説明

基板処理装置

【課題】 処理品質を向上させながら、小型化に有利な基板処理装置を提供する。
【解決手段】 送引均衡型水洗ノズルヘッド10に装備された排液チューブウォール2,4によってリンス処理後の純水(処理済リンス液)を吸引して基板上から直ちに除去するとともに、送引均衡型エアーナイフヘッド20に装備された排気チューブウォール6,8によって処理済リンス液を含んだ乾燥処理後のガス(処理済乾燥ガス)を吸引して基板上から直ちに除去している。このため、処理済リンス液が飛散してヘッド20によって乾燥処理される基板表面に付着することがない一方で、液切りされた処理済リンス液が飛散してヘッド10によってリンス処理される基板表面に付着することがない。したがって、両ヘッド10,20を互いに近接配置して装置を小型化することができるとともに、汚染物の基板Wへの再付着を確実に防止して基板Wの処理品質を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の製造に用いられるガラス基板や半導体ウエハ、あるいは磁気ディスク用のガラス基板やセラミックなどの各種基板(以下、単に「基板」という)に対してリンス液を供給してリンス処理を行うとともに、乾燥ガスを噴射して乾燥処理を行う基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば液晶表示装置の製造工程においては、基板上の露光パターニングされたレジストに現像液を供給して現像処理する。その後、現像処理された基板表面にリンス液を供給してリンス処理してから基板を乾燥させる乾燥処理を施している(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の装置では、現像処理された基板表面にシャワーノズルからリンス液を供給してリンス処理を行うリンス部(リンス処理ユニット)と、リンス処理された基板表面に高圧エアを吹き付けて乾燥処理を行う乾燥部(乾燥処理ユニット)とが直列に配設されている。そして、現像処理された基板をリンス部、乾燥部の順に基板を搬送しつつ該基板に対してリンス処理を行った後、乾燥処理を行っている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−102289号公報(段落「0018」〜段落「0019」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の基板処理装置においては、基板サイズは大型化の傾向にあり、イニシャルコストやランニングコストの低減要求が厳しくなってきているとともに、環境への配慮も重要となってきている。そこで、精密な回路パターンが形成される、この種の基板に対する処理が高いクリーン度が維持されたクリーンルーム内で行われることから、基板処理装置のフットプリントを削減し、装置を小型化することがコスト削減のための重要な課題となっている。
【0005】
ところが、従来の基板処理装置では、リンス処理、乾燥処理の2つの処理部(処理ユニット)ごとに専用の処理室を設けて各処理部が離間して配置されるように構成されている。このため、基板処理装置のフットプリント(占有床面積)には、これら2つの処理部を離間して配置するだけの面積が含まれる。したがって、装置のフットプリントを削減し、装置を小型化するために、リンス部と乾燥部とを近接して配置することが望まれる。
【0006】
しかしながら、従来装置においてリンス部と乾燥部とを近接して配置する場合には、次のような問題があった。すなわち、リンス部にて基板被処理面にノズルから供給されたリンス液は基板上から飛散し、基板の周囲雰囲気はリンス液のミストが浮遊している。そのため、リンス部を乾燥部に近接させて配置した場合には、基板から飛散する、汚染物を含むリンス液(処理済リンス液)およびリンス液のミストが乾燥部に侵入するおそれがある。その結果、乾燥部において乾燥処理される基板被処理面に付着して処理品質を低下させてしまうこととなる。一方で、乾燥部にて基板被処理面に吹き付けられた高圧エアによって液切りされたリンス液は基板の周囲に飛散している。そのため、乾燥部をリンス部に近接させて配置した場合には、基板から飛散する、汚染物を含むリンス液がリンス部に搬送される基板被処理面に再付着して処理品質を低下させてしまうこととなる。
【0007】
ここで、処理部(処理ユニット)ごとに専用の処理室を配置しながら各処理室の基板搬入出口にシャッタ等の隔離手段を設けて、各処理部を隔離しつつ近接配置することも考えられる。しかしながら、このように構成する場合は、シャッタの開閉操作を要することから連続的に基板を搬送しながら処理することができなくなる。つまり、基板処理時には、上記した処理品質の低下を避けるためにも、シャッタを閉状態とし、基板の搬送を停止する必要がある。その結果、装置のスループットを低下させてしまうこととなる。さらに、基板サイズが大きな基板を処理する場合には、個々の処理室も基板サイズに合わせて大きく構成しなければならないことから装置を小型化するにも限界がある。
【0008】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、処理品質を向上させながら、小型化に有利な基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる基板処理装置は、上記目的を達成するため、基板の被処理面にリンス液を供給して該基板被処理面をリンス処理するリンス手段と、リンス処理後の処理済リンス液を吸引して基板上から除去するリンス後吸引除去手段とを有し、所定の搬送方向に基板が搬送される基板搬送経路上に配置されるリンス処理ユニットと、基板被処理面に乾燥ガスを噴出して該基板被処理面に付着する処理済リンス液を液切りして乾燥処理する乾燥手段と、処理済リンス液を含む乾燥処理後の処理済乾燥ガスを吸引して基板上から除去する乾燥後吸引除去手段とを有し、リンス処理ユニットに対して搬送方向の下流側となるように基板搬送経路上に配置される乾燥処理ユニットとを備え、リンス処理ユニットと乾燥処理ユニットとを互いに近接して配置させている。
【0010】
このように構成された基板処理装置では、基板搬送経路上を所定の搬送方向に搬送される基板は、それぞれ基板搬送経路上に配置された、リンス処理ユニットと、該リンス処理ユニットに対して搬送方向の下流側に配置された乾燥処理ユニットとによって次のようにして順に処理される。すなわち、リンス処理ユニットにおいて、リンス手段から基板の被処理面にリンス液が供給され該基板被処理面がリンス処理されるとともに、リンス後吸引除去手段によってリンス処理後の処理済リンス液が吸引され基板上から除去される。続いて、乾燥処理ユニットにおいて、乾燥手段から基板の被処理面に乾燥ガスが噴出され該基板被処理面に付着する処理済リンス液が液切りされるとともに、乾燥後吸引除去手段によって処理済リンス液を含む乾燥処理後の処理済乾燥ガスが吸引され基板上から除去される。
【0011】
つまり、リンス後吸引除去手段がリンス処理後の処理済リンス液を吸引して基板上から除去するとともに、乾燥後吸引除去手段が乾燥処理後の処理済乾燥ガスを吸引して基板上から除去している。このため、処理済リンス液が乾燥処理ユニットに向けて飛散することがなく、乾燥処理ユニットによって処理される基板被処理面に悪影響を与えることがない。一方で、液切りされた処理済リンス液がリンス処理ユニットに向けて飛散することがなく、リンス処理ユニットによって処理される基板被処理面に悪影響を与えることがない。したがって、リンス処理ユニットと乾燥処理ユニットとを近接して配置することが可能となり、基板処理装置を小型化することができる。
【0012】
さらに、リンス処理ユニットはリンス液を基板に供給した後に同一ユニット内でリンス処理後の処理済リンス液を基板上から吸引除去することで直ちに処理済リンス液を基板から排除する一方で、乾燥処理ユニットは乾燥ガスを基板に供給した後に同一ユニット内で乾燥処理後の処理済乾燥ガスを基板上から吸引除去することで直ちに処理済乾燥ガスを基板から排除している。そのため、処理済リンス液および処理済乾燥ガスに含まれる汚染物の基板への再付着などが確実に防止され、基板の処理品質を向上させることができる。
【0013】
ここで、基板を基板搬送経路上において搬送方向に連続的に搬送させるようにしてもよい。この構成によれば、リンス処理ユニットと乾燥処理ユニットとのうち、一方の処理ユニットによって処理される基板被処理面への他方の処理ユニットからの悪影響を排除しながら、連続的に搬送される基板の被処理面に対してリンス処理と乾燥処理とを同時に実行することができる。これにより、装置を小型化しながらも、装置のスループットを向上させることができる。
【0014】
また、上記のように、リンス処理ユニットと乾燥処理ユニットとを構成することにより、リンス処理ユニットと乾燥処理ユニットとを単一の処理室内に配置することができる。この構成によれば、従来装置のように各処理ユニット(処理部)ごとに個別に処理室を設けて構成する場合に比べて装置のフットプリントを削減し、装置を小型化することができるとともに装置の簡素化が可能となる。
【0015】
また、リンス後吸引除去手段を、リンス手段に対して搬送方向の上流側と下流側の両側に配置するように構成すると、リンス手段から基板に供給され基板から飛散するリンス液(処理済リンス液)がリンス手段に対して搬送方向の上流側と下流側の両側から吸引除去される。したがって、リンス処理ユニットに対して搬送方向の上流側と下流側とに処理済リンス液が飛散するのを確実に防止することができる。
【0016】
ここで、リンス後吸引除去手段は、その一端に吸引口を有するチューブを複数個、吸引口を基板被処理面に近接させながら搬送方向に略直交する方向に列状に密に配置した排液チューブウォールと、チューブの他端の各々に接続されて吸引口から処理済リンス液を吸引して排液する排液ポンプとを備えるように構成してもよい。この構成によれば、複数のチューブが搬送方向に略直交する方向に列状に密に配置されることで、各チューブが障壁となってリンス処理ユニットに対して搬送方向の上流側および/または下流側に処理済リンス液が飛散するのを確実に防止することができるとともに、各チューブによって遮蔽された処理済リンス液を効率良く吸引口から吸引して基板上から除去することができる。
【0017】
また、乾燥後吸引除去手段を、乾燥手段に対して搬送方向の上流側と下流側の両側に配置するように構成すると、処理済リンス液を含む乾燥処理後の処理済乾燥ガスが乾燥手段に対して搬送方向の上流側と下流側の両側から吸引除去され、乾燥処理ユニットに対して搬送方向の上流側と下流側に液切りされた処理済リンス液が飛散するのを確実に防止することができる。
【0018】
ここで、乾燥後吸引除去手段は、その一端に吸引口を有するチューブを複数個、吸引口を基板被処理面に近接させながら搬送方向に略直交する方向に列状に密に配置した排気チューブウォールと、チューブの他端の各々に接続されて吸引口から処理済乾燥ガスを吸引して排気する排気ポンプとを備えるように構成してもよい。この構成によれば、排液チューブウォールと同様にして複数のチューブが搬送方向に略直交する方向に列状に密に配置されることで、各チューブが障壁となって液切りされた処理済リンス液が乾燥処理ユニットに対して搬送方向の上流側および/または下流側に飛散するのを確実に防止することができるとともに、各チューブによって遮蔽された、処理済リンス液を含む処理済乾燥ガスを効率良く吸引口から吸引して基板上から除去することができる。
【0019】
また、リンス処理ユニットに対して搬送方向の上流側となるように基板搬送経路上に配置され、処理液を基板の被処理面に供給することによって該基板被処理面に対して所定の湿式処理を施す湿式処理ユニットを備える場合には、リンス処理ユニットが、リンス手段に対して搬送方向の上流側に配置され、湿式処理ユニットによる湿式処理後の処理液を吸引して基板上から除去する処理液吸引除去手段を有するようにしてもよい。この構成によれば、リンス処理前に処理液吸引除去手段によって基板被処理面に付着する処理液が吸引除去される。このため、リンス処理時間を短縮あるいはリンス液の使用量を低減するなど基板を容易にリンス処理することが可能になる。したがって、処理済リンス液の飛散をさらに抑制することができ、処理品質を向上させることができる。しかも、処理液吸引除去手段をリンス処理ユニットに設けることで、処理液吸引除去手段、リンス手段、乾燥手段をそれぞれ近接配置させながら一体化して構成することも可能となる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、リンス処理ユニットと乾燥処理ユニットとを近接させて配置することができ、基板処理装置を小型化することができる。しかも、リンス処理後の処理済リンス液および乾燥処理後の処理済乾燥ガスに含まれる汚染物の基板への再付着などを確実に防止することができ、基板の処理品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。この基板処理装置は、矩形状の液晶表示パネル用ガラス基板(以下、単に「基板」という)Wを基板搬送経路Cに沿って搬送する搬送機構100と、この搬送機構100により搬送される基板Wの表面(被処理面)に現像液を供給して現像処理する現像処理部200と、現像処理された基板表面に本発明の「リンス液」として純水を供給してリンス処理するとともに、リンス処理された基板Wの表面に圧縮空気(または窒素ガス)を吹き付けて乾燥させるリンス乾燥部300と、現像処理部200およびリンス乾燥部300から回収した現像液を現像処理部200に循環させる現像液循環部400とを備えている。なお、図1および以降の各図には、XYZ直交座標系を付して適宜参照する。
【0022】
搬送機構100は、複数の搬送ローラ100aをX方向に並べた構成となっており、これらの搬送ローラ100aの一部(あるいは全て)を回転させることで搬送機構100上の基板WをX方向(図1の左方から右方に向かう方向)に直線的に、しかも連続的に搬送する。複数の搬送ローラ100aは基板Wの搬送方向(X方向)と略直交する方向(Y方向)に配設された支持軸(図示せず)に軸支され、基板Wをほぼ水平姿勢で支持して搬送する。
【0023】
現像処理部200は、処理チャンバ(処理室)201を備え、処理チャンバ201の内部には、搬送ローラ100aにより搬送される基板WにTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液などの現像液を本発明の「処理液」として噴出するノズル202(本発明の「湿式処理ユニット」に相当)が基板搬送経路C上に配設されている。また、処理チャンバ201の底部には、基板Wに供給された現像液を回収する回収路203が設けられている。現像処理部200の下方には、現像液循環部400に装備された回収液貯槽401が配置されており、回収路203は開閉弁204を介して回収液貯槽401に連通している。
【0024】
現像処理部200に対して搬送方向(X方向)の下流側にはリンス乾燥部300が配置されている。リンス乾燥部300は、処理チャンバ(処理室)301を備え、処理チャンバ301の内部には本発明の「リンス処理ユニット」として機能する送引均衡型水洗ノズルヘッド10と、本発明の「乾燥処理ユニット」として機能する送引均衡型エアーナイフヘッド20とが緩衝部9を挟んで基板搬送経路C上に近接して配設されている。これら送引均衡型水洗ノズルヘッド10と送引均衡型エアーナイフヘッド20の基板搬送方向(X方向)に直交する方向(Y方向)の幅は、基板Wの直交幅(Y方向の幅)以上の大きさで形成されており、基板WがX方向に搬送されることで、各ヘッドは基板表面全体を処理することが可能となっている。また、処理チャンバ301の底部には、該処理チャンバ301内に搬送される基板Wから落下する液を回収する回収路303が設けられており、開閉弁304を介して回収液貯槽401に連通している。
【0025】
図2は、図1の基板処理装置に装備されたリンス乾燥部の要部拡大図である。図2に示すように、送引均衡型水洗ノズルヘッド10は、基板Wの搬送方向の上流側から順に、現像排液チューブウォール1と、前排液チューブウォール2と、水洗用の二流体ノズル3と、後排液チューブウォール4と、予備排液チューブウォール5とを備えている。また、送引均衡型エアーナイフヘッド20は、基板Wの搬送方向の上流側から順に、前排気チューブウォール6と、エアーナイフ7と、後排気チューブウォール8とを備えている。なお、各ヘッドに備えられたチューブウォールは以下のように構成されている。
【0026】
図3は、チューブウォールの概略構成を示す図である。チューブウォールは基板上の処理済液あるいは処理済ガスを吸引除去する吸引除去手段として機能している。図3(a)に示すように、チューブウォールは、複数のチューブを所定の方向(この実施形態ではY方向)に列状に密に配置することで構成されている。各チューブの一端は減圧ポンプと接続されており、減圧ポンプを稼動させることにより、チューブ他端(チューブの基板側先端部)の吸引口より基板上の処理済液あるいは処理済ガスを吸引除去する。チューブの基板側先端部は基板Wに非接触で近接配置されるが、基板Wに接触する場合も想定して各チューブは耐薬品を有するPVC(ポリ塩化ビニル)等の樹脂で形成される。各チューブの基板側先端部は吸引効率を考慮して基板表面に対して90°未満の角度で傾斜する(例えば基板表面に対して45度の角度をなす)ようにカットされている。
【0027】
現像排液チューブウォール1は、図1に示すように、現像液回収ポンプ11を介して回収液貯槽401に接続されている。そのため、現像液回収ポンプ11を稼動させることで、現像排液チューブウォール1から基板Wに供給された現像液(現像排液および現像液によって溶解されたレジスト)が基板上から除去されるとともに回収され回収液貯槽401に送液される。このように、この実施形態では、現像排液チューブウォール1が本発明の「処理液吸引除去手段」として機能している。
【0028】
二流体ノズル3は純水供給ポンプ12を介して純水供給源13と接続される一方で、圧縮空気供給ポンプ14を介して圧縮空気供給源15と接続されている。そのため、純水供給ポンプ12および圧縮空気供給ポンプ14を稼動させることで、二流体ノズル3に純水と圧縮空気とがそれぞれ供給される。これにより、二流体ノズル3の内部でミスト状の純水(リンス液)が生成される。二流体ノズル3の開口31は、図3(b)に示すように、Y方向に延びるスリットを形成している。そのため、生成されたミスト状の純水は開口31から噴射されることで、基板WのY方向に沿ってミスト状の純水が均一に供給される。その結果、二流体ノズル3から基板W上にミスト状の純水を供給しつつ、Y方向と直交するX方向に基板Wが搬送されることで、基板表面全体を均一にかつ効率良くリンス処理することができる。このように、この実施形態では、二流体ノズル3が本発明の「リンス手段」として機能している。
【0029】
二流体ノズル3に対して基板Wの搬送方向の上流側と下流側にはそれぞれ、前排液チューブウォール2と、後排液チューブウォール4とが配設されている。これらは排液ポンプ16と接続されており、排液ポンプ16を稼動させることでリンス処理後の純水(処理済リンス液)が前排液チューブウォール2および後排液チューブウォール4を構成する各チューブの吸引口から吸引除去され、基板外に排液される。ここで、チューブウォールは基板Wに近接して、しかも二流体ノズル3に対して基板Wの搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれ配置されることで、チューブウォールを構成する各チューブが障壁となってリンス処理後の純水が送引均衡型水洗ノズルヘッド10に対して基板Wの搬送方向の上流側と下流側に飛散するのが防止される。その結果、汚染物を飛沫同伴した純水の再付着を防止することができる。
【0030】
さらに、図3(b)に示すように、二流体ノズル3をY方向から挟み込むようにチューブウォール3a,3bを配設するのが望ましい。このように二流体ノズル3をチューブウォールによって四方から囲むことで、基板搬送方向に直交する方向(Y方向)に飛散するミスト状の純水をも吸引除去して、汚染物を飛沫同伴した純水の再付着を防止するとともに、基板Wの裏面側への純水の回り込みを防止することができる。なお、二流体ノズル3を四方から囲む各チューブウォールの吸引口は、ミスト状の純水を効率良く吸引するために、二流体ノズル3側に向けて吸引口の開口面積が拡大するように各チューブの基板側先端部が基板表面に対して斜めにカットされている。
【0031】
後排液チューブウォール4に対して基板Wの搬送方向の下流側には、さらに予備排液チューブウォール5が配設されており、上流側のチューブウォールによって吸引除去されず逸脱するリンス処理後の純水を確実に吸引除去している。このように、この実施形態では、前排液チューブウォール2、後排液チューブウォール4および予備排液チューブウォール5が本発明の「リンス後吸引除去手段」として機能している。
【0032】
次に、送引均衡型水洗ノズルヘッド10による洗浄動作について図4を参照しつつ説明する。図4は、送引均衡型水洗ノズルヘッドの制御について説明するための概略構成図である。同図では、送引均衡型水洗ノズルヘッド10は二流体ノズル3と、該二流体ノズル3に対して搬送方向(X方向)の上流側と下流側とにそれぞれ前排液チューブウォール2と後排液チューブウォール4とを備えている。なお、必要に応じて図2に示すように、現像排液チューブウォール1と予備排液チューブウォール5を備えるようにしてもよい。
【0033】
二流体ノズル3は、その内部に純水と圧縮空気が供給されることで生成したミスト状の純水(リンス液)を、Y方向(紙面に垂直な方向)に延びる開口31から基板Wに対して該基板Wの搬送方向に直交する方向(Y方向)の幅全体にわたって噴射する。リンス処理後の純水(処理済リンス液)は前排液チューブウォール2と後排液チューブウォール4とに接続された排液ポンプ16により吸引除去される。
【0034】
チューブウォール2,4を構成するチューブにはチューブ内の圧力を検知する圧力センサ(図示せず)が取り付けられている。この圧力センサは、圧力センサ制御器21によってセンサ感度(ゲイン)等を含めたセンサ全般の制御がなされるとともに、装置全体を制御する制御部50に電気的に接続されている。また、各チューブには自動逆洗器22が接続されており、自動逆洗器22から吸引方向と逆方向に洗浄液をチューブ内に圧送することが可能となっている。そのため、チューブの目詰まり等によって、圧力センサがチューブ内の圧力の異常を検知すると、制御部50は排液ポンプ16を停止させるとともに、自動逆洗器22を作動させてチューブ内を自動的に洗浄する。
【0035】
送引均衡型水洗ノズルヘッド10に対して搬送方向の上流側には、基板Wの高さ位置(Z方向の位置)を検出する位置検出センサ23が基板Wに対向して配設されている。位置検出センサ23は、位置センサ制御器24によってセンサ全般の制御がなされるとともに、制御部50に電気的に接続されている。一方、送引均衡型水洗ノズルヘッド10には、ヘッド10の高さ位置を調節する固定位置調節機構25が設けられており、固定位置調節機構25を作動させることでヘッド10の高さ位置を変更可能となっている。そのため、位置検出センサ23が基板Wの高さ位置の変動を検出すると、制御部50は基板Wの高さ位置がレシピ等で予め入力された許容範囲にあるかどうかを判断して、許容範囲を逸脱する場合には固定位置調節機構25を作動させてヘッド10の高さ位置を調節する。これによって、基板Wとヘッド10との間の距離を一定に保つことができ、二流体ノズル3から噴射されるミスト状の純水の打点(供給位置)を一定として均一な洗浄を可能としている。
【0036】
また、送引均衡型水洗ノズルヘッド10に対して搬送方向の下流側には、基板Wの汚れを検出する汚れ検出センサ26が基板Wに対向して配設されている。汚れ検出センサ26は、汚れセンサ制御器27によってセンサ全般の制御がなされるとともに、装置全体を制御する制御部50に電気的に接続されている。一方、ヘッド10には二流体ノズル3の洗浄力を調整する洗浄力自動調整機構28が設けられており、二流体ノズル3に供給される水量を変更するなどして二流体ノズル3の洗浄力を調整することが可能となっている。そのため、例えば汚れ検出センサ26が基板上の特異的な汚れを検出した場合、制御部50は洗浄力自動調整機構28を制御することで二流体ノズル3の洗浄力を高め、検出した汚れ部位を強力に洗浄する。
【0037】
続いて、上記のように構成された送引均衡型水洗ノズルヘッド10に対して基板Wの搬送方向の下流側に配置された送引均衡型エアーナイフヘッド20について説明する。エアーナイフ7は圧縮空気供給ポンプ14を介して圧縮空気供給源15と接続されており、圧縮空気供給ポンプ14を稼動させることで、基板Wの表面に本発明の「乾燥ガス」として圧縮空気が吹き付けられ、該基板表面に残留付着するリンス処理後の純水(処理済リンス液)を液切りして乾燥処理される。このように、この実施形態では、エアーナイフ7が本発明の「乾燥手段」として機能している。
【0038】
エアーナイフ7に対して基板Wの搬送方向の上流側と下流側にはそれぞれ、本発明の「乾燥後吸引除去手段」として機能する前排気チューブウォール6と後排気チューブウォール8とが配設されている。これらは排気ポンプ17と接続されており、排気ポンプ17を稼動させることで液切りされた純水を含んだ乾燥処理後のガス(処理済乾燥ガス)が基板外に排気される。このように、エアーナイフ7に対して基板Wの搬送方向の上流側と下流側とにチューブウォールがそれぞれ配置されることで、チューブウォールを構成する各チューブが障壁となって液切りされた純水が送引均衡型エアーナイフヘッド20に対して基板Wの搬送方向の上流側と下流側に飛散するのが防止される。さらに、二流体ノズル3と同様にしてエアーナイフ7をY方向から挟み込むようにチューブウォールを配設すると、エアーナイフ7をチューブウォールによって四方から囲むことができ、液切りされた純水が周囲に飛散するのが確実に防止される。
【0039】
前排気チューブウォール6と送引均衡型水洗ノズルヘッド10に装備された予備排液チューブウォール5との間には緩衝部9が配設されている。これによって、前排気チューブウォール6と予備排液チューブウォール5とでそれぞれに減圧吸引することで、互いに引き合って干渉するのが回避される。
【0040】
また、図2に示すように、二流体ノズル3とエアーナイフ7の下方には基板Wを挟んでそれぞれ、前バックアップローラ311と後バックアップローラ312とが設けられている。各バックアップローラはY方向に延びるように真直度および真円度に優れる円柱状に形成されており、二流体ノズル3およびエアーナイフ7から各々に噴出されるミスト状の純水および圧縮空気の噴出圧に対抗する。これによって、基板Wの撓みを防止するとともに、二流体ノズル3から噴出されるミスト状の純水の基板上の打点(供給位置)を均一にすることができる。
【0041】
次に、図1に戻って現像液循環部400の構成について説明する。上述したように回収液貯槽401は現像液回収ポンプ11を介して現像排液チューブウォール1に接続されており、回収液貯槽401には現像排液チューブウォール1によって吸引された現像液(濃排液)が回収される。また、回収液貯槽401の頂部は回収路203,303と連通されており、開閉弁204,304の開閉を適宜制御することにより、現像液を含む処理済液を回収することができる。このように構成することで、基板Wに供給した現像液を全て回収することが可能になっている。
【0042】
回収液貯槽401はポンプ402に接続されており、ポンプ402によって回収液貯槽401に回収され貯留されている回収液(現像液)が減圧脱泡装置403を経由して脱泡液貯槽404に送給される。ここで、ポンプ402は、ダイヤフラム方式等の容積型ポンプを用いてもよいし、渦巻き方式等の非容積型ポンプを用いてもよい。つまり、使用条件に合ったポンプを選択すればよい。なお、その他のポンプについても同様である。
【0043】
減圧脱泡装置403はファイバー状の中空糸を備えており、減圧脱泡装置403に接続される減圧ポンプ403aによって減圧脱泡装置403内を減圧することによって中空糸を通過する回収液が脱泡される。これにより、回収液から気体(気泡)が除去され、現像液の発泡を防止することができる。そして、脱泡された回収液(脱泡液)は脱泡液貯槽404に貯留される。ここで、減圧脱泡装置403を2つ用意して、回収液貯槽401と脱泡液貯槽404との間に並設してもよい。このように構成することで、2つの減圧脱泡装置403を交互に運転させることができる。これにより、例えば、減圧脱泡装置403の一方が目詰まりを起こした場合には当該装置403に逆栓を施し、他方の減圧脱泡装置403により回収液を脱泡するとともに、その間に目詰まりを起こした装置403を交換することで連続運転することが可能となる。
【0044】
脱泡液貯槽404はポンプ405に接続されており、脱泡液が脱泡液貯槽405からノズル202に送液される。これによって、脱泡液がノズル202から基板Wの表面に噴出され、基板Wに付着するレジストが現像される。なお、脱泡液貯槽404は現像液貯槽406に接続されており、純水の混入により現像液の濃度が低下した場合に適宜、現像液貯槽406から現像液が脱泡液貯槽404に補充されるように構成されている。具体的には、脱泡液貯槽404の脱泡液の濃度はレシピ等で規定される所定の濃度範囲となるように濃度センサ(図示せず)によって管理されており、脱泡液の濃度が該濃度範囲から逸脱した場合に現像液貯槽406から現像液が補充されるように構成されている。。これによって、連続的な現像液の循環使用を可能とし、現像液の使用量を低減させている。
【0045】
次に、上記した基板処理装置の動作について図1ないし図3を参照しつつ説明する。先ず、前工程において、その表面に露光パターンニングされたレジストが形成された基板Wが搬送機構100によって現像処理部200に搬送されてくると、ノズル202から噴射される現像液によって、基板Wの現像が行われる。ここで、基板Wから落下する現像液は回収路203を通して回収液貯槽401に回収される。
【0046】
続いて、基板Wはリンス乾燥部300に搬送され、送引均衡型水洗ノズルヘッド10によって以下のように処理される。すなわち、基板表面に付着する現像液(現像排液および現像液によって溶解されたレジスト)が現像排液チューブウォール1によって吸引され基板上から除去される。なお、現像排液チューブウォール1に吸引された現像液は回収液貯槽401に回収される。回収液貯槽401に回収された回収液は、減圧脱泡装置403にて脱泡されて脱泡液貯槽404に送液される。そして、適宜、現像液貯槽406から新たな現像液が脱泡液貯槽404に補充されることで脱泡液の現像液濃度が所定の範囲にコントロールされた上でノズル202に送り込まれ再利用される。したがって、現像液の使用量を大幅に削減することができる。
【0047】
続いて、二流体ノズル3から噴射されるミスト状の純水によって基板Wに対してリンス処理が行われる。ここで、基板Wに供給され、基板Wから飛散するリンス処理後の純水(処理済リンス液)は、二流体ノズル3に対して基板Wの搬送方向(X方向)の上流側に配置された前排液チューブウォール2、基板Wの搬送方向の下流側に配置された後排液チューブウォール4および予備排液チューブウォール5、さらには二流体ノズル3をY方向から挟むように配設されたチューブウォール3a,3bとによって吸引除去される。したがって、汚染物を飛沫同伴した純水が、基板Wの搬送方向の下流側に近接して配置されるエアーナイフ7によって乾燥処理される基板表面に付着するのが防止される。
【0048】
続いて、リンス処理が施された基板Wは、基板Wの搬送方向(X方向)の下流側に、緩衝部9を挟んで送引均衡型水洗ノズルヘッド10に近接して配置された送引均衡型エアーナイフヘッド20によって乾燥処理される。具体的には、エアーナイフ7から吹き付けられる乾燥ガス(圧縮空気)によって基板表面に残留付着する純水(処理済リンス液)が液切りされることで乾燥処理される。
【0049】
ここで、基板Wから液切りされた純水を含んだ乾燥処理後のガス(処理済乾燥ガス)は、エアーナイフ7に対して基板Wの搬送方向の上流側に配置された前排気チューブウォール6、基板Wの搬送方向の下流側に配置された後排気チューブウォール8、さらにはエアーナイフ7をY方向から挟むように配設されたチューブウォールとによって吸引除去される。したがって、汚染物を飛沫同伴した、液切りされた純水が、基板Wの搬送方向の上流側に近接して配置される二流体ノズル3によってリンス処理される基板表面に付着するのが防止される。
【0050】
こうして、基板Wが乾燥処理されると、リンス乾燥部300から搬出され、さらに下流側の装置に向けて搬送される。
【0051】
以上のように、この実施形態によれば、送引均衡型水洗ノズルヘッド10において、二流体ノズル3から基板表面にミスト状の純水を供給して該基板表面をリンス処理するとともに、排液チューブウォール2,4によって、リンス処理後の純水(処理済リンス液)を吸引して基板上から除去している。一方で、送引均衡型エアーナイフヘッド20において、エアーナイフ7から基板表面に圧縮空気を噴出して該基板表面に付着する処理済リンス液を液切りして乾燥処理するとともに、排気チューブウォール6,8によって、処理済リンス液を含んだ乾燥処理後のガス(処理済乾燥ガス)を吸引して基板上から除去している。このため、処理済リンス液が飛散してエアーナイフヘッド20によって乾燥処理される基板表面に付着することがない一方で、液切りされた処理済リンス液が飛散して水洗ノズルヘッド10によってリンス処理される基板表面に付着することがない。したがって、リンス処理する水洗ノズルヘッド10と乾燥処理するエアーナイフヘッド20とを近接して配置することが可能となり、基板処理装置を小型化することができる。
【0052】
また、この実施形態によれば、水洗ノズルヘッド10はミスト状の純水(リンス液)を基板Wに供給した後に同一のヘッド(ユニット)内で処理済リンス液を基板上から吸引除去することで直ちに処理済リンス液を基板Wから排除する一方で、エアーナイフヘッド20は圧縮空気(乾燥ガス)を基板Wに供給した後に同一のヘッド(ユニット)内で処理済リンス液を含んだ乾燥処理後のガス(処理済乾燥ガス)を基板上から吸引除去することで直ちに処理済乾燥ガスを基板から排除している。そのため、処理済リンス液および処理済乾燥ガスに含まれる汚染物の基板Wへの再付着などが確実に防止され、基板Wの処理品質を向上させることができる。
【0053】
また、この実施形態によれば、水洗ノズルヘッド10とエアーナイフヘッド20とが互いに影響を及ぼすことなく基板表面をそれぞれに処理しながら、基板Wを搬送方向(X方向)に連続的に搬送させている。このため、連続的に搬送される基板Wの表面に対してリンス処理と乾燥処理とを同時に実行することができる。したがって、装置の小型化を図りながらも、装置のスループットを向上させることができる。
【0054】
また、この実施形態によれば、水洗ノズルヘッド10とエアーナイフヘッド20とを一体的に構成するとともに、各ヘッド(処理ユニット)10,20を単一の処理室である処理チャンバ301に収納している。このため、従来装置のように各処理ユニットごとに個別に処理室を設けて構成する場合に比べて装置のフットプリントを削減し、装置を小型化するとともに装置構成を簡素化することができる。
【0055】
また、この実施形態によれば、水洗ノズルヘッド10は、二流体ノズル3に対して搬送方向(X方向)の上流側と下流側とにそれぞれ前排液チューブウォール2と後排液チューブウォール4とを備え、リンス処理後の純水(処理済リンス液)を吸引除去している。したがって、水洗ノズルヘッド10に対して搬送方向の上流側と下流側に処理済リンス液が飛散するのを確実に防止することができる。
【0056】
同様にして、この実施形態によれば、エアーナイフヘッド20は、エアーナイフ7に対して搬送方向(X方向)の上流側と下流側とにそれぞれ前排気チューブウォール6と後排気チューブウォール8とを備え、処理済リンス液を含んだ乾燥処理後のガス(処理済乾燥ガス)を吸引除去している。したがって、エアーナイフヘッド20に対して搬送方向の上流側と下流側に液切りされた処理済リンス液が飛散するのを確実に防止することができる。
【0057】
しかも、各チューブウォールを構成する複数のチューブが搬送方向に略直交する方向に列状に密に配置されることで、各チューブが障壁となって水洗ノズルヘッド10に対して搬送方向の上流側と下流側とに処理済リンス液が飛散するのを確実に防止しながら、各チューブによって遮蔽された処理済リンス液を効率良く基板表面に近接させた吸引口から吸引して基板上から除去することができる。同様に、エアーナイフヘッド20に対して搬送方向の上流側と下流側とに液切りされた処理済リンス液が飛散するのを確実に防止しながら、各チューブによって遮蔽された、処理済リンス液を含んだ処理済乾燥ガスを効率良く基板表面に近接させた吸引口から吸引して基板上から除去することができる。
【0058】
また、この実施形態によれば、水洗ノズルヘッド10は現像排液チューブウォール1を備え、ノズル202から基板Wに供給された現像処理後の現像液を現像排液チューブウォール1によってリンス処理前に吸引して基板上から除去している。このため、リンス処理時間を短縮あるいはリンス液の使用量を低減するなど基板Wを容易にリンス処理することが可能になる。したがって、処理済リンス液の飛散をさらに抑制することができ、処理品質を向上させることができる。しかも、現像排液チューブウォール1を水洗ノズルヘッド10に設けることで、現像液を吸引除去(回収)する現像排液チューブウォール1、基板Wをリンス処理する二流体ノズル3、基板Wを乾燥処理するエアーナイフ7とをそれぞれ近接配置するとともに一体化して構成することで装置の小型化に大きく貢献することができる。
【0059】
また、この実施形態によれば、現像排液チューブウォール1から吸引した現像液、現像処理部200の回収路203およびリンス乾燥部300の回収路303から回収された現像液をノズル202に循環させて再利用しているので、現像液の使用量を大幅に削減することができる。
【0060】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、「リンス後吸引除去手段」、「乾燥後吸引除去手段」および「処理液吸引除去手段」として、複数のチューブを列状に密に配列されたチューブウォールを用いているが、「吸引除去手段」としては、これに限定されない。例えば、X方向に所定の間隔を隔ててY方向に延びるように開口されたスリットノズルを用いて吸引除去するようにしてもよい。また、ダイヤフラムあるいはエジェクター等の吸い込み効果を利用した差圧系の吸引除去手段を用いるようにしてもよい。また、Y方向に延びる板状体に複数の孔を穿って穿孔吸引ノズルを形成したものを用いるようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、二流体ノズル3をスリットノズルとしているが、複数のノズルを列状に配置するノズルアレイであってもよい。また、「リンス手段」として二流体ノズルに限らず、例えばリンス液をスプレー状に噴射するスプレー式ノズルであってもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、搬送機構100として搬送ローラ100aを用いて基板Wを搬送しているが、これに限定されず、例えばベルトを用いたコンベアにより搬送するようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、「所定の湿式処理」として基板Wに「処理液」として現像液を供給して現像処理を行っているが、湿式処理の内容はこれに限定されない。例えば、「処理液」として薬液を基板Wにパドル状に供給してパドルエッチングを行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
この発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)用基板、あるいは磁気ディスク用のガラス基板やセラミック基板などを含む基板全般の表面にリンス処理を施した後に乾燥処理を施す装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明にかかる基板処理装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の基板処理装置に装備されたリンス乾燥部の要部拡大図である。
【図3】チューブウォールの概略構成を示す図である。
【図4】送引均衡型水洗ノズルヘッドの制御について説明するための概略構成図である。
【符号の説明】
【0066】
1…現像排液チューブウォール(処理液吸引除去手段)
2…前排液チューブウォール(リンス後吸引除去手段)
3…二流体ノズル(リンス手段)
4…後排液チューブウォール(リンス後吸引除去手段)
5…予備排液チューブウォール(リンス後吸引除去手段)
6…前排気チューブウォール(乾燥後吸引除去手段)
7…エアーナイフ(乾燥手段)
8…後排気チューブウォール(乾燥後吸引除去手段)
10…送引均衡型水洗ノズルヘッド(リンス処理ユニット)
16…排液ポンプ
17…排気ポンプ
20…送引均衡型エアーナイフヘッド(乾燥処理ユニット)
202…ノズル(湿式処理ユニット)
C…基板搬送経路
W…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の被処理面にリンス液を供給して該基板被処理面をリンス処理するリンス手段と、前記リンス処理後の処理済リンス液を吸引して前記基板上から除去するリンス後吸引除去手段とを有し、所定の搬送方向に前記基板が搬送される基板搬送経路上に配置されるリンス処理ユニットと、
前記基板被処理面に乾燥ガスを噴出して該基板被処理面に付着する前記処理済リンス液を液切りして乾燥処理する乾燥手段と、前記処理済リンス液を含む前記乾燥処理後の処理済乾燥ガスを吸引して前記基板上から除去する乾燥後吸引除去手段とを有し、前記リンス処理ユニットに対して前記搬送方向の下流側となるように前記基板搬送経路上に配置される乾燥処理ユニットと
を備え、
前記リンス処理ユニットと前記乾燥処理ユニットとを互いに近接して配置させたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記基板は前記基板搬送経路上において前記搬送方向に連続的に搬送される請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記リンス処理ユニットと前記乾燥処理ユニットとは、単一の処理室内に配置される請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記リンス後吸引除去手段は、前記リンス手段に対して前記搬送方向の上流側と下流側の両側に配置される請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記リンス後吸引除去手段は、その一端に吸引口を有するチューブを複数個、前記吸引口を前記基板被処理面に近接させながら前記搬送方向に略直交する方向に列状に密に配置した排液チューブウォールと、前記チューブの他端の各々に接続されて前記吸引口から前記処理済リンス液を吸引して排液する排液ポンプとを備える請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記乾燥後吸引除去手段は、前記乾燥手段に対して前記搬送方向の上流側と下流側の両側に配置される請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記乾燥後吸引除去手段は、その一端に吸引口を有するチューブを複数個、前記吸引口を前記基板の被処理面に近接させながら前記搬送方向に略直交する方向に列状に密に配置した排気チューブウォールと、前記排気チューブウォールの他端に接続されて前記吸引口から前記処理済乾燥ガスを排気する排気ポンプとを備える請求項1ないし6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記リンス処理ユニットに対して前記搬送方向の上流側となるように前記基板搬送経路上に配置され、処理液を前記基板被処理面に供給することによって該基板被処理面に対して所定の湿式処理を施す湿式処理ユニットをさらに備え、
前記リンス処理ユニットは、前記リンス手段に対して前記搬送方向の上流側に配置され、前記湿式処理ユニットによる前記湿式処理後の処理液を吸引して基板上から除去する処理液吸引除去手段を有する請求項1ないし7のいずれかに記載の基板処理装置。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−255590(P2006−255590A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76731(P2005−76731)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】