説明

地図表示装置及び地図表示プログラム

【課題】現在地と設定地点との位置関係を把握しやすいように地図の縮尺を変化させてズーム付きスクロール表示を行う。
【解決手段】ユーザにより地図上における目的地が設定されると(S101)、現在地から目的地までの距離を算出し(S102)、算出した距離に応じて、ズーム付きスクロール処理における地図の最大広域縮尺(MAX縮尺)を決定し(S103〜S105)、現在地から目的地まで地図をスクロール表示しつつ地図の縮尺をMAX縮尺を上限として変化させるズーム付きスクロール処理を行う(S106〜S114)。このため、ズーム付きスクロール処理において、地図の縮尺を、現在地から目的地までの距離に応じた適切な縮尺に変化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばカーナビゲーション装置のような地図表示装置では、登録地点からの選択操作や電話番号の入力操作等によって地図上における任意の地点を設定した場合に、その設定地点付近の地図を表示させることが一般的である。しかしながら、このような表示方法では、現在地と設定地点との位置関係(方向や距離感など)が把握しにくいという問題があった。
【0003】
このような問題を解決する方法として、カーナビゲーション装置で目的地を設定した場合に、目的地付近に地図に切り替えるのではなく、現在表示されている地域から目的地付近までズーム付きスクロール表示を行う方法が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−286593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ズーム付きスクロール表示で現在地と目的地等の設定地点との位置関係を把握しやすくするためには、地図の縮尺を適切な縮尺に変化させる必要があるが、例えば、設定地点が現在地と同じ県内や市内にある場合と、設定地点が現在地から遠く離れた異なる県内にある場合とでは、位置関係を把握しやすくするための適切な縮尺が異なる。したがって、単に画一的な条件で地図の縮尺を変化させたのでは、縮尺が広域すぎたり詳細すぎたりして、目的とする効果が十分に得られないことが考えられる。
【0005】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、現在地と設定地点との位置関係を把握しやすいように地図の縮尺を変化させてズーム付きスクロール表示を行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の請求項1に記載の地図表示装置では、地点設定手段が、地図上における任意の地点を設定する。ここで、任意の地点の設定は、例えば、ユーザによる地点設定操作を受け付けることにより行うことができる。
【0007】
そして、地図表示手段が、現在地から地点設定手段により設定された設定地点まで地図をスクロール表示しつつ地図の縮尺を変化させるズーム付きスクロール処理を行う。特に、地図表示手段が、ズーム付きスクロール処理において、現在地と設定地点との位置関係に応じて異なる条件で地図の縮尺を変化させるようにしているため、現在地と設定地点との位置関係を把握しやすいように地図の縮尺を変化させてズーム付きスクロール処理を行うことが可能となる。
【0008】
すなわち、地図表示は、詳細表示にするほど地名等の表示情報が充実するという面で分かりやすくなるが、現在地から設定地点までのスクロール量が大きくなる分、位置関係が把握しづらくなる。逆に、広域表示にするほど現在地から設定地点までのスクロール量が小さくなるため位置関係については把握しやすくなるが、地名等の表示情報が不足するという面で分かりにくくなる。
【0009】
このため、現在地から設定地点まで地図をスクロールする過程において地図の縮尺を適切に変化させることが有効である。ただし、現在地と前記設定地点との位置関係に関係なく画一的な条件で地図の縮尺を変化させたのでは、縮尺が広域すぎたり詳細すぎたりして、目的とする効果が十分に得られないことが考えられる。
【0010】
そこで、本発明の地図表示装置では、現在地と設定地点との位置関係に応じて異なる条件で地図の縮尺を変化させることにより、現在地と設定地点との位置関係に応じて地図の縮尺を適切に変化させることを可能としている。
【0011】
具体的には、例えば請求項2に記載の地図表示装置では、距離算出手段が、現在地から設定地点までの距離を算出し、縮尺決定手段が、距離算出手段により算出された距離に応じて、ズーム付きスクロール処理における地図の最大広域縮尺を決定する。そして、地図表示手段は、ズーム付きスクロール処理において、縮尺決定手段により決定された最大広域縮尺を上限として地図の縮尺を変化させる。
【0012】
このような地図表示装置によれば、ズーム付きスクロール処理において、地図の縮尺を、現在地から設定地点までの距離に応じた適切な縮尺に変化させることができる。ここで、地図の縮尺を変化させるパターンとしては、例えば請求項3や請求項4に記載のようなものが考えられる。
【0013】
すなわち、請求項3に記載の地図表示装置では、地図表示手段は、現在地から設定地点まで地図をスクロールする過程において、最大広域縮尺に達するまで地図の縮尺を広域側へ変化させ、最大広域縮尺に達した時点で地図の縮尺を固定し、地図をスクロールし終わった時点で地図の縮尺を詳細側へ変化させる。
【0014】
このような地図表示装置によれば、最大広域縮尺に達した時点で地図の縮尺を固定したスクロールが行われるため、現在地と設定地点との位置関係(方向や距離感など)を把握しやすくすることができる。
【0015】
一方、請求項4に記載の地図表示装置では、地図表示手段は、現在地から設定地点まで地図をスクロールする過程において、最大広域縮尺に達するまで地図の縮尺を広域側へ変化させ、最大広域縮尺に達した時点で地図の縮尺を詳細側へ変化させる。
【0016】
このような地図表示装置によれば、設定地点に近づくにつれ縮尺が詳細側に変化するため、目的地付近の情報(地名等)を把握しやすくすることができる。
特に、このようなパターンで地図の縮尺を変化させる場合には、例えば請求項5に記載のように、地図表示手段が、地図の縮尺を詳細側へ変化させることにより規定の縮尺に達したタイミングで地図がスクロールし終わるように地図の縮尺を変化させるようにするとよい。このようにすれば、設定地点までの距離を縮尺の変化により感覚的に把握させることができる。
【0017】
また、請求項6に記載の地図表示装置では、地図表示手段は、現在地から設定地点まで地図をスクロールする過程において、スクロール時間(スクロール表示を継続している時間)に対して一定の割合で地図の縮尺を変化させる。
【0018】
このような地図表示装置によれば、スクロール時間に対して縮尺を変化させる割合が一定でない場合に比べ、地図を見やすくすることができる。
また、請求項7に記載の地図表示装置では、地図表示手段は、現在地から設定地点まで地図をスクロールする過程において、スクロール距離(スクロール表示の継続により進行した地図上の距離)に対して一定の割合で地図の縮尺を変化させる。
【0019】
このような地図表示装置によれば、スクロール表示に伴う地図上の移動距離を縮尺の変化により感覚的に把握しやすくすることができる。
また、請求項8に記載の地図表示装置では、地図表示手段は、現在地から設定地点まで地図をスクロールする過程において現在地が常に表示されるように地図の縮尺を変化させ、地図をスクロールし終わった時点で地図の縮尺を詳細側へ変化させる。
【0020】
このような地図表示装置によれば、スクロールに伴い現在地が表示されなくなる場合に比べ、現在地を基準とする位置を把握しやすくすることができる。
また、請求項9に記載の地図表示装置では、地図表示手段は、現在地から設定地点までの地図のスクロールに要する時間が一定となるようにスクロール表示を行う。
【0021】
このような地図表示装置によれば、現在地から設定地点までの距離に関係なく、スクロールに要する時間を一定にすることができる。この結果、現在地から設定地点までの距離が長いことが原因でスクロール表示に要する時間が過剰に長くなってしまうといったことを防ぐことができる。
【0022】
また、請求項10に記載の地図表示装置では、地図表示手段は、現在地から設定地点まで地図をスクロールする過程において、スクロール表示を一定の速度で行う。なお、スクロール表示の速度とは、あくまでも画面上の画像のスクロール速度であり、地図上の距離(縮尺)は関係ない。
【0023】
このような地図表示装置によれば、一定の速度でスクロール表示が行われるため、速度が変化する場合に比べ、地図を見やすくすることができる。
次に、請求項11に記載の地図表示プログラムは、地図上における任意の地点を設定する地点設定手段と、現在地から地点設定手段により設定された設定地点まで地図をスクロール表示しつつ地図の縮尺を変化させるズーム付きスクロール処理を行う地図表示手段としてコンピュータを機能させるための地図表示プログラムであって、地図表示手段は、ズーム付きスクロール処理において、現在地と設定地点との位置関係に応じて異なる条件で地図の縮尺を変化させる。
【0024】
このような地図表示プログラムによれば、請求項1に記載の地図表示装置としてコンピュータを機能させることができ、これにより前述した効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のナビゲーション装置の概略構成を表すブロック図である。
【0026】
このナビゲーション装置は、車両に搭載されて用いられるものであり、位置検出器11、地図データ入力器15、操作デバイス16、外部メモリ17、表示装置18、音声出力装置19、制御回路20などを備えている。
【0027】
制御回路20は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどを備えている。そして、CPUは、ROMに記憶されているプログラムに従い、位置検出器11、地図データ入力器15、操作デバイス16、外部メモリ17から入力された各種情報に基づき、所定の処理(後述する目的地表示処理等)を実行する。
【0028】
位置検出器11は、当該ナビゲーション装置を搭載した車両の現在地を検出するためのものであり、いずれも周知のジャイロスコープ12、距離センサ13及びGPS(Global Positioning System)受信機14を有している。これらは各々が性質の異なる誤差を持っているため、各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部で構成してもよく、更に、操舵角センサや、各転動輪の車輪速センサ等を用いてもよい。
【0029】
地図データ入力器15は、記憶媒体(不図示)が装着され、その記憶媒体に格納されている位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ及び目印データを含む各種データを入力するための装置である。なお、記憶媒体としては、そのデータ量からDVD−ROMやハードディスク装置(HDD)を用いるのが一般的であるが、メモリカード等を用いてもよい。
【0030】
操作デバイス16は、ユーザからの各種指示(各種の設定や機能実行の指示)を入力するためのものであり、表示装置18の画面前面に配置されたタッチパネルや、ステアリングの近傍に設けられたステアリングスイッチ等が用いられ、地図の縮尺変更やスクロール等の操作や目的地設定などナビゲーション装置のすべての操作を行うことが可能である。
【0031】
外部メモリ17は、ハードディスク装置等の書き込み可能な大容量の外部記憶装置である。外部メモリ17には大量のデータや電源をオフしても消去してはいけないデータを記憶したり、頻繁に使用するデータを地図データ入力器15からコピーして利用したりする等の用途がある。
【0032】
表示装置18は、フルカラー表示が可能なものであり、表示装置18の画面には位置検出器11により検出された車両の現在地を表す車両現在地マークと、地図データ入力器15より入力された地図データと、更に地図上に表示する誘導経路等の付加データとを重ねて表示することができる。
【0033】
音声出力装置19は、スピーカ、オーディオアンプなどから構成され、外部メモリ17に記憶されているデータや、制御回路20により合成された音声等を出力する。音声出力装置19は、ナビゲーション装置の構成として省くこともできる。その場合、他の装置が備えている音声出力装置(例えば車両本体の音声出力装置)を利用してもよい。
【0034】
次に、本実施形態のナビゲーション装置が実行する処理について説明する。
本実施形態のナビゲーション装置は、ユーザにより目的地が設定されると、現在地から目的地まで地図をスクロール表示しつつ地図の縮尺を変化させるズーム付きスクロール処理を行う。
【0035】
ここで、このような処理を実現するために制御回路20が実行する具体的処理内容について説明する。図2は、制御回路20が実行する目的地表示処理のフローチャートである。この目的地表示処理は、目的地設定メニューを選択する操作が操作デバイス16を介してユーザによって行われることにより開始される。
【0036】
制御回路20は、この目的地表示処理を開始すると、まずS101で、目的地選択処理を行う。具体的には、目的地設定画面を表示装置18に表示させ、操作デバイス16を介して目的地を選択する操作をユーザに行わせる。目的地設定画面としては、例えば図3に示すように、複数の候補をリスト表示した画面が挙げられる。
【0037】
S101の目的地選択処理で目的地が選択されると、S102へ移行し、現在地から選択された目的地までの距離d[km](本実施形態では直線距離)を計算する。そして、計算した距離dに基づき、スクロール表示中にズームアウト可能な縮尺の最大値(以下「MAX縮尺」という。)を決定する(S103〜S105)。
【0038】
具体的には、距離dがあらかじめ設定されている判定値X[km]以下の場合には、S103へ移行し、MAX縮尺を値Aに決定した後、S106へ移行する。
また、距離dが判定値X[km]よりも大きく、あらかじめ設定されている判定値Y[km](Y>X)よりも小さい場合には、S104へ移行し、MAX縮尺を値B(値Aよりも広域の縮尺)に決定した後、S106へ移行する。
【0039】
一方、距離dが判定値Y[km]以上の場合には、S105へ移行し、MAX縮尺を値C(値Bよりも広域の縮尺)に決定した後、S106へ移行する。
つまり、MAX縮尺の値を、d≦Xの場合はA、X<d<Yの場合はB、Y≦dの場合はCに決定する(A<B<C)。
【0040】
こうしてMAX縮尺の値を決定すると、S106で、表示装置18に表示した状態の地図について、現在地から目的地へのスクロールを開始する。具体的には、まず、現在地を中心とした地図を規定の縮尺(デフォルト設定されている値)で表示し、この状態から目的地の方向へスクロールを開始する。なお、現在地を表示する際の規定の縮尺は、デフォルト設定されている値に限定されるものではなく、例えば、ユーザが設定できるようにしてもよい。また例えば、ユーザが通常使用時に現在地表示に用いる縮尺を規定の縮尺として自動的に記憶するようにしてもよい。
【0041】
ここで、地図のスクロールは、現在地から目的地まで一定の速度(地図上の速度ではなく、表示画面上の画像の速度)で行う。また、現在地から目的地までの地図のスクロールに要する時間が一定(例えば30秒間といったように、あらかじめ設定されている時間)となるように、スクロールの速度が決定される。したがって、現在地から目的地までの距離が長いほど、スクロールの速度が高速に設定されることになる。なお、本実施形態では、地図の向きをヘディングアップ表示とするが、東西南北の方位の方が分かりやすい場合などには、ノースアップ表示としてもよい。
【0042】
こうしてスクロールが開始されると、S107で、地図のズームアウトを開始する。これにより、地図がスクロールしつつズームアウトされることになる。
そして、S108では、前述したS107において開始したズームアウトにより、地図の縮尺がMAX縮尺(S103〜S105で設定した値)に達したか否かを判定し、MAX縮尺に達したと判定した場合にS109へ移行する。つまり、MAX縮尺に達するまではスクロール及びズームアウトが継続されることになる。
【0043】
具体的には、図4に示すように、あらかじめ設定されているスクロール時間tとなった時点でMAX縮尺に達するように一定の割合でズームアウトを行う。つまり、時間に比例した縮尺変化でズームアウトを行う。ただし、現在地から目的地までの距離dが短い場合や、スクロール開始時の縮尺(前述した規定の縮尺)が広域側に大きい場合などのように、現在地から目的地までのスクロールに要する時間t’があらかじめ設定されているスクロール時間tよりも短い場合には、時間t’となった時点でMAX縮尺に達するように一定の割合でズームアウトを行う。
【0044】
地図の縮尺がMAX縮尺に達すると、S109で、前述したS107において開始したズームアウトを停止する。このとき、スクロールは停止しない。つまり、MAX縮尺に固定された状態でスクロールが継続されることになる。なお、前述したように、現在地から目的地までのスクロールに要する時間t’があらかじめ設定されているスクロール時間tよりも短い場合には、時間t’となった時点でMAX縮尺に達するように一定の割合でズームアウトを行うため、MAX縮尺に達すると同時に目的地に到着することとなり、後述するS110,S111の処理の結果、直ちにスクロールが停止されることになる。
【0045】
続いて、S110では、前述したS106において開始したスクロールにより、目的地に到着した(目的地を中心とした地図となった)か否かを判定し、目的地に到着したと判定した場合にS111へ移行する。つまり、目的地に到着するまではMAX縮尺でのスクロールが継続されることになる。
【0046】
目的地に到着すると、S111で、前述したS106において開始したスクロールを停止する。この状態では、目的地を中心とした地図がMAX縮尺で表示されている。
続いて、S112では、地図のズームインを開始する。
【0047】
続いて、S113では、S112で開始したズームインにより、地図の縮尺が前述した規定の縮尺に達したか否かを判定し、規定の縮尺に達したと判定した場合にS114へ移行する。
【0048】
S114では、S112で開始したズームインを停止する。これにより、目的地を中心とした地図が規定の縮尺で表示される。その後、本目的地表示処理を終了する。
以上説明したように、第1実施形態のナビゲーション装置では、ユーザにより地図上における目的地が設定されると(S101)、現在地から目的地まで地図をスクロール表示しつつ地図の縮尺を変化させるズーム付きスクロール処理を行う(S106〜S114)。特に、現在地と設定地点との位置関係に応じて異なる条件で地図の縮尺を変化させるようにしているため(S102〜S105)、現在地と設定地点との位置関係を把握しやすいように地図の縮尺を変化させてズーム付きスクロール処理を行うことができる。
【0049】
すなわち、このナビゲーション装置では、現在地から目的地までの距離を算出し(S102)、算出した距離に応じて、ズーム付きスクロール処理における地図の最大広域縮尺(MAX縮尺)を決定し(S103〜S105)、MAX縮尺を上限として地図の縮尺を変化させる。具体的には、現在地から目的地まで地図をスクロールする過程において、MAX縮尺に達するまで地図の縮尺を広域側へ変化させ、MAX縮尺に達した時点で地図の縮尺を固定し、地図をスクロールし終わった時点で地図の縮尺を詳細側へ変化させる。
【0050】
このため、ズーム付きスクロール処理において、地図の縮尺を、現在地から目的地までの距離に応じた適切な縮尺に変化させることができる。特に、MAX縮尺に達した時点で地図の縮尺を固定したスクロールが行われるため、現在地と目的地との位置関係(方向や距離感など)を把握しやすくすることができる。
【0051】
また、このナビゲーション装置では、現在地から目的地まで地図をスクロールする過程において、スクロール時間(スクロール表示を継続している時間)に対して一定の割合で地図の縮尺を変化させるようにしているため(図4)、スクロール時間に対して縮尺を変化させる割合が一定でない場合に比べ、地図を見やすくすることができる。
【0052】
さらに、このナビゲーション装置では、現在地から目的地までの地図のスクロールに要する時間が一定となるようにスクロール表示を行うようにしているため、現在地から目的地までの距離に関係なく、スクロールに要する時間を一定にすることができる。この結果、現在地から目的地までの距離が長いことが原因でスクロール表示に要する時間が過剰に長くなってしまうといったことを防ぐことができる。
【0053】
加えて、このナビゲーション装置では、スクロール表示を一定の速度で行うようにしているため、速度が変化する場合に比べ、地図を見やすくすることができる。
なお、第1実施形態のナビゲーション装置では、S101の処理を実行する制御回路20が本発明の地点設定手段に相当し、S102の処理を実行する制御回路20が本発明の距離算出手段に相当し、S103〜S105の処理を実行する制御回路20が本発明の縮尺決定手段に相当し、S106〜S114の処理を実行する制御回路20が本発明の地図表示手段に相当する。
【0054】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のナビゲーション装置について説明する。
第2実施形態のナビゲーション装置は、基本的な構成は第1実施形態のナビゲーション装置(図1)と同一であるが、ズーム付きスクロール処理において地図の縮尺を変化させるパターンのみが異なる。具体的には、制御回路20が、前述した第1実施形態の目的地表示処理(図2)に代えて、図5に示す目的地表示処理を実行する。
【0055】
ここで、第2実施形態の目的地表示処理(図5)について説明する。なお、第2実施形態の目的地表示処理は、第1実施形態の目的地表示処理(図2)と対比すると、S201〜S207の処理はS101〜S107の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0056】
S208では、S206でスクロールを開始してからt/2時間が経過したか否かを判定し、t/2時間が経過したと判定した場合にS209へ移行する。すなわち、第2実施形態では、図6に示すように、現在地から目的地までの地図のスクロールに要する時間tの半分の時間(t/2)が経過した時点でMAX縮尺に達するように一定の割合でズームアウトを行い、その後は時間tが経過した時点で規定の縮尺に達するように一定の割合でズームインを行う。このため、S208では、現在地から目的地までの地図のスクロールに要する時間tの半分の時間(t/2)が経過したか否かを判定する。
【0057】
スクロールを開始してからt/2時間が経過する(地図の縮尺がMAX縮尺に達する)と、S209で、S207において開始したズームアウトを停止する。このとき、スクロールは停止せずに継続される。
【0058】
続いて、S210では、地図のズームインを開始する。
続いて、S211では、前述したS206において開始したスクロールにより、目的地に到着した(目的地を中心とした地図となった)か否かを判定し、目的地に到着したと判定した場合にS212へ移行する。つまり、目的地に到着するまではスクロール及びズームインが継続されることになる。
【0059】
目的地に到着する(地図の縮尺が規定の縮尺に達する)と、S212で、前述したS206において開始したスクロールを停止する。
続いて、S213では、S210で開始したズームインを停止する。これにより、目的地を中心とした地図が規定の縮尺で表示される。その後、本目的地表示処理を終了する。
【0060】
以上説明したように、第2実施形態のナビゲーション装置によれば、前述した第1実施形態のナビゲーション装置と同様の効果を得ることができる。特に、第2実施形態のナビゲーション装置では、現在地から目的地まで地図をスクロールする過程において、MAX縮尺に達するまで地図の縮尺を広域側へ変化させ、MAX縮尺に達した時点で地図の縮尺を詳細側へ規定の縮尺まで変化させるため、目的地に近づくにつれ縮尺が詳細側に変化することとなり、目的地付近の情報(地名等)を把握しやすくすることができる。しかも、地図の縮尺を詳細側へ変化させることにより規定の縮尺に達したタイミングで地図がスクロールし終わるように地図の縮尺を変化させるため、目的地までの距離を縮尺の変化により感覚的に把握させることができる。
【0061】
なお、第2実施形態のナビゲーション装置では、S201の処理を実行する制御回路20が本発明の地点設定手段に相当し、S202の処理を実行する制御回路20が本発明の距離算出手段に相当し、S203〜S205の処理を実行する制御回路20が本発明の縮尺決定手段に相当し、S206〜S213の処理を実行する制御回路20が本発明の地図表示手段に相当する。
【0062】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0063】
例えば、上記各実施形態のナビゲーション装置では、現在地から目的地までの距離dに応じてMAX縮尺を3つの値から選択するようにしているが、これに限定されるものではなく、2つの値や4つ以上の値から選択するようにしてもよく、また、距離dをパラメータとする計算式を用いてMAX縮尺を算出するようにしてもよい。
【0064】
また、上記各実施形態のナビゲーション装置では、現在地から目的地までの距離dを直線距離として計算したが、これに限定されるものではなく、現在地から目的地までの探索経路に沿った道なりの距離を計算するようにしてもよい。また、この場合、スクロールについても道なりに(実際に走行した場合と同様に)実行するようにしてもよい。
【0065】
さらに、上記各実施形態のナビゲーション装置では、現在地から目的地まで地図をスクロールする過程において、スクロール時間に対して一定の割合で地図の縮尺を変化させるようにしているが(図4、図6)、これに限定されるものではなく、例えば、スクロール距離(スクロール表示の継続により進行した地図上の距離)に対して一定の割合で地図の縮尺を変化させるようにしてもよい。
【0066】
具体的には、第1実施形態で示した図4に代えて、例えば図7に示すように、スクロール距離があらかじめ設定されている距離aに達した時点でMAX縮尺に達するように、距離に対して一定の割合でズームアウトを行う。つまり、距離に比例した縮尺変化でズームアウトを行う。ただし、現在地から目的地までの距離bがあらかじめ設定されている距離aよりも短い場合には、距離bに達した時点でMAX縮尺に達するように、距離に対して一定の割合でズームアウトを行う。
【0067】
また同様に、第2実施形態で示した図6に代えて、例えば図8に示すように、スクロール距離が現在地から目的地までの距離dの半分の距離(d/2)に達した時点でMAX縮尺に達するように、距離に対して一定の割合でズームアウトを行い、その後はスクロール距離が距離dに達した時点で規定の縮尺に達するように、距離に対して一定の割合でズームインを行う。
【0068】
このように、スクロール距離に対して一定の割合で地図の縮尺を変化させるようにすれば、スクロール表示に伴う地図上の移動距離を感覚的に把握しやすくすることができる。
また、一定の割合で地図の縮尺を変化させることに限定されるものではなく、例えば、現在地から目的地まで地図をスクロールする過程において現在地が常に画面上に表示されるように(例えば、現在地が画面上に表示されることを条件としてできる限り詳細表示となるように)地図の縮尺を変化させ、地図をスクロールし終わった時点で地図の縮尺を詳細側へ変化させるようにしてもよい。このようにすれば、スクロールに伴い現在地が画面上に表示されなくなる場合に比べ、現在地を基準とする位置を把握しやすくすることができる。なお、この場合にも、第1実施形態のように、現在地が画面上に見える状態でズームアウトしながらスクロールしていき画面中央に目的地が来た時点でズームインを開始したり、第2実施形態のように、現在地が画面上に見える状態でズームアウトしながらスクロールしていき、画面上に目的地が表示されたら目的地が画面中央に来るようにスクロールしながらズームインを開始するようにしてもよい。
【0069】
一方、上記各実施形態のナビゲーション装置では、本発明でいう任意の地点として目的地を例示したが、これに限定されるものではなく、目的地以外の地点であっても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1実施形態のナビゲーション装置の概略構成を表すブロック図である。
【図2】第1実施形態の目的地表示処理のフローチャートである。
【図3】目的地設定画面の説明図である。
【図4】第1実施形態のスクロール時間と縮尺との関係を示す説明図である。
【図5】第2実施形態の目的地表示処理のフローチャートである。
【図6】第2実施形態のスクロール時間と縮尺との関係を示す説明図である。
【図7】第1実施形態の変形例としてのスクロール距離と縮尺との関係を示す説明図である。
【図8】第2実施形態の変形例としてのスクロール距離と縮尺との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0071】
11…位置検出器、12…ジャイロスコープ、13…距離センサ、14…GPS受信機、15…地図データ入力器、16…操作デバイス、17…外部メモリ、18…表示装置、19…音声出力装置、20…制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上における任意の地点を設定する地点設定手段と、
現在地から前記地点設定手段により設定された設定地点まで地図をスクロール表示しつつ地図の縮尺を変化させるズーム付きスクロール処理を行う地図表示手段と、
を備え、
前記地図表示手段は、前記ズーム付きスクロール処理において、現在地と前記設定地点との位置関係に応じて異なる条件で地図の縮尺を変化させること
を特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
現在地から前記設定地点までの距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段により算出された距離に応じて、前記ズーム付きスクロール処理における地図の最大広域縮尺を決定する縮尺決定手段と、
前記地図表示手段は、前記ズーム付きスクロール処理において、前記縮尺決定手段により決定された前記最大広域縮尺を上限として地図の縮尺を変化させること
を特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記地図表示手段は、現在地から前記設定地点まで地図をスクロールする過程において、前記最大広域縮尺に達するまで地図の縮尺を広域側へ変化させ、前記最大広域縮尺に達した時点で地図の縮尺を固定し、地図をスクロールし終わった時点で地図の縮尺を詳細側へ変化させること
を特徴とする請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記地図表示手段は、現在地から前記設定地点まで地図をスクロールする過程において、前記最大広域縮尺に達するまで地図の縮尺を広域側へ変化させ、前記最大広域縮尺に達した時点で地図の縮尺を詳細側へ変化させること
を特徴とする請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記地図表示手段は、地図の縮尺を詳細側へ変化させることにより規定の縮尺に達したタイミングで地図がスクロールし終わるように地図の縮尺を変化させること
を特徴とする請求項4に記載の地図表示装置。
【請求項6】
前記地図表示手段は、現在地から前記設定地点まで地図をスクロールする過程において、スクロール時間に対して一定の割合で地図の縮尺を変化させること
を特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項7】
前記地図表示手段は、現在地から前記設定地点まで地図をスクロールする過程において、スクロール距離に対して一定の割合で地図の縮尺を変化させること
を特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項8】
前記地図表示手段は、現在地から前記設定地点まで地図をスクロールする過程において現在地が常に表示されるように地図の縮尺を変化させ、地図をスクロールし終わった時点で地図の縮尺を詳細側へ変化させること
を特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項9】
前記地図表示手段は、現在地から前記設定地点までの地図のスクロールに要する時間が一定となるようにスクロール表示を行うこと
を特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項10】
前記地図表示手段は、現在地から前記設定地点まで地図をスクロールする過程において、スクロール表示を一定の速度で行うこと
を特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項11】
地図上における任意の地点を設定する地点設定手段と、
現在地から前記地点設定手段により設定された設定地点まで地図をスクロール表示しつつ地図の縮尺を変化させるズーム付きスクロール処理を行う地図表示手段
としてコンピュータを機能させるための地図表示プログラムであって、
前記地図表示手段は、前記ズーム付きスクロール処理において、現在地と前記設定地点との位置関係に応じて異なる条件で地図の縮尺を変化させること
を特徴とする地図表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−300328(P2009−300328A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157036(P2008−157036)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】