説明

基板処理ユニット、基板処理装置およびノズルの位置制御方法

【課題】ノズルの移動に係るオーバーヘッドタイムを短くするとともに、基板間でのこの時間にばらつきが生じることを防止できる技術を提供する。
【解決手段】現像処理ユニット1においては、ノズル21を共用する複数個の現像処理セット10のそれぞれにおいて1枚の基板Wに対する現像処理が行われる。制御部91は、ノズル21がある基板W1に対する現像液の吐出供給処理を終えると(AR2)、当該ノズル21を次に処理すべき基板W2について特定された待機位置PW2まで先行移動させて当該位置で待機させておく(AR3)。基板W2が現像処理ユニット1内に搬入されると、制御部91は、待機位置PW2に位置しているノズル21を吐出開始位置PS2まで移動させ(AR4)、スリット201から現像液を吐出させながら基板W2上を走査させる(AR5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板等(以下、単に「基板」という)に対して処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、半導体や液晶ディスプレイなどの製品は、上記基板に対して洗浄、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、層間絶縁膜の形成、熱処理、ダイシングなどの一連の諸処理を施すことにより製造されている。
【0003】
これらの諸処理を行う基板処理装置は、一般に、レジスト膜の形成処理、現像処理、熱処理等の各種処理を行う処理ユニットを所定の位置に配置して構成される。このような基板処理装置において装置全体のスループットを向上させるためには、各処理ユニットにおけるスループットの向上が必須である。このためには、実際の処理に要する処理時間以外の作業時間(オーバーヘッドタイム)をできるだけ短縮しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オーバーヘッドタイムは各種の場面で発生する。例えば、所定の処理液を吐出供給して基板を液処理する処理ユニットにおいては、ノズルの移動に係るオーバーヘッドタイムが問題となっている。これについて具体的に説明する。基板を液処理する処理ユニットは、一般に、所定の位置に被処理基板を保持する保持部と、保持部に保持された基板に対して処理液を吐出供給するノズルとを備える。このノズルは、基板の搬出入が行われる間は、その邪魔にならないように所定の待避位置におかれ、基板が処理ユニット内に搬入されて保持部に保持された後に、待避位置から基板に向けて処理液を吐出可能な所定の処理位置まで移動されてくることが多い。ここで、基板が保持部に保持されてからノズルが処理位置に到着するまでの時間がオーバーヘッドタイム(ノズルの移動に係るオーバーヘッドタイム)となり、これがスループット向上の妨げとなっていた。
【0005】
特に、それぞれにおいて1枚の基板に対する処理を実行する処理セットを複数個備える処理ユニットにおいてこれら複数の処理セット間でノズルを共用する場合、ノズルを処理セット間で移動させなければならないので、その移動に係るオーバーヘッドタイムがどうしても長くなり、スループットに大きな影響を与えてしまう。
【0006】
また一方で、基板間での処理均一性という側面からみると、ノズルの移動に係るオーバーヘッドタイムが基板間でばらつくことは好ましくない。例えば、現像処理においては現像液を塗布される基板の温度によって処理状態が変化してしまう。したがって、所定の温度で現像液が塗布されるように、基板は厳密に温度管理された状態で現像処理ユニット内に搬入されてくる。ところが、現像処理ユニット内で現像液を吐出供給するノズルの到着が遅れると、その基板について現像液を塗布するタイミングが遅れ、その基板は他の基板と異なる温度状態で現像液を塗布されることとなってしまう。この結果、基板間で温度処理履歴の不均一が生じ、不良基板の発生につながってしまう。このような事情は、現像処理だけでなくレジスト膜塗布処理等の各種処理においても同様に当てはまる。
【0007】
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ノズルの移動に係るオーバーヘッドタイムを短くするとともに、基板間でこの時間にばらつきが生じることを防止できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、基板に対する所定の処理を行う基板処理ユニットであって、それぞれにおいて1枚の基板に対する前記所定の処理を実行する複数の処理セットと、前記複数の処理セットの間で共用され、基板に対して処理液を供給する処理液供給手段と、を備え、前記処理液供給手段が、基板に対して前記処理液を吐出するノズルと、前記ノズルを前記複数の処理セットの間で移動させる駆動機構と、前記ノズルの位置を制御するノズル位置制御手段と、を備え、前記ノズル位置制御手段が、前記基板処理ユニットに搬入されてくる予定の基板のそれぞれについての処理情報を取得する処理情報取得手段と、基板についての前記処理情報に基づいて、前記ノズルが当該基板に対する前記処理液の吐出を開始する位置である吐出開始位置と、当該吐出開始位置に対して固定的な相対位置関係にある待機位置とを特定するノズル位置特定手段と、前記駆動機構を制御して、基板に対する前記処理液の吐出処理を終えた前記ノズルを、次に処理すべき基板について特定された前記待機位置まで移動させて当該待機位置で待機させ、前記基板が前記基板処理ユニット内に搬入されると、前記ノズルを前記待機位置から前記基板について特定された前記吐出開始位置まで移動させる駆動機構制御手段と、を備える。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の基板処理ユニットであって、前記複数の処理セットの間を移動する際の前記ノズルの移動経路を、前記基板処理ユニットに対する基板の搬出入を行う搬送機構のハンドが前記基板処理ユニット内に進入する領域である進入領域の外側に形成する。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の基板処理ユニットであって、前記吐出開始位置と当該吐出開始位置に対して固定的な相対位置関係にある前記待機位置とが、前記ノズルが直線移動で到達可能な位置関係にある。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の基板処理ユニットであって、基板についての前記処理情報が、当該基板を前記複数の処理セットのうちのいずれにて処理するかを指定する情報を含む。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の基板処理ユニットであって、前記処理液供給手段が前記ノズルを複数個備え、基板についての前記処理情報が、前記複数個のノズルのうちから、当該基板に対する前記処理液の吐出を行わせるノズルを選択指定する情報を含む。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の基板処理ユニットであって、前記処理液が現像液である。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の基板処理ユニットであって、前記処理液がレジスト膜材料である。
【0015】
請求項8の発明は、所定の外部装置に隣接して配置され、基板に対する一連の処理を行う基板処理装置であって、それぞれが基板に対する所定の処理を行う1以上の基板処理ユニットと、前記1以上の基板処理ユニットに所定の順序で基板を搬送していく主搬送機構とを備える処理部と、前記処理部と前記外部装置との間で基板を搬送するインターフェイス搬送機構と、を備え、前記1以上の基板処理ユニットのいずれかが、それぞれにおいて1枚の基板に対する前記所定の処理を実行する複数の処理セットと、前記複数の処理セットの間で共用され、基板に対して処理液を供給する処理液供給手段と、を備え、前記処理液供給手段が、基板に対して前記処理液を吐出するノズルと、前記ノズルを前記複数の処理セットの間で移動させる駆動機構と、前記ノズルの位置を制御するノズル位置制御手段と、を備え、前記ノズル位置制御手段が、前記基板処理ユニットに搬入されてくる予定の基板のそれぞれについての処理情報を取得する処理情報取得手段と、基板についての前記処理情報に基づいて、前記ノズルが当該基板に対する前記処理液の吐出を開始する位置である吐出開始位置と、当該吐出開始位置に対して固定的な相対位置関係にある待機位置とを特定するノズル位置特定手段と、前記駆動機構を制御して、基板に対する前記処理液の吐出処理を終えた前記ノズルを、次に処理すべき基板について特定された前記待機位置まで移動させて当該待機位置で待機させ、前記基板が前記基板処理ユニット内に搬入されると、前記ノズルを前記待機位置から前記基板について特定された前記吐出開始位置まで移動させる駆動機構制御手段と、を備える。
【0016】
請求項9の発明は、基板に対する所定の処理を行う基板処理ユニットにおいて、基板に対して所定の処理液を吐出するノズルの位置制御方法であって、前記基板処理ユニットが、それぞれの間で前記ノズルを共用しながら、それぞれにおいて1枚の基板に対する前記所定の処理を実行する複数の処理セット、を備え、前記基板処理ユニットに搬入されてくる予定の基板のそれぞれについての処理情報を取得する工程と、基板についての前記処理情報に基づいて、前記ノズルが当該基板に対する前記処理液の吐出を開始する位置である吐出開始位置と、当該吐出開始位置に対して固定的な相対位置関係にある待機位置とを特定する工程と、基板に対する前記処理液の吐出処理を終えた前記ノズルを、次に処理すべき基板について特定された前記待機位置まで移動させて当該待機位置で待機させる工程と、前記基板が前記基板処理ユニット内に搬入された後に、前記ノズルを前記待機位置から前記基板について特定された前記吐出開始位置まで移動させる工程と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
請求項1〜9の発明によると、複数の処理セットにて並行して基板を処理可能な構成を備える基板処理ユニットにおいて、ある基板に対する処理液の吐出処理を終えたノズルを次に処理すべき基板について特定された待機位置まで先行移動させておくので、基板がノズルを待つ時間はノズルがこの待機位置から吐出開始位置まで移動する間だけとなり、ノズルの移動に係るオーバーヘッドタイムを短くすることができる。また、基板について特定された吐出開始位置とその待機位置とは固定的な相対位置関係にあるので、ノズルが待機位置から吐出開始位置まで移動するのに要する時間が基板間でばらつくこともない。したがって、ノズルの移動に係るオーバーヘッドタイムを基板間で均一にすることができる。
【0018】
特に、請求項2の発明によると、処理セット間を移動する際のノズルの移動経路が、基板処理ユニットに対する基板の搬出入を行う搬送機構のハンドが基板処理ユニット内に進入する領域である進入領域の外側に形成されるので、搬送機構が基板処理ユニットに対する基板の搬出入を行っている間であってもノズルを処理セット間で自由に移動させることができる。
【0019】
特に、請求項3の発明によると、待機位置と吐出開始位置とがノズルが直線移動で到達可能な位置関係にあるので、ノズルを直線移動のみによって待機位置から吐出開始まで移動させることができる。これにより、基板がノズルの到着を待つ時間を効果的に短縮できる。
【0020】
特に、請求項6の発明によると、現像処理を行う処理ユニットにおけるスループットを向上させることができるとともに、現像処理の均一性を担保することができる。
【0021】
特に、請求項7の発明によると、レジスト膜の塗布形成を行う処理ユニットにおけるスループットを向上させることができるとともに、レジスト膜の塗布形成処理の均一性を担保することができる。
【0022】
特に、請求項8の発明によると、基板処理ユニットにおけるスループットを向上させることができるので、装置全体のスループットの向上を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〈1.現像処理ユニット〉
〈1−1.構成〉
この発明の実施の形態に係る基板処理ユニット(現像処理ユニット1)の全体構成について図1を参照しながら説明する。図1は、現像処理ユニット1の平面図である。なお、以下の説明において参照される図には、各部の位置関係や動作方向を明確化するために、共通のXYZ直交座標系が適宜付されている。
【0024】
現像処理ユニット1は、基板Wに対して現像処理を行う。現像処理ユニット1は、主として、複数個(この実施の形態においては、3個)の現像処理セット10と、これら現像処理セット10の間で共用される現像液供給部20と、現像液供給部20が備えるノズル21を受けるためのポッド30とを備える。なお、各現像処理セット10は、仕切り壁等で間仕切りされることなく同一の処理ユニット内にY方向に沿って併設されているものとする。
【0025】
また、現像処理ユニット1は、これら各部の動作を制御する制御部91を備える。制御部91は、各種の処理を実行するCPU、演算処理の作業領域となるRAM、予め設定された(もしくは操作部、表示部等のユーザインターフェイスを介してオペレータより入力された)処理レシピ(処理プログラム)等の各種情報を記憶する記憶媒体(例えば、固定ディスク)等により実現されている。
【0026】
〈現像処理セット10〉
現像処理セット10は、基板Wを回転可能に保持する回転保持部11と、当該回転保持部11に保持された基板Wの周囲に昇降可能に設けられるカップ12と、当該回転保持部11に保持された基板Wにリンス液を供給するリンスノズル13とを備える。すなわち、現像処理ユニット1はこれら各部材11,12,13を3個ずつ備える。
【0027】
回転保持部11は、基板Wを水平姿勢にて保持するとともに基板Wの中心を通る鉛直な回転軸の周りで基板Wを回転させる。回転保持部11は、電動モータ(図示省略)によって回転される回転軸(図示省略)の上端に固定されている。また、回転保持部11には吸気路(図示省略)が形成されており、回転保持部11上に基板Wを載置した状態で吸気路内を排気することにより、基板Wの下面を真空吸着し、基板Wを水平姿勢で保持することができる。
【0028】
カップ12は、先端を切り落としたドーム形状の部材であり、回転保持部11に保持された基板Wを囲繞する。カップ12には、これを昇降させる昇降機構(図示省略)が接続されている。昇降機構は、例えばエアシリンダにより構成される。昇降機構は、カップ12を処理位置(カップ12の上端が回転保持部11に保持された基板Wよりも上方にある位置))と待避位置(カップ12の上端が回転保持部11に保持された基板Wよりも下方にある位置)との間で移動させる。昇降機構は、制御部91と電気的に接続されており、制御部91からの制御に応じてカップ12の位置を処理位置と待避位置との間で切り換える。処理位置に移動させた状態においては、回転保持部11に保持された基板Wの表面から飛散した液滴がカップ12の内側面で受け止められる。
【0029】
リンスノズル13は、回転保持部11に保持された基板Wの上面に所定のリンス液を供給する機能部であり、回転保持部11と後述する開口部101との間に配設される。ただし、リンスノズル13は、開口部101から挿入される外部搬送機構(これについては後述する)のハンドと干渉しない高さにおかれるものとする。
【0030】
リンスノズル13は、リンス液供給源(図示省略)と接続され、基板Wに向けてリンス液を吐出する吐出部131を備える。吐出部131は、例えば、供給された処理液をそのまま吐出するいわゆるストレートノズルにより構成することができる。
【0031】
吐出部131は、水平方向に延びるアーム132の先端に取り付けられている。また、アーム132は、上方に延びる回動軸133の上端に取り付けられている。さらに、回動軸133には、これを回動させる回動機構(図示省略)が接続されている。回動機構は、例えば回動モータにより構成される。
【0032】
回動機構は、回動軸133を回動させることによって、アーム132の先端に取り付けられた吐出部131を処理位置(回転保持部11に保持された基板Wの中央上方位置)と待避位置(回転保持部11の側方位置)との間で移動させる。回動機構は、制御部91と電気的に接続されており、制御部91からの制御に応じて吐出部131の位置を処理位置と待避位置との間で切り換える。処理位置に移動させた状態で吐出部131からリンス液を吐出させることによって、基板Wの表面にリンス液を供給することができる。
【0033】
なお、現像処理ユニット1の筐体壁面であって、搬送スペースA(現像処理ユニット1に対する基板Wの搬出入を行う搬送機構(例えば、後述するメインロボットT21であり、以下「外部搬送機構」と示す)の移動エリア)に面する側には、各回転保持部11に対して基板Wを搬出入するための開口部101が形成されている。すなわち、外部搬送機構は、開口部101からそのハンドを挿入して、当該開口部101と対応する回転保持部11にアクセスすることができる。なお、開口部101は、シャッター等により開閉可能とされている。
【0034】
3個の現像処理セット10のそれぞれにおいては、これら各構成要素11,12,13と、各処理セット10の間で共用される現像液供給部20とによって、1枚の基板に対する現像処理が実行される。なお、以下において、3個の現像処理セット10を特に区別して示す場合は、+Y方向に沿って順に第1処理セットSD1、第2処理セットSD2、第3処理セットSD3と示す。
【0035】
〈現像液供給部20〉
現像液供給部20は、各現像処理セット10が備える回転保持部11に保持された基板Wの表面に所定の現像液を供給する機能部であり、回転保持部11の並びに対して搬送スペースAと逆側の位置に配置される。
【0036】
現像液供給部20は、回転保持部11上に載置された基板Wに向けて現像液を吐出するノズル21と、ノズル21に対して現像液を供給する処理液供給源(図示省略)とを備える。ノズル21は、例えばスリットノズルにより構成され、その下側面(基板Wと対向する面)に、基板Wの直径相当の長さのスリット(もしくは小孔列)201が形成される。ノズル21が、スリット201から現像液を吐出しながら回転保持部11に保持された基板Wの上方を走査すると、基板表面に現像液が帯状に供給される。
【0037】
ノズル21は、各現像処理セット10が配列された方向(Y方向)に沿って水平に配設された横ガイドレール22に摺動可能に取り付けられている。また、ノズル21には、これを横ガイドレール22に沿って移動させるY軸駆動機構23と、これを垂直方向に移動させるZ軸駆動機構24とが接続されている。各駆動機構23,24は制御部91と電気的に接続されており、制御部91からの制御に応じて制御される。
【0038】
制御部91は、Y軸駆動機構23を制御してノズル21を横ガイドレール22に沿って(すなわち、Y方向に沿って)移動させることができる。これにより、現像処理セット10間でノズル21を移動させることができるとともに、任意の現像処理セット10の回転保持部11に保持された基板Wの上方をノズル21に走査させることができる。また、制御部91は、Z軸駆動機構24を制御してノズル21を垂直方向に沿って(すなわち、Z方向に沿って)移動させることができる。
【0039】
図2を参照する。図2は、現像処理ユニット1の側断面図である。制御部91は、現像処理セット10間でノズル21を移動させる場合は、ノズル21を第1の高さにある水平面(移動走行面Z1)上で移動させる。ただし、移動走行面Z1(すなわち、現像処理セット10間を移動する際のノズル21の移動経路L21)は、外部搬送機構のハンドが現像処理ユニット1内に進入する領域(進入領域K)の外側(進入領域Kの上方)に形成される。すなわち、移動走行面Z1は、この平面上を移動するノズル21が進入領域Kと干渉しない高さ位置に設定される。これにより、外部搬送機構が現像処理ユニット1に対する基板Wの搬出入を行っている間であっても、そのハンドとの干渉を考慮せずにノズル21を現像処理セット10間で自由に移動させることができる。
【0040】
一方、制御部91は、基板Wの上方をノズル21に走査させる場合は、ノズル21を第1の高さよりも低い高さにある水平面(処理走行面Z2)上で移動させる。Z軸駆動機構24を制御することにより、制御部91は、移動走行面Z1と処理走行面Z2との間でノズル21を移動させることができる。
【0041】
〈ポッド30〉
ポッド30は、待機するノズル21を受けるための機能部である。また、ポッド30内にノズル21の下端面を洗浄する機構(洗浄ポット)を設け、収納されたノズル21の下端面を洗浄する機能をさらに付加してもよい。
【0042】
ポッド30は現像処理セット10と同数個だけ設けられる。複数個のポッド30のそれぞれは、複数の現像処理セット10のそれぞれに対応して設けられ、対応する現像処理セット10の備える回転保持部11の所定側に隣接して配置される。ただし、所定側とは、ノズル21が基板Wの上方を走査する方向と同じ側である。例えばノズル21が基板Wの上方を−Y方向に走査する場合、回転保持部11の−Y方向側にこれに対応するポッド30が配置される。なお、現像処理セット10の並びの端部に配置されるポッド30は、特に、ノズル21を使用しない間待機させておくポッドとしても用いられる。
【0043】
〈1−2.現像処理〉
現像処理ユニット1においては、複数の現像処理セット10のそれぞれにおいて1枚の基板Wに対する現像処理が行われる。各現像処理セット10において行われる処理の流れについて、図6を参照しながら説明する。図6は、現像処理ユニット1にて行われる処理の流れを示す図である。以下の処理は、制御部91が現像処理ユニット1の備える各部を制御することによって実行される。
【0044】
図示しない外部搬送機構(例えばメインロボットT21)が、開口部101を介して基板Wを現像処理ユニット1に搬入して、所定の現像処理セット10(当該基板Wを処理すべき現像処理セット10として例えば後述するメインコントローラ199が指定する処理セット)の回転保持部11上に載置すると、搬入された基板Wに対する現像処理が開始される。
【0045】
基板Wが回転保持部11上に載置されると、制御部91は、載置された基板Wを回転保持部11に保持させる(ステップS11)。
【0046】
続いて、制御部91は、現像液供給部20に基板W上に現像液を吐出供給させる(ステップS12)。基板Wの表面に現像液が液盛りされることにより、基板表面の現像反応が進行する。
【0047】
ステップS12の処理が終了すると、制御部91は、リンスノズル13を回動させて吐出部131を待避位置から処理位置まで移動させ、基板Wの中央付近に向けて所定のリンス液を吐出させる(ステップS13)。これにより基板表面の現像反応が停止する。
【0048】
続いて、制御部91は、回転保持部11を回転させて、基板表面のリンス液を遠心力により飛散させる(ステップS14)。これにより、基板Wの乾燥処理が行われる。所定時間が経過すると回転を停止させる。以上で現像処理が終了する。
【0049】
現像処理が終了すると、外部搬送機構が開口部101を介して基板Wを現像処理ユニット1から搬出する。
【0050】
〈1−3.ノズルの位置制御〉
現像処理ユニット1においては、上述した一連の処理(ステップS11〜ステップS14)が、各現像処理セット10において並行して行われる。ところで、上述した通り、現像液供給部20は複数の現像処理セット10の間で共用される。したがって、制御部91は、各現像処理セット10における現像液の吐出供給処理(ステップS12)のタイミングに合わせて、各現像処理セット10間でノズル21を適切に移動させなければならない。以下において、制御部91がノズル21の位置制御を行う態様について図3を参照しながら具体的に説明する。図3は、ノズル21の位置制御を行う機能に関する構成を示すブロック図である。
【0051】
制御部91には、ノズル21の位置制御に関する機能部として、処理情報取得部41と、ノズル位置特定部42と、駆動機構制御部43とが実現されている。これら各部は、制御部91が記憶媒体等に記憶されている所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、専用のハードウェアによって実現されてもよい。
【0052】
〈処理情報取得部41〉
処理情報取得部41は、現像処理ユニット1に搬入されてくる予定の基板Wのそれぞれについての処理情報(現像処理情報)を、制御部91と電気的に接続されたコンピュータ(例えば、後述する「基板処理装置100」の「メインコントローラ199」(図16参照))から取得する。
【0053】
現像処理情報とは、現像処理ユニット1において各基板Wに対してどの位置でどのような処理を行うかを規定する情報であり、特に、現像処理セット情報D11とノズル高さ情報D12とが含まれる。
【0054】
現像処理セット情報D11は、各基板Wを、第1処理セットSD1、第2処理セットSD2、第3処理セットSD3のうちのいずれで処理するかを特定する情報である。
【0055】
ノズル高さ情報D12は、ノズル21を位置させるべき高さを具体的に規定する情報である。
【0056】
〈ノズル位置特定部42〉
ノズル位置特定部42は、処理情報取得部41が取得した現像処理情報に基づいて、現像処理ユニット1に搬入されてくる予定の基板Wのそれぞれについて、吐出開始位置PS(基板Wに対する現像処理においてノズル21が当該基板に対する現像液の吐出を開始する位置)と、待機位置PW(基板Wに対する現像液の吐出処理に備えてノズル21を待機させる位置)とを特定する。
【0057】
吐出開始位置PSおよび待機位置PWをどのように特定するかについて、図4を参照しながら具体的に説明する。図4は、ノズル21の移動経路を模式的に示す図である。
【0058】
吐出開始位置PSは、現像処理セット情報D11とノズル高さ情報D12とに基づいて特定される。例えば、ある基板W(基板W1)について、現像処理セット情報D11により指定される処理セットが「第2処理セットSD2」であり、ノズル高さ情報D12により指定されるノズル高さ位置が処理走行面Z2であるとする。この場合、ノズル位置特定部42は、第2処理セットSD2の回転保持部11に保持された基板Wの周縁部位置の真上よりも手前の位置であって処理走行面Z2上の位置を、基板W1についての吐出開始位置PS1と特定する。
【0059】
待機位置PWは、吐出開始位置PSに対して固定的な相対位置関係にある位置である。より具体的には、基板Wについて特定された吐出開始位置PSから移動経路L21(すなわち、移動走行面Z1)に下ろした垂線が移動経路L21と交わる垂線交点が、当該基板Wについての待機位置PWとなる。換言すると、吐出開始位置PSの真上であって移動走行面Z1上の位置が待機位置PWとなる。上記に例示した基板W1の場合、ノズル位置特定部42は、第2処理セットSD2の回転保持部11に保持された基板Wの周縁部位置の真上よりも手前の位置であって移動走行面Z1上の座標位置を、基板W1についての待機位置PW1と特定する。
【0060】
この構成によると、待機位置PWが移動経路L21上に設定されるので、現像処理ユニット1に対する基板Wの搬出入を行う外部搬送機構が処理ユニットに対する基板の搬出入を行っている間であってもそのハンドとの干渉を考慮せずにノズル21を待機位置PWまで移動させてそこで待機させることができる。
【0061】
また、待機位置PWと吐出開始位置PSとが、ノズル21が直線移動(Z方向に沿った移動)で到達可能な位置関係におかれるので、制御部91は、Z軸駆動機構24を制御してノズル21をZ方向に沿って所定距離だけ移動させることのみによって、待機位置PWにあるノズル21を吐出開始位置PSまで移動させることができる。
【0062】
〈駆動機構制御部43〉
駆動機構制御部43は、Y軸駆動機構23およびZ軸駆動機構24を制御してノズル21を移動させる。駆動機構制御部43がノズル21を移動させる態様について、図4〜図6を参照しながら具体的に説明する。
【0063】
ある基板W(例えば、第2処理セットSD2の回転保持部11に保持される基板W(以下「基板W1」と示す))に対する現像液の吐出供給処理(ステップS12)を行う場合、駆動機構制御部43は以下の制御を行う。
【0064】
まず、Z軸駆動機構24を制御して、基板W1について特定された待機位置PW1に待機しているノズル21を基板W1について特定された吐出開始位置PS1まで移動させる(AR1)。そして、Y軸駆動機構23を制御して、処理走行面Z2上を−Y方向に沿って走らせる(AR2)。ただし、制御部91は、ノズル21が吐出開始位置PS1に到着すると、スリット201から現像液を吐出させる。ノズル21がスリット201から現像液を吐出しながら基板W1上面を走査することによって、基板W1上に現像液が液盛りされる。また、制御部91は、ノズル21が所定位置にきた時点でスリット201からの現像液の吐出を停止させる。これにより、基板W1に対する現像液の吐出供給処理(ステップS12)が実行される。
【0065】
基板W1に対する現像液の吐出供給処理が終了すると、駆動機構制御部43は、ノズル21を、次に処理すべき基板W(以下「基板W2」と示す)について特定された待機位置PW2まで先行移動させて当該位置PW2で待機させる(AR3)。具体的には、Z軸駆動機構24を制御して、基板W1に対する現像液の吐出処理を終えた位置にあるノズル21を、処理走行面Z2上から移動走行面Z1上に移動させる。その後に、Y軸駆動機構23を制御して移動走行面Z1上をY方向に沿って走らせて、ノズル21を待機位置PW2まで移動させる。駆動機構制御部43は、現像処理ユニット1に基板W2が搬入されるまで、この位置で処理ノズル21を待機させる。
【0066】
現像処理ユニット1に基板W2が搬入され、この基板W2に対する現像液の吐出供給処理(ステップS12)を行う場合、駆動機構制御部43は再び上述した制御を行う。すなわち、Z軸駆動機構24を制御して、待機位置PW2に位置しているノズル21を基板W2について特定された吐出開始位置PS2まで移動させる(AR4)。そして、Y軸駆動機構23を制御して、処理走行面Z2上を−Y方向に沿って走らせる(AR5)。上述した通り、制御部91は、ノズル21が吐出開始位置PS2に到着すると、スリット201から現像液を吐出させる。ノズル21がスリット201から現像液を吐出しながら基板W2上面を走査することによって、基板W2上に現像液が液盛りされる。これにより、基板W2に対する現像液の吐出供給処理(ステップS12)が実行される。
【0067】
基板W2に対する現像液の吐出供給処理が終了すると、駆動機構制御部43は、ノズル21を、次に処理すべき基板Wについて特定された待機位置PWまで移動させて当該位置PWで待機させる。
【0068】
駆動機構制御部43は、上記の制御を現像処理ユニット1内に次々と搬入される基板Wのそれぞれについて次々と実行していく。
【0069】
なお、基板Wに対する現像液の吐出処理を終える度毎にノズル21を一旦ポッド30に収納する必要がある場合(例えば、基板Wに対する現像液の吐出処理を終える度毎にノズル21の下端をポッド30内の洗浄機構にて洗浄する必要がある場合)、駆動機構制御部43は、移動走行面Z1上をY方向に沿って走らせて次の基板Wに対する待機位置PWまで移動させる前に、ノズル21をポッド30(先の被処理基板Wが保持されていた回転保持部11に対応するポッド30)まで搬送してそこに収納する。
【0070】
例えば、図5に示すように、基板W1に対する現像液の吐出処理を終えた位置にあるノズル21を、処理走行面Z2上から移動走行面Z1上に移動させた後に、Y軸駆動機構23を制御して移動走行面Z1上をY方向に沿って走らせて、所定のポッド30(基板W1が保持されていた回転保持部11に対応するポッド30)の真上まで移動させる。そして、Z軸駆動機構24を制御して、ポッド30内の収納位置までノズル21を下降させる(AR21)。ポッド30内にてノズル下端の洗浄処理が終了すると、再びZ軸駆動機構24を制御してポッド30内の収納位置にあるノズル21を移動走行面Z1上に移動させる。その後に、Y軸駆動機構23を制御して移動走行面Z1上をY方向に沿って走らせて、ノズル21を待機位置PW2まで移動させる(AR31)。
【0071】
〈1−4.ノズル21を移動させるタイミング〉
上述の通り、ある基板W(以下「基板W1」と示す)に対する現像液の吐出供給処理(ステップS12)が終了すると、駆動機構制御部43は、次に処理すべき基板W(以下「基板W2」と示す)について特定された待機位置PW(待機位置PW2)までノズル21を移動させて当該位置PW2で待機させる(AR3)。そして、待機位置PW2に待機しているノズル21を基板W2について特定された吐出開始位置PS2まで移動させ(AR4)、スリット201から現像液を吐出させながら基板W2上を走査させる(AR5)。これによって、基板W2に対する現像液の吐出供給処理(ステップS12)が行われる(図4参照)。
【0072】
ここにおいて、ノズル21の待機位置PW2から吐出開始位置PS2への移動(AR4)は、基板W2を現像処理ユニット1内に搬入した外部搬送機構のハンドが処理ユニットから退避するとすぐに開始されることが望ましい。なぜなら、現像処理ユニット1内に搬入された基板W2がノズル21の到着を待つ時間(ノズル21の移動に係るオーバーヘッドタイム)が長くなると、スループットの低下を招くからである。また、厳密に温度管理されて現像処理ユニット1内に搬入される基板W2の表面温度が時間とともに変化してしまうからである。
【0073】
このためには、できるだけ早く(好ましくは、遅くとも基板W2を現像処理ユニット1内に搬入したハンドが処理ユニットから退避するまでに)、ノズル21を待機位置PW2に到着させておくことが望ましい。
【0074】
このためには、ノズル21が基板W1に対する現像液の吐出供給処理(ステップS12)を終えるとすぐに、これを基板W2について特定された待機位置PW2に向けて移動開始させることが望ましい。
【0075】
このためには、できるだけ早く(好ましくは、遅くともノズル21が基板W1に対する現像液の吐出供給処理を終えるまでに)、処理情報取得部41が基板W2に対する現像処理情報を取得し、ノズル位置特定部42が当該取得された現像処理情報に基づいて基板W2に対する吐出開始位置PS2と待機位置PW2とを特定していることが好ましい。ノズル21が基板W1に対する現像液の吐出供給処理を終えるまでに吐出開始位置PS2と待機位置PW2とが特定されていれば、駆動機構制御部43は、ノズル21が基板W1に対する現像液の吐出供給処理を終えるとすぐに、これを基板W2について特定された待機位置PW2に向けて移動開始させることができる。
【0076】
〈2.レジスト塗布処理ユニット〉
〈2−1.構成〉
この発明の別の実施の形態に係る基板処理ユニット(レジスト塗布処理ユニット2)の全体構成について図7を参照しながら説明する。図7は、レジスト塗布処理ユニット2の平面図である。
【0077】
レジスト塗布処理ユニット2は、基板Wに対してレジスト膜の塗布形成処理を行う。レジスト塗布処理ユニット2は、主として、複数個(この実施の形態においては、3個)のレジスト塗布処理セット50と、これらレジスト塗布処理セット50の間で共用されるレジスト膜材料供給部60とを備える。なお、各レジスト塗布処理セット50は、仕切り壁等で間仕切りされることなく同一の処理ユニット内にY方向に沿って併設されているものとする。
【0078】
また、レジスト塗布処理ユニット2は、これら各部の動作を制御する制御部92を備える。制御部92は、各種の処理を実行するCPU、演算処理の作業領域となるRAM、予め設定された処理レシピ等の各種情報を記憶する記憶媒体等により実現されている。
【0079】
〈レジスト塗布処理セット50〉
レジスト塗布処理セット50は、基板Wを回転可能に保持する回転保持部51と、当該回転保持部51に保持された基板Wの周囲に昇降可能に設けられるカップ52と、当該回転保持部51に保持された基板Wの周縁部にリンス液を供給するエッジリンスノズル53とを備える。すなわち、レジスト塗布処理ユニット2はこれら各部材51,52,53を3個ずつ備える。
【0080】
回転保持部51の構成は回転保持部11と同様であり、カップ52の構成はカップ12と同様である。また、エッジリンスノズル53の構成はリンスノズル13とほぼ同様である。ただし、リンスノズル13が基板Wの中央に向けてリンス液を吐出供給するのに対し、エッジリンスノズル53は基板Wの周縁部に向けてリンス液を吐出供給する点が相違する。すなわち、リンスノズル13における吐出部131の処理位置は回転保持部11に保持された基板Wの中央上方位置であったのに対し、エッジリンスノズル53における吐出部531の処理位置は回転保持部51に保持された基板Wの周縁上方位置である。
【0081】
なお、レジスト塗布処理ユニット2の筐体壁面であって、搬送スペースA(レジスト塗布処理ユニット2に対する基板Wの搬出入を行う搬送機構(例えば、後述するメインロボットT21であり、以下「外部搬送機構」と示す)の移動エリア)側の面には、各回転保持部51に対して基板Wを搬出入するための開口部501が形成されている。すなわち、外部搬送機構は、開口部501からそのハンドを挿入して、当該開口部501と対応する回転保持部51にアクセスすることができる。
【0082】
3個のレジスト塗布処理セット50のそれぞれにおいては、これら各構成要素51,52,53と、各処理セット50の間で共用されるレジスト膜材料供給部60とによって、1枚の基板に対するレジスト膜の塗布形成処理が実行される。なお、以下において、3個のレジスト塗布処理セット50を特に区別して示す場合は、+Y方向に沿って順に第1処理セットSC1、第2処理セットSC2、第3処理セットSC3と示す。
【0083】
〈レジスト膜材料供給部60〉
レジスト膜材料供給部60は、各レジスト塗布処理セット50が備える回転保持部51に保持された基板Wの表面に所定のレジスト膜材料を供給する機能部であり、回転保持部51の並びに対して搬送スペースAと逆側の位置に配置される。
【0084】
レジスト膜材料供給部60は、回転保持部51上に載置された基板Wに向けてレジスト膜材料を吐出する1以上(例えば、8個)のノズル61を備える。ノズル61は、例えばストレートノズルにより構成される。
【0085】
8個のノズル61のそれぞれは、処理液供給管(図示省略)を介して処理液供給源(図示省略)のそれぞれに接続されている。なお、各ノズル61が接続された処理液供給源には、互いに種類や濃度が異なるレジスト膜材料がそれぞれ貯留されているものする。これによって、1以上のノズル61のそれぞれから、種類や濃度が互いに異なるレジスト膜材料を吐出させることができる。なお、処理液供給管は、ノズル61の移動を許容するように可動に構成されている。
【0086】
8個のノズル61は、ベース部63上に配置されたノズル載置部62上に載置される。ベース部63は、各レジスト塗布処理セット50が配列された方向(Y方向)に沿って水平に配設された第1横ガイドレール631に摺動可能に取り付けられている。また、ベース部63には、これを第1横ガイドレール631に沿って移動させるベース部駆動機構632が接続されている。ベース部駆動機構632は制御部92と電気的に接続されており、制御部92からの制御に応じて制御される。
【0087】
制御部92は、ベース部駆動機構632を制御して、ベース部63を第1横ガイドレール631に沿って(すなわち、Y方向に沿って)移動させる(AR63)。これにより、ベース部63を、複数個のレジスト塗布処理セット50のうちの任意のレジスト塗布処理セット50に対向する位置に移動させることができる。ただし、図9に示すように、ベース部63の移動経路(すなわち、レジスト塗布処理セット50間を移動する際のノズル61の移動経路L61)は、外部搬送機構のハンドがレジスト塗布処理ユニット2内に進入する領域(進入領域K)の外側(−X方向側、すなわち、レジスト塗布処理ユニット2の筐体壁面のうち、開口部501が形成された面を正面とした場合、進入領域Kの筐体背面側)に形成される。すなわち、第1横ガイドレール631は、これに沿って移動するベース部63の移動領域が進入領域Kと干渉しない位置に敷設される。これにより、外部搬送機構がレジスト塗布処理ユニット2に対する基板Wの搬出入を行っている間であっても、そのハンドとの干渉を考慮せずにベース部63をレジスト塗布処理セット50間で自由に移動させることができる。
【0088】
ベース部63上には、上述した8個のノズル61が所定方向(ここでは、Y方向)に沿って隣接して載置されるノズル載置部62と、ノズル載置部62上に載置されたノズル61を把持して移動させる把持部64とが配置される。
【0089】
ノズル載置部62は、各ノズル61が配列された方向(Y方向)に沿ってベース部63上に水平に配設された第2横ガイドレール621に摺動可能に取り付けられている。また、ノズル載置部62には、これを第2横ガイドレール621に沿って移動させるノズル載置部駆動機構622が接続されている。ノズル載置部駆動機構622は制御部92と電気的に接続されており、制御部92からの制御に応じて制御される。
【0090】
制御部92は、ノズル載置部駆動機構622を制御してノズル載置部62を第2横ガイドレール621に沿って(すなわち、ベース部63上をY方向に沿って)移動させて、8個のノズル61のうちの任意のノズル61を後述するノズル把持部641の梁部中央の真下に移動させることができる(AR62)。これにより、8個のノズル61のうちの任意のノズル61を後述するピックアップ部643に把持させることができる。
【0091】
把持部64は、ノズル載置部62をまたぐようにベース部63上に固設された門形状の支持部641と、ノズル把持部641の梁部中央に取り付けられた伸縮可能な把持アーム642と、把持アーム642の先端に取り付けられたピックアップ部643とを備える。把持アーム642には、これを上下方向に沿って伸縮させる第1駆動機構644と、これを横ガイドレール621,631と直交する水平方向(すなわち、移動経路L61と直交する方向であり、図7においてはX方向)に沿って伸縮させる第2駆動機構645とが接続されている。各駆動機構644,645は制御部92と電気的に接続されており、制御部92からの制御に応じて制御される。
【0092】
制御部92は、第1駆動機構644を制御して、把持アーム642をZ方向について伸縮させることによって、ピックアップ部643を、支持部641の梁部中央位置(原点位置)とノズル載置部62に載置されたノズル61の高さ位置(降下位置)との間で移動させることができる。ピックアップ部643を原点位置から降下位置に移動させ、真下にあるノズル61を把持させた上で再び原点位置に移動させることによって、ノズル載置部62上に載置された8個のノズル61のうち、原点位置の真下に位置しているノズル61をピックアップすることができる。また、ノズル61を把持しているピックアップ部643を原点位置から降下位置に移動させ、降下位置にてノズル61をリリースさせることによって、ピックアップされていたノズル61をノズル載置部62上に戻すことができる。
【0093】
また、制御部92は、第2駆動機構645を制御して、把持アーム642をX方向について伸縮させることによって、ピックアップ部643を、原点位置と基板Wの中央上方位置(より具体的には、ノズル載置部62が対向位置におかれているレジスト塗布処理セット50の回転保持部51に保持された基板Wの中央上方位置)との間で移動させることができる。ピックアップ部643を原点位置から基板Wの中央上方位置に移動させ、当該位置にてノズル61からレジスト膜材料を吐出させることによって、基板W上面にレジスト膜材料を供給することができる。
【0094】
〈2−2.レジスト膜の塗布形成処理〉
レジスト塗布処理ユニット2においては、複数のレジスト塗布処理セット50のそれぞれにおいて1枚の基板Wに対するレジスト膜の塗布形成処理が行われる。各レジスト塗布処理セット50において行われる処理の流れについて、図10を参照しながら説明する。図10は、レジスト塗布処理ユニット2にて行われる処理の流れを示す図である。以下の処理は、制御部92がレジスト塗布処理ユニット2の備える各部を制御することによって実行される。
【0095】
図示しない外部搬送機構(例えばメインロボットT21)が、開口部501を介して基板Wをレジスト塗布処理ユニット2に搬入して、所定のレジスト塗布処理セット50(当該基板Wを処理すべきレジスト塗布処理セット50として例えば後述するメインコントローラ199が指定する処理セット)の回転保持部51上に載置すると、搬入された基板Wに対するレジスト膜の塗布形成処理が開始される。
【0096】
基板Wが回転保持部51上に載置されると、制御部92は、載置された基板Wを回転保持部51に保持させる(ステップS21)。
【0097】
続いて、制御部92は、レジスト膜材料供給部60に基板W上に所定のレジスト膜材料(当該基板Wに対して塗布すべきレジスト膜材料として後述するメインコントローラ199が指定するレジスト膜材料)を吐出供給させる(ステップS22)。これにより、基板Wの表面にレジスト膜が形成される。
【0098】
ステップS22の処理が終了すると、制御部92は、エッジリンスノズル53を回動させて吐出部531を待避位置から処理位置まで移動させ、基板Wの周縁付近に向けて所定のリンス液を吐出させる(ステップS23)。これにより基板Wの周縁部から所定幅の領域に形成されたレジスト膜が除去される。以上でレジスト膜の塗布形成処理が終了する。
【0099】
レジスト膜の塗布形成処理が終了すると、外部搬送機構が開口部501を介して基板Wをレジスト塗布処理ユニット2から搬出する。
【0100】
〈2−3.ノズルの位置制御〉
レジスト塗布処理ユニット2においては、上述した一連の処理(ステップS21〜ステップS23)が、各レジスト塗布処理セット50において並行して行われる。ところで、上述した通り、レジスト膜材料供給部60は複数のレジスト塗布処理セット50の間で共用される。したがって、制御部92は、各レジスト塗布処理セット50におけるレジスト膜材料の吐出供給処理(ステップS22)のタイミングに合わせて、各レジスト塗布処理セット50間でノズル61を適切に移動させなければならない。以下において、制御部92がノズル61の位置制御を行う態様について図8を参照しながら具体的に説明する。図8は、ノズル61の位置制御を行う機能に関する構成を示すブロック図である。
【0101】
制御部92には、ノズル61の位置制御に関する機能部として、処理情報取得部71と、ノズル位置特定部72と、駆動機構制御部73とが実現されている。これら各部は、制御部92が記憶媒体等に記憶されている所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、専用のハードウェアによって実現されてもよい。
【0102】
〈処理情報取得部71〉
処理情報取得部71は、レジスト塗布処理ユニット2に搬入されてくる予定の基板Wのそれぞれについての処理情報(レジスト膜塗布処理情報)を、制御部92と電気的に接続されたコンピュータ(例えば、後述する「メインコントローラ199」(図16参照))から取得する。
【0103】
レジスト膜塗布処理情報とは、レジスト塗布処理ユニット2において各基板Wに対してどの位置でどのような処理を行うかを規定する情報であり、特に、レジスト塗布処理セット情報D21とレジスト塗布レシピ情報D22とが含まれる。
【0104】
レジスト塗布処理セット情報D21は、各基板Wを、第1処理セットSC1、第2処理セットSC2、第3処理セットSC3のうちのいずれで処理するかを特定する情報である。
【0105】
レジスト塗布レシピ情報D22は、各基板Wに対してどのような処理を行うかを具体的に規定する情報である。レジスト塗布レシピ情報D22には、レジスト膜材料供給部60が備える8個のノズル61のうち、いずれのノズル61を用いて基板Wに対する処理を行うかを指定する情報が含まれる。これは、上述した通り、8個のノズル61のそれぞれからは種類や濃度の異なるレジスト膜材料が吐出されるので、処理に用いるレジスト膜材料の種類等に応じて用いるべきノズル61が変わってくるからである。
【0106】
〈ノズル位置特定部72〉
ノズル位置特定部72は、処理情報取得部71が取得したレジスト膜塗布処理情報に基づいて、レジスト塗布処理ユニット2に搬入されてくる基板Wのそれぞれについて、吐出開始位置PS(基板Wに対するレジスト膜の塗布形成処理においてノズル61が当該基板に対するレジスト膜材料の吐出を行う位置)と、待機位置PW(基板Wに対するレジスト膜材料の吐出処理に備えてノズル61を待機させる位置)とを特定する。
【0107】
吐出開始位置PSおよび待機位置PWをどのように特定するかについて、図9を参照しながら具体的に説明する。図9は、ノズル61の移動経路を模式的に示す図である。
【0108】
吐出開始位置PSは、レジスト塗布処理セット情報D21に基づいて特定される。例えば、ある基板W(基板W1)について、レジスト塗布処理セット情報D21により指定される処理セットが「第3処理セットSC3」であるとする。この場合、ノズル位置特定部72は、第3処理セットSC3の回転保持部51に保持された基板Wの中央の真上に相当する位置を、基板W1についての吐出開始位置PS1と特定する。
【0109】
待機位置PWは、吐出開始位置PSに対して固定的な相対位置関係にある位置である。より具体的には、基板Wについて特定された吐出開始位置PSから移動経路L61に下ろした垂線が移動経路L61と交わる垂線交点が、当該基板Wについての待機位置PWとなる。上述した通り、制御部92は、ピックアップ部643にノズル61を把持させた状態で把持アーム642を移動経路L61と直交する方向(+X方向)に向けて伸長させて、原点位置にあるピックアップ部643を被処理基板Wの中央の真上に相当する位置まで移動させる。これにより、ピックアップ部643に保持されたノズル61が、当該基板Wの吐出開始位置PSまで移動することになる。つまり、把持アーム642を+X方向に伸長させる直前のピックアップ部643(すなわち、原点位置におかれているピックアップ部643)に把持されたノズル61の位置が待機位置PWとなる。上記に例示した基板W1の場合、ノズル位置特定部72は、ベース部63が第3処理セットSC3に対向する位置におかれた状態で、原点位置におかれたピックアップ部643に把持されるノズル61の位置を、基板W1についての待機位置PW1と特定する。
【0110】
この構成によると、待機位置PWが移動経路L61上に設定されるので、レジスト塗布処理ユニット2に対する基板Wの搬出入を行う外部搬送機構が処理ユニットに対する基板の搬出入を行っている間であってもそのハンドとの干渉を考慮せずにノズル61を待機位置PWまで移動させてそこで待機させることができる。
【0111】
また、待機位置PWと吐出開始位置PSとが、ノズル61が直線移動(X方向に沿った移動)で到達可能な位置関係におかれるので、制御部92は、第2駆動機構645を制御してノズル21をX方向に沿って所定距離だけ移動させることのみによって、待機位置PWにあるノズル61を吐出開始位置PSまで移動させることができる。
【0112】
〈駆動機構制御部73〉
駆動機構制御部73は、レジスト膜材料供給部60の備える各駆動機構を制御してノズル61を移動させる。駆動機構制御部73がノズル61を移動させる態様について、図9および図10を参照しながら具体的に説明する。
【0113】
ある基板W(例えば、第3処理セットSC3の回転保持部51に保持される基板W(以下「基板W1」と示す))に対するレジスト膜材料の吐出供給処理(ステップS22)を行う場合、駆動機構制御部73は以下の制御を行う。
【0114】
まず、第2駆動機構645を制御して把持アーム642を+X方向に伸長させて、基板W1について特定された待機位置PW1に待機している処理ノズル61(基板W1の処理に用いるべきノズルとしてレジスト塗布レシピ情報D22において指定されたノズルであり、以下「処理ノズル611」と示す)を基板W1について特定された吐出開始位置PS1まで移動させる(AR21)。制御部92は、処理ノズル611が吐出開始位置PS1に到着すると、ノズル61からレジスト膜材料を吐出させる。所定量のレジスト膜材料が吐出されると、制御部92はレジスト膜材料の供給を停止させる。ただし、レジスト膜材料を吐出する量等は、レジスト塗布レシピ情報D22にて指定されているものとする。これにより、基板W1に対するレジスト膜材料の吐出供給処理(ステップS22)が実行される。
【0115】
基板W1に対するレジスト膜材料の吐出供給処理が終了すると、駆動機構制御部73は、次に処理すべき基板W(以下「基板W2」と示す)の処理に用いるべきノズルとしてレジスト塗布レシピ情報D22において指定されたノズル(以下「処理ノズル612」と示す)を、基板W2について特定された待機位置PW2まで先行移動させて当該位置PW2で待機させる(AR22,AR23,AR24)。
【0116】
具体的には、まず、基板W1に対するレジスト膜材料の吐出処理を終えた処理ノズル611を、ノズル載置部62上の所定位置に戻す(AR22)。すなわち、第2駆動機構645を制御して把持アーム642を収縮させて、処理ノズル611を把持した状態のピックアップ部643を原点位置に戻し、さらに第1駆動機構644を制御して把持アーム642を−Z方向に伸長させてこれを降下位置まで移動させ、この位置で把持している処理ノズル611をリリースさせる。続いて、ベース部駆動機構632を制御して、ベース部63を所定の処理セット(基板W2の処理を行う処理セットとしてレジスト塗布処理セット情報D21において指定された処理セット)に対向する位置に移動させる(AR23)とともに、ノズル載置部駆動機構622を制御してノズル載置部62を移動させて処理ノズル612を支持部641の梁部中央の真下(すなわち、ピックアップ部643の原点位置の真下)に位置させる(AR24)。そして、第1駆動機構644を制御してピックアップ部643に処理ノズル612をピックアップさせる。これにより、処理ノズル612が基板W2についての待機位置PW2におかれることになる。駆動機構制御部73は、レジスト塗布処理ユニット2に基板W2が搬入されるまで、この位置で処理ノズル612を待機させる。
【0117】
レジスト塗布処理ユニット2に基板W2が搬入され、この基板W2に対するレジスト膜材料の吐出供給処理(ステップS22)を行う場合、駆動機構制御部73は再び上述した制御を行う。すなわち、第2駆動機構645を制御して把持アーム642を+X方向に向けて伸長させて、待機位置PW2に位置している処理ノズル612を基板W2について特定された吐出開始位置PS2まで移動させる(AR25)。上述した通り、制御部92は、ノズル61が吐出開始位置PS2に到着すると、ノズル61からレジスト膜材料を吐出させる。これにより、基板W2に対するレジスト膜材料の吐出供給処理(ステップS22)が実行される。
【0118】
基板W2に対するレジスト膜材料の吐出供給処理が終了すると、駆動機構制御部73は、所定のノズル61(当該基板Wの処理に用いるべきノズル)を、当該基板Wについて特定された待機位置PWまで移動させて当該位置PWで待機させる。
【0119】
駆動機構制御部73は、上記の制御をレジスト塗布処理ユニット2内に次々と搬入される基板Wのそれぞれについて次々と実行していく。
【0120】
〈2−4.ノズル61を移動させるタイミング〉
上述の通り、ある基板W(以下「基板W1」と示す)に対するレジスト膜材料の吐出供給処理(ステップS22)が終了すると、駆動機構制御部73は、次に処理すべき基板W(以下「基板W2」と示す)について特定された待機位置PW(待機位置PW2)まで所定のノズル61(以下「処理ノズル612」と示す)を移動させて当該位置PW2で待機させる(AR22,AR23,AR24)。そして、待機位置PW2に待機している処理ノズル612を基板W2について特定された吐出開始位置PS2まで移動させ(AR25)、当該位置PS2で処理ノズル612からレジスト膜材料を吐出させる。これによって、基板W2に対するレジスト膜材料の吐出供給処理(ステップS22)が行われる(図9参照)。
【0121】
ここにおいて、処理ノズル612の待機位置PW2から吐出開始位置PS2への移動(AR25)は、基板W2をレジスト塗布処理ユニット2内に搬入した外部搬送機構のハンドが処理ユニットから退避するとすぐに開始されることが望ましい。なぜなら、レジスト塗布処理ユニット2内に搬入された基板W2が処理ノズル612の到着を待つ時間が長くなると、スループットの低下を招くからである。また、厳密に温度管理されてレジスト塗布処理ユニット2内に搬入される基板W2の表面温度が時間とともに変化してしまうからである。
【0122】
このためには、できるだけ早く(好ましくは、遅くとも基板W2をレジスト塗布処理ユニット2内に搬入したハンドが処理ユニットから退避するまでに)、処理ノズル612を待機位置PW2に到着させておくことが望ましい。
【0123】
このためには、処理ノズル611が基板W1に対するレジスト膜材料の吐出供給処理(ステップS22)を終えるとすぐに、次に処理すべき基板W2について特定された待機位置PW2に当該基板W2の処理に用いる処理ノズル612を移動させる制御を開始することが望ましい。
【0124】
このためには、できるだけ早く(好ましくは、遅くとも処理ノズル611が基板W1に対するレジスト膜材料の吐出供給処理を終えるまでに)、処理情報取得部71が基板W2に対するレジスト膜塗布形成処理情報を取得し、ノズル位置特定部72が当該取得されたレジスト膜塗布形成処理情報に基づいて基板W2に対する吐出開始位置PS2と待機位置PW2とを特定していることが好ましい。処理ノズル611が基板W1に対するレジスト膜材料の吐出供給処理を終えるまでに吐出開始位置PS2と待機位置PW2とが特定されていれば、駆動機構制御部73は、ノズル61が基板W1に対するレジスト膜材料の吐出供給処理を終えるとすぐに、基板W2について特定された待機位置PW2に当該基板W2の処理に用いる処理ノズル612を移動させる制御を開始することができる。
【0125】
〈3.基板処理装置〉
上述した現像処理ユニット1やレジスト塗布処理ユニット2は、例えば、基板Wに塗布処理、熱処理、現像処理等の各処理を行う処理ユニットを所定の位置に配置した基板処理装置100に搭載される。現像処理ユニット1およびレジスト塗布処理ユニット2が搭載された基板処理装置100について、図11〜図17を参照しながら説明する。図11は、基板処理装置100の全体構成を模式的に示す平面図である。図12、図13、図14および図15は、基板処理装置100を、図11に示す矢印Q1方向、矢印Q2方向、矢印Q3方向および矢印Q4方向からそれぞれみた縦断面図である。図16は、基板処理装置100の制御ブロック図である。図17は、基板処理装置100の備える搬送機構のそれぞれが反復して行う動作の流れを示す図である。
【0126】
〈3−1.制御系〉
まず、基板処理装置100の制御系について図16を参照しながら説明する。基板処理装置100は、後述する各構成部110,120,130の動作を制御する制御部(第1〜第4コントローラ191〜194およびメインコントローラ199)、および、ユーザインターフェイスである操作部および表示部(いずれも図示省略)を備えている。制御部は、図示しないLAN回線等を通じて基板処理装置100と隣接して配置された露光装置EXPとも接続されている。
【0127】
第1コントローラ191〜第4コントローラ194およびメインコントローラ199のそれぞれは、各種の処理を実行するCPU、演算処理の作業領域となるRAM、予め設定された(もしくは操作部、表示部等のユーザインターフェイスを介してオペレータより入力された)処理レシピ(処理プログラム)等の各種情報を記憶する記憶媒体(例えば、固定ディスク)等により実現されている。
【0128】
第1コントローラ191〜第4コントローラ194は、後述する各構成部を互いに独立して制御する。第1コントローラ191はID部110の搬送機構(IDロボットT10)を制御する。第2コントローラ192は、上段の基板処理列201の搬送機構(メインロボットT21)および上段の基板処理列201が備える処理ユニット(ただし、PEB処理ユニット列211dの備える処理ユニットを除く)を制御する。第3コントローラ193は、下段の基板処理列201の搬送機構(メインロボットT21)および下段の基板処理列201が備える処理ユニット(ただし、PEB処理ユニット列211dが備える処理ユニットを除く)を制御する。第4コントローラ194は、IF部130の搬送機構(PEBロボットT31およびIFロボットT32)およびPEB処理ユニット列211dが備える処理ユニット(熱処理ユニットP−HP)を制御する。
【0129】
なお、第2コントローラ192および第3コントローラ193のそれぞれは、基板処理列201の備える現像処理ユニット1およびレジスト塗布処理ユニット2を制御する。すなわち、基板処理装置100においてはコントローラ192,193のそれぞれが上述した制御部91,92に相当する。
【0130】
メインコントローラ199は、4個のコントローラ191〜194を統括的に制御して、基板処理装置100にて基板Wに対して行われる一連の処理プロセス(レジスト塗布、露光、熱処理、現像、エッチング等の一連の処理プロセス)を総括的に管理する。具体的には、基板処理装置100の備える複数の搬送機構T10,T21,T22,T31,T32の連携を制御して、後述するID部110から払い出された基板Wをどのような順番でどの処理ユニットに(ひいては、どの処理セットに)搬入していくかを管理する。また、4個のコントローラ191〜194のそれぞれに対して各種の処理情報(例えば、現像処理情報、レジスト膜塗布処理情報等)を与えて、各処理ユニットにて各基板Wに対して行う具体的な処理内容を管理する。また、ID部110から払い出された基板Wが、キャリアCから搬出されたのと同じ順序で各処理ユニットや露光装置EXPに搬入されるように各搬送機構を制御する。
【0131】
〈3−2.各部の構成および動作〉
続いて、基板処理装置100の構成および動作について図11〜図17を参照しながら具体的に説明する。基板処理装置100は、露光処理の前後において、基板Wに塗布処理、熱処理、現像処理等の一連の処理を行うための装置である。基板処理装置100は、主として、インデクサ部(ID部)110、処理部120およびインターフェイス(IF部)130を備え、これら各部110,120,130をこの順に並設した構成となっている。また、IF部130の−Y側には、基板処理装置100とは別体の露光装置EXPが接続される。
【0132】
〈ID部110〉
ID部110は、複数枚の基板Wを収容するキャリアCに対する基板Wの受け渡しを行う。ID部110は、複数個(この実施の形態においては4個)のキャリアCを、1列に並べて載置するキャリア載置台111と、基板Wを搬送する機構(IDロボット)T10とを備える。なお、キャリアCの形態としては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)の他に、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納基板Wを外気にさらすOC(open cassette)であってもよい。IDロボットT10は、キャリア載置台111に載置されたキャリアCと、PASS1a,1bとの間で基板Wを搬送する。
【0133】
ID部110と処理部120との間(より具体的には、ID部110と後述する各基板処理列201との間)には、メインロボットT21とIDロボットT10との間での基板Wの受け渡しに用いられる載置部(PASS1a,PASS1b)が積層して配置される(図11、図13参照)。
【0134】
図17を参照する。IDロボットT10は、キャリアCに収容された未処理基板を次々とPASS1aに搬送していく。この未処理基板Wは、PASS1aを介してメインロボットT21に受け取られることになる。また、IDロボットT10は、メインロボットT21によってPASS1bに載置された処理済基板を受け取ってキャリアCに収容する。
【0135】
なお、図17においては図示を省略しているが、この実施の形態のように複数個(ここでは2個)の基板処理列201が積層配置されている構成においては(図13参照)、IDロボットT10は各基板処理列201について設けられたPASS1a,PASS1bに順番にアクセスしていく。
【0136】
〈処理部120〉
処理部120は、積層配置された複数(この実施の形態においては2つ)の基板処理列201を備える。基板処理列201は、ID部110とIF部130との間を結ぶ処理列を構成し、基板Wを搬送する機構(メインロボットT21)と、メインロボットT21の搬送スペースAを挟んで互いに対向配置された2つの処理ブロック(主として基板Wに対する熱処理を行う熱処理ブロック21および主として基板Wに所定の処理液を供給する液処理を行う液処理ブロック22)を備える。
【0137】
熱処理ブロック21について、図11および図12を参照しながら説明する。熱処理ブロック21は、隣接配置された複数のユニット列211を備える。
【0138】
最もID部110に近い側に配置されたユニット列211(第1ユニット列211a)は、積層配置された複数個(この実施の形態においては、5個)の処理ユニット(より具体的には、1個の熱処理ユニットP−HP、2個の密着強化処理ユニットP−AHPおよび2個の冷却ユニットCP)を備える。
【0139】
熱処理ユニットP−HPは、基板Wを加熱処理する処理ユニットであり、基板Wを一時的に載置するための仮置部251と、基板Wを加熱処理するホットプレート252と、仮置部251とホットプレート252との間で基板Wを搬送するローカル搬送機構253とを備える。ここで実行される処理の流れは次の通りである。メインロボットT21が基板Wを仮置部251に載置すると、ローカル搬送機構253が当該基板Wを仮置部251からホットプレート252に移載する。すると、ホットプレート252が昇温して載置された基板Wを加熱処理する。加熱処理が終了すると再びローカル搬送機構253が基板Wをホットプレートから仮置部251に移載し、仮置部251に載置された基板WがメインロボットT21により取り出される。なお、仮置部251は、そこに載置された基板Wを冷却する機能を備えるものであってもよい。
【0140】
密着強化処理ユニットP−AHPは、基板表面とレジスト膜との密着性を高める処理(密着強化処理)を行う処理ユニットであり、基板Wを加熱処理するホットプレートと、ホットプレート上に載置された基板Wの表面に密着強化剤を供給する供給手段とを備える。メインロボットT21が基板Wをホットプレート上に載置すると、基板Wはホットプレートによって加熱処理される。また一方で、気化した密着強化剤が基板W表面に向けて吐出供給される。密着強化剤は昇温された基板Wの表面で液化し、これにより基板Wの表面に密着強化剤が塗布される。密着強化処理が終了するとホットプレートに載置された基板WがメインロボットT21により取り出される。
【0141】
冷却ユニットCPは、基板Wを冷却処理するコールドプレートを備える処理ユニットである。メインロボットT21が基板Wを所定の冷却温度に温調されたコールドプレートに載置すると、基板Wからコールドプレートに熱が流れ、これにより基板Wが冷却される。冷却処理が終了するとコールドプレートに載置された基板WがメインロボットT21により取り出される。
【0142】
第1ユニット列211aのIF部130側に隣接配置されたユニット列211(第2ユニット列211b)は、積層配置された複数個(この実施の形態においては、5個)の熱処理ユニットP−HPを備える。
【0143】
第2ユニット列211bのIF部130側に配置されたユニット列211(第3ユニット列211c)は、基板Wの周縁部を露光するエッジ露光部EEWを備える。その下側に、積層配置された複数個のバッファ(送りバッファBF)を設けてもよい。
【0144】
第3ユニット列211cのIF部130側に配置されたユニット列211(PEB処理ユニット列211d)は、積層配置された複数個(この実施の形態においては、3個)の熱処理ユニットP−HPを備える。このユニット列211dに配置された熱処理ユニットP−HPでは、露光に引き続いて行われる熱処理(PEB(post-exposure-bake)処理)が実行される。また、PEB処理ユニット列211dの上方には、メインロボットT21とPEBロボットT31との間での基板Wの受け渡しに用いられる載置部(送りPASS・戻りPASS)が配置される。
【0145】
液処理ブロック22について、図11および図14を参照しながら説明する。液処理ブロック22は、積層配置された複数のユニット列221を備える。
【0146】
最上段に配置されたユニット列221(現像ユニット列2211)は、隣接配置された複数個(この実施の形態においては、2個)の現像処理ユニット1を備える。現像処理ユニット1の構成およびここで実行される処理の流れについては上述した通りである。
【0147】
現像ユニット列2211の下側に配置されたユニット列221(レジストユニット列2212)は、隣接配置された複数個(この実施の形態においては、2個)のレジスト塗布処理ユニット2を備える。レジスト塗布処理ユニット2の構成およびここで実行される処理の流れについては上述した通りである。
【0148】
図17を参照する。メインロボットT21は、PASS1aを介してIDロボットT10から受け取った未処理基板Wを、搬送スペースAに沿って移動しながらこれに面して配置された熱処理ブロック21および液処理ブロック22の備える各処理ユニットに所定の順序で搬送していく。例えば、冷却ユニットCP、密着強化処理ユニットP−AHP、レジスト塗布処理ユニット2、熱処理ユニットP−HP、冷却ユニットCP、エッジ露光部EEW、の順に搬送していく。これにより、基板Wに対して、冷却処理、密着強化処理、レジスト膜の塗布形成処理、加熱処理、冷却処理およびエッジ露光処理との一連の処理がこの順で行われていくことになる(前処理)。
【0149】
メインロボットT21は、エッジ露光部EEWから取り出した基板W(前処理後の基板)を送りPASSに載置する。この基板Wは、送りPASSを介してPEBロボットT31に受け取られることになる。
【0150】
また、メインロボットT21は、戻りPASSを介してPEBロボットT31から受け取った基板W(PEB処理後の基板)を、搬送スペースAに沿って移動しながら熱処理ブロック21および液処理ブロック22の備える各処理ユニットに再び所定の順序で搬送していく。例えば、現像処理ユニット1、熱処理ユニットP−HP、冷却ユニットCP、の順に搬送していく。これにより、基板Wに対して、現像処理、加熱処理および冷却処理との一連の処理がこの順で行われていくことになる(後処理)。
【0151】
メインロボットT21は、冷却ユニットCPから取り出した基板W(後処理後の基板)をPASS1bに載置する。この基板Wは、PASS1bを介してIDロボットT10に受け取られることになる。
【0152】
〈IF部130〉
IF部130について、図11および図15を参照しながら説明する。IF部130は、処理部120と露光装置EXPとの間での基板Wの受け渡しを行う。IF部130は、インターフェイス搬送機構として、2つの搬送機構(PEBロボットT31、IFロボットT32)とを備える。
【0153】
PEBロボットT31とIFロボットT32との間には、これら2つの搬送機構の間での基板Wの受け渡しに用いられる載置部(IF送りPASS、IF戻りPASS)が積層して配置される。また、IF送りPASSおよびIF戻りPASSの下側(もしくは上側)には、バッファBFが配置される。バッファBFは、装置内で基板Wを一時的に収納する処理ユニットであり、複数枚の基板Wを収納することができる。
【0154】
図17を参照する。PEBロボットT31は、送りPASSを介してメインロボットT21から受け取った基板W(前処理後の基板)をIF送りPASSに載置する。ただし、IF送りPASSに基板Wを載置できない場合(例えば、露光装置EXPの処理速度が処理部120の処理速度に追いつかず、前処理された基板Wを露光装置EXPに搬入できなくなった場合)、PEBロボットT31は受け取った基板WをバッファBFに一時的に収納し、再びIF送りPASSに基板Wを載置可能となった後にバッファBFに収納した基板WをIF送りPASSに載置していく。
【0155】
一方、IFロボットT32は、IF送りPASSに載置された基板Wを受け取って、露光装置EXPの受渡部に載置する。露光装置EXPの受渡部に載置された前処理後の基板Wは、露光装置EXPにて露光処理され、再び受渡部に戻される。
【0156】
IFロボットT32は、露光装置EXPの受渡部に載置された基板W(露光処理後の基板)を受け取ってIF戻りPASSに載置する。
【0157】
一方、PEBロボットT31は、IF戻りPASSに載置された基板Wを受け取って、PEB処理ユニット列211dに配置された熱処理ユニットP−HPに搬入する。より具体的には、熱処理ユニットP−HPの仮置部251に載置する。仮置部251に載置された基板Wはローカル搬送機構253によりホットプレート252上に移載され、ここで加熱処理(PEB処理)を施される。処理が終了した基板Wは再びローカル搬送機構253により仮置部251上に移載される。これにより、基板Wに対して露光処理およびPEB処理の一連の処理がこの順で行われていくことになる。
【0158】
また、PEBロボットT31は、PEB処理ユニット列211dに配置された熱処理ユニットP−HPの仮置部251に載置された基板W(PEB処理後の基板)を取り出して戻りPASSに載置する。この基板Wは、戻りPASSを介してメインロボットT21に受け取られて後処理を行われることになる。ただし、戻りPASSに基板Wを載置できない場合(例えば、現像処理ユニット1にトラブルが発生して当該ユニットが基板Wを受け入れられなくなった場合)、PEBロボットT31は取り出した基板WをバッファBFに一時的に収納し、再び戻りPASSに基板Wを載置可能となった後にバッファBFに収納した基板Wを戻りPASSに載置していく。
【0159】
以上の構成および動作によって、露光処理の前後における塗布処理、熱処理、現像処理等の一連の処理が行われる。
【0160】
〈4.効果〉
上記の実施の形態に係る現像処理ユニット1およびレジスト塗布処理ユニット2はいずれも複数の処理セット(現像処理セット10、レジスト塗布処理セット50)にて並行して基板Wを処理可能な構成を備える処理ユニットである。ここでは、駆動機構制御部43,73が、ある基板Wに対する処理を終えたノズル(ノズル21、ノズル61)を次に処理すべき基板Wについて特定された待機位置PWまで先行移動させておくので、基板Wがノズル21,61を待つ時間はノズル21,61がこの待機位置PWから吐出開始位置PSまで移動する間だけとなる。これにより、ノズルの移動に係るオーバーヘッドタイムが短縮され、処理ユニット1,2のスループットが向上する。
【0161】
また、ノズル21,61の待機位置PWは、各基板Wの吐出開始位置PSと固定的な相対位置関係にあるので、ノズル21,61が待機位置PWから吐出開始位置PSまで移動するのに要する時間(すなわち、基板Wがノズル21,61を待つ時間)が基板間でばらつくこともない。したがって、ノズルの移動に係るオーバーヘッドタイムがいずれの基板Wについても等しいものとなり、いずれの基板Wについても同じ温度状態で処理液の吐出供給を行うことができる。これにより、処理の均一性を担保することができる。
【0162】
また、処理セット10,50間を移動する際のノズル21,61の移動経路L21,61が、外部搬送機構(基板処理ユニットに対する基板の搬出入を行う搬送機構)のハンドの進入領域Kの外側に形成されるので、外部搬送機構が基板処理ユニット1,2に対する基板Wの搬出入を行っている間であってもノズル21,61を処理セット10,50間で自由に移動させることができる。特に、待機位置PWが、この移動経路L21,61上に設定されるので、外部搬送機構が基板処理ユニット1,2に対する基板Wの搬出入を行っている間であってもノズル21,61を待機位置PWまで移動させ、そこで待機させることができる。
【0163】
また、待機位置PWと吐出開始位置PSとがノズル21,61が直線移動で到達可能な位置関係にあるので、ノズル21,61を直線移動のみによって待機位置PWから吐出開始位置PSまで移動させることができる。これにより、基板Wがノズル21,61の到着を待つ時間を効果的に短縮できる。
【0164】
〈5.変形例〉
〈5−1.複数ノズルを備える現像処理ユニット〉
上記の実施の形態に係る現像処理ユニット1は1個のノズル21を備える構成としたが、ノズル21の搭載個数は1個に限らず、また、用いるノズル21の種類もスリットノズルに限らない。
【0165】
複数個のノズル21を備える現像処理ユニット1aの構成について、図18を参照しながら説明する。図18は、現像処理ユニット1aの平面図である。ただし、以下においては、現像処理ユニット1と同じ構成要素については同じ参照符号を用いて示し、その説明は省略する。
【0166】
現像処理ユニット1aは、3個の現像処理セット10と、これら現像処理セット10の間で共用される現像液供給部20aと、現像液供給部20aが備えるノズル211,212を受けるためのポッド301,302とを備える。また、これら各部の動作を制御する制御部91aを備える。
【0167】
〈現像液供給部20a〉
現像液供給部20は、回転保持部11上に載置された基板Wに向けて現像液を吐出する2個のノズル(ここでは、スリットノズル211と吐出孔ノズル212)と、各ノズル212,212に対して現像液を供給する処理液供給源(図示省略)と、各ノズル212,212がそれぞれ摺動可能に取り付けられた横ガイドレール221,222とを備える。また、スリットノズル211を横ガイドレール221に沿って、吐出孔ノズル212を横ガイドレール222に沿って、それぞれ移動させるY軸駆動機構231,232を備える。さらに、スリットノズル211、吐出孔ノズル212のそれぞれを垂直方向に移動させるZ軸駆動機構241,242を備える。各駆動機構231,232,241,242は制御部91aと電気的に接続されており、制御部91aからの制御に応じて制御される。
【0168】
なお、各ノズル211,212に対して現像液を供給する処理液供給源(図示省略)として、種類や濃度が互いに異なる現像液をそれぞれ貯留する処理液供給源を採用すれば、各ノズル212,212から種類や濃度が互いに異なる現像液を吐出させることができる。
【0169】
スリットノズル211の構成は上述した通りである。一方、吐出孔ノズル212は、その下側面であって、基板Wの中心位置の上方に相当する位置に、走査方向(Y方向)と並行に並んで形成された所定数個(この実施の形態においては、5個)の吐出孔2121が形成される。回転保持部11により回転される基板Wの上方を走査しながら、この吐出孔2121から現像液を吐出することによって、基板Wの表面に現像液を螺旋状に供給することができる。
【0170】
なお、ここでは現像処理ユニット1aが備える2個のノズルを、異種のノズルの組み合わせにより構成しているが、同種のノズル(例えば、スリットノズル211とスリットノズル211、吐出孔ノズル212と吐出孔ノズル212)の組み合わせにより構成してもよい。
【0171】
横ガイドレール221,222はいずれも、各現像処理セット10が配列された方向(Y方向)に沿って水平に配設されている。制御部91aは、Y軸駆動機構231を制御してスリットノズル211を横ガイドレール221に沿って移動させることができ、Z軸駆動機構241を制御してスリットノズル211を垂直方向に移動させることができる。また、Y軸駆動機構232を制御して吐出孔ノズル212を横ガイドレール222に沿って移動させることができ、Z軸駆動機構242を制御して吐出孔ノズル212を垂直方向に移動させることができる。
【0172】
Y軸駆動機構231,232およびZ軸駆動機構241,242のそれぞれを制御することにより、制御部91aは、現像処理セット10間でスリットノズル211および吐出孔ノズル212をそれぞれ独立に移動させることができる。また、任意の現像処理セット10の回転保持部11に保持された基板Wの上方をスリットノズル211および吐出孔ノズル212に走査させることができる。ただし、スリットノズル211が基板Wの上方を走査する方向と、吐出孔ノズル212が基板Wの上方を走査する方向とは逆向きに設定する。これにより、スリットノズル211と吐出孔ノズル212を互いに交差させることなく、各ノズル211,212に、各現像処理セット10の回転保持部11に保持された基板Wに対する現像液の吐出を行わせることができる。
【0173】
〈ポッド301,302〉
スリットノズル用ポッド301は待機するスリットノズル211を受けるための機能部であり、吐出孔ノズル用ポッド302は吐出孔ノズル212を受けるための機能部である。
【0174】
スリットノズル用ポッド301および吐出孔ノズル用ポッド302はいずれも現像処理セット10と同数個だけ設けられる。複数個のポッド301,302のそれぞれは、複数の現像処理セット10のそれぞれに対応して設けられ、対応する現像処理セット10の備える回転保持部11の所定側(ノズルが基板Wの上方を走査する方向と同じ側)に隣接して配置される。ただし、上述の通りスリットノズル211が基板Wの上方を走査する方向と吐出孔ノズル212が基板Wの上方を走査する方向とは逆向きであるので、同じ現像処理セット10に対応するスリットノズル用ポッド301と吐出孔ノズル用ポッド302とは互いに逆側に設けられることになる。例えばスリットノズル211が基板Wの上方を−Y方向に走査し、吐出孔ノズル212が+Y方向に走査する場合、スリットノズル用ポッド301は、対応する回転保持部11の−Y方向側に配置される。また、吐出孔ノズル用ポッド302は、対応する回転保持部11の+Y方向側に配置される。なお、同じ現像処理セット10間隙に配置される2つのポッド301,302は、一体に構成してもよい。
【0175】
なお、制御部91aは電気的に接続された各駆動機構231,232,241,242を制御することによってスリットノズル211および吐出孔ノズル212の各位置を制御する。制御部91aが各ノズル211,212の位置制御を行う態様は、上記の実施の形態に係る制御部91のそれと同じである。
【0176】
〈5−2.その他の変形例〉
上記の実施の形態に係る現像処理ユニット1が備える現像処理セット10の個数およびレジスト塗布処理ユニット2が備えるレジスト塗布処理セット50の個数はいずれも3個であるとしたが、いずれの個数も3個に限らない。
【0177】
また、上記においては、現像処理を行う処理ユニットとレジスト膜塗布処理を行う処理ユニットに本発明を適用した場合の実施の形態を示したが、本発明は、それ以外の各種の処理を行う処理ユニットにも適用可能である。
【0178】
また、上記の実施の形態に係る基板処理装置100が備える熱処理ブロック21や液処理ブロック22のユニット構成や配置は上記のものに限らない。また、液処理ブロック22が備える現像処理ユニット1やレジスト塗布処理ユニット2の個数も4個に限らない。
【0179】
また、上記の実施の形態においては、基板処理装置100に隣接配置されるのは露光装置EXPであるとしたが、その他の各種の装置が隣接配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】現像処理ユニットの平面図である。
【図2】現像処理ユニットの側断面図である。
【図3】ノズルの位置制御を行う機能に関する構成を示すブロック図である。
【図4】ノズルの移動経路を模式的に示す図である。
【図5】ノズルの移動経路を模式的に示す図である。
【図6】現像処理ユニットにて行われる処理の流れを示す図である。
【図7】レジスト塗布処理ユニットの平面図である。
【図8】ノズルの位置制御を行う機能に関する構成を示すブロック図である。
【図9】ノズルの移動経路を模式的に示す図である。
【図10】レジスト塗布処理ユニットにて行われる処理の流れを示す図である。
【図11】基板処理装置100の全体構成を模式的に示す平面図である。
【図12】基板処理装置を矢印Q1方向からみた縦断面図である。
【図13】基板処理装置を矢印Q2方向からみた縦断面図である。
【図14】基板処理装置を矢印Q3方向からみた縦断面図である。
【図15】基板処理装置を矢印Q4方向からみた縦断面図である。
【図16】基板処理装置の制御ブロック図である。
【図17】各搬送機構が反復して行う動作の流れを示す図である。
【図18】複数個のノズルを備える現像処理ユニットの平面図である。
【符号の説明】
【0181】
1 現像処理ユニット
2 レジスト塗布処理ユニット
10 現像処理セット
11,51 回転保持部
20 現像液供給部
21 ノズル
22 横ガイドレール
23 Y軸駆動機構
24 Z軸駆動機構
30 ポッド
41,71 処理情報取得部
42,72 ノズル位置特定部
43,73 駆動機構制御部
50 レジスト塗布処理セット
60 レジスト膜材料供給部
61 ノズル
62 ノズル載置部
63 ベース部
64 把持部
91,92 制御部
100 基板処理装置
110 ID部
120 処理部
130 IF部
199 メインコントローラ
621 第2横ガイドレール
622 駆動機構
631 第1横ガイドレール
632 駆動機構
641 支持部
642 把持アーム
PS 吐出開始位置
PW 待機位置
L21,L61 移動経路
K 進入領域
T10 IDロボット
T21,T22 メインロボット
T31 PEBロボット
T32 IFロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対する所定の処理を行う基板処理ユニットであって、
それぞれにおいて1枚の基板に対する前記所定の処理を実行する複数の処理セットと、
前記複数の処理セットの間で共用され、基板に対して処理液を供給する処理液供給手段と、
を備え、
前記処理液供給手段が、
基板に対して前記処理液を吐出するノズルと、
前記ノズルを前記複数の処理セットの間で移動させる駆動機構と、
前記ノズルの位置を制御するノズル位置制御手段と、
を備え、
前記ノズル位置制御手段が、
前記基板処理ユニットに搬入されてくる予定の基板のそれぞれについての処理情報を取得する処理情報取得手段と、
基板についての前記処理情報に基づいて、前記ノズルが当該基板に対する前記処理液の吐出を開始する位置である吐出開始位置と、当該吐出開始位置に対して固定的な相対位置関係にある待機位置とを特定するノズル位置特定手段と、
前記駆動機構を制御して、基板に対する前記処理液の吐出処理を終えた前記ノズルを、次に処理すべき基板について特定された前記待機位置まで移動させて当該待機位置で待機させ、前記基板が前記基板処理ユニット内に搬入されると、前記ノズルを前記待機位置から前記基板について特定された前記吐出開始位置まで移動させる駆動機構制御手段と、
を備えることを特徴とする基板処理ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理ユニットであって、
前記複数の処理セットの間を移動する際の前記ノズルの移動経路を、前記基板処理ユニットに対する基板の搬出入を行う搬送機構のハンドが前記基板処理ユニット内に進入する領域である進入領域の外側に形成することを特徴とする基板処理ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理ユニットであって、
前記吐出開始位置と当該吐出開始位置に対して固定的な相対位置関係にある前記待機位置とが、前記ノズルが直線移動で到達可能な位置関係にあることを特徴とする基板処理ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理ユニットであって、
基板についての前記処理情報が、当該基板を前記複数の処理セットのうちのいずれにて処理するかを指定する情報を含むことを特徴とする基板処理ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の基板処理ユニットであって、
前記処理液供給手段が前記ノズルを複数個備え、
基板についての前記処理情報が、前記複数個のノズルのうちから、当該基板に対する前記処理液の吐出を行わせるノズルを選択指定する情報を含むことを特徴とする基板処理ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の基板処理ユニットであって、
前記処理液が現像液であることを特徴とする基板処理ユニット。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の基板処理ユニットであって、
前記処理液がレジスト膜材料であることを特徴とする基板処理ユニット。
【請求項8】
所定の外部装置に隣接して配置され、基板に対する一連の処理を行う基板処理装置であって、
それぞれが基板に対する所定の処理を行う1以上の基板処理ユニットと、前記1以上の基板処理ユニットに所定の順序で基板を搬送していく主搬送機構とを備える処理部と、
前記処理部と前記外部装置との間で基板を搬送するインターフェイス搬送機構と、
を備え、
前記1以上の基板処理ユニットのいずれかが、
それぞれにおいて1枚の基板に対する前記所定の処理を実行する複数の処理セットと、
前記複数の処理セットの間で共用され、基板に対して処理液を供給する処理液供給手段と、
を備え、
前記処理液供給手段が、
基板に対して前記処理液を吐出するノズルと、
前記ノズルを前記複数の処理セットの間で移動させる駆動機構と、
前記ノズルの位置を制御するノズル位置制御手段と、
を備え、
前記ノズル位置制御手段が、
前記基板処理ユニットに搬入されてくる予定の基板のそれぞれについての処理情報を取得する処理情報取得手段と、
基板についての前記処理情報に基づいて、前記ノズルが当該基板に対する前記処理液の吐出を開始する位置である吐出開始位置と、当該吐出開始位置に対して固定的な相対位置関係にある待機位置とを特定するノズル位置特定手段と、
前記駆動機構を制御して、基板に対する前記処理液の吐出処理を終えた前記ノズルを、次に処理すべき基板について特定された前記待機位置まで移動させて当該待機位置で待機させ、前記基板が前記基板処理ユニット内に搬入されると、前記ノズルを前記待機位置から前記基板について特定された前記吐出開始位置まで移動させる駆動機構制御手段と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
基板に対する所定の処理を行う基板処理ユニットにおいて、基板に対して所定の処理液を吐出するノズルの位置制御方法であって、
前記基板処理ユニットが、
それぞれの間で前記ノズルを共用しながら、それぞれにおいて1枚の基板に対する前記所定の処理を実行する複数の処理セット、
を備え、
前記基板処理ユニットに搬入されてくる予定の基板のそれぞれについての処理情報を取得する工程と、
基板についての前記処理情報に基づいて、前記ノズルが当該基板に対する前記処理液の吐出を開始する位置である吐出開始位置と、当該吐出開始位置に対して固定的な相対位置関係にある待機位置とを特定する工程と、
基板に対する前記処理液の吐出処理を終えた前記ノズルを、次に処理すべき基板について特定された前記待機位置まで移動させて当該待機位置で待機させる工程と、
前記基板が前記基板処理ユニット内に搬入された後に、前記ノズルを前記待機位置から前記基板について特定された前記吐出開始位置まで移動させる工程と、
を備えることを特徴とするノズルの位置制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2010−34222(P2010−34222A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193634(P2008−193634)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(506322684)株式会社SOKUDO (158)
【Fターム(参考)】