半導体装置
【課題】トリミングデータによって調整可能な基準電圧発生回路を備えた半導体装置において、電源が立上がるまでの基準電圧のばらつきの影響を受けないようにする。
【解決手段】半導体装置10において、基準電圧生成部1は、外部電源電圧VCCに基づいて、トリミングデータTRM1に応じて調整された第1の基準電圧V1*およびこのトリミングデータTRM1に依存しない第2の基準電圧V2を生成する。不揮発性メモリ3は、第1の基準電圧V1*に基づく電圧によって動作し、上記のトリミングデータTRM1を記憶する。パワーオンリセット回路5は、電源立上げ時に外部電源電圧VCCが第2の基準電圧V2の定数倍に達したときにリセット信号の論理レベルを切替える。制御回路6は、リセット信号の論理レベルの切替に応答して、不揮発性メモリ3に記憶された上記のトリミングデータTRM1を基準電圧生成部1に読込ませる。
【解決手段】半導体装置10において、基準電圧生成部1は、外部電源電圧VCCに基づいて、トリミングデータTRM1に応じて調整された第1の基準電圧V1*およびこのトリミングデータTRM1に依存しない第2の基準電圧V2を生成する。不揮発性メモリ3は、第1の基準電圧V1*に基づく電圧によって動作し、上記のトリミングデータTRM1を記憶する。パワーオンリセット回路5は、電源立上げ時に外部電源電圧VCCが第2の基準電圧V2の定数倍に達したときにリセット信号の論理レベルを切替える。制御回路6は、リセット信号の論理レベルの切替に応答して、不揮発性メモリ3に記憶された上記のトリミングデータTRM1を基準電圧生成部1に読込ませる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基準電圧生成回路を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の内部で使用される基準電圧には、半導体装置の作製プロセス、外部電源電圧、および動作温度に依存しない安定したものが求められる。この基準電圧を生成する回路として、バンドギャップリファレンス(BGR:Band-Gap Reference)回路(たとえば、非特許文献1参照)がよく用いられる。
【0003】
BGR回路は、正の温度依存性を有する電圧と負の温度依存性を有する電圧とを適当な比率で加算することによって温度に依存しない電圧を生成する。この加算比率を微調整するために、BGR回路にトリミング用の抵抗回路が設けられる。
【0004】
抵抗回路のトリミングの方法には、レーザヒューズなどを用いて物理的にトリミングを行なう方法や、ソフトウェアによってトリミングを行なう方法などが知られている。ソフトウェアによる方法では、電気的に書き換え可能な不揮発性半導体メモリにトリミングコードを予め記憶しておき、半導体装置の初期化時に、メモリから読み出されたトリミングコードに応じて抵抗回路の抵抗値が設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−133800号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Y.Okuda他、"A Trimming-Free CMOS Bandgap-Reference Circuit with Sub-1-V-Supply Voltage Operation"、2007 Symposium on VLSI Circuits Digest of Technical Papers、p.96-97
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、電源電圧の立上げ時には、不揮発性メモリは正常に動作しないのでトリミングコードの値は不定である。すなわち、電源立上げ時には、トリミングコードは、設定可能なコード値の最小値から最大値まで変動する可能性があり、この結果、基準電圧生成回路(たとえば、BGR回路)から出力される基準電圧の値も大きくばらつく可能性がある。
【0008】
特に問題となるのが、上記の基準電圧と外部電源電圧とを比較することによってリセット解除のタイミングを決定するような構成のパワーオンリセット回路が半導体装置に設けられている場合である。この場合、基準電圧の値が大きくばらつくとリセットの解除のタイミングも大きくばらついてしまう。リセットが解除されるタイミングに基づいて不揮発性メモリからトリミングコードが読み出されるので、トリミングコードが正常な値に設定されない場合もあり得る。
【0009】
この発明の目的は、トリミングデータによって調整可能な基準電圧発生回路を備えた半導体装置において、電源が立ち上がるまでの基準電圧のばらつきの影響を受けないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の実施の一形態による半導体装置は、基準電圧生成部と、不揮発性メモリと、パワーオンリセット回路と、制御回路とを備える。基準電圧生成部は、外部電源電圧に基づいて、トリミングデータに応じて調整された第1の基準電圧およびこのトリミングデータに依存しない第2の基準電圧を生成する。不揮発性メモリは、第1の基準電圧または第1の基準電圧に基づく電圧によって動作し、上記のトリミングデータを記憶する。パワーオンリセット回路は、電源立上げ時に外部電源電圧が第2の基準電圧の定数倍に達したときにリセット信号の論理レベルを切替える。制御回路は、リセット信号の論理レベルの切り替えに応答して、不揮発性メモリに記憶された上記のトリミングデータを基準電圧生成部に読込ませる。
【発明の効果】
【0011】
上記の実施の形態によれば、基準電圧生成部はトリミングデータに応じて調整された第1の基準電圧と、このトリミングデータに依存しない第2の基準電圧とを生成する。そして、第2の基準電圧に基づいてリセット信号の論理レベルを切替えるタイミングが決定される。したがって、電源が立ち上がるまでの第1の基準電圧のばらつきの影響を受けないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1による半導体装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のPOR回路5の構成の一例を示す回路図である。
【図3】図1の基準電圧生成部1の構成の一例を示す回路図である。
【図4】図1の各部の電圧波形を模式的に示すタイミング図である。
【図5】この発明の実施の形態2による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Aの構成を示すブロック図である。
【図6】図5の降圧回路30の構成の一例を示す回路図である。
【図7】この発明の実施の形態3による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Bの構成を示すブロック図である。
【図8】図7のBGR回路20Aの構成を示す回路図である。
【図9】図7の降圧回路30Aの構成を示す回路図である。
【図10】この発明の実施の形態4による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Cの構成を示すブロック図である。
【図11】図10の降圧回路30Bの構成を示す回路図である。
【図12】この発明の実施の形態5による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Dの構成を示すブロック図である。
【図13】図12のBGR回路20Bの構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
【0014】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による半導体装置10の構成を示すブロック図である。図1を参照して、半導体装置10は、基準電圧生成部1と、バッファ回路2と、フラッシュメモリ3と、内部回路4と、パワーオンリセット(POR:Power-On Reset)回路5と、制御回路6とを含む集積回路(IC:Integrated Circuit)である。半導体装置10がマイクロコンピュータの場合、内部回路4には、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、および周辺LSI(Large Scale Integration)などが含まれる。
【0015】
基準電圧生成部1は、半導体装置10の外部から受けた外部電源電圧VCCによって動作し、基準電圧V1*,V2を生成する。この基準電圧V1*,V2が、半導体装置10の作製プロセス、外部電源電圧VCC、および動作温度になるべく依存しないように基準電圧生成部1は設計される。
【0016】
ただし、実際の回路特性と設計値とにずれが生じることは避け難いので、基準電圧生成部1のうち、基準電圧V1*の生成に関係する部分には、トリミングコードTRM1によって調整可能な回路構成となっており、ここでは調整に抵抗素子を用いている。抵抗素子に代えてMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを用いることもできる。半導体装置10の作製後に、トリミングコードTRM1が実際の回路特性に応じて決定され、フラッシュメモリ3に記憶される。半導体装置10の初期化時にフラッシュメモリ3から読み出されたトリミングコードTMR1によって抵抗回路の抵抗値が設定される。この結果、基準電圧V1*を、作製プロセス、外部電源電圧、および動作温度に依存しないように調整することができる(基準電圧V1*の末尾の「*」はトリミングコードで調整されたことを表わす)。
【0017】
一方、基準電圧V2の生成に関係した回路部分についてはトリミングコードTRM1による調整が行なわれず、基準電圧V2は、トリミングコードTRM1に依存しない電圧となっている。基準電圧生成部1の具体的な回路例については図3で説明する。
【0018】
バッファ回路2は、外部電源電圧VCCによって動作し、入力された基準電圧V1*に等しい大きさの内部電源電圧VDDを生成して出力する。バッファ回路2は、次段のフラッシュメモリ3および内部回路4に供給する電流量を増加させるために設けられる。
【0019】
フラッシュメモリ3は、トリミングコードTMR1を含むトリミングデータが予め書き込まれた不揮発性半導体メモリであり、内部電源電圧VDDによって動作する。フラッシュメモリ3のように、回路内で内部電源電圧VDDを昇圧した昇圧電圧を生成する場合には、内部電源電圧VDDの設定値からの僅かなずれによって昇圧電圧が大きく異なることになる。特に、昇圧電圧が高すぎる場合には、データ書込時や消去時におけるゲート絶縁膜の劣化の原因となる。したがって、フラッシュメモリ3に供給される内部電源電圧VDDの精度は極めて重要である。
【0020】
フラッシュメモリ3に代えて、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリを用いることができる。半導体装置10がマイクロコンピュータの場合には、フラッシュメモリ3は、トリミングデータの他にプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)として構成されていてもよい。
【0021】
POR回路5は、電源立上げ時に外部電源電圧VCCに応じたリセット信号RSを出力する。図1の場合、外部電源電圧VCCが基準電圧V2の所定倍より小さい場合には、リセット信号RSはロー(L)レベルであり(リセット状態)、外部電源電圧VCCが基準電圧V2の所定倍以上になるとリセット信号RSがハイ(H)レベルに切替わる(リセット状態の解除)。POR回路5の具体例については図2で説明する。
【0022】
制御回路6は、外部電源電圧VCCによって動作し、POR回路5からリセット信号RSを受ける。制御回路6は、リセットが解除されたタイミングを基準にしてフラッシュメモリ3および内部回路4に対して制御信号CS1,CS2をそれぞれ出力する。フラッシュメモリ3は、制御信号CS1に応答して、トリミングコードTRM1を基準電圧生成部1に出力する。内部回路4は、制御信号CS2に応答してレジスタ類などを初期化する。
【0023】
図2は、図1のPOR回路5の構成の一例を示す回路図である。
図2を参照して、POR回路5は、抵抗素子15,16と、外部電源電圧VCCによって動作する比較器17とを含む。抵抗素子15,16は、外部電源電圧VCCを受ける電源ノードN1と、接地電圧GNDを受ける接地ノードN2との間に直列に接続される。比較器17の非反転入力端子は、抵抗素子15,16の接続ノード18に接続される。比較器17の反転入力端子には図1の基準電圧生成部1から出力された基準電圧V2が入力される。比較器17の出力端子からリセット信号RSが出力される。図2の構成のPOR回路5では、接続ノード18の検出電圧が基準電圧V2を超えるとリセット信号RSがHレベルになり、リセット状態が解除される。なお、ここではリセット状態をLレベル、リセット解除状態をHレベルとしているが、逆の論理の場合であっても同様の回路構成で容易に実現可能である。
【0024】
図2の場合と異なり、基準電圧V2によらずに外部電源電圧VCCのみに基づいてリセット信号を生成するタイプのPOR回路も知られている。しかしながら、このようなタイプのPOR回路は、作製プロセス、外部電源電圧VCC、および動作温度に依存してリセットが解除されるタイミングがばらつきやすい。基準電圧V2と外部電源電圧VCCを比較する図2のような構成のPOR回路を用いることによって、リセット信号が解除されるタイミングのばらつきを抑制することができる。
【0025】
図3は、図1の基準電圧生成部1の構成の一例を示す回路図である。図3の場合、基準電圧生成部1はバンドギャップリファレンス(BGR:Band-Gap Reference)回路20によって構成される。BGR回路20は、非特許文献1(Y.Okuda他、"A Trimming-Free CMOS Bandgap-Reference Circuit with Sub-1-V-Supply Voltage Operation"、2007 Symposium on VLSI Circuits Digest of Technical Papers、p.96-97)に開示された回路を変形したものである。
【0026】
図3を参照して、BGR回路20は、PMOS(Positive Channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタM1〜M5と、NPN型のバイポーラトランジスタTr1〜Tr5と、抵抗素子24〜26と、オペアンプA1,A2と、複数のトランスミッションゲート27とを含む。バイポーラトランジスタTr2はm個のバイポーラトランジスタが並列接続されたものである。まず、これらの構成要素間の接続について説明する。
【0027】
トランジスタM1,Tr1はこの順で電源ノードN1と接地ノードN2との間に直列に接続される。同様に、トランジスタM2,Tr2がこの順でノードN1,N2間に直列に接続され、トランジスタM3,Tr3および抵抗素子24がこの順でノードN1,N2間に直列に接続される。トランジスタM4,Tr4および複数の抵抗素子25がこの順でノードN1,N2間に直列に接続され、トランジスタM5,Tr5および抵抗素子26がこの順でノードN1,N2間に直列に接続される。トランジスタTr1,Tr4,Tr5は、ベースとコレクタとが接続されたダイオード接続のトランジスタである。
【0028】
複数のトランスミッションゲート27は、複数の抵抗素子25の少なくとも一部とそれぞれ並列に設けられ、互いに対応するトランスミッションゲート27と抵抗素子25とが並列に設けられる。各トランスミッションゲート27のオン/オフは、トリミングコードTRM1に応じて決まる。したがって、バイポーラトランジスタTr4のエミッタと接地ノードN2との間の抵抗値R2は、トリミングコードTRM1に応じて変更可能になっている。
【0029】
オペアンプA1は、その反転入力端子がPMOSトランジスタM1のドレイン(ノードN11)に接続され、非反転入力端子がPMOSトランジスタM2のドレイン(ノードN12)に接続され、出力端子がバイポーラトランジスタTr1〜Tr3のベースに接続される。オペアンプA2は、その非反転入力端子がPMOSトランジスタM3のドレイン(ノードN13)に接続され、反転入力端子がPMOSトランジスタM1のドレイン(ノードN11)に接続され、出力端子がPMOSトランジスタM1〜M5のゲートに接続される。
【0030】
次に、BGR回路20の動作について説明する。BGR回路20において、PMOSトランジスタM1〜M5のサイズ(チャネル幅Wとチャネル長との比W/L)が等しいとすると、各PMOSトランジスタに流れる電流Io(以下、基準電流Ioと称する)は等しい。BGR回路20は、機能的に見て、この基準電流Ioを生成する基準電流生成部21と、基準電流Ioに基づいた電圧を出力する電圧出力部22,23とに分割できる。
【0031】
基準電流生成部21は、PMOSトランジスタM1〜M3、バイポーラトランジスタTr1〜Tr3、オペアンプA1,A2、および抵抗素子24を含む。バイポーラトランジスタTr1,Tr3のベース・エミッタ間電圧をそれぞれVbe1,Vbe3とし、抵抗素子24の抵抗値をR1とする。オペアンプA2によって、PMOSトランジスタM1のドレイン(ノードN11)の電位と、PMOSトランジスタM3のドレイン(ノードN13)の電位とが等しくなるように基準電流Ioが決定される。基準電流Ioは、
Vbe1=Vbe3+Io×R1 …(1)
の関係を満たす。上式(1)から、基準電流Ioは、
Io=(Vbe1−Vbe3)/R1 …(2)
と求まる。オペアンプA1は、オペアンプA2のオフセットによって基準電流Ioが変動するのを抑制するために設けられている。
【0032】
電圧出力部22は、PMOSトランジスタM4、バイポーラトランジスタTr4、および複数の抵抗素子25を含む。電圧出力部22は、基準電流Ioに基づいてトリミングコードTRM1によって調整された基準電圧Vout1(図1の基準電圧V1*に対応する)を生成し、生成した基準電圧Vout1を出力ノードOUT1(PMOSトランジスタM4のドレイン)から出力する。バイポーラトランジスタTr4のベース・エミッタ間電圧をVbe4とすると、基準電圧Vout1は、
Vout1=Vbe4+Io×R2
=Vbe4+(Vbe1−Vbe3)×R2/R1 …(3)
で与えられる。
【0033】
上式(3)において、Vbe4の温度係数は負であり、Vbe1−Vbe3の温度係数は、(k/q)×ln(m)(ただし、kはボルツマン定数、qは電気素量、lnは自然対数、mはバイポーラトランジスタTr3の並列接続数を表わす)となって正になる。したがって、抵抗値の比R2/R1を調整することによって出力電圧Vout1の温度係数を0にすることができる。抵抗値R2はトリミングコードTRM1により調整可能であるので、半導体装置の作製プロセスの影響でVbe4の温度係数と抵抗値の比R2/R1が設計値からずれても抵抗値R2を調整することによって、出力電圧Voutの温度係数をほぼ0にすることができる。
【0034】
電圧出力部23は、PMOSトランジスタM5、バイポーラトランジスタTr5、および抵抗素子26を含む。電圧出力部23は、基準電流Ioに基づいてトリミングコードTRM1に依存しない基準電圧Vout2(図1の基準電圧V2に対応する)を生成し、生成した基準電圧Vout2を出力ノードOUT2(PMOSトランジスタM5のドレイン)から出力する。バイポーラトランジスタTr4のベース・エミッタ間電圧をVbe5とし、抵抗素子26の抵抗値をR3とすると、基準電圧Vout2は、
Vout2=Vbe5+Io×R3
=Vbe5+(Vbe1−Vbe3)×R3/R1 …(4)
で与えられる。
【0035】
上式(4)において、Vbe5の温度係数は負であり、Vbe1−Vbe3の温度係数は、式(3)で説明したように(k/q)×ln(m)となって正になる。したがって、抵抗値の比R3/R1を調整することによって出力電圧Vout1の温度係数を0にすることができる。ただし、式(4)の抵抗値R3はトリミングコードTRM1によって調整できないので、作製プロセスのばらつきの影響を完全に除去できない。この結果、出力電圧Vout2の精度は、トリミングコードTRM1によって調整された出力電圧Vout1の精度よりも劣る。
【0036】
図4は、図1の各部の電圧波形を模式的に示すタイミング図である。図4は、上から順に、図1の外部電源電圧VCCの波形、トリミングコードTRM1、基準電圧V1*の波形、内部電源電圧VDDの波形、基準電圧V2の波形、およびリセット信号RSの波形を示す。以下、図1および図4を参照して、半導体装置10の電源立上げ時の動作について説明する。
【0037】
図4の時刻t1で電源が投入されることによって、外部電源電圧VCCが0Vから徐々に上昇する。これに応じて、基準電圧生成部1から出力される基準電圧V1*,V2、および基準電圧V1*に基づく内部電源電圧VDDも、0Vから徐々に上昇する。この電源電圧の立上がり時は、トリミングコードTRM1は不定である。すなわち、トリミングコードTRM1は、設定可能なコード値の最小値から最大値まで変動する可能性がある。この結果、トリミングコードTRM1に依存する基準電圧V1*および内部電源電圧VDDの値も大きくばらついてしまう。一方、基準電圧V2はトリミングコードTRM1に依存しないので、作製プロセスに起因するばらつきがあるが、電源立上がり時の基準電圧V1*および内部電源電圧VDDのばらつきに比べると基準電圧V2のばらつきは小さい。図4では、基準電圧V1*,V2および内部電源電圧VDDのばらつきがハッチングで示されている。
【0038】
次の時刻t2で、外部電源電圧VCCが基準電圧V2の所定倍に達すると、POR回路5は、リセット信号RSをLレベルからHレベルに切替える。すなわち、リセット状態が解除される。このリセット状態の解除のタイミングは、基準電圧V2のばらつきに応じてばらつく。制御回路6は、リセットの解除を受けて、リセットの解除のタイミング(時刻t2)から所定の時間が経過した後に、トリミングデータの読出信号(制御信号CS1)を出力する。
【0039】
次の時刻t3で、フラッシュメモリ3は、制御信号CS1を受けて、予め設定されたトリミングコードTRM1を基準電圧生成部1に出力する。時刻t3以降、基準電圧生成部1は、予め設定されたトリミングコードTRM1に基づいて基準電圧V1*を生成して出力するので、基準電圧V1*および内部電源電圧VDDの作製プロセス、外部電源電圧VCC、および動作温度によるばらつきは極めて小さくなる。一方、基準電圧V2はトリミングコードTRM1に依存しないので、時刻t3以前と以後とで基準電圧V2のばらつきは変わらない。
【0040】
仮に、POR回路5が基準電圧V1*と外部電源電圧VCCとを比較することによってリセット信号を解除するタイミングを決定していたとする。そうすると、電源電圧の立上がり時でトリミングコードTRM1が不定のときには、リセットが解除されるタイミングは、基準電圧V1*のばらつきの影響を受けて大きくばらつく。たとえば、基準電圧V1*が設計値より低い場合には、外部電源電圧VCCがフラッシュメモリ3の動作に必要な電圧レベルまで達しないうちにリセットが解除される可能性がある。逆に基準電圧V1*が設計値より高い場合には、外部電源電圧が基準電圧V1*の所定倍に達することができずにリセットが解除されない可能性がある。特に、半導体装置が低電源電圧で動作する場合には、リセット解除のタイミングのマージンが小さくなるので、基準電圧V1*のばらつきの影響を受けやすい。
【0041】
これに対して、実施の形態1による半導体装置10の場合、POR回路など、電源立上げ時に基準電圧の供給を必要とする回路に対しては、トリミングコードTRM1に依存しない基準電圧V2が供給される。フラッシュメモリなど、電源立上げ後の定常状態に基準電圧の供給を必要とする回路に対しては、トリミングコードTRM1によって調整された高精度の基準電圧V1*が供給される。この結果、電源立上げ後にはトリミングコードTRM1によって調整された高精度の基準電圧の供給が可能になるとともに、電源立上げ時にトリミングコードTRM1が不定になることによる基準電圧のばらつきの影響を受けないようにすることができる。
【0042】
図3で説明したBGR回路20では、基準電圧V1*を出力する電圧出力部22と基準電圧V2を出力する電圧出力部23との両方に対して、共通の基準電流生成部21によって生成された基準電流Ioが供給される。したがって、基準電圧V1*を生成するためのBGR回路と、基準電圧V2を生成するためのBGR回路とを別々に設ける場合に比べて回路面積を小さくできるとともに消費電力を低減することができる。
【0043】
次に、図1の半導体装置10において基準電圧生成部1の構成の変形した例(実施の形態2〜5)について説明する。以下の各実施の形態では、図1の基準電圧生成部1以外の構成は図1の場合と共通するので説明を繰返さない。
【0044】
[実施の形態2]
図5は、この発明の実施の形態2による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Aの構成を示すブロック図である。図5を参照して、基準電圧生成部1Aは、トリミングコードTRM1を受けるBGR回路20と、トリミングコードTRM2を受ける降圧回路30(電圧調整回路とも称する)とを含む。トリミングコードTRM1,TRM2は、図1のフラッシュメモリ3に予め記憶され、制御回路6から出力された制御信号CS1に応答してフラッシュメモリ3から読み出される。
【0045】
BGR回路20は、トリミングコードTRM1に応じて調整された基準電圧V3*を出力ノードOUT1から出力するとともに、トリミングコードTRM1に依存しない基準電圧V2を出力ノードOUT2から出力する。BGR回路20の詳細は、図3と同じであるので説明を繰返さない。出力された基準電圧V3*は降圧回路30に供給され、基準電圧V2は図1のPOR回路5に供給される。
【0046】
降圧回路30は、外部電源電圧VCCを降圧した基準電圧V1*を生成し、生成した基準電圧V1*を図1のバッファ回路2に出力する。基準電圧V1*は、入力ノードIN1に入力された基準電圧V1*の定数倍になるようにトリミングコードTRM2によって調整される。
【0047】
BGR回路20によって生成される基準電圧V3*は、温度係数が0になるようにトリミングコードTRM1によって調整される。このとき温度依存性が優先されるために、基準電圧V3*の値が設計値からずれる場合がある。この電圧値のずれを微調整するために降圧回路30が設けられている。
【0048】
図6は、図5の降圧回路30の構成の一例を示す回路図である。
図5、図6を参照して、降圧回路30は、差動アンプ31と、PMOSトランジスタ32と、n個(nは3以上の整数)の抵抗素子33_1〜33_nと、選択回路34とを含む。差動アンプ31の反転入力端子は入力ノードIN1に接続され、非反転入力端子は選択回路34の出力ノードに接続され、出力端子はPMOSトランジスタ32のゲートに接続される。PMOSトランジスタ32のソースは電源ノードN1(外部電源電圧VCC)に接続され、ドレインは出力ノードOUT3に接続される。抵抗素子33_1〜33_nは、この順で接地ノードN2(接地電圧GND)とPMOSトランジスタ32のドレインとの間に直列に接続される。選択回路34は、抵抗素子33_1〜33_nの接続ノード35_1〜35_n−1のうち、トリミングコードTRM2によって選択されたノード(選択ノードと称する)の電圧を差動アンプ31の非反転入力端子に出力する。
【0049】
降圧回路30において、選択ノードと接地ノードN2との間の抵抗値をRfとし、直列接続された抵抗素子33_1〜33_nの合成抵抗値をRoとすれば、出力ノードOUT3の電圧(図5の基準電圧V1*)は、入力ノードIN1の入力電圧(図5の基準電圧V3*)のRo/Rf倍になる。抵抗値RfはトリミングコードTRM2によって調整可能であるので、高精度の基準電圧V1*を生成することができる。
【0050】
上記のとおり、図5の基準電圧生成部1Aによれば、電源立上げ後の定常状態のとき、作製プロセス、外部電源電圧VCC、および動作温度にほとんど依存しない高精度の基準電圧V1*を図1のフラッシュメモリ3に出力することができる。一方、基準電圧生成部1Aは、トリミングコードTRM1,TRM2のいずれにも依存しない基準電圧V2を図1のPOR回路5に出力することによって、電源立上げ時にトリミングコードTRM1,TRM2が不定になることによる基準電圧V1*のばらつきの影響を受けないようにすることができる。
【0051】
[実施の形態3]
図7は、この発明の実施の形態3による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Bの構成を示すブロック図である。図7を参照して、基準電圧生成部1Bは、トリミングコードに依存しないBGR回路20Aと、トリミングコードTRM2の入力を受ける降圧回路30Aとを含む。トリミングコードTRM2は、図1のフラッシュメモリ3に予め記憶され、制御回路6から出力された制御信号CS1に応じて読み出される。図7のBGR回路20Aはトリミングコードによって温度係数の微調整ができないので、半導体装置の作製プロセスによる影響が小さい場合に適している。
【0052】
図8は、図7のBGR回路20Aの構成を示す回路図である。図7、図8を参照して、BGR回路20Aは、トリミングコードに依存しない基準電圧V4を生成し、生成した基準電圧V4を出力ノードOUT2から出力する。BGR回路20Aは、図3のBGR回路20から電圧出力部22を取除いた構成と同じであり、基準電流生成部21と電圧出力部23とを含む。図8の基準電流生成部21および電圧出力部23については、図3と同一または相当する部分に同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0053】
図9は、図7の降圧回路30Aの構成を示す回路図である。図7、図9を参照して、降圧回路30Aは、入力ノードIN1に入力された基準電圧V4に基づいて外部電源電圧VCCを降圧した基準電圧V1*,V2を生成して出力ノードOUT3,OUT4からそれぞれ出力する。基準電圧V1*はトリミングコードTRM2に応じて調整された電圧であり、基準電圧V2はトリミングコードに依存しない電圧である。
【0054】
降圧回路30Aは、差動アンプ31と、PMOSトランジスタ32と、n個(nは3以上の整数)の抵抗素子33_1〜33_nと、選択回路34とを含む。抵抗素子33_1〜33_nは、この順で接地ノードN2(接地電圧GND)とPMOSトランジスタ32のドレインとの間に直列に接続される。選択回路34は、抵抗素子33_1〜33_nの接続ノード35_1〜35_n−1のうち、トリミングコードTRM2によって選択されたノード(選択ノードと称する)の電位を出力ノードOUT3に出力する。差動アンプ31の反転入力端子は入力ノードIN1に接続され、非反転入力端子は抵抗素子33_1〜33_nの接続ノード35_1〜35_n−1のうちの1つであるフィードバックノード(図9の場合、接続ノード35_1)と接続され、出力端子はPMOSトランジスタ32のゲートに接続される。PMOSトランジスタ32のソースは電源ノードN1(外部電源電圧VCC)に接続される。出力ノードOUT4は、抵抗素子33_1〜33_nの接続ノード35_1〜35_n−1のうちの1つである固定出力ノード(図9の場合、接続ノード35_2)と接続される。
【0055】
上記の構成の降圧回路30Aにおいて、選択ノードと接地ノードN2との間の抵抗値をRo1とし、固定出力ノードと接地ノードN2との間の抵抗値をRo2とし、フィードバックノードと接地ノードN2との間の抵抗値をRfとする。そうすると、出力ノードOUT3の電圧(図7の基準電圧V1*に対応する)は、入力ノードIN1の電圧(図7の基準電圧V4に対応する)のRo1/Rf倍になる。出力ノードOUT4の電圧(図7の基準電圧V2に対応する)は、入力ノードIN1の電圧(図7の基準電圧V4に対応する)のRo2/Rf倍になる。抵抗値Ro1はトリミングコードTRM2によって調整可能であるので、調整後の基準電圧V1*の精度は、基準電圧V2の精度よりも高い。
【0056】
実施の形態3の基準電圧生成部1Bによれば、電源立上げ後の定常状態のとき、作製プロセス、外部電源電圧VCC、および動作温度にほとんど依存しない基準電圧V1*を図1のフラッシュメモリ3に出力することができる。一方、基準電圧生成部1Bは、トリミングコードTRM2に依存しない基準電圧V2を図1のPOR回路5に出力することによって、電源立上げ時にトリミングコードTRM2が不定になることによる基準電圧V1*のばらつきの影響を受けないようにすることができる。
【0057】
[実施の形態4]
図10は、この発明の実施の形態4による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Cの構成を示すブロック図である。図10を参照して、基準電圧生成部1Cは、トリミングコードTRM1を受けるBGR回路20と、トリミングコードTRM2を受ける降圧回路30と、トリミングコードに依存しない降圧回路30Bとを含む。トリミングコードTRM1,TRM2は、図1のフラッシュメモリ3に予め記憶され、制御回路6から出力された制御信号CS1に応答してフラッシュメモリ3から読み出される。
【0058】
BGR回路20は、トリミングコードTRM1によって調整された基準電圧V3*を生成するとともに、トリミングコードTRM1,TRM2のいずれにも依存しない基準電圧V4を生成する。BGR回路20の構成の詳細は、図3と同じであるので説明を繰返さない。生成された基準電圧V3*は出力ノードOUT1から降圧回路30に出力され、基準電圧V4は出力ノードOUT2から降圧回路30Bに出力される。
【0059】
降圧回路30は、入力ノードIN1に入力された基準電圧V3*に基づいて、外部電源電圧VCCを降圧した基準電圧V1*を生成して出力ノードOUT3から出力する。出力された基準電圧V1*は、トリミングコードTRM2によって調整された倍率を基準電圧V3*に乗じたものである。降圧回路30の構成の詳細は、図6と同じであるので説明を繰返さない。
【0060】
図11は、図10の降圧回路30Bの構成を示す回路図である。図10、図11を参照して、降圧回路30Bは、入力ノードIN2に入力された基準電圧V4に基づいて、外部電源電圧VCCを降圧した基準電圧V2を生成して出力ノードOUT4から出力する。
【0061】
降圧回路30Bは、差動アンプ31と、PMOSトランジスタ32と、抵抗素子33_1,33_2とを含む。抵抗素子33_1,33_2は、この順で接地ノードN2(接地電圧GND)とPMOSトランジスタ32のドレインとの間に直列に接続される。差動アンプ31の反転入力端子は入力ノードIN2に接続され、非反転入力端子は抵抗素子33_1,33_2の接続ノード35_1に接続され、出力端子はPMOSトランジスタ32のゲートに接続される。PMOSトランジスタ32のソースは電源ノードN1(外部電源電圧VCC)に接続され、ドレインは出力ノードOUT4に接続される。
【0062】
上記の構成の降圧回路30において、接続ノード35_1と接地ノードN2との間の抵抗値をRfとし、直列接続された抵抗素子33_1,33_2の合成抵抗値をRoとする。そうすると、出力ノードOUT4の電圧(図10の基準電圧V2に対応する)は、入力ノードIN1の電圧(図10の基準電圧V4に対応する)のRo/Rf倍になる。抵抗値Ro,RfはトリミングコードTRM1,TRM2によらない固定値である。
【0063】
図10の基準電圧生成部1Cによれば、電源立上げ後の定常状態のとき、作製プロセス、外部電源電圧VCC、および動作温度にほとんど依存しない高精度の基準電圧V1*を図1のフラッシュメモリ3に出力することができる。一方、基準電圧生成部1Cは、トリミングコードTRM1,TRM2のいずれにも依存しない基準電圧V2を図1のPOR回路5に出力することによって、電源立上げ時にトリミングコードTRM1,TRM2が不定になることによる基準電圧V1*のばらつきの影響を受けないようにすることができる。
【0064】
[実施の形態5]
図12は、この発明の実施の形態5による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Dの構成を示すブロック図である。図12を参照して、基準電圧生成部1Dは、独立した2個のBGR回路20B,20Aを含む。BGR回路20Bは、トリミングコードTRM1に応じて調整された基準電圧V1*を生成し、生成した基準電圧V1*を出力ノードOUT1から図1のバッファ回路2に出力する。BGR回路20Aは、トリミングコードに依存しない基準電圧V2を生成し、生成した基準電圧V2を図1のPOR回路5に出力する。BGR回路20Aの構成の詳細は、図8の場合と同じであるので説明を繰返さない。
【0065】
図13は、図12のBGR回路20Bの構成を示す回路図である。BGR回路20Bは、図3のBGR回路20から電圧出力部23を取除いた構成と同じであり、基準電流生成部21と電圧出力部22とを含む。図8の基準電流生成部21および電圧出力部22について、図3と同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0066】
図12の基準電圧生成部1Dによれば、電源立上げ後の定常状態のとき、作製プロセス、外部電源電圧VCC、および動作温度にほとんど依存しない高精度の基準電圧V1*を図1のフラッシュメモリ3に出力することができる。一方、基準電圧生成部1Dは、トリミングコードTRM1に依存しない基準電圧V2を図1のPOR回路5に出力することによって、電源立上げ時にトリミングコードTRM1が不定になることによる基準電圧V1*のばらつきの影響を受けないようにすることができる。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
1,1A,1B,1C,1D 基準電圧生成部、2 バッファ回路、3 フラッシュメモリ、4 内部回路、5 パワーオンリセット回路、6 制御回路、10 半導体装置、20,20A,20B バンドギャップリファレンス回路、21 基準電流生成部、22,23 電圧出力部、30,30A,30B 降圧回路、CS1,CS2 制御信号、GND 接地電圧、RS リセット信号、TRM1,TRM2 トリミングコード、V1*,V2,V3*,V4 基準電圧、VCC 外部電源電圧、VDD 内部電源電圧。
【技術分野】
【0001】
この発明は基準電圧生成回路を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の内部で使用される基準電圧には、半導体装置の作製プロセス、外部電源電圧、および動作温度に依存しない安定したものが求められる。この基準電圧を生成する回路として、バンドギャップリファレンス(BGR:Band-Gap Reference)回路(たとえば、非特許文献1参照)がよく用いられる。
【0003】
BGR回路は、正の温度依存性を有する電圧と負の温度依存性を有する電圧とを適当な比率で加算することによって温度に依存しない電圧を生成する。この加算比率を微調整するために、BGR回路にトリミング用の抵抗回路が設けられる。
【0004】
抵抗回路のトリミングの方法には、レーザヒューズなどを用いて物理的にトリミングを行なう方法や、ソフトウェアによってトリミングを行なう方法などが知られている。ソフトウェアによる方法では、電気的に書き換え可能な不揮発性半導体メモリにトリミングコードを予め記憶しておき、半導体装置の初期化時に、メモリから読み出されたトリミングコードに応じて抵抗回路の抵抗値が設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−133800号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Y.Okuda他、"A Trimming-Free CMOS Bandgap-Reference Circuit with Sub-1-V-Supply Voltage Operation"、2007 Symposium on VLSI Circuits Digest of Technical Papers、p.96-97
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、電源電圧の立上げ時には、不揮発性メモリは正常に動作しないのでトリミングコードの値は不定である。すなわち、電源立上げ時には、トリミングコードは、設定可能なコード値の最小値から最大値まで変動する可能性があり、この結果、基準電圧生成回路(たとえば、BGR回路)から出力される基準電圧の値も大きくばらつく可能性がある。
【0008】
特に問題となるのが、上記の基準電圧と外部電源電圧とを比較することによってリセット解除のタイミングを決定するような構成のパワーオンリセット回路が半導体装置に設けられている場合である。この場合、基準電圧の値が大きくばらつくとリセットの解除のタイミングも大きくばらついてしまう。リセットが解除されるタイミングに基づいて不揮発性メモリからトリミングコードが読み出されるので、トリミングコードが正常な値に設定されない場合もあり得る。
【0009】
この発明の目的は、トリミングデータによって調整可能な基準電圧発生回路を備えた半導体装置において、電源が立ち上がるまでの基準電圧のばらつきの影響を受けないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の実施の一形態による半導体装置は、基準電圧生成部と、不揮発性メモリと、パワーオンリセット回路と、制御回路とを備える。基準電圧生成部は、外部電源電圧に基づいて、トリミングデータに応じて調整された第1の基準電圧およびこのトリミングデータに依存しない第2の基準電圧を生成する。不揮発性メモリは、第1の基準電圧または第1の基準電圧に基づく電圧によって動作し、上記のトリミングデータを記憶する。パワーオンリセット回路は、電源立上げ時に外部電源電圧が第2の基準電圧の定数倍に達したときにリセット信号の論理レベルを切替える。制御回路は、リセット信号の論理レベルの切り替えに応答して、不揮発性メモリに記憶された上記のトリミングデータを基準電圧生成部に読込ませる。
【発明の効果】
【0011】
上記の実施の形態によれば、基準電圧生成部はトリミングデータに応じて調整された第1の基準電圧と、このトリミングデータに依存しない第2の基準電圧とを生成する。そして、第2の基準電圧に基づいてリセット信号の論理レベルを切替えるタイミングが決定される。したがって、電源が立ち上がるまでの第1の基準電圧のばらつきの影響を受けないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1による半導体装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のPOR回路5の構成の一例を示す回路図である。
【図3】図1の基準電圧生成部1の構成の一例を示す回路図である。
【図4】図1の各部の電圧波形を模式的に示すタイミング図である。
【図5】この発明の実施の形態2による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Aの構成を示すブロック図である。
【図6】図5の降圧回路30の構成の一例を示す回路図である。
【図7】この発明の実施の形態3による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Bの構成を示すブロック図である。
【図8】図7のBGR回路20Aの構成を示す回路図である。
【図9】図7の降圧回路30Aの構成を示す回路図である。
【図10】この発明の実施の形態4による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Cの構成を示すブロック図である。
【図11】図10の降圧回路30Bの構成を示す回路図である。
【図12】この発明の実施の形態5による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Dの構成を示すブロック図である。
【図13】図12のBGR回路20Bの構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
【0014】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による半導体装置10の構成を示すブロック図である。図1を参照して、半導体装置10は、基準電圧生成部1と、バッファ回路2と、フラッシュメモリ3と、内部回路4と、パワーオンリセット(POR:Power-On Reset)回路5と、制御回路6とを含む集積回路(IC:Integrated Circuit)である。半導体装置10がマイクロコンピュータの場合、内部回路4には、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、および周辺LSI(Large Scale Integration)などが含まれる。
【0015】
基準電圧生成部1は、半導体装置10の外部から受けた外部電源電圧VCCによって動作し、基準電圧V1*,V2を生成する。この基準電圧V1*,V2が、半導体装置10の作製プロセス、外部電源電圧VCC、および動作温度になるべく依存しないように基準電圧生成部1は設計される。
【0016】
ただし、実際の回路特性と設計値とにずれが生じることは避け難いので、基準電圧生成部1のうち、基準電圧V1*の生成に関係する部分には、トリミングコードTRM1によって調整可能な回路構成となっており、ここでは調整に抵抗素子を用いている。抵抗素子に代えてMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを用いることもできる。半導体装置10の作製後に、トリミングコードTRM1が実際の回路特性に応じて決定され、フラッシュメモリ3に記憶される。半導体装置10の初期化時にフラッシュメモリ3から読み出されたトリミングコードTMR1によって抵抗回路の抵抗値が設定される。この結果、基準電圧V1*を、作製プロセス、外部電源電圧、および動作温度に依存しないように調整することができる(基準電圧V1*の末尾の「*」はトリミングコードで調整されたことを表わす)。
【0017】
一方、基準電圧V2の生成に関係した回路部分についてはトリミングコードTRM1による調整が行なわれず、基準電圧V2は、トリミングコードTRM1に依存しない電圧となっている。基準電圧生成部1の具体的な回路例については図3で説明する。
【0018】
バッファ回路2は、外部電源電圧VCCによって動作し、入力された基準電圧V1*に等しい大きさの内部電源電圧VDDを生成して出力する。バッファ回路2は、次段のフラッシュメモリ3および内部回路4に供給する電流量を増加させるために設けられる。
【0019】
フラッシュメモリ3は、トリミングコードTMR1を含むトリミングデータが予め書き込まれた不揮発性半導体メモリであり、内部電源電圧VDDによって動作する。フラッシュメモリ3のように、回路内で内部電源電圧VDDを昇圧した昇圧電圧を生成する場合には、内部電源電圧VDDの設定値からの僅かなずれによって昇圧電圧が大きく異なることになる。特に、昇圧電圧が高すぎる場合には、データ書込時や消去時におけるゲート絶縁膜の劣化の原因となる。したがって、フラッシュメモリ3に供給される内部電源電圧VDDの精度は極めて重要である。
【0020】
フラッシュメモリ3に代えて、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリを用いることができる。半導体装置10がマイクロコンピュータの場合には、フラッシュメモリ3は、トリミングデータの他にプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)として構成されていてもよい。
【0021】
POR回路5は、電源立上げ時に外部電源電圧VCCに応じたリセット信号RSを出力する。図1の場合、外部電源電圧VCCが基準電圧V2の所定倍より小さい場合には、リセット信号RSはロー(L)レベルであり(リセット状態)、外部電源電圧VCCが基準電圧V2の所定倍以上になるとリセット信号RSがハイ(H)レベルに切替わる(リセット状態の解除)。POR回路5の具体例については図2で説明する。
【0022】
制御回路6は、外部電源電圧VCCによって動作し、POR回路5からリセット信号RSを受ける。制御回路6は、リセットが解除されたタイミングを基準にしてフラッシュメモリ3および内部回路4に対して制御信号CS1,CS2をそれぞれ出力する。フラッシュメモリ3は、制御信号CS1に応答して、トリミングコードTRM1を基準電圧生成部1に出力する。内部回路4は、制御信号CS2に応答してレジスタ類などを初期化する。
【0023】
図2は、図1のPOR回路5の構成の一例を示す回路図である。
図2を参照して、POR回路5は、抵抗素子15,16と、外部電源電圧VCCによって動作する比較器17とを含む。抵抗素子15,16は、外部電源電圧VCCを受ける電源ノードN1と、接地電圧GNDを受ける接地ノードN2との間に直列に接続される。比較器17の非反転入力端子は、抵抗素子15,16の接続ノード18に接続される。比較器17の反転入力端子には図1の基準電圧生成部1から出力された基準電圧V2が入力される。比較器17の出力端子からリセット信号RSが出力される。図2の構成のPOR回路5では、接続ノード18の検出電圧が基準電圧V2を超えるとリセット信号RSがHレベルになり、リセット状態が解除される。なお、ここではリセット状態をLレベル、リセット解除状態をHレベルとしているが、逆の論理の場合であっても同様の回路構成で容易に実現可能である。
【0024】
図2の場合と異なり、基準電圧V2によらずに外部電源電圧VCCのみに基づいてリセット信号を生成するタイプのPOR回路も知られている。しかしながら、このようなタイプのPOR回路は、作製プロセス、外部電源電圧VCC、および動作温度に依存してリセットが解除されるタイミングがばらつきやすい。基準電圧V2と外部電源電圧VCCを比較する図2のような構成のPOR回路を用いることによって、リセット信号が解除されるタイミングのばらつきを抑制することができる。
【0025】
図3は、図1の基準電圧生成部1の構成の一例を示す回路図である。図3の場合、基準電圧生成部1はバンドギャップリファレンス(BGR:Band-Gap Reference)回路20によって構成される。BGR回路20は、非特許文献1(Y.Okuda他、"A Trimming-Free CMOS Bandgap-Reference Circuit with Sub-1-V-Supply Voltage Operation"、2007 Symposium on VLSI Circuits Digest of Technical Papers、p.96-97)に開示された回路を変形したものである。
【0026】
図3を参照して、BGR回路20は、PMOS(Positive Channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタM1〜M5と、NPN型のバイポーラトランジスタTr1〜Tr5と、抵抗素子24〜26と、オペアンプA1,A2と、複数のトランスミッションゲート27とを含む。バイポーラトランジスタTr2はm個のバイポーラトランジスタが並列接続されたものである。まず、これらの構成要素間の接続について説明する。
【0027】
トランジスタM1,Tr1はこの順で電源ノードN1と接地ノードN2との間に直列に接続される。同様に、トランジスタM2,Tr2がこの順でノードN1,N2間に直列に接続され、トランジスタM3,Tr3および抵抗素子24がこの順でノードN1,N2間に直列に接続される。トランジスタM4,Tr4および複数の抵抗素子25がこの順でノードN1,N2間に直列に接続され、トランジスタM5,Tr5および抵抗素子26がこの順でノードN1,N2間に直列に接続される。トランジスタTr1,Tr4,Tr5は、ベースとコレクタとが接続されたダイオード接続のトランジスタである。
【0028】
複数のトランスミッションゲート27は、複数の抵抗素子25の少なくとも一部とそれぞれ並列に設けられ、互いに対応するトランスミッションゲート27と抵抗素子25とが並列に設けられる。各トランスミッションゲート27のオン/オフは、トリミングコードTRM1に応じて決まる。したがって、バイポーラトランジスタTr4のエミッタと接地ノードN2との間の抵抗値R2は、トリミングコードTRM1に応じて変更可能になっている。
【0029】
オペアンプA1は、その反転入力端子がPMOSトランジスタM1のドレイン(ノードN11)に接続され、非反転入力端子がPMOSトランジスタM2のドレイン(ノードN12)に接続され、出力端子がバイポーラトランジスタTr1〜Tr3のベースに接続される。オペアンプA2は、その非反転入力端子がPMOSトランジスタM3のドレイン(ノードN13)に接続され、反転入力端子がPMOSトランジスタM1のドレイン(ノードN11)に接続され、出力端子がPMOSトランジスタM1〜M5のゲートに接続される。
【0030】
次に、BGR回路20の動作について説明する。BGR回路20において、PMOSトランジスタM1〜M5のサイズ(チャネル幅Wとチャネル長との比W/L)が等しいとすると、各PMOSトランジスタに流れる電流Io(以下、基準電流Ioと称する)は等しい。BGR回路20は、機能的に見て、この基準電流Ioを生成する基準電流生成部21と、基準電流Ioに基づいた電圧を出力する電圧出力部22,23とに分割できる。
【0031】
基準電流生成部21は、PMOSトランジスタM1〜M3、バイポーラトランジスタTr1〜Tr3、オペアンプA1,A2、および抵抗素子24を含む。バイポーラトランジスタTr1,Tr3のベース・エミッタ間電圧をそれぞれVbe1,Vbe3とし、抵抗素子24の抵抗値をR1とする。オペアンプA2によって、PMOSトランジスタM1のドレイン(ノードN11)の電位と、PMOSトランジスタM3のドレイン(ノードN13)の電位とが等しくなるように基準電流Ioが決定される。基準電流Ioは、
Vbe1=Vbe3+Io×R1 …(1)
の関係を満たす。上式(1)から、基準電流Ioは、
Io=(Vbe1−Vbe3)/R1 …(2)
と求まる。オペアンプA1は、オペアンプA2のオフセットによって基準電流Ioが変動するのを抑制するために設けられている。
【0032】
電圧出力部22は、PMOSトランジスタM4、バイポーラトランジスタTr4、および複数の抵抗素子25を含む。電圧出力部22は、基準電流Ioに基づいてトリミングコードTRM1によって調整された基準電圧Vout1(図1の基準電圧V1*に対応する)を生成し、生成した基準電圧Vout1を出力ノードOUT1(PMOSトランジスタM4のドレイン)から出力する。バイポーラトランジスタTr4のベース・エミッタ間電圧をVbe4とすると、基準電圧Vout1は、
Vout1=Vbe4+Io×R2
=Vbe4+(Vbe1−Vbe3)×R2/R1 …(3)
で与えられる。
【0033】
上式(3)において、Vbe4の温度係数は負であり、Vbe1−Vbe3の温度係数は、(k/q)×ln(m)(ただし、kはボルツマン定数、qは電気素量、lnは自然対数、mはバイポーラトランジスタTr3の並列接続数を表わす)となって正になる。したがって、抵抗値の比R2/R1を調整することによって出力電圧Vout1の温度係数を0にすることができる。抵抗値R2はトリミングコードTRM1により調整可能であるので、半導体装置の作製プロセスの影響でVbe4の温度係数と抵抗値の比R2/R1が設計値からずれても抵抗値R2を調整することによって、出力電圧Voutの温度係数をほぼ0にすることができる。
【0034】
電圧出力部23は、PMOSトランジスタM5、バイポーラトランジスタTr5、および抵抗素子26を含む。電圧出力部23は、基準電流Ioに基づいてトリミングコードTRM1に依存しない基準電圧Vout2(図1の基準電圧V2に対応する)を生成し、生成した基準電圧Vout2を出力ノードOUT2(PMOSトランジスタM5のドレイン)から出力する。バイポーラトランジスタTr4のベース・エミッタ間電圧をVbe5とし、抵抗素子26の抵抗値をR3とすると、基準電圧Vout2は、
Vout2=Vbe5+Io×R3
=Vbe5+(Vbe1−Vbe3)×R3/R1 …(4)
で与えられる。
【0035】
上式(4)において、Vbe5の温度係数は負であり、Vbe1−Vbe3の温度係数は、式(3)で説明したように(k/q)×ln(m)となって正になる。したがって、抵抗値の比R3/R1を調整することによって出力電圧Vout1の温度係数を0にすることができる。ただし、式(4)の抵抗値R3はトリミングコードTRM1によって調整できないので、作製プロセスのばらつきの影響を完全に除去できない。この結果、出力電圧Vout2の精度は、トリミングコードTRM1によって調整された出力電圧Vout1の精度よりも劣る。
【0036】
図4は、図1の各部の電圧波形を模式的に示すタイミング図である。図4は、上から順に、図1の外部電源電圧VCCの波形、トリミングコードTRM1、基準電圧V1*の波形、内部電源電圧VDDの波形、基準電圧V2の波形、およびリセット信号RSの波形を示す。以下、図1および図4を参照して、半導体装置10の電源立上げ時の動作について説明する。
【0037】
図4の時刻t1で電源が投入されることによって、外部電源電圧VCCが0Vから徐々に上昇する。これに応じて、基準電圧生成部1から出力される基準電圧V1*,V2、および基準電圧V1*に基づく内部電源電圧VDDも、0Vから徐々に上昇する。この電源電圧の立上がり時は、トリミングコードTRM1は不定である。すなわち、トリミングコードTRM1は、設定可能なコード値の最小値から最大値まで変動する可能性がある。この結果、トリミングコードTRM1に依存する基準電圧V1*および内部電源電圧VDDの値も大きくばらついてしまう。一方、基準電圧V2はトリミングコードTRM1に依存しないので、作製プロセスに起因するばらつきがあるが、電源立上がり時の基準電圧V1*および内部電源電圧VDDのばらつきに比べると基準電圧V2のばらつきは小さい。図4では、基準電圧V1*,V2および内部電源電圧VDDのばらつきがハッチングで示されている。
【0038】
次の時刻t2で、外部電源電圧VCCが基準電圧V2の所定倍に達すると、POR回路5は、リセット信号RSをLレベルからHレベルに切替える。すなわち、リセット状態が解除される。このリセット状態の解除のタイミングは、基準電圧V2のばらつきに応じてばらつく。制御回路6は、リセットの解除を受けて、リセットの解除のタイミング(時刻t2)から所定の時間が経過した後に、トリミングデータの読出信号(制御信号CS1)を出力する。
【0039】
次の時刻t3で、フラッシュメモリ3は、制御信号CS1を受けて、予め設定されたトリミングコードTRM1を基準電圧生成部1に出力する。時刻t3以降、基準電圧生成部1は、予め設定されたトリミングコードTRM1に基づいて基準電圧V1*を生成して出力するので、基準電圧V1*および内部電源電圧VDDの作製プロセス、外部電源電圧VCC、および動作温度によるばらつきは極めて小さくなる。一方、基準電圧V2はトリミングコードTRM1に依存しないので、時刻t3以前と以後とで基準電圧V2のばらつきは変わらない。
【0040】
仮に、POR回路5が基準電圧V1*と外部電源電圧VCCとを比較することによってリセット信号を解除するタイミングを決定していたとする。そうすると、電源電圧の立上がり時でトリミングコードTRM1が不定のときには、リセットが解除されるタイミングは、基準電圧V1*のばらつきの影響を受けて大きくばらつく。たとえば、基準電圧V1*が設計値より低い場合には、外部電源電圧VCCがフラッシュメモリ3の動作に必要な電圧レベルまで達しないうちにリセットが解除される可能性がある。逆に基準電圧V1*が設計値より高い場合には、外部電源電圧が基準電圧V1*の所定倍に達することができずにリセットが解除されない可能性がある。特に、半導体装置が低電源電圧で動作する場合には、リセット解除のタイミングのマージンが小さくなるので、基準電圧V1*のばらつきの影響を受けやすい。
【0041】
これに対して、実施の形態1による半導体装置10の場合、POR回路など、電源立上げ時に基準電圧の供給を必要とする回路に対しては、トリミングコードTRM1に依存しない基準電圧V2が供給される。フラッシュメモリなど、電源立上げ後の定常状態に基準電圧の供給を必要とする回路に対しては、トリミングコードTRM1によって調整された高精度の基準電圧V1*が供給される。この結果、電源立上げ後にはトリミングコードTRM1によって調整された高精度の基準電圧の供給が可能になるとともに、電源立上げ時にトリミングコードTRM1が不定になることによる基準電圧のばらつきの影響を受けないようにすることができる。
【0042】
図3で説明したBGR回路20では、基準電圧V1*を出力する電圧出力部22と基準電圧V2を出力する電圧出力部23との両方に対して、共通の基準電流生成部21によって生成された基準電流Ioが供給される。したがって、基準電圧V1*を生成するためのBGR回路と、基準電圧V2を生成するためのBGR回路とを別々に設ける場合に比べて回路面積を小さくできるとともに消費電力を低減することができる。
【0043】
次に、図1の半導体装置10において基準電圧生成部1の構成の変形した例(実施の形態2〜5)について説明する。以下の各実施の形態では、図1の基準電圧生成部1以外の構成は図1の場合と共通するので説明を繰返さない。
【0044】
[実施の形態2]
図5は、この発明の実施の形態2による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Aの構成を示すブロック図である。図5を参照して、基準電圧生成部1Aは、トリミングコードTRM1を受けるBGR回路20と、トリミングコードTRM2を受ける降圧回路30(電圧調整回路とも称する)とを含む。トリミングコードTRM1,TRM2は、図1のフラッシュメモリ3に予め記憶され、制御回路6から出力された制御信号CS1に応答してフラッシュメモリ3から読み出される。
【0045】
BGR回路20は、トリミングコードTRM1に応じて調整された基準電圧V3*を出力ノードOUT1から出力するとともに、トリミングコードTRM1に依存しない基準電圧V2を出力ノードOUT2から出力する。BGR回路20の詳細は、図3と同じであるので説明を繰返さない。出力された基準電圧V3*は降圧回路30に供給され、基準電圧V2は図1のPOR回路5に供給される。
【0046】
降圧回路30は、外部電源電圧VCCを降圧した基準電圧V1*を生成し、生成した基準電圧V1*を図1のバッファ回路2に出力する。基準電圧V1*は、入力ノードIN1に入力された基準電圧V1*の定数倍になるようにトリミングコードTRM2によって調整される。
【0047】
BGR回路20によって生成される基準電圧V3*は、温度係数が0になるようにトリミングコードTRM1によって調整される。このとき温度依存性が優先されるために、基準電圧V3*の値が設計値からずれる場合がある。この電圧値のずれを微調整するために降圧回路30が設けられている。
【0048】
図6は、図5の降圧回路30の構成の一例を示す回路図である。
図5、図6を参照して、降圧回路30は、差動アンプ31と、PMOSトランジスタ32と、n個(nは3以上の整数)の抵抗素子33_1〜33_nと、選択回路34とを含む。差動アンプ31の反転入力端子は入力ノードIN1に接続され、非反転入力端子は選択回路34の出力ノードに接続され、出力端子はPMOSトランジスタ32のゲートに接続される。PMOSトランジスタ32のソースは電源ノードN1(外部電源電圧VCC)に接続され、ドレインは出力ノードOUT3に接続される。抵抗素子33_1〜33_nは、この順で接地ノードN2(接地電圧GND)とPMOSトランジスタ32のドレインとの間に直列に接続される。選択回路34は、抵抗素子33_1〜33_nの接続ノード35_1〜35_n−1のうち、トリミングコードTRM2によって選択されたノード(選択ノードと称する)の電圧を差動アンプ31の非反転入力端子に出力する。
【0049】
降圧回路30において、選択ノードと接地ノードN2との間の抵抗値をRfとし、直列接続された抵抗素子33_1〜33_nの合成抵抗値をRoとすれば、出力ノードOUT3の電圧(図5の基準電圧V1*)は、入力ノードIN1の入力電圧(図5の基準電圧V3*)のRo/Rf倍になる。抵抗値RfはトリミングコードTRM2によって調整可能であるので、高精度の基準電圧V1*を生成することができる。
【0050】
上記のとおり、図5の基準電圧生成部1Aによれば、電源立上げ後の定常状態のとき、作製プロセス、外部電源電圧VCC、および動作温度にほとんど依存しない高精度の基準電圧V1*を図1のフラッシュメモリ3に出力することができる。一方、基準電圧生成部1Aは、トリミングコードTRM1,TRM2のいずれにも依存しない基準電圧V2を図1のPOR回路5に出力することによって、電源立上げ時にトリミングコードTRM1,TRM2が不定になることによる基準電圧V1*のばらつきの影響を受けないようにすることができる。
【0051】
[実施の形態3]
図7は、この発明の実施の形態3による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Bの構成を示すブロック図である。図7を参照して、基準電圧生成部1Bは、トリミングコードに依存しないBGR回路20Aと、トリミングコードTRM2の入力を受ける降圧回路30Aとを含む。トリミングコードTRM2は、図1のフラッシュメモリ3に予め記憶され、制御回路6から出力された制御信号CS1に応じて読み出される。図7のBGR回路20Aはトリミングコードによって温度係数の微調整ができないので、半導体装置の作製プロセスによる影響が小さい場合に適している。
【0052】
図8は、図7のBGR回路20Aの構成を示す回路図である。図7、図8を参照して、BGR回路20Aは、トリミングコードに依存しない基準電圧V4を生成し、生成した基準電圧V4を出力ノードOUT2から出力する。BGR回路20Aは、図3のBGR回路20から電圧出力部22を取除いた構成と同じであり、基準電流生成部21と電圧出力部23とを含む。図8の基準電流生成部21および電圧出力部23については、図3と同一または相当する部分に同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0053】
図9は、図7の降圧回路30Aの構成を示す回路図である。図7、図9を参照して、降圧回路30Aは、入力ノードIN1に入力された基準電圧V4に基づいて外部電源電圧VCCを降圧した基準電圧V1*,V2を生成して出力ノードOUT3,OUT4からそれぞれ出力する。基準電圧V1*はトリミングコードTRM2に応じて調整された電圧であり、基準電圧V2はトリミングコードに依存しない電圧である。
【0054】
降圧回路30Aは、差動アンプ31と、PMOSトランジスタ32と、n個(nは3以上の整数)の抵抗素子33_1〜33_nと、選択回路34とを含む。抵抗素子33_1〜33_nは、この順で接地ノードN2(接地電圧GND)とPMOSトランジスタ32のドレインとの間に直列に接続される。選択回路34は、抵抗素子33_1〜33_nの接続ノード35_1〜35_n−1のうち、トリミングコードTRM2によって選択されたノード(選択ノードと称する)の電位を出力ノードOUT3に出力する。差動アンプ31の反転入力端子は入力ノードIN1に接続され、非反転入力端子は抵抗素子33_1〜33_nの接続ノード35_1〜35_n−1のうちの1つであるフィードバックノード(図9の場合、接続ノード35_1)と接続され、出力端子はPMOSトランジスタ32のゲートに接続される。PMOSトランジスタ32のソースは電源ノードN1(外部電源電圧VCC)に接続される。出力ノードOUT4は、抵抗素子33_1〜33_nの接続ノード35_1〜35_n−1のうちの1つである固定出力ノード(図9の場合、接続ノード35_2)と接続される。
【0055】
上記の構成の降圧回路30Aにおいて、選択ノードと接地ノードN2との間の抵抗値をRo1とし、固定出力ノードと接地ノードN2との間の抵抗値をRo2とし、フィードバックノードと接地ノードN2との間の抵抗値をRfとする。そうすると、出力ノードOUT3の電圧(図7の基準電圧V1*に対応する)は、入力ノードIN1の電圧(図7の基準電圧V4に対応する)のRo1/Rf倍になる。出力ノードOUT4の電圧(図7の基準電圧V2に対応する)は、入力ノードIN1の電圧(図7の基準電圧V4に対応する)のRo2/Rf倍になる。抵抗値Ro1はトリミングコードTRM2によって調整可能であるので、調整後の基準電圧V1*の精度は、基準電圧V2の精度よりも高い。
【0056】
実施の形態3の基準電圧生成部1Bによれば、電源立上げ後の定常状態のとき、作製プロセス、外部電源電圧VCC、および動作温度にほとんど依存しない基準電圧V1*を図1のフラッシュメモリ3に出力することができる。一方、基準電圧生成部1Bは、トリミングコードTRM2に依存しない基準電圧V2を図1のPOR回路5に出力することによって、電源立上げ時にトリミングコードTRM2が不定になることによる基準電圧V1*のばらつきの影響を受けないようにすることができる。
【0057】
[実施の形態4]
図10は、この発明の実施の形態4による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Cの構成を示すブロック図である。図10を参照して、基準電圧生成部1Cは、トリミングコードTRM1を受けるBGR回路20と、トリミングコードTRM2を受ける降圧回路30と、トリミングコードに依存しない降圧回路30Bとを含む。トリミングコードTRM1,TRM2は、図1のフラッシュメモリ3に予め記憶され、制御回路6から出力された制御信号CS1に応答してフラッシュメモリ3から読み出される。
【0058】
BGR回路20は、トリミングコードTRM1によって調整された基準電圧V3*を生成するとともに、トリミングコードTRM1,TRM2のいずれにも依存しない基準電圧V4を生成する。BGR回路20の構成の詳細は、図3と同じであるので説明を繰返さない。生成された基準電圧V3*は出力ノードOUT1から降圧回路30に出力され、基準電圧V4は出力ノードOUT2から降圧回路30Bに出力される。
【0059】
降圧回路30は、入力ノードIN1に入力された基準電圧V3*に基づいて、外部電源電圧VCCを降圧した基準電圧V1*を生成して出力ノードOUT3から出力する。出力された基準電圧V1*は、トリミングコードTRM2によって調整された倍率を基準電圧V3*に乗じたものである。降圧回路30の構成の詳細は、図6と同じであるので説明を繰返さない。
【0060】
図11は、図10の降圧回路30Bの構成を示す回路図である。図10、図11を参照して、降圧回路30Bは、入力ノードIN2に入力された基準電圧V4に基づいて、外部電源電圧VCCを降圧した基準電圧V2を生成して出力ノードOUT4から出力する。
【0061】
降圧回路30Bは、差動アンプ31と、PMOSトランジスタ32と、抵抗素子33_1,33_2とを含む。抵抗素子33_1,33_2は、この順で接地ノードN2(接地電圧GND)とPMOSトランジスタ32のドレインとの間に直列に接続される。差動アンプ31の反転入力端子は入力ノードIN2に接続され、非反転入力端子は抵抗素子33_1,33_2の接続ノード35_1に接続され、出力端子はPMOSトランジスタ32のゲートに接続される。PMOSトランジスタ32のソースは電源ノードN1(外部電源電圧VCC)に接続され、ドレインは出力ノードOUT4に接続される。
【0062】
上記の構成の降圧回路30において、接続ノード35_1と接地ノードN2との間の抵抗値をRfとし、直列接続された抵抗素子33_1,33_2の合成抵抗値をRoとする。そうすると、出力ノードOUT4の電圧(図10の基準電圧V2に対応する)は、入力ノードIN1の電圧(図10の基準電圧V4に対応する)のRo/Rf倍になる。抵抗値Ro,RfはトリミングコードTRM1,TRM2によらない固定値である。
【0063】
図10の基準電圧生成部1Cによれば、電源立上げ後の定常状態のとき、作製プロセス、外部電源電圧VCC、および動作温度にほとんど依存しない高精度の基準電圧V1*を図1のフラッシュメモリ3に出力することができる。一方、基準電圧生成部1Cは、トリミングコードTRM1,TRM2のいずれにも依存しない基準電圧V2を図1のPOR回路5に出力することによって、電源立上げ時にトリミングコードTRM1,TRM2が不定になることによる基準電圧V1*のばらつきの影響を受けないようにすることができる。
【0064】
[実施の形態5]
図12は、この発明の実施の形態5による半導体装置で用いられる基準電圧生成部1Dの構成を示すブロック図である。図12を参照して、基準電圧生成部1Dは、独立した2個のBGR回路20B,20Aを含む。BGR回路20Bは、トリミングコードTRM1に応じて調整された基準電圧V1*を生成し、生成した基準電圧V1*を出力ノードOUT1から図1のバッファ回路2に出力する。BGR回路20Aは、トリミングコードに依存しない基準電圧V2を生成し、生成した基準電圧V2を図1のPOR回路5に出力する。BGR回路20Aの構成の詳細は、図8の場合と同じであるので説明を繰返さない。
【0065】
図13は、図12のBGR回路20Bの構成を示す回路図である。BGR回路20Bは、図3のBGR回路20から電圧出力部23を取除いた構成と同じであり、基準電流生成部21と電圧出力部22とを含む。図8の基準電流生成部21および電圧出力部22について、図3と同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
【0066】
図12の基準電圧生成部1Dによれば、電源立上げ後の定常状態のとき、作製プロセス、外部電源電圧VCC、および動作温度にほとんど依存しない高精度の基準電圧V1*を図1のフラッシュメモリ3に出力することができる。一方、基準電圧生成部1Dは、トリミングコードTRM1に依存しない基準電圧V2を図1のPOR回路5に出力することによって、電源立上げ時にトリミングコードTRM1が不定になることによる基準電圧V1*のばらつきの影響を受けないようにすることができる。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
1,1A,1B,1C,1D 基準電圧生成部、2 バッファ回路、3 フラッシュメモリ、4 内部回路、5 パワーオンリセット回路、6 制御回路、10 半導体装置、20,20A,20B バンドギャップリファレンス回路、21 基準電流生成部、22,23 電圧出力部、30,30A,30B 降圧回路、CS1,CS2 制御信号、GND 接地電圧、RS リセット信号、TRM1,TRM2 トリミングコード、V1*,V2,V3*,V4 基準電圧、VCC 外部電源電圧、VDD 内部電源電圧。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源電圧に基づいて、トリミングデータに応じて調整された第1の基準電圧および前記トリミングデータに依存しない第2の基準電圧を生成する基準電圧生成部と、
前記第1の基準電圧または前記第1の基準電圧に基づく電圧によって動作し、前記トリミングデータを記憶する不揮発性メモリと、
電源立上げ時に前記外部電源電圧が前記第2の基準電圧の定数倍に達したときにリセット信号の論理レベルを切替えるパワーオンリセット回路と、
前記リセット信号の論理レベルの切替に応答して、前記不揮発性メモリに記憶された前記トリミングデータを前記基準電圧生成部に読込ませる制御回路とを備える、半導体装置。
【請求項2】
前記トリミングデータは、第1および第2のトリミングコードを含み、
前記基準電圧生成部は、
前記第1のトリミングコードを受けるバンドギャップリファレンス回路と、
前記第2のトリミングコードを受ける電圧調整回路とを含み、
前記バンドギャップリファレンス回路は、
前記トリミングデータに依存しない基準電流を生成する基準電流生成部と、
前記基準電流に基づいて前記第1のトリミングコードに応じて調整された第3の基準電圧を生成して出力する第1の電圧出力部と、
前記基準電流に基づいて前記トリミングデータに依存しない前記第2の基準電圧を生成して出力する第2の電圧出力部とを有し、
前記電圧調整回路は、前記第2のトリミングコードに応じて調整された倍率を前記第3の基準電圧に乗ずることによって前記第1の基準電圧を生成する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記基準電圧生成部は、
前記トリミングデータに依存しない第3の基準電圧を生成するバンドギャップリファレンス回路と、
前記第3の基準電圧を受ける電圧調整回路とを含み、
前記電圧調整回路は、前記トリミングデータに応じて調整された第1の倍率を前記第3の基準電圧に乗ずることによって前記第1の基準電圧を生成し、前記電圧調整回路は、前記トリミングデータに依存しない第2の倍率を前記第3の基準電圧に乗ずることによって前記第2の基準電圧を生成する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記基準電圧生成部は、バンドギャップリファレンス回路を含み、
前記バンドギャップリファレンス回路は、
前記外部電源電圧に基づいて前記トリミングデータに依存しない基準電流を生成する基準電流生成部と、
前記基準電流に基づいて前記トリミングデータに応じて調整された前記第1の基準電圧を生成して出力する第1の電圧出力部と、
前記基準電流に基づいて前記トリミングデータに依存しない前記第2の基準電圧を生成して出力する第2の電圧出力部とを有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記トリミングデータは、第1および第2のトリミングコードを含み、
前記基準電圧生成部は、
前記第1のトリミングコードを受けるバンドギャップリファレンス回路と、
前記第2のトリミングコードを受ける第1の電圧調整回路と
第2の電圧調整回路とを含み、
前記バンドギャップリファレンス回路は、
前記トリミングデータに依存しない基準電流を生成する基準電流生成部と、
前記基準電流に基づいて前記第1のトリミングコードに応じて調整された第3の基準電圧を生成して出力する第1の電圧出力部と、
前記基準電流に基づいて前記トリミングデータに依存しない第4の基準電圧を生成して出力する第2の電圧出力部とを有し、
前記第1の電圧調整回路は、前記第2のトリミングコードに応じて調整された第1の倍率を前記第3の基準電圧に乗ずることによって前記第1の基準電圧を生成し、
前記第2の電圧調整回路は、前記トリミングデータに依存しない第2の倍率を前記第4の基準電圧に乗ずることによって前記第2の基準電圧を生成する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記基準電圧生成部は、
前記トリミングデータを受けて、前記第1の基準電圧を生成する第1のバンドギャップリファレンス回路と、
前記第2の基準電圧を生成する第2のバンドギャップリファレンス回路とを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項1】
外部電源電圧に基づいて、トリミングデータに応じて調整された第1の基準電圧および前記トリミングデータに依存しない第2の基準電圧を生成する基準電圧生成部と、
前記第1の基準電圧または前記第1の基準電圧に基づく電圧によって動作し、前記トリミングデータを記憶する不揮発性メモリと、
電源立上げ時に前記外部電源電圧が前記第2の基準電圧の定数倍に達したときにリセット信号の論理レベルを切替えるパワーオンリセット回路と、
前記リセット信号の論理レベルの切替に応答して、前記不揮発性メモリに記憶された前記トリミングデータを前記基準電圧生成部に読込ませる制御回路とを備える、半導体装置。
【請求項2】
前記トリミングデータは、第1および第2のトリミングコードを含み、
前記基準電圧生成部は、
前記第1のトリミングコードを受けるバンドギャップリファレンス回路と、
前記第2のトリミングコードを受ける電圧調整回路とを含み、
前記バンドギャップリファレンス回路は、
前記トリミングデータに依存しない基準電流を生成する基準電流生成部と、
前記基準電流に基づいて前記第1のトリミングコードに応じて調整された第3の基準電圧を生成して出力する第1の電圧出力部と、
前記基準電流に基づいて前記トリミングデータに依存しない前記第2の基準電圧を生成して出力する第2の電圧出力部とを有し、
前記電圧調整回路は、前記第2のトリミングコードに応じて調整された倍率を前記第3の基準電圧に乗ずることによって前記第1の基準電圧を生成する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記基準電圧生成部は、
前記トリミングデータに依存しない第3の基準電圧を生成するバンドギャップリファレンス回路と、
前記第3の基準電圧を受ける電圧調整回路とを含み、
前記電圧調整回路は、前記トリミングデータに応じて調整された第1の倍率を前記第3の基準電圧に乗ずることによって前記第1の基準電圧を生成し、前記電圧調整回路は、前記トリミングデータに依存しない第2の倍率を前記第3の基準電圧に乗ずることによって前記第2の基準電圧を生成する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記基準電圧生成部は、バンドギャップリファレンス回路を含み、
前記バンドギャップリファレンス回路は、
前記外部電源電圧に基づいて前記トリミングデータに依存しない基準電流を生成する基準電流生成部と、
前記基準電流に基づいて前記トリミングデータに応じて調整された前記第1の基準電圧を生成して出力する第1の電圧出力部と、
前記基準電流に基づいて前記トリミングデータに依存しない前記第2の基準電圧を生成して出力する第2の電圧出力部とを有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記トリミングデータは、第1および第2のトリミングコードを含み、
前記基準電圧生成部は、
前記第1のトリミングコードを受けるバンドギャップリファレンス回路と、
前記第2のトリミングコードを受ける第1の電圧調整回路と
第2の電圧調整回路とを含み、
前記バンドギャップリファレンス回路は、
前記トリミングデータに依存しない基準電流を生成する基準電流生成部と、
前記基準電流に基づいて前記第1のトリミングコードに応じて調整された第3の基準電圧を生成して出力する第1の電圧出力部と、
前記基準電流に基づいて前記トリミングデータに依存しない第4の基準電圧を生成して出力する第2の電圧出力部とを有し、
前記第1の電圧調整回路は、前記第2のトリミングコードに応じて調整された第1の倍率を前記第3の基準電圧に乗ずることによって前記第1の基準電圧を生成し、
前記第2の電圧調整回路は、前記トリミングデータに依存しない第2の倍率を前記第4の基準電圧に乗ずることによって前記第2の基準電圧を生成する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記基準電圧生成部は、
前記トリミングデータを受けて、前記第1の基準電圧を生成する第1のバンドギャップリファレンス回路と、
前記第2の基準電圧を生成する第2のバンドギャップリファレンス回路とを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−48349(P2012−48349A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187971(P2010−187971)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]