説明

地図表示装置

【課題】ユーザが感覚的に把握する起伏状態に合致した地図の立体表示が可能な「地図表示装置」を提供する。
【解決手段】制御部102は、HDD20によってハードディスク22から読み出されてバッファメモリ104に記憶された、地図上の各地点の標高値を含む地図データを読み出す。更に、制御部102は、その地図データに含まれる、地図上の第1の地点の標高値と該第1の地点の周辺の第2の地点との標高値との差に応じて定まる、第1の地点の立体表示における仮想的な標高値を示す立体表示用標高値を設定する。地図描画部106は、この立体表示用標高値に基づいて、第1の地点を含む地図の立体表示画像を描画し、ディスプレイ70に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図の立体表示を行う地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地図表示装置としてのナビゲーション装置は、一般に車両に搭載されており、車両の位置に応じた地図データを、ハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM等の地図データ記録媒体から読み出し、この地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像をディスプレイ装置に表示する。また、ナビゲーション装置は、地図画像に車両位置マークを重ね合わせて表示し、更には、車両の移動に応じて地図画像をスクロール表示させることにより、ユーザが車両の位置を把握することができるようになっている。
【0003】
このようなナビゲーション装置には、より実感的な地図画像を表示すべく、車両位置の上方等の所定の視点位置から見た地図の立体表示画像を生成、表示する機能を有するものも存在する。但し、地図上の各地点の標高値をそのまま用いて立体表示画像を生成、表示すると、ユーザが地形の起伏の状態をわかりづらい場合がある。このため、例えば特許文献1に記載された技術では、地形の起伏状態を強調表示するための標高倍率を求め、この標高倍率を各地点の標高値に乗じることにより、立体表示のための仮想的な標高値を算出し、その仮想的な標高値に基づく地図の立体表示画像の生成、表示を行う。
【特許文献1】特開平11−237836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ユーザは、地形の起伏を知覚する場合、地形の起伏の大きな部分は実際の起伏よりも大きく感じ、起伏の小さな部分は実際の起伏よりも小さく感じることが多い。しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術では、地形の起伏状態が小さい部分ほど、その起伏が強調表示されてしまい、ユーザが感覚的に把握する起伏状態との間にずれが生じてしまうことがある。
【0005】
本発明の目的は、上述した問題を解決するものであり、ユーザが感覚的に把握する起伏状態に合致した地図の立体表示が可能な地図表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る、地図の立体表示を行う地図表示装置は、地図上の第1の地点の標高値と該第1の地点の周辺の第2の地点の標高値との差に応じて定まる、前記第1の地点の立体表示における仮想的な標高値を示す立体表示用標高値を含む地図データを取得する地図データ取得手段と、前記地図データに含まれる前記第1の地点の立体表示用標高値に基づいて、前記第1の地点を含む地図の立体表示画像を表示ユニットに表示させる表示処理手段とを有する。
【0007】
この構成によれば、地図上の第1の地点について立体表示がなされる場合には、当該第1の地点と周辺の第2の地点との標高値の差に応じて定まる第1の地点の仮想的な標高値(立体表示用標高値)に基づいて、地図の立体表示画像が表示されることになる。従って、地形の起伏の大きな部分は実際の起伏よりも大きくさせ、起伏の小さな部分は実際の起伏よりも小さくさせた地図の立体表示画像を表示することが可能となり、ユーザが感覚的に把握する起伏状態に合致させることができる。
【0008】
本発明に係る、地図の立体表示を行う地図表示装置は、地図上の各地点の標高値を含む地図データを取得する地図データ取得手段と、前記地図データに含まれる、地図上の第1の地点の標高値と該第1の地点の周辺の第2の地点の標高値との差に応じて定まる、前記第1の地点の立体表示における仮想的な標高値を示す立体表示用標高値を設定する立体表示用標高値設定手段と、前記第1の地点の立体表示用標高値に基づいて、前記第1の地点を含む地図の立体表示画像を表示ユニットに表示させる表示処理手段とを有する。
【0009】
この構成によれば、上述と同様、地図上の第1の地点について立体表示がなされる場合には、当該第1の地点と周辺の第2の地点との標高値の差に応じて定まる第1の地点の仮想的な標高値(立体表示用標高値)が設定され、当該第1の地点の立体表示用標高値に基づいて、地図の立体表示画像が表示されることになる。従って、地形の起伏の大きな部分は実際の起伏よりも大きくさせ、起伏の小さな部分は実際の起伏よりも小さくさせた地図の立体表示画像を表示することが可能となり、ユーザが感覚的に把握する起伏状態に合致させることができる。
【0010】
同様の観点から、本発明に係る地図表示装置は、前記第1の立体表示用標高値が、前記第1の地点の標高値と前記第2の地点の標高値との差が第1の所定値以上である場合に、該標高値の差よりも前記第1の地点の立体表示用標高値と前記第2の地点の立体表示用標高値との差が大きくなるように設定され、前記第1の地点の標高値と前記第2の地点の標高値との差が第2の所定値以下である場合に、該標高値の差よりも前記第1の地点の立体表示用標高値と前記第2の地点の立体表示用標高値との差が小さくなるように設定されるようにしてもよい。
【0011】
また、本発明に係る地図表示装置は、前記立体表示用標高値設定手段が、操作ユニットの操作によって、前記立体表示用標高値に基づく地図の立体表示画像の表示が指定された場合に、前記第1の地点の立体表示用標高値を設定するようにしてもよい。
【0012】
この構成によれば、ユーザの要求に応じて適切な立体表示用標高値の設定、更には、地図の立体表示画像の表示が可能となる。
【0013】
また、本発明に係る地図表示装置は、前記地図データが、前記地図上の各地点の属性を含んでおり、前記立体表示用標高値設定手段が、操作ユニットの操作によって、前記属性が指定された場合に、該属性を有する地点の立体表示用標高値を設定するようにしてもよい。
【0014】
この構成によれば、例えば、地点の属性が「山」である場合にのみ、地形の起伏の大きな部分を実際の起伏よりも大きくさせたい等のユーザの要求に応じた適切な立体表示用標高値の設定、更には、地図の立体表示画像の表示が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、所定の地点について周辺の地点との標高差に応じた仮想的な標高値(立体表示用標高値)が設定され、当該立体表示用標高値に基づいて、地図の立体表示画像が表示されることにより、当該地図の立体表示画像を、ユーザが感覚的に把握する起伏状態に合致させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の地図表示装置が適用されたナビゲーション装置の構成を示す図である。図1に示すナビゲーション装置100は、車両に搭載されており、本体10、ハードディスクドライブ(HDD)20、操作部30、VICS受信部40、GPS受信部50、自律航法センサ60、ディスプレイ70及びスピーカ80により構成される。
【0017】
HDD20は、ハードディスク22を搭載しており、当該ハードディスク22に記録された地図データを読み出す。なお、地図データの記録媒体は、ハードディスク22に限られず、DVD、CD−ROM等であってもよく、記録媒体に応じたドライブが用意される。地図データは、図葉と称される、四隅の経度及び緯度によって特定される矩形領域毎に設けられている。この図葉毎の地図データは、図葉の縮尺の情報と、図葉に対応する矩形領域の四隅の経度及び緯度とを含んでおり、これらの経度及び緯度によって一意に特定される。また、図葉毎の地図データは、図葉の地図画像データや、図葉に対応する矩形領域内に存在する道路の道路情報を含む。
【0018】
図2は、道路情報の一例を示す図である。道路は、始点及び終点(ノード)とこれらノードを結ぶ直線(道路リンク)によって表される。そして、道路情報は、図2(a)に示すノードレコードと、図2(b)に示すリンクレコードからなる。図2(a)に示すノードレコードは、ノード毎に設けられるものであり、当該ノードの識別情報であるノード番号と、当該ノードの座標(経度及び緯度)と、当該ノードが端部となるリンク(接続リンク)の識別情報である接続リンク番号とを含む。
【0019】
一方、図2(b)に示すリンクレコードは、道路リンク毎に設けられる。このリンクレコードは、対応する道路リンクの識別情報であるリンク番号と、当該道路リンクが一般道であるか高速道であるか等のリンク属性と、当該道路リンクの始点であるノードの識別情報である始点ノード番号と、当該道路リンクの終点であるノードの識別情報である終点ノード番号とを含む。これらノードレコード及びリンクレコードによって、始点及び終点の2つのノードとこれらノードを結ぶ道路リンクからなる道路の位置が特定可能となる。
【0020】
また、図葉毎の地図データには、当該図葉に対応する矩形領域内に存在する地点毎に、当該地点の情報を含む。この地点は、所定の領域(例えば、矩形領域)を代表する位置(例えば、所定領域の中心)であり、所定の間隔で設定されている。
【0021】
図3は、地点情報の第1の例を示す図である。図3に示すように地点情報は、対応する地点の識別情報である地点番号と、対応する地点の座標(経度及び緯度)と、対応する地点の立体表示用標高値と、対応する地点が山地であるか平野であるか等を示す地点属性とを含む。ここで、立体表示用標高値とは、対応する地点(第1の地点)について当該第1の地点の標高値と、当該第1地点の周辺の地点(第2の地点)の標高値との差(標高値差)に応じて定まるものである。具体的には、第1の地点の立体表示用標高値は、標高値差が第1の所定値以上である場合に、当該標高値差よりも第1の地点の立体表示用標高値と第2の地点の立体表示用標高値との差が大きくなるように設定され、標高値差が第2の所定値(但し、第2の所定値<第1の所定値)以下である場合に、当該標高値差よりも第1の地点の立体表示用標高値と第2の地点の立体表示用標高値との差が小さくなるように設定される。一方、標高値差が第2の所定値よりも大きく、第1の所定値よりも小さい場合には、第1の地点の標高値がそのまま第1の地点の立体表示用標高値となる。
【0022】
ここで、標高値差は以下のようにして求めることができる。例えば、図4に示すように矩形領域のそれぞれに地点の設定がなされている場合、中心の矩形領域211の代表位置(中心)である第1の地点201と、当該第1の地点201を取り囲む周辺の8つの矩形領域212の代表位置(中心)である第2の地点202との標高値差は、8つの第2の地点202の標高値の平均値を算出し、更に、第1の地点201の標高値とその平均値との差を算出することにより求めることができる。なお、標高値の平均値を算出するために、どの領域の地点の標高値を用いるかは任意であり、図4に示すように、第1の地点201を取り囲む周辺の8つの矩形領域212の第2の地点202の標高値に限定されるものではない。例えば、これら8つの矩形領域212の第2の地点202から選択した地点の標高値を用いてもよく、8つの矩形領域212の更に外側の領域の地点の標高値を用いてもよい。
【0023】
一方、図5は、地点情報の第2の例を示す図である。図5に示す地点情報は、対応する地点の識別情報である地点番号と、対応する地点の座標(経度及び緯度)と、対応する地点の標高値と、対応する地点が山地であるか平野であるか等を示す地点属性とを含む。
【0024】
再び、図1に戻って説明する。操作部30は、図示しない操作ボタンやジョイスティック等を有しており、誘導経路検索時の目的地の設定等において、ユーザによって操作される。VICS受信部40は、電波ビーコンや光ビーコンから送信され、あるいは、FM放送に多重されて送信される、交通情報を含むVICS情報を受信する。このVICS情報は、5分間隔等の所定の周期で更新され、送信される。
【0025】
GPS受信部50は、車両の位置の検出に必要なGPS衛星からのGPS信号を受信する。自律航法センサ60は、車両の進行方向を検出するためのジャイロ等と、一定の走行距離毎にパルス(車速パルス)を発生する距離センサとにより構成される。
【0026】
本体10は、制御部102、バッファメモリ104、地図描画部106、操作画面・マーク発生部108、誘導経路記憶部110、誘導経路描画部112、交通情報描画部114、案内部116及び画像合成部118により構成される。
【0027】
制御部102は、CPU等によって構成され、メモリ103を内蔵する。この制御部102は、ナビゲーション装置100の全体を制御する。具体的には、制御部102は、GPS受信部50によって受信されたGPS信号や自律航法センサ60からの車速パルスの出力間隔に基づいて、車両の位置及び速度を算出するとともに、自律航法センサ60によって検出された車両の進行方向を取得する。また、制御部102は、HDD20に対して、ハードディスク22に記録された地図データの読み出しを指示する。制御部102の指示に応じてHDD104が読み出した地図データは、バッファメモリ104に記憶される。
【0028】
地図描画部106は、バッファメモリ104に記憶された地図データを読み出し、当該地図データに基づいてディスプレイ70の画面に対応する地図画像を描画する。この際、地図描画部106は、地図の平面表示画像のみならず、ユーザによる操作部30の操作や、ナビゲーション装置100の動作状態に応じて、上述した地点情報を用いることにより、地図の立体表示画像を描画することができる。
【0029】
具体的には、図3に示す地点情報を用いて地図の立体表示画像を描画する際、地図描画部106は、当該地点情報に含まれる地点座標や立体表示用標高値に基づいて、所定の視点位置から所定の方向を見た場合の地図の3次元モデルを生成し、当該3次元モデルを2次元であるディスプレイ70の画面の座標系に投影する処理を行う。一方、図5に示す地点情報を用いて地図の立体表示画像を描画する際、まず、制御部102は、当該地点情報に含まれる第1の地点の標高値と第2の地点の標高値との差を算出し、当該標高値差に応じて第1の地点の立体表示用標高値を算出する。更に、地図描画部106は、地点情報に含まれる地点座標や制御部102によって算出された立体表示用標高値に基づいて、所定の視点位置から所定の方向を見た場合の地図の3次元モデルを生成し、当該3次元モデルを2次元である画面の座標系に投影する処理を行う。
【0030】
投影には、正投影、透視投影等の公知の手法を用いることができる。また、所定の視点位置は、例えば車両位置の進行方向とは反対の上方の位置であり、上述した制御部102によって算出された車両位置及び進行方向に基づいて設定される。また、所定の方向とは、例えば車両の進行方向であり、上述した制御部102によって算出された進行方向が用いられる。
【0031】
また、制御部102は、ユーザによる操作部30の操作や、地図表示装置10の動作状態に応じて、操作画面・マーク発生部108に画像描画の指示を出す。操作画面・マーク発生部108は、この指示に応じて、各種メニュー画面や自車位置マーク、カーソル位置の画像を描画する。
【0032】
また、制御部102は、ユーザによる操作部30の誘導経路検索のための操作に応じて、バッファメモリ104に記憶された地図データを読み出し、当該地図データに基づいて、所定の経路探索アルゴリズム、例えば、横型探索法又はダイクストラ法等のシミュレーション計算を用いて、出発地から目的地までを結ぶ最もリンクコストが小さい誘導経路を探索する。誘導経路の情報は、誘導経路記憶部110に記憶される。
【0033】
図6は、誘導経路情報の一例を示す図である。出発地から目的地まで#1、#5、#3、#8及び#7の各ノード番号のノードをこの順で通過すべき誘導経路が探索される場合、図6に示すように、誘導経路情報には、これらのノードのノード番号とノード座標とを対応付けて構成される誘導経路上ノード情報が、その通過すべき順に配置される。
【0034】
再び、図1に戻って説明する。誘導経路描画部112は、誘導経路記憶部110に記憶された誘導経路情報に基づいて、誘導経路画像を生成する。
【0035】
また、制御部102は、交通情報描画部114に対して、VICS受信部40によって受信されたVICS情報で示される交通情報に対応する画像の態様を指示する。交通情報描画部114は、この指示に応じた態様の交通情報に対応する画像を描画する。
【0036】
また、制御部102は、誘導経路情報に基づく経路誘導中に、車両が交差点を曲がる必要等が生じた場合には、案内処理部114に対して、案内のための画像描画及び音声生成を指示する。案内処理部114は、この制御部102の指示に応じて、交差点の拡大画像の描画や案内音声の生成を行う。案内音声はスピーカ80から出力される。
【0037】
また、制御部102は、ユーザによる操作部30の操作や、ナビゲーション装置100の動作状態に応じて、画像合成部118に、画像合成を指示する。画像合成部118は、この指示に応じて、地図描画部106、操作画面・マーク発生部108、誘導経路描画部112、交通情報描画部114及び案内部116によって描画された各種画像を適宜合成し、得られた画像を表示ユニットとしてのディスプレイ70に表示させる。
【0038】
また、制御部102は、ユーザによる操作部30の操作や、ナビゲーション装置100の動作状態に応じて、音声を生成し、案内部116を介してスピーカ80に出力させる。
【0039】
本実施形態においては、制御部102が地図データ取得手段及び立体表示用標高値設定手段に対応し、地図描画部106及び画像合成部118が表示処理手段に対応する。
【0040】
次に、ナビゲーション装置100における地図の立体表示画像の表示の詳細について説明する。
【0041】
まず、図3に示す地点情報が地図データに含まれる場合の地図の立体表示画像の表示である第1実施例について説明する。図7は、第1実施例における地図の立体表示画像の表示の動作を示すフローチャートである。
【0042】
制御部102は、GPS受信部50によって受信されたGPS信号や自律航法センサ60からの車速パルスの出力間隔に基づいて、車両の位置及び速度を算出するとともに、自律航法センサ60によって検出された車両の進行方向を取得する(S101)。
【0043】
次に、制御部102は、HDD20に対して、算出した車両位置に基づいて、当該車両位置とその周辺の所定範囲に含まれる所定縮尺(例えば、その時点で設定されている縮尺)の図葉に対応する地図データの読み出しを指示する。所定範囲は、例えば矩形領域であり、四隅の経度及び緯度により特定され、当該四隅の経度及び緯度と所定縮尺とが読み出し指示としてHDD20へ出力される。HDD20は、この指示に応じて、入力した所定範囲の四隅の経度及び緯度に基づいて、当該所定範囲と重なる所定縮尺の図葉の地図データを特定してハードディスク22から読み出す(S102)。読み出された地図データは、バッファメモリ104に記憶される。
【0044】
次に、制御部102は、ユーザによって操作部30が操作されることにより、地図の立体表示が指示されたか否かを判定する(S103)。地図の立体表示が指示されなかった場合には、制御部102は、地図描画部106に対して、S101にて算出した車両位置を出力するとともに、地図の平面表示画像を描画するように指示する。地図描画部106は、この指示に応じて、バッファメモリ104に記憶された地図データを読み出し、当該地図データに基づいて、ディスプレイ70の画面に対応する、車両位置を中心とする地図の平面表示画像を描画する。描画された地図の平面表示画像は、画像合成部118へ出力される。更に、制御部102は、画像合成部118に対して画像合成を指示する。画像合成部118は、この指示に応じて、地図描画部106からの地図の平面表示画像と、操作画面・マーク発生部108、誘導経路描画部112、交通情報描画部114及び案内部116によって描画された各種画像とを適宜合成し、得られた画像をディスプレイ70に表示させる(S104)。
【0045】
一方、S103において、地図の立体表示が指示されたと判定した場合には、制御部102は、地図描画部106に対して、S101にて算出した車両位置及び取得した進行方向を出力するとともに、地図の立体表示画像を描画するように指示する。地図描画部106は、この指示に応じて、バッファメモリ104に記憶された地図データを読み出し、当該地図データに含まれる、各地点に対応する地点情報内の地点座標及び立体表示用標高値を特定する(S105)。
【0046】
次に、地図描画部106は、制御部102からの車両位置及び進行方向に基づいて、車両位置の進行方向とは反対の上方の位置を、地図の立体表示における視点位置として算出する。更に、地図描画部106は、S105において特定した各地点に対応する地点座標及び立体表示用標高値と、地図画像に含まれる地図画像データとに基づいて、視点位置から進行方向を見た場合の地図の3次元モデルを生成し、当該3次元モデルを2次元である画面の座標系に投影する処理を行って、ディスプレイ70の画面に対応する、地図の立体表示画像を描画する。描画された地図の立体表示画像は、画像合成部118へ出力される。更に、制御部102は、画像合成部118に対して画像合成を指示する。画像合成部118は、この指示に応じて、地図描画部106からの地図の立体表示画像と、操作画面・マーク発生部108、誘導経路描画部112、交通情報描画部114及び案内部116によって描画された各種画像とを適宜合成し、得られた画像をディスプレイ70に表示させる(S106)。
【0047】
次に、図5に示す地点情報が地図データに含まれる場合の地図の立体表示画像の表示である第2実施例について説明する。図8は、第2実施例における地図の立体表示画像の表示の動作を示すフローチャートである。
【0048】
図8におけるS201乃至S204の動作は、図7のS101乃至S104の動作と同様である。すなわち、制御部102は、GPS受信部50によって受信されたGPS信号や自律航法センサ60からの車速パルスの出力間隔に基づいて、車両の位置及び速度を算出するとともに、自律航法センサ60によって検出された車両の進行方向を取得する(S201)。
【0049】
次に、制御部102は、HDD20に対して、算出した車両位置に基づいて、当該車両位置とその周辺の所定範囲に含まれる所定縮尺の図葉に対応する地図データの読み出しを指示する。HDD20は、この指示に応じて、所定範囲と重なる所定縮尺の図葉の地図データを特定してハードディスク22から読み出す(S202)。読み出された地図データは、バッファメモリ104に記憶される。
【0050】
次に、制御部102は、ユーザによって操作部30が操作されることにより、地図の立体表示が指示されたか否かを判定する(S203)。地図の立体表示が指示されなかった場合には、制御部102は、地図描画部106に対して、S101にて算出した車両位置を出力するとともに、地図の平面表示画像を描画するように指示する。地図描画部106は、この指示に応じて、バッファメモリ104に記憶された地図データを読み出し、当該地図データに基づいて、ディスプレイ70の画面に対応する、車両位置を中心とする地図の平面表示画像を描画する。描画された地図の平面表示画像は、画像合成部118へ出力される。更に、制御部102は、画像合成部118に対して画像合成を指示する。画像合成部118は、この指示に応じて、地図描画部106からの地図の平面表示画像と、操作画面・マーク発生部108、誘導経路描画部112、交通情報描画部114及び案内部116によって描画された各種画像とを適宜合成し、得られた画像をディスプレイ70に表示させる(S204)。
【0051】
一方、S203において、地図の立体表示が指示されたと判定した場合には、制御部102は、ユーザによって操作部30が操作されることにより、立体表示用標高値を用いた立体表示をすべき地点の属性が指定されたか否かを判定する(S205)。
【0052】
立体表示用標高値を用いた立体表示をすべき地点の属性が指定されていない場合には、全ての地点について立体表示用標高値を用いた立体表示が行われる。すなわち、制御部102は、バッファメモリ104に記憶された地図データを読み出し、当該地図データに含まれる地点情報内の標高値により、各地点のそれぞれについて、その地点(第1の地点)の標高値と、当該第1の地点の周辺の複数の地点(第2の地点)の標高値とを特定する。例えば、図4に示すように地点の設定がなされている場合には、第2の地点は、第1の地点を取り囲む8つとなる。次に、制御部102は、複数の第2の地点の標高値の平均値を算出する。更に、制御部102は、第1の地点の標高値と複数の第2の地点の標高値の平均値との差(標高値差)を算出する。
【0053】
次に、制御部102は、標高値差と第1の所定値及び第2の所定値(但し、第2の所定値<第1の所定値)とを比較する。そして、制御部102は、標高値差が第1の所定値以上である場合には、その標高値差よりも第1の地点の立体表示用標高値と第2の地点の立体表示用標高値との差が大きくなるように、換言すれば、地形の起伏の大きな部分を実際の起伏よりも大きくさせるように、第1の地点の立体表示用標高値を設定する。一方、制御部102は、標高値差が第2の所定値以下である場合には、その標高値差よりも第1の地点の立体表示用標高値と第2の地点の立体表示用標高値との差が小さくなるように、換言すれば、地形の起伏の小さな部分を実際の起伏よりも小さくさせるように、第1の地点の立体表示用標高値を設定する。また、制御部102は、標高値差が第2の所定値よりも大きく、第1の所定値よりも小さい場合には、第1の地点の標高値をそのまま第1の地点の立体表示用標高値とする(S206)。
【0054】
立体表示用標高値の算出にはフィルタが用いられる。図9(a)は地点の標高値、図9(b)はフィルタの値を示す図である。図9(a)において、第1の地点201の標高値はEであり、周辺の8つの第2の地点202の標高値はA、B、C、D、F、G、H、Iである。また、図9(b)において第1の地点201に対応するフィルタ値はeであり、周辺の8つの第2の地点202に対応するフィルタ値はa、b、c、d、f、g、h、iである。これらのフィルタ値は、制御部102内のメモリ103に記憶されている。この場合、第1の地点201の立体表示用標高値は、(aA+bB+cC+dD+eE+fF+gG+hH+iI)/(a+b+c+d+e+f+g+h+i)により算出される。なお、立体表示用標高値を算出するために、どの領域の地点の標高値及びフィルタ値を用いるかは任意であり、図9に示すように、第1の地点201を取り囲む周辺の8つの矩形領域212の第2の地点202の標高値及びフィルタ値に限定されるものではない。例えば、これら8つの矩形領域212の第2の地点202から選択した地点の標高値及びフィルタ値を用いてもよく、8つの矩形領域212の更に外側の領域の地点の標高値及びフィルタ値を用いてもよい。
【0055】
標高値差よりも第1の地点の立体表示用標高値と第2の地点の立体表示用標高値との差が大きくなるように第1の地点の立体表示用標高値を設定する場合には、ハイパスフィルタが用いられる。図10(a)及び(b)はハイパスフィルタのフィルタ値の一例を示す図である。一方、標高値差よりも第1の地点の立体表示用標高値と第2の地点の立体表示用標高値との差が小さくなるように第1の地点の立体表示用標高値を設定する場合には、ローパスフィルタが用いられる。図11(a)及び(b)はローパスフィルタのフィルタ値の一例を示す図である。
【0056】
このようにして各地点の立体表示用標高値が設定されると、次に制御部102は、制御部102は、地図描画部106に対して、各地点毎に、その地点に対応する地点座標と立体表示用標高値を出力するとともに、S201にて算出した車両位置及び取得した進行方向を出力して、地図の立体表示画像を描画するように指示する。
【0057】
地図描画部106は、この指示に応じて、制御部102からの車両位置及び進行方向に基づいて、車両位置の進行方向とは反対の上方の位置を、地図の立体表示における視点位置として算出する。更に、地図描画部106は、制御部102からの各地点に対応する地点座標及び立体表示用標高値と、地図データに含まれる地図画像データとに基づいて、視点位置から進行方向を見た場合の地図の3次元モデルを生成し、当該3次元モデルを2次元である画面の座標系に投影する処理を行う。これにより、ディスプレイ70の画面に対応する、地図の立体表示画像が描画される。描画された地図の立体表示画像は、画像合成部118へ出力される。更に、制御部102は、画像合成部118に対して画像合成を指示する。画像合成部118は、この指示に応じて、地図描画部106からの地図の立体表示画像と、操作画面・マーク発生部108、誘導経路描画部112、交通情報描画部114及び案内部116によって描画された各種画像とを適宜合成し、得られた画像をディスプレイ70に表示させる(S208)。
【0058】
一方、S205において立体表示用標高値を用いた立体表示をすべき地点の属性が指定されたと判定した場合、制御部102は、バッファメモリ104に記憶された地図データを読み出し、当該地図データに含まれる地点情報のうち、ユーザによって指定された属性を有するものを特定する。ここで特定される地点情報は、ユーザによって指定された属性を有する地点に対応する地点情報である。更に、制御部102は、特定したユーザによって指定された属性を有する地点(第1の地点)に対応する地点情報内の標高値を特定するとともに、バッファメモリ104から読み出した地点情報内の標高値により、第1の地点の周辺の複数の地点(第2の地点)の標高値とを特定する。更に、制御部102は、第1の地点の標高値と複数の第2の地点の標高値の平均値との差(標高値差)を算出する。
【0059】
その後は、S206における動作と同様の動作が行われる。すなわち、制御部102は、標高値差と第1の所定値及び第2の所定値とを比較する。そして、制御部102は、標高値差が第1の所定値以上である場合には、ハイパスフィルタを用いて、その標高値差よりも第1の地点の立体表示用標高値と第2の地点の立体表示用標高値との差が大きくなるように、第1の地点の立体表示用標高値を設定する。一方、制御部102は、標高値差が第2の所定値以下である場合には、ローパスフィルタを用いて、その標高値差よりも第1の地点の立体表示用標高値と第2の地点の立体表示用標高値との差が小さくなるように、第1の地点の立体表示用標高値を設定する。また、制御部102は、標高値差が第2の所定値よりも大きく、第1の所定値よりも小さい場合には、第1の地点の標高値をそのまま第1の地点の立体表示用標高値とする(S207)。
【0060】
このようにして立体表示用標高値が設定されると、次に制御部102は、地図描画部106に対して、各地点毎に、その地点に対応する地点座標と立体表示用標高値又は標高値とを出力するとともに、S201にて算出した車両位置及び取得した進行方向を出力して、地図の立体表示画像を描画するように指示する。
【0061】
地図描画部106は、この指示に応じて、制御部102からの車両位置及び進行方向に基づいて、車両位置の進行方向とは反対の上方の位置を、地図の立体表示における視点位置として算出する。更に、地図描画部106は、制御部102からの各地点に対応する地点座標、立体表示用標高値又は標高値と、地図データに含まれる地図画像データとに基づいて、視点位置から進行方向を見た場合の地図の3次元モデルを生成し、当該3次元モデルを2次元である画面の座標系に投影する処理を行って、ディスプレイ70の画面に対応する、地図の立体表示画像を描画する。描画された地図の立体表示画像は、画像合成部118へ出力される。更に、制御部102は、画像合成部118に対して画像合成を指示する。画像合成部118は、この指示に応じて、地図描画部106からの地図の立体表示画像と、操作画面・マーク発生部108、誘導経路描画部112、交通情報描画部114及び案内部116によって描画された各種画像とを適宜合成し、得られた画像をディスプレイ70に表示させる(S208)。
【0062】
図12(a)は、従来の地図の立体表示画像の一例を示す図であり、図12(b)は、第1実施例及び第2実施例の地図の立体表示画像の一例を示す図である。また、図13(a)は、従来の地図の立体表示画像における地形の断面の一例を示す図であり、図13(b)は、第1実施例及び第2実施例の地図の立体表示画像の地形の断面の一例を示す図である。図12(a)及び図13(a)と図12(b)及び図13(b)とを比較すると、図12(a)及び図13(a)における起伏の大きな部分の地形301は、図12(b)及び図13(b)では、より大きな起伏となる。一方、図12(a)及び図13(a)における起伏の小さな部分の地形302は、図12(b)及び図13(b)では、より小さな起伏となる。
【0063】
このように、本実施形態のナビゲーション装置100は、地図上の第1の地点について立体表示がなされる場合には、当該第1の地点と周辺の第2の地点との標高値差に応じて、地形の起伏の大きな部分は実際の起伏よりも大きくさせ、起伏の小さな部分は実際の起伏よりも小さくさせるように、第1の地点の立体表示用標高値を求め、その立体表示用標高値に基づいて、地図の立体表示画像が表示される。従って、ユーザが感覚的に把握する起伏状態に合致させることができる。
【0064】
なお、上述した実施形態では、地図表示装置としてのナビゲーション装置100について説明したが、ナビゲーション装置100以外の地図表示装置についても、同様に本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上、説明したように、本発明に係る地図表示装置は、地図の立体表示画像を、ユーザが感覚的に把握する起伏状態に合致させることができ、地図表示装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】地図表示装置の構成を示す図である。
【図2】道路情報の一例を示す図である。
【図3】地点情報の第1の例を示す図である。
【図4】地点設定の一例を示す図である。
【図5】地点情報の第2の例を示す図である。
【図6】誘導経路情報の一例を示す図である。
【図7】第1実施例における地図の立体表示画像の表示の動作を示すフローチャートである。
【図8】第2実施例における地図の立体表示画像の表示の動作を示すフローチャートである。
【図9】地点の標高値及びフィルタの値を示す図である。
【図10】ハイパスフィルタのフィルタ値の一例を示す図である。
【図11】ローパスフィルタのフィルタ値の一例を示す図である。
【図12】従来の地図の立体表示画像の一例と、第1実施例及び第2実施例の地図の立体表示画像の一例とを示す図である。
【図13】従来の地図の立体表示画像における地形の断面の一例と、第1実施例及び第2実施例の地図の立体表示画像の地形の断面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
10 本体
20 ハードディスクドライブ(HDD)
22 ハードディスク
30 操作部
40 通信部
50 GPS受信部
60 自律航法センサ
70 ディスプレイ
80 スピーカ
100 ナビゲーション装置
102 制御部
103 メモリ
104 バッファメモリ
106 地図描画部
108 操作画面・マーク発生部
110 誘導経路記憶部
112 誘導経路描画部
114 交通情報描画部
116 案内部
118 画像合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図の立体表示を行う地図表示装置であって、
地図上の第1の地点の標高値と該第1の地点の周辺の第2の地点の標高値との差に応じて定まる、前記第1の地点の立体表示における仮想的な標高値を示す立体表示用標高値を含む地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記地図データに含まれる前記第1の地点の立体表示用標高値に基づいて、前記第1の地点を含む地図の立体表示画像を表示ユニットに表示させる表示処理手段とを有する地図表示装置。
【請求項2】
地図の立体表示を行う地図表示装置であって、
地図上の各地点の標高値を含む地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記地図データに含まれる、地図上の第1の地点の標高値と該第1の地点の周辺の第2の地点の標高値との差に応じて定まる、前記第1の地点の立体表示における仮想的な標高値を示す立体表示用標高値を設定する立体表示用標高値設定手段と、
前記第1の地点の立体表示用標高値に基づいて、前記第1の地点を含む地図の立体表示画像を表示ユニットに表示させる表示処理手段とを有する地図表示装置。
【請求項3】
前記第1の地点の立体表示用標高値は、前記第1の地点の標高値と前記第2の地点の標高値との差が第1の所定値以上である場合に、該標高値の差よりも前記第1の地点の立体表示用標高値と前記第2の地点の立体標示用標高値との差が大きくなるように設定され、前記第1の地点の標高値と前記第2の地点の標高値との差が第2の所定値以下である場合に、該標高値の差よりも前記第1の地点の立体表示用標高値と前記第2の地点の立体表示用標高値との差が小さくなるように設定される請求項1又は2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記立体表示用標高値設定手段は、操作ユニットの操作によって、前記立体表示用標高値に基づく地図の立体表示画像の表示が指定された場合に、前記第1の地点の立体表示用標高値を設定する請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記地図データは、前記地図上の各地点の属性を含んでおり、
前記立体表示用標高値設定手段は、操作ユニットの操作によって、前記属性が指定された場合に、該属性を有する地点の立体表示用標高値を設定する請求項2又は4に記載の地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−139625(P2009−139625A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315705(P2007−315705)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】