説明

半導体装置の製造方法

【課題】高誘電率ゲート絶縁膜とメタルゲート電極を有するCMISFETを備えた半導体装置において、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETのしきい値電圧の上昇を防ぐことができる技術を提供する。
【解決手段】CMISFETのしきい値を調整する目的で、高誘電率ゲート絶縁膜であるHf含有絶縁膜5に希土類元素またはアルミニウムを導入する際に、酸素をほとんど含まないランタン膜からなるしきい値調整層8bおよび酸素をほとんど含まないアルミニウム膜からなるしきい値調整層8aをnMIS形成領域1BおよびpMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜5上にそれぞれ形成する。これにより、しきい値調整層8aおよびしきい値調整層8bからHf含有絶縁膜5および半導体基板1の主面に酸素が拡散することを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、高誘電率ゲート絶縁膜を有するCMISFETを備えた半導体装置の製造技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上にゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成し、イオン注入などによりソース・ドレイン領域を形成することで、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:MIS電界効果トランジスタ、MISトランジスタ)を形成することができる。
【0003】
また、CMISFET(Complementary MISFET)においては、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETの両方において低いしきい値電圧を実現するために、互いに異なる仕事関数(ポリシリコンの場合、フェルミ準位)を有する材料を使用してゲート電極を形成する、いわゆるデュアルゲート化が行われている。つまり、nチャネル型MISFETのゲート電極を形成しているポリシリコン膜に対してn型不純物を導入し、pチャネル型MISFETのゲート電極を形成しているポリシリコン膜に対してp型不純物を導入する。これにより、nチャネル型MISFETのゲート電極材料の仕事関数(フェルミ準位)をシリコンの伝導帯近傍にするとともにpチャネル型MISFETのゲート電極材料の仕事関数(フェルミ準位)をシリコンの価電子帯近傍にして、しきい値電圧の低下を図っている。
【0004】
しかしながら、近年、CMISFET素子の微細化に伴いゲート絶縁膜の薄膜化が進み、ポリシリコン膜をゲート電極に使用した場合におけるゲート電極の空乏化の影響が無視できなくなってきている。このため、ゲート電極としてメタルゲート電極を用いてゲート電極の空乏化現象を抑制する技術がある。
【0005】
また、CMISFET素子の微細化に伴いゲート絶縁膜の薄膜化が進み、薄い酸化シリコン膜をゲート絶縁膜として使用すると、MISFETのチャネルを流れる電子が酸化シリコン膜によって形成される障壁をトンネルしてゲート電極に流れる、いわゆるトンネル電流が発生してしまう。このため、ゲート絶縁膜として、酸化シリコン膜より誘電率の高い材料を使用することにより、容量を同じにしても物理的膜厚を増加させることで、リーク電流を低減する技術がある。
【0006】
特許文献1(米国特許公開2009/0152636A1号公報)では、ゲート絶縁膜である高誘電率膜(high−k膜)上に形成するキャップ層の部材にLa(ランタン)からなる膜を用いることを示唆している。ただし、ここでは前記キャップ層の材料として、ランタン膜に限らず、ランタンまたはその他の希土類元素の酸化物からなる膜を用いても良いとしている。
【0007】
また、非特許文献1には、メタルゲート電極と高誘電率ゲート絶縁膜を用いたCMISFETに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許公開2009/0152636A1号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】ティー・カワハラ(T.Kawahara)、外12名,「アプリケーション オブ ピーブイディー−ランタナムオキサイド ウィズ オングストローム−スケール コントローラビリティ トゥー メタル/キャップ/ハイ−ケー ゲイト スタックス(Application of PVD-LaO with Angstrom-Scale Contorollability to Metal/Cap/High-k Gate Stacks)」,「インターナショナル ワークショップ オン ダイエレクトリック シン フィルムズ フォー フューチャー ユーエルエスアイ デバイシズ:サイエンス アンド テクノロジー(International Workshop on Dielectric Thin Films for Future ULSI Devices: Science and Technology)」,(日本),2008年,p.32
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らの検討によれば、次のことが分かった。
【0011】
メタルゲート電極を用いた場合、ゲート電極の空乏化の問題は解決できるが、ポリシリコンゲート電極を用いた場合に比べて、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETの両方でしきい値電圧の絶対値が大きくなってしまう。このため、メタルゲート電極を適用する場合には、低しきい値化(しきい値電圧の絶対値の低下)を図ることが望まれる。しかしながら、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETとでメタルゲート電極とゲート絶縁膜の材料が同じであれば、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETの一方の低しきい値化を図ると、他方は逆に高しきい値化してしまう。
【0012】
このため、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETのそれぞれのしきい値電圧を独立に制御可能とすることが望まれる。そこで、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETのそれぞれのしきい値電圧を独立に制御可能とするために、nチャネル型MISFETのゲート絶縁膜とpチャネル型MISFETのゲート絶縁膜とに異なる絶縁材料を選択することが考えられる。
【0013】
ゲート絶縁膜用の高誘電率膜(high−k膜)として、Hfを含有する高誘電率膜であるHf系ゲート絶縁膜が優れているが、nチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜に希土類元素(特に好ましくはランタン)を導入すると、nチャネル型MISFETを低しきい値化することができる。一方、pチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜に希土類元素(特にランタン)を導入すると、pチャネル型MISFETが高しきい値化してしまう。このため、nチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜に希土類元素(特にランタン)を選択的に導入し、pチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜には希土類元素(特にランタン)を導入しないようにする。これにより、pチャネル型MISFETのしきい値電圧の絶対値を増大させることなく、nチャネル型MISFETを低しきい値化することができる。
【0014】
nチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜に希土類元素(特にランタン)を選択的に導入し、かつpチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜には希土類元素(特にランタン)を導入しないようにする手法としては、次のプロセスが考えられる。
【0015】
HfSiON膜などのHf系ゲート絶縁膜を、例えば単結晶シリコンからなる半導体基板の主面全面に形成し、このHf系ゲート絶縁膜の全面上にしきい値調整層として酸化ランタン(例えばLa)膜を形成し、この酸化ランタン膜上にフォトレジスト膜を形成する。続いて、このフォトレジスト膜をエッチングマスクとしたエッチングにより、pチャネル型MISFET形成予定領域の酸化ランタン膜を選択的に除去してから、フォトレジスト膜を除去する。続いて、半導体基板を熱処理することにより、nチャネル型MISFET形成予定領域のHf系ゲート絶縁膜内にランタンを導入することができる。その後、Hf系ゲート絶縁膜内と反応しなかった酸化ランタン膜を除去する。
【0016】
このとき、pチャネル型MISFET形成予定領域には酸化ランタン膜は形成されていないため、pチャネル型MISFET形成予定領域のHf系ゲート絶縁膜にはランタンは導入されない。これにより、nチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜にランタンを選択的に導入し、かつpチャネル型MISFETにおけるHf系ゲート絶縁膜にはランタンを導入しないようにすることができる。
【0017】
しかしながら、このプロセスには、次のような問題があることが、本発明者らの検討により分かった。すなわち、Hf系ゲート絶縁膜用の高誘電率膜に例えばランタンを導入するために、Hf系ゲート絶縁膜上に酸化ランタン膜を形成して熱処理を行うと、ランタンのみでなく、酸化ランタン膜内の酸素(O)もHf系ゲート絶縁膜に導入される。Hf系ゲート絶縁膜に酸素が過剰に導入された場合、Hf系ゲート絶縁膜を通じてHf系ゲート絶縁膜の下部の半導体基板にも酸素が導入される。酸素が導入された半導体基板の主面には酸化シリコンからなる絶縁膜が形成されるため、Hf系ゲート絶縁膜上のメタルゲート電極と半導体基板との間には、半導体基板の主面に酸素が導入されて形成された絶縁膜とHf系ゲート絶縁膜とからなるゲート絶縁膜が形成される。
【0018】
半導体基板とHf系ゲート絶縁膜との間には、Hf系ゲート絶縁膜を形成する前に形成した酸化シリコンからなる第1の絶縁膜が設けられることも考えられる。この場合にも、酸化ランタン膜から酸素が導入されたHf系ゲート絶縁膜から第1の絶縁膜を介して半導体基板の主面に酸素が導入されれば、半導体基板の主面に酸化シリコンからなる第2の絶縁膜が形成されるため、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とからなり、第1の絶縁膜よりも膜厚が厚い絶縁膜がゲート絶縁膜を構成することになる。
【0019】
このように、Hf系ゲート絶縁膜上に酸化ランタン膜を形成した場合、半導体基板の上面に酸化シリコン膜が形成されるため、ゲート絶縁膜の酸化膜換算膜厚が大きくなる問題がある。
【0020】
また、nチャネル型MISFETと同様にpチャネル型MISFETのしきい値電圧を低減する方法として、pチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜上に酸化アルミニウム膜を形成した後に熱処理を行うことで、Hf系ゲート絶縁膜内にアルミニウムを導入する方法が考えられる。なお、このときnチャネル型MISFET形成予定領域では、Hf系ゲート絶縁膜内にアルミニウムが導入されないようにする必要がある。
【0021】
しかし、前述した酸化ランタン膜を用いたnチャネル型MISFETのしきい値調整方法と同様に、酸化アルミニウム膜を用いてpチャネル型MISFETのHf系ゲート絶縁膜にアルミニウムを導入しようとすると、酸化アルミニウム膜内の酸素がHf系ゲート絶縁膜および半導体基板の上面に導入され、pチャネル型MISFETのゲート絶縁膜の酸化膜換算膜厚が高くなる問題がある。
【0022】
すなわち、nチャネル型MISFETのしきい値電圧を低減する際には、Hf系ゲート絶縁膜内に、しきい値調整層から酸素が導入されることを防ぐことが重要である。また、pチャネル型MISFETのしきい値電圧を低減する際には、Hf系ゲート絶縁膜内にしきい値調整層から酸素が導入されることを防ぐことが重要である。
【0023】
本発明の目的は、高誘電率ゲート絶縁膜に酸素が導入されることに起因するnチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETの酸化膜換算膜厚の上昇を防ぐことにある。
【0024】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0026】
本発明の好ましい一実施の形態である半導体装置の製造方法は、
pチャネル型MISFETである第1MISFETを半導体基板の第1領域に有し、nチャネル型MISFETである第2MISFETを前記半導体基板の第2領域に有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記第1および第2MISFETのゲート絶縁膜用で、かつHfを含有する第1絶縁膜を、前記半導体基板の前記第1領域および前記第2領域に形成する工程と、
(b)前記第1領域の前記第1絶縁膜上および前記第2領域の前記第1絶縁膜上にアルミニウム膜を形成する工程と、
(c)前記第1領域および前記第2領域に形成された前記アルミニウム膜上にキャップ膜を形成する工程と、
(d)前記第2領域の前記キャップ膜および前記アルミニウム膜を除去し、前記第1領域の前記キャップ膜および前記アルミニウム膜を残す工程と、
(e)前記(d)工程後、前記第2領域の前記第1絶縁膜上および前記第1領域の前記キャップ膜上に希土類元素からなる第1金属膜を形成する工程と、
(f)熱処理を行って、前記第1領域の前記第1絶縁膜を前記アルミニウム膜と反応させて前記第1領域に第2絶縁膜を形成し、前記第2領域の前記第1絶縁膜を前記第1金属膜と反応させて前記第2領域に第3絶縁膜を形成する工程と、
(g)前記(f)工程後、前記(f)工程にて反応しなかった前記第1金属膜を除去する工程と、
(h)前記(g)工程後、前記第1領域の前記キャップ膜を除去する工程と、
(i)前記(h)工程後、前記第1領域の前記第2絶縁膜上および前記第2領域の前記第3絶縁膜上に、第2金属膜を形成する工程と、
(j)前記第2金属膜をパターニングして、前記第1領域に前記第1MISFET用の第1ゲート電極を形成し、前記第2領域に前記第2MISFET用の第2ゲート電極を形成する工程と、
(k)前記第1領域内において、前記第1ゲート電極の両側の領域の前記半導体基板の主面にp型の不純物を導入する工程と、
(l)前記第2領域内において、前記第2ゲート電極の両側の領域の前記半導体基板の主面にn型の不純物を導入する工程と、
(m)前記(k)工程および前記(l)工程の後、前記半導体基板を熱処理し、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極のそれぞれの両側の領域の前記半導体基板の主面にソース・ドレイン領域を形成する工程とを有するものである。
【発明の効果】
【0027】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0028】
上記した本発明の好ましい一実施の形態によれば、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETのしきい値電圧の上昇を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1である半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】図1に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】図2に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1である半導体装置の製造工程で用いる製造装置の平面図である。
【図6】図4に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図18】図10に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図20】比較例として示す半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図26】図25に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図27】図26に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図28】図27に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図30】本発明の実施の形態2である半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図32】図31に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図33】図32に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図34】図33に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図35】図34に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図36】図35に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図37】図36に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図38】図37に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図39】本発明の実施の形態3である半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図40】図39に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図41】図40に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図42】図41に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図43】図42に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図44】図43に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なときを除き、同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。
【0032】
図1〜図4および図6〜図19は、本発明の一実施の形態である半導体装置、ここではCMISFET(Complementary Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を有する半導体装置の製造工程中の要部断面図である。また、図5は本発明の一実施の形態である半導体装置の製造工程で用いる製造装置の平面図である。
【0033】
まず、図1に示すように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)1を準備する。本実施の形態の半導体装置が形成される半導体基板1は、nチャネル型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)が形成される領域であるnMIS形成領域1Bと、pチャネル型のMISFETが形成される領域であるpMIS形成領域1Aとを有している。それから、半導体基板1の主面に素子分離領域2を形成する。素子分離領域2は酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などにより形成される。例えば、半導体基板1に形成された溝(素子分離溝)2aに埋め込まれた絶縁膜により、素子分離領域2を形成することができる。
【0034】
次に、半導体基板1のnチャネル型MISFETを形成する領域(nMIS形成領域1B)にp型ウエル3を形成し、pチャネル型MISFETを形成する領域(pMIS形成領域1A)にn型ウエル4を形成する。このとき、p型ウエル3は、例えばホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどによって形成され、n型ウエル4は、例えばリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどにより形成される。また、p型ウエル3およびn型ウエル4の形成前または形成後に、半導体基板1の上層部に対して、後で形成されるMISFETのしきい値調整用のイオン注入(いわゆるチャネルドープイオン注入)を必要に応じて行なうこともできる。
【0035】
次に、図2に示すように、例えばランプ式の加熱チャンバなどを用いた熱酸化法またはCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法等により、1000℃程度の熱処理で半導体基板1の表面に酸化シリコン膜OXを形成する。図2においては、熱酸化法により半導体基板1の表面に酸化シリコン膜OXを形成している場合を示している。図示はしないが、CVD法を用いて酸化シリコン膜OXを形成した場合、素子分離領域2の上にも酸化シリコン膜OXが形成される。
【0036】
次に、図3に示すように、半導体基板1の表面(すなわち酸化シリコン膜OXの表面)上に、ゲート絶縁膜用のHf含有絶縁膜5を形成する。Hf含有絶縁膜5は、半導体基板1の主面全面に形成されるため、nMIS形成領域1BおよびpMIS形成領域1Aの両方に形成される。
【0037】
Hf含有絶縁膜5は、Hfを含有する絶縁膜であり、Hf(ハフニウム)を含有する絶縁材料からなり、好ましくはHfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)、HfON膜(ハフニウムオキシナイトライド膜)またはHfO膜(酸化ハフニウム膜またはハフニウムオキサイド膜、代表的なのはHfO膜)とすることができる。従って、Hf含有絶縁膜5は、ハフニウム(Hf)に加えて、更に酸素(O)も含有していることが好ましい。なお、HfSiON膜は、ハフニウム(Hf)とケイ素(Si)と酸素(O)と窒素(N)とで構成された絶縁材料膜であり、HfON膜は、ハフニウム(Hf)と酸素(O)と窒素(N)とで構成された絶縁材料膜であり、HfO膜は、ハフニウム(Hf)と酸素(O)とで構成された絶縁材料膜である。
【0038】
Hf含有絶縁膜5がHfSiON膜の場合には、ALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)法またはCVD法を用いてまずHfSiO膜を堆積する。それから、このHfSiO膜をプラズマ窒化処理のような窒化処理によって窒化する(すなわちHfSiO膜を窒化してHfSiON膜にする)ことによって、HfSiON膜を形成することができる。
【0039】
Hf含有絶縁膜5がHfON膜の場合には、ALD法またはCVD法を用いてまずHfO膜(代表的にはHfO膜)を堆積してから、このHfO膜をプラズマ窒化処理のような窒化処理によって窒化する(すなわちHfO膜をHfON膜にする)ことによって、HfON膜を形成することができる。
【0040】
Hf含有絶縁膜5がHfO膜(代表的にはHfO膜)の場合には、ALD法またはCVD法を用いてHfO膜(代表的にはHfO膜)を堆積すればよく、窒化処理を行う必要はない。
【0041】
また、半導体基板1(p型ウエル3およびn型ウエル4)の表面(シリコン面)上に直接的にHf含有絶縁膜5を形成することもできるが、ここでは、Hf含有絶縁膜5を形成する前に、半導体基板1(p型ウエル3およびn型ウエル4)の表面(シリコン面)上に、薄い酸化シリコン膜OX(図2参照)を界面層として形成しておき、この酸化シリコン膜OX上にHf含有絶縁膜5を形成している。この酸化シリコン膜OXを形成する理由は、ゲート絶縁膜と半導体基板の界面をSiO/Si構造にすることで、これまでのSiOゲート絶縁膜(酸化シリコンからなるゲート絶縁膜)と同等にゲート絶縁膜内のトラップなどの欠陥数を減らして、駆動能力や信頼性を向上させるためである。
【0042】
すなわち、Hf含有絶縁膜は膜内に空孔が形成されやすいため、半導体基板とゲート電極との間の絶縁膜としてHf含有絶縁膜のみが形成されている場合、Hf含有絶縁膜内の空孔内に形成されたゲート電極の一部などを介してゲート電極と半導体基板の間にリーク電流が発生しやすい問題がある。これに対し、Hf含有絶縁膜と半導体基板との間に酸化シリコン膜を形成することで、ゲート電極と半導体基板との間でのリーク電流の発生を防ぐことができ、半導体装置の信頼性を向上することができる。なお、リーク電流の発生を防ぐ観点から、図2に示す酸化シリコン膜OXは1000℃程度の熱酸化によって密度が高い状態で形成し、空孔の発生を防ぐことが好ましい。
【0043】
次に、図4に示すように、半導体基板1の主面上に、しきい値調整層(第1金属元素含有層)8aを形成する。しきい値調整層8aは、nMIS形成領域1BおよびpMIS形成領域1AにおいてHf含有絶縁膜5上に形成される。
【0044】
しきい値調整層8aは、pMIS形成領域1Aに形成するpチャネル型MISFET(後述のpチャネル型MISFETQpに対応)のしきい値の絶対値を低下させるために、そのpチャネル型MISFET(後述のpチャネル型MISFETQp)のHf系ゲート絶縁膜に導入すべき金属元素(第1金属元素)、すなわちAl(アルミニウム)を含有している。ただし、しきい値調整層8aは酸素をほとんど含んでいないことが好ましく、多くても酸素を30atomic%以下しか含まず、主にアルミニウムからなる膜であるものとする。すなわち、しきい値調整層8aは酸化アルミニウム(例えばAl)をほとんど含んでいない。しきい値調整層8aは、スパッタリング法などによって形成することができ、その膜厚(堆積膜厚)は、1nm程度とすることができる。
【0045】
その後、半導体基板1の主面上に、すなわちしきい値調整層8a上に、ハードマスクとして窒化金属膜7を形成する。窒化金属膜7は、半導体基板1の主面全面に形成されるため、nMIS形成領域1BおよびpMIS形成領域1Aのしきい値調整層8a上に形成される。窒化金属膜7は、アルミニウム膜からなるしきい値調整層8aが大気中の酸素などに触れることを防ぎ、しきい値調整層8aが酸化することを防ぐ働きを有するキャップ膜(酸化防止膜)である。窒化金属膜7は、好ましくは窒化チタン(TiN)膜、窒化ハフニウム(HfN)膜または窒化ジルコニウム(ZrN)膜であり、その中でも特に好ましいのは窒化チタン(TiN)膜である。窒化金属膜7は、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
【0046】
このとき、しきい値調整層8aおよび窒化金属膜7は、図5に示す装置を用いて形成する。図5はアルミニウム膜、窒化チタン膜およびランタン膜のそれぞれの成膜装置と、半導体ウエハ(半導体基板)を熱処理するアニール装置とが一体となった成膜・熱処理装置20を示す平面図である。成膜・熱処理装置20は、半導体基板(半導体ウエハ)を成膜・熱処理装置20内に搬送する自動搬送装置21と、自動搬送装置21によって成膜・熱処理装置20内に搬送された半導体ウエハを一時的に待機させる保管室22と、保管室22と一体になっている搬送室24とを有している。搬送室24には、半導体ウエハを内部に配置して半導体ウエハの主面に成膜するアルミニウム膜成膜装置25、窒化チタン膜成膜装置26およびランタン膜成膜装置27と、半導体ウエハを内部に配置して半導体ウエハを熱処理するアニール装置28とがそれぞれ接続されている。搬送室24内には、成膜・熱処理装置20内において半導体ウエハを搬送するためのロボットアーム23が配置されている。なお、ロボットアーム23は搬送室24内に設けられているが、図5では、図面をわかりやすくするために搬送室24の一部を透過させ、ロボットアーム23を図示している。
【0047】
図4を用いて説明した成膜工程では、まず図5に示す自動搬送装置21および保管室22を除く成膜・熱処理装置20内を真空排気し、成膜・熱処理装置20の内部を不活性ガス雰囲気(例えばN(窒素)雰囲気)とする。
【0048】
次に、図3に示す半導体基板(半導体ウエハ)1を図5に示す自動搬送装置21によって保管室22内に搬送した後、保管室22と自動搬送装置21との間を閉ざし、保管室22内に外気が流入しないように密閉する。続いて、保管室22内を真空排気した後、ロボットアーム23によって保管室22内の半導体ウエハをアルミニウム膜成膜装置25内に搬送する。
【0049】
次に、アルミニウム膜成膜装置25によって図4に示す半導体基板1の主面にしきい値調整層8aを形成した後、図5に示すロボットアーム23によってアルミニウム膜成膜装置25内の半導体ウエハを窒化チタン膜成膜装置26内に搬送する。
【0050】
次に、窒化チタン膜成膜装置26によって図4に示す半導体基板1の主面に窒化金属膜7を形成した後、図5に示すロボットアーム23によって窒化チタン膜成膜装置26内の半導体ウエハを保管室22内に搬送し、保管室22と搬送室24との間の隔壁を閉じる。その後、保管室22内の雰囲気を大気と同じ雰囲気とし、自動搬送装置21を用いて保管室22内の半導体ウエハを成膜・熱処理装置20内から取り出すことにより、図4を用いて説明したしきい値調整層8aおよび窒化金属膜7の成膜工程が完了する。
【0051】
この工程において、しきい値調整層8aが形成された半導体ウエハは、アルミニウム膜成膜装置25内から取り出された後、窒素雰囲気の搬送室24を通って窒化チタン膜成膜装置26内に搬送されるため、成膜・熱処理装置20の外の大気にさらされることなく連続してしきい値調整層8aおよび窒化金属膜7を形成することができる。アルミニウム膜成膜装置25および窒化チタン膜成膜装置26が搬送室24を介して一体になっておらず、独立した個々の装置である場合、アルミニウム膜成膜装置25内から窒化チタン膜成膜装置26内に搬送される過程で半導体ウエハは大気曝露し、窒化金属膜7が形成される前のしきい値調整層8aは大気中の酸素または水分などと反応して酸化する。しかし、ここではアルミニウム膜成膜装置25および窒化チタン膜成膜装置26を備えた成膜・熱処理装置20を用いるため、窒化金属膜7が形成される前のしきい値調整層8aが大気曝露することがなく、しきい値調整層8a内に大気から酸素が導入されることを防ぐことができる。
【0052】
なお、ここではランタン膜成膜装置27およびアニール装置28は用いていないため、成膜・熱処理装置20はランタン膜成膜装置27およびアニール装置28を有していなくても構わない。その場合、図7および図8を用いて後述するしきい値調整層8bの形成工程および半導体基板1の熱処理工程では、図5に示すようにランタン膜成膜装置27およびアニール装置28を有する成膜・熱処理装置20を用いる。
【0053】
また、成膜・熱処理装置20はアルミニウム膜成膜装置25、窒化チタン膜成膜装置26およびランタン膜成膜装置27を有しているが、それらの装置の代わりに、成膜する膜種によって別の材料からなる膜を成膜する装置を適宜配置しても構わない。例えば、後述するしきい値調整層8bをイットリウム(Y)により構成する場合、図5に示すランタン膜成膜装置27をイットリウム膜成膜装置としても良い。
【0054】
次に、図6に示すように、半導体基板1の主面上に、すなわち窒化金属膜7上に、フォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜を露光、現像することで、レジストパターンとしてフォトレジストパターン(レジストパターン)PR1を形成する。
【0055】
フォトレジストパターンPR1は、pMIS形成領域1Aの窒化金属膜7上には形成されるが、nMIS形成領域1Bには形成されない。このため、pMIS形成領域1Aの窒化金属膜7はフォトレジストパターンPR1で覆われているが、nMIS形成領域1Bの窒化金属膜7はフォトレジストパターンPR1で覆われずに露出した状態となる。
【0056】
次に、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして用いて、窒化金属膜7およびしきい値調整層8aをウェットエッチングする。このウェットエッチング工程によって、nMIS形成領域1Bの窒化金属膜7およびしきい値調整層8aはエッチングされて除去されるが、pMIS形成領域1Aの窒化金属膜7およびしきい値調整層8aはフォトレジストパターンPR1で覆われているので、エッチングされずに残存する。これにより、nMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜5は露出されるが、pMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜5およびしきい値調整層8aは、窒化金属膜7で覆われた状態(すなわち露出していない状態)が維持される。
【0057】
次に、図7に示すように、フォトレジストパターンPR1を除去した後、半導体基板1の主面上に、しきい値調整層(第1金属元素含有層)8bを形成する。図6を用いて説明したウェットエッチング工程でnMIS形成領域1Bの窒化金属膜7を除去しかつpMIS形成領域1Aの窒化金属膜7を残していたので、ここでは、しきい値調整層8bは、nMIS形成領域1BではHf含有絶縁膜5上に形成され、pMIS形成領域1Aでは窒化金属膜7上に形成される。このため、nMIS形成領域1Bではしきい値調整層8bとHf含有絶縁膜5とが接触しているが、pMIS形成領域1Aでは、しきい値調整層8bとHf含有絶縁膜5とは、間にしきい値調整層8aおよび窒化金属膜7が介在するため接触していない構造となる。
【0058】
しきい値調整層8bは、nMIS形成領域1Bに形成するnチャネル型MISFET(後述のnチャネル型MISFETQnに対応)のしきい値の絶対値を低下させるために、そのnチャネル型MISFET(後述のnチャネル型MISFETQn)のHf系ゲート絶縁膜に導入すべき金属元素(第1金属元素)、すなわち希土類元素(特に好ましくはLa)を含有している。
【0059】
従って、しきい値調整層8bは、希土類元素を含有し、特に好ましくはLa(ランタン)を含有している。しきい値調整層8bは、スパッタリング法などによって形成することができ、その膜厚(堆積膜厚)は、1nm程度とすることができる。ただし、しきい値調整層8bは酸素をほとんど含んでいないことが好ましく、多くても酸素を30atomic%以下しか含まず、主にランタン(La)からなる膜であるものとする。すなわち、しきい値調整層8bは酸化ランタン(例えばLa)をほとんど含んでいない。
【0060】
なお、本願において、希土類または希土類元素とは、ランタン(La)からルテチウム(Lu)までのランタノイドに、スカンジウム(Sc)およびイットリウム(Y)を加えたものを言うものとする。ただし、例えばイットリウムよりはランタンの方が誘電率が高く、高誘電率膜(high−k膜)の材料として適しているため、本実施の形態においてしきい値調整層8bを構成する元素は、好ましくはランタンであるものとする。
【0061】
以下では、しきい値調整層8bが含有する希土類元素をLnと表記するものとする。また、Hfを含有するゲート絶縁膜をHf系ゲート絶縁膜と称するものとする。また、上述したように、しきい値調整層8bは酸素をほとんど含んでいない。これはしきい値調整層8bの部材がLa以外の希土類元素であっても同様であり、しきい値調整層8bを構成する部材は酸化物をほとんど含んでいないものとする。
【0062】
また、しきい値調整層8bの形成工程では図5に示すような、ランタン膜成膜装置27およびアニール装置28を有する成膜・熱処理装置20を用いる。ここでは、図4の成膜工程において述べたように図6に示す半導体基板1(半導体ウエハ)を図5に示す保管室22に搬送した後、ロボットアーム23によって保管室22内の半導体ウエハをランタン膜成膜装置27内に搬送し、ランタン膜成膜装置27によって図7に示すしきい値調整層8bを形成する。このとき、成膜・熱処理装置20内は不活性ガス雰囲気(例えばN(窒素)雰囲気)であるものとする。
【0063】
次に、図8に示すように、半導体基板1に対して熱処理を施す。この熱処理工程は、熱処理温度を780〜850℃の範囲内とし、不活性ガス雰囲気(例えばN(窒素)雰囲気)中で行うことができる。この熱処理により、nMIS形成領域1BにおいてHf含有絶縁膜5およびしきい値調整層8bを反応させ、pMIS形成領域1AにおいてHf含有絶縁膜5およびしきい値調整層8aを反応させる。すなわち、この熱処理により、しきい値調整層8aを構成するアルミニウムおよびしきい値調整層8bを構成する希土類元素Ln(特に好ましくはLa)のそれぞれをpMIS形成領域1AおよびnMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜5に導入(拡散)する。
【0064】
この熱処理工程においては、nMIS形成領域1Bでは、しきい値調整層8bとHf含有絶縁膜5とが接触していたために両者が反応して、しきい値調整層8bの希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)がHf含有絶縁膜5に導入(拡散)される。一方、pMIS形成領域1Aでは、しきい値調整層8aとHf含有絶縁膜5とが接触していたために両者が反応して、しきい値調整層8aのAlがHf含有絶縁膜5に導入(拡散)される。
【0065】
この熱処理により、図8に示すように、nMIS形成領域1Bでは、しきい値調整層8bとHf含有絶縁膜5とが反応(混合、ミキシング)して「HfおよびLn含有絶縁膜5b」が形成される。すなわち、nMIS形成領域1Bでは、しきい値調整層8bの希土類元素(特に好ましくはLa)がHf含有絶縁膜5に導入されて、Hf含有絶縁膜5がHfおよびLn含有絶縁膜5bとなる。ここで、しきい値調整層8bが含有する希土類元素をLnと表記しており、例えば、しきい値調整層8bがランタン層の場合は、Ln=Laであり、しきい値調整層8bがイットリウム層の場合は、Ln=Yである。
【0066】
HfおよびLn含有絶縁膜5bは、Hf(ハフニウム)と希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)とを含有する絶縁材料からなり、HfおよびLn含有絶縁膜5bが含有する希土類元素Lnは、しきい値調整層8bが含有していた希土類元素Lnと同じである。従って、Hf含有絶縁膜5がHfSiON膜の場合には、HfおよびLn含有絶縁膜5bはHfLnSiON膜(Ln=Laの場合はHfLaSiON膜)である。Hf含有絶縁膜5がHfON膜の場合は、HfおよびLn含有絶縁膜5bは、HfLnON膜(Ln=Laの場合はHfLaON膜)である。Hf含有絶縁膜5がHfO膜(代表的にはHfO膜)の場合は、HfおよびLn含有絶縁膜5bは、HfLnO膜(Ln=Laの場合はHfLaO膜)である。
【0067】
なお、HfLnSiON膜は、ハフニウム(Hf)と希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)とケイ素(Si)と酸素(O)と窒素(N)とで構成された絶縁材料膜である。HfLnON膜は、ハフニウム(Hf)と希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)と酸素(O)と窒素(N)とで構成された絶縁材料膜である。HfLnO膜は、ハフニウム(Hf)と希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)と酸素(O)とで構成された絶縁材料膜である。
【0068】
ただし、しきい値調整層8bは、上述のように希土類酸化物層ではなく、主に希土類元素からなる層であるため、しきい値調整層8bからはHf含有絶縁膜5に酸素(O)はほとんど導入されない。
【0069】
一方、pMIS形成領域1Aでは、図8に示すように、しきい値調整層8aとHf含有絶縁膜5とが反応(混合、ミキシング)して「HfおよびAl含有絶縁膜5a」が形成される。すなわち、pMIS形成領域1Aでは、しきい値調整層8aのAl元素がHf含有絶縁膜5に導入されて、Hf含有絶縁膜5がHfおよびAl含有絶縁膜5aとなる。
【0070】
HfおよびAl含有絶縁膜5aは、Hf(ハフニウム)とAl(アルミニウム)とを含有する絶縁材料からなる。従って、Hf含有絶縁膜5がHfSiON膜の場合には、HfおよびAl含有絶縁膜5aはHfAlSiON膜である。Hf含有絶縁膜5がHfON膜の場合は、HfおよびAl含有絶縁膜5aは、HfAlON膜である。Hf含有絶縁膜5がHfO膜(代表的にはHfO膜)の場合は、HfおよびAl含有絶縁膜5aは、HfAlO膜である。
【0071】
このとき、pMIS形成領域1Aでは、窒化金属膜7上のしきい値調整層8b内から希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)が拡散することにより、窒化金属膜7の上面に希土類元素Lnが導入される。同様に、pMIS形成領域1Aでは、窒化金属膜7の下部のしきい値調整層8a内からAl(アルミニウム)が拡散することにより、窒化金属膜7の下面にAl(アルミニウム)が導入される。
【0072】
なお、HfAlSiON膜は、ハフニウム(Hf)とアルミニウム(Al)とケイ素(Si)と酸素(O)と窒素(N)とで構成された絶縁材料膜である。HfAlON膜は、ハフニウム(Hf)とアルミニウム(Al)と酸素(O)と窒素(N)とで構成された絶縁材料膜である。HfAlO膜は、ハフニウム(Hf)とアルミニウム(Al)と酸素(O)とで構成された絶縁材料膜である。
【0073】
ただし、しきい値調整層8aは、上述のように主に酸化アルミニウム層からなる層ではなく、主にAl元素からなる層であるため、しきい値調整層8aからはHf含有絶縁膜5に酸素(O)はほとんど導入されない。また、しきい値調整層8aおよび8bは酸素をほとんど含まないため、窒化金属膜7にはしきい値調整層8aおよび8bから酸素が導入されることはほとんどない。
【0074】
また、図2を用いて説明したように、Hf含有絶縁膜5(図3参照)を形成する前に、半導体基板1(p型ウエル3およびn型ウエル4)の表面(シリコン面)上に、薄い酸化シリコン膜OXを界面層として形成し、酸化シリコン膜OX上にHf含有絶縁膜5を形成した場合には、図8を用いて説明した熱処理時には、Hf含有絶縁膜5と下部の酸化シリコン膜OXとの反応を抑制して、界面層としての酸化シリコン膜OXを残存させることが好ましい。すなわち、nMIS形成領域1Bにおいて、HfおよびLn含有絶縁膜5bと半導体基板1(p型ウエル3)との間の界面層として酸化シリコン膜OXを残存させ、またpMIS形成領域1Aにおいて、HfおよびAl含有絶縁膜5aと半導体基板1(n型ウエル4)との間の界面層として酸化シリコン膜OXを残存させることが好ましい。これにより、駆動力や信頼性の劣化を抑制した良好なデバイスを作製することができる。
【0075】
なお、図8を用いて説明した熱処理工程では図5に示すような成膜・熱処理装置20内のアニール装置28を用いる。ここでは、図7に示すようにしきい値調整層8bを形成した半導体基板1(半導体ウエハ)を図5に示すランタン膜成膜装置27内からロボットアーム23によってアニール装置28内に搬送し、アニール装置28によって図8を用いて説明した熱処理を行う。このとき、半導体ウエハは不活性ガス雰囲気(例えばN(窒素)雰囲気)の搬送室24内を通ってランタン膜成膜装置27内からアニール装置28内に搬送されるため、ランタン膜成膜装置27内からアニール装置28内に搬送される間に大気にさらされることがない。したがって、図7において形成されたしきい値調整層8bは、大気曝露せずにアニール装置内に搬送されて熱処理されるため、大気中の酸素または水分などによって酸化することがない。
【0076】
なお、図7および図8で説明した工程ではアルミニウム膜および窒化金属膜を形成する工程は無いため、図7および図8で用いた成膜・熱処理装置20は、アルミニウム膜成膜装置25および窒化チタン膜成膜装置26を有していなくても構わない。
【0077】
次に、図9に示すように、図8を用いて説明した熱処理工程で反応しなかったしきい値調整層8b(未反応のしきい値調整層8b)を、ウェットエッチングによって除去する。
【0078】
このウェットエッチング工程によって、pMIS形成領域1Aでは、しきい値調整層8bが除去されて窒化金属膜7が露出し、nMIS形成領域1Bでは、図8を用いて説明した熱処理でHf含有絶縁膜5と反応しきれなかったしきい値調整層8bが除去されてHfおよびLn含有絶縁膜5bが露出される。しきい値調整層8bの形成時の膜厚によっては、図8を用いて説明した熱処理時に、nMIS形成領域1Bのしきい値調整層8bの全厚み分がHf含有絶縁膜5と反応する場合もあるが、この場合も、図9を用いて説明するしきい値調整層8bのウェットエッチング工程後には、pMIS形成領域1Aでは窒化金属膜7が露出し、nMIS形成領域1BではHfおよびLn含有絶縁膜5bが露出された状態となる。
【0079】
次に、図10に示すように、窒化金属膜7をウェットエッチングによって除去することにより、pMIS形成領域1Aに形成されていた窒化金属膜7が除去され、pMIS形成領域1Aのしきい値調整層8aが露出される。
【0080】
ここではnMIS形成領域1BのHfおよびLn含有絶縁膜5bが露出された状態で窒化金属膜7のウェットエッチング工程が行われるが、HfおよびLn含有絶縁膜5bはウェットエッチングに用いる薬液(例えばAPM液またはフッ酸など)に対する耐性が低いため、ウェットエッチングによりダメージを受ける可能性がある。
【0081】
窒化金属膜7は、酸素を含まない場合よりも酸素を含む場合の方がウェットエッチングによる除去が困難になるため、窒化金属膜7に酸素がより多く含まれているときは、より長い時間をかけてウェットエッチングにより窒化金属膜7を除去することになる。このように長い時間をかけてウェットエッチングを行えば、ウェットエッチングに用いる薬液に対して耐性が低いHfおよびLn含有絶縁膜5bは、より大きいダメージを受けることになる。
【0082】
これに対し、本実施の形態では図8に示すしきい値調整層8aおよびしきい値調整層8bを酸素をほとんど含まない層とすることにより、しきい値調整層8aおよびしきい値調整層8b内から窒化金属膜7内に酸素が導入されることを防いでいる。したがって、窒化金属膜7内には酸素がほとんど導入されていないため、ウェットエッチングにより短時間で容易に窒化金属膜7を除去することができ、このウェットエッチング工程においてHfおよびLn含有絶縁膜5bが受けるエッチングダメージを抑制または防止することができる。窒化金属膜7のウェットエッチング工程後には、図10に示すように、nMIS形成領域1BのHfおよびLn含有絶縁膜5bおよびpMIS形成領域1Aのしきい値調整層8aの両者が露出された状態となる。
【0083】
次に、図11に示すように、半導体基板1の主面上に、メタルゲート(金属ゲート電極)用の金属膜(金属層)9を形成する。このとき、nMIS形成領域1Bでは、HfおよびLn含有絶縁膜5b上に金属膜9が形成され、pMIS形成領域1Aでは、HfおよびAl含有絶縁膜5a上にしきい値調整層8aを介して金属膜9が形成される。金属膜9は、好ましくは窒化チタン(TiN)膜、窒化タンタル(TaN)膜または炭化タンタル(TaC)膜であり、最も好ましくは、窒化チタン(TiN)膜である。金属膜9は、例えばスパッタリング法などにより形成することができる。
【0084】
なお、本願において、金属膜(金属層)とは、金属伝導を示す導電膜(導電層)を言い、単体の金属膜や合金膜だけでなく、金属伝導を示す金属化合物膜(窒化金属膜や炭化金属膜など)も含むものとする。このため、金属膜9は、金属伝導を示す導電膜であり、好ましくは上述のように窒化チタン(TiN)膜、窒化タンタル(TaN)膜または炭化タンタル(TaC)膜である。
【0085】
次に、半導体基板1の主面上に、すなわち金属膜9上に、シリコン膜10を形成する。シリコン膜10は、多結晶シリコン膜または非晶質シリコン膜とすることができるが、成膜時には非晶質シリコン膜であった場合でも、成膜後の熱処理(例えばソース・ドレイン用に導入した不純物の活性化アニール)で多結晶シリコン膜となる。
【0086】
ここで形成する金属膜9の厚みを厚くすることでシリコン膜10の形成工程を省略する(すなわちゲート電極をシリコン膜10無しの金属膜9で形成する)ことも可能であるが、金属膜9上にシリコン膜10を形成する(すなわちゲート電極を金属膜9とその上のシリコン膜10との積層膜で形成する)方が、より好ましい。その理由は、金属膜9の厚みが厚すぎると、金属膜9が剥離しやすくなる問題や、あるいは金属膜9をパターニングする際のオーバーエッチングによる基板ダメージの問題が生じる可能性があるが、金属膜9とシリコン膜10との積層膜でゲート電極を形成することで、金属膜9のみでゲート電極を形成する場合に比べて金属膜9の厚みを薄くすることができ、上記問題を改善できるからである。また、金属膜9上にシリコン膜10を形成した場合、これまでのポリシリコンゲート電極(ポリシリコンからなるゲート電極)の加工方法やプロセスを踏襲できるため、微細加工性、製造コストおよび歩留まりの点でも優位である。
【0087】
次に、図12に示すように、シリコン膜10および金属膜9の積層膜を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてパターニングすることで、金属膜9および金属膜9上のシリコン膜10からなるゲート電極GE1、GE2を形成する。
【0088】
ゲート電極GE1は、nMIS形成領域1Bにおいて、HfおよびLn含有絶縁膜5b上に形成され、ゲート電極GE2は、pMIS形成領域1Aにおいて、HfおよびAl含有絶縁膜5a上に形成される。すなわち、金属膜9および金属膜9上のシリコン膜10からなるゲート電極GE1が、nMIS形成領域1Bのp型ウエル3の表面上に、ゲート絶縁膜としてのHfおよびLn含有絶縁膜5bを介して形成され、金属膜9および金属膜9上のシリコン膜10からなるゲート電極GE2が、pMIS形成領域1Aのn型ウエル4の表面上に、ゲート絶縁膜としてのHfおよびAl含有絶縁膜5aとしきい値調整層8aとを介して形成される。HfおよびAl含有絶縁膜5aとHfおよびLn含有絶縁膜5bとは、いずれも酸化シリコン膜よりも誘電率が高い。
【0089】
なお、シリコン膜10および金属膜9をパターニングした際に、ゲート電極GE1の下部に位置するHfおよびLn含有絶縁膜5bとゲート電極GE2の下部に位置するHfおよびAl含有絶縁膜5aとは除去されずに残存する。一方、ゲート電極GE1で覆われない部分のHfおよびLn含有絶縁膜5bとゲート電極GE2で覆われない部分のHfおよびAl含有絶縁膜5aとは、シリコン膜10および金属膜9をパターニングした際のエッチングまたはその後のエッチングによって除去される。
【0090】
次に、図13に示すように、nMIS形成領域1Bにおけるp型ウエル3のゲート電極GE1の両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n型半導体領域(エクステンション領域、LDD(Lightly doped Drain)領域)11bを形成する。このn型半導体領域11b形成用のイオン注入時には、pMIS形成領域1Aはイオン注入阻止マスクとしてのフォトレジスト膜(図示せず)で覆っておき、nMIS形成領域1Bの半導体基板1(p型ウエル3)にゲート電極GE1をマスクとしてイオン注入する。また、pMIS形成領域1Aにおけるn型ウエル4のゲート電極GE2の両側の領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、p型半導体領域(エクステンション領域、LDD領域)11aを形成する。このp型半導体領域11a形成用のイオン注入時には、nMIS形成領域1Bはイオン注入阻止マスクとしての他のフォトレジスト膜(図示せず)で覆っておき、pMIS形成領域1Aの半導体基板1(n型ウエル4)にゲート電極GE2をマスクとしてイオン注入する。n型半導体領域11bを先に形成しても、あるいはp型半導体領域11aを先に形成してもよい。
【0091】
次に、図14に示すように、ゲート電極GE1、GE2の側壁上に、絶縁体からなるサイドウォール(側壁スペーサ、側壁絶縁膜)13を形成する。例えば、半導体基板1上にゲート電極GE1、GE2を覆うように窒化シリコン膜を形成した後、この窒化シリコン膜を異方性エッチング(エッチバック)することにより、ゲート電極GE1、GE2のそれぞれの側壁に窒化シリコン膜13aを自己整合的に残す。続いて、半導体基板1上にゲート電極GE1、GE2を覆うように酸化シリコン膜13bと窒化シリコン膜13cとを下から順に形成してから、この酸化シリコン膜13bと窒化シリコン膜13cとの積層膜を異方性エッチング(エッチバック)することによって、ゲート電極GE1、GE2の側壁上に残存する窒化シリコン膜13a、酸化シリコン膜13bおよび窒化シリコン膜13cからなるサイドウォール13を形成することができる。
【0092】
次に、図15に示すように、nMIS形成領域1Bにおけるp型ウエル3のゲート電極GE1およびサイドウォール13の両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n型半導体領域12b(ソース、ドレイン)を形成する。n型半導体領域12bは、n型半導体領域11bよりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深い。このn型半導体領域12b形成用のイオン注入時には、pMIS形成領域1Aはイオン注入阻止マスクとしてのフォトレジスト膜(図示せず)で覆っておき、nMIS形成領域1Bの半導体基板1(p型ウエル3)に、ゲート電極GE1およびその側壁上のサイドウォール13をマスクとしてイオン注入する。このため、n型半導体領域11bは、ゲート電極GE1に整合して形成され、n型半導体領域12bはサイドウォール13に整合して形成される。また、pMIS形成領域1Aにおけるn型ウエル4のゲート電極GE2およびサイドウォール13の両側の領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、p型半導体領域12a(ソース、ドレイン)を形成する。p型半導体領域12aは、p型半導体領域11aよりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深い。このp型半導体領域12a形成用のイオン注入時には、nMIS形成領域1Bはイオン注入阻止マスクとしての他のフォトレジスト膜(図示せず)で覆っておき、pMIS形成領域1Aの半導体基板1(n型ウエル4)に、ゲート電極GE2およびその側壁上のサイドウォール13をマスクとしてイオン注入する。このため、p型半導体領域11aは、ゲート電極GE2に整合して形成され、p型半導体領域12aはサイドウォール13に整合して形成される。n型半導体領域12bを先に形成しても、あるいはp型半導体領域12aを先に形成してもよい。
【0093】
nMIS形成領域1Bのゲート電極GE1を構成するシリコン膜10は、n型半導体領域11b形成用のイオン注入工程やn型半導体領域12b形成用のイオン注入工程でn型の不純物が導入されて、n型のシリコン膜となる。また、pMIS形成領域1Aのゲート電極GE2を構成するシリコン膜10は、p型半導体領域11a形成用のイオン注入やp型半導体領域12a形成用のイオン注入工程でp型の不純物が導入されて、p型のシリコン膜となる。
【0094】
イオン注入後、導入した不純物の活性化のために、1000℃程度のアニール処理(活性化アニール、熱処理)を行う。これにより、n型半導体領域11b、p型半導体領域11a、n型半導体領域12bおよびp型半導体領域12aなどに導入された不純物を活性化することができる。
【0095】
なお、半導体基板1の主面に酸化シリコン膜OXが形成されていない場合、このソース・ドレインの活性化のためのアニール処理により、半導体基板1とHfおよびAl含有絶縁膜5aならびにHfおよびLn含有絶縁膜5bとの間に酸化シリコン膜からなる絶縁膜が形成される。この絶縁膜は酸化シリコン膜OXのように膜厚を精度良く調整して形成することができない。したがって、半導体基板1の主面に酸化シリコン膜OXが形成されていない場合、この絶縁膜を含むゲート絶縁膜の酸化膜換算膜厚の増加を制御することは困難となるため、MISFETのしきい値電圧にばらつきが生じる原因となる。
【0096】
また、この絶縁膜は酸化シリコン膜OXのように密度を高く形成することが困難であり、絶縁膜内には酸化シリコン膜よりも多くの欠陥が生じる。このため、酸化シリコン膜OXが形成されておらず、この絶縁膜が形成されている場合、ゲート電極と半導体基板との間でリーク電流が発生することを防ぐ効果が、酸化シリコン膜OXが形成されている場合よりも小さい。
【0097】
なお、ここで言う酸化膜換算膜厚とは、high−k膜であるHfおよびAl含有絶縁膜5aまたはHfおよびLn含有絶縁膜5bを含むゲート絶縁膜の電気的換算膜厚であり、ある厚さのhigh−k膜を含むゲート絶縁膜が示す容量に対して、それと同じ容量値を示す酸化シリコン膜の膜厚を指す。例えば、物理膜厚が2nmのhigh−k膜(比誘電率:20)は、酸化シリコン膜に対する酸化膜換算膜厚は0.4nmとなる。HfおよびAl含有絶縁膜5aまたはHfおよびLn含有絶縁膜5bを含むゲート絶縁膜と半導体基板1との間に酸化シリコン膜が形成されている場合、この酸化シリコン膜もゲート絶縁膜を構成する絶縁膜であるので、酸化膜換算膜厚はこの酸化シリコン膜の誘電率も計算に入れて算出される。酸化シリコン膜はHfおよびAl含有絶縁膜5aおよびHfおよびLn含有絶縁膜5bのようなhigh−k膜よりも誘電率が低い膜であるので、ゲート絶縁膜の一部として酸化シリコン膜が形成されている場合は、ゲート絶縁膜がhigh−k膜のみからなる場合に比べて酸化膜換算膜厚の値が高くなる。
【0098】
ゲート絶縁膜の酸化膜換算膜厚が大きくなると、そのゲート絶縁膜を有するMISFETのしきい値電圧が高くなり、半導体装置の微細化および消費電力の低減の妨げとなる。
【0099】
なお、酸化シリコン膜OXはhigh−k膜内から半導体基板の主面に酸素が拡散することを防ぐ役割を有するため、酸化シリコン膜OXが形成されていない場合は、酸化シリコン膜OXが形成されている場合に比べてhigh−k膜内から半導体基板の主面に拡散する酸素の量が多くなり、high−k膜と半導体基板との間に形成される酸化シリコン膜からなる絶縁膜の膜厚は大きくなる。酸化シリコン膜OXは膜厚を制御して前記絶縁膜よりも薄く形成することが可能な膜であるため、酸化シリコン膜OXが形成されていない場合は、酸化シリコン膜OXが形成されている場合に比べてゲート絶縁膜を構成する酸化シリコン膜の膜厚が大きくなる。このため、しきい値調整膜が酸素を含み、酸化シリコン膜OXが形成されていない場合、酸化膜換算膜厚が増大する。
【0100】
これに対し、本実施の形態では、図2を用いて説明した工程において半導体基板1の主面に酸化シリコン膜OXを形成しているため、図15を用いて説明したソース・ドレインの活性化のためのアニール処理において、半導体基板1の上面に酸化シリコン膜からなる絶縁膜が形成されることを防ぐことができる。したがって、本実施の形態では、酸化シリコン膜OXを形成することにより前記絶縁膜の形成を抑制し、MISFETのしきい値電圧がばらつくことを防ぐことができるため、半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0101】
また、本実施の形態では、酸化シリコン膜OXを形成することにより前記絶縁膜の形成を抑制することができるため、前記絶縁膜が形成され、ゲート絶縁膜を構成する酸化シリコン膜が厚くなることでnチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETのしきい値電圧が高くなってしまうことを防ぎ、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0102】
また、本実施の形態では、MISFETのゲート電極GE1、GE2と半導体基板1との間でのリーク電流の発生を防ぐ効果が前記絶縁膜よりも高い酸化シリコン膜OXを設けることにより、半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0103】
このようにして、図15に示すような構造が得られ、nMIS形成領域1Bに、電界効果トランジスタとしてnチャネル型MISFETQnが形成され、また、pMIS形成領域1Aに、電界効果トランジスタとしてpチャネル型MISFETQpが形成される。
【0104】
ゲート電極GE1がnチャネル型MISFETQnのゲート電極として機能し、ゲート電極GE1の下のHfおよびLn含有絶縁膜5bと酸化シリコン膜OXとが、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜として機能する。そして、nチャネル型MISFETQnのソースまたはドレインとして機能するn型の半導体領域(不純物拡散層)が、n型半導体領域12bおよびn型半導体領域11bにより形成される。また、ゲート電極GE2がpチャネル型MISFETQpのゲート電極として機能し、ゲート電極GE2の下のHfおよびAl含有絶縁膜5aと酸化シリコン膜OXとが、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜として機能する。そして、pチャネル型MISFETQpのソースまたはドレインとして機能するp型の半導体領域(不純物拡散層)が、p型半導体領域12aおよびp型半導体領域11aにより形成される。nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのソース・ドレイン領域は、LDD構造を有している。n型半導体領域12bは、nチャネル型MISFETQnのソースまたはドレイン用の半導体領域とみなすことができ、p型半導体領域12aは、pチャネル型MISFETQpのソースまたはドレイン用の半導体領域とみなすことができる。
【0105】
また、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜であるHfおよびLn含有絶縁膜5bは、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜であるHfおよびAl含有絶縁膜5aよりも、希土類元素Lnの含有率が高い。これは、図8を用いて説明した熱処理工程において、nMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜(HfおよびLn含有絶縁膜5bとなる部分)には希土類元素Lnが導入されるが、pMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜には希土類元素Lnが導入されなかったためである。これにより、nMIS形成領域1BのHfおよびLn含有絶縁膜5b(すなわちnチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜)における希土類元素Lnの含有率が、pMIS形成領域1AのHfおよびAl含有絶縁膜5a(すなわちpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜)における希土類元素Lnの含有率よりも高くなる。つまり、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜であるHfおよびAl含有絶縁膜5aが希土類元素を含有していない状態とすることができる。
【0106】
同様に、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜であるHfおよびAl含有絶縁膜5aは、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜であるHfおよびLn含有絶縁膜5bよりも、Al(アルミニウム)の含有率が高い。これは、図8を用いて説明した熱処理工程において、pMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜にはAl(アルミニウム)が導入されるが、nMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜(HfおよびLn含有絶縁膜5bとなる部分)にはAl(アルミニウム)が導入されなかったためである。これにより、pMIS形成領域1AのHfおよびAl含有絶縁膜5a(すなわちpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜)におけるAl(アルミニウム)の含有率が、nMIS形成領域1BのHfおよびLn含有絶縁膜5b(すなわちnチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜)におけるAl(アルミニウム)の含有率よりも高くなる。つまり、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜であるHfおよびLn含有絶縁膜5bがAl(アルミニウム)を含有していない状態とすることができる。
【0107】
また、図15を用いて説明したソース・ドレイン領域の活性化のための熱処理工程では、HfおよびAl含有絶縁膜5aと金属膜9との間のしきい値調整層8a内から金属膜9内にアルミニウムが拡散し、金属膜9はTiAlNを含む金属膜となる。金属膜9がAlを含んでいる場合、pチャネル型MISFETQpの仕事関数が高くなる。pチャネル型MISFETQpでは、仕事関数が高くなるとしきい値電圧が低くなるため、上述したように、金属膜9内にアルミニウムを導入することにより、pチャネル型MISFETQpの仕事関数を高め、しきい値電圧を下げることで半導体装置の性能を向上させることができる。
【0108】
なお、アルミニウムのみからなるしきい値調整層8aが残っておらず、金属膜9とHfおよびAl含有絶縁膜5aとが直接接している場合でも、金属膜9とHfおよびAl含有絶縁膜5a内のアルミニウムが金属膜9内に拡散するため、同様にpチャネル型MISFETQpのしきい値電圧を低減することができる。
【0109】
次に、図16に示すように、周知のサリサイド技術により、n型半導体領域12b、p型半導体領域12a、ゲート電極GE1およびGE2のそれぞれの上面にシリサイド層14を形成する。このとき形成するシリサイド層14の部材は、NiSi(ニッケルシリサイド)またはCoSi(コバルトシリサイド)などとすることができる。
【0110】
続いて、半導体基板1の主面上に、ゲート電極GE1、GE2を覆うように、絶縁膜(層間絶縁膜)31を形成する。絶縁膜31は、例えば、酸化シリコン膜の単体膜や、あるいは薄い窒化シリコン膜とその上の厚い酸化シリコン膜との積層膜などからなる。絶縁膜31の形成後、絶縁膜31の表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を使用して平坦化する。
【0111】
次に、絶縁膜31上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜31をドライエッチングすることにより、絶縁膜31にコンタクトホール(貫通孔、孔)32を形成する。コンタクトホール32は、n型半導体領域12b、p型半導体領域12a、ゲート電極GE1およびGE2のそれぞれの上部のシリサイド層14に達する孔である。
【0112】
次に、コンタクトホール32内に、タングステン(W)などからなる導電性のプラグ(接続用導体部)33を形成する。プラグ33を形成するには、例えば、コンタクトホール32の内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜31上に、バリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、このバリア導体膜上にタングステン膜などからなる主導体膜をコンタクトホール32を埋めるように形成し、絶縁膜31上の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、プラグ33を形成することができる。なお、図面の簡略化のために、図16では、プラグ33を構成するバリア導体膜および主導体膜(タングステン膜)を一体化して示してある。
【0113】
次に、図17に示すように、プラグ33が埋め込まれた絶縁膜31上に、ストッパ絶縁膜(エッチングストッパ用絶縁膜)34および配線形成用の絶縁膜(層間絶縁膜)35を順次形成する。ストッパ絶縁膜34は、絶縁膜35への溝加工の際にエッチングストッパとなる膜であり、絶縁膜35に対してエッチング選択性を有する材料を用い、例えば、ストッパ絶縁膜34を窒化シリコン膜とし、絶縁膜35を酸化シリコン膜とすることができる。
【0114】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線を形成する。まず、レジストパターン(図示せず)をマスクとしたドライエッチングによって絶縁膜35およびストッパ絶縁膜34の所定の領域に配線溝36を形成した後、半導体基板1の主面上(すなわち配線溝36の底部および側壁上を含む絶縁膜35上)にバリア導体膜(例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜など)を形成する。続いて、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜を形成し、銅めっき膜により配線溝36の内部を埋め込む。それから、配線溝36以外の領域の銅めっき膜、シード層およびバリアメタル膜をCMP法により除去して、銅を主導電材料とする第1層目の配線M1を形成する。なお、図面の簡略化のために、図17では、配線M1を構成する銅めっき膜、シード層およびバリア導体膜を一体化して示してある。
【0115】
配線M1は、プラグ33を介してnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのソースまたはドレイン用のn型半導体領域12bおよびp型半導体領域12aなどと電気的に接続されている。その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成することで本実施の形態の半導体装置が完成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。また、配線M1はダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン配線またはアルミニウム配線などとすることもできる。
【0116】
上述した半導体装置の製造工程では、図17に示すように、pチャネル型MISFETQpのゲート構造内において、HfおよびAl含有絶縁膜5a上にAl(アルミニウム)からなるしきい値調整層8aを除去せずに残す場合について説明した。
【0117】
これに対し、pチャネル型MISFETQpのゲート構造内において、窒化金属膜7とHfおよびAl含有絶縁膜5aとの間に、アルミニウム膜であるしきい値調整層8aを残さずに本実施の形態の半導体装置を形成する方法も考えられる。この場合、しきい値調整層8aは、図8を用いて説明した熱処理工程によって膜厚分の全てのAl原子がpMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜5(図7参照)内に導入されてHfおよびAl含有絶縁膜5aが形成され、または、図10を用いて説明した窒化金属膜7のウェットエッチング工程により、窒化金属膜7と共に除去されることが考えられる。
【0118】
すなわち、しきい値調整層8aがHfおよびAl含有絶縁膜5aに導入されるか、またはウェットエッチング工程により窒化金属膜7と共に除去された場合、図10を用いて説明したウェットエッチングの工程の後は、図18に示すようにHfおよびAl含有絶縁膜5a上にはしきい値調整層8aが形成されておらず、HfおよびLn含有絶縁膜5b上にはしきい値調整層8bが形成されていない構造となる。この後の工程を図11〜図17に示す工程と同様に行うことで、図19に示すように、しきい値調整層8aを含まないゲート構造を有するpチャネル型MISFETQpと、nチャネル型MISFETQnとが形成された半導体装置が完成する。
【0119】
上述したように、pチャネル型MISFETQpは仕事関数を大きくすることでしきい値電圧を低減することができる。pチャネル型MISFETQpでは、アルミニウム膜からなるしきい値調整層8aが存在することにより仕事関数が大きくなるため、しきい値電圧を低減することができるが、しきい値調整層8a内のAlが十分にHfおよびAl含有絶縁膜5aに導入されていれば、図18および図19に示すように、HfおよびAl含有絶縁膜5a上のしきい値調整層8aは残らなくても構わない。
【0120】
次に、本実施の形態の特徴について、より詳細に説明する。
【0121】
本実施の形態では、図17に示すnチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのゲート電極GE1、GE2は、ゲート絶縁膜(ここではHfおよびAl含有絶縁膜5aとHfおよびLn含有絶縁膜5b)上に位置する金属膜9を有しており、いわゆるメタルゲート電極である。このため、ゲート電極の空乏化現象を抑制し、寄生容量をなくすことができるため、MISFET素子の小型化(ゲート絶縁膜の薄膜化)も可能になる。
【0122】
また、本実施の形態では、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜として、酸化シリコンよりも誘電率が高いHfおよびLn含有絶縁膜5bを用い、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜として、酸化シリコンよりも誘電率が高いHfおよびAl含有絶縁膜5aを用いている。すなわち、酸化シリコンより誘電率の高い材料膜、いわゆるhigh−k膜(高誘電率膜)であるHfおよびLn含有絶縁膜5bとHfおよびAl含有絶縁膜5aとを、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜に用いている。このため、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜に酸化シリコン膜を用いた場合に比べて、HfおよびLn含有絶縁膜5bおよびHfおよびAl含有絶縁膜5aの物理的膜厚を増加させることができるため、リーク電流を低減することができる。
【0123】
また、本実施の形態では、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜にHfおよびAl含有絶縁膜5aを用い、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜にHfおよびLn含有絶縁膜5bを用いることにより、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETのしきい値(しきい値電圧)の絶対値を低くすることを可能としている。すなわち、本実施の形態と異なり、Hf含有絶縁膜5(図6参照)のようにランタンなどの希土類元素が含まれていない絶縁膜をゲート絶縁膜として使用した場合に比べて、本実施の形態のようにnチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜にHfおよびLn含有絶縁膜5bを用いた場合には、nチャネル型MISFETQnを低しきい値化することができる。また、本実施の形態と異なり、Hf含有絶縁膜5(図6参照)のようにアルミニウムが含まれていない絶縁膜をゲート絶縁膜として使用した場合に比べて、本実施の形態のようにpチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜にHfおよびAl含有絶縁膜5aを用いた場合には、pチャネル型MISFETQpを低しきい値化することができる。
【0124】
HfおよびLn含有絶縁膜5bに希土類元素(特にランタン)を含有させたことによるnチャネル型MISFETQnのしきい値の低下の程度は、図7を用いて説明したしきい値調整層8bの形成厚みまたは図8を用いて説明した熱処理の温度などによって制御することができる。HfおよびLn含有絶縁膜5bにおける希土類元素(特にランタン)の含有率が多いほど、nチャネル型MISFETQnのしきい値をより低下させることができるため、しきい値調整層8bの形成厚みまたは図8を用いて説明した熱処理の温度を高くしてHfおよびLn含有絶縁膜5bにおける希土類元素(特にランタン)の含有率を高めれば、nチャネル型MISFETQnのしきい値をより低下させることができる。このため、nチャネル型MISFETQnの所望のしきい値に応じて、しきい値調整層8bの形成厚みまたは図8を用いて説明した熱処理の温度を設定することができる。
【0125】
同様に、HfおよびAl含有絶縁膜5aにアルミニウムを含有させたことによるpチャネル型MISFETQpのしきい値の低下の程度は、図4を用いて説明したしきい値調整層8aの形成厚みまたは図8を用いて説明した熱処理の温度などによって制御することができる。HfおよびAl含有絶縁膜5aにおけるアルミニウムの含有率が多いほど、pチャネル型MISFETQpのしきい値をより低下させることができるため、しきい値調整層8aの形成厚みまたは図8を用いて説明した熱処理の温度を高くしてHfおよびAl含有絶縁膜5aにおけるアルミニウムの含有率を高めれば、pチャネル型MISFETQpのしきい値をより低下させることができる。このため、pチャネル型MISFETQpの所望のしきい値に応じて、しきい値調整層8aの形成厚みまたは図8を用いて説明した熱処理の温度を設定することができる。
【0126】
また、本実施の形態では、しきい値調整層8aおよびしきい値調整層8bを酸素をほとんど含まない部材からなる膜としたことが、主要な特徴の一つとなっている。これについて、図20〜図29の比較例の半導体装置の製造工程と図1〜図17の本実施の形態の製造工程を対比させながら説明する。
【0127】
図20〜図29は、比較例の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、図20〜図29の比較例の半導体装置の製造工程は、本実施の形態とは異なり、nMIS形成領域において酸化ランタンを含むしきい値調整層を形成し、pMIS形成領域において酸化アルミニウムを含むしきい値調整層を形成した場合に対応している。以下では、図20〜図29の比較例の半導体装置の製造工程について説明する。
【0128】
比較例の半導体装置の製造工程では、本実施の形態の図1および図3と同様の工程を行って、上記図3と同様の構造を得た後、本実施の形態の図4を用いて説明したように酸素をほとんど含まないアルミニウム膜からなるしきい値調整層8aを形成せずに、代わりに、図20に示すように、半導体基板1の主面上に、すなわちHf含有絶縁膜5上に酸化アルミニウム膜からなるしきい値調整層81aを形成する。ただし、比較例では、図2を用いて説明した酸化シリコン膜OXを形成しないものとし、半導体基板1上に直接Hf含有絶縁膜5を形成する。
【0129】
なお、比較例では、図5に示したようなアルミニウム膜成膜装置25と窒化チタン膜成膜装置26とが一体となった成膜・熱処理装置20を用いず、図20に示す工程では、酸化アルミニウム膜成膜装置によってしきい値調整層81aを形成した後、半導体基板1(半導体ウエハ)を酸化アルミニウム膜成膜装置から取出して窒化チタン膜成膜装置内に搬送する。酸化アルミニウム膜成膜装置から取出した際に半導体ウエハは大気にさらされるため、しきい値調整層81aが酸化物ではなく、例えばアルミニウム膜によって構成されていても、大気曝露することによってしきい値調整層81aは酸化される。
【0130】
その後、半導体基板1の主面上に、すなわちしきい値調整層81a上に、窒化金属膜7を形成する。窒化金属膜7は、例えばTiN(窒化チタン)からなる導電膜である。
【0131】
次に、図6に示した工程と同様に、半導体基板1の主面上に、すなわち窒化金属膜7上に、フォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜を露光、現像することで、pMIS形成領域1Aの窒化金属膜7上にレジストパターンとしてフォトレジストパターン(レジストパターン)PR101を形成する。その後、フォトレジストパターンPR101をエッチングマスクとして用いて、窒化金属膜7およびしきい値調整層81aをウェットエッチングすることにより、図21に示す構造を得る。このウェットエッチング工程によって、nMIS形成領域1Bの窒化金属膜7およびしきい値調整層81aはエッチングされて除去されるが、pMIS形成領域1Aの窒化金属膜7およびしきい値調整層81aはフォトレジストパターンPR101で覆われているので、エッチングされずに残存する。
【0132】
次に、図7に示した工程と同様に、フォトレジストパターンPR101を除去した後、半導体基板1の主面上に、しきい値調整層81bを形成することで、図22の構造を得る。ここでは、しきい値調整層81bは、nMIS形成領域1BではHf含有絶縁膜5上に形成され、pMIS形成領域1Aでは窒化金属膜7上に形成される。しきい値調整層81bは希土類元素Ln(特に好ましくはLa)を含む酸化膜であるが、ここでは酸化ランタン膜により構成されているものとして説明する。
【0133】
次に、図8に示した工程と同様に、半導体基板1に対して熱処理を施す。この熱処理工程は、熱処理温度を780〜850℃の範囲内とする。これにより、nMIS形成領域1BにおいてHf含有絶縁膜5およびしきい値調整層81bを反応させ、pMIS形成領域1AにおいてHf含有絶縁膜5およびしきい値調整層81aを反応させる。すなわち、この熱処理により、しきい値調整層81aを構成するアルミニウムおよびしきい値調整層81bを構成するランタンのそれぞれをpMIS形成領域1AおよびnMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜5に導入(拡散)する。
【0134】
ただし、比較例ではpMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜5上のしきい値調整層81aは酸化アルミニウム膜からなり、nMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜5上のしきい値調整層81bは酸化ランタン膜からなるため、この熱処理工程では、nMIS形成領域1BおよびpMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜5には、ランタンまたはアルミニウムだけでなく、しきい値調整層81aおよび81bから酸素が導入される。これにより、図22に示すpMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜5はアルミニウムおよび酸素が導入され、アルミニウムおよび酸素を含むHf含有絶縁膜51aとなり、図22に示すnMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜5はランタンおよび酸素が導入され、ランタンおよび酸素を含むHf含有絶縁膜51bとなり、図23に示す構造を得る。
【0135】
なお、比較例では、図5に示したようなランタン膜成膜装置27とアニール装置28とが一体となった成膜・熱処理装置20を用いず、図22に示す工程では、酸化ランタン膜成膜装置によってしきい値調整層81bを形成した後、半導体基板1(半導体ウエハ)を酸化ランタン膜成膜装置から取出して図23に示す工程で用いるアニール装置内に搬送する。酸化ランタン膜成膜装置から取出した際に半導体ウエハは大気にさらされるため、しきい値調整層81bが酸化物ではなく、例えばランタン膜によって構成されていても、大気曝露することによってしきい値調整層81bは酸化される。
【0136】
なお、酸化物ではないランタン膜は酸化ランタン膜に比べて吸湿性が高く、例えば大気にさらされた場合、大気中の水分を吸着して変質する性質を有している。このようにしてランタン膜が変質した場合、ランタン膜の下部に形成されるHf系ゲート絶縁膜の表面に欠陥が生じ、半導体装置の信頼性が低下する可能性がある。このため、この比較例ではしきい値調整層81bの部材として、酸化ランタン膜を用いている。
【0137】
次に、図9に示した工程と同様に、図23を用いて説明した熱処理工程で反応しなかったしきい値調整層81b(未反応のしきい値調整層81b)を、ウェットエッチングによって除去し、Hf含有絶縁膜51bおよび窒化金属膜7が露出されることにより、図24に示す構造を得る。
【0138】
次に、図10に示した工程と同様に、窒化金属膜7をウェットエッチングによって除去することにより、pMIS形成領域1Aに形成されていた窒化金属膜7が除去され、図25に示すように、pMIS形成領域1Aのしきい値調整層81aが露出される。
【0139】
ここではnMIS形成領域1BにおいてHf含有絶縁膜51bが露出された状態で窒化金属膜7のウェットエッチング工程が行われるが、Hf含有絶縁膜51bはウェットエッチングに用いる薬液(例えばAPM液またはフッ酸など)に対する耐性が低いため、ウェットエッチングによりダメージを受ける可能性がある。
【0140】
窒化金属膜7は、本実施の形態のように酸素をほとんど含まない場合よりも、比較例のように酸素を含む場合の方がウェットエッチングによる除去が困難になるため、比較例のように窒化金属膜7に酸素が多く含まれているときは、本実施の形態に比べて長い時間をかけてウェットエッチングを行って窒化金属膜7を除去することになる。このように長い時間をかけてウェットエッチングを行えば、ウェットエッチングに用いる薬液に対して耐性が低いHf含有絶縁膜51bは、より大きいダメージを受けることになる。
【0141】
これに対し、本実施の形態では図8に示すしきい値調整層8aを酸素をほとんど含まない層とすることにより、しきい値調整層8a内から窒化金属膜7内に酸素が導入されることを防いでいる。したがって、窒化金属膜7内には酸素が導入されていないため、ウェットエッチングにより短時間で容易に窒化金属膜7を除去することができ、このウェットエッチング工程においてHfおよびLn含有絶縁膜5bが受けるエッチングダメージを抑制または防止することができる。
【0142】
次に、図26に示すように、半導体基板1の主面上に、メタルゲート用の金属膜9と、シリコン膜10とを順に形成してから、このシリコン膜10および金属膜9の積層膜をフォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてパターニングすることで、ゲート電極GE1、GE2を形成する。
【0143】
次に、図13に示した工程と同様に、nMIS形成領域1Bにおけるp型ウエル3のゲート電極GE1の両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n型半導体領域11bを形成する。また、pMIS形成領域1Aにおけるn型ウエル4のゲート電極GE2の両側の領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、p型半導体領域11aを形成する。これにより、図27に示す構造を得る。
【0144】
次に、図28に示すように、ゲート電極GE1、GE2の側壁上に、絶縁体からなるサイドウォール(側壁スペーサ、側壁絶縁膜)13dを形成する。例えば、半導体基板1上にゲート電極GE1、GE2を覆うように酸化シリコン膜13bと窒化シリコン膜13cとを下から順に形成してから、この酸化シリコン膜13bと窒化シリコン膜13cとの積層膜を異方性エッチング(エッチバック)することによって、ゲート電極GE1、GE2の側壁上に残存する酸化シリコン膜13bおよび窒化シリコン膜13cからなるサイドウォール13dを形成する。
【0145】
次に、図29に示すように、nMIS形成領域1Bにおけるp型ウエル3のゲート電極GE1およびサイドウォール13dの両側の領域にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することにより、n型半導体領域12b(ソース、ドレイン)を形成する。また、pMIS形成領域1Aにおけるn型ウエル4のゲート電極GE2およびサイドウォール13dの両側の領域にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することにより、p型半導体領域12a(ソース、ドレイン)を形成する。
【0146】
イオン注入後、導入した不純物の活性化のために、1000℃程度のアニール処理(活性化アニール、熱処理)を行う。これにより、n型半導体領域11b、p型半導体領域11a、n型半導体領域12bおよびp型半導体領域12aなどに導入された不純物を活性化する。
【0147】
このソース・ドレイン領域の活性化のためのアニール処理により、Hf含有絶縁膜51aおよびHf含有絶縁膜51bのそれぞれの下部の半導体基板1の主面に酸化シリコン膜からなる絶縁膜OFが形成される。
【0148】
nMIS形成領域1Bに形成される絶縁膜OFは、サイドウォール13dを構成し、Hf含有絶縁膜51bに接する酸化シリコン膜13b内およびしきい値調整層81b(図23参照)内のそれぞれからHf含有絶縁膜51bを介して半導体基板1の上面に拡散した酸素原子と、半導体基板1の上面のシリコンとがアニール処理により化合して形成された酸化シリコン膜である。
【0149】
また、pMIS形成領域1Aに形成される絶縁膜OFは、サイドウォール13dを構成し、Hf含有絶縁膜51aに接する酸化シリコン膜13b内およびしきい値調整層81a内のそれぞれからHf含有絶縁膜51aを介して半導体基板1の上面に拡散した酸素原子と、半導体基板1の上面のシリコンとがアニール処理により化合して形成された酸化シリコン膜である。
【0150】
なお、このとき、窒化金属膜7には、窒化金属膜7の表面に接するしきい値調整層81a、81bおよび酸化シリコン膜13bから酸素が導入される。
【0151】
以降の工程は、上記図16、図17の工程と同様である。
【0152】
図20〜図29の比較例の半導体装置の製造工程では、次のような課題が生じることが、本発明者らの検討により分かった。
【0153】
すなわち、比較例のように、しきい値調整層として酸化膜である酸化ランタンまたは酸化アルミニウムからなる膜を用いた場合、しきい値調整層内の酸素がしきい値調整層の下部の半導体基板の主面に拡散する。しきい値調整層と半導体基板との間に酸化シリコン膜が形成されていたとしても、この酸化シリコン膜を通じて半導体基板の主面に酸素が導入される可能性がある。
【0154】
したがって、しきい値調整層から半導体基板の上面に酸素が導入された場合、この酸素と半導体基板を構成するシリコンとが化合物を形成することにより、半導体基板の上面に酸化シリコン膜からなる絶縁膜OF(図29参照)が形成される。絶縁膜OFが形成されれば、ゲート絶縁膜を構成する酸化シリコン膜の膜厚が大きくなるため、ゲート絶縁膜全体の酸化膜換算膜厚は高くなり、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETのしきい値電圧が高くなる。
【0155】
また、上述したように、絶縁膜OFは、図2に示す酸化シリコン膜OXのように膜厚を精度良く調整して形成することができない。すなわち、絶縁膜OF(図29参照)を含むゲート絶縁膜の酸化膜換算膜厚の増加を制御することは困難となるため、MISFETのしきい値電圧にばらつきが生じる。
【0156】
また、絶縁膜OFは図2に示す酸化シリコン膜OXのように密度を高く形成することが困難であり、絶縁膜OF(図29参照)内には酸化シリコン膜OXよりも多くの欠陥が生じる。このため、ゲート電極と半導体基板との間でリーク電流が発生することを防ぐ効果は、酸化シリコン膜OXが形成されている場合に比べ、酸化シリコン膜OXが形成されず、絶縁膜OF(図29参照)が形成されている場合の方が小さい。
【0157】
図16に示すように、high−k膜であるHf含有絶縁膜51aおよびHf含有絶縁膜51bと半導体基板1との間に高密度の酸化シリコン膜OXが形成されている場合、例えHf含有絶縁膜51aおよびHf含有絶縁膜51bが酸素を含んでいても、半導体基板1の上面には酸素が拡散しにくい。これは、酸化シリコン膜OXがHf含有絶縁膜51aおよびHf含有絶縁膜51bから半導体基板1に拡散する酸素の量を低減する働きを有するためである。
【0158】
これに対し比較例では、図19に示すHf含有絶縁膜5が形成される前に図2に示す酸化シリコン膜OXを形成していないため、図29を用いて説明した熱処理工程において半導体基板1の主面に絶縁膜OFが形成されやすくなっている。
【0159】
酸化シリコン膜はhigh−k膜よりも誘電率が低い膜であるので、ゲート絶縁膜の一部として絶縁膜OFのような酸化シリコン膜が形成されている場合は、ゲート絶縁膜がhigh−k膜のみからなる場合に比べて酸化膜換算膜厚の値が高くなる。
【0160】
図20〜図29に示す比較例の半導体装置の製造工程では、pMIS形成領域1Aにおいてしきい値調整層81aを残す場合について説明したが、図18および図19を用いて説明したようにしきい値調整層81aが除去されていたとしても、Hf含有絶縁膜51aおよびHf含有絶縁膜51aの下部に酸素が導入されるため、上述したようにpチャネル型MISFETQpのしきい値電圧が高くなる問題が生じる。
【0161】
また、比較例を用いて説明したように、酸素を多く含むしきい値調整層を用いるとしきい値調整層からhigh−k膜に酸素が拡散するが、ゲート電極の側壁に形成されたサイドウォールとhigh−k膜またはしきい値調整層との界面においてサイドウォールを構成する酸化シリコン膜などの酸化膜がhigh−k膜またはしきい値調整層と接している場合、サイドウォールからも酸素がhigh−k膜に導入される。すなわち、図29に示すように、サイドウォール13dを構成する酸化シリコン膜13bはhigh−k膜であるHf含有絶縁膜51aおよびHf含有絶縁膜51bと直接接しているため、酸化シリコン膜13b内からHf含有絶縁膜51aおよびHf含有絶縁膜51b内に酸素が導入され、この酸素によって絶縁膜OFが形成される。
【0162】
つまり、酸素を多く含むしきい値調整層を用いた場合、しきい値調整層内の酸素はhigh−k膜を介して半導体基板の上面に導入され、半導体基板の上面のシリコンを酸化させて半導体基板の上面とhigh−k膜との界面に酸化シリコン膜からなる絶縁膜が形成される。この場合、ゲート絶縁膜の酸化膜換算膜厚が大きくなり、MISFETのしきい値が高くなるため、半導体装置の微細化、高速化または低消費電力化が困難になる。
【0163】
また、しきい値調整層またはサイドウォールなどから拡散した酸素によって形成される半導体基板の上面とhigh−k膜との界面の絶縁膜は膜厚を制御することが困難であるため、MISFETのしきい値電圧にばらつきが生じ、半導体装置の特性または信頼性に悪影響を与えてしまう。
【0164】
それに対して、本実施の形態では、しきい値調整層に酸素をほとんど含まない膜を用いることで、しきい値調整層から半導体基板に酸素が拡散することを防いでいる。すなわち、図7に示すように、nMIS形成領域1Bには酸素を含まないランタンを主に含む値調整層8bを形成し、pMIS形成領域1Aには酸素を含まないアルミニウムを主に含むしきい値調整層8aを形成しているため、しきい値調整層8a、8bから半導体基板1に酸素が拡散することを防ぐことができる。これにより、半導体基板1上に絶縁膜OF(図29参照)が形成されることを防ぎ、nチャネル型MISFETQnおよびpチャネル型MISFETQpのしきい値電圧の上昇を防ぐことができる。
【0165】
ただし、図4を用いて説明したように、しきい値調整層8aを形成した後にしきい値調整層8a上に窒化金属膜7を形成する工程において、しきい値調整層8aを形成する装置内から半導体基板1(半導体ウエハ)を取出し、その半導体ウエハを窒化金属膜7を形成する装置内に搬送する際、半導体ウエハが大気にさらされると、大気中の酸素または水分などにより、アルミニウム膜からなるしきい値調整層8aが酸化するおそれがある。同様に、図7および図8を用いて説明したように、ランタン膜などからなるしきい値調整層8bを形成した後に半導体基板1を熱処理する際に、しきい値調整層8bを形成する装置から半導体ウエハを取出し、その半導体ウエハをアニール装置に搬送する際に半導体ウエハが大気にさらされる(大気曝露する)と、しきい値調整層8bが酸化するおそれがある。
【0166】
すなわち、しきい値調整層8aを形成した後にしきい値調整層8a上に窒化金属膜7を形成する際に半導体ウエハが大気曝露すると、しきい値調整層8aが酸化するため、しきい値調整層8aに酸素をほとんど含まないアルミニウム膜を用いることで半導体基板1の上面に酸素が導入されることを防ぐ効果が小さくなってしまう。また、しきい値調整層8bを形成した後に半導体基板1を熱処理する際に半導体ウエハが大気曝露すると、しきい値調整層8bが酸化するため、しきい値調整層8bに酸素をほとんど含まないランタン膜などを用いることで半導体基板1の上面に酸素が導入されることを防ぐ効果が小さくなってしまう。
【0167】
これに対し、本実施の形態では、しきい値調整層8aを形成する装置および窒化金属膜7を形成する装置が一体となっており、内部を不活性ガス雰囲気とする製造装置(図5参照)を用いることで、しきい値調整層8aが大気曝露されることを防いでいる。また、図5に示すように、しきい値調整層8bを形成する装置および半導体基板を熱処理するアニール装置が一体となった製造装置を用いることにより、しきい値調整層8bが大気曝露されることを防いでいる。これにより、しきい値調整層8a、8bが酸化されることを防ぐことができる。
【0168】
また、上述したように、ランタン膜は酸化ランタン膜に比べて吸湿性が高く、大気曝露した際に水分を吸着して変質し、Hf系ゲート絶縁膜の表面に欠陥を生じさせてしまう問題があるが、本実施の形態では、図7および図8を用いて説明した成膜工程およびアニール工程において図5に示す成膜・熱処理装置20を用いることにより、ランタン膜からなるしきい値調整層を大気曝露することを防ぐことができる。したがって、ランタン膜が吸湿することによって半導体装置の信頼性が低下することを防ぐことができる。
【0169】
また、本実施の形態では、図14を用いて説明したように、サイドウォール13を形成する際、サイドウォール13を構成する酸化シリコン膜13bが直接しきい値調整層8a、HfおよびAl含有絶縁膜5aまたはHfおよびLn含有絶縁膜5bに接しないように、酸化シリコン膜13bとゲート電極GE1との間、および、酸化シリコン膜13bとゲート電極GE2との間のそれぞれに窒化シリコン膜13aを形成している。酸素を含む酸化シリコン膜13bが直接しきい値調整層8a、HfおよびAl含有絶縁膜5aまたはHfおよびLn含有絶縁膜5bに接しないようにすることにより、酸化シリコン膜13b内の酸素がしきい値調整層8a、HfおよびAl含有絶縁膜5aまたはHfおよびLn含有絶縁膜5bを介して半導体基板1に拡散することを防いでいる。
【0170】
つまり、本実施の形態では、ゲート絶縁膜を構成するhigh−k膜に希土類元素またはアルミニウムを導入してMISFETのしきい値を調整する際に、酸素をほとんど含まないしきい値調整層を用いることで、しきい値調整層の下部のhigh−k膜および半導体基板に酸素が拡散されることを防いでいる。これにより、半導体基板の上面およびhigh−k膜の界面に酸化シリコン膜からなる絶縁膜が形成されることを防ぎ、MISFETのゲート絶縁膜の酸化膜換算膜厚が大きくなることを防ぐことができる。
【0171】
なお、上述したように、図4に示すしきい値調整層8aおよび図7に示すしきい値調整層8bが含む酸素を30atomic%以下としたのは、しきい値調整層8a内および8b内の成分の酸素の割合が30atomic%以下であれば、しきい値調整層8aおよび8bの下部のhigh−k膜および半導体基板に酸素が拡散されてもMISFETの酸化膜換算膜厚は殆ど上昇せず、問題なく半導体装置を使用することができるためである。
【0172】
また、サイドウォールを構成する酸化シリコン膜とゲート電極との間に、酸素を含まない絶縁膜(例えば窒化シリコン膜)を形成することにより、サイドウォール内の酸素がhigh−k膜を介して半導体基板に拡散することを防いでいる。
【0173】
本実施の形態では、前記絶縁膜の形成によってゲート絶縁膜の酸化膜換算膜厚が大きくなることを防ぐことで、MISFETのしきい値電圧が高くなることを防ぎ、半導体装置の性能を向上させることを可能としている。また、同様に、半導体基板の上面に前記絶縁膜が形成されることを防ぎ、MISFETのしきい値電圧がはらつくことを防ぐことで半導体装置の信頼性を向上させることを可能としている。
【0174】
また、図2に示すように、半導体基板の上面に1000℃程度の熱処理によって密度の高い酸化シリコン膜OXを形成することにより、ゲート電極と半導体基板との間でリーク電流が発生することを防いでいる。なお、酸化シリコン膜OXは、膜厚および密度を容易に制御して形成することができるため、ゲート絶縁膜の一部としてhigh−k膜と半導体基板との間に酸化シリコン膜OXが形成されていてもMISFETのしきい値電圧の値をばらつかせることはない。
【0175】
酸化シリコン膜OXが形成されていることにより、図15を用いて説明したソース・ドレイン領域の活性化のための熱処理工程によって、ゲート電極の下部の半導体基板の上面に酸化シリコン膜からなる絶縁膜(図29に示す絶縁膜OFに相当)が形成されることを防ぐことができる。また、酸化シリコン膜OXが形成されていることにより、酸化シリコン膜OX上のhigh−k膜内に酸素が導入されていたとしても、high−k膜内の酸素が半導体基板に拡散することを抑制することができる。これは、密度の高い酸化シリコン膜OXが酸素を通しにくい性質を有するためである。
【0176】
また、本実施の形態ではしきい値調整層内に酸素を含ませないことにより、しきい値調整層上にハードマスクとして形成される金属膜(図4に示す窒化金属膜7に相当)内に酸素が導入されることを防いでいる。これにより、金属膜内に酸素が導入されている場合に比べ、金属膜はエッチングにより除去しやすくなり、比較的短時間のエッチング処理により除去することができる。このエッチング工程においてゲート絶縁膜となるhigh−k膜が露出している場合、high−k膜はエッチングによってダメージを受けやすいため、エッチング処理はより短時間で行うことが好ましい。
【0177】
すなわち、本実施の形態では、図4に示すしきい値調整層8aを、酸素をほとんど含まないアルミニウム膜により形成することで、窒化金属膜7内に酸素が導入されることを防いでいる。これにより、後の工程で窒化金属膜7を短時間で除去することが可能となるため、nMIS形成領域1BのHfおよびLn含有絶縁膜5bがウェットエッチングによってダメージを負うことを防ぐことができ、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0178】
また、図17に示すように、HfおよびAl含有絶縁膜5aと金属膜9との間にアルミニウム膜からなるしきい値調整層8aを残した場合、例えばTiNからなる金属膜9内にアルミニウムが拡散し、pチャネル型MISFETの仕事関数が高くなり、pチャネル型MISFETのしきい値電圧を低減することができる。
【0179】
ところで、上述したように、図20〜図29を用いて説明した比較例と同様にしきい値調整層81bを希土類元素の酸化膜によって構成した場合、high−k膜内および半導体基板内に拡散する酸素の量が多すぎるため、CMISFETのしきい値電圧が高くなる問題がある。これに対し、本実施の形態ではゲート絶縁膜を構成するhigh−k膜内および半導体基板に酸素が導入されることを防ぐことで、CMISFETのしきい値電圧が高くなることを防ぎ、半導体装置の性能を高めることができる。
【0180】
一方、半導体装置の信頼性をさらに高める目的で、high−k膜(Hf系ゲート絶縁膜)内には酸素を少量導入することが好ましい。これは、ランタン膜などの酸素を含まない膜からなるHf系ゲート絶縁膜よりも、酸素を含む酸化ランタンを含むHf系ゲート絶縁膜の方が、内部に空孔などの欠陥が形成されにくいという特徴を有しているためである。例えば、酸素を含まないHf系ゲート絶縁膜内に空孔が形成された場合、Hf系ゲート絶縁膜上に形成されるゲート電極の一部がHf系ゲート絶縁膜の空孔内に充填され、Hf系ゲート絶縁膜の空孔内のゲート電極の一部を介してゲート電極とHf系ゲート絶縁膜の下部の半導体基板との間でリーク電流が発生するおそれがある。
【0181】
これに対し、酸素を含むHf系ゲート絶縁膜は内部に空孔などの欠陥が形成されにくいため、ゲート絶縁膜としての信頼性が高い。したがって、ゲート電極と半導体基板との間においてリーク電流が発生することを防ぎ、半導体装置の信頼性を向上させるためには、Hf系ゲート絶縁膜内に適度に酸素を導入することが好ましい。しかし、図20〜図29を用いて説明した比較例のような、例えば酸化ランタン膜からなるしきい値調整層81bを用いた場合、Hf系ゲート絶縁膜および半導体基板に拡散する酸素の量が多すぎるため、前述したように半導体基板の上面に酸化シリコンからなる絶縁膜が形成され、半導体装置の信頼性が低下する問題がある。よって、Hf系ゲート絶縁膜内に少量の酸素を導入するには、しきい値調整膜内に導入される酸素の量を適度に抑制する必要がある。
【0182】
Hf系ゲート絶縁膜内に少量の酸素を導入する方法としては、例えば図7を用いて説明した成膜工程において、例えばランタン膜からなるしきい値調整層8bを形成した後、酸素を含む低圧雰囲気においてしきい値調整層8bの一部を酸化させた後、図8に示す熱処理工程において用いる成膜・熱処理装置20(図5参照)内を、酸素を含む低圧雰囲気として半導体基板を加熱する方法がある。これにより、しきい値調整層8b内に形成された酸化ランタン膜から、少量の酸素がHf系ゲート絶縁膜(図8のHfおよびLn含有絶縁膜5bに対応)内に導入されるため、Hf系ゲート絶縁膜内に欠陥が形成されることを防ぎ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0183】
なお、このようにHf系ゲート絶縁膜内に少量の酸素を導入する場合においても、しきい値調整層が酸化する割合を調整するため、図7および図8に示す工程では図5に示すようにランタン膜成膜装置27およびアニール装置28が一体となった成膜・熱処理装置20を用い、製造工程中は成膜・熱処理装置20内を不活性ガス雰囲気とし、半導体ウエハの搬送時に半導体ウエハが大気曝露しないようにすることが望ましい。
【0184】
この工程によって形成された、酸素を少量含むHf系ゲート絶縁膜は、図20〜図29に示した比較例におけるHf含有絶縁膜51bに比べて、酸素が導入される量が極めて少ない。このため、Hf系ゲート絶縁膜内に少量の酸素が導入されていても、比較例を用いて説明した、半導体基板に酸素が導入されることによるCMISFETのしきい値電圧の上昇を防ぐことができる。
【0185】
(実施の形態2)
前記実施の形態1ではnMIS形成領域およびpMIS形成領域の両方にしきい値調整層を形成する半導体装置の製造方法について説明した。本実施の形態2では、pMIS形成領域にはしきい値調整層を形成せず、nMIS形成領域にのみしきい値調整層を形成する半導体装置の製造方法について説明する。
【0186】
図30〜図38は、本実施の形態2の製造工程中の半導体装置の要部断面図である。
【0187】
本実施の形態の製造工程は、図3を用いて説明したように、Hf含有絶縁膜5を形成するまでは、前記実施の形態1の製造工程と同様であるので、ここではその説明を省略し、窒化金属膜の形成工程以降について説明する。
【0188】
前記実施の形態1の図1〜図3に示す工程と同様の工程を行った後、本実施の形態では、図30に示すように、半導体基板1の主面上に、すなわちHf含有絶縁膜5上に、ハードマスクとして窒化金属膜7を形成する。窒化金属膜7は、例えばTiN(窒化チタン)からなる膜である。
【0189】
なお、ここでは図4に示すしきい値調整層8aを形成しないので、前記実施の形態1とは違い、しきい値調整層8aが大気曝露することを防ぐ必要がない。このため、図5に示すように、アルミニウム膜成膜装置25と窒化チタン膜成膜装置26とが一体となった成膜・熱処理装置20を用いる必要はない。
【0190】
次に、図31に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチングにより、nMIS形成領域1Bの窒化金属膜7を除去した後、半導体基板1の主面上に、しきい値調整層(第1金属元素含有層)8bを形成する。ここでは、しきい値調整層8bは、nMIS形成領域1BではHf含有絶縁膜5上に形成され、pMIS形成領域1Aでは窒化金属膜7上に形成される。
【0191】
しきい値調整層8bは、前記実施の形態1と同様に、希土類元素を含有し、特に好ましくはLa(ランタン)を含有している。しきい値調整層8bは、スパッタリング法などによって形成することができ、その膜厚(堆積膜厚)は、1nm程度とすることができる。ただし、しきい値調整層8bは酸素をほとんど含んでいないことが好ましく、多くても酸素を30atomic%しか含まず、主にランタン(La)からなる膜であるものとする。すなわち、しきい値調整層8bは酸化ランタン(例えばLa)をほとんど含んでいない。
【0192】
なお、しきい値調整層8bの形成工程では、図5に示すようなランタン膜成膜装置27およびアニール装置28を有する成膜・熱処理装置20を用い、成膜・熱処理装置20内は不活性ガス雰囲気とする。
【0193】
次に、図32に示すように、半導体基板1に対して熱処理を施す。この熱処理工程は、熱処理温度を780〜850℃の範囲内とし、不活性ガス雰囲気(例えばN(窒素)雰囲気)中で行うことができる。この熱処理により、nMIS形成領域1BにおいてHf含有絶縁膜5およびしきい値調整層8bを反応させる。すなわち、この熱処理により、しきい値調整層8bを構成する希土類元素Ln(特に好ましくはLa)をnMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜5に導入(拡散)する。
【0194】
この熱処理工程においては、nMIS形成領域1Bでは、しきい値調整層8bとHf含有絶縁膜5とが接触していたために両者が反応して、しきい値調整層8bの希土類元素Ln(特に好ましくはLn=La)がHf含有絶縁膜5に導入(拡散)される。一方、pMIS形成領域1Aでは、しきい値調整層8bとHf含有絶縁膜5との間に窒化金属膜7が介在しており、しきい値調整層8bのLnはHf含有絶縁膜5に導入されない。
【0195】
この熱処理により、図32に示すように、nMIS形成領域1Bでは、しきい値調整層8bとHf含有絶縁膜5とが反応(混合、ミキシング)してHfおよびLn含有絶縁膜5bが形成される。しきい値調整層8bは希土類酸化物層ではなく、そのほとんどが主に希土類元素からなる層であるため、しきい値調整層8bからHf含有絶縁膜5に酸素(O)はほとんど導入されない。
【0196】
なお、この熱処理工程では図5に示すような成膜・熱処理装置20内のアニール装置28を用いる。ここでは、図31に示すようにしきい値調整層8bを形成した半導体基板1(半導体ウエハ)を図5に示すランタン膜成膜装置27内からロボットアーム23によってアニール装置28内に搬送し、アニール装置28によって図32を用いて説明した熱処理を行う。このとき、成膜・熱処理装置20内は不活性ガス雰囲気とする。
【0197】
次に、図33に示すように、図8を用いて説明した熱処理工程で反応しなかったしきい値調整層8b(未反応のしきい値調整層8b)を、ウェットエッチングによって除去するした後、窒化金属膜7をウェットエッチングによって除去する。
【0198】
ここではnMIS形成領域1BのHfおよびLn含有絶縁膜5bが露出された状態で窒化金属膜7のウェットエッチング工程が行われるが、HfおよびLn含有絶縁膜5bはウェットエッチングに用いる薬液(例えばAPM液またはフッ酸など)に対する耐性が低いため、ウェットエッチングによりダメージを受ける可能性がある。
【0199】
窒化金属膜7は、酸素を含まない場合よりも酸素を含む場合の方がウェットエッチングによる除去が困難になるため、窒化金属膜7に酸素がより多く含まれているときは、より長い時間をかけてウェットエッチングにより窒化金属膜7を除去することになる。このように長い時間をかけてウェットエッチングを行えば、ウェットエッチングに用いる薬液に対して耐性が低いHfおよびLn含有絶縁膜5bは、より大きいダメージを受けることになる。
【0200】
これに対し、本実施の形態では図32に示すしきい値調整層8bを酸素をほとんど含まない層とすることにより、しきい値調整層8b内から窒化金属膜7内に酸素が導入されることを防いでいる。したがって、ウェットエッチングにより短時間で容易に窒化金属膜7を除去することができ、このウェットエッチング工程によってHfおよびLn含有絶縁膜5bが受けるエッチングダメージを抑制または防止することができる。
【0201】
次に、図34に示すように、半導体基板1の主面上に、メタルゲート(金属ゲート電極)用の金属膜(金属層)9およびシリコン膜10を順次形成する。
【0202】
次に、図35に示すように、シリコン膜10および金属膜9の積層膜を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてパターニングすることで、金属膜9および金属膜9上のシリコン膜10からなるゲート電極GE1、GE2を形成する。
【0203】
ゲート電極GE1は、nMIS形成領域1Bにおいて、HfおよびLn含有絶縁膜5b上に形成され、ゲート電極GE2は、pMIS形成領域1Aにおいて、酸化シリコン膜OX上に形成される。
【0204】
続いて、前記実施の形態1と同様にして、nMIS形成領域1Bにおけるp型ウエル3のゲート電極GE1の両側の領域にn型半導体領域(エクステンション領域、LDD領域)11bを形成し、pMIS形成領域1Aにおけるn型ウエル4のゲート電極GE2の両側の領域にp型半導体領域(エクステンション領域、LDD領域)11aを形成する。
【0205】
次に、図36に示すように、ゲート電極GE1、GE2の側壁上に、絶縁体からなるサイドウォール(側壁スペーサ、側壁絶縁膜)13を形成する。例えば、半導体基板1上にゲート電極GE1、GE2を覆うように窒化シリコン膜を形成した後、この窒化シリコン膜を異方性エッチング(エッチバック)することにより、ゲート電極GE1、GE2のそれぞれの側壁に窒化シリコン膜13aを自己整合的に残す。続いて、半導体基板1上にゲート電極GE1、GE2を覆うように酸化シリコン膜13bと窒化シリコン膜13cとを下から順に形成してから、この酸化シリコン膜13bと窒化シリコン膜13cとの積層膜を異方性エッチング(エッチバック)することによって、ゲート電極GE1、GE2の側壁上に残存する窒化シリコン膜13a、酸化シリコン膜13bおよび窒化シリコン膜13cからなるサイドウォール13を形成することができる。
【0206】
次に、図37に示すように、nMIS形成領域1Bにおけるp型ウエル3のゲート電極GE1およびサイドウォール13の両側の領域にn型半導体領域12b(ソース、ドレイン)を形成し、pMIS形成領域1Aにおけるn型ウエル4のゲート電極GE2およびサイドウォール13の両側の領域にp型半導体領域12a(ソース、ドレイン)を形成する。
【0207】
その後、導入した不純物の活性化のために、1000℃程度のアニール処理(活性化アニール、熱処理)を行う。これにより、n型半導体領域11b、p型半導体領域11a、n型半導体領域12bおよびp型半導体領域12aなどに導入された不純物を活性化することができる。
【0208】
このようにして、図37に示すような構造が得られ、nMIS形成領域1Bに、電界効果トランジスタとしてnチャネル型MISFETQnが形成され、また、pMIS形成領域1Aに、電界効果トランジスタとしてpチャネル型MISFETQpが形成される。
【0209】
この後の工程を、前記実施の形態1の図16および図17を用いて説明した工程と同様に行うことによって、図38に示す本実施の形態の半導体装置が完成する。すなわち、周知のサリサイド技術によってn型半導体領域12b、p型半導体領域12a、ゲート電極GE1およびGE2のそれぞれの上面にシリサイド層14を形成し、半導体基板1の主面上に、プラグ33を有する絶縁膜(層間絶縁膜)31を形成した後、周知のシングルダマシン法により第1層目の配線M1を形成する。
【0210】
本実施の形態では、前記実施の形態1と同様に、図32に示すしきい値調整層8bに、酸素をほとんど含まない希土類元素(好ましくはLa)からなる膜を用いることにより、nMIS形成領域1Bにおいて、しきい値調整層8b内から酸素がHfおよびLn含有絶縁膜5b内に拡散し、その酸素がHfおよびLn含有絶縁膜5b内から半導体基板1に拡散することを防いでいる。これにより、ゲート電極GE1の下部の半導体基板1の上面に、膜厚および密度を制御することが困難な酸化シリコン膜からなる絶縁膜が形成されることを防ぎ、この絶縁膜によって図38に示すnチャネル型MISFETQnのしきい値電圧が高くなることを防ぐことができる。よって、半導体装置の性能を向上させることができる。また、膜厚にばらつきがある前記絶縁膜が形成されることを防ぐことで、nチャネル型MISFETQnのゲート絶縁膜の酸化膜換算膜厚にばらつきが生じることを防ぐことができるため、nチャネル型MISFETQnのしきい値電圧の値がばらつくことを防ぎ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0211】
また、酸化シリコン膜OXを形成することで前記絶縁膜が形成されることを防ぎ、CMISFETのしきい値電圧の上昇を抑制することができる。また、ゲート電極GE1の側壁に形成されたサイドウォール13を構成する酸化シリコン膜13bとゲート電極GE1との間に窒化シリコン膜13aを介在させることにより、酸化シリコン膜13b内からHfおよびLn含有絶縁膜5b内に酸素が拡散することを防いでいる。これにより、HfおよびLn含有絶縁膜5b内の酸素が半導体基板1の主面に拡散することによって半導体基板1の主面に酸化シリコン膜からなる絶縁膜が形成されることを防ぎ、nチャネル型MISFETQnのしきい値電圧の上昇を抑制することができる。
【0212】
また、前記実施の形態1と同様に、図31を用いて説明したしきい値調整層8bの成膜工程および図32を用いて説明した熱処理工程では、図5に示すような装置であって、内部を不活性ガス雰囲気とする成膜・熱処理装置20を用いている。このため、半導体ウエハをランタン膜成膜装置27内からアニール装置28内に搬送する際に、半導体ウエハが大気曝露することを防ぐことができる。つまり、図31に示すしきい値調整層8bを酸化させずに熱処理を行うことができるため、図32に示すHfおよびLn含有絶縁膜5b内に酸素が拡散することを防ぐことで、nチャネル型MISFETQnのしきい値電圧の上昇を抑制することができる。
【0213】
(実施の形態3)
前記実施の形態1ではnMIS形成領域およびpMIS形成領域の両方にしきい値調整層を形成する半導体装置の製造方法について説明した。本実施の形態3では、nMIS形成領域にはしきい値調整層を形成せず、pMIS形成領域にのみしきい値調整層を形成する半導体装置の製造方法について説明する。
【0214】
図39〜図44は、本実施の形態3の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0215】
本実施の形態の製造工程は、図6を用いて説明したように、Hf含有絶縁膜5上にしきい値調整層8aおよび窒化金属膜7を形成した後、しきい値調整層8aおよび窒化金属膜7をパターニングするまでは、前記実施の形態1の製造工程と同様であるので、ここではその説明を省略し、しきい値調整層8aの熱処理工程以降について説明する。
【0216】
前記実施の形態1の図1〜図6に示す工程と同様の工程を行った後、本実施の形態では、図39に示すように、半導体基板1に対して熱処理を施す。この熱処理工程は、熱処理温度を780〜850℃の範囲内とし、不活性ガス雰囲気(例えばN(窒素)雰囲気)中で行うことができる。この熱処理により、pMIS形成領域1AにおいてHf含有絶縁膜5(図6参照)およびしきい値調整層8aを反応させる。すなわち、この熱処理により、しきい値調整層8aを構成するアルミニウムをpMIS形成領域1AのHf含有絶縁膜5に導入(拡散)する。
【0217】
この熱処理工程においては、pMIS形成領域1Aでは、しきい値調整層8aとHf含有絶縁膜5とが接触していたために両者が反応して、しきい値調整層8aのアルミニウムがHf含有絶縁膜5に導入(拡散)される。
【0218】
この熱処理により、図39に示すように、pMIS形成領域1Aでは、しきい値調整層8aとHf含有絶縁膜5とが反応(混合、ミキシング)してHfおよびAl含有絶縁膜5aが形成される。しきい値調整層8aは酸化アルミニウム層ではなく、アルミニウムからなる層であるため、しきい値調整層8aからHf含有絶縁膜5に酸素(O)はほとんど導入されない。
【0219】
次に、図40に示すように、窒化金属膜7をウェットエッチングによって除去した後、半導体基板1の主面上に、メタルゲート(金属ゲート電極)用の金属膜(金属層)9およびシリコン膜10を順次形成する。ここではnMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜5が露出された状態で窒化金属膜7のウェットエッチング工程が行われるが、Hf含有絶縁膜5はウェットエッチングに用いる薬液(例えばAPM液またはフッ酸など)に対する耐性が低いため、ウェットエッチングによりダメージを受ける可能性がある。
【0220】
窒化金属膜7は、酸素を含まない場合よりも酸素を含む場合の方がウェットエッチングによる除去が困難になるため、窒化金属膜7に酸素がより多く含まれているときは、より長い時間をかけてウェットエッチングにより窒化金属膜7を除去することになる。このように長い時間をかけてウェットエッチングを行えば、ウェットエッチングに用いる薬液に対して耐性が低いHf含有絶縁膜5は、より大きいダメージを受けることになる。
【0221】
これに対し、本実施の形態では図39に示すしきい値調整層8aを酸素をほとんど含まない層とすることにより、しきい値調整層8a内から窒化金属膜7内に酸素が導入されることを防いでいる。したがって、ウェットエッチングにより短時間で容易に窒化金属膜7を除去することができ、このウェットエッチング工程によってnMIS形成領域1BのHf含有絶縁膜5が受けるエッチングダメージを抑制または防止することができる。
【0222】
次に、図41に示すように、シリコン膜10および金属膜9の積層膜を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてパターニングすることで、金属膜9および金属膜9上のシリコン膜10からなるゲート電極GE1、GE2を形成する。
【0223】
ゲート電極GE1は、nMIS形成領域1Bにおいて、酸化シリコン膜OX上にHf含有絶縁膜5を介して形成され、ゲート電極GE2は、pMIS形成領域1Aにおいて、HfおよびAl含有絶縁膜5a上に形成される。
【0224】
続いて、前記実施の形態1と同様にして、nMIS形成領域1Bにおけるp型ウエル3のゲート電極GE1の両側の領域にn型半導体領域(エクステンション領域、LDD領域)11bを形成し、pMIS形成領域1Aにおけるn型ウエル4のゲート電極GE2の両側の領域にp型半導体領域(エクステンション領域、LDD領域)11aを形成する。
【0225】
次に、図42に示すように、ゲート電極GE1、GE2の側壁上に、絶縁体からなるサイドウォール(側壁スペーサ、側壁絶縁膜)13を形成する。例えば、半導体基板1上にゲート電極GE1、GE2を覆うように窒化シリコン膜を形成した後、この窒化シリコン膜を異方性エッチング(エッチバック)することにより、ゲート電極GE1、GE2のそれぞれの側壁に窒化シリコン膜13aを自己整合的に残す。続いて、半導体基板1上にゲート電極GE1、GE2を覆うように酸化シリコン膜13bと窒化シリコン膜13cとを下から順に形成してから、この酸化シリコン膜13bと窒化シリコン膜13cとの積層膜を異方性エッチング(エッチバック)することによって、ゲート電極GE1、GE2の側壁上に残存する窒化シリコン膜13a、酸化シリコン膜13bおよび窒化シリコン膜13cからなるサイドウォール13を形成することができる。
【0226】
次に、図43に示すように、nMIS形成領域1Bにおけるp型ウエル3のゲート電極GE1およびサイドウォール13の両側の領域にn型半導体領域12b(ソース、ドレイン)を形成し、pMIS形成領域1Aにおけるn型ウエル4のゲート電極GE2およびサイドウォール13の両側の領域にp型半導体領域12a(ソース、ドレイン)を形成する。
【0227】
その後、導入した不純物の活性化のために、1000℃程度のアニール処理(活性化アニール、熱処理)を行う。これにより、n型半導体領域11b、p型半導体領域11a、n型半導体領域12bおよびp型半導体領域12aなどに導入された不純物を活性化することができる。
【0228】
このようにして、図43に示すような構造が得られ、nMIS形成領域1Bに、電界効果トランジスタとしてnチャネル型MISFETQnが形成され、また、pMIS形成領域1Aに、電界効果トランジスタとしてpチャネル型MISFETQpが形成される。
【0229】
この後の工程を、前記実施の形態1の図16および図17を用いて説明した工程と同様に行うことによって、図44に示す本実施の形態の半導体装置が完成する。すなわち、周知のサリサイド技術によってn型半導体領域12b、p型半導体領域12a、ゲート電極GE1およびGE2のそれぞれの上面にシリサイド層14を形成し、半導体基板1の主面上に、プラグ33を有する絶縁膜(層間絶縁膜)31を形成した後、周知のシングルダマシン法により第1層目の配線M1を形成する。
【0230】
本実施の形態では、前記実施の形態1と同様に、図39に示すしきい値調整層8aに、酸素をほとんど含まないアルミニウムからなる膜を用いることにより、pMIS形成領域1Aにおいて、しきい値調整層8a内から酸素がHfおよびAl含有絶縁膜5a内に拡散し、その酸素がHfおよびAl含有絶縁膜5a内から半導体基板1に拡散することを防いでいる。これにより、ゲート電極GE1の下部の半導体基板1の上面に、膜厚および密度を制御することが困難な酸化シリコン膜からなる絶縁膜が形成されることを防ぎ、この絶縁膜によって図44に示すpチャネル型MISFETQpのしきい値電圧が高くなることを防ぐことができる。また、膜厚にばらつきがある前記絶縁膜が形成されることを防ぐことで、pチャネル型MISFETQpのゲート絶縁膜の酸化膜換算膜厚にばらつきが生じることを防ぐことができる。
【0231】
また、酸化シリコン膜OXを形成することで前記絶縁膜が形成されることを防ぎ、pチャネル型MISFETQpのしきい値電圧が高くなることを防ぐことができる。また、ゲート電極GE2の側壁に形成されたサイドウォール13を構成する酸化シリコン膜13bとゲート電極GE2との間に窒化シリコン膜13aを介在させることにより、酸化シリコン膜13b内からHfおよびAl含有絶縁膜5a内に酸素が拡散することを防いでいる。これにより、HfおよびAl含有絶縁膜5a内の酸素が半導体基板1の主面に拡散することによって半導体基板1の主面に酸化シリコン膜からなる絶縁膜が形成されることを防ぎ、pチャネル型MISFETQpのしきい値電圧が高くなることを防ぐことができる。
【0232】
また、前記実施の形態1と同様に、pMIS形成領域の半導体基板上にしきい値調整層および窒化金属膜を形成する工程では、図5に示すような、アルミニウム膜成膜装置25および窒化チタン膜成膜装置26が一体となった装置であって、内部を不活性ガス雰囲気とする成膜・熱処理装置20を用いている。このため、半導体ウエハをアルミニウム膜成膜装置25内から窒化チタン膜成膜装置26内に搬送する際に、半導体ウエハが大気曝露することを防ぐことができる。したがって、pMIS形成領域のしきい値調整層を酸化させずに前記しきい値調整層上に窒化金属膜を形成することができるため、図39に示すHfおよびAl含有絶縁膜5a内に酸素が拡散することを防ぐことで、pチャネル型MISFETQpのしきい値電圧が高くなることを防ぐことができる。
【0233】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0234】
本発明は、CMISFETのゲート絶縁膜としてhigh−k膜を有する半導体装置に幅広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0235】
1 半導体基板
1A pMIS形成領域
1B nMIS形成領域
2 素子分離領域
2a 溝
3 p型ウエル
4 n型ウエル
5 Hf含有絶縁膜
5a HfおよびAl含有絶縁膜
5b HfおよびLn含有絶縁膜
7 窒化金属膜
8a、8b しきい値調整層
9 金属膜
10 シリコン膜
11a p型半導体領域
11b n型半導体領域
12a p型半導体領域
12b n型半導体領域
13 サイドウォール
13a 窒化シリコン膜
13b 酸化シリコン膜
13c 窒化シリコン膜
13d サイドウォール
14 シリサイド層
20 成膜・熱処理装置
21 自動搬送装置
22 保管室
23 ロボットアーム
24 搬送室
25 アルミニウム膜成膜装置
26 窒化チタン膜成膜装置
27 ランタン膜成膜装置
28 アニール装置
31 絶縁膜
32 コンタクトホール
33 プラグ
34 ストッパ絶縁膜
35 絶縁膜
36 配線溝
51a Hf含有絶縁膜
51b Hf含有絶縁膜
81a しきい値調整層
81b しきい値調整層
GE1、GE2 ゲート電極
M1 配線
OF 絶縁膜
OX 酸化シリコン膜
PR1、PR101 フォトレジストパターン
Qn nチャネル型MISFET
Qp pチャネル型MISFET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
pチャネル型MISFETである第1MISFETを半導体基板の第1領域に有し、nチャネル型MISFETである第2MISFETを前記半導体基板の第2領域に有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記第1および第2MISFETのゲート絶縁膜用で、かつHfを含有する第1絶縁膜を、前記半導体基板の前記第1領域および前記第2領域に形成する工程と、
(b)前記第1領域の前記第1絶縁膜上および前記第2領域の前記第1絶縁膜上にアルミニウム膜を形成する工程と、
(c)前記第1領域および前記第2領域に形成された前記アルミニウム膜上にキャップ膜を形成する工程と、
(d)前記第2領域の前記キャップ膜および前記アルミニウム膜を除去し、前記第1領域の前記キャップ膜および前記アルミニウム膜を残す工程と、
(e)前記(d)工程後、前記第2領域の前記第1絶縁膜上および前記第1領域の前記キャップ膜上に希土類元素からなる第1金属膜を形成する工程と、
(f)熱処理を行って、前記第1領域の前記第1絶縁膜を前記アルミニウム膜と反応させて前記第1領域に第2絶縁膜を形成し、前記第2領域の前記第1絶縁膜を前記第1金属膜と反応させて前記第2領域に第3絶縁膜を形成する工程と、
(g)前記(f)工程後、前記(f)工程にて反応しなかった前記第1金属膜を除去する工程と、
(h)前記(g)工程後、前記第1領域の前記キャップ膜を除去する工程と、
(i)前記(h)工程後、前記第1領域の前記第2絶縁膜上および前記第2領域の前記第3絶縁膜上に、第2金属膜を形成する工程と、
(j)前記第2金属膜をパターニングして、前記第1領域に前記第1MISFET用の第1ゲート電極を形成し、前記第2領域に前記第2MISFET用の第2ゲート電極を形成する工程と、
(k)前記第1領域内において、前記第1ゲート電極の両側の領域の前記半導体基板の主面にp型の不純物を導入する工程と、
(l)前記第2領域内において、前記第2ゲート電極の両側の領域の前記半導体基板の主面にn型の不純物を導入する工程と、
(m)前記(k)工程および前記(l)工程の後、前記半導体基板を熱処理し、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極のそれぞれの両側の領域の前記半導体基板の主面にソース・ドレイン領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1金属膜はランタン膜からなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記(b)工程および前記(c)工程は不活性ガス雰囲気で行い、
前記(b)工程の後であって前記(c)工程を行う前に、前記半導体基板を大気曝露しないことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記(e)工程および前記(f)工程は不活性ガス雰囲気で行い、
前記(e)工程の後であって前記(f)工程を行う前に、前記半導体基板を大気曝露しないことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記(h)工程では、前記アルミニウム膜を除去せず、
前記第1ゲート電極の下部には前記アルミニウム膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記(a)工程の前に、前記半導体基板の主面に酸化シリコン膜からなる第4絶縁膜を形成し、
前記(a)工程では、前記第4絶縁膜上に前記第1絶縁膜を形成することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記(j)工程の後であって、前記(k)工程および前記(l)工程の前に、
(j1)前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極を覆うように、前記半導体基板の主面上に窒化シリコン膜を形成する工程と、
(j2)前記窒化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極のそれぞれの側壁に前記窒化シリコン膜を残す工程と、
(j3)前記(j2)工程の後、前記窒化シリコン膜上に酸化シリコン膜を含む第5絶縁膜を形成する工程と、
(j4)前記第5絶縁膜を異方性エッチングすることにより、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極のそれぞれの側面に、前記第5絶縁膜および前記窒化シリコン膜を含むサイドウォールを形成する工程とを有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記(e)工程の後であって前記(f)工程を行う前に、前記半導体基板を大気曝露せず、
前記(f)工程は酸素を含む雰囲気で行うことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記キャップ膜は窒化金属膜からなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
pチャネル型MISFETである第1MISFETを半導体基板の第1領域に有し、nチャネル型MISFETである第2MISFETを前記半導体基板の第2領域に有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記第1および第2MISFETのゲート絶縁膜用で、かつHfを含有する第1絶縁膜を、前記半導体基板の前記第1領域および前記第2領域に形成する工程と、
(b)前記第1領域および前記第2領域に形成された前記第1絶縁膜上に、キャップ膜を形成する工程と、
(c)前記第2領域の前記キャップ膜を除去し、前記第1領域の前記キャップ膜を残す工程と、
(d)前記(c)工程後、前記第2領域の前記第1絶縁膜上および前記第1領域の前記キャップ膜上に希土類元素からなる第1金属膜を形成する工程と、
(e)熱処理を行って、前記第2領域の前記第1絶縁膜を前記第1金属膜と反応させて前記第2領域に第3絶縁膜を形成する工程と、
(f)前記(e)工程後、前記(e)工程にて反応しなかった前記第1金属膜を除去する工程と、
(g)前記(f)工程後、前記第1領域の前記キャップ膜を除去する工程と、
(h)前記(g)工程後、前記第1領域の前記第1絶縁膜上および前記第2領域の前記第3絶縁膜上に第2金属膜を形成する工程と、
(i)前記第2金属膜をパターニングして、前記第1領域に前記第1MISFET用の第1ゲート電極を形成し、前記第2領域に前記第2MISFET用の第2ゲート電極を形成する工程と、
(j)前記第1領域内において、前記第1ゲート電極の両側の領域の前記半導体基板の主面にp型の不純物を導入する工程と、
(k)前記第2領域内において、前記第2ゲート電極の両側の領域の前記半導体基板の主面にn型の不純物を導入する工程と、
(l)前記(j)工程および前記(k)工程の後、前記半導体基板を熱処理し、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極のそれぞれの両側の領域の前記半導体基板の主面にソース・ドレイン領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1金属膜はランタン膜からなることを特徴とする請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
pチャネル型MISFETである第1MISFETを半導体基板の第1領域に有し、nチャネル型MISFETである第2MISFETを前記半導体基板の第2領域に有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記第1および第2MISFETのゲート絶縁膜用で、かつHfを含有する第1絶縁膜を、前記半導体基板の前記第1領域および前記第2領域に形成する工程と、
(b)前記第1領域の前記第1絶縁膜上および前記第2領域の前記第1絶縁膜上にアルミニウム膜を形成する工程と、
(c)前記第1領域および前記第2領域に形成された前記アルミニウム膜上にキャップ膜を形成する工程と、
(d)前記第2領域の前記キャップ膜および前記アルミニウム膜を除去し、前記第1領域の前記キャップ膜および前記アルミニウム膜を残す工程と、
(e)熱処理を行って、前記第1領域の前記第1絶縁膜を前記アルミニウム膜と反応させて前記第1領域に第2絶縁膜を形成する工程と、
(f)前記(e)工程後、前記第1領域の前記キャップ膜を除去する工程と、
(g)前記(f)工程後、前記第1領域および前記第2領域の前記第1絶縁膜上に、第2金属膜を形成する工程と、
(h)前記第2金属膜をパターニングして、前記第1領域に前記第1MISFET用の第1ゲート電極を形成し、前記第2領域に前記第2MISFET用の第2ゲート電極を形成する工程と、
(i)前記第1領域内において、前記第1ゲート電極の両側の領域の前記半導体基板の主面にp型の不純物を導入する工程と、
(j)前記第2領域内において、前記第2ゲート電極の両側の領域の前記半導体基板の主面にn型の不純物を導入する工程と、
(k)前記(i)工程および前記(j)工程の後、前記半導体基板を熱処理し、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極のそれぞれの両側の領域の前記半導体基板の主面にソース・ドレイン領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記(b)工程および前記(c)工程は不活性ガス雰囲気で行い、
前記(b)工程の後であって前記(c)工程を行う前に、前記半導体基板を大気曝露しないことを特徴とする請求項12記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記(h)工程では、前記アルミニウム膜を除去せず、
前記第1ゲート電極の下部には前記アルミニウム膜が形成されていることを特徴とする請求項12記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2012−44013(P2012−44013A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184563(P2010−184563)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】