説明

半導体酸化装置、それを用いた面発光レーザ素子の製造方法、その製造方法によって製造された面発光レーザ素子を備えた面発光レーザアレイ、その製造方法によって製造された面発光レーザ素子または面発光レーザアレイを備えた光伝送システムおよび画像形成装置。

【課題】ウェハ内における非酸化領域の寸法を均一化可能な半導体酸化装置を提供する。
【解決手段】ヒータ105は、加熱テーブル103内に設けられ、制御部127からの制御に従って、試料トレイ107上に載せられた半導体試料140の外周部を365℃に加熱し、半導体試料140の内周部を370℃に加熱する。マスフローコントローラー113は、窒素ガスを気化器114へ供給し、液体マスフローコントローラー111は、水溜容器109に保持された水を気化器114へ供給する。気化器114は、液体マスフローコントローラー111からの水を気化して水蒸気を生成し、その生成した水蒸気をマスフローコントローラー113からの窒素ガスをキャリアガスとして配管115,116、バルブ120および導入管108を介して反応容器101へ供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体酸化装置、それを用いた面発光レーザ素子の製造方法、その製造方法によって製造された面発光レーザ素子を備えた面発光レーザアレイ、その製造方法によって製造された面発光レーザ素子または面発光レーザアレイを備えた光伝送システムおよび画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電流注入効率を高めるために電流狭窄構造を備えている半導体レーザの一例として、面発光レーザが挙げられる。この面発光レーザは、基板に垂直方向に光を出射するものであり、基板に平行方向に光を出射する端面発光型の半導体レーザよりも低価格、低消費電力、小型および2次元デバイスに好適であり、且つ、高性能であるという理由により、近年、特に、注目されている。
【0003】
面発光レーザは、LAN(Local Area Network)、ボード間、ボード内、集積回路(LSI:Large Scale Integrated circuit)のチップ間、および集積回路のチップ内の光伝送用の光源として期待されている。また、面発光レーザは、プリンタまたはDVD等の光ディスクへの光書き込み用光源としても用いられようとしている。
【0004】
これらの面発光レーザの用途においては、出力光が単一基本モード光であることが必要とされる場合が多い。代表的には、プリンタまたはDVDへの光書き込み用光源(発振波長:850nm)と、ファイバを用いる光伝送システムの光源(発振波長:1.3μm,1.5μm)とが挙げられる。
【0005】
光書き込み系では、出力ビームの絞込みのために精密で複雑な光路の制御を行なう必要があり、単一波長の光源が必要となる。また、光伝送システムでは、波長によりファイバ中の伝搬速度が異なるので、信号波形を崩さずに伝搬させるには、単一波長の光源が必要となる。以上により、これらの用途に使用する面発光レーザは、単一基本モード光であることが必要とされる。
【0006】
面発光レーザの代表的な構成は、n型反射層、第1の共振器スペーサー層、活性層、第2の共振器スペーサー層およびp型反射層を基板上に順次積層した構造からなる。そして、活性層の近傍であるp型反射層中に電流狭窄構造が設けられる。この電流狭窄構造は、電流を活性層へ注入するときに電流を活性層近傍に閉じ込める機能を果たす。そして、この電流狭窄構造として、AlAs層またはAlGaAs層を選択酸化してこれらの層の一部を絶縁化した狭窄構造が用いられる(特許文献1)。なお、以下では、これらの選択酸化される層を被選択酸化Al(Ga)As層と呼ぶことにする。
【0007】
電流狭窄構造は、円形台状または矩形台状のメサ構造を含む半導体基板または半導体試料を高温の水蒸気の雰囲気中で熱処理し、メサ構造に含まれる被選択酸化Al(Ga)As層をメサ構造の側面からメサ構造の中心部へ向かって、かつ、中央部を残した状態まで酸化することにより、Alからなる電流狭窄部を形成したものである。このAlは、電気的に絶縁性であるので、電流経路を中央部の非酸化領域に制限する。また、面発光レーザの場合、このAlからなる電流狭窄部は、屈折率が周囲の半導体層よりも小さいので光を閉じ込める機能も果たす。このため、電流狭窄部を用いると、半導体素子の電流狭窄の効率がよく、かつ、閾値電流が小さいという優れた特性が得られる。
【0008】
また、面発光レーザで単一基本横モードの発振を得るためには、狭窄部の大きさ(たとえば、狭窄径)を小さくして、高次モードの回折損失を大きくする必要がある。具体的には、狭窄部の一辺の大きさまたは直径を発振波長の3〜4倍程度まで狭くする必要がある。たとえば、発振波長が0.85μm,1.3μmの場合、狭窄部の一辺の長さは、それぞれ、約4.0μmおよび約5.0μm以下にする必要がある。さらに、量産においては、光出力などの素子特性が均一であることが要求され、狭窄部の一辺の長さの公差は、±0.2μm以下とする必要がある。
【0009】
図24は、酸化処理を行なう従来の半導体酸化装置を示す図である。従来、図24に示す半導体酸化装置が知られている(非特許文献1)。図24を参照して、半導体酸化装置900は、反応容器901と、加熱ステージ902と、基板ホルダ903と、ヒータ904と、導入管905と、排気管906とを備える。
【0010】
加熱ステージ902は、反応容器901内に配置される。ヒータ904は、加熱ステージ902内に内蔵される。基板ホルダ903は、加熱ステージ902の一主面に配置される。導入管905は、加熱ステージ902よりも上部に配置される。排気管906は、反応容器901の側面に設置される。
【0011】
加熱ステージ902は、基板ホルダ903を支持し、基板ホルダ903は、半導体試料910を支持する。ヒータ904は、加熱ステージ902および基板ホルダ903を介して半導体試料910を加熱する。導入管905は、所定温度の水蒸気をキャリアガスによって反応容器901内へ導入する。排気管906は、反応容器901内に導入されたキャリアガスを排気する。
【0012】
半導体酸化装置900は、第1の共振器スペーサー層、活性層、第2の共振器スペーサー層およびp型反射層がメサ形状にエッチングされた半導体試料910を基板ホルダ903上に設置し、ヒータ904によって半導体試料910を所定の温度(たとえば、400℃程度)に加熱し、さらに、導入管905によって水蒸気を反応容器901中へ導入して活性層近傍のp型反射層中に設けられた被選択酸化層をメサ形状の周囲から酸化し、p型反射層中に電流狭窄部を形成する。
【0013】
このように、面発光レーザは、半導体酸化装置を用いてp型反射層中の被選択酸化膜を選択酸化してp型反射層中に電流狭窄部を形成することによって作製される。
【特許文献1】米国特許第5,493,577号公報
【非特許文献1】光アライアンス、2004年4月,pp42−46.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、前述の従来の半導体酸化装置を用いた場合、ウェハ内における選択酸化層の膜厚の分布に起因して選択酸化層の酸化速度にバラツキが生じ、その結果、選択酸化層を選択酸化したときの非酸化領域の直径のバラツキが±5%よりも大きくなるという問題があった。
【0015】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ウェハ内における非酸化領域の寸法を均一化可能な半導体酸化装置を提供することである。
【0016】
また、この発明の別の目的は、ウェハ内における非酸化領域の寸法を均一化可能な面発光レーザ素子の製造方法を提供することである。
【0017】
さらに、この発明の別の目的は、ウェハ内における非酸化領域の寸法を均一化可能な面発光レーザ素子の製造方法によって製造された面発光レーザ素子を備えた面発光レーザアレイを提供することである。
【0018】
さらに、この発明の別の目的は、ウェハ内における非酸化領域の寸法を均一化可能な面発光レーザ素子の製造方法によって製造された面発光レーザ素子または面発光レーザアレイを備えた光伝送システムを提供することである。
【0019】
さらに、この発明の別の目的は、ウェハ内における非酸化領域の寸法を均一化可能な面発光レーザ素子の製造方法によって製造された面発光レーザ素子または面発光レーザアレイを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明によれば、半導体酸化装置は、反応容器と、支持台と、複数の加熱装置と、供給部と、制御部とを備える。支持台は、反応容器内に設置され、試料を支持する。複数の加熱装置の各々は、支持台を介して試料を加熱する。供給部は、反応容器内に酸化材料を供給する。制御部は、試料の面内方向における酸化速度の分布を基準値以下に抑制する好適な温度に試料を加熱するように複数の加熱装置を制御する。
【0021】
好ましくは、制御部は、試料の温度以外の要因に基づく酸化速度の分布を打ち消す好適な温度に試料を加熱するように複数の加熱装置を制御する。
【0022】
好ましくは、複数の加熱装置は、支持台の中央から外周へ向かう方向に分割されて配置される。
【0023】
好ましくは、好適な温度は、試料の内周から外周へ向かうに従って相対的に低下するように決定される。
【0024】
好ましくは、好適な温度は、実験結果に基づいて決定される温度である。
【0025】
好ましくは、複数の加熱装置の各々は、抵抗加熱ヒータである。
【0026】
好ましくは、複数の加熱装置の各々は、ランプヒータである。
【0027】
また、この発明によれば、面発光レーザ素子の製造方法は、半導体分布ブラック反射器からなる第1の反射層、第1の共振器スペーサー層、活性層、第2の共振器スペーサー層および半導体分布ブラック反射器からなる第2の反射層をウェハ上に順次積層する第1のステップと、活性層、第2の共振器スペーサー層および活性層をメサ形状にエッチングして複数の面発光レーザ素子をウェハ上に形成する第2のステップと、ウェハを反応容器内の支持台にセットする第3のステップと、反応容器内に酸化材料を供給する第4のステップと、ウェハに形成された複数の面発光レーザ素子の複数の第2の反射層に含まれる複数の被選択酸化層における酸化速度の分布が基準値以下になる好適な温度にウェハを加熱する第5のステップとを備える。
【0028】
好ましくは、第5のステップは、ウェハの温度以外の要因に基づく酸化速度の分布を打ち消す好適な温度にウェハを加熱する。
【0029】
好ましくは、好適な温度は、実験結果に基づいて決定される温度である。
【0030】
好ましくは、第5のステップは、ウェハの径方向に配置された複数の加熱装置によってウェハを好的な温度に加熱する。
【0031】
好ましくは、第5のステップは、ウェハの内周から外周へ向かうに従ってウェハの温度が相対的に低下するように複数の加熱装置によってウェハを加熱する。
【0032】
好ましくは、複数の加熱装置の各々は、抵抗加熱ヒータである。
【0033】
好ましくは、複数の加熱装置の各々は、ランプヒータである。
【0034】
好ましくは、活性層は、GaInNAs系材料を含む。
【0035】
さらに、この発明によれば、面発光レーザアレイは、基板と、基板上に形成された複数の面発光レーザ素子とを備える。複数の面発光レーザ素子の各々は、請求項7から請求項13のいずれか1項に記載の面発光レーザ素子の製造方法によって製造された面発光レーザ素子である。
【0036】
さらに、この発明によれば、光伝送システムは、請求項7から請求項13のいずれか1項に記載の面発光レーザ素子の製造方法によって製造された面発光レーザ素子または請求項14に記載の面発光レーザアレイを光源として備える。
【0037】
さらに、この発明によれば、画像形成装置は、請求項7から請求項13のいずれか1項に記載の面発光レーザ素子の製造方法によって製造された面発光レーザ素子または請求項14に記載の面発光レーザアレイを光源として備える。
【発明の効果】
【0038】
この発明においては、試料の面内方向における酸化速度の分布を基準値以下に抑制する好適な温度に試料を加熱して酸化する。すなわち、この発明においては、試料の面内方向においてほぼ均一な酸化速度で試料を酸化する。
【0039】
したがって、この発明によれば、試料内の非酸化領域の寸法を均一化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0041】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による半導体酸化装置の概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態1による半導体酸化装置100は、反応容器101と、基台102と、加熱テーブル103と、回転軸104と、ヒータ105と、温度検出器106と、試料トレイ107と、導入管108と、水溜容器109と、配管110,112,115〜117,124,126と、液体マスフローコントローラー(LMFC:Liquid Mass Flow Controller)111と、マスフローコントローラー(MFC:Mass Flow Controller)113,118と、バルブ119〜121と、排気管122と、水捕集器123と、排気ポンプ125と、制御部127とを備える。
【0042】
基台102は、反応容器101内に配置され、回転軸104の一方端に固定される。加熱テーブル103は、基台102上に設置される。回転軸104は、一部が反応容器101内に配置され、矢印128の方向に回動可能に反応容器101の底面に固定される。
【0043】
ヒータ105は、基台102内に内蔵される。温度検出器106は、先端が加熱テーブル103中に埋め込まれるように基台102内に配置される。試料トレイ107は、カーボンからなり、加熱テーブル103の一主面上に配置される。
【0044】
導入管108は、一部が反応容器101内に配置され、一方端が加熱テーブル103よりも上側に配置されるように反応容器101の上面に固定される。そして、導入管108の一方端は、広くなっている。
【0045】
配管110は、一方端が水溜容器109に保持された水130中に浸漬され、他方端が気化器114に連結される。液体マスフローコントローラー111は、配管110中に配設される。
【0046】
配管112は、一方端が気化器114に連結される。マスフローコントローラー113は、配管112中に配設される。気化器114は、配管110,112,115に連結される。配管115は、一方端が気化器114に連結され、他方端が外部空間に開放される。
【0047】
配管116は、一方端が導入管108に連結され、他方端が配管115に連結される。配管117は、一方端が配管116に連結される。マスフローコントローラー118は、配管117中に配設される。
【0048】
バルブ119は、配管115の他方端の近傍で配管115中に配設される。バルブ120は、配管115と配管116との連結部と、配管116と配管117との連結部との間で配管116中に配設される。バルブ121は、配管116と配管117との連結部の近傍で配管117中に配設される。
【0049】
排気管122は、一方端が反応容器101の側面に連結され、他方端が水捕集器123中に配置される。配管124は、一方端が水捕集器123に連結され、他方端が排気ポンプ125に連結される。排気ポンプ125は、配管124の他方端および配管126の一方端に連結される。配管126は、一方端が排気ポンプ125に連結される。
【0050】
反応容器101は、基台102、加熱テーブル103、回転軸104の一部、試料トレイ107、および導入管108の一部を収納する。基台102は、加熱テーブル103を支持する。加熱テーブル103は、試料トレイ107を支持する。
【0051】
回転軸104は、制御部127からの制御に従って基台102を矢印128の方向に回転させる。ヒータ105は、制御部127からの制御に従って加熱テーブル103および試料トレイ107を介して半導体試料140を加熱する。
【0052】
温度検出器106は、加熱テーブル103の温度Tsを検出し、その検出した温度Tsを制御部127へ出力する。試料トレイ107は、半導体試料140を支持する。導入管108は、バルブ120を介して供給された窒素ガス(N)および水蒸気を反応容器101内へ導入するとともに、バルブ121を介して供給された窒素ガスを反応容器101内へ導入する。
【0053】
水溜容器109は、水130を保持する。配管110は、液体マスフローコントローラー111によって水溜容器109から汲み上げられた水を気化器114に供給する。液体マスフローコントローラー111は、制御部127からの制御に応じて、水溜容器109に溜められた水130を配管110を介して気化器114に供給する。配管112は、マスフローコントローラー113からの窒素ガスを気化器114に供給する。マスフローコントローラー113は、制御部127からの制御に従って、配管112の他方端から供給された窒素ガスの流量を所定流量に設定して気化器114へ供給する。
【0054】
気化器114は、液体マスフローコントローラー111から供給された水を気化して水蒸気を生成するとともに、その生成した水蒸気とマスフローコントローラー113から供給された窒素ガスとを配管115,116およびバルブ120を介して導入管108へ供給する。
【0055】
配管115は、気化器114から供給された水蒸気および窒素ガスをバルブ119を介して外部へ放出し、または配管116およびバルブ120を介して導入管108へ供給する。
【0056】
配管116は、配管115およびバルブ120を介して供給された水蒸気および窒素ガスを導入管108へ供給するとともに、配管117およびバルブ121を介して供給された窒素ガスを導入管108へ供給する。
【0057】
配管117は、マスフローコントローラー118から供給された窒素ガスをバルブ121を介して配管116へ供給する。マスフローコントローラー118は、配管117の他方端から供給された窒素ガスの流量を所定流量に設定して配管116へ供給する。
【0058】
バルブ119は、配管115に供給された窒素ガスおよび水蒸気を外部へ放出し、または窒素ガスおよび水蒸気の外部への放出を停止する。バルブ120は、配管115から供給された窒素ガスおよび水蒸気を導入管108の方向へ供給し、または窒素ガスおよび水蒸気の導入管108の方向への供給を停止する。バルブ121は、窒素ガスを配管116へ供給し、または窒素ガスの配管116への供給を停止する。
【0059】
排気管122は、反応容器101内の窒素ガスおよび水蒸気を水捕集器123へ供給する。水捕集器123は、排気管122から供給された窒素ガスおよび水蒸気のうち、水蒸気を捕集する。
【0060】
配管124は、水捕集器123内の窒素ガスを排気ポンプ125へ導く。排気ポンプ125は、水捕集器123内の窒素ガスを排気する。配管126は、窒素ガスを外部へ放出する。
【0061】
制御部127は、後述する方法によって、半導体試料140の面内方向における酸化速度の分布が基準値以下になる好適な温度に加熱テーブル103を加熱するようにヒータ105を制御する。
【0062】
また、制御部127は、水の流量を所定流量に設定するように液体マスフローコントローラー111を制御し、窒素ガスの流量を所定流量に設定するようにマスフローコントローラー113,118を制御する。さらに、制御部127は、バルブ119〜121の開閉を制御する。
【0063】
なお、配管115,116、導入管108および反応容器101の内壁は、水蒸気が液化しない温度に加熱されている。
【0064】
図2は、図1に示す加熱テーブル103およびヒータ105の平面図である。図2を参照して、ヒータ105は、ヒータ105A,105Bからなる。ヒータ105A,105Bの各々は、セラミックヒータからなる。加熱テーブル103は、略円形の平面形状を有する。そして、ヒータ105A,105Bは、略同心円状に加熱テーブル103の内部に配置される。この場合、ヒータ105Aは、ヒータ105Bの外側に配置される。
【0065】
このように、ヒータ105は、外側に配置されたヒータ105Aと、内側に配置されたヒータ105Bとからなる。そして、ヒータ105A,105Bは、制御部127からの制御に従って、相互に独立に加熱テーブル103を加熱する。したがって、制御部127は、温度検出器106から受けた温度Tsに基づいて、ヒータ105Aによって加熱される加熱テーブル103の設定温度と、ヒータ105Bによって加熱される加熱テーブル103の設定温度とを独立に設定し、その設定した設定温度になるようにヒータ105A,105Bを独立に制御する。
【0066】
図3は、図1に示す半導体試料140の断面図である。図3を参照して、半導体試料140は、次に示す方法によって作製された試料である。まず、たとえば、ガリウム砒素(GaAs)からなるウェハ141上に、Al(Ga)Asからなる被選択酸化層1421を含む半導体多層膜142を有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapour Deposition)または分子線エピタキシー法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)によって結晶成長し、図3の(a)に示す半導体試料140を作製する。次に、この半導体試料140をエッチング加工し、被選択酸化層1421の側壁が露出する多数の半導体メサ(半導体柱)143を有する半導体試料140を作製する(図3の(b)参照)。
【0067】
ウェハ141上に結晶成長された被選択酸化層1421は、ウェハ141の面内方向DR1に膜厚分布を有し、ウェハ141の外周部ほど、膜厚が厚くなる場合と、ウェハ141の外周部ほど、膜厚が薄くなる場合が多い。以下では、ウェハ141の外周部ほど、膜厚が厚くなる場合について説明する。
【0068】
図4は、酸化速度と膜厚との関係を示す図である。図4において、縦軸は、被選択酸化層1421の膜厚が100nmであるときの酸化速度を“1”とした被選択酸化層1421の相対酸化速度を表し、横軸は、被選択酸化層1421の膜厚を表す。図1に示す半導体酸化装置100を用いて酸化する場合、酸化速度は、膜厚が50nm程度までの範囲においては膜厚が厚くなるほど速くなり、50nm以上の膜厚においては略一定になる。
【0069】
このように、被選択酸化層1421の酸化速度は、被選択酸化層1421の膜厚に大きく依存する。そうすると、ウェハ141上の被選択酸化層1421を酸化した場合、ウェハ141の面内方向DR1において、酸化領域の面積(=非酸化領域の面積)にバラツキが生じる。その結果、酸化領域の面積は、ウェハ141の外周部ほど大きくなり(すなわち、非酸化領域の面積は、ウェハ141の外周部ほど小さくなり)、ウェハ141の中央部ほど小さくなる(すなわち、非酸化領域の面積は、ウェハ141の中央部ほど大きくなる)。
【0070】
図5は、半導体試料140とヒータ105との配置関係を示す断面図である。図5を参照して、ヒータ105は、上述したように、外周部に配置されたヒータ105Aと、中央部に配置されたヒータ105Bとからなるので、ヒータ105Aは、半導体試料140の外周部に対応して配置され、ヒータ105Bは、半導体試料140の中央部に対応して配置される。
【0071】
上述したように、半導体試料142の酸化速度は、被選択酸化層1421の膜厚に依存してバラツキが生じ、被選択酸化層1421の膜厚が厚くなるに従って速くなり、被選択酸化層1421の膜厚が薄くなるに従って遅くなる。
【0072】
したがって、制御部127は、半導体試料140の膜厚による酸化速度のバラツキを基準値以下に抑制するために、半導体試料140の外周部に対応して配置されたヒータ105Aの設定温度を相対的に低く設定し、半導体試料140の中央部に対応して配置されたヒータ105Bの設定温度を相対的に高く設定してヒータ105A,105Bを独立に制御する。つまり、制御部127は、被選択酸化層1421の膜厚分布による酸化速度のバラツキを打ち消す好適な温度に加熱テーブル103を加熱するようにヒータ105A,105Bを独立に制御する。
【0073】
図6は、図1に示す半導体酸化装置100が酸化の対象とする面発光レーザ素子の概略断面図である。図6を参照して、面発光レーザ素子10は、基板1と、反射層2,6と、共振器スペーサー層3,5と、活性層4と、選択酸化層7と、コンタクト層8と、絶縁性樹脂9と、p側電極11と、n側電極12とを備える。
【0074】
基板1は、(100)の面方位を有するn型ガリウム砒素(n−GaAs)からなる。反射層2は、低屈折率層21および高屈折率層22の対を一周期とした場合、35.5周期の[低屈折率層21/高屈折率層22]からなり、基板1上に形成される。そして、低屈折率層21は、n−AlGaAsからなり、高屈折率層22は、n−GaAsからなる。また、面発光レーザ素子10の発振波長をλとした場合、低屈折率層21および高屈折率層22の各々は、λ/4n(nは各半導体層の屈折率)の膜厚を有する。
【0075】
共振器スペーサー層3は、GaAsからなり、反射層2上に形成される。活性層4は、GaInNAsを井戸層とし、GaAsを障壁層としたGaInNAs/GaAs3重量子井戸構造からなり、共振器スペーサー層3上に形成される。
【0076】
共振器スペーサー層5は、GaAsからなり、活性層4上に形成される。反射層6は、低屈折率層61および高屈折率層62の対を一周期とした場合、28周期の[低屈折率層61/高屈折率層62]からなり、共振器スペーサー層5上に形成される。そして、低屈折率層61は、p−AlGaAsからなり、高屈折率層62は、p−GaAsからなる。また、低屈折率層61および高屈折率層62の各々は、λ/4n(nは各半導体層の屈折率)の膜厚を有する。
【0077】
選択酸化層7は、30nmのp−AlAsからなり、反射層6中に設けられる。より具体的には、選択酸化層7は、反射層6において共振器スペーサー層5側から2周期目に設けられる。そして、選択酸化層7は、非酸化領域7aと酸化領域7bとからなる。
【0078】
コンタクト層8は、p−GaAsからなり、反射層6上に形成される。絶縁性樹脂9は、反射層102の一部の一主面と、共振器スペーサー層3、活性層4、共振器スペーサー層5、反射層6、選択酸化層7およびコンタクト層8の端面とを覆うように形成される。
【0079】
p側電極11は、コンタクト層8の一部および絶縁性樹脂9上に形成される。n側電極12は、基板1の裏面に形成される。
【0080】
反射層2,6の各々は、活性層4で発振した発振光をブラッグの多重反射により反射して活性層4に閉じ込める半導体分布ブラッグ反射器を構成する。
【0081】
また、選択酸化層7の酸化領域7bは、p側電極11および反射層6を介して注入された電流の活性層4への注入経路を非酸化領域7aに制限する。これによって、活性層4に注入される電流は、面発光レーザ素子10の面内方向に広がることがなく、面発光レーザ素子10は、低閾値の電流で発振することができる。
【0082】
図7および図8は、それぞれ、図6に示す面発光レーザ素子10の製造方法を示す第1および第2の工程図である。図7を参照して、まず、MOCVD法を用いて、反射層2、共振器スペーサー層3、活性層4、共振器スペーサー層5、反射層6、選択酸化層7およびコンタクト層8を基板1(=ウェハ141、以下同じ。)上に順次積層する(図7の工程(a)参照)。
【0083】
この場合、選択酸化層7は、反射層6の一周期目の低屈折率層21および高屈折率層22を共振器スペーサー層5上に積層した後に、高屈折率層22上に形成される。
【0084】
また、反射層2のn−AlGaAsをトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、アルシン(AsH)およびセレン化水素(HSe)を原料として形成し、反射層2のn−GaAsをトリメチルガリウム(TMG)、アルシン(AsH)およびセレン化水素(HSe)を原料として形成する。
【0085】
さらに、共振器スペーサー層3のGaAsをトリメチルガリウム(TMG)およびアルシン(AsH)を原料として形成し、活性層4のGaInNAsをトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)、ジメチルヒドラジン(DMHy)およびアルシン(AsH)を原料として形成し、活性層4のGaAsをトリメチルガリウム(TMG)およびアルシン(AsH)を原料として形成する。
【0086】
さらに、共振器スペーサー層5のGaAsをトリメチルガリウム(TMG)およびアルシン(AsH)を原料として形成する。
【0087】
さらに、反射層6のp−AlGaAsをトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、アルシン(AsH)および四臭化炭素(CBr)を原料として形成し、反射層6のp−GaAsをトリメチルガリウム(TMG)、アルシン(AsH)および四臭化炭素(CBr)を原料として形成する。
【0088】
さらに、選択酸化層7のp−AlAsをトリメチルアルミニウム(TMA)、アルシン(AsH)および四臭化炭素(CBr)を原料として形成し、コンタクト層8のp−GaAsをトリメチルガリウム(TMG)、アルシン(AsH)および四臭化炭素(CBr)を原料として形成する。
【0089】
その後、コンタクト層8の上にレジストを塗布し、半導体リソグラフィー技術を用いて、コンタクト層8上にn(nは2以上の整数)個のレジストパターン31,・・・,3m,・・・,3n(mは、1<m≦nを満たす整数)を形成する(図7の工程(b)参照)。この場合、レジストパターン31,・・・,3m,・・・,3nの各々は、直径が25μmである円形形状を有する。
【0090】
レジストパターン31,・・・,3m,・・・,3nを形成すると、その形成したレジストパターン31,・・・,3m,・・・,3nをマスクとして用いて、反射層2の最上部の低屈折率層21、共振器スペーサー層3、活性層4、共振器スペーサー層5、反射層6、選択酸化層7およびコンタクト層8の周辺部を塩素ガス(Cl)を用いたICP(Inductively Coupled Plasma)法によりドライエッチングして除去し、さらに、レジストパターン31,・・・,3m,・・・,3nを除去する(図7の工程(c)参照)。これにより、反射層2を共通にしたn個のメサ構造体41〜4nが基板1上に形成され、n個のメサ構造体41〜4nの各々において、反射層2を構成する1個の低屈折率層21、共振器スペーサー層3、活性層4、共振器スペーサー層5、反射層6、選択酸化層7およびコンタクト層8が露出する。
【0091】
なお、本発明においては、全ての構成例でメサ構造体の周囲のエッチング底面が反射層2の上部にある場合について説明するが、エッチング底面が反射層6中の選択酸化層7よりも下であれば、完成した素子は、面発光レーザとして機能するので、エッチング底面が選択酸化層7よりも深い反射層6の下部に位置する場合、エッチング底面が2つの共振器スペーサー層3,5のいずれかの共振器スペーサー層中に位置する場合、エッチング底面が反射層2中に位置する場合、およびエッチング底面が基板1中に位置する場合がある。
【0092】
次に、図8を参照して、図7に示す工程(c)の後、半導体酸化装置100を用いて、基板1上のn個の選択酸化層7の周囲を外周部から中央部に向けて酸化し、各選択酸化層7中に非酸化領域7aと酸化領域7bとを形成する(図8の(d)参照)。この選択酸化層7の酸化の詳細については、後述する。
【0093】
その後、試料の全体に絶縁性樹脂9をスピンコートにより塗布し、光出射部となる領域上の絶縁性樹脂9を除去する。そして、絶縁性樹脂9を形成した後、光出射部となる領域上にレジストパターンを形成し、試料の全面にp側電極材料を蒸着により形成し、レジストパターン上のp側電極材料をリフトオフにより除去してp側電極11を形成する。さらに、基板1の裏面を研磨し、基板1の裏面にn側電極12を形成し、さらに、アニールしてp側電極11およびn側電極12のオーミック導通を取る(図8の工程(e)参照)。これによって、基板1上にn個の面発光レーザ素子51,・・・,5m,・・・,5nが作製される。そして、面発光レーザ素子51,・・・,5m,・・・,5nの各々は、面発光レーザ素子10を構成する。
【0094】
選択酸化層7の酸化について詳細に説明する。図7に示す工程(c)が終了すると、図7の工程(c)に示すn個のメサ構造体41〜4n(各積層体は、反射層2、共振器スペーサー層3、活性層4、共振器スペーサー層5、反射層6、選択酸化層7およびコンタクト層8からなる)がウェハ141(=基板1)上に形成されている。そして、n個のメサ構造体41〜4nが形成されたウェハ141を半導体試料140として試料トレイ107に載せ、試料トレイ107を反応容器101内の加熱テーブル103上に設置する。
【0095】
その後、制御部127は、マスフローコントローラー118を制御し、所定流量の窒素ガスを、配管117,116、バルブ120および導入管108を介して反応容器101へ流す。これによって、反応容器101内は、窒素ガスによって置換される。
【0096】
また、制御部127は、マスフローコントローラー113を制御し、5SLMの窒素ガスを配管112を介して気化器114へ流す。
【0097】
さらに、制御部127は、液体マスフローコントローラー111を制御し、50g/hrの水を水溜容器109から汲み上げて気化器114へ供給する。
【0098】
そして、気化器114は、液体マスフローコントローラー111から供給された水を気化して水蒸気を生成し、その生成した水蒸気をマスフローコントローラー113から供給された窒素ガスをキャリアガスとして輸送し、水蒸気を配管115およびバルブ119を介して系外へ放出する。
【0099】
これらの窒素ガスおよび水蒸気の供給系が平衡状態になったら、制御部127は、バルブ121を閉じ、バルブ120を開け、バルブ119を閉じる。これによって、50g/hrの水蒸気は、5SLMの窒素ガスによって輸送されて反応容器101へ供給される。
【0100】
次に、制御部127は、ヒータ105Aと、ヒータ105Bとを制御し、ヒータ105A付近の加熱テーブル103の温度が365℃になり、ヒータ105B付近の加熱テーブル103の温度が370℃になるように加熱テーブル103を加熱する。
【0101】
さらに、制御部127は、所定回転数で回転するように、回転軸104を制御し、回転軸104は、制御部127からの制御に応じて所定回転数で矢印128の方向へ回転する。
【0102】
この加熱テーブル103の外周部を365℃に加熱し、加熱テーブル103の中央部を370℃に加熱し、5SLMの窒素ガスと50g/hrの水蒸気とを反応容器101に流した状態を所定時間保持する。
【0103】
これによって、AlAsからなる選択酸化層7は、外周部から酸化され、非酸化領域7aおよび酸化領域7bが反射層6中に形成される。
【0104】
そして、所定時間が経過すると、制御部127は、バルブ119を開け、バルブ120を閉じ、バルブ121を開けるように制御し、さらに、加熱を停止するようにヒータ105A,105Bを制御する。
【0105】
そうすると、半導体試料140は、マスフローコントローラー118から供給された窒素ガスによって急冷される。これによって、半導体酸化装置100を用いた選択酸化層7の酸化が終了する。
【0106】
図9は、選択酸化層7の酸化過程を示す平面図である。また、図10は、半導体試料140の平面図および断面図である。メサ形状は、直径が25μmの円形形状からなるので、図7の工程(c)が終了した時点で共振器スペーサー層3、活性層4、共振器スペーサー層5、反射層6、選択酸化層7およびコンタクト層8からなる積層体50は、直径が25μmの円形形状を有する(図9の(a)参照)。
【0107】
そして、半導体酸化装置100を用いて選択酸化層7が酸化されると、選択酸化層7の外周部が酸化され、非酸化領域7aおよび酸化領域7bが形成される(図9の(b)参照)。
【0108】
半導体酸化装置100を用いた選択酸化層7の酸化は、複数のメサ構造体41〜4nがウェハ141上に形成された状態で行なわれるので、ウェハ141の面内方向における非酸化領域7aの直径の分布を調べた。ウェハ141の外周部141Aおよび内周部141Bの各々から複数のポイントを選択し、その選択した複数のポイントにおける非酸化領域7aの直径を調べた(図10参照)。
【0109】
その結果、非酸化領域7aの直径は、平均で4.0μmであり、バラツキは、平均で±2%以下であった。
【0110】
このように、半導体酸化装置100を用いて選択酸化層7を酸化することにより、非酸化領域7aの直径のバラツキを基準値(=±5%)以下に抑制できた。非酸化領域7aの直径のバラツキが平均で±5%以下になったのは、半導体試料140の外周部を365℃に加熱し、半導体試料140の中央部を370℃に加熱して選択酸化層7を酸化したからである。
【0111】
そして、この外周部の設定温度(=365℃)および中央部の設定温度(=370℃)は、実験結果に基づいて決定された温度である。比較のために、半導体酸化装置100において、ヒータ105A,105Bの設定温度を共に370℃に設定して選択酸化層7を酸化した場合、非酸化領域7aの直径は、平均で4.2μmであり、直径のバラツキは、平均で±10%であった。そして、ウェハ141の中心付近においては、非酸化領域7aの直径が相対的に長く、ウェハ141の外周部においては、非酸化領域7aの直径が相対的に短かった。
【0112】
ウェハ141の中心付近において非酸化領域7aの直径が相対的に長いのは、ウェハ141の中心付近では、結晶成長された選択酸化膜7(=AlAs)の膜厚が相対的に薄く、選択酸化膜7(=AlAs)の酸化速度が相対的に遅いからであり、ウェハ141の外周部において非酸化領域7aの直径が相対的に短いのは、ウェハ141の外周部では、結晶成長された選択酸化層7(=AlAs)の膜厚が相対的に厚く、選択酸化膜7(=AlAs)の酸化速度が相対的に速いからである(図4および図10参照)。
【0113】
そこで、ウェハ141の外周部における選択酸化膜7(=AlAs)の酸化速度を遅くするために、ウェハ141の外周部141Aの設定温度をウェハ141の中央部141Bの設定温度(=370℃)よりも低い365℃に設定した。その結果、上述したように、非酸化領域7aの直径は、平均で4.0μmであり、直径のバラツキは、平均で±5%以下になった。
【0114】
したがって、外周部の設定温度(=365℃)および内周部の設定温度(=370℃)は、実験結果に基づいて決定された温度である。
【0115】
上述したように、ウェハ141の外周部141Aの設定温度をウェハ141の内周部141Bの設定温度(=370℃)よりも低い温度(=365℃)に設定して選択酸化層7を酸化することにより、ウェハ141上における非酸化領域7aの直径の分布を基準値以下に抑制できるが、これは、ウェハ141上に形成された選択酸化層7の酸化速度が選択酸化層7の膜厚によってウェハ141の外周部141Aと内周部141Bとで異なるからである。
【0116】
したがって、ウェハ141上に形成された選択酸化層7の膜厚がウェハ141の外周部141Aで相対的に薄く、ウェハ141の内周部で相対的に厚いなら、ウェハ141の外周部141Aの設定温度をウェハ141の内周部141Bの設定温度よりも相対的に高く設定して選択酸化層7を酸化するようにする。
【0117】
つまり、この発明においては、選択酸化層7の膜厚分布に基づく酸化速度の分布を打ち消す好適な温度にウェハ141(すなわち、半導体試料140)を加熱し、選択酸化層7を酸化する。
【0118】
実際には、選択酸化層7の膜厚以外にも、選択酸化層7を構成する半導体材料の組成によって選択酸化層7の酸化速度が異なる。AlAsは、AlGaAsよりも酸化速度が速いが、それは、AlGaAsよりもAl量が多いからである。したがって、ウェハ141の全領域で選択酸化層7がAlAsから構成されていればよいが、ウェハ141内においてAl量が異なっている場合は、組成による酸化速度の分布が生じることになる。
【0119】
本発明では、上述したように、ヒータ105A,105Bの設定温度を同じ温度に設定して非酸化領域7aの直径のバラツキを調べた後に、そのバラツキを打ち消すようにヒータ105A,105Bの設定温度を独自に設定して選択酸化層7を酸化する。
【0120】
したがって、本発明は、一般的には、半導体試料140の温度以外の要因(膜厚および組成等)に基づく選択酸化層7の酸化速度の分布(=バラツキ)を打ち消す好適な温度に半導体試料140を加熱して選択酸化層7を酸化することを特徴とする。
【0121】
図11は、図1に示す半導体酸化装置100が酸化の対象とする面発光レーザ素子の他の概略断面図である。半導体酸化装置100が酸化の対象とする面発光レーザ素子は、図11に示す面発光レーザ素子10Aであってもよい。
【0122】
図11を参照して、面発光レーザ素子10Aは、図6に示す面発光レーザ素子10の選択酸化層7を選択酸化層71に代えたものであり、その他は、面発光レーザ素子10と同じである。
【0123】
選択酸化層71は、30nmの膜厚を有し、p−AlGa1−xAs(0.9≦x<1)からなる。そして、選択酸化層71は、非酸化領域71aと酸化領域71bとを有する。酸化領域71bは、上述した酸化領域7bと同じ機能を果たす。
【0124】
面発光レーザ素子10Aは、図7および図8に示す工程(a)〜(e)に従って作製される。そして、図7に示す工程(a)において、選択酸化層71は、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、アルシン(AsH)および四臭化炭素(CBr)を原料として形成される。また、図8に示す工程(d)において、選択酸化層71は、半導体酸化装置100を用いて上述した方法によって酸化され、非酸化領域71aおよび酸化領域71bが反射層6中に形成される。
【0125】
半導体酸化装置100を用いて選択酸化層71を酸化したときの非酸化領域71aの直径は、平均で3.8μmであり、直径のバラツキは、平均で±5%以下であった。
【0126】
上述した面発光レーザ素子10の選択酸化層7は、p−AlAsからなり、面発光レーザ素子10Aの選択酸化層71は、p−AlGa1−xAs(0.9≦x<1)からなるので、半導体酸化装置100が酸化の対象とする面発光レーザ素子の選択酸化層は、p−AlGa1−xAs(0.9≦x≦1)からなり、好ましくは、p−AlGa1−xAs(0.95≦x≦1)からなる。Al量が多くなれば、選択酸化層7,71の酸化速度が適度に大きくなり、現実的な条件で狭窄構造を作成することが可能になるからである。
【0127】
図12は、図1に示す半導体酸化装置100が酸化の対象とする端面発光レーザ素子の概略断面図である。半導体酸化装置100が酸化の対象とする面発光レーザ素子は、図12に示す端面発光レーザ素子10Bであってもよい。
【0128】
図12を参照して、端面発光レーザ素子10Bは、基板51と、クラッド層52,57と、ガイド層53,55と、活性層54と、選択酸化層56と、上部電極58と、下部電極59とを備える。
【0129】
基板51は、(100)の面方位を有するn−GaAsからなる。クラッド層52は、n−Al0.8Ga0.2Asからなり、基板51上に形成される。ガイド層53は、GaAsからなり、クラッド層52上に形成される。
【0130】
活性層54は、GaInNAsを井戸層とし、GaAsを障壁層としたGaInNAs/GaAs2重量子井戸構造であり、ガイド層53上に形成される。ガイド層55は、GaAsからなり、活性層54上に形成される。選択酸化層56は、AlGa1−xAs(0.95≦x≦1)からなり、ガイド層55上に形成される。そして、選択酸化層56は、非酸化領域56aと酸化領域56bとからなる。
【0131】
クラッド層57は、p−AlGaAsからなり、選択酸化層56上に形成される。上部電極58は、クラッド層57上に形成され、下部電極58は、基板51の裏面に形成される。
【0132】
端面発光レーザ素子10Bにおいては、ガイド層53、活性層54、ガイド層55、選択酸化層56およびクラッド層57は、ストライプ形状からなる。そして、ストライプ形状は、図12における紙面に垂直な方向の長さが300μmであり、紙面に平行な方向の長さが30μmである。
【0133】
端面発光レーザ素子10Bは、図7および図8に示す工程(a)〜(e)に従って作製される。まず、MOCVD法またはMBE法によって、n−GaAsからなる基板51上に、n−Al0.8Ga0.2Asからなるクラッド層52、GaAsからなるガイド層53、GaInNAs/GaAs2重量子井戸構造からなる活性層54、GaAsからなるガイド層55、AlGa1−xAsからなる選択酸化層56、およびp−Al0.8Ga0.2Asからなるクラッド層57を順次成長させた積層膜を形成する。
【0134】
この積層膜をドライエッチングまたはウェットエッチングにより、ストライプ部を残してクラッド層52中まで除去する。次に、半導体酸化装置100を用いて、選択酸化層56を上述した方法によって酸化し、非酸化領域56aおよび酸化領域56bを活性層54の近傍に形成する。
【0135】
端面発光レーザ素子10Bにおいては、非酸化領域56aは、ストライプ形状からなるので、半導体酸化装置100を用いて選択酸化層56を酸化したときの非酸化領域56aの寸法の評価は、図12における紙面に平行な方向の長さ(=幅)を用いて行なった。
【0136】
その結果、半導体酸化装置100を用いて選択酸化層56を酸化したときの非酸化領域56aの幅は、平均で4.8μmであり、直径のバラツキは、平均で±5%以下であった。
【0137】
このように、図1に示す半導体酸化装置100を用いて選択酸化層7,56,71を酸化することにより、非酸化領域7a,56a,71aの寸法の分布を基準値(=±5%)以下に抑制でき、非酸化領域7a,56a,71aのサイズが均一である複数の面発光レーザ素子10,10Aと、端面発光レーザ素子10Bとをウェハ141上に作製できる。その結果、面発光レーザ素子10,10Aと、端面発光レーザ素子10Bとの歩留まりを高くできる。
【0138】
なお、上記においては、ヒータ105は、2つのヒータ105A,105Bからなると説明したが、この発明においては、これに限らず、ヒータ105は、略同心円状に配置された複数のヒータからなっていてもよい。
【0139】
[実施の形態2]
図13は、実施の形態2による半導体酸化装置の概略図である。図13を参照して、実施の形態2による半導体酸化装置200は、反応容器201と、基台202と、加熱テーブル203と、ランプ204と、温度検出器205と、試料トレイ206と、導入管207と、水溜容器208と、配管209,211,214〜216,223,225と、液体マスフローコントローラー210と、マスフローコントローラー212,217と、気化器213と、バルブ218〜220と、排気管221と、水捕集器222と、排気ポンプ224と、制御部226とを備える。
【0140】
基台202は、主にステンレスからなり、反応容器201内に配置される。加熱テーブル203は、カーボンからなり、基台202上に設置される。ランプ204は、加熱テーブル203に接するように基台202内に配置される。温度検出器205は、先端が加熱テーブル203中に埋め込まれるように基台202内に配置される。試料トレイ206は、カーボンからなり、加熱テーブル203の一主面上に配置される。
【0141】
導入管207は、一部が反応容器201内に配置され、一方端が加熱テーブル203よりも上側に配置されるように反応容器201の上面に固定される。そして、導入管207の一方端は、広くなっている。
【0142】
配管209は、一方端が水溜容器208に保持された水230中に浸漬され、他方端が気化器213に連結される。液体マスフローコントローラー210は、配管210中に配設される。
【0143】
配管211は、一方端が気化器213に連結される。マスフローコントローラー212は、配管211中に配設される。気化器213は、配管209,211,214に連結される。配管214は、一方端が気化器213に連結され、他方端が外部空間に開放される。
【0144】
配管215は、一方端が導入管207に連結され、他方端が配管214に連結される。配管216は、一方端が配管215に連結される。マスフローコントローラー217は、配管216中に配設される。
【0145】
バルブ218は、配管214の他方端の近傍で配管214中に配設される。バルブ219は、配管214と配管215との連結部と、配管215と配管216との連結部との間で配管215中に配設される。
【0146】
バルブ220は、配管215と配管216との連結部の近傍で配管216中に配設される。排気管221は、一方端が反応容器201の側面に連結され、他方端が水捕集器222内に挿入される。
【0147】
配管223は、一方端が水捕集器222に連結され、他方端が排気ポンプ224に連結される。配管225は、一方端が排気ポンプ224に連結され、他方端が外部空間に開放される。
【0148】
反応容器201は、基台202、加熱テーブル203、ランプ204、温度検出器205、試料トレイ206、および導入管207の一部を収納する。加熱テーブル203は、試料トレイ206を支持する。ランプ204は、制御部226からの制御に従って加熱テーブル203および試料トレイ206を介して半導体試料240を加熱する。
【0149】
温度検出器205は、加熱テーブル203の温度Tsを検出し、その検出した温度Tsを制御部226へ出力する。試料トレイ206は、半導体試料240を支持する。導入管207は、バルブ219を介して供給された窒素ガスおよび水蒸気を反応容器201内へ導入するとともに、バルブ220を介して供給された窒素ガスを反応容器201内へ導入する。
【0150】
水溜容器208は、水230を保持する。配管209は、液体マスフローコントローラー210によって水溜容器208から汲み上げられた水を気化器213に供給する。
【0151】
液体マスフローコントローラー210は、制御部226からの制御に応じて、水溜容器208に溜められた水を配管209を介して気化器213に供給する。配管211は、マスフローコントローラー212からの窒素ガスを気化器213に供給する。マスフローコントローラー212は、制御部226からの制御に従って、配管211の他方端から供給された窒素ガスの流量を所定流量に設定して気化器213へ供給する。
【0152】
気化器213は、液体マスフローコントローラー210から供給された水を気化して水蒸気を生成するとともに、その生成した水蒸気とマスフローコントローラー212から供給された窒素ガスとを配管214,215およびバルブ219を介して導入管207へ供給する。
【0153】
配管214は、気化器213から供給された水蒸気および窒素ガスをバルブ218を介して外部へ放出し、または配管215およびバルブ219を介して導入管207へ供給する。
【0154】
配管215は、配管214およびバルブ219を介して供給された水蒸気および窒素ガスを導入管207へ供給するとともに、配管216およびバルブ220を介して供給された窒素ガスを導入管207へ供給する。
【0155】
配管216は、マスフローコントローラー217から供給された窒素ガスをバルブ220を介して配管215へ供給する。マスフローコントローラー217は、配管216の他方端から供給された窒素ガスの流量を所定流量に設定して配管215へ供給する。
【0156】
バルブ218は、配管214に供給された窒素ガスおよび水蒸気を外部へ放出し、または窒素ガスおよび水蒸気の外部への放出を停止する。バルブ219は、配管214から供給された窒素ガスおよび水蒸気を導入管207の方向へ供給し、または窒素ガスおよび水蒸気の導入管207の方向への供給を停止する。バルブ220は、窒素ガスを配管215へ供給し、または窒素ガスの配管215への供給を停止する。
【0157】
排気管221は、反応容器201内の窒素ガスおよび水蒸気を水捕集器222へ供給する。水捕集器222は、排気管221から供給された窒素ガスおよび水蒸気のうち、水蒸気を捕集する。
【0158】
配管223は、水捕集器222内の窒素ガスを排気ポンプ224へ導く。排気ポンプ224は、水捕集器222内の窒素ガスを排気する。配管225は、窒素ガスを外部へ放出する。
【0159】
制御部226は、後述する方法によって、半導体試料240の面内方向における酸化速度の分布が基準値以下になる好適な温度に加熱テーブル203を加熱するようにランプ204を制御する。
【0160】
また、制御部226は、窒素ガスの流量を所定流量に設定するようにマスフローコントローラー212,217を制御し、水の流量を所定流量に設定するように液体マスフローコントローラー210を制御する。さらに、制御部226は、バルブ218〜220の開閉を制御する。
【0161】
なお、配管214,215および導入管207は、水蒸気が液化しない温度に加熱されている。
【0162】
図14は、図13に示すランプ204の平面図である。図14を参照して、ランプ204は、ランプ2041〜2047からなる。ランプ2042〜2047は、ランプ2041の周囲に配置される。ランプ2041の直径は、ランプ2042〜2047の直径よりも長い。そして、ランプ2041は、半導体試料240の中央部を加熱し、ランプ2042〜2047は、半導体試料240の外周部を加熱する。
【0163】
このように、ランプ240が7個のランプ2041〜2047により構成される結果、温度検出器205は、7個のランプ2041〜2047に対応して設けられる。図13においては、ランプ2041,2042,2045にそれぞれ対応する温度検出器205a,205b,205cを示す。
【0164】
温度検出器205を各ランプ2041〜2047に対応して設けることにより、各ランプ2041〜2047による加熱テーブル103の加熱を独立に制御できる。
【0165】
図15は、図13に示す半導体酸化装置200が酸化の対象とする面発光レーザ素子の概略断面図である。図15を参照して、面発光レーザ素子10Cは、図6に示す面発光レーザ素子10の基板1、反射層2、共振器スペーサー層3、活性層4、共振器スペーサー層5、反射層6および選択酸化層7をそれぞれ基板1A、反射層2A、共振器スペーサー層3A、活性層4A、共振器スペーサー層5A、反射層6Aおよび選択酸化層77に代えたものであり、その他は、面発光レーザ素子10と同じである。
【0166】
基板1Aは、<110>方向に2度傾斜した(100)の面方位を有するn−GaAsからなる。反射層2Aは、低屈折率層21Aおよび高屈折率層22Aの対を一周期とした場合、35.5周期の[低屈折率層21A/高屈折率層22A]からなり、基板1A上に形成される。そして、低屈折率層21Aは、n−Al0.9Ga0.1Asからなり、高屈折率層22Aは、n−Al0.3Ga0.7Asからなる。また、面発光レーザ素子10Bの発振波長をλとした場合、低屈折率層21Aおよび高屈折率層22Aの各々は、λ/4n(nは各半導体層の屈折率)の膜厚を有する。
【0167】
共振器スペーサー層3Aは、Al0.5Ga0.5Asからなり、反射層2A上に形成される。活性層4Aは、GaAs/Al0.5Ga0.5Asからなる3重量子井戸構造を有し、共振器スペーサー層3A上に形成される。
【0168】
共振器スペーサー層5Aは、Al0.5Ga0.5Asからなり、活性層4A上に形成される。反射層6Aは、低屈折率層61Aおよび高屈折率層62Aの対を一周期とした場合、28周期の[低屈折率層61A/高屈折率層62A]からなり、共振器スペーサー層5A上に形成される。そして、低屈折率層61Aは、p−Al0.9Ga0.1Asからなり、高屈折率層62Aは、p−Al0.3Ga0.7Asからなる。また、低屈折率層61Aおよび高屈折率層62Aの各々は、λ/4n(nは各半導体層の屈折率)の膜厚を有する。
【0169】
選択酸化層77は、30nmのp−Al0.99Ga0.01Asからなり、反射層6A中に設けられる。より具体的には、選択酸化層77は、反射層6Aにおいて共振器スペーサー層5A側から2周期目のp−Al0.9Ga0.1As中に設けられる。そして、選択酸化層77は、非酸化領域77aと酸化領域77bとからなる。
【0170】
反射層2A,6Aの各々は、活性層4Aで発振した発振光をブラッグの多重反射により反射して活性層4Aに閉じ込める半導体分布ブラッグ反射器を構成する。
【0171】
また、選択酸化層77の酸化領域77bは、p側電極11および反射層6Aを介して注入された電流の活性層4Aへの注入経路を非酸化領域77aに制限する。これによって、活性層4Aに注入される電流は、面発光レーザ素子10Cの面内方向に広がることがなく、面発光レーザ素子10Cは、低閾値の電流で発振することができる。
【0172】
面発光レーザ素子10Cは、図7および図8に示す工程(a)〜(e)に従って製造される。この場合、図7に示す工程(a)において、反射層2Aのn−Al0.9Ga0.1As/n−Al0.3Ga0.7Asをトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、アルシン(AsH)およびセレン化水素(HSe)を原料として形成する。
【0173】
さらに、共振器スペーサー層3AのAl0.5Ga0.5Asをトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)およびアルシン(AsH)を原料として形成し、活性層4AのGaAs/Al0.5Ga0.5Asをトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)およびアルシン(AsH)を原料として形成する。
【0174】
さらに、共振器スペーサー層5AのAl0.5Ga0.5Asをトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)およびアルシン(AsH)を原料として形成する。
【0175】
さらに、反射層6Aのp−Al0.9Ga0.1As/p−Al0.3Ga0.7Asをトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、アルシン(AsH)および四臭化炭素(CBr)を原料として形成する。
【0176】
さらに、選択酸化層77のp−Al0.99Ga0.01Asをトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、アルシン(AsH)および四臭化炭素(CBr)を原料として形成し、コンタクト層8のp−GaAsをトリメチルガリウム(TMG)、アルシン(AsH)および四臭化炭素(CBr)を原料として形成する。
【0177】
また、図8に示す工程(d)においては、基板1A(=ウェハ141)上に形成されたn個のメサ構造体41〜4n中のn個の選択酸化層77が半導体酸化装置200を用いて酸化される。
【0178】
半導体酸化装置200を用いた選択酸化層77の酸化について詳細に説明する。図7に示す工程(c)が終了すると、図7の工程(c)に示すn個の積層体41〜4nがウェハ141(=基板1)上に形成されている。そして、n個の積層体41〜4nが形成されたウェハ141を半導体試料240として試料トレイ206に載せ、試料トレイ206を反応容器201内の加熱テーブル203上に設置する。
【0179】
その後、制御部226は、マスフローコントローラー212を制御し、所定流量の窒素ガスを、配管211,214,215、バルブ219および導入管207を介して反応容器201へ流す。これによって、反応容器201内は、窒素ガスによって置換される。
【0180】
また、制御部226は、マスフローコントローラー212を制御し、5SLMの窒素ガスを配管211を介して気化器213へ流す。
【0181】
さらに、制御部226は、液体マスフローコントローラー210を制御し、50g/hrの水を水溜容器208から汲み上げて気化器213へ供給する。
【0182】
そして、気化器213は、液体マスフローコントローラー210から供給された水を気化して水蒸気を生成し、その生成した水蒸気をマスフローコントローラー212から供給された窒素ガスをキャリアガスとして輸送し、水蒸気を配管214およびバルブ218を介して系外へ放出する。
【0183】
これらの窒素ガスおよび水蒸気の供給系が平衡状態になったら、制御部226は、バルブ220を閉じ、バルブ219を開け、バルブ218を閉じる。これによって、50g/hrの水蒸気は、5SLMの窒素ガスによって輸送されて反応容器201へ供給される。
【0184】
次に、制御部226は、ランプ2041〜2047を制御し、ランプ2041付近の加熱テーブル203の温度が430℃になり、ランプ2042〜2047付近の加熱テーブル203の温度が427〜429℃になるように加熱テーブル203を加熱する。
【0185】
この加熱テーブル203の外周部を427〜429℃に加熱し、加熱テーブル203の中央部を430℃に加熱し、5SLMの窒素ガスと50g/hrの水蒸気とを反応容器201に流した状態を所定時間保持する。
【0186】
これによって、p−Al0.99Ga0.01Asからなる選択酸化層77は、外周部から酸化され、非酸化領域77aおよび酸化領域77bが反射層6A中に形成される。
【0187】
そして、所定時間が経過すると、制御部226は、バルブ218を開け、バルブ219を閉じ、バルブ220を開けるように制御し、さらに、加熱を停止するようにランプ2041〜2047を制御する。
【0188】
そうすると、半導体試料240は、マスフローコントローラー217から供給された窒素ガスによって急冷される。これによって、半導体酸化装置200を用いた選択酸化層77の酸化が終了する。
【0189】
半導体酸化装置200を用いて選択酸化層77を酸化し、ウェハ141上に製造した複数の面発光レーザ素子10Cにおける非酸化領域77aの直径の分布を調べた。その結果、非酸化領域77aの直径は、平均で4.0μmであり、直径のバラツキは、平均で±5%以下であった。
【0190】
このように、半導体酸化装置200を用いて選択酸化層77を酸化することにより、非酸化領域77aの直径のバラツキを基準値(=±5%)以下に抑制できた。非酸化領域77aの直径のバラツキが平均で±5%以下になったのは、半導体試料240の外周部を427〜429℃に加熱し、半導体試料240の内周部を430℃に加熱して選択酸化層77を酸化したからである。
【0191】
そして、この外周部の設定温度(=427〜429℃)および中央部の設定温度(=430℃)は、実験結果に基づいて決定された温度である。比較のために、半導体酸化装置200において、ランプ2041〜2047の全ての設定温度を430℃に設定して選択酸化層77を酸化した場合、非酸化領域77aの直径は、平均で3.7μmであり、直径のバラツキは、平均で±10%であった。そして、ウェハ141の中心付近においては、非酸化領域77aの直径が相対的に長く、ウェハ141の外周部においては、非酸化領域77aの直径が相対的に短かった。
【0192】
ウェハ141の中心付近において非酸化領域77aの直径が相対的に長いのは、ウェハ141の中心付近では、結晶成長された選択酸化膜77(=p−Al0.99Ga0.01As)の膜厚が相対的に薄く、選択酸化膜77(=p−Al0.99Ga0.01As)の酸化速度が相対的に遅いからであり、ウェハ141の外周部において非酸化領域77aの直径が相対的に短いのは、ウェハ141の外周部では、結晶成長された選択酸化層77(=p−Al0.99Ga0.01As)の膜厚が相対的に厚く、選択酸化膜77(=p−Al0.99Ga0.01As)の酸化速度が相対的に速いからである(図4および図10参照)。
【0193】
そこで、ウェハ141の外周部における選択酸化膜77(=p−Al0.99Ga0.01As)の酸化速度を遅くするために、ウェハ141の外周部141Aの設定温度をウェハ141の内周部141Bの設定温度(=430℃)よりも低い427〜429℃に設定した。その結果、上述したように、非酸化領域77aの直径は、平均で4.0μmであり、直径のバラツキは、平均で±5%以下になった。
【0194】
したがって、外周部の設定温度(=427〜429℃)および内周部の設定温度(=430℃)は、実験結果に基づいて決定された温度である。
【0195】
なお、図13に示す半導体酸化装置200は、面発光レーザ素子10,10A,10Bの選択酸化層7,71,56を酸化の対象としてもよい。
【0196】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0197】
[実施の形態3]
図16は、実施の形態3による半導体酸化装置の概略図である。図16を参照して、実施の形態3による半導体酸化装置300は、反応容器301と、基台302と、加熱テーブル303と、回転軸304と、ヒータ305と、温度検出器306と、試料トレイ307と、導入管308と、バブラ309と、配管310〜313,321と、マスフローコントローラー314,315と、バルブ316〜318と、排気管319と、水捕集器320と、制御部322とを備える。
【0198】
基台302は、反応容器301内に配置される。加熱テーブル303は、基台302上に設置され、回転軸304の一方端に固定される。回転軸304は、一部が反応容器301内に配置され、矢印323の方向に回動可能に反応容器301の底面に固定される。
【0199】
ヒータ305は、基台302内に内蔵される。温度検出器306は、先端が加熱テーブル303中に埋め込まれるように基台302内に配置される。試料トレイ307は、カーボンからなり、加熱テーブル303の一主面上に配置される。
【0200】
導入管308は、一部が反応容器301内に配置され、一方端が加熱テーブル303よりも上側に配置されるように反応容器301の上面に固定される。そして、導入管308の一方端は、広くなっている。
【0201】
配管310は、一方端がバブラ309に保持された水330中に浸漬される。配管311は、一方端がバブラ309に連結される。配管312は、一方端が導入管308に連結され、他方端が配管311に連結される。配管313は、一方端が配管312に連結される。
【0202】
マスフローコントローラー314は、配管310中に配設され、マスフローコントローラー315は、配管313中に配設される。バルブ316は、配管311の他方端の近傍で配管311中に配設される。バルブ317は、配管311と配管312との連結部と、配管312と配管313との連結部との間で配管313中に配設される。バルブ318は、配管312と配管313との連結部の近傍で配管313中に配設される。
【0203】
排気管319は、一方端が反応容器301の側面に連結され、他方端が水捕集器320中に配置される。配管321は、一方端が水捕集器320に連結される。
【0204】
反応容器301は、基台302、加熱テーブル303、回転軸304の一部、ヒータ305、温度検出器306、試料トレイ307、および導入管308の一部を収納する。加熱テーブル303は、試料トレイ307を支持する。
【0205】
回転軸304は、制御部322からの制御に従って加熱テーブル303を矢印323の方向に回転させる。ヒータ305は、制御部322からの制御に従って加熱テーブル303および試料トレイ307を介して半導体試料340を加熱する。
【0206】
温度検出器306は、加熱テーブル303の温度Tsを検出し、その検出した温度Tsを制御部322へ出力する。試料トレイ307は、半導体試料340を支持する。導入管308は、バルブ317を介して供給された窒素ガスおよび水蒸気を反応容器301内へ導入するとともに、バルブ318を介して供給された窒素ガスを反応容器301内へ導入する。
【0207】
バブラ309は、ヒータ(図示せず)によって85℃程度に加熱された水330を保持し、配管310を介して所定流量の窒素ガスが供給されると、窒素ガスをキャリアガスとして85℃程度の水蒸気を配管311へ供給する。
【0208】
配管310は、マスフローコントローラー314から供給された窒素ガスをバブラ309に保持された水330中へ放出する。配管311は、バブラ309から供給された窒素ガスおよび水蒸気をバルブ316を介して外部へ放出し、または配管312へ供給する。
【0209】
配管312は、配管311から供給された窒素ガスおよび水蒸気を導入管308へ供給するとともに、配管313から供給された窒素ガスを導入管308へ供給する。配管313は、マスフローコントローラー315を介して供給された窒素ガスをバルブ318を介して配管312へ供給する。
【0210】
マスフローコントローラー314は、制御部322からの制御に従って、他方端に供給された窒素ガスの流量を所定流量に設定して配管310へ供給する。マスフローコントローラー315は、制御部322からの制御に従って、他方端に供給された窒素ガスの流量を所定流量に設定して配管313へ供給する。
【0211】
バルブ316は、配管311に供給された窒素ガスおよび水蒸気を外部へ放出し、または窒素ガスおよび水蒸気の外部への放出を停止する。バルブ317は、配管311から供給された窒素ガスおよび水蒸気を導入管308の方向へ供給し、または窒素ガスおよび水蒸気の導入管308の方向への供給を停止する。バルブ318は、窒素ガスを配管312へ供給し、または窒素ガスの配管312への供給を停止する。
【0212】
排気管319は、反応容器301内の窒素ガスおよび水蒸気を水捕集器320へ供給する。水捕集器320は、排気管319から供給された窒素ガスおよび水蒸気のうち、水蒸気を捕集し、窒素ガスを配管321を介して外部へ放出する。配管321は、水捕集器320に供給された窒素ガスを外部へ放出する。
【0213】
制御部322は、サイリスタ温度制御回路の機能を有し、後述する方法によって、半導体試料340の面内方向における酸化速度の分布が基準値以下になる好適な温度に加熱テーブル303を加熱するようにヒータ305を制御する。
【0214】
また、制御部322は、窒素ガスの流量を所定流量に設定するようにマスフローコントローラー314,315を制御する。さらに、制御部322は、バルブ316〜318の開閉を制御する。
【0215】
なお、配管311,312、導入管308および反応容器301内は、水蒸気が液化しない温度に加熱されている。
【0216】
図17は、図16に示す加熱テーブル303およびヒータ305の平面図である。図17を参照して、ヒータ305は、ヒータ305A,305Bからなる。ヒータ305A,305Bの各々は、ニクロム線からなる抵抗加熱ヒータによって構成される。加熱テーブル303は、略円形の平面形状を有する。そして、ヒータ305Aは、加熱テーブル303の円周に沿って加熱テーブル303の内部に配置され、ヒータ305Bは、ヒータ305Aの内側に配置される。
【0217】
このように、ヒータ305は、外側に配置されたヒータ305Aと、内側に配置されたヒータ305Bとからなる。そして、ヒータ305A,305Bは、制御部322からの制御に従って、相互に独立に加熱テーブル303を加熱する。したがって、制御部322は、温度検出器306から受けた温度Tsに基づいて、ヒータ305Aによって加熱される加熱テーブル303の設定温度と、ヒータ305Bによって加熱される加熱テーブル303の設定温度とを独立に設定し、その設定した設定温度になるようにヒータ305A,305Bを独立に制御する。
【0218】
図16に示す半導体酸化装置300は、面発光レーザ素子10Cが製造される場合、図8に示す工程(d)において、p−Al0.99Ga0.01Asからなる選択酸化層77を選択酸化して非酸化領域77aおよび酸化領域77bを形成する。
【0219】
半導体酸化装置300を用いた選択酸化層77の酸化について詳細に説明する。図7に示す工程(c)が終了すると、図7の工程(c)に示すn個のメサ構造体41〜4nがウェハ141(=基板1)上に形成されている。そして、n個のメサ構造体41〜4nが形成されたウェハ141を半導体試料340として試料トレイ307に載せ、試料トレイ307を反応容器301内の加熱テーブル303上に設置する。
【0220】
その後、制御部322は、5SLMの窒素ガスを流すようにマスフローコントローラー315を制御し、マスフローコントローラー315は、制御部322からの制御に応じて、5SLMの窒素ガスをキャリアガスとして配管313,312、バルブ318および導入管308を介して反応容器301へ流す。これによって、反応容器301内は、窒素ガスによって置換される。
【0221】
また、制御部322は、窒素ガスを流すようにマスフローコントローラー314を制御し、マスフローコントローラー314は、制御部322からの制御に応じて、窒素ガスを配管310を介してバブラ309へ流す。これにより、バブラ309内に保持された85℃の水330は、窒素ガスによってバブリングされ、バブラ309は、水蒸気を配管311,312、バルブ317および導入管308を介して反応容器301へ供給する。すなわち、バブラ309は、酸化材料を反応容器301へ供給する。
【0222】
さらに、制御部322は、温度検出器306の設定温度を430℃に設定するとともに、ヒータ305Bを制御するサイリスタ温度制御回路の出力電力を60%に設定し、ヒータ305Aを制御するサイリスタ温度制御回路の出力電力を58%に設定してヒータ305A,305Bを制御する。
【0223】
そして、水蒸気と5SLMの窒素ガスとを反応容器301に流した状態で、ヒータ305A,305Bは、制御部322からの制御に従って、加熱テーブル303を加熱し、所定時間保持する。
【0224】
これによって、p−Al0.99Ga0.01Asからなる選択酸化層77は、外周部から酸化され、非酸化領域77aおよび酸化領域77bが反射層6A中に形成される。
【0225】
そして、所定時間が経過すると、制御部322は、加熱を停止するようにヒータ305A,305Bを制御する。同時に、制御部322は、水蒸気と5SLMの窒素ガスとを反応容器301に流すのを停止するようにバルブ316とバルブ317とを開閉し、バルブ318を開き、マスフローコントローラ315を介して窒素ガスを反応容器301へ導入する。
【0226】
そうすると、半導体試料340は、急冷され、半導体酸化装置300を用いた選択酸化層77の酸化が終了する。
【0227】
半導体酸化装置300を用いて選択酸化層77を酸化し、ウェハ141上に製造した複数の面発光レーザ素子10Cにおける非酸化領域77aの直径の分布を調べた。その結果、非酸化領域77aの直径は、平均で3.0μmであり、直径のバラツキは、平均で±2%以下であった。
【0228】
このように、半導体酸化装置300を用いて選択酸化層77を酸化することにより、非酸化領域77aの直径のバラツキを基準値(=±5%)以下に抑制できた。非酸化領域77aの直径のバラツキが±5%以下になったのは、半導体試料340の外周部を出力電力を58%に設定したヒータ305Aによって加熱し、半導体試料340の中央部を出力電力を60%に設定したヒータ305Bによって加熱して選択酸化層77を酸化したからである。
【0229】
そして、この出力電力の設定は、実験結果に基づいて決定された出力である。半導体酸化装置300において、温度検出器306の設定温度を430℃に設定するとともに、ヒータ305Bを制御するサイリスタ制御回路の出力電力を60%に設定し、加熱テーブル303の全域において430℃になるようにヒータ305Aを制御するサイリスタ制御回路の出力電力を調整して選択酸化層77を酸化した結果、非酸化領域7aの直径は、平均で2.8μmであり、直径のバラツキは、平均で±10%であった。そして、ウェハ141の中心付近においては、非酸化領域77aの直径が相対的に長く、ウェハ141の外周部においては、非酸化領域77aの直径が相対的に短かった。
【0230】
ウェハ141の中心付近において非酸化領域77aの直径が相対的に長いのは、ウェハ141の中心付近では、結晶成長された選択酸化膜77(=p−Al0.99Ga0.01As)の膜厚が相対的に薄く、選択酸化膜77(=p−Al0.99Ga0.01As)の酸化速度が相対的に遅いからであり、ウェハ141の外周部において非酸化領域77aの直径が相対的に短いのは、ウェハ141の外周部では、結晶成長された選択酸化層77(=p−Al0.99Ga0.01As)の膜厚が相対的に厚く、選択酸化膜77(=p−Al0.99Ga0.01As)の酸化速度が相対的に速いからである(図4および図10参照)。
【0231】
そこで、ウェハ141の外周部における選択酸化膜77(=p−Al0.99Ga0.01As)の酸化速度を遅くするために、ウェハ141の外周部141Aを加熱するヒータ305Aの出力電力をウェハ141の中央部141Bを加熱するヒータ305Bの出力電力(60%)よりも低い58%に設定した。その結果、上述したように、非酸化領域77aの直径は、平均で4.0μmであり、直径のバラツキは、平均で±5%以下になった。
【0232】
したがって、ウェハ141の外周部141Aを加熱するヒータ305Aの出力電力およびウェハ141の中央部141Bを加熱するヒータ305Bの出力電力は、実験結果に基づいて決定された温度である。
【0233】
なお、図16に示す半導体酸化装置300は、面発光レーザ素子10,10A,10Bの選択酸化層7,71,56を酸化の対象としてもよい。
【0234】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0235】
[実施の形態4]
図18は、実施の形態4による半導体酸化装置の概略図である。図18を参照して、実施の形態4による半導体酸化装置400は、反応容器401と、加熱テーブル402と、回転軸403と、ランプハウス404と、ランプ405と、バブラ406と、配管407〜410,418と、マスフローコントローラー411,412と、バルブ413〜415と、排気管416と、水捕集器417と、制御部419とを備える。
【0236】
加熱テーブル402は、回転軸403の一方端に固定される。回転軸403は、一部が反応容器401内に配置され、矢印420の方向に回動可能に反応容器401の底面に固定される。
【0237】
ランプハウス404は、反応容器401の上面に設置される。ランプ405は、ランプハウス404内に設置される。配管407は、一方端がバブラ406に保持された水430中に浸漬される。配管408は、一方端がバブラ406に連結される。配管409は、一方端が導入管408に連結され、他方端が反応容器401内に設置される。配管410は、一方端が配管409に連結される。
【0238】
マスフローコントローラー411は、配管407中に配設され、マスフローコントローラー412は、配管410中に配設される。バルブ413は、配管408の他方端の近傍で配管408中に配設される。バルブ414は、配管408と配管409との連結部と、配管409と配管410との連結部との間で配管409中に配設される。バルブ415は、配管409と配管410との連結部の近傍で配管410中に配設される。
【0239】
排気管416は、一方端が反応容器401の側面に連結され、他方端が水捕集器417中に配置される。配管418は、一方端が水捕集器417に連結される。
【0240】
反応容器401は、加熱テーブル402、回転軸403の一部および配管409の一部を収納する。加熱テーブル402は、半導体試料440を支持する。
【0241】
回転軸403は、制御部419からの制御に従って加熱テーブル402を矢印420の方向に回転させる。ランプハウス404は、ランプ405を収納する。ランプ405は、制御部419からの制御に従って半導体試料440を上側から加熱する。
【0242】
バブラ406は、ヒータ(図示せず)によって85℃程度に加熱された水430を保持し、配管407を介して所定流量の窒素ガスが供給されると、窒素ガスをキャリアガスとして85℃程度の水蒸気を配管408へ供給する。
【0243】
配管407は、マスフローコントローラー411から供給された窒素ガスをバブラ406に保持された水430中へ放出する。配管408は、バブラ406から供給された窒素ガスおよび水蒸気をバルブ413を介して外部へ放出し、または配管409へ供給する。
【0244】
配管409は、配管408から供給された窒素ガスおよび水蒸気を反応容器401へ供給するとともに、配管410から供給された窒素ガスを反応容器401へ供給する。配管410は、マスフローコントローラー412を介して供給された窒素ガスをバルブ415を介して配管409へ供給する。
【0245】
マスフローコントローラー412は、制御部419からの制御に従って、他方端に供給された窒素ガスの流量を所定流量に設定して配管407へ供給する。マスフローコントローラー412は、制御部419からの制御に従って、他方端に供給された窒素ガスの流量を所定流量に設定して配管410へ供給する。
【0246】
バルブ413は、配管408に供給された窒素ガスおよび水蒸気を外部へ放出し、または窒素ガスおよび水蒸気の外部への放出を停止する。バルブ414は、配管408から供給された窒素ガスおよび水蒸気を反応容器401の方向へ供給し、または窒素ガスおよび水蒸気の反応容器401の方向への供給を停止する。バルブ415は、窒素ガスを配管409へ供給し、または窒素ガスの配管409への供給を停止する。
【0247】
排気管416は、反応容器401内の窒素ガスおよび水蒸気を水捕集器417へ供給する。水捕集器417は、排気管416から供給された窒素ガスおよび水蒸気のうち、水蒸気を捕集し、窒素ガスを配管418を介して外部へ放出する。配管418は、水捕集器417に供給された窒素ガスを外部へ放出する。
【0248】
制御部419は、後述する方法によって、半導体試料440の面内方向における酸化速度の分布が基準値以下になる好適な温度に加熱テーブル402を加熱するようにランプ405を制御する。
【0249】
また、制御部419は、窒素ガスの流量を所定流量に設定するようにマスフローコントローラー411,412を制御する。さらに、制御部419は、バルブ413〜415の開閉を制御する。
【0250】
なお、配管408,409は、水蒸気が液化しない温度に加熱されている。
【0251】
図18に示すランプ405は、図14に示すランプ2041〜2047と同じように配置された7個のランプからなる。したがって、ランプ405は、ランプ204と同じように、半導体試料440の中央部および外周部にそれぞれ対応して設けられたランプからなる。
【0252】
図18に示す半導体酸化装置400は、上述した面発光レーザ素子10,10A,10B,10Cのいずれかが製造される場合、図8に示す工程(d)において、選択酸化層7,56,71,77を選択酸化して非酸化領域7a,56a,71a,77aおよび酸化領域7b,56b,71b,77bを形成する。
【0253】
半導体酸化装置400を用いた選択酸化層7の酸化について詳細に説明する。図7に示す工程(c)が終了すると、図7の工程(c)に示すn個の積層体41〜4nがウェハ141(=基板1)上に形成されている。そして、n個の積層体41〜4nが形成されたウェハ141を半導体試料440として反応容器401内の加熱テーブル402上に設置する。
【0254】
その後、制御部419は、5SLMの窒素ガスを流すようにマスフローコントローラー412を制御し、マスフローコントローラー412は、制御部419からの制御に応じて、5SLMの窒素ガスをキャリアガスとして配管410,409およびバルブ415を介して反応容器401へ流す。これによって、反応容器401内は、窒素ガスによって置換される。
【0255】
また、制御部319は、窒素ガスを流すようにマスフローコントローラー411を制御し、マスフローコントローラー411は、制御部419からの制御に応じて、窒素ガスを配管407を介してバブラ406へ流す。これにより、バブラ406内に保持された85℃の水430は、窒素ガスによってバブリングされ、バブラ406は、水蒸気を配管408,409およびバルブ414を介して反応容器401へ供給する。すなわち、バブラ406は、酸化材料を反応容器401へ供給する。
【0256】
さらに、制御部419は、加熱テーブル403の外周部を365℃に加熱するようにランプ2042〜2047を制御し、加熱テーブル403の中央部を370℃に加熱するようにランプ2041を制御する。
【0257】
そして、ランプ2042〜2047は、制御部419からの制御に応じて、加熱テーブル403の外周部を365℃に加熱し、ランプ2041は、制御部419からの制御に応じて、加熱テーブル403の中央部を370℃に加熱する。
【0258】
その後、水蒸気と5SLMの窒素ガスとを反応容器401に流した状態で、ランプ2041〜2047は、加熱テーブル403を加熱し、所定時間保持する。
【0259】
これによって、p−AlAsからなる選択酸化層7は、外周部から酸化され、非酸化領域7aおよび酸化領域7bが反射層6中に形成される。
【0260】
そして、所定時間が経過すると、制御部419は、加熱を停止するようにランプ2041〜2047を制御する。同時に、制御部419は、水蒸気と5SLMの窒素ガスとを反応容器401に流すのを停止するようにバルブ413とバルブ414とを開閉し、バルブ415を開き、マスフローコントローラ412を介して窒素ガスを反応容器401へ導入する。
【0261】
そうすると、半導体試料440は、急冷され、半導体酸化装置400を用いた選択酸化層7の酸化が終了する。
【0262】
半導体酸化装置400を用いて選択酸化層7を酸化し、ウェハ141上に製造した複数の面発光レーザ素子10における非酸化領域7aの直径の分布を調べた。その結果、非酸化領域7aの直径は、平均で4.0μmであり、直径のバラツキは、平均で±5%以下であった。
【0263】
このように、半導体酸化装置400を用いて選択酸化層7を酸化することにより、非酸化領域7aの直径のバラツキを基準値(=±5%)以下に抑制できた。非酸化領域7aの直径のバラツキが平均で±5%以下になったのは、半導体試料440の外周部を365℃に加熱し、半導体試料440の中央部を370℃に加熱して選択酸化層7を酸化したからである。
【0264】
そして、この外周部の設定温度(=365℃)および中央部の設定温度(=370℃)は、実験結果に基づいて決定された温度である。比較のために、半導体酸化装置400において、ランプ405の設定温度を370℃に設定して選択酸化層7を酸化し、非酸化領域7aの直径の分布を調べた結果、直径は、平均で3.7μmであり、直径のバラツキは、平均で±10%であった。そして、ウェハ141の中心付近においては、非酸化領域7aの直径が相対的に長く、ウェハ141の外周部においては、非酸化領域7aの直径が相対的に短かった。
【0265】
ウェハ141の中心付近において非酸化領域7aの直径が相対的に長いのは、ウェハ141の中心付近では、結晶成長された選択酸化膜7(=p−AlAs)の膜厚が相対的に薄く、選択酸化膜7(=p−AlAs)の酸化速度が相対的に遅いからであり、ウェハ141の外周部において非酸化領域7aの直径が相対的に短いのは、ウェハ141の外周部では、結晶成長された選択酸化層7(=p−AlAs)の膜厚が相対的に厚く、選択酸化膜7(=p−AlAs)の酸化速度が相対的に速いからである(図4および図10参照)。
【0266】
そこで、ウェハ141の外周部における選択酸化膜7(=p−AlAs)の酸化速度を遅くするために、ウェハ141の外周部141Aの設定温度をウェハ141の中央部141Bの設定温度(=370℃)よりも低い365℃に設定した。その結果、上述したように、非酸化領域7aの直径は、平均で4.0μmであり、直径のバラツキは、平均で±5%以下になった。
【0267】
したがって、外周部の設定温度(=365℃)および中央部の設定温度(=370℃)は、実験結果に基づいて決定された温度である。
【0268】
なお、図18に示す半導体酸化装置400は、面発光レーザ素子10A,10B,10Cの選択酸化層56,71,77を酸化の対象としてもよい。
【0269】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0270】
[応用例]
図19は、この発明による面発光レーザアレイの平面図である。図19を参照して、面発光レーザアレイ500は、基板501と、複数の面発光レーザ素子502とを備える。複数の面発光レーザ素子502は、基板501上に形成され、i×j個の2次元に配列される。より具体的には、複数の面発光レーザ素子502は、縦方向に5列、横方向に8列に配列される。そして、面発光レーザ素子502は、上述した面発光レーザ素子10,10A,10Cのいずれかからなる。
【0271】
したがって、面発光レーザアレイ500は、上述した半導体酸化装置100,200,300,400のいずれかを用いて上述した製造方法によって作製される。その結果、非酸化領域7a,71a,77aの直径の分布が±5%以下の均一性の良い40個の面発光レーザ素子10,10A,10Cからなる面発光レーザアレイ500を作製できる。
【0272】
面発光レーザ素子10,10A,10Cは、1枚の基板上に多数の素子を一括で作製でき、ヘキカイが不用であるので、低コストで並列化および2次元高密度集積アレイを容易に作製できる。
【0273】
図20は、この発明による光伝送システムの概略図である。図20を参照して、この発明による光伝送システム600は、ボード601,602と、面発光レーザアレイ603,606と、光ファイバー群604,607と、受光素子605,608とを備える。
【0274】
面発光レーザアレイ603および受光素子608は、ボード601の一主面601Aに形成される。また、受光素子605および面発光レーザアレイ606は、ボード602の一主面602Aに形成される。そして、面発光レーザアレイ603,606の各々は、図19に示す面発光レーザアレイ500からなる。
【0275】
受光素子605は、面発光レーザアレイ603に含まれる複数の面発光レーザ素子に対応して設けられた複数の受光素子を含む。
【0276】
光ファイバー群604は、複数の光ファイバー6041からなる。そして、複数の光ファイバー6041は、面発光レーザアレイ603と受光素子605との間に並列に配設される。この場合、複数の光ファイバー6041は、面発光レーザアレイ603に含まれる複数の面発光レーザ素子および受光素子605に含まれる複数の受光素子に対応して設けられる。そして、各光ファイバー6041は、対応する面発光レーザ素子(面発光レーザ素子10,10A,10Cのいずれか)が発した光を対応する受光素子へ伝送する。
【0277】
受光素子608は、面発光レーザアレイ606に含まれる複数の面発光レーザ素子に対応して設けられた複数の受光素子を含む。
【0278】
光ファイバー群607は、複数の光ファイバー6071からなる。そして、複数の光ファイバー6071は、面発光レーザアレイ606と受光素子608との間に並列に配設される。この場合、複数の光ファイバー6071は、面発光レーザアレイ606に含まれる複数の面発光レーザ素子および受光素子608に含まれる複数の受光素子に対応して設けられる。そして、各光ファイバー6071は、対応する面発光レーザ素子(面発光レーザ素子10,10A,10Cのいずれか)が発した光を対応する受光素子へ伝送する。
【0279】
面発光レーザアレイ603は、複数の光を発し、その発した複数の光を光ファイバー群604へ入射する。光ファイバー群604は、面発光レーザアレイ603からの複数の光を受光素子605へ伝送する。そして、受光素子605は、光ファイバー604によって伝送された複数の光を受光し、その受光した複数の光を電気信号に変換して出力する。
【0280】
面発光レーザアレイ606は、複数の光を発し、その発した複数の光を光ファイバー群607へ入射する。光ファイバー群607は、面発光レーザアレイ606からの複数の光を受光素子608へ伝送する。そして、受光素子608は、光ファイバー607によって伝送された複数の光を受光し、その受光した複数の光を電気信号に変換して出力する。
【0281】
このように、光伝送システム600は、ボード601,602間で光を並列に送受信する並列光伝送システムである。
【0282】
図21は、この発明による光伝送システムの他の概略図である。図21を参照して、光伝送システム700は、シリコン(Si)基板701,702と、面発光レーザアレイ703,705と、受光素子704,706とを備える。
【0283】
面発光レーザアレイ703,705の各々は、GaInNAs/GaAsの量子井戸構造からなる活性層4を備える面発光レーザ素子10を複数個含む。そして、面発光レーザアレイ703は、基板1側から光を出射し、面発光レーザアレイ705は、基板1と反対側から光を出射する。
【0284】
面発光レーザアレイ703および受光素子706は、Si基板701の一主面701Aに設置される。受光素子704および面発光レーザアレイ705は、Si基板702の一主面702Aに設置される。
【0285】
面発光レーザアレイ703は、発振波長が1.1〜1.6μmの範囲である複数の光を発振し、その発振した複数の光をSi基板701を介して受光素子704の方向へ出射する。そして、受光素子704は、面発光レーザアレイ703から出射された複数の光を受光し、その受光した複数の光を電気信号に変換して外部へ出力する。
【0286】
また、面発光レーザアレイ705も、発振波長が1.1〜1.6μmの範囲である複数の光を発振し、その発振した複数の光を受光素子706の方向へ出射する。そして、受光素子706は、面発光レーザアレイ705から出射された複数の光をSi基板701を介して受光し、その受光した複数の光を電気信号に変換して外部へ出力する。
こ のように、光伝送システム700は、チップ間で光を並列に送受信する並列光伝送システムである。
【0287】
光伝送システム700の面発光レーザアレイ703,705を構成する面発光レーザ素子は、GaInNAs以外に、GaNAs,GaInNAs,GaInAsSb,GaInNP,GaNP,GaNAsSb,GaInNAsSb,InNAsおよびInNPAs等のNまたはAsを含むIII−V族混晶半導体を井戸層に用いた量子井戸構造からなる活性層を備えるものであればよい。
【0288】
そして、NまたはAsを含むIII−V族混晶半導体を井戸層に用いた量子井戸構造からなる活性層を備える面発光レーザ素子は、1.1〜1.6μmの範囲の発振光を発振し、その発振光は、石英系ファイバー中を低損失で伝搬し、Si基板中を低吸収で通過する。
【0289】
また、NまたはAsを含むIII−V族混晶半導体を井戸層に用いた量子井戸構造からなる活性層を備える面発光レーザ素子は、GaAs基板上に作製され、温度特性が良好であり、屈折率差を大きく取れるため、反射率を大きくできるAlGaAs/GaAsまたはAlAs/GaAsからなる半導体分布ブラッグ反射器を用いて作製される。
【0290】
さらに、NまたはAsを含むIII−V族混晶半導体を井戸層に用いた量子井戸構造からなる活性層を備える面発光レーザ素子は、発振波長が長いので、特に熱伝導率が高い材料同士の組合せであるAlAs/GaAsからなる半導体分布ブラッグ反射器を用いて作製される。
【0291】
図22は、この発明による画像形成装置の概略図である。図22を参照して、画像形成装置800は、面発光レーザアレイ801と、レンズ802,804と、ポリゴンミラー803と、感光体805とを備える。
【0292】
面発光レーザアレイ801は、複数のビームを放射する。レンズ802は、面発光レーザアレイ801から放射された複数のビームをポリゴンミラー803へ導く。
【0293】
ポリゴンミラー803は、所定の速度で時計方向に回転し、レンズ802から受けた複数のビームを主走査方向および副走査方向に走査させてレンズ804へ導く。レンズ804は、ポリゴンミラー803によって走査された複数のビームを感光体805に導く。
【0294】
このように、画像形成装置800は、面発光レーザアレイ801からの複数のビームをレンズ802,804およびポリゴンミラー803等からなる同じ光学系を用い、ポリゴンミラー803を高速回転させるとともに、ドット位置を点灯のタイミングを調整して副走査方向に分離した複数の光スポットとして被走査面である感光体805上に集光する。
【0295】
図23は、図22に示す面発光レーザアレイ801の平面図である。図23を参照して、面発光レーザアレイ801は、m×n個の面発光レーザ素子8011が略平行四辺形に配列された構造からなる。より具体的には、面発光レーザアレイ801は、縦方向に4列、横方向に10列、配列された40個の面発光レーザ素子8011からなる。そして、面発光レーザ素子8011は、面発光レーザ素子10,10A,10Cのいずれかからなる。
【0296】
縦方向において、隣接する2つの面発光レーザ素子8011の間隔をdとすると、d/nによって記録密度が決定される。したがって、面発光レーザアレイ801は、記録密度を考慮して間隔dおよび主走査方向の配列数nを決定する。
【0297】
図23においては、40個の面発光レーザ素子8011は、副走査方向に40μmの間隔dで、主走査方向に40μmの間隔で、主走査方向に行くに従って副走査方向に10μmづつずれるように配列される。
【0298】
そして、40個の面発光レーザ素子8011の点灯のタイミングを調整することによって、感光体805上に40のドットを副走査方向に一定間隔で書込むことができる。
【0299】
光学系の倍率が同じである場合、面発光レーザアレイ801の副走査方向の間隔dが狭い程、高密度に書込みをできる。面発光レーザ素子8011は、面発光レーザ素子10,10A,10Cのいずれかからなるので、面発光レーザアレイ801は、非酸化領域7a,71a,77aの寸法の分布が±5%以下の複数の面発光レーザ素子によって作製され、均一な出力を有する複数の光を出射できる。その結果、画像形成装置300においては、均一な書き込みができる。
【0300】
また、40ドットを同時に書込み可能であり、高速印刷が可能である。そして、アレイ数を増加させることでさらに高速印刷が可能である。
【0301】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0302】
この発明は、ウェハ内における非酸化領域の寸法を均一化可能な半導体酸化装置に適用される。また、この発明は、ウェハ内における非酸化領域の寸法を均一化可能な面発光レーザ素子の製造方法に適用される。さらに、この発明は、ウェハ内における非酸化領域の寸法を均一化可能な面発光レーザ素子の製造方法によって製造された面発光レーザ素子を備えた面発光レーザアレイに適用される。さらに、この発明は、ウェハ内における非酸化領域の寸法を均一化可能な面発光レーザ素子の製造方法によって製造された面発光レーザ素子または面発光レーザアレイを備えた光伝送システムに適用される。さらに、この発明は、ウェハ内における非酸化領域の寸法を均一化可能な面発光レーザ素子の製造方法によって製造された面発光レーザ素子または面発光レーザアレイを備えた画像形成装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0303】
【図1】この発明の実施の形態1による半導体酸化装置の概略図である。
【図2】図1に示す加熱テーブルおよびヒータの平面図である。
【図3】図1に示す半導体試料の断面図である。
【図4】酸化速度と膜厚との関係を示す図である。
【図5】半導体試料とヒータとの配置関係を示す断面図である。
【図6】図1に示す半導体酸化装置が酸化の対象とする面発光レーザ素子の概略断面図である。
【図7】図6に示す面発光レーザ素子の製造方法を示す第1の工程図である。
【図8】図6に示す面発光レーザ素子の製造方法を示す第2の工程図である。
【図9】選択酸化層7の酸化過程を示す平面図である。
【図10】半導体試料の平面図および断面図である。
【図11】図1に示す半導体酸化装置が酸化の対象とする面発光レーザ素子の他の概略断面図である。
【図12】図1に示す半導体酸化装置が酸化の対象とする端面発光レーザ素子の概略断面図である。
【図13】実施の形態2による半導体酸化装置の概略図である。
【図14】図13に示すランプの平面図である。
【図15】図13に示す半導体酸化装置が酸化の対象とする面発光レーザ素子の概略断面図である。
【図16】実施の形態3による半導体酸化装置の概略図である。
【図17】図16に示す加熱テーブルおよびヒータの平面図である。
【図18】実施の形態4による半導体酸化装置の概略図である。
【図19】この発明による面発光レーザアレイの平面図である。
【図20】この発明による光伝送システムの概略図である。
【図21】この発明による光伝送システムの他の概略図である。
【図22】この発明による画像形成装置の概略図である。
【図23】図22に示す面発光レーザアレイの平面図である。
【図24】酸化処理を行なう従来の半導体酸化装置を示す図である。
【符号の説明】
【0304】
1,1A,51,501 基板、2,2A,6,6A 反射層、3,3A,5,5A 共振器スペーサー層、4,4A,54 活性層、7,56,71,77 選択酸化層、7a,56a,71a,77a 非酸化領域、7b,56b,71b,77b 酸化領域、8 コンタクト層、9 絶縁性樹脂、10,10A,10C,51〜5n,502,8011 面発光レーザ素子、10B 端面発光レーザ素子、11 p側電極、12 n側電極、21,21A,61,61A 低屈折率層、22,22A,62,62A 高屈折率層、31〜3n レジストパターン、41〜4n,50 積層体、52,57 クラッド層、53,55 ガイド層、58 上部電極、59 下部電極、100,200,300,400,900 半導体酸化装置、101,201,301,401,901 反応容器、102,202,302 基台、103,203,303 加熱テーブル、104,304,403 回転軸、105,105A,105B,305,305A,305B,904 ヒータ、106,205,205a,205b,205c,306 温度検出器、107,206,307,402,903 試料ホルダ、108,207,308,905 導入管、109,208 水溜容器、110,112,115〜117,124,126,209,211,214〜216,223,225,310〜313,321,407〜410,418 配管、111,210 液体マスフローコントローラー、113,118,212,217,314,315,411,412 マスフローコントローラー、114,213 気化器、119〜121,218〜220,316〜318,413〜415 バルブ、122,221,319,416,906 排気管、123,222,320,417 水捕集器、125,224 排気ポンプ、127,226,322,419 制御部、128,323,420 矢印、130,230,430 水、140,240,440,910 半導体試料、141 ウェハ、141A 外周部、141B 内周部、142 半導体層、204,405,2041〜2047 ランプ、309,406 バブラ、404 ランプハウス、500,801 面発光レーザアレイ、600,700 光伝送システム、601,602 ボード、601A,602A,701A,702A 一主面、603,606,703,705 面発光レーザアレイ、604,607 光ファイバー群、605,608,704,706 受光素子、701,702 Si基板、800 画像形成装置、802,804 レンズ、803 ポリゴンミラー、805 感光体、902 加熱ステージ、6041,6071 光ファイバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器と、
前記反応容器内に設置され、試料を支持する支持台と、
各々が前記支持台を介して前記試料を加熱する複数の加熱装置と、
前記反応容器内に酸化材料を供給する供給部と、
前記試料の面内方向における酸化速度の分布を基準値以下に抑制する好適な温度に前記試料を加熱するように前記複数の加熱装置を制御する制御部とを備える半導体酸化装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記試料の温度以外の要因に基づく前記酸化速度の分布を打ち消す好適な温度に前記試料を加熱するように前記複数の加熱装置を制御する、請求項1に記載の半導体酸化装置。
【請求項3】
前記複数の加熱装置は、前記支持台の中央から外周へ向かう方向に分割されて配置される、請求項1または請求項2に記載の半導体酸化装置。
【請求項4】
前記好適な温度は、実験結果に基づいて決定される温度である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体酸化装置。
【請求項5】
前記複数の加熱装置の各々は、抵抗加熱ヒータである、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体酸化装置。
【請求項6】
前記複数の加熱装置の各々は、ランプヒータである、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の半導体酸化装置。
【請求項7】
半導体分布ブラック反射器からなる第1の反射層、第1の共振器スペーサー層、活性層、第2の共振器スペーサー層および前記半導体分布ブラック反射器からなる第2の反射層をウェハ上に順次積層する第1のステップと、
前記活性層、前記第2の共振器スペーサー層および前記活性層をメサ形状にエッチングして複数の面発光レーザ素子を前記ウェハ上に形成する第2のステップと、
前記ウェハを反応容器内の支持台にセットする第3のステップと、
前記反応容器内に酸化材料を供給する第4のステップと、
前記ウェハに形成された複数の面発光レーザ素子の複数の第2の反射層に含まれる複数の被選択酸化層における酸化速度の分布が基準値以下になる好適な温度に前記ウェハを加熱する第5のステップとを備える面発光レーザ素子の製造方法。
【請求項8】
前記第5のステップは、前記ウェハの温度以外の要因に基づく前記酸化速度の分布を打ち消す前記好適な温度に前記ウェハを加熱する、請求項7に記載の面発光レーザ素子の製造方法。
【請求項9】
前記好適な温度は、実験結果に基づいて決定される温度である、請求項8に記載の面発光レーザ素子の製造方法。
【請求項10】
前記第5のステップは、前記ウェハの径方向に配置された複数の加熱装置によって前記ウェハを前記好的な温度に加熱する、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の面発光レーザ素子の製造方法。
【請求項11】
前記複数の加熱装置の各々は、抵抗加熱ヒータである、請求項10に記載の面発光レーザ素子の製造方法。
【請求項12】
前記複数の加熱装置の各々は、ランプヒータである、請求項10に記載の面発光レーザ素子の製造方法。
【請求項13】
前記活性層は、GaInNAs系材料を含む、請求項7から請求項12のいずれか1項に記載の面発光レーザ素子の製造方法。
【請求項14】
基板と、
前記基板上に形成された複数の面発光レーザ素子とを備え、
前記複数の面発光レーザ素子の各々は、請求項7から請求項13のいずれか1項に記載の面発光レーザ素子の製造方法によって製造された面発光レーザ素子である、面発光レーサアレイ。
【請求項15】
請求項7から請求項13のいずれか1項に記載の面発光レーザ素子の製造方法によって製造された面発光レーザ素子または請求項14に記載の面発光レーザアレイを光源として備える光伝送システム。
【請求項16】
請求項7から請求項13のいずれか1項に記載の面発光レーザ素子の製造方法によって製造された面発光レーザ素子または請求項14に記載の面発光レーザアレイを光源として備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図24】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−218774(P2008−218774A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55225(P2007−55225)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】