説明

圧電振動子、発振器、電子部品、電子機器、圧電振動子の製造方法及び電子部品の製造方法

【課題】 密閉容器の中の気密性を保持しつつ、圧電振動片に電圧を印加するための複数の電極を迅速かつ容易に設けることができる圧電振動子、発振器、電子部品、電子機器、圧電振動子の製造方法、及び電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】 板状の蓋部材6とベース部材7とが重ね合わされて構成された密閉容器2と、この密閉容器2の中に設けられた圧電振動片3と、蓋部材6の重ね合わせ面6aに設けられるとともに、圧電振動片3に接続部15を介して電気的に接続され、接続部15を蓋部材6の重ね合わせ面6aの縁部へと延在させる引き出し電極16と、密閉容器2の側面から引き出し電極16に電気的に接続された外部電極27と、蓋部材6の重ね合わせ面6aとベース部材7の重ね合わせ面7aとの間に設けられた金属からなる接合膜20と、を備え、引き出し電極16と接合膜20との間に、絶縁膜22が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子、発振器、電子部品、電子機器、圧電振動子の製造方法及び電子部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、種々の電子部品、例えば、時刻源や制御信号のタイミング源等として圧電振動子が利用されている。圧電振動子の中には、ベース部材と蓋部材とが重ね合わされて構成された密閉容器と、この密閉容器の中に設けられた圧電振動片とを備えたものがある。密閉容器によって内部を密閉するのは、圧電振動片の周辺を真空状態に保つことにより、圧電振動片の振動特性を安定させるためである。これら圧電振動子としては、ベース部材と蓋部材とを接合するために、ベース部材と蓋部材との間にアルミなどの金属からなる接合膜が設けられたものも周知となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、そのような金属からなる接合膜を設けると、圧電振動片に電圧を印加するための複数の引き出し電極を、蓋部材とベース部材との間の重ね合わせ面上に延在させることができない。なぜなら、蓋部材とベース部材との間に接合膜を設けると、接合膜と複数の引き出し電極とが干渉してしまい、それら複数の引き出し電極が短絡してしまうからである。
そこで、例えばベース部材に、密閉容器の中に通じるスルーホールなどを設けて、このスルーホールを介して圧電振動片と外部電極とを接続することが考えられる。
【特許文献1】特開2000−68780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなスルーホールを設けた構成では、経時劣化や衝撃などの種々の要因によりスルーホール内に微小な隙間が生じ易くなり、その隙間から密閉容器の中に外気が侵入してしまうという問題がある。それら外気が侵入すると、圧電振動片の振動特性に影響を与えてしまう。これは、スルーホールを多く設けるほど顕著な問題となる。また、近年の携帯情報端末機器などの小型化・高密度化の要請により、圧電振動子をより小さくすると、適正に機能するスルーホールを設けること自体が困難になってしまう。
また、圧電振動片等のデバイスが多端子型であると、ベース部材あるいは蓋部材に多数のスルーホールを形成しなければならず、この場合、スペースが制約されること並びに強度の低下を来たすことから、小型化・高密度化の要請に応えられなくなる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、密閉容器の中の気密性を長期にわたって保持しつつ、圧電振動片等のデバイスに電圧を印加するための複数の電極を迅速かつ容易に設けることができ、加えて無理なく小型化や高密度化を実現できる、圧電振動子、発振器、電子部品、電子機器、圧電振動子の製造方法及び電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明に係る圧電振動子は、板状の蓋部材とベース部材とが厚さ方向に重ね合わされて構成された密閉容器と、この密閉容器の中に設けられた圧電振動片と、前記蓋部材の重ね合わせ面に設けられるとともに、前記圧電振動片に接続部を介して電気的に接続され、前記接続部を前記蓋部材の重ね合わせ面の縁部へと延在させる引き出し電極と、前記密閉容器の側面から前記引き出し電極に電気的に接続された外部電極と、前記蓋部材の重ね合わせ面と前記ベース部材の重ね合わせ面との間に設けられた金属からなる接合膜と、を備え、前記蓋部材の重ね合わせ面と前記ベース部材の重ね合わせ面との間のうち、少なくとも前記引き出し電極と前記接合膜との間に、絶縁膜が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この発明に係る圧電振動子においては、蓋部材とベース部材とが接合膜を介して容易に接合されて、密閉容器の側面から外部電極が形成される。そして、外部電極に電圧を印加すると、その電圧は、引き出し電極及び接続部を介して、圧電振動片に印加される。このとき、少なくとも引き出し電極と接合膜との間に絶縁膜が設けられていることから、引き出し電極と接合膜とが導通することを防止することができる。また、外部電極が、密閉容器の側面から引き出し電極に接続されているため、密閉容器の例えば底面などにスルーホールなどを設ける必要もない。
なお、「少なくとも」とは、最低でも絶縁膜が引き出し電極と接合膜との間に設けられていればよく、それ以外の部位にも絶縁膜を設けてもよいことを意味するものである。例えば、引き出し電極から蓋部材の重ね合わせ面にわたって絶縁膜を広げて設けてもよいし、引き出し電極を含んだ蓋部材の重ね合わせ面一面(接続部を除く)や重ね合わせ面の縁部の全周に絶縁膜を設けてもよい。
【0008】
また、本発明に係る圧電振動子は、前記蓋部材及び前記ベース部材がガラスからなり、前記蓋部材と前記ベース部材とが、前記接合膜を介して陽極接合されていることを特徴とする。
【0009】
この発明に係る圧電振動子においては、ガラスからなる蓋部材とベース部材とが、接合膜を介して陽極接合される。
これにより、蓋部材とベース部材との熱膨張係数を合わせることができ、それら蓋部材とベース部材とを精度よく確実に接合することができる。
【0010】
また、本発明に係る圧電振動子は、前記蓋部材の重ね合わせ面が、前記引き出し電極が延在する電極面と、非電極面とを備えており、前記絶縁膜が、前記引き出し電極と前記非電極面とにわたって設けられ、前記絶縁膜のベース部材側表面に、平坦化によって均された平坦部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る圧電振動子においては、絶縁膜が、引き出し電極と非電極面とにわたって設けられ、その絶縁膜のベース部材側表面に平坦化によって均された平坦部が形成される。
これにより、引き出し電極と非電極面との高低差を吸収して、絶縁膜の表面を一様にすることができ、蓋部材とベース部材とをさらに精度よく確実に接合することができる。
【0012】
また、本発明に係る圧電振動子は、前記引き出し電極が、少なくとも3つ設けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る圧電振動子は、前記圧電振動片が複数設けられていることを特徴とする。
【0013】
これらの発明に係る圧電振動子においては、引き出し電極が少なくとも3つ設けられ、また、圧電振動片が複数設けられていることから、この圧電振動子が組み込まれる機器などの種々の要求に、容易に応じることができる。
【0014】
また、本発明に係る発振器は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電子機器は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の圧電振動子を備えることを特徴とする。
【0015】
これらの発明に係る発振器及び電子機器においては、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の圧電振動子と同様の効果を奏することができる。
【0016】
また、本発明に係る圧電振動子の製造方法は、板状の蓋部材とベース部材とが厚さ方向に重ね合わされて構成された密閉容器と、この密閉容器の中に設けられた圧電振動片とを備える圧電振動子の製造方法であって、前記蓋部材の重ね合わせ面において、前記圧電振動片と接続される接続部と、この接続部を前記蓋部材の重ね合わせ面の縁部へ延在させる引き出し電極とを形成する電極形成工程と、この電極形成工程において形成された少なくとも引き出し電極上に、絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、この絶縁膜形成工程において形成された絶縁膜上に、前記蓋部材と前記ベース部材とを接合させるための、金属からなる接合膜を形成する接合膜形成工程と、前記電極形成工程において形成された接続部に、圧電振動片を電気的に接続する接続工程と、前記接合膜形成工程において形成された接合膜を介して、前記接続工程において接続された圧電振動片を挟んで前記蓋部材と前記ベース部材とを接合する接合工程と、この接合工程において接合された蓋部材とベース部材とを有する密閉容器の側面から、外部電極を前記引き出し電極に電気的に接続する外部電極形成工程と、を備えることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る圧電振動子の製造方法によれば、電極形成工程において、ベース部材の重ね合わせ面に接続部と引き出し電極とが形成され、絶縁膜形成工程において、少なくとも引き出し電極上に絶縁膜が形成される。そして、接合膜形成工程において、絶縁膜上に接合膜が形成され、接続工程において、接続部に圧電振動子が電気的に接続される。さらに、接合工程において、圧電振動片を挟んで蓋部材とベース部材とが接合膜を介して接合され、外部電極形成工程において、密閉容器の側面から、外部電極が引き出し電極に電気的に接続される。
これにより、少なくとも引き出し電極と接合膜との間に絶縁膜が設けられることから、引き出し電極と接合膜との導通を防止する圧電振動子を得ることができる。また、外部電極が、密閉容器の側面から引き出し電極に接続されるため、密閉容器の例えば底面などにスルーホールなどを設ける必要もない。
なお、「少なくとも」とは、最低でも絶縁膜を引き出し電極上に設ければよく、それ以外の部位にも設けてもよいことを意味するものである。
【0018】
本発明に係る電子部品は、板状の蓋部材とベース部材とが厚さ方向に重ね合わされて構成された密閉容器と、この密閉容器内に設けられたデバイスと、前記蓋部材と前記ベース部材とのうちいずれか一方の重ね合わせ面に設けられるとともに、前記デバイスに電気的に接続される内側接続部、前記一方の重ね合わせ面の縁部に設けられた外側接続部、前記内側接続部と前記外側接続部とを電気的に接続する配線部を有する複数の引き出し電極と、前記一方の重ね合わせ面に、前記複数の引き出し電極を覆うように、設けられた絶縁膜とを備えたことを特徴とする。
この発明に係る電子部品においては、外側接続部に電圧を印加すると、その電圧は、配線部及び内側接続部を介して、デバイスに印加される。また、外部電極が、密閉容器の側部に露出する引き出し電極の外側接続部に接続されているため、密閉容器の例えば底面などにスルーホールなどを設ける必要がない。
【0019】
また、本発明に係る電子部品は、前記板状の蓋部材と前記ベース部材とが、常温接合、陽極接合、直接接合のうちいずれかの接合手段によって、接合されていることを特徴とする。
この発明に係る電子部品においては、常温接合、陽極接合、直接接合等の接合手段を用いているので、蓋部材とベース部材とを精度よく確実に接合することができる。
【0020】
また、本発明に係る電子部品は、前記絶縁膜の、前記蓋部材と前記ベース部材とのうち他方の重ね合わせ面と対向する面が、平坦化によって均された平坦状に形成されていることを特徴とする。
この発明に係る電子部品においては、絶縁膜の一面を平坦状に形成しているので、蓋部材とベース部材との重ね合わせ部分に、引き出し電極を配置することによって生じがちな凹凸部分を、平坦状に均すことができる。これにより、蓋部材とベース部材とを、さらに精度良く、高いシール性を確保しつつ確実に接合することができる。
【0021】
また、本発明に係る電子部品は、前記板状の蓋部材と前記ベース部材とが陽極接合によって接合され、 前記蓋部材と前記ベース部材とのうちの他方の重ね合わせ面と前記絶縁膜との間には、前記板状の蓋部材と前記ベース部材とを陽極接合させるための、金属またはシリコンからなる接合膜が形成されていることを特徴とする。
この発明に係る電子部品においては、蓋部材とベース部材とのうちの他方の重ね合わせ面と絶縁膜との間に金属またはシリコンからなる接合膜を形成しているから、この接合膜を利用して、蓋部材とベース部材とを陽極接合することができる。このため、蓋部材またはベース部材として、ガラス材料を利用することができ、安価で安定した電子部品を得ることができる。
【0022】
また、本発明に係る電子部品の製造方法は、板状の蓋部材とベース部材とが厚さ方向に重ね合わされて構成された密閉容器と、この密閉容器内に設けられたデバイスとを備える電子部品の製造方法であって、前記蓋部材とベース部材のうちいずれか一方の重ね合わせ面において、前記デバイスと電気的に接続される内側接続部から前記一方の重ね合わせ面の縁部に設けられた外側接続部まで延在する複数の引き出し電極を形成する電極形成工程と、前記一方の重ね合わせ面に、前記電極形成工程で形成した前記複数の引き出し電極を覆うように、絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、前記電極形成工程において形成された前記引き出し電極に、前記デバイスを電気的に接続するデバイス実装工程と、前記デバイス実装工程において実装された前記デバイスを内部に配置した状態で、前記蓋部材と前記ベース部材とを接合する接合工程と、を備えることを特徴とする。
この発明に係る電子部品の製造方法においては、電極形成工程において、ベース部材の重ね合わせ面に引き出し電極が形成され、絶縁膜形成工程において、引き出し電極を覆うように絶縁膜が形成される。そして、デバイス実装工程において、引き出し電極にデバイスが電気的に接続される。さらに、接合工程において、デバイスを内部に配置した状態で、蓋部材とベース部材とが接合される。また、外部電極が、密閉容器の側面から引き出し電極に接続されるため、密閉容器の例えば底面などにスルーホールなどを設ける必要もない。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、スルーホールなどを設けることなく、引き出し電極同士が導通することを防止することができることから、密閉容器の中の気密性を長期にわたって保持しつつ、圧電振動片等のデバイスに電圧を印加するための複数の電極を迅速かつ容易に設けることができ、さらに小型化並びに高密度化へも対応可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施形態1)
以下、本発明の第1実施形態における水晶振動子(圧電振動子)について、図面を参照して説明する。
図1において、符号1は水晶振動子を示すものである。
水晶振動子1は、略矩形に形成された密閉容器2と、この密閉容器2の中に設けられた水晶振動片(圧電振動片)3とを備えている。
【0025】
水晶振動片3は、平行に延びる二つの振動腕部3a(図13に示す)がそれぞれ基端側で一体的に接続された音叉型振動片として構成されている。水晶振動片3の基端部は、後述する接続部15に電気的に接続されており、これにより密閉容器2の中で片持ち支持され固定されている。また、水晶振動片3は、水晶からなり、電圧を印加することにより、所定の周波数で振動するようになっている。
【0026】
また、密閉容器2は、略矩形板状の蓋部材6とベース部材7とが、互いに厚さ方向に重ね合わされて構成されている。
蓋部材6の両主面のうち、一方の主面6aには、矩形の蓋側凹部10が形成されている。同様にして、ベース部材7の一方の主面7aには、矩形のベース側凹部11が形成されている。そして、蓋部材6とベース部材7とは、それら蓋側凹部10とベース側凹部11とが対向した状態で、一方の主面6aと一方の主面7aとが重ね合わされて接合されている。すなわち、一方の主面6aは、蓋部材6の重ね合わせ面として機能し、一方の主面7aは、ベース部材7の重ね合わせ面として機能するものである。このように、蓋側凹部10とベース側凹部11とを対向させることにより、密閉容器2の中に空洞部12が形成され、この空洞部12により、水晶振動片3の振動が許容されるようになっている。密閉容器2の中は気密封止されており、空洞部12は真空状態に保持されている。
【0027】
蓋部材6の一方の主面6a上には、水晶振動片3が電気的に接続された接続部15と、この接続部15を一方の主面6aの縁部にまで延在させる引き出し電極16とが設けられている。
これら接続部15及び引き出し電極16は、例えばCrやTiなどの導電性部材からなっている。接続部15は、図4に示すように、蓋側凹部10の長さ方向の一端側に二つ設けられており、これら二つの接続部15が、水晶振動片3に電圧を印加するための正負の電極端子として機能するようになっている。引き出し電極16は、蓋部材6の幅方向(長さ方向)Wの両端に設けられており、それら両端の引き出し電極16は、奥行方向Dの全長にわたって設けられている。両端の引き出し電極16のうち、一の引き出し電極16は、一の接続部15と一体的に接続されており、他の引き出し電極16は、引き出し部17を介して、他の接続部15に一体的に接続されている。なお、一方の主面6aのうち、接続部15及び引き出し電極16が延在する面が、電極面25となり、それ以外の、接続部15及び引き出し電極16が延在していない面が非電極面26となる。
【0028】
また、図1に示すように、ベース部材7の一方の主面7aには、例えばCrやシリコンなどからなる接合膜20が介在している。
また、接合膜20の四隅は円弧状に取り除かれ、ベース部材7の対向する四隅には、この円弧形状にならって外部端子接続部21が設けられている。
【0029】
さらに、本実施形態における水晶振動子1は、例えばSiO2やSi34などからなる絶縁膜22を備えている。絶縁膜22は、図6に示すように、引き出し電極16の表面と非電極面26とにわたって広げて設けられており、引き出し電極16を含む一方の主面6aの縁部の全周にわたって設けられている。絶縁膜22の四隅は、外部端子接続部21の円弧形状にならって取り除かれている。この絶縁膜22上に、上述の接合膜20が設けられている。また、図1に示すように、絶縁膜22のベース部材7側に配された表面(ベース部材側表面)22aには、その表面22aが平坦化されてなる平坦部35が形成されている。この平坦部35によって表面22aが均されている。
尚、図1においては、引き出し電極16、絶縁膜22、接合膜20が層状に重ねられている部分の膜全体の厚みが、水晶振動片3の厚みよりも厚く示されているが、これは、膜の構成を分り易く誇張して描いているためであり、実際には、水晶振動片3の方が膜全体より厚い。
さらに、本実施形態における蓋部材6及びベース部材7は、例えばガラスからなっており、これら蓋部材6とベース部材7とが、接合膜20を介して陽極接合されている。
【0030】
また、本実施形態における外部端子接続部21には、外部端子(外部電極)27が設けられている。外部端子27は、密閉容器2の高さ方向Hの一端が、引き出し電極16に電気的に接続されており、他端は、密閉容器2の底面部(ベース部材7の他方の主面)にまで延在している。すなわち、外部端子27は、密閉容器2の側面から引き出し電極16に接続されている。また、外部端子27は、対をなして形成されている。すなわち、外部端子27は、図16に示すように、四隅の外部端子接続部21のうち、幅方向Wの一端側に形成された二つの外部端子接続部21間にわたって延在しており、同様に、幅方向Wの他端側に形成された二つの外部端子接続部21間にわたって延在している。そして、これら一対の外部端子27は、上述の一の引き出し電極16または他の引き出し電極16に接続されており、水晶振動片3に電圧を印加するための正負の外部電極として機能するようになっている。
【0031】
このような構成のもと、外部端子27に所定の電圧を印加すると、その電圧は、引き出し電極16及び接続部15を介して、水晶振動片3に印加される。すると、圧電効果により、振動腕部3aが互いに接近または離隔する方向に、即ち逆相のモードで、所定の周期を持って屈曲運動する。
【0032】
次に、本実施形態における水晶振動子1の製造方法について説明する。
まず、蓋部材6を形成加工する。すなわち、図2及び図3に示すように、ガラスかならなる蓋部用ウエハ30を所定の厚さになるまで研磨加工して洗浄する。そして、最表面の加工変質層をエッチングなどによって除去する。さらに、蓋部用ウエハ30の一方の主面30aに、エッチングなどにより、複数の蓋側凹部10を形成する。なお、図2及び図3には、簡略化のため、一つの蓋側凹部10しか明示されていないが、実際には蓋部用ウエハ30の一方の主面30a全面に、複数の蓋側凹部10が行列方向に連続的に形成される。つまり、蓋部用ウエハ30は、蓋部材6が複数配列されて一体的に形成されたものであり、ここでは蓋部用ウエハ30は蓋部材6に相当するものである。さらに、蓋部用ウエハ30の一方の主面30aは、蓋部材6の一方の主面6a、すなわち、蓋部材6の重ね合わせ面に相当する。
【0033】
さらに、ベース部材7を形成加工する。すなわち、蓋部材6と同様にして、図15に示すガラスからなるベース用ウエハ31の一方の主面31aにベース側凹部11を複数形成する。ここでもベース用ウエハ31はベース部材7に相当するものであり、ベース用ウエハ31の一方の主面31aは、ベース部材7の一方の主面7aに相当するものである。
次いで、それぞれのベース側凹部11を所定の大きさで矩形に取り囲んだときの、その矩形の四隅のそれぞれに図16に示すスルーホール32を設ける。なお、スルーホール32は、後述するダイシング工程において四分割されるが、その四分割された部位が、上述の外部端子接続部21となる。
【0034】
さらに、人工水晶に研磨、エッチングなどを施して、音叉型の水晶振動片3を形成加工する。
それから、図4及び図5に示すように、蓋部用ウエハ30の一方の主面30aに、接続部15や引き出し電極16を形成する(電極形成工程)。すなわち、スパッタリングや蒸着などによって、一方の主面30aに、電極層を形成し、エッチングなどにより、接続部15及び引き出し電極16を一体的にパターニングする。
【0035】
さらに、図6及び図7に示すように、絶縁膜22を形成する(絶縁膜形成工程)。すなわち、引き出し電極16の表面を含む一方の主面30aの縁部全周に、スパッタリングや蒸着あるいは気相成長法や塗布法などによって、絶縁膜22を形成する。なお、絶縁膜22の厚さとしては、引き出し電極16の厚さよりも厚く、数μm程度である。
続いて、絶縁膜22の平坦化について説明する。図8に示すように、一方の主面30aには引き出し電極16が設けられていることから、この引き出し電極16の厚さ寸法hの分、引き出し電極16の表面と非電極面26とに高低差が生じている。したがって、絶縁膜22を薄く形成すると、絶縁膜22の表面に高低差が生じてしまう。そこで、本実施形態においては、図9に示すように、まず絶縁膜22を厚く形成する。それから、絶縁膜22の表面を例えばエッチングやスパッタリングなどの手法で平坦化して、図10に示すように、引き出し電極16と非電極面26とにわたって、その表面を均す。これにより、絶縁膜22の表面の高低差がなくなり、一様になる。なお、このとき平坦化された部分が、上述の平坦部35になる。
さらに、ベース用ウエハ31に形成されるスルーホール32に合わせて、図6に示すように、フォトリソグラフィによるパターニングにより絶縁膜22の四隅を円弧状に取り去る。また、同様に、接続部15及び蓋側凹部10の表面上の絶縁膜も取り去る。
【0036】
それから、図11及び図12に示すように、接合膜20を形成する(接合膜形成工程)。すなわち、絶縁膜22上に、スパッタリングや蒸着などによって、接合膜20を形成する。そして、フォトリソグラフィによるパターニングにより、絶縁膜22に合わせて、接合膜20の四隅を円弧状に取り去る。また、同様に、接続部15及び蓋側凹部10の表面上の接合膜20も取り去る。
さらに、図13及び図14に示すように、接続部15に水晶振動片3の基端部を電気的に接続する(接続工程)。これにより、水晶振動片3が固定される。この接続方法としては、超音波を利用した金―金接合やハンダ接合、あるいは導電性接着材を用いる方法などが選択できる。
【0037】
次いで、図15に示すように、蓋部用ウエハ30と上述のベース用ウエハ31とを陽極接合する(接合工程)。すなわち、真空中において、蓋部用ウエハ30に、水晶振動片3などを覆うようにして、上述のベース用ウエハ31を重ね合わせる。このとき、それぞれの蓋側凹部10とベース側凹部11とが対向し、これによって空洞部12が形成される。また、このとき例えばシリコンからなる接合膜20と、ガラスからなるベース用ウエハ31の一方の主面31aが密着した状態になる。
【0038】
この状態で、蓋部用ウエハ30及びベース用ウエハ31を所定の温度に加熱し、かつ所定の電圧を印加する。この結果、接合膜20は、一方の主面31aとの間に静電引力が生じて両者が強く密着し、陽極接合される。これにより、空洞部12が気密封止され、行列方向に連続した密閉容器2が形成される。それから、電圧の印加を停止し、蓋部用ウエハ30及びベース用ウエハ31を除冷して常温に戻す。これら蓋部用ウエハ30及びベース用ウエハ31の温度が上昇してから常温に戻されるまでの間、蓋部用ウエハ30及びベース用ウエハ31は、温度上昇によって熱膨張し、除冷によって収縮して元に戻される。
【0039】
それから、図16及び図17に示すように、それぞれの密閉容器2に外部端子27を設ける(外部電極形成工程)。すなわち、ベース用ウエハ31の他方の主面に、金属マスクを施し、スパッタリングや蒸着などによって薄膜を形成する。これにより、スルーホール32の内面からベース用ウエハ31の他方の主面にまで延在する一対の外部端子27が設けられる。この外部端子27は、スルーホール32を介して、引き出し電極16の四隅に接続されている。
【0040】
さらに、ダイシング工程において、蓋部用ウエハ30及びベース用ウエハ31を切断する。すなわち、外部電極形成工程後の蓋部用ウエハ30及びベース用ウエハ31を、ダイシングソーに設置し、スルーホール32を結ぶ直線上を行列方向にダイシングブレードによって切断する。これによって、スルーホール32が四分割され、分割されたそれぞれの部位が、上述したように円弧状の外部端子接続部21となる。
そして、それら切断された一つ一つの上下を反転させると、図1に示す水晶振動子1となる。
【0041】
以上より、本実施形態における水晶振動子1によれば、接合膜20と引き出し電極16との間に絶縁膜22が設けられていることから、接合膜20と引き出し電極16とが互いに絶縁され干渉しなくなる。そのため、引き出し電極16と接合膜20とが導通することを防止することができる。また、スルーホール32が分割されることによって外部端子接続部21が形成され、この外部端子接続部21を介して、外部端子27が密閉容器2の側面から引き出し電極16に接続されていることから、ベース部材7の他方の主面などに、スルーホール32を残さなくすることができる。そのため、スルーホールの隙間から、外気が侵入することもない。
したがって、密閉容器2の中の気密性を長期にわたって保持しつつ、水晶振動片3に電圧を印加するための複数の電極を容易に設けることができる。
【0042】
また、蓋部材6とベース部材7とが、ガラスという同一の部材からなっていることから、蓋部材6とベース部材7との熱膨張係数を合わせることができる。そのため、接合工程において、熱膨張と収縮のときの変形量を合わせることができ、それら蓋部材6とベース部材7とを精度よく確実に接合することができる。
さらに、絶縁膜22が、引き出し電極16と非電極面26とにわたって設けられ、その絶縁膜22の表面22aに平坦部35が設けられていることから、引き出し電極16と非電極面26との段差を吸収して、表面22aを一様に均すことができ、蓋部材6とベース部材7とをさらに精度よく確実に接合することができる。
【0043】
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図18から図21は、本発明の第2の実施形態を示したものである。
図18から図21において、図1から図17に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは異なる点についてのみ説明する。
【0044】
本実施形態においては、図18に示すように、蓋側凹部10が幅方向Wに二つに区分けされており、その蓋側凹部10を区分けする区分け部36に、二対の接続部15が設けられている。なお、区分け部36は、蓋部材6の一方の主面6aを構成するものである。また、それぞれの接続部15は、引き出し部17を介して、一方の主面6aの四隅に延在している。そして、これら接続部15に、図21に示す角速度センサー(圧電振動片)37が設けられている。
【0045】
角速度センサー37の圧電素子として水晶を用いると、環境温度の変化に対しても高安定な電気特性を有する。角速度センサー37は、その長さ方向の中心に基部37bを持ち、基部37bから一方向に延びる振動用の一対の振動腕部37aを有し、かつ前記一対の振動腕部37aに対向して基部37bから反対側に延びる検出用の一対の振動腕部37aを有する構造であり、概観が平面から見てH型を成している。以下にこのH型の角速度センサー(圧電形振動ジャイロ)37の動作原理を簡潔に述べる。
【0046】
振動用の振動腕部37aには励振電極(図示せず)が形成されており、所定の交流電圧を印加すると、奥行方向Dに電界が発生し、振動用の一対の振動腕部37aが屈曲運動を行う。この状態において、幅方向Wに延びる軸周りに回転角速度ωが作用すると、振動方向と直角の方向に回転角速度ωに応じたコリオリの力が作用して、前記振動腕部37aは、高さ方向Hに振動する。この振動は基部37bを介して検出用の振動腕部37aに伝達し、検出用の一対の振動腕部37aも共振周波数で振動する。検出用の振動腕部37aには、その側面に振動検出用の電極パッド(図示せず)が備えられており、検出用の振動腕部37aの圧縮及び引張変形に応じて発生する交流電圧の電気信号を検出する。この検出した電気信号をパッケージ外の回路(図示せず)に取り出して処理することで、回転角速度ω及びその回転方向を知ることが可能となる。
【0047】
検出素子と外部の回路との電気信号の接続には、4個の外部端子が必要になる。即ち、振動用の振動腕部37aに交流電圧を印加するための一対の外部端子と、検出用の振動腕部37aの電極パッドに接続して検出信号を取り出すための一対の外部端子との合計4個となる。これら合計4個の外部端子と接続されるのが、上述の二対の接続部15となる。
あるいは、図示しないが、密閉容器2の中に半導体集積回路を配置して、信号処理を行うように構成することも可能である。この場合は、検出素子は半導体集積回路と電気的に接続される。前記半導体集積回路と密閉容器2外の回路との接続は、例えば、「VDD(直流電圧)」、「GND」、「VOUT」、「VREF」、「起動」の5個となる。
【0048】
このような水晶振動子1は、以下のようにして製造される。すなわち、図18に示すように、蓋部用ウエハ30の一方の主面30aに、区分け部36を介して二つに区分けした蓋側凹部10を形成する。そして、電極形成工程において、区分け部36に二対の接続部15を形成するとともに、一方の主面30aに、四隅まで延びる引き出し電極16を形成する。それから、図19及び図20に示す絶縁膜形成工程及び接合膜形成工程を経て、図21に示すように、接続工程において、H形状の角速度センサー37を接続部15に電気的に接続する。さらに、上記と同様にして、水晶振動子1が製造される。
【0049】
このように、4個以上の外部端子が必要な角速度センサー37においても、本発明により容易に外部に電極を引き出すことが出来る。従って、ベース部材7の底面に多数個のスルーホールを設ける従来方法に比較してベース部材7の機械的な強度の低下を抑制することができる。そのため、角速度センサー37を長期に渡って安定に稼動させることが可能となる。
【0050】
なお、上記第1及び第2の実施形態において、接続部15及び引き出し電極16が、例えばCrやTiなどの導電性部材からなっているとしたが、これに限ることはなく、その部材は適宜変更可能である。この場合、前記導電性部材は、蓋部材6と結合しやすい材料であることが好ましい。
また、絶縁膜22や接合膜20の部材についても適宜変更可能である。
さらに、蓋部用ウエハ30とベース用ウエハ31とにより、複数の水晶振動子1を一括で製造しているが、これに限ることはなく、個別に製造してもよい。
また、圧電振動片を水晶からなる水晶振動片3としているが、これに限ることはなく、ニオブ酸リチウムなどの様々な圧電単結晶材料からなる振動片であってもよい。
さらに、角速度センサー37を設けるとしているが、これに限ることはなく、他の物理量を計測する各種のセンサー用の振動片や、厚み滑り振動片(ATカット、BTカット)や他のカット角の振動片でもよい。さらに、表面弾性派素子でもよい。
【0051】
さらに、平坦化の手段として、エッチングやスパッタリングなどを施しているが、これに限ることはなく、例えば研磨などの他の手段であってもよい。
また、引き出し電極16のパターンや、接続部15の設置数は適宜変更可能である。例えば、図22に示すように、ベース側凹部11の長辺縁部に、二対の接続部15を幅方向Wに並べることも可能である。そして、図23及び図24に示す絶縁膜形成工程及び接合膜形成工程を経て、図25に示すように、接続工程において、一対づつの接続部15に、それぞれ水晶振動片3を電気的に接続する。すなわち、水晶振動片3が二つ設けられる。なお、水晶振動片3の設置数は、二つ以上であってもよく、その設置数は適宜変更可能である。
【0052】
(実施形態3)
次に、本発明の第3の実施形態について、図26を参照して説明する。
図26において、符号38は、本発明の第3の実施形態に係る発振器を示すものである。
発振器38は、上記第1または第2の実施形態の水晶振動子1が発振子として用いられて構成されたものである。
発振器38は、コンデンサなどの電子部品39が実装された基板40を備えている。基板40には、発振器用の集積回路43が実装されており、この集積回路43の近傍に、水晶振動子1が実装されている。そして、これら電子部品39、集積回路43及び水晶振動子1は、不図示の配線パターンによって電気的に接続されている。なお、各構成部品は、不図示の樹脂によりモールドされている。
【0053】
このような構成のもと、水晶振動子1に電圧を印加すると、上述の水晶振動片が振動し、その振動が、水晶の持つ圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路43に電気信号として入力される。この入力された電気信号は、集積回路43によって、各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、水晶振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路43の構成を、例えばRTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することにより、時計用単機能発振器などの他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダーなどを提供したりする機能を付与することができる。
【0054】
以上より、本実施形態における発振器38によれば、上記第1または第2の実施形態に係る水晶振動子1と同様の効果を奏することができるだけでなく、長期にわたって安定した高精度な周波数信号を得ることができる。
【0055】
(実施形態4)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
本実施形態では、上記第1または第2の実施形態における水晶振動子1を備える電子機器として、携帯情報機器について説明する。
図27において、符号46は、携帯情報機器を示すものであり、図27を参照して、携帯情報機器46の機能的構成について説明する。
【0056】
携帯情報機器46は、電力を供給するための電源部47を備えている。電源部47は、例えばリチウム二次電池からなっている。
電源部47には、各種制御を行う制御部48と、時刻等のカウントを行う計時部51と、外部との通信を行う通信部52と、各種情報を表示する表示部56と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部53と、が並列に接続されている。そして、電源部47によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0057】
制御部48は、各機能部を制御して、音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示など、システム全体の動作制御を行う。また、制御部48は、あらかじめプログラムが書き込まれたROMと、このROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、このCPUのワークエリアとして使用されるRAMなどを備えている。
【0058】
計時部51は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェイス回路などを内蔵する集積回路と、水晶振動子1とを備えている。水晶振動子1に電圧を印加すると、上述の水晶振動片が振動し、その振動が、水晶の持つ圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は2値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェイス回路を介して、制御部48と信号の送受信が行われ、表示部56に、現在時刻や現在日付あるいはカレンダー情報などが表示される。
【0059】
通信部52は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部57、音声処理部58、切替部61、増幅部62、音声入出力部63、電話番号入力部66、着信音発生部67及び呼制御メモリ部68を備えている。
無線部57は、音声データ等の各種データを、アンテナを介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部58は、無線部57または増幅部62から入力された音声信号を符号化及び復号化する。増幅部62は、音声処理部58または音声入出力部63から入力された信号を所定のレベルまで増幅する。音声入出力部63は、スピーカやマイクロフォンなどからなり、着信音や受話音声を拡声したり、話者音声を集音したりする。
【0060】
また、着信音発生部67は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部61は、着信時に限って、音声処理部58に接続されている増幅部62を着信音発生部67に切り替えることによって、着信音発生部67において生成された着信音が、増幅部62を介して音声入出力部63に出力される。なお、呼制御メモリ部68は、通信の発着呼制御に係るブログラムを格納する。また、電話番号入力部66は、例えば0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キーなどを押下することにより、通話先の電話番号などが入力される。
【0061】
電圧検出部53は、電源部47によって制御部48などの各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部48に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部52を安定して動作させるために必要な最低限の電圧としてあらかじめ設定されている値であり、例えば3V程度となる。電圧検出部53から電圧降下の通知を受けた制御部48は、無線部57、音声処理部58、切替部61及び着信音発生部67の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部57の動作停止は必須となる。さらに、表示部56に、通信部52が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0062】
すなわち、電圧検出部53と制御部48とによって、通信部52の動作を禁止し、その旨を表示部56に表示することができる。この表示は、文字メッセージであってもよいが、より直感的な表示として、表示部56の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしてもよい。
なお、携帯情報機器46は、通信部52の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部69を備えており、この電源遮断部69によって、通信部52の機能が確実に停止される。
【0063】
以上より、本実施形態における携帯情報機器46によれば、上記第1または第2の実施形態に係る水晶振動子1と同様の効果を奏することができるだけでなく、長期にわたって安定した高精度な計時情報を表示することができる。
【0064】
(実施形態5)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
本実施形態では、上記第1または第2の実施形態における水晶振動子1を備える電子機器として、電波時計について説明する。
図28において、符号71は、電波時計を示すものである。
【0065】
電波時計71は、時刻情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。日本国内には、福島県(40KHz)と佐賀県(60KHz)に標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40KHzもしくは60KHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表を反射しながら伝播する性質を併せ持つため、伝播範囲が広く、上記の2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0066】
図28を参照して、電波時計71の機能的構成について説明する。
アンテナ74は、前記40KHzもしくは60KHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、前記40KHzもしくは60KHzの搬送波にAM変調をかけたものである。
受信された長波の標準電波は、アンプ75によって増幅され、水晶振動子1を有するフィルター80によって濾波、同調される。本実施形態における水晶振動子1は、上記搬送周波数と同一の40KHz及び60KHの共振周波数を有する水晶振動子部76,79を備えている。
さらに、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路81により検波復調される。続いて、波形成形回路84を介してタイムコードが取り出され、CPU85でカウントされる。CPU85では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC86に反映され、正確な時刻情報が表示される。
【0067】
搬送波は、40KHzもしくは60KHzであるから、水晶振動子部76,79は、前述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。40KHzを例にとれば、音叉型振動片の寸法例として全長が約2.8mm、基部の幅寸法が約0.5mmの寸法で構成することが可能である。
図28に示した回路ブロック図では、それぞれ共振周波数が40KHzと60KHzの水晶振動子部76,79が並列に接続されて描かれている。本発明では、この2つの周波数に対応する音叉型水晶振動片を1つのパッケージの中に収納することが出来るから、個別の容器に収納された2つの振動子を実装する場合より実装面積を大幅に低減することが可能である。従って、特に、腕時計や携帯機器など小型化を必要とする電子機器に好適である。
【0068】
上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計を携帯機器に組み込む場合は、更に、日本の場合とは異なる周波数の水晶振動子を必要とする。本発明では、引き出し電極の設置は容易であり、1つのパッケージの中に、40KHz、60KHzの振動片以外の振動片を更に組み込むことが可能である。尚、2つ以上の水晶振動片を実装する方法は、これに限らず、共通の基部から複数の振動腕部が伸びるように形成することも可能である。
以上の様に、本発明を用いて複数の振動片を1つのパッケージの中に収納した電波時計71を構成したので、個別の容器に収納された複数の振動子を実装する場合に比較して、実装面積を大幅に低減することが可能となった。また、ベース部材の機械的な強度の低下を抑制して外部電極が形成されているので、本電波時計は長期に渡って安定した精度で機能することが出来る。
【0069】
(実施形態6)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図29において、符号100は電子部品を示すものである。
電子部品100は、略矩形に形成された密閉容器102と、この密閉容器102の内部に設けられたデバイス103とを備えている。
【0070】
デバイス103は、密閉容器102内で使用されるため、赤外線センサーや、加速度センサーまたはジャイロセンサーのような慣性センサー、あるいはRF−MEMS共振器のような、主に、高真空中で好適に使用されるもの、あるいは不活性ガス中で好適に使用されるもの等が選択される。
【0071】
密閉容器102は、板状のベース部材106と略板状の蓋部材107とが、互いに厚さ方向に重ね合わされて、陽極接合により接合されて構成されている。
【0072】
ベース部材106及び蓋部材107は、例えばガラスまたはシリコンから作られるものである。なお、蓋部材107のベース部材106と対向する面の中央部分には、矩形の凹部108が形成されている。そして、蓋部材107とベース部材106とが、それら蓋部材107の下面とベース部材106の上面とが互いに対向した状態で、重ね合わされて接合されている。密閉容器102の中に空洞部109が形成され、この空洞部109内には、デバイス103が、例えばその振動を許容されるよう、蓋部材107等との間に若干の隙間を介して収納されている。密閉容器102の中は気密封止されており、空洞部109は真空状態に保持されている。
【0073】
図31にも示すように、ベース部材106の上面106a、(蓋部材との重ね合わせ面)には、複数の引き出し電極110が配置されている。引き出し電極110は、デバイス103に電気的に接続される内側接続部110a、一方の重ね合わせ面の縁部に設けられた外側接続部110b、前記内側接続部110aと前記外側接続部110bとを電気的に接続する配線部110cを備える。
【0074】
引き出し電極110の内側接続部110aは、例えば、図31(a)に示すように、碁盤目状に形成されている。これら内側接続部110は、デバイス103の電気接続部(図示略)と対応するように形成されている。また、外側接続部110bは、ベース部材106の上面106aの外周部に、それぞれ互いに間隔をあけて配置される。そして、これら内側接続部110aと外側接続部110bとは、互いに対を成す接続部同士が個々に独立して、配線部110cにより電気的に接続されている。なお、これら引き出し電極110は、例えばCrやTiなどの導電性部材からつくられる。
【0075】
図32にも示すように、ベース部材106の上面106aには、複数の引き出し電極110を覆うように、例えばSiO2やSi34などからなる絶縁膜112が設けられている。絶縁膜112は、図32に示すように、内側接続部110aと外側接続部110bとを覆うことなく配線部110cのみを覆うように、前記上面106aの縁部の外端から内側へ所定距離入った箇所に、略同一の幅寸法で全周にわたって、連続するように設けられている。絶縁膜112の上面(蓋部材107の重ね合わせ面と対向する面)112aは、平坦化によって平坦状に均された平坦部113が形成されている。絶縁膜112は、ベース部材106の蓋部材との重ね合わせ面である上面106aに、引き出し電極110を設けたために生じがちな凹凸部分を平坦状に均す機能を果たすものであり、したがって、絶縁膜112の厚さM1は、引き出し電極110の厚さM2よりも大に設定されている。
【0076】
また、図33にも示すように、絶縁膜112のさらに上面には、例えばCr等の金属またはシリコンからなる接合膜114が設けられている。接合膜114は、蓋部材107を接合させるためのものであり、この接合膜114を介して、蓋部材107がベース部材106に接合される。接合膜114の幅寸法は、絶縁膜112の幅寸法と同一かそれよりも若干小に設定されている。
【0077】
このような構成のもと、複数ある外側接続部110bのうち、電源と接続される所定の外側接続部110bに所定の電圧を印加すると、その電圧は、配線部110c及び内側接続部110aを介して、デバイス103に印加される。すると、デバイス103内で所定の動作が行われて、出力信号が発せられる。この出力信号は、デバイスの出力側接続部(出力端子)から内側接続部110a及び配線部110cを介して、所定の外側接続部110bへ出力される。
【0078】
次に、本実施形態における電子部品100の製造方法について説明する。
まず、ベース部材106を成形加工する。すなわち、図30に示すように、ガラスあるいはシリコンからなるベース部材用ウエハを所定の厚さになるまで研磨加工して洗浄する。そして、最表面の加工変質層をエッチングなどによって除去する。なお、図30には、簡略化のため、一つのベース部材106しか明示されていないが、実際にはベース部材用ウエハにベース部材106を複数配列させて一体的に形成する。
【0079】
さらに、蓋部材107を成形加工する。蓋部材107は、例えば、ベース部材106と同様にして、ガラスあるいはシリコンからなる蓋部材用ウエハの一方の面に凹部108を複数形成し、ダイシングによって、個々の蓋部材107ごとに切り離すことにより得られる。
【0080】
次いで、図31に示すように、ベース部材106の上面に、内側接続部110a、配線部110c及び外側接続部110bかなる引き出し電極110を形成する(電極形成工程)。すなわち、スパッタリングや蒸着などによって、ベース部材106の上面に、電極層を形成し、エッチングなどにより、引き出し電極110を一体的にパターニングする。
【0081】
さらに、図32に示すように、絶縁膜112を形成する(絶縁膜形成工程)。すなわち、ベース部材106の上面の縁部全周に、引き出し電極110を覆うように、スパッタリングや蒸着あるいは気相成長法や塗布法などによって、絶縁膜112を形成する。なお、絶縁膜112の厚さM1としては、引き出し電極110の厚さM2よりも厚く、数μm程度とする。
この絶縁膜112の上面には平坦化によって平坦部113が形成されている。絶縁膜112の平坦化については、第1実施形態の、絶縁膜112の平坦化と同様であり、ここでは省略する。
【0082】
ついで、図33に示すように、接合膜114を形成する(接合膜形成工程)。すなわち、絶縁膜112上に、スパッタリングや蒸着あるいは気相成長法などによって、金属あるいはシリコンからなる接合膜114を形成する。
さらに、図34に示すように、ベース部材106の上面に、デバイス103を実装する(デバイス実装工程)。すなわち、デバイス103の各電極が、引き出し電極110の内側接続部110aに合致するように、デバイスを正確に位置きめしながらベース部材上に配置し、互いに対応する電極同士を接続する。これにより、デバイス103をベース部材106に固定する。なお、デバイス103の実装としては、ベース部材106や蓋部材107に、フォトリソ法等の薄膜技術によって直接形成しても良い。
【0083】
次いで、図35に示すように、デバイス103が実装されたベース部材106に対して蓋部材107を陽極接合する(接合工程)。
陽極接合の場合には、デバイス103が実装され、かつ、スパッタリングや蒸着等により、絶縁膜112及び接合膜114がそれぞれ形成されたベース部材106に、真空中において、ガラスにより作られた蓋部材107を重ね合わせる。このとき、蓋部材107の下面の凹部108がデバイス103に対向するように、ベース部材106に対し蓋部材107を正確に位置きめする。そして、接合膜114と蓋部材107とを密着させる。
【0084】
この状態で、ベース部材106及び蓋部材107を所定の温度までに加熱し、かつ両者に所定の電圧を印加する(図35参照)。この結果、接合膜114は、蓋部材107の下面との間に静電引力が生じて、接合膜114と蓋部材107とが強く密着し、陽極接合される。これにより、空洞部109が気密封止され、行列方向に連続した密閉容器102が形成される。それから、電圧の印加を停止し、ベース部材用ウエハを除冷して常温に戻す。ベース部材用ウエハ及び蓋部材の温度が上昇してから常温に戻されるまでの間、ベース部材用ウエハ及び蓋部材は、温度上昇によって熱膨張し、除冷によって収縮して元に戻される。
【0085】
さらに、ダイシング工程において、ベース部材用ウエハを切断する。これにより、図29に示す電子部品が得られる。
【0086】
以上より、本実施形態における電子部品100によれば、接合膜114と引き出し電極110との間に絶縁膜112を設けていることから、接合膜114と引き出し電極110とが互いに絶縁され干渉しなくなる。そのため、引き出し電極110と接合膜114とが導通することを防止することができる。そして、引き出し電極110を介して外部と電気的に接続されるため、ベース部材106や蓋部材107にスルーホールを形成する必要がない。この結果、スルーホールの隙間から、外気が侵入することもなく、密閉容器の中の気密性を長期にわたって保持することができる。また、スルーホールを形成する場合に比べて、引き出し電極を形成する場合には、強度低下を来たすことなく高密度に配置することができ、その分、電子部品110を、無理なく小型化並びに高密度化することができる。
【0087】
また、ベース部材106及び蓋部材107として、例えば、ほう珪酸ガラスやシリコンのような熱膨張係数の近い材料を用いることができる。そのため、接合工程において、熱膨張と収縮のときの変形量を合わせることができ、それらベース部材106と蓋部材107とを精度よく確実に接合することができる。
さらに、絶縁膜112が、引き出し電極110と接合膜114とにわたって設けられ、その絶縁膜112の上面112aに平坦部113が設けられていることから、引き出し電極110と接合膜114との段差を吸収して、上面112aを一様に均すことができ、ベース部材106と蓋部材107とをさらに精度よく確実に接合することができる。
【0088】
なお、図29に示す例では、ベース部材106と蓋部材107と陽極接合しているが、これに限られることなく、それら部材106,107を常温接合あるいは直接接合してもよい。なお、常温接合等の場合には、接合膜114は不要となる。
例えば、常温接合する場合には、絶縁膜114と蓋部材107との材料同士の組み合わせは、絶縁膜114として酸化膜、蓋部材107としてシリコンを用いることもできる。まず、絶縁膜114と蓋部材107の対向する面どうしの平坦度を高める。次に、高真空下において、対向する面をアルゴンイオン照射等のイオンの衝撃作用により、物理的あるいは化学的に吸着した表面の有機物など除去して高清浄化と活性化を図る。その後、最表面に汚染物が再吸着しない高真空下において対向面を密着させて接合することで、通常よりも十分低い加圧力と温度のもとで接合強度に優れた接合が可能となる。接合強度は常温近傍においてもシリコン同士の接合においては8から10MPaの引張強度が得られるので実用上十分である。常温接合法では、このように接合温度を低温化できるので、加熱による部材からの脱ガスを十分低く抑えることが可能である。従って、熱的なダメージの大きいデバイスを内部に実装する電子部品においては、極めて優れた接合である。同時に、密閉容器内部に、脱ガス対策用のゲッターが不要であり、ゲッターの活性化を行うための工程の設置も不必要である。これにより、密閉容器の一層の小型化を行うことが出来る。
【0089】
また、接合する対向面間の平坦化がより一層可能であれば、直接接合法により接合することも可能である。直接接合では、例えば、蓋部材107とそれと対向するベース部材106側の部材(膜)とを同種の材料(例えば、シリコン)にすることにより容易に行うことができる。蓋部材107としてシリコンを用いる場合には、まず絶縁膜112の上に、スパッタリングや蒸着あるいは気相成長法等の手段でシリコン膜を形成し、それら蓋部材とベース部材側の膜を十分に平坦化した後に、接合面を薬品や純水で親水化処理を行う。この後、両者を密着させて、適当な加圧力と100℃から200℃程度の温度雰囲気のもとで接合を行うことができる。また、親水化処理の前に、前記アルゴンイオン照射による清浄化を行うとより接合強度に優れた接合を行うことができる。直接接合では、接合は大気圧下で実施できるので、高価な真空処理装置は必要とせず、かつ常温接合に比較して生産性に優れている。
【0090】
また前述の第6実施形態では、ベース部材側106側に、引き出し電極110および絶縁膜112をそれぞれ形成したが、これに限られることなく、蓋部材107側に引き出し電極110及び絶縁膜112を形成しても良い。
【0091】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施形態としての水晶振動子を側面から観たときの様子を示す断面図である。
【図2】図1の水晶振動子の製造工程において、蓋部用ウエハに蓋側凹部を形成した様子を示す平面図である。
【図3】図2の蓋部用ウエハを示す側面図である。
【図4】図1の水晶振動子の製造工程において、蓋部用ウエハに引き出し電極を形成した様子を示す平面図である。
【図5】図4のAA線矢視断面図である。
【図6】図1の水晶振動子の製造工程において、蓋部用ウエハに絶縁膜を形成した様子を示す平面図である。
【図7】図6のBB線矢視断面図である。
【図8】絶縁膜形成工程において、絶縁膜の表面に高低差が生じた様子を示す説明図である。
【図9】絶縁膜形成工程において、蓋部用ウエハに絶縁膜を厚く形成した様子を示す説明図である。
【図10】図9の絶縁膜の表面を平坦化によって均した様子を示す説明図である。
【図11】図1の水晶振動子の製造工程において、蓋部用ウエハに接合膜を形成した様子を示す平面図である。
【図12】図11のBB線矢視断面図である。
【図13】図1の水晶振動子の製造工程において、蓋部用ウエハに振動片を設けた様子を示す平面図である。
【図14】図13のBB線矢視断面図である。
【図15】図1の水晶振動子の製造工程において、蓋部用ウエハにベース用ウエハを重ね合わせた様子を示す側面図である。
【図16】図1の水晶振動子の製造工程において、ベース用ウエハに外部電極を形成した様子を示す平面図である。
【図17】図16の蓋部用ウエハやベース用ウエハなどを示す側面図である。
【図18】本発明の第2の実施形態としての水晶振動子の製造工程において、蓋部用ウエハに引き出し電極を形成した様子を示す平面図である。
【図19】図18の蓋部用ウエハに絶縁膜を形成した様子を示す平面図である。
【図20】図19の蓋部用ウエハに接合膜を形成した様子を示す平面図である。
【図21】図20の蓋部用ウエハに角速度センサーを設けた様子を示す平面図である。
【図22】引き出し電極の変形例を示す平面図である。
【図23】図22の蓋部用ウエハに絶縁膜を形成した様子を示す平面図である。
【図24】図23の蓋部用ウエハに接合膜を形成した様子を示す平面図である。
【図25】図24の蓋部用ウエハに複数の水晶振動片を設けた様子を示す平面図である。
【図26】本発明の第3の実施形態としての発振器を示す平面図である。
【図27】本発明の第4の実施形態としての携帯情報機器を示すブロック図である。
【図28】本発明の第5の実施形態としての電波時計を示すブロック図である。
【図29】本発明の第6の実施形態としての電子部品の図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図30】本発明の第6の実施形態としての電子部品の製造方法の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図31】本発明の第6の実施形態としての電子部品の製造方法の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図32】本発明の第6の実施形態としての電子部品の製造方法の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図33】本発明の第6の実施形態としての電子部品の製造方法の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図34】本発明の第6の実施形態としての電子部品の製造方法の工程を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図35】本発明の第6の実施形態としての電子部品の製造方法の工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1 水晶振動子(圧電振動子)
2 密閉容器
3 水晶振動片(圧電振動片)
6 蓋部材
6a 一方の主面(蓋部材の重ね合わせ面)
7 ベース部材
7a 一方の主面(ベース部材の重ね合わせ面)
15 接続部
16 引き出し電極
20 接合膜
22 絶縁膜
22a 表面(絶縁膜のベース部材側表面)
25 電極面
26 非電極面
27 外部端子(外部電極)
35 平坦部
38 発振器
43 集積回路
46 携帯情報機器(電子機器)
71 電波時計(電子機器)
100 電子部品
102 密閉容器
103 デバイス
106 ベース部材
107 蓋部材
110 引き出し電極
110a 内側接続部
110b 外側接続部
110c 配線部
112 絶縁膜
113 平坦部
114 接合膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の蓋部材とベース部材とが厚さ方向に重ね合わされて構成された密閉容器と、
この密閉容器の中に設けられた圧電振動片と、
前記蓋部材の重ね合わせ面に設けられるとともに、前記圧電振動片に接続部を介して電気的に接続され、前記接続部を前記蓋部材の重ね合わせ面の縁部へと延在させる引き出し電極と、
前記密閉容器の側面から前記引き出し電極に電気的に接続された外部電極と、
前記蓋部材の重ね合わせ面と前記ベース部材の重ね合わせ面との間に設けられた金属またはシリコンからなる接合膜と、を備え、
前記蓋部材の重ね合わせ面と前記ベース部材の重ね合わせ面との間のうち、少なくとも前記引き出し電極と前記接合膜との間に、絶縁膜が設けられていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項2】
前記蓋部材及び前記ベース部材がガラスからなり、
前記蓋部材と前記ベース部材とが、前記接合膜を介して陽極接合されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子。
【請求項3】
前記蓋部材の重ね合わせ面が、前記引き出し電極が延在する電極面と、非電極面とを備えており、
前記絶縁膜が、前記引き出し電極と前記非電極面とにわたって設けられ、前記絶縁膜のベース部材側表面に、平坦化によって均された平坦部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧電振動子。
【請求項4】
前記引き出し電極が、少なくとも3つ設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電振動子。
【請求項5】
前記圧電振動片が複数設けられていることを特徴とする請求項4に記載の圧電振動子。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の圧電振動子を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
板状の蓋部材とベース部材とが厚さ方向に重ね合わされて構成された密閉容器と、この密閉容器の中に設けられた圧電振動片とを備える圧電振動子の製造方法であって、
前記蓋部材の重ね合わせ面において、前記圧電振動片と接続される接続部と、この接続部を前記蓋部材の重ね合わせ面の縁部へ延在させる引き出し電極とを形成する電極形成工程と、
この電極形成工程において形成された少なくとも引き出し電極上に、絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
この絶縁膜形成工程において形成された絶縁膜上に、前記蓋部材と前記ベース部材とを接合させるための、金属からなる接合膜を形成する接合膜形成工程と、
前記電極形成工程において形成された接続部に、圧電振動片を電気的に接続する接続工程と、
前記接合膜形成工程において形成された接合膜を介して、前記接続工程において接続された圧電振動片を挟んで前記蓋部材と前記ベース部材とを接合する接合工程と、
この接合工程において接合された蓋部材とベース部材とを有する密閉容器の側面から、外部電極を前記引き出し電極に電気的に接続する外部電極形成工程と、を備えることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項9】
板状の蓋部材とベース部材とが厚さ方向に重ね合わされて構成された密閉容器と、
この密閉容器内に設けられたデバイスと、
前記蓋部材と前記ベース部材とのうちいずれか一方の重ね合わせ面に設けられるとともに、前記デバイスに電気的に接続される内側接続部、前記一方の重ね合わせ面の縁部に設けられた外側接続部、前記内側接続部と前記外側接続部とを電気的に接続する配線部を有する複数の引き出し電極と、
前記一方の重ね合わせ面に、前記複数の引き出し電極を覆うように設けられた絶縁膜と、
を備えたことを特徴とする電子部品。
【請求項10】
前記板状の蓋部材と前記ベース部材とが、常温接合、陽極接合、直接接合のうちいずれかの接合手段によって、接合されていることを特徴とする請求項9に記載の電子部品。
【請求項11】
前記絶縁膜の、前記蓋部材と前記ベース部材とのうち他方の重ね合わせ面と対向する面が、平坦化によって均された平坦状に形成されていることを特徴とする請求項9または10に記載の電子部品。
【請求項12】
前記板状の蓋部材と前記ベース部材とが陽極接合によって接合され、
前記蓋部材と前記ベース部材とのうち他方の重ね合わせ面と前記絶縁膜との間には、前記板状の蓋部材と前記ベース部材とを陽極接合させるための、金属またはシリコンからなる接合膜が形成されていることを特徴とする請求項9または11に記載の電子部品。
【請求項13】
板状の蓋部材とベース部材とが厚さ方向に重ね合わされて構成された密閉容器と、この密閉容器内に設けられたデバイスとを備える電子部品の製造方法であって、
前記蓋部材とベース部材のうちいずれか一方の重ね合わせ面において、前記デバイスと電気的に接続される内側接続部から前記一方の重ね合わせ面の縁部に設けられた外側接続部まで延在する複数の引き出し電極を形成する電極形成工程と、
前記一方の重ね合わせ面に、前記電極形成工程で形成した前記複数の引き出し電極を覆うように、絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
前記電極形成工程において形成された前記引き出し電極に、前記デバイスを電気的に接続するデバイス実装工程と、
前記デバイス実装工程において実装された前記デバイスを内部に配置した状態で、前記蓋部材と前記ベース部材とを接合する接合工程と、を備えることを特徴とする電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2007−89117(P2007−89117A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112125(P2006−112125)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】