説明

圧電発振器

【課題】集積回路素子の回路形成面に設けられた電子回路を構成する電子素子の誤動作に起因する不具合や、電子回路の破壊を生じない圧電発振器を提供することを目的とする。
【解決手段】第1の凹部を有する第1の容器体と圧電振動素子とから構成される圧電振動子部と、容器体接続用電極パッドに第1のバンプを備える集積回路素子と、第2の凹部を有し、この第2の凹部内には第1のバンプの形成位置に対応した複数の窪み部が設けており、この窪み部の内部には集積回路素子接続用電極端子が設けられている第2の容器体とから成り、この集積回路素子を第2の凹部内に配置し、第1のバンプを窪み部内に挿入して、第1のバンプと集積回路素子接続用電極端子とを導通固着した構成の集積回路素子部とから成り、この集積回路素子部に圧電振動子部を重ねて配置接合された圧電発振器であって、集積回路素子の実装側主面部分に突起部が設けられている圧電発振器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯用通信機器等の電子機器には、内部に搭載する電子部品の一つとして圧電発振器が使用されている。この圧電発振器は、搭載された電子機器のクロック信号発生源や基準信号発生源として用いられている。
【0003】
図5は従来の圧電発振器の一形態を示した断面図である。この圧電発振器500は、大略的に容器体501と圧電振動素子502と集積回路素子503と蓋体504により構成されている。容器体501は、セラミック等の絶縁性素材により形成されている平面視矩形状の基板501aと、この基板501aの両主面それぞれの外周辺縁部に設けた、基板501aと同じ素材の平面視環状の第1の枠体501bと第2の枠体501cとにより構成されている。この基板501aと第1の枠体501b及び第2の枠体501cにより、基板301aの両主面上にそれぞれ第1の凹部505及び第2の凹部506が形成されている。
【0004】
この第1の凹部505内の基板501aの一方の主面には、圧電素板の表裏主面に励振用電極及び容器体接続用電極などを形成した圧電振動素子502が配置実装されている。この圧電振動素子502が搭載された第1の凹部505の開口部は、金属製の蓋体504を被せることで覆われており、この蓋体504と、第1の凹部505を囲繞する第1の枠体501bの第1の凹部505開口側頂部とを接合することにより、第1の凹部505内が気密に封止されている。
【0005】
又、第2の凹部506内の基板501aの他方の主面には、集積回路素子503が配置実装されている。この集積回路素子503における基板501aの他方の主面に対向する実装側の主面には、複数の容器体接続用電極パッド507が設けられており、更に各容器体接続用電極パッド507には金属製のバンプ508が設けられている。尚、図3に示した容器体接続用電極パッド507は、説明を明りょうにするため厚みを著しく誇張している。実際の容器体接続用電極パッド507の厚みは非常に薄く、容器体接続用電極パッド507の主面と集積回路素子503の実装側主面とは、ほぼ同一平面となっている。
【0006】
更に、第2の凹部506内の基板501aの他方の主面における集積回路素子503に設けられた複数のバンプ508の位置に対応した所定の位置には、それぞれ窪み部509が設けられている。この窪み部509の開口部径寸法はバンプ508の径寸法より大きく形成されており、窪み部509の深さ寸法はバンプ508の高さ寸法より深く形成されている。又、この窪み部509内部の底面には集積回路素子接続用電極端子510が設けられており、この集積回路素子接続用電極端子510を含む窪み部509内には、半田ペーストや導電性接着剤等の導電性接合材511が充填されている。
【0007】
集積回路素子503は、容器体接続用電極パッド507に設けられたバンプ508を窪み部509内に挿入し、集積回路素子503の実装側主面が基板501aの他方の主面に直接接触した状態で、バンプ508と集積回路素子接続用電極端子510とを導電性接合材511を介して導通固着することで第2の凹部506内に搭載されている。この集積回路素子接続用電極端子510のうちの所定の端子は、容器体501内或いはその表面に形成した導配線やビアホールにより圧電振動素子502、及び第2の枠体501cの第2の凹部506開口側頂部の4つの角部に設けた外部接続用電極端子512と電気的に接続されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0008】
前記のような圧電発振器500は、外部接続用電極端子512により、電子機器のマザーボード等の外部の配線基板へ電気的且つ機械的に接続して使用されている。
【0009】
【特許文献1】特開2001−177055号公報(第3頁、図3)
【0010】
尚、前記した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を、本件出願時までに発見するに至らなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記した従来の圧電発振器500では、集積回路素子503が、第2の凹部506内の基板501aの他方の主面と集積回路素子503の実装側主面とを直接接触した状態で搭載されている。そのため、例えば、容器体501に生じた傷や外部からの熱の影響で容器体501が変形した場合に、その変形により生じた応力が、容器体501の基板501aと集積回路素子503との接触面から集積回路素子503へ伝わり、集積回路素子503の実装側主面近傍の回路形成面に設けられた発振回路や温度補償回路等の電子回路を破壊してしまう虞がある。
【0012】
また、実際の基板501aの表面には微小且つ先鋭な凹凸があり、この凹凸の凸部が直接接触している集積回路素子503の実装側主面の、回路形成面を保護する膜厚が3μm程度の絶縁保護膜を傷つける虞がある。この傷が外部からの振動等により拡大し、絶縁保護膜で保護された回路形成面まで達した場合、回路形成面に形成された電子回路を構成する電子素子の誤動作や、配線の短絡や断線等が起こり、集積回路素子503が正常に動作しなくなる虞がある。
【0013】
そこで本発明では、上記した問題を解決し、容器体の変形により生じた応力が集積回路素子に伝わることが少なく、又、容器体表面の凹凸により集積回路素子が傷つくことがなく、集積回路素子の回路形成面に設けられた電子回路を構成する電子素子の誤動作に起因する不具合や、電子回路自体の破壊が生じない圧電発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明における圧電発振器は、第1の基板と、この第1の基板の一方の主面辺縁部に設けられた第1の枠体とから構成される第1の凹部を有する第1の容器体と、この第1の凹部内に搭載される圧電振動素子と、第1の凹部を気密に封止する蓋体とから構成される圧電振動子部と、実装側主面に設けられた複数の容器体接続用電極パッドにそれぞれ第1のバンプを備える集積回路素子と、第2の基板と、前記第2の基板の一方の主面辺縁部に設けられた第2の枠体とから構成される第2の凹部を有し、この第2の凹部内の第2の基板の一方の主面には、第1のバンプの形成位置に対応した複数の窪み部が設けており、この窪み部の内部底面には集積回路素子接続用電極端子が設けられている第2の容器体とから成り、この集積回路素子を第2の凹部内に配置し、第1のバンプを窪み部内に挿入して、第1のバンプと集積回路素子接続用電極端子とを導通固着した構成の集積回路素子部とから成り、この集積回路素子部に圧電振動子部を重ねて配置接合された圧電発振器であって、集積回路素子の容器体接続用電極パッド及び第1のバンプが設けられていない実装側主面部分に、凹部内の前記基板の一方の主面に向かって凸状の突起部が設けられていることを特徴とする圧電発振器である。
【0015】
又、基板と、この基板の一方の主面の辺縁部に設けられた第1の枠体とから構成される第1の凹部を有し、前記基板の他方の主面辺縁部に設けられた第2の枠体とから構成される第2の凹部を有する容器体と、実装側主面に設けられた複数の容器体接続用電極パッドにそれぞれ第1のバンプを有し、第2の凹部内の基板の他方の主面上に搭載される集積回路素子と、第1の凹部内に搭載され、前記集積回路素子に電気的に接続した圧電振動素子と、第1の凹部を気密に封止する蓋体とにより構成され、第2の凹部内の基板の他方の主面には、第1のバンプの形成位置に対応した複数の窪み部が設けており、この窪み部の内部底面には集積回路素子接続用電極端子が設けられており、第1のバンプを窪み部内に挿入して、第1のバンプと集積回路素子接続用電極端子とを導通固着した圧電発振器であって、集積回路素子の容器体接続用電極パッド及び第1のバンプが設けられていない実装側主面部分に、第2の凹部内の基板の他方の主面に向かって凸状の突起部が設けられていることを特徴とする圧電発振器である。
【0016】
更に、前記した突起部が第2のバンプにより成ることを特徴とする段落番号0012又は段落番号0013に記載の圧電発振器でもある。
【0017】
更に又、前記した第2のバンプの材質は、金、銅、又はこれらのうちの少なくとも一つを含有する合金のうちの一つであり、且つこの第2のバンプの高さ寸法が10〜20μmであることを特徴とする前段落記載の圧電発振器でもある。
【発明の効果】
【0018】
本発明の圧電発振器によれば、容器体の集積回路素子が搭載される凹部内の基板主面と、集積回路素子の実装側主面との間には、集積回路素子の容器体接続用電極パッド及び第1のバンプが設けられていない実装側主面部分に設けられた突起部によって隙間が形成される。そのため、傷や熱による容器体の変形によって生じた応力が、容器体の基板主面から集積回路素子の実装側主面に直接伝わることがなく、その応力により集積回路素子の実装側主面近傍の回路形成面に設けられた発振回路や温度補償回路等の電子回路が破壊されることを防止できる。
【0019】
また、突起部により、容器体の基板の主面にある凹凸が、集積回路素子の実装側主面の回路形成面を保護する絶縁膜と接触することがなく、絶縁膜を傷つけることがない。それにより、この傷が要因となる、回路形成面に形成された電子素子の誤動作や、配線の短絡や断線等は発生せず、集積回路素子は正常に動作する。
【0020】
更に、突起部を第2のバンプで形成することにより、第1のバンプを形成する同一の工程内で突起部としての第2のバンプを形成でき、突起部の形成が簡易となる。
【0021】
以上のような作用により、本発明は、容器体の変形により生じた応力が集積回路素子に伝わることが著しく少なく、容器体表面の凹凸により集積回路素子が傷つくことがなく、この傷に起因する不具合が生じない圧電発振器を提供できる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明における圧電発振器の実施形態を、図面を参照しながら説明する。尚、各図では、説明を明りょうにするため構造体の一部を図示せず、また寸法も一部誇張して図示している。特に各構成要素の厚み寸法は誇張して図示している。
【0023】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態に係る圧電発振器を示した分解斜視図である。図2は、図1のA−Aにおける断面図である。図3は図2のB部分を拡大した拡大断面図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、本発明の第一の実施形態に係る圧電発振器100は、大略的に圧電振動子部101と集積回路素子部201とから構成される。圧電発振器100は、圧電振動子部101を構成する第1の容器体102に形成した第2の容器体接続用電極端子108と、集積回路素子部201を構成する第2の容器体202に形成した第1の容器体接続用電極端子212とを、所定の電極端子同士の表面が対向するように、集積回路素子部201の上に圧電振動子部101を重ねて配置し、対向した所定の各電極端子間は、導電性接着材や半田などの導電性接合材(不図示)により機械的及び電気的に接続固着することにより構成されている。
【0025】
圧電振動子部101について以下に説明する。図1に示すように、圧電振動子部101は、大略的に第1の容器体102と圧電振動素子103と蓋体104により構成されている。第1の容器体102は、外形形状が平面視矩形状の平板形状である第1の基板102aと、第1の基板102aの一方の主面に設けられた第1の枠体102bにより構成されている。この第1の基板102aと第1の枠体102bとで、基板102aの一方の主面と第1の枠体102bの内側面により囲繞された第1の凹部105が形成されている。この第1の容器体102を構成する第1の基板102a及び第1の枠体102bは、例えば、ガラス−セラミック、アルミナセラミックス等のセラミック材料を焼成して構成されている。
【0026】
この第1の凹部105内の第1の基板102aの一方の主面の一短辺近傍には、その短辺に沿って一対の圧電振動素子接続用電極パッド106が設けられている。この圧電振動素子接続用電極パッド106上には、圧電振動素子103が配置されており、圧電振動素子103の表面に設けられた電極膜(不図示)と圧電振動素子接続用電極パッド106とを導電性接着剤107にて導通固着されている。これにより、第1の凹部105内に圧電振動素子105が搭載される。又、圧電振動素子接続用電極パッド106は、第1の基板102aの他方の主面の四隅に形成した第2の容器体接続用電極端子108のうちの所定の端子と電気的に接続している。
【0027】
第1の凹部105内に搭載される圧電振動素子103には、例えば、圧電素材として水晶が用いられる。圧電振動素子103は、人工水晶体から所定のカットアングルで切り出され、外形を平面視矩形状で平板に加工された水晶素板に、その両主面中央にそれぞれに振動用電極膜と、この振動用電極膜から引き出し電極膜を介して電気的に接続した容器体接続用電極膜を被着形成することにより構成される。このような圧電振動素子103の場合、外部からの変動電圧が両主面の振動用電極を介して水晶素板に印加されると、水晶素板が所定の振動モードの周波数で振動を起こす。
【0028】
更に、圧電振動素子103が内部に載置された第1の凹部105は、第1の凹部103を囲繞する枠体102bの第1の凹部105開口側の頂面上に、第1の凹部105開口部を覆う形態で配置固着した蓋体104により気密封止されている。尚、蓋体104は、42アロイ,コバール又はリン青銅等の金属で構成されている。このように前記した各構成要素により圧電振動子部101は構成されている。
【0029】
集積回路素子部201について以下に説明する。図1に示すように、集積回路素子部201は、大略的に第2の容器体202と集積回路素子203とにより構成されている。第2の容器体102は、外形形状が平面視矩形状の平板形状である第2の基板202aと、第2の基板102aの一方の主面に設けられた第2の枠体202bにより構成されている。この第2の基板202aと第2の枠体202bとで、基板202aの一方の主面と第2の枠体102bの内側面により囲繞された第2の凹部204が形成されている。この第1の容器体202を構成する第2の基板202a及び第2の枠体202bは、例えば、ガラス−セラミック、アルミナセラミックス等のセラミック材料を焼成して構成されており、又第2の基板202aの主面形状は第1の基板102aと同じとなっている。
【0030】
この第2の凹部204内の第2の基板202aの一方の主面には集積回路素子203が配置実装されている。この集積回路素子203の回路形成面には、発振回路や温度補償回路等の所望する電子回路が形成されている。集積回路素子203における基板202aの一方の主面に対向する実装側の主面には、集積回路素子203内の電子回路と電気的に接続した複数の容器体接続用電極パッド205が設けられており、更に各容器体接続用電極パッド205には、金製の第1のバンプ206が設けられている。又、集積回路素子203の実装側主面における容器体接続用電極パッド205が設けられた内側には、電気的に無接続な金属パッド207aが設けられている。更に、この金属パッド207aには、集積回路素子203の実装側主面から第2の凹部204内における第2の基板202aの一方の主面に向かって凸状の突起部208として、金製の第2のバンプ208aが設けられている。
【0031】
ここで第2のバンプ208aの高さ寸法は10〜20μm程度である。第2のバンプ208aの高さを10μm以上とすることで、第2の基板202aの表面に有する微小且つ先鋭な凸部に集積回路素子203の実装側主面が接触することを確実に防止でき、更に、第2のバンプ208aの高さを20μm以下とすることで、第1のバンプ206が後述する窪み部209内の集積回路素子接続用電極端子210と確実に導通固着できる。
【0032】
尚、この集積回路素子203は、集積回路素子接続用電極端子210のうちの所定の端子を介して、枠体202bの第2の凹部204開口側頂面の四隅角部に形成された第1の容器体接続電極端子212と電気的に接続されている。更に、この集積回路素子203は、集積回路素子接続用電極端子210のうちの所定の端子を介して、基板202aの他方の主面の四隅に形成した外部接続用電極端子213とも電気的に接続されている。尚、外部接続用電極端子213はそれぞれ電源電圧端子、グランド端子、発振出力端子、発振制御端子となっており、圧電発振器100をマザーボード等の実装回路基板に接続するための端子として機能するものであり、圧電発振器100を実装回路基板上に搭載する際、実装回路基板の回路配線と半田等の導電性接合材を介して電気的に接続される。
【0033】
この集積回路素子203を搭載する第2の凹部204内における第2の基板202aの一方の主面には、集積回路素子203に設けられた複数の第1のバンプ206の形成位置に対応した所定の位置に、それぞれ窪み部209が設けられている。この窪み部209の開口部径寸法は、第1のバンプ206の径寸法より大きく形成されている。又、窪み部209の深さ寸法は第1のバンプ206の高さ寸法より深く形成されている。更に、この窪み部209内部の底面には集積回路素子接続用電極端子210が設けられており、この集積回路素子接続用電極端子210を含む窪み部209内には、半田ペーストや導電性接着剤等の導電性接合材211が充填されている。又、第2の凹部204内における第2の基板202aの一方の主面には、集積回路素子203に設けられた第2のバンプ208aの形成位置に対応した所定の位置に、それぞれ電気的に無接続の金属パッド207bが設けられている。
【0034】
集積回路素子203は、容器体接続用電極パッド205に設けた第1のバンプ206を窪み部209内に挿入しつつ、第2のバンプ208aの先端が金属パッド207bに接触した状態で、第1のバンプ206と集積回路素子接続用電極端子210とを導電性接合材211を介して導通固着することで第2の凹部204内に搭載されている。このような構造とすることで、第2のバンプ208aにより、第2の凹部204内における第2の基板202aの一方の主面と集積回路素子203の実装側主面との間に隙間が形成される。そのため、傷や熱による圧電発振器100の変形によって生じた応力が、第2の容器体202の第2の基板202aの一方の主面から集積回路素子203の実装側主面に直接伝わることがなく、その応力により集積回路素子203の実装側主面近傍の回路形成面に設けられた発振回路や温度補償回路等の電子回路が破壊されることがなくなる。
【0035】
(第二の実施形態)
図4は本発明の第二の実施形態に係る圧電発振器を示した概略断面図である。本発明の第二の実施形態に係る圧電発振器は、圧電振動素子や集積回路素子を搭載実装する容器体の構造が、第一の実施形態とは異なる。
【0036】
本発明の第二の実施形態に係る圧電発振器400の容器体401は、セラミック等の絶縁性素材により形成されている平面視矩形状の基板401aと、この基板401aの両主面それぞれの外周辺縁部に設けた基板401aと同じ素材の平面視環状の第1の枠体401bと第2の枠体401cとにより構成されている。この基板401aの一方の主面と第1の枠体401bにより第1の凹部402が、基板401aの他方の主面と第2の枠体401cにより第2の凹部403がそれぞれ形成されている。
【0037】
この第1の凹部402内の基板401aの一方の主面には、前記第一の実施形態に示したものと同じ圧電振動素子103が配置実装されている。この圧電振動素子103が搭載された第1の凹部402の開口部は金属製の蓋体404を被せることで覆われており、この蓋体404と、第1の凹部402を囲繞する第1の枠体401bの第1の凹部402開口側頂部とを接合することにより、第1の凹部402内は気密に封止されている。
【0038】
又、第2の凹部403内の基板401aの他方の主面には、前記第一の実施形態に示したものと同じ構造の集積回路素子203が実装されている。即ち、第二の実施形態における集積回路素子203の基板401aの他方の主面に対向する実装側の主面にも、集積回路素子203内の電子回路と電気的に接続した複数の容器体接続用電極パッド205が設けられており、更に各容器体接続用電極パッド205には、金製の第1のバンプ206が設けられている。又、集積回路素子203の実装側主面における容器体接続用電極パッド205が設けられた内側には、電気的に無接続な金属パッド207aが設けられている。更に、この金属パッド207aには金製の第2のバンプ208aが設けられており、この第2のバンプ208aは、集積回路素子203の実装側主面から第2の凹部403内における基板401aの他方の主面に向かって凸状の突起部となっている。尚、第2のバンプ208aの高さ寸法は第一の実施形態と同じ理由により、10〜20μm程度である。
【0039】
この集積回路素子203を搭載する第2の凹部403内における基板401aの他方の主面には、集積回路素子203に設けられた複数の第1のバンプ206の形成位置に対応した所定の位置に、それぞれ窪み部405が設けられている。この窪み部405の開口部径寸法は、第1のバンプ206の径寸法より大きく形成されている。又、窪み部405の深さ寸法は第1のバンプ206の高さ寸法より深く形成されている。更に、この窪み部405内部の底面には集積回路素子接続用電極端子406が設けられており、この集積回路素子接続用電極端子406を含む窪み部405内には、半田ペーストや導電性接着剤等の導電性接合材407が充填されている。又、第2の凹部403内における基板401aの他方の主面には、集積回路素子203に設けられた第2のバンプ208aの形成位置に対応した所定の位置に、それぞれ電気的に無接続の金属パッド408が設けられている。
【0040】
集積回路素子203は、容器体接続用電極パッド205に設けた第1のバンプ206を窪み部405内に挿入しつつ、第2のバンプ208aの先端が金属パッド408に接触した状態で、第1のバンプ206と集積回路素子接続用電極端子406とを導電性接合材407を介して導通固着することで第2の凹部403内に搭載されている。
【0041】
尚、この集積回路素子203は、集積回路素子接続用電極端子406のうちの所定の端子を介して、第1の凹部402内に搭載された圧電振動素子103と電気的に接続されている。更に、この集積回路素子203は、集積回路素子接続用電極端子406のうちの所定の端子を介して、第2の枠体401cの第2の凹部403開口側頂部の4つの角部に設けた外部接続用電極端子409と電気的に接続され、前記した各構成要素により圧電発振器400が構成されている。
【0042】
このような本発明の第二の実施形態に係る圧電発振器400によれば、第一の実施形態と同様に、第2のバンプ208aにより、第2の凹部403内における基板401aの他方の主面と集積回路素子203の実装側主面との間に隙間が形成される。そのため、傷や熱による容器体401の変形によって生じた応力が、容器体401の基板401aの他方の主面から集積回路素子203の実装側主面に直接伝わることがなく、その応力により集積回路素子203の実装側主面近傍の回路形成面に設けられた発振回路や温度補償回路等の電子回路が破壊されることがなくなる。又第2のバンプ208aにより、基板401aの他方の主面に有する微小且つ先鋭な凸部が、集積回路素子の実装側主面の回路形成面を保護する絶縁膜と接触することがなく、絶縁膜を傷つけることがない。それにより、この傷が要因となる、回路形成面に形成された電子素子の誤動作や、配線の短絡や断線等は発生せず、集積回路素子は正常に動作することができる。
【0043】
尚、上述したもの以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、前記各実施形態では、集積回路素子が搭載される凹部内に露出した主面と、集積回路素子203の実装側主面との間に隙間を形成する手段としてバンプを用いた形態を開示したが、本発明は隙間を形成する手段としてバンプのみに限定するものではなく、他に金属、樹脂又はセラミック等の材質の突起部を集積回路素子203の実装側主面に設け、その突起部を、集積回路素子が搭載される凹部内に露出した主面と、集積回路素子203の実装側主面との間に隙間を形成する手段として用いても構わない。
【0044】
又、前記各実施形態では、第1のバンプの材質として金を用いた場合を示したが、他に銅や金又は銅が含有した合金を材質としても構わない。更に、第1のバンプの材質として半田を用いても構わないが、その場合は、窪み部内に導電性接合材を充填する必要はなく、又窪み部の深さ寸法は第1のバンプの高さ寸法より浅く形成することが望ましい。更に又、第1のバンプの材質として、金、銅、又はこれらのうちの少なくとも一つを含有する合金を用いた場合でも、窪み部内に前もって充填しておく導電性接合材を省略し、第1のバンプに重ねて半田バンプを設け、その半田バンプで窪み部内の集積回路素子接続用電極端子と第1のバンプと間の導通固着を行っても良い。
【0045】
又、前記各実施形態では、圧電振動素子の圧電素材として水晶を用いた場合を説明したが、水晶以外にも、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム又は圧電セラミックス等の圧電素材を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る圧電発振器を示した分解斜視図。
【図2】図1のA−Aにおける断面図。
【図3】図2のB部分を拡大した拡大断面図。
【図4】本発明の第二の実施形態に係る圧電発振器を示した断面図。
【図5】従来の圧電発振器を示した断面図。
【符号の説明】
【0047】
100,400・・・圧電発振器
101・・・圧電振動子部
102・・・第1の容器体
102a・・・第1の基板
102b,401b・・・第1の枠体
103・・・圧電振動素子
104,404・・・蓋体
105,402・・・第1の凹部
106・・・圧電振動素子接続用電極パッド
107・・・導電性接着剤
108・・・第2の容器体接続用電極端子
201・・・集積回路素子部
202・・・第2の容器体
202a・・・第2の基板
202b,401c・・・第2の枠体
203・・・集積回路素子
204,403・・・第2の凹部
205・・・容器体接続用電極パッド
206・・・第1のバンプ
207a,207b,408・・・金属パッド
208・・・突起部
208a・・・第2のバンプ
209,405・・・窪み部
210,406・・・集積回路素子接続用電極端子
211,407・・・導電性接合材
212・・・第1の容器体接続用電極端子
213,409・・・外部接続用電極端子
401・・・容器体
401a・・・基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、前記第1の基板の一方の主面辺縁部に設けられた第1の枠体とから構成される第1の凹部を有する第1の容器体と、
前記第1の凹部内に搭載される圧電振動素子と、
前記第1の凹部を気密に封止する蓋体とから構成される圧電振動子部と、
実装側主面に設けられた複数の容器体接続用電極パッドにそれぞれ第1のバンプを有し、前記凹部内の前記基板の一方の主面上に搭載される集積回路素子と、
第2の基板と、前記第2の基板の一方の主面辺縁部に設けられた第2の枠体とから構成される第2の凹部を有し、前記第2の凹部内の前記第2の基板の一方の主面には、前記第1のバンプの形成位置に対応した、複数の窪み部が設けており、前記窪み部の内部底面には集積回路素子接続用電極端子が設けられている第2の容器体とから成り、
前記集積回路素子を前記第2の凹部内に配置し、前記第1のバンプを前記窪み部内に挿入して、前記第1のバンプと前記集積回路素子接続用電極端子とを導通固着した構成の集積回路素子部とから成り、
前記集積回路素子部に前記圧電振動子部を重ねて配置接合された圧電発振器であって、
前記集積回路素子の前記容器体接続用電極パッド及び前記第1のバンプが設けられていない前記実装側主面部分に、前記凹部内の前記基板の一方の主面に向かって凸状の突起部が設けられていることを特徴とする圧電発振器。
【請求項2】
基板と、
前記基板の一方の主面辺縁部に設けられた第1の枠体とから構成される第1の凹部を有し、前記基板の他方の主面辺縁部に設けられた第2の枠体とから構成される第2の凹部を有する容器体と、
実装側主面に設けられた複数の容器体接続用電極パッドにそれぞれ第1のバンプを有し、前記第2の凹部内の前記基板の他方の主面上に搭載される集積回路素子と、
前記第1の凹部内に搭載され、前記集積回路素子に電気的に接続した圧電振動素子と、
前記第1の凹部を気密に封止する蓋体とにより構成され、
前記第2の凹部内の前記基板の他方の主面には、前記第1のバンプの形成位置に対応した、複数の窪み部が設けており、
前記窪み部の内部底面には集積回路素子接続用電極端子が設けられており、
前記第1のバンプを前記窪み部内に挿入して、前記第1のバンプと前記集積回路素子接続用電極端子とを導通固着した圧電発振器であって、
前記集積回路素子の前記容器体接続用電極パッド及び前記第1のバンプが設けられていない前記実装側主面部分に、前記第2の凹部内の前記基板の他方の主面に向かって凸状の突起部が設けられていることを特徴とする圧電発振器。
【請求項3】
前記突起部が第2のバンプにより成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧電発振器。
【請求項4】
前記第2のバンプの材質は、金、銅、又はこれらのうちの少なくとも一つを含有する合金であり、且つ前記第2のバンプの高さ寸法が10〜20μmであることを特徴とする請求項3記載の圧電発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−38532(P2009−38532A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199955(P2007−199955)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】