説明

半導体装置

【課題】半導体装置の小型化、特に、狭ピッチ化に対する技術を提供する。
【解決手段】半導体チップ1C上に設けられたパッド2と、プローブ領域10Aおよび接続領域10Bのパッド2上に開口部11を有し、半導体チップ1C上に設けられたパッシベーション膜3と、接続領域10Bのパッド2上に開口部12を有し、パッド2上およびパッシベーション膜3上に設けられたパッシベーション膜5と、パッド2と電気的に接続され、接続領域10B上およびパッシベーション膜5上に設けられた再配線7とを備える。接続領域10Bより半導体チップ1Cの外周部側に設けられたプローブ領域10Aのパッド2にプローブ痕100が存在し、接続領域10Bから半導体チップ1Cの中央部側に延びて再配線7が存在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、パッドにプローブ針を接触させて行うプローブ検査工程後に、そのパッド上にめっきによって形成される導電膜を有する半導体装置の製造に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体回路(例えば、LSI)を備えた半導体装置のプローブ検査工程(テスト工程)では、半導体ウエハ上に形成されたパッドの表面にプローブ針(探針)を接触させて電気的特性を測定している。このプローブ針は例えばW(タングステン)のような硬化な金属から構成され、また先端が尖端となっているため、プローブ検査工程において、例えばAl(アルミニウム)から構成されるパッドの表面にプローブ痕として外傷を与えてしまう。
【0003】
特開2007−318014号公報(特許文献1)には、2つの領域を有するパッドにおいて、一方の領域でプローブ針を接触させて検査を行い、プローブ痕のない他方の領域にバンプ電極を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−318014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は本発明者らが検討した製造工程中における半導体装置の要部の断面を示す模式図であり、(a)は半導体回路およびパッドの形成工程が終了した状態、(b)はプローブ検査工程でプロービングした状態、(c)は再配線が形成された状態が示されている。図中の符号は、1Wが半導体ウエハ、2がパッド、3がパッシベーション膜、4がプローブ針、5がパッシベーション膜、6がシード膜、7が再配線、8がパッシベーション膜、9がバンプ電極である。
【0006】
半導体装置を製造する工程において、半導体ウエハ1Wの主面(素子形成面)に形成された半導体回路の特性検査を行うために、プローブ針4を用いたプローブ検査工程がある。このプローブ検査工程は、各デバイス形成領域(後の半導体チップとなる領域、チップ領域)上に形成された複数のパッド2(図1(a))に、プローブ針4を接触させた状態で行う(図1(b))。そのため、プローブ検査工程を終えた各デバイス形成領域のそれぞれのパッド2の表面には、プローブ針4によるプローブ痕100(外傷、窪み)が形成される。なお、図1では、プロービングにカンチレバー方式を適用している場合が示されている。
【0007】
近年では、半導体装置の小型化に伴い、半導体チップにおけるパッドのピッチ(パッドピッチ)も狭くなる傾向である。そのため、高機能化による多ピン化にも対応するためにそれぞれのパッドの寸法が小さくする必要がある。これにより、このようなパッドに対してプローブ検査を行った場合、パッドに対するプローブ痕の大きさは、大きく見える。
【0008】
例えば、このようなプローブ痕が大きく形成されたパッド上にワイヤ(以下、単にワイヤという)を接続すると、プローブ痕が形成されている分だけ、ワイヤとパッドとの接触面積が低下することから、接続不良の問題が発生する。そこで、前記特許文献1に示すように、形成されたプローブ痕を避けた位置にワイヤを接続することが考えられる。
【0009】
一方で、半導体装置の狭ピッチ化への対応策として、再配線技術により、パッドのピッチ変換を行うのが有効とされている。再配線技術(WPP(Wafer Process Package)技術、WLP(Wafer Level Package)技術ともいう)は、通常のウエハプロセス(前工程)とパッケージプロセス(後工程)とを一体化した技術であり、半導体ウエハの状態でパッケージングまで完了した後、半導体チップ毎に個片化するものである。すなわち、狭ピッチ化に対応したパッドをウエハプロセスの微細化技術によって形成し、さらにパッドと電気的に接続された再配線を形成して広いピッチへ変換した半導体チップを形成するものである。
【0010】
本願発明者らは、ワイヤを半導体チップのパッドに接続するような半導体装置ではなく、この再配線技術を用いて、半導体チップのパッドのピッチを変換するような半導体装置について検討しており、このような半導体装置において以下の問題を見出した。
【0011】
まず、再配線技術は、各デバイス形成領域に形成されたパッド2上に、スパッタ法を用いて導電膜であるシード膜6を形成し、めっき法を用いて再配線7(配線層)を形成する。次いで、半導体ウエハ(後に半導体チップとなる)の主面上において所望の位置(空いた領域)まで、半導体チップの外部と接続するためにパッド2を引き出すものである。すなわち、再配線7はめっき法により形成されるため、たとえパッド2上にプローブ痕100が形成されていたとしても、再配線7はこのプローブ痕100を塞ぐようにパッド2上に形成される。そのため、再配線技術を用いれば、パッド2上にプローブ痕100が大きく形成されていたとしても、再配線7とパッド2との接続は可能である。
【0012】
しかしながら、本願発明者らは新たに以下の問題を発見した。まず、本願発明者は、図1(c)に示すように、再配線7の表面に、こぶのような凸部101が形成されていることに気づいた。そして、この凸部101の解析を行った結果、図1(c)に示すように、パッド2の表面と再配線7との界面において、鬆102(隙間)が生じていることが分かった。
【0013】
めっき法により形成された再配線7は、一見、プローブ痕100が再配線7で塞がれたように見えるが、その内部ではプローブ痕100(窪み)の上部を塞ぐようにめっき膜(めっき層)が成長するため、鬆102が形成されたと考えられる。プローブ4が接触される領域(そのマージンを含む)と、マージンを含めたパッド2上でシード膜6(導電膜)が形成される領域(そのマージンを含む)が同等の場合、電流経路にこのような鬆102が形成されていると、配線としての抵抗が高くなり信号伝搬速度に遅延が生じる恐れがある。
【0014】
また、プローブ痕102の段差によるシード膜6が切れることは、その後の一様なめっき成長を妨げる。このため、めっき内部に鬆が形成され、コンタクト面積の減少や接続性の低下、表面平坦性の悪化、上層のパッシベーション膜8のカバレッジの低下、隣接部との短絡(ショート)が懸念される。
【0015】
本発明の目的は、半導体装置の小型化、特に、狭ピッチ化に対する技術を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、半導体装置の多ピン化に対する技術を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、半導体装置の高速化に伴う電気的特性の向上に対する技術を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、半導体装置の信頼性の向上に対する技術を提供することにある。
【0019】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0021】
本発明の一実施の形態は、半導体ウエハ上に、プローブ領域および接続領域を有するパッドを形成し、さらに前記プローブ領域および前記接続領域を露出する第1絶縁を形成した後、前記プローブ領域でプローブ針を接触させて電気的特性を測定し、前記パッド上の前記第1絶縁膜および前記接続領域を覆う導電膜を形成するものである。
【発明の効果】
【0022】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0023】
本発明の一実施の形態によれば、プローブ痕による鬆を有しない導電膜を用いて、再配線を形成することができる。これにより、半導体装置の小型化、特に、狭ピッチ化に対する技術を提供することができる。また、半導体装置の多ピン化に対する技術を提供することができる。また、半導体装置の信頼性向上に対する技術を提供することができる。また、半導体装置の高速化に伴う電気的特性の向上に対する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明者らが検討した製造工程中における半導体装置の要部の断面を示す模式図であり、(a)は半導体回路およびパッドの形成工程が終了した状態、(b)はプローブ検査工程でプロービングした状態、(c)は再配線が形成された状態である。
【図2】本発明の一実施の形態における半導体装置の平面を示す模式図である。
【図3】図2に示す半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図4】図2に示す半導体装置の平面の要部を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施の形態における半導体装置の製造工程の流れを示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態における半導体ウエハの平面を示す模式図である。
【図7】図5に示す製造工程中における半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図8】図7に続く製造工程中における半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図9】図8に続く製造工程中における半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図10】図9に続く製造工程中における半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図11】図10に続く製造工程中における半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図12】図11に続く製造工程中における半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図13】本発明の一実施の形態における半導体装置の実装基板への実装状態を示す模式図である。
【図14】本発明の他の実施の形態における半導体装置の平面を示す模式図である。
【図15】図14に示す半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図16】図14に示す半導体装置の平面の要部を示す模式図である。
【図17】バンプ電極にワイヤボンディング接続され、この複数のワイヤを介して半導体チップの複数のパッドと、この半導体チップを実装する基板の複数の電極とがそれぞれ電気的に接続された図14に示す半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図18】平面視におけるワイヤの接続状態を示す模式図であり、(a)はバンプ電極を介してパッドと接続した状態、(b)、(c)はパッドに直接に接続した状態である。
【図19】本発明の他の実施の形態における製造工程中の半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図20】図19に続く製造工程中における半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図21】図20に続く製造工程中における半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図22】図21に続く製造工程中における半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図23】本発明の他の実施の形態における製造工程中の半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図24】図23に続く製造工程中における半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図25】本発明の他の実施の形態における半導体装置の断面の要部を示す模式図であり、(a)は再配線とはんだバンプ電極の構造、(b)はスタッドバンプ電極の構造、(c)は再配線とパッドの構造の場合を示す。
【図26】図25(a)に示す半導体装置の平面の要部を示す模式図である。
【図27】本発明の他の実施の形態における製造工程中の半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図28】図27に続く製造工程中における半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図29】図28に続く製造工程中における半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【図30】本発明の他の実施の形態における半導体装置の平面の要部を示す模式図であり、(a)はパッド上の開口部がくびれている状態、(b)は開口部が分離されている状態が示されている。
【図31】本発明の他の実施の形態における半導体装置の平面の要部を示す模式図であり、(a)はプローブ領域を千鳥状に配置した状態、(b)はプローブ領域をストレート状に配置した状態が示されている。
【図32】本発明の他の実施の形態における半導体装置の平面の要部を示す模式図である。
【図33】本発明の他の実施の形態における半導体装置の平面の要部を示す模式図であり、バンプ電極の平面形状が(a)では矩形状とした場合、(b)では多角形状とした場合、(c)では円形状とした場合が示されている。
【図34】本発明の他の実施の形態における半導体装置の断面の要部を示す模式図であり、(a)はプローブ領域と接続領域を分離した場合、(b)は接続領域にプローブ領域を含む場合を示している。
【図35】本発明の他の実施の形態における製造工程中の半導体装置の断面を示す模式図である。
【図36】図35に続く製造工程中における半導体装置の断面を示す模式図である。
【図37】図36に続く製造工程中における半導体装置の断面を示す模式図である。
【図38】図37に続く製造工程中における半導体装置の断面を示す模式図である。
【図39】図38に続く製造工程中における半導体装置の断面を示す模式図である。
【図40】積層チップにおけるワイヤの接続の一例を示す模式図である。
【図41】積層チップにおけるワイヤの接続の他の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、以下の実施の形態を説明する図面においては、構成を分かり易くするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0026】
(実施の形態1)
まず、本実施の形態における半導体装置の構成について図面を参照して説明する。図2は本実施の形態における半導体装置の平面を示す模式図であり、図3は図2に示す半導体装置の断面の要部を示す模式図であり、図4は図2に示す半導体装置の平面の要部を示す模式図である。また、図4ではその一部を除去した状態で示している。
【0027】
本実施の形態における半導体装置は、BGA(Ball Grid Array)構造の半導体チップ1Cから構成されている。半導体チップ1Cの中央部にマトリクス配置されたボール状のバンプ電極9が設けられている。このバンプ電極9は半導体チップ1Cの外部電極として、表面保護膜となるパッシベーション膜8から突起するように設けられている。なお、図2では、半導体チップ1Cの外周部に設けられたパッド(電極)2、およびパッド2とバンプ電極9とを電気的に接続している再配線7は、このパッシベーション膜8で覆われているが、これらを点線で図示している。
【0028】
矩形状の半導体チップ1Cの主面(素子形成面)には図示しない半導体回路(例えばLSI)が設けられている。半導体回路は、いわゆる前工程(通常のウエハプロセス)において周知技術によって形成され、例えばMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)、抵抗、容量やそれらを電気的に接続する配線から構成される。
【0029】
また、半導体回路を構成する配線と電気的に接続され、半導体チップ1C(半導体回路)上に設けられたパッド2が、矩形状の半導体チップ1Cの外周部で設けられている。このパッド2は、図4では破線で区画された2つの領域で示されるように、半導体チップ1Cの外周部側にプローブ領域10Aと、中央部側に接続領域10Bを有している。
【0030】
また、半導体チップ1C(半導体回路)上にパッシベーション膜3が設けられている。このパッシベーション膜3は、例えば無機系絶縁膜の窒化シリコン膜からなり、プローブ領域10Aおよび接続領域10Bのパッド2上に開口部11を有している。また、パッド2上およびパッシベーション膜3上にパッシベーション膜5が設けられている。このパッシベーション膜5は、例えば有機系絶縁膜のポリイミド膜からなり、接続領域10Bのパッド2上に平面形状が正方形状の開口部12を有している。
【0031】
接続領域10Bより半導体チップ1Cの外周部側に設けられたプローブ領域10Aのパッド2に、図1を参照して説明したようにプローブ検査工程でプローブ針4がパッド2と接触して生じるプローブ痕100(外傷、窪み)が存在している。一方、パッド2と電気的に接続され、接続領域10B上およびパッシベーション膜5上に再配線7がシード膜6(導電膜)を介して設けられている。簡略すれば、パッシベーション膜(絶縁膜)3から露出するパッド(電極)2において、プローブ痕100が形成されていない領域(プローブ痕が形成されているプローブ領域(第1領域)10Aよりも平坦度が高い接続領域(第2領域)10B)に導電性部材である配線層(シード膜6及び再配線7)が接続されている。また、接続領域10Bからは、半導体チップ1Cの中央部側に延びてシード膜6(導電膜)を介して再配線7が存在している。このように、パッド2の表面上において、接続領域10Bを半導体チップ1Cの中央部側に設け、さらに再配線7において、パッド2と接続する一端部とは反対側の他端部を、半導体チップ1Cの主面上における中央部側に引き出し、配置することで、以下の効果が得られる。
【0032】
すなわち、導電性部材である配線層(シード膜6及び再配線7)は、パッド2の表面上においてプローブ痕100が形成されていない平坦な領域に接続することで、電流経路上にプローブ痕(隙間)100が生じないことから、半導体装置の電気特性を向上できるが、接続領域10Bと半導体チップ1Cの中央部との間(配線層(シード膜6及び再配線7)が配置される経路下)にプローブ領域10Aが存在すると、前述したように、プローブ領域10A上に形成されたこぶのような凸部101により、配線層の一部が上方に押し上げられ、後に形成する最表面のパッシベーション膜(絶縁膜)8から露出されてしまい、半導体装置の信頼性が低下する恐れがある。仮に、接続領域10Bを半導体チップ1Cの周縁部(辺)側に配置したとしても、配線層(シード膜6及び再配線7)がパッド2から、さらに半導体チップ1Cの周縁部(辺)側に引き出せれば、上記した配線層の一部がパッシベーション膜8から露出する恐れはない。しかし、複数のパッド(電極)2は、平面形状が四角形から成る半導体チップ1Cの各辺に沿って設けられているため、パッド2と半導体チップ1Cの周縁部(辺)との間に配線層の他端部を配置することが困難である。
そこで、本実施の形態1に示すように、平面形状が長方形から成るパッド2において、半導体チップ1Cの主面における中央部側に位置する短辺に、接続領域10Bを寄せて設けることで、配線層の一部がパッシベーション膜8から露出する問題を抑制できることから、半導体装置の信頼性も向上できる。
【0033】
また、再配線7上およびパッシベーション膜5上に最表面の保護膜となるパッシベーション膜8が設けられている。このパッシベーション膜8は、再配線7の一部上に開口部13を有している。この再配線7の一部上には、開口部13から突起するボール状のバンプ電極9が設けられている。
【0034】
このように構成された半導体チップ1Cは、狭ピッチ化に対応したパッド2と電気的に接続された再配線7を介して、広いピッチへ変換したバンプ電極9を有することができる。すなわち、本実施の形態における半導体装置は、半導体回路と外部電極のバンプ電極9とを、パッド2および再配線7を介して電気的に接続し、小型化、特に狭ピッチ化に対応することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、プローブ4が接触される領域(そのマージンを含む)であるプローブ領域10Aと、マージンを含めたパッド2上でシード膜6(導電膜)が形成される領域(そのマージンを含む)である接続領域10Bとをパッド2上で区画して設けている。このため、プローブ検査工程で生じるプローブ痕100の影響によって、図1を参照して説明したような再配線7および/またはシード膜6の欠け対策をすることができ、また凸部101で示される再配線7がパッシベーション膜8から露出することを抑制することができる。
【0036】
また、本実施の形態では、パッド2の平面形状は、半導体チップ1Cの外周部側から中央部側に長辺を有する長方形状としている。例えばパッド2の寸法2aを130μm、寸法2bを75μmとし、またパッド2のピッチの寸法2cを80μmとしている。このようにパッド2の平面形状を長方形状とすることで、半導体装置の小型化、特に狭ピッチ化に対応することができる。さらに、本実施の形態では、パッド2を矩形状の半導体チップ1Cの外周部で、千鳥状に設けている。これにより、より狭ピッチ化に対応することができる。例えば外側のパッド2と内側のパッド2のピッチの寸法2dを40μmとしている。
【0037】
このように、本実施の形態では、半導体装置の小型化、特に、狭ピッチ化に対応することができるので、半導体チップ1Cに設けられる半導体回路を高機能化することができ、それに伴う多ピン化(多入力出力化)にも対応することができる。
【0038】
なお、本実施の形態で示す以外に、プローブ領域と導電性部材(ワイヤ、再配線)の接続領域を分ける方法も考えられるが、この場合、それぞれの領域を引き離す分だけ半導体装置の小型化を実現できない。また、パッドの一部を露出するポリイミド膜は、金属よりも硬度の低い有機系絶縁膜であるため、加工精度が金属材料よりも悪く、断面形状としては、開口部の側面が傾斜した状態となる。そのため、それぞれの領域に分けてパッドを形成する場合、このポリイミド膜の加工精度も考慮して、パッドを大きく形成する必要があり、本実施の形態で示すような長方形から成る1つのパッドで形成するよりも、半導体装置の小型化に不向きである。
【0039】
次に、本実施の形態における半導体装置の製造方法について図面を参照して説明する。図5は本実施の形態における半導体装置の製造工程の流れを示す図であり、図6は本実施の形態における半導体ウエハの平面を示す模式図であり、図7〜図12は図5に示す製造工程中における半導体装置の断面の要部を示す模式図である。
【0040】
まず、図6に示すような、半導体回路が形成されるデバイス形成領域50を有する半導体ウエハ1Wを準備する(S10)。なお、図中にはスクライブ領域51が示されている。後の工程で、スクライブ領域51に沿って半導体ウエハ1Wから個々の半導体チップ1Cが切り出される。
【0041】
詳細に説明すると、半導体回路(半導体素子)、この半導体回路と電気的に接続されたパッド(電極)2、及びこのパッド2の一部を露出するように、パッド2上に形成されたパッシベーション膜(絶縁膜)3を有するデバイス形成領域50(チップ領域)を、複数個備えた半導体ウエハ1Wを準備する。ここで、パッド2は、デバイス形成領域50の外周部側にプローブ領域(第1領域)10Aと、このプローブ領域10Aと隣接し、プローブ領域10Aよりチップ領域の中央部側に接続領域(第2領域)10Bとを有する。この半導体ウエハ1Wは例えば平面円形状の単結晶Si基板である。この半導体ウエハの複数のデバイス形成領域から平面矩形状の半導体チップ1C(図2参照)がダイシングによって各々切り出される。なお、半導体ウエハ1Wは、Si基板に限らず、GaAs基板、SiC基板などの化合物半導体基板であっても良い。
【0042】
続いて、周知技術によって半導体ウエハ1Wの主面に例えばnチャネル型やpチャネル型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)、抵抗、容量などの種々の半導体素子やそれらを電気的に接続する配線(多層配線)から構成される半導体回路を形成する(S20)。
【0043】
続いて、図2、図7に示すように、デバイス形成領域の外周部側にプローブ領域(第1領域)10Aと、このプローブ領域10Aと隣接し、プローブ領域10Aよりデバイス形成領域の中央部側に接続領域(第2領域)10Bとを有するパッド2を、半導体回路を構成する配線と電気的に接続して、半導体ウエハ1W上に形成する(S30)。パッド2は図2および図4で示したようにデバイス形成領域(後に半導体チップ1Cとなる)の外周部側から中央部側に長辺を有する長方形状に形成される。また、図4で示したダミーパッド2Aがパッド2のプローブ領域10Aと同程度の大きさで、整列して形成される。ダミーパッド2Aは、プロービング位置制御を目的として、パッド2のプローブ領域10Aの列に形成され、フローティング状態である。
【0044】
このパッド2は、例えばアルミニウム(Al)を主導電層とするものである。例えば、主導電層となるAl膜の上下をTi膜およびTiN膜の積層膜からなるバリア性の導電膜で挟んだ構造としても良い。このような配線は、下のバリア性の導電膜、Al膜および上のバリア性の導電膜を順次堆積した後に、これらの積層膜をフォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜をマスクとしてドライエッチングすることで形成することができる。
【0045】
続いて、半導体ウエハ1W上にパッシベーション膜3(第1絶縁膜)を形成する(S40)。このパッシベーション膜3は、例えば無機系絶縁膜である酸化シリコン膜および窒化シリコン膜の積層膜から構成され、その積層膜は例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成することができる。次いで、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜(図示しない)をマスクとしてドライエッチングし、パッシベーション膜3からパッド2のプローブ領域10Aおよび接続領域10Bを露出する。これによりパッシベーション膜3は開口部11を有することとなる。開口部11のうち、プローブ領域10Aが露出する領域は例えば60μm(寸法11a)×70μm(寸法11c)、接続領域10Bが露出する領域は例えば60μm(寸法11b)×70μm(寸法11c)とすることができる。また、図4で示したダミーパッド2A上に開口部14が開口部11のプローブ領域10Aと同程度の大きさで形成される。
【0046】
続いて、半導体回路のプローブ検査を行う(S50)。例えば、図8に示すように、プローブ領域10Aのパッド2に、カンチレバー方式のプローブ針4を接触させて、種々の電気的特性を測定する。この際、パッド2の表面には、プローブ針4によるプローブ痕100(外傷)が形成される。このプローブ針4は例えばW(タングステン)のような硬化な金属から構成され、また先端が尖端となっているため、Al膜を主導電層とするパッド2の表面にプローブ痕100として外傷を与えてしまう。
【0047】
本実施の形態では、パッド2の平面形状を長方形状とし、半導体チップ1Cの外周部側にプローブ領域10A、中央部側に接続領域10Bを設け、プローブ領域10Aのみにプローブ針4を接触させている。このため、プローブ痕100はプローブ領域10Aのパッド2に存在することとなる。
【0048】
また、本実施の形態では、パッド2の形成と同時に、パッド2のプローブ領域10Aと同程度の大きさで、整列したダミーパッド2Aも形成している(図4参照)。プローブ検査工程においては、このダミーパッド2Aをターゲットとしているので、プローブ領域10Aから接続領域10Bへプローブ針4がずれることを防止することができる。すなわち、プローブ痕100はプローブ領域10Aのパッド2に存在することとなる。
【0049】
また、プローブ検査には、常温、高温、低温の動作保証温度(例えば−40℃〜125℃)による検査の他に、半導体装置の高機能化により機能別の検査が必要となり、複数の検査装置(テスタ)で同じパッド2に対して複数回、プローブ針4を接触させてしまう。また、プローブ検査には、いわゆるウエハレベルバーンインも含まれており、例えばはんだ融点付近(200℃以上)の高温環境(高温ベーク)下で、長時間(例えば数時間)、プローブ領域10Aのパッド2にプローブ針4を接触させて半導体回路に電圧を印加することも行われる。このため、プローブ痕100も大きくなってしまうことが考えられる。この場合であっても、本実施の形態では、プローブ痕100をプローブ領域10Aのパッド2に存在させることができる。
【0050】
なお、バンプ電極9を形成後、プローブ検査することもできるが、その場合、温度履歴によるはんだ表面状態(酸化)変化や、はんだ融点の影響で高温ベーク温度が制限されることで、パッド2上で行うプローブ検査と同等の検査を行うことができない。
【0051】
続いて、半導体ウエハ1W上にパッシベーション膜5(第2絶縁膜)を形成する(S60)。このパッシベーション膜5は、例えば有機系絶縁膜であるポリイミド膜から構成され、例えば回転塗布法で形成することができる。次いで、図9に示すように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜(図示しない)をマスクとしてウエットエッチングし、パッシベーション膜5からパッド2の接続領域10Bを露出する。これによりパッシベーション膜5は開口部12を有することとなる。開口部12のうち、接続領域10Bが露出する領域は、平面形状が正方形状であり、例えば45μm(寸法12a)×45μm(寸法12b)とすることができる。
【0052】
続いて、図10に示すように、パッド2と電気的に接続され、接続領域10B上およびパッシベーション膜5上にシード膜6(配線層、導電膜、めっき層)を形成する(S70)。シード膜6は、後の工程でめっき法を用いて形成する導電膜のシード(Seed)膜であり、無電解めっき法によってPd膜などから構成される。なお、シード膜6はスパッタリング法によって堆積されたPd/Ti膜、Ti膜またはTiN膜から構成されても良い。これらの膜は、Cuの拡散バリア性の導電膜でもある。
【0053】
続いて、図11に示すように、半導体ウエハ1W上にレジスト膜を塗布した後、そのレジスト膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることによって、シード膜6の一部を露出する再配線形成用の開口部15を有するマスク16を形成する。
【0054】
続いて、シード膜6上に、電解めっき法によって導電膜(配線層、めっき膜)から構成される再配線7を形成する(S80)。具体的には、再配線7は、接続領域10B上およびパッシベーション膜5上にパッド2と電気的に接続して、接続領域10Bから半導体チップ1Cの中央部側に這うように形成される。再配線7は、CuまたはNi/Cu膜から構成される。その後、レジスト膜から構成されるマスク16をアッシングに除去し、再配線7をマスクとしてシード膜6に対してウエットエッチング処理を施すことにより、再配線7下のシード膜6を残し、それ以外のマスク16下にあったシード膜6を除去する。
【0055】
続いて、図12に示すように、半導体ウエハ1W上にパッシベーション膜8(第3絶縁膜)を形成する(S90)。このパッシベーション膜8は、例えば有機系絶縁膜であるポリイミド膜から構成され、例えば回転塗布法で形成することができる。本実施の形態では、このパッシベーション膜8は、最表面の保護膜であり、カバレッジ性を良くするために、パッシベーション膜5より厚くなるように形成される。次いで、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜(図示しない)をマスクとしてウエットエッチングし、パッシベーション膜8から再配線7の一部を露出する。これによりパッシベーション膜8は開口部13を有することとなる。ここで、パッシベーション膜8の材料として、感光性のポリイミドを使用する場合は、ホト処理により開口部13を形成する。ホト処理技術を適用することで、ウエットエッチング方式よりも、開口部13を微細に加工することができる。
【0056】
次いで、図3で示したように、導電膜(配線層、めっき膜)のうち、パッド2の接続領域(第2領域)10Bと接続する一端部とは反対側の他端部において、無電解めっき法により、開口部13から露出する再配線7上に図示しないAu膜を形成する。そして、はんだ印刷技術により半導体ウエハ1W上にはんだペーストを印刷した後、リフロー処理によりはんだペーストを溶融および再結晶化させ、前記Au膜上に外部端子であるバンプ電極(導電性部材、はんだボール)9を形成する(S100)。そのはんだペーストとしては、例えばSn(錫)、Ag(銀)およびCuから形成されたPb(鉛)フリーはんだを用いることができる。また、はんだペーストを用いる代わりに、予め球状に成形されたはんだボールを開口部13上に供給した後に、半導体ウエハ1Wに対してリフロー処理を施すことによってもバンプ電極9を形成することができる。なお、はんだペーストのリフロー処理によって、前記Au膜は、バンプ電極9に拡散してなくなってしまう。
【0057】
その後、半導体ウエハ1Wを区画されたデバイス形成領域間(互いに隣接するチップ領域の間)のスクライブ(ダイシング)領域に沿って切断し、図2に示したように個々の半導体チップ1Cに分割して、本実施の形態における半導体装置が完成する。例えば、図13に示すように、半導体チップ1Cは、基板52上にバンプ電極9を介して実装することができる。具体的には、半導体チップ1Cを基板52上に配置した後、その電極53上でバンプ電極9をリフローし、次いで半導体チップ1Cと基板52との間にアンダーフィル樹脂54を充填されて、種々の半導体装置を構成することができる。
【0058】
高機能化(ピン数増加)と微細プロセス化(チップ小型化)により、接続部のパッドが狭ピッチ化、小型化される。パッドサイズを小さくできる要因は、プロービング精度、プローブ痕サイズの制御などが挙げられる。
【0059】
例えば、技術革新により、パッドピッチ(サイズ)が縮小されているが、プローブ検査工程のコンタクト性やプロービングの電気抵抗の影響からこのプローブ痕サイズを激減させることは困難となっている。
【0060】
また、プロービング方式として、本実施の形態に示したようなカンチレバー方式から、上下動方式化を進めているが、コストやコンタクト性からさらなる技術開発が必要となっている。
【0061】
また、図1(c)で示したように、プローブ痕100上にパッド2と再配線7とのコンタクトを行おうとすると、めっき形成などが不十分で内部に鬆102が形成されてしまう。この鬆102が組み立て後の電気特性不良を引き起こし、また、めっきによる凹凸形成により、隣接パッドとのショート(短絡)や、再配線7が表面に露出する(凸部101)等の不具合を発生させてしまう。
【0062】
本実施の形態では、プロービングされるプローブ領域10Aと、パッド2と再配線7とが接続される接続領域10Bとを区画して、それぞれの領域を十分確保し、プロービング性の制限を緩和するようにしている。また、プロービング位置制御を目的として、パッド2のプローブ領域10Aの列にダミーパッド2Aを形成している。これにより、カンチレバー方式によるプロービングを用いることができることで、プローブ検査方式を制限せずにコンタクト性を確保することができ、さらに今後ますます厳しくなるアナログ特性を含む製品性能を十分満たすことができる。
【0063】
(実施の形態2)
前記実施の形態では、めっき法によって形成される導電膜(めっき膜)で、再配線を構成した場合について説明したが、本実施の形態では、めっき膜でバンプ電極を構成した場合について説明する。なお、他の内容については前記実施の形態1と同様である。
【0064】
まず、本実施の形態における半導体装置の構成について図面を参照して説明する。図14は本実施の形態における半導体装置の平面を示す模式図であり、図15は図14に示す半導体装置の断面の要部を示す模式図であり、図16は図14に示す半導体装置の平面の要部を示す模式図である。
【0065】
本実施の形態における半導体装置を構成する矩形状の半導体チップ1Cの主面には図示しない半導体回路(例えばLSI)が設けられている。半導体回路を構成する配線と電気的に接続され、半導体チップ1C(半導体回路)上に設けられたパッド2が、矩形状の半導体チップ1Cの外周部で設けられており、このパッド2上にバンプ電極17が設けられている。このパッド2は、図16では破線で区画された2つの領域で示されるように、半導体チップ1Cの外周部側に接続領域10Bと、中央部側にプローブ領域10Aを有している。このように接続領域10Bを半導体チップ1Cの外周部に設けることで、接続領域10B上に設けられたバンプ電極17からワイヤ(導電性部材)を半導体チップ1Cの外側へ延ばすことが容易となる。
【0066】
すなわち、図17に示すように、基板55(配線基板)の主面(上面)に形成された複数の電極56(ボンディングリード)と、この基板55の主面(上面)に搭載された半導体チップ1Cの主面(表面)に形成された複数のパッド2とをそれぞれ電気的に接続する複数のワイヤ57(導電性部材)のそれぞれの長さを短くすることができる。これにより、半導体装置の電気特性を向上することができる。
【0067】
ここで、本実施の形態では、パッド2の表面において、ワイヤ57の接続領域10Bを、プローブ領域10Aよりも半導体チップ1Cの周縁部(辺)側に配置することについて説明したが、これに限定されるものではなく、プローブ領域10Aよりも半導体チップ1Cの中央部側に接続領域10Bを配置し、ここにバンプ電極17を介してワイヤ57の一端部(ボール20)を接続してもよい。しかし、基板55(配線基板)の主面に設けられた電極56(ボンディングリード)までの距離を考慮すると、ワイヤ57の長さを低減できる周縁部(辺)側に、接続領域10B及びバンプ電極17を配置することが好ましい。
【0068】
また、半導体チップ1C(半導体回路)上にパッシベーション膜3が設けられている。このパッシベーション膜3は、例えば無機系絶縁膜の窒化シリコン膜からなり、プローブ領域10Aおよび接続領域10Bのパッド2上に開口部11を有している。また、パッド2上およびパッシベーション膜3上にパッシベーション膜18が設けられている。このパッシベーション膜18は、例えば有機系絶縁膜のポリイミド膜からなり、接続領域10Bのパッド2上に開口部21を有している。
【0069】
接続領域10Bより半導体チップ1Cの中央部側に設けられたプローブ領域10Aのパッド2に、図1を参照して説明したようにプローブ検査工程でプローブ針4がパッド2と接触して生じるプローブ痕100(外傷)が存在している。一方、パッド2と電気的に接続され、接続領域10B上およびパッシベーション膜3上にバンプ電極17がシード膜19(導電膜)を介して設けられている。なお、本実施の形態では、バンプ電極17の平面形状を矩形状で示した場合について示しているが(図16参照)、多角形状、円形状であっても良く、バンプ電極17からワイヤボンディングできるような平面形状であれば良い。
【0070】
本実施の形態では、パッド2の平面形状は、半導体チップ1Cの外周部側から中央部側に長辺を有する長方形状としている。例えばパッド2の寸法2aを130μm、寸法2bを75μmとし、またパッド2のピッチの寸法2cを80μmとしている。このようにパッド2の平面形状を長方形状とすることで、半導体装置の小型化、特に狭ピッチ化に対応することができる。さらに、本実施の形態では、パッド2を矩形状の半導体チップ1Cの外周部で、千鳥状に設けている。これにより、より狭ピッチ化に対応することができる。例えば外側のパッド2と内側のパッド2のピッチの寸法2dを40μmとしている。
【0071】
ここで、本実施の形態における半導体チップ1Cに導電性部材であるワイヤ57が電気的に接続された場合について図を参照して説明する。図17はバンプ電極17にワイヤボンディング接続され、この複数のワイヤ57を介して半導体チップ1Cの複数のパッド2と、この半導体チップ1Cを実装する基板55(配線基板)の複数の電極56(ボンディングリード)とがそれぞれ電気的に接続された図14に示す半導体装置の断面の要部を示す模式図である。図18は平面視におけるワイヤ57のボール20の接続状態を示す模式図であり、(a)はバンプ電極17を介してパッド2と接続する場合、(b)、(c)はパッド2に直接接続する場合である。図18の(a)〜(c)の各々において、図面左側はワイヤボンディングされる前、図面右側はワイヤボンディングされた後の状態を示している。
【0072】
本実施の形態では、狭ピッチ化に対応した長方形状のパッド2を形成している。このため、図18(a)、(c)で示すように、ワイヤボンディングのずれを含めた領域20a、20c(図中破線で示す)が各々の開口部11、すなわちパッシベーション膜3にかかる。
【0073】
図18(c)では、ワイヤボンディングのずれを含めた領域20c内で、パッド2にボール20を電気的に接続した場合、パッシベーション膜3にボール20が乗り上げ、その周辺のパッシベーション膜3の割れの原因となる。これは、パッシベーション膜3の開口部11において、パッシベーション膜3の表面(上面)とパッド2の表面(上面)との間で段差が生じているためである。そのため、ワイヤの一端部をパッド2に接続する際、位置ずれが生じると、パッシベーション膜3にワイヤが乗り上げてしまい、この状態で荷重をかけると、パッシベーション膜3の一部に割れが発生する。
【0074】
そこで、図18(b)で示すように、ボール20の径を縮小化することによってワイヤボンディングのずれを含めた領域20bの領域を小さくし、パッシベーション膜3への乗り上げを防止することができる。但し、ボール20の接続面積が低下し、また強度が低下してしまうことが考えられる。
【0075】
このため、本実施の形態では、図18(a)および図17に示すように、パッド2上にバンプ電極17を設けている。これにより、バンプ電極17上にワイヤの一端部を接続する際、バンプ電極17の中心部に対してワイヤの一端部の中心部がずれたとしても、バンプ電極17の表面(上面、ワイヤ接続面)は平坦であることから、ワイヤの一端部も変形することなく接続できる。そして、この状態で荷重をかけたとしても、バンプ電極17の表面とは反対側の裏面(下面、パッド2との接続面)は、パッド2において平坦な領域である接続領域10Bのみと接続しているため、パッド2を露出するパッシベーション膜3の一部(開口部11)にはワイヤ接続時の荷重はかからず、パッシベーション膜3の割れを抑制することができる。
【0076】
次に、本実施の形態における半導体装置の製造方法について図面を参照して説明する。図19〜図22は本実施の形態における製造工程中の半導体装置の断面の要部を示す模式図である。なお、図19を参照して説明する工程は、前記実施の形態1で図7を参照して説明した工程に続くものであるため、その説明は省略する。
【0077】
図19に示すように、半導体ウエハ1W上にパッシベーション膜18を形成する。このパッシベーション膜18は、例えば有機系絶縁膜であるポリイミド膜から構成され、例えば回転塗布法で形成することができる。次いで、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたフォトレジスト膜(図示しない)をマスクとしてウエットエッチングし、パッシベーション膜18からパッド2周辺のパッシベーション膜3を露出する(図20参照)。これによりパッシベーション膜18は開口部21を有することとなる。ここで、本実施の形態では、パッド(電極)2の材料は、例えばAl膜から構成される。また、パッシベーション膜8の材料として、感光性のポリイミドを使用する場合は、ホト処理により開口部13を形成する。ホト処理技術を適用することで、ウエットエッチング方式よりも、開口部13を微細に加工することができる。
【0078】
続いて、半導体回路のプローブ検査を行う。例えば、図20に示すように、プローブ領域10Aのパッド2に、カンチレバー方式のプローブ針4を接触させて、種々の電気的特性を測定する。この際、パッド2の表面には、プローブ針4によるプローブ痕100(外傷)が形成される。
【0079】
続いて、図21に示すように、パッド2と電気的に接続され、半導体ウエハ1W上にシード膜19を形成する。シード膜19は、後の工程でめっき法を用いて形成する導電膜のシード(Seed)膜であり、スパッタリング法によって堆積されたCu膜から構成される。
【0080】
続いて、図22に示すように、半導体ウエハ1W上にレジスト膜を塗布した後、そのレジスト膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることによって、シード膜19の一部を露出する再配線形成用の開口部22を有するマスク23を形成する。次いで、シード膜19上に、電解めっき法によって導電膜(めっき膜)から構成されるバンプ電極17を形成する。具体的には、バンプ電極17は、接続領域10B上にパッド2と電気的に接続して形成される。バンプ電極17は、例えばAu膜から構成される。ここで、バンプ電極17の材料にAuを使用することで、Auから成るワイヤとの接合性を向上することができる。また、Auから成るワイヤを直接、Alから成るパッド2に接続した場合、AuがAlに拡散してしまい、Alから成るパッド2におけるワイヤとの接合面(接合領域)が汚染され、ワイヤの接合強度が低下する恐れがある。しかしながら、本実施の形態ではAlから成るパッド2の表面に、シード膜(配線層、導電膜、めっき層)19としてNi膜上にPd膜を形成し、さらにこのシード膜上にAuから成るバンプ電極17を形成しているため、ワイヤの接合強度の低下を抑制できる。
【0081】
続いて、レジスト膜から構成されるマスク23をアッシングに除去し、バンプ電極17をマスクとしてシード膜19に対してウエットエッチング処理を施すことにより、バンプ電極17下のシード膜19を残し、それ以外のマスク23下にあったシード膜19を除去する(図15参照)。
【0082】
その後、半導体ウエハ1Wを区画されたデバイス形成領域間のスクライブ(ダイシング)領域に沿って切断し、図14に示したように個々の半導体チップ1Cに分割して、本実施の形態における半導体装置が完成する。本実施の形態における半導体装置を用いて、例えば、外部の端子とバンプ電極17とをワイヤボンディングすることによって電気的に接続し、半導体チップ1Cをレジンで樹脂封止することによって種々の半導体装置を構成することができる。
【0083】
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、再配線の一部上にはんだ印刷技術を用いたバンプ電極を形成した場合について説明したが、本実施の形態では、再配線の一部上にめっき法を用いたパッドを形成する場合について説明する。なお、他の内容については前記実施の形態1と同様である。
【0084】
図23および図24は本実施の形態における製造工程中の半導体装置の断面の要部を示す模式図である。なお、図23を参照して説明する工程は、前記実施の形態1で図11を参照して説明した工程に続くものであるため、以下はその後の工程について説明する。
【0085】
図23に示すように、半導体ウエハ1W上にレジスト膜を塗布した後、そのレジスト膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることによって、例えばCu/Ni膜から構成される再配線7の一部を露出する開口部25を有するマスク24を形成する。次いで、再配線7上に、電解めっき法によって導電膜(めっき膜)から構成されるパッド26を形成する。具体的には、パッド26は、再配線7と電気的に接続して形成され、例えばAu膜から構成される。なお、再配線7をCu膜とした場合、パッド26はNi/Au膜としても良い。また、例えば、パッド材のAlとの拡散バリア性を持たせるために、Pd、Ni膜から構成されるシード膜かめっき層を設ける。
【0086】
続いて、図24に示すように、レジスト膜から構成されるマスク24をアッシングに除去し、再配線7をマスクとしてシード膜6に対してウエットエッチング処理を施すことにより、再配線7下のシード膜6を残し、それ以外のマスク24下にあったシード膜6を除去する。
【0087】
その後、半導体ウエハ1Wを区画されたデバイス形成領域間のスクライブ(ダイシング)領域に沿って切断し、個々の半導体チップに分割して、本実施の形態における半導体装置が完成する。例えば、外部の端子とパッド26とをワイヤボンディングすることによって電気的に接続し、半導体チップをレジンで樹脂封止することによって種々の半導体装置を構成することができる。再配線7の表層面にAu膜を形成し、そのAu膜にワイヤボンディングを行うことで接触抵抗を低減することができる。
【0088】
例えば、再配線7全体がAu膜から形成されると、パッケージ組み立て時のモールドレジンと密着性を確保することができない。そこで、本実施の形態では、ワイヤボンディングする箇所にのみAu膜から構成されるパッド26を形成することによって、半導体装置の信頼性を確保することができる。
【0089】
また、Au膜を含むパッド26の形成工程は、シード膜6の除去後に、パッド26形成のための例えばレジストから構成されるマスクが形成されていれば無電解めっき、スパッタや印刷メタル等の薄膜技術も適用することができる。
【0090】
また、パッド26を構成するAu膜下のNi膜は、再配線7でもパッド26として構成しても良いが、再配線7として構成するよりパッド26として構成する方が、膜応力の大きいNi膜によるウエハ(チップ)反りの影響を低減することができる。
【0091】
また、Cu/Niの界面接続を考慮して、Cu膜から構成される再配線上に、Cu/Ni/Au膜から構成されるパッド26を形成することもできる。
【0092】
(実施の形態4)
前記実施の形態1〜3では、プローブ領域のパッド上では、めっき法によって導電膜(めっき膜)を形成しない場合について説明したが、本実施の形態では、接続領域を拡大してプローブ領域のパッド上にもめっき膜を形成する場合について説明する。なお、他の内容については前記実施の形態1〜3と同様である。
【0093】
図25は本実施の形態における半導体装置の断面の要部を示す模式図であり、(a)は再配線とはんだバンプ電極の構造、(b)はスタッドバンプ電極の構造、(c)は再配線とパッドの構造の場合を示す。また図25(a)、(b)、(c)は各々図3、図15、図24に対応する本実施の形態における半導体装置の断面の要部を示す模式図である。図26は図25(a)に示す半導体装置の平面の要部を示す模式図である。また、図26ではその一部を除去した状態で示している。なお、図25(b)に示すスタッドバンプ電極の構造では、フリップチップ搭載用Au−Au接合、Au−はんだ接合、ACF接合にも対応することができる。
【0094】
図25(a)および図26に示すように、パッド2と再配線7とがシード膜6を介して接続される接続領域10Bには、プローブ検査工程によってプローブがパッド2と接触するプローブ領域10Aが含まれている。すなわち、プローブ領域10Aのパッド2上にもめっき法によって形成された再配線7が設けられている。これにより、パッド2を構成するAlの腐食等の懸念に対し、Alが露出することを回避することができる。
【0095】
図1を参照して説明したように、プローブ痕100の段差によるシード膜6がコンタクト性を悪化し、めっき膜である再配線7の平坦性を悪化させることが考えられる。そこで、本実施の形態では、パッド2のエリアサイズを広くすることによって、パッド2と再配線7とのコンタクト性を確保し、またパッド2上の再配線の平坦率を向上している。
【0096】
同様に、図25(b)、(c)でもパッド2のエリアサイズを広くすることによって、パッド2とめっき膜(バンプ電極17、再配線7)とのコンタクト性を確保し、またパッド2上の再配線の平坦率を向上することができる。
【0097】
(実施の形態5)
前記実施の形態2では、パッド上にめっき法によって単層の導電膜(めっき膜)を形成した場合について説明したが、本実施の形態では、めっき法を繰り返して多層の導電膜を形成する場合について説明する。なお、他の内容については前記実施の形態2と同様である。
【0098】
図27〜図29は本実施の形態における製造工程中の半導体装置の断面の要部を示す模式図である。なお、図27を参照して説明する工程は、前記実施の形態2で図21を参照して説明した工程に続くものであるため、以下はその後の工程について説明する。
【0099】
図27に示すように、半導体ウエハ1W上にレジスト膜を塗布した後、そのレジスト膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることによって、Cu膜から構成されるシード膜19の一部を露出する開口部28を有するマスク27を形成する。この開口部28で開口された平面領域はAl膜を主導電層とするパッド2の平面領域より大きい。
【0100】
続いて、シード膜19上に、電解めっき法によって導電膜29(めっき膜)を形成する。具体的には、導電膜29はシード膜19を介してパッド2と電気的に接続して形成され、例えばAu膜から構成される。その後、レジスト膜から構成されるマスク27をアッシングによって除去する。
【0101】
続いて、図28に示すように、半導体ウエハ1W上にレジスト膜を塗布した後、そのレジスト膜をフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることによって、Au膜から構成される導電膜29の一部を露出する開口部31を有するマスク30を形成する。次いで、導電膜29上に、電解めっき法によって導電膜(めっき膜)から構成されるバンプ電極17を形成する。具体的には、バンプ電極17はパッド2と電気的に接続して形成され、例えばAu膜から構成される。このように、本実施の形態では、めっき法によって導電膜29、バンプ電極17を積層している。その後、レジスト膜から構成されるマスク30をアッシングによって除去する。
【0102】
なお、バンプ電極17の平面形状は、バンプ電極17からワイヤボンディングできるような平面形状であれば良く、矩形状、多角形状、円形状であっても良く、また接触面を大きくできるような形状(最大サイズ形状)が望ましい。
【0103】
続いて、図29に示すように、導電膜29をマスクとしてシード膜19に対してウエットエッチング処理を施すことにより、導電膜29下のシード膜19を残し、それ以外のシード膜19を除去する。その後、半導体ウエハ1Wを区画されたデバイス形成領域間のスクライブ(ダイシング)領域に沿って切断し、個々の半導体チップ1Cに分割して、本実施の形態における半導体装置が完成する。
【0104】
本実施の形態における半導体装置を用いて、例えば、外部の端子とバンプ電極17とをワイヤボンディングすることによって電気的に接続し、種々の半導体装置を構成することができる。ワイヤボンディングを行うに際して、Al/Au接合に比べAu/Au接合のほうが低温および低荷重といった低ダメージで行うことができる。すなわち、本実施の形態では、Au膜から構成される導電膜29上にAu膜から構成されるバンプ電極17を設けているので、低温でワイヤボンディングすることができる。また、Al/Au合金は成長し、もろくなる(劣化する)ので、本実施の形態では、シード膜やめっき層で形成されたバリアメタル層の効果でAl/Au合金の形成を回避または抑制してワイヤボンディング接続の信頼性の向上を図っている。
【0105】
また、本実施の形態では、めっき法によって導電膜29、バンプ電極17を積層しており、導電膜29がAlから構成されるパッド2を全面コートすることにより、Al腐食に対し耐質性を向上し、またバンプ電極17がその高さ17aを表面保護膜であるパッシベーション膜18より高くすることにより、ワイヤボンディングのボール(またはステッチ部)が例えばパッシベーション膜18などの外周部と接触するのを防止することができる。
【0106】
(実施の形態6)
前記実施の形態1では、プロービングされるプローブ領域と、パッドと再配線とが接続される接続領域とを区画して、それぞれの領域を十分確保し、プロービング性の制限を緩和するようにしている。本実施の形態では、プローブ領域と接続領域との区画をより明確とした場合について説明する。なお、他の内容については前記実施の形態1と同様である。
【0107】
図30は本実施の形態における半導体装置の平面の要部を示す模式図であり、(a)はパッド上の開口部11がくびれを有する状態、(b)は開口部11が分離されている状態が示されている。また、図30ではその一部を除去した状態で示している。
【0108】
前記実施の形態1で図4を参照して説明した場合に比べて、プローブ領域10Aと、パッド2と再配線7とが接続される接続領域10Bとが、パッシベーション膜3(図3も参照)に形成される開口部11によって、より明確に区画することができる。このため、プローブ検査工程で生じるプローブ痕100の影響によって、図1を参照して説明したような再配線7(シード膜6)の欠け対策をより確実にすることができ、また凸部101で示される再配線7がパッシベーション膜8から露出することをより確実に抑制することができる。
【0109】
(実施の形態7)
前記実施の形態1では、パッドの平面形状を長方形状とした場合について説明したが、本実施の形態では、凸形状とした場合について説明する。なお、他の内容については前記実施の形態1と同様である。
【0110】
図31は本実施の形態における半導体装置の平面の要部を示す模式図であり、(a)はプローブ領域を千鳥状に配置した状態、(b)はプローブ領域をストレート状に配置した状態が示されている。また、図31ではその一部を除去した状態で示している。
【0111】
本実施の形態では、パッド2と再配線7とが接続される接続領域10Bに対して、プロービングされるプローブ領域10Aを小さくしている。例えば、カンチレバー方式によるプロービングを用いる場合、図8を参照して説明したように、プローブ針4は一方向にずれるようにして接触するため、プローブ痕100はその一方向に延びたものとなる。このため、プローブ領域10Aはプローブ痕100が延びる一方向の領域を確保できれば良い。一方、接続領域10Bは再配線7との接触抵抗を低減するために接触面積を確保する必要があり、プローブ針4が接触する領域より大きいものとなる。したがって、図31に示すように、平面形状が凸状のパッド2のうち、突起している領域(上部)をプローブ領域10Aとし、突起されている領域(下部)を接続領域10Bとしている。
【0112】
このように、パッド2と再配線7とが接続される接続領域10Bに対して、プロービングされるプローブ領域10Aを小さくすることによって、半導体装置の小型化、特に狭ピッチ化に対応することができる。
【0113】
また、例えばペリフェラルでも外周部に引き出しスペースがあるエリアI/O(Input/Output)の場合は、両方向に再配線7を引き出すことができる。さらに、図31(b)に示すように、プローブ領域10Aをストレート状に配置することによって、より半導体装置の小型化、特に狭ピッチ化に対応することができる。
【0114】
(実施の形態8)
前記実施の形態1では、パッド上に形成される再配線接続用の開口部において、その平面形状が正方形状の場合について説明したが、本実施の形態では、長方形状の開口部についても説明する。なお、他の内容については前記実施の形態1と同様である。
【0115】
図32は本実施の形態における半導体装置の平面の要部を示す模式図である。また、図32ではその一部を除去した状態で示している。
【0116】
本実施の形態では、前記実施の形態1で図4を参照して説明したパッド2上に形成される再配線接続用の開口部12と同様の正方形状の開口部12と、その正方形状の開口部12より小さい長方形状の開口部12Aとを有している。パッド2と再配線7との接続が高抵抗であっても良い場合、開口部12Aを小さくすることによって、半導体装置の小型化、特に狭ピッチ化に対応することができる。
【0117】
また、開口部12を介する接続を、例えばパワー(大電流)系、アナログ、あるいは低抵抗の接続のために用い、開口部12Aを介する接続を、高抵抗の接続のために用いるように、2端子以上毎で配置することで、半導体装置の小型化、特に狭ピッチ化に対応することができる。
【0118】
(実施の形態9)
前記実施の形態2では、パッドの平面領域内に収まるようにバンプ電極を設ける場合について説明したが、本実施の形態では、パッドの平面領域内を越えてバンプ電極を設ける場合について説明する。なお、他の内容については前記実施の形態1と同様である。
【0119】
図33は本実施の形態における半導体装置の平面の要部を示す模式図であり、バンプ電極の平面形状が(a)では矩形状とした場合、(b)では多角形状とした場合、(c)では円形状とした場合を示している。また、図33ではその一部を除去した状態で示している。
【0120】
本実施の形態における半導体装置は、前記実施の形態2で図22を参照して説明した工程において図33(a)〜(c)に示すような平面形状の開口部22を有するマスク23を形成し、その後、シード膜19上に、電解めっき法によって例えばAu膜からなるバンプ電極17を形成することによって構成される。
【0121】
例えば、多ピン製品の場合、ワイヤボンディング用や前記フリップ用のスタッドバンプ電極よりも本実施の形態におけるAu膜から構成されるバンプ電極17の方が、外部との接続面積を確保する点、low−k層(層間絶縁膜)へのダメージ緩和の点において有利となる。また、プローブ痕100上でのバンプ電極17の接続は、平坦性の確保などの問題が生じるため、プローブ領域10Aと接続領域10Bに分離し、接続領域10Bで確実に接続することが必要である。
【0122】
(実施の形態10)
前記実施の形態1では、はんだから構成されるバンプ電極をパッドから離れた位置のめっき膜(再配線)の一部上に設けた場合について説明したが、本実施の形態では、パッド上にめっき膜を介してはんだから構成されるバンプ電極を設ける場合について説明する。なお、他の内容については前記実施の形態1と同様である。
【0123】
図34は本実施の形態における半導体装置の断面の要部を示す模式図であり、(a)はプローブ領域10Aと接続領域10Bを分離した場合、(b)は接続領域10Bにプローブ領域10Aを含む場合を示している。
【0124】
例えば、Al膜から構成されるパッド2上に直接、はんだから構成されるバンプ電極を形成すると、接続強度が低く、半導体装置の信頼性が低下する場合がある。そこで、本実施の形態で示すように、Al膜から構成されるパッド2とはんだから構成されるバンプ電極9との間に、めっき法によって形成されためっき膜7を用いることで、接続強度を確保し、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0125】
また、図34(b)に示すように、接続領域10Bにプローブ領域10Aを含む場合、接続領域10Bが図34(a)より拡大することができる。また、Al膜からなるパッド2を露出できない製品に対して適用することができる。
【0126】
(実施の形態11)
本実施の形態では、フリップチップ技術、およびワイヤボンディング技術を用いて半導体チップを積層して小型・高密度のSiP(System in Package)を構成する場合について説明する。
【0127】
図35〜図39は本実施の形態における製造工程中の半導体装置の断面を示す模式図である。まず、図35に示すように、ガラスエポキシ樹脂やポリイミド樹脂等からなる絶縁基板32の一面(表面)側に、例えば前記実施の形態1で示したような半導体チップ1C1をフリップ実装する。この絶縁基板32は半導体チップ1C1とほぼ同形状で一回り程度大きいものであり、その表面側には半導体チップ1C1のボール状のバンプ電極9と同じ位置関係で複数のランド電極(図示しない)が形成されている。すなわち、フリップ実装によって、半導体チップ1C1のバンプ電極9と絶縁基板32のランド電極とが電気的に接続される。具体的には、前記実施の形態1で説明したように、狭ピッチのパッドから引き出した再配線にバンプ電極9を設け、ボール径を確保しているため、ランド電極とバンプ電極9のずれを防止して電気的に接続することができる。
【0128】
続いて、図36に示すように、半導体チップ1C上に前記実施の形態2で示した半導体チップ1C2および前記実施の形態3で示した半導体チップ1C3を、接着材を用いて積層する。次いで、図37に示すように、絶縁基板32上のランド電極と半導体チップ1C2、1C2上のパッドとをワイヤ33で電気的に接続する。
【0129】
ここで、積層チップにおけるワイヤ33の接続の一例を図40および図41に示す。図40および図41には、半導体チップ1C2と半導体チップ1C3とが接着材36によって接合されている。図40では、半導体チップ1C2のパッド17から半導体チップ1C3のパッド26へワイヤ33aが電気的に接続されている。すなわち、半導体チップ1C2のパッド17上にワイヤ33aのボールが形成され、半導体チップ1C3のパッド26上にワイヤ33aのステッチが形成される。従来は、狭ピッチのAlパッドへのステッチは困難なため、ワイヤボンディング用のスタッドバンプを形成し、その上にステッチしている。また、半導体チップ1C3のパッド26から絶縁基板32の表面のランド電極へワイヤ33bが電気的に接続されている。すなわち、パッド26上で形成されたステッチ上に更にワイヤ33bのボールが形成される。このように、ワイヤ33a、33bを接合することによって、半導体装置の小型化を図ることができる。
【0130】
また、図41では、半導体チップ1C3の再配線7においてワイヤボンディングの領域を複数設けている。半導体チップ1C2のパッド17から半導体チップ1C3のパッド26aへワイヤ33aが電気的に接続されている。すなわち、半導体チップ1C2のパッド17上にワイヤ33aのボールが形成され、半導体チップ1C3のパッド26a上にワイヤ33aのステッチが形成される。また、半導体チップ1C3のパッド26bから絶縁基板32の表面のランド電極へワイヤ33bが電気的に接続されている。すなわち、パッド26b上にワイヤ33bのボールが形成される。このように、半導体チップ1C3の再配線7上にパッド26a、26bに分けることによって、平坦な領域でワイヤボンディング33a、33bを接続することができ、良好な接続性を確保することができる。また、ワイヤボンディング33a、33bが距離をもっていても、再配線7により電気的に接続することができる。
【0131】
続いて、図38に示すように、レジン34によって半導体チップ1C1、1C2、1C3を樹脂封止する。次いで、図39に示すように、絶縁基板32の表面とは反対の裏面に、表面のランド電極と電気的に接続されるボール電極35を形成する。このボール電極35は絶縁基板32の表面にあるランド電極にそれぞれ対応させてランド電極の電極間ピッチよりも広い間隔で形成される。すなわち、絶縁基板32はいわゆるインターポーザ基板となる。
【0132】
これにより、本実施の形態におけるSiP製品(半導体装置)を完成することができる。また、本実施の形態におけるSiP製品をマザー基板へ実装することにより種々の半導体装置を構成することができる。また、インターポーザを用いた方法によれば、マザー基板の電極パターンをインターポーザ基板のボール電極パターンに対応させて形成すればよいから、その分マザー基板の電極間ピッチを拡げることができるので、容易にかつ安価にマザー基板を形成できる。
【0133】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0134】
例えば、前記実施の形態では、プローブ検査工程においてカンチレバー方式を用いた場合について説明したが、上下動方式を用いた場合についても適用することができる。
【0135】
また、前記実施の形態では、プローブ検査工程をしてから、導電性部材を接続領域に接続することについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、パッシベーション,シード,レジスト,及びめっき工程等の熱負荷をプローブテスト後にかけたくない製品(プローブ工程で実施するROM書き込みが消えたり、ヒューズカット(メモリビット切り替え,抵抗変動調整等)を必要とする製品)は、バンプ電極(Auめっき)形成後にプローブを実施することが好ましい。尚、導電性部材を形成後にプローブ検査工程を行う場合は、パッドに対してプローブ針を接触させるものではないことから、パッドの材料にCuを用いても良い。
【0136】
また、プローブ検査工程の前に、導電性部材を接続領域に接続する場合は、プローブ検査工程おける熱負荷の影響で、接続領域の表面が汚染される恐れがあることから、接続領域の表面をクリーニングしておくと良い。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、半導体装置、特に、パッドにプローブ針を接触させて行うプローブ検査工程後に、そのパッド上に形成される導電膜を有する半導体装置の製造業に幅広く利用されるものである。例えば、狭ピッチ製品であるモバイル製品、ナビゲーション製品、車載用製品、電気的特性要求の厳しいアナログなどの製品に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0138】
1C、1C1、1C2、1C3 半導体チップ
1W 半導体ウエハ
2 パッド(電極)
2A ダミーパッド
3 パッシベーション膜(第1絶縁膜)
4 プローブ針
5 パッシベーション膜(第2絶縁膜)
6 シード膜(配線層、導電膜、めっき層)
7 再配線(配線層、導電膜、めっき膜)
8 パッシベーション膜(第3絶縁膜)
9 バンプ電極
10A プローブ領域(第1領域)
10B 接続領域(第2領域)
11、12、12A、13、14、15 開口部
16 マスク
17 バンプ電極
18 パッシベーション膜
19 シード膜(配線層、導電膜、めっき層)
20 ボール
21、22 開口部
23、24 マスク
25 開口部
26、26a、26b パッド
27 マスク
28 開口部
29 導電膜
30 マスク
31 開口部
32 絶縁基板
33、33a、33b ワイヤ(導電性部材)
34 レジン
35 ボール電極
36 接着材
50 デバイス形成領域
51 スクライブ領域
52 基板
53 電極
54 アンダーフィル樹脂
55 基板
56 電極
57 ワイヤ
100 プローブ痕(外傷)
101 凸部
102 鬆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面、前記主面に形成されたパッド、前記パッドの周縁部を覆うように前記主面上に形成されたパッシベーション膜、および前記主面とは反対側の裏面を有する半導体チップと、
前記パッドのうちの前記パッシベーション膜から露出する面に接続され、かつ、前記パッシベーション膜の厚さよりも大きい厚さを有する電極と、
ボール部を有し、前記ボール部が前記電極に接続されたワイヤと、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記半導体チップは、基板上に搭載されており、
前記ワイヤのうちの前記ボール部とは反対側の端部は、前記基板のボンディングリードと接続されていることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2012−160739(P2012−160739A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−56972(P2012−56972)
【出願日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【分割の表示】特願2008−92633(P2008−92633)の分割
【原出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】