説明

基板液処理装置

【課題】鉛直方向の省スペース化が実現できる基板液処理装置のミスト回収機構を提供すること。
【解決手段】ミスト案内カップの周縁端領域の上方に設けられた液体案内上部カップと、ミスト案内カップの周縁端領域に対してその下方から上方まで鉛直方向に移動可能に設けられた液体案内中央カップと、ミスト案内カップの周縁端領域に対してその下方から上方まで鉛直方向に移動可能に設けられた液体案内下部カップと、を備える。各カップの鉛直方向位置は、3つの回収状態を選択的に実現できるように制御される。各回収状態で回収される液体は、第一ドレイン用タンク乃至第三ドレイン用タンクにそれぞれ案内されるようになっている。第一ドレイン用タンク乃至第三ドレイン用タンクは、径方向に並ぶように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液を用いて被処理体を枚葉式に処理する基板液処理装置に関する。特には、基板液処理装置において、被処理体に供給した液を回収するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製品の製造プロセスやフラットパネルディスプレー(FPD)の製造プロセスにおいては、被処理基板である半導体ウエハやガラス基板に処理液を供給して液処理を行うプロセスが多用されている。このようなプロセスとして、例えば、基板に付着したパーティクルやコンタミネーション等を除去する洗浄処理などがある。
【0003】
このような液処理を実施する液処理装置として、半導体ウエハ等の基板をスピンチャックに保持し、基板を回転させた状態でウエハの表面または表裏面に処理液を供給して処理を行う枚葉式の複数の処理ユニットが知られている。
【0004】
基板に供給された処理液は、回転する基板から振り切られて、基板載置台の周辺領域でミストとなって飛散する。このミストを回収する機構として、特許文献1に、薬液回収用カップとリンス液回収用カップとが開示されている。
【0005】
この従来の機構は、図7に示す通り、薬液回収用カップ115とリンス液回収用カップ116とが、中間カップ壁130によって分離されており、更に、当該中間カップ壁130がエアシリンダ132によって昇降自在である。
【0006】
エアシリンダ132が収縮して中間カップ壁130が下降位置にある時(図7の状態)、薬液回収用カップ115の開口115aが大きく開いてスピンチャック111上の基板Wの周縁に対向する。この状態で薬液処理が行われ、基板Wから振り切られた薬液(そのミストを含む)が、薬液回収用カップ115に回収される。
【0007】
一方、エアシリンダ132が伸張して中間カップ壁130が上昇位置にある時、リンス液回収用カップ116の開口116aが大きく開いてスピンチャック111上の基板Wの周縁に対向する。この状態でリンス液処理が行われ、基板Wから振り切られたリンス液(そのミストを含む)が、リンス液回収用カップ116に回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−183010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図7を用いて説明したミスト回収機構では、各カップ構造内でミストが液化して、当該液体が当該カップ構造内において一時的に貯留されるという構成であるため、一旦液化した液体が回転する部材に伴う気流によって再びミスト化しやすいという問題もあった。
【0010】
本発明は、このような事情に基づいて行われたものであり、その目的は、一旦液化した液体が再びミスト化することが抑制されるような、基板液処理装置、特には、基板液処理装置におけるミスト回収機構、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基板を保持する載置台と、前記載置台を回転させる回転駆動部と、前記載置台に載置される基板に液体を供給する液体供給部と、前記載置台に載置されて回転する基板から飛散する液体を下方へ案内する液体案内カップと、前記液体案内カップの下部に、当該液体案内カップから離間して設けられたドレイン用タンクと、を備えたことを特徴とする基板液処理装置である。
【0012】
本発明によれば、液体案内カップの下方領域が開放されていることにより、液体案内カップに液体が溜まることがなく、回収液体を貯留するタンクは液体案内カップから離間した領域に設けることができるため、一旦液化した液体が再びミスト化することが抑制される。
【0013】
好ましくは、前記液体案内カップとして、上から順に、液体案内上部カップと、液体案内中央カップと、液体案内下部カップと、の3つの液体案内カップが設けられており、液体案内上部カップと液体案内中央カップとの間の間隔、及び/または、液体案内中央カップと液体案内下部カップとの間の間隔が変化するようになっており、前記液体案内上部カップと前記液体案内中央カップとの間を介して液体を回収する第一回収状態と、前記液体案内中央カップと前記液体案内下部カップとの間を介して液体を回収する第二回収状態と、前記液体案内下部カップの下方を介して液体を回収する第三回収状態と、を選択的に実現できるように、前記液体案内中央カップの鉛直方向の位置及び前記液体案内下部カップの鉛直方向の位置が制御されるようになっており、第一回収状態で回収される液体は、前記液体案内上部カップ、前記液体案内中央カップ及び前記液体案内下部カップの下方の外周側領域に設けられた第一ドレイン用タンクに案内されるようになっており、第三回収状態で回収される液体は、前記液体案内上部カップ、前記液体案内中央カップ及び前記液体案内下部カップの下方の内周側領域に設けられた第三ドレイン用タンクに案内されるようになっており、第二回収状態で回収される液体は、径方向に見て第一ドレイン用タンクと第三ドレイン用タンクとの間に設けられた第二ドレイン用タンクに案内されるようになっており、第一ドレイン用タンクと、第二ドレイン用タンクと、第三ドレイン用タンクとは、径方向に並ぶように配置されている。
【0014】
この場合、第一ドレイン用タンクと、第二ドレイン用タンクと、第三ドレイン用タンクとが、径方向に並ぶように配置されていて、鉛直方向には重ならない配置関係であるため、鉛直方向の省スペース化が実現できる。
【0015】
好ましくは、第一ドレイン用タンクと、第二ドレイン用タンクと、第三ドレイン用タンクとは、径方向に連続するように配置されている。
【0016】
また、好ましくは、第一ドレイン用タンクと第二ドレイン用タンクとの間の隔壁の高さは、第二ドレイン用タンクと第三ドレイン用タンクとの間の隔壁の高さよりも、低くなっている。この場合、各カップ構造の設計自由度がより一層向上される。
【0017】
実際の液処理では、第一ドレイン用タンクにおいて有機液体を回収し、第二ドレイン用タンクにおいて酸性液体を回収し、第三ドレイン用タンクにおいてアルカリ性液体を回収することが好ましい。
【0018】
更に、第三ドレイン用タンクの更に内周側の領域に、排気系が設けられており、前記排気系の下流側には、酸性排気/アルカリ性排気/有機排気を切り換える切換部が設けられていることが好ましい。
【0019】
更に、前記液体案内中央カップの底部には、第一ドレイン用タンクと第二ドレイン用タンクとの間の隔壁の上部を覆って、当該隔壁から所定距離だけ離れた位置に液体を案内する棚部が設けられていることが好ましい。ここで、棚部の上面は、内周側が低い傾斜面(テーパ面)になっていることが好ましい。
【0020】
更に、前記液体案内下部カップの底部には、第二ドレイン用タンクと第三ドレイン用タンクとの間の隔壁の上部を覆って、当該隔壁から所定距離だけ離れた位置に液体を案内する棚部が設けられていることが好ましい。ここで、棚部の上面は、内周側が低い傾斜面(テーパ面)になっていることが好ましい。
【0021】
また、本発明は、基板を保持する載置台と、前記載置台を回転させる回転駆動部と、前記載置台に載置される基板に液体を供給する液体供給部と、前記載置台に載置されて回転する基板から飛散する液体を下方へ案内する液体案内カップと、前記液体案内カップの下部に、当該液体案内カップから離間して設けられたドレイン用タンクと、を備え、前記液体案内カップとして、上から順に、液体案内上部カップと、液体案内中央カップと、液体案内下部カップと、の3つの液体案内カップが設けられており、液体案内上部カップと液体案内中央カップとの間の間隔、及び/または、液体案内中央カップと液体案内下部カップとの間の間隔が変化するようになっており、前記液体案内上部カップと前記液体案内中央カップとの間を介して液体を回収する第一回収状態と、前記液体案内中央カップと前記液体案内下部カップとの間を介して液体を回収する第二回収状態と、前記液体案内下部カップの下方を介して液体を回収する第三回収状態と、を選択的に実現できるように、前記液体案内中央カップの鉛直方向の位置及び前記液体案内下部カップの鉛直方向の位置が制御されるようになっており、第一回収状態で回収される液体は、前記液体案内上部カップ、前記液体案内中央カップ及び前記液体案内下部カップの下方の外周側領域に設けられた第一ドレイン用タンクに案内されるようになっており、第三回収状態で回収される液体は、前記液体案内上部カップ、前記液体案内中央カップ及び前記液体案内下部カップの下方の内周側領域に設けられた第三ドレイン用タンクに案内されるようになっており、第二回収状態で回収される液体は、径方向に見て第一ドレイン用タンクと第三ドレイン用タンクとの間に設けられた第二ドレイン用タンクに案内されるようになっており、第一ドレイン用タンクと、第二ドレイン用タンクと、第三ドレイン用タンクとは、径方向に並ぶように配置されていることを特徴とする基板液処理装置を制御する制御方法であって、前記第一回収状態と、前記第二回収状態と、前記第三回収状態と、を選択的に実現できるように、前記液体案内中央カップの鉛直方向の位置及び前記液体案内下部カップの鉛直方向の位置を制御する工程を備えたことを特徴とする基板液処理装置の制御方法である。
【0022】
また、本発明の一態様による記録媒体は、基板液処理装置を制御する制御装置によって実行されるプログラムが記録された記録媒体であって、前記プログラムが前記制御装置によって実行されることにより、前述した制御方法を基板液処理装置に実施させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態による液処理装置の第一回収状態を概略的に示す構成断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態による液処理装置の第二回収状態を概略的に示す構成断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施の形態による液処理装置の第三回収状態を概略的に示す構成断面図である。
【図4】図4は、図1に対応する第一回収状態の詳細を示す断面図である。
【図5】図5は、図2に対応する第二回収状態の詳細を示す断面図である。
【図6】図6は、図3に対応する第三回収状態の詳細を示す断面図である。
【図7】図7は、従来の液処理装置を概略的に示す構成断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本発明は、典型的には、半導体ウエハ(被処理体の一例)の洗浄処理、とりわけ薬液を用いた処理(薬液処理)に適用できる。(もっとも、この適用に限定されるものではない。)
【0025】
図1に示すように、液処理装置10は、枚葉式の基板液処理装置であって、枚葉式に基板が搬入出されて処理される基板処理室11を有している。基板処理室11には、例えば半導体ウエハのような基板が載置される載置台12が設けられている。載置台12は、回転モータ(回転駆動部の一例)13によって水平面内で回転されるようになっている、
また、基板処理室11には、各種の処理液を基板の上面に対して供給するノズル(液体供給部の一例)14が設けられている。ノズル14は、例えば選択的に、各種の処理液の供給源(不図示)に接続されるようになっている。そして、載置台12の周辺には、飛散する処理液やそのミストを案内するためのミスト案内カップ15が設けられている。ミスト案内カップ15は、大まかにはリング状の部材であるが、上方開口端の径より下方開口端の径の方が大きくなっており、その断面は上に凸の曲線となっている。
【0026】
そして、本実施の形態では、ミスト案内カップ15の周縁端領域の上方に、液体案内上部カップ21のミスト案内カップ15側の端縁(内周側の端縁)が設けられている。液体案内上部カップ21は、大まかには、切頭円錐形状の傾斜部と、当該傾斜部の外周側端から下方に延びる鉛直部と、を有している。
【0027】
また、ミスト案内カップ15側の端縁が当該ミスト案内カップ15の周縁端領域に対してその下方から上方まで鉛直方向に移動可能に、液体案内中央カップ22が設けられている。液体案内中央カップ22には、これを昇降させるための昇降シリンダ25が接続されている(もっとも、液体案内中央カップ22を昇降させるための駆動機構は、昇降シリンダ25に限定されない)。液体案内中央カップ22も、大まかには、切頭円錐形状の傾斜部と、当該傾斜部の外周端から下方に延びる鉛直部と、を有している。
【0028】
そして更に、ミスト案内カップ15側の端縁が当該ミスト案内カップ15の周縁端領域に対してその下方から上方まで鉛直方向に移動可能に、液体案内下部カップ23が設けられている。液体案内下部カップ23も、大まかには、切頭円錐形状の傾斜部と、当該傾斜部の外周側端から下方に延びる鉛直部と、を有している。
【0029】
図1の状態では、液体案内中央カップ22が昇降シリンダ25によって最も低い位置に位置決めされている。この状態は、後に詳述する図4の状態に対応している。この状態で、液体案内上部カップ21は、基板処理室11に設けられた支持突部29s(図4参照)によって下方から支持されており、すなわち、液体案内中央カップ22によっては支持されていない状態にある。また、液体案内下部カップ23も、載置台12と一体に固定された部材28に形成された支持突部28sによって下方から支持されており、すなわち、液体案内中央カップ22によっては支持されていない状態にある。
【0030】
本実施の形態では、液体案内上部カップ21をも、鉛直方向に移動可能となっている。具体的には、液体案内上部カップ21は、その外周壁に外側フランジ21aを有しており、液体案内中央カップ22は、液体案内上部カップ21の外側フランジ21aを下方から支持可能な外周側当接部22aを有しており、液体案内中央カップ22の外周側当接部22aが液体案内上部カップ21の外側フランジ21aを下方から支持した状態においては、液体案内中央カップ22が昇降シリンダ25によって鉛直方向に移動する時、液体案内上部カップ21も同様に鉛直方向に移動するようになっている。
【0031】
すなわち、液体案内中央カップ21は、その鉛直方向移動の一部において、液体案内上部カップ21からは独立に鉛直方向に移動する一方、他の一部において、液体案内上部カップ21と共に鉛直方向に移動するようになっている。
【0032】
このような構成を採用することにより、液体案内中央カップ22を昇降させる昇降シリンダ25の動力によって、液体案内上部カップ21の昇降をも実現することができる。すなわち、駆動系の構造が簡便である。
【0033】
もっとも、外側フランジ21aと外周側当接部22aとの当接を利用する態様は、単なる一例に過ぎない。液体案内上部カップ21の任意の部位と液体案内中央カップ22の任意の部位とを適宜に選択ないし形成して、それらの当接を適宜に利用することができる。あるいは、液体案内上部カップ21を昇降させる駆動機構を、昇降シリンダ25とは別個に設けてもよい。
【0034】
また、液体案内下部カップ23は、その外周壁に外側フランジ23bを有しており、液体案内中央カップ22は、液体案内下部カップ23の外側フランジ23bを下方から支持可能な内周側当接部22bを有しており、液体案内中央カップ22の内周側当接部22bが液体案内下部カップ23の外側フランジ23bを下方から支持した状態においては、液体案内中央カップ22が昇降シリンダ25によって鉛直方向に移動する時、液体案内下部カップ23も同様に鉛直方向に移動するようになっている。
【0035】
すなわち、液体案内中央カップ22は、その鉛直方向移動の一部において、液体案内下部カップ23からは独立に鉛直方向に移動する一方、他の一部において、液体案内下部カップ23と共に鉛直方向に移動するようになっている。
【0036】
このような構成を採用することにより、液体案内中央カップ22を昇降させる昇降シリンダ25の動力によって、液体案内下部カップ23の昇降をも実現することができる。すなわち、駆動系の構造が簡便である。
【0037】
もっとも、外側フランジ23bと内周側当接部22bとの当接を利用する態様は、単なる一例に過ぎない。液体案内下部カップ23の任意の部位と液体案内中央カップ22の任意の部位とを適宜に選択ないし形成して、それらの当接を適宜に利用することができる。あるいは、液体案内下部カップ23を昇降させる駆動機構を、昇降シリンダ25とは別個に設けてもよい。
【0038】
なお、内周側当接部22bは、液体案内のための棚部としても機能する。図4に示すように、当該棚部22bは、内周側が低い傾斜面(テーパ面)になっている。
【0039】
また、液体案内下部カップ23の底部にも、液体案内のための棚部が設けられている。図4に示すように、当該棚部も、内周側が低い傾斜面(テーパ面)になっている。
【0040】
以上のような構成において、液体案内上部カップ21の鉛直方向の位置と、液体案内中央カップ22の鉛直方向の位置と、前記液体案内下部カップ23の鉛直方向の位置とは、次の3つの回収状態を実現するように制御される。
【0041】
すなわち、液体案内中央カップ22のミスト案内カップ15側の端縁と液体案内下部カップ23のミスト案内カップ15側の端縁とがミスト案内カップ15の周縁端領域に対する下方に位置決めされて、液体案内上部カップ21と液体案内中央カップ22との間を介して液体を回収する第一回収状態(図1)と、液体案内中央カップ22のミスト案内カップ15側の端縁がミスト案内カップ15の周縁端領域に対する上方に位置決めされ、且つ、液体案内下部カップ23のミスト案内カップ15側の端縁がミスト案内カップ15の周縁端領域に対する下方に位置決めされて、液体案内中央カップ22と液体案内下部カップ23との間を介して液体を回収する第二回収状態(図2)と、液体案内中央カップ22のミスト案内カップ15側の端縁と液体案内下部カップ23のミスト案内カップ15側の端縁とがミスト案内カップ15の周縁端領域に対する上方に位置決めされて、液体案内下部カップ23の下方を介して液体を回収する第三回収状態(図3)と、を実現するように制御される。
【0042】
そして、第一回収状態で回収される液体は、液体案内上部カップ21、液体案内中央カップ22及び液体案内下部カップ23の下方領域の外周側領域に設けられた第一ドレイン用タンク31に案内されるようになっている(図1)。
【0043】
また、第三回収状態で回収される液体は、液体案内上部カップ21、液体案内中央カップ22及び液体案内下部カップ23の下方領域の内周側領域に設けられた第三ドレイン用タンク33に案内されるようになっている(図3)。
【0044】
そして、第二回収状態で回収される液体は、径方向に見て第一ドレイン用タンク31と第三ドレイン用タンク33との間に設けられた第二ドレイン用タンク32に案内されるようになっている(図2)。
【0045】
図1乃至図3に示すように、第一ドレイン用タンク31と、第二ドレイン用タンク32と、第三ドレイン用タンク33とは、径方向に連続するように配置されている。
【0046】
本実施の形態では、更に第三ドレイン用タンク33の内径側に、第四ドレイン用タンク34が設けられている。そして、第四ドレイン用タンク34の更に内径側の領域は、気体を逃がす気体用経路となっている。
【0047】
次に、第一回収状態乃至第三回収状態について、それぞれ図4乃至図6を用いて、詳細に説明する。図4は、図1の第一回収状態の詳細を示す断面図である。この第一回収状態では、図4に示すように、液体案内上部カップ21の外側フランジ21aが支持突部29sによって支持されて、液体案内上部カップ21のミスト案内カップ15側の端縁がミスト案内カップ15の周縁端領域に対する上方に位置決めされる一方、液体案内中央カップ22のミスト案内カップ15側の端縁と液体案内下部カップ23のミスト案内カップ15側の端縁とがミスト案内カップ15の周縁端領域に対する下方に位置決めされている。これにより、液体案内上部カップ21と液体案内中央カップ22との間を介して液体(及びそのミスト)が回収される。
【0048】
詳細には、液体(及びそのミスト)は、液体案内上部カップ21の傾斜部と液体案内中央カップ22の傾斜部との間を通って、更に液体案内中央カップ22の鉛直部の外周側領域を通って、第一ドレイン用タンク31に至る。液体案内中央カップ22の鉛直部の外周側領域において液体(及びそのミスト)の流路を確保するために、液体案内中央カップ22の鉛直部と外周側当接部22aとは、周方向に所定間隔をあけて数カ所のみで接続されている。
【0049】
また、第一回収状態においては、前述の通り、液体案内中央カップ22が昇降シリンダ25によって最も低い位置に位置決めされている。従って、そのような低位置にある液体案内中央カップ22と干渉することが無いように、第一ドレイン用タンク31の内周側隔壁の高さは低く形成されている。
【0050】
また、第一回収状態においては、前述の通り、液体案内下部カップ23が載置台12と一体に固定された部材28に形成された支持突部28sによって下方から支持されている。そして、液体案内中央カップ22の傾斜部が液体案内下部カップ23の傾斜部と重なっている、すなわち、液体案内中央カップ22と液体案内下部カップ23との間隔が最小化されている。これにより、鉛直方向の省スペースが実現されている。すなわち、液体案内下部カップ23の鉛直部が、下方領域に設けられたドレイン用タンクと干渉することが回避されている。
【0051】
また、この状態での液体案内中央カップ22の位置決めは、その傾斜部が重力によって液体案内下部カップ23の傾斜部に支持されることでなされてもよいし、昇降シリンダ25の制御によってなされてもよい。
【0052】
次に、図5は、図2の第二回収状態の詳細を示す断面図である。この第二回収状態では、液体案内中央カップ22のミスト案内カップ15側の端縁がミスト案内カップ15の周縁端領域に対する上方に位置決めされ、且つ、液体案内下部カップ23のミスト案内カップ15側の端縁がミスト案内カップ15の周縁端領域に対する下方に位置決めされている。これにより、液体案内中央カップ22と液体案内下部カップ23との間を介して液体(及びそのミスト)が回収される。
【0053】
詳細には、液体(及びそのミスト)は、液体案内中央カップ22の傾斜部と液体案内下部カップ23の傾斜部との間を通って、更に液体案内下部カップ23の鉛直部の外周側領域を通って、第二ドレイン用タンク32に至る。液体案内下部カップ23の鉛直部の外周側領域に外側フランジ23bが設けられていることにより、ミストの液化が促進される。ここで、液体案内中央カップ22の内周側当接部22bは、内周側に突出するリング状の部位として形成されているが、当該内周側当接部22bの存在によってもミストの液化が促進される。
【0054】
第二回収状態においては、図5に示すように、液体案内上部カップ21の外側フランジ21aが液体案内中央カップ22の外周側当接部22aを介して押し上げられて、液体案内上部カップ21は液体案内中央カップ22によって支持されている。そして、液体案内中央カップ22の傾斜部が液体案内上部カップ21の傾斜部と重なっている、すなわち、液体案内中央カップ22と液体案内上部カップ21との間隔が最小化されている。これにより、鉛直方向の省スペースが実現されている。
【0055】
この状態での液体案内中央カップ22の位置決めは、昇降シリンダ25の制御によってなされる。なお、液体案内下部カップ23の位置は、第一回収状態と同じである。
【0056】
次に、図6は、図3の第三回収状態の詳細を示す断面図である。この第三回収状態では、液体案内下部カップ23のミスト案内カップ15側の端縁をもミスト案内カップ15の周縁端領域に対する上方に位置決めされている。これにより、液体案内下部カップ23の下方を介して液体(及びそのミスト)が回収される。
【0057】
詳細には、液体(及びそのミスト)は、液体案内下部カップ23の傾斜部の下方を通って、更に液体案内下部カップ23の鉛直部の内周側領域を通って、第三ドレイン用タンク33に至る。図6に示すように、液体案内下部カップ23の鉛直部の下端に、内周側に突出するリング状の部位を形成しておくと、当該部位によってミストの液化が促進される。
【0058】
第三回収状態においても、図6に示すように、液体案内上部カップ21の外側フランジ21aが液体案内中央カップ22の外周側当接部22aを介して押し上げられて、液体案内上部カップ21は液体案内中央カップ22によって支持されている。そして、液体案内中央カップ22の傾斜部が液体案内上部カップ21の傾斜部と重なっている、すなわち、液体案内中央カップ22と液体案内上部カップ21との間隔が最小化されている。これにより、鉛直方向の省スペースが実現されている。
【0059】
そして更に、第三回収状態においては、図6に示すように、液体案内下部カップ21の外側フランジ23bが液体案内中央カップ22の内周側当接部22bを介して押し上げられて、液体案内下部カップ23は液体案内中央カップ22によって支持されている。この時、液体案内中央カップ22の傾斜部と液体案内下部カップ23の傾斜部との間隔は、第一回収状態(図2)の時の間隔よりも大きいが、液体案内中央カップ22と液体案内上部カップ21との間隔が最小化されていることの効果が大きいため、全体としては鉛直方向の省スペースが実現されている。
【0060】
この状態での液体案内中央カップ22の位置決めは、昇降シリンダ25の制御によってなされる。
【0061】
特に有機液体は揮発性が高いので、他のカップへ雰囲気が行かない為には、第一回収状態で処理を行うことが好ましい。
【0062】
実際の液処理では、第一ドレイン用タンク31において有機液体を回収し、第二ドレイン用タンク32において酸性液体を回収し、第三ドレイン用タンク33においてアルカリ性液体を回収することが好ましい。第四ドレイン用タンク34は、例えば、載置台12の回転が低速である時に、各種液体を混在状態で回収するために利用され得る。
【0063】
以上のような本実施の形態によれば、第三回収状態における液体案内中央カップ22と液体案内上部カップ21との間の間隔が、第一回収状態におけるそれよりも短い。従って、鉛直方向の省スペース化が実現されている。また、液体案内中央カップ22と液体案内上部カップ21との間の間隔、及び、液体案内中央カップ22と液体案内下部カップ23との間の間隔が可変であることにより、各カップの下方領域を有効活用することが容易であり、回収した液体を一時的に貯留するタンク31〜34を当該下方領域に設けることができる。このような配置関係を採用することにより、一旦液化した液体が再びミスト化することが抑制される。また、このような配置関係を採用することにより、各タンクへの液体案内ドレイン管の接続も容易となる。さらに、基板から振り切られてくる気体を逃がす経路も容易に設計することができる。
【0064】
また、前述した通り、第一ドレイン用タンク31の内周側の隔壁、すなわち、第一ドレイン用タンク31と第二ドレイン用タンク32との間の隔壁の高さが、第二ドレイン用タンク32と第三ドレイン用タンク33との間の隔壁の高さよりも、低くなっている。これにより、各カップ構造の設計自由度が向上される。
【0065】
なお、本実施の形態では、第三回収状態における液体案内中央カップ22と液体案内上部カップ21との間の間隔が、第一回収状態におけるそれよりも短くなっているが、これに代えて(あるいは、これに加えて)、第三回収状態における液体案内中央カップ22と液体案内下部カップ23との間の間隔を、第二回収状態におけるそれよりも短くする態様も採用可能である。そのような態様においても、前記実施の形態と略同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0066】
10 基板液処理装置
11 基板処理室
12 載置台
13 回転モータ(回転駆動部の一例)
14 ノズル(液体供給部の一例)
15 ミスト案内カップ
21 液体案内上部カップ
21a 外側フランジ
22 液体案内中央カップ
22a 外周側当接部
22b 内周側当接部
23 液体案内下部カップ
23b 外側フランジ
25 昇降シリンダ
28 載置台と一体に固定された部材
28s 支持突部
29s 支持突部
31 第一ドレイン用タンク
32 第二ドレイン用タンク
33 第三ドレイン用タンク
34 第四ドレイン用タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する載置台と、
前記載置台を回転させる回転駆動部と、
前記載置台に載置される基板に液体を供給する液体供給部と、
前記載置台に載置されて回転する基板から飛散する液体を下方へ案内する液体案内カップと、
前記液体案内カップの下部に、当該液体案内カップから離間して設けられたドレイン用タンクと、
を備えたことを特徴とする基板液処理装置。
【請求項2】
前記液体案内カップとして、上から順に、液体案内上部カップと、液体案内中央カップと、液体案内下部カップと、の3つの液体案内カップが設けられており、
液体案内上部カップと液体案内中央カップとの間の間隔、及び/または、液体案内中央カップと液体案内下部カップとの間の間隔が変化するようになっており、
前記液体案内上部カップと前記液体案内中央カップとの間を介して液体を回収する第一回収状態と、前記液体案内中央カップと前記液体案内下部カップとの間を介して液体を回収する第二回収状態と、前記液体案内下部カップの下方を介して液体を回収する第三回収状態と、を選択的に実現できるように、前記液体案内中央カップの鉛直方向の位置及び前記液体案内下部カップの鉛直方向の位置が制御されるようになっており、
第一回収状態で回収される液体は、前記液体案内上部カップ、前記液体案内中央カップ及び前記液体案内下部カップの下方の外周側領域に設けられた第一ドレイン用タンクに案内されるようになっており、
第三回収状態で回収される液体は、前記液体案内上部カップ、前記液体案内中央カップ及び前記液体案内下部カップの下方の内周側領域に設けられた第三ドレイン用タンクに案内されるようになっており、
第二回収状態で回収される液体は、径方向に見て第一ドレイン用タンクと第三ドレイン用タンクとの間に設けられた第二ドレイン用タンクに案内されるようになっており、
第一ドレイン用タンクと、第二ドレイン用タンクと、第三ドレイン用タンクとは、径方向に並ぶように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の基板液処理装置。
【請求項3】
第一ドレイン用タンクと、第二ドレイン用タンクと、第三ドレイン用タンクとは、径方向に連続するように配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の基板液処理装置。
【請求項4】
第一ドレイン用タンクと第二ドレイン用タンクとの間の隔壁の高さは、第二ドレイン用タンクと第三ドレイン用タンクとの間の隔壁の高さよりも、低くなっている
ことを特徴とする請求項2たは3に記載の基板液処理装置。
【請求項5】
第一ドレイン用タンクには、有機液体が回収され、
第二ドレイン用タンクには、酸性液体が回収され、
第三ドレイン用タンクには、アルカリ性液体が回収されるようになっている
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の基板液処理装置。
【請求項6】
第三ドレイン用タンクの更に内周側の領域に、排気系が設けられており、
前記排気系の下流側には、酸性排気/アルカリ性排気/有機排気を切り換える切換部が設けられている
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の基板液処理装置。
【請求項7】
前記液体案内中央カップの底部には、第一ドレイン用タンクと第二ドレイン用タンクとの間の隔壁の上部を覆って、当該隔壁から所定距離だけ離れた位置に液体を案内する棚部が設けられている
ことを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の基板液処理装置。
【請求項8】
前記液体案内下部カップの底部には、第二ドレイン用タンクと第三ドレイン用タンクとの間の隔壁の上部を覆って、当該隔壁から所定距離だけ離れた位置に液体を案内する棚部が設けられている
ことを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の基板液処理装置。
【請求項9】
基板を保持する載置台と、
前記載置台を回転させる回転駆動部と、
前記載置台に載置される基板に液体を供給する液体供給部と、
前記載置台に載置されて回転する基板から飛散する液体を下方へ案内する液体案内カップと、
前記液体案内カップの下部に、当該液体案内カップから離間して設けられたドレイン用タンクと、
を備え、
前記液体案内カップとして、上から順に、液体案内上部カップと、液体案内中央カップと、液体案内下部カップと、の3つの液体案内カップが設けられており、
液体案内上部カップと液体案内中央カップとの間の間隔、及び/または、液体案内中央カップと液体案内下部カップとの間の間隔が変化するようになっており、
前記液体案内上部カップと前記液体案内中央カップとの間を介して液体を回収する第一回収状態と、前記液体案内中央カップと前記液体案内下部カップとの間を介して液体を回収する第二回収状態と、前記液体案内下部カップの下方を介して液体を回収する第三回収状態と、を選択的に実現できるように、前記液体案内中央カップの鉛直方向の位置及び前記液体案内下部カップの鉛直方向の位置が制御されるようになっており、
第一回収状態で回収される液体は、前記液体案内上部カップ、前記液体案内中央カップ及び前記液体案内下部カップの下方の外周側領域に設けられた第一ドレイン用タンクに案内されるようになっており、
第三回収状態で回収される液体は、前記液体案内上部カップ、前記液体案内中央カップ及び前記液体案内下部カップの下方の内周側領域に設けられた第三ドレイン用タンクに案内されるようになっており、
第二回収状態で回収される液体は、径方向に見て第一ドレイン用タンクと第三ドレイン用タンクとの間に設けられた第二ドレイン用タンクに案内されるようになっており、
第一ドレイン用タンクと、第二ドレイン用タンクと、第三ドレイン用タンクとは、径方向に並ぶように配置されている
ことを特徴とする基板液処理装置を制御する制御方法であって、。
前記第一回収状態と、前記第二回収状態と、前記第三回収状態と、を選択的に実現できるように、前記液体案内中央カップの鉛直方向の位置及び前記液体案内下部カップの鉛直方向の位置を制御する工程
を備えたことを特徴とする基板液処理装置の制御方法。
【請求項10】
基板液処理装置を制御する制御装置によって実行されるプログラムが記録された記録媒体であって、
前記プログラムが前記制御装置によって実行されることにより、請求項9に記載された制御方法を、基板液処理装置に実施させる、記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−254019(P2011−254019A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128172(P2010−128172)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】