説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】従来の半導体装置では、配線層間に形成される酸化膜により、配線層間の接続抵抗値が低減され難いという問題があった。
【解決手段】本発明の半導体装置では、第1の配線層3と第2の配線層とを接続する開口領域8〜12を埋設する第1の金属層14〜18上のスピンコート樹脂膜21に開口部22が形成されている。開口部22内では、メッキ用金属層23を構成するCr層とCuメッキ層24とが接続している。この構造により、第1の金属層14〜18上のCr層は、結晶粒子間が広くなり、粗な領域となる。そして、Cr層の粗な領域には、第2の金属層19とCuメッキ層24との合金層が形成され、接続抵抗値が低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線層間の接続抵抗値を低減するための半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置の一実施例として、図11(A)〜図11(E)に示す如く、下記の製造方法が知られている。図11(A)に示す如く、シリコン基板81上にBPSG(Boron Phospho Silicate Glass)膜82を形成した後、BPSG膜82にコンタクトホール83を形成する。次に、図11(B)に示す如く、コンタクトホール83を埋設するように、シリコン基板81上にスパッタリング法を用いた連続処理により、チタン(Ti)膜84、チタンナイトライド(TiN)膜85、アルミニウム−シリコン−銅(Al−Si−Cu)膜86、Ti膜87、TiN膜88を形成する。その後、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用い、前述した膜84〜88をパターニングする。次に、図11(C)に示す如く、シリコン基板81上にプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用い、プラズマシリコン窒化膜(SiN)89、TEOS膜90を順次形成する。その後、段差部にSOG膜91を形成した後、プラズマCVD法を用い、TEOS膜92を形成する。次に、図11(D)に示す如く、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用い、コンタクトホール93を形成する。このとき、Al−Si−Cu膜86の上部を80(nm)以上エッチングする。次に、図11(E)に示す如く、コンタクトホール83を埋設するように、シリコン基板81上にTi膜94、Al−Si−Cu膜95、TiN膜96を形成した後、パターニングし、配線層を形成する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、従来の半導体装置の製造方法の一実施例として、図12(A)〜図12(F)に示す如く、下記の製造方法が知られている。図12(A)に示す如く、シリコン基板101の表面上に二酸化シリコン等の層間絶縁膜102を形成する。次に、図12(B)に示す如く、層間絶縁膜102上にその膜厚が1.0(μm)程度のアルミニウム(Al)電極パッド103を形成する。次に、図12(C)に示す如く、Al電極パッド103を含む層間絶縁膜102上にCVD法により窒化シリコン膜104を形成する。次に、図12(D)に示す如く、Al電極パッド103上の窒化シリコン膜104に開口部105を形成する。次に、図12(E)に示す如く、開口部105から露出するAl電極パッド103を被覆するようにバリアメタル膜106を形成する。次に、図12(F)に示す如く、バリアメタル膜106上に電解メッキ法により金バンプ107を形成する(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平9−219450号公報(第3−5頁、第1−3図)
【特許文献2】特開平11−145171号公報(第2−3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来の半導体装置の製造方法では、上層の配線層と下層の配線層とを接続させるために、プラズマSiN膜89、TEOS膜90、92等にコンタクトホール93を形成する。このとき、Al−Si−Cu膜86、Ti膜87、TiN膜88も開口され、コンタクトホール93からAl−Si−Cu膜86が露出する。この製造方法により、コンタクトホール93から露出するAl−Si−Cu膜86は酸化され、露出するAl−Si−Cu膜86上に酸化膜が形成される。その結果、上下層の配線層間の電流経路に酸化膜が形成されることで、上下層の配線層間の接続抵抗値が低減され難いという問題がある。
【0005】
また、従来の半導体装置の製造方法では、層間絶縁膜102上にAl電極パッド103を形成した後、Al電極パッド103上にパッシベーション膜としての窒化シリコン膜104を形成する。そして、Al電極パッド103の窒化シリコン膜104に開口部105を形成した後、例えば、スパッタリング法により露出したAl電極パッド103上にバリアメタル膜106を形成する。この製造方法により、窒化シリコン膜104に開口部105を形成し、バリアメタル膜106を形成する工程において、開口部105から露出するAl電極パッド103が酸化され、Al電極パッド103上に酸化膜が形成される。そして、Al電極パッド103上の電流経路は、Al電極パッド103、Al電極パッド103上の酸化膜、バリアメタル膜106及び金バンプ107となる。その結果、電流経路に酸化膜が形成されることで、Al電極パッド103上での抵抗値が低減され難いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した各事情に鑑みて成されたものであり、本発明の半導体装置では、半導体基板上に絶縁処理され設けられる第1の配線層と、前記第1の配線層を被覆するように形成される第1の絶縁層と、前記第1の配線層の表面を露出するように、前記第1の絶縁層に設けられる開口領域と、前記開口領域を埋設し、前記第1の配線層と接続するように形成される第1の金属層と、前記第1の金属層上を含む前記第1の絶縁層上に形成される第2の配線層と、前記第2の配線層を被覆するように形成される第2の絶縁層と、前記第2の絶縁層に形成された開口部を介して前記第2の配線層と接続するように形成される第3の配線層とを有する半導体装置において、前記開口部は、前記第1の金属層の形成領域上に配置され、前記開口部内に位置する前記第2の配線層と前記第3の配線層との接続領域には、前記第2の配線層を構成する金属層と前記第3の配線層を構成する金属層との合金層が生成されていることを特徴とする。従って、本発明では、第1の金属層上の第2の配線層と第3の配線層との接続領域には合金層が形成され、その合金層により接続抵抗値が低減される。
【0007】
また、本発明の半導体装置では、前記第3の配線層は、クロム層と、前記クロム層上に銅層を有し、前記第1の金属層と接続している第2の配線層上に形成された前記クロム層の結晶粒子間隔は、他の領域の前記クロム層の結晶粒子間隔よりも広くなり、前記合金層は、前記クロム層の広い結晶粒子間に生成されていることを特徴とする。従って、本発明では、第2の配線層と第3の配線層との接続領域では、クロム層の広い結晶粒子間に合金層が形成され、その合金層が電流経路となり、接続抵抗値が低減される。
【0008】
また、本発明の半導体装置では、前記第2の配線層は、バリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成される第2の金属層とを有し、前記第2の金属層は、前記第1の金属層と接続し、前記開口部内の前記クロム層は、前記第1の金属層上の前記第2の金属層と接続していることを特徴とする。従って、本発明では、クロム層は、第1の金属層と接続する領域の第2の金属層上に形成され、第1の金属層上のクロム層は粗な領域となる。
【0009】
また、本発明の半導体装置では、前記第1の金属層は、CVD法により形成されたタングステン層から成り、前記第2の金属層は、スパッタリング法により形成されたアルミニウム層またはアルミニウム合金層から成り、前記クロム層は、スパッタリング法により形成されていることを特徴とする。従って、本発明では、CVD法により形成されたタングステン層上に、スパッタリング法により第2の金属層及びクロム層が形成されることで、クロム層の粗な領域が形成されている。
【0010】
また、本発明の半導体装置では、前記第3の配線層の銅層は、銅メッキ層であることを特徴とする。従って、本発明では、アルミニウム層またはアルミニウム合金層と銅層との金属反応により合金層が生成される。
【0011】
また、本発明の半導体装置では、前記開口領域上の前記第2の配線層は、電極として用いられることを特徴とする。従って、本発明では、電極上での配線層との接続抵抗値が低減される。
【0012】
また、本発明の半導体装置では、前記第2の絶縁層は、ポリベンズオキサゾール膜またはポリイミド樹脂膜から成ることを特徴とする。従って、本発明では、本発明では、スピンコート樹脂膜としてポリベンズオキサゾール膜等が用いられることで、湿気等の外部環境から半導体素子の劣化が防止され、半導体素子の表面が安定化する。
【0013】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、半導体基板上を絶縁処理し、前記絶縁処理された半導体基板上に第1の配線層を形成し、前記第1の配線層を被覆するように前記絶縁処理された半導体基板上に第1の絶縁層を形成した後、前記第1の配線層の表面が露出するように前記第1の絶縁層に開口領域を形成する工程と、前記開口領域を埋設するように前記第1の絶縁層上に第1の金属層を形成し、前記第1の金属層を選択的に除去した後、前記第1の金属層上を含む前記第1の絶縁層上に第2の配線層を形成する工程と、前記第2の配線層を被覆するように前記第1の絶縁層上に前記第2の絶縁層を形成し、前記第1の金属層上の前記第2の配線層が露出するように前記第2の絶縁層に開口部を形成した後、前記第2の絶縁層の開口部から露出する前記第2の配線層と接続するように第3の配線層を形成する工程とを有することを特徴とする。従って、本発明では、第1の配線層と第2の配線層とを接続する開口領域上に、第2の配線層と第3の配線層とを接続する開口部を形成する。この製造方法により、第2の配線層と第3の配線層との接続領域には合金層が形成され、その合金層により接続抵抗値が低減される。
【0014】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、ウエハの一主面上に絶縁処理され形成される第1の配線層と、前記第1の配線層を被覆するように前記ウエハの一主面上に形成される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層から前記第1の配線層が露出するように形成される開口領域と、前記開口領域内を埋設する第1の金属層と、前記第1の金属層を含む前記第1の絶縁層上に形成される第2の配線層とを有する前記ウエハを準備する工程と、前記第2の配線層を被覆するように前記ウエハの一主面上に第2の絶縁層を形成し、前記第1の金属層上の前記第2の配線層が露出するように前記第2の絶縁層に開口部を形成する工程と、前記第2の絶縁層の開口部から露出する前記第2の配線層と接続するように第3の配線層を形成する工程とを有することを特徴とする。従って、本発明では、第2の配線層を形成するメーカーと第3の配線層を形成するメーカーが異なる場合においても、第2の配線層と第3の配線層との接続領域での抵抗値を低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、上下層の配線層間の接続領域に、両配線層を構成する金属による合金層が形成されている。その合金層が電流経路となることで、接続抵抗値が低減される。
【0016】
また、本発明では、上下層の配線層間の接続領域において、CVD法により形成された金属層上にスパッタリング法により形成された金属層が積層されている。この構造により、配線層間の接続領域は、合金層が形成され易い構造となる。
【0017】
また、本発明では、メッキ用金属層としてクロム層が用いられることで、ポリベンズオキサゾール膜と配線層間の密着性が向上される。
【0018】
また、本発明では、ポリベンズオキサゾール膜またはポリイミド樹脂膜がスピンコート樹脂膜として用いられることで、湿気等の外部環境から半導体素子の劣化が防止される。
【0019】
また、本発明では、合金層は、アルミニウム層またはアルミニウム合金層と銅層との金属反応により生成されている。両金属層は、お互いに親和性の良い金属であり、クロム層の粗な領域において反応し易く、パッド電極上での抵抗値が低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の第1の実施の形態である半導体装置について、図1から図5を参照し、詳細に説明する。図1(A)は、本実施の形態の半導体装置を説明するための断面図である。図1(B)は、本実施の形態の半導体装置を説明するための断面図である。図2(A)〜(C)は、本実施の形態の半導体装置における開口領域を説明するための平面図である。図3(A)及び(B)は、本実施の形態の半導体装置における開口領域上の構造を説明するための断面図である。図4は、開口領域上の金属反応する領域を説明するための解析図である。図5は、開口領域上の金属反応しない領域を説明するための解析図である。
【0021】
図1(A)に示す如く、シリコン基板1上には、絶縁処理用の絶縁層2が形成されている。絶縁層2は、例えば、シリコン酸化膜、NSG(Nondoped Silicate Glass)膜、BPSG(Boron Phospho Silicate Glass)膜等の少なくとも1層が選択されて形成されている。尚、シリコン基板1上に絶縁層2が形成されることで、シリコン基板1上が絶縁処理される。また、シリコン基板1としては、単結晶基板でなるもの、単結晶基板上にエピタキシャル層が形成されるものが考えられる。また、シリコン基板1としては、化合物半導体基板であってもよい。
【0022】
続いて、絶縁層2上に第1の配線層3が形成されている。第1の配線層3は、例えば、バリアメタル膜4上に金属膜5が形成され、その金属膜5上に反射防止膜6が形成されている。そして、バリアメタル膜4は、例えば、チタン(Ti)やチタンナイトライド(TiN)等の高融点金属から成る。また、金属膜5は、例えば、アルミニウム(Al)膜やアルミニウム−シリコン(Al−Si)膜、アルミニウム−シリコン−銅(Al−Si−Cu)膜、アルミニウム−銅(Al−Cu)膜等から選択されて成るアルミニウム(Al)を主体とする合金膜から成る。また、反射防止膜6は、例えば、TiN、チタンタングステン(TiW)等の高融点金属から成る。そして、第1の配線層3の膜厚は、例えば、0.4〜3.0(μm)である。
【0023】
続いて、第1の絶縁層7が、第1の配線層3上を含め、絶縁層2上面に形成されている。この第1の絶縁層7は、シリコン酸化膜、TEOS(Tetra−Ethyl−Orso−Silicate)膜等の少なくとも1層が選択されて形成されている。
【0024】
続いて、開口領域8、9、10、11、12が、反射防止膜6及び第1の絶縁層7を開口して形成されている。開口領域8〜12は、フォトリソグラフィ技術を用い、例えば、CHFまたはCF系のガスを用いたドライエッチングにより、第1の配線層3上の反射防止膜6及び第1の絶縁層7に形成されている。
【0025】
続いて、バリアメタル膜13が、開口領域8〜12内を含む第1の絶縁層7上面に形成されている。バリアメタル膜13は、例えば、TiやTiN等の高融点金属から成る。そして、開口領域8〜12内では、バリアメタル膜13は、第1の配線層3と直接接続している。
【0026】
続いて、第1の金属層14、15、16、17、18が、開口領域8〜12内に埋設されている。第1の金属層14〜18は、例えば、タングステン(W)層から成り、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成されている。
【0027】
続いて、第2の金属層19が、バリアメタル膜13及び第1の金属層14〜18上面に形成されている。第2の金属層19は、例えば、Al層やAl−Si膜、Al−Si−Cu膜、Al−Cu膜等から少なくとも1層が選択されて成るAlを主体とする合金層により形成されている。そして、第2の金属層19及びバリアメタル膜13は、第2の配線層20を構成している。尚、図示していないが、開口部22から露出しない領域の第2の金属層19上面には、例えば、TiN、TiW等の高融点金属層から成る反射防止膜が形成されている場合でもよい。
【0028】
続いて、スピンコート樹脂膜21が、第2の配線層20上を含め、第1の絶縁層7上面に形成されている。スピンコート樹脂膜21は第2の絶縁層であり、例えば、ポリベンズオキサゾール(PBO)膜またはポリイミド樹脂膜等から成る。そして、PBO膜は、感光性樹脂であり、高耐熱性、高機械特性及び低誘電性等の特性を有する膜である。更に、PBO膜は、湿気等の外部環境から半導体素子の劣化を防止し、半導体素子の表面を安定化させることができる。
【0029】
前述した開口領域8〜12の形成領域上であり、第2の金属層19上のスピンコート樹脂膜21に開口部22が形成されている。この開口部22は、フォトリソグラフィ技術を用い、例えば、ウエットエッチングにより形成されている。この開口部22は、開口領域8〜12の形成領域上が開口されるように、大きく1つの開口形状である。そして、開口部22からは、第2の金属層19が露出している。
【0030】
続いて、メッキ用金属層23が、開口部22内を含むスピンコート樹脂膜21上面に形成されている。そして、メッキ用金属層23は、開口部22内では第2の金属層19と直接接続している。
【0031】
このメッキ用金属層23としては、二つのタイプの膜が積層して設けられている。一つ目の膜は、高融点金属膜であり、例えば、クロム(Cr)層、Ti層またはTiW層であり、スパッタリング法により形成されている。一つ目の膜は、メッキ用金属層23上にメッキ層を形成する際のシード層として用いられる。更に、この一つ目の膜の上には二つ目の膜として、Cu層またはニッケル(Ni)層が、例えば、スパッタリング法により形成されている。二つ目の膜は、メッキ用金属層23上にメッキ層を形成する際の種として用いられる。そして、スピンコート樹脂膜21としてPBO膜を用いた場合、例えば、メッキ用金属層23としてCr層を用いることで、PBO膜とCr層との密着性及びCr層とCuメッキ層24との密着性により、PBO膜とCuメッキ層24間の密着性が向上される。
【0032】
続いて、Cuメッキ層24が、メッキ用金属層23上面に、例えば、電解メッキ法により形成されている。Cuメッキ層24が形成される場合には、メッキ用金属層23としてCu層が用いられる。
【0033】
一方、Cuメッキ層24に換えて金(Au)メッキ層が形成される場合には、メッキ用金属層23として、Cu層に換えてNi層が用いられる。
【0034】
尚、図1(A)では、メッキ用金属層23としてCu層を形成し、当該Cu層上面にCuメッキ層24を形成する場合を図示している。そのため、メッキ用金属層23としてのCu層は、実質、電解メッキ法によりCuメッキ層24と置き換わるため、Cuメッキ層24と一体に図示している。また、Cuメッキ層24に換えて、メッキ用金属層23上に、例えば、Auまたは半田から成るバンプ電極を形成する場合でもよい。
【0035】
また、図示していないが、第2の配線層20上面にシールド層が形成されている場合でもよい。シールド層は、例えば、シリコン窒化(SiN)膜から形成され、絶縁層2、7内への水分の進入を防止し、配線層等の腐食を防止することができる。シールド層が形成される場合には、開口部22内に位置するシールド層は取り除かれ、開口部22からは第2の金属層19が露出する構造となる。
【0036】
図1(B)は、図1(A)に示す構造にバンプ電極が形成された構造を図示している。そのため、図1(A)と同一の構成部材には同一の符番を付し、異なる構成部材のみを説明し、同一の構成部材はその説明を省略する。尚、メッキ用金属層23及びCuメッキ層24が、配線層として用いられ、任意の領域に引き廻されたCuメッキ層24上にバンプ電極が形成される構造を図示している。
【0037】
図示の如く、先ずは、PBO膜25が、図1(A)に示す構造の表面に形成されている。そして、Cuメッキ層24上のPBO膜25には開口部26が形成され、開口部26からはCuメッキ層24の一部が露出している。
【0038】
続いて、バンプ電極27が、開口部26を介してCuメッキ層24と接続して形成されている。バンプ電極27は、例えば、下層からCu、Au、半田の順に形成されている。
【0039】
図1(B)に示す構造では、Cuメッキ層24は、この部分から半導体素子の形成領域と電気的に接続する配線層として用いられる場合でもよい。そして、Cu配線層として用いられることで、Al配線層の場合と比較して、配線抵抗値が低減される。具体的には、Cu配線層のシート抵抗値は、2.0(μΩ・cm)程度であり、Al配線層のシート抵抗値は、3.0(μΩ・cm)程度である。更に、配線層としてのCuメッキ層24は、電解メッキ法により形成されることで、その膜厚が10.0(μm)程度となる。一方、Al配線層は、スパッタリング法により形成されることで、その膜厚が2.0〜3.0(μm)程度となる。つまり、Cuメッキ層24が配線層として用いられることで、その膜厚によっても配線抵抗値が低減される。
【0040】
図2(A)は、第2の配線層20を構成する第2の金属層19下方の第1の絶縁層7に形成された複数の開口領域8〜12ついて示している。尚、実線は第1の絶縁層7に形成された開口領域8〜12を示し、点線は第2の金属層19を示し、一点鎖線は第1の配線層3を示している。
【0041】
図示したように、平面的に見た場合に第1の配線層3と第2の金属層19とが重なり合う領域の第1の絶縁層7に開口領域8〜12が形成されている。前述したように、開口領域8〜12には第1の金属層14〜18(図1(A)参照)が埋設され、第1の配線層3と第2の配線層20とは電気的に接続している。そして、開口領域8〜12は、例えば、一辺の長さが0.5〜20.0(μm)の範囲から成り、四角形形状である。詳細は後述するが、第1の金属層14〜18上に直接第2の金属層19が形成される領域が増大することで、開口領域14〜18上での第2の配線層20とCuメッキ層24との接続抵抗値が低減される。尚、開口領域8〜12の開口形状は、必ずしも四角形形状である必要はなく、三角形形状、円形状等の種々の形状であってもよい。
【0042】
また、図2(B)に示すように、平面的に見た場合に第1の配線層3と第2の金属層19とが重なり合う領域が、配線パターンの線幅よりも広く配置される場合、例えば、正方形状となる場合でもよい。前述した重なり合う領域に位置する第1の絶縁層7に開口領域8〜12、28〜47が形成される場合でもよい。そして、開口領域8〜12、28〜47が、例えば、前述した重なり合う領域の第1の絶縁層7に市松模様となるように形成されている。ここでの市松模様とは、あたかも開口領域8〜12、28〜47が島状に位置し、マトリックス状に並んだ形状であり、第1の絶縁層7は、この開口領域8〜12、28〜47を囲むように格子状に形成されている。尚、詳細は後述するが、第1の金属層であるW層が埋設される領域が増大することで、開口領域8〜12、28〜47上での第2の配線層20とCuメッキ層24との接続抵抗値が大幅に低減される。
【0043】
一方、図2(C)に示すように、平面的に見た場合に第1の配線層3と第2の金属層19とが重なり合う領域に位置する第1の絶縁層7に1つの開口領域48が形成される場合でもよい。尚、詳細は後述するが、第1の金属層であるW層が埋設される領域が増大することで、開口領域48上での第2の配線層20とCuメッキ層24との接続抵抗値が大幅に低減される。
【0044】
図3(A)は、開口領域9〜11上でのバリアメタル膜13、第1の金属層15〜17、第2の金属層19、メッキ用金属層23、Cuメッキ層24の接続状態を示している。尚、図示していないが、開口領域8、12上においても同様な構造となる。
【0045】
第2の金属層19は、Al層またはAl合金層であり、例えば、スパッタリング法により、バリアメタル膜13または第1の金属層15〜17上に堆積されている。そして、バリアメタル膜13は、TiやTiN等の高融点金属であり、例えば、スパッタリング法により第1の絶縁層7上面に形成されている。そして、バリアメタル膜13の結晶構造は、柱状結晶構造であると推定される。一方、第1の金属層15〜17は、W層であり、例えば、CVD法により形成されている。そして、第1の金属層15〜17の結晶構造は、微小なグレインから構成された多結晶構造であると推定される。つまり、第1の金属層15〜17の結晶構造は、結晶方位に統一性のない結晶構造であると推定される。
【0046】
この構造により、第2の金属層19は、下層膜の結晶構造の影響を受けるため、第2の金属層19の結晶構造は、バリアメタル膜13上と第1の金属層15〜17上とでは異なる。具体的には、第2の金属層19は、ハッチングがされていない領域、つまり、バリアメタル膜13上面では、結晶粒子間が密な状態であり、柱状結晶構造であると推定される。一方、第2の金属層19は、砂状のハッチングがされた領域、つまり、第1の金属層15〜17上面では、結晶方位に統一性のない結晶構造であると推定される。
【0047】
更に、メッキ用金属層23を構成するCr層が、例えば、スパッタリング法により第2の金属層19上面に堆積されている。そして、Cr層においても第2の金属層19と同様に、下層膜の結晶構造の影響を受ける。そのため、ハッチングがされていない領域、つまり、バリアメタル膜13上方では、結晶粒子間が密な状態であり、柱状結晶構造であると推定される。一方、斜線のハッチングがされた領域、つまり、第1の金属層15〜17上方では、Cr層は、結晶粒子間が粗な状態であり、結晶方位に統一性のない結晶構造であると推定される。
【0048】
Cuメッキ層24は、結晶粒子間が粗な状態と結晶粒子間が密な状態の両状態を有するCr層上面に形成されている。そして、前述したように、斜線のハッチングで示し、Cr層の結晶粒子間が粗な領域では、Cr層の結晶粒子間が広くなり、結晶粒子が存在している部分と結晶粒子が存在していない部分が発生する。この結晶粒子が粗な領域において、Cuメッキ層24とAl層またはAl合金層から成る第2の金属層19とが金属反応している。この現象は、Cuメッキ層24と第2の金属層(Al層またはAl合金層)19とは、親和性が良く、金属反応し易いために起こる。
【0049】
具体的には、斜線のハッチングで示し、Cr層の結晶粒子間が粗な領域では、Cr層の結晶粒子同士が密に接しておらず、結晶粒子間が開いて存在する、粗状態となる。そして、後工程の熱処理、例えば、バンプ電極形成時の熱処理により、Cr層の結晶粒子が粗な領域では、Cr層の上下に形成されたCuメッキ層24と第2の金属層19とが、結晶粒子間を流動し、金属反応する。そして、金属反応した領域には、CuとAlとを含む合金層が形成されている。
【0050】
図3(B)では、開口領域49、50、51が形成された絶縁層52上面に金属層53、メッキ用金属層54及びCuメッキ層55が形成されている構造を示している。図示したように、開口領域49〜51は、バリアメタル膜56、57、58及び金属層59、60、61により埋設された後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨されている。そして、絶縁層52、バリアメタル膜56〜58及び金属層59〜61により平坦面が形成され、その平坦面上に金属層53が形成されている。尚、図2(A)と同様に、金属層53は、Al層またはAl合金層であり、例えば、スパッタリング法により形成されている。メッキ用金属層54を構成するCr層は、例えば、スパッタリング法により形成されている。バリアメタル膜56〜58は、TiやTiN等の高融点金属であり、例えば、スパッタリング法により形成されている。金属層59〜61は、W層であり、例えば、CVD法により形成されている。また、Cuメッキ層55は、メッキ用金属層54を構成するCu層を種として電解メッキ法により形成されている。
【0051】
この構造により、金属層53は、ハッチングがされていない領域、つまり、バリアメタル膜56〜58及び絶縁層52上面では、結晶粒子間が密な状態であり、柱状結晶構造であると推定される。一方、金属層53は、砂状のハッチングがされた領域、つまり、金属層59〜61上面では、結晶方位に統一性のない結晶構造であると推定される。
【0052】
更に、メッキ用金属層54を構成するCr層は、ハッチングがされていない領域、つまり、バリアメタル膜56〜58及び絶縁層52上方では、結晶粒子間が密な状態であり、柱状結晶構造であると推定される。一方、斜線のハッチングがされた領域、つまり、金属層59〜61上方では、Cr層は、結晶粒子間が粗な状態であり、結晶方位に統一性のない結晶構造であると推定される。
【0053】
そして、Cuメッキ層55は、結晶粒子間が粗な状態と結晶粒子間が密な状態の両状態を有するCr層上面に形成されている。図3(A)の構造にて前述したように、斜線のハッチングで示し、Cr層の結晶粒子間が粗な領域では、Cr層の結晶粒子間が広くなり、Cr層の結晶粒子間において、Cuメッキ層55とAl層またはAl合金層から成る金属層53とが金属反応している。そして、金属反応した領域には、CuとAlとを含む合金層が形成されている。
【0054】
図4は、図3(A)に示すメッキ用金属層23において、斜線のハッチングがされた領域の解析図である。図示したように、+印011が示し、図面の中央領域を横断する黒い領域上がCuメッキ層24である。+印012が示し、図面の中央領域を横断する黒い領域がCr層である。+印013が示し、図面の中央領域を横断する黒い領域が破断されている領域が合金層である。+印014が示し、図面の中央領域を横断する黒い領域下が第2の金属層19である。図に示すように、Cr層の結晶粒子が粗な領域では、Cr層の結晶粒子間を前述した金属が流動し、金属反応した合金層により、Cr層が破断されている。そして、Cuメッキ層24と第2の金属層19とが、合金層により接続されている。
【0055】
このとき、定かではないが、第2の金属層19表面に形成された酸化膜は、金属反応の際に、若干、金属反応する領域から他の領域に追いやられたり、あるいは、拡散し無くなってしまったりする。つまり、金属反応し、CuとAlとを含む合金層が形成される領域は、Cuメッキ層24と第2の金属層19との間にCr層が存在する領域よりも低抵抗領域となる。
【0056】
図5は、図3(A)に示すメッキ用金属層23において、ハッチングがされていない領域の解析図である。図示したように、+印001が示し、図面の中央領域を縞状に横断する領域上の黒い領域がCuメッキ層24である。+印002が示し、図面の中央領域を縞状に横断する領域の直上が、Cuメッキ層24とCr層との境界領域である。+印003が示し、図面の中央領域を縞状に横断する領域がCr層である。+印004が示し、図面の中央領域を縞状に横断する領域の直下がCr層と第2の金属層19との境界領域である。+印006が示し、図面の中央領域を縞状に横断する領域下の白い領域が第2の金属層19である。図に示すように、Cr層の結晶粒子は柱状結晶状態であり、結晶粒子同士が当接するようにCr層は密な状態である。そのため、Cuメッキ層24と第2の金属層19とは、Cr層の結晶粒子間を介して金属反応することなく、Cr層により区分されている。尚、+印004で示す領域では、第2の金属層19表面に形成された酸化膜も観察される。
【0057】
そして、Cr層の結晶粒子が密な領域では、第2の金属層19表面の酸化膜及びCr層によって、金属反応し合金層が存在する領域よりも高抵抗領域となる。
【0058】
つまり、Cuメッキ層24は、第1の配線層3と第2の配線層20とを接続させる開口領域8〜12上において、第2の配線層20と接続している。この構造により、第2の配線層20とCuメッキ層24間を流れる電流は、開口領域8〜12上方のCuとAlとを含む合金層が形成された領域を主な電流経路としている。前述したように、Cr層が粗な領域であり、合金層が形成された領域は、Cr層が密な領域よりも低抵抗領域であるため、第2の配線層20とCuメッキ層24との接続抵抗値が低減される。
【0059】
尚、本実施の形態では、メッキ用金属層23及びCuメッキ層24により配線層を構成する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、メッキ用金属層23に換えて、例えば、スパッタリング法によりTiやTiN等の高融点金属から成るバリアメタル膜を形成し、Cuメッキ層24に換えて、例えば、スパッタリング法によりCu層を形成する構造の場合でもよい。この構造においても、バリアメタル膜の粗な領域を介して、CuとAlとを含む合金層が形成され、更に、第2の金属層19上の酸化膜が拡散し無くなる等により、第2の配線層20とCu層との接続抵抗値が低減される。また、スピンコート樹脂膜21に換えて、シリコン酸化膜、TEOS膜等の絶縁層が形成される場合でもよい。
【0060】
また、本実施の形態では、Al層またはAl合金層を主金属材料とする第2の配線層20とCuメッキ層24から成る配線層との接続構造について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、図2(B)及び(C)に示すように、配線幅を広く形成した領域を電極として用い、電極とCuメッキ層との接続抵抗値を低減する構造でもよい。この構造においても、電極下方に配置しれた開口領域内にW層を埋設し、電極を構成するAl層またはAl合金層とCuメッキ層とが金属反応し、電極上に合金層が形成されることで同様な効果を得ることができる。
【0061】
また、本実施の形態では、絶縁層2上方に、第1の配線層3、第2の配線層20及びCuメッキ層24から成る配線層が形成される構造について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、絶縁層2内に、例えば、Al層またはAl合金層を主金属材料とする配線層が形成され、更なる、多層配線構造となる場合でもよい。また、絶縁層2に形成された開口領域を介して、第1の配線層3とシリコン基板1に形成された半導体素子の拡散領域とが電気的に接続している構造の場合でもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0062】
次に、本発明の実施の形態である半導体装置の製造方法について、図6〜図9を参照し、詳細に説明する。図6〜図9は、本実施の形態における半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。尚、本実施の形態では、図1(A)に示す構造の製造方法を説明するため、同一の構成部材には同一の符番を付している。
【0063】
先ず、図6に示す如く、シリコン基板(ウエハ)1を準備し、シリコン基板1上に絶縁層2を形成する。シリコン基板1としては、単結晶基板でなるもの、単結晶基板上にエピタキシャル層が形成されるものが考えられる。また、シリコン基板1としては、化合物半導体基板であってもよい。当然であるが、シリコン基板1(エピタキシャル層が形成されている場合には、エピタキシャル層も含む)には、拡散領域により半導体素子が形成されている。また、絶縁層2としては、シリコン酸化膜、NSG膜、BPSG膜等の少なくとも1層が選択されて形成され、例えば、熱酸化法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成される。
【0064】
続いて、絶縁層2上に第1の配線層3を形成する。具体的には、シリコン基板1上に、例えば、スパッタリング法により、バリアメタル膜4として、TiやTiN等の高融点金属を堆積する。連続して、シリコン基板1上に、例えば、スパッタリング法により、金属膜5として、例えば、Al膜またはAl−Si膜、Al−Si−Cu膜、Al−Cu膜等から選択されて成るAl合金膜を堆積する。更に、連続して、シリコン基板1上に、例えば、スパッタリング法により、反射防止膜6として、例えば、TiN、TiW等の高融点金属を堆積する。その後、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用い、前述したバリアメタル膜4、金属膜5及び反射防止膜6を選択的に除去し、第1の配線層3を形成する。
【0065】
次に、図7に示す如く、第1の配線層3上を含む、シリコン基板1上に第1の絶縁層7を形成する。第1の絶縁層7としては、例えば、CVD法によりシリコン酸化膜、TEOS膜等が形成される。そして、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用い、第1の配線層3上の反射防止膜6及び第1の絶縁層7に開口領域8、9、10、11、12を形成する。開口領域8〜12は、例えば、CHFまたはCF系のガスを用いたドライエッチングにより形成される。
【0066】
次に、図8に示す如く、開口領域8〜12内を含む、シリコン基板1上に、例えば、スパッタリング法により、バリアメタル膜13として、TiやTiN等の高融点金属を堆積する。そして、シリコン基板1上に、例えば、CVD法により、第1の金属層14〜18としてW層を堆積した後、エッチバックし、開口領域8〜12内をバリアメタル膜13及び第1の金属層14〜18により埋設する。その後、シリコン基板1上に、例えば、スパッタリング法により、第2の金属層19として、例えば、Al層またはAl−Si膜、Al−Si−Cu膜、Al−Cu膜等から選択されて成るAl合金層を堆積する。そして、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用い、前述したバリアメタル膜13及び第2の金属層19を選択的に除去し、第2の配線層20を形成する。
【0067】
尚、必要に応じてAl層またはAl合金層から成る第2の金属層19の上層には、例えば、TiN、TiW等の高融点金属から成る反射防止膜が形成されてもよい。
【0068】
次に、図9に示す如く、シリコン基板1上に、例えば、回転塗布法により、スピンコート樹脂膜21を形成する。材料としては、PBO膜、ポリイミド樹脂膜等が用いられる。そして、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用い、開口領域8〜12の形成領域であり、第2の金属層19上のスピンコート樹脂膜21に開口部22を形成する。そして、開口部22からは、第2の金属層19が露出している。尚、スピンコート樹脂膜21に開口部22を形成する工程により、第2の金属層19表面に、例えば、3(nm)程度の酸化膜が形成される。
【0069】
次に、シリコン基板1上に、例えば、スパッタリング法により、Cr層71とCu層72とを全面に堆積して形成する。そして、例えば、メッキ用金属層23としてCr層71を用いることで、PBO膜とCuメッキ層24(図10参照)間の密着性を向上させることができる。その後、Cuメッキ層24をリフトオフにパターニングするため、Cuメッキ層24の形成領域を除いた部分にフォトレジスト層73を形成する。
【0070】
次に、図10に示す如く、電解メッキ法により、Cuメッキ層24を形成する。前述したように、Cr層71はシード層として用いられ、Cu層72は電解メッキの際の種として用いられる。
【0071】
続いて、前述したフォトレジスト層73を取り除くことにより、Cr層71及びCu層72上のCuメッキ層24がパターニングされる。更に、このCuメッキ層24をマスクとして用い、ウエットエッチングによりCr層71及びCu層72を選択的に除去し、図1(A)に示す構造が完成する。その後、図示していないが、Cuメッキ層24上にPBO膜25、バンプ電極27(図1(B)参照)を形成する場合でもよい。
【0072】
尚、電解メッキ法により、メッキ用金属層23上にCuメッキ層24が形成されるが、Cu層72は、実質、Cuメッキ層24と置き換えられる。そのため、Cuメッキ層24とCu層72とは一体に図示し、Cr層71のみ図示している。
【0073】
本実施の形態では、ウエハを準備し、ウエハ上に絶縁層2、第1の配線層3、第1の絶縁層7、開口領域8〜12、バリアメタル膜13、第1の金属層14〜18、第2の金属層19を形成する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、絶縁層2、第1の配線層3、第1の絶縁層7、開口領域8〜12、バリアメタル膜13、第1の金属層14〜18、第2の金属層19が形成された状態のウエハを準備し、前記ウエハに対してスピンコート樹脂膜21、開口部22、メッキ用金属層23、Cuメッキ層24、バンプ電極27等を形成する場合でもよい。
【0074】
また、本実施の形態では、メッキ用金属層23として、Cr層71上にCu層72を堆積する場合(図9参照)について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、メッキ用金属層23としては、Cr層71の換わりにTi層やTiW層が用いられ、Cu層72の換わりにNi層が形成される場合でもよい。そして、Ni層が用いられる場合には、Ni層上にCuメッキ層に換えてAuメッキ層が形成される場合でもよい。
【0075】
また、本実施の形態では、開口部22内及びスピンコート樹脂膜21上にメッキ用金属層23及びCuメッキ層24を形成する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、メッキ用金属層23に換えて、例えば、スパッタリング法によりTiやTiN等の高融点金属から成るバリアメタル膜を形成し、Cuメッキ層24に換えて、例えば、スパッタリング法によりCu層を形成する場合でもよい。この製造方法においても、バリアメタル膜の粗な領域を介して、CuとAlとを含む合金層が形成され、更に、第2の金属層19上の酸化膜が拡散し無くなる等により、第2の配線層20とCu層との接続抵抗値が低減される。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置を説明するための(A)断面図、(B)断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における半導体装置を説明する(A)平面図、(B)平面図、(C)平面図である。
【図3】本発明の実施の形態における半導体装置を説明するための(A)断面図、(B)断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における半導体装置の金属反応する領域を説明するための解析図である。
【図5】本発明の実施の形態における半導体装置の金属反応しない領域を説明するための解析図である。
【図6】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図10】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図11】従来の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する(A)断面図、(B)断面図、(C)断面図、(D)断面図、(E)断面図である。
【図12】従来の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する(A)断面図、(B)断面図、(C)断面図、(D)断面図、(E)断面図、(F)断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 シリコン基板
3 第1の配線層
7 第1の絶縁層
8 開口領域
13 バリアメタル膜
14 第1の金属層
19 第2の金属層
20 第2の配線層
21 スピンコート樹脂膜
23 メッキ用金属層
24 Cuメッキ層
27 バンプ電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に絶縁処理され設けられる第1の配線層と、
前記第1の配線層を被覆するように形成される第1の絶縁層と、
前記第1の配線層の表面を露出するように、前記第1の絶縁層に設けられる開口領域と、
前記開口領域を埋設し、前記第1の配線層と接続するように形成される第1の金属層と、
前記第1の金属層上を含む前記第1の絶縁層上に形成される第2の配線層と、
前記第2の配線層を被覆するように形成される第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層に形成された開口部を介して前記第2の配線層と接続するように形成される第3の配線層とを有する半導体装置において、
前記開口部は、前記第1の金属層の形成領域上に配置され、
前記開口部内に位置する前記第2の配線層と前記第3の配線層との接続領域には、前記第2の配線層を構成する金属層と前記第3の配線層を構成する金属層との合金層が生成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第3の配線層は、クロム層と、前記クロム層上に銅層を有し、
前記第1の金属層と接続している第2の配線層上に形成された前記クロム層の結晶粒子間隔は、他の領域の前記クロム層の結晶粒子間隔よりも広くなり、前記合金層は、前記クロム層の広い結晶粒子間に生成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2の配線層は、バリアメタル層と、前記バリアメタル層上に形成される第2の金属層とを有し、
前記第2の金属層は、前記第1の金属層と接続し、前記開口部内の前記クロム層は、前記第1の金属層上の前記第2の金属層と接続していることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の金属層は、CVD法により形成されたタングステン層から成り、前記第2の金属層は、スパッタリング法により形成されたアルミニウム層またはアルミニウム合金層から成り、前記クロム層は、スパッタリング法により形成されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3の配線層の銅層は、銅メッキ層であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記開口領域上の前記第2の配線層は、電極として用いられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2の絶縁層は、ポリベンズオキサゾール膜またはポリイミド樹脂膜から成ることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体基板上を絶縁処理し、前記絶縁処理された半導体基板上に第1の配線層を形成し、前記第1の配線層を被覆するように前記絶縁処理された半導体基板上に第1の絶縁層を形成した後、前記第1の配線層の表面が露出するように前記第1の絶縁層に開口領域を形成する工程と、
前記開口領域を埋設するように前記第1の絶縁層上に第1の金属層を形成し、前記第1の金属層を選択的に除去した後、前記第1の金属層上を含む前記第1の絶縁層上に第2の配線層を形成する工程と、
前記第2の配線層を被覆するように前記第1の絶縁層上に前記第2の絶縁層を形成し、前記第1の金属層上の前記第2の配線層が露出するように前記第2の絶縁層に開口部を形成した後、前記第2の絶縁層の開口部から露出する前記第2の配線層と接続するように第3の配線層を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1の金属層としてCVD法によりタングステン層を形成した後、前記第2の配線層としてスパッタリング法によりアルミニウム層またはアルミニウム合金層を形成することを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第3の配線層としてスパッタリング法によりクロム層及び前記クロム層上に銅層を形成した後、前記銅層上に電解メッキ法により銅メッキ層を形成することを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第2の絶縁層としてポリベンズオキサゾール膜またはポリイミド樹脂膜を形成することを特徴とする請求項8または請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
ウエハの一主面上に絶縁処理され形成される第1の配線層と、前記第1の配線層を被覆するように前記ウエハの一主面上に形成される第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層から前記第1の配線層が露出するように形成される開口領域と、前記開口領域内を埋設する第1の金属層と、前記第1の金属層を含む前記第1の絶縁層上に形成される第2の配線層とを有する前記ウエハを準備する工程と、
前記第2の配線層を被覆するように前記ウエハの一主面上に第2の絶縁層を形成し、前記第1の金属層上の前記第2の配線層が露出するように前記第2の絶縁層に開口部を形成する工程と、
前記第2の絶縁層の開口部から露出する前記第2の配線層と接続するように第3の配線層を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1の金属層としてCVD法によりタングステン層を形成した後、前記第2の配線層としてスパッタリング法によりアルミニウム層またはアルミニウム合金層を形成することを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第3の配線層としてスパッタリング法によりクロム層及び前記クロム層上に銅層を形成した後、前記銅層上に電解メッキ法により銅メッキ層を形成することを特徴とする請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2の絶縁層としてポリベンズオキサゾール膜またはポリイミド樹脂膜を形成することを特徴とする請求項12または請求項14に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−270366(P2008−270366A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108548(P2007−108548)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】