説明

回路基板及びその製造方法

【課題】配線抵抗が低く配線間の絶縁性の高い回路基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に、Cuを含む導電性材料の配線構造体を形成し、配線構造体の表面に、Cu−N結合を有する絶縁性の拡散防止膜を形成した後、拡散防止膜が形成された配線構造体を覆うように、絶縁膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、高性能化及び低価格化等の要求に伴い、多層回路基板の微細化や更なる多層化、電子部品の高密度実装化が急速に進んでいる。このような背景から、多層回路基板の微細配線技術の開発が活発に行われている。
【0003】
パッケージ基板に用いられるビルドアップ基板の多層回路やウェーハレベルパッケージ(WLP)の再配線層の形成には、サブトラクティブ法やセミアディティブ法が用いられてきた。特に近年では、サブトラクティブ法よりも配線の微細化が容易なセミアディティブ法が用いられている。
【0004】
セミアディティブ法とは、無電界めっき法等により絶縁膜上に形成したシード層上に、配線形成領域に開口部を有するフォトレジスト膜を形成し、電界めっきにより開口部内に配線を埋め込んだ後、不要なシード層を除去することにより配線パターンを形成する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−045879号公報
【特許文献2】特開2008−050541号公報
【特許文献3】国際公開第2009/034596号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、配線幅及び配線間隔が微細化するに伴い、配線抵抗の上昇や配線間の絶縁性の低下が生じることが判明した。特に、配線間隔が10μm以下の回路基板では信頼性の影響が大きくなっている。今後、1μm以下の配線間隔で回路基板を形成することも考えられ、信頼性の更なる低下が懸念される。
【0007】
本発明の目的は、配線抵抗が低く配線間の絶縁性の高い回路基板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一観点によれば、絶縁膜と、前記絶縁膜内に埋め込まれ、Cuを含む導電性材料により形成された配線構造体と、前記絶縁膜と前記配線構造体との間に形成され、Cu−N結合を有する絶縁性の拡散防止膜とを有する回路基板が提供される。
また、実施形態の他の観点によれば、基板上に、Cuを含む導電性材料により形成された配線構造体を形成する工程と、前記配線構造体の表面に、Cu−N結合を有する絶縁性の拡散防止膜を形成する工程と、前記拡散防止膜が形成された前記配線構造体を覆うように、絶縁膜を形成する工程とを有する回路基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
開示の回路基板及びその製造方法によれば、絶縁膜中へのCuの拡散を効果的に防止することができる。これにより、低抵抗のCuを用いて低配線抵抗を実現する一方、配線間の絶縁性を高めることができ、高性能且つ信頼性の高い多層回路基板を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、一実施形態による回路基板の構造を示す概略断面図である。
【図2】図2は、一実施形態による回路基板の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図3】図3は、一実施形態による回路基板の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図4】図4は、一実施形態による回路基板の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図5】図5は、一実施形態による回路基板の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施形態による回路基板及びその製造方法について図1乃至図5を用いて説明する。
【0012】
図1は、本実施形態による回路基板の構造を示す概略断面図である。図2乃至図5は、本実施形態による回路基板の製造方法を示す工程断面図である。
【0013】
はじめに、本実施形態による回路基板の構造について図1を用いて説明する。
【0014】
基板10上には、下部電極12が形成されている。下部電極12が形成された基板10上には、絶縁膜26が形成されている。絶縁膜26には、導電性密着層14及びシード層16を介して下部電極12に接続されたビア導体22が埋め込まれている。下部電極12及びビア導体22の表面(下部電極12及びビア導体22と絶縁膜26との間)には、配線材料の拡散を防止する拡散防止膜24が形成されている。
【0015】
絶縁膜26上には、導電性密着層14及びシード層16を介してビア導体22に接続されたビア導体46と、配線40とが埋め込まれた絶縁膜50が形成されている。ビア導体46及び配線40の表面(ビア導体46及び配線40と絶縁膜50との間)には、配線材料の拡散を防止する拡散防止膜48が形成されている。
【0016】
絶縁膜50上には、導電性密着層52及びシード層54を介してビア導体46に接続されたビア導体56と、配線58と、ビア導体60とが埋め込まれた絶縁膜62が形成されている。ビア導体56、配線58及びビア導体60の表面(ビア導体56、配線58及びビア導体60と絶縁膜62との間)には、配線材料の拡散を防止する拡散防止膜64が形成されている。
【0017】
絶縁膜62上には、導電性密着層66及びシード層68を介してビア導体56に接続されたビア導体70と、配線72と、導電性密着層66及びシード層68を介してビア導体60に接続された配線74とが埋め込まれた絶縁膜76が形成されている。ビア導体70、配線72,74の表面(ビア導体70、配線72,74と絶縁膜76との間)には、配線材料の拡散を防止する拡散防止膜78が形成されている。
【0018】
このように、本実施形態による回路基板は、電極、ビア導体、配線等、回路基板内部の電気的接続部分である配線構造体と、配線構造体を埋め込む絶縁膜との間に、配線構造体の配線材料が絶縁膜中へ拡散するのを防止する拡散防止膜を有している。配線構造体は、低抵抗の銅(Cu)を含む導電性材料により形成されている。Cu以外にCuを含む導電性材料としては、例えば、AlCu合金、TiCu合金、AuCu合金等が挙げられる。
拡散防止膜は、配線構造体の表面に形成されたCu−N結合を有する絶縁性の変成層により形成されている。変成層は、配線構造体の表面のCuと結合してCu−N結合が形成されていればよく、単原子層ないしは数原子層程度でよい。
【0019】
Cuを含む配線構造体は、製造プロセス中やその際の大気放置によって、表面に変質層や酸化層が形成されることがある。Cuを含む配線構造体の表面にCu−N結合を有する変成層(拡散防止膜)を形成することにより、この変質層や酸化層中のCuが可動イオンとなって絶縁膜中を拡散することを防止することができる。
【0020】
これにより、低抵抗のCuを用いて低配線抵抗を実現するとともに、配線間の絶縁性を高めることができ、高性能且つ信頼性の高い多層回路基板を実現することができる。また、この多層回路基板では、1μm以下の微細な配線を有するような場合にも、高い信頼性を実現することができる。
【0021】
次に、本実施形態による回路基板の製造方法について図2乃至図5を用いて説明する。
【0022】
ここでは、例えば図2(a)に示すような下部電極12が形成された基板10上に、多層配線層を形成するものとする。基板10は、特に限定されるものではなく、パッケージ基板、ウェーハレベルパッケージ(WLP)、シリコンインターポーザ等、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、シリコン(Si)ウェーハ等の半導体基板、セラミックや樹脂等のプリント基板材料の絶縁基板等を適用することができる。後に形成される絶縁膜の硬化温度に対する耐熱性を有する基板であれば、他の基板を使用してもよい。下部電極12は、特に限定されるものではないが、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属材料を含む導電性材料を適用することができる。
【0023】
まず、下部電極12が形成された基板10上に、例えばスパッタ法又は真空蒸着法により、導電性密着層14とめっきシード層16とを順次形成する(図2(b))。導電性密着層14としては、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)のうち少なくともいずれか1つを含む合金や導電性の金属化合物を適用することができる。めっきシード層16としては、例えば、抵抗の低いCuや銀(Ag)等を適用することができる。
【0024】
次いで、めっきシード層16上に、例えばスピンコート法又はロールコート法等により、フォトレジスト18を形成する。
【0025】
次いで、フォトレジスト18を露光・現像し、フォトレジスト18に、下部電極12に達する開口部20を形成する。
【0026】
次いで、電気めっき法により、めっきシード層16をシードとして、開口部20内にCu等のめっき金属を成長し、開口部20内に埋め込まれ、下部電極12に接続されたビア導体22を形成する(図2(c))。ビア導体22の埋め込み高さは、必要に応じて適宜設定することができる。
【0027】
次いで、例えば、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)、N−メチルピロリドン(NMP)等の薬液を用いて洗浄し、フォトレジスト18を除去する。なお、フォトレジスト18は、アッシング等のドライプロセスを用いて除去してもよい。
【0028】
次いで、フォトレジスト18により覆われていた部分の余分なめっきシード層16及び導電性密着層14を除去する。めっきシード層16の除去には、例えば、過硫酸アンモニウム、硫酸カリウム等の薬液を用いたウェットエッチングを適用することができる。また、導電性密着層14の除去には、例えば、水酸化カリウムと過酸化水素水の混合液、弗化アンモニウム、フッ酸等の薬液を用いたウェットエッチングを適用することができる。なお、めっきシード層16及び導電性密着層14は、ドライエッチングにより除去してもよい。
【0029】
次いで、例えばドライエッチングにより、導電性密着層14除去後の基板10上に残存するエッチング残渣物を除去する(図3(a))。ドライエッチングに用いるガスとしては、例えば、CF、CHF、SF等を含む混合ガスを適用することができる。なお、基板10上の残渣物が少なく絶縁性等に与える影響等を無視できるような場合には、必ずしもこのドライエッチングを行う必要はない。
【0030】
次いで、下部電極12及びビア導体22の表面に、拡散防止膜24を形成する(図3(b))。拡散防止膜24は、Cu−N結合を有する変成層である。図3(a)のエッチング工程を経ることにより表面に形成されるCuの変質層や酸化層に対し、Cu−N結合を有する被膜を形成して配線金属表面のCu原子の結合強度を向上することにより、Cuの拡散を防止する拡散防止膜24とすることができる。
【0031】
拡散防止膜24は、下部電極12及びビア導体22の表面を、窒素結合を含む分子を含む洗浄溶液、窒素結合を含む気体分子の雰囲気、窒素を含む気体分子のプラズマに曝すことにより、形成することができる。
【0032】
窒素結合を含む洗浄溶液は、溶液を構成する分子中に窒素原子を含んでいれば特に限定されるものではなく、例えば、アンモニア、ピリジン、ベンゾトリアゾール等を含む溶液を適用することができる。
【0033】
窒素結合を含む気体分子の雰囲気としては、例えば、アンモニア、ピリジン、ベンゾトリアゾール等を含む雰囲気を適用することができる。
【0034】
窒素を含む気体分子のプラズマは、窒素原子を含む気体分子のプラズマであれば特に限定されるものではなく、例えば、窒素、アンモニア、ピリジン、ベンゾトリアゾールなどのプラズマを適用することができる。なお、拡散防止膜は、配線の上部及び側面部に均一に拡散防止膜を形成することが望ましい。かかる観点から、プラズマ処理により拡散防止膜を形成する場合、等方的なプラズマ処理を行うために、チャンバ内圧力を5Paから500Paの範囲とすることが望ましい。
【0035】
分子中に窒素を含む物質としては、特に、CuとNとの間の結合に共有結合を形成する物質、例えばトリアゾール系の物質が好ましい。
【0036】
窒素結合を含む分子を含む洗浄溶液や窒素結合を含む気体分子の雰囲気に暴露するにあたっては、拡散防止膜24の形成を促進するために、エネルギー線を照射し、或いは、加熱を行ってもよい。
【0037】
エネルギー線は、エネルギー照射により窒素に隣接する原子との結合を切断してCuと反応させることが可能なエネルギーを有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、紫外光(UV)、真空紫外光(VUV)、電子線(EB)、レーザー、X線、マイクロ波等を適用することができる。同時に広範囲で効率のよい照射が可能で短時間に処理できる等の観点から、真空中でUVランプやVUVランプにより照射するのが特に好ましい。エネルギー線の波長は、照射する材料の結合状態に応じて適宜設定することができる。結合の分解性の観点からは、200nmから400nmの範囲の範囲であることが望ましい。
【0038】
また、〜200℃程度の範囲で、単一又は複数のステップで加熱しながらエネルギー線を照射するようにしてもよい。これは、窒素に隣接する原子との結合の切断を促進させ、より短時間でCuとの反応を可能にできるからである。加熱温度は、絶縁膜等の回路基板の構成材料の耐熱温度等に応じて、適宜設定することができる。
【0039】
また、各処理時間については、拡散防止膜を少なくとも単分子層形成することで十分な効果を得ることができることから、極力短時間にすることが望ましい。ただし、配線上部及び側面部に一様に拡散防止膜を形成する必要性から、30秒から30分の範囲で処理することが望ましい。
【0040】
次いで、基板10上に、下部電極12、ビア導体22及び拡散防止膜24上を覆うように、絶縁膜26を形成する(図3(c))。例えば、スピンコート法等により絶縁膜形成用組成物を塗布した後、ホットプレート又はオーブンにより硬化処理前熱処理及び硬化処理を行い、絶縁膜26を形成する。熱処理及び硬化処理において、処理中の雰囲気は必要に応じて適宜選択することができ、例えば、大気雰囲気、窒素雰囲気、真空雰囲気等を適用することができる。絶縁膜26の厚さは、必要に応じて適宜設定することができる。
【0041】
絶縁膜26の構成材料は、配線間の絶縁性を維持できる材料であれば、有機系材料であっても無機系材料であってもよい。絶縁膜26の構成材料としては、例えば、ポリイミド型樹脂、フェノール型樹脂等を適用することができる。
【0042】
絶縁膜形成用組成物の塗布方法も、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、スピンコート法、ディップコート法、ニーダーコート法、カーテンコート法、ブレードコート法等を適用することができる。これらの中では、塗布効率等の観点から、スピンコート法が好ましい。スピンコート法の場合、その条件としては、例えば、回転数が、10rpm〜10000rpm程度であり、800rpm〜5000rpmが好ましく、時間が、1秒〜10分間程度であり、10秒〜90秒が好ましい。
【0043】
次いで、例えば化学的機械的研磨(CMP)法により、ビア導体22上を覆う余分な絶縁膜26及び拡散防止膜24を除去し、ビア導体22の上面部を露出する(図4(a))。なお、CMP法の代わりに、物理的な研削、研磨又は切削を適用してもよい。
【0044】
次いで、導体ビア22上及び絶縁膜26上の全面に、例えばスパッタ法又は真空蒸着法により、導電性密着層28とめっきシード層30とを順次形成する。導電性密着層28は、導電性密着層14と同様の材料により形成することができる。また、めっきシード層30は、めっきシード層16と同様の材料により形成することができる。
【0045】
次いで、めっきシード層30上に、例えばスピンコート法又はロールコート法等により、フォトレジスト32を形成する。
【0046】
次いで、フォトレジスト32を露光・現像し、フォトレジスト32に、開口部34,36を形成する。開口部34は、より上層の配線との接続ビアを受けるランドとなるビアホール部分、或いは、回路基板上に搭載される部品との電気的接点となるビアのランドとなるビアホール部分に形成されるものであり、ビア導体22上に形成される。開口部34の径は、露光時の位置ずれに対するマージンの拡大のため、そして、後のシード層形成及びめっき時の付き回りをよくするため、ビア導体22の径よりも大きくすることが望ましい。開口部36は、配線の埋め込み形成用のトレンチ、すなわち、配線溝である。
【0047】
次いで、電気めっき法により、めっきシード層30をシードとして、開口部34,36内にCu等のめっき金属を成長する。これにより、開口部34内に埋め込まれビア導体22に接続されたランド38と、開口部36内に埋め込まれた配線40とを形成する(図4(b))。開口部34,36内に充填するめっき金属は、微細な配線40を形成することに適した厚さ、例えば、0.5μm〜10μm程度とすることができる。
【0048】
次いで、アセトン、IPA、NMP等の薬液を用いて洗浄し、フォトレジスト32を除去する。
【0049】
次いで、ランド38及び配線40が形成されためっきシード層30上に、例えばスピンコート法又はロールコート法等により、フォトレジスト42を形成する。
【0050】
次いで、フォトレジスト42を露光・現像し、フォトレジスト42に、ランド38に達する開口部44を形成する。
【0051】
次いで、電気めっき法により、開口部44に露出するランド38上にCu等のめっき金属を成長し、ランド38に接続されたビア導体46を形成する(図4(c))。ここで、ビア導体46は、配線40の幅より大きい径を有し、アスペクト比の制約が小さいため、第1の配線層より厚く形成することができる。ビア導体46の高さは、所望のビアホールの密着性、多層配線間の耐電圧などを考慮して決定することができ、例えば、1μm〜30μm程度とすることができる。なお、以後の説明では、ランド38及びビア導体46を一括してビア導体46と呼ぶこととする。
【0052】
次いで、アセトン、IPA、NMP等の薬液を用いて洗浄し、フォトレジスト42を除去する。
【0053】
次いで、例えばウェットエッチングにより、フォトレジスト42により覆われていた部分のめっきシード層30及び導電性密着層28を除去する。めっきシード層30の除去には、例えば、過硫酸アンモニウム、硫酸カリウム等の薬液を適用することができる。導電性密着層28の除去には、例えば、水酸化カリウムと過酸化水素水の混合液、弗化アンモニウム、弗酸等の薬液を適用することができる。
【0054】
次いで、例えばドライエッチングにより、導電性密着層28除去後の絶縁膜26上に残存するエッチング残渣物を除去する(図5(a))。ドライエッチングに用いるガスとしては、例えば、CF、CHF、SF等を含む混合ガスを適用することができる。
【0055】
次いで、配線40及びビア導体46の表面に、拡散防止膜24の形成方法と同様にして、拡散防止膜48を形成する(図5(b))。
【0056】
次いで、絶縁膜26上に、配線40及びビア導体46上を覆うように、絶縁膜50を形成する。例えば、スピンコート法又はロールコート法等により絶縁膜形成用組成物を塗布した後、ホットプレート又はオーブンにより硬化処理前熱処理及び硬化処理を行い、絶縁膜50を形成する。熱処理及び硬化処理において、処理中の雰囲気は必要に応じて適宜選択することができ、例えば、大気雰囲気、窒素雰囲気、真空雰囲気等を適用することができる。絶縁膜50の厚さは、必要に応じて適宜設定することができる。
【0057】
次いで、例えばCMP法により、ビア導体46上を覆う余分な絶縁膜50及び拡散防止膜48を除去し、ビア導体46の上面部を露出する。なお、CMP法の代わりに、物理的な研削、研磨又は切削を適用してもよい。
【0058】
この後、図4(b)乃至図5(c)の工程を繰り返し行い、例えば図1に示すように、基板10上に、所望の層数の多層配線層を形成する。また、必要に応じて、エッチング、CMP、研削等により基板10を除去するようにしてもよい。
【0059】
こうして、本実施形態による回路基板を完成する。
【0060】
このように、本実施形態によれば、配線構造体と絶縁膜との間に、Cu−N結合を含む拡散防止膜を形成するので、絶縁膜中へのCuの拡散を効果的に防止することができる。これにより、低抵抗のCuを用いて低配線抵抗を実現する一方、配線間の絶縁性を高めることができ、高性能且つ信頼性の高い多層回路基板を実現することができる。
【0061】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0062】
例えば、図1に記載の回路基板は、一例を示したものであり、配線層の層数、各層の配線パターン、配線層間の接続等はこれに限定されるものではない。配線層の層数は、1層でもよく、2層以上であってもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、導電性密着層上に配線層を形成しているが、下層の配線層や絶縁膜との間の密着性が十分な場合には、必ずしも導電性密着層を形成する必要はない。
【0064】
また、上記実施形態では、セミアディティブ法により回路基板を製造する場合について示したが、サブトラクティブ法により回路基板を製造する場合に適用することもできる。サブトラクティブ法により回路基板を製造する場合には、銅箔をパターニングして配線を形成した後、Cu−N結合を含む拡散防止膜を形成し、絶縁膜を形成すればよい。
【実施例】
【0065】
[実施例1]
下部電極を形成した6インチのSiウェーハを準備した。
【0066】
まず、下部電極上を含めたSiウェーハ上に、膜厚0.1μmのTiと膜厚0.3μmのCuとをスパッタ法により堆積し、導電性密着層及びシード層を形成した。
【0067】
次いで、ノボラック型の液状レジストを塗布し、所定の位置にφ60μmのビアパターンを有するガラスマスクを用いてコンタクトアライナーで露光し、現像した。
【0068】
次いで、電気Cuめっきによりビアホール部をめっきした。このとき、電気Cuめっきは高さが10μm〜13μm程度になるようにした。
【0069】
次いで、レジストをNMPにて剥離した後、レジストの被覆によってめっきされなかった部分のシード層を過硫酸アンモニウムにより、導電性密着層をフッ化アンモニウムにより、それぞれエッチングした。
【0070】
次いで、エッチング後に配線間の絶縁膜表面に残渣が残らないよう、CF及びOを混合したガスによるドライエッチングを施した。
【0071】
次いで、エッチングチャンバ内をNガスで置換してin-situでNプラズマに晒し、下部電極及びビア導体の表面に拡散防止膜を形成した。Nプラズマによる処理は、チャンバ内圧力を25Pa、出力を300W、処理時間を1分とした。
【0072】
次いで、ベースポリマーがポリイミド樹脂である非感光性樹脂のワニスをスピンコートで塗布、プリベークして、300℃、1時間でキュアし、ポリイミド樹脂を硬化させ、第一絶縁層を形成した。このときの第一絶縁層の膜厚は、約15μmであった。
【0073】
次いで、第一絶縁層の形成によってビアポスト上に堆積した不要なポリイミド樹脂を除去するために、CMP処理を実施し、ビアポストの頭が第一絶縁層と同一表面に顔をだすようにした。このときビアポストの高さは、約10μmであった。
【0074】
次いで、第一絶縁層の表面に逆スパッタを行った後、ビアホール部も含めて、膜厚0.1μmのTiと膜厚0.3μmのCuとをスパッタ法により堆積し、導電性密着層及びシード層を形成した。
【0075】
次いで、ノボラック型の液状レジストを塗布し、第一絶縁層中のφ60μmのビアホールを囲むφ80μmのランドパターンと、所定の位置に幅1μmのトレンチ配線パターンとを有するガラスマスクを用いてコンタクトアライナーで露光し、現像した。これにより、レジストの所定の位置に、φ80μmのビアホール上部に相当するランドパターンと、幅1μmのトレンチ配線パターンとを形成した。
【0076】
次いで、電気Cuめっきによりランドパターン及びトレンチ配線部をめっきした。このとき、電気Cuめっきは高さが1.5μm〜2μm程度になるようにした。
【0077】
次いで、レジストをNMPにて剥離した後、再度ノボラック型の液状レジストを塗布し、所定の位置にφ60μmのビアパターンを有するガラスマスクを用いてコンタクトアライナーで露光し、現像した。形成されたビアホールに対し、電気Cuめっきを処理し、ビアポストを形成した。このとき、電気Cuめっきの高さは2μm〜3μm程度になるように形成した。
【0078】
次いで、レジストをNMPにて剥離した後、レジストの被覆によってめっきされなかった部分のシード層を過硫酸アンモニウムにより、導電性密着層をフッ化アンモニウムにより、それぞれエッチングした。
【0079】
次いで、エッチング後に配線間の絶縁膜表面に残渣が残らないよう、CF及びOを混合したガスによるドライエッチングを施した。
【0080】
次いで、エッチングチャンバ内をNガスで置換してin-situでNプラズマに晒し、ビア導体及び配線の表面に拡散防止膜を形成した。Nプラズマによる処理は、チャンバ内圧力を25Pa、出力を300W、処理時間を1分とした。
【0081】
次いで、ベースポリマーがポリイミド樹脂である非感光性樹脂のワニスをスピンコートで塗布、プリベークして、300℃、1時間でキュアし、ポリイミド樹脂を硬化させ、第二絶縁層を形成した。このときの第二絶縁層の膜厚は、約5μmであった。
【0082】
以上の工程を更に2回追加して実施し、3層からなる多層配線を有する回路基板を形成した。
【0083】
形成した多層配線について、信頼性試験として大気中200℃、24時間の高温放置を実施したところ、配線間の金属拡散は確認されず、配線間絶縁抵抗も十分に高い値を維持することができた。
【0084】
[実施例2]
下部電極を形成した6インチのSiウェーハを準備した。
【0085】
まず、下部電極上を含めたSiウェーハ上に、膜厚0.1μmのTiと膜厚0.3μmのCuとをスパッタ法により堆積し、導電性密着層及びシード層を形成した。
【0086】
次いで、ノボラック型の液状レジストを塗布し、所定の位置にφ60μmのビアパターンを有するガラスマスクを用いてコンタクトアライナーで露光し、現像した。
【0087】
次いで、電気Cuめっきによりビアホール部をめっきした。このとき、電気Cuめっきは高さが10μm〜13μm程度になるようにした。
【0088】
次いで、レジストをIPAにて剥離した後、レジストの被覆によってめっきされなかった部分のシード層を硫酸カリウムにより、導電性密着層を水酸化カリウムと過酸化水素水との混合溶液により、それぞれエッチングした。
【0089】
次いで、エッチング後に配線間の絶縁膜表面に残渣が残らないよう、CF及びOを混合したガスによるドライエッチングを施した。
【0090】
次いで、下部電極及びビア導体の表面にベンゾトリアゾールを処理し、拡散防止膜を形成した。ベンゾトリアゾールによる処理は、濃度約1%のベンゾトリアゾール水溶液中に5分間浸漬することにより行った。
【0091】
次いで、ベースポリマーがフェノール樹脂であるポジ型感光性樹脂のワニスをスピンコートで塗布、プリベークして、300℃、1時間でキュアし、フェノール樹脂を硬化させ、第一絶縁層を形成した。このときの第一絶縁層の膜厚は、約15μmであった。
【0092】
次いで、第一絶縁層の形成によってビアポスト上に堆積した不要なフェノール樹脂を除去するために、CMP処理を実施し、ビアポストの頭が第一絶縁層と同一表面に顔をだすようにした。このときビアポストの高さは、約10μmであった。
【0093】
次いで、第一絶縁層の表面に逆スパッタを行った後、ビアホール部も含めて、膜厚0.1μmのTiと膜厚0.3μmのCuとをスパッタ法により堆積し、導電性密着層及びシード層を形成した。
【0094】
次いで、ノボラック型の液状レジストを塗布し、第一絶縁層中のφ60μmのビアホールを囲むφ80μmのランドパターンと、所定の位置に幅1μmのトレンチ配線パターンとを有するガラスマスクを用いてコンタクトアライナーで露光し、現像した。これにより、レジストの所定の位置に、φ80μmのビアホール上部に相当するランドパターンと、幅1μmのトレンチ配線パターンとを形成した。
【0095】
次いで、電気Cuめっきによりランドパターン及びトレンチ配線部をめっきした。このとき、電気Cuめっきは高さが1.5μm〜2μm程度になるようにした。
【0096】
次いで、レジストをIPAにて剥離した後、再度ノボラック型の液状レジストを塗布し、所定の位置にφ60μmのビアパターンを有するガラスマスクを用いてコンタクトアライナーで露光し、現像した。形成されたビアホールに対し、電気Cuめっきを処理し、ビアポストを形成した。このとき、電気Cuめっきの高さは2μm〜3μm程度になるように形成した。
【0097】
次いで、レジストをIPAにて剥離した後、レジストの被覆によってめっきされなかった部分のシード層を硫酸カリウムにより、導電性密着層を水酸化カリウムと過酸化水素水との混合溶液により、それぞれエッチングした。
【0098】
次いで、エッチング後に配線間の絶縁膜表面に残渣が残らないよう、CF及びOを混合したガスによるドライエッチングを施した。
【0099】
次いで、ビア導体及び配線の表面にベンゾトリアゾールを処理し、拡散防止膜を形成した。ベンゾトリアゾールによる処理は、濃度約1%のベンゾトリアゾール水溶液中に5分間浸漬することにより行った。
【0100】
次いで、ベースポリマーがフェノール樹脂であるポジ型感光性樹脂のワニスをスピンコートで塗布、プリベークして、300℃、1時間でキュアし、フェノール樹脂を硬化させ、第二絶縁層を形成した。このときの第二絶縁層の膜厚は、約5μmであった。
【0101】
以上の工程を更に2回追加して実施し、3層からなる多層配線を有する回路基板を形成した。
【0102】
形成した多層配線について、信頼性試験として大気中200℃、24時間の高温放置を実施したところ、配線間の金属拡散は確認されず、配線間絶縁抵抗も十分に高い値を維持することができた。
【0103】
[実施例3]
下部電極を形成した6インチのSiウェーハを準備した。
【0104】
まず、下部電極上を含めたSiウェーハ上に、膜厚0.1μmのTiと膜厚0.3μmのCuとをスパッタ法により堆積し、導電性密着層及びシード層を形成した。
【0105】
次いで、ノボラック型の液状レジストを塗布し、所定の位置にφ60μmのビアパターンを有するガラスマスクを用いてコンタクトアライナーで露光し、現像した。
【0106】
次いで、電気Cuめっきによりビアホール部をめっきした。このとき、電気Cuめっきは高さが10μm〜13μm程度になるようにした。
【0107】
次いで、レジストをアセトンにて剥離した後、レジストの被覆によってめっきされなかった部分のシード層を硫酸カリウムにより、導電性密着層を水酸化カリウムと過酸化水素水との混合溶液により、それぞれエッチングした。
【0108】
次いで、エッチング後に配線間の絶縁膜表面に残渣が残らないよう、CF及びOを混合したガスによるドライエッチングを施した。
【0109】
次いで、ピリジンガス雰囲気中でUV光を照射し、下部電極及びビア導体の表面に拡散防止膜を形成した。拡散防止膜の形成は、薬液タンクから真空チャンバ内へ気体ガスを供給し、チャンバ内圧力を25Pa、UV光200W/cm、波長254nm、照射時間5分間の条件で処理することにより行った。
【0110】
次いで、ベースポリマーがフェノール樹脂であるポジ型感光性樹脂のワニスをスピンコートで塗布、プリベークして、300℃、1時間でキュアし、フェノール樹脂を硬化させ、第一絶縁層を形成した。このときの第一絶縁層の膜厚は、約15μmであった。
【0111】
次いで、第一絶縁層の形成によってビアポスト上に堆積した不要なフェノール樹脂を除去するために、CMP処理を実施し、ビアポストの頭が第一絶縁層と同一表面に顔をだすようにした。このときビアポストの高さは、約10μmであった。
【0112】
次いで、第一絶縁層の表面に逆スパッタを行った後、ビアホール部も含めて、膜厚0.1μmのTiと膜厚0.3μmのCuとをスパッタ法により堆積し、導電性密着層及びシード層を形成した。
【0113】
次いで、ノボラック型の液状レジストを塗布し、第一絶縁層中のφ60μmのビアホールを囲むφ80μmのランドパターンと、所定の位置に幅1μmのトレンチ配線パターンとを有するガラスマスクを用いてコンタクトアライナーで露光し、現像した。これにより、レジストの所定の位置に、φ80μmのビアホール上部に相当するランドパターンと、幅1μmのトレンチ配線パターンとを形成した。
【0114】
次いで、電気Cuめっきによりランドパターン及びトレンチ配線部をめっきした。このとき、電気Cuめっきは高さが1.5μm〜2μm程度になるようにした。
【0115】
次いで、レジストをアセトンにて剥離した後、再度ノボラック型の液状レジストを塗布し、所定の位置にφ60μmのビアパターンを有するガラスマスクを用いてコンタクトアライナーで露光し、現像した。形成されたビアホールに対し、電気Cuめっきを処理し、ビアポストを形成した。このとき、電気Cuめっきの高さは2μm〜3μm程度になるように形成した。
【0116】
次いで、レジストをアセトンにて剥離した後、レジストの被覆によってめっきされなかった部分のシード層を硫酸カリウムにより、導電性密着層を水酸化カリウムと過酸化水素水との混合溶液により、それぞれエッチングした。
【0117】
次いで、エッチング後に配線間の絶縁膜表面に残渣が残らないよう、CF及びOを混合したガスによるドライエッチングを施した。
【0118】
次いで、ピリジンガス雰囲気中でUV光を照射し、ビア導体及び配線の表面に拡散防止膜を形成した。拡散防止膜の形成は、薬液タンクから真空チャンバ内へ気体ガスを供給し、チャンバ内圧力を25Pa、UV光200W/cm、波長254nm、照射時間5分間の条件で処理することにより行った。
【0119】
次いで、ベースポリマーがフェノール樹脂であるポジ型感光性樹脂のワニスをスピンコートで塗布、プリベークして、300℃、1時間でキュアし、フェノール樹脂を硬化させ、第二絶縁層を形成した。このときの第二絶縁層の膜厚は、約5μmであった。
【0120】
以上の工程を更に2回追加して実施し、3層からなる多層配線を有する回路基板を形成した。
【0121】
形成した多層配線について、信頼性試験として大気中200℃、24時間の高温放置を実施したところ、配線間の金属拡散は確認されず、配線間絶縁抵抗も十分に高い値を維持することができた。
【0122】
[実施例4]
6インチのSiウェーハを準備した。
【0123】
まず、Siウェーハ上に、膜厚0.1μmのTiと膜厚0.3μmのCuとをスパッタ法により堆積し、導電性密着層及びシード層を形成した。
【0124】
次いで、ノボラック型の液状レジストを塗布し、所定の位置に電極パターンを有するガラスマスクを用いてコンタクトアライナーで露光し、現像した。
【0125】
次いで、電気Cuめっきにより電極部をめっきした。このとき、電気Cuめっきは高さが10μm〜13μm程度になるようにした。
【0126】
次いで、レジストをNMPにて剥離した後、再度ノボラック型の液状レジストを塗布し、所定の位置にφ60μmのビアパターンを有するガラスマスクを用いてコンタクトアライナーで露光し、現像した。
【0127】
次いで、形成されたビアホールに対し、電気Cuめっきを行い、ビアポストを形成した。このとき、電気Cuめっきの高さは10〜13μm程度になるように形成した。
【0128】
次いで、レジストをNMPにて剥離した後、レジストの被覆によってめっきされなかった部分のシード層を過硫酸アンモニウムにより、導電性密着層をフッ酸により、それぞれエッチングした。
【0129】
次いで、エッチング後に配線間の絶縁膜表面に残渣が残らないよう、CF及びOを混合したガスによるドライエッチングを施した。
【0130】
次いで、エッチングチャンバ内をNガスで置換してin-situでNプラズマに晒し、電極及びビア導体の表面に拡散防止膜を形成した。Nプラズマによる処理は、チャンバ内圧力を25Pa、出力を300W、処理時間を1分とした。
【0131】
次いで、ベースポリマーがフェノール樹脂であるポジ型感光性樹脂のワニスをスピンコートで塗布、プリベークして、300℃、1時間でキュアし、フェノール樹脂を硬化させ、第一絶縁層を形成した。このときの第一絶縁層の膜厚は、約25μmであった。
【0132】
次いで、第一絶縁層の形成によってビアポスト上に堆積した不要なフェノール樹脂を除去するために、CMP処理を実施し、ビアポストの頭が第一絶縁層と同一表面に顔をだすようにした。このときビアポストの高さは、約10μmであった。
【0133】
次いで、第一絶縁層の表面に逆スパッタを行った後、ビアホール部も含めて、膜厚0.1μmのTiと膜厚0.3μmのCuとをスパッタ法により堆積し、導電性密着層及びシード層を形成した。
【0134】
次いで、ノボラック型の液状レジストを塗布し、第一絶縁層中のφ60μmのビアホールを囲むφ80μmのランドパターンと、所定の位置に幅1μmのトレンチ配線パターンとを有するガラスマスクを用いてコンタクトアライナーで露光し、現像した。これにより、レジストの所定の位置に、φ80μmのビアホール上部に相当するランドパターンと、幅1μmのトレンチ配線パターンとを形成した。
【0135】
次いで、電気Cuめっきによりランドパターン及びトレンチ配線部をめっきした。このとき、電気Cuめっきは高さが1.5μm〜2μm程度になるようにした。
【0136】
次いで、レジストをアセトンにて剥離した後、再度ノボラック型の液状レジストを塗布し、所定の位置にφ60μmのビアパターンを有するガラスマスクを用いてコンタクトアライナーで露光し、現像した。形成されたビアホールに対し、電気Cuめっきを処理し、ビアポストを形成した。このとき、電気Cuめっきの高さは2μm〜3μm程度になるように形成した。
【0137】
次いで、レジストをアセトンにて剥離した後、レジストの被覆によってめっきされなかった部分のシード層を過硫酸アンモニウムにより、導電性密着層をフッ酸により、それぞれエッチングした。
【0138】
次いで、エッチング後に配線間の絶縁膜表面に残渣が残らないよう、CF及びOを混合したガスによるドライエッチングを施した。
【0139】
次いで、エッチングチャンバ内をNガスで置換してin-situでNプラズマに晒し、ビア導体及び配線の表面に拡散防止膜を形成した。Nプラズマによる処理は、チャンバ内圧力を25Pa、出力を300W、処理時間を1分とした。
【0140】
次いで、ベースポリマーがフェノール樹脂であるポジ型感光性樹脂のワニスをスピンコートで塗布、プリベークして、300℃、1時間でキュアし、ポリイミド樹脂を硬化させ、第二絶縁層を形成した。このときの第二絶縁層の膜厚は、約5μmであった。
【0141】
以上の工程を更に2回追加して実施し、3層からなる多層配線を有する回路基板を形成した。
【0142】
形成した多層配線について、信頼性試験として大気中200℃、24時間の高温放置を実施したところ、配線間の金属拡散は確認されず、配線間絶縁抵抗も十分に高い値を維持することができた。
【0143】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0144】
(付記1)
絶縁膜と、
前記絶縁膜内に埋め込まれ、Cuを含む導電性材料により形成された配線構造体と、
前記絶縁膜と前記配線構造体との間に形成され、Cu−N結合を有する絶縁性の拡散防止膜と
を有することを特徴とする回路基板。
【0145】
(付記2)
付記1記載の回路基板において、
前記配線構造体は、複数の配線層と、前記複数の配線層間を接続する複数のビア導体とを含む
ことを特徴とする回路基板。
【0146】
(付記3)
基板上に、Cuを含む導電性材料により形成された配線構造体を形成する工程と、
前記配線構造体の表面に、Cu−N結合を有する絶縁性の拡散防止膜を形成する工程と、
前記拡散防止膜が形成された前記配線構造体を覆うように、絶縁膜を形成する工程と
を有することを特徴とする回路基板の製造方法。
【0147】
(付記4)
付記3記載の回路基板の製造方法において、
前記拡散防止膜を形成する工程では、前記配線構造体を、窒素結合を含む物質を含む溶液又は雰囲気に暴露することにより、前記拡散防止膜を形成する
ことを特徴とする回路基板の製造方法。
【0148】
(付記5)
付記4記載の回路基板の製造方法において、
前記拡散防止膜を形成する工程では、エネルギー線を照射しながら前記溶液又は前記雰囲気に暴露することにより、前記拡散防止膜の形成を促進する
ことを特徴とする回路基板の製造方法。
【0149】
(付記6)
付記4又は5記載の回路基板の製造方法において、
前記窒素結合を含む物質は、アンモニア、ピリジン又はベンゾトリアゾールである
ことを特徴とする回路基板の製造方法。
【0150】
(付記7)
付記3記載の回路基板の製造方法において、
前記拡散防止膜を形成する工程では、前記配線構造体を、窒素を含む物質を含むプラズマに暴露することにより、前記拡散防止膜を形成する
ことを特徴とする回路基板の製造方法。
【0151】
(付記8)
付記7記載の回路基板の製造方法において、
前記窒素を含む物質は、窒素、アンモニア、ピリジン又はベンゾトリアゾールである
ことを特徴とする回路基板の製造方法。
【0152】
(付記9)
付記3乃至8のいずれか1項に記載の回路基板の製造方法において、
前記配線構造体を形成する工程は、
前記基板上に、シード層を形成する工程と、
前記シード層上に、前記配線構造体の形成予定領域に開口部を有するレジストを形成する工程と、
前記レジストをマスクとして、電界めっきにより、前記開口部内に前記配線構造体を成長する工程と、
前記レジストで覆われていた部分の前記めっきシード層を選択的に除去する工程とを有する
ことを特徴とする回路基板の製造方法。
【符号の説明】
【0153】
10…基板
12…下部電極
14,28,52…導電性密着層
16,30,54…めっきシード層
18,32,42…フォトレジスト
20,34,36,44…開口部
22,46,56,60…ビア導体
24、48,64…拡散防止膜
26,50,62…絶縁膜
38…ランド
40,58…配線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁膜と、
前記絶縁膜内に埋め込まれ、Cuを含む導電性材料により形成された配線構造体と、
前記絶縁膜と前記配線構造体との間に形成され、Cu−N結合を有する絶縁性の拡散防止膜と
を有することを特徴とする回路基板。
【請求項2】
基板上に、Cuを含む導電性材料により形成された配線構造体を形成する工程と、
前記配線構造体の表面に、Cu−N結合を有する絶縁性の拡散防止膜を形成する工程と、
前記拡散防止膜が形成された前記配線構造体を覆うように、絶縁膜を形成する工程と
を有することを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の回路基板の製造方法において、
前記拡散防止膜を形成する工程では、前記配線構造体を、窒素結合を含む物質を含む溶液又は雰囲気に暴露することにより、前記拡散防止膜を形成する
ことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の回路基板の製造方法において、
前記拡散防止膜を形成する工程では、エネルギー線を照射しながら前記溶液又は前記雰囲気に暴露することにより、前記拡散防止膜の形成を促進する
ことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項5】
請求項2記載の回路基板の製造方法において、
前記拡散防止膜を形成する工程では、前記配線構造体を、窒素を含む物質を含むプラズマに暴露することにより、前記拡散防止膜を形成する
ことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の回路基板の製造方法において、
前記配線構造体を形成する工程は、
前記基板上に、シード層を形成する工程と、
前記シード層上に、前記配線構造体の形成予定領域に開口部を有するレジストを形成する工程と、
前記レジストをマスクとして、電界めっきにより、前記開口部内に前記配線構造体を成長する工程と、
前記レジストで覆われていた部分の前記めっきシード層を選択的に除去する工程とを有する
ことを特徴とする回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−258871(P2011−258871A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133982(P2010−133982)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】