平に固定されており、該加熱ユニット69は前記支持軸67を介して昇降される様になっている。
【0064】
前記加熱ユニット69は円板形状に形成された支持板71を備え、該支持板71は前記支持軸67の上端開口に同心円に固定されている。
【0065】
前記支持板71の上面には支柱を兼ねる複数本の電極72が垂直に立設されており、該電極72の上端間には円板形状に形成され複数領域に分割制御されるヒータ73が架橋されて固定されている。前記電極72に対する電気配線74は前記支持軸67の中空部内に挿通されている。
【0066】
前記ヒータ73の下方には反射板75が配置され、該反射板75は前記支持板71に固定されている。前記反射板75は前記ヒータ73から発せられた熱を前記サセプタ56側に反射して、加熱効率を向上させている。
【0067】
又、温度検出装置(温度検出手段)である放射温度計76が、前記支持軸67の下端から導入され、前記放射温度計76の先端が前記サセプタ56の裏面に対し所定の隙間となる様に設置されている。
【0068】
前記放射温度計76は、石英から成るロッドと光ファイバとの組合せから構成され、前記サセプタ56の裏面(例えばヒータ73の分割領域に対応する裏面)から発せられる放射光を検出し、前記サセプタ56の裏面温度を算出するのに用いられ(予め取得したウェーハ3と前記サセプタ56の温度の関係によりウェーハ3の温度を算出することも可能)、この算出結果に基づき前記ヒータ73の加熱具合を制御している。
【0069】
前記挿通孔66の前記支持軸67の外側には、該支持軸67よりも大径の中空の回転軸77が同心に配置され、前記チャンバ底51を遊貫し、前記回転軸77は前記昇降機構68によって前記支持軸67と共に昇降される様になっている。
【0070】
前記回転軸77の上端には前記回転体78が同心に水平に固定されており、該回転体78は前記回転軸77によって回転される様になっている。
【0071】
前記回転体78はドーナツ形の平板に形成された回転板79と、円筒形状に形成された回転筒81を備えており、前記回転板79が前記回転軸77の上端に固定されて、前記回転筒81は前記回転板79の上面の外周縁辺部に同心に固定されている。前記回転筒81の上端には炭化シリコンや窒化アルミニウム等が使用されて円板形状に形成された前記サセプタ56が前記回転筒81の上端開口を閉塞する様に設けられている。
【0072】
前記回転体78にはウェーハ昇降装置82が設置されている。該ウェーハ昇降装置82は円形リング形状に形成された上下2つの昇降リング(図示せず)のそれぞれに突上ピン(基板突上手段)83,84を下方に突設したものから構成されている。
【0073】
下側の昇降リング(以下、回転側リングと称す)は前記回転体78の前記回転板79の上に前記支持軸67と同心に配置され、回転側リングの下面には複数本(本実施の形態に於いては3本とする)の前記突上ピン(以下、回転側ピンと称す)84が周方向に等間隔に配置されて垂直方向下向きに突設されている。
【0074】
前記回転板79にはガイド孔85が穿設され、前記回転側ピン84が摺動自在に貫通している。各回転側ピン84の長さは回転側リングを水平に突上げ得る様に互いに等しく設定されていると共に、ウェーハ3の前記サセプタ56上からの突上げ量に対応する様に設定されている。各回転側ピン84の下端は前記チャンバ底51の上面に離着座自在に対向されている。
【0075】
前記支持板71には円形リング形状に形成されたもう1つの昇降リング(以下、ヒータ側リングと称す)が前記支持軸67と同心円に配置されている。ヒータ側リングの下面には複数本(本実施の形態に於いては3本とする)の突上ピン(以下、ヒータ側ピンと称す)83が周方向に等間隔に配置されて垂直方向下向きに突設されており、各ヒータ側ピン83は、前記支持板71に摺動自在に貫通している。前記ヒータ側ピン83の長さはヒータ側リングを水平に突上げ得る様に互いに等しく設定されていると共に、その下端が回転側リングの上面に適度のエアギャップを置いて対向されている。つまり、これらのヒータ側ピン83は前記回転体78の回転時に回転側リングに干渉しない様になっている。
【0076】
又、ヒータ側リングの上面には複数本(本実施の形態に於いては3本とする)の突上ピン(以下、突上部と称す)86が、周方向に等間隔に配置されて垂直方向上向きに突設されており、該突上部86の上端は前記ヒータ73及び前記サセプタ56の挿通孔87に対向する様になっている。これらの突上部86の長さは前記ヒータ73及び前記サセプタ56の前記挿通孔87を下から挿通して前記サセプタ56に載置されたウェーハ3を前記サセプタ56から水平に浮かせる様に互いに等しく設定されている。
【0077】
又、これらの突上部86の長さはヒータ側リングが前記支持板71に着座した状態に於いて、その上端が前記ヒータ73の上面から突出しない様に設定されている。つまり、これらの突上部86は前記回転体78の回転時に前記サセプタ56に干渉しない様に、且つ、前記ヒータ73の加熱を妨げない様になっている。
【0078】
前記チャンバ47は複数本の支柱88によって水平に支持されている。該支柱88にはそれぞれ昇降ブロック89が昇降自在に嵌合し、該昇降ブロック89間には昇降台91が架設され、該昇降台91はエアシリンダ装置等が使用された昇降駆動装置(図示せず)によって昇降される。
【0079】
前記昇降台91の上には前記支持軸67、前記回転体78を回転させるサセプタ回転機構92が設置されており、該サセプタ回転機構92と前記チャンバ47との間にはベローズ93が設けられ、該ベローズ93は前記回転軸77の外側を気密封止する。
【0080】
尚、前記ガス制御部42は前記MFC61、前記開閉バルブ59に接続され、ガス流量、供給を制御する。前記駆動制御部43は前記サセプタ回転機構92、前記昇降機構68に接続され、これらの駆動を制御する。前記加熱制御部44は前記配線74を介し前記ヒータ73に接続され、該ヒータ73の加熱具合を制御する。前記温度検出部45は前記放射温度計76に接続され、前記サセプタ56の温度を検出し、加熱制御部と協動して前記ヒータ73の加熱制御に用いられる。
【0081】
次に、以上の構成に係る処理炉の作用を説明することにより、本発明の実施の形態である半導体装置の製造方法に於ける成膜工程について説明する。
【0082】
ウェーハ3の搬出搬入に際しては、前記回転体78及び前記加熱ユニット69が前記回転軸77及び前記支持軸67によって下限位置に下降される。前記回転側ピン84の下端が前記チャンバ底51の上面に当接し、前記回転側リングが前記回転体78及び前記加熱ユニット69に対して相対的に上昇する。上昇した回転側リングは前記ヒータ側ピン83を突上げることにより、ヒータ側リングを持上げる。ヒータ側リングが持上げられると、前記突上部86が前記挿通孔87を挿通して、前記サセプタ56の上面よりも突出した状態となる。この状態で前記ゲートバルブ(仕切弁)34を開けて、前記第1ウェーハ移載機4により、ウェーハ3を前記ウェーハ搬入搬出口52から前記チャンバ47内に搬入する。
【0083】
前記第1ウェーハ移載機4は、ウェーハ3を前記サセプタ56の上方に於いてウェーハ3の中心が前記サセプタ56の中心と一致する位置に搬送する。ウェーハ3を所定の位置に搬送すると、ウェーハ3を若干下降させ、該ウェーハ3を前記突上部86に保持させる。
【0084】
ウェーハ3を前記ウェーハ昇降装置82に受渡し後、前記第1ウェーハ移載機4は前記ウェーハ搬入搬出口52から前記処理室46の外へ後退する。前記第1ウェーハ移載機4が前記処理室46から退出すると、前記ウェーハ搬入搬出口52は前記ゲートバルブ34によって気密に閉塞される。
【0085】
前記回転体78及び前記加熱ユニット69が前記回転軸77及び前記支持軸67を介して前記昇降台91によって上昇される。前記回転体78及び前記加熱ユニット69の上昇により、前記突上部86、前記突上ピン83,84が前記回転体78及び前記加熱ユニット69に対し相対的に下降し、図3に示されている様に、ウェーハ3は前記サセプタ56の上に完全に移載された状態になる。前記回転軸77及び前記支持軸67は前記突上部86の上端が前記ヒータ73の下面に近接する高さになる位置にて停止される。
【0086】
一方、前記処理室46が前記排気口53を介して真空ポンプ等の排気装置(図示せず)によって排気される。この際、前記処理室46の真空雰囲気と外部の大気圧雰囲気とは前記ベローズ93によって隔絶されている。
【0087】
続いて、前記回転体78が前記回転軸77を介して前記サセプタ回転機構92によって回転される。
【0088】
前記回転体78の回転中には、前記回転側ピン84は前記処理室46の底面から離座し、前記ヒータ側ピン83は回転側リングから離座している為、前記回転体78の回転が前記ウェーハ昇降装置82に妨げられることはなく、而も、前記加熱ユニット69は停止状態を維持することができる。即ち、前記ウェーハ昇降装置82に於いては、回転側リングと前記回転側ピン84が前記回転体78と共に回転し、ヒータ側リングと前記ヒータ側ピン83及び前記突上部86が前記加熱ユニット69と共に停止した状態になっている。
【0089】
ウェーハ3の温度が処理温度迄上昇し、前記排気口53の排気量及び前記回転体78の回転作動が安定した時点で、図3に実線矢印で示されている様に、前記処理ガス65が前記ガス供給管58に導入される。該ガス供給管58に導入された処理ガス65は、ガス分散空間として機能する前記バッファ室63に流入すると共に、前記シャワープレート62の径方向外向きに放射状に拡散して、前記ガス吹出口64からそれぞれが略均等な流れになって、ウェーハ3に向かってシャワー状に吹出す。
【0090】
前記ガス吹出口64群からシャワー状に吹出した処理ガス65は前記カバープレート55の上方空間を通って、前記排気バッファ空間54を経由して前記排気口53に吸込まれて排気されていく。
【0091】
この際、前記回転体78に支持された前記サセプタ56の上のウェーハ3は回転している為、前記ガス吹出口64群からシャワー状に吹出した処理ガス65はウェーハ3の全面に亘って均等に接触する状態になる。処理ガス65がウェーハ3の全面に亘って均等に接触する為、ウェーハ3に処理ガス65によって形成されるCVD膜の膜厚分布や膜質分布はウェーハ3の全面に亘って均一になる。
【0092】
又、前記加熱ユニット69は前記支持軸67に支持されることにより回転しない状態になっている為、前記回転体78によって回転されるウェーハ3の温度分布は全面に亘って均一に制御される。この様にウェーハ3の温度分布が全面に亘って均一に制御されることにより、ウェーハ3に形成されるCVD膜の膜厚分布や膜質分布はウェーハ3の全面に亘って均一に制御される。
【0093】
尚、一例迄、本実施の形態の処理炉40にてウェーハ3を処理する際の処理条件としては、例えばPoly−Si膜の成膜に於いては、ウェーハ処理温度350℃〜900℃、ガス種SiH4 、ガス供給流量0.05〜2.0slm、或はガス種Si2 H6 、ガス供給流量0.02〜1.0slm、処理圧力1000Pa〜50000Paが例示される。
【0094】
所定の処理時間が経過すると、前記サセプタ回転機構92の運転が停止される。該サセプタ回転機構92の運転が停止されると、前述の様に、前記回転体78及び前記加熱ユニット69は前記回転軸77及び前記支持軸67を介して前記昇降台91によって搬入搬出位置に下降される。下降の途中に於いて、前記ウェーハ昇降装置82の作用により、前記サセプタ56の上面に載置されたウェーハ3は前記サセプタ56から浮上がる。
【0095】
前記第1ウェーハ移載機4によってウェーハ3が前記処理室46から搬出され、ウェーハ3を搬出した前記第1ウェーハ移載機4は、前記処理室46の外部の空ウェーハカセット等(図示せず)の所定の収納場所にウェーハ3を移載する。
【0096】
この際、前記突上部86と前記ヒータ73及び前記サセプタ56の前記挿通孔87とは正確且つ再現性よく合致されている為、前記突上部86が前記サセプタ56及び前記ヒータ73を突上げる突上げミスが発生することはない。
【0097】
以降、前述した作業が繰返されることにより、次のウェーハ3にCVD膜が成膜処理されていく。
【0098】
上記した様に、成膜処理をすることで、前記チャンバ47の内壁面、前記サセプタ56の周辺部には、反応生成物が付着堆積する。従って、前記主制御部41は、所要処理回数毎に、或は所要処理時間毎にドライクリーニング工程を実行する。ドライクリーニング工程は少なくとも1回、好ましくは複数のクリーニングからなり、前記主制御部41は、成膜処理に応じて、或はドライクリーニング工程を実行される間隔等を考慮してクリーニング回数が設定される。
【0099】
ドライクリーニングは、前記処理室46内にダミーウェーハが搬入され、前記サセプタ56に載置され、前記処理室46内がクリーニング温度、クリーニング圧力に制御され、前記開閉バルブ105が開かれ、前記MFC106で流量調整された窒素ガスが前記回転体78と前記チャンバ本体49との間の間隙に供給される。
【0100】
前記開閉バルブ102が開かれ、前記MFC103で流量調整されたクリーニングガスが前記リモートプラズマユニット101に供給され、該リモートプラズマユニット101により活性化されたクリーニングガスが前記シャワーヘッド57を介し前記シャワープレート62を経て前記処理室46に供給される。
【0101】
尚、前記回転体78と前記チャンバ本体49との間には窒素ガスが供給されているので、クリーニングガスが前記回転体78と前記チャンバ本体49との間に回込むことが防止される。
【0102】
反応生成物が堆積した累積膜と供給されたクリーニングガスとが反応し、反応生成物は気化し、排気ガスと共に排気されて除去される。
【0103】
クリーニング処理後、窒素ガス等のパージガスが前記ガス供給管58を介して供給され、アフタパージされる。
【0104】
アフタパージ後、前記処理室46内が温度調整、圧力調整(真空引)され、ダミーウェーハが前記処理室46内から搬出される。
【0105】
尚、ダミーウェーハの搬入出については、製品用のウェーハの搬入出と同様であるので、説明を省略する。
【0106】
クリーニング工程は、上記クリーニングが複数回連続して繰返される(或は間欠的に行われる)ことで実行される。
【0107】
本発明に於けるクリーニング条件としては、温度50℃〜600℃、好ましくは100℃〜500℃、圧力665〜1330Pa、クリーニングガス種NF3 、クリーニングガス供給流量0.1〜1.0slm、プラズマ発生用ガス種Ar、プラズマ発生用ガス供給流量0.1〜1.0slm、RF電力5kW(400kHz)、クリーニング時間100分が例示される。
【0108】
又、前記クリーニングガスの回転体78への回込みによるエッチングを防止する為の、前記不活性ガス導入管104からの窒素ガスの導入量は、例えば0.5slmとする。
【0109】
温度を50℃〜600℃とするのは、50℃未満ではエッチング速度が非常に遅くクリーニング時間が長くなり、メンテナンス時のダウンタイムが長くなり実用的でなく、又500℃〜600℃以上ではNF3 が熱分解し、ノンプラズマでクリーニングが可能となり、エッチング速度等から600℃以下、好ましくは500℃以下とするのがよい。又、エッチング時間を100分としたのは、処理室46内部の部材に対するエッチングの抑制を考慮した時間となっている。
【0110】
図4、図5に於いて上記クリーニング条件で100分のクリーニングを3度繰返した場合の膜厚の均一性の向上について説明する。
【0111】
図4はクリーニングによりサセプタ56がエッチングされた場合のサセプタ中心を基準とするサセプタ半径方向のサセプタ形状の変化量を示している。図中、□は、クリーニング実施前のサセプタ形状、○は、クリーニング3回実施後のサセプタ形状、×は、クリーニング実施前のサセプタ形状に対するクリーニング3回実施後のサセプタ形状の変化量を表している。図4よりクリーニング回数が増えることでサセプタ形状の変化量が増加していることがわかる。
【0112】
又、図5はクリーニング前後で成膜処理した場合のウェーハの半径方向の膜厚変化率を示している。図中、○は、クリーニング1回実施後の膜厚変化率、△は、クリーニング2回実施後の膜厚変化率、×は、クリーニング3回実施後の膜厚変化率、□は、クリーニング実施前の膜厚に対するクリーニング3回実施後の膜厚変化率を表している。
【0113】
図示される様に、クリーニングを実施した回数で膜厚の変化率が異なっており、クリーニングを複数回繰返し行うことで、膜厚の変化率が減少する傾向がみられ、特に3回のクリーニングを実施することで、膜厚の変化率が著しく減少し、半径方向の膜厚変化率が均一になることがわかる。
【0114】
この様に半径方向の膜厚変化率が均一になるのは、3回のクリーニングにより、ウェーハエッジ裏面部が均一に成膜される様になったことが原因と考えられる。
【0115】
又、本発明のクリーニング工程では、クリーニングを複数回繰返すことで、クリーニング工程後の基板に対する成膜に於ける膜厚の均一性がクリーニング工程前の基板に対する成膜に於ける膜厚の均一性と同等となる。クリーニングの最適な繰返し回数は、クリーニング条件に応じて決定する。
【0116】
尚、本発明に於けるクリーニングの繰返しには、サセプタに対するエージング効果があることから、これをエージングともいう。
【0117】
本発明によれば、基板に対して成膜を行う前に、クリーニングを複数回行うことでサセプタのエージングを行うことでき、クリーニング後の基板に対する成膜に於いて、膜厚均一性、再現性を安定、向上させることができる。又、クリーニング直後に均一成膜が可能になることから、クリーニング後、成膜再開前に行うプリコートを省略、若しくは短時間で行うことができ、クリーニング開始から成膜再開までのダウンタイムを短縮することも可能となる。
【0118】
(付記)
又、本発明は以下の実施の態様を含む。
【0119】
(付記1)前記サセプタはカーボンを含む材料からなる請求項1の半導体装置の製造方法、又は請求項2の基板処理装置。
【0120】
(付記2)前記サセプタは、カーボン、グラファイト、カーボンGCコート、VGIのいずれかを材料とする請求項1の半導体装置の製造方法、又は請求項2の基板処理装置。
【0121】
(付記3)前記クリーニング工程では、前記処理室内にダミー基板を搬入し前記サセプタ上に載置して前記処理室内にプラズマで活性化したフッ素系ガスを供給する工程を、少なくとも3回繰返す請求項1の半導体装置の製造方法。
【0122】
(付記4)前記クリーニング工程では、前記処理室内にダミー基板を搬入し前記サセプタ上に載置して前記処理室内にプラズマで活性化したフッ素系ガスを供給する工程を、複数回繰返すことで、前記クリーニング工程後の成膜に於いて製品基板エッジ裏面部が均一に成膜される様にする請求項1の半導体装置の製造方法。
【0123】
(付記5)前記クリーニング工程では、前記処理室内にダミー基板を搬入し前記サセプタ上に載置して前記処理室内にプラズマで活性化したフッ素系ガスを供給する工程を、同一条件(温度、圧力、ガス流量、RF電力、時間)で間欠的に複数回繰返す請求項1の半導体装置の製造方法。
【0124】
(付記6)前記フッ素系ガスはNF3 である請求項1の半導体装置の製造方法、又は請求項2の基板処理装置。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理装置を示す平断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る基板処理装置を示す側断面図である。
【図3】本発明に係る基板処理装置に用いられる処理炉の縦断面図である。
【図4】クリーニングを実施した場合のサセプタの変形を示すグラフである。
【図5】クリーニングを実施した場合の成膜膜厚の均一性を示すグラフである。
【図6】成膜とクリーニングによる反応生成物の除去を示す説明図であり、(A)は成膜状態、(B)はクリーニング状態、(C)はオーバエッチング状態をそれぞれ示す。
【符号の説明】
【0126】
3 ウェーハ
40 処理炉
41 主制御部
42 ガス制御部
43 駆動制御部
44 加熱制御部
46 処理室
56 サセプタ
58 ガス供給管
101 リモートプラズマユニット
103 MFC
104 不活性ガス導入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室内に製品基板を搬入し、サセプタ上に載置して前記製品基板に対して成膜する工程を少なくとも1回以上行う工程と、成膜後の前記処理室内をクリーニングする工程と、該クリーニング工程後に再び前記処理室内に製品基板を搬入し前記サセプタ上に載置して前記製品基板に対し成膜する工程を少なくとも1回以上行う工程とを有する半導体装置の製造方法であって、前記クリーニング工程では、前記処理室内にダミー基板を搬入して前記サセプタ上に載置して前記処理室内にプラズマで活性化したフッ素系ガスを供給する工程を複数回繰返すことで、前記クリーニング工程後の成膜に於ける基板面内膜厚均一性が前記クリーニング工程前の成膜に於ける基板面内膜厚均一性と同等となる様にすることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
基板を処理する処理室と、該処理室内で基板を支持するサセプタと、前記処理室内に成膜ガスを供給する成膜ガス供給ラインと、前記処理室内にフッ素系ガスを供給するフッ素系ガス供給ラインと、フッ素系ガスをプラズマにより活性化する活性化機構と、該活性化機構でプラズマにより活性化したフッ素系ガスを前記処理室内に供給する活性化ガス供給ラインと、前記処理室内に製品基板を搬入し前記サセプタ上に載置して前記製品基板に対し成膜ガスを供給して成膜する処理を少なくとも1回以上行った後、前記処理室内にダミー基板を搬入し、前記サセプタ上に載置して前記処理室内にプラズマで活性化したフッ素系ガスを供給する処理を複数回繰返し、その後、再び前記処理室内に前記製品基板を搬入し前記サセプタ上に載置して前記製品基板に対し成膜する処理を少なくとも1回以上行う様制御する制御部とを具備することを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−16033(P2010−16033A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172134(P2008−172134)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】