説明

基板処理装置、基板処理方法および記憶媒体

【課題】低湿度ガスの供給量を低減することができる基板処理装置を提供すること。
【解決手段】ウエハWが収容されるチャンバ1と、チャンバ1内でウエハWを保持するスピンチャック2と、チャンバ1内のスピンチャック2の上方に上下動可能に設けられ、低湿度ガスおよび清浄空気のいずれかを下方に向けて吐出可能なガス吐出ヘッド7と、ガス吐出ヘッド7を、少なくとも前記チャンバの上部の退避位置と、前記基板保持部に保持された基板に近接した近接位置との間で移動させる駆動機構67と、スピンチャック2に保持されたウエハWに処理液を供給する処理液供給ノズル15と、スピンチャック2に保持されたウエハWにIPAを供給するIPA供給ノズル35とを具備し、少なくともIPAの供給時にガス吐出ヘッド7を近接位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから低湿度ガスを供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対して液処理を施す基板処理装置、基板処理方法および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と記す)を薬液、リンス液等の処理液によって洗浄する洗浄処理が行われている。このような洗浄処理においては、ウエハにDHF液(希フッ酸)等の薬液を供給して処理する薬液処理工程、ウエハに純水等のリンス液を供給して処理するリンス処理工程を行った後、ウエハを乾燥させる乾燥処理工程が行われている。
【0003】
従来、ウエハを乾燥させる方法として,ウエハを回転させながらウエハにIPA(イソプロピルアルコール)等の有機溶剤の蒸気を使用した蒸気乾燥方式が知られている。また,乾燥時のウォーターマークの発生を抑制するため、除湿された空気(低湿度空気)を供給することにより、ウエハの周囲の湿度を低減させる方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、このような技術では、処理中、常にウエハの周囲に除湿した空気を供給することになり、ウエハの処理に要するコストが高くなる問題がある。
【0005】
このような問題に対処可能な技術として特許文献2には、例えば乾燥用溶剤としてのIPAを供給する際等、必要なときのみに低湿度空気を供給するようにした技術が開示されている。これにより、低湿度空気の供給時間を短くすることができ、特許文献1よりもウエハの処理に要するコストを低くすることができる。
【0006】
しかしながら、このような場合でも、低湿度空気を供給する際にはチャンバ内を低湿度空気で満たす必要があることから、相当量の低湿度空気が必要であり、さらなる低湿度空気の低減が望まれている。
【0007】
一方、特許文献3には、基板の洗浄処理において、基板を洗浄液で洗浄した後の乾燥処理工程において、基板を収容したチャンバ内にドライエア(低湿度空気)を供給して洗浄液の気化を促進させ、ウォーターマークの発生を抑制する技術が開示されているが、このような技術においても、チャンバ内を低湿度空気で満たす必要があることから、相当量の低湿度空気が必要であり、低湿度空気の低減が望まれる。
【特許文献1】実開平6−9130号公報
【特許文献2】特開2007−263485号公報
【特許文献3】特開2004−349470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、基板にウォーターマークが発生することを防止するために低湿度ガスをチャンバ内に導入する基板処理装置であって、低湿度ガスの供給量を低減することができる基板処理装置を提供することを目的とする。また、そのような装置における基板処理方法を提供することを目的とする。さらに、そのような基板処理方法を実行するためのプログラムを記憶した記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点では、基板が収容されるチャンバと、前記チャンバ内で基板を水平に保持する基板保持部と、前記基板保持部を回転させる回転機構と、前記チャンバ内の前記基板保持部の上方に上下動可能に設けられ、低湿度ガスおよび清浄空気のいずれかを下方に向けて吐出可能なガス吐出ヘッドと、前記ガス吐出ヘッドへ低湿度ガスおよび清浄空気のいずれかを供給するガス供給機構と、前記ガス吐出ヘッドを、少なくとも前記チャンバの上部の退避位置と、前記基板保持部に保持された基板に近接した近接位置との間で移動させる駆動機構と、前記基板保持部に保持された基板に処理液を供給する処理液供給ノズルと、前記基板保持部に保持された基板に乾燥用有機溶剤を供給する乾燥用有機溶剤供給ノズルとを具備し、前記基板保持部に保持された基板に前記処理液供給ノズルから処理液を供給して液処理を行い、その後、その基板に前記乾燥用有機溶剤供給ノズルから乾燥用有機溶剤を供給して乾燥を行う一連の処理を行い、少なくとも前記乾燥用有機溶剤の供給時に前記ガス吐出ヘッドを前記近接位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから前記低湿度ガスを供給し、低湿度ガスを供給しない時には前記ガス吐出ヘッドを退避位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから清浄空気を供給することを特徴とする基板処理装置を提供する。
【0010】
上記第1の観点において、前記乾燥用有機溶剤供給ノズルは、基板を回転させた状態で基板の中心から周縁に向けてスキャンされながら乾燥用有機溶剤を吐出するようにすることができる。この場合に、前記乾燥用有機溶剤供給ノズルに隣接して窒素ガスノズルを設け、基板を回転させた状態で前記乾燥用有機溶剤供給ノズルを基板の中心から周縁に向けてスキャンしながら乾燥用有機溶剤を吐出している際に、乾燥用有機溶剤のスキャンを追いかけるように窒素ガスをスキャンさせるようにすることができる。
【0011】
また、前記乾燥用有機溶剤供給ノズルから乾燥用有機溶剤を供給して乾燥を行った後に、基板上にノズルが存在しない状態で振り切り乾燥を行い、その際に前記ガス吐出ノズルをさらに基板に近接させるようにすることができる。
【0012】
さらに、前記ガス吐出ヘッドは、前記乾燥用有機溶剤供給ノズルがスキャン可能な切り欠きを有し、前記ガス吐出ヘッドが近接位置に位置している際に、前記切り欠き内を前記乾燥用有機溶剤供給ノズルがスキャンする構成とすることができる。さらにまた、前記ガス吐出ヘッドは、前記乾燥用有機溶剤供給ノズルが内蔵されている構成とすることができる。
【0013】
本発明の第2の観点では、基板が収容されるチャンバと、前記チャンバ内で基板を水平に保持する基板保持部と、前記基板保持部を回転させる回転機構と、前記チャンバ内の前記基板保持部の上方に上下動可能に設けられ、低湿度ガスおよび清浄空気のいずれかを下方に向けて吐出可能なガス吐出ヘッドと、前記ガス吐出ヘッドへ低湿度ガスおよび清浄空気のいずれかを供給するガス供給機構と、前記ガス吐出ヘッドを、少なくとも前記チャンバの上部の退避位置と、前記基板保持部に保持された基板に近接した近接位置との間で移動させる駆動機構と、前記基板保持部に保持された基板に処理液を供給する処理液供給ノズルとを具備し、前記基板保持部に保持された基板に前記処理液供給ノズルから処理液を供給して液処理を行い、その後、その基板を回転させながら乾燥を行う一連の処理を行い、少なくとも前記乾燥時に前記ガス吐出ヘッドを前記近接位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから前記低湿度ガスを供給し、低湿度ガスを供給しない時には前記ガス吐出ヘッドを退避位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから清浄空気を供給することを特徴とする基板処理装置を提供する。
【0014】
上記第2の観点において、スキャン可能に設けられた窒素ガスノズルをさらに有し、基板乾燥時に、基板を回転させた状態で前記窒素ガスノズルを基板の中心から周縁に向けてスキャンさせるようにすることができる。この場合に、前記ガス吐出ヘッドを、前記窒素ガスノズルがスキャン可能な切り欠きを有し、前記ガス吐出ヘッドが近接位置に位置している際に、前記切り欠き内を前記窒素ガスノズルがスキャンするように構成することができる。
【0015】
本発明の第3の観点では、基板が収容されるチャンバ内で基板を水平に保持し、前記基板保持部に基板を保持させて基板保持部とともに基板を回転させながら処理液供給ノズルから基板に処理液を供給して基板に処理を施し、その後、乾燥用有機溶剤供給ノズルから基板に乾燥用有機溶剤を供給して乾燥させる基板処理方法であって、少なくとも前記チャンバの上部の退避位置と、前記基板保持部に保持された基板に近接した近接位置との間で移動可能に設けられ、清浄空気と低湿度ガスとを選択的に吐出するガス吐出ヘッドを設け、少なくとも前記乾燥用有機溶剤の供給時に前記ガス吐出ヘッドを前記近接位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから前記低湿度ガスを供給し、低湿度ガスを供給しない時には前記ガス吐出ヘッドを退避位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから清浄空気を供給することを特徴とする基板処理方法を提供する。
【0016】
上記第3の観点において、基板を回転させた状態で前記乾燥用有機溶剤供給ノズルを基板の中心から周縁に向けてスキャンさせながら乾燥用有機溶剤を吐出するようにすることができる。この場合に、前記乾燥用有機溶剤供給ノズルに隣接して窒素ガスノズルを設け、基板を回転させた状態で前記乾燥用有機溶剤供給ノズルを基板の中心から周縁に向けてスキャンしながら乾燥用有機溶剤を吐出している際に、乾燥用有機溶剤のスキャンを追いかけるように窒素ガスをスキャンさせるようにすることができる。
【0017】
また、前記乾燥用有機溶剤供給ノズルから乾燥用有機溶剤を供給して乾燥を行った後に、基板上にノズルが存在しない状態で振り切り乾燥を行い、その際に前記ガス吐出ノズルをさらに基板に近接させるようにすることができる。
【0018】
さらに、前記処理液供給ノズルから基板に薬液を供給して薬液による基板洗浄を行い、その後処理液供給ノズルから基板にリンス液を供給してリンス処理を行った後、乾燥用有機溶剤による乾燥処理を行うものとすることができる。
【0019】
本発明の第4の観点では、基板が収容されるチャンバ内で基板を水平に保持し、前記基板保持部に基板を保持させて基板保持部とともに基板を回転させながら処理液供給ノズルから基板に処理液を供給して基板に処理を施し、その後、基板を回転させながら基板を乾燥させる基板処理方法であって、少なくとも前記チャンバの上部の退避位置と、前記基板保持部に保持された基板に近接した近接位置との間で移動可能に設けられ、清浄空気と低湿度ガスとを選択的に吐出するガス吐出ヘッドを設け、少なくとも前記乾燥時に前記ガス吐出ヘッドを前記近接位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから前記低湿度ガスを供給し、低湿度ガスを供給しない時には前記ガス吐出ヘッドを退避位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから清浄空気を供給することを特徴とする基板処理方法を提供する。
【0020】
上記第4の観点において、スキャン可能に窒素ガスノズルを設け、基板乾燥時に、基板を回転させた状態で前記窒素ガスノズルを基板の中心から周縁に向けてスキャンさせるようにすることができる。また、前記処理液供給ノズルから基板に薬液を供給して薬液による基板洗浄を行い、その後処理液供給ノズルから基板にリンス液を供給してリンス処理を行った後、乾燥処理を行うものとすることができる。
【0021】
本発明の第5の観点では、コンピュータ上で動作し、基板処理装置を制御するプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、上記第3または第4の観点の基板処理方法が行われるようにコンピュータに処理装置を制御させることを特徴とする記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、乾燥用有機溶剤を供給して基板の乾燥を行う場合には、少なくとも乾燥用有機溶剤の供給時に、また単に基板を回転して基板の乾燥を行う場合には、少なくともその乾燥時に、前記ガス吐出ヘッドを近接位置に位置させてガス吐出ヘッドから前記低湿度ガスを供給するので、従来のようにチャンバの上部にガス吐出ヘッドを配置して低湿度ガスを供給するときよりも低湿度ガスの量を少なくすることができ、低湿度空気の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
ここでは、基板処理装置としてウエハに対する洗浄処理を行うウエハ洗浄装置を例にとって説明する。
【0024】
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係るウエハ洗浄装置の概略構成を示す垂直断面図、図2は図1のウエハ洗浄装置のチャンバ内部を示す水平断面図である。
【0025】
このウエハ洗浄装置100は、チャンバ1を有し、このチャンバ1内には被処理基板であるウエハWを回転可能に保持するスピンチャック2と、このスピンチャック2を回転させる回転モータ3と、スピンチャック2を昇降する昇降機構(図示せず)と、排液の飛散を防止するカップ4と、ウエハWの表面に処理液を供給する処理液ノズル部5と、ウエハWの表面に乾燥流体を供給する乾燥流体ノズル部6と、チャンバ1内に清浄空気および低湿度ガスのいずれかを選択的に供給するガス吐出ヘッド7とが設けられている。
【0026】
スピンチャック2は、円形をなす保持プレート2aと、この保持プレート2aの上面の外周部に等間隔で設けられた3個の保持部材2bとを有しており、保持部材2bをウエハWの周縁部に当接させてウエハWを略水平に保持するようになっている。
【0027】
カップ4は、スピンチャック2を囲繞するように設けられており、その底部には排気・排液するための排気・排液配管4aが設けられている。このカップ4は、回転するウエハWに処理液が供給された際に飛び散った排液を受け止め、外部に排出する機能を有している。
【0028】
処理液ノズル部5は、回転モータ11と、回転モータ11から上方に延びるシャフト12と、シャフト12の上端部から水平に延びるノズルアーム13と、ノズルアーム13の先端に取り付けられたノズルヘッド14と、ノズルヘッド14の先端に設けられた処理液吐出ノズル15とを有しており、回転モータ11によりシャフト12を回転させ、それによってノズルアーム13を回動させることにより、ノズルヘッド14をウエハW上で移動可能になっており、処理液を吐出しない時には、ノズルヘッド14がカップ4の外部の退避位置(図2のAで示す位置)に退避可能となっている。また、ノズルアーム13およびノズルヘッド14は図示しない昇降機構により昇降可能となっている。
【0029】
処理液吐出ノズル15からは、処理液供給部8から処理液供給配管16およびノズルアーム13内に設けられた流路17を経て処理液が吐出されるようになっている。
【0030】
処理液供給部8は、薬液としての希フッ酸(DHF)およびアンモニアと過酸化水素と水の混合溶液(SC−1)、ならびにリンス液としての純水(DIW)を処理液として供給するようになっており、DHF供給源21、SC−1供給源22、純水供給源23を有している。DHF供給源21、SC−1供給源22、純水供給源23からは、それぞれ配管24、25、26が延びており、これらが処理液供給配管16に接続されている。配管24、25、26には、それぞれバルブ27、28、29が設けられており、これらの操作により、DHF、SC−1、純水のうちいずれかが選択的に処理液供給配管16、流路17を経て処理液吐出ノズル15から吐出されるようになっている。
【0031】
乾燥流体ノズル部6は処理液ノズル部5の反対側に位置し、回転モータ31と、回転モータ31から上方に延びるシャフト32と、シャフト32の上端部から水平に延びるノズルアーム33と、ノズルアーム33の先端に取り付けられたノズルヘッド34と、ノズルヘッド34の先端に設けられたIPA吐出ノズル35および窒素ガス吐出ノズル36とを有しており、回転モータ31によりシャフト32を回転させ、それによってノズルアーム33を回動させることにより、ノズルヘッド34をウエハW上で移動可能になっており、乾燥流体を吐出しない時には、ノズルヘッド34がカップ4の外部の退避位置(図2のBで示す位置)に退避可能となっている。また、ノズルアーム33およびノズルヘッド34は図示しない昇降機構により昇降可能となっている。
【0032】
IPA吐出ノズル35からは、乾燥流体供給部9からIPA供給配管37およびノズルアーム33内に設けられた流路38を経て乾燥用溶剤であるIPA(イソプロピルアルコール)が吐出されるようになっている。また窒素ガス吐出ノズル36からは、乾燥流体供給部9から窒素ガス供給配管39およびノズルアーム33内に設けられた流路40を経て窒素ガスが吐出されるようになっている。
【0033】
乾燥流体供給部9は、IPA供給源41と、窒素ガス供給源42とを有しており、これらIPA供給源41および窒素ガス供給源42には、それぞれ上記IPA供給配管37および窒素ガス供給配管39が接続されている。これらIPA供給配管37および窒素ガス供給配管39には、それぞれバルブ43、44が設けられており、これらの開閉によりIPAガスおよび窒素ガスの吐出および吐出停止が可能となっている。
【0034】
ガス吐出ヘッド7は、スピンチャック2の上方に、上下動可能に設けられている。ガス吐出ヘッド7は、カップ4の上部開口よりもわずかに小さい径の筒状をなす側壁51と、側壁51の上部開口を塞ぐように設けられ、ガス導入口54が形成された上部プレート52と、側壁51の下部開口を塞ぐように設けられ、多数のガス吐出孔53aが形成された下部プレート53とを有しており、内部に空間55が形成されている。
【0035】
ガス導入口54にはガス供給配管56が接続されている。このガス供給配管56は上方にチャンバ1の外部まで延びており、切換部としての切換ダンパ57に接続されている。切換ダンパ57の上部にはファン・フィルタ・ユニット(FFU)60から清浄空気のダウンフローを取り入れるためのダウンフロー取り入れ配管58が接続されており、切換ダンパ57の側部には低湿度ガス供給源62から延びる低湿度ガス配管61が接続されている。そして、切換ダンパ57を操作することにより、FFU60から取り入れられた清浄空気および低湿度ガス供給源62からの低湿度ガスのいずれかがガス供給配管56を介してガス吐出ヘッド7からチャンバ1内に供給されるようになっている。ダウンフロー取り入れ配管58および低湿度ガス配管61には、それぞれ開閉バルブ63,64が設けられており、これらの供給および遮断を行えるようになっている。低湿度ガスとしては、除湿して低露点にされた乾燥清浄空気または乾燥清浄不活性ガスまたは乾燥清浄窒素ガスを好適に用いることができる。低湿度ガスの湿度は10%以下が好ましい。なお、FFU60から供給される清浄空気は、湿度が40〜45%程度である。
【0036】
ガス供給配管56はチャンバ1の上方に伸縮部65を有しており、伸縮部65では、ガス供給配管56の下部配管56aが上部配管56b内に収容されることにより伸縮されるようになっている。そして、伸縮部65の下方の下部配管56aには、駆動板66が固定されており、この駆動板66にはシリンダ67のピストンロッド68が接続されていて、シリンダ67によりピストンロッド68を進出・退入させることによりガス吐出ヘッド7を上下動可能となっている。そして、シリンダ67により移動させることにより、ガス吐出ヘッド7を、少なくとも実線で示すスピンチャック2に近接した低湿度ガス吐出位置と、二点差線で示すチャンバ1の天壁直下の退避位置とに位置させることが可能となっている。
【0037】
チャンバ1内のカップ4の外側とチャンバ壁との間には多数の孔72が形成された多孔プレート71が設けられており、上記回転モータ11および31は、この多孔プレート71の上に固定されている。また、チャンバ1の底部には排気管73が設けられている。そして、ガス吐出ヘッド7から吐出された清浄空気または低湿度ガスが多孔プレート71に形成された孔72を通過して排気管73から排気される。
【0038】
処理装置100の各構成部、例えば回転モータ3,11,31、バルブ27,28,29,43,44,63,64、切換ダンパ57,シリンダ67、ノズル部5,6の昇降機構等は、制御部80により制御されるようになっている。制御部80は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)を有するプロセスコントローラ81と、プロセスコントローラ81に接続され、オペレータが処理装置100を管理するためにコマンド等の入力操作を行うキーボードや、処理装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース82と、プロセスコントローラ81に接続され、処理装置100の各構成部の制御対象を制御するための制御プログラムや、処理装置100に所定の処理を行わせるためのプログラムすなわちレシピが格納された記憶部83とを有している。
【0039】
レシピは記憶部83の中の記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、ハードディスクのような固定的なものであってもよいし、CDROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
【0040】
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース82からの指示等にて任意のレシピを記憶部83から呼び出し、そのレシピの処理内容をプロセスコントローラ81に実行させることで、プロセスコントローラ81の制御下で、ウエハ洗浄装置100にて所定の処理が行われる。
【0041】
次に、このように構成されたウエハ洗浄装置100における処理動作について説明する。ここでは、図3に示すように、SC−1洗浄(工程1)−リンス処理(工程2)−DHF洗浄(工程3)−リンス処理(工程4)−IPA乾燥(工程5)−振り切り乾燥(工程6)の手順で洗浄処理を行う。なお、SC−1洗浄は主に有機溶剤やパーティクルの除去のために行われ、DHF洗浄は主に酸化膜の除去のために行われる。
【0042】
まず、図4に示すように、処理液ノズル部5のノズルヘッド14および乾燥流体ノズル部6のノズルヘッド34を退避位置に位置させ、ガス吐出ヘッド7をチャンバ1の上部の退避位置に位置させた状態とし、昇降機構(図示せず)によりスピンチャック2をカップ4の上方の搬送位置まで上昇させ、ウエハ搬入出口(図示せず)からウエハWを保持した搬送アーム(図示せず)を挿入し、ウエハWをスピンチャック2上方の受け渡し位置に位置させ、保持部材2bで保持する。このとき、切換ダンパ57(図1)を清浄空気側にしてガス吐出ヘッド7からは清浄空気が吐出されている。
【0043】
次に、図5に示すように、昇降機構(図示せず)によりスピンチャック2をカップ4内の処理位置に降下させ、処理液供給ノズル部5のノズルヘッド14を回動させ、処理液吐出ノズル15をウエハW中心直上位置に位置させ、ノズルヘッド14を駆動機構(図示せず)により処理位置へ降下させる。そして、退避位置にあるガス吐出ヘッド7から清浄空気を流したままの状態で、回転モータ3によりウエハWをスピンチャック2とともに回転させながら、バルブ28を開き、バルブ27,29を閉じた状態として、処理液吐出ノズル15から洗浄薬液としてSC−1をウエハWに供給して工程1のSC−1洗浄を行う。
【0044】
SC−1洗浄が終了したら、工程2のリンス処理を行う。このリンス処理では、退避位置にあるガス吐出ヘッド7から清浄空気を流したまま、ノズル15をウエハW中心直上位置に位置させたまま、ウエハWを回転したままの状態で、バルブ29を開き、バルブ27,28を閉じた状態として、処理液吐出ノズル15からリンス液としての純水(DIW)をウエハWの中心に供給する。これにより純水が遠心力によりウエハWの全面に拡がりウエハWから振り切られ、その間にウエハW上のSC−1が洗い流される。
【0045】
工程2のリンス処理が終了したら、工程3のDHF洗浄を行う。このDHF洗浄では、退避位置にあるガス吐出ヘッド7から清浄空気を流したまま、ノズル15をウエハW中心直上位置に位置させたまま、ウエハWを回転したままの状態で、バルブ27を開き、バルブ28,29を閉じた状態として、処理液吐出ノズル15から洗浄薬液としてDHFをウエハWの中心に供給する。
【0046】
工程3のDHFが終了したら、工程4のリンス処理を行う。このリンス処理では、退避位置にあるガス吐出ヘッド7から清浄空気を流したまま、ノズル15をウエハWの中心位置に位置させたまま、ウエハWを回転したままの状態で、バルブ29を開き、バルブ27,28を閉じた状態として、処理液吐出ノズル15からリンス液としての純水(DIW)をウエハWの中心に供給する。これにより純水が遠心力によりウエハWの全面に拡がりウエハWから振り切られ、その間にウエハW上のDHFが洗い流される。そして、この工程4のリンス処理の途中で、次の工程5のIPA乾燥に備えて、図6に示すように、ガス吐出ヘッド7をスピンチャック2に保持されたウエハWに近接した近接位置に降下させ、切換ダンパ57を低湿度ガス側にして低湿度ガスを吐出する。この切り換えタイミングは、IPA乾燥開始時にウエハWの周囲が低湿度ガスに十分に置換できるタイミングであることが好ましい。
【0047】
工程4のリンス処理が終了したら、図7に示すように、近接位置にあるガス吐出ヘッド7から低湿度ガスを吐出したまま、処理液ノズル部5のノズルヘッド14を退避位置に退避させ、乾燥流体ノズル部6のノズルヘッド34を回動させてIPA吐出ノズル35をウエハW中心直上位置に位置させる。そして、回転モータ3によりウエハWをスピンチャック2とともに回転させながら、バルブ43を開き、IPAをウエハW中心に供給して工程5のIPA乾燥を行う。IPA乾燥においては、まず、このようにウエハWを回転してウエハW中心にIPAを供給して遠心力によりウエハW全面に拡げ、ウエハW上の純水をIPAに置換してIPAの液膜を形成する。このようにウエハWの全面にIPAの液膜を形成することにより、自然乾燥によりウエハWの上面にウォーターマークやパーティクルが発生することを防止することができる。この後、IPA吐出ノズル35からIPAを吐出したまま、ノズルヘッド34をウエハW中心から周縁に向けてスキャンして、ウエハWに供給しているIPAを中心から周縁にスキャンさせることによりウエハWの表面のIPA膜を遠心力によりウエハの外側へ押し出すことができ、ウエハWの表面をむらなく乾燥させることができる。
【0048】
この場合に、図8に示すように、IPAをウエハWの中心から周縁へスキャンしている際に、窒素ガス吐出ノズル36から窒素ガスを吐出して、スキャンしているIPAを窒素ガスが追いかける状態とすることにより、よりむらなく乾燥させることができる。
【0049】
このようなIPA乾燥は、特に、疎水性の洗浄液であるDHFによる洗浄処理後に表面が疎水性になったウォーターマークが発生しやすいウエハWの乾燥処理の際に有効である。
【0050】
このようなIPA乾燥処理は、通常の清浄空気のような40%程度の湿度のある雰囲気ではIPAが吸湿して十分な乾燥効果を発揮することができず、ウォーターマークを完全に除去できないことから、乾燥した清浄空気等の低湿度ガスを供給しながら行っていたが、従来は、チャンバ上部の清浄空気取り入れ口から、ガスを低湿度ガスに切り換えるのみで供給していた。しかしながら、低湿度ガスは、除湿処理に手間がかかり、高価なものであるため、このようにチャンバ上部から低湿度ガスを供給したのでは低湿度ガスが多量に必要になってコストがかかってしまう。
【0051】
そこで、本実施形態では、上下動可能にガス吐出ヘッド7を設け、IPA乾燥における低湿度ガスの供給の際に、ガス吐出ヘッド7を下降させウエハWに近接させることにより、低湿度ガスを供給すべきチャンバの見かけ上の容積を小さくすることができ、低湿度ガスの使用量を少なくすることができる。また、このように低湿度ガスを供給すべき容積を小さくすることができることから、ウエハW周囲の雰囲気を清浄空気から低湿度ガスに置換する時間を短くすることができ、スループットも向上する。
【0052】
なお、薬液処理の際に通常の清浄空気を供給するのは、高価な低湿度ガスの節約という意味合いの他、低湿度雰囲気で薬液処理を行うと、薬液中の水分の蒸発が促進されて、薬液濃度が上昇し、洗浄処理を制御し難く、かつ薬液の循環使用(リサイクル)の際に、薬液の濃度がどんどん上昇してしまうからである。また、清浄空気を吐出する際に、ガス吐出ヘッド7をチャンバ1上部の退避位置に位置させるのは、チャンバ1内にダウンフローを形成しておく必要があり、また、SC−1やDHF等の薬液がガス吐出ヘッド7に付着することを防止する必要もあるからである。
【0053】
このような工程5のIPA乾燥の後、より完全にウエハWを乾燥させる観点から、低湿度ガスを供給したままの状態で、工程6の振り切り乾燥を行う。この際には、乾燥流体ノズル部6のノズルヘッド34を退避位置に位置させ、ノズルヘッド14および34とも退避した状態でウエハWを回転させる。
【0054】
この場合に、ウエハWの上方にはノズルが存在しないことから、図9に示すように、ガス吐出ヘッド7をさらに下降させてウエハWに一層近接させることができる。このように、ガス吐出ヘッド7を一層近接させることにより、低湿度ガスの使用量を一層少なくすることができる。
【0055】
なお、上記図1の装置では、IPA吐出ノズル35をノズルヘッド34に取り付けて、ノズルアーム33を介してノズルヘッド34を回動可能にしたため、IPA乾燥の際にノズルアーム33と干渉しない位置までしかガス吐出ヘッド7を下降させることができないが、IPA乾燥時にガス吐出ヘッド7をより降下させて、低湿度ガスの使用量を一層少なくする観点から、図10に示すようにガス吐出ヘッド7に中心から周縁に向かう切り欠き91を形成し、IPA吐出ノズル35′を取り付けたノズルヘッド34′をノズルアーム33′を介して切り欠き91に沿ってスキャンしながらIPAを供給するようにすることができる。この場合には、ガス吐出ヘッド7をウエハWに近接させても、ノズルヘッド34′のスキャンの妨げにならない。なお、ノズルヘッド34′に窒素ガス吐出ノズルを設けてスキャンしているIPAを窒素ガスが追いかける状態としてもよい。
【0056】
また、図11に示すように、IPA吐出ノズル92をガス吐出ヘッド7に取り付けて、このIPA吐出ノズル92からIPAを吐出するようにすることによっても、ノズルアームとの干渉を考慮することなく、ガス吐出ヘッド7をウエハWに極力近接させることができる。ただし、この場合にはIPA吐出ノズル92をスキャンすることができない。
【0057】
図10および図11の例では、工程4のリンス処理時にIPA乾燥工程に備えてガス吐出ヘッドをウエハWに近接させると、リンス処理時の液の跳ね返りがガス吐出ヘッドに付着してパーティクルの原因となるおそれがあるので、液の跳ね返りが付着し難い中間位置にガス吐出ヘッドを位置させることが好ましい。
【0058】
<第2の実施形態>
図12は本発明の第2の実施形態に係るウエハ洗浄装置の概略構成を示す垂直断面図である。
【0059】
このウエハ洗浄装置100′は、乾燥流体ノズル部6と、乾燥流体供給部9とが存在しない以外は、図1のウエハ洗浄装置100と同様に構成されている。
【0060】
このように構成されたウエハ洗浄装置100′においては、図13に示すように、SC−1洗浄(工程11)−リンス処理(工程12)−DHF洗浄(工程13)−リンス処理(工程14)−振り切り乾燥(工程15)の手順で洗浄処理を行う。すなわち、第1の実施形態とはIPA乾燥を行わない点が異なっている。
【0061】
そして、工程11〜13は、上記工程1〜3と同様、ガス吐出ヘッド7を図5と同様にチャンバ1の上部の退避位置に位置させた状態とし、ガス吐出ヘッドから清浄空気を吐出した状態で、工程1〜3と全く同様の手順で行われる。工程14についても、上記工程4と同様、途中までガス吐出ヘッド7をチャンバ1の上部の退避位置に位置させ、清浄空気を吐出したままの状態として、同様の手順でリンス処理を行い、その後、図6と同様に、次の乾燥処理に備えて、ガス吐出ヘッド7をスピンチャック2に保持されたウエハWに近接した近接位置に降下させ、切換ダンパ57を低湿度ガス側にして低湿度ガスを吐出する。この切り換えタイミングは、乾燥開始時にウエハWの周囲が低湿度ガスに十分に置換できるタイミングであることが好ましい。
【0062】
工程14のリンス処理が終了したら、図14に示すように、処理液ノズル部5のノズルヘッド14を退避位置に退避させ、ガス吐出ヘッド7をさらに下降させてよりウエハWに近い近接位置に位置させ、そこから低湿度ガスを吐出したまま回転モータ3によりウエハWをスピンチャック2とともに回転させながら工程15の振り切り乾燥を行う。この振り切り乾燥の際に、ガス吐出ヘッド7から低湿度ガスが吐出されることにより、ウエハWの液の気化が促進され、ウエハWの上面にウォーターマークやパーティクルが発生することを防止することができる。第1の実施形態のようにIPA乾燥を行うことにより、ウォーターマークやパーティクルの発生を確実に防止することができるが、場合によっては、このように低湿度ガスの吐出のみによってウォーターマークやパーティクルの発生を防止することができる。
【0063】
ウエハW上の液をむらなく乾燥させて、ウォーターマークやパーティクルの発生をより確実に防止するためには、図15に示すように、ノズルアーム133の先端に窒素ガスノズル136を設け、モータ131によりノズルアーム133を回動させて窒素ガスノズル136をスキャン可能にし、工程15の振り切り乾燥の際に、窒素ガスを中心から周縁にスキャンさせることが好ましい。この場合に、図10と同様にガス吐出ヘッド7に中心から周縁に向かう切り欠きを形成し、窒素ガスノズル136を切り欠きに沿ってスキャンしながら窒素ガスを吐出するようにすることにより、ガス吐出ヘッド7をより下降させることができ、低湿度ガスの使用量を一層少なくすることができる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、SC−1洗浄およびDHF洗浄を行った後に、IPA乾燥を行う例を示したが、SC−1洗浄、DHF洗浄のみを行う場合にも本発明を適用することができるし、他の薬液処理の後にIPA乾燥を行う場合にも適用することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、乾燥用溶剤としてIPAを用いたが、IPAに限らず他の溶剤であってもよい。さらに、上記実施形態では本発明をウエハの洗浄処理に適用したが、洗浄処理に限らず、処理液での処理の後に乾燥用溶剤を用いて乾燥する処理であれば適用することができる。さらにまた、上記実施形態では、基本的にIPA乾燥時と振り切り乾燥時に低湿度ガスを用いたが、少なくともIPAのような乾燥用溶剤での乾燥処理の際に低湿度ガスを用いればよい。
【0066】
さらにまた、上記実施形態では、基板として半導体ウエハを適用した場合について示したが、これに限るものではなく、他の基板の処理にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るウエハ洗浄装置の概略構成を示す垂直断面図。
【図2】図1のウエハ洗浄装置のチャンバ内部を示す水平断面図。
【図3】図1のウエハ洗浄装置によるウエハ洗浄処理の工程の一例を示すフローチャート。
【図4】図1のウエハ洗浄装置において、チャンバ内にウエハを搬入する時の状態を示す断面図。
【図5】図1のウエハ洗浄装置において、洗浄処理を行っている状態を示す断面図。
【図6】図1のウエハ洗浄装置のIPA乾燥直前のリンス処理において、ガス吐出ヘッドを下降させた状態を示す図。
【図7】図1のウエハ洗浄装置において、IPA乾燥を行っている状態を示す断面図。
【図8】図1のウエハ洗浄装置のIPA乾燥において、IPAを吐出しながらスキャンする際において、窒素ガスを吐出する状態を示す模式図。
【図9】図1のウエハ洗浄装置において、振り切り乾燥を行う際の好ましい状態を示す断面図。
【図10】図1の変形例に係るウエハ洗浄装置におけるガス吐出ヘッドとIPAを吐出するノズル部を示す斜視図。
【図11】図1の他の変形例に係るウエハ洗浄装置におけるガス吐出ヘッドを示す断面図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るウエハ洗浄装置の概略構成を示す垂直断面図。
【図13】図12のウエハ洗浄装置によるウエハ洗浄処理の工程の一例を示すフローチャート。
【図14】図12のウエハ洗浄装置の振り切り乾燥において、ガス吐出ヘッドを下降させた状態を示す図。
【図15】図12のウエハ洗浄装置において、窒素ガスをスキャンしながら振り切り乾燥を行っている状態を示す図。
【符号の説明】
【0068】
1;チャンバ
2;スピンチャック
3;モータ
4;カップ
4a;排気・排液管
5;処理液ノズル部
6;乾燥流体ノズル部
7;ガス吐出ヘッド
8;処理液供給部
9;乾燥流体供給部
15;処理液吐出ノズル
35;IPA吐出ノズル
36;窒素ガス吐出ノズル
57;切換ダンパ
58;ダウンフロー取り入れ配管
60;FFU
61;低湿度ガス配管
62;低湿度ガス供給源
73;排気管
80;制御部
100;ウエハ洗浄装置(基板処理装置)
W;半導体ウエハ(基板)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が収容されるチャンバと、
前記チャンバ内で基板を水平に保持する基板保持部と、
前記基板保持部を回転させる回転機構と、
前記チャンバ内の前記基板保持部の上方に上下動可能に設けられ、低湿度ガスおよび清浄空気のいずれかを下方に向けて吐出可能なガス吐出ヘッドと、
前記ガス吐出ヘッドへ低湿度ガスおよび清浄空気のいずれかを供給するガス供給機構と、
前記ガス吐出ヘッドを、少なくとも前記チャンバの上部の退避位置と、前記基板保持部に保持された基板に近接した近接位置との間で移動させる駆動機構と、
前記基板保持部に保持された基板に処理液を供給する処理液供給ノズルと、
前記基板保持部に保持された基板に乾燥用有機溶剤を供給する乾燥用有機溶剤供給ノズルと
を具備し、
前記基板保持部に保持された基板に前記処理液供給ノズルから処理液を供給して液処理を行い、その後、その基板に前記乾燥用有機溶剤供給ノズルから乾燥用有機溶剤を供給して乾燥を行う一連の処理を行い、
少なくとも前記乾燥用有機溶剤の供給時に前記ガス吐出ヘッドを前記近接位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから前記低湿度ガスを供給し、低湿度ガスを供給しない時には前記ガス吐出ヘッドを退避位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから清浄空気を供給することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記乾燥用有機溶剤供給ノズルは、基板を回転させた状態で基板の中心から周縁に向けてスキャンされながら乾燥用有機溶剤を吐出することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記乾燥用有機溶剤供給ノズルに隣接して窒素ガスノズルを設け、基板を回転させた状態で前記乾燥用有機溶剤供給ノズルを基板の中心から周縁に向けてスキャンしながら乾燥用有機溶剤を吐出している際に、乾燥用有機溶剤のスキャンを追いかけるように窒素ガスをスキャンさせることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記乾燥用有機溶剤供給ノズルから乾燥用有機溶剤を供給して乾燥を行った後に、基板上にノズルが存在しない状態で振り切り乾燥を行い、その際に前記ガス吐出ノズルをさらに基板に近接させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記ガス吐出ヘッドは、前記乾燥用有機溶剤供給ノズルがスキャン可能な切り欠きを有し、前記ガス吐出ヘッドが近接位置に位置している際に、前記切り欠き内を前記乾燥用有機溶剤供給ノズルがスキャンすることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記ガス吐出ヘッドは、前記乾燥用有機溶剤供給ノズルが内蔵されていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板が収容されるチャンバと、
前記チャンバ内で基板を水平に保持する基板保持部と、
前記基板保持部を回転させる回転機構と、
前記チャンバ内の前記基板保持部の上方に上下動可能に設けられ、低湿度ガスおよび清浄空気のいずれかを下方に向けて吐出可能なガス吐出ヘッドと、
前記ガス吐出ヘッドへ低湿度ガスおよび清浄空気のいずれかを供給するガス供給機構と、
前記ガス吐出ヘッドを、少なくとも前記チャンバの上部の退避位置と、前記基板保持部に保持された基板に近接した近接位置との間で移動させる駆動機構と、
前記基板保持部に保持された基板に処理液を供給する処理液供給ノズルと
を具備し、
前記基板保持部に保持された基板に前記処理液供給ノズルから処理液を供給して液処理を行い、その後、その基板を回転させながら乾燥を行う一連の処理を行い、
少なくとも前記乾燥時に前記ガス吐出ヘッドを前記近接位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから前記低湿度ガスを供給し、低湿度ガスを供給しない時には前記ガス吐出ヘッドを退避位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから清浄空気を供給することを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
スキャン可能に設けられた窒素ガスノズルをさらに有し、基板乾燥時に、基板を回転させた状態で前記窒素ガスノズルを基板の中心から周縁に向けてスキャンさせることを特徴とする請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記ガス吐出ヘッドは、前記窒素ガスノズルがスキャン可能な切り欠きを有し、前記ガス吐出ヘッドが近接位置に位置している際に、前記切り欠き内を前記窒素ガスノズルがスキャンすることを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
基板が収容されるチャンバ内で基板を水平に保持し、前記基板保持部に基板を保持させて基板保持部とともに基板を回転させながら処理液供給ノズルから基板に処理液を供給して基板に処理を施し、その後、乾燥用有機溶剤供給ノズルから基板に乾燥用有機溶剤を供給して乾燥させる基板処理方法であって、
少なくとも前記チャンバの上部の退避位置と、前記基板保持部に保持された基板に近接した近接位置との間で移動可能に設けられ、清浄空気と低湿度ガスとを選択的に吐出するガス吐出ヘッドを設け、
少なくとも前記乾燥用有機溶剤の供給時に前記ガス吐出ヘッドを前記近接位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから前記低湿度ガスを供給し、低湿度ガスを供給しない時には前記ガス吐出ヘッドを退避位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから清浄空気を供給することを特徴とする基板処理方法。
【請求項11】
基板を回転させた状態で前記乾燥用有機溶剤供給ノズルを基板の中心から周縁に向けてスキャンさせながら乾燥用有機溶剤を吐出することを特徴とする請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記乾燥用有機溶剤供給ノズルに隣接して窒素ガスノズルを設け、基板を回転させた状態で前記乾燥用有機溶剤供給ノズルを基板の中心から周縁に向けてスキャンしながら乾燥用有機溶剤を吐出している際に、乾燥用有機溶剤のスキャンを追いかけるように窒素ガスをスキャンさせることを特徴とする請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記乾燥用有機溶剤供給ノズルから乾燥用有機溶剤を供給して乾燥を行った後に、基板上にノズルが存在しない状態で振り切り乾燥を行い、その際に前記ガス吐出ノズルをさらに基板に近接させることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記処理液供給ノズルから基板に薬液を供給して薬液による基板洗浄を行い、その後処理液供給ノズルから基板にリンス液を供給してリンス処理を行った後、乾燥用有機溶剤による乾燥処理を行うことを特徴とする請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項15】
基板が収容されるチャンバ内で基板を水平に保持し、前記基板保持部に基板を保持させて基板保持部とともに基板を回転させながら処理液供給ノズルから基板に処理液を供給して基板に処理を施し、その後、基板を回転させながら基板を乾燥させる基板処理方法であって、
少なくとも前記チャンバの上部の退避位置と、前記基板保持部に保持された基板に近接した近接位置との間で移動可能に設けられ、清浄空気と低湿度ガスとを選択的に吐出するガス吐出ヘッドを設け、
少なくとも前記乾燥時に前記ガス吐出ヘッドを前記近接位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから前記低湿度ガスを供給し、低湿度ガスを供給しない時には前記ガス吐出ヘッドを退避位置に位置させて前記ガス吐出ヘッドから清浄空気を供給することを特徴とする基板処理方法。
【請求項16】
スキャン可能に窒素ガスノズルを設け、基板乾燥時に、基板を回転させた状態で前記窒素ガスノズルを基板の中心から周縁に向けてスキャンさせることを特徴とする請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記処理液供給ノズルから基板に薬液を供給して薬液による基板洗浄を行い、その後処理液供給ノズルから基板にリンス液を供給してリンス処理を行った後、乾燥処理を行うことを特徴とする請求項15または請求項16に記載の基板処理方法。
【請求項18】
コンピュータ上で動作し、基板処理装置を制御するプログラムが記憶された記憶媒体であって、前記プログラムは、実行時に、請求項10から請求項17のいずれかの基板処理方法が行われるようにコンピュータに処理装置を制御させることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−218563(P2009−218563A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315721(P2008−315721)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】