説明

基板搬送装置

【課題】基板の予備位置決め機構を搬入ステージ、露光ステージに設置することなく、露光ステージに搬送する前に基板の予備位置決めを行うことができ、ピンの設置位置の調整も簡単な基板搬送装置を提供することを課題とする。
【解決手段】前記搬入ステージ30上の基板Wの端面を押動して予備位置決めを行う予備位置決め機構2と、この予備位置決め機構を支持本体12により支持すると共に、予備位置決めされた基板を吸着して保持し前記露光ステージ40に搬送する搬送機構20とを備え、前記予備位置決め機構は、前記支持本体に支持された駆動手段6と、この駆動手段により駆動して前記基板の端面を押動する押動手段2とを有し、前記駆動手段は、円筒形の磁気軸体7と、この磁気軸体を軸周りに回動させる回動手段8と、この回動手段により回動する磁気軸体の周面に対面させて設けた直線状の第1長尺磁気体9Aおよび第2長尺磁気体9Bと、を有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路基板等の基板を予備位置決めして搬入ステージから露光ステージに搬送する基板搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子回路基板等の基板に所定のパターンを露光する場合、露光装置により基板を搬入位置(搬入ステージ)から露光位置(露光ステージ)に搬送するときは、例えば、以下に示すような搬送装置が使用されている(例えば、特許文献1)。この搬送装置は、搬入位置に載置された基板の上面を吸着保持部で吸着して保持し、吸着保持部を移動レールに沿って露光位置まで移動させ、吸着保持部で保持した基板を露光位置に受け渡すことで、基板の搬送を行っている。
【0003】
また、基板が搬入位置に投入された場合、その基板を予備位置決め(プリアライメント)する搬送装置が開示されている(例えば、特許文献2)。この搬送装置は、基板を載置して搬送方向に移動する搬送ローラと、この搬送ローラの間で当該搬送ローラ上の基板の端面をX方向およびY方向に押動するピンを有するセンタリングユニットとを備えている。
【0004】
さらに、露光位置に搬送された基板に対して予備位置決めを行う装置についても提案されている(例えば、特許文献3)。この装置は、基板を露光位置で載置する露光テーブルと、この露光テーブルの上に載置された基板の位置を計測する光学センサと、この光学センサにより計測された基板の位置に基づいて、前記露光テーブルをマスクと整合する前に整合位置に移動させる駆動機構とを備えている。そのため、基板を予備位置決めする場合に基板が他の部材と接触して擦れることがないというものである。
【特許文献1】特開平06−345279号公報
【特許文献2】特開平06−348025号公報
【特許文献3】特開平05−326361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の搬入ステージおよび露光ステージにおける基板の搬送経路において予備位置決めを搬送と共に行う前記した技術については、以下に示すような問題点が存在していた。
基板の予備位置決めを露光ステージで行う構成では、基板の位置が許容範囲に納まっていないと、つぎの作業に進めないため、できれば搬入ステージ側で行うことが望まれていた。
また、基板の予備位置決めを搬入ステージで行う場合、搬送ローラ下方に設置したピンが搬送ローラの間から突出する予備位置決め機構を設置する構成であるため、基板に対応して基板を押動するピンの設置位置の調整に手間がかかっていた。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑み創案されたものであり、基板の予備位置決め機構を搬入ステージあるいは露光ステージに設置することなく、露光ステージに搬送する前に基板の予備位置決めを行うことができ、ピンの設置位置の調整も簡単な基板搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明にかかる基板搬送装置は、搬入ステージに搬入された基板の上方から降下して予備位置決めをすると共に、前記基板を保持し露光ステージに搬送する基板搬送装置であって、前記搬入ステージ上に載置された基板の端面を押動して予備位置決めを行う予備位置決め機構と、この予備位置決め機構を支持本体により支持すると共に、予備位置決めされた基板を吸着して保持し前記露光ステージに搬送する搬送機構とを備え、前記予備位置決め機構は、前記支持本体に支持された駆動手段と、この駆動手段により駆動して前記基板の端面を押動する押動手段とを有し、前記押動手段は、前記基板の対面する一端面および他端面にそれぞれ当接する第1当接ピンおよび第2当接ピンと、この第1当接ピンおよび第2当接ピンをそれぞれ支持する第1支持体および第2支持体と、を有し、前記駆動手段は、円筒形の磁気軸体と、この磁気軸体を軸周りに回動させる回動手段と、この回動手段により回動する磁気軸体の周面に対面させて設けた直線状の第1長尺磁気体および第2長尺磁気体と、を有し、前記第1長尺磁気体が前記第1支持体を支持し、前記第2長尺磁気体が前記第2支持体を支持するように構成したものである。
【0008】
このように構成したことで、基板搬送装置は、搬入ステージに基板が搬入されると、搬送機構が備える昇降機構により基板側に降下して、駆動手段の磁気軸体を回動手段により一方向に回転させ、第1長尺磁気体および第2長尺磁気体を直線方向に移動させる。基板搬送装置は、両長尺磁気体が移動することで、両支持体に支持されている第1当接ピンおよび第2当接ピンが基板の端面を押動して、基板を予備位置決めする。基板搬送装置は、基板の予備位置決めを終了すると、基板を吸着保持して昇降機構により上昇し、搬送レールに沿って搬入ステージから露光ステージに移動して、保持している基板を露光ステージに搬送する。
【0009】
また、前記基板搬送装置において、前記第1支持体および前記第2支持体は、前記第1当接ピンおよび前記第2当接ピンを前記基板の端面と同等の高さまたは前記基板の端面より下方となる高さから、前記基板の端面より上方となる高さに移動させる移動機構を備える構成とした。
【0010】
このように構成したことで、基板搬送装置は、基板Wを露光ステージに受け渡すときに、搬送機構の基板を保持している面より第1当接ピンおよび第2当接ピンの下端(先端)が上方となり、露光ステージにスムーズに基板を載置できる。
【0011】
さらに、前記基板搬送装置において、前記搬送機構は、前記支持本体の下方に設置され前記基板を吸着パッドにより吸着保持する吸着保持板と、この吸着保持板の対面する端面から中央に向かって直線状に所定長さに切り欠いて形成した切欠溝とを有し、前記切欠溝に沿って前記第1当接ピンおよび前記第2当接ピンが移動する構成とした。
【0012】
このように構成したことで、基板搬送装置は、ワークの寸法が大きくても、小さくても第1当接ピンおよび前記第2当接ピンが吸着保持板の切欠溝に沿って移動して、基板の端面を押動し、予備位置決めをすることができる。
【0013】
また、前記基板搬送装置において、前記第1長尺磁気体および前記第2長尺磁気体は、前記磁気軸体を中央としてその一方と他方に配置され、前記磁気軸体の回転によりそれぞれが反対方向に直線的に移動する構成とした。
このように構成したことで、基板搬送装置は、磁気軸体の回動により前記第1長尺磁気体および前記第2長尺磁気体を直線的に往復移動させることができる。
【0014】
そして、前記基板搬送装置において、前記駆動手段は、前記第1長尺磁気体および前記第2長尺磁気体に、それぞれ平行に設けた従動軸を有し、前記第1支持体は、前記第1長尺磁気体および前記従動軸により支持されて往復移動し、前記第2支持体は、前記第2長尺磁気体および前記従動軸により支持されて往復移動する構成とした。
このように構成したことで、基板搬送装置は、安定した往復移動動作を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る基板搬送装置は、以下に示すような優れた効果を奏するものである。
基板搬送装置は、搬入ステージの構成を複雑にすることなく、露光ステージに基板を搬送する前に予備位置きめを行うことができ、また、予備位置決めを行うときに駆動機構が磁気軸体および第1長尺磁気体、第2長尺磁気体により非接触であるため、塵埃等のゴミを基板上に落下させることがない。
さらに、基板搬送装置は、予備位置決め機構の駆動手段が、S極およびN極が交互に連続する磁気軸体、第1長尺磁気体および第2長尺磁気体で非接触な構成であるため、移動範囲を変更することが容易なことから、基板の大きさが変化しても第1当接ピンおよび第2当接ピンの移動範囲を簡単に調整することが可能となる。
基板搬送装置は、支持本体の中央から両端側に対向する位置に押動手段の第1当接ピンおよび第2当接ピンを設置すればよく、予備位置決め機構の設置位置の調整が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る基板搬送装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は露光装置に設けられた基板搬送装置を模式的に示す側面図、図2は基板搬送装置の全体を示す斜視図、図3は基板搬送装置の下方から見上げた状態を模式的に示す斜視図、図4(a)は、基板搬送装置の一部を省略して示す平面図、(b)は、基板搬送装置を断面にして模式的に示す断面図、図5は基板搬送装置の駆動手段の構成を模式的に示す模式図である。
【0017】
図1に示すように、露光装置Aは、基板の搬入ステージ30と、この搬入ステージ30に搬入された基板Wを予備位置決めして搬送する基板搬送装置1と、この基板搬送装置1により搬送された基板Wを載置して露光するために整合する露光ステージ40と、この露光ステージ40に載置された基板Wを光源51からの光を照射してマスクMのパターンを露光するための露光光学系50と、露光された基板Wを搬出するための搬出ステージ60と、を主に備えている。
【0018】
搬入ステージ30は、基板Wを装置外から受け取り所定の位置まで搬送ローラ31を介して移動させるものである。この搬入ステージ30は、図2に示すように、搬送ローラ31が、後記する予備位置決め機構2の作業が適切に行われるように、軸線方向に適宜分割された長さで、移動方向に整列して設置されている。
【0019】
露光ステージ40は、基板Wを基板搬送装置1から受け取り保持して、マスクMとの整合作業を行い、マスクMと基板Wとを整合させた後に基板Wを固定してマスクMのパターンを露光するものである。この露光ステージ40は、基板Wをテーブル面に保持して上昇してマスクMを保持する焼枠Fと協同して真空空間を形成し、基板Wにマスクのパターンを露光させている。
【0020】
露光光学系50は、ランプ52および楕円反射鏡53からなる光源51と、この光源51からの光を基板Wに照射するための光路を形成するものである。この露光光学系50は、平行光として基板Wに光を照射する場合には、反射鏡とレンズを複合した平行光光学系が使用され、また、散乱光として基板Wに光を照射する場合には、照射した光を散乱させるミラー等の散乱光光学系が使用される。
【0021】
搬出ステージ60は、露光ステージ40で露光が終了した基板W、または、異常な基板Wを、図示しない搬送装置にから受け取り装置外に搬出するものである。この搬出ステージ60では、送りローラ61により基板Wを装置外が搬出している。
【0022】
つぎに、基板搬送装置1について説明する。
図1および図2に示すように、基板搬送装置1は、基板Wを予備位置決めする予備位置決め機構2と、この予備位置決め機構2を支持し予備位置決めが終了した基板Wを吸着して搬入ステージ30から露光ステージ40に搬送する搬送機構20とを備えている。
【0023】
搬送機構20は、搬入ステージ30から露光ステージ40に亘って設置された左右の移動レール21と、この移動レール21,21に直交しかつ移動レール間に亘って支持された支持部材17と、この支持部材17に支持された昇降機構18と、この昇降機構18の下方に支持された支持本体12と、この支持本体12の下方に設けられた基板Wを吸着保持する吸着保持板13と、を備えている。また、後記する予備位置決め機構2は、支持本体12の上方(上面側)に支持されている(図4参照)。
【0024】
移動レール21は、支持本体12の左右に設置されており、例えば、リニアガイド等が使用されている。この移動レール21は、支持本体12を直線方向に往復移動させることができるものであれば、その構成を特に限定されるものではい。
【0025】
昇降機構18は、基板Wの受け渡しを行う場合に、吸着保持板13を昇降させる動作を行うものである(図3および図4参照)。この昇降機構18は、支持本体12の支持板12cに接続されており、吸着保持板13を昇降させることができれば、例えば、LMガイド等のスライド機構とモータと送りネジもしくはエアシリンダによる駆動機構であっても構わない。なお、昇降機構18は、予備位置決め作業および基板Wの吸着保持する作業を行うときに異なる位置の高さになるように2段階の作動で動作を行う構成とすることや、また、両作業を行うときに同じ位置の高さになるように1段階の作動で動作を行う構成としても構わない。
【0026】
図2、図3および図4に示すように、支持本体12は、左右の移動レール21に架け渡される支持部材17に昇降機構18を介して支持されている。この支持本体12は、矩形の板状に形成された本体部12aと、この本体部12aの対向する一方の両辺から側方に突出して設けた取付片12b,12bと、この取付片12b,12bのそれぞれから上方に立設した部材を介して設けた支持板12cと、を備えている。ここでは支持板12cが昇降機構18の下端に支持されている。
【0027】
この支持本体12は、下面側に、基板Wの面積より大きく形成された吸着保持板13を支持すると共に、後記する予備位置決め機構2を上面側に支持している。なお、支持本体12の本体部12aには、後記する切欠溝13bに対応する位置に合わせて同様に切欠部12dを形成している。この切欠部12dを形成することで、本体部12aの面積を大きくして、後記する予備位置決め機構2の設置面を大きくすることができる。
【0028】
図2および図3に示すように、吸着保持板13は、例えば矩形な板状に形成した吸着部本体13aと、この吸着部本体13aの四辺の端部から中央に向かって直線状に切り欠いた状態で形成した切欠溝13bと、吸着部本体13aの下面側に基板Wを吸着するために設けた複数の吸着パッド13cと、を備えている。
なお、切欠溝13bは、後記する予備位置決め機構2の第1当接ピン3a,3aおよび第2当接ピン3b,3bが移動するために形成されている。また、吸着保持板13は、図示していないが、基板Wの大きさに対応して吸引するエリアを適宜切り替えられるように構成されている。この吸着保持板13は、基板Wを、図示しない真空ポンプの作動により吸着保持できるものであれば、その構成を限定されるものではない。
【0029】
図2および図3に示すように、予備位置決め機構2は、支持本体12の上面側に設置されており、基板Wの予備位置決めを行うものである。この予備位置決め機構2は、基板Wの端面に当接して押動する押動手段3と、この押動手段3を直線的に往復移動させる駆動手段6とを有している。
【0030】
図2に示すように、押動手段3は、対面する位置に一方と他方の押動部3A,3Bを有しており、同じ構成であるため、ここでは一方の押動部3Aの構成を代表して説明する。
押動部3Aは、基板Wの端面に当接する第1当接ピン3a,3aと、この第1当接ピン3a,3aを支持するスライド部3a,3aと、このスライド部3a,3aを支持する第1支持体3aと、第1当接ピン3a,3aに亘って配置され第1当接ピン3a,3aを接続する接続板3aと、この接続板3aを上下動させるための駆動部3aと、を備えている。
【0031】
なお、押動部3Aでは、駆動部3aを、例えば、エアシリンダとして構成し、エアの注入によりエアシリンダのピストン(図示せず)が上方に突出し、このピストンに接続している接続板3aが上下することで、スライド部3a,3aに沿って、第1当接ピン3a,3aを上下動させている。さらに、第1当接ピン3a,3aを上下方向に移動する移動機構として、ここでは、スライド部3a,3aを一例として説明したが、その構成は限定されるものではない。
【0032】
この押動部3Aは、後記する駆動手段6に接続されており、水平方向に直線的に往復移動することで、基板Wの端面を押動する。なお、基板Wの端面に当接する第1当接ピン3a,3aの先端は、そのピン軸の軸周り方向に回転自在に形成されており、基板Wの端面を押動する場合に、基板Wにかかる負荷を軽減している。
【0033】
図2および図4に示すように、駆動手段6は、支持本体12の中央に回転自在に設置した円筒体あるいは円柱体に形成された磁気軸体7と、この磁気軸体7を軸心にして回動させる回動手段8と、この回動手段8により回動する磁気軸体7の周面に対面して当該磁気軸体7に非接触状態で設置された第1長尺磁気体9Aおよび第2長尺磁気体9Bと、この第1長尺磁気体9Aおよび第2長尺磁気体9Bに平行となるように配置された第1従動軸10Aおよび第2従動軸10Bと、この第1従動軸10Aおよび第2従動軸10B、ならびに、第1長尺磁気体9Aおよび第2長尺磁気体9Bを、磁気軸体7側においてガイドするガイド部11と、を備えている。なお、駆動手段6は、第1長尺磁気体9Aおよび第2長尺磁気体9B、ならびに、第1従動軸10Aおよび第2従動軸10Bのそれぞれの一端側に、押動部3Aの第1支持体3aおよび押動部3Bの第2支持体3bを接続している。
【0034】
図5に示すように、駆動手段6の磁気軸体7は、相反する磁極であるS極およびN極が円周上に交互に配置された磁気部7aと、この磁気部7aの周面に当接して設けたステンレス鋼製の円筒カバー7bとを備えている。円筒カバー7bは、金属等であることが好ましく、磁気部7aの表面を保護している。また、第1長尺磁気体9Aおよび第2長尺磁気体9Bは、直線方向に移動したときに、磁気軸体7に対面する位置に渡ってS極およびN極が連続して形成されている。
【0035】
この駆動手段6は、回動手段8から伝達される回転力により磁気軸体7が回動すると、その磁気軸体7の回動に伴って、第1長尺磁気体9Aおよび第2長尺磁気体9Bが相反する磁極において暫時交互にS極およびN極に影響される。そのため、第1長尺磁気体9Aおよび第2長尺磁気体9Bは、静止状態から磁極が反発する直線方向に移動する。そして、同時に、第1従動軸10Aおよび第2従動軸10Bが直線方向に従動して移動する。そのため、予備位置決め機構2は、駆動手段6により押動手段3を駆動させ、第1当接ピン3a,3aおよび第2当接ピン3b,3bにより基板Wの端面を押動して、基板Wの予備位置決めを行うことができる。
【0036】
なお、磁気軸体7と、第1長尺磁気体9Aおよび第2長尺磁気体9Bの配置関係は、異物が挟まることがなく、かつ、互いの磁力の影響が保てる間隔をもって対峙していることが望ましい。また、回動手段8であるモータ等の駆動軸に伝達手段を介して連結され、回動手段8であるモータの回転により磁気軸体7が回転する構成であっても構わない。
【0037】
つぎに、図1および図6を参照して、露光装置Aについて、基板Wを搬入ステージ30から露光ステージ40に搬送する動作を主として、基板Wが搬入されてから、搬出されるまでの動作を説明する。
図1および図6(a)に示すように、基板Wが搬入ステージ30に装置外から搬入されると、基板Wは搬送ローラ31が回転して所定位置まで送られ停止する。
【0038】
基板Wが搬送ローラ31の所定位置に移動すると、図6(b)に示すように、基板搬送装置1が昇降機構18により下方に降下して、第1当接ピン3a,3aおよび第2当接ピン3b,3bの先端が基板Wの端面に当接する高さ位置とする。そして、予備位置決め機構2は、駆動手段6の回動手段8により磁気軸体7を一方向に回転させ(例えば右回り)、第1長尺磁気体9Aおよび第2長尺磁気体9Bをガイド部11に収納する方向に移動させることで、第1当接ピン3a,3aおよび第2当接ピン3b,3bの先端で基板Wの端面を押動して予備位置決めを行う。
【0039】
なお、予備位置決めを行うときの吸着保持板13の高さ位置は、基板Wの上面に近接して吸着パット13cにより吸引することで保持できる位置に調整されていると、予備位置決めおよび吸着保持の両方の作業を昇降機構18の一回の降下動作で可能できるため都合がよい。もちろん、予備位置決めを行う場合と、基板Wの吸着保持を行う場合とで、吸着保持板13の吸着パット13cにおける下面の高さ位置が異なるように昇降機構18の2段階の降下動作を行うようにしても構わない。
【0040】
図6(c)に示すように、基板Wの予備位置決めが終了すると、駆動手段6の回動手段8により磁気軸体7を他方向に回転させ(例えば左回り)、第1長尺磁気体9Aおよび第2長尺磁気体9Bをガイド部11から突出する方向に移動させることで、第1当接ピン3a,3aおよび第2当接ピン3b,3bを基板Wの端面から離間させる。それと共に、昇降機構18を介して基板搬送装置1は、吸着保持板13を降下させ吸着パット13cにより基板Wに当接あるいは近接した状態で当該基板Wを吸着保持する。
【0041】
なお、基板搬送装置1では、第1当接ピン3a,3aおよび第2当接ピン3b,3bにより予備位置決めを行う場合に、駆動手段6の磁気軸体7と、第1長尺磁気体9Aおよび第2長尺磁気体9Bが、非接触であるため、塵埃等のゴミが基板W側に落下することがない。
【0042】
基板搬送装置1は、基板Wを吸着して保持すると、昇降機構18により基板Wを搬入ステージ30から離間させるように上昇し、移動レール21に沿って露光ステージ40に移動して基板Wを露光ステージ40に搬送する。なお、基板Wを吸着保持したときに、駆動部3a4および駆動部3b4を駆動させ接続板3aおよび接続板3bを上方に移動させることで、第1当接ピン3a,3aおよび第2当接ピン3b,3bの下端が、吸着保持板13の吸着パット13cの下面より上方に位置するようにしても構わない。
【0043】
なお、図1に示すように、基板Wが搬送された露光ステージ40では、マスクMとの整合作業が行われ、露光光学系50を介して基板Wに光が照射され露光作業が行われる。そして、露光装置Aでは、露光作業が終了した基板Wは、図示しない搬送装置により露光ステージ40から搬出ステージ60に搬送され装置外に搬出されることになる。
【0044】
以上、説明したように、基板搬送装置1は、基板Wの上方から予備位置決めを行い、予備位置決めが終了した基板Wを吸着保持して搬入ステージ30から露光ステージ40に搬送している。
【0045】
なお、基板搬送装置1は、基板Wの搬送方向(仮にX方向)に沿って押動部3A,3Bが直線的に往復移動することで、基板Wの予備位置決めを行っている例として説明したが、基板Wの搬送方向に直交する方向(仮にY方向)に押動部3A,3Bを直線的に往復移動させて移動することで、基板Wの予備位置きめを行う構成としても構わない。
【0046】
また、基板搬送装置1は、X方向とY方向の両方から基板Wの端面を押動して予備位置決めを行う構成としても構わない。X方向とY方向から基板Wの端面を押動させるには、例えば、磁気軸体7を軸線方向に長くして、X方向の駆動手段6とY方向の駆動手段6とを高さ方向に段差を設けて配置することで構成することができる。もちろん、X方向とY方向とのそれぞれに磁気軸体7を設けた構成としても構わない。
さらに、基板搬送装置1は、処理する基板Wの種類を変えるとき、基板Wの大きさが変化する場合もあるが、駆動手段6の調整として、第1長尺磁気体9Aおよび第2長尺磁気体9Bの移動始点終点のアドレスを変えることで、容易に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る基板搬送装置を用いる露光装置の全体を側面から模式的に示す模式図である。
【図2】本発明に係る基板搬送装置の全体を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明に係る基板搬送装置の下方から見上げた状態を模式的に示す斜視図である。
【図4】(a)は、本発明に係る基板搬送装置の一部を省略して示す平面図、(b)は、本発明に係る基板搬送装置を断面にして模式的に示す断面図である。
【図5】本発明に係る基板搬送装置の駆動手段の構成を模式的に示す模式図である。
【図6】(a)〜(d)は、本発明に係る基板搬送装置の動作状態を模式的にそれぞれ示す側面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 基板搬送装置
2 予備位置決め機構
3a 第1当接ピン
3b 第2当接ピン
3 押動機構
3a(3b) スライド部(移動機構)
3a(3b) 第1支持体(第2支持体)
3a(3b) 駆動部
3a(3b) 接続板(移動機構)
3A 押動部
3B 押動部
6 駆動手段
7 磁気軸体
7a 磁気部
7b 円筒カバー
8 回動手段
9A 第1長尺磁気体
9B 第2長尺磁気体
10A 第1従動軸
10B 第2従動軸
11 ガイド部
12 支持本体
12a 本体部
12b 取付片
12c 支持板
12d 切欠部
13 吸着保持板
13a 吸着部本体
13b 切欠溝
13c 吸着パット
17 支持部材
18 昇降機構
20 搬送機構
21 移動レール
30 搬入ステージ
31 搬送ローラ
40 露光ステージ
50 露光光学系
51 光源
52 ランプ
53 楕円反射鏡
60 搬出ステージ
61 ローラ
A 露光装置
M マスク
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入ステージに搬入された基板の上方から降下して予備位置決めをすると共に、前記基板を保持し露光ステージに搬送する基板搬送装置であって、
前記搬入ステージ上に載置された基板の端面を押動して予備位置決めを行う予備位置決め機構と、この予備位置決め機構を支持本体により支持すると共に、予備位置決めされた基板を吸着して保持し前記露光ステージに搬送する搬送機構とを備え、
前記予備位置決め機構は、前記支持本体に支持された駆動手段と、この駆動手段により駆動して前記基板の端面を押動する押動手段とを有し、
前記押動手段は、前記基板の対面する一端面および他端面にそれぞれ当接する第1当接ピンおよび第2当接ピンと、この第1当接ピンおよび第2当接ピンをそれぞれ支持する第1支持体および第2支持体と、を有し、
前記駆動手段は、円筒形の磁気軸体と、この磁気軸体を軸周りに回動させる回動手段と、この回動手段により回動する磁気軸体の周面に対面させて設けた直線状の第1長尺磁気体および第2長尺磁気体と、を有し、
前記第1長尺磁気体が前記第1支持体を支持し、前記第2長尺磁気体が前記第2支持体を支持することを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記第1支持体および前記第2支持体は、前記第1当接ピンおよび前記第2当接ピンを前記基板の端面と同等の高さまたは前記基板の端面より下方となる高さから、前記基板の端面より上方となる高さに移動させる移動機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記搬送機構は、前記支持本体の下方に設置され前記基板を吸着パッドにより吸着保持する吸着保持板と、この吸着保持板の対面する端面から中央に向かって直線状に所定長さに切り欠いて形成した切欠溝とを有し、
前記切欠溝に沿って前記第1当接ピンおよび前記第2当接ピンが移動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記第1長尺磁気体および前記第2長尺磁気体は、前記磁気軸体を中央としてその一方と他方に配置され、前記磁気軸体の回転によりそれぞれが反対方向に直線的に移動することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記第1長尺磁気体および前記第2長尺磁気体に、それぞれ平行に設けた従動軸を有し、
前記第1支持体は、前記第1長尺磁気体および前記従動軸により支持されて往復移動し、前記第2支持体は、前記第2長尺磁気体および前記従動軸により支持されて往復移動することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−300389(P2008−300389A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141492(P2007−141492)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000128496)株式会社オーク製作所 (175)
【Fターム(参考)】