説明

安否情報サービスシステム、経路探索サーバおよび携帯端末装置

【課題】通常他のサービスを提供するサーバを使用して利用者が簡単な操作で安否情報を登録し、登録された安否情報を第3者が簡単に参照できるようにする。
【解決手段】 安否情報サービスシステム10は経路探索サーバ30を備える。経路探索サーバ30は、地図・道路データベース301と安否情報登録データベース302とを切り換えるサービス切り換え手段31と、安否情報受信登録手段32と、安否情報回答手段33とを備え、災害発生時にサービス切り換え手段31により地図・道路データベース301から安否情報登録データベース302に切り換られた際に、安否情報受信登録手段32は携帯端末装置20から送信される安否情報を受信して安否情報登録データベース302に登録し、安否情報回答手段33は他の携帯電話装置20から受信した安否情報の配信要求に対して、安否情報登録データベース302から配信要求に該当する安否情報を検索して配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時にユーザが安否情報を登録し、第3者からの安否情報問い合わせに回答する安否情報サービスシステムに関するものであり、特に、通信によりナビゲーションサービスを提供するシステムを利用し、災害時に所定の期間、経路探索サーバが安否情報サービスに切り換え、加入者が使用する携帯端末装置から経路探索サーバに安否情報を登録し、他の加入者が使用する携帯端末装置から所望の加入者の安否情報を問い合わせすることができるようにした安否情報サービスシステム、経路探索サーバおよび携帯端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の変化に関連した異常気象による台風や集中豪雨などの災害が多発し、また、災害規模も大きくなってきている。大規模な地震災害の発生も従来から指摘されており、地震やテロなど局地的に大きな被害を与えるような災害や事件が世界中で多発している。特にアジア各国においては津波や地震などの大きな災害が頻発している。また,米国における貿易センターへのテロに象徴されるように,世界各国でテロによる被害が報告されている。日本においても、いつこのような災害が発生してもおかしくないと考えられている。
【0003】
このような状況にあって、地方自治体においては地震や台風などによる災害時に住民の安否情報を確認し、救助活動や復旧活動を円滑に進めるための災害対策システムも検討されている。従来、災害発生時にインターネット等の通信機能で個人の安否情報を確認、閲覧できるような技術も種々提案されている。
【0004】
例えば、下記の特許文献1(特開2004−48094号公報)には災害時の種々の情報を効率的に確認することが可能な災害情報確認システムが開示されている。この災害情報確認システムは、災害が発生した場合に、当該災害が発生した領域を特定する情報を取得する災害情報取得部と、当該取得した領域にいる被災者が利用する被災者端末に対して、災害発生情報と当該被災者の安否情報を登録するように促す登録要求情報とを送信する登録要求送信部と、当該登録要求送信部が登録要求情報を送信してから所定時間内において、被災者端末からの応答を監視し、当該所定時間内に安否情報を送信しない被災者端末を特定する非応答端末特定部とを備え、登録要求送信部は、当該特定された被災者端末に対して登録要求情報を再度送信するように構成されている。
【0005】
すなわち、特許文献1に開示された災害情報確認システムによれば、災害情報取得手段が取得した災害発生情報と登録要求情報とを被災者端末に送信するので、各被災者端末に効率的にそれらの情報を送信できる。また、登録要求情報に対して安否情報を送信しない被災者端末を特定し、その特定した被災者端末に再度登録要求情報を送信するので、より確実に被災者情報を収集することができる。
【0006】
また、特許文献1に開示された災害情報確認システムによれば、登録要求送信手段が何回か登録要求情報を送信したのにもかかわらず、安否情報を登録しない被災者端末を特定し、その被災者端末に位置情報を送信するように指示する指示情報を送信するので、例えば、災害によって重篤な状態に陥って安否情報の登録ができない被災者の位置情報を取得できるようになる。
【0007】
また、下記の特許文献2(特開2002−312879号公報)には、災害時の混乱による情報不足や連絡手段がない時に被災状況や個人の安全確認を提供する安否確認システムが開示されている。この安否確認システムは、安全確認装置は災害検知装置と処理
装置とデータベースを含む。災害検知装置は予め設定された大きさ以上の災害を検知すると処理装置に通報する。処理装置はデータベースを参照して、作動した災害検知装置が設置されているエリア内の応答端末に安否確認情報を電子メールで発する。応答端末は自分
または会社やグループが安全であることを返答するように構成されている。
【0008】
処理装置は個人や会社及びグループ毎に安否の確認とその応答状況の一覧をネットワークに掲載し、応答の無い個人やグループに再度確認情報を発信し、情報をリアルタイムに更新する。確認端末は第三者からの問い合わせに使用される端末で、処理装置がネットワークに掲載した情報を閲覧し、災害地の状況を把握するようにされている。
【0009】
更に、下記の特許文献3(特開2003−198751号公報)には、災害の発生時に災害発生地域の被害者から安否状態の情報を容易に収集することができるようにした安否確認システムが開示されている。この安否確認システムは、災害が発生したことを災害発生検出装置からの災害発生検出情報に基づいて判断し、災害が発生した地域に居住している被害者(利用者)に生存しているか否かの安否の問い合わせの電子メールを送信し、利用者が電子メールを返信するように構成したものである。このようにすれば災害発生直後に各利用者が生存しているか否かを判断することができるようになる。
【0010】
最近では、携帯電話の普及率が高くなり、いつ、どこにいても、何れかの基地局の範囲内であれば、電話やデータ通信サービスを受けることが可能である。また、携帯電話のハード、ソフト機能が充実し、従来の携帯端末装置の機能を兼ねるようになってきている。更に、第3世代と称される携帯電話にはGPS受信機が搭載され、携帯電話自体が位置する現在位置(緯度・経度)を測定することができ、携帯電話を端末装置としたナビゲーションシステムも実用化されている。このような測位システムを利用して、高齢者や児童などの位置確認や、犯罪や火災などの事件、事故における通報時の位置確認などに利用するシステムも種々検討されている。
【0011】
【特許文献1】特開2004−48094号公報(図1、段落[0008]、[0009])
【特許文献2】特開2002−312879号公報(図1、図3)
【特許文献3】特開2003−198751号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1〜特許文献3に開示されたシステムは、何れも安否情報を収集するサーバ装置と当該サーバ装置が掌握する住民等に設置させる端末装置とからなるシステムである。災害発生時にサーバ装置は各端末装置に安否確認の問い合わせを行い、応答のあった端末装置については生存を、応答のなかった端末については何らかの被害を受けたものと判別するようにしている。これによって、被害を受けた住民の数や被害地域を特定し、救援活動に役立てようとしたものである。
【0013】
従って、上記特許文献1〜特許文献3に開示されたシステムにおいては、災害時のためのサーバ装置、端末装置を特別に設置する必要があり、インフラ整備のための投資が必要になるという問題点がある。また、安否確認の問い合わせを受けた住民が外出中などの理由により端末装置を操作して安全の確認応答を送信することができない場合もあり、かならずしも正しい安否情報を収集できないという問題点もあった。
【0014】
一方、電話保守サービスを提供している通信事業者において「伝言ダイヤルサービス」と呼ばれるサービスが提供されている。このサービスは、通信事業者のサーバに「伝言」を登録して、相手方がサーバに登録された「伝言」を取得できるようにしたサービスである。このような伝言サービスを利用すれば、災害時に自分の安否情報を「伝言」としてサーバに登録することで、所望の相手方に安否情報を伝えることができる。
【0015】
このような伝言ダイヤルサービスは、通信事業者が災害発生時に被災地を中心として臨時にサーバを設定して一定期間、安否情報を提供する手段として提供されることもある。この場合、登録した安否情報は、任意の第3者が参照できるようにされる。
【0016】
しかしながら、伝言ダイヤルサービスを受けるためには、サーバに安否情報を登録する登録側の電話機の利用者、登録された安否情報を参照する参照側の電話機の利用者が登録もしくは参照のための機器操作を周知していることが必要になる。このサービスを普段から利用している利用者にとっては問題ないが、災害時に初めてサービスを受けようとした場合には操作がわからず、利用者によっては、緊急時に役立たないという問題が生じる場合がある。
【0017】
最近では、携帯電話の普及率が高くなり、いつ、どこにいても、何れかの基地局の範囲内であれば、電話やデータ通信サービスを受けることが可能である。また、携帯電話のハード、ソフト機能が充実し、従来の携帯端末装置の機能を兼ねるようになってきている。更に、第3世代と称される携帯電話にはGPS受信機が搭載され、携帯電話自体が位置する現在位置(緯度・経度)を測定することができ、携帯電話を端末装置としたナビゲーションシステムも実用化されている。このような測位システムを利用して、高齢者や児童などの位置確認や、犯罪や火災などの事件、事故における通報時の位置確認などに利用するシステムも種々検討されている。
【0018】
現在では、携帯電話を端末装置としたナビゲーションシステムが実現されており、このようなシステムに加入している利用者は、日常的にナビゲーションサービスを使用していると考えられる。通常携帯電話は常に身の周りに置いてあるものであり、ナビゲーションサービスを提供する経路探索サーバが災害時の安否確認の機能を提供できれば使い慣れた携帯電話のナビゲーションサービス機能を利用でき安否確認には好都合である。また、ナビゲーションシステムにおいては携帯端末装置がその位置情報を送信する機能を持つため、簡単に安否情報に位置情報を含めることができ好都合である。
【0019】
本願の発明者は、このような着想に基づき、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、災害時に所定の期間、経路探索サーバが安否情報サービスに切り換え、加入者が使用する携帯端末装置から経路探索サーバに安否情報を登録し、他の加入者が使用する携帯端末装置から所望の加入者の安否情報を問い合わせすることができるようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到し、本発明を完成するに至ったものである。
【0020】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、災害時に特定のインフラを用いることなく、通常他のサービスを提供するサーバを使用して利用者が簡単な操作で安否情報を登録し、また、登録された安否情報を第3者が簡単に参照できるようした安否情報サービスシステム、経路探索サーバおよび携帯端末装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
地図・道路データベースおよび安否情報登録データベースを有する経路探索サーバと携帯端末装置とを備えた安否情報サービスシステムであって、
前記経路探索サーバは、前記地図・道路データベースと安否情報登録データベースとを切り換えるサービス切り換え手段と、安否情報受信登録手段と、安否情報回答手段と、を備え、
災害発生時に、前記サービス切り換え手段により前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換られた際に、前記安否情報受信登録手段は、前記携帯端末装置から送信される安否情報を受信して前記安否情報登録データベースに登録し、前記安否情報回答手段は、他の携帯電話装置から受信した安否情報の配信要求に対して、前記安否情報登録データベースから配信要求に該当する安否情報を検索して配信することを特徴とする。
【0022】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる安否情報サービスシステムにおいて、
前記サービス切り換え手段は、災害発生時に、前記サービス切り換え手段により前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換えた場合、予め設定された期間を経過すると、前記安否情報登録データベースから地図・道路データベースに切り換えることを特徴とする。
【0023】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる安否情報サービスシステムにおいて、
前記サービス切り換え手段は、災害発生時に手動で前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換える切り換え操作手段を有することを特徴とする。
【0024】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかる安否情報サービスシステムにおいて、
前記安否情報登録データベースに登録する安否情報は、少なくとも安否情報を登録する携帯端末装置の電話番号と、該携帯端末装置が取得した位置情報と、登録日時と、利用者が入力したコメントと、を含むことを特徴とする。
【0025】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項4にかかる安否情報サービスシステムにおいて、
前記他の携帯端末装置から経路探索サーバに送信される安否情報の配信要求は、安否情報取得を所望する携帯端末装置の電話番号を含むことを特徴とする。
【0026】
また、本願の請求項6にかかる発明は、
地図・道路データベースおよび安否情報登録データベースを有する経路探索サーバと、携帯端末装置を備えた安否情報サービスシステムにおける経路探索サーバであって、
前記経路探索サーバは、前記地図・道路データベースと安否情報登録データベースとを切り換えるサービス切り換え手段と、安否情報受信登録手段と、安否情報回答手段と、を備え、
災害発生時に、前記サービス切り換え手段により前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換られた際に、前記安否情報受信登録手段は、前記携帯端末装置から送信される安否情報を受信して前記安否情報登録データベースに登録し、前記安否情報回答手段は、他の携帯電話装置から受信した安否情報の配信要求に対して、前記安否情報登録データベースから配信要求に該当する安否情報を検索して配信することを特徴とする。
【0027】
本願の請求項7にかかる発明は、請求項6にかかる経路探索サーバにおいて、
前記サービス切り換え手段は、災害発生時に、前記サービス切り換え手段により前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換えた場合、予め設定された期間を経過すると、前記安否情報登録データベースから地図・道路データベースに切り換えることを特徴とする。
【0028】
本願の請求項8にかかる発明は、請求項6にかかる経路探索サーバにおいて、
前記サービス切り換え手段は、災害発生時に手動で前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換える切り換え操作手段を有することを特徴とする。
【0029】
本願の請求項9にかかる発明は、請求項6にかかる経路探索サーバにおいて、
前記安否情報登録データベースに登録する安否情報は、少なくとも安否情報を登録する携帯端末装置の電話番号と、該携帯端末装置が取得した位置情報と、登録日時と、利用者が入力したコメントと、を含むことを特徴とする。
【0030】
本願の請求項10にかかる発明は、請求項9にかかる経路探索サーバにおいて、
前記他の携帯端末装置から経路探索サーバに送信される安否情報の配信要求は、安否情報取得を所望する携帯端末装置の電話番号を含むことを特徴とする。
【0031】
また、本願の請求項11にかかる発明は、
地図・道路データベースおよび安否情報登録データベースと、前記地図・道路データベースと安否情報登録データベースとを切り換えるサービス切り換え手段と、安否情報受信登録手段と、安否情報回答手段と、を備えた経路探索サーバであって、災害発生時に、前記サービス切り換え手段により前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換られた際に、前記安否情報受信登録手段は、前記携帯端末装置から送信される安否情報を受信して前記安否情報登録データベースに登録し、前記安否情報回答手段は、他の携帯電話装置から受信した安否情報の配信要求に対して、前記安否情報登録データベースから配信要求に該当する安否情報を検索して配信する経路探索サーバにネットワークを介して接続される携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置は、現在位置取得手段と、安否情報登録手段と、を備え、災害発生時に前記経路探索サーバが安否情報登録データベースに切り換えた場合に、前記安否情報登録手段により電話番号と位置取得手段が取得した位置情報を含む安否情報を前記経路探索サーバに送信可能に構成されたことを特徴とする。
【0032】
本願の請求項12にかかる発明は、請求項11にかかる携帯端末装置において、
前記携帯端末装置は更に安否情報の配信を前記経路探索サーバに要求する配信要求手段を備え、災害発生時に前記経路探索サーバが安否情報登録データベースに切り換えた場合に、前記配信要求手段により他の携帯端末装置の電話番号を含む安否情報配信を前記経路探索サーバに送信可能に構成されたことを特徴とする請求項11に記載の携帯端末装置。
【発明の効果】
【0033】
請求項1にかかる発明においては、経路探索サーバは、前記地図・道路データベースと安否情報登録データベースとを切り換えるサービス切り換え手段と、安否情報受信登録手段と、安否情報回答手段と、を備え、災害発生時に、前記サービス切り換え手段により前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換られた際に、前記安否情報受信登録手段は、前記携帯端末装置から送信される安否情報を受信して前記安否情報登録データベースに登録し、前記安否情報回答手段は、他の携帯電話装置から受信した安否情報の配信要求に対して、前記安否情報登録データベースから配信要求に該当する安否情報を検索して配信する。
このような構成により、災害時に特定のインフラを用いることなく、通常他のサービスを提供するサーバを使用して利用者が簡単な操作で安否情報を登録し、また、登録された安否情報を第3者が簡単に参照できるようになる。
【0034】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる安否情報サービスシステムにおいて、サービス切り換え手段は、災害発生時に、前記サービス切り換え手段により前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換えた場合、予め設定された期間を経過すると、前記安否情報登録データベースから地図・道路データベースに切り換える。
従って、安否情報登録データベースに登録された安否情報は、災害発生などの緊急時において必要最低限の期間内のみ第3者が参照することができるだけであるから、個人情報の参照を必要最低限度に制約することができるようになる。
【0035】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかる安否情報サービスシステムにおいて、サービス切り換え手段は、災害発生時に手動で前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換える切り換え操作手段を有する。このため、災害の程度に応じて安否情報サービスへの切り換えを行うか否かを決定することができるようになる。
【0036】
請求項4にかかる発明においては、請求項1にかかる安否情報サービスシステムにおいて、安否情報登録データベースに登録する安否情報は、少なくとも安否情報を登録する携帯端末装置の電話番号と、該携帯端末装置が取得した位置情報と、登録日時と、利用者が入力したコメントとを含む。このため、利用者は安否情報として避難先などのコメントを安否情報登録データベースに登録することができるようになる。
【0037】
請求項5にかかる発明においては、請求項4にかかる安否情報サービスシステムにおいて、他の携帯端末装置から経路探索サーバに送信される安否情報の配信要求は、安否情報取得を所望する携帯端末装置の電話番号を含む。このため、安否情報の配信を要求する利用者は安否を知りたい相手方の電話番号を設定するだけで所望の安否情報を得ることができるようになる。
【0038】
請求項6〜請求項10にかかる発明においては、それぞれ請求項1〜請求項5にかかる安否情報サービスシステムを構成する経路探索サーバを提供することができ、請求項11、請求項12にかかる発明においては、請求項1にかかる安否情報サービスシステムを構成する携帯端末装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための安否情報サービスシステムを例示するものであって、本発明をこの安否情報サービスシステムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の安否情報サービスシステムにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0040】
図1は、本発明の実施例にかかる安否情報サービスシステムの構成を示すシステム構成図である。本発明の実施例にかかる安否情報サービスシステム10は、図1に示すようにネットワーク12を介して接続される携帯端末装置20、ナビゲーション機能を有する経路探索サーバ30、音楽や画像などのコンテンツを提供する情報配信サーバ40、その他の各種情報を提供する情報配信サーバ41などを備えて構成されている。携帯端末装置20はユーザ端末であり、好ましくは携帯電話を携帯端末装置20として用いるものである。
【0041】
本発明に係る安否情報サービスシステム10は上記の構成に限られるものではなく、ナビゲーションサービス機能を持たない情報配信システムであってもよく、また、携帯端末装置20もナビゲーションサービス対応でない携帯電話やGPS測位手段を持たない携帯電話であってもよい。GPS測位手段を持たない携帯電話の場合、基地局に対する位置登録により通信エリアの位置情報を取得し、経路探索サーバ30はこの位置情報を携帯電話から受信して位置を判別すればよい。
【0042】
図2は、図1に示した安否情報サービスシステム10の詳細な構成を示すブロック図である。経路探索サーバ30は経路探索のための地図・道路のデータを蓄積した地図・道路データベース301と、本発明において災害時に提供される安否情報を登録する安否情報登録データベース302を備えている。サービス切り換え手段31は地図・道路データベース301と安否情報登録データベース302とを切り換えるものであり、通常時には地図・道路データベース301を使用してナビゲーションサービスを提供し、災害時には災害検出手段またはオペレータ操作により安否情報登録データベース302に切り換えられ安否情報サービスを提供する。災害検出手段としては上記特許文献1〜特許文献3などに開示された技術を適用できる。オペレータ操作により切り換えるようにすれば、災害の程度に応じて安否情報サービスへの切り換えを行うか否かを決定することができるようになる。
【0043】
経路探索サーバ30はまた、安否情報受信登録手段32、安否情報回答手段33、配信要求受信手段34、位置情報受信手段35、経路探索要求受信手段36、経路探索手段37、経路探索結果送信手段38を備えて構成されている。安否情報受信登録手段32、安否情報回答手段33は、携帯端末装置20から安否情報の登録、安否情報の検索、回答に際して機能するものである。
【0044】
すなわち、本発明は、災害発生時にGPSや住所などで特定される自分の位置(緯度・経度)を電話番号、日時、コメントなどを安否情報として経路探索サーバ30の安否情報登録データベース302に登録しておき、第三者が電話番号を入力することで登録された位置情報、コメントなどを閲覧でき、安否確認に利用できるようにしたものである。
【0045】
すなわち、本発明においては、利用者が自分の位置情報、電話番号、日時に加えてコメントをインターネット等の通信回線を通してサーバに登録する。登録情報はリアルタイムに更新されるのではなく、手動で入力されるため、ユーザによっていつでも位置情報を更新したり削除したりすることができる。また、利用者は普段から利用し慣れたナビゲーション機能を利用して安否情報の登録や配信要求をすることができ、伝言ダイヤルのように特別な操作を必要としないので緊急時にも容易に操作ができるようになる。
【0046】
サービス切り換え手段31はデータベースを安否情報登録データベース302に切り換え、安否情報サービスに切り換えた場合、所定の期間、例えば、災害発生後2日間など期間を限って安否情報サービスを提供し、所定期間経過後には再度データベースを地図・道路データベース301に切り換え、通常のナビゲーションサービスを提供する状態に戻すように動作する。このように期間を区切ったサービスとする理由は個人情報の保護にある。データベースに登録された安否情報は個人情報に属するものであり、本来は目的とする伝達先にのみ提供されるべき情報である。このため災害発生時に緊急的な措置としてデータベースに登録された情報を第3者が参照できるようにするものであるから、その登録情報の公開に時間的な制約を設けたものである。
【0047】
安否情報受信登録手段32は、経路探サーバ30がサービス切り換え手段31により安否情報サービスの提供状態に切り換えられている期間に、携帯端末装置20から位置情報とともに送信される登録情報を受信し、安否情報登録データベース302に登録する。登録する安否情報は、例えば、図3に示すように、携帯端末装置20である携帯電話の電話番号、位置情報、登録日時、利用者が入力したコメントなどである。
【0048】
安否情報登録データベースに登録された安否情報は、電話番号を指定することにより第3者が参照することができる。電話番号を指定して第3者からの安否情報の配信要求があると、安否情報回答手段33は安否情報登録データベースから該当する電話番号で登録されている安否情報を取得して回答を配信する。従って、安否情報として位置情報の他にコメントとして「被害はありません」、「###に避難しています」などのコメントを登録しておけば、この安否情報を参照した第3者は被害の有無や避難先を知ることができるようになる。
【0049】
経路探索サーバ30は通常時にはナビゲーションサービスを提供する。地図・道路データベース301は経路探索のためのデータを蓄積している。地図・道路データベース301は、地図上の道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。
【0050】
そして、経路探索サーバ30は、この地図・道路データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯端末装置20に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。このような構成は一般のナビゲーションシステムと同様のものである。
【0051】
経路探索要求受信手段36は携帯端末装置20からの経路探索要求を受信し、経路探索手段37に出発地や目的地など携帯端末装置20が設定した経路探索条件を送り、経路探索手段37が前述したように経路探索を行う。経路探索結果は経路探索結果送信手段38により携帯端末装置20に送信される。
【0052】
位置情報受信手段35は、携帯端末装置20から現在位置(緯度・経度)の情報を受信する。また、配信要求受信手段34は携帯端末装置20から送信される各種の配信要求を受信する。配信要求としては、例えば、周辺検索と称される要求などがある。周辺検索とは、現在地や目的地周辺の興味対象場所(POI)を検索して配信するサービスであり、POIはレストランやガソリンスタンドなどカテゴリ分けされており、利用者は検索したいカテゴリを指定して周辺検索要求を経路探索サーバに送信する。
【0053】
一方、携帯端末装置20は、位置取得手段21、現在位置検出手段22、現在位置情報送信手段23、安否情報配信要求手段24、受信手段25、安否情報登録手段26、経路探索要求送信手段27、操作部28、表示部29などを備えて構成されている。位置取得手段21は、GPS測位装置から構成される現在位置検出手段22と現在位置検出手段22で検出した現在位置情報を経路探索サーバ30に送信する現在位置情報送信手段23とから構成され、経路探索サーバ30は現在位置情報送信手段23から送信される現在位置情報を受信して携帯端末装置20の位置判別を行う。
【0054】
安否情報登録手段26は、災害時に経路探索サーバ30が安否情報サービスを提供するように切り換えられた際に、利用者が入力した安否情報に位置情報を加えて経路探索サーバ30に登録する手段である。安否情報の入力は、例えば、経路探索サーバ30が災害発生を通知するメッセージを携帯端末装置20に配信して安否情報入力に遷移するように構成できる。災害発生のメッセージ画面に安否情報登録のアイコンや操作ボタンを表示し、これを操作すると、安否情報入力画面を表示部29に表示するようにできる。
【0055】
安否情報配信要求手段24は、安否情報登録手段26と同様に災害時に経路探索サーバ30が安否情報サービスを提供するように切り換えられた際に、利用者が入力した電話番号をもとに経路探索サーバ30に登録されている安否情報を検索して配信を要求する手段である。配信要求は、災害発生のメッセージ画面に安否情報要求のアイコンや操作ボタンを表示し、これを操作すると、安否情報入力画面を表示部29に表示するようにできる。経路探索サーバ30から配信された安否情報は受信手段25で受信されメモリに記憶したり、表示部29に表示したりすることができる。
【0056】
経路探索要求送信手段27は、経路探索サーバが通常のナビゲーションサービスを提供している場合に、操作部28から入力した経路探索条件に基づいて経路探索サーバ30に経路探索要求を送信するものである。経路探索サーバ30が探索した案内経路のデータは受信手段25で受信されメモリに記憶したり、表示部29に表示したりすることができる。一般には、表示部29に経路を表示する場合、携帯端末装置20の現在位置を中心に地図を表示し、案内経路や現在位置を重ね合わせて表示する。
【0057】
次に、本実施例にかかる安否情報サービスシステム10の災害時の動作について説明する。図4は、本発明の実施例にかかる安否情報サービスシステムの災害時の動作手順を示すフローチャートである。経路探索サーバ30は通常時にはステップS11の処理においてサービス加入者の携帯端末装置20に対してナビゲーションサービスを提供している。
【0058】
この経路探索サーバ30は、ステップS12の処理において災害発生を検知しなければステップS11の処理に戻ってナビゲーションサービスの提供を継続する。ステップS12の処理において災害の発生を検出するとサービス切り換え手段31はステップS13の処理においてデータベースを地図・道路データベース301から安否情報登録データベース302に切り換え、サービスを安否情報サービス提供に切り換える。
【0059】
安否情報サービスに切り換えられると、安否情報受信登録手段32はステップS14の処理において携帯端末装置20から安否情報登録の要求があるか否かを判別する。携帯端末装置20から安否情報登録の要求があれば、ステップS15の処理に移り、安否情報登録データベースに携帯端末装置20から受信した安否情報を登録する。安否情報登録の要求がなければステップS16の処理に進む。
【0060】
ステップS16の処理において、安否情報回答手段33は携帯端末装置20から安否情報の配信要求があるか否かを判別する。携帯端末装置20から安否情報登録の要求があれば、ステップS17の処理に移り、安否情報登録データベースに登録された安否情報を検索し、配信要求に該当する安否情報が登録されていればこれを回答する。安否情報の配信要求がなければステップS18の処理に進む。
【0061】
ステップS18の処理において、サービス切り換え手段31は、サービスを安否情報サービス提供に切り換えてからの経過時間を調べ、経過時間が予め設定された所定の時間を経過したかを判定する。所定の時間を経過していなければステップS14の処理に戻り、ステップS18までの処理を繰り返す。一方、ステップS18の処理において、経過時間が予め設定された所定の時間を経過していれば、サービス切り換え手段31は、データベースを安否情報登録データベース302から地図・道路データベースに切り換えて通常のナビゲーションサービスに切り換えてリターンする。
【0062】
以上説明したように、本発明によれば、災害時に特定のインフラを用いることなく、通常他のサービスを提供するサーバを使用して利用者が簡単な操作で安否情報を登録し、また、登録された安否情報を第3者が簡単に参照できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、災害時に通常の位置情報サービスが安否情報サービスに切り替わり、登録されたユーザの位置情報を第三者への安否情報として提供することができ、災害時の安否情報確認に役立つシステムを実現でき、災害時の緊急システムとして適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施例にかかる安否情報サービスシステムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】図1の安否情報サービスシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】安否情報登録データベースに登録される安否情報の1例を示す図である。
【図4】本発明の実施例にかかる安否情報サービスシステムの災害時の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
10・・・・安否情報サービスシステム
12・・・・ネットワーク
20・・・・携帯端末装置
30・・・・経路探索サーバ
301・・・地図・道路データベース
302・・・安否情報登録データベース
40・・・・情報配信サーバ
21・・・・位置取得手段
22・・・・現在位置検出手段
23・・・・現在位置情報送信手段
24・・・・安否情報配信要求手段
25・・・・受信手段
26・・・・安否情報登録手段
27・・・・経路探索要求送信手段
28・・・・操作部
29・・・・表示部
31・・・・サービス切り換え手段
32・・・・安否情報受信登録手段
33・・・・安否情報回答手段
34・・・・配信要求受信手段
35・・・・位置情報受信手段
36・・・・経路探索要求受信手段
37・・・・経路探索手段
38・・・・経路探索結果送信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図・道路データベースおよび安否情報登録データベースを有する経路探索サーバと携帯端末とを備えた安否情報サービスシステムであって、
前記経路探索サーバは、前記地図・道路データベースと安否情報登録データベースとを切り換えるサービス切り換え手段と、安否情報受信登録手段と、安否情報回答手段と、を備え、
災害発生時に、前記サービス切り換え手段により前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換られた際に、前記安否情報受信登録手段は、前記携帯端末装置から送信される安否情報を受信して前記安否情報登録データベースに登録し、前記安否情報回答手段は、他の携帯電話装置から受信した安否情報の配信要求に対して、前記安否情報登録データベースから配信要求に該当する安否情報を検索して配信することを特徴とする安否情報サービスシステム。
【請求項2】
前記サービス切り換え手段は、災害発生時に、前記サービス切り換え手段により前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換えた場合、予め設定された期間を経過すると、前記安否情報登録データベースから地図・道路データベースに切り換えることを特徴とする請求項1に記載の安否情報サービスシステム。
【請求項3】
前記サービス切り換え手段は、災害発生時に手動で前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換える切り換え操作手段を有することを特徴とする請求項1に記載の安否情報サービスシステム。
【請求項4】
前記安否情報登録データベースに登録する安否情報は、少なくとも安否情報を登録する携帯端末装置の電話番号と、該携帯端末装置が取得した位置情報と、登録日時と、利用者が入力したコメントと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の安否情報サービスシステム。
【請求項5】
前記他の携帯端末装置から経路探索サーバに送信される安否情報の配信要求は、安否情報取得を所望する携帯端末装置の電話番号を含むことを特徴とする請求項4に記載の安否情報サービスシステム。
【請求項6】
地図・道路データベースおよび安否情報登録データベースを有する経路探索サーバと、携帯端末を備えた安否情報サービスシステムにおける経路探索サーバであって、
前記経路探索サーバは、前記地図・道路データベースと安否情報登録データベースとを切り換えるサービス切り換え手段と、安否情報受信登録手段と、安否情報回答手段と、を備え、
災害発生時に、前記サービス切り換え手段により前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換られた際に、前記安否情報受信登録手段は、前記携帯端末装置から送信される安否情報を受信して前記安否情報登録データベースに登録し、前記安否情報回答手段は、他の携帯電話装置から受信した安否情報の配信要求に対して、前記安否情報登録データベースから配信要求に該当する安否情報を検索して配信することを特徴とする経路探索サーバ。
【請求項7】
前記サービス切り換え手段は、災害発生時に、前記サービス切り換え手段により前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換えた場合、予め設定された期間を経過すると、前記安否情報登録データベースから地図・道路データベースに切り換えることを特徴とする請求項6に記載の経路探索サーバ。
【請求項8】
前記サービス切り換え手段は、災害発生時に手動で前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換える切り換え操作手段を有することを特徴とする請求項6に記載の経路探索サーバ。
【請求項9】
前記安否情報登録データベースに登録する安否情報は、少なくとも安否情報を登録する携帯端末装置の電話番号と、該携帯端末装置が取得した位置情報と、登録日時と、利用者が入力したコメントと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の経路探索サーバ。
【請求項10】
前記他の携帯端末装置から経路探索サーバに送信される安否情報の配信要求は、安否情報取得を所望する携帯端末装置の電話番号を含むことを特徴とする請求項9に記載の経路探索サーバ。
【請求項11】
地図・道路データベースおよび安否情報登録データベースと、前記地図・道路データベースと安否情報登録データベースとを切り換えるサービス切り換え手段と、安否情報受信登録手段と、安否情報回答手段と、を備えた経路探索サーバであって、災害発生時に、前記サービス切り換え手段により前記地図・道路データベースから安否情報登録データベースに切り換られた際に、前記安否情報受信登録手段は、前記携帯端末装置から送信される安否情報を受信して前記安否情報登録データベースに登録し、前記安否情報回答手段は、他の携帯電話装置から受信した安否情報の配信要求に対して、前記安否情報登録データベースから配信要求に該当する安否情報を検索して配信する経路探索サーバにネットワークを介して接続される携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置は、現在位置取得手段と、安否情報登録手段と、を備え、災害発生時に前記経路探索サーバが安否情報登録データベースに切り換えた場合に、前記安否情報登録手段により電話番号と位置取得手段が取得した位置情報を含む安否情報を前記経路探索サーバに送信可能に構成されたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項12】
前記携帯端末装置は更に安否情報の配信を前記経路探索サーバに要求する配信要求手段を備え、災害発生時に前記経路探索サーバが安否情報登録データベースに切り換えた場合に、前記配信要求手段により他の携帯端末装置の電話番号を含む安否情報配信を前記経路探索サーバに送信可能に構成されたことを特徴とする請求項11に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−165979(P2007−165979A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−356056(P2005−356056)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】