説明

基板洗浄装置およびそれを備えた基板処理装置

【課題】基板の表面に液体が付着することを防止しつつ基板の裏面を十分に洗浄することが可能な基板洗浄装置およびそれを備えた基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板Wの裏面洗浄処理時には、スピンチャック600により基板Wが回転するとともに、気体供給管420を通して遮断板525と基板Wとの間にNガスが供給される。その状態で、洗浄ブラシ630がモータ635によって回転しながら基板Wの裏面に接触する。基板Wと洗浄ブラシ630との接触部分には、洗浄ノズル633から純水が供給される。これにより、基板Wの裏面の全体が洗浄ブラシ630により洗浄され、基板Wの裏面に付着する汚染物が取り除かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の裏面を洗浄するための基板洗浄装置およびそれを備えた基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。
【0003】
このような基板処理装置では、一般に、一枚の基板に対して複数の異なる処理が連続的に行われる。特許文献1に記載された基板処理装置は、インデクサブロック、反射防止膜用処理ブロック、レジスト膜用処理ブロック、現像処理ブロックおよびインターフェイスブロックにより構成される。インターフェイスブロックに隣接するように、基板処理装置とは別体の外部装置である露光装置が配置される。
【0004】
上記の基板処理装置においては、インデクサブロックから搬入される基板は、反射防止膜用処理ブロックおよびレジスト膜用処理ブロックにおいて反射防止膜の形成およびレジスト膜の塗布処理が行われた後、インターフェイスブロックを介して露光装置へと搬送される。露光装置において基板上のレジスト膜に露光処理が行われた後、基板はインターフェイスブロックを介して現像処理ブロックへ搬送される。現像処理ブロックにおいて基板上のレジスト膜に現像処理が行われることによりレジストパターンが形成された後、基板はインデクサブロックへと搬送される。
【特許文献1】特開2003−324139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
露光処理前における種々の成膜処理の過程で、基板の裏面が汚染する場合がある。その場合、汚染物質により基板の裏面に凹凸が生じて、基板が不安定な状態となる。そのため、露光処理時に、露光レンズの焦点が基板上のレジスト膜の表面から外れるデフォーカスが発生することがある。それにより、露光パターンの寸法不良および形状不良が発生するおそれがある。
【0006】
そこで、各種の成膜処理後に、基板の裏面を洗浄することが提案されている。しかしながら、基板上に形成されたレジスト膜に洗浄液等の液体が付着すると、レジスト膜と液体とが反応し、レジスト膜の状態が変化する。それにより、その後のレジスト膜の処理を正常に行うことができなくなる。
【0007】
本発明の目的は、基板の表面に液体が付着することを防止しつつ基板の裏面を十分に洗浄することが可能な基板洗浄装置およびそれを備えた基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明に係る基板洗浄装置は、基板の下面を洗浄する基板洗浄装置であって、基板を略水平に保持しつつ回転させる基板回転保持装置と、基板回転保持装置により保持される基板の上面に気体を供給する気体供給手段と、基板回転保持装置により保持される基板の下面を洗浄するための洗浄具と、基板回転保持装置により保持される基板の下面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段とを備え、基板回転保持装置は、略鉛直方向に沿う回転軸線の周りで回転可能に設けられた回転部材と、回転部材の上側に設けられ、回転部材を回転させる回転駆動機構と、回転部材の下側に設けられ、回転部材の下側に配置される基板の外周端部に当接することにより基板を保持する保持部材とを含むものである。
【0009】
この基板洗浄装置においては、回転部材の下側に設けられた保持部材により、回転部材の下側に配置された基板の外周端部が保持される。そして、回転部材の上側に設けられた回転駆動機構により、略鉛直方向に沿う回転軸線の周りで回転部材が回転する。それにより、基板が略水平に保持された状態で回転する。
【0010】
回転する基板の上面に、基板供給手段により気体が供給される。また、回転する基板の下面に、洗浄液供給手段により洗浄液が供給されるとともに洗浄具が接触する。この場合、基板の上面に洗浄液が付着することを防止しつつ基板の下面を洗浄することができる。
【0011】
それにより、基板の上面に感光性膜が形成されていても、感光性膜と洗浄液との接触が防止され、感光性膜の状態を正常に維持することができる。また、基板の下面に付着する汚染物を取り除くことにより、露光処理時に基板の裏面の凹凸に起因するデフォーカスが発生することを確実に防止することができる。これらにより、基板の処理不良の発生を確実に防止することができる。
【0012】
また、この基板洗浄装置では、回転駆動機構が基板の上方にあるので、回転する基板の下方に十分なスペースが形成される。そのスペースにおいて洗浄具および洗浄液供給手段による基板の下面の洗浄を行うことができるので、基板の下面の全体を効率良く確実に洗浄することができる。
【0013】
(2)基板回転保持装置は、保持部材により保持される基板の上面に対向するように回転部材の下側に設けられた遮断板をさらに含み、気体供給手段は、遮断板と基板との間に気体を供給してもよい。
【0014】
この場合、遮断板によって遮断された基板の上方の空間が、気体供給手段から供給された気体によって満たされる。それにより、基板の下面に供給される洗浄液が基板の上面に回り込むことが確実に防止され、基板の上面に洗浄液が付着することが確実に防止される。
【0015】
(3)回転駆動機構は、鉛直方向に延びる中空の回転軸を有し、回転部材は、中央部に開口を有するとともに回転軸と一体的に回転するように回転軸に取り付けられ、気体供給手段は、回転駆動機構の回転軸内および回転部材の開口に挿通され、回転軸の内周面との間に一定の隙間を形成するように回転駆動機構に支持された金属製の外管と、外管内に挿入されるとともに基板の上面に対向する端部に吐出口を有し、吐出口から基板に気体を供給する樹脂製の内管とを含んでもよい。
【0016】
この場合、金属製の外管が、回転軸の内周面との間に一定の隙間が形成されるように回転駆動機構に支持されているので、回転軸が回転する場合においても、外管と回転軸の内周面との間の隙間が一定に保たれる。したがって、外管および回転軸の摩耗が防止される。
【0017】
また、外管が回転駆動機構に支持されているので、回転駆動機構が振動した場合でも、回転軸と外管との位置関係が保持される。それにより、外管が回転軸に接触することが確実に防止される。
【0018】
また、樹脂製の内管は可撓性を有するので、外管内に容易に挿入することができる。さらに、内管を外管内に挿入することにより、気体供給手段がコンパクトになる。
【0019】
(4)基板洗浄装置は、回転軸が鉛直方向に延びるように回転駆動機構を支持する支持部材をさらに備え、外管はフランジ部を有し、フランジ部が支持部材に固定されてもよい。
【0020】
この場合、回転駆動機構が支持部材により支持され、外管のフランジ部が支持部材に固定される。それにより、外管がフランジ部および支持部材を介して回転駆動機構に確実に固定される。また、外管のフランジ部を支持部材に取り付けることにより、外管および内管を回転駆動機構に容易に固定することができる。したがって、基板処理装置の製造がさらに容易となる。
【0021】
(5)第2の発明に係る基板処理装置は、露光装置に隣接するように配置され、表面および裏面を有する基板に処理を行う基板処理装置であって、基板に処理を行うための処理部と、処理部と露光装置との間で基板の受け渡しを行うための受け渡し部とを備え、処理部は、基板の表面に感光性材料からなる感光性膜を形成する感光性膜形成ユニットを含み、処理部および受け渡し部の少なくとも一方は、露光装置による露光処理前に基板の裏面を洗浄する基板洗浄装置を含み、基板洗浄装置は、表面を上方に向けて基板を略水平に保持しつつ回転させる基板回転保持装置と、基板回転保持装置により保持される基板の表面に気体を供給する気体供給手段と、基板回転保持装置により保持される基板の裏面を洗浄するための洗浄具と、基板回転保持装置により保持される基板の裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段とを備え、基板回転保持装置は、略鉛直方向に沿う回転軸線の周りで回転可能に設けられた回転部材と、回転部材の上側に設けられ、回転部材を回転させる回転駆動機構と、回転部材の下側に設けられ、回転部材の下側に配置される基板の外周端部に当接することにより基板を保持する保持部材とを含むものである。
【0022】
この基板処理装置においては、処理部において感光性膜形成ユニットにより基板の表面に感光性膜が形成され、受け渡し部によりその基板が処理部から露光装置へ受け渡される。露光装置により基板に露光処理が行われた後、その基板が受け渡し部により露光装置から処理部へ受け渡される。露光装置による露光処理前には、基板洗浄装置により基板の裏面が洗浄される。
【0023】
基板洗浄装置においては、回転部材の下側に設けられた保持部材により、表面を上方に向けて回転部材の下側に配置された基板の外周端部が保持される。そして、回転部材の上側に設けられた回転駆動機構により、略鉛直方向に沿う回転軸線の周りで回転部材が回転する。それにより、基板が略水平に保持された状態で回転する。
【0024】
回転する基板の表面に、基板供給手段により気体が供給される。また、回転する基板の裏面に、洗浄液供給手段により洗浄液が供給されるとともに洗浄具が接触する。この場合、基板の表面に洗浄液が付着することを防止しつつ基板の裏面を洗浄することができる。
【0025】
これにより、基板の表面に形成された感光性膜に洗浄液が接触することが防止され、感光性膜の状態を正常に維持することができる。また、基板の裏面に付着する汚染物を取り除くことにより、露光処理時に基板の裏面の凹凸に起因するデフォーカスが発生することを確実に防止することができる。これらにより、基板の処理不良の発生を確実に防止することができる。
【0026】
また、この基板洗浄装置では、回転駆動機構が基板の上方にあるので、回転する基板の下方に十分なスペースが形成される。そのスペースにおいて洗浄具および洗浄液供給手段による基板の裏面の洗浄を行うことができるので、基板の裏面の全体を効率良く確実に洗浄することができる。
【0027】
また、基板の裏面を下方に向けたまま基板の裏面を洗浄することができるので、基板の裏面が上方に向けられる場合と異なり、基板の裏面に供給された洗浄液が重力で基板の表面側に流れ込むことがない。その結果、基板の表面に洗浄液が付着することをより確実に防止することができる。また、基板を反転させるための反転機構を設ける必要がないので、基板処理装置の大型化および高コスト化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、感光性膜と洗浄液との接触が防止され、感光性膜の状態を正常に維持することができる。また、基板の下面に付着する汚染物が取り除かれることにより、露光処理時に基板の裏面の凹凸に起因するデフォーカスが発生することが確実に防止される。また、回転する基板の下方に十分なスペースが形成されるので、基板の下面の全体を効率良く確実に洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態に係る基板処理装置について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板等をいう。
【0030】
(1)基板処理装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の平面図である。なお、図1ならびに後述する図2〜図4には、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。なお、各方向において矢印が向かう方向を+方向、その反対の方向を−方向とする。また、Z方向を中心とする回転方向をθ方向としている。
【0031】
図1に示すように、基板処理装置500は、インデクサブロック9、反射防止膜用処理ブロック10、レジスト膜用処理ブロック11、現像処理ブロック12およびインターフェースブロック15を含む。また、インターフェースブロック15に隣接するように露光装置16が配置される。露光装置16においては、液浸法により基板Wに露光処理が行われる。
【0032】
以下、インデクサブロック9、反射防止膜用処理ブロック10、レジスト膜用処理ブロック11、現像処理ブロック12およびインターフェースブロック15の各々を処理ブロックと呼ぶ。
【0033】
インデクサブロック9は、各処理ブロックの動作を制御するメインコントローラ(制御部)30、複数のキャリア載置台40およびインデクサロボットIRを含む。インデクサロボットIRには、基板Wを受け渡すためのハンドIRHが設けられる。
【0034】
反射防止膜用処理ブロック10は、反射防止膜用熱処理部100,101、反射防止膜用塗布処理部50および第1のセンターロボットCR1を含む。反射防止膜用塗布処理部50は、第1のセンターロボットCR1を挟んで反射防止膜用熱処理部100,101に対向して設けられる。第1のセンターロボットCR1には、基板Wを受け渡すためのハンドCRH1,CRH2が上下に設けられる。
【0035】
インデクサブロック9と反射防止膜用処理ブロック10との間には、雰囲気遮断用の隔壁17が設けられる。この隔壁17には、インデクサブロック9と反射防止膜用処理ブロック10との間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS1,PASS2が上下に近接して設けられる。上側の基板載置部PASS1は、基板Wをインデクサブロック9から反射防止膜用処理ブロック10へ搬送する際に用いられ、下側の基板載置部PASS2は、基板Wを反射防止膜用処理ブロック10からインデクサブロック9へ搬送する際に用いられる。
【0036】
また、基板載置部PASS1,PASS2には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示せず)が設けられている。それにより、基板載置部PASS1,PASS2において基板Wが載置されているか否かの判定を行うことが可能となる。また、基板載置部PASS1,PASS2には、固定設置された複数本の支持ピンが設けられている。なお、上記の光学式のセンサおよび支持ピンは、後述する基板載置部PASS3〜PASS9にも同様に設けられる。
【0037】
レジスト膜用処理ブロック11は、レジスト膜用熱処理部110,111、レジスト膜用塗布処理部60および第2のセンターロボットCR2を含む。レジスト膜用塗布処理部60は、第2のセンターロボットCR2を挟んでレジスト膜用熱処理部110,111に対向して設けられる。第2のセンターロボットCR2には、基板Wを受け渡すためのハンドCRH3,CRH4が上下に設けられる。
【0038】
反射防止膜用処理ブロック10とレジスト膜用処理ブロック11との間には、雰囲気遮断用の隔壁18が設けられる。この隔壁18には、反射防止膜用処理ブロック10とレジスト膜用処理ブロック11との間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS3,PASS4が上下に近接して設けられる。上側の基板載置部PASS3は、基板Wを反射防止膜用処理ブロック10からレジスト膜用処理ブロック11へ搬送する際に用いられ、下側の基板載置部PASS4は、基板Wをレジスト膜用処理ブロック11から反射防止膜用処理ブロック10へ搬送する際に用いられる。
【0039】
現像処理ブロック12は、現像用熱処理部120、露光後ベーク用熱処理部121、現像処理部70および第3のセンターロボットCR3を含む。露光後ベーク用熱処理部121はインターフェースブロック15に隣接し、後述するように、基板載置部PASS7,PASS8を備える。現像処理部70は第3のセンターロボットCR3を挟んで現像用熱処理部120および露光後ベーク用熱処理部121に対向して設けられる。第3のセンターロボットCR3には、基板Wを受け渡すためのハンドCRH5,CRH6が上下に設けられる。
【0040】
レジスト膜用処理ブロック11と現像処理ブロック12との間には、雰囲気遮断用の隔壁19が設けられる。この隔壁19には、レジスト膜用処理ブロック11と現像処理ブロック12との間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS5,PASS6が上下に近接して設けられる。上側の基板載置部PASS5は、基板Wをレジスト膜用処理ブロック11から現像処理ブロック12へ搬送する際に用いられ、下側の基板載置部PASS6は、基板Wを現像処理ブロック12からレジスト膜用処理ブロック11へ搬送する際に用いられる。
【0041】
インターフェースブロック15は、送りバッファ部SBF、裏面洗浄処理ユニットBC、第4のセンターロボットCR4、エッジ露光部EEW、戻りバッファ部RBF、載置兼冷却ユニットPASS−CP(以下、P−CPと略記する)、基板載置部PASS9およびインターフェース用搬送機構IFRを含む。裏面洗浄処理ユニットBCは、露光処理前の基板Wの裏面の洗浄処理(以下、裏面洗浄処理と呼ぶ)を行う。ここで、基板Wの上面とは上方に向けられた基板Wの面をいい、基板Wの下面とは下方に向けられた基板Wの面をいう。また、基板Wの表面とは、各処理ブロックにおいて種々の膜が形成される面をいい、基板Wの裏面とは、その反対側の面をいう。裏面洗浄処理ユニットBCの詳細は後述する。
【0042】
また、第4のセンターロボットCR4には、基板Wを受け渡すためのハンドCRH7,CRH8(図4参照)が上下に設けられ、インターフェース用搬送機構IFRには、基板Wを受け渡すためのハンドH1,H2(図4参照)が上下に設けられる。インターフェースブロック15の詳細については後述する。
【0043】
本実施の形態に係る基板処理装置500においては、Y方向に沿ってインデクサブロック9、反射防止膜用処理ブロック10、レジスト膜用処理ブロック11、現像処理ブロック12およびインターフェースブロック15が順に並設されている。
【0044】
図2は、図1の基板処理装置500を+X方向から見た概略側面図であり、図3は、図1の基板処理装置500を−X方向から見た概略側面図である。なお、図2においては、基板処理装置500の+X側に設けられるものを主に示し、図3においては、基板処理装置500の−X側に設けられるものを主に示している。
【0045】
まず、図2を用いて、基板処理装置500の+X側の構成について説明する。図2に示すように、反射防止膜用処理ブロック10の反射防止膜用塗布処理部50(図1参照)には、3個の塗布ユニットBARCが上下に積層配置されている。各塗布ユニットBARCは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック51およびスピンチャック51上に保持された基板Wに反射防止膜の塗布液を供給する供給ノズル52を備える。
【0046】
レジスト膜用処理ブロック11のレジスト膜用塗布処理部60(図1参照)には、3個の塗布ユニットRESが上下に積層配置されている。各塗布ユニットRESは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック61およびスピンチャック61上に保持された基板Wにレジスト膜の塗布液を供給する供給ノズル62を備える。
【0047】
現像処理ブロック12の現像処理部70(図1参照)には、5個の現像処理ユニットDEVが上下に積層配置されている。各現像処理ユニットDEVは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック71およびスピンチャック71上に保持された基板Wに現像液を供給する供給ノズル72を備える。
【0048】
インターフェースブロック15内の+X側には、エッジ露光部EEWが配置されている。エッジ露光部EEWは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック98およびスピンチャック98上に保持された基板Wの周縁を露光する光照射器99を備える。
【0049】
次に、図3を用いて、基板処理装置500の−X側の構成について説明する。図3に示すように、反射防止膜用処理ブロック10の反射防止膜用熱処理部100,101には、2個の加熱ユニット(ホットプレート)HPおよび2個の冷却ユニット(クーリングプレート)CPがそれぞれ積層配置される。また、反射防止膜用熱処理部100,101には、最上部に加熱ユニットHPおよび冷却ユニットCPの温度を制御するローカルコントローラLCが各々配置される。
【0050】
レジスト膜用処理ブロック11のレジスト膜用熱処理部110,111には、2個の加熱ユニットHPおよび2個の冷却ユニットCPがそれぞれ積層配置される。また、レジスト膜用熱処理部110,111には、最上部に加熱ユニットHPおよび冷却ユニットCPの温度を制御するローカルコントローラLCが各々配置される。
【0051】
現像処理ブロック12の現像用熱処理部120には、2個の加熱ユニットHPおよび2個の冷却ユニットCPが積層配置され、露光後ベーク用熱処理部121には2個の加熱ユニットHP、2個の冷却ユニットCPおよび基板載置部PASS7,PASS8が上下に積層配置される。また、現像用熱処理部120および露光後ベーク用熱処理部121には、最上部に加熱ユニットHPおよび冷却ユニットCPの温度を制御するローカルコントローラLCが各々配置される。
【0052】
次に、図4を用いてインターフェースブロック15について詳細に説明する。
【0053】
図4は、インターフェースブロック15を+Y側から見た概略側面図である。図4に示すように、インターフェースブロック15内において、−X側には、送りバッファ部SBFおよび3個の裏面洗浄処理ユニットBCが積層配置される。また、インターフェースブロック15内において、+X側の上部には、エッジ露光部EEWが配置される。
【0054】
エッジ露光部EEWの下方において、インターフェースブロック15内の略中央部には、戻りバッファ部RBF、2個の載置兼冷却ユニットP−CPおよび基板載置部PASS9が上下に積層配置される。
【0055】
また、インターフェースブロック15内の下部には、第4のセンターロボットCR4およびインターフェース用搬送機構IFRが設けられている。第4のセンターロボットCR4は、送りバッファ部SBF、裏面洗浄処理ユニットBC、エッジ露光部EEW、戻りバッファ部RBF、載置兼冷却ユニットP−CPおよび基板載置部PASS9の間で上下動可能かつ回動可能に設けられている。インターフェース用搬送機構IFRは、戻りバッファ部RBF、載置兼冷却ユニットP−CPおよび基板載置部PASS9の間で上下動可能かつ回動可能に設けられている。
【0056】
(1−2)基板処理装置の動作
次に、本実施の形態に係る基板処理装置500の動作について図1〜図4を参照しながら説明する。
【0057】
(1−2−1)インデクサブロックから現像処理ブロックまでの動作
まず、インデクサブロック9から現像処理ブロック12までの動作について簡単に説明する。
【0058】
インデクサブロック9のキャリア載置台40の上には、複数枚の基板Wを多段に収納するキャリアCが搬入される。インデクサロボットIRは、ハンドIRHを用いてキャリアC内に収納された未処理の基板Wを取り出す。その後、インデクサロボットIRは±X方向に移動しつつ±θ方向に回転移動し、未処理の基板Wを基板載置部PASS1に載置する。
【0059】
本実施の形態においては、キャリアCとしてFOUP(front opening unified pod)を採用しているが、これに限定されず、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納基板Wを外気に曝すOC(open cassette)等を用いてもよい。
【0060】
さらに、インデクサロボットIR、第1〜第4のセンターロボットCR1〜CR4およびインターフェース用搬送機構IFRには、それぞれ基板Wに対して直線的にスライドさせてハンドの進退動作を行う直動型搬送ロボットを用いているが、これに限定されず、関節を動かすことにより直線的にハンドの進退動作を行う多関節型搬送ロボットを用いてもよい。
【0061】
基板載置部PASS1に載置された未処理の基板Wは、反射防止膜用処理ブロック10の第1のセンターロボットCR1により受け取られる。第1のセンターロボットCR1は、その基板Wを反射防止膜用熱処理部100,101に搬入する。
【0062】
その後、第1のセンターロボットCR1は、反射防止膜用熱処理部100,101から熱処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wを反射防止膜用塗布処理部50に搬入する。この反射防止膜用塗布処理部50では、露光時に発生する定在波やハレーションを減少させるために、塗布ユニットBARCにより基板W上に反射防止膜が塗布形成される。
【0063】
次に、第1のセンターロボットCR1は、反射防止膜用塗布処理部50から塗布処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wを反射防止膜用熱処理部100,101に搬入する。その後、第1のセンターロボットCR1は、反射防止膜用熱処理部100,101から熱処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS3に載置する。
【0064】
基板載置部PASS3に載置された基板Wは、レジスト膜用処理ブロック11の第2のセンターロボットCR2により受け取られる。第2のセンターロボットCR2は、その基板Wをレジスト膜用熱処理部110,111に搬入する。
【0065】
その後、第2のセンターロボットCR2は、レジスト膜用熱処理部110,111から熱処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wをレジスト膜用塗布処理部60に搬入する。このレジスト膜用塗布処理部60では、塗布ユニットRESにより反射防止膜が塗布形成された基板W上にレジスト膜が塗布形成される。
【0066】
次に、第2のセンターロボットCR2は、レジスト膜用塗布処理部60から塗布処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wをレジスト膜用熱処理部110,111に搬入する。その後、第2のセンターロボットCR2は、レジスト膜用熱処理部110,111から熱処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS5に載置する。
【0067】
基板載置部PASS5に載置された基板Wは、現像処理ブロック12の第3のセンターロボットCR3により受け取られる。第3のセンターロボットCR3は、その基板Wを基板載置部PASS7に載置する。
【0068】
基板載置部PASS7に載置された基板Wは、インターフェースブロック15の第4のセンターロボットCR4により受け取られ、後述するように、インターフェースブロック15および露光装置16において所定の処理が施される。インターフェースブロック15および露光装置16において基板Wに所定の処理が施された後、その基板Wは、第4のセンターロボットCR4により現像処理ブロック12の露光後ベーク用熱処理部121に搬入される。
【0069】
露光後ベーク用熱処理部121においては、基板Wに対して露光後ベーク(PEB)が行われる。その後、第4のセンターロボットCR4は、露光後ベーク用熱処理部121から基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS8に載置する。
【0070】
基板載置部PASS8に載置された基板Wは、現像処理ブロック12の第3のセンターロボットCR3により受け取られる。第3のセンターロボットCR3は、その基板Wを現像処理部70に搬入する。現像処理部70においては、露光された基板Wに対して現像処理が施される。
【0071】
次に、第3のセンターロボットCR3は、現像処理部70から現像処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wを現像用熱処理部120に搬入する。その後、第3のセンターロボットCR3は、現像用熱処理部120から熱処理後の基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS6に載置する。
【0072】
基板載置部PASS6に載置された基板Wは、レジスト膜用処理ブロック11の第2のセンターロボットCR2により基板載置部PASS4に載置される。基板載置部PASS4に載置された基板Wは反射防止膜用処理ブロック10の第1のセンターロボットCR1により基板載置部PASS2に載置される。
【0073】
基板載置部PASS2に載置された基板Wは、インデクサブロック9のインデクサロボットIRによりキャリアC内に収納される。これにより、基板処理装置500における基板Wの各処理が終了する。
【0074】
(1−2−2)インターフェースブロックの動作
次に、インターフェースブロック15の動作について詳細に説明する。
【0075】
上述したように、インデクサブロック9に搬入された基板Wは、所定の処理を施された後、現像処理ブロック12(図1)の基板載置部PASS7に載置される。
【0076】
基板載置部PASS7に載置された基板Wは、インターフェースブロック15の第4のセンターロボットCR4により受け取られる。第4のセンターロボットCR4は、その基板Wをエッジ露光部EEW(図4)に搬入する。このエッジ露光部EEWにおいては、基板Wの周縁部に露光処理が施される。
【0077】
次に、第4のセンターロボットCR4は、エッジ露光部EEWからエッジ露光済みの基板Wを取り出し、その基板Wを裏面洗浄処理ユニットBCのいずれかに搬入する。裏面洗浄処理ユニットBCにおいては、上述したように露光処理前の基板Wに裏面洗浄処理が施される。
【0078】
ここで、露光装置16による露光処理の時間は、通常、他の処理工程および搬送工程よりも長い。その結果、露光装置16が後の基板Wの受け入れをできない場合が多い。この場合、基板Wは送りバッファ部SBF(図4)に一時的に収納保管される。本実施の形態では、第4のセンターロボットCR4は、裏面洗浄処理ユニットBCから裏面洗浄処理済みの基板Wを取り出し、その基板Wを送りバッファ部SBFに搬送する。
【0079】
次に、第4のセンターロボットCR4は、送りバッファ部SBFに収納保管されている基板Wを取り出し、その基板Wを載置兼冷却ユニットP−CPに搬入する。載置兼冷却ユニットP−CPに搬入された基板Wは、露光装置16内と同じ温度(例えば、23℃)に維持される。
【0080】
なお、露光装置16が十分な処理速度を有する場合には、送りバッファ部SBFに基板Wを収納保管せずに、裏面洗浄処理ユニットBCから載置兼冷却ユニットP−CPに基板Wを搬送してもよい。
【0081】
続いて、載置兼冷却ユニットP−CPで上記所定温度に維持された基板Wが、インターフェース用搬送機構IFRの上側のハンドH1(図4)により受け取られ、露光装置16内の基板搬入部16a(図1)に搬入される。
【0082】
露光装置16において露光処理が施された基板Wは、インターフェース用搬送機構IFRにより基板搬出部16b(図1)から搬出される。インターフェース用搬送機構IFRは、その基板Wを基板載置部PASS9に載置する。
【0083】
基板載置部PASS9に載置された基板Wは、第4のセンターロボットCR4により受け取られる。第4のセンターロボットCR4は、その基板Wを現像処理ブロック12(図1)の露光後ベーク用熱処理部121に搬送する。
【0084】
なお、現像処理ユニットDEV(図2)の故障等により、現像処理ブロック12が一時的に基板Wの受け入れをできないときは、戻りバッファ部RBFに露光処理後の基板Wを一時的に収納保管することができる。
【0085】
(3)裏面洗浄処理ユニット
次に、裏面洗浄処理ユニットBCについて図面を用いて詳細に説明する。図5および図6は、裏面洗浄処理ユニットBCの構成を示す側面図および概略平面図である。なお、図6には、裏面洗浄処理ユニットBCの一部の構成要素が模式的に示される。
【0086】
なお、本実施の形態において、裏面洗浄処理ユニットBCは、図示しない筐体を備え、その筐体の内部に以下の構成要素が設けられる。
【0087】
図5および図6に示すように、裏面洗浄処理ユニットBCは、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック600を備える。スピンチャック600は、スピンモータ200、回転軸210、円板状のスピンプレート520、プレート支持部材510、円板状の遮断板525、マグネットプレート614a,614bおよび複数のチャックピン615を含む。
【0088】
裏面洗浄処理ユニットBCの上部にスピンモータ200が設けられている。スピンモータ200は、モータ支持部材200sによって支持されている。モータ支持部材200sは、鉛直方向に延びる貫通孔200hを有し、モータ固定部290に取り付けられている。モータ固定部290は、図示しない裏面洗浄処理ユニットBCの筐体に取り付けられている。
【0089】
スピンモータ200の内部から下方に延びるように円筒形状を有する回転軸210が設けられている。回転軸210はスピンモータ200の出力軸として機能する。
【0090】
回転軸210の下端部にはプレート支持部材510が取り付けられている。後述するように、プレート支持部材510は円筒形状を有する。プレート支持部材510によりスピンプレート520が水平に支持されている。プレート支持部材510およびスピンプレート520の下面に遮断板525が固定部材525a,525bにより水平に固定されている。遮断板525の中心部には、貫通孔525hが形成されている。スピンモータ200によって回転軸210が回転することにより、プレート支持部材510、スピンプレート520および遮断板525が鉛直軸の周りで一体的に回転する。
【0091】
モータ支持部材200sの貫通孔200h、スピンモータ200の回転軸210の内部、およびプレート支持部材510の内部には、流体供給管400が挿通されている。流体供給管400を通して、スピンチャック600により保持される基板W上に気体を供給することができる。流体供給管400およびその周辺部材の構造の詳細は後述する。
【0092】
スピンプレート520の周縁部には、複数(図6においては5つ)のチャックピン615が回転軸210に関して等角度間隔で設けられている。チャックピン615の個数は、5つ以上であることが望ましい。その理由については後述する。
【0093】
各チャックピン615は、軸部615a、ピン支持部615b、保持部615cおよびマグネット616を含む。スピンプレート520を貫通するように軸部615aが設けられ、軸部615aの下端部に水平方向に延びるピン支持部615bが接続されている。ピン支持部615bの先端部から下方に突出するように保持部615cが設けられている。また、スピンプレート520の上面側において、軸部615aの上端部にマグネット616が取り付けられている。
【0094】
各チャックピン615は、軸部615aを中心に鉛直軸の周りで回転可能であり、保持部615cが基板Wの外周端部に当接する閉状態と、保持部615cが基板Wの外周端部から離間する開状態とに切替可能である。なお、本例では、マグネット616のN極が内側にある場合に各チャックピン615が閉状態となり、マグネット616のS極が内側にある場合に各チャックピン615が開状態となる。
【0095】
スピンプレート520の上方には、回転軸210を中心とする周方向に沿ってマグネットプレート614a,614bが配置される。マグネットプレート614a,614bは、外側にS極を有し、内側にN極を有する。マグネットプレート614a,614bは、マグネット昇降機構617a,617bによってそれぞれ独立に昇降し、チャックピン615のマグネット616よりも高い上方位置とチャックピン615のマグネット616とほぼ等しい高さの下方位置との間で移動する。
【0096】
マグネットプレート614a,614bの昇降により、各チャックピン615が開状態と閉状態とに切り替えられる。マグネットプレート614a,614bおよびチャックピン615の動作の詳細については後述する。
【0097】
スピンチャック600の外方には、基板Wから飛散する洗浄液を受け止めるためのガード618が設けられている。ガード618は、スピンチャック600の回転軸210に関して回転対称な形状を有する。また、ガード618は、ガード昇降機構618aにより昇降する。ガード618により受け止められた洗浄液は、図示しない排液装置または回収装置により排液または回収される。
【0098】
ガード618の外方には、3つ以上(本例では3つ)の基板受け渡し機構620がスピンチャック600の回転軸210を中心として等角度間隔で配置されている。各基板受け渡し機構620は、昇降回転駆動部621、回転軸622、アーム623および保持ピン624を含む。昇降回転駆動部621から上方に延びるように回転軸622が設けられ、回転軸622の上端部から水平方向に延びるようにアーム623が連結されている。アーム623の先端部に、基板Wの外周端部を保持するための保持ピン624が設けられている。
【0099】
昇降回転駆動部621により、回転軸622が昇降動作および回転動作を行う。それにより、保持ピン624が水平方向および上下方向に移動する。
【0100】
また、裏面洗浄処理ユニットBCの下部には、略円柱形状の裏面洗浄ブラシ630が配置されている。裏面洗浄ブラシ630はモータ635の回転軸に取り付けられており、鉛直軸の周りで回転駆動される。モータ635はブラシ保持部材631により保持されている。ブラシ保持部材631は、ブラシ移動機構632によって駆動される。それにより、洗浄ブラシ630が水平方向および上下方向に移動する。
【0101】
洗浄ブラシ630の近傍におけるブラシ保持部材631の部分には洗浄ノズル633が取り付けられている。洗浄ノズル633には洗浄液が供給される液供給管(図示せず)が接続されている。洗浄ノズル633の吐出口は洗浄ブラシ630周辺に向けられており、吐出口から洗浄ブラシ630周辺に向けて洗浄液が吐出される。なお、本例では洗浄水として純水が用いられる。
【0102】
(4)流体供給管の詳細
図5の流体供給管400およびその周辺部材の構造の詳細を図7および図8を参照しつつ説明する。図7は主として図5の流体供給管400の構造を示す縦断面図である。図8(a)は図5の流体供給管400の先端部近傍の構造を示す拡大縦断面図であり、図8(b)は図8(a)の矢印YAから見た流体供給管400の先端部の平面図である。
【0103】
上述のように、流体供給管400は、モータ支持部材200s、スピンモータ200、回転軸210およびプレート支持部材510に挿通されている。
【0104】
図7に示すように、流体供給管400は、モータ支持部材200sの上方で湾曲し、水平方向に延びている。以下の説明において、鉛直方向に延びる直管部の端部を先端部と呼び、水平方向に延びる直管部の端部を後端部と呼ぶ。
【0105】
流体供給管400において、鉛直方向に延びる直管部の湾曲部近傍には、第1フランジFR1が一体形成されている。また、後端部には第2フランジFR2が一体形成されている。
【0106】
第1フランジFR1がモータ支持部材200sに固定され、第2フランジFR2が管固定部280に固定される。管固定部280は、図示しない裏面洗浄処理ユニットBCの筐体に取り付けられる。
【0107】
これにより、流体供給管400は、管固定部280、モータ支持部材200sおよびモータ固定部290により、裏面洗浄処理ユニットBCの筐体に固定される。
【0108】
上述のように、スピンモータ200は、モータ支持部材200sにより支持されている。これにより、流体供給管400がモータ支持部材200sに取り付けられることにより、スピンモータ200が動作する場合でも、流体供給管400とスピンモータ200との位置関係が保たれる。したがって、流体供給管400に位置ずれが発生することが防止される。
【0109】
図8(a)および図8(b)に示すように、流体供給管400は、ガイド管410の内部に気体供給管420が収容された構造を有する。気体供給管420は基板Wに気体(本例ではNガス)を供給するために用いられる。
【0110】
本実施の形態において、ガイド管410はステンレス鋼からなる。気体供給管420はPTFE(四フッ化エチレン樹脂)およびPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)等のフッ素樹脂からなる。
【0111】
図8(a)に示すように、気体供給管420は、その先端部が遮断板525の貫通孔525hから僅かに下方に突出するように設けられる。これにより、遮断板525と基板Wとの間にNガスを確実に供給することができる。なお、気体供給管420の先端部を遮断板525に固定してもよい。
【0112】
流体供給管400の先端部の周辺部材について説明する。本例では、回転軸210は約20mmの内径を有し、ガイド管410は約18mmの外径を有する。これにより、流体供給管400が図7のモータ支持部材200sおよび管固定部280に取り付けられた状態で、回転軸210とガイド管410との間に約1mmのギャップGAが形成される。
【0113】
流体供給管400の先端部近傍において、回転軸210には、略円筒形状を有するプレート支持部材510が取り付けられている。プレート支持部材510の内周面510hは、軸心に沿って階段状に形成されている。
【0114】
プレート支持部材510を回転軸210に取り付ける際には、プレート支持部材510の内周面510hと回転軸210の外周面との間の隙間に円筒形状のパッド固定片512を嵌め込み、パッド固定片512をプレート支持部材510のねじ受け部511にネジ止めする。これにより、プレート支持部材510が回転軸210の先端部に確実に固定される。
【0115】
プレート支持部材510の下端部近傍には、フランジ510Fが形成されている。フランジ510Fとスピンプレート520とがネジ止めされることにより、スピンプレート520が回転軸210に固定される。
【0116】
図7に戻り、流体供給管400の後端部には、上述のように第2フランジFR2が形成されている。そして、第2フランジFR2は管固定部280に固定される。また、流体供給管400の後端部近傍には、供給管固定部490が設けられる。供給管固定部490において、気体供給管420がガイド管410に固定される。
【0117】
気体供給管420は、ガイド管410の後端部から外部に延びている。ガイド管410の後端部から延びる気体供給管420の後端部は、図示しない気体供給装置に接続される。気体供給装置から気体供給管420にNガスが供給されることにより、基板WにNガスが供給される。
【0118】
(5)基板の保持動作
スピンチャック600による基板Wの保持動作について説明する。図9および図10は、スピンチャック600による基板Wの保持動作を説明するための図である。
【0119】
まず、図9(a)に示すように、ガード618がチャックピン615よりも低い位置に移動する。そして、複数の基板受け渡し機構620(図5)の保持ピン624がガード618の上方を通ってスピンプレート520の下方に移動する。複数の保持ピン624上に第4のセンターロボットCR4(図1)により基板Wが載置される。
【0120】
このとき、マグネットプレート614a,614bは上方位置にある。この場合、マグネットプレート614a,614bの磁力線Bは、チャックピン615のマグネット616の高さにおいて内側から外側に向かう。それにより、各チャックピン615のマグネット616のS極が内側に吸引される。したがって、各チャックピン615は開状態となる。
【0121】
続いて、図9(b)に示すように、複数の保持ピン624が基板Wを保持した状態で上昇する。これにより、基板Wが複数のチャックピン615の保持部615cの間に移動する。
【0122】
続いて、図10(c)に示すように、マグネットプレート614a,614bが下方位置に移動する。この場合、各チャックピン615のマグネット616のN極が内側に吸引される。それにより、各チャックピン615が閉状態となり、各チャックピン615の保持部615cによって基板Wの外周端部が保持される。なお、各チャックピン615は、隣接する保持ピン624間で基板Wの外周端部を保持する。そのため、チャックピン615と保持ピン624とは互いに干渉しない。その後、複数の保持ピン624がガード618の外方に移動する。
【0123】
続いて、図10(d)に示すように、ガード618がチャックピン615により保持される基板Wを取り囲む高さに移動する。そして、基板Wの裏面洗浄処理が行われる。
【0124】
(6)裏面洗浄処理
図11および図12は、基板Wの裏面洗浄処理について説明するための側面図である。
【0125】
図11に示すように、基板Wの裏面洗浄処理時には、スピンチャック600により基板Wが回転するとともに、気体供給管420を通して遮断板525と基板Wとの間にNガスが供給される。これにより、遮断板525と基板Wとの間で、基板Wの中心部上から外側に向かうNガスの気流が形成される。
【0126】
その状態で、洗浄ブラシ630がモータ635によって回転しながら基板Wの裏面に接触する。そして、洗浄ブラシ630が基板Wの中心部下方と周縁部下方との間で移動し、基板Wの裏面の全域に接触する。基板Wと洗浄ブラシ630との接触部分には、洗浄ノズル633から純水が供給される。これにより、基板Wの裏面の全体が洗浄ブラシ630により洗浄され、基板Wの裏面に付着する汚染物が取り除かれる。
【0127】
続いて、図12(a)に示すように、マグネットプレート614aが下方位置に配置され、マグネットプレート614bが上方位置に配置される。この場合、図12(a)および図12(b)に示すように、マグネットプレート614aの外方領域R1(図12(b)参照)においては各チャックピン615が閉状態となり、マグネットプレート614bの外方領域R2(図12(b)参照)においては各チャックピン615が開状態となる。すなわち、各チャックピン615の保持部615cは、マグネットプレート614aの外方領域R1を通過する際に基板Wの外周端部に接触した状態で維持され、マグネットプレート614bの外方領域R2を通過する際に基板Wの外周端部から離間する。
【0128】
したがって、マグネットプレート614bの外方領域R2において、基板Wの外周端部の下面側の部分を洗浄ブラシ630により洗浄することができる。
【0129】
なお、本例では、5つのチャックピン615のうちの少なくとも4つのチャックピン615がマグネットプレート614aの外方領域R1に位置する。この場合、各チャックピン615の保持部615cがマグネットプレート614bの外方領域R2を通過する際に基板Wの外周端部から離間しても、少なくとも4つのチャックピン615により基板Wが保持される。それにより、基板Wの安定性が確保される。
【0130】
裏面洗浄処理の終了後、マグネットプレート614a,615bが下方位置に配置され、全てのチャックピン615により基板Wが保持される。その状態で、スピンチャック600により基板Wが高速で回転する。それにより、基板Wに付着する純水が振り切られ、基板Wが乾燥する。
【0131】
(7)実施の形態の効果
本実施の形態では、裏面洗浄処理ユニットBCにおいて露光処理前の基板Wに裏面洗浄処理が行われる。この場合、基板Wの表面に継続的にNガスが供給される状態で、基板Wの裏面が洗浄ブラシ630により洗浄される。それにより、基板Wの表面に液体が付着することを防止しつつ基板Wの裏面に付着する汚染物を確実に取り除くことができる。
【0132】
したがって、露光処理時に基板Wの裏面の凹凸に起因するデフォーカスが発生することを確実に防止することができる。また、基板Wの表面に形成されたレジスト膜に液体が付着することが防止され、レジスト膜の状態を正常に維持することができる。これらにより、基板Wの処理不良の発生を確実に防止することができる。
【0133】
また、裏面洗浄処理ユニットBCにおいては、基板Wを保持するスピンチャック600が基板Wの上方に位置する。そのため、基板Wの裏面を下方に向けたまま洗浄ブラシ630により基板Wの裏面の全域を洗浄することが可能である。したがって、基板Wの裏面が上方に向けられる場合と異なり、基板Wの裏面に供給された液体が重力で基板Wの表面側に流れ込むことがない。その結果、基板Wの表面に液体が付着することをより確実に防止することができる。また、基板Wを反転させるための反転機構を設ける必要がないので、基板処理装置500の大型化および高コスト化を抑制することができる。
【0134】
また、裏面洗浄処理ユニットBCにおいては、スピンモータ200の回転軸210内およびプレート支持部材510の内部に、流体供給管400のステンレス製のガイド管410が挿通されている。ガイド管410は、回転軸210の内周面との間にギャップGAが形成されるようにスピンモータ200を支持するモータ支持部材200sに支持されている。ステンレス製のガイド管410は、高い剛性を有するので、回転軸210が回転する場合においても、ガイド管410と回転軸210の内周面との間のギャップGAが一定に保たれる。それにより、ガイド管410が回転軸210に接触することが確実に防止される。
【0135】
また、ガイド管410がスピンモータ200に支持されているので、スピンモータ200が振動した場合でも、回転軸210とガイド管410との位置関係が保持される。それにより、ガイド管410が回転軸210に接触することがより確実に防止される。
【0136】
また、樹脂製の気体供給管420は可撓性を有するので、ガイド管410内に容易に挿入することができる。
【0137】
また、気体供給管420が挿入されたガイド管410をスピンモータ200に取り付けることにより流体供給管400を容易に裏面洗浄処理ユニットBCに組み付けることができる。
【0138】
具体的には、スピンモータ200がモータ支持部材200sにより支持され、ガイド管410の第1フランジFR1がモータ支持部材200sに固定される。それにより、ガイド管410が第1フランジFR1およびモータ支持部材200sを介してスピンモータ200に確実に固定される。また、ガイド管410の第1フランジFR1をモータ支持部材200sに取り付けることにより、流体供給管400をスピンモータ200に容易に固定することができる。したがって、裏面洗浄処理ユニットBCの製造がさらに容易となる。
【0139】
(7)変形例
(7−1)
上記実施の形態では、流体供給管400のガイド管410がステンレス鋼により形成される旨を説明したが、ガイド管410を形成する材料としては、ステンレス鋼の他、鉄、銅、青銅、黄銅、アルミニウム、銀、または金等の強靭な金属材料を用いることができる。
【0140】
また、気体供給管420がフッ素樹脂により形成される旨を説明したが、気体供給管420を形成する材料としては、フッ素樹脂の他PVC(ポリ塩化ビニル)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)またはPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフレキシブル性を有する樹脂材料を用いることもできる。
【0141】
(7−2)
裏面洗浄処理ユニットBCにおいて、遮断板525を設けずに、スピンプレート520と基板Wと近接させてその間の空間にNガスを供給してもよい。
【0142】
(7−3)
裏面洗浄処理ユニットBC、塗布ユニットBARC,RES、現像処理ユニットDEV、加熱ユニットHP、冷却ユニットCPおよび載置兼冷却ユニットP−CPの個数は、各処理ブロックの処理速度に合わせて適宜変更してもよい。
【0143】
(7−4)
また、上記実施の形態では、裏面洗浄処理ユニットBCがインターフェースブロック15内に配置されるが、裏面洗浄処理ユニットBCが図1に示す現像処理ブロック12内に配置されてもよい。あるいは、裏面洗浄処理ユニットBCを含む裏面洗浄処理ブロックを図1に示す現像処理ブロック12とインターフェースブロック15との間に設けてもよい。
【0144】
(8)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0145】
上記実施の形態では、裏面洗浄処理ユニットBCが基板洗浄装置の例であり、スピンチャック600が基板回転保持装置の例であり、流体供給管400が気体供給手段の例であり、裏面洗浄ブラシ630が洗浄具の例であり、洗浄ノズル633が洗浄液供給手段の例であり、スピンプレート520が回転部材の例であり、スピンモータ200および回転軸210が回転駆動機構の例であり、保持部615cが保持部材の例であり、ガイド管410が外管の例であり、気体供給管420が内管の例であり、モータ支持部材200sが支持部材の例であり、第1フランジFR1がフランジ部の例である。
【0146】
また、インデクサブロック9、反射防止膜用処理ブロック10、レジスト膜用処理ブロック11および現像処理ブロック12が処理部の例であり、インターフェースブロック15が受け渡し部の例であり、塗布ユニットRESが感光性膜形成ユニットの例である。
【0147】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、種々の基板の処理に有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の平面図である。
【図2】図1の基板処理装置の一方の側面図である。
【図3】図1の基板処理装置の他方の側面図である。
【図4】インターフェースブロックを露光装置側から見た概略側面図である。
【図5】裏面洗浄処理ユニットの構成を示す側面図である。
【図6】裏面洗浄処理ユニットの構成を示す概略平面図である。
【図7】主として図5の流体供給管の構造を示す縦断面図である。
【図8】(a)は図5の流体供給管の先端部近傍の構造を示す拡大縦断面図であり、(b)は図8(a)の矢印YAから見た流体供給管の先端部の平面図である。
【図9】スピンチャックによる基板の保持動作を説明するための図である。
【図10】スピンチャックによる基板の保持動作を説明するための図である。
【図11】基板の裏面洗浄処理について説明するための側面図である。
【図12】基板の裏面洗浄処理について説明するための側面図および平面図である。
【符号の説明】
【0150】
9 インデクサブロック
10 反射防止膜用処理ブロック
11 レジスト膜用処理ブロック
12 現像処理ブロック
15 インターフェースブロック
16 露光装置
200 スピンモータ
210 回転軸
400 流体供給管
410 ガイド管
420 気体供給管
500 基板処理装置
520 スピンプレート
600 スピンチャック
615 チャックピン
615c 保持部
630 裏面洗浄ブラシ
633 洗浄ノズル
BARC,RES 塗布ユニット
BC 裏面洗浄処理ユニット
CR1〜CR4 第1〜第4のセンターロボット
DEV 現像処理ユニット
IFR インターフェース用搬送機構
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の下面を洗浄する基板洗浄装置であって、
基板を略水平に保持しつつ回転させる基板回転保持装置と、
前記基板回転保持装置により保持される基板の上面に気体を供給する気体供給手段と、
前記基板回転保持装置により保持される基板の下面を洗浄するための洗浄具と、
前記基板回転保持装置により保持される基板の下面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段とを備え、
前記基板回転保持装置は、
略鉛直方向に沿う回転軸線の周りで回転可能に設けられた回転部材と、
前記回転部材の上側に設けられ、前記回転部材を回転させる回転駆動機構と、
前記回転部材の下側に設けられ、前記回転部材の下側に配置される基板の外周端部に当接することにより基板を保持する保持部材とを含むことを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
前記基板回転保持装置は、
前記保持部材により保持される基板の上面に対向するように前記回転部材の下側に設けられた遮断板をさらに含み、
前記気体供給手段は、前記遮断板と基板との間に気体を供給することを特徴とする請求項1記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記回転駆動機構は、鉛直方向に延びる中空の回転軸を有し、
前記回転部材は、中央部に開口を有するとともに前記回転軸と一体的に回転するように前記回転軸に取り付けられ、
前記気体供給手段は、
前記回転駆動機構の前記回転軸内および前記回転部材の前記開口に挿通され、前記回転軸の内周面との間に一定の隙間を形成するように前記回転駆動機構に支持された金属製の外管と、
前記外管内に挿入されるとともに基板の前記上面に対向する端部に吐出口を有し、前記吐出口から基板に気体を供給する樹脂製の内管とを含むことを特徴とする請求項1または2記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記回転軸が鉛直方向に延びるように前記回転駆動機構を支持する支持部材をさらに備え、
前記外管はフランジ部を有し、前記フランジ部が前記支持部材に固定されたことを特徴とする請求項3記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
露光装置に隣接するように配置され、表面および裏面を有する基板に処理を行う基板処理装置であって、
基板に処理を行うための処理部と、
前記処理部と前記露光装置との間で基板の受け渡しを行うための受け渡し部とを備え、
前記処理部は、基板の前記表面に感光性材料からなる感光性膜を形成する感光性膜形成ユニットを含み、
前記処理部および前記受け渡し部の少なくとも一方は、
前記露光装置による露光処理前に基板の前記裏面を洗浄する基板洗浄装置を含み、
前記基板洗浄装置は、
前記表面を上方に向けて基板を略水平に保持しつつ回転させる基板回転保持装置と、
前記基板回転保持装置により保持される基板の表面に気体を供給する気体供給手段と、
前記基板回転保持装置により保持される基板の裏面を洗浄するための洗浄具と、
前記基板回転保持装置により保持される基板の前記裏面に洗浄液を供給する洗浄液供給手段とを備え、
前記基板回転保持装置は、
略鉛直方向に沿う回転軸線の周りで回転可能に設けられた回転部材と、
前記回転部材の上側に設けられ、前記回転部材を回転させる回転駆動機構と、
前記回転部材の下側に設けられ、前記回転部材の下側に配置される基板の外周端部に当接することにより基板を保持する保持部材とを含むことを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−260033(P2009−260033A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107167(P2008−107167)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(506322684)株式会社SOKUDO (158)
【Fターム(参考)】