説明

半導体装置の製造方法

【課題】閾値電圧の絶対値を低く抑えながら、オフリーク電流を低下させることができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】Nチャネル型TFT形成予定領域内のpoly−Si層4にリンを注入することにより、n領域8を形成した後、Pチャネル型TFT形成予定領域にのみ開口部が存在するレジストマスク9を用いて、ボロンのイオン注入を行うことにより、Pチャネル型TFTのソース・ドレイン領域となるp領域10を形成する。次に、レジストマスク9を残存させたまま、水素注入を行うことにより、Pチャネル型TFT形成予定領域内において、チャネル領域(poly−Si層4)及びソース・ドレイン領域(p領域10)の水素化処理を行う。このような方法によれば、Nチャネル型TFTに対する水素化処理が行われないため、Nチャネル型TFTにおける不要な閾値電圧の遷移が防止され、オフリーク電流の上昇を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクティブマトリクス型の液晶表示装置及びELパネル表示装置のデータドライバ、ゲートドライバ及び画素スイッチング素子等として用いる多結晶Si薄膜トランジスタへの適用に好適な半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄膜トランジスタ(TFT)がガラス基板等の透明絶縁基板上に形成された液晶表示装置及びELパネル表示装置が製造されている。多くの場合、このような表示装置には、Nチャネル型トランジスタ及びPチャネル型トランジスタが形成されている。
【0003】
図6及び図7は、従来の半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。従来の製造方法では、先ず、図6(a)に示すように、透明絶縁基板(ガラス基板)101上に、SiOからなるバッファ層102を400nmの厚さで形成した後、PCVD法によってアモルファスシリコン(a−Si)層103を100nmの厚さで成膜する。このとき、a−Si層103には、成膜時にBガスを混ぜることにより、低濃度のボロンをドーピングする。
【0004】
次に、窒素雰囲気中で550℃、2時間の熱処理によるa−Si層103の脱水素化を行い、パターニングによって、a−Si層103を所定の帯状の平面形状とする。
【0005】
次いで、図6(b)に示すように、a−Si層103に対して、半導体励起(LD励起)の固体レーザ(DPSSレーザ)であるNd:YVOにより出力6.5W、スキャン速度20cm/秒の条件でレーザ光を照射することにより、a−Si層103を結晶化させ、poly−Si層104とする。その後、poly−Si層104のパターニングを行い、poly−Si層104を所定の島状の平面形状とする。
【0006】
続いて、poly−Si層104上に、SiOからなるゲート絶縁膜105及びAlからなるゲート電極106を、夫々30nm、300nmの厚さで形成する。
【0007】
次に、図6(b)に示すように、Nチャネル型TFTを形成する領域にのみ開口部が存在するレジストマスク107を形成し、リンのイオン注入を行うことにより、Nチャネル型TFTのソース・ドレイン領域となるn領域108をpoly−Si層104に形成する。
【0008】
次いで、図6(c)に示すように、レジストマスク107を除去した後、Pチャネル型TFTを形成する領域にのみ開口部が存在するレジストマスク109を形成し、ボロンのイオン注入を行うことにより、Pチャネル型TFTのソース・ドレイン領域となるp領域110を形成する。
【0009】
その後、図7(a)に示すように、レジストマスク109を除去した後、エキシマレーザアニールにより、不純物の活性化を行う。
【0010】
続いて、図7(b)に示すように、水素注入又は水素プラズマ処理による水素化処理を行う。
【0011】
次に、層間絶縁膜(図示せず)として、厚さが30nmのSiO膜及び厚さが370nmのSiN膜を順次堆積する。次いで、ソース・ドレイン領域及びゲート電極6に達するコンタクトホールを層間絶縁膜に形成し、Ti膜(100nm)、Al膜(200nm)及びTi膜(100nm)をコンタクトホール内に堆積した後、所定形状のレジストパターンをマスクとしてこれらの金属膜をエッチングすることにより、ソース・ドレイン電極及びゲート引出電極を形成する。
【0012】
ここで、一般的に、多結晶シリコンにおいては、結晶粒界に存在するダングリングボンド等の欠陥がキャリアに対するトラップ準位又は障壁として作用すると考えられている。このため、多結晶シリコン薄膜トランジスタの性能を向上させるためには、前記欠陥を低減させる必要がある。そこで、上述のような従来の半導体装置の製造方法では、水素化処理を行うことにより、水素による前記欠陥の終端化を行っているのである。このような水素化処理の中でも代表的な方法が水素プラズマ処理である。これらの方法を用いると、閾値電圧(スレッシュホルド電圧)Vthの絶対値が小さくなり、サブスレッシュホルド領域の立ち上がりが急峻になる。
【0013】
【特許文献1】
特開2000−196096号公報
【特許文献2】
特開2002−026332号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のような水素化処理を行った場合には、オフリーク電流が上昇してしまうという問題点がある。
【0015】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、閾値電圧の絶対値を低く抑えながら、オフリーク電流を低下させることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は、鋭意検討の結果、オフリーク電流が上昇している理由として、従来の技術では、Nチャネル型トランジスタのId−Vg曲線(ゲート電圧に対するドレイン電流の変化を示す曲線)がデプレッション方向に遷移(シフト)してしまい、その結果、閾値電圧Vthも遷移してしまい、オフリーク電流が上昇していることを見出した。
【0017】
そこで、本願発明者は、このようなNチャネル型トランジスタのId−Vg曲線の遷移を防止すべく、更に鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
【0018】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法では、先ず、基板上に、Nチャネル型トランジスタのチャネル、ソース及びドレインとなる第1の多結晶シリコン膜、並びにPチャネル型トランジスタのチャネル、ソース及びドレインとなる第2の多結晶シリコン膜を形成する。次に、前記第1及び第2の多結晶シリコン膜上に、夫々ゲート電極用の導電膜を形成する。そして、前記第1の多結晶シリコン膜又は前記第2の多結晶シリコン膜のいずれか一方のみに水素注入を行う。
【0019】
また、本発明に係る第2の半導体装置の製造方法では、先ず、基板上に、Nチャネル型トランジスタのチャネル、ソース及びドレインとなる第1の多結晶シリコン膜、並びにPチャネル型トランジスタのチャネル、ソース及びドレインとなる第2の多結晶シリコン膜を形成する。次に、前記第1及び第2の多結晶シリコン膜上に、夫々ゲート電極用の導電膜を形成する。そして、前記第1及び第2の多結晶シリコン膜に互いに異なるドーズ量で水素注入を行う。
【0020】
これらの本発明においては、第1の多結晶シリコン膜若しくは第2の多結晶シリコン膜のいずれかのみに水素注入を行うか、又は第1及び第2の多結晶シリコン膜に互いに異なるドーズ量で水素注入を行うため、Pチャネル型トランジスタとNチャネル型トランジスタとの間で、水素注入の程度を互いに独立して制御することが可能である。従って、必要以上のトランジスタ特性(Id−Vg曲線)の遷移を回避することができ、閾値電圧Vthの絶対値が小さく、サブスレッシュホルド領域の立ち上がりが急峻な相補MOSトランジスタ、例えばCMOS多結晶シリコン薄膜トランジスタを得ることができる。更に、Pチャネル型トランジスタ及びNチャネル型トランジスタのいずれにも、エンハンス特性を具備させることも可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1及び図2は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0023】
本実施形態では、先ず、図1(a)に示すように、透明絶縁基板、例えばガラス基板1上に、バッファ層2としてSiO膜を形成する。バッファ層2の厚さは、例えば400nm程度とする。次に、例えばプラズマCVD法によってアモルファスシリコン(a−Si)層3を成膜する。a−Si層3の厚さは、40nm以上とすることが好ましく、例えば100nm程度とする。このとき、a−Si層3には、成膜時にBガスを混ぜることにより、P型不純物として、低濃度のボロンをドーピングする。
【0024】
次いで、窒素雰囲気中で550℃、2時間の熱処理によるa−Si層3の脱水素化を行う。その後、a−Si層3のパターニングを行うことにより、その平面形状を、例えば所定の帯状のものとする。
【0025】
続いて、図1(b)に示すように、a−Si層3に対して、例えば半導体励起(LD励起)の固体レーザ(DPSSレーザ)であるNd:YVOを用い、出力6.5W、スキャン速度20cm/秒の条件でレーザ光を照射することにより、a−Si層3を結晶化させ、poly−Si層4とする。次に、poly−Si層4のパターニングを行うことにより、その平面形状を、例えば所定の島状のものとする。
【0026】
次いで、poly−Si層4上に、ゲート絶縁膜5及びゲート電極6を形成する。ゲート絶縁膜5は、例えばSiOから形成し、その厚さは、例えば30nm程度とする。また、ゲート電極6は、例えばAlから形成し、その厚さは、例えば300nm程度とする。
【0027】
その後、図1(c)に示すように、Nチャネル型TFTを形成する領域(Nチャネル型TFT形成予定領域)にのみ開口部が存在するレジストマスク7を形成する。そして、レジストマスク7をマスクとして、N型不純物として、例えばリンのイオン注入を行うことにより、Nチャネル型TFTのソース・ドレイン領域となるn領域8をpoly−Si層4に形成する。なお、Nチャネル型TFT形成予定領域内のpoly−Si層4のうち、ゲート電極6及びゲート絶縁膜5に覆われてリンが注入されない領域は、チャネル領域となる。
【0028】
続いて、図2(a)に示すように、レジストマスク7を除去した後、Pチャネル型TFTを形成する領域(Pチャネル型TFT形成予定領域)にのみ開口部が存在するレジストマスク9を形成する。そして、レジストマスク9をマスクとして、P型不純物として、例えばボロンのイオン注入を行うことにより、Pチャネル型TFTのソース・ドレイン領域となるp領域10を形成する。なお、Pチャネル型TFT形成予定領域内のpoly−Si層4のうち、ゲート電極6及びゲート絶縁膜5に覆われてボロンが注入されない領域は、チャネル領域となる。
【0029】
次に、レジストマスク9を残存させたまま、水素注入を行うことにより、Pチャネル型TFT形成予定領域内において、チャネル領域(poly−Si層4)及びソース・ドレイン領域(p領域10)の水素化処理を行う。
【0030】
このとき、チャネル領域(poly−Si層4)及びソース・ドレイン領域(p領域10)の全体にわたって、厚さ方向における水素濃度のプロファイルを実質的に均一なものとすることが好ましい。
【0031】
次いで、図2(b)に示すように、レジストマスク9を除去した後、エキシマレーザを用いたエキシマレーザアニールにより、不純物の活性化を行う。
【0032】
その後、層間絶縁膜(図示せず)として、例えば厚さが30nm程度のSiO膜及び厚さが370nm程度のSiN膜を順次堆積する。続いて、ソース・ドレイン領域(n領域8及びp領域10)及びゲート電極6まで達するコンタクトホールを層間絶縁膜に形成し、Ti膜、Al膜及びTi膜からなる積層膜をコンタクトホール内に堆積する。両Ti膜の厚さ及びAl膜の厚さは、夫々例えば100nm、200nmとする。そして、所定の形状のレジストパターンをマスクとしてこれらの金属膜をエッチングすることにより、ソース・ドレイン電極及びゲート引出電極を形成する。
【0033】
このような第1の実施形態によれば、水素化処理を、レジストマスク9を残存させたまま行っているため、水素化処理はPチャネル型TFTに対してのみ行われる。従って、Nチャネル型TFTにおけるId−Vg曲線の遷移は生じず、閾値電圧Vthの遷移も生じない。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図3及び図4は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0035】
本実施形態では、先ず、図3(a)に示すように、透明絶縁基板、例えばガラス基板1上に、バッファ層2としてSiO膜を形成する。バッファ層2の厚さは、例えば400nm程度とする。次に、例えばプラズマCVD法によってアモルファスシリコン(a−Si)層3を成膜する。a−Si層3の厚さは、40nm以上とすることが好ましく、例えば100nm程度とする。このとき、a−Si層3には、成膜時にBガスを混ぜることにより、P型不純物として、低濃度のボロンをドーピングする。
【0036】
次いで、窒素雰囲気中で550℃、2時間の熱処理によるa−Si層3の脱水素化を行う。その後、a−Si層3のパターニングを行うことにより、その平面形状を、例えば所定の帯状のものとする。
【0037】
続いて、図3(b)に示すように、a−Si層3に対して、例えば半導体励起(LD励起)の固体レーザ(DPSSレーザ)であるNd:YVOを用い、出力6.5W、スキャン速度20cm/秒の条件でレーザ光を照射することにより、a−Si層3を結晶化させ、poly−Si層4とする。次に、poly−Si層4のパターニングを行うことにより、その平面形状を、例えば所定の島状のものとする。
【0038】
次いで、poly−Si層4上に、ゲート絶縁膜5及びゲート電極6を形成する。ゲート絶縁膜5は、例えばSiOから形成し、その厚さは、例えば30nm程度とする。また、ゲート電極6は、例えばAlから形成し、その厚さは、例えば300nm程度とする。
【0039】
その後、図3(c)に示すように、Nチャネル型TFTを形成する領域(Nチャネル型TFT形成予定領域)にのみ開口部が存在するレジストマスク7を形成する。そして、レジストマスク7をマスクとして、N型不純物として、例えばリンのイオン注入を行うことにより、Nチャネル型TFTのソース・ドレイン領域となるn領域18をpoly−Si層4に形成する。なお、Nチャネル型TFT形成予定領域内のpoly−Si層4のうち、ゲート電極6及びゲート絶縁膜5に覆われてリンが注入されない領域は、チャネル領域となる。
【0040】
次に、レジストマスク7を残存させたまま、水素注入を行うことにより、Nチャネル型TFT形成予定領域内において、チャネル領域(poly−Si層4)及びソース・ドレイン領域(n領域18)の水素化処理を行う。この水素化処理では、例えば加速電圧を30keVとし、ドーズ量を5×1014cm−2とする。
【0041】
このとき、チャネル領域(poly−Si層4)及びソース・ドレイン領域(n領域18)の全体にわたって、厚さ方向における水素濃度のプロファイルを実質的に均一なものとすることが好ましい。
【0042】
続いて、図4(a)に示すように、レジストマスク7を除去した後、Pチャネル型TFTを形成する領域(Pチャネル型TFT形成予定領域)にのみ開口部が存在するレジストマスク9を形成する。そして、レジストマスク9をマスクとして、P型不純物として、例えばボロンのイオン注入を行うことにより、Pチャネル型TFTのソース・ドレイン領域となるp領域10を形成する。なお、Pチャネル型TFT形成予定領域内のpoly−Si層4のうち、ゲート電極6及びゲート絶縁膜5に覆われてボロンが注入されない領域は、チャネル領域となる。
【0043】
次に、レジストマスク9を残存させたまま、水素注入を行うことにより、Pチャネル型TFTにおいて、チャネル領域(poly−Si層4)及びソース・ドレイン領域(p領域10)の水素化処理を行う。この水素化処理では、水素のドーズ量を、Nチャネル型TFTに対する水素化処理のときよりも高くし、例えば加速電圧を30keVとし、ドーズ量を1×1015cm−2とする。
【0044】
また、このとき、チャネル領域(poly−Si層4)及びソース・ドレイン領域(p領域10)の全体にわたって、厚さ方向における水素濃度のプロファイルを実質的に均一なものとすることが好ましい。
【0045】
次いで、図4(b)に示すように、レジストマスク9を除去した後、エキシマレーザを用いたエキシマレーザアニールにより、不純物の活性化を行う。
【0046】
その後、層間絶縁膜(図示せず)として、例えば厚さが30nm程度のSiO膜及び厚さが370nm程度のSiN膜を順次堆積する。続いて、ソース・ドレイン領域(n領域8及びp領域10)及びゲート電極6まで達するコンタクトホールを層間絶縁膜に形成し、Ti膜、Al膜及びTi膜からなる積層膜をコンタクトホール内に堆積する。両Ti膜の厚さ及びAl膜の厚さは、夫々例えば100nm、200nmとする。そして、所定の形状のレジストパターンをマスクとしてこれらの金属膜をエッチングすることにより、ソース・ドレイン電極及びゲート引出電極を形成する。
【0047】
このような第2の実施形態では、水素化処理をNチャネル型TFT形成予定領域に対しても行っているが、Pチャネル型TFT形成予定領域に対する水素化処理とは独立して行っている。このため、互いに独立して水素化処理の程度を制御することができる。従って、必要に応じて、適切な程度で両領域に対して水素化処理を行うことができる。
【0048】
図5は、第2の実施形態によるId−Vg曲線の遷移を示すグラフである。図5中の破線は水素化処理前のId−Vg曲線を示し、実線は水素化処理後のId−Vg曲線を示している。図5に示すように、第2の実施形態では、Nチャネル型TFT及びPチャネル型TFTの双方に水素化処理を施しているため、両TFTにおいて、Id−Vg曲線が遷移している。但し、第2の実施形態では、水素化処理におけるドーズ量を、Pチャネル型TFTでNチャネル型TFTよりも高くしているため、Nチャネル型TFTにおけるId−Vg曲線の遷移が小さく、適切な閾値電圧Vthが得られる。
【0049】
なお、第1の実施形態では、Pチャネル型TFTに対してのみ、第2の実施形態では、Pチャネル型TFT及びNチャネル型TFTの双方に対して、水素化処理を行っているが、水素化処理前のId−Vg曲線によっては、Nチャネル型TFTに対してのみ水素化処理を行うようにしてもよい。
【0050】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0051】
(付記1) 基板上に、Nチャネル型トランジスタのチャネル、ソース及びドレインとなる第1の多結晶シリコン膜、並びにPチャネル型トランジスタのチャネル、ソース及びドレインとなる第2の多結晶シリコン膜を形成する工程と、
前記第1及び第2の多結晶シリコン膜上に、夫々ゲート電極用の導電膜を形成する工程と、
前記第1の多結晶シリコン膜又は前記第2の多結晶シリコン膜のいずれか一方のみに水素注入を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0052】
(付記2) 前記第1の多結晶シリコン膜又は前記第2の多結晶シリコン膜のいずれか一方のみに水素注入を行う工程において、前記第2の多結晶シリコン膜のみに水素注入を行うことを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0053】
(付記3) 基板上に、Nチャネル型トランジスタのチャネル、ソース及びドレインとなる第1の多結晶シリコン膜、並びにPチャネル型トランジスタのチャネル、ソース及びドレインとなる第2の多結晶シリコン膜を形成する工程と、
前記第1及び第2の多結晶シリコン膜上に、夫々ゲート電極用の導電膜を形成する工程と、
前記第1及び第2の多結晶シリコン膜に互いに異なるドーズ量で水素注入を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0054】
(付記4) 前記第1及び第2の多結晶シリコン膜に互いに異なるドーズ量で水素注入を行う工程において、前記第2の多結晶シリコン膜に、前記第1の多結晶シリコン膜よりも高いドーズ量で水素注入を行うことを特徴とする付記3に記載の半導体装置の製造方法。
【0055】
(付記5) 前記第1及び第2の多結晶シリコン膜を形成する工程において、前記第1及び第2の多結晶シリコン膜にP型不純物を導入することを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0056】
(付記6) 前記P型不純物としてボロンを導入することを特徴とする付記5に記載の半導体装置の製造方法。
【0057】
(付記7) 前記第1の多結晶シリコン膜内の厚さ方向における水素濃度のプロファイルを実質的に均一なものとすることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0058】
(付記8) 前記第2の多結晶シリコン膜内の厚さ方向における水素濃度のプロファイルを実質的に均一なものとすることを特徴とする付記1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0059】
(付記9) 前記第1及び第2の多結晶シリコン膜の厚さを40nm以上とすることを特徴とする付記1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0060】
(付記10) 前記水素注入を行う際に、レジストマスクを用いることを特徴とする付記1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0061】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、一連の工程で用いるマスクの数を増加させることなく、Pチャネル型トランジスタとNチャネル型トランジスタとの間で、水素注入の程度を互いに独立して制御することができる。従って、必要以上の閾値電圧Vthの遷移を抑制することができる。このため、両トランジスタにエンハンスメント特性を具備させることができ、また、オフリーク電流を低下させることができる。このため、本発明を液晶表示装置(LCD)の周辺回路等に適用した場合には、消費電力を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図2】図1に引き続き、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】図3に引き続き、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態によるId−Vg曲線の遷移を示すグラフである。
【図6】従来の半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7】図6に引き続き、従来の半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【符号の説明】
1;ガラス基板
2;バッファ層
3;アモルファスシリコン層
4;ポリシリコン層
5;ゲート絶縁膜
6;ゲート電極
7、9;レジストマスク
8、18;n領域
10;p領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、Nチャネル型トランジスタのチャネル、ソース及びドレインとなる第1の多結晶シリコン膜、並びにPチャネル型トランジスタのチャネル、ソース及びドレインとなる第2の多結晶シリコン膜を形成する工程と、
前記第1及び第2の多結晶シリコン膜上に、夫々ゲート電極用の導電膜を形成する工程と、
前記第1の多結晶シリコン膜又は前記第2の多結晶シリコン膜のいずれか一方のみに水素注入を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の多結晶シリコン膜又は前記第2の多結晶シリコン膜のいずれか一方のみに水素注入を行う工程において、前記第2の多結晶シリコン膜のみに水素注入を行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
基板上に、Nチャネル型トランジスタのチャネル、ソース及びドレインとなる第1の多結晶シリコン膜、並びにPチャネル型トランジスタのチャネル、ソース及びドレインとなる第2の多結晶シリコン膜を形成する工程と、
前記第1及び第2の多結晶シリコン膜上に、夫々ゲート電極用の導電膜を形成する工程と、
前記第1及び第2の多結晶シリコン膜に互いに異なるドーズ量で水素注入を行う工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1及び第2の多結晶シリコン膜に互いに異なるドーズ量で水素注入を行う工程において、前記第2の多結晶シリコン膜に、前記第1の多結晶シリコン膜よりも高いドーズ量で水素注入を行うことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の多結晶シリコン膜を形成する工程において、前記第1及び第2の多結晶シリコン膜にP型不純物を導入することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2004−241504(P2004−241504A)
【公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−27515(P2003−27515)
【出願日】平成15年2月4日(2003.2.4)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】