説明

塗布処理装置および基板処理装置

【課題】基板のエッジ領域の膜厚が、内側領域の膜厚に比べて厚くなる膜厚の盛りあがり現象の発生を抑制できる技術を提供する。
【解決手段】スピンチャック41に保持された基板Wの側方周囲を取り囲む円環板状の部材であって、その外周とカップ43の内壁との間に排気手段と連通する平面視で円環状の微小間隙K1を形成するとともに、その内周と基板Wの端面との間に排気手段と連通する平面視で円環状の微小間隙K2を形成する部材(側方整流部材45)を設ける。被処理基板Wの周囲には、基板Wの表面から側方整流部材45の上面に沿って流れ、微小間隙K1を通って排気される気流AR1と、基板Wの表面に沿って流れ、微小間隙K2を通って排気される気流AR2とが形成される。その結果、基板Wのエッジ領域付近に形成される気流が安定し、膜厚の盛りあがりが生じにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板等(以下、単に「基板」と称する)に処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶ディスプレイなどの製品は、基板に対して一連の処理(例えば、洗浄、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、層間絶縁膜の形成、熱処理、ダイシングなどの一連の処理)を行うことによって製造される。
【0003】
この一連の処理の中には、基板に対して各種の処理液を塗布して基板表面に塗布膜を形成する処理工程(塗布処理工程)が含まれる。例えば、反射防止膜の塗布液(BARC液)を供給して反射防止膜を形成する処理工程、レジスト液を供給してレジスト膜を形成する処理工程、レジスト膜を保護するカバー膜の塗布液を供給してレジストカバー膜を形成する処理工程等がこれに相当する。ただし、レジストカバー膜を形成する処理工程は、特に、液浸法による露光処理を行う場合にレシピに組み込まれることが多い。液浸法とは、投影光学系と基板との間に、屈折率nが大気(n=1)よりも大きな液体(例えば、n=1.44の純水)を満たした状態とすることによって、基板表面における露光光を短波長化し、微細な露光パターンを形成することを可能とする露光方法である。この露光方法においては、露光時に基板の表面に直接液体が接触するため、基板上に形成されたレジスト膜の上層に、これを保護するカバー膜を形成することが望ましいとされるのである。
【0004】
塗布処理を行う方法として従来よりスピンコーティング法が採用されている。スピンコーティング法による塗布処理を実行する装置の構成は、例えば特許文献1に開示されている。スピンコーティング法による塗布処理では、基板を回転させることにより生じる遠心力によって処理液を基板の周縁に拡げて、基板表面に塗布膜を形成する。ここでは、処理液は遠心力を受けて基板の周縁に向けて拡がっていくが、一方で、処理液に含まれる溶剤が徐々に揮発していくため、時間が経つにつれて処理液は拡がりにくくなっていく。したがって、基板上に形成される塗布膜の厚みは、回転による遠心力と処理液に含まれる溶剤の揮発速度との両方から規定されることになり、基板の全面に亘って膜厚が均一な塗布膜を形成するには、これら両者のバランスが適正に保たれることが必要になってくる。
【0005】
しかしながら、基板のエッジ領域(基板の端縁から1〜2mmの環状領域)においてはこのバランスを適正に保つことが特に難しく、エッジ領域の膜厚が、内側領域(例えば、基板の端縁から3mmより内側の領域)の膜厚に比べて、5〜10Aだけ厚くなるという症状(膜厚の盛りあがり)が発生してしまう。
【0006】
パターンの微細化が進む近年においては、このエッジ領域の膜厚にまで均一性が求められるようになってきており、このエッジ領域の膜厚の盛りあがりを解消するための技術が必要とされている。そこで、この要求に応じるべく各種の技術が提案されている。
【0007】
例えば特許文献2では、基板の周縁部の雰囲気を排気する雰囲気採取口を基板の端面から遠い位置に形成することによって、エッジ領域の膜厚の盛りあがりを解消することが提案されている。雰囲気採取口が基板の端面に近い位置に形成されると、排気気流の影響を受けてエッジ領域の塗布膜が乾燥しやすくなり、その結果、膜厚が厚くなってしまうところ、雰囲気採取口を基板の端面から遠い位置に形成すれば、排気気流の影響が小さくなり、エッジ領域の膜厚の盛りあがりの低減が期待できる。
【0008】
また、例えば特許文献3、4には、基板の外周を囲うように配置された気流制御板を設けることによって、エッジ領域の膜厚の盛りあがりを解消する技術が提案されている。ここでは、エッジ領域付近に生じる他の表面部とは異なる特有の気流が膜厚の盛りあがり発生の原因であると考え、基板の表面に沿って流れる気流を気流制御板の表面に連続的に流通させることによってこのような特有の気流が形成されるのを回避してエッジ領域の膜厚の盛りあがりを低減しようとしている。
【0009】
【特許文献1】特開2002−361155号公報
【特許文献2】特開2004−207573号公報
【特許文献3】米国特許第6527860号明細書
【特許文献4】米国特許第6673151号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2に記載された技術によると、基板の周縁部の雰囲気を基板の側上方に形成される雰囲気採取口まで導くための部材(上リング)を設ける必要がある。ところが、この部材には基板処理の際に処理液の飛沫が少なからず付着することが予想されるため、これを高い頻度で洗浄する必要が生じ、実用性に乏しい。
【0011】
また、特許文献3,4に記載された技術においては、気流制御板の外縁が、回転する基板からの処理液の飛沫を受け止めるべく基板の周囲に設けられたカップの内壁面に固設されている。このように気流制御板の外縁が他の部材と接合されてしまうと、基板の表面から気流制御板の表面に沿って外側に向けて連続的に流れる気流をその外縁から排気することができない。そこで、特許文献3,4においては、気流制御板上に複数個の排気孔を形成し、この排気孔を通じて気流を排気する構成としている。ところが、このような非連続の排気孔を通じて排気を行う構成では、基板の周縁方向に沿った排気圧が一定でなくなるため、均一な排気を行うことができない。その結果、結局エッジ領域付近の気流の乱れを招くこととなり、エッジ領域の膜厚の盛りあがりの低減効果を十分に得ることが難しいと考えられる。
【0012】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、従来技術のような不都合を生じさせることなく、基板のエッジ領域の膜厚が内側領域の膜厚に比べて厚くなるというエッジ領域の膜厚の盛りあがり現象の発生を抑制できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、基板に処理液の塗布処理を行う塗布処理装置であって、基板を保持しつつ回転させる保持手段と、前記保持手段に保持された基板上に前記処理液を供給する処理液供給手段と、前記保持手段を取り囲むように設けられ、前記基板から周囲に飛散する処理液を回収する飛散防止カップと、前記飛散防止カップの下部に設けられ、前記飛散防止カップの内部空間を負圧にして前記基板の周囲の雰囲気を排気する排気手段と、前記基板の側方周囲を取り囲む円環板状の部材であって、その外周と前記飛散防止カップの内壁との間に前記排気手段と連通する平面視で円環状の微小間隙を形成するとともに、その内周と前記基板の端面との間に前記排気手段と連通する平面視で円環状の微小間隙を形成する側方整流部材と、を備える。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の塗布処理装置であって、前記基板および前記側方整流部材の下方に配置される円環板状の部材であって、その上面と、前記基板の裏面の周縁領域および前記側方整流部材の下面との間に微小空間を形成する下方整流部材、を備え、前記側方整流部材が、前記下方整流部材との間に前記排気手段と連通する連通開口を形成しつつ、前記下方整流部材に装着される。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2に記載の塗布処理装置であって、前記側方整流部材が、前記下方整流部材に対して着脱可能である。
【0016】
請求項4の発明は、請求項2または3に記載の塗布処理装置であって、前記下方整流部材が、複数の嵌合凹溝、を備え、前記側方整流部材が、それぞれが、前記複数の嵌合凹溝のそれぞれと嵌合する複数の嵌合爪、を備える。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の塗布処理装置であって、前記側方整流部材と前記基板との高さ関係を変更する高さ調整機構、を備える。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の塗布処理装置であって、前記側方整流部材が、その上面が外側に向けて下方に傾斜する形状である。
【0019】
請求項7の発明は、所定の外部装置に隣接して配置され、基板に対する一連の処理を行う基板処理装置であって、それぞれが基板に対する所定の処理を行う1以上の基板処理ユニットと、前記1以上の基板処理ユニットに所定の順序で基板を搬送していく主搬送機構とを備える処理部と、前記処理部と前記外部装置との間で基板を搬送する搬送機構と、を備え、前記1以上の基板処理ユニットの少なくとも1つが、基板を保持しつつ回転させる保持手段と、前記保持手段に保持された基板上に前記処理液を供給する処理液供給手段と、前記保持手段を取り囲むように設けられ、前記基板から周囲に飛散する処理液を回収する飛散防止カップと、前記飛散防止カップの下部に設けられ、前記飛散防止カップの内部空間を負圧にして前記基板の周囲の雰囲気を排気する排気手段と、前記基板の側方周囲を取り囲む円環板状の部材であって、その外周と前記飛散防止カップの内壁との間に前記排気手段と連通する平面視で円環状の微小間隙を形成するとともに、その内周と前記基板の端面との間に前記排気手段と連通する平面視で円環状の微小間隙を形成する側方整流部材と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
請求項1、7に記載の発明によると、保持手段に保持された基板の側方周囲を取り囲む円環板状の側方整流部材が設けられる。この側方整流部材の外周と飛散防止カップの内壁との間には排気手段と連通する平面視で円環状の微小間隙が形成され、その内周と基板の端面との間にも排気手段と連通する平面視で円環状の微小間隙が形成される。この構成によると、回転する基板の周囲には、基板の表面から側方整流部材の上面に沿って流れ、側方整流部材の外縁から飛散防止カップとの間に形成された微小間隙を通って下方に流れて排気される気流(第1の気流)と、基板の表面に沿って流れ、基板の外縁から側方整流部材との間に形成された微小間隙を通って下方に流れて排気される気流(第2の気流)とが形成される。これら2つの気流が形成される結果、基板のエッジ領域付近に形成される気流が安定し、エッジ領域の膜厚の盛りあがりを抑制できる。
【0021】
特に、側方整流部材の外周と飛散防止カップの内壁との間に形成される微小間隙は平面視で円環状であるので、側方整流部材の外周全体から第1の気流を排気することができる。また、側方整流部材の内周と基板の端面との間に形成される微小間隙も平面視で円環状であるので、基板の外周全体から第2の気流を排気することができる。したがって、基板の周縁方向に沿った排気圧が一定となり、基板のエッジ領域付近に形成される気流が非常に安定する。これによって、エッジ領域の膜厚の盛りあがりの抑制効果が高められる。
【0022】
請求項2に記載の発明によると、側方整流部材を下方整流部材に装着する。これによって側方整流部材と飛散防止カップとを離間して配置することが可能となり、簡易な構成で側方整流部材と飛散防止カップとの間に円環状の微小間隙を形成することができる。また、下方整流部材の上面と、基板の裏面の周縁領域および側方整流部材の下面との間に微小空間が形成されるので、上述した第2の気流が下方整流部材の上面に沿って外側に導かれ、連通開口を通って排気されることになる。これによって、第2の気流が基板の裏面側に巻き込まれて基板の裏面が汚染される、といった事態を防止することができる。
【0023】
請求項3,4に記載の発明によると、側方整流部材が下方整流部材に対して着脱可能であるので、側方整流部材のメンテナンスや部材交換を簡単に行うことができる。また、高さの異なる側方整流部材を取りそろえておけば、部材交換によって、側方整流部材と保持手段に保持された基板との高さ関係を変更することができる。したがって、処理条件等が変更された場合であっても、適切な高さの側方整流部材を選択して用いることによって、側方整流部材を基板に対して適正な高さ位置におくことができる。これによって、エッジ領域の膜厚の盛りあがりを適切に抑制することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によると、側方整流部材と保持手段に保持された基板との高さ関係を変更することができる。したがって、処理条件等が変更された場合であっても、側方整流部材の高さを調整することによって、これを基板に対して適正な高さ位置におくことができる。これによって、エッジ領域の膜厚の盛りあがりを適切に抑制することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によると、側方整流部材が、その上面が外側に向けて下方に傾斜する形状であるので、基板上に供給された余分な処理液が側方整流部材上に流れ込んでも、外側に向けて流れ落ちる。したがって、処理液が側方整流部材の上面に残留しにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明の実施の形態に係る塗布処理装置を備える基板処理装置1について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において参照される図1〜図3には、各部の位置関係や動作方向を明確化するために、共通のXYZ直交座標系が付されている。
【0027】
なお、本願においては、「円環板状」との用語を、平板な円環形状だけでなく、外周に向けて下方に傾斜する円環形状をも含む概念として用いる。
【0028】
〈1.基板処理装置の全体構成〉
図1は、基板処理装置1の全体構成を示す平面図である。この基板処理装置1は、液浸露光処理の前後において、半導体基板W(以下、単に「基板W」という。)に塗布処理、熱処理、現像処理等の一連の処理を行うための装置である。図1に示すように、基板処理装置1は、主として、インデクサブロック9、反射防止膜用処理ブロック10、レジスト膜用処理ブロック11、現像処理ブロック12、レジストカバー膜用処理ブロック13、レジストカバー膜除去ブロック14、洗浄/乾燥処理ブロック15、およびインターフェースブロック16をこの順に並設した構成となっている。
【0029】
インターフェースブロック16の+Y側には、この基板処理装置1とは別体の露光装置17が接続される。露光装置17は、基板Wに対して液浸露光処理を行う機能を有している。
【0030】
インデクサブロック9には、各ブロックの動作を制御するメインコントローラ(制御部)91と、複数のキャリア載置台92と、インデクサロボットIRとが設けられている。インデクサロボットIRは、基板Wの受け渡しを行う2つのハンドIRH1,IRH2を上下に有している。
【0031】
反射防止膜用処理ブロック10には、反射防止膜用熱処理部100,101と、反射防止膜用塗布処理部30と、第1のセンターロボットCR1とが設けられている。反射防止膜用熱処理部100,101と反射防止膜用塗布処理部30とは、第2のセンターロボットCR1を挟んで互いに対向配置されている。第1のセンターロボットCR1は、基板Wの受け渡しを行う2つのハンドCRH1a,CRH1bを上下に有している。
【0032】
インデクサブロック9と反射防止膜用処理ブロック10との間には、雰囲気遮断用の隔壁20が設けられている。また、隔壁20の一部分には、インデクサブロック9と反射防止膜用処理ブロック10との間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS1,PASS2が上下に近接して設けられている。上段の基板載置部PASS1は、基板Wをインデクサブロック9から反射防止膜用処理ブロック10へ搬送する際に使用され、下段の基板載置部PASS2は、基板Wを反射防止膜用処理ブロック10からインデクサブロック9へ搬送する際に使用される。
【0033】
レジスト膜用処理ブロック11には、レジスト膜用熱処理部110,111と、レジスト膜用塗布処理部40と、第2のセンターロボットCR2とが設けられている。レジスト膜用熱処理部110,111とレジスト膜用塗布処理部40とは、第2のセンターロボットCR2を挟んで互いに対向配置されている。第2のセンターロボットCR2は、基板Wの受け渡しを行う2つのハンドCRH2a,CRH2bを上下に有している。
【0034】
反射防止膜用処理ブロック10とレジスト膜用処理ブロック11との間には、雰囲気遮断用の隔壁21が設けられている。また、隔壁21の一部分には、反射防止膜用処理ブロック10とレジスト膜用処理ブロック11との間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS3,PASS4が上下に近接して設けられている。上段の基板載置部PASS3は、基板Wを反射防止膜用処理ブロック10からレジスト膜用処理ブロック11へ搬送する際に使用され、下段の基板載置部PASS4は、基板Wをレジスト膜用処理ブロック11から反射防止膜用処理ブロック10へ搬送する際に使用される。
【0035】
現像処理ブロック12には、現像用熱処理部120,121と、現像処理部50と、第3のセンターロボットCR3とが設けられている。現像用熱処理部120,121と現像処理部50とは、第3のセンターロボットCR3を挟んで互いに対向配置されている。第3のセンターロボットCR3は、基板Wの受け渡しを行う2つのハンドCRH3a,CRH3bを上下に有している。
【0036】
レジスト膜用処理ブロック11と現像処理ブロック12との間には、雰囲気遮断用の隔壁22が設けられている。また、隔壁22の一部分には、レジスト膜用処理ブロック11と現像処理ブロック12との間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS5,PASS6が上下に近接して設けられている。上段の基板載置部PASS5は、基板Wをレジスト膜用処理ブロック11から現像処理ブロック12へ搬送する際に使用され、下段の基板載置部PASS6は、基板Wを現像処理ブロック12からレジスト膜用処理ブロック11へ搬送する際に使用される。
【0037】
レジストカバー膜用処理ブロック13には、レジストカバー膜用熱処理部130,131と、レジストカバー膜用塗布処理部60と、第5のセンターロボットCR5とが設けられている。レジストカバー膜用熱処理部130,131とレジストカバー膜用塗布処理部60とは、第4のセンターロボットCR4を挟んで互いに対向配置されている。第4のセンターロボットCR4は、基板Wの受け渡しを行う2つのハンドCRH4a,CRH4bを上下に有している。
【0038】
現像処理ブロック12とレジストカバー膜用処理ブロック13との間には、雰囲気遮断用の隔壁23が設けられている。また、隔壁23の一部分には、現像処理ブロック12とレジストカバー膜用処理ブロック13との間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS7,PASS8が上下に近接して設けられている。上段の基板載置部PASS7は、基板Wを現像処理ブロック12からレジストカバー膜用処理ブロック13へ搬送する際に使用され、下段の基板載置部PASS8は、基板Wをレジストカバー膜用処理ブロック13から現像処理ブロック12へ搬送する際に使用される。
【0039】
レジストカバー膜除去ブロック14には、レジストカバー膜除去用処理部70a,70bと、第5のセンターロボットCR5とが設けられている。レジストカバー膜除去用処理部70a,70bは、第5のセンターロボットCR5を挟んで互いに対向配置されている。第5のセンターロボットCR5は、基板Wの受け渡しを行う2つのハンドCRH5a,CRH5bを上下に有している。
【0040】
レジストカバー膜用処理ブロック13とレジストカバー膜除去ブロック14との間には、雰囲気遮断用の隔壁24が設けられている。また、隔壁24の一部分には、レジストカバー膜用処理ブロック13とレジストカバー膜除去ブロック14との間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS9,PASS10が上下に近接して設けられている。上段の基板載置部PASS9は、基板Wをレジストカバー膜用処理ブロック13からレジストカバー膜除去ブロック14へ搬送する際に使用され、下段の基板載置部PASS10は、基板Wをレジストカバー膜除去ブロック14からレジストカバー膜用処理ブロック13へ搬送する際に使用される。
【0041】
洗浄/乾燥処理ブロック15には、露光後ベーク用熱処理部150,151と、洗浄/乾燥処理部80と、第6のセンターロボットCR6とが設けられている。露光後ベーク用熱処理部151は、インターフェースブロック16に隣接し、後述するように基板載置部PASS13,PASS14を有している。露光後ベーク用熱処理部150,151と洗浄/乾燥処理部80とは、第6のセンターロボットCR6を挟んで互いに対向配置されている。また、第6のセンターロボットCR6は、基板Wの受け渡しを行う2つのハンドCRH6a,CRH6bを上下に有している。
【0042】
レジストカバー膜除去ブロック14と洗浄/乾燥処理ブロック15との間には、雰囲気遮断用の隔壁25が設けられている。また、隔壁25の一部分には、レジストカバー膜除去ブロック14と洗浄/乾燥処理ブロック15との間で基板Wの受け渡しを行うための基板載置部PASS11,PASS12が上下に近接して設けられている。上段の基板載置部PASS11は、基板Wをレジストカバー膜除去ブロック14から洗浄/乾燥処理ブロック15へ搬送する際に使用され、下段の基板載置部PASS12は、基板Wを洗浄/乾燥処理ブロック15からレジストカバー膜除去ブロック14へ搬送する際に使用される。
【0043】
インターフェースブロック16には、第7のセンターロボットCR7と、送りバッファ部SBFと、インターフェース用搬送機構IFRと、エッジ露光部EEWとが設けられている。また、エッジ露光部EEWの下側には、後述する基板載置部PASS15,PASS16および戻りバッファ部RBFが設けられている。第7のセンターロボットCR7は、基板Wの受け渡しを行う2つのハンドCRH7a,CRH7bを上下に有している、また、インターフェース用搬送機構IFRは、基板Wの受け渡しを行う2つのハンドH1,H2を上下に有している。
【0044】
図2は、図1の基板処理装置1を+X側から見た側面図である。
【0045】
反射防止膜用処理ブロック10の反射防止膜用塗布処理部30(図1参照)には、3個の塗布ユニットBARCが上下に積層配置されている。各塗布ユニットBARCは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック31と、スピンチャック31上に保持された基板Wに反射防止膜の塗布液(BARC液)を供給する供給ノズル32を備える。
【0046】
レジスト膜用処理ブロック11のレジスト膜用塗布処理部40(図1参照)には、3個の塗布ユニットRESが上下に積層配置されている。各塗布ユニットRESは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック41と、スピンチャック41上に保持された基板Wにレジスト膜の塗布液(レジスト液)を供給する供給ノズル42とを備える。
【0047】
現像処理ブロック12の現像処理部50(図1参照)には、5個の現像処理ユニットDEVが上下に積層配置されている。各現像処理ユニットDEVは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック51と、スピンチャック51上に保持された基板Wに現像液を供給する供給ノズル52とを備える。
【0048】
レジストカバー膜用処理ブロック13のレジストカバー膜用塗布処理部60(図1参照)には、3個の塗布ユニットCOVが上下に積層配置されている。各塗布ユニットCOVは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック61と、スピンチャック61上に保持された基板Wにレジストカバー膜の塗布液(トップコート液)を供給する供給ノズル62とを備える。
【0049】
レジストカバー膜除去ブロック14のレジストカバー膜除去用処理部70b(図1参照)には、3個の除去ユニットREMが上下に積層配置されている。各除去ユニットREMは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック71と、スピンチャック71上に保持された基板Wにレジストカバー膜を溶解させる除去液(例えばフッ素樹脂)を供給する供給ノズル72とを備える。
【0050】
洗浄/乾燥処理ブロック15の洗浄/乾燥処理部80(図1参照)には、3個の洗浄/乾燥処理ユニットSDが積層配置される。
【0051】
インターフェースブロック16には、2個のエッジ露光部EEWと、基板載置部PASS15,PASS16と、戻りバッファ部RBFとが上下に積層配置されているとともに、第7のセンターロボットCR7(図1参照)およびインターフェース用搬送機構IFRが配置されている。各エッジ露光部EEWは、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック98と、スピンチャック98上に保持された基板Wの周縁を露光する光照射器99とを備える。
【0052】
図3は、図1の基板処理装置1を−X側から見た側面図である。
【0053】
反射防止膜用処理ブロック10の反射防止膜用熱処理部100,101には、それぞれ、2個の加熱ユニット(ホットプレート)HPと2個の冷却ユニット(クーリングプレート)CPとが上下に積層配置されている。また、反射防止膜用熱処理部100,101の最上部には、冷却ユニットCPおよび加熱ユニットHPの温度を制御するローカルコントローラLCが各々配置されている。
【0054】
レジスト膜用処理ブロック11のレジスト膜用熱処理部110,111には、それぞれ、2個の加熱ユニットHPと2個の冷却ユニットCPとが上下に積層配置されている。また、レジスト膜用熱処理部110,111の最上部には、冷却ユニットCPおよび加熱ユニットHPの温度を制御するローカルコントローラLCが各々配置されている。
【0055】
現像処理ブロック12の現像用熱処理部120,121には、それぞれ、2個の加熱ユニットHPと2個の冷却ユニットCPとが上下に積層配置されている。また、現像用熱処理部120,121の最上部には、冷却ユニットCPおよび加熱ユニットHPの温度を制御するローカルコントローラLCが各々配置されている。
【0056】
レジストカバー膜用処理ブロック13のレジストカバー膜用熱処理部130,131には、それぞれ、2個の加熱ユニットHPと2個の冷却ユニットCPとが上下に積層配置されている。また、レジストカバー膜用熱処理部130,131の最上部には、冷却ユニットCPおよび加熱ユニットHPの温度を制御するローカルコントローラLCが各々配置されている。
【0057】
レジストカバー膜除去ブロック14のレジストカバー膜除去用処理部70aには、3個の除去ユニットREMが上下に積層配置されている。
【0058】
洗浄/乾燥処理ブロック15の露光後ベーク用熱処理部150,151には、それぞれ、2個の加熱ユニットHPと2個の冷却ユニットCPとが上下に積層配置されている。また、露光後ベーク用熱処理部151には、基板載置部PASS13,14も配置されている。また、露光後ベーク用熱処理部150,151の最上部には、冷却ユニットCPおよび加熱ユニットHPの温度を制御するローカルコントローラLCが各々配置されている。
【0059】
なお、塗布ユニットBARC,RES,COV、洗浄/乾燥処理ユニットSD、除去ユニットREM、現像処理ユニットDEV、加熱ユニットHPおよび冷却ユニットCPの数は、各ブロックの処理速度に応じて適宜に変更されてもよい。
【0060】
〈2.基板処理装置の全体動作〉
続いて、基板処理装置1の全体的な動作の概略について、図1〜図3および図4のフローチャートを参照しながら説明する。この基板処理装置1において基板Wの処理を行うときには、まず、インデクサブロック9のキャリア載置台92上に、複数枚の基板Wが多段に収納されたキャリアCが搬入される(ステップS1)。
【0061】
キャリア載置台92上にキャリアCが載置されると、インデクサロボットIRは、上側のハンドIRH1を用いてキャリアC内に収納された未処理の基板Wを取り出す。そして、インデクサロボットIRは、X軸方向に移動しつつθ方向に回転し、未処理の基板Wを基板載置部PASS1に載置する。
【0062】
反射防止膜用処理ブロック10の第1のセンターロボットCR1は、基板載置部PASS1に載置された基板Wを受け取り、反射防止膜用塗布処理部30の塗布ユニットBARCへ当該基板Wを搬送する。塗布ユニットBARCでは、露光処理時に発生する定在波やハレーションを減少させるための反射防止膜が基板Wの上面に塗布形成される(ステップS2)。
【0063】
その後、第2のセンターロボットCR1は、反射防止膜用塗布処理部30から基板Wを取り出し、当該基板Wを反射防止膜用熱処理部100,101に搬入する。反射防止膜用熱処理部100,101では、基板Wに対して所定の熱処理(加熱処理および冷却処理)が行われる(ステップS3)。反射防止膜用熱処理部100,101における熱処理が終了すると、第1のセンターロボットCR1は、反射防止膜用熱処理部100,101から基板Wを取り出し、当該基板Wを基板載置部PASS3に載置する。
【0064】
レジスト膜用処理ブロック11の第2のセンターロボットCR2は、基板載置部PASS3に載置された基板Wを受け取り、レジスト膜用塗布処理部40の塗布ユニットRESへ当該基板Wを搬送する。塗布ユニットRESでは、基板Wの上面の反射防止膜の上部に、レジスト膜が塗布形成される(ステップS4)。
【0065】
その後、第2のセンターロボットCR2は、レジスト膜用塗布処理部40から基板Wを取り出し、当該基板Wをレジスト膜用熱処理部110,111に搬入する。レジスト膜用熱処理部110,111では、基板Wに対して所定の熱処理(加熱処理および冷却処理)が行われる(ステップS5)。また、レジスト膜用熱処理部110,111における熱処理が終了すると、第2のセンターロボットCR2は、レジスト膜用熱処理部110,111から基板Wを取り出し、当該基板Wを基板載置部PASS5に載置する。
【0066】
現像処理ブロック12の第3のセンターロボットCR3は、基板載置部PASS5に載置された基板Wを受け取り、当該基板Wを基板載置部PASS7に載置する。
【0067】
レジストカバー膜用処理ブロック13の第4のセンターロボットCR4は、基板載置部PASS7に載置された基板Wを受け取り、レジストカバー膜用塗布処理部60の塗布ユニットCOVへ当該基板Wを搬送する。塗布ユニットCOVでは、基板Wの上面のレジスト膜の上部に、レジストカバー膜が塗布形成される。(ステップS6)。
【0068】
その後、第4のセンターロボットCR4は、レジストカバー膜用塗布処理部60から基板Wを取り出し、当該基板Wをレジストカバー膜用熱処理部130,131に搬入する。レジストカバー膜用熱処理部130,131では、基板Wに対して所定の熱処理(加熱処理および冷却処理)が行われる(ステップS7)。また、レジストカバー膜用熱処理部130,131における熱処理が終了すると、第4のセンターロボットCR4は、レジストカバー膜用熱処理部130,131から基板Wを取り出し、当該基板Wを基板載置部PASS9に載置する。
【0069】
レジストカバー膜除去ブロック14の第5のセンターロボットCR5は、基板載置部PASS9に載置された基板Wを受け取り、当該基板Wを基板載置部PASS11に載置する。また、洗浄/乾燥処理ブロック15の第6のセンターロボットCR6は、基板載置部PASS11に載置された基板Wを受け取り、当該基板Wを基板載置部PASS13に載置する。さらに、インターフェースブロック16の第7のセンターロボットCR7は、基板載置部PASS13に載置された基板Wを受け取り、当該基板Wを基板載置部PASS15に載置する。なお、インターフェースブロック16において基板Wがエッジ露光部EEWに搬入され、基板Wの周縁部に露光処理が行われてもよい。
【0070】
インターフェースブロック16のインターフェース用搬送機構IFRは、基板載置部PASS15に載置された基板Wを露光装置17の基板搬入部17aに搬入する(ステップS8)。なお、露光装置17が基板Wを受け入れられない場合には、基板Wは送りバッファ部SBFに一時的に収納保管される。露光装置17では、基板Wに対して液浸露光処理が行われ、基板Wの上面に所定の電子パターンが露光される。
【0071】
その後、インターフェースブロック16のインターフェース用搬送機構IFRは、露光装置17の基板搬出部17bから露光処理後の基板Wを取り出し(ステップS9)、洗浄/乾燥処理ブロック15の洗浄/乾燥処理部80に当該基板Wを搬入する。なお、洗浄/乾燥処理部80が基板Wを受け入れられない場合には、基板Wは戻りバッファ部RBFに一時的に収納保管される。洗浄/乾燥処理部80の洗浄/乾燥処理ユニットSDでは、露光処理後の基板Wに対して、洗浄処理および乾燥処理が行われる(ステップS10)。
【0072】
洗浄/乾燥処理部80における洗浄処理および乾燥処理が終了すると、インターフェースブロック16のインターフェース用搬送機構IFRは、洗浄/乾燥処理部80から基板Wを取り出し、当該基板Wを基板載置部PASS16に載置する。
【0073】
インターフェースブロック16の第7のセンターロボットCR7は、基板載置部PASS16に載置された基板Wを受け取り、洗浄/乾燥処理ブロック15の露光後ベーク用熱処理部150,151へ当該基板Wを搬送する。露光後ベーク用熱処理部150,151では、露光処理後の基板Wに対して所定の熱処理(加熱処理および冷却処理)が行われる(ステップS11)。また、露光後ベーク用熱処理部150,151における熱処理が終了すると、インターフェースブロック16の第7のセンターロボットCR7は、露光後ベーク用熱処理部150,151から基板Wを取り出し、当該基板Wを基板載置部PASS14に載置する。また、洗浄/乾燥処理ブロック15の第6のセンターロボットCR6は、基板載置部PASS14に載置された基板Wを受け取り、当該基板Wを基板載置部PASS12に載置する。
【0074】
レジストカバー膜除去ブロック14の第5のセンターロボットCR5は、基板載置部PASS12に載置された基板Wを受け取り、レジストカバー膜除去用処理部70a,70bの除去ユニットREMへ当該基板を搬入する。除去ユニットREMでは、所定の除去液により基板Wの上面からレジストカバー膜が除去される(ステップS12)。
【0075】
その後、第5のセンターロボットCR5は、レジストカバー膜除去用処理部70a,70bから基板Wを取り出し、当該基板Wを基板載置部PASS10に載置する。また、レジストカバー膜用処理ブロック13の第4のセンターロボットCR4は、基板載置部PASS10に載置された基板Wを受け取り、当該基板Wを基板載置部PASS8に載置する。
【0076】
さらに、現像処理ブロック12の第3のセンターロボットCR3は、基板載置部PASS8に載置された基板Wを受け取り、現像処理部50の現像処理ユニットDEVへ当該基板Wを搬入する。現像処理ユニットDEVでは、基板Wの上面に現像液が供給されることにより、現像処理が行われる(ステップS13)。
【0077】
その後、第3のセンターロボットCR3は、現像処理部50から基板Wを取り出し、当該基板Wを現像用熱処理部120,121に搬入する。現像用熱処理部120,121では、基板Wに対して所定の熱処理(加熱処理および冷却処理)が行われる(ステップS14)。また、現像用熱処理部120,121における熱処理が終了すると、第3のセンターロボットCR3は、現像用熱処理部120,121から基板Wを取り出し、当該基板Wを基板載置部PASS6に載置する。
【0078】
レジスト膜用処理ブロック11の第2のセンターロボットCR2は、基板載置部PASS6に載置された基板Wを受け取り、当該基板Wを基板載置部PASS4に載置する。また、反射防止膜用処理ブロック10の第1のセンターロボットCR1は、基板載置部PASS4に載置された基板Wを受け取り、当該基板Wを基板載置部PASS2に載置する。さらに、インデクサブロック9のインデクサロボットIRは、基板載置部PASS2に載置された基板Wを受け取り、当該基板Wをキャリア載置台92上のキャリアCに収納する。その後、キャリア載置台92上からキャリアCが搬出され(ステップS15)、基板処理装置1における一連の基板処理が終了する。
【0079】
〈3.塗布ユニット〉
次に、基板処理装置1が備える塗布処理ユニットについて説明する。基板処理装置1は、各種の塗布処理を実行する塗布ユニット(BARC液の塗布処理を実行する塗布ユニットBARC、レジスト液の塗布処理を実行する塗布ユニットRES、トップコート液の塗布処理を実行する塗布ユニットCOV)を備える。本発明は、処理液の種類を限定するものではなく、これら塗布ユニットのいずれにも適用可能である。以下においては、一例として、本発明を適用した塗布ユニットRESについて説明する。
【0080】
〈3A.第1の実施の形態〉
〈3A−1.構成〉
この発明の第1の実施の形態に係る塗布ユニットRESの構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、第1の実施の形態に係る塗布ユニットRESの全体構成を示す側断面図である。上述した通り、塗布ユニットRESは、スピンチャック41、および、供給ノズル42を備える。また、これに加え、カップ43および側方整流部材45を備える。また、これら各部を制御する制御部400を備える。
【0081】
スピンチャック41について説明する。スピンチャック41は、回転駆動機構412によって回転される回転軸411の上端に固定されている。また、スピンチャック41には吸気路(図示省略)が形成されている。塗布ユニットRES内に搬入された被処理基板Wは、その中心が回転軸411の回転中心と一致するようにスピンチャック41上に載置される。この状態で吸引路内が排気されると、基板Wは吸気路の吸引圧により真空吸着されてスピンチャック41上に水平姿勢で固定的に保持される。さらに、この状態で、回転駆動機構412が回転軸411を回転させると、基板Wは、その中心を通る鉛直な回転軸の周りで回転されることになる。なお、回転駆動機構412は制御部400と電気的に接続されており、制御部400は、所定のタイミングで回転駆動機構412を駆動制御して、スピンチャック41上に吸着保持された基板Wを回転させる。
【0082】
供給ノズル42について説明する。供給ノズル42は、スピンチャック41上に保持された基板Wに所定の処理液(所定の塗布液であり、塗布ユニットRESの場合はレジスト液)を供給する。供給ノズル42は、回動機構(図示省略)が接続されたアーム(図示省略)の先端に取り付けられている。回動機構がアームを回転させると、供給ノズル42は、スピンチャック41上に保持された基板Wの上方位置(処理位置)と、基板Wから離れた位置(待避位置)との間で移動する。なお、回動機構は制御部400と電気的に接続されており、制御部400は、所定のタイミングで回動機構を駆動制御して、供給ノズル42を処理位置と待避位置との間で移動させる。
【0083】
また、供給ノズル42には、開閉バルブ422が介挿された供給管421が接続されている。供給管421の他端は、所定の処理液(ここではレジスト液)を貯留した処理液供給源423に接続されている。なお、供給ノズル42として、例えば、供給された処理液をそのまま吐出するいわゆるストレートノズルを採用することができる。供給ノズル42が処理位置におかれた状態で開閉バルブ422が開放されると、供給ノズル42からスピンチャック41上に保持された基板Wに向けて処理液が吐出される。なお、開閉バルブ422は、制御部400と電気的に接続されており、制御部400は、所定のタイミングで開閉バルブ422を開放もしくは閉鎖する。
【0084】
カップ43について説明する。カップ43には、回収部43aと、下方整流部43bとが形成されている。回収部43aは、スピンチャック41上に保持された基板Wから周囲に飛散する処理液を回収する構成部であり、側方側においてスピンチャック41上に保持された基板Wの周囲を取り囲み、下方において全周に亘る凹部を形成する。具体的には、回収部43aは、スピンチャック41上に保持された基板Wの側方を取り囲む筒状の外壁部431と、当該基板Wの下方に配置された円筒状の内壁部432と、外壁部431と内壁部432との間に配置された円筒状の中壁部433と、外壁部431、内壁部432および中壁部433の各下端面が着設された低壁部434とを備える。ただし、外壁部431は、円筒状の鉛直壁部4311と、その上端に着設され、内側上方に向けて傾倒した傾斜壁部4312とから形成される。
【0085】
外壁部431、中壁部433および低壁部434により形成される凹部(外側凹部)の底面には、排液バルブ435が介挿された排液管436が接続されている。回転する基板Wから飛散した余分な処理液は、外壁部431の内壁面で受け止められ、外側凹部に流入し、排液管436を介して外部に排液される。なお、排液バルブ435は制御部400と電気的に接続されており、制御部400は、所定のタイミングで排液バルブ435を開放して、外側凹部内に捕獲された処理液を外部に排液する。
【0086】
内壁部432、中壁部433および低壁部434により形成される凹部(内側凹部)の底面には、排気バルブ437および排気ポンプ438が介挿された排気管439が接続されている。スピンチャック41に保持された基板Wの周囲に発生する処理液の蒸気は、気流を形成しながら負圧にされた回収部43aの内部空間に導かれ、排気管439を介して外部に排気される。なお、排気バルブ437および排気ポンプ438は制御部400と電気的に接続されており、制御部400は、所定のタイミングで排気ポンプ438を駆動するとともに排気バルブ437を開放して、回収部43aの内部空間を負圧にする。
【0087】
下方整流部43bについて説明する。下方整流部43bは、回収部43aの内部であって、スピンチャック41上に保持された基板Wの下方に配置される円環板状の構成部である。下方整流部43bは、その上面と、スピンチャック41上に保持された基板Wの裏面の周縁領域および後述する側方整流部材45の下面との間に微小空間を形成する。
【0088】
より具体的には、下方整流部43bは、円筒状の側壁部分441と、その上側に形成され、上端に向けて内側に傾斜する形状の傾斜壁部分442とを備える。そして、側壁部分441がスピンチャック41上に保持された基板Wと同心となる水平位置に配置される。また、傾斜壁部分442の上面と、スピンチャック41上に保持された基板Wの裏面とが所定距離だけ離間する高さ位置に配置される。ただし、下方整流部43bの内周半径は基板Wの半径よりも小さく(具体的には、傾斜壁部分442の上端縁が、スピンチャック41上の基板Wの周縁よりも所定距離だけ内側に位置するように)形成され、外周半径は基板Wの半径よりも大きく(具体的には、側壁部分441の下端縁が、回収部43aの中壁部433と外壁部431との間に位置するように)形成されている。これにより、傾斜壁部分442の上面とスピンチャック41上に保持された基板Wの裏面の周縁部との間に微小空間が形成される。また、傾斜壁部分442の上面と後述する側方整流部材45の下面との間にも微小空間が形成される。
【0089】
ここで、下方整流部43bの上面と、スピンチャック41上に保持された基板Wの裏面の周縁部および後述する側方整流部材45の下面との間に形成される微小空間は、基板Wの表面を沿って流れ、後述する内周円環間隙K2を通って下方に流れる気流を、基板Wと反対の方向(外側)に導く通路としての役割を果たす。
【0090】
下方整流部43bの外周には、複数個の嵌合凹溝443が形成されている(図6参照)。嵌合凹溝443のそれぞれは、後述する側方整流部材45に形成された複数個の嵌合爪451のそれぞれと対応する位置に、それぞれと対応する形状で形成されている。
【0091】
側方整流部材45について説明する。側方整流部材45は、カップ43の内部に配置され、スピンチャック41に保持された基板Wの側方周囲を取り囲む円環板状の部材である。
【0092】
具体的には、側方整流部材45は、スピンチャック41上に保持された基板Wと同心に配置され、その外周半径はカップ43の内壁半径より僅かに小さく形成されている。また、その内周半径は基板Wの半径より僅かに大きく形成されている。これにより、側方整流部材45の外周とカップ43の内壁との間に、平面視で円環状の微小間隙(外周円環間隙K1)が形成される。また、側方整流部材45の内周とスピンチャック41上に保持された基板Wの端面との間に、平面視で円環状の微小間隙(内周円環間隙K2)が形成される。これら外周円環間隙K1および内周円環間隙K2は、排気管439が形成されたカップ43の底面と連通することになる。
【0093】
ここで、側方整流部材45の上面は、スピンチャック41上に保持された基板Wの上面を流れる気流を基板Wの端縁からさらに外側に導くガイド面としての役割を果たす。また、外周円環間隙K1は、側方整流部材45の上面に沿って流れる気流を排気する排気溝としての役割を果たす。また、内周円環間隙K2は、基板Wの表面を沿って流れる気流の一部を側方整流部材45の下方(具体的には、側方整流部材45の下面と下方整流部43bの上面との間に形成される微小空間)へと導く導入溝としての役割を果たす。
【0094】
なお、側方整流部材45は、図示されるように、内周に行くに従って厚みが薄くなる形状に成型されることが好ましい。例えば、その下面を、内側に向けて上方に傾斜する形状とすることが望ましい。
【0095】
また、側方整流部材45は、その上面が水平になる形状としてもよいし、図示されるように、外側に向けて下方に傾斜する形状としてもよい。特に、後者の場合、基板W上に供給された余分な処理液が側方整流部材45の上に流れ込んでも、外側に向けて流れ落ちる。したがって、処理液が側方整流部材45の上面に残留しにくい。またその結果、リバウンド現象(基板から飛散してその周辺に配置された部材に付着した処理液が、時間をおいて再び基板に向けて逆流する現象)を未然に回避することができる。
【0096】
図6および図7を参照する。図6は、カップ43および側方整流部材45の側面図であり、図7は、側方整流部材45をカップ43に装着した状態の図である。図6に示されるように、側方整流部材45には、その下端縁から突出した複数個の嵌合爪451が形成されている。嵌合爪451のそれぞれは、上述したカップ43に形成された複数個の嵌合凹溝443のそれぞれと対応する位置に、それぞれと対応する形状で形成されている。これにより、対応する嵌合爪451と嵌合凹溝443とが相互に嵌合可能となっている。側方整流部材45の嵌合爪451を、カップ43の対応する嵌合凹溝443に嵌合させることにより、図7に示されるように、側方整流部材45をカップ43に装着することができる。
【0097】
ただし、側方整流部材45が装着された状態において、側方整流部材45とカップ43の下方整流部43bとの間には、ここに形成される微小空間を、排気管439が形成されたカップ43の底面と連通させる連通開口(開口K3)が形成される。開口K3は、例えば、嵌合爪451の長さを適切に調整することによって形成することができる。すなわち、装着状態において、側方整流部材45が、その下面が下方整流部43bの上面から所定距離だけ離間した位置におかれるように嵌合爪451の長さを調整しておけば、側方整流部材45は、下方整流部43bとの間に、排気管439が形成されたカップ43の底面と連通する開口K3を形成しつつ、カップ43に装着されることになる。
【0098】
ここで、開口K3は、内周円環間隙K2を通って側方整流部材45の下面とカップ43の下方整流部43bの上面との間に形成される微小空間へと導かれた気流を排気する排気開口としての役割を果たす。
【0099】
〈3A−2.処理動作〉
次に、塗布ユニットRESにおいて実行される処理動作について説明する。第2のセンターロボットCR2(図1参照)が基板Wを塗布ユニットRES内に搬入し、スピンチャック41上に載置すると、制御部400は、スピンチャック41に当該基板Wを吸着保持させる。
【0100】
続いて、レジスト膜の塗布形成処理が行われる。すなわち、制御部400は、回転駆動機構412を制御して基板Wを回転させるとともに、開閉バルブ422を開放して供給ノズル42から基板Wの上面に向けて処理液(ここではレジスト液)を吐出させる。基板Wの上面に所定量の処理液が供給されると、制御部400は開閉バルブ422を閉鎖して供給ノズル42からの処理液の吐出を停止させ、基板Wの回転のみを継続させる。これによって、基板Wの表面に処理液が拡がって塗布膜(ここではレジスト膜)が形成される。所定時間が経過すると、制御部400は回転駆動機構412を制御して基板Wの回転を停止させる。以上で塗布処理が終了する。塗布処理が終了すると、第2のセンターロボットCR2が基板Wを塗布ユニットRESから搬出する。
【0101】
〈3A−3.効果〉
上述したように、塗布処理においては、エッジ領域の膜厚の盛りあがり現象が問題となっている。この現象は、回転される基板Wのエッジ領域近辺に気流の乱れ(乱流域)が生じることにその発生原因の1つがあると考えられる。エッジ領域近辺に乱流域が生じると、塗布液に含まれる溶剤の揮発速度が上がって塗布液が拡がりにくくなり、結果として、回転による遠心力と塗布液に含まれる溶剤の揮発速度とのバランスが崩れてエッジ領域の膜厚が厚くなってしまうと考えられるのである。
【0102】
上記の実施の形態においては、側方整流部材45を設けることによってエッジ領域の膜厚の盛りあがりを抑制可能としている。側方整流部材45を設けることによりエッジ領域の膜厚の盛りあがりが抑制される理由は次の通りである。すなわち、図5および図8に示すように、側方整流部材45を設けると、基板Wに対する塗布膜の形成処理が行われる際、回転する基板Wの周囲には、基板Wの表面から側方整流部材45の上面に沿って流れ、側方整流部材45の外縁から外周円環間隙K1を通って下方に流れて排気される気流(第1の気流AR1)と、基板Wの表面に沿って流れ、基板の外縁から内周円環間隙K2を通って下方に流れて排気される気流(第2の気流AR2)とが形成される。これら2つの気流が形成される結果、基板Wのエッジ領域付近に形成される気流が安定し、基板Wのエッジ領域付近に乱流域が生じにくくなる。これにより、エッジ領域付近でも塗布液がスムースに拡がり、エッジ領域の膜厚の盛りあがりが生じにくくなるのである。
【0103】
特に、外周円環間隙K1は平面視で円環状の微小間隙であるので、側方整流部材45の外周全体から第1の気流AR1を排気することができる。また、内周円環間隙K2も平面視で円環状の微小間隙であるので、基板Wの外周全体から第2の気流AR2を排気することができる。したがって、基板Wの周縁方向に沿った排気圧が一定となり、基板Wのエッジ領域付近に形成される気流が非常に安定する。これによって、エッジ領域の膜厚の盛りあがりの抑制効果が高められる。
【0104】
このように、側方整流部材45を設けることによってエッジ領域の膜厚の盛りあがりを抑制することができるので、従来の処理条件を保持したまま(すなわち、既に確立されたレシピに変更を加えることなく)、基板Wの膜厚均一性を向上させることが可能となる。
【0105】
また、側方整流部材45をカップ43の下方整流部43bに装着する構成としているので、側方整流部材45と回収部43aとを離間して配置することが可能となり、簡易な構成で側方整流部材45とカップ43との間に円環状の微小間隙(外周円環間隙K1)を形成することができる。また、側方整流部材45の幅調整によって外周円環間隙K1の幅を調整することができる。
【0106】
また、下方整流部43bの上面と、基板Wの裏面の周縁領域および側方整流部材45の下面との間に開口した微小空間が形成されるので、第2の気流AR2が下方整流部43bの上面に沿って外側に導かれ、開口K3を通って排気されることになる。これによって、第2の気流AR2が基板Wの裏面側に巻き込まれて基板Wの裏面が汚染される、といった事態を防止することができる。
【0107】
また、嵌合爪451を嵌合凹溝443に嵌合させることによって側方整流部材45をカップ43に着脱可能に装着する構成としている。この構成によると、側方整流部材45のメンテナンスや部材交換を簡単に行うことができる。例えば、側方整流部材45を取り外してこれを簡単に洗浄することができるので、側方整流部材45を常に清浄な状態に保つことができる。
【0108】
ところで、スピンチャック41上に保持された基板Wの上面と側方整流部材45の上面とが面一になるような高さ位置に側方整流部材45がおかれる状況(側方整流部材45の上面が水平になる形状とされている場合)や、基板Wの上面と側方整流部材45の内縁端とが同一の高さ位置におかれる状況(側方整流部材45の上面が外側に向けて下方に傾斜する形状されている場合)も想定されるが、このような位置に側方整流部材45がおかれることが不都合な処理もある。例えば、基板Wの下面側から処理液を吐出するノズル(いわゆるバックリンスノズル)から吐出された処理液(除去液、密着強化剤等)を基板Wの端面に回り込ませることにより基板Wの端面部に処理液を供給する処理(例えば、ベベルリンス)、さらに、基板Wの上面まで回り込ませることにより基板Wの周縁部に処理液を供給する処理(例えば、バックリンス)等がこのような処理に該当する。
【0109】
上記の実施の形態においては、側方整流部材45を容易に取り外しできるので、このような処理が組み込まれたレシピが実行される場合には、予め側方整流部材45を取り外しておけばよい。側方整流部材45を取り外しておけば、上記のような処理が組み込まれたレシピも問題なく実行することができる。
【0110】
ところで、エッジ領域の膜厚の盛りあがりを抑制するためには、第1の気流AR1および第2の気流AR2がスムースに形成されることが必要であり、このためには側方整流部材45(より具体的には、側方整流部材45の内縁端)がスピンチャック41上に保持された基板Wに対して適正な高さ位置におかれていることが望ましい。ここで、この適正な高さ位置は、処理液の粘度、塗布膜の膜厚、成膜時の回転数等の各種の要因から規定される値であり、処理条件等に応じて変わってくる。
【0111】
上記の実施の形態においては、側方整流部材45に形成する嵌合爪451の高さを調整することによって、カップ43に対する側方整流部材45の高さ位置を調整することが可能となる。カップ43はスピンチャック41上の基板Wに対して所定の相対位置に配置されるので、嵌合爪451の高さを調整することによって、スピンチャック41に保持された基板Wに対する側方整流部材45の高さ位置を調整することができる。
【0112】
また、嵌合爪451の高さがそれぞれ異なる複数個の側方整流部材45を予め作成しておけば、カップ43に装着する側方整流部材45を交換することによって、スピンチャック41に保持された基板Wに対する側方整流部材45の高さ位置を簡単に変更することができる。つまり、処理条件等が変更された場合であっても、適切な高さの嵌合爪451を有する側方整流部材45を選択して用いることによって、当該処理条件等に応じた高さ位置に側方整流部材45をおくことが可能となり、エッジ領域の膜厚の盛りあがりを適切に抑制することができる。
【0113】
〈3B.第2の実施の形態〉
〈3B−1.構成〉
この発明の第2の実施の形態に係る塗布ユニットRESの構成について説明する。この実施の形態に係る塗布ユニットRESは、第1の実施の形態に係る塗布ユニットRESと同様の構成に加え、側方整流部材45とスピンチャック41上に保持された基板Wとの高さ関係を変更する機構(高さ調整機構46)をさらに備えている。なお、以下において、第1の実施の形態に係る塗布ユニットRESと同じ構成要素についてはその説明を省略するとともに同じ符号を付して示す。また、この実施の形態に係る塗布ユニットRESにおいて行われる処理動作は、第1の実施の形態に係る塗布ユニットRESと同じであるのでその説明を省略する。
【0114】
高さ調整機構46について、図9を参照しながら説明する。図9は、第2の実施の形態に係る塗布ユニットRESの側断面図であり、側方整流部材45の付近が拡大して示されている。高さ調整機構46は、複数個の調整ピン461と、これら複数個の調整ピン461を一斉に昇降させる昇降機構462とを備える。
【0115】
複数個の調整ピン461のそれぞれは、カップ43に形成された嵌合凹溝443の底面に出没自在に設けられている。調整ピン461は、側方整流部材45がカップ43に装着された状態において、側方整流部材45の嵌合爪451の底面に当接して、カップ43に対する側方整流部材45の高さ位置を規定する。
【0116】
昇降機構462は、複数の調整ピン461を一斉に昇降させる。調整ピン461が昇降することによって、これに当接した側方整流部材45のカップ43に対する高さ位置が変更される。カップ43はスピンチャック41上の基板Wに対して所定の相対位置に配置されるので、カップ43に対する側方整流部材45の高さ位置を変更することによって、スピンチャック41に保持された基板Wに対する側方整流部材45の高さ位置を変更することができる。なお、昇降機構462は制御部400と電気的に接続されており、制御部400は、オペレータからの指示に応じて昇降機構462を駆動制御して調整ピン461を上昇もしくは下降させる。
【0117】
〈3B−2.効果〉
上述した通り、エッジ領域の膜厚の盛りあがりを抑制するためには、側方整流部材45がスピンチャック41上に保持された基板Wに対して適正な高さ位置におかれていることが望ましいところ、この適正な高さ位置は各種の要因に応じて変わってくる。上記の実施の形態においては、高さ調整機構46によって、カップ43に対する側方整流部材45の高さ位置(すなわち、スピンチャック41に保持された基板Wに対する側方整流部材45の高さ位置)を調整することができる。したがって、処理条件等に応じて側方整流部材45の高さ位置を調整すれば、当該処理条件に応じた高さ位置に側方整流部材45をおくことが可能となり、エッジ領域の膜厚の盛りあがりを適切に抑制することができる。
【0118】
また、上述したとおり、スピンチャック41上に保持された基板Wの上面と側方整流部材45の上面(もしくは、側方整流部材45の内縁端)とが同一の高さとなる位置に側方整流部材45がおかれることが不都合な処理もあるが、上記の実施の形態においては、高さ調整機構46によって側方整流部材45の高さ位置を変更できるので、このような処理が実行される際には側方整流部材45を上昇(もしくは下降)させておけばよい。これにより、側方整流部材45が邪魔になることがなく、問題なく処理を実行することができる。
【0119】
〈4.変形例〉
上記の第2の実施の形態に係る塗布ユニットRESは、側方整流部材45の高さを変更させる機構として高さ調整機構46を備え、調整ピン461の昇降により側方整流部材45の高さ位置を調整する構成としたが、側方整流部材45の高さを変更させる態様はこれに限らない。例えば、カップ43を昇降させる機構を設け、カップ43を昇降させることによって、これに装着された側方整流部材45の、スピンチャック41上に保持された基板Wに対する高さ位置を変更する構成としてもよい。
【0120】
また、上記においては、回収部43aと下方整流部43bとは一体となってカップ43を形成するものとしたが、回収部43aと下方整流部43bとを別体で形成し、一方を他方に装着、もしくは接着する構成としてもよい。
【0121】
また、上記においては、本発明を基板処理装置1の備える塗布処理ユニットに適用した場合の構成例を説明したが、独立した塗布処理装置に適用することも当然可能である。すなわち、本願発明は、スピンコーティング法による塗布処理を実行する各種の処理装置に適用することができる。例えば、BARC液の塗布処理を実行する塗布処理装置、レジスト液の塗布処理を実行する塗布処理装置、トップコート液の塗布処理を実行する塗布処理装置等に適用することができる。
【0122】
また、上記の実施の形態に係る基板処理装置1が備える処理ユニットの構成や配置、各処理ユニットの個数は上記のものに限らない。
【0123】
また、上記の実施の形態においては、基板処理装置1に隣接配置されるのは露光装置EXPであるとしたが、その他の各種の装置が隣接配置されてもよい。
【0124】
また、上記の実施の形態においては、半導体基板Wを処理対象としていたが、本発明に係る基板処理装置は、液晶表示装置用ガラス基板やフォトマスク用ガラス基板等の他の基板を処理対象とするものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】基板処理装置の平面図である。
【図2】基板処理装置を+X側から見た側面図である。
【図3】基板処理装置を−X側から見た側面図である。
【図4】基板処理装置の全体的な動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】塗布ユニットの全体構成を示す側断面図である。
【図6】カップおよび整流部材の側面図である。
【図7】整流部材をカップに装着した状態の図である。
【図8】塗布ユニットの一部を拡大して示す断面図である。
【図9】高さ調整機構の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0126】
1 基板処理装置
10 反射防止膜用処理ブロック
11 レジスト膜用処理ブロック
12 現像処理ブロック
13 レジストカバー膜用処理ブロック
14 レジストカバー膜除去ブロック
15 洗浄/乾燥処理ブロック
16 インターフェースブロック
17 露光装置
41 スピンチャック
42 供給ノズル
43 カップ
43a 回収部
43b 下方整流部
45 側方整流部材
46 高さ調整機構
400 制御部
443 嵌合凹溝
451 嵌合爪
RES 塗布ユニット
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理液の塗布処理を行う塗布処理装置であって、
基板を保持しつつ回転させる保持手段と、
前記保持手段に保持された基板上に前記処理液を供給する処理液供給手段と、
前記保持手段を取り囲むように設けられ、前記基板から周囲に飛散する処理液を回収する飛散防止カップと、
前記飛散防止カップの下部に設けられ、前記飛散防止カップの内部空間を負圧にして前記基板の周囲の雰囲気を排気する排気手段と、
前記基板の側方周囲を取り囲む円環板状の部材であって、その外周と前記飛散防止カップの内壁との間に前記排気手段と連通する平面視で円環状の微小間隙を形成するとともに、その内周と前記基板の端面との間に前記排気手段と連通する平面視で円環状の微小間隙を形成する側方整流部材と、
を備えることを特徴とする塗布処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布処理装置であって、
前記基板および前記側方整流部材の下方に配置される円環板状の部材であって、その上面と、前記基板の裏面の周縁領域および前記側方整流部材の下面との間に微小空間を形成する下方整流部材、
を備え、
前記側方整流部材が、前記下方整流部材との間に前記排気手段と連通する連通開口を形成しつつ、前記下方整流部材に装着されることを特徴とする塗布処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の塗布処理装置であって、
前記側方整流部材が、前記下方整流部材に対して着脱可能であることを特徴とする塗布処理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の塗布処理装置であって、
前記下方整流部材が、
複数の嵌合凹溝、
を備え、
前記側方整流部材が、
それぞれが、前記複数の嵌合凹溝のそれぞれと嵌合する複数の嵌合爪、
を備えることを特徴とする塗布処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の塗布処理装置であって、
前記側方整流部材と前記基板との高さ関係を変更する高さ調整機構、
を備えることを特徴とする塗布処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の塗布処理装置であって、
前記側方整流部材が、その上面が外側に向けて下方に傾斜する形状であることを特徴とする塗布処理装置。
【請求項7】
所定の外部装置に隣接して配置され、基板に対する一連の処理を行う基板処理装置であって、
それぞれが基板に対する所定の処理を行う1以上の基板処理ユニットと、前記1以上の基板処理ユニットに所定の順序で基板を搬送していく主搬送機構とを備える処理部と、
前記処理部と前記外部装置との間で基板を搬送する搬送機構と、
を備え、
前記1以上の基板処理ユニットの少なくとも1つが、
基板を保持しつつ回転させる保持手段と、
前記保持手段に保持された基板上に前記処理液を供給する処理液供給手段と、
前記保持手段を取り囲むように設けられ、前記基板から周囲に飛散する処理液を回収する飛散防止カップと、
前記飛散防止カップの下部に設けられ、前記飛散防止カップの内部空間を負圧にして前記基板の周囲の雰囲気を排気する排気手段と、
前記基板の側方周囲を取り囲む円環板状の部材であって、その外周と前記飛散防止カップの内壁との間に前記排気手段と連通する平面視で円環状の微小間隙を形成するとともに、その内周と前記基板の端面との間に前記排気手段と連通する平面視で円環状の微小間隙を形成する側方整流部材と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−147371(P2010−147371A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325197(P2008−325197)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(506322684)株式会社SOKUDO (158)
【Fターム(参考)】