説明

圧電デバイス

【課題】素子搭載部材が割れることを防ぎ、安定して気密封止することができる圧電デバイスを提供する。
【解決手段】圧電デバイスは、2個一対の圧電振動素子搭載パッド111と、2個一対の圧電振動素子搭載パッド111を囲む段差部DBと、段差部DBを囲む封止用導体パターンHPとが一方の主面に設けられている素子搭載部材110と、圧電振動素子搭載パッド111に搭載され、励振用電極122が設けられている圧電振動素子120と、圧電振動素子120を気密封止する蓋体130と、を備え、封止用導体パターンHPと段差部DBとの間隔が、30〜100μmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる圧電デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の圧電デバイスを示す断面図である。以下、圧電デバイスの一例として圧電振動子について説明する。
図7に示すように、従来の圧電振動子300は、その例として素子搭載部材310、圧電振動素子320、蓋部材330とから主に構成されている。
素子搭載部材310の一方の主面には、2個一対の圧電振動素子搭載パッド311が設けられている。
また、素子搭載部材310は、シリコンからなる材料が用いられる。また、圧電振動素子搭載パッド311は、素子搭載部材310の他方の主面に設けられている外部接続用電極端子312とビア導体(図示せず)を介して接続している。
これら圧電振動素子搭載パッド311上には、導電性接着剤DSを介して電気的に接続される一対の励振用電極322を表裏主面に有した圧電振動素子320が搭載されている。
この圧電振動素子320を囲繞するように素子搭載部材310の主面には、封止用導体パターンHPが設けられている。
また、蓋部材330は、蓋部本体330aと壁部330bと鍔部330cとで構成され、凹部空間K1が形成されている。
前記封止用導体パターン313の主面には前記蓋部材330が被せられ、鍔部330cに設けられた封止部HBと、封止用導体パターンHPが接合されている。これにより、前記凹部空間K1が気密封止されている。
段差部DBは、前記素子搭載部材310の封止部HBの内側に接触するようにして設けられている。この段差部DBは、蓋部材330が位置ずれを起こしてしまうことで、蓋部材330が圧電振動素子320に接触し、圧電振動素子320が割れるのを防ぐ役割を果たす(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、このような圧電振動素子320は、圧電素板321の表裏主面にそれぞれ設けられた励振用電極322から一辺に延設された引き出し電極324を圧電振動素子搭載パッド311に導電性接着剤DSで固着することで片持ち固定されている。このときの引き出し電極324が設けられた一辺とは反対側の端辺を圧電振動素子320の自由端である先端部323とする(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−102891号公報
【特許文献2】特開2008−252782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の圧電デバイス300においては、蓋部材330の位置ずれをなくすために、段差部DBが設けられ、封止用導体パターンHPと段差部DBが接触している。前記段差部DBが金属で構成されている場合、封止用導体パターンHPと段差部DBが接触していると抵抗値が大きくなってしまう。よって、レーザで蓋部材330の鍔部330cに設けられている封止部HBと封止用導体パターンHPとを接合する際には、レーザの出力を上げる必要があるので、素子搭載部材310が割れてしまうといった課題があった。
【0006】
また、従来の圧電デバイス300において、段差部DBが絶縁性樹脂で構成されている場合、封止用導体パターンHPと段差部DBが接触させていると、段差部DBを形成する際に絶縁性樹脂が封止用導体パターンHPに被ってしまう。よって、蓋部材330の鍔部330cに設けられた封止部HBと封止用導体パターンHPとを接合させる際に、蓋部材330が傾くことで安定して気密封止することができないといった課題があった。
【0007】
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、素子搭載部材が割れることを防ぎ、安定して気密封止することができる圧電デバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の圧電デバイスは、2個一対の圧電振動素子搭載パッドと、2個一対の圧電振動素子搭載パッドを囲む段差部と、段差部を囲む封止用導体パターンとが一方の主面に設けられている素子搭載部材と、圧電振動素子搭載パッドに搭載され、励振用電極が設けられている圧電振動素子と、圧電振動素子を気密封止する蓋体と、を備え、封止用導体パターンと段差部との間隔が、30〜100μmであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の圧電デバイスによれば、2個一対の圧電振動素子搭載パッドと、2個一対の圧電振動素子搭載パッドを囲む段差部と、段差部を囲む封止用導体パターンとが一方の主面に設けられている素子搭載部材と、を備え、封止用導体パターンと段差部との間隔が、30〜100μmであることによって、段差部が金属で構成されている場合には、段差部が封止用導体パターンと接触しないために抵抗値が小さくなる。よって、レーザで蓋部材の鍔部に設けられている封止部と封止用導体パターンとを接合する際には、レーザの出力を上げる必要がないので、素子搭載部材が割れるのを防ぐことができる。
【0010】
また、本発明の圧電デバイスによれば、2個一対の圧電振動素子搭載パッドと、2個一対の圧電振動素子搭載パッドを囲む段差部と、段差部を囲む封止用導体パターンと、を備え、封止用導体パターンと段差部との間隔が、30〜100μmであることによって、段差部が絶縁性樹脂で構成されている場合には、段差部が封止用導体パターンと接触しないために、段差部を形成する際に絶縁性樹脂が封止用導体パターンに被ることはなくなる。よって、蓋部材の鍔部に設けられた封止部と封止用導体パターンとを接合させる際に、蓋部材が傾くことがなくなり、安定して気密封止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの蓋部材を外した状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの段差部の箇所を拡大した概略図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスを示す分解斜視図である。
【図6】図5のB−B断面図である。
【図7】従来の圧電デバイスを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、圧電振動素子に水晶を用いた場合について説明する。また、図示した寸法も一部誇張して示している。
【0013】
(第1の実施形態)
本実施形態において、圧電デバイスの一例として、圧電振動子について説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る圧電振動子100は、素子搭載部材110と圧電振動素子120と蓋部材130で主に構成されている。この圧電振動子100は、前記素子搭載部材110に圧電振動素子120が搭載され、凹部空間K1(図2参照)が設けられた蓋部材130により気密封止された構造となっている。
【0014】
圧電振動素子120は、図1及び図2に示すように、水晶素板121に励振用電極122を被着形成したものであり、外部からの交番電圧が励振用電極122を介して水晶素板121に印加されると、所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
水晶素板121は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し外形加工を施された概略平板状で平面形状が例えば四角形となっている。
励振用電極122は、前記水晶素板121の表裏両主面に金属を所定のパターンで被着・形成したものである。
このような圧電振動素子120は、その両主面に被着されている励振用電極122から延出する引き出し電極124と後述する素子搭載部材110の主面に形成されている後述する圧電振動素子搭載パッド111とを、導電性接着剤DS(図2参照)を介して電気的且つ機械的に接続することによって搭載される。このときの引き出し電極124が設けられた一辺とは反対側の端辺を圧電振動素子120の自由端である先端部123とする。
【0015】
図1及び図2に示すように、素子搭載部材110は、例えばシリコンやアルミナセラミックス等からなり、また、平板状に形成されている。また、素子搭載部材110は、圧電振動素子搭載パッド111と、外部接続用電極端子112と、封止用導体パターンHPと、段差部DBとが設けられている。
2個一対の圧電振動素子搭載パッド111は、素子搭載部材110の一方の主面に設けられている。
段差部DBは、2個一対の圧電振動素子搭載パッド111を囲むようにして、前記素子搭載部材110の一方の主面に設けられている。つまり、段差部DBは、封止用導体パターンHPよりも内側を囲繞するように、素子搭載部材110の一方の主面に設けられている。
封止用導体パターンHPは、段差部DBを囲むようにして、素子搭載部材110の一方の主面に設けられている。つまり、封止用導体パターンHPは、素子搭載部材110の一方の主面の外周縁を囲繞するように設けられている。
また、封止用導体パターンHPは、後述する蓋部材130の鍔部130cが封止部HBを介して接合される。
また、素子搭載部材110の他方の主面の4隅には、外部接続用電極端子112が設けられている。
2個一対の圧電振動素子搭載パッド111は、素子搭載部材110の他方の主面に設けられている外部接続用電極端子112とビア導体(図示せず)を介して接続している。
【0016】
図1及び図2に示すように、段差部DBは、金属または、絶縁性樹脂により構成され、封止用導体パターンHPよりも内側を囲繞するように設けられている。つまり、段差部DBは、圧電振動素子搭載パッド111よりも外側に設けられ、封止用導体パターンHPよりも内側に囲むようにして設けられている。
【0017】
図3及び図4に示す前記封止用導体パターンHPと前記段差部DBとの間隔W1は、30〜100μmとなっている。
段差部DBが金属により構成され、前記封止用導体パターンHPと段差部DBとの間隔W1が30μm未満の場合、段差部DBは、形成する際に生じる位置ずれにより、封止用導体パターンHPに接触することで抵抗値が大きくなる。よって、レーザで蓋部材130の鍔部130cに設けられている封止部HBと封止用導体パターンHPとを接合する際には、レーザの出力を上げる必要があるので、素子搭載部材110が割れてしまう。
段差部DBが金属により構成され、前記封止用導体パターンHPと前記段差部DBとの間隔W1が100μmより大きい場合、搭載している圧電振動素子120が段差部DBに接触してしまい、発振周波数が変動してしまう。
つまり、段差部DBが金属により構成され、封止用導体パターンHPと段差部DBとの間隔W1が30〜100μmであることによって、段差部DBが封止用導体パターンHPと接触しないために抵抗値が小さくなる。よって、レーザで蓋部材130の鍔部130cに設けられている封止部HBと封止用導体パターンHPとを接合する際には、レーザの出力を上げる必要がないので、素子搭載部材110が割れてしまうことを防ぐことができる。また、圧電振動素子120が段差部DBに接触することもなくなるので、発振周波数が変動することを防ぐことができる。
【0018】
また、段差部DBが絶縁性樹脂により構成され、前記封止用導体パターンHPと段差部DBとの間隔W1が30μm未満の場合、封止用導体パターンHPと段差部DBが接触させていると、段差部DBを形成する際に絶縁性樹脂が封止用導体パターンHPに被ってしまう。よって、蓋部材130の鍔部130cに設けられた封止部HBと封止用導体パターンHPとを接合させる際に蓋部材130が傾くことがあるので圧電デバイス100は安定して気密封止することができない。
段差部DBが絶縁性樹脂により構成され、前記封止用導体パターンHPと前記段差部DBとの間隔W1が100μmより大きい場合、搭載している圧電振動素子120が段差部DBに接触し発振周波数が変動してしまう。
つまり、段差部DBが封止用導体パターンHPと接触しないために、段差部DBを形成する際に絶縁性樹脂が封止用導体パターンHPに被ることはなくなる。よって、蓋部材130の鍔部130cに設けられた封止部HBと封止用導体パターンHPとを接合させる際に、封止用導体パターンHPに被った絶縁性樹脂で蓋部材130が傾くことがなくなり、圧電デバイス100は、安定して気密封止することができる。また、圧電振動素子120が段差部DBに接触することもなくなるので、発振周波数が変動することを防ぐことができる。
また、図3及び図4に示す段差部DBの幅方向の長さW2は、例えば30〜100μmとなっている。
【0019】
また、図4に示す封止用導体パターンHPの厚みd1は、例えば20〜30μmであり、段差部DBの厚みd2は、例えば35〜100μmである。
図4に示すように、段差部DBの厚みd2は、封止用導体パターンHPの厚みd1と封止部HBの厚みd3との和よりも厚くなっているので、レーザで接合する際に、蓋部材130の封止部HBの接合屑が飛散しても、段差部DBに被着する。よって、圧電振動素子120に接合屑が被着することがないため、発振周波数が変動することを防ぐことができる。
【0020】
蓋部材130は、図2に示すように、蓋本体部130aと壁部130bと鍔部130cから主に構成されており、前記圧電振動素子120を内包できるように、蓋本体部130aと壁部130bにより凹部空間K1が形成されている。
前記蓋部材130は、例えば、Fe−Ni合金(42アロイ)やFe−Ni−Co合金(コバール)または、シリコンなどからなる。
また、蓋部材130の鍔部130cには、環状の封止部HBが設けられている。
封止部HBは、例えば銀ロウ及び金錫等により構成され、封止部HBの厚みd3は、10μm〜25μmとなっている。
具体的には、蓋部材130は、素子搭載部材110の封止用導体パターンHP上に載置され、レーザを鍔部130cに照射し、封止部HBを溶融させることによって、鍔部130cに設けられた封止部HBを介して封止用導体パターンHPに接合される。
【0021】
前記導電性接着剤DSは、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、例えばアルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニッケル鉄(NiFe)、のうちのいずれかまたはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。
【0022】
本発明の圧電デバイス100によれば、前記2個一対の圧電振動素子搭載パッド111を囲む段差部DBと、前記段差部DBを囲む封止用導体パターンHPと、を備え、封止用導体パターンHPと段差部DBとの間隔が、30〜100μmであることによって、段差部DBが金属で構成されている場合、段差部DBが封止用導体パターンHPと接触しないために、抵抗値が小さくなる。よって、レーザで蓋部材130の鍔部130cに設けられている封止部HBと封止用導体パターンHPとを接合する際には、レーザの出力を上げる必要がないので、素子搭載部材110が割れるのを防ぐことができる。
【0023】
本発明の圧電デバイス100によれば、前記2個一対の圧電振動素子搭載パッド111を囲む段差部DBと、前記段差部DBを囲む封止用導体パターンHPとを備え、封止用導体パターンHPと段差部DBとの間隔が、30〜100μmであることによって、段差部DBが絶縁性樹脂で構成されている場合には、段差部DBが封止用導体パターンHPと接触しないために、段差部DBを形成する際に絶縁性樹脂が封止用導体パターンHPに被ることはなくなる。よって、蓋部材130の鍔部130cに設けられた封止部HBと封止用導体パターンHPとを接合させる際に、蓋部材130が傾くことがなくなり、圧電デバイス100は、安定して気密封止することができる。
【0024】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスについて説明する。本実施形態における圧電デバイスの一例として、圧電発振器について説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法で形成された圧電デバイスの他の一例を示す分解斜視図である。図6は、図5のB−B断面図である。また、図示した寸法も一部誇張して示している。
本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイス200は、素子搭載部材210の基板部210aと第2の枠部210cによって設けられた第2の凹部空間K2内に集積回路素子240が搭載されている点で第1の実施形態と異なる。
【0025】
図5及び図6に示すように、本発明の第2の実施形態に係る圧電発振器200は、素子搭載部材210と圧電振動素子120と蓋部材130と集積回路素子240で主に構成されている。この圧電発振器200は、前記素子搭載部材210に圧電振動素子120が搭載され、前記素子搭載部材210に形成されている第2の凹部空間K2内に集積回路素子240が搭載され、その圧電振動素子120が蓋部材130により気密封止された構造となっている。
【0026】
集積回路素子240は、図5及び図6に示すように、回路形成面に前記圧電振動素子120からの発振出力を生成する発振回路等が設けられており、この発振回路で生成された出力信号は外部接続用電極端子212を介して圧電発振器200の外へ出力され、例えば、クロック信号等の基準信号として利用される。
また、集積回路素子240には、可変容量素子に周囲温度に応じた制御電圧を印加して温度変化による発振回路の発振周波数の変動を補償するため、3次関数発生回路及び記憶素子部により温度補償回路部が設けられており、3次関数発生回路には、温度センサが接続されている。
この温度センサは、検出した温度と、温度センサに印加させる電圧値とに基づいて生成される温度データ信号(電圧値)が3次関数発生回路に出力される構成となっている。
集積回路素子240は、素子搭載部材210の第2の凹部空間K2内に露出した基板部210aに形成された集積回路素子搭載パッド213に半田等の導電性接合材を介して搭載されている。
【0027】
図5及び図6示すように、素子搭載部材210は、基板部210aと、枠部210bと、圧電振動素子搭載パッド211と、外部接続用電極端子212と、集積回路素子搭載パッド213と、封止部HBと、段差部DBとで主に構成されている。また、素子搭載部材210は例えばシリコンやアルミナセラミックス等から構成されている。
素子搭載部材210の基板部210aの他方の主面に枠部210bが設けられて、第2の凹部空間K2が形成されている。
2個一対の圧電振動素子搭載パッド211は、素子搭載部材210の基板部210aの一方の主面に設けられている。
段差部DBは、2個一対の圧電振動素子搭載パッド211を囲むようにして、前記素子搭載部材110の一方の主面に設けられている。つまり、段差部DBは、封止用導体パターンHPよりも内側を囲繞するように、素子搭載部材210の一方の主面に設けられている。
封止用導体パターンHPは、段差部DBを囲むようにして、素子搭載部材210の一方の主面に設けられている。つまり、封止用導体パターンHPは、素子搭載部材210の一方の主面の外周縁を囲繞するように設けられている。
また、封止用導体パターンHPは、後述する蓋部材130の鍔部130cが封止部HBを介して接合される。
また、前記素子搭載部材210の枠部210bの他方の主面の4隅には、外部接続用電極端子212が設けられている。
図5及び図6に示すように、第2の凹部空間K2内で露出した基板部210aの他方の主面には、複数の集積回路素子搭載パッド213と2個一対の圧電振動素子測定用パッド(図示せず)が形成されている。
【0028】
図5及び図6に示す段差部DBは、金属または、絶縁性樹脂により構成され、封止用導体パターンHPよりも内側を囲繞するように設けられている。つまり、段差部DBは、圧電振動素子搭載パッド211よりも外側に設けられ、封止用導体パターンHPよりも内側に囲むようにして設けられている。
【0029】
前記封止用導体パターンHPと前記段差部DBとの間隔は、30〜100μmとなっている。
段差部DBが金属により構成され、前記封止用導体パターンHPと段差部DBとの間隔が30μm未満の場合、段差部DBは、形成する際に生じる位置ずれにより、封止用導体パターンHPに接触することで抵抗値が大きくなる。よって、レーザで蓋部材130の鍔部130cに設けられている封止部HBと封止用導体パターンHPとを接合する際には、レーザの出力を上げる必要があるので、素子搭載部材210が割れてしまう。
段差部DBが金属により構成され、前記封止用導体パターンHPと前記段差部DBとの間隔が100μmより大きい場合には、搭載している圧電振動素子120が段差部DBに接触し発振周波数が変動してしまう。
つまり、段差部DBが金属により構成され、封止用導体パターンHPと段差部DBとの間隔が、30〜100μmであることによって、段差部DBが封止用導体パターンHPと接触しないために、抵抗値が小さくなる。よって、レーザで蓋部材130の鍔部130cに設けられている封止部HBと封止用導体パターンHPとを接合する際には、レーザの出力を上げる必要がないので、素子搭載部材210が割れてしまうことを防ぐことができる。また、圧電振動素子120が段差部DBに接触することもなくなるので、発振周波数が変動することを防ぐことができる。
【0030】
また、段差部DBが絶縁性樹脂により構成され、前記封止用導体パターンHPと段差部DBとの間隔が30μm未満の場合、封止用導体パターンHPと段差部DBが接触させていると、段差部DBを形成する際に絶縁性樹脂が封止用導体パターンHPに被ってしまう。よって、蓋部材130の鍔部130cに設けられた封止部HBと封止用導体パターンHPとを接合させる際に、蓋部材130が傾くことがあるので、圧電デバイス200は、安定して気密封止することができない。
段差部DBが絶縁性樹脂により構成され、前記封止用導体パターンHPと前記段差部DBとの間隔が、100μmより大きい場合、搭載している圧電振動素子120が段差部DBに接触してしまい、発振周波数が変動してしまう。
つまり、段差部DBが絶縁性樹脂により構成されている場合には、段差部DBが封止用導体パターンHPと接触しないために、段差部DBを形成する際に絶縁性樹脂が封止用導体パターンHPに被ることはなくなる。よって、蓋部材130の鍔部130cに設けられた封止部HBと封止用導体パターンHPとを接合させる際に、蓋部材130が傾くことがなくなるので、圧電デバイス200は、安定して気密封止することができる。また、圧電振動素子120が段差部DBに接触することもなくなるので、発振周波数が変動することを防ぐことができる。
【0031】
また、封止用導体パターンHPの厚みは、例えば20〜30μmであり、段差部DBの厚みは、例えば35〜100μmである。
また、前記封止部HBは、例えば銀ロウ及び金錫等により構成され、封止部HBの厚みd3は、例えば10〜25μmとなっている。
段差部DBの厚みは、封止用導体パターンHPの厚みと封止部HBの厚みとの和よりもよりも厚くなっているので、レーザで接合する際に、蓋部材130の封止部HBの接合屑が飛散しても、段差部DBに被着する。よって、圧電振動素子120に接合屑が被着することがないため、発振周波数が変動することを防ぐことができる。
【0032】
このように本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイス200を構成しても、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0033】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
例えば、前記した本実施形態では、圧電振動素子を構成する圧電素材として水晶を用いた場合を説明したが、他の圧電素材として、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたは、圧電セラミックスを圧電素材として用いた圧電振動素子でも構わない。
【符号の説明】
【0034】
110、210・・・素子搭載部材
210a・・・基板部
210b・・・枠部
K1・・・凹部空間(第1の凹部空間)
111、211・・・圧電振動素子搭載パッド
112、212・・・外部接続用電極端子
213・・・集積回路素子搭載パッド
K2・・・第2の凹部空間
120・・・圧電振動素子
121・・・水晶素板
122・・・励振用電極
123・・・先端部
124・・・引き出し電極
130・・・蓋部材
130a・・・蓋本体部
130b・・・壁部
130c・・・鍔部
240・・・集積回路素子
DS・・・導電性接着剤
100、200・・・圧電デバイス
HP・・・封止用導体パターン
HB・・・封止部
DB・・・段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個一対の圧電振動素子搭載パッドと、前記2個一対の圧電振動素子搭載パッドを囲む段差部と、前記段差部を囲む封止用導体パターンとが、一方の主面に設けられている素子搭載部材と、
前記圧電振動素子搭載パッドに搭載され、励振用電極が設けられている圧電振動素子と、
前記圧電振動素子を気密封止する蓋体と、を備え、
前記封止用導体パターンと前記段差部との間隔が、30〜100μmであることを特徴とする圧電デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−66650(P2011−66650A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215111(P2009−215111)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】