説明

圧力制御装置

【課題】精密かつ高速に圧力制御を行なうことができる圧力制御装置を提供すること。
【解決手段】実施形態の圧力制御装置は、ゲート開度を調整することによってガス配管のガス圧力を調整するバルブと、前記バルブに接続された軸部と、ガイド部と、前記軸部を軸回転させる回転駆動部と、ガス配管内のガス圧力が所望のガス圧力となるよう前記回転駆動部を制御する制御部と、を備えている。前記ガイド部は、前記軸部を支持するとともに、前記軸部をねじ機構によって軸方向に移動させる。また、前記ガイド部は、前記軸部を囲う筐体と、一方の端部が前記筐体に固定配置されるとともに他方の端部が前記ねじ溝に接触する固定ピン部と、を有している。前記軸部は、1本のねじ溝に複数種類のピッチが設けられ、且つ前記ねじ溝が前記固定ピン部と接触した状態で回転しながら軸方向に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、圧力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造に用いられる半導体製造装置では、プロセスガスをプロセスチャンバ内に流す際のガス圧力を正確に制御する必要がある。
【0003】
しかしながら、ソレノイドバルブを用いた圧力制御では、半導体製造装置毎に圧力制御のばらつきが生じていたので、精密な圧力制御が困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−116380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、精密かつ高速に圧力制御を行なうことができる圧力制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、圧力制御装置が提供される。圧力制御装置は、バルブと、前記バルブに接続された軸部と、ガイド部と、前記軸部を軸回転させる回転駆動部と、制御部と、を備えている。前記バルブは、上流側ガス配管と下流側ガス配管との間のゲート開度を調整することによって前記上流側ガス配管内または前記下流側ガス配管内のガス圧力を調整する。前記ガイド部は、前記軸部を支持するとともに、前記軸部をねじ機構によって軸方向に移動させる。前記制御部は、前記上流側ガス配管内または前記下流側ガス配管内のガス圧力が所望のガス圧力となるよう前記回転駆動部に回転指示を送る。また、前記ガイド部は、前記軸部を囲う筐体と、一方の端部が前記筐体に固定配置されるとともに他方の端部が前記ねじ溝に接触する固定ピン部と、を有している。そして、前記軸部は、1本のねじ溝に複数種類のピッチが設けられ、且つ前記ねじ溝が前記固定ピン部と接触した状態で回転しながら軸方向に移動する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る圧力制御装置を備えた半導体製造装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る圧力制御装置の構成を示す図である。
【図3】図3は、マイクロメータが備える軸部の構成を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係るマイクロメータが備えるガイド部の構成を示す図である。
【図5】図5は、ねじ溝のピッチとガス圧力制御速度との関係を説明するための図である。
【図6】図6は、ソレノイドバルブを用いた圧力制御特性を示す図である。
【図7】図7は、第2の実施形態に係る圧力制御装置の構成を示す図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係るマイクロメータが備えるガイド部の構成を示す図である。
【図9】図9は、軸部の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態に係る圧力制御装置を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る圧力制御装置を備えた半導体製造装置の構成を示す図である。半導体製造装置100は、プロセスチャンバCと、配管(上流側ガス配管)6Pと、圧力制御装置1Aと、配管(下流側ガス配管)6Qと、排気ポンプ30と、を備えている。圧力制御装置1Aは、マイクロメータ4Aを用いて配管内のガス圧力制御を行なう。本実施形態のマイクロメータ4Aは、バルブ軸(後述の軸部12A)に種々のピッチでねじ溝が設けられている。マイクロメータ4Aでは、ねじ溝間のピッチ(隣り合ったねじ溝の中心同士を結んだ距離)(ねじ溝間隔)が広いねじ溝を用いてガス圧力制御を行なうことにより、高速なガス圧力制御が可能となる。また、マイクロメータ4Aでは、ねじ溝間のピッチが狭いねじ溝を用いてガス圧力制御を行なうことにより、精密なガス圧力制御が可能となる。
【0010】
プロセスチャンバCは、半導体装置(半導体集積回路)が形成される基板(ウェハ)に対し、ウェハ上に薄膜を形成する処理室である。プロセスチャンバCへは、真空状態でプロセスガスが導入されてウェハ上に薄膜が形成される。そして、プロセスチャンバCからは、所定量のガスが排ガスとして排出される。プロセスチャンバCからの排ガスは、配管6P,6Qを介して排気ポンプ30に送られ、排気ポンプ30を介して外部(排ガス処理装置)などに送られる。
【0011】
半導体製造装置100では、配管6Pと配管6Qとの間に圧力制御装置1Aが設けられており、圧力制御装置1Aによって配管6P内のガス圧力が制御される。そして、配管6P内のガス圧力が制御されることにより、プロセスチャンバC内のプロセスガス圧力が制御される。
【0012】
本実施形態の圧力制御装置1Aは、バルブ(制御弁)21と、マイクロメータ4Aと、マイクロコンピュータ(マイコン)10と、を含んで構成されている。マイクロメータ4Aは、ねじ機構によってバルブ21を軸部12Aの軸方向に移動させることにより、配管6Pから配管6Qへのガス排出量を調整する。マイコン10は、マイクロメータ4Aに動作指示(ON/OFFの切替え)を送ることにより、マイクロメータ4Aの動作を制御する。
【0013】
つぎに、圧力制御装置1Aの構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係る圧力制御装置の構成を示す図である。圧力制御装置1Aは、配管6Pと配管6Qとの間に配置され、配管6Pから配管6Qへの排ガス流量を制御する。
【0014】
圧力制御装置1Aは、筐体25と、軸部11と、バルブ21と、真空シールド22と、図2では図示していないマイコン10と、マイクロメータ4Aと、を備えている。筐体25は、概略筒状をなしており、一方の上面が真空シールド22を介して配管6P,6Qに接続されている。また、マイクロメータ4Aは、筐体25内に配置されており、軸部12Aと、ガイド部7Aと、軸受け部8Aと、モータMと、を有している。
【0015】
軸部11とバルブ21は、配管6P,6Q内に配置されている。軸部11,12Aは、同軸上に並ぶよう棒状部材で一体に形成されており、その一方の先端部(図2では軸部12Aとは反対側の端部)にバルブ21が配置されている。軸部11,12Aは、軸部11,12Aの軸方向に移動することにより、バルブ21を軸部11の軸方向に移動させる。
【0016】
バルブ21は、配管6P,6Q内で軸部11,12Aの軸方向に移動することにより、配管6Pと配管6Qとの間の隙間量を調節する。例えば、バルブ21が軸部11の接続されていない側に移動することにより、配管6Pと配管6Qとの間の隙間(ゲート開度)は狭くなる。これにより、配管6Pから配管6Qに流れる排ガス流量が少なくなり、その結果、プロセスチャンバC内の圧力が上昇する。また、バルブ21が軸部11の接続されている側に移動することにより、配管6Pと配管6Qとの間の隙間は広くなる。これにより、配管6Pから配管6Qに流れる排ガス流量が多くなり、その結果、プロセスチャンバC内の圧力が減少する。
【0017】
配管6P内には、バラトロンセンサSが設けられている。バラトロンセンサSは、配管6P内のガス圧力を計測する。バラトロンセンサSは、ガス圧力の計測結果をマイコン10に送る。
【0018】
真空シールド22は、配管6P,6Qと筐体25とが接合される接合位置に配置されている。真空シールド22は、軸部11,12Aを貫通させる貫通孔を有しており、貫通孔に軸部11,12Aが貫通自在(挿入自在)に挿入されている。真空シールド22は、配管6P,6Qと筐体25との間で気体の流出入が起こらないよう気密を保ちつつ軸部11,12Aを軸方向に移動可能なよう構成されている。本実施形態では、説明の便宜上、軸部のうち真空シールド22とバルブ21との間の軸部を軸部11とし、真空シールド22とモータMとの間の軸部を軸部12Aとして説明する。
【0019】
モータMは、マイコン10からの指示(信号)に従い、回転動力を用いて軸部12Aを略一定の速度で軸回転させる。モータMは、例えば、軸部12Aの端部側(軸部11と反対側)に接続されており、軸部12Aを端部側から回転させる。
【0020】
ガイド部7Aは、例えば概略円筒状をなしており、軸部12Aの外周部の一部を囲っている。ガイド部7Aは、モータMによって軸部12Aが回転させられている間、軸部12Aに設けられたねじ溝のピッチに応じた位置に軸部12Aを移動させる。軸受け部8Aは、ガイド部7Aの上面側および底面側に配置されており、例えば円環状の板状部材で形成されている。軸受け部8Aは、円環状の内側に軸部12Aが差し込まれている。軸受け部8Aと軸部12Aとの間には、所定の隙間が設けられている。
【0021】
軸部12Aの外壁側面には、雄ねじのねじ溝(後述するねじ溝15,16)がそれぞれ所定のピッチで設けられており、ガイド部7Aの内側には、ねじ溝15,16に接触するねじ受け部(例えば、ピン状部材)が設けられている。ガイド部7Aの内側に設けられているねじ受け部は、雌ねじのねじ山として機能する。換言すると、軸部12Aは、ボルトのねじ溝構造を有し、ガイド部7Aはナットのねじ山構造を有している。軸部12Aは、モータMの回転により回転し、ピッチに応じた速度で軸方向に移動する。
【0022】
マイコン10は、バラトロンセンサSからの圧力値(ガス圧力)に基づいて、配管6P内が所望のガス圧力となるよう、モータM、ガイド部7Aに指示を送る。具体的には、マイコン10は、モータMに回転指示を送信し、ガイド部7Aに軸部12Aの所定位置への移動指示を送信する。マイコン10は、ガイド部7Aから軸部12Aが所望位置に到達したことを通知する情報を受け取ると、軸部12Aの停止指示をモータMに送信する。
【0023】
圧力制御装置1Aでは、モータMの動作が軸部12Aに伝えられることによって軸部12Aが軸方向に移動する。これにより、軸部11が軸方向に移動し、バルブ21が、軸部11の軸方向に移動する。
【0024】
このように、バルブ21は、マイコン10からの指示に応じた位置に移動する。そして、配管6P内の排ガスは、バルブ21の位置に応じて設けられた配管6Pと配管6Qとの間の隙間から配管6Qへ流れていく。
【0025】
つぎに、本実施形態の特徴の1つである軸部12Aの構成について説明する。図3は、マイクロメータが備える軸部の構成を示す図である。図3では、マイクロメータ4Aが備える軸部12Aの斜視図を示している。
【0026】
軸部12Aには、複数種類(ここでは2種類)のピッチを有したねじ溝が設けられている。軸部12Aは、例えば、真空シールド22側にピッチが所定値よりも大きなねじ溝15が設けられ、モータM側にピッチが前記所定値よりも小さなねじ溝16が設けられている。ねじ溝15とねじ溝16とは、軸部12Aの中心部近傍でつながっており、1本のねじ溝13Aを構成している。
【0027】
軸部12AがモータMによって回転させられると、ねじ溝15,16も回転する。マイクロメータ4Aのねじ機構が、ねじ溝15を用いて軸部12Aを軸方向に回転させる場合には、リード(軸部12Aを1回転させたときに軸部12Aが進む距離)が大きいので、軸部12Aが高速に移動する。また、マイクロメータ4Aのねじ機構が、ねじ溝16を用いて軸部12Aを軸方向に回転させる場合には、リードが小さいので、軸部12Aが精密に移動する。換言すると、ねじ溝15は軸部12Aを高速に移動させる高速動作部として機能し、ねじ溝16は軸部12Aを高精度に移動させる高精度動作部として機能する。
【0028】
つぎに、本実施形態の特徴の1つであるガイド部7Aの構成について説明する。図4は、第1の実施形態に係るマイクロメータが備えるガイド部の構成を示す図である。図4の(a)には、マイクロメータ4Aが備える軸部12Aとガイド部7Aの斜視半透視図を示している。また、図4の(b)には、軸部12Aおよびガイド部7Aの断面図を示している。図4の(b)では、軸部12Aの軸方向に垂直な平面で軸部12Aおよびガイド部7Aを切断した場合の断面図を示している。
【0029】
ガイド部(シリンダ)7Aは、概略円筒状の筐体内部に、1〜複数(ここでは4本)のガイドレール31と、1〜複数(ここでは4つ)の可動ねじ受け部32と、少なくとも1つ(ここでは1つ)の固定ねじ受け部33と、を備えている。そして、各ガイドレール31には、少なくとも1つの可動ねじ受け部32が配置されている。
【0030】
ガイドレール31は、棒状部材を用いて形成されており、ガイド部7Aの筐体である概略円筒状部材の内壁面に固定されている。ガイドレール31は、軸部12Aと平行な軸方向に配置されている。可動ねじ受け部32は、ガイドレール31上で、軸部12Aの軸方向と平行な方向(軸部12Aの長手方向)に移動自在に取り付けられている。換言すると、ガイドレール31は、可動ねじ受け部32を移動自在に支持している。
【0031】
可動ねじ受け部32は、例えばピン状部材を用いて構成されている。可動ねじ受け部32は、一方の端部がガイドレール31によって支持され、他方の端部がねじ溝15,16の何れかに接触するよう配置されている。各可動ねじ受け部32の他方の端部は、軸部12Aに対して垂直となるよう、ねじ溝15,16に接触する。各可動ねじ受け部32は、種々の方向からねじ溝15,16に接触することによって軸部12Aを支持している。
【0032】
可動ねじ受け部32は、軸部12Aを支持しつつ、ねじ溝15,16が回転すると軸部12Aの軸方向に移動する。具体的には、軸部12Aがバルブ21側に移動すると、可動ねじ受け部32は、モータM側に移動する。一方、軸部12AがモータMに移動すると、可動ねじ受け部32は、バルブ21側に移動する。
【0033】
固定ねじ受け部33は、例えばピン状部材を用いて構成されている。固定ねじ受け部33は、一方の端部が、ガイド部7Aの筐体である概略円筒状部材の内壁面に固定されている。また、固定ねじ受け部33は、他方の端部が、ねじ溝15,16の何れかに接触するよう配置されており、これにより、軸部12Aを支持している。固定ねじ受け部33の他方の端部は、軸部12Aに対して垂直となるよう、ねじ溝15,16に接触する。固定ねじ受け部33は、軸部12Aの移動位置を検出する際の原点として用いられる。軸部12Aの移動位置を検出する際には、固定ねじ受け部33を原点としてどれだけの距離だけ軸部12Aが軸方向に移動したかが、センサ(図示せず)などによって検出される。
【0034】
軸部12Aが回転すると、ねじ溝15,16は、固定ねじ受け部33に沿って回転移動し、これにより軸部12Aが軸方向に移動する。このとき、可動ねじ受け部32同士は、ねじ溝15,16のピッチに応じた間隔を保ちながら、ガイドレール31上を移動する。
【0035】
なお、軸部12Aに設けておくねじ溝15,16は、何れの位置を何れのピッチにしてもよい。例えば、軸部12Aに設けておくねじ溝のピッチを広くしておくことにより、高速なガス圧力制御を行なうことが可能となる。また、軸部12Aに設けられるねじ溝のピッチを狭くしておくことにより、精密なガス圧力制御を行なうことが可能となる。
【0036】
本実施形態では、例えば、配管6P,6QのAPC(Air Pressure Control)開度が所定値よりも高い場合(配管6P内のガス圧力が所定値よりも高い場合)に用いるねじ溝には、高速なガス圧力制御を行なえるよう、広いピッチでねじ溝を設けておく。また、配管6P,6QのAPC開度が所定値よりも低い場合(配管6P内のガス圧力が所定値よりも低い場合)に用いるねじ溝には、精密なガス圧力制御を行なえるよう、狭いピッチでねじ溝を設けておく。
【0037】
具体的には、軸部12Aのうちバルブ21側のねじ溝15を広いピッチで配置し、軸部12AのうちモータM側のねじ溝16を狭いピッチで配置しておく。ねじ溝15のピッチ、ねじ溝16のピッチは、それぞれ所望するガス圧力制御の制御速度およびガス圧力制御の精密度に応じて決定される。
【0038】
図5は、ねじ溝のピッチとガス圧力制御速度との関係を説明するための図である。図5の(a)は、ガス圧力制御を高速で制御する場合のねじ溝15,16の位置を示している。また、図5の(b)は、ガス圧力制御を精密に制御する場合のねじ溝15,16の位置を示している。
【0039】
固定ねじ受け部33は、軸部12Aの位置により、ねじ溝15やねじ溝16の種々の位置で軸部12Aと接触する。そして、ねじ溝15は、ねじ溝16よりもピッチが広い。このため、固定ねじ受け部33がねじ溝15に接触している場合には、ねじ溝16に接触している場合よりも高速で軸部12Aを軸方向に移動させることができる。一方、ねじ溝16は、ねじ溝15よりもピッチが狭い。このため、固定ねじ受け部33がねじ溝16に接触している場合には、ねじ溝15に接触している場合よりも精密に軸部12Aを軸方向に移動させることができる。
【0040】
このように、本実施形態では、マイクロメータ4Aが、ねじ溝15を用いたガス圧力制御と、ねじ溝16を用いたガス圧力制御と、をAPC開度に応じて切替えている。そして、ピッチが広いねじ溝15を用いてガス圧力制御を行なう場合には、高速なガス圧力制御が可能となり、ピッチが狭いねじ溝16を用いてガス圧力制御を行なう場合には、精密なガス圧力制御が可能となる。
【0041】
例えば、ソレノイドバルブのみを用いた圧力制御では、半導体製造装置毎に圧力制御のばらつきを生じる場合がある。図6は、ソレノイドバルブを用いた圧力制御特性を示す図である。図6では、横軸がAPC開度であり、縦軸が炉内圧力(チャンバ内の圧力)である。ソレノイドバルブのみを用いてチャンバ内の圧力を制御した場合、APC開度(ゲート開度)が低い場合に、第1の半導体製造装置の圧力特性aと第2の半導体製造装置の圧力特性bとで異なる特性を示している。
【0042】
本実施形態では、APC開度が所定値よりも低い場合には、ねじ溝16によって圧力を制御することができるので、精密な圧力制御が可能となる。また、APC開度が所定値よりも高い場合には、ねじ溝15によって圧力を制御することができるので、高速な圧力制御が可能となる。
【0043】
なお、本実施形態では、バラトロンセンサSを配管6P内に配置する場合について説明したが、バラトロンセンサSは、配管6Q内に配置してもよい。この場合、バラトロンセンサSは、配管6Q内のガス圧力を計測し、圧力制御装置1Aは、配管6Q内の圧力を制御する。また、半導体製造装置100において、圧力制御装置1Aをプロセスガス導入側の配管上に配置してもよい。
【0044】
半導体装置(半導体集積回路)を製造する際には、種々の半導体製造装置でウェハ処理が行われる。具体的には、成膜装置(半導体製造装置100など)が、ウェハ上に膜を成膜し、その後、レジスト塗布装置がウェハにレジストを塗布する。そして、露光装置がマスクを用いてウェハに露光を行なう。その後、現像装置がウェハを現像してウェハ上にレジストパターンを形成する。そして、レジストパターンをマスクとしてエッチング装置がウェハの下層側をエッチングする。これにより、レジストパターンに対応する実パターンがウェハ上に形成される。半導体装置を製造する際には、成膜処理、レジスト塗布処理、露光処理、現像処理、エッチング処理などがレイヤ毎に繰り返される。
【0045】
このように第1の実施形態によれば、軸部12Aのねじ溝を、ピッチの広いねじ溝15とピッチの狭いねじ溝16とで構成しているので、ねじ溝15による圧力制御とねじ溝16による圧力制御の両方を行なうことが可能となる。したがって、精密かつ高速な圧力制御を行なうことが可能となる。
【0046】
また、軸部12Aには、バルブ21側にピッチが広いねじ溝15を設け、モータM側にピッチが狭いねじ溝16を設けている。このため、APC開度が高い場合にはピッチが広いねじ溝15で圧力制御を行なうことが可能となり、APC開度が低い場合にはピッチが狭いねじ溝16で圧力制御を行なうことが可能となる。したがって、APC開度に応じた精密度および速度で圧力制御を行なうことが可能となる。
【0047】
また、モータMは、高速な圧力制御を行なう場合であっても、精密な圧力制御を行なう場合と同じ回転速度で軸部12Aを回転させる。このため、ねじ溝15,16への単位時間当たりの回転負荷は、回転速度の変化による影響を受けることなく、何れのタイミングでも略一定となる。したがって、ねじ溝15,16の長寿命化を図ることが可能となる。
【0048】
(第2の実施形態)
つぎに、図7〜図9を用いてこの発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、可動ねじ受け部32を用いることなく、軸部12Aを支える。
【0049】
図7は、第2の実施形態に係る圧力制御装置の構成を示す図である。図7の各構成要素のうち図2に示す第1の実施形態の圧力制御装置1Aと同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。
【0050】
圧力制御装置1Bは、筐体25と、軸部11と、バルブ21と、真空シールド22と、図7では図示していないマイコン10と、マイクロメータ4Bと、を備えている。また、マイクロメータ4Bは、筐体25内に配置されており、軸部12Aと、ガイド部7Bと、軸受け部8Bと、モータMと、を有している。
【0051】
ガイド部7Bは、概略円筒状をなしており、軸部12Aの外周部の一部を囲っている。ガイド部7Bは、モータMによって軸部12Aが回転させられている間、軸部12Aに設けられたねじ溝のピッチに応じた位置に軸部12Aを移動させる。
軸受け部8Bは、ガイド部7Bの上面側および底面側に配置されており、例えば円環状の板状部材で形成されている。軸受け部8Bは、円環状の内側に軸部12Aが差し込まれている。
【0052】
第1の実施形態では、可動ねじ受け部32と固定ねじ受け部33によって軸部12Aを支持していたが、本実施形態では、軸受け部8Bと固定ねじ受け部33によって軸部12Aを支持する。
【0053】
マイコン10は、バラトロンセンサSからの圧力値(ガス圧力)に基づいて、配管6P内が所望のガス圧力となるよう、モータM、ガイド部7Bに指示を送る。具体的には、マイコン10は、モータMに回転指示を送信し、ガイド部7Bに軸部12Aの所定位置への移動指示を送信する。マイコン10は、ガイド部7Bから軸部12Aが所望位置に到達したことを通知する情報を受け取ると、軸部12Aの停止指示をモータMに送信する。
【0054】
つぎに、本実施形態の特徴の1つであるガイド部7Bの構成について説明する。図8は、第2の実施形態に係るマイクロメータが備えるガイド部の構成を示す図である。図8の各構成要素のうち図4に示す第1の実施形態のガイド部7Aと同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。図8には、マイクロメータ4Bが備える軸部12Aとガイド部7Bの斜視半透視図を示している。
【0055】
ガイド部(シリンダ)7Bは、概略円筒状の筐体の端部(上面側と底面側)に、軸受け部8Bを有している。本実施形態では、この軸受け部8Bの貫通穴が軸部12Aを移動自在に支持している。換言すると、軸受け部8Bは、軸部12Aを軸方向に移動させつつ、軸部12Aが軸方向以外の方向にずれないよう、軸部12Aを支持している。
【0056】
固定ねじ受け部33は、一方の端部が、ガイド部7Bの筐体である概略円筒状部材の内壁面に固定されている。この構成により、軸部12Aが回転すると、ねじ溝15,16は、固定ねじ受け部33に接触しながら回転し、これにより軸部12Aが軸方向に移動する。
【0057】
なお、第1および第2の実施形態では、軸部12Aが有するねじ溝のピッチを、ねじ溝15のピッチとねじ溝16のピッチの2種類としたが、軸部12Aが有するねじ溝のピッチを3種類以上としてもよい。
【0058】
例えば、軸部12Aが有するねじ溝のピッチをN(Nは3以上の自然数)種類とする場合、軸部12Aには、バルブ21側の端部側から順番に、ピッチが1番目に大きなねじ溝、ピッチが2番目に大きなねじ溝、・・・ピッチがN番目に大きなねじ溝(ピッチが最も小さなねじ溝)が設けられる。
【0059】
なお、ねじ溝のピッチは、軸部12Aの一方の端部側(バルブ21側)から他方の端部側(モータM側)にかけて、徐々に小さくなるよう形成してもよい。図9は、軸部の他の構成例を示す図である。図9では、真空シールド22とモータMとの間に配置される軸部12Bの構成を示している。
【0060】
軸部12Bが有するねじ溝13Bのピッチは、軸部12Bの一方の端部側(真空シールド22側)から他方の端部側(モータM側)にかけて、所定の割合で小さくなるよう形成されている。この構成により、APC開度が低くなるに従って精密なガス圧力制御を行なえるようになる。また、APC開度が高くなるに従って高速なガス圧力制御を行なえるようになる。
【0061】
このように第2の実施形態によれば、軸受け部8Bが軸部12Aを支持しているので、簡易な構成のガイド部7Bで精密かつ高速な圧力制御を行なうことが可能となる。
【0062】
また、軸部12Bが有するねじ溝13Bのピッチを、軸部12Bの一方の端部側から他方の端部側にかけて、所定の割合で小さくなるよう形成しておくことにより、APC開度に応じた速度および精密度でガス圧力制御を行なうことが可能となる。
【0063】
このように第1および第2の実施形態によれば、精密かつ高速な圧力制御を行なうことが可能となる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1A,1B…圧力制御装置、4A,4B…マイクロメータ、6P,6Q…配管、7A,7B…ガイド部、8A,8B…軸受け部、10…マイコン、11,12A,12B…軸部、13A,13B,15,16…ねじ溝、21…バルブ、31…ガイドレール、32…可動ねじ受け部、33…固定ねじ受け部、100…半導体製造装置、M…モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側ガス配管と下流側ガス配管との間のゲート開度を調整することによって前記上流側ガス配管内または前記下流側ガス配管内のガス圧力を調整するバルブと、
前記バルブに接続された軸部と、
前記軸部を支持するとともに、前記軸部をねじ機構によって軸方向に移動させるガイド部と、
前記軸部を軸回転させる回転駆動部と、
前記上流側ガス配管内または前記下流側ガス配管内のガス圧力が所望のガス圧力となるよう前記回転駆動部に回転指示を送る制御部と、
を備え、
前記ガイド部は、前記軸部を囲う筐体と、一方の端部が前記筐体に固定配置されるとともに他方の端部が前記ねじ溝に接触する固定ピン部と、前記筐体内で前記軸部と平行な方向に配置されたガイドレールと、一方の端部が前記ガイドレール上で前記軸部の軸方向に移動自在に取り付けられるとともに他方の端部が前記ねじ溝に接触する可動ピン部と、有し、且つ前記固定ピン部および前記可動ピン部を用いて前記軸部を支持し、
前記軸部は、1本のねじ溝が複数種類のピッチで設けられ、且つ前記ねじ溝が前記固定ピン部と接触した状態で回転しながら軸方向に移動し、且つ前記ねじ溝のピッチが前記ゲート開度の大きさに応じて大きくなるよう形成され、且つ前記軸部の一方の端部から他方の端部に向かって前記ピッチが一定の割合で大きくなるよう形成されていることを特徴とする圧力制御装置。
【請求項2】
上流側ガス配管と下流側ガス配管との間のゲート開度を調整することによって前記上流側ガス配管内または前記下流側ガス配管内のガス圧力を調整するバルブと、
前記バルブに接続された軸部と、
前記軸部を支持するとともに、前記軸部をねじ機構によって軸方向に移動させるガイド部と、
前記軸部を軸回転させる回転駆動部と、
前記上流側ガス配管内または前記下流側ガス配管内のガス圧力が所望のガス圧力となるよう前記回転駆動部に回転指示を送る制御部と、
を備え、
前記ガイド部は、前記軸部を囲う筐体と、一方の端部が前記筐体に固定配置されるとともに他方の端部が前記ねじ溝に接触する固定ピン部と、を有し、
前記軸部は、前記ねじ溝が複数種類のピッチで設けられ、且つ前記ねじ溝が前記固定ピン部と接触した状態で回転しながら軸方向に移動することを特徴とする圧力制御装置。
【請求項3】
前記軸部は、前記ねじ溝のピッチが前記ゲート開度の大きさに応じて大きくなるよう形成されていることを特徴とする請求項2に記載の圧力制御装置。
【請求項4】
前記軸部は、前記軸部の一方の端部から他方の端部に向かって前記ピッチが一定の割合で大きくなるよう形成されていることを特徴とする請求項3に記載の圧力制御装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記固定ピン部を用いて前記軸部を支持することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の圧力制御装置。
【請求項6】
前記ガイド部は、前記筐体内で前記軸部と平行な方向に配置されたガイドレールと、一方の端部が前記ガイドレール上で前記軸部の軸方向に移動自在に取り付けられるとともに他方の端部が前記ねじ溝に接触する可動ピン部と、をさらに有し、前記可動ピン部を用いて前記軸部を支持することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の圧力制御装置。
【請求項7】
前記筐体は、前記軸部を貫通自在に支持する円環状部材をさらに有し、前記ガイド部は、前記円環状部材を用いて前記軸部を支持することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の圧力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−89730(P2013−89730A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228193(P2011−228193)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】