説明

圧電発振器

【課題】組み立て後でも、圧電振動素子特性検査を容易に行える事で、生産性や作業性を向上でき、小型化に対応可能な圧電発振器の提供。
【解決手段】基板部の一方の主面に第1の枠部と第1の枠部よりも幅が狭い第2の枠部とが設けられて、第1の凹部空間111が形成され、基板部他方の主面に第3の枠部が設けられて、第2の凹部空間が形成された容器体110と、第1の凹部空間111内に設けられた2個一対の圧電振動素子搭載パッド113a、113bに搭載される圧電振動素子120と、第2の凹部空間内に設けられた集積回路素子搭載パッドに搭載される集積回路素子140と、段差部D1に接合され、第1の凹部空間111を気密封止する第1の蓋体170と、第2の枠部の主面に接合される配線基板130と、を備え、配線基板130の第1の蓋体170と対向する主面の反対側主面に2個一対の圧電振動素子測定用パッド131a、131bが設けられる構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる圧電発振器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来の圧電発振器を示す断面図である。図9(a)は、従来の圧電発振器を構成する容器体の基板部の一方の主面を示す透視平面図であり、図9(b)は、従来の圧電発振器を構成する容器体の基板部の内層面を示す透視平面図であり、図9(c)は、従来の圧電発振器を構成する容器体の基板部の他方の主面を示す透視平面図である。
図8〜図9に示すように、従来の圧電発振器600は、その例として容器体601、圧電振動素子607、集積回路素子608、蓋体609とから主に構成されている。
容器体601は、基板部601aと2つの枠部601b、601cで構成されている。
この容器体601は、基板部601aの一方の主面に枠部601bが設けられて第1の凹部空間602が形成され、基板部601aの他方主面に枠部601cが設けられて第2の凹部空間604が形成される。
その第1の凹部空間602内に露出する基板部601aの一方の主面には、一対の圧電振動素子搭載パッド603a、603bが設けられている。
また、第2の凹部空間604内に露出する基板部601aの他方の主面には、集積回路素子搭載パッド605が設けられている。
また、基板部601aは、積層構造となっており、図9(b)に示すように、基板部601aの一方の主面から透過して示した内層には、第1の配線パターン612aや第2の配線パターン612b等が設けられている。
この圧電振動素子搭載パッド603a、603b上には、導電性接着剤606を介して電気的に接続される一対の励振用電極を表裏主面に有した圧電振動素子607が搭載されている。この圧電振動素子607を囲繞する容器体601の枠部601bの頂面には金属製の蓋体609が被せられ、接合されている。これにより第1の凹部空間602が気密封止されている。
また、集積回路素子搭載パッド605上に半田等の導電性接合材を介して集積回路素子608が電気的、機械的に接合されている。この状態を搭載という。
【0003】
また、図9(a)〜図9(c)に示すように、第2の凹部空間604内に露出した基板部601aの他方の主面には、2個一対の圧電振動素子測定用パッド610a、610bが設けられている。
前記一方の圧電振動素子搭載パッド603aは、容器体601の基板部601aの内層に設けられたビア導体611や第1の配線パターン612aを介して、一方の圧電振動素子測定用パッド610aに接続されている。
また、前記他方の圧電振動素子搭載パッド603bは、容器体601の基板部601aの内層に設けられたビア導体611や第2の配線パターン612bを介して、他方の圧電振動素子測定用パッド610bに接続されている構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、従来の圧電発振器600は、組み立てが完了した後、この圧電振動素子測定用パッド610a、610bにプローブピンを接触させることで、圧電振動素子607の発振周波数やクリスタルインピーダンス特性をインピーダンスアナライザ等の電気特性測定器で測定する。これにより、圧電発振器600としての電気的特性検査を行い、圧電発振器600として良否を判定している。
【0005】
【特許文献1】特許3406845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の圧電発振器600は、小型化に伴い、容器体601の第2の凹部空間604内底面に形成されている圧電振動素子測定用パッド610a、610bの表面積を縮小する必要があった。しかしながら、圧電振動素子測定用パッド610a、610bの表面積が縮小されたことにより、電気特性測定器の測定コンタクトピンを圧電振動素子測定用パッド610a、610bに接触させることが困難になってきた。よって、接触不良による電気的特性検査の作業性や効率が著しく低下してしまうといった課題があった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、組み立て後であっても、圧電振動素子の電気特性検査を容易に行うことができることにより生産性や作業性を向上させることができ、且つ小型化に対応可能な圧電発振器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の圧電発振器は、基板部と、この基板部の一方の主面に第1の枠部と第1の枠部よりも幅が狭い第2の枠部とが設けられて、第1の凹部空間が形成され、基板部の他方の主面に第3の枠部が設けられて、第2の凹部空間が形成された容器体と、第1の凹部空間内に露出した基板部の一方の主面に設けられた2個一対の圧電振動素子搭載パッドに搭載されている圧電振動素子と、第2の凹部空間内に露出した基板部の他方の主面に設けられた集積回路素子搭載パッドに搭載されている集積回路素子と、第1の枠部と前記第2の枠部によって形成された段差部に接合されて、第1の凹部空間を気密封止する第1の蓋体と、第2の枠部の主面に接合される配線基板と、を備え、配線基板の第1の蓋体と対向する主面の反対側の主面に2個一対の圧電振動素子測定用パッドが設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
配線基板の圧電振動素子測定用パッドが設けられた側の主面には、蓋体接合用配線パターンが設けられ、蓋体接合用配線パターンに第2の蓋体が接合されていることを特徴とするものである。
【0010】
配線基板の圧電振動素子測定用パッドが設けられた側の主面において、圧電振動素子測定用パッドを囲む第4の枠部が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
配線基板と第4の枠部で第3の凹部空間が形成され、第3の凹部空間内の圧電振動素子測定用パッドが、絶縁性樹脂により被覆されていることを特徴とするものである。
【0012】
第4の枠部の主面には、蓋体接合用配線パターンが設けられ、蓋体接合用配線パターンに第2の蓋体が接合されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の圧電発振器によれば、第1の凹部空間を気密封止する配線基板の一方の主面に2個一対の圧電振動素子測定用パッドが設けられていることによって、圧電振動素子の電気的特性の測定に際し、電気特性測定器のコンタクトピンとの接触を確実に行える大きさの2個一対の圧電振動素子測定用パッドを形成することが可能となる。よって、圧電発振器の電気特性検査の作業性及び検査効率、生産性を向上させることが可能となる。
【0014】
また、本発明の圧電発振器によれば、容器体の第2の凹部空間内底面に2個一対の圧電振動素子測定用パッドを形成する必要がないので、圧電発振器をより小型化することが可能となる。
【0015】
また、前記配線基板の圧電振動素子測定用パッドが設けられた側の主面には、蓋体接合用配線パターンが設けられ、前記蓋体接合用配線パターンに第2の蓋体が接合されていることにより、2個一対の圧電振動素子測定用パッドに、ごみや異物等が付着することにより生じる圧電発振器の発振周波数の変動から保護することができる。
また、ごみや異物等が圧電振動素子測定用パッドに付着することによる隣り合う一方の圧電振動素子測定用パッドと他方の圧電振動素子測定用パッドの短絡からも保護することができる。
また、第1の蓋体及び第2の蓋体を容器体の外部接続用電極端子のうちの1つであるグランド端子に接続させておくことにより、外部からのノイズを良好に遮蔽し、安定した発振周波数を出力させることが可能となる。
【0016】
前記第3の凹部空間内の圧電振動素子測定用パッドが、絶縁性樹脂により被覆されていることになるので、ごみや異物等が圧電振動素子測定用パッドに付着することで、圧電発振器の発振周波数が変動の変動から保護することができる。
また、ごみや異物等が圧電振動素子測定用パッドに付着することによる隣り合う一方の圧電振動素子測定用パッドと他方の圧電振動素子測定用パッドの短絡からも保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、圧電振動素子に水晶を用いた場合について説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器を示す分解斜視図である。図2は、図1のA−A断面図である。図3(a)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器を構成する容器体の一方の主面を示す平面図であり、図3(b)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器を構成する容器体の基板部の内層面を示す透視平面図であり、図3(c)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器を構成する容器体の他方の主面を示す平面図である。また、図示した寸法も一部誇張して示している。
【0019】
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器100は、容器体110と圧電振動素子120と配線基板130と集積回路素子140、第1の蓋体170で主に構成されている。この圧電発振器100は、容器体110に形成されている第1の凹部空間111内に圧電振動素子120が搭載され、第2の凹部空間114内には、集積回路素子140が搭載されている。その第1の凹部空間111内で第1の蓋体170により圧電振動素子120が気密封止され、配線基板131が第1の凹部空間111上に接合された構造となっている。
【0020】
圧電振動素子120は、図1及び図2に示すように、水晶素板121に励振用電極122を被着形成したものであり、外部からの交番電圧が励振用電極122を介して水晶素板121に印加されると、所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
水晶素板121は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し外形加工を施された概略平板状で平面形状が例えば四角形となっている。
励振用電極122は、前記水晶素板121の表裏両主面に金属を所定のパターンで被着・形成したものである。
このような圧電振動素子120は、その両主面に被着されている励振用電極122から延出する引き出し電極と第1の凹部空間111内底面に形成されている圧電振動素子搭載パッド113とを、導電性接着剤150を介して電気的且つ機械的に接続することによって第1の凹部空間111に搭載される。このときの引き出し電極が設けられた一辺とは反対側の自由端となる端辺を圧電振動素子120の先端部123とする。
【0021】
集積回路素子140は、図1及び図2に示すように、回路形成面に前記圧電振動素子120からの発振出力を生成する発振回路等が設けられており、この発振回路で生成された出力信号は外部接続用電極端子119を介して圧電発振器100の外へ出力され、例えば、クロック信号等の基準信号として利用される。
また、集積回路素子140には、可変容量素子に周囲温度に応じた制御電圧を印加して温度変化による発振回路の発振周波数の変動を補償するため、3次関数発生回路及び記憶素子部により温度補償回路部が設けられており、3次関数発生回路には、温度センサが接続されている。
この温度センサは、検出した温度と、温度センサに印加させる電圧値とに基づいて生成される温度データ信号(電圧値)が3次関数発生回路に出力される構成となっている。
集積回路素子140は、容器体110の第2の凹部空間114内に露出した基板部110aに形成された集積回路素子搭載パッド115に半田等の導電性接合材を介して搭載されている。
【0022】
図1及び図2に示すように、容器体110は、基板部110a、第1の枠部110b、第2の枠部110c、第3の枠部110dとで主に構成されている。
この容器体110は、基板部110aの一方の主面に第1の枠部110bと第2の枠部110bが設けられて、第1の凹部空間111が形成されている。また、容器体110の他方の主面に第3の枠部110dが設けられて、第2の凹部空間114が形成されている。基板部110aの上に第1の枠部110b、第2の枠部110cの順に積層されており、前記第2の枠部110cが、前記第1の枠部110bよりも幅が狭くなるように形成されている。これにより、第1の枠部110bと第2の枠部110cによって、段差部D1が形成されている。つまり、段差部D1は、前記第1の枠部110bの前記第1の凹部空間内側壁部と、第2の枠部110cの主面によって形成されている。
また、段差部D1の主面には、後述する第1の蓋体170と接合するための環状の封止用導体パターン112が設けられている。
尚、この容器体110を構成する基板部110a、第1の枠部110b、第2の枠部110c及び第3の枠部110dは、例えばアルミナセラミックス、ガラス−セラミック等のセラミック材料を複数積層することよって形成されている。また、基板部110aは、セラミック材が積層した構造となっている。
この容器体110の第2の枠部110cの主面には、複数個の第1の接続電極116a、116bが設けられている。
この段差部D1の主面には、環状の封止用導体パターン112が設けられている。
第1の凹部空間111内で露出した基板部110aの一方の主面には、2個一対の圧電振動素子搭載パッド113a、113bが設けられている。
また、容器体110は、基板部110aの他方の主面と第3の枠部110dによって第2の凹部空間114が形成されている。
基板部110aの内層には、配線パターン117a、117b等が設けられている。
第2の凹部空間114内で露出した基板部110aの他方の主面には、複数の集積回路素子搭載パッド115が設けられている。
【0023】
図3(a)〜図3(c)に示すように、一方の圧電振動素子搭載パッド113aは、ビア導体118aで、容器体110の基板部110aの内層に形成されている配線パターン117aと接続されている。
また、前記配線パターン117aは、ビア導体118cで第1の接続電極116aと接続されている。これにより、前記一方の圧電振動素子搭載パッド113aは、前記第1の接続電極116aと接続されることになる。
他方の圧電振動素子搭載パッド113bは、ビア導体118aで、前記容器体110の基板部110aの内層に設けられている配線パターン117bと接続されている。
また、前記配線パターン117bは、ビア導体118bで第1の接続電極116bと接続されている。これにより、前記他方の圧電振動素子搭載パッド113bは、前記第1の接続電極116bと接続されることになる。
容器体110の基板部110aの集積回路素子搭載パッド115が設けられる主面と平行となる第3の枠部110dの主面の4隅には、外部接続用電極端子119が設けられている。
集積回路素子搭載パッド115と外部接続用電極端子119は、前記容器体110の第2の凹部空間114内の基板部110aに形成された部分を有する配線パターン(図示せず)と第2の枠部110cの内部に形成されたビア導体(図示せず)により接続されている。
【0024】
図2に示すように、配線基板130は、例えば、アルミナセラミックス、ガラス−セラミック等のセラミック材料を複数積層することよって形成されている。
前記配線基板130の一方の主面には、2個一対の圧電振動素子測定用パッド131a、131bが設けられている。
前記配線基板130の他方の主面には、前記第1の接続電極116a、116bに対向するように設けられた複数個の第2の接続電極132a、132bが設けられている。
この第2の接続電極132a、132bは、導電性接合材からなる接続部160を介して、前記第1の接続電極116a、116bと、電気的且つ機械的に接続されている。
【0025】
2個一対の圧電振動素子測定用パッド131a、131bは、前記配線基板の前記第1の蓋体と対向する主面の反対側の主面に設けられている。
尚、圧電振動素子測定用パッド131a、131bは、平面視で、第2の枠部110cよりも内側に位置するように設けられている。
前記圧電振動素子測定用パッド131a、131bは、容器体110の第1の凹部空間111に搭載されている圧電振動素子120の発振周波数やクリスタルインピーダンス等の特性を測定するために用いられる。
【0026】
第2の接続電極132a、132bは、前記配線基板130の他方の主面の短辺側に沿って、第1の接続電極116a、116bと対向するように設けられている。
前記第2の接続電極132a、132bは、前記配線基板130内に設けられたビア導体135a、135bを介して、前記圧電振動素子測定用パッド131a、131bに接続されている。
また、一方の第2の接続電極132aは、導電性接合材からなる接続部160を介して、前記一方の第1の接続電極116aと、電気的且つ機械的に接続されている。これにより、前記一方の圧電振動素子搭載パッド113aは、前記一方の圧電振動素子測定用パッド131aと接続されることになる。
また、他方の第2の接続電極132bは、導電性接合材からなる接続部160を介して、前記他方の第1の接続電極116bと、電気的且つ機械的に接続されている。これにより、前記他方の圧電振動素子搭載パッド113bは、前記他方の圧電振動素子測定用パッド131bと接続されることになる。
【0027】
蓋体170は、容器体110の段差部D1の主面に設けられた封止用導体パターン112上に第1の凹部空間111の開口部を覆うように配置接合される。この蓋体170には、前記封止用導体パターン112に相対する箇所に封止部材171が設けられている。
また、このような封止部材171は、前記封止用導体パターン112表面の凹凸を緩和し、気密性の低下を防ぐことが可能となる。
【0028】
第1の蓋体170は、従来周知の金属加工法を採用し、Fe−Ni合金(42アロイ)やFe−Ni−Co合金(コバール)などからなる金属を所定形状に整形することによって製作される。蓋体170の表面には、ニッケル(Ni)層が形成され、更にニッケル(Ni)層の上面に少なくとも封止用導体パターン112に相対する箇所に封止部材171である金錫(Au−Sn)層が形成される。金錫(Au−Sn)層の厚みは、10μm〜40μmである。例えば、成分比率が、金が80%、錫が20%のものが使用されている。
【0029】
前記導電性接着剤150は、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニッケル鉄(NiFe)、のうちのいずれかまたはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。
【0030】
前記接続部160は、例えば、半田や金錫(Au−Sn)のロウ材等からなる導電性接合材により形成されている。
【0031】
尚、前記容器体110は、アルミナセラミックスから成る場合、所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得たセラミックグリーンシートの表面に、封止用導体パターン112、圧電振動素子搭載パッド113、外部接続用電極端子119等となる導体ペーストを、また、セラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内にビア導体となる導体ペーストを従来周知のスクリーン印刷によって塗布するとともに、これを複数枚積層してプレス成形した後、高温で焼成することにより製作される。
【0032】
本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器によれば、第1の凹部空間111を気密封止する配線基板130の一方の主面に2個一対の圧電振動素子測定用パッド131a、131bが設けられていることによって、圧電振動素子120の電気的特性の測定に際し、電気特性測定器のコンタクトピンとの接触を確実に行える大きさの2個一対の圧電振動素子測定用パッド131a、131bを形成することが可能となる。よって、圧電発振器100の検査の作業性及び検査効率、生産性を向上させることが可能となる。
また、前記容器体110の第2の凹部空間114内底面に2個一対の圧電振動素子測定用パッドを形成する必要がないので、圧電発振器100をより小型化することが可能となる。
【0033】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る圧電発振器は、前記配線基板の圧電振動素子測定用パッドが設けられた側の主面には、蓋体接合用配線パターンが設けられ、前記蓋体接合用配線パターンに第2の蓋体が接合されている点で第1の実施形態と異なる。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る圧電発振器を示す断面図である。
【0034】
配線基板230は、例えば、アルミナセラミックス、ガラス−セラミック等のセラミック材料を複数積層することよって形成されている。
前記配線基板230の前記第1の蓋体270と対向する主面の反対側の主面に2個一対の圧電振動素子測定用パッド231a、231bが設けられている。
前記配線基板230の圧電振動素子測定用パッド231a、231bが設けられた側の主面には、蓋体接合用配線パターン236a、236bが設けられている。
前記配線基板230の圧電振動素子測定用パッド231a、231bが設けられた側の反対の主面には、容器体210の第2の枠部210cの主面に設けられた前記第1の接続電極216a、216bに対向するように設けられた複数個の第2の接続電極232a、232bが設けられている。
この第2の接続電極232a、232bは、導電性接合材からなる接続部260を介して、前記第1の接続電極216a、216bと、電気的且つ機械的に接続されている。
【0035】
前記蓋体接合用配線パターン236は、前記配線基板230の一方の主面の短辺側の縁に沿って設けられている。この蓋体接合用配線パターン236に第2の蓋体290をレーザにて固定する。
第2の蓋体290は、例えば、Fe−Ni合金(42アロイ)やFe−Ni−Co合金(コバール)などからなる。
レーザは、例えば、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、YVOレーザ、半導体レーザ、エキシマレーザ等を用いる。例えば、YVOレーザの場合には、そのレーザの3倍波で、波長が例えば、300〜400nmのものを用いる。
【0036】
本発明の第2の実施形態に係る圧電発振器によれば、前記配線基板230の圧電振動素子測定用パッド231a、231bが設けられた側の主面には、蓋体接合用配線パターン236が設けられ、前記蓋体接合用配線パターンに第2の蓋体290が接合されていることにより、隣接する2個一対の圧電振動素子測定用パッド231a、231bに、例えば、ごみや異物等が付着することによる圧電発振器の発振周波数の変動から保護することができる。
また、ごみや異物等が圧電振動素子測定用パッド231a、231bに付着することによる隣り合う一方の圧電振動素子測定用パッド231aと他方の圧電振動素子測定用パッド231bの短絡からも保護することができる。
また、この第1の蓋体270及び第2の蓋体290を容器体210の外部接続用電極端子219のうちの1つであるグランド端子に接続させておくことにより、外部からのノイズを良好に遮蔽し、安定した発振周波数を出力させることが可能となる。
【0037】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る圧電発振器は、前記配線基板の圧電振動素子測定用パッドが設けられた側の主面において、圧電振動素子測定用パッドを囲む第4の枠部が設けられている点で第1の実施形態と異なる。
図5は、本発明の第3の実施形態に係る圧電発振器を示す断面図である。
【0038】
図5に示すように、前記配線基板330の圧電振動素子測定用パッド331a、331bが設けられた側の主面において、圧電振動素子測定用パッド331a、331bを囲む第4の枠部337が設けられている。
尚、配線基板330、第4の枠部337は、例えばアルミナセラミックス、ガラス−セラミック等のセラミック材料を複数積層することよって形成されている。また、前記配線基板330は、セラミック材が積層した構造となっている。
前記配線基板330の圧電振動素子測定用パッド331a、331bが設けられた側の反対の主面には、前記第1の接続電極316a、316bに対向するように設けられた複数個の第2の接続電極332a、332bが設けられている。
この第2の接続電極332a、332bは、導電性接合材からなる接続部360を介して、前記第1の接続電極316a、316bと、電気的且つ機械的に接続されている。
また、前記配線基板330の圧電振動素子測定用パッド331a、331bが設けられた側の反対の主面には、前記封止用導体パターン312と相対する箇所に封止部材用配線パターン333が形成されている。また、封止部材用配線パターン333には、封止部材334が被着形成されている。
【0039】
2個一対の圧電振動素子測定用パッド331a、331bは、前記配線基板330の前記第1の蓋体370と対向する主面の反対側の主面に設けられている。尚、圧電振動素子測定用パッド331a、331bは、平面視で、第4の枠部337よりも内側に位置するように設けられている。
前記圧電振動素子測定用パッド331a、331bは、容器体310の第1の凹部空間311に搭載されている圧電振動素子320の発振周波数やクリスタルインピーダンス等の特性を測定するために用いられる。
【0040】
第2の接続電極332a、332bは、前記配線基板330の圧電振動素子測定用パッド331a、331bが設けられた側の反対の主面の短辺側に沿って設けられている。
前記第2の接続電極332a、332bは、前記配線基板330内に設けられたビア導体335a、335bを介して、前記圧電振動素子測定用パッド331a、331bに接続されている。
また、一方の第2の接続電極332aは、導電性接合材からなる接続部360を介して、前記一方の第1の接続電極316aと、電気的且つ機械的に接続されている。これにより、前記一方の圧電振動素子搭載パッド313aは、前記一方の圧電振動素子測定用パッド331aと接続されることになる。
また、他方の第2の接続電極332bは、導電性接合材からなる接続部360を介して、前記他方の第1の接続電極316bと、電気的且つ機械的に接続されている。これにより、前記他方の圧電振動素子搭載パッド313bは、前記他方の圧電振動素子測定用パッド331bと接続されることになる。
【0041】
封止部材用配線パターン333は、前記配線基板330の他方の主面に、前記第2の接続電極332a、332bよりも内側に、環状で設けられている。また、封止部材用配線パターン333には、封止部材334が設けられている。
【0042】
本発明の第3の実施形態に係る圧電発振器によれば、本発明の第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0043】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る圧電発振器は、前記配線基板と前記第4の枠部で第3の凹部空間が形成され、前記第3の凹部空間内の圧電振動素子測定用パッドが、絶縁性樹脂により被覆されている点で第3の実施形態と異なる。
図6は、本発明の第4の実施形態に係る圧電発振器を示す断面図である。
【0044】
前記配線基板430の圧電振動素子測定用パッド431a、431bが設けられた側の主面において、圧電振動素子測定用パッド431a、431bを囲む第4の枠部437が設けられている。
前記配線基板430と前記第4の枠部437で第3の凹部空間438が形成され、前記第3の凹部空間内の圧電振動素子測定用パッド431a、431bが、絶縁性樹脂480により被覆されている。
絶縁性樹脂480は、エポキシやポリイミドなどが多く用いられ、加熱により軟化あるいは溶融することで流動する特性を持つ熱可塑性樹脂により構成されている。
【0045】
本発明の第4の実施形態に係る圧電発振器によれば、絶縁性樹脂480により第3の凹部空間438内に露出している配線基板430に設けられている2個一対の圧電振動素子測定用パッド431a、431bが被覆保護されることになるので、例えば、ごみや異物等が圧電振動素子測定用パッド431a、431bに付着することにより、圧電発振器の発振周波数の変動から保護することができる。
また、ごみや異物等が圧電振動素子測定用パッド431a、431bに付着することによる隣り合う一方の圧電振動素子測定用パッド431aと他方の圧電振動素子測定用パッド431bの短絡からも保護することができる。
【0046】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る圧電発振器は、前記第4の枠部の主面には、蓋体接合用配線パターンが設けられ、前記蓋体接合用配線パターンに第2の蓋体が接合されている点で第3の実施形態と異なる。
図7は、本発明の第5の実施形態に係る圧電発振器を示す断面図である。
【0047】
前記配線基板530の圧電振動素子測定用パッド531a、531bが設けられた側の主面において、圧電振動素子測定用パッド531a、531bを囲む第4の枠部537が設けられている。
前記配線基板530と前記第4の枠部537で第3の凹部空間538が形成され、その第3の凹部空間538内には、2個一対の圧電振動素子測定用パッド531a、531bが設けられている。
前記第4の枠部537の主面には、蓋体接合用配線パターン536が設けられている。この蓋体接合用配線パターン536に第2の蓋体590をレーザにて固定する。
【0048】
前記蓋体接合用配線パターン536は、前記第4の枠部537の主面に設けられ、この蓋体接合用配線パターン536に第2の蓋体590をレーザにて固定する。
第2の蓋体590は、例えば、Fe−Ni合金(42アロイ)やFe−Ni−Co合金(コバール)などからなる。
レーザは、例えば、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、YVOレーザ、半導体レーザ、エキシマレーザ等を用いる。例えば、YVOレーザの場合には、そのレーザの3倍波で、波長が例えば、300〜400nmのものを用いる。
【0049】
本発明の第5の実施形態に係る圧電発振器によれば、第4の枠部537の主面に、蓋体接合用配線パターン536が設けられ、前記蓋体接合用配線パターン536に第2の蓋体590が接合されていることにより、2個一対の圧電振動素子測定用パッド531a、531bに、例えば、ごみや異物等が付着することによる圧電発振器の発振周波数の変動から保護することができる。
また、ごみや異物等が圧電振動素子測定用パッド531a、531bに付着することによって、隣り合う一方の圧電振動素子測定用パッド531aと他方の圧電振動素子測定用パッド531bの短絡から保護することができる。
また、この第1の蓋体570及び第2の蓋体590を容器体510の外部接続用電極端子519のうちの1つであるグランド端子に接続させておくことにより、外部からのノイズを良好に遮蔽し、安定した発振周波数を出力させることが可能となる。
【0050】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
例えば、前記した本実施形態では、圧電振動素子を構成する圧電素材として水晶を用いた場合を説明したが、他の圧電素材として、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたは、圧電セラミックスを圧電素材として用いた圧電振動素子でも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器を示す分解斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】(a)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器を構成する容器体の一方の主面を示す透視平面図であり、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器を構成する容器体の基板部の内層面を示す透視平面図であり、(c)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電発振器を構成する容器体の他方の主面を示す透視平面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る圧電発振器を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る圧電発振器を示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る圧電発振器を示す断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る圧電発振器を示す断面図である。
【図8】従来における圧電発振器を示す断面図である。
【図9】(a)は、従来の圧電発振器を構成する容器体の基板部の一方の主面を示す透視平面図であり、(b)は、従来の圧電発振器を構成する容器体の基板部の内層面を示す透視平面図であり、(c)は、従来の圧電発振器を構成する容器体の基板部の他方の主面を示す透視平面図である。
【符号の説明】
【0052】
110、210、310、410、510・・・容器体
110a、210a、310a、410a、510a・・・基板部
110b、210b、310b、410b、510b・・・第1の枠部
110c、210c、310c、410c、510c・・・第2の枠部
110d、210d、310d、410d、510d・・・第3の枠部
111、211、311、411、511・・・第1の凹部空間
112、212、312、412、512・・・封止用導体パターン
113a、113b、213a、213b・・・圧電振動素子搭載パッド
114、214、314、414、514・・・第2の凹部空間
115、215、315、415、515・・・集積回路素子搭載パッド
116a、116b、216a、216b、316a、316b、416a、416b、516a、516b・・・第1の接続電極
117a、117b、217a、217b、317a、317b、417a、417b、517a、517b・・・配線パターン
118a、118b、118c、218a、218b、218c、318a、318b、318c、418a、418b、418c、518a、518b、518c・・・ビア導体
119、219、319、419、519・・・外部接続用電極端子
120・・・圧電振動素子
121・・・水晶素板
122・・・励振用電極
123・・・先端部
130、230、330、430、530・・・配線基板
131a、131b、231a、231b、331a、331b、431a、431b、531a、531b・・・圧電振動素子測定用パッド
135a、135b、235a、235b、335a、335b、435a、435b、535a、535b・・・ビア導体
236、536・・・蓋体接合用配線パターン
337、437、537・・・第4の枠部
438、438、538・・・第3の凹部空間
140、240、340、440、540・・・集積回路素子
150、250、350、450、550・・・導電性接着剤
160、260、360、460、560・・・接続部
170、270、370、470、570・・・第1の蓋体
480・・・絶縁性樹脂
290、590・・・第2の蓋体
100、200、300、400、500・・・圧電発振器
D1・・・段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部と、この基板部の一方の主面に第1の枠部と前記第1の枠部よりも幅が狭い第2の枠部とが設けられて、第1の凹部空間が形成され、前記基板部の他方の主面に第3の枠部が設けられて、第2の凹部空間が形成された容器体と、
前記第1の凹部空間内に露出した基板部の一方の主面に設けられた2個一対の圧電振動素子搭載パッドに搭載されている圧電振動素子と、
前記第2の凹部空間内に露出した基板部の他方の主面に設けられた集積回路素子搭載パッドに搭載されている集積回路素子と、
前記第1の枠部と前記第2の枠部によって形成された段差部に接合されて、前記第1の凹部空間を気密封止する第1の蓋体と、
前記第2の枠部の主面に接合される配線基板と、を備え、
前記配線基板の前記第1の蓋体と対向する主面の反対側の主面に2個一対の圧電振動素子測定用パッドが設けられていることを特徴とする圧電発振器。
【請求項2】
前記配線基板の圧電振動素子測定用パッドが設けられた側の主面には、蓋体接合用配線パターンが設けられ、前記蓋体接合用配線パターンに第2の蓋体が接合されていることを特徴とする請求項1記載の圧電発振器。
【請求項3】
前記配線基板の圧電振動素子測定用パッドが設けられた側の主面において、圧電振動素子測定用パッドを囲む第4の枠部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の圧電発振器。
【請求項4】
前記配線基板と前記第4の枠部で第3の凹部空間が形成され、前記第3の凹部空間内の圧電振動素子測定用パッドが、絶縁性樹脂により被覆されていることを特徴とする請求項3記載の圧電発振器。
【請求項5】
前記第4の枠部の主面には、蓋体接合用配線パターンが設けられ、前記蓋体接合用配線パターンに第2の蓋体が接合されていることを特徴とする請求項3記載の圧電発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−87714(P2010−87714A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252866(P2008−252866)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】